説明

食品用払掃具

【課題】食品用の払掃具を、払掃用の線条が万一脱落して食品中に混入した場合でも、混入した線条片を物理的手段によって検出できるように構成する。
【解決手段】食品を掃き動かすための払掃具1Aを、合成樹脂製の多数の線条5からなる払掃用ヘッド2と、このヘッド2に取り付けられた柄3とで構成すると共に、上記線条5を、ヘッド2から脱落して食品中に混入した線条片を電気的又は磁気的な検出手段によって検出可能とするため、合成樹脂からなる線状の基材に導電性の被検体を担持させることにより形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば粉粒状やチップ状あるいは細棒状などをした食品を、乾燥や包装あるいは搬送等のために分散させたり集合させたり移動させたりする場合などに使用される、食品用払掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品の一例である日本茶の製造工程においては、所定の管理場所に置かれた処理途中のお茶、例えば蒸したり焙ったりしたあと冷却場所等に運ばれたお茶を、その場所に拡散させたり、一箇所に集めたり、あるいは次の処理のために移動させたりするような場合に、箒状あるいはブラシ状をした払掃具が使用される。この払掃具は、一般に、植物製や合成樹脂製の多数の線条を束ねて形成した払掃用ヘッドを有していて、上記線条でお茶を掃き動かすようにするものであるが、お茶による抵抗が大きい場合などに、上記線条が折れたり千切れたりしてヘッドから脱落し、線条片がお茶の中に混入することがある。
線条片が混入したお茶は不良品となるため、その部分を工程中から除去しなければならないが、そのためには、上記線条片が混入していることを正確に見極めることが必要になる。
【0003】
しかしながら、これまでは、払掃具から脱落した線条片がお茶の中に混入しているかどうかの判定は目視に頼らざるを得なかったため、判定精度が悪く、特に、線条の小さな破片を発見するのは非常に困難であった。
【0004】
上記払掃具を、線条が脱落しないように構成するか、あるいは、万一脱落した場合でもその線条片を物理的に検出できるような構成にしておけば、このような問題は回避することができるが、前者のように線条が完全に脱落しないように構成するのは事実上不可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明の目的は、食品用の払掃具を、払掃用の線条が万一脱落して食品中に混入した場合でも、混入した線条片を物理的手段によって検出できるように構成することにより、上述した従来の問題点を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の食品用払掃具は、食品を掃き動かすための払掃具であって、合成樹脂製の多数の線条からなる払掃用ヘッドと、該ヘッドに取り付けられた柄とからなり、上記ヘッドにおける線条が、該ヘッドから脱落して食品中に混入した線条片を電気的又は磁気的な検出手段によって検出可能とするため、合成樹脂製の基材に導電性の被検体を担持させることにより形成されていることを特徴としている。
【0007】
本発明においては、上記被検体が粉粒状をしていて、上記基材中に練り込まれ、被検体を練り込まれた基材が線条として押し出し成形されていても、あるいは、粉粒状の被検体が、線状をした上記基材の表面に直接又はバインダーを介して固着されていても良い。
また、上記被検体が線条をしていて、線状をした上記基材の内部に挿通状態に埋め込まれていても構わない。
【発明の効果】
【0008】
本発明の食品用払掃具は、払掃用の線条が、合成樹脂からなる線状の基材に導電性の被検体を担持させることにより形成されているため、使用中に該線条が万一脱落して食品中に混入したとしても、その線条片を電気的又は磁気的な検出手段によって検出することが可能であり、この結果、上記線条片が食品中に紛れ込んだままになるといったような不都合を確実に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1及び図2には本発明に係る食品用払掃具の第1実施形態が示されている。この払掃具1Aは、食品を掃き動かすためのものであって、払掃用ヘッド2と柄3とによって箒の形に形成され、例えば日本茶の製造工程において、所定の管理場所に置かれた処理途中のお茶、例えば蒸したり焙ったりしたあと冷却場所に運ばれたお茶を、その場所に拡散させたり、一箇所に集めたり、あるいは次の処理のために移動させたりするような場合に使用されるものである。
【0010】
上記ヘッド2は、合成樹脂製の多数の弾性線条5を上下に向きを揃えて束ねることによって線条束4を形成し、この線条束4の基端部(上端部)を、下面が開口する扁平な三角筒状をしたホルダー6に保持させたもので、このホルダー6の上端部に棒状をした上記柄3が若干傾斜した角度に取り付けられている。上記線条束4は、前後方向の束長aが左右方向の束厚bより大きく、かつ下端部側が上端部側より束長方向に大きく広がった扁平な台形状に形成されていて、束の中間部を1つ又は平行する複数の縫着ライン7に沿って糸で固定することにより、所定の形状に保たれると共に、各線条5の弾性力即ち腰の強さが食品の払掃に適した大きさに保たれている。
【0011】
上記線条束4を形成する各線条5は、使用中に折れたり千切れたりすることによって上記ヘッド2から脱落することがあるため、脱落した線条片が食品中に混入した場合でも、その線条片を電気的又は磁気的な検出手段によって検出することができるように構成されている。即ち、該線条5は、図3〜図5に示すように、合成樹脂製の基材10に、鉄や銅などの導電性の被検体11を担持させることにより形成されている。この場合、合成樹脂製の上記基材10は、主として線条5に食品の払掃に必要な弾性力即ち腰の強さを持たせるためのものであり、一方の被検体11は、該線条5に上記検出手段に感応する機能を持たせるためのものである。
【0012】
上記検出手段としては、例えば金属探知装置をあげることができる。この金属探知装置は、交流電流により電磁界を発生させ、この電磁界中に導電性の被検体11が介在したときに生ずる電磁界の変化から、この被検体11を検出するものである。従ってこのような金属探知装置を食品の処理ラインに沿って配置しておくことにより、上記払掃具1Aから線条5が脱落して食品中に混入した場合でも、この食品がコンベヤ等により搬送されて金属探知装置の場所を通過するとき、混入している線条片をこの金属探知装置で確実に検出することができる。そして、線条片が検出された場合に、その部分の食品をラインから除去することにより、上記線条片が食品中に紛れ込んだまま次の処理工程に送られるといった不都合が回避される。
【0013】
上記導電性の被検体11としては、上述した鉄や銅に限らず、アルミニウムやステンレス等の非鉄金属、カーボンなどを用いることもできる。また、この被検体11を上記基材10に担持させる方法も任意であって、例えば、図3に示すように、粉粒状をした被検体11を基材10中に練り込み、被検体11が練り込まれた該基材10を上記線条5として押し出し成形しても、図4に示すように、押し出し成形した線状の基材10の表面に粉粒状の被検体11を直接又は適宜のバインダーを介して固着しても良い。あるいは図5に示すように、線状をした基材10の内部に線状の被検体11を挿通状態に埋め込んでも構わない。
【0014】
また、上記被検体11として、鉄などの強磁性体を使用するか、あるいは磁気を帯びた磁性体即ち着磁体を使用することにより、食品中に混入した線条片を、電磁石や永久磁石を用いた除去装置により吸着して食品中から取り除くことも可能である。
【0015】
なお、上記第1実施形態においては、複数の線条5を下端部が前後方向に広がった扁平な形に束ねることによって、上記線条束4を側面視略台形状に形成しているが、線条束4の形状はこのようなものに限定されるものではなく、円柱形であっても、楕円柱形であっても、その他の形であっても構わない。要は、食品を掃き動かし得る形であればどのような形状であっても良いのである。
【0016】
図6及び図7には本発明に係る食品用払掃具の第2実施形態が示されている。この第2実施形態の払掃具1Bは、ブラシ状をなすもので、台板状をしたホルダー6に複数の線条5の基端部を保持させてなる払掃用ヘッド2と、該ヘッド2の上部にホルダー6に沿って細長く形成された板状の柄3とを備えている。そして、この第2実施形態においても、上記線条5が第1実施形態の線条5と同様に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る食品用払掃体の第1実施形態を示す側面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】線条の第1構成例を示す部分拡大断面図である。
【図4】線条の第2構成例を示す部分拡大断面図である。
【図5】線条の第3構成例を示す部分拡大断面図である。
【図6】本発明に係る食品用払掃体の第2実施形態を示す側面図である。
【図7】図6の正面図である。
【符号の説明】
【0018】
1A,1B 払掃具
2 ヘッド
3 柄
5 線条
10 基材
11 被検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を掃き動かすための払掃具であって、合成樹脂製の多数の線条からなる払掃用ヘッドと、該ヘッドに取り付けられた柄とからなり、
上記ヘッドにおける線条が、該ヘッドから脱落して食品中に混入した線条片を電気的又は磁気的な検出手段によって検出可能とするため、合成樹脂製の基材に導電性の被検体を担持させることにより形成されていることを特徴とする食品用払掃具。
【請求項2】
上記被検体が粉粒状をしていて、上記基材中に練り込まれ、被検体を練り込まれた該基材が上記線条の形に押し出し成形されていることを特徴とする請求項1に記載の払掃具。
【請求項3】
上記被検体が粉粒状をしていて、線状をした上記基材の表面に直接又はバインダーを介して固着されていることを特徴とする請求項1に記載の払掃具。
【請求項4】
上記被検体が線状をしていて、線状をした上記基材の内部に挿通状態に埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の払掃具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−289075(P2007−289075A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121141(P2006−121141)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(000101363)アズマ工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】