説明

駒連結構造のバンド

【課題】連結軸と駒との連結が容易であって、連結後には不用意に抜けるようなことはなく、駒と連結軸との連結が確実で、長期にわたって支障なくバンドの駒連結を維持できる駒連結構造のバンドを提供する。
【解決手段】管体14の大径14c部分にOリング15を装着した状態で、管体14を連結軸13の凹部13aに装着する。この状態で、連結軸13の先端を、外駒11の受け孔12の小径部12bに入れる。管体14の大径14b部分は、受け孔12の小径部12bにて、Oリング15の弾発力に抗して周方向に縮むように力を受けて撓む。そして、管体14全体が受け孔12の大径部12a内に入ると、管体14の大径14b部分は、受け孔12内部でOリング15の弾発力を受けて径が元の大径に戻り、管体14の大径14b部分の端部が受け孔12の大径部12aと小径部12b間の段部に確実に係止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計バンドや装飾品用のバンドに適用され、複数の駒を連結軸にて連結されて構成される駒連結構造のバンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の駒連結構造のバンドとしては、複数の外駒と内駒とが互い違いに配置され、対向して配される対となる外駒を連結軸にて結合し、結合された外駒間の結合軸に内駒を装着することにより、隣接する外駒と内駒とがそれぞれ連結軸にて順次連結される構成のものが一般的である。
【0003】
そして、連結軸と各駒との連結構造として、従来、各種のものが提案され実施されてきている。例えば、基本的に各駒をネジで連結固定したり、連結軸に圧入したりする構造のものがある。
【0004】
その中で、特許文献1,2に記載されているような断面C状のリング体を用い、バンドにおける連結軸と駒にリング体を介在させて、リング体の弾性を利用して連結軸と駒とを連結固定するようにした構造のものがある。
【0005】
前記従来のバンドにおける断面C状のリング体にて駒を連結するものでは、リング体の弾性を利用した組立て、および分解を行うため、連結軸と駒との装着および脱着が容易であるという利点がある。
【0006】
しかしながら、脱着が容易であるということは、リング体に対して脱着方向へ外力が加わると不用意に連結軸と駒との連結状態が解除されてしまうことになる。すなわち、前記従来の構造では、バンドにおける駒連結の維持が確実でないといえ、バンド構造としての信頼性に欠けるという課題がある。
【0007】
そこで本件出願人は、特許文献3によって、駒連結構造のバンドにおける駒と連結軸との連結が確実で、長期にわたって支障なくバンドの駒連結を維持できるような構造を提案した。
【0008】
図7に特許文献3における駒連結構造を示す、図7において、連結軸3の凹部3aにテーパーを有する管状のCリング4を装着し、連結軸3を外駒1に形成した受け孔2の小径部2bを通して大径部2aに挿入することにより、Cリング4の大径側4bが外駒1の受け孔2における小径部2b側に係止することになるため、連結軸3と外駒1との連結は容易でありながら、連結後は不用意に抜けるようなことはなく、外駒1と連結軸3との連結が確実で、長期にわたって支障なくバンドの駒連結を維持することができる
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−222610号公報
【特許文献2】実用新案登録第3042647号公報
【特許文献3】実用新案登録第3140055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献3に記載の構造では、連結軸3に装着したCリング4を外駒1の受け孔2の小径部2bに入れる際、該小径部2bがCリング4の大径側4bを径方向に圧縮して、径を小さくした状態で受け孔2の大径部2aまで挿入することになる。
【0011】
そして、前記状態からCリング4の大径側4bが外駒1の受け孔2の大径部2aに入ると、Cリング4の大径側4bがCリング4自体の弾性にて圧縮状態から元の大径に戻ることにより、Cリング4の大径側4bの端部が、受け孔2の小径部2bの内側部分と係止して、Cリング4を介して連結軸3の抜けが防止されることになる。
【0012】
特許文献3に記載の構造では、Cリング4自体の弾性維持/復元性が完全であって、Cリング4の大径側4bの径が、拡大開放後に所定の元の大径に戻ることを前提とした構成である。
【0013】
しかしながら、Cリング4の材質のバラツキ、寸法のバラツキによっては、Cリング4が圧縮状態から元の大径に戻らない場合があった。Cリング4の大径側4bが所定の大径状態にならないと、受け孔2の小径部2bの内側部分と係止せず、連結軸3が駒1から抜け落ちることになる。
【0014】
バンドの構成部材であるCリング4は、駒1内に装着される小さな部品であって、小部品であるCリング4に材質の安定性や寸法の高精度を求めること自体、製造上の大きな問題であって、材質の安定性や寸法の高精度を全て実行することは、コストアップを招く原因となってしまう。
【0015】
そこで本発明は、前記従来の課題を解決し、テーパーを有する断面略C状の管体を用いながら、従来と同様に連結軸と駒との連結は容易であって、連結後は不用意に抜けるようなことはなく、駒と連結軸との連結が確実で、長期にわたって支障なくバンドの駒連結を維持できる駒連結構造のバンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の駒連結構造のバンドは、一部に凹部を形成して先端部に拡径部を形成した連結軸と、前記連結軸の前記凹部の側部に嵌着される弾性リング体と、前記連結軸の先端部が挿入される側を小径部とし、かつ内部を大径部として、前記連結軸の先端部分を受ける受け孔が形成された駒と、前記受け孔の前記小径部よりも先端部が小径で、かつ該小径部分の外周に薄肉部が形成され、前記先端部とは反対方向に向かって大径となるテーパーを有する断面略C状の管体とを備え、前記弾性リング体を前記テーパーの大径部分に介在して前記断面略C状の管体を装着した状態で、前記連結軸を、前記弾性リング体を圧縮状態にして前記受け孔の小径部分を通して前記受け孔内へ挿入し、該挿入した状態で前記管体のテーパー部の大径側が前記弾性リング体の弾性力を受けて前記受け孔の前記大径部と前記小径部間の段部に係止し、前記管体における前記テーパーの小径側が前記連結軸の前記拡径部と係止する構成にして、前記連結軸により複数の前記駒を連結することを特徴とする。
【0017】
また、前記駒が外駒であり、該外駒間の前記連結軸に内駒を装着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の駒連結構造のバンドによれば、テーパーを有する管体と、該テーパーの大径部分に設けられる弾性リング体とを備えたことにより、テーパーの大径部分が圧縮された後、圧縮する力が無くなったときには、弾性リング体によってテーパーの大径部分が元の大径状態に戻り、かつ、その状態を維持することができる。
【0019】
よって、管体の材質の変更や高精度化を図ることなく、かつ組立性を維持しながら、従来例のように管体の大径部分が圧縮された状態になったままになることを防ぐことができ、確実に管体の大径部分と、受け孔の大径部と小径部間の段部との係止が行われ、連結軸の駒から抜け落ちがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の好適な実施の形態である駒連結構造のバンドの主要部である外駒の連結部分を示す断面図である。
【図2】本実施の形態における外駒の連結部分の分解図である。
【図3】本実施の形態における連結軸の正面図である。
【図4】(a)は本実施の形態における管体の正面図、(b)は本実施の形態における管体の側面図である。
【図5】(a)は本実施の形態におけるOリングの正面図、(b)は本実施の形態におけるOリングの側面図である。
【図6】(a)は本実施の形態における外駒の側面図、(b)は外駒の平面図である。
【図7】従来の駒連結構造のバンドの主要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の好適な実施形態を図面にて説明する。
【0022】
図1,図2において、11は一対の受け孔12が形成された外駒、13は連結軸、14はテーパーを有する断面略C状の管体、15は弾性リング体である弾性を有するゴム材などからなるOリングである。
【0023】
図1,図6に示すように、外駒11は、一対の受け孔12における内部のそれぞれに大径部12aが形成され、開口部分が小径部12bとなっている。
【0024】
図1〜図3に示すように、連結軸13は、両先端部に管体14が嵌合する小径の凹部13aが形成され、先端部が拡径部13bとなっている。
【0025】
図1,図2,図4に示すように、管体14は、側部に割溝部14aが形成され、受け孔12の小径部12bよりも先端部が小径14bで、小径14bの先端部とは反対方向側が大径14cとなるテーパーT部分を有している。
【0026】
図1,図2,図5に示すように、Oリング15は、中央が貫通している環状のものである。
【0027】
外駒11と連結軸13との連結について、図1,図2に基づいて具体的に説明する。
まず、連結軸13の凹部13aにOリング15を装着し、その後、管体14を連結軸13に嵌挿する。この状態でOリング15が大径14c部分に位置することになる。そして、管体14が装着された状態で連結軸13を、外駒11の受け孔12の小径部12bに入れると、管体14は小径14a部分が受け孔12の小径部12bに向いているためスムーズに入る。連結軸13をさらに奥へ入れると、管体14の大径14b部分がOリング15の弾発力に抗して、受け孔12の小径部12bにて周方向に縮むように力を受けて撓む。そして、管体14全体が、受け孔12の小径部12bを通って、大径部12a内に入ることになる。
【0028】
このようにして、管体14全体が受け孔12の大径部12a内に入ると、管体14の大径14b部分は、受け孔12内部でOリング15の弾発力を受けて径が元の大径に戻り、管体14の大径14b部分の端部が受け孔12の大径部12aと小径部12b間の段部部分で係止されることになる。
【0029】
したがって、図1に示すように、連結軸13の拡径部13bの段部と管体14の小径14a部分の端部とが係止状態となり、また、管体14の大径14b部分の端部と受け孔12の内側一部とが係止状態となるため、連結軸13は管体14を介して外駒11から容易に外れることなく連結される。
【0030】
このようにして、連結軸13の先端部分が受け孔12の大径部12a内に入ると、第1管体14のテーパーTの大径14d部分の端部が受け孔12の大径部12aと小径部12b間の段部に係止し、また、第1管体14の小径14b部分が連結軸13の拡径部13bと係止することになり、連結軸3は外駒1から外れることなく連結,固定されることになる。
【0031】
本駒連結構造のバンドは、複数の駒を連結軸により連結して構成される駒連結構造のバンドであって、一対の外駒11間に連結軸3にて保持される公知の内駒(図示せず)を設ける構造になっている。内駒には一対の貫通孔が形成されているものを用いることにより、貫通孔に連結軸13を挿入することにより連結駒構造にすることができる。この駒連結を連続して行うことにより、所望長さのバンドを作製する。
【0032】
なお、外駒11の受け孔12における小径部12bの部位を、外駒1の他の部位とは別部材にて形成し、これらを一体に接合して駒体とすることも考えられ、このようにすることにより外駒1の製作が容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、各種バンド類、特に装身具などの身体に着ける各種のバンドに適用され、また多様な意匠展開を図ることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
11 外駒
12 受け孔
12a 大径部
12b 小径部
13 連結軸
13a 凹部
13b 拡径部
14 管体
14a 割溝部
14b 小径部分
14c 大径部分
15 Oリング
T テーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部に凹部を形成して先端部に拡径部を形成した連結軸と、
前記連結軸の前記凹部の側部に嵌着される弾性リング体と、
前記連結軸の先端部が挿入される側を小径部とし、かつ内部を大径部として、前記連結軸の先端部分を受ける受け孔が形成された駒と、
前記受け孔の前記小径部よりも先端部が小径で、かつ該小径部分の外周に薄肉部が形成され、前記先端部とは反対方向に向かって大径となるテーパーを有する断面略C状の管体とを備え、
前記弾性リング体を前記テーパーの大径部分に介在して前記断面略C状の管体を装着した状態で、前記連結軸を、前記弾性リング体を圧縮状態にして前記受け孔の小径部分を通して前記受け孔内へ挿入し、該挿入した状態で前記管体のテーパー部の大径側が前記弾性リング体の弾性力を受けて前記受け孔の前記大径部と前記小径部間の段部に係止し、前記管体における前記テーパーの小径側が前記連結軸の前記拡径部と係止する構成にして、前記連結軸により複数の前記駒を連結することを特徴とする駒連結構造のバンド。
【請求項2】
前記駒が外駒であり、該外駒間の前記連結軸に内駒を装着することを特徴とする請求項1記載の駒連結構造のバンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−218137(P2011−218137A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150192(P2010−150192)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願変更の表示】意願2010−2754(D2010−2754)の変更
【原出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(300091197)株式会社 フォー・クリエイターズ (17)