説明

頭皮ケア装置

【課題】施術子を備えたカバー部を外した状態では本体部の駆動部が動作することがなくて安全なものとする。
【解決手段】駆動部を備えた本体部1と、上記駆動部によって駆動される施術子4を備えて上記本体部1に対して着脱自在となっているカバー部2とからなる。カバー部2の本体部1への着脱状態を検知して非装着状態時に駆動部の動作を遮断する遮断部SWを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮マッサージや洗髪時の頭皮刺激のための頭皮ケア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
頭皮マッサージや洗髪時の頭皮刺激のための頭皮ケア装置として、駆動部を備えた本体と、上記駆動部によって駆動される施術子を備えたカバー部とからなるものが知られている(特許文献1参照)。そしてこのような頭皮ケア装置では、カバー部を本体部に対して着脱自在として、カバー部のメンテナンスを容易としている。
【0003】
しかし、上記特許文献2に記載のものでは、駆動部を備えた本体部からカバー部を取り外している状態でもスイッチを操作すれば駆動部が動作してしまうものであり、安全性などの点で問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−189661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、施術子を備えたカバー部を外した状態では本体部の駆動部が動作することがなくて安全である頭皮ケア装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、駆動部を備えた本体部と、上記駆動部によって駆動される施術子を備えて上記本体部に対して着脱自在となっているカバー部とからなる頭皮ケア装置において、カバー部の本体部への着脱状態を検知して非装着状態時に駆動部の動作を遮断する遮断部を備えていることに特徴を有している。
【0007】
カバー部が装着されていない時にこれを報知する表示部を備えていることも好ましい。また、上記遮断部は、駆動部におけるモータに至る電源線の途中に設けたスイッチと、カバー部の着脱に応じて上記スイッチを開閉する連動部材とからなるものを好適に用いることができる。
【0008】
そして、駆動部におけるモータをデューティ制御する制御部を備えたものにおいては、該制御部はカバー部が本体部に装着されていない時にモータを回転させないデューティ比の電力をモータ側に供給するものであるとともに、上記制御部はモータへの電力供給状態を監視してカバー部の本体部への装着を検知するものを好適に用いることができる。
【0009】
上記制御部は、カバー部が本体部に装着されても駆動部の停止状態を維持するものであったり、カバー部が装着されていない時にこれを表示する表示部表示部の動作も制御する上記制御部が、表示部における報知を一定時間継続するものであってもよく、さらには動作指示用の操作部の操作に応じて上記表示部による上記報知を解除するものであってもよい。また、上記制御部は、カバー部が本体部に装着されたことの検知出力を受けて上記表示部による上記報知を解除するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、カバー部が外されている状態では本体部の駆動部が動作せず、また、頭皮マッサージ中にカバー部が外れるようなことがあっても駆動部が停止するために安全性の高いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態の一例の縦断面図である。
【図2】同上のカバー部を取り外した状態の縦断面図である。
【図3】同上の分解斜視図である。
【図4】同上の斜視図である。
【図5】同上の正面図である。
【図6】同上のブロック回路図である。
【図7】(a)(b)(c)は同上の表示部の動作状態を示す説明図である。
【図8】同上の動作を示すタイムチャートであって、(a)はカバー部装着状態のタイムチャート、(b)はカバー部非装着状態のタイムチャート、(c)はカバー部の装着検知についてのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図示の実施例に基づいて本発明の実施の形態の一例を説明すると、この頭皮ケア装置は、図3,4に示すように、本体部1と、本体部1の矩形状をした底面部に着脱自在に取り付けられるカバー部2とからなる。
【0013】
本体部1は図1及び図2に示すように、モータ3と減速輪列16とを内蔵するとともに電源としての二次電池(図示せず)を内蔵したもので、これらはフレーム15に装着された状態で本体部1内に納められている。そして本体部1の底部は底板18で水密的に閉じられているが、この底板18を貫通して4つの駆動軸が下方に突出し、各駆動軸に偏心ピン17が取り付けられている。図中35は充電用コネクタである。
【0014】
本体部1の上部にはネック部10を介してネック部10よりも大きい頭部11が設けられており、頭部11の上面にモード切換用のスイッチ13と、発光ダイオード及びライトガイドとからなる3つの表示部14a,14b,14cが設けられている。
【0015】
本体部1の底部に連結されるカバー部2は、図3にも示すように、硬質樹脂からなる基板20の下部外面及び外周面を薄肉で可撓性に富んだ軟質樹脂からなるカバー21で覆ったもので、頭皮マッサージ用の施術子4はカバー21に一体に複数(図示例では4つ)形成されている。
【0016】
図示例における各施術子4は、図4に示すように、夫々4本の突起で構成されたものであるとともに、夫々背面側(本体部1側)に円筒状部23を一体に備えており、さらに各円筒状部23の内側はすり鉢状で且つ中央に前記偏心ピン17が係合する係合穴を備えている。
【0017】
また、基板20の背面側中央に設けたガイド支柱27の側面に4段のスリット28を形成し、上記円筒状部23の外周面に形成された4段の溝のうちのいずれかの溝に一端を連結させた金属製のガイド板26の他端を上記スリット28にスライド自在に挿入してある。なお、各円筒状部23に連結する4枚のガイド板26は、各円筒状部23の異なる段の溝に連結するとともに、夫々異なる段のスリット28に挿入している。このために、円筒状部23を含む施術子4が後述する動きを行う時、各ガイド板26も同時に動くことになるが、ガイド支柱27内において、ガイド板26同士が干渉することはない。
【0018】
このカバー部2は、その基板4の外周4辺の各中央に設けたフック33を本体部1に係止することで本体部1に着脱自在に連結される。この時、本体部1底面形状及びカバー部2の平面形状は、4隅を丸めた正四角形としてあるために、本体部1へのカバー部2の取り付けは、方向性を持たないものとなっている。
【0019】
そしてカバー部2を本体部1に取り付ける時、本体部1における4つの偏心ピン17は、円筒状部23のすり鉢状内面にガイドされて施術子4と係合し、偏心ピン17が偏心回転を行う時、各施術子4は偏心ピン17と共に図4(b)に示すように異なる方向と位相の動きを行う。なお、軟質樹脂からなるカバー21における各施術子4はその周囲を蛇腹状としてあるために、各施術子4の異なる動きはスムーズになされる。また、施術子4を構成する突起や円筒状部23は、軟質樹脂からなるカバー21に一体に設けているとはいえ、厚肉に形成しているために、頭皮マッサージに必要な弾性は有しているものとなっている。
【0020】
この頭皮ケア装置を使用するにあたっては、本体部1におけるネック部10を人差し指と中指とで挟んで本体部1を包むようにして握り、スイッチ13を操作する。このスイッチ13の押し下げ操作で、モータ3はオフの状態と、低速回転状態と、高速回転状態とが順次切り替わるとともに、低速回転状態では図7(a)に示すように、表示部14bを点灯させ、高速回転状態では表示部14aを点灯させ、オフ状態では表示部14a,14b,14cを消灯させる。なお、表示部14cは充電中を表示するためのものである。
【0021】
そしてモータ3が回転する時、前述のように各偏心ピン17が偏心回転し、カバー部2における各施術子4は偏心ピン17によって駆動されて前述の動きを行う。このために、施術子4を頭皮に接触させたならば、頭皮は互いに接近したり離れたりする複数の施術子4によってマッサージされることになる。
【0022】
そして、この頭皮ケア装置においては、本体部1にカバー部2を装着していない状態では、スイッチ13を操作してもモータ3が回転せず、またモータ3の回転中に本体部1からカバー部2が外されたならば、直ちにモータ3が停止するようにしているとともに、モータ3が回転しないのはカバー部2が装着されていないことが理由であることを示すために、図7(b)に示すように表示部14bを点滅させるようにしている。ただし、この点滅は所定の時間(例えば4分)が経過すれば、あるいはカバー部2が装着されれば消灯する。また、スイッチ13の操作によっても点滅を解除して消灯する。さらに、表示部14bが点滅中にカバー部2を装着しても、モータ3を直ちに回転させることはせずに、モータ3のオフ状態を保つようにしている。
【0023】
カバー部2が本体1に装着されているかどうかに応じてモータ3への電力供給を遮断する遮断部として、ここでは図6に示すようにモータ3の駆動用のスイッチング素子Tとモータ3とをつなぐ電源線の途中に設けた接点部SWを図1及び図2に示すピン31で開閉するものを用いている。すなわち、スイッチング素子Tとモータ3とをつなぐ電源線をリード板で形成するとともに、該リード板の途中に常開型の接点部SWを設け、カバー部2には本体部1に設けた上記ピン31を押圧する連動突起25を設けている。なお、該連動突起25は、カバー部2の本体部1への装着の方向性を無くすために総計4つ設けている。
【0024】
カバー部2を本体部1に装着している時には、カバー部2の突起25によってばね付勢に抗して押し込まれているピン31が上記接点部SWを閉じているために、モータ3に電力が供給されるが、カバー部21が外れている時には接点部SWが開いているために、モータ3には電力が供給されず、このためにモータ3が回転することはない。
【0025】
モータ3に至る電源線を開閉する接点部SWを用いることは、タクトスイッチ等でカバー部2の装着非装着を検知する場合に比して、スイッチ配置スペースを必要としない上に、モータ3の回転停止制御を必要とせず、またノイズ等による誤動作の虞もなく、確実にモータ停止を行うことができて、信頼性及び安全性が高いものとすることができる。図6中のPWは前記二次電池を電源とする電力部である。
【0026】
もっとも、カバー部2が取り外された時に上記接点部SWでモータ3への電力供給を遮断するということは、カバー部2が外れていることを検知して表示部14bを点滅させるという点からすれば、モータ3及び表示部14(14a,14b,14c)の駆動制御用の制御部Cで接点部SWの開閉信号を直接受けてカバー部2が装着されているかどうかを制御部Cが認識することはできないことを意味する。
【0027】
このために、カバー部2の装着状態の検出を次のようにしている。すなわち、モータ3の駆動制御としては、モータ3にパルス状の電圧を入力するもの、波状の正弦波を入力するもの、電圧値が変化するDC電源電圧を入力するもの等を用いることができるが、カバー部2を装着していない時にも、モータ3が回転しない範囲の電力供給をデューティ制御で行うものとし、さらにモータ3への電力供給状態を監視することでカバー部2の本体部1への装着を検知している。
【0028】
一例として、PWMデューティ制御でパルス状の電圧をモータ3に入力するものを図8に示す。カバー部2が装着されて通常のモータ駆動を行っている時には、図8(a)に示すように30〜90%のPWMデューティ制御を行ってモータ電圧が一定となるようにし、カバー部2を装着していない時は、モータ3が回転しない範囲のデューティ制御を行う。例えば、図8(b)に示すように、一定周期(300ms)毎に一定時間(50ms)のPWM(パルス波)を発生(約12%デューティ)させる。
【0029】
そして制御部Cは、このPWM(パルス波)がモータ3に印加されているかどうかを図6に示すピークホールド回路PHを介して見ることで、接点部SWが閉じているか開いているか(カバー部2が装着されているか否か)を検知している。また、カバー部2が外されている状態からカバー部2が装着された状態になったかどうかは、図8(c)に示すように、制御部Cがカバー検知信号を3回連続検知した時に装着されたと判定するようにしている。
【0030】
制御部Cは、モータ3の駆動中にいったんカバー部が外されたことでモータ3が停止した後、カバー部2が装着されたことを検知しても、前述のように、モータ3への電力供給を直ちに再開することせずに、スイッチ13が操作されるまでモータ3のオフ状態を維持する。これはカバー部2の装着途中にモータ3が駆動してしまうと、偏心ピン17が偏心回転を行ってカバー部2側にある施術子4を駆動する関係で、カバー部2の装着が困難になってしまうからであるとともに、不用意な動きを抑制して安全性を高めるためである。
【0031】
上記実施例では、本体部1の駆動部をモータ3によって偏心ピン17を偏心回転させるもので示したが、このような動きを行うものに限定されるものではなく、たとえば前記公報に示されたものを用いてもよい。施術子4の構成が図示例のものに限定されるものでもないのは明らかである。
【0032】
また、表示部14として、ここでは発光ダイオードを用いたものを示したが、液晶ディスプレーなどを用いてもよく、またブザーなどの警告音を発するものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 本体部
2 カバー部
3 モータ
4 施術子
31 ピン
SW 接点部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部を備えた本体部と、上記駆動部によって駆動される施術子を備えて上記本体部に対して着脱自在となっているカバー部とからなる頭皮ケア装置であって、カバー部の本体部への着脱状態を検知して非装着状態時に駆動部の動作を遮断する遮断部を備えていることを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項2】
カバー部が装着されていない時にこれを報知する表示部を備えていることを特徴とする請求項1記載の頭皮ケア装置。
【請求項3】
上記遮断部は、駆動部におけるモータに至る電源線の途中に設けたスイッチと、カバー部の着脱に応じて上記スイッチを開閉する連動部材とからなることを特徴とする請求項1または2記載の頭皮ケア装置。
【請求項4】
駆動部におけるモータをデューティ制御する制御部を備えており、該制御部はカバー部が本体部に装着されていない時にモータを回転させないデューティ比の電力をモータ側に供給するものであるとともに、上記制御部はモータへの電力供給状態を監視してカバー部の本体部への装着を検知するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の頭皮ケア装置。
【請求項5】
上記制御部は、カバー部が本体部に装着されても駆動部の停止状態を維持するものであることを特徴とする請求項4記載の頭皮ケア装置。
【請求項6】
カバー部が装着されていない時にこれを表示する表示部を備えているとともに、該表示部の動作も制御する上記制御部は、表示部における報知を一定時間継続するものであることを特徴とする請求項4または5記載の頭皮ケア装置。
【請求項7】
上記制御部は、動作指示用の操作部の操作に応じて上記表示部による上記報知を解除するものであることを特徴とする請求項6記載の頭皮ケア装置。
【請求項8】
上記制御部は、カバー部が本体部に装着されたことの検知出力を受けて上記表示部による上記報知を解除するものであることを特徴とする請求項6記載の頭皮ケア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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