説明

高圧放電灯点灯装置

【課題】有害な高周波帯域のパワースペクトルがランプ電流のパワースペクトル全体の1.5%以下となるまでランプ電流中のリップル成分を除去できる高圧放電灯点灯装置を提供すること。
【解決手段】インバータ回路18と始動用の高電圧を発生する高電圧印加回路22間に、ランプ電流からリップル成分を除去するリップル除去回路20を配置する。リップル除去回路20は、バンド阻止フィルタ40で構成され、第1入力端子30と第2入力端子32間に直列接続された第1除去回路42および第2除去回路44を有し、第2除去回路44の両端に出力端子34,36がある。第1除去回路42は、コイルL3とコンデンサC5の並列回路であり、共振周波数帯域のリップル成分の通過を阻止する。第2除去回路44は、コイルL4とコンデンサC6の直列回路であり、共振周波数帯域のリップル成分をバイパスさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子を用いて点灯させる高圧放電灯の点灯装置に関し、特に、ランプ電流に重畳するリップル成分を除去する機能の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メタルハライドランプの演色性、発光効率が高くなり、店舗の照明などに広く使用されるようになった。メタルハライドランプのような高圧放電灯の点灯装置には、装置の小型化と高効率の観点からスイッチング素子などの電子部品を用いて点灯させる高周波点灯方式が広く採用されている。
スイッチング素子を用いた点灯装置の場合、ランプ電流が流れている状態でスイッチング素子をオンオフさせると、スイッチング素子が発熱し、回路損失を生じてしまうという問題があった。そこで、ランプ電流が減少してゼロとなるところでスイッチング素子の切り替えを実行することで、回路損失を抑制するソフト・スイッチング方式が採用されるようになった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1の第2頁に記載のようにソフト・スイッチング方式の場合、ランプ電流がゼロになる前に制御信号を変化させる連続方式よりも、ランプ電流に含まれるリップル成分が大きくなってしまう。つまり、ソフト・スイッチング方式を採用する代償として、ランプ電流に大きなリップル成分が含まれてしまうのである。
リップル成分は、出力される直流成分に重畳する点灯周波数に同期した変動成分を示し、放電灯の音響共鳴現象の原因となる。音響共鳴現象によって、アークの不安定によるちらつきや立ち消えなどが起きてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3470529号公報
【特許文献2】特許第2708813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献2には、高圧放電灯に直列に2次巻線が接続されたパルストランスにより始動パルスを高圧放電灯に印加することで、高圧放電灯を始動させるとともに、インバータ回路などで発生させた高周波電圧を高圧放電灯に印加することで、高圧放電灯を点灯させる高周波点灯方式の放電灯点灯装置が記載されている。
図10に示すように特許文献2の放電灯点灯装置には、インバータ回路からの電流が流れるチョークコイルL11、チョークコイルを流れる電流のリップル成分をバイパスさせるバイパスコンデンサC11、リップル成分に対して抵抗となるコイルL12、高圧放電灯LaとパルストランスPTとの直列回路に並列接続された始動用コンデンサC12が設けられている。コイルL12は、高圧放電灯側の電流経路のインピーダンスを高周波的に高くしてランプ電流のリップル成分をバイパスコンデンサC11側にバイパスさせる役割をする。このコイルL12とバイパスコンデンサC11とにより、ランプ電流のリップル成分が低減される。図中の始動用コンデンサC12は、高圧放電灯LaとパルストランスPTとともに高周波の始動パルスを放電灯に印加するループを形成している。
【0006】
このように、チョークコイルL11とバイパスコンデンサC11の接続点aと、パルストランスPTと始動用コンデンサC12の接続点bとの間にコイルL12を設けることで、チョークコイルL11からのランプ電流に重畳するリップル成分をバイパスコンデンサC11へバイパスさせ易くする方法が知られていた。発明者は、コイルとコンデンサからなるローパスフィルタを備えた点灯装置において、リップル電圧を計算したところ、ローパスフィルタがない場合に比べてP−P(ピークトゥーピーク)値でのリップル電圧が略半分程度まで減少することを確認した。
しかしながら、ランプ電流中のリップル成分は、ランプの寿命を短くしてしまうことも指摘されており、近年、産業界において高周波のリップル成分を更に低減させようとする動きが活発化しており、より優れたリップル除去機能を有する点灯装置が強く求められるようになった。例えば、高周波用のスペクトル分析器を用いて、ランプ電流のエネルギースペクトル密度(以下、パワースペクトルと呼ぶ。)を測定し、有害な高周波成分が残存しているかどうかを判断する手法がある。有害な高周波帯域のパワースペクトルが、パワースペクトル全体の1.5%以下となるまで、ランプ電流中のリップル成分を除去することができれば、アークが安定となり、かつ、ランプの寿命を長くすることができる。
【0007】
本発明の目的は、スイッチング素子を用いて点灯させる高圧放電灯の点灯装置において、ランプ電流に重畳するリップル成分を大幅に減少させることができ、音響共鳴現象を防止してアークを安定させ、ランプ寿命を大幅に延ばすことができる高圧放電灯点灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明にかかる高圧放電灯点灯装置は、インバータ回路と、リップル除去回路と、高電圧印加回路とを備える。インバータ回路は、直流電圧を高周波電圧に変換し、前記高周波電圧の極性を高周波電圧よりも低い周波数で反転させる複数のスイッチング素子のブリッジ構造と、前記ブリッジ構造の前記高周波電圧の出力端子間に直列接続されたチョークコイルおよび平滑コンデンサとを有する。リップル除去回路は、前記平滑コンデンサの両端間に接続され、前記インバータ回路から出力されるランプ電流に含まれるリップル成分を除去し、リップル成分が除去されたランプ電流を高圧放電灯に印加する。高電圧印加回路は、前記リップル除去回路と前記高圧放電灯との間に設けられ始動のための高電圧を当該高圧放電灯に印加する。リップル除去回路は、段階的にリップル成分を除去するように少なくとも二段のローパスフィルタから構成されている。ローパスフィルタは、前記インバータ回路からのランプ電流が交互に入力される第1入力端子および第2入力端子と、前記第1入力端子と第2入力端子間に直列接続された除去用コイルおよび除去用コンデンサと、前記除去用コイルと前記除去用コンデンサの接続点に接続された第1出力端子と、前記除去用コンデンサと前記第2入力端子の接続点に接続された第2出力端子とを有して構成される。一段目に配置されたローパスフィルタの前記第1入力端子および第2入力端子のいずれか一方は、前記チョークコイルと前記平滑コンデンサの接続点に接続され、前記第1入力端子および第2入力端子のいずれか他方は、前記平滑コンデンサと前記ブリッジ構造との接続点に接続される。前段に配置されたローパスフィルタの前記第1出力端子および第2出力端子のいずれか一方は、すぐ後段に配置されたローパスフィルタの前記第1入力端子に接続され、前記第1出力端子および第2出力端子のいずれか他方は、すぐ後段に配置されたローパスフィルタの前記第2入力端子に接続される。最後段に配置されたローパスフィルタの前記第1出力端子および第2出力端子からランプ電流が前記高電圧印加回路を介して前記高圧放電灯に印加されることを特徴とする。
ここで、インバータ回路には直流電圧が印加されるが、例えば、高力率コンバータなどのスイッチング電源によって供給される直流電圧としてもよいが、特に制限されるものではない。
【0009】
また、本発明では、複数段の前記ローパスフィルタのうちの少なくとも二段のローパスフィルタについて、前段に配置されたローパスフィルタの前記第1出力端子は、すぐ後段に配置されたローパスフィルタの前記第2入力端子に接続される。前段に配置されたローパスフィルタの前記第2出力端子は、すぐ後段に配置されたローパスフィルタの前記第1入力端子に接続されることが好ましい。
【0010】
本発明にかかる高圧放電灯点灯装置は、インバータ回路と、リップル除去回路と、高電圧印加回路とを備える。インバータ回路は、直流電圧を高周波電圧に変換し、前記高周波電圧の極性を高周波電圧よりも低い周波数で反転させる複数のスイッチング素子のブリッジ構造と、前記ブリッジ構造の前記高周波電圧の出力端子間に直列接続されたチョークコイルおよび平滑コンデンサとを有する。前記リップル除去回路は、前記平滑コンデンサの両端間に接続され、前記インバータ回路から出力されるランプ電流に含まれるリップル成分を除去し、リップル成分が除去されたランプ電流を高圧放電灯に印加する。高電圧印加回路は、前記リップル除去回路と前記高圧放電灯との間に設けられ始動のための高電圧を当該高圧放電灯に印加する。リップル除去回路は、少なくとも一段のバンド阻止フィルタから構成される。バンド阻止フィルタは、前記インバータ回路からのランプ電流が交互に入力される第1入力端子および第2入力端子と、前記第1入力端子と第2入力端子間に直列接続された第1除去用回路および第2除去用回路と、前記第1除去用回路と第2除去用回路の接続点に接続された第1出力端子と、前記第2除去用回路と前記第2入力端子の接続点に接続された第2出力端子とを有して構成される。第1入力端子および第2入力端子のいずれか一方は、前記チョークコイルと前記平滑コンデンサの接続点に接続され、前記第1入力端子および第2入力端子のいずれか他方は、前記平滑コンデンサと前記ブリッジ構造との接続点に接続される。前記第1除去用回路は、第1除去用コイルおよび第1除去用コンデンサを並列接続した回路であり、共振周波数帯域のリップル成分の通過を阻止する。前記第2除去用回路は、第2除去用コイルおよび第2除去用コンデンサを直列接続した回路であり、共振周波数帯域のリップル成分をバイパスする。前記第1出力端子および第2出力端子からランプ電流が前記高電圧印加回路を介して前記高圧放電灯に印加されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明では、前記リップル除去回路は、段階的にリップル成分を除去するように二段以上の前記バンド阻止フィルタから構成される。前段に配置されたバンド阻止フィルタの前記第1出力端子および第2出力端子のいずれか一方は、すぐ後段に配置されたバンド阻止フィルタの前記第1入力端子に接続され、前記第1出力端子および第2出力端子のいずれか他方は、すぐ後段に配置されたバンド阻止フィルタの前記第2入力端子に接続される。最後段に配置されたバンド阻止フィルタの前記第1出力端子および第2出力端子からランプ電流が前記高電圧印加回路を介して前記高圧放電灯に印加されることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明では、複数段の前記バンド阻止フィルタのうちの少なくとも二段のバンド阻止フィルタについて、前段に配置されたバンド阻止フィルタの前記第1出力端子は、すぐ後段に配置されたバンド阻止フィルタの前記第2入力端子と接続され、前段に配置されたバンド阻止フィルタの前記第2出力端子は、すぐ後段に配置されたバンド阻止フィルタの前記第1入力端子と接続されることが好ましい。
また、本発明では、前記バンド阻止フィルタの共振周波数が、直流電圧を高周波電圧に変換する前記スイッチング素子のスイッチング周波数と略一致していることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スイッチング素子を用いて点灯させる高圧放電灯の点灯装置において、複数段のローパスフィルタ、または、少なくとも一段のバンド阻止フィルタを含んで構成されるリップル除去回路を、インバータ回路の後段に設けたので、ランプ電流に重畳するリップル成分を大幅に減少させることができ、有害な高周波帯域のパワースペクトルをランプ電流のパワースペクトル全体の1.5%以下とすることができ、音響共鳴現象を防止してアークを安定させ、ランプ寿命を大幅に延ばすことができる。ここで、一段のバンド阻止フィルタを含んで構成されるリップル除去回路は、二段のローパスフィルタを含んで構成されるリップル除去回路と同等のリップル成分の除去効果が得られる。
また、リップル除去回路をインバータ回路と高電圧印加回路との間に設けたので、高電圧印加回路による始動用の高電圧への影響がなく、有害なリップル成分だけを効率よく除去することができる。
さらに、二段以上のローパスフィルタ、または、二段以上のバンド阻止フィルタを用いてリップル除去回路を構成する場合、前段のフィルタの第1出力端子と後段のフィルタの第2入力端子とを接続し、前段のフィルタの第2出力端子と後段のフィルタの第1入力端子とを接続することによって、各ローパスフィルタの除去用コイル、または、各バンド阻止フィルタの第1除去用コイルが、インバータ回路と高圧放電灯を結ぶ2本の電力線のうちの一方にだけ配置されることなく、両方の電力線にそれぞれ少なくとも1箇所ずつ配置されることになるので、電力線を通じたコモンモードのノイズの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る高圧放電灯点灯装置のブロック図である。
【図2】図1に示す高圧放電灯点灯装置の回路図である。
【図3】図1の高圧放電灯点灯装置におけるリップル除去回路の回路図であり、(A)は一段のバンド阻止フィルタ、(B)は二段のバンド阻止フィルタの回路図である。
【図4】ランプ電流の波形図であり、(A)はリップル除去回路なしの場合、(B)はリップル除去回路ありの場合の波形図である。
【図5】図1の高圧放電灯点灯装置におけるリップル除去回路の別の回路図であり、(A)は二段のローパスフィルタ、(B)は三段のローパスフィルタの回路図である。
【図6】前記二段のローパスフィルタの各コイルが、インバータ回路とHIDランプを結ぶ2つの電力線のうちの一方にだけ配置されている場合の回路図である。
【図7】前記二段のローパスフィルタの各コイルが、インバータ回路とHIDランプを結ぶ2つの電力線のそれぞれに配置されている場合の回路図である。
【図8】前記リップル除去回路を構成するローパスフィルタの組み合わせ例を示す回路図である。
【図9】前記リップル除去回路を構成するバンド阻止フィルタの組み合わせ例を示す回路図である。
【図10】従来の高圧放電灯点灯装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明の好適な実施形態を説明する。
図1には本発明の一実施形態に係る高圧放電灯点灯装置10が示されている。同図に示す高圧放電灯点灯装置10は、交流電源12の出力する交流電圧を全波整流する整流回路14と、全波整流出力から直流電圧を高力率で生成する力率改善回路16と、力率改善回路16の出力する直流電圧を略矩形波交流のランプ電流にするインバータ回路18と、HIDランプ(高圧放電灯)24を始動させるための高電圧を当該HIDランプ24に印加する高電圧印加回路22と、力率改善回路16の出力を一定電圧に制御するとともに、インバータ回路18の出力する略矩形波交流の制御等を行う制御回路26と、本発明において特徴的なインバータ回路18から出力されるランプ電流に重畳するリップル成分を除去し、リップル成分が除去されたランプ電流をHIDランプ24に印加するリップル除去回路20を備える。
【0016】
図2には、図1の高圧放電灯点灯装置10の回路構成の一例を示す。整流回路14にはバイパスコンデンサC1を介した交流電流が供給される。整流回路14は、ダイオードD1,D2,D3,D4よりなる全波整流ダイオードブリッジで構成され、低周波(例えば50Hz)の電源である交流電源12の出力端の両端に接続されている。力率改善回路16は、整流回路14の一方の出力端(図では+電圧出力端)に一端部が接続されたコイルL1と、このコイルL1の他端部と整流回路14のもう一方の出力端(図では−電圧出力端)の間にドレイン・ソースが接続された高周波スイッチング素子Q1と、この高周波スイッチング素子Q1のスイッチングに伴う高周波成分をバイパスさせるフィルタとしてのコンデンサC2と、コイルL1と高周波スイッチング素子Q1間の接続点にアノードが接続された転流ダイオードD5と、この転流ダイオードD5のカソードと整流回路14の−電圧出力端に接続された電解コンデンサC3を備えている。そして、力率改善回路16は、制御回路26により高周波スイッチング素子Q1のオン時間幅が制御されて、振幅一定な安定化した直流電圧を高力率で生成するアクティブフィルタ回路、あるいは直流電源として機能する。
【0017】
力率改善回路16の後段には、インバータ回路18が接続されている。インバータ回路18は、力率改善回路16の電解コンデンサC3の両端にフルブリッジ接続された4つのスイッチング素子Q2,Q3,Q4,Q5のブリッジ構造を備える。ブリッジ構造は、スイッチング素子Q2,Q3の直列回路と、スイッチング素子Q4,Q5の直列回路とを有し、各直列回路が並列に接続されている。また、インバータ回路18は、スイッチング素子Q4,Q5間の接続点に一端部が接続されたチョークコイルL2と、このチョークコイルL2の他端部とスイッチング素子Q2,Q3間の接続点に接続された平滑コンデンサC4とを備える。スイッチング素子Q2,Q3間の接続点と、スイッチング素子Q4,Q5間の接続点は、ブリッジ構造の高周波電圧の出力端子であり、この高周波電圧の出力端子間に、チョークコイルL2および平滑コンデンサC4が直列接続されているのである。
【0018】
制御回路26によって、例えば数百Hzの低い周波数でスイッチング素子Q3,Q5が交互にオンオフし、スイッチング素子Q3がオン状態のときにスイッチング素子Q4が数十kHの高い周波数でオンオフし、スイッチング素子Q5がオン状態のときにスイッチング素子Q2が同様にオンオフする。このオンオフ制御によって、力率改善回路16より出力される直流電圧を高周波電圧に変換し、さらに高周波電圧の極性を低周波数で反転させている。つまり、直流電圧が所定の交番周波数を有する高周波数の矩形波電圧(これを高周波電圧と呼ぶ。)に変換される。この高周波電圧がチョークコイルL2と平滑コンデンサC4に印加されることにより、平滑コンデンサC4の両端間に接続されたリップル除去回路20へインバータ回路18から所定の交番周波数のランプ電流が出力されるのである。
本実施形態では、制御回路26は、スイッチング素子の発熱による回路損失を防止するため、スイッチング素子に流れるランプ電流が減少してゼロとなるところでスイッチング素子の切り替えを実行する。つまり、ソフト・スイッチング方式が採用されている。なお、スイッチング素子Q2,Q3,Q4,Q5としてFETを用いた場合を図示したが、これに限定されるものではない。
【0019】
リップル除去回路20は、図3(A)に示すように、インバータ回路18からのランプ電流が交互に入力される第1入力端子30および第2入力端子32と、リップル成分が除去されたランプ電流を出力する第1出力端子34および第2出力端子36を有する回路である。第1入力端子30は、チョークコイルL2に接続された平滑コンデンサC4の一端部に接続され、第2入力端子32は、平滑コンデンサC4の他端部に接続される。回路構成の詳細については後述する。なお、第1入力端子30と第2入力端子32とを入れ替えて接続してもよい。
【0020】
図2に戻り、高電圧印加回路22は、リップル除去回路20とHIDランプ24との間に設けられ、図3(A)に示した第1出力端子34に巻線の一端部が接続された昇圧トランスT1と、この昇圧トランスT1とHIDランプ24による直列回路に対して並列的に接続された始動用コンデンサC7を備えている。始動用コンデンサC7とHIDランプ24の接続点は、リップル除去回路20の第2出力端子36に繋がっている。始動用コンデンサC7は、始動の際、蓄えたエネルギーを放出することで昇圧トランスT1に1MHz前後の高電圧パルスを発生させる。
【0021】
本発明において特徴的なことは、インバータ回路18から出力されるランプ電流に重畳するリップル成分を大幅に減少させることであり、このために本実施形態においてはリップル除去回路20を備え、このリップル除去回路20によってリップル成分が除去されたランプ電流がHIDランプ24に印加されるのである。リップル除去回路20は、例えば図3(A)に示すような一段のバンド阻止フィルタ40により構成される。バンド阻止フィルタ40は、第1入力端子30と第2入力端子32間に直列接続された第1除去回路42および第2除去回路44を有する。なお、第1出力端子34は、第1除去用回路42と第2除去用回路44の接続点に接続されている。第2出力端子36は、第2除去用回路44と第2入力端子32の接続点に接続されている。
【0022】
第1除去回路42は、第1除去用コイルL3および第1除去用コンデンサC5を並列接続したLC並列回路であり、LC並列回路の共振周波数帯域に含まれるリップル成分の通過を阻止する。第2除去回路44は、第2除去用コイルL4および第2除去用コンデンサC6を直列接続したLC直列回路であり、LC直列回路の共振周波数帯域に含まれるリップル成分をバイパスさせる。つまり、除去したいリップル成分の周波数を狙って、第1除去回路42と第2除去回路44の各共振周波数を設定することにより、第1除去回路42および第2除去回路44によってリップル成分を減少させるのである。
【0023】
リップル成分は、インバータ回路18から出力される所定の交番周波数を有する矩形波交流電流(ランプ電流)に重畳される変動成分であり、図4に示すランプ電流の波形のようになる。つまり、インバータ回路18における直流電圧を高周波電圧に変換するスイッチング素子Q2,Q4のスイッチング周波数に同期した変動成分となる。この変動成分を同図に拡大して示す。図4(A)のようにリップル除去回路なしの場合の変動成分に対して、本実施形態のようにリップル除去回路20を設けることによって変動成分だけを減少させることができる(図4(B))。リップル除去回路20は、LCフィルタであるので電力損失を生じず、高周波の変動成分(リップル成分)のみを除去できる。
また、上記のようにリップル成分がスイッチング周波数に同期した変動成分であるため、バンド阻止フィルタ40の共振周波数をスイッチング素子Q2,Q4のスイッチング周波数と略一致させることにより、リップル成分を効率よく除去することができる。本実施形態では、第1除去回路42および第2除去回路44の各共振周波数をスイッチング周波数に略一致させているが、これに限られず、予め測定したリップル成分の周波数帯域に応じて第1除去回路42および第2除去回路44の共振周波数を設定してもよい。
【0024】
このようなバンド阻止フィルタ40を、図3(B)に示すように二段、または、三段以上設けることにより、リップル成分の除去効果を高めることができる。複数段のバンド阻止フィルタ40を有するリップル除去回路20Aは、一番目のバンド阻止フィルタ40から出力されたランプ電流が少なくとも二番目のバンド阻止フィルタ40に付与される。例えば、2段目のバンド阻止フィルタの共振周波数を、第2高調波に相当するリップル成分を狙って設定すれば、リップル成分を段階的に除去することができる。同図(B)には二段のバンド阻止フィルタ40の場合を示すが、同じ素子に同じ符号を付している。二つのバンド阻止フィルタ40は、同図(A)のバンド阻止フィルタ40と同一構成である。
【0025】
図3(B)のリップル除去回路20Aでは、二番目のバンド阻止フィルタ40は、一番目のバンド阻止フィルタ40に対して、各フィルタの第1除去回路42が直列に配置されないで、入れ違いに配置されるように接続されている。つまり、一番目のバンド阻止フィルタ40の第1出力端子34は、二番目のバンド阻止フィルタ40の第2入力端子32に接続され、一番目のバンド阻止フィルタ40の第2出力端子36は、二番目のバンド阻止フィルタ40の第1入力端子30に接続されている。三段以上のバンド阻止フィルタ40を用いる場合、各バンド阻止フィルタ40の第1除去回路42を入れ違い(千鳥状)に配置してもよい。少なくとも三段以上のバンド阻止フィルタ40のうちの前段にあるバンド阻止フィルタ40の第1出力端子34が、後段のバンド阻止フィルタ40の第2入力端子32と接続し、前段の第2出力端子36が、後段のバンド阻止フィルタ40の第1入力端子30と接続していればよい。このようにバンド阻止フィルタ40を接続すれば、スイッチング素子Q2,Q3間の接続点と、HIDランプ24の一方の主電極を結ぶ電力線にも、スイッチング素子Q4,Q5間の接続点と、HIDランプ24の他方の主電極を結ぶ電力線にも、少なくとも1つずつ第1除去回路42が設けられることになる。
【0026】
以上の説明では、バンド阻止フィルタ40を採用した場合を説明したが、リップル除去回路としては、バンド阻止フィルタ40に代えて、二段以上のローパスフィルタ50を採用してもよい。複数段のローパスフィルタ50によって、段階的にリップル成分を除去するのである。ローパスフィルタ50を用いたリップル除去回路20B,20Cの構成を図5に示す。一段分のローパスフィルタ50は、インバータ回路18からのランプ電流が交互に入力される第1入力端子30および第2入力端子32と、第1入力端子30と第2入力端子32間に直列接続された除去用コイルL5および除去用コンデンサC8と、除去用コイルL5と除去用コンデンサC8の接続点に接続された第1出力端子34と、除去用コンデンサC8と第2入力端子32の接続点に接続された第2出力端子36とを有して構成される。
【0027】
ここで、除去用コイルL5は、ランプ電流中のリップル成分の抵抗として機能し、リップル成分の通過を抑制する。除去用コンデンサC8は、除去用コイルL5で抑制しきれずに通過したリップル成分をバイパスさせる。このようにして、除去用コイルL5および除去用コンデンサC8によってリップル成分を減少させる。そして、図5(A)のように二段のローパスフィルタ50を有するリップル除去回路20Bは、前述の一段のバンド阻止フィルタ40と同等のリップル成分の除去効果を発揮する。さらに、図5(B)のように三段のローパスフィルタ50を有するリップル除去回路20C、または三段以上のローパスフィルタを有するリップル除去回路とすれば、リップル除去効果がさらに向上する。同図(A)、(B)には同じ素子に同じ符号を付した。各ローパスフィルタ50は、いずれも同一構成である。
【0028】
なお、一段目に配置されたローパスフィルタ50の第1入力端子30および第2入力端子32のいずれか一方は、チョークコイルL2と平滑コンデンサC4の接続点に接続され、第1入力端子30および第2入力端子32のいずれか他方は、平滑コンデンサC4とスイッチング素子のフルブリッジ構造との接続点に接続される。
ローパスフィルタ50同士の接続については、図5(A),(B)の接続方法に限らず、前段に配置されたローパスフィルタ50の第1出力端子34および第2出力端子36のいずれか一方が、すぐ後段に配置されたローパスフィルタ50の第1入力端子30に接続され、いずれか他方が、すぐ後段のローバスフィルタ50の第2入力端子32に接続されればよい。最後段に配置されたローパスフィルタ50の第1出力端子34および第2出力端子36からランプ電流が高電圧印加回路22を介してHIDランプ24に印加される。
【0029】
さらに、前述の図3(B)の二段のバンド阻止フィルタ40の接続と同様に、コモンモードのノイズの発生を防止するため、複数段のローパスフィルタ50のうちの前段のローパスフィルタの第1出力端子34を、後段のローパスフィルタの第2入力端子32に接続し、前段の第2出力端子36を、後段のローパスフィルタの第1入力端子30に接続するとよい。コモンモードのノイズが外界に流出することを防止する仕組みを図6と図7を用いて説明する。図6は、二段のローパスフィルタ50の各除去用コイルL5が、インバータ回路18とHIDランプ24を結ぶ2本の電力線のうちの一方にだけ配置されている場合の回路図である。図7は、二段のローパスフィルタ50の各除去用コイルL5が、インバータ回路18とHIDランプ24を結ぶ2つの電力線のそれぞれに配置されている場合の回路図である。図6のリップル除去回路20Dでは、同じ電力線に各ローパスフィルタ50の除去用コイルL5が接続されているのに対し、図7のリップル除去回路20Bでは、両方の電力線に1つずつローパスフィルタ50の除去用コイルL5が接続されている。放電灯点灯回路と大地(アース)間が、二か所の浮遊容量で電気的に接続され、放電灯点灯回路と大地と二か所の浮遊容量による仮想経路が形成された場合、図6の放電灯点灯回路では、図中に矢印で示すコモンモードのノイズが除去用コイルL5のない電力線側を流れてしまう。これに対し、図7の放電灯点灯回路では、除去用コイルL5が各電力線に配置されているため、電力線をコモンモードのノイズが流れずに済み、外界にノイズ成分が流出しない。本実施形態によれば、雑音端子電圧、放射雑音ともに平均で6dB以上低減させることができる。
【0030】
図2のHIDランプ24を始動させる際、高電圧印加回路22の始動用コンデンサC7に蓄えられたエネルギーは、昇圧トランスT1で高電圧パルスとなって、HIDランプ24に印加される。もし、リップル除去回路20を、高電圧印加回路22とHIDランプ24間に配置したとすれば、HIDランプ24に流れるリップル成分を最小にすることができる。しかし、始動用の高電圧パルスは高周波成分を多く含むため、正常な高周波成分であるにも関わらず、リップル除去回路20によって除去されてしまう。特に、ローパスフィルタ50の場合、高電圧パルスの高周波成分がリップル除去回路20を通過できなくなってしまう。そこで、本実施形態では、バンド阻止フィルタ40、ローパスフィルタ50のいずれの場合においてもリップル除去回路20を、インバータ回路18と高電圧因果回路22間に配置する。こうすれば、リップル除去回路20の高周波成分の除去機能が、放電に必要な高電圧パルスに作用することがない。従って、始動用の高電圧パルスに影響を与えることなく、ランプ電流に含まれる有害なリップル成分だけを除去することができる。
【0031】
本実施形態においてとバンド阻止フィルタ40とローパスフィルタ50を組み合わせたリップル除去回路20を用いてもよいことは言うまでもない。例えば、一段目のフィルタにバンド阻止フィルタ40を採用し、二段目のフィルタにローパスフィルタ50を採用できる。
【0032】
リップル成分をどの程度除去する必要があるかに関し、例えば、ランプ電流のエネルギースペクトル密度(以下、パワースペクトルと呼ぶ。)を測定して、有害な高周波成分が残存しているかどうかを判断する手法がある。この手法では、高周波用のスペクトル分析器を用いてランプ電流のパワースペクトルを測定する。そして、所定の高周波帯域のパワースペクトルが、パワースペクトル全体の1.5%以下であれば、有害でないとするものである。本発明の高圧放電灯点灯装置10によれば、リップル除去回路20によってリップル成分を除去することにより、上述の判断手法における高周波帯域のパワースペクトルを1.5%以下にすることができ、音響共鳴現象を防止してアークを安定させ、ランプ寿命大幅に延ばせることができる。
【0033】
発明者らは、リップル除去回路20の性能を具体的に示すため、リップル除去回路20の有無によるリップル電圧を次の条件で算出した。リップル除去回路20を構成する素子の条件を図8と図9に示す。図8のようにローパスフィルタ50を構成するコイルL5のインダクタンスを100μHとし、コンデンサC8の容量を0.2μFとした。また、図9のようにバンド阻止フィルタ40中の第1除去回路42を構成するコイルL3のインダクタンスを90μHとし、コンデンサC5の容量を0.04μFとし、第2除去回路44を構成するコイルL4のインダクタンスを45μHとし、コンデンサC6の容量を0.02μFとした。複数段のフィルタを有する場合については、ローパスフィルタ50のコイルL5またはバンド阻止フィルタ40の第1除去回路42が、2つの電力線に対して前段から後段に向けて互い違いに配置されるように、各フィルタを接続するものとした。また、インバータ回路18のスイッチング周波数は83kHzとした。リップル電圧の計算結果を表1に示す。リップル電圧はP−P(ピークトゥーピーク)値で示す。
【0034】
【表1】

【0035】
上記の表1から分かるように、リップル除去回路がない場合のリップル電圧は18.9Vとなる。これに対して、本発明のローパスフィルタ50を一段、二段、三段と設けることによって、リップル電圧は7.0V、2.1V、0.6Vのように減少する。一方、バンド阻止フィルタ40を一段だけ設けた場合、ローパスフィルタ50を二段設けた場合と同等の3.3Vまでリップル電圧が減少する。また、バンド阻止フィルタ40を二段設けた場合は1.9Vまでリップル電圧が減少する。
【0036】
なお、インバータ式放電灯点灯装置には、4個のスイッチング素子の交番により所望周波数の矩形波電力をランプに供給するフルブリッジ型インバータ回路を採用するものと、2個のスイッチング素子の交番により所望周波数の電力をランプに供給するハーフブリッジ型インバータ回路を採用するものとがある。前記実施形態では、フルブリッジ型のインバータ回路を採用した場合について説明したが、本発明の高圧放電灯点灯装置としては、ハーフブリッジ型のインバータ回路を採用した場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプなどのHIDランプのほか、キセノンランプを含む高圧放電点灯装置に応用できる。また、産業用紫外線応用のための高圧放電点灯装置に応用できる。さらに、本発明にかかる放電灯点灯装置は、オフィスや店舗用の照明器具に広く利用できる。
【符号の説明】
【0038】
10 高圧放電灯点灯装置
18 インバータ回路
20 リップル除去回路
22 高電圧印加回路
30 第1入力端子
32 第2入力端子
34 第1出力端子
36 第2出力端子
40 バンド阻止フィルタ
42 LC並列回路(第1除去回路)
44 LC直列回路(第2除去回路)
50 ローパスフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧を高周波電圧に変換し、前記高周波電圧の極性を高周波電圧よりも低い周波数で反転させる複数のスイッチング素子のブリッジ構造と、前記ブリッジ構造の前記高周波電圧の出力端子間に直列接続されたチョークコイルおよび平滑コンデンサと、を有するインバータ回路と、
前記平滑コンデンサの両端間に接続され、前記インバータ回路から出力されるランプ電流に含まれるリップル成分を除去し、リップル成分が除去されたランプ電流を高圧放電灯に印加するリップル除去回路と、
前記リップル除去回路と前記高圧放電灯との間に設けられ始動のための高電圧を当該高圧放電灯に印加する高電圧印加回路と、
を備える高圧放電灯点灯装置であって、
前記リップル除去回路は、段階的にリップル成分を除去するように少なくとも二段のローパスフィルタから構成され、
前記ローパスフィルタは、
前記インバータ回路からのランプ電流が交互に入力される第1入力端子および第2入力端子と、
前記第1入力端子と第2入力端子間に直列接続された除去用コイルおよび除去用コンデンサと、
前記除去用コイルと前記除去用コンデンサの接続点に接続された第1出力端子と、
前記除去用コンデンサと前記第2入力端子の接続点に接続された第2出力端子と、
を有して構成され、
一段目に配置されたローパスフィルタの前記第1入力端子および第2入力端子のいずれか一方は、前記チョークコイルと前記平滑コンデンサの接続点に接続され、前記第1入力端子および第2入力端子のいずれか他方は、前記平滑コンデンサと前記ブリッジ構造との接続点に接続され、
前段に配置されたローパスフィルタの前記第1出力端子および第2出力端子のいずれか一方は、すぐ後段に配置されたローパスフィルタの前記第1入力端子に接続され、前記第1出力端子および第2出力端子のいずれか他方は、すぐ後段に配置されたローパスフィルタの前記第2入力端子に接続され、
最後段に配置されたローパスフィルタの前記第1出力端子および第2出力端子からランプ電流が前記高電圧印加回路を介して前記高圧放電灯に印加されることを特徴とする高圧放電灯点灯装置。
【請求項2】
請求項1記載の高圧放電灯点灯装置において、
複数段の前記ローパスフィルタのうちの少なくとも二段のローパスフィルタについて、
前段に配置されたローパスフィルタの前記第1出力端子は、すぐ後段に配置されたローパスフィルタの前記第2入力端子に接続され、前段に配置されたローパスフィルタの前記第2出力端子は、すぐ後段に配置されたローパスフィルタの前記第1入力端子に接続されることを特徴とする高圧放電灯点灯装置。
【請求項3】
直流電圧を高周波電圧に変換し、前記高周波電圧の極性を高周波電圧よりも低い周波数で反転させる複数のスイッチング素子のブリッジ構造と、前記ブリッジ構造の前記高周波電圧の出力端子間に直列接続されたチョークコイルおよび平滑コンデンサと、を有するインバータ回路と、
前記平滑コンデンサの両端間に接続され、前記インバータ回路から出力されるランプ電流に含まれるリップル成分を除去し、リップル成分が除去されたランプ電流を高圧放電灯に印加するリップル除去回路と、
前記リップル除去回路と前記高圧放電灯との間に設けられ始動のための高電圧を当該高圧放電灯に印加する高電圧印加回路と、
を備える高圧放電灯点灯装置であって、
前記リップル除去回路は、少なくとも一段のバンド阻止フィルタから構成され、
前記バンド阻止フィルタは、
前記インバータ回路からのランプ電流が交互に入力される第1入力端子および第2入力端子と、
前記第1入力端子と第2入力端子間に直列接続された第1除去用回路および第2除去用回路と、
前記第1除去用回路と第2除去用回路の接続点に接続された第1出力端子と、
前記第2除去用回路と前記第2入力端子の接続点に接続された第2出力端子と、
を有して構成され、
前記第1入力端子および第2入力端子のいずれか一方は、前記チョークコイルと前記平滑コンデンサの接続点に接続され、前記第1入力端子および第2入力端子のいずれか他方は、前記平滑コンデンサと前記ブリッジ構造との接続点に接続され、
前記第1除去用回路は、第1除去用コイルおよび第1除去用コンデンサを並列接続した回路であり、共振周波数帯域のリップル成分の通過を阻止し、
前記第2除去用回路は、第2除去用コイルおよび第2除去用コンデンサを直列接続した回路であり、共振周波数帯域のリップル成分をバイパスし、
前記第1出力端子および第2出力端子からランプ電流が前記高電圧印加回路を介して前記高圧放電灯に印加されることを特徴とする高圧放電灯点灯装置。
【請求項4】
請求項3記載の高圧放電灯点灯装置において、
前記リップル除去回路は、段階的にリップル成分を除去するように二段以上の前記バンド阻止フィルタから構成され、
前段に配置されたバンド阻止フィルタの前記第1出力端子および第2出力端子のいずれか一方は、すぐ後段に配置されたバンド阻止フィルタの前記第1入力端子に接続され、前記第1出力端子および第2出力端子のいずれか他方は、すぐ後段に配置されたバンド阻止フィルタの前記第2入力端子に接続され、
最後段に配置されたバンド阻止フィルタの前記第1出力端子および第2出力端子からランプ電流が前記高電圧印加回路を介して前記高圧放電灯に印加されることを特徴とする高圧放電灯点灯装置。
【請求項5】
請求項4記載の高圧放電灯点灯装置において、
複数段の前記バンド阻止フィルタのうちの少なくとも二段のバンド阻止フィルタについて、
前段に配置されたバンド阻止フィルタの前記第1出力端子は、すぐ後段に配置されたバンド阻止フィルタの前記第2入力端子と接続され、前段に配置されたバンド阻止フィルタの前記第2出力端子は、すぐ後段に配置されたバンド阻止フィルタの前記第1入力端子と接続されることを特徴とする高圧放電灯点灯装置。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれかに記載の高圧放電灯点灯装置において、
前記バンド阻止フィルタの共振周波数が、直流電圧を高周波電圧に変換する前記スイッチング素子のスイッチング周波数と略一致していることを特徴とする高圧放電灯点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−49085(P2011−49085A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197951(P2009−197951)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000126274)株式会社アイ・ライティング・システム (56)
【Fターム(参考)】