説明

飲水バルブ

合成樹脂ハウジング(18)を有する飲水バルブ(10)は、攻撃的なクリーニング剤に対して抵抗力がないので、合成樹脂ハウジングを有する従来の飲水バルブよりも攻撃的なクリーニング剤に対して抵抗力を有するように、給水ライン(13)と接続可能な合成樹脂ハウジング(18)と、部分的にこの合成樹脂ハウジング(18)から下に突出するバルブピン(20)と、このバルブピン(20)の上に配設されたアッパピン(23)とを有する、動物飲水用、特に家禽飲水用の飲水バルブにおいて、合成樹脂ハウジング(18)に、この合成樹脂ハウジング(18)の最大内径の少なくとも17%の肉厚を備えさせることによって、合成樹脂ハウジング(18)の肉厚を若干増大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による飲水バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
飲水バルブは、ひよこ、鶏、七面鳥等のような特に小動物を工場式に畜産する際に使用される。飲水バルブは、動物に対して、水の必要量を自動的に用意することを可能にする。このため、動物は、飲水バルブのハウジングから下に突出するバルブピンの操作端を操作する。
【0003】
通常、複数の飲水バルブが、長細い飲水ラインに付設されている。この飲水ラインは、飲水バルブを結合された少なくとも1つの給水ラインを有する。通常、飲水バルブは、上端領域を、給水ラインの下の壁内にねじ込まれる。
【0004】
飲水バルブを含めた前記の動物の飲水は、衛生上の理由から、規則的な時間間隔でクリーニング及び/又は消毒する必要がある。このため、攻撃的な衛生的クリーニング剤が使用される。これらクリーニング剤が特に飲水バルブの合成樹脂ハウジングを侵害すること、が分かった。特に、既に何度も攻撃的な化学媒体でクリーニングされた古い飲水バルブの合成樹脂ハウジングが攻撃を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】英国特許第1288134号明細書
【特許文献2】英国特許第1237459号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0332852号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の根底にある課題は、合成樹脂ハウジングを有し、それにもかかわらず、合成樹脂ハウジングを有するこれまでの飲水バルブよりも攻撃的な媒体に対して抵抗力のある、動物引水用の、特に家禽引水用の飲水バルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴を有する飲水バルブによって解決される。従って、合成樹脂ハウジングは、この合成樹脂ハウジングの最大内径の少なくとも17%の肉厚を備える。このような肉厚は、合成樹脂ハウジングを有するこれまでの飲水バルブの場合よりも大きい。驚くべきことに、このように増大された肉厚を有する合成樹脂ハウジングが攻撃的な媒体に対して、特にクリーニング剤に対して鈍感であること、が分かった。特に、驚くべきことに、このような肉厚の合成樹脂ハウジングが、しばしば攻撃的な媒体にさらされる場合でも裂けないこと、がわかった。
【0008】
合成樹脂ハウジングの肉厚は、最大内径の少なくとも17%で、最大内径の29%よりも大きくないことが、好ましい。合成樹脂ハウジングの前記最大肉厚を上回った場合、合成樹脂ハウジングが非常に硬直し、これにより攻撃的な媒体が亀裂を生じさせることにもなるとの危険がある。
【0009】
更に、合成樹脂ハウジングの外面及び/又は内面は、異なった肉厚の部分を備える。このようなハウジングの場合、肉厚は、最小内径を有する部分に関しては、最小内径の最低23%で、最大36%である。選択的又は付加的に、最大内径を有する部分に関しては、肉厚は、最大内径の最低17%で、最大29%である。このような最大肉厚及び最低肉厚は、段差の付いた合成樹脂ハウジングの場合でも、全ての部分の、しかも小さい肉厚を有する部分の肉厚が、攻撃的な媒体によって生じさせられる有害な影響を、特に合成樹脂ハウジングの亀裂の形成を確実に回避するために十分な厚さを備えること、を保証する。
【0010】
外面及び/又は内面が、特に内面と外面の両方が、異なった肉厚の部分を備える、合成樹脂ハウジングを有する飲水バルブの別の有利な形成では、合成樹脂ハウジングの全長の少なくとも半分の領域内の肉厚が、合成樹脂ハウジングの平均内径の24%〜29%、特に26%〜28%である。これによっても、段差の付いた合成樹脂ハウジングの場合でも、攻撃的な化学媒体の有害な影響を確実に阻止するために、常に十分な肉厚であること、が保証されている。
【0011】
合成樹脂ハウジングが、アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル(ASA)から成る場合に、飲水ドリンクの合成樹脂ハウジングの肉厚の本発明による特別な寸法設定が、特に有利であると分かった。ちょうどこの熱可塑性の合成樹脂の場合、合成樹脂ハウジングの肉厚の増大が、特に全ての化学媒体に対する抵抗力の改善を達成し、特に攻撃的な媒体に基づく亀裂の危険を排除すること、が分かった。しかしながらまた他の熱可塑性の合成樹脂も、肉厚の本発明による増大と関係して、攻撃的な媒体に対する、特に攻撃的な化学媒体に対する合成樹脂ハウジングの抵抗力を向上させるために寄与することができる。
【0012】
有利に形成された飲水バルブの場合、バルブピンとアッパピンが、同じ又は等価もしくは同様の鋼から、特に同じ又は等価もしくは同様のステンレス特殊鋼から構成されている。これにより、特に、飲水バルブが攻撃的な化学媒体によって洗浄もしくはクリーニングされる場合に、アッパピンとバルブピン間の電気化学的腐食が防止される。
【0013】
合成樹脂ハウジング内の挿入スリーブも、鋼から、特にステンレス特殊鋼から構成することが、好ましい。鋼、特にステンレス特殊鋼は、バルブピン及び/又はアッパピン用の鋼もしくは特殊鋼と同じ又は等価もしくは同様の鋼もしくは特殊鋼が、挿入スリーブを構成するために好ましい。これも、飲水バルブが挿入スリーブを備える場合に、電気化学的腐食を回避するために寄与する。
【0014】
飲水バルブの好ましい発展形によれば、挿入スリーブは、合成樹脂ハウジングの下の内側の部分領域だけにわたって、しかも特にアッパピンにまで延在する。特に、挿入スリーブは、その上端面に、アッパピンの下端面の環状のシール面と対応する環状のシール座を備える。このようにして、アッパピンは、その端面のシール面だけで挿入スリーブと接触する。その他、アッパピンは、特にその外壁は、合成樹脂ハウジングだけと接触する。合成樹脂ハウジングの内面は、通常、挿入スリーブの壁よりも平滑であり、これにより、アッパピンは、バルブを開閉するために容易に上下動可能である。合成樹脂ハウジングの平滑な合成樹脂は、いわば、合成樹脂ハウジング内で上下動可能なアッパピン用の滑り軸受け部を構成し、それほど急速に汚れる傾向はない。
【0015】
飲水バルブの挿入スリーブは、その長さの一部にわたって延在する溝形式の狭窄部を外周面に備える。この狭窄部は、面積を縮小し、これにより、挿入スリーブは、合成樹脂ハウジングの弾性的な予荷重部によって合成樹脂ハウジング内に固定されている。面積の縮小により、これにより合成樹脂ハウジングが挿入スリーブを摩擦係合式に保持するが、合成樹脂スリーブ内の内部応力は、少ししか必要でなく、これにより、攻撃的な媒体による合成樹脂スリーブを侵害する危険が低減される。これは、特に、合成樹脂ハウジングを有する従来の飲水バルブに対して合成樹脂ハウジングの肉厚を本発明により増大させることと関係して有効である。
【0016】
狭窄部の深さが、狭窄部の領域外の挿入スリーブの外径の6%までであることは、好ましい。挿入スリーブのこのような比較的平らな狭窄部は、飲料バルブのクリーニング又は洗浄をするために使用される攻撃的な媒体、特に化学的なウォッシャ液が侵害をしなくなるまで、飲水バルブの合成樹脂ハウジングの、挿入スリーブを包囲する領域内の応力を低減するために、十分であると分かった。合成樹脂ハウジング内に挿入スリーブを摩擦係合式に固定するための合成樹脂ハウジング内の応力を有効に低減するためには、狭窄部の長さは、挿入スリーブの全長の10%〜20%であればよい。
【0017】
合成樹脂ハウジングが、内面に、特に環状のリング形式の突出部を備えることは、好ましい。この突出部は、合成樹脂ハウジングのリング形式の突出部が少なくとも部分的に環状の溝形式の凹部に、換言すれば挿入ハウジングの外周に係合するような、合成樹脂ハウジングの箇所に存在する。合成樹脂ハウジング内に挿入スリーブの構造的な噛合い式の固定部が成立する。この噛合い式の固定部は、挿入スリーブと合成樹脂ハウジング間での突出部のロックを可能にする。合成樹脂ハウジングの、噛合い式に挿入スリーブの狭窄部に係合するリング形式の突出部は、挿入スリーブが比較的小さい予荷重でしか合成樹脂ハウジングに圧入されていない場合でも、挿入スリーブは、合成樹脂ハウジング内に、押出し作用に抗して確実に固定される。挿入スリーブに対する合成樹脂ハウジングの少ない予荷重に基づいて、飲水バルブは、化学的な影響に対して抵抗力を有する。それは、合成樹脂ハウジングの機械的負荷が、少ない予荷重によって低減されるからである。
【0018】
飲水バルブの他の有利な形成では、アッパピンの上端面は、シール座のところで挿入スリーブに載置されているシール位置で、最大2mm、特に1mmだけ、合成樹脂ハウジングの上端面の平面からずれている。これにより、アッパピンと合成樹脂ハウジングの端面は、同一平面上で共通の平面内に延在し、これにより、アッパピンは、全く給水ライン内に突出しないか、少なくともそれほど給水ライン内に突出しない。これにより、一方では、給水ライン内の水の流れが、アッパピンによって侵害されないままであり、他方では、合成樹脂ハウジングから突出する、アッパピンの自由な部分が、給水ライン内の水に由来する堆積物によって汚れることはないが、これは、合成樹脂ハウジング内でのアッパピンの自由な上下動能力に関する侵害を伴う。
【0019】
本発明による飲水バルブの好ましい実施例を、以下で図面により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】複数の本発明による飲水バルブを有するライン飲水の原理的な全体図
【図2】給水ライン内にねじ込まれる閉じた飲水バルブの半断面図
【図3】給水ライン内にねじ込まれてない開放した状態の図2の飲水バルブの完全な縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明による飲水バルブ10は、図1に示したライン飲水と関係して説明される。図1は、ザイル12に特にほぼ水平に整向されて例えば家畜小屋内に吊るされた、ライン飲水の飲水ライン11を示す。飲水ライン11は、動物、特に家禽用の飲水のための水を供給可能な真直ぐな給水ライン13を有する。給水ライン13の内部は、調整可能な水圧が支配する。給水ライン13は、飲水ライン11を吊るすためのザイル12と結合された支持成形部材14の下に固定されている。
【0022】
給水ライン13には、所定の間隔で複数の飲水バルブ10がねじ込まれて、しかも下からねじ込まれている。図2に示した四角形の横断面を有する給水ライン13の場合は、飲水バルブ10が、下の平らで水平な壁15を経て給水ライン13にねじ込まれている。このため、壁15は、飲水バルブ10が給水ライン内に配設されるべきところに、内ネジ16を有する貫通穴を有する。この内ネジ16内に、それぞれの飲水バルブ10の上部が、対応する外ネジ17によってねじ込まれている。これにより、それぞれの飲水バルブ10の給水ライン13との液密の結合が生じる。
【0023】
この示された実施例では、飲水バルブ10から排出される飲料水は、各飲水バルブ10の領域で給水ライン13に固定された水受けシャーレ22内に達する。しかしながらまた、飲料水は、開放された飲水バルブ10から直接それぞれの動物に、特に鶏、ひよこ、七面鳥に排出させることができる。
【0024】
本発明による飲水バルブ10は、熱可塑性の合成樹脂、しかも好ましいことにアクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル(ASA)から成る合成樹脂ハウジングを有する。この合成樹脂は、良好な化学的適合性によって際立っている。特に、この合成樹脂は、例えば飲水バルブ10のクリーニングをするために使用される攻撃的な化学物質に対して比較的抵抗力を有する。
【0025】
合成樹脂ハウジング18内には、下から、合成樹脂ハウジング18の長さのほぼ1/3にわたって延在する挿入スリーブ19が挿入されている。挿入スリーブ19内には、バルブピン20が支承されている。このバルブピン20は、部分的に、即ち下端領域が、挿入スリーブ19と合成樹脂ハウジング18から突出する。バルブピン20の、飲水バルブ10から下に突出するこの領域は、バルブピンの操作端21を構成し、これにより、動物は、バルブピン20を倒すこと及び/又は持ち上げることによって、水を排出させるために飲水バルブ10を開放することができる。
【0026】
加えて、挿入スリーブ19の上で、合成樹脂ハウジング18内には、アッパピン23が配設されている。
【0027】
バルブピン20、挿入スリーブ19及びアッパピン23は、鋼から、特にステンレス特殊鋼から構成されている。加工形式、即ち切削又は変形、に応じて、挿入スリーブ19、バルブピン20及びアッパピン23の鋼は、異なっているが、攻撃的な媒体に対するその抵抗力に関して同様もしくは等価である。これにより、特に攻撃的な化学媒体と接触したときの、バルブピン20、挿入スリーブ19及びアッパピン23間の電気化学的腐食が防止される。
【0028】
挿入スリーブ19は、予荷重によって、摩擦係合式に合成樹脂ハウジング18の下端領域内に保持されている。この場合に合成樹脂ハウジング18内に生じる応力を低減するために、挿入スリーブ19は、外径に、環状の溝形式の狭窄部24を備えている。この狭窄部24は、特に挿入スリーブ19の外径の6%までしかない深さを有する。狭窄部24の長さは、挿入スリーブ19の長さの10%〜20%である。狭窄部24は、挿入スリーブ19の長さに関して、合成樹脂ハウジング18が挿入スリーブ19の残りの領域内よりも大きい肉厚を備える合成樹脂ハウジング18の領域が存在する、ような箇所に存在する。
【0029】
合成樹脂ハウジング18は、その内面に、挿入スリーブ19の外側の狭窄部24と対応する突出部42を備える。この突出部42は、特に環状のリング形式の突出部42として形成されている。突出部42は、部分的に挿入スリーブ19の狭窄部24内に噛合い式に係合するような、合成樹脂ハウジング18の内面の箇所に配設及び形成されている。これにより、挿入スリーブ19は、付加的に噛合い式に合成樹脂ハウジング18内で移動しないように固定される。これに基づいて、合成樹脂ハウジング18と挿入スリーブ19間の予荷重は、挿入スリーブ19を合成樹脂ハウジング内に挿入する際に合成樹脂ハウジングがそれほど強く広げられないことによって、低減させることができる。挿入スリーブ19と合成樹脂ハウジング18間の予荷重が小さいために、合成樹脂ハウジング18の機械的負荷が低減され、これにより、合成樹脂ハウジングが、攻撃的な媒体、特にクリーニング剤の化学的作用に対して強靭になる。
【0030】
バルブピン20は、その上端に、環状の幅の狭いカラー25を備える。このカラー25は、その下に存在する、挿入スリーブ19から下に突出する操作端21を有するバルブピン20のシリンダ状の部分の直径よりも大きいシリンダ状の外径を有する。挿入スリーブ19の上端領域には、バルブピン20の上端のカラー25用のシリンダ状の拡幅部26が存在する。この拡幅部26は、拡幅部内にカラー25が完全に収容されるように、しかもバルブピン20が飲水バルブ10の開放位置にあるときに完全に収容されるように、寸法設定されている(図3)。バルブピン20の長手方向中心軸が、合成樹脂ハウジング18と、同軸にこの合成樹脂ハウジング内に配設された挿入スリーブ19の長手方向中心軸27上に存在する場合、バルブピン20のカラー25の下側の環状のリング状のシール面28が、挿入スリーブ19の拡幅部26の下端の対応する環状のシール座29に当接する。これにより、バルブピン20は、飲水バルブ10が閉鎖位置にある場合に挿入スリーブ19上でシールされている(図2)。
【0031】
回転対称のシリンダ状のアッパピン23は、段差をつけて形成されている。このアッパピン23は、その直径が下部部分31よりも小さい上部部分30を有する。これら部分30及び31は、ほぼ同じ長さであり、上部部分30は、特に極僅か短い。下部部分31の終端領域は、垂直な長手方向中心軸27に対して約30°〜40°の角度で延在する環状の面取り部によって、切頭円錐形に形成されている。切頭円錐形の面取り部の斜めに延在する周面は、アッパピン23の下端の環状のシール面32を構成する。挿入スリーブ19の上端面の内側に、アッパピン23の下のシール面32に対応するR付けされたシール座33が設けられている。挿入スリーブ19の上端のこのシール座33と、アッパピン23の下側のシール面32間で、飲水バルブ19が閉じられた時に(図2)、予備シールが行なわれる。
【0032】
合成樹脂ハウジング18は、上端に、小さくされた直径を有する環状のシリンダ状の狭窄部34を有する。この狭窄部34のこの直径は、アッパピン32の上部部分30の直径よりも若干大きい。これにより、合成樹脂ハウジング18の狭窄部34とアッパピン23の内径の小さい上部部分30間に、絞り間隙が生じ、この絞り間隙を経て、水は、給水ライン13から飲水バルブ10に流入することができるが、固体のパーティクルは、留置される。狭窄部34の長さは、アッパピン23の直径の小さい上部部分30の長さのほぼ半分の大きさである。これにより、アッパピン23は、合成樹脂ハウジング18内で上下動することができ、しかも、バルブピン20を倒すことによってアッパピン23を飲水バルブ10の開放位置に持ち上げるために十分であるように、上下動することができる。
【0033】
アッパピン23の長さは、飲水バルブ10が閉じられた時に(図2)、アッパピン23の上端面35が2mmまで、特に1mmまでだけ、合成樹脂ハウジング18の上端面36に対して出っ張る又は引っ込むように、合成樹脂ハウジング18の長さに適合させられている。特に、飲水バルブ10が閉じられた時には、上端面35は、上端面36とほぼ同一平面上で終わる。これにより、アッパピン23は、合成樹脂ハウジング18の上端領域以上に給水ライン13内に突出しない。
【0034】
合成樹脂ハウジング18は、内側に、何回か段差を付けて形成されている。上の狭窄部34の下に、中心領域37が存在するが、この中心領域では、合成樹脂ハウジング18の内径が、狭窄部34の領域内の内径よりも若干大きい。特に、中心領域37内の内径は、アッパピン23の下部部分31の直径よりも若干大きいので、アッパピン23と、中心領域37内の合成樹脂ハウジング18間に、幅の狭い環状の絞り間隙が生じ、この絞り間隙を経て、水が、給水ライン13からバルブピン20に向かって流れることができる。挿入スリーブ19が存在する合成樹脂ハウジング18の下端領域38は、中心領域37内の内径に対して更に若干拡大された内径を有する。内径の拡大されたこの下端領域38は、挿入スリーブ19の一部、特に大部分を収容するために使用される。
【0035】
合成樹脂ハウジング18の外壁は、合成樹脂ハウジング18の上部領域内の外ネジ17によって構成される。この外ネジ17は、合成樹脂ハウジング18の長さの約1/3にわたって延在する。合成樹脂ハウジング18は、外ネジ17の下の中心領域に、六角部39を備えている。この六角部39は、給水ライン13の下の壁内の内ネジ16に飲水バルブ10をねじ込むための、もしくは、給水ライン13から飲水バルブ10を外すための工具用の作用面を構成する。この六角部39のレンチサイズは、六角部39の領域内の合成樹脂ハウジング18の肉厚を確定する。六角部の下に、合成樹脂ハウジング18は、幅の狭い環状の溝40を備える。合成樹脂ハウジング18の、下に向かって溝40に続く、溝40に対して直径の大きい下部領域41は、切頭円錐形に形成されている。このした領域41の直径は、合成樹脂ハウジング18の下端面に向かって減少する。上部領域内に、切頭円錐形の領域41は、六角部39のコーナ幅にほぼ一致する直径を備える。
【0036】
本発明では、合成樹脂ハウジング18の肉厚を、合成樹脂ハウジングを有する従来の飲水バルブでは普通のものよりも大きく形成する。合成樹脂ハウジング18の下端領域38内の最大内径に関しては、合成樹脂ハウジング18の肉厚は、下端領域38内の内径の最低17%、特に最低18%である。中心領域37及び/又は狭窄部34の領域内の合成樹脂ハウジング18の最大肉厚は、下端領域38内の最大内径の30%まで、特に28.5%である。示した飲水バルブ10の場合、このようにして、1.4mm〜2.3mmの肉厚が生じる。合成樹脂ハウジング18の平均肉厚は、示した飲水バルブ10の場合、1.8mm〜2mmの、特に1.85mm〜1.9mmの範囲内にある。
【0037】
六角部39の領域内の合成樹脂ハウジング18の最大外径に関しては、肉厚は、特に六角部39のレンチ幅の最低10%から最大22%、特に12%〜20%である。
【0038】
平均内径に対する合成樹脂ハウジング18の肉厚は、平均内径の20%〜32%である。平均外径に関しては、肉厚は、平均外径の12.5%〜20.5%である。
【0039】
平均内径に対する平均肉厚は、平均内径の24%〜28%、特に平均内径の26%〜27%である。平均外径に対する平均肉厚は、平均外径の16%〜18%、特に平均外径の約17%である。平均外径は、ここに示した飲水バルブ10の合成樹脂ハウジング18の場合、約11.0mm〜11.3mmである。平均内径は、約7.0mm〜7.3mmである。
【0040】
本発明による飲水バルブ10は、図1に示したライン飲水のためばかりでなく、他の動物飲水のためにも、しかも水受けシャーレ32を有していても有していなくても適している。
【符号の説明】
【0041】
10 飲水バルブ
11 飲水ライン
12 ザイル
13 給水ライン
14 支持成形部材
15 壁
16 内ネジ
17 外ネジ
18 合成樹脂ハウジング
19 挿入スリーブ
20 バルブピン
21 操作端
22 水受けシャーレ
23 アッパピン
24 狭窄部/凹部
25 カラー
26 拡幅部
27 長手方向中心線
28 シール面
29 シール座
30 上部部分
31 下部部分
32 シール面
33 シール座
34 狭窄部
35 上端面
36 上端面
37 中心領域
38 下端領域
39 六角部
40 溝
41 下部領域
42 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水ライン(13)と接続可能な合成樹脂ハウジング(18)と、部分的にこの合成樹脂ハウジング(18)から下に突出するバルブピン(20)と、このバルブピン(20)の上に配設されたアッパピン(23)とを有する、動物飲水用、特に家禽飲水用の飲水バルブにおいて、
合成樹脂ハウジング(18)が、この合成樹脂ハウジング(18)の最大内径の少なくとも17%の肉厚を備えること、を特徴とする飲水バルブ。
【請求項2】
合成樹脂ハウジング(18)の肉厚が、この合成樹脂ハウジング(18)の最大内径の最大29%であることを特徴とする請求項1に記載の飲水バルブ。
【請求項3】
合成樹脂ハウジング(18)の外面及び/又は内面が、異なった肉厚の部分を備え、合成樹脂ハウジング(18)の最大内径を有する部分に関しては、合成樹脂ハウジング(18)の肉厚が、最大内径の17%〜29%である、及び/又は、最小内径を有する部分に関しては、合成樹脂ハウジング(18)の肉厚が、合成樹脂ハウジング(18)の最小内径の23%〜36%であること、を特徴とする請求項1又は2に記載の飲水バルブ。
【請求項4】
合成樹脂ハウジング(18)の外面及び/又は内面が、異なった肉厚の部分を備え、合成樹脂ハウジング(18)の全長の少なくとも半分にわたって、合成樹脂ハウジング(18)の肉厚が、合成樹脂ハウジング(18)の平均内径の24%〜29%であること、を特徴とする請求項1に記載の飲水バルブ。
【請求項5】
合成樹脂ハウジング(18)が、アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル(ASA)から構成されていること、を特徴とする請求項1に記載の飲水バルブ。
【請求項6】
バルブピン(20)とアッパピン(23)が、同じ又は少なくとも同様の鋼から構成されていること、を特徴とする請求項1に記載の飲水バルブ。
【請求項7】
合成樹脂ハウジング(18)内に、鋼から成る挿入スリーブ(19)が配設されており、この鋼が、少なくともバルブピン(20)とアッパピン(23)を構成するものと同じ鋼であるか、少なくとも等価であること、を特徴とする請求項1に記載の飲水バルブ。
【請求項8】
挿入スリーブ(19)、バルブピン(20)及びアッパピン(23)を構成する鋼が、ステンレス特殊鋼であること、を特徴とする請求項6又は7に記載の飲水バルブ。
【請求項9】
挿入スリーブ(19)が、合成樹脂ハウジング(18)の下の内側の部分領域だけにわたってアッパピン(23)にまで延在すること、を特徴とする請求項7に記載の飲水バルブ。
【請求項10】
挿入スリーブ(19)が、その上端面に、アッパピン(23)の下端面の環状のシール面(32)と対応する環状のシール座(33)を備えること、を特徴とする請求項7に記載の飲水バルブ。
【請求項11】
挿入スリーブ(19)の外周面が、その外周面の長さの一部にわたって延在する環状の狭窄部(24)を備えること、を特賞とする請求項7に記載の飲水バルブ。
【請求項12】
狭窄部(24)の深さが、狭窄部(24)の領域外の挿入スリーブ(19)の外径の6%までであること、を特徴とする請求項11に記載の飲水バルブ。
【請求項13】
狭窄部(24)の長さが、挿入スリーブ(19)の長さの10%〜20%であること、を特徴とする請求項11に記載の飲水バルブ。
【請求項14】
合成樹脂ハウジング(18)が、挿入スリーブ(19)の狭窄部(24)の領域内の内面に、特に環状のリング形式の突出部(42)を備えること、を特徴とする請求項11に記載の飲水バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−520966(P2013−520966A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555316(P2012−555316)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000611
【国際公開番号】WO2011/107211
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(512227030)ルービング・マシーネンファブリーク・ルートヴィヒ・ベーニング・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】