説明

飼料移動のための無人走行車両

地面に置かれた飼料(3)を水平に移動させるための無人走行車輌(1)は、別々の駆動手段により別々に駆動される二つの車輪と、その車輌から壁部への距離を測定する距離測定手段(6)と、その壁部に対する車輌の中心線の向きを測定する向き測定手段(9)と、車輪間のトルク差を測定するトルク差測定手段(10)と、その車輌を走行方向に移動するよう制御する制御装置(11)と飼料(3)を水平に移動させる飼料移動手段と、を備え、前記制御装置(11)が、動作中に前記距離測定手段(6)により測定された壁部までの距離を、初期設定の最小距離以上に維持するようプログラムされ、さらに、飼料移動手段の最下点(19)の高さと又は位置を調整する調整装置を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無人走行車両に関し、特に、地面に置かれた飼料を水平に移動させるための、別々の駆動手段により、別々に駆動することができる二つの車輪と、車輪間で異なるトルクを調整するトルク差異調整手段と、車両を制御し、走行方向に車両を移動させる制御装置と、飼料を水平方向に移動させる飼料移動手段とを備える無人走行車両に関する。
【背景技術】
【0002】
このような無人走行車両は、WO2007/120036により知られている。この公知の無人走行車両の問題点は、制御に全く柔軟性がないことである。特に、無人走行車両の動作の制御は、受動的であり、使用条件あるいはユーザーの要求にこの動作を適合させることが極めて困難なことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、より管理が容易あるいはより柔軟な動作を可能とする無人走行車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によると、この目的は、飼料移動手段の最下点の高さ(h)および/又は位置を調整する調整装置を備える無人走行車両によって達成される。この調整装置は、その最下点が無人走行車両の中心線の少なくとも外に配置されるように設けられた車両傾斜装置を備える。飼料移動手段の最下点をその中心線の外に調整可能にすることで、無人走行車両がより柔軟な制御可能に構成されている。規定された最下点が中心線の高さで前方にある公知の無人走行車両の場合、この無人走行車両に設けられた飼料移動手段は、回転方向がより早く遭遇した飼料により規定されていないとき、原理的には二つの方向に回転することが可能である。回転方向は、抵抗が働くその場所に依存する。しかし、本発明の無人走行車両により、飼料の高さを徐々に大きくするような第1の遭遇が所望の側で確実に大きくなるよう、飼料移動手段を特にその最下点に調整することが可能である。
【0005】
他方では、飼料の位置が一つ又はそれ以上の飼料移動手段の可能な回転方向について問題とならなければ、左又は右に可能な最下点を変位させることは有利である。この結果、すなわち、飼料移動手段により飼料を移動することについて、飼料はある範囲で持ち上げることが可能で、十分に風通しを維持し、少なくとも更に移動することが可能である。最下点の位置が操作中に調整可能ならば、調整装置はこのために配置されているので、調整装置と最下点の調整が可能なことにより、無人走行車両の動作が広がる。
【0006】
さらに、WO2007/120036で公知の車両は、角度調整装置を有しているが、この場合、最下点は、原理的に同じ高さで、中心線に配置されるように続いており、多少の柔軟性がある。
【0007】
本発明の好ましい実施例は、これ以降に示すように、従属請求項として記載されている。調整装置は高さ調整部を有する。その高さ調整部により、飼料移動手段の最下点の高さを調整することができる。地面との隙間は、平らでない地面、畝がある場合など実際に応じて調整される。飼料の種類によって最下点を調整するような飼料移動手段の調整も可能である。細かい粉体状の飼料は、粒子の粗い飼料よりも低い最下点が必要となる。
【0008】
さらに、高さ調整部は、飼料移動手段を持ち上げることが可能であり、無人走行車両を他の地域に移動することが可能となる。この場合、飼料移動手段は、二つの地域の間の地面から離れて維持される。これにより、地面をきれいにできる。逆に、他の地域に最下点を変位させて、飼料を圧縮したり、信頼性のある変位をさせることができる。
【0009】
実施例において、この無人走行車両は、付加支持点、特にスライドシュー又は第3の車輪を備える。このため、この無人走行車両は、もはや、飼料移動手段の最下点で支持される必要がない。多少地面との隙間があるので、磨耗などを制限することができる。また、それにより制御性も改善される。
【0010】
実施例において、調整装置は、少なくとも一つの車輪及び付加支持点の高さを調整するように設けられている。このため、飼料移動手段の最下点を左から右に移動させると共に、最下点の高さを調整することが可能となる。3つの有効支持点に対し、一つの調整機能が与えられるが、もちろん、高さの調整機能もまた複数の車輪、および/又は、複数の支持点に対し設けられる。
【0011】
好ましい実施例において、調整装置は、自動高さ調整のため、特に、飼料移動手段が地面に接触圧を作用させるように自動的に高さ調整するために設けられる。これは、飼料移動手段の可能性のある磨耗を制御する。もう一方では、地面との距離があり、圧力がゼロの場合は、調整装置は、一定の地面との隙間を保証するように設けられている。この目的のため、調整装置は、圧力センサ、抵抗センサ、あるいは、隙間又は距離センサのような、最下点から地面の距離を測定する適当なセンサ装置、例えば、飛行時間スキャナとかレーザースキャナを備える。
【0012】
センサ装置として、飼料又は飼料の種、又は砂、鉄格子のような地面の種類、状態を認識するセンサ手段が設けられる。このようなセンサ手段からの信号により、制御装置が、飼料移動手段を自動的に調整することが可能となる。従って、無人走行車両は、地面の種類又は状態を認識するセンサ手段と、そのセンサ手段からの信号により、飼料移動手段の高さ及び/又は位置、特に、それの最下点を調整するよう配置された制御装置とを備える。センサ手段は、例えば、画像認識を有するカメラや、金属検知器のような導電率計を備える。その代わりに、超音波距離メータを適用してもよい。
【0013】
実施例において、この無人走行車両は、車両から壁部までの距離を測定する距離測定手段を備え、動作中、壁までの距離測定手段により測定された距離が、壁部までの初期設定された最小距離より大きい又は等しくなるよう、この無人走行車両が保たれるように制御装置がプログラムされている。これにより、無人走行車両は、壁部に沿ったきちっとした道筋を確実に追うことができるようになり、原理的に、飼料を平均して等しい距離に位置決めすることが可能となる。超音波センサは距離計として機能する。
【0014】
本発明による無人走行車両の実施例において、トルク差調整手段は、車輪間のトルクの差異を測定するためのトルク差測定手段を備える。この場合、好ましいのは、制御装置が、動作中、無人走行車両の駆動可能な車輪が、トルク差測定手段により測定されたトルク差を示すようプログラムされているならば、その差は初期設定された最大トルクより小さいか、等しい。トルク差を基に無人走行車両を制御することは、そのトルク差が正確に反映され、飼料のある量を移動するため必要とされる力に比例するので、その無人走行車両が、その飼料の量と少なくとも等しい量を水平に確実に移動させることになる。
【0015】
飼料を特に正確に水平に移動させることは、無人走行車両が、壁部に関して車両の中心線の向きを測定するための方向測定手段を備え、制御部が、動作中、壁部に関して方向測定手段により測定された、且つ、初期設定の向きと等しい向きに、無人走行車両の中心線が維持されるようプログラムされて、実現される。
【0016】
実施例において、無人走行車両は、その車両の外側周囲に延在し、そして、接触抵抗、接触力又は接触圧力による信号を制御装置に供給するように設けられた接触保護部をさらに備える。このような保護部によって、無人走行車両は、周り、特に、人間にとってより安全になる。この保護部は、導体部を有するリング部を備え、この導体部の抵抗値は、力または圧力の作用によって、例えば、二つの導体部が互いに接近することによって、変化する。この抵抗の変化を測定することにより、信号を測定することが可能となる。このようにして、制御装置が生成された信号、例えばその寸法に応じたある動作を実行することが可能となる。
【0017】
特に、制御装置は、その信号が特定の閾値を超えたとき、向きを変更する、特に、向きを逆にするように構成される。閾値を超えるということは、車両の機械的な抵抗が非常に大きくなったことを意味し、それは、牛や人間のように移動できない障害物の存在を示している。この場合、走行の向き、方向を逆にすることは、危険性を減らす。
【0018】
実施例において、無人走行車両は、地面の上又は地面の中に配置された検出手段を認識するよう、制御装置に信号を供給するように設けられたセンサを備える。この信号によって、好ましい道筋に沿って無人走行車両を制御することが可能になり、あるいは、動作する区域、又は、無人走行車両は接近すべきでない、人間が居る領域のように、安全な領域の境界を示すことが可能となる。
【0019】
特に、センサは、誘導又は光学センサで構成され、検出手段は、導電又は磁気検出手段あるいは着色された表面のような光学検出手段で構成される。このようなセンサと手段によって、道筋又は領域の限界設定とその変更が、非常に効果的な方法で実行可能となる。以前に述べたように、地面の種類や状態を認識するセンサ手段にこのセンサを組み合わせることも可能である。光学カメラで、境界や道筋だけでなく、飼料の種類や地面のタイプを認識することが可能である。
【0020】
本発明による無人走行車両の実施例において、制御装置が、距離測定手段により測定された距離に初期設定の最小距離を組み合わせて、無人走行車両の制御の特性が与えられるように、プログラムされている。これにより、無人走行車両が地面に置かれた少ない資料の場合に壁部に接近しすぎることを防止できる。特に、壁部が雌牛のような動物が居る飼料フェンス25であるとき、動物に接近しすぎることは、動物を十分に休息させることができなくなる。さらに、壁部との小さすぎる距離により、飼料を想定以上に積み重ねてしまうことになる。
【0021】
本発明による無人走行車両の実施例において、初期設定可能な距離は、動作中に調整可能であり、特に、無人走行車両から壁部への距離が設定される。調整方法は、例えば、一日の時刻、無人走行車両が同じ位置にある経過時間、動物又は飼料フェンスのような壁部にある個々の動物の種類によって異なる。本発明の無人走行車両の実施例において、初期設定された最大トルク差および/又は初期設定された向きが、動作中に調整可能である。
【0022】
飼料移動手段は、自在に回転可能な環状、特に円形の要素を備え、その要素の外周は、無人走行車両の外周を形成する。この場合、自在に回転可能な環状、特に円形の要素が、飼料自身により(摩擦による係合によって)駆動されるので、飼料移動手段の分離された駆動機構は不要である。もし必要があれば、環状の要素の外周面は、一つ又はそれ以上の摩擦増加層および/又は要素を設ける。信頼性のある飼料の水平移動を実現するため、本発明による無人走行車両の実施例は、環状の、特に円形の要素が、無人走行車両の走行方向で地面に最も近くに配置されるように傾斜されていることを特徴とする。環状の要素と地面により囲まれた角度が、調整可能であるならば、飼料の異なる種類が無人走行車両の走行方向を横断するように正確に移動されるように、無人走行車両が調整することが可能である。
【0023】
距離測定手段は、超音波センサを備えている。無人走行車両が駆動可能な車輪の少なくとも一つのすべりを検出する手段を備えることは、有効である。
【0024】
もし、無人走行車両が開放底部を有しているならば、飼料のような材料が、無人走行車両の動作に不利になるかもしれないほど、その車両の内部に蓄積されることを防止される。
【0025】
本発明による無人走行車両の実施例によると、もし無人走行車両が、飼料を収容する保管コンテナと、地面に向かって飼料を排出する排出装置とを備えるなら、飼料を供給することが可能となる。この保管コンテナは、飼料を混合する混合手段を備える。この場合、制御装置が、距離測定装置および/又はトルク差測定手段からのデータ、および/又は無人走行車両の速度および/又は保管コンテナの重量低減を基に、排出装置の動作を制御することは、有効である。その代わりに、無人走行車両が、(例えば、無人走行車両の所有者および/又は操作者の注意をひくために)信号を供給する信号手段と、距離測定手段および/又はトルク差測定手段からのデータを基に信号手段の操作を制御する制御装置とを備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による無人走行車両の概略側面図である。
【図2】飼料フェンスに向かって飼料を移動させるために使用されている、本発明による無人走行車両の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1、2は、飼料フェンス2に向かって、地面の上に置かれた飼料3を水平に移動させるための無人走行車両1を示す。固体、液体またはその混合の飼料3は、知られた方法、例えば、トラクターなどによって飼料フェンス2に積み上げられている。本発明が、動物に飼料を与えるために、他の装置にも適用可能であることは、明確であり、図2に示された飼料フェンスは、飼料が積み上げられた近くの壁部の多くの例の一つにすぎない。本発明において、「壁部」の用語のより、開かれた構造を有するかどうかに係らず、分離する要素の全ての形のものが規定され、壁部として、多くの異なる、湾曲したものとか、直線で囲まれたものとか、角度のあるものとか、考えられる。
【0028】
多くの色々な機能を実行する自立走行車両は、そのような車輌の制御と同様に、よく知られており、従って、ここでは詳細に説明しない。無人走行車輌のエネルギ供給の自動チャージと、車輌に設けられたコンテナへの、からの他の材料の自動積載・荷降はよく知られている。次の特許文献を参照:US2966256、DE1109441、DE1183301、EP0382693、DE4425924、US5309592、EP0142594、DE4444508、GB2313190、US5109566、GB2313191、US3273038、NL7416427、US5341540、US5646494、EP093235、EP1369010、EP1360912およびEP1368017。
【0029】
無人走行車輌1は、分離された駆動手段4、5により駆動された二つの車輪4´、5´を備える。無人走行車輌1は、この実施例において超音波センサで示された、無人走行車輌1から飼料フェンス2までの距離を測定する距離測定手段6をさらに備える。前述の特許文献に記載されたセンサのように、この分野で公知の全てのセンサは、距離を測定するために使用することができる。無人走行車輌1は、超音波センサ6が飼料フェンス2を検出するこいとができるように隙間8が設けられた外側保護カバー7が設けられている。無人走行車輌1の内部に隙間8を介し、飼料のような材料が堆積されることを防止するように、無人走行車輌1の底部が少なくとも部分的に開口している。それで、車輌内に、汚れなどの材料を除去するための摘出装置(図示しない)を設けることができる。
【0030】
無人走行車輌1は、飼料フェンス2に関し、車輌1の中心線14の向きを測定するための、ジャイロスコープのような向き測定手段9を備える。電子コンパスや画像認識装置を有するカメラのような、前述の特許文献に記載されたセンサのようにこの分野で公知の全てのセンサが、向きの測定に使用される。
【0031】
無人走行車輌1は、車輪4´、5´の間のトルク差を測定するトルク差測定装置10をさらに備える。駆動手段4、5からのデータを用いるトルク差測定手段は、よく知られている。このようなトルク差測定手段は、車輪の一つの滑りを検出するために用いられ、検出したとき、正しい動作(回転数を下げ、操作者に警報を送る)を行う。
【0032】
無人走行車輌1は、無人走行車輌1を走行の方向に制御する制御装置11を備える。その制御装置11は、電線を介し、必要ならば無線で、距離測定手段6、トルク差測定手段10および車輪4´、5´の駆動機構4、5に接続され、データが交換される。
【0033】
無人走行車輌の走行方向Vを横切るように飼料3を移動させるために、無人走行車輌1は、飼料移動手段12を備えている。このような飼料移動手段は、傾斜して配置されたスライド又はコンベアベルトによって構成されている。しかし、本発明の実施例によれば、飼料移動手段12は、無人走行車輌1の外側周囲を形成する自由回転周囲要素12により構成されている。無人走行車輌1の動作中、リング又は円板である、環状特に円形の要素12が飼料と接触すると、要素12は自動的に回転する、言い換えると、環状の要素12が飼料により動かされる。車輌1の走行方向Vに角度αで傾斜され、環状の要素12が地面に最も接近して配置されるようにして、飼料が何度も繰り返し移動される。移動される飼料によって、環状の要素12と地面により囲まれた角度αは調整することができる。必要に応じて、車輌1の動作中に、角度αを、制御装置11により制御されるシリンダのような、公知の傾斜手段(図示しない)により調整することが可能である。
【0034】
円周上のリングの形状の保護装置は、記号15で示されている。このリングは、導電性材料で構成され、リング15に圧力が加わると、電気抵抗が変化する。この抵抗の変化は、向きVの逆向きになるような適合動作を実行するために、制御装置11により使用される。リング15の高さは、想定される障害物により選択され、飼料3の考えられる最大高さも考慮される。ちなみに、リング15の感度は、飼料3により加えられる最大の機械的な抵抗が車輌を回転させるのに十分でないように選択される。
【0035】
さらに、この無人走行車輌は、付加車輪16と、高さ調整部18を有する車輪支持部17を備える調整装置とが設けられている。付加車輪16は、要素12の負荷および、それによる磨耗を低減するよう機能し、代替として、スライドシューのようなものでもよい。車輪支持部17と高さ調整部18は、要素12の最下点19の高さを、飼料の種類あるいは地面の表面状態に合わせるよう機能する。
【0036】
代替あるいは追加として、高さ調整部が車輪4´のすくなくとも一つについて合わせるように、あるいは、全ての車輪について等しくしてもよい。その結果、最下点19は中心線の外に変位される。図2において、左の車輪を持ち上げることで、あるいは、右の車輪を下げることにより、最下点19は、右に変位されている。
【0037】
地面に飼料を置いて、飼料フェンスで動物がその飼料を食べている間、飼料は飼料フェンスに対し異なる距離に亘り異なる高さに積まれている。動物が単純に欲しい飼料の量をいつも得ることができるように、飼料フェンス2に沿って無人走行車輌を常時移動させられるように、図2に概略に示すように、飼料を飼料フェンスに向かって確実に移動させる。無人走行車輌1を正しく制御するように、制御装置11は、動作中、無人走行車輌1が飼料フェンス2と距離を保つよう、プログラムされ、その距離は、距離測定手段9により測定され、飼料フェンスへの初期設定の最小距離より大きいか、あるいは、等しい。動作中、無人走行車輌の中心線14は、飼料フェンス2に対し向き決定手段9により決定された、初期設定された向きと等しい向きに維持される。動作中、無人走行車輌1の駆動可能な車輪4´、5´は、トルク差測定手段10により測定されたトルク差を示し、そのトルク差は、初期設定の最大トルクより小さいか、又は、等しい。これは、無人走行車輌1が、飼料フェンス2に対し常に正しい向きに維持され、無人走行車輌1が、飼料フェンス2から最小の距離以下にならないことを意味し、多すぎる飼料の量により動かされた無人走行車輌1の場合、トルク差が非常に大きくなり、多すぎる飼料が積み重ねられないことを確実にする。
【0038】
制御装置11は、初期設定の最小距離内と距離測定手段6により測定された距離と組み合わせて特性が与えられるように、無人走行車輌1を制御するようプログラムされる。
【0039】
無人走行車輌1の好ましい実施例において、初期設定の距離は、動作中も調整できる。この調整は、一日の時刻、無人走行車両が同じ位置にあるときから経過した期間、動物の種類あるいは飼料フェンスにいる個別の動物に応じる。好ましい無人走行車輌の実施例において、初期設定の最大トルク及び/又は初期設定の方向領域も、動作中に調整可能である。
【0040】
無人走行車輌1は、充電装置と接触することができる水平に配置された充電帯13を介し充電可能な(図示しない)エネルギ供給装置を備える。誘導手段のような、エネルギ供給装置を充電するほかの方法は、前述の特許文献に記載されている。
【0041】
さらに、示された無人走行車輌は、地面に埋められた誘導帯21を検出する事が可能な誘導センサ20を備える。このセンサ20は、制御装置11と結合され、受信した信号に応じて、車輌などを回転させることができる。代替として、誘導帯21を地面の上に設けてもいいし、又は、光学的に認識できる帯で構成してもよい。後者の場合、センサ20は、もちろん、光学センサであり、必要ならば、放射源を備えてもいい。
【0042】
例えば高さ調整部による、高さ及び/又は位置の調整は、制御装置11により自動的に制御されるようにすることができる。このような制御は、無人走行車輌を、飼料が置かれた地域あるいは飼料が置かれるべき地域を離れるとき、行われる。この地域を離れるとき、飼料移動手段を持ち上げることが好ましい。地面に対しより大きく距離を取るため、無人走行車輌が、よりきれいにし、又は、グリッドあるいは敷居のようなあまり平らでない地面にも対応できる。この目的のため、画像認識装置を有するカメラのような機能を備える付加センサ(図示しない)を設けてもよい。代替として、センサ20も同じように構成してもいいし、超音波検出器6を地面に向かって回転可能に形成することもできる。誘導センサや光学センサの構成センサ20と検出帯21の補助により、調整が必要な地域を示すことが可能となる。
【0043】
図には示していないが、無人走行車輌1が、飼料を供給するよう構成されてもよい。このため、無人走行車輌1には、飼料を収容するための保管コンテナと、地面に向かって飼料を排出するための排出装置を設けてもよい。この保管コンテナは、飼料を混合するための混合手段を備えるとよい。この場合、制御装置が、距離測定手段及び/又はトルク差測定手段からのデータを基に、そして/あるいは無人走行車輌の速度及び/又は保管コンテナの重量の減少を基に、排出装置の動作を制御することもよい。これにより、飼料の均一な量を供給することが可能となる。飼料フェンスへの或る距離で、トルク差が特定の値(例えば、制御装置の記憶部に記録された検索テーブルにある値のような)以下になるとき、飼料の量は、特定の値以下に減少している。これらのデータを基に、排出装置が、地面のその位置に飼料の或る量を積み上げることができる。代替あるいは追加として、無人走行車輌1には、信号(例えば、無人走行車輌の所有者および/又は運転者の注意を喚起するため)を供給する信号手段(適当な制御伝達回路を有する伝送アンテナ)を備え、制御装置5が距離測定手段および又はトルク差測定手段からのデータを基に、信号手段の動作を制御するのもいい。この制御は、トルク差の大きさが、無人走行車輌が移動している間、地面に置かれた飼料の量に依存している点を基にし、このトルク差が、無人走行車輌を正しく制御するために、距離と向きを測定と同時に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に置かれた飼料を水平方向に移動させるための無人走行車輌において、
別々の駆動手段(4、5)によりそれぞれ駆動される二つの車輪(4´、5´)と、
前記車輪(4´、5´)の間のトルク差を調整するトルク差調整手段(10)と、
走行の方向に移動するよう前記無人走行車輌を制御する制御装置(11)と、
前記飼料を水平方向に移動する飼料移動手段(12)と、
前記飼料移動手段(12)の最下点(19)の高さ(h)及び/又は位置を調整する調整手段(18)と、を備え、
前記飼料移動手段に、前記最下点(19)を前記無人走行車輌(1)の中心線(14)の外に位置付けるように車輌傾斜装置が設けられていることを特徴とする無人走行車輌。
【請求項2】
特にスライドシュー又は第3の車輪である付加支持点(16)をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の無人走行車輌。
【請求項3】
前記調整装置(18)が、車輪(4´、5´)と前記付加支持点(16)の内の少なくとも一つの高さを調整する高さ調整部(18)を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の無人走行車輌。
【請求項4】
前記調整装置(18)が、前記飼料移動手段が地面に一定の圧力を及ぼすように自動に高さ調整をすることを特徴とする請求項1−3のいずれか1項に記載の無人走行車輌。
【請求項5】
壁部に対する前記無人走行車輌の前記中心線(14)の向きを測定する向き測定手段(9)を備え、前記制御装置(11)が、前記無人走行車輌の動作中に、前記中心線(14)が、初期設定の向きと等しい、前記向き測定手段(9)により測定された前記壁部に対する向きに維持されるように、プログラムされていることを特徴とする請求項1−4のいずれか1項に記載の無人走行車輌。
【請求項6】
接触力又は接触圧力による信号を前記制御装置(11)に供給する、前記無人走行車輌(1)の外側の周りに延在する接触保護部(15)を備えることを特徴とする請求項1−5のいずれか1項に記載の無人走行車輌。
【請求項7】
前記制御装置(11)は、前記信号が特定の閾値を超えたとき、向きを変化させる、特に、向きを逆にするよう設けられていることを特徴とする請求項6記載の無人走行車輌。
【請求項8】
前記地面の上、又は、中に配置された検出手段(21)を認識するように、前記制御装置(11)に信号を供給するセンサ(20)をさらに備えることを特徴とする請求項1−7のいずれか1項に記載の無人走行車輌。
【請求項9】
前記センサ(20)が誘導センサまたは光学センサを備え、前記検出手段(21)が誘導、磁気検出手段または着色された面のような光学検出手段を備えることを特徴とする請求項1−8のいずれか1項に記載の無人走行車輌。
【請求項10】
前記地面の種類または状態を認識するセンサ手段をさらに備え、前記制御装置が、前記センサ手段からの信号により、前記飼料移動手段(12)の前記高さ(h)及び/又は位置、特に最下点(19)を調整することを特徴とする請求項1−9のいずれか1項に記載の無人走行車輌。
【請求項11】
初期設定可能な距離が、動作中に調整できることを特徴とする請求項1−10のいずれか1項に記載の無人走行車輌。
【請求項12】
初期設定可能な向きが、動作中に調整できることを特徴とする請求項1−11のいずれか1項に記載の無人走行車輌。
【請求項13】
前記飼料移動手段(12)が、前記無人走行車輌の外側周囲を形成する外周を有する、特に円形の、自在回転環状要素を備えることを特徴とする請求項1−12のいずれか1項に記載の無人走行車輌。
【請求項14】
前記環状要素が、前記最下点(19)を前記地面に最も接近して配置するように、少なくとも前記無人走行車輌の走行方向に傾斜されていることを特徴とする請求項13記載の無人走行車輌。
【請求項15】
飼料を収容する保管コンテナと、前記地面に向かって飼料を排出する排出装置とを備え、前記制御装置が、前記距離測定手段(6)及び/若しくは前記トルク差測定手段(10)からのデータ並びに/又は前記無人走行車輌の速度並びに/又は前記保管コンテナの重量の減少とを基に、前記排出装置の動作を制御することを特徴とする請求項1−14のいずれか1項に記載の無人走行車輌。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−505626(P2011−505626A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535900(P2010−535900)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【国際出願番号】PCT/NL2008/000248
【国際公開番号】WO2009/070007
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(510145956)レリー パテント エヌ・ヴィ (4)
【Fターム(参考)】