説明

養殖魚および生存条件下で貯蔵される魚のための飼料、ならびにそのような飼料の製造方法

本発明は、魚のための軟質飼料に関し、前記軟質飼料は、少なくとも1つの配合乾燥飼料および液体の混合物から作製され、前記混合物は、本質的に乾燥飼料に液体を吸収させた後、練ることによってペースト状凝集性塊となるものであり、前記塊は、魚の種類およびサイズに適したサイズおよび形状の飼料の断片に成形される。本発明はまた、軟質飼料の製造法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、魚、例えば、養殖魚、および生きたまま捕獲され、ネットペン(netpens)もしくは閉鎖ネット(closing nets)またはその他の適した装置にて生きた状態で保存される魚のための軟質飼料に関する。更に、とりわけ本発明は、水中に浸漬された際および機械的作用を受けた際にその構造を失い、ペースト状で凝集性(coherent)の軟質な塊を形成する押し出し(extruded)およびペレット化(pelletized)飼料に関する。このペースト状の塊は、手動または適切な開口部を通した塊の押し出しの何れかによって、魚に好ましい大きさに分割してよい。
【0002】
様々な種類の漁業技術において、魚は生きたまま捕獲され、長い間、海または河に戻すまで網を用いて魚は囲われてきた。この例として、ノルウェーのフィヨルドにおける、スプラット(sprat)(スプラタス・スプラタス(Sprattus sprattus))の漁法が存在する。この漁法では、収容船(receiving vessel)による海からの回収までの間、魚を網で保護し、引網内で生きたまま貯蔵する。このような魚の保護、または生きたままの貯蔵は、魚の腸を空にするために必要であり、これによって加工段階までの品質の保護が向上される。
【0003】
その他の種の魚を生存条件で保存することも慣例となった。この長所は、捕獲した野生の魚をより安定的な供給で提供でき、それによってより良い価格で魚が得られるという、市場を調整する能力であると考えられる。別の利点は、市場価格の低いより小さな魚を、市場価格のより高いより大きな魚を得るために、餌として与えることができるということである。これは、季節外れの魚を提供することで、さらに高い価格を達成することと組み合わせることができる。この種の習慣は、生きたまま捕獲されたタラ(ガダス・モルフア(Gadus morhua))、セイス(ポラキアス・ヴィレンス(Pollachius virens))、ミナミマグロ(southern blue−finned tuna)(サイナス・マッコイー(Thynnus maccoyii))およびクロマグロ(northern blue−finned tuna)(サイナス・サイナス(Thynnus thynnus))において確立された。
【0004】
生きたまま魚を捕獲した後、サケ(サルモ・サラー(Salmo salar))、ニジマス(オンコリンチュス・ミキス(Oncorhynchus mykiss))、ハタ(ディセントラルチュス・ラブラクス(Dicentrarchus labrax))およびヨーロッパヘダイ(axillary seabream)(スパラス・アウラタス(Sparus auratus))の養殖に用いるのと同じタイプの引き網またはネットペンへ移される。このように、この技術は周知であり、試されている。
【0005】
養殖魚(養殖されたタラおよびオヒョウ(Hippoglossus hippoglossus)を含む)は、卵黄嚢の栄養を使い果たしたときから、または、おそらく藻、ワムシおよびおそらくブラインシュリンプ(アルテミア属)を餌とする短い期間に続いて、乾燥配合飼料(dry formulated feed)に慣らされる。そのような魚は、従って、乾燥配合飼料を食料として受け入れ、この種の飼料により十分成育すると考えられる。ごくわずかの導入される飼料のみがネットペンを通過して沈み、浪費されると考えられるため、飼料の利用性の程度は高い。
【0006】
配合魚用飼料とは、1以上のタンパク質供給源から成る飼料を意味し、そのタンパク質供給源は、海のタンパク質(例えば魚粉およびオキアミ粉)、植物タンパク(例えば大豆粉、アブラナ粉、小麦グルテン、コーングルテン、ルピナス粉、エンドウ粉、ヒマワリ粉および米粉)および屠殺場廃棄物(例えば血粉、骨粉、羽粉およびチキン粉)を含むがこれらに限られない。異なるタンパク質供給源(それぞれアミノ酸の組成が異なる)の混合は、飼料を与える魚の種に適した飼料にとって、望ましいアミノ酸プロファイルの達成を可能とする。配合飼料は更に、例えば魚油および/または植物油(例えばナタネ油およびダイズ油)の形でエネルギー源を含む。配合飼料はまた、飼料に要求される形状の固形性および安定性を付与するために、通常粉製の(澱粉質の)成分(例えば小麦または小麦粉、馬鈴薯澱粉またはタピオカ粉、エンドウまたは豆)の形で、結合剤を含む。さらに、配合飼料は、魚の良好な成長および良好な健康を保証するために必要なミネラルおよびビタミンを含むだろう。さらに、飼料は、特定の効果を達成するために、着色剤といった付加的な添加物を含んでもよい。このように、配合魚用飼料は、タンパク質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラルおよびその他の添加物の定量的比率が、魚の年齢に基づいて、種の栄養要求性に適すように計算された複合飼料である。通常、1種類の飼料だけが使用され、そのため、飼料の各々の小片が十分な栄養価を有している。
【0007】
乾燥配合飼料は、ここにおいて、圧縮されたまたは押し出されたタイプの飼料を意味する。圧縮飼料は、通常、圧縮の後およびおそらく油の適用の後、約10%未満の水を含むだろう。押し出し飼料は、押し出し後、18から28%の水を含むだろう。押し出しの後、この飼料は、乾燥工程およびその後の油適用工程に供される。圧縮飼料と同様に、最終的な生成物は、約10%またはそれより少ない水を含むと考えられ、結果として高度に貯蔵可能であると考えられる。というのは、これらの飼料の水分活性は低く、そのためカビおよび真菌の増殖が予防され、また細菌性の腐食が回避されるためである。
【0008】
乾燥しおよび圧縮しまたは押し出しした飼料は、異なる形状およびサイズであってよい。一般的な形状は、長さと直径の比率が通常1から1.5の間である、円筒状の飼料断片である。そのような飼料断片は、ペレットと称される。ペレットのサイズは魚のサイズに比例しており、従って、ペレットの直径は1から30mmの間とすることができる。実際には、魚用飼料産業において、30mmより大きい直径の飼料ペレットを生産することは困難であることがわかっている。合理的な時間内でそのようなペレットを乾燥させることに関する困難性は、1つの問題として挙げられる。別の問題は、固形性の欠如であり、それは、多くのくず(dust)および破損の原因となる。
【0009】
乾燥圧縮または押し出し魚用飼料は、外的な機械的作用を受けない限り、数時間および数日間まで水の中でその形状を保持する。これは、ペレットが澱粉の形で結合剤を含むことによる。例えば500kgから1000kgの飼料を維持する大きいバッグに貯蔵し輸送することを可能とする十分な強度をペレットに提供するため、または飼料サイロにおける貯蔵に耐え、ならびに装入および取出し(loading and unloading)の際の、および飼料プラントと個々のネットペンとの間での、生産プラントを通した圧気輸送(pneumatic transport)に耐えるようにするため、結合剤は添加されてきた。水における寸法の安定性(dimensional stability)は、また、ペレットを脂肪で覆い、外側の油フィルムを残し、ならびに恐らくは孔および空洞を油で満たし、水の浸入を抑制することに部分的に起因する。
【0010】
ペレットは、水中に入り一定期間の後、不安定な顆粒状の塊を形成して崩壊する。この過程は、ペレットに外的な機械的負荷を与えることで促進し得る。研究室スケールでは、これは水を撹拌することで、または直接ペレットを押しつぶし若しくは突くことで行ってよい。水およびペレットは、大小の粒子からなる粒状の薄いペーストを形成するだろう。
【0011】
単に湿性にしただけの従来のペレット化飼料は、押しつぶすとその形状がゆるむが、圧力を止めれば、なお個々のペレットに分裂したままである。より強い機械的処理を施した場合は、大小の断片に分裂するが、凝集性の塊は形成しないだろう。
【0012】
生け捕り魚(live caught fish)は、さまざまなタイプの餌食(prey)が餌として与えられ、乾燥配合飼料は与えられていない。乾燥配合飼料は、形状、色、粘性(consistency)、におい、食味および運動性において餌食と異なる。そのため、生け捕り魚は、乾燥配合飼料を食物として認める前に、移行期間または順応期間を必要とすることがわかった。ある場合には、魚をそのような飼料に適応させる試みは、完全に失敗している。この例は、ミナミマグロである。この魚は、捕獲のときは体重がおよそ15kgであり、30から60kgの間のときに売られる。直径が10から20mmの従来の飼料ペレットは、魚が気にかけるにはあまりに小さく、加えてそのような飼料ペレットは食欲をそそるテクスチャー(texture)を有していない。
【0013】
生け捕り魚が飼料を受け入れるまでの期間は、成長することがなく、魚は体重を落とす。これは、屠殺するまでより長い期間が必要であることを意味し、維持費の増大も予想される。減少した体重は、購入した飼料資源を用いて補わなければならないためである。
【0014】
飼料に軟質な粘性があれば、生け捕り魚に受け入れさせることがより容易であることが判明した。軟質な粘性は、約10%(乾燥飼料でみられる)よりもずっと高い含水量とすることで達成される。軟質飼料は、基本的に、全ての必須栄養分を含めることができ、および手動でまたは開口部(例えばふるい板(sieve plate))を通したその押し出しによって、飼料の断片に形成されるペーストである。おそらく、それは、乾燥飼料よりも魚に受け入れられる軟質なテクスチャーを有する。魚が軟質飼料に慣れた後、魚が望ましい大きさに達するまで、この飼料の使用を継続することができる。あるいは、魚が軟質飼料を食物と認めた後に、魚は乾燥配合飼料に適応できる。
【0015】
軟質飼料(準湿性飼料とも呼ばれる)は、一般に養殖にて用いられる。特に、養殖者にとって、養殖の初期の発展段階では、飼料を自身で用意することが一般的である。そのような飼料は、典型的に、40%以上の水を含む。養殖がより工業化された形態に変化すると、軟質飼料は、圧縮または押し出し型の産業的飼料と取り替えられる。
【0016】
軟質飼料は、魚全体、刻んだ魚または魚のくず肉から作られる。これは、グラインダー(grinder)にて、結合剤(しばしば澱粉の形で、しかしまたアルギン酸塩の形で)が混合され、および、おそらく魚油またはその他の調理用油、およびおそらくビタミン、ミネラルおよびその他の必要な添加剤が混合され、これをふるい板に通して押し出すことで飼料の断片に形成される。飼料断片のサイズは、一般に、開口部の直径によって決定される。飼料断片の容積は、通常、開口部の直径によって決定される。あるいは、手動でペーストを飼料断片に成形してもよい。
【0017】
未加工魚材料(raw fish materials)は、凍結状態または新鮮な状態で得られる。凍結した未加工魚材料はグラインダーで破砕(grinding)する前に解凍してよいが、ある種のグラインダーでは凍結した魚を処理することも可能である。結合剤、ビタミンおよびミネラルといった乾燥原材料は、前もって混合することが可能であり、いわゆる予備混合物(premixes)とすることができる。魚粉のような乾燥タンパク質材料、および魚エンシレージ(ensilage)といった湿潤タンパク質材料に混合することも可能である。
【0018】
軟質飼料の代替物は、生け捕り魚に、魚全体または魚の小片を与えることである。これは、餌を与える直前に解凍される新鮮な魚または凍結した魚であってよい。一部の養殖者は、凍結した魚のブロック全体を水面に浮かせる。塊が解凍するとともに、魚または魚の断片が落ち、食物として利用できるようになる。
【0019】
日本では、生け捕りヒラマサ(yellow tail)(Seriola lalandi)を押し出し軟質飼料に慣れさせることが知られている。この飼料は、比較的低脂肪含量の押し出し飼料である。この飼料では、給餌する前に水に浸漬して、ペレットに水を吸収させる。ペレットは、それ自身の重量と比較して、50%から150%までの水を吸収することができる。浸漬は、5分から1時間までとすることができる。浸漬後、ペレットは、軟質でおよび弾力的になるが、なおはっきりしたペレットであり、通常のペレットとして魚に与えられる。
【0020】
押し出し機によって魚用飼料を製造するとき、押し出し物は最高30%の水を含む。乾燥前において、この押し出し物は軟質でおよび弾力的である。この押し出し物は、乾燥の代わりに凍結によって保存されることが知られている。養殖者は、その後、給餌する前に飼料を解凍するだろう。
【0021】
様々な水結合剤および様々な軟化剤を部分的に添加することによって、魚用飼料を製造することも知られている。グリセリンは、そのような添加剤の一例である。
【0022】
乾燥配合飼料の場合に、捕獲した魚が飼料を食物と認めないとき、それは問題である。従来の飼料供給を行うと、長い時間を要し得る。この間、成長せず、魚は体重を落とす可能性もある。魚を乾燥飼料に適応させるために用いられる飼料は、その大部分が失われる。このことは養殖者にとって不利益なことであり、環境にも有害である。というのは、消費されなかった飼料は海底に定着し、環境の悪化をもたらすためである。
【0023】
軟質飼料、魚全体または魚の断片の使用では、それらに慣れるために魚が費やす時間に関しては、乾燥飼料の使用と同様の不都合さは生じない。一方で、これらは、現場で作製しなければならず、貯蔵寿命も短いことから、より労力を要する。軟質飼料は、新鮮な原材料の安定的な供給または凍結した原材料への入手を必要とする。新鮮な原材料の安定的な供給は、季節的な制約を受ける漁業技術によって困難となる可能性がある。気象状況の悪化も、入手可能性に影響を及ぼすだろう。あるいは、冷凍庫の利用を必要とする凍結原材料を使用することができる。魚全体または魚の断片の入手可能性について、同様なことが当てはまる。軟質飼料の更なる不利な点は、それが配合されたものではないという事実である。特に脂肪とアミノ酸との比率を調節することは困難であり、アミノ酸プロファイルは原材料によって決定される。魚全体または魚の断片を用いる場合、同じことがあてはまる。
【0024】
軟質飼料はコンパクトであり、飼料の密度を調節することは難しい。軟質飼料は、押し出し型乾燥配合飼料と比較して、非常に急速に水の中に沈む。このことは、それぞれの飼料に魚が慣れた状況において、乾燥押し出し飼料と比較して、軟質飼料の方が浪費の程度が大きいことを意味している。
【0025】
凍結押し出し飼料は、生産者から養殖者までの完全な一続きの冷凍輸送手段を必要とする。これは、乾燥飼料の輸送よりも高価で複雑なロジスティックスを必要とする。飼料ペレットを凍結する最も単純で最も安価な方法は、飼料をバッグ(例えば25kgのバッグ)に包装することである。その後、そのバッグは冷凍庫に置かれる。魚飼料は良好な断熱特性を持つため、バッグの凍結には時間を要する。ある場合には、中心が凍結せず、多くの真菌類、カビおよび細菌が、貯蔵および輸送の間にバッグの中央で育つだろう。損傷を受けた飼料を、飼料の残りと混合するときに、バッグを解凍し開封するまで、このことは明らかにならないだろう。凍結の代替法は、例えばトンネルフリーザーを用いることによる、包装に先立つペレットの凍結である。この技術は、製品価格を上昇させる。
【0026】
水を結合成分および軟化成分(例えばグリセロール)に添加することは、製品をより高価にする。既知のカビ阻害薬および細菌阻害薬(例えば、プロピオン酸および安息香酸塩)もまた、室温におけるより良好な貯蔵安定性をペレットに与えるために添加することができる。そのような全ての添加は、製品をより高価にする。そのような添加物が製品の食味の良さを減じてはならないこともまた重要である。このように、魚は、プロピオン酸を含む飼料に対して拒絶的な反応をすることが知られている。
【0027】
湿性製品の貯蔵寿命を増加させる既知の方法は、修飾した空気のもとまたは真空包装でこれらを包装することである。これは、包装における特定の要求を作り、専用の包装器材を必要とする。
【0028】
本発明の目的は、少なくとも1つの先行技術の欠点を改善しまたは減らすことである。
【0029】
この目的は、以下の説明および添付の特許請求の範囲に記載される特徴によって達成される。
【0030】
本発明の目的は、魚、特に捕獲した魚への給餌のときに軟質である魚用飼料であって、同時に、当該魚に特異的な要求性に関する配合の観点における押し出し乾燥飼料の有益な特性、および生産者から養魚場までの押し出し乾燥飼料に関する単純なロジスティックスを維持した魚飼料を達成することである。
【0031】
また本発明の目的は、軟質飼料が異なるサイズの魚に適合できることであり、好都合には、押し出し技術に基づく従来の魚飼料の生産によって可能である断片よりも、大きな飼料断片を形成することが可能である。
【0032】
軟質飼料は、15%を超える水を含む飼料を意味する。特に、それは、20%を超える水を含む飼料を意味し、および30%を超える含水量は、軟質なテクスチャーにとって、更により有益である。30%を超える水を含む飼料は、従来の押し出し技術を用いては製造することができない。そのような軟質飼料は、生け捕り魚に配合飼料を適応させる場合に有益なテクスチャーを有する。
【0033】
驚くべきことに、既知の原材料タンパク質物質、例えば、魚粉、オキアミ粉、大豆粉、アブラナ粉、小麦グルテン、コーングルテン、ルピナス粉、エンドウ粉、ヒマワリ粉、米粉および屠殺場廃棄物(例えば血粉、骨粉、羽粉およびチキン粉)を用いることにより、および澱粉を含む結合剤(例えば、小麦、エンドウ、豆、馬鈴薯澱粉またはタピオカ粉)を用いることにより、および脂肪(例えば魚油またはナタネ油)を用いることにより、新規の技術的な性質を有するペレット化魚用飼料、浸漬し単純な機械的練和を行った後に軟質な凝集性ペーストを形成する飼料ペレットの製造が可能となることが明らかとなった。このため、軟質な凝集性ペーストを形成する望ましい新規な性質を飼料ペレットが示すために要求される特性を、押し出し物質中の澱粉に持たせるために、圧力および温度条件ならびに熱エネルギーと機械的エネルギーとの間の比率の観点から設定した押し出し機が使用される。このペーストを、例えばふるい板による適切な開口部を通してそれを圧縮することによって、または手動の成形よって、望ましいサイズの飼料の断片に成形してよい。そのような成形は、乾燥押し出しペレットの生産にて達成できる場合よりも、大きい飼料断片とすることが可能である。
【0034】
飼料は、乾燥原料タンパク質物質および結合剤を細かく砕き、ビタミンおよびミネラルならびにその他の所望の成分と混合することで製造される。この混合物は、既知の押し出し機(例えばシングルスクリューまたはダブルスクリュー押し出し機)に移される前に、既知のプレコンディショナーに通され、そこで、蒸気、おそらく水、おそらく油およびおそらく魚エンシレージが混合物に添加される。ここで、混合物を練り、何れかの付加的な蒸気、水、油または魚エンシレージをここに添加することで、澱粉画分に意図した特性を付与し、その後、塊を押し出し型の台(die base)を通して押し出し、押し出し物を回転刃で望ましい長さに切る。押し出し型の台の穴は、1mmから25mmであってよい。望ましい長さは、ペレットの直径よりも短くおよび最高でペレットの長さの2倍であってよく、または都合のいい場合は、より長くてよい。押し出し物の含水量は、18から28%の間であってよい。
【0035】
切断した後、押し出し物は、既知の乾燥機(例えば垂直乾燥塔または水平ベルト乾燥機)を通過させ、10%未満の含水量に乾燥させる。脱水に続いて、必要ある場合には、既知の技術(例えば、真空コーティング機)を使用して、更に油をペレットに適用してよい。脱水および何れかの油の適用に続いて、既知の方法でペレットを冷却してよく、くずおよび粒子をふるって除き、包装する。
【0036】
給餌の前に、本発明による乾燥押し出し飼料の望ましい量を適切な容器に入れ、液体をペレットに添加する。適当な容器という用語はまた、例えばバッグまたはその他の包装(例えば、飼料を配送する際の包装)を意味する。
【0037】
好ましくは、乾燥ペレットに添加する液体の量は、ペレットが吸収できる量以下であり、同時にペースト状の粘性を付与するのに十分な量である。好ましくは、添加する液体の量は、ペレットの20から200重量%を構成する。より好ましくは、添加する液体の量は、ペレットの25から100重量%を構成する。更に好ましくは、添加する液体の量は、ペレットの30から80重量%を構成する。最も好ましくは、添加する液体の量は、ペレットの30から60重量%を構成する。
【0038】
液体は、淡水、海水、魚エンシレージ、サイズ水(size water)またはその他のタンパク質含有液体(例えば、水と魚の内臓との混合物)であってよく、または2以上のそのような液体の混合物であってよい。液体の温度は周囲の温度と同程度の温度でよく、またはその温度から外れてもよい。
【0039】
以降、「液体」という用語は、1以上の当該液体および物質の液体組成物を意味する。
【0040】
好ましくは、浸漬時間は、1分から24時間の間である。より好ましくは、浸漬時間は、1分から12時間の間である。更に好ましくは、浸漬時間は、1分から6時間の間である。最も好ましくは、浸漬時間は、1分から90分の間である。
【0041】
浸漬した後、浸漬した飼料を練り(worked)、凝集性の軟質なペーストとする。練る作業は、容器に設置した回転アームまたはスクリューによって、または容器に適切な装置を降ろすことによって行ってよい。ペーストが望ましい粘性となったとき、それを取り出し、飼料の断片を成形する適切な装置へ移してよい。適切なそのような装置は、オーガー(auger)が、ふるい板に適切に配置され成形された1以上の開口部を通してペーストを運ぶ、単純なグラインダーであってよい。飼料の断片の長さは、回転刃によって、またはその自重によるひもの断絶によって決定できる。
【0042】
あるいは、浸漬したがなお明確なペレットを、練って塊にするための適切な装置に移してよい。そのような装置はグラインダーであってよい。次に、練り(練和(kneading))および飼料の断片への成形が1つの操作で行われるだろう。
【0043】
あるいは、それらは、混合容器、1以上の適切に配置され成形された開口部を有する装置と関連させてよい。混合容器中のペーストは、例えば、容器の壁に向けてペーストを圧縮する回転アームとった適切な装置によって、開口部装置に向けて圧縮することができる。容器の外で、ペーストを適切な長さに切断してよく、またはペーストのひもは、その自重によって断絶するだろう。さらに、本発明による浸漬した飼料の望ましい機械的練り作業を達成するその他の装置を想定することができる。
【0044】
代替法は、浸漬前に魚全体または魚臓物を乾燥ペレットに混合すること、または浸漬後、練ってまたは練和してペーストを形成する前に、魚全体または魚臓物を混合すること、またはふるい板を通して飼料の断片を成形する前に、魚全体または魚臓物を、作製したペーストに混合することを含む。
【0045】
当業者は、ペーストの調製および飼料断片の成形は、岸(shore)にてまたは浮遊性構造物にて行うことができること、および飼料断片は、既知の方法でネットペンへ輸送することができおよび既知の方法でネットペンに分配できることがわかるだろう。あるいは、当業者は、ペーストの調製および飼料断片の成形は、ネットペンに直結して行うことができること、例えば、成形された飼料断片を、直接ネットペンに落下させ、または、単純な装置によって、ネットペンの表面の向こうもしくは幾つかの近隣のネットペンに分配することができることがわかるだろう。あるいは、当業者は、最も好都合な状態に依存して、ペーストを1つの場所で製造し、飼料断片を別の場所で成形してもよいことがわかるだろう。
【実施例】
【0046】
以下に、好ましい実施態様の非限定的な実施例を記載する。
【0047】
実施例1
本発明による飼料を、以下の配合表によって作製した。
【表1】

【0048】
乾燥原材料を粉砕し混合した後、これらを、ウェンガーDDC プレコンディショナーで前もって処理し(preconditioned)、ダブルスクリュー押し出し機(Wenger TX−57)にて、毎時140kgの送り速度で(乾燥物質)でプレコンディショナーに押し出した。蒸気(毎時13.8kg)および水(毎時26.1kg)を、プレコンディショナーの塊に添加した。塊は、プレコンディショナーを出る際、87℃の温度であった。水(毎時7.7kg)および魚油(毎時17.0kg)を押し出し機に添加した。具体的な機械的エネルギーは26.9kWh/トンであり、具体的な熱エネルギーは43.0kWh/トンであった。ペレット直径は3mmであった。ペレットは、3区画のベルト乾燥機で乾燥した(各区間の空気温度は、それぞれ80℃、80℃および70℃であった)。全乾燥時間は、13分であった。
【0049】
乾燥飼料は、54%のタンパク質、17%の脂肪および5%の水を含んだ。
【0050】
飼料10kgに水6kgの比率にて、作製した飼料を約20分間浸漬した。まばらな(loose)ペレットの間に、網の目状の空間を作り、水が容易に行き渡って全てのペレットが浸漬するようにした。浸漬後、手で飼料を練和することによって、軟質なペーストを形成することは容易であった。飼料ペーストは、約40%の水、約34%のタンパク質および約11%の脂肪を含んだ。また、飼料10kgに水9kgの比率にて、作製した飼料を約30分間浸漬した。飼料ペーストは、約50%の水、約28%のタンパク質および約9%の脂肪を含んだ。
【0051】
湿式の飼料ペレットも、通常のミンサー(mincer)で練った。ミンサーのふるい板を透過させると、軟質なスパゲッティ型のひもが形成された。形成された飼料の断片は、水中に沈めるのによい性質を示し、給餌の際にネットペン中を沈むために要する時間を上回る期間、水の中で安定していた。
【0052】
実施例2
本発明による飼料を、以下の配合表によって作製した。
【表2】

【0053】
乾燥原材料を粉砕し混合した後、これらを、Clextralプレコンディショナーで前もって処理し、ダブルスクリュー押し出し機(Wenger TX−57)にて、毎時3トンの送り速度で(乾燥物質)プレコンディショナーに押し出した。6%の蒸気、10%の水および5%のエンシレージを、プレコンディショナーの塊に添加した。9%の水を押し出し機に添加した。ペレット直径は、3mmであった。ペレットは、ベルト乾燥機で乾燥した。真空コーティング機中での乾燥後に、油(10.7%)を添加した。
【0054】
乾燥飼料は、47.6%のタンパク質、17.7%の脂肪および10.6%の水を含んだ。
【0055】
浸漬後、飼料を練ってペーストにし、飼料の断片を、このペーストを手で転がすことで、ゴルフボールおよびテニスボールのサイズを有した断片に成形した。これらの飼料の断片を、生きて貯蔵されるセイスに与えた。セイスは、300から400gの重量であった。従来の乾燥押し出し飼料の給餌と比較して、セイスは強い食欲を示した。ゴルフボールサイズの飼料の断片は丸ごと摂食しが、テニスボールサイズの飼料の断片は少しずつ摂食した。
【0056】
本発明による軟質飼料は、一生の全段階を調節された条件の下で生育する養殖魚の給餌に使用することが可能である。
【0057】
その他の応用例は、ペースト状の飼料を釣り針の餌として使用することができる娯楽的な釣りである。それは、更に、釣るポイント周辺において、飼料の小断片を水に撒くことによって野生の魚を餌付きの釣り針に惹きつけるための餌として用いてよい。
【0058】
ペースト状の飼料は、更に、釣り針漁業装置の餌として、および魚わな(fishpots)、筌(fish traps)およびその他の固定された釣り用具における餌として、プロの漁師によって用いられてよい。
【0059】
タンパク質、脂肪、炭水化物、ビタミンおよびミネラルの形で標準的飼料成分から成り、水に浸漬すると、ペレットを単純に機械的に練ることで、凝集性の軟質なペースト(望ましい断面およびサイズを有する飼料の断片に成形され得る)をもたらし得る品質を示す、押し出しペレット化魚用飼料の製造は新規のアイデアである。成形は、1以上の適切な開口部を有するふるい板を通してペーストを圧縮する既知の方法によって、あるいは手動の成形によって達成することができる。製造した飼料の断片は、貯蔵される生け捕り魚に配合飼料を適応させることに適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚のための軟質飼料であって、前記軟質飼料は、少なくとも1つの配合乾燥飼料および液体の混合物から作製され、前記混合物は、本質的に乾燥飼料に液体を吸収させた後、練ることによってペースト状凝集性塊となるものであり、前記塊は、魚の種類およびサイズに適したサイズおよび形状の飼料の断片に成形されることを特徴とする魚のための軟質飼料。
【請求項2】
請求項1に記載の魚のための軟質飼料であって、魚全体、刻んだ魚、魚の内臓または魚のくず肉が、前記乾燥飼料および液体の混合物に添加されることを特徴とする魚のための軟質飼料。
【請求項3】
請求項1に記載の魚のための軟質飼料であって、前記液体が、淡水、海水、サイズ水もしくはその他のタンパク質含有液体、または2以上のそのような液体の混合物によって構成されることを特徴とする魚のための軟質飼料。
【請求項4】
請求項1に記載の魚のための軟質飼料であって、前記液体が、魚の内臓および/または魚のくず肉とともに、淡水、海水、サイズ水もしくはその他のタンパク質含有液体、または2以上のそのような液体の混合物によって構成されることを特徴とする魚のための軟質飼料。
【請求項5】
請求項1に記載の魚のための軟質飼料であって、前記液体が、前記乾燥飼料の20重量%から200重量%の間を構成することを特徴とする魚のための軟質飼料。
【請求項6】
請求項1に記載の魚のための軟質飼料であって、前記液体が、前記乾燥飼料の25重量%から100重量%の間を構成することを特徴とする魚のための軟質飼料。
【請求項7】
請求項1に記載の魚のための軟質飼料であって、前記液体が、前記乾燥飼料の30重量%から80重量%の間を構成することを特徴とする魚のための軟質飼料。
【請求項8】
請求項1に記載の魚のための軟質飼料であって、前記液体が、前記乾燥飼料の30重量%から60重量%の間を構成することを特徴とする魚のための軟質飼料。
【請求項9】
請求項1に記載の魚のための軟質飼料であって、前記乾燥飼料がペレット化されていることを特徴とする魚のための軟質飼料。
【請求項10】
魚のための配合乾燥飼料に基づいて配合軟質魚用飼料を製造する方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする方法:
a)前記配合乾燥飼料を作製する;
b)前記配合乾燥飼料を容器に移す;
c)前記乾燥飼料を湿らすよう調整された液体を容器に導入し、前記乾燥飼料および前記液体を混合する;
d)前記液体を前記乾燥飼料に吸収させる;
e)湿らせた乾燥飼料を練って、ペースト状凝集性塊にする;
f)前記ペースト状塊を飼料の断片に成形する;および
g)前記飼料の断片を、魚に給餌する場所に分配する。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記乾燥飼料と液体との混合の前に、前記乾燥飼料に、魚全体、刻んだ魚、魚の内臓または魚のくず肉の形で未加工魚材料が添加され、および混合されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、前記湿らせた乾燥飼料に、魚全体、刻んだ魚、魚の内臓または魚のくず肉の形で未加工魚材料が添加され、および混合されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、前記ペースト状塊に、魚全体、刻んだ魚、魚の内臓または魚のくず肉の形で未加工魚材料が添加され、および混合されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項10から13の何れか1項に記載の方法であって、前記湿らせた乾燥飼料と未加工魚材料との混合物が粉砕装置で練られることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項10に記載の方法であって、前記液体が、淡水、海水、サイズ水もしくはその他のタンパク質含有液体、または2以上のそのような液体の混合物によって構成されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項10に記載の方法であって、前記液体が、魚の内臓および/または魚のくず肉とともに、淡水、海水、サイズ水もしくはその他のタンパク質含有液体、または2以上のそのような液体の混合物によって構成されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項10に記載の方法であって、前記液体が、前記乾燥飼料の20重量%から200重量%の間を構成することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項10に記載の方法であって、前記液体が、前記乾燥飼料の25重量%から100重量%の間を構成することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項10に記載の方法であって、前記液体が、前記乾燥飼料の30重量%から80重量%の間を構成することを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項10に記載の方法であって、前記液体が、前記乾燥飼料の30重量%から60重量%の間を構成することを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項10に記載の方法であって、浸漬時間が1分から24時間であることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項10に記載の方法であって、浸漬時間が1分から12時間であることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項10に記載の方法であって、浸漬時間が1分から6時間であることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項10に記載の方法であって、浸漬時間が1分から90分であることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項10に記載の方法であって、前記飼料の断片が、前記ペースト状塊を開口部またはふるい板を通して圧縮することで形成されることを特徴とする方法。

【公表番号】特表2008−541756(P2008−541756A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514575(P2008−514575)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【国際出願番号】PCT/NO2006/000199
【国際公開番号】WO2006/130015
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(504335839)トロウ・インターナショナル・ビー・ブイ (6)
【氏名又は名称原語表記】TROUW INTERNATIONAL B.V.
【住所又は居所原語表記】Veerstraat 38, 5831 JN BOXMEER, the Netherlands
【Fターム(参考)】