説明

高圧水素の製造方法および製造装置

【課題】水電解によって350気圧以上の高圧で、しかも、水分や酸素含有量の少ない水素を、安定にかつ効率よく、安全に発生させることのできる高圧水素の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】高圧容器7内に設置された固体高分子電解質膜からなる電解セ13ルを用い、電気分解により、陰極で水素を、陽極で酸素を発生させる高圧水素の調製方法において、得られた水素の反応系外への取出しを、当該水素の圧力を所定の圧力以上に維持しながら、または、当該水素の圧力が所定の圧力を超えたときのみに、行う高圧水素の製造方法とし、また高圧水素の製造装置としては、得られた水素の反応系外への取出し配管に背圧弁21が設けられているものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水の電気分解によって高圧水素(圧縮水素)、より具体的には、350気圧又はそれ以上の高圧のエネルギー源として有用な高圧水素の製造方法およびその製造装置に関するもので、エネルギー関連技術に関するものである。

【背景技術】
【0002】
地球温暖化を回避する手段の一つとして、エネルギー消費に伴なうCO排出量の低減が求められている。COを排出しないエネルギーとしては、太陽光や風力などの自然エネルギーや原子力が知られている。これらのエネルギーは、全て電気の形態で利用されるため、貯蔵および輸送に不便なことが問題である。
【0003】
すなわち、エネルギー利用では、貯蔵および輸送の利便性が重要で、水素がエネルギー源として有用視されるのは、COを排出しないが、貯蔵や輸送が不便な、自然エネルギーや原子力エネルギーから得られる電気エネルギーを、水の電気分解によって水素に変換することにより、貯蔵および輸送に便利なエネルギーとしての水素に変換され利用できるからである。
【0004】
この電気エネルギーの変換により得られる水素は気体で、より高い貯蔵や輸送の利便性を確保するためには、圧縮して体積を小さくすることが不可欠である。特に、水素燃料電池自動車においては、350気圧の圧縮水素を燃料としており、将来的には、700気圧が考えられているので、効率的で信頼性の高い水素圧縮手段が求められている。
【0005】
このような高圧の圧縮水素に対する需要は、これまで無かった。しかしながら、水の電気分解では、18ccの水から、22.4NLの水素と11.2NLの酸素が発生し、体積が大きく膨張するので、高圧の水素を製造することが可能である。そこで、この原理を応用して、発明者は、既に、350気圧又はそれ以上の圧縮水素を、水の電気分解だけで製造する高圧水素の製造方法および製造装置について、幾つかの提案を行っている。
【0006】
例えば、特開2003−221690号公報(特許文献1)においては、純水を電気分解して水素を発生させる固体高分子電解質膜を用いた水電解セルを、発生した水素を貯蔵する高圧容器内に設置した高圧水素の製造装置およびその装置を用いた水素の製造方法を提案している。
【0007】
また、特開2003−342773号公報(特許文献2)においては、固体高分子電解質膜からなる水電解セルにより、純水を電気分解して発生させた水素を貯留する水素高圧容器と、酸素を貯留する酸素高圧容器の圧力差を、差圧検知器又は圧力調整器を用いて、それぞれの容器内に並存する純水の移動により調整し得る、高圧水素の製造装置およびその装置を用いた水素の製造方法を提案している。
【特許文献1】特開2003−221690号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2003−342773号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明者が提案した、前記の高圧水素の製造装置およびその装置を用いた高圧水素の製造方法は、350気圧の圧縮水素は勿論、700気圧の圧縮水素の製造をも可能とするものであるが、より特性の優れた、具体的には、含有水分の少ない、あるいは混入酸素の少ない高圧水素を安定的に得るためには、さらなる改良が求められる。
【0009】
すなわち、水の電気分解で発生した高圧水素には、原料の水が水蒸気の形で混入することが避けられず、水蒸気の混入による結露や、それにより生じる凍結が発生するおそれがあるので、それらに対する対策が必要となってきている。
【0010】
例えば、従来、燃料電池自動車の燃料に使用する水素の露点は、−60℃以下又は結露しないこととされてきたが、大気圧で露点−60℃の水素は、350気圧に加圧されると露点が−6.1℃となり、700気圧では、2.5℃となるので、そのような水素は、当然のことに、冬季に結露し、さらには凍結するおそれが少ないとはいえ、無視し得ないものである。したがって、最近では、燃料電池自動車の燃料に使用する高圧水素に関しては、結露しないことのみが要求されるようになってきている。
【0011】
そのため、結露しない高圧水素として、例えば、350気圧で露点−40℃の高圧水素を目標とすると、大気圧で露点―82.5℃の水素に、また、700気圧で露点−40℃の高圧水素を目標とすると、大気圧で露点−86.5℃の水素と同等の、微量の水分含量までに除湿しておくことが必要となる。
【0012】
このような低い露点の水素ガスは、半導体製造プロセスなどでは使用されているが、配管等の装置内壁に吸着されている水分が放出され尽くさないと、このような低い露点には到達しないので、特別な取り扱いが必要とされている。さらに、エネルギー用水素供給では、需要頻度にバラつきがあり、起動停止を頻繁に繰り返すので、このような露点の管理が難しく、安定して大気圧で−80℃以下の露点のガスを生成することは不可能と言っても過言ではない。
【0013】
さらに、低圧水素中の水分除去に際しては、水分吸着剤を充填した筒を2筒有し、一方の筒で、水素中の水分を吸着して水素を乾燥させている間に、他方の筒では、水分吸着剤に吸着させた水を加熱脱着により遊離させて再生する2筒方式のガス乾燥機が広く用いられている。具体的には、この方式における水分吸着剤の再生は、水分吸着剤を充填した筒を温度300℃以上に加熱し、吸着した水分を水分吸着剤から遊離させ、他方の筒で乾燥させた水素の一部を用いて水分を追い出し、水分吸着剤を再生するというものである。
【0014】
しかしながら、この方法は、2筒の吸湿筒を交互に使用するため、連続的に吸湿操作が行なえるために優れている方法であるが、高圧水素の製造装置に採用するためには、高圧ガス保安法で要求される防爆規格の再生用加熱ヒーターや、温度300℃以上の耐熱性のあるバルブや減圧弁を必要としている。そのため、高圧のガスを高圧状態で乾燥させるガス乾燥機に簡単に応用することが難しい。また、2筒方式のガス乾燥機では、水分吸着剤の再生に使用した水素は、通常は、大気放出されるので、その分、効率が低下するという欠点を有している。さらに、低圧の水素に適用するのでは、水素中の飽和水蒸気分圧が相対的に高くなり、その分、除湿すべき水分量が増えるので、除湿に必要なエネルギーも多くなるという問題も有している。
また、低圧の水電解で生成した飽和水蒸気分圧を含む水素を2筒方式のガス乾燥機で除湿してから、コンプレッサーで昇圧する従来の方法では、生成した水素の1割程度が水分吸着剤の再生で失われるという問題も有している。
【0015】
上記提案の高圧水素の製造方法によって製造された水素中には、製造する水素の圧力に関係なく、酸素が100ppm以下の量で存在する。この酸素は、燃料電池において触媒毒として作用することがあるため、燃料電池自動車の水素燃料規格では、酸素は、1ppm以下と規定されている。
したがって、上記規格を満足させ、問題のない水素とするためには、酸素を除去することが必要となる。
この酸素の除去は、通常、酸素除去触媒を充填した筒を通して混入酸素を水素と反応させて、水にすることにより行なわれ、使用される酸素除去触媒は半永久的なもので、ランニングコストは僅かであるが、生成した水は、除湿すべき水分負荷として、上記した問題が発生し、上記と同様に処理されることが必要である。
【0016】
しかしながら、製造する水素が400気圧〜700気圧という高圧になると、上記提案の高圧水素の製造方法によって製造する水素および酸素の圧力に比例して、水素と酸素を分離している固体高分子電解質膜を拡散する水素および酸素の量が増大する。幸いなことに、拡散により水素中に混入する酸素および酸素中に混入する水素は、固体高分子電解質膜の両面に形成されている白金系触媒電極の触媒作用により反応して水となるため、水素中の酸素濃度および酸素中の水素濃度が増えることはないが、水素および酸素の収量が、高圧のもとではそれらの拡散により低下するという問題が生じる。
したがって、400気圧〜700気圧という高圧の水素を得るためには、別途加圧方法を考慮する必要が生じてきた。
【0017】
さらに、副次的な問題として、上記提案の高圧水素の製造方法においては、電気分解して発生させた水素を貯留する水素高圧容器と、酸素を貯留する酸素高圧容器の圧力差を、差圧検知器又は圧力調整器を用いて、それぞれの容器内に並存する純水の移動により調整しているが、得られた高圧水素の取出しに際し、差圧調整する純水の移動に影響を与えることがある。また、差圧バランスを崩して、高圧水素の安定製造を阻害する虞もあるとともに、慎重な高圧水素の取出しという問題も顕在化しているので、かかる問題の発生する虞のない製造の容易な方法が求められてきている。
【0018】
この発明はかかる現状に鑑み、高圧の圧縮水素での結露の問題を、基本的には、水素の取出を当該水素の圧力に基づいて制限しながら行なうことによって、また、装置的には、背圧弁を用いることにより解決し、結露しない350気圧もしくはそれ以上の高圧の圧縮水素を発生させることのできる高圧水素の製造方法と、その製造装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記目的を達成するため、この発明にかかる請求項1に記載の発明は、
高圧容器内に設置された固体高分子電解質膜からなる電解セルを用い、純水の電気分解により陰極で水素を、陽極で酸素を発生させる高圧水素の製造方法において、
得られた水素の反応系外への取出しを、当該水素の圧力を所定の圧力以上に維持しながら行なうこと
を特徴とする高圧水素の製造方法である。
【0020】
また、この発明の請求項2に記載の発明は、
高圧容器内に設置された固体高分子電解質膜からなる電解セルを用い、純水の電気分解により陰極で水素を、陽極で酸素を発生させる高圧水素の製造方法において、
得られた水素の反応系外への取出しを、当該水素の圧力が所定の圧力を超えた時のみ行なうこと
を特徴とする高圧水素の製造方法である。
【0021】
また、この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の高圧水素の製造方法において、
前記電気分解は、
陰極における圧力と陽極における圧力の差を調整しながら、行なわれるものであること
を特徴とするものである。
【0022】
また、この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の高圧水素の製造方法において、
前記圧力は、
10気圧以上の圧力であること
を特徴とするものである。
【0023】
また、この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の高圧水素の製造方法において、
前記水素の反応系外への取出しは、
予め定められた設定圧力を超えたときのみ作動する背圧弁を用いて行なわれること
特徴とするものである。
【0024】
また、この発明の請求項6に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の高圧水素の製造方法において、
前記水素は、
含有する水分が、反応系外へ取出された後、吸着剤を用いて除去されること
を特徴とするものである。
【0025】
また、この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の高圧水素の製造方法において、
前記水素は、
含有する成分が、反応系外へ取出される前に、その一部が冷却により除去され、反応系外へ取出された後に、吸着剤を用いてさらに除去されること
を特徴とするものである。
【0026】
また、この発明の請求項8に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の高圧水素の製造方法において、
前記水素は、
含有する酸素が、反応系外へ取出される前に、水素と反応し水として除去されること
を特徴とするものである。
【0027】
また、この発明の請求項9に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の高圧水素の製造方法において、
前記水素は、
反応系外へ取出された後、さらに加圧されること
を特徴とするものである。
【0028】
また、この発明の請求項10に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の高圧水素の製造方法において、
前記水素は、
反応系外へ取出されて加圧された後、冷却により含有する水分が除去されること
を特徴とするものである。
【0029】
また、この発明の請求項11に記載の発明は、
請求項9に記載の高圧水素の製造方法において、
前記加圧された水素は、
含有する水分が、冷却および吸着剤により除去されること
を特徴とするものである。
【0030】
さらに、この発明の請求項12に記載の発明は、
高圧容器内に設置された固体高分子電解質膜からなる電解セルによる純水の電気分解によって、前記電解セルの陰極で水素を、陽極で酸素を発生させる高圧水素製造装置において、
得られた水素の反応系外への取出し配管に、背圧弁が設けられていること
を特徴とする高圧水素製造装置である。
【0031】
また、この発明の請求項13に記載の発明は、
請求項12に記載の高圧水素製造装置において、
前記陰極における圧力と陽極における圧力の差を解消させる差圧調整装置を有すること、
を特徴とするものである。
【0032】
また、この発明の請求項14に記載の発明は、
請求項13に記載の高圧水素製造装置において、
前記差圧調整装置が、
水素を貯留する高圧水素容器と、酸素を貯留する高圧酸素容器の各底部間を連通させる配管に設けられていること
を特徴とするものである。
【0033】
また、この発明の請求項15に記載の発明は、
請求項13又は14に記載の高圧水素製造装置において、
前記差圧調整装置が、
ベローズを用いて差圧を調整するものであること
を特徴とするものである。
【0034】
また、この発明の請求項16に記載の発明は、
請求項12に記載の高圧水素製造装置において、
前記背圧弁の入口側水素配管には、
脱酸素筒と、水分除去のための冷却器とが接続されていること
を特徴とするものである。
【0035】
また、この発明の請求項17に記載の発明は、
請求項12に記載の高圧水素製造装置において、
前記背圧弁の出口側水素配管には、
水分吸着筒が接続されていること
を特徴とするものである。
【0036】
また、この発明の請求項18に記載の発明は、
請求項12に記載の高圧水素製造装置において、
前記背圧弁の出口側水素配管には、
水素ガスの加圧装置が接続されていること
を特徴とするものである。
【0037】
また、この発明の請求項19に記載の発明は、
請求項12に記載の高圧水素製造装置において、
前記背圧弁の出口側水素配管には、
水素ガスを加圧するための加圧装置と、水分除去のための冷却器が接続されていること
を特徴とするものである。
【0038】
さらにまた、この発明の請求項20に記載の発明は、
固体高分子電解質膜からなり高圧容器内に設置された電解セルによる純水の電気分解により、陰極で水素を、陽極で酸素を発生させる高圧水素製造装置において、
得られた水素の反応系外への取出し配管に、2つの背圧弁が所定の間隔を存して配置されていること
を特徴とする高圧水素製造装置である。
【0039】
また、この発明の請求項21に記載の発明は、
請求項20に記載の高圧水素製造装置において、
前記得られた水素の反応系外への取出し配管には、
前記2つの背圧弁間に、水素ガスを加圧するための加圧装置が設けられていること
を特徴とするものである。
【0040】
また、この発明の請求項22に記載の発明は、
請求項20に記載の高圧水素製造装置において、
前記得られた水素の反応系外への取出し配管には、
前記2つの背圧弁間に、水素ガスを加圧するための加圧装置と、水分除去のための冷却器とが設けられていること
を特徴とするものである。
【0041】
また、この発明の請求項23に記載の発明は、
請求項18,19,21又は22のいずれかに記載の高圧水素製造装置において、
前記水素ガスの加圧装置は、
加圧容器と、この加圧容器に水を注入するポンプとから構成されていること
を特徴とするものである。
【0042】
また、この発明の請求項24に記載の発明は、
請求項23に記載の高圧水素製造装置において、
前記ポンプが、
ベローズを具備し、圧力媒体を用いて作動するものであること
を特徴とするものである。
【0043】
また、この発明の請求項25に記載の発明は、
請求項20〜24のいずれかに記載の高圧水素製造装置において、
前記各背圧弁は、
出口側水素配管に、水分吸着筒が設けられていること
を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0044】
この発明の高圧水素製造においては、固体高分子電解質膜からなる電解セルを用い、電気分解により得られる、水素の反応系外への取出しを、当該水素の圧力に基づいて、制限しながら、好ましくは200気圧以上に達した場合のみ、水素を反応系外に取出すことにしたので、湿度・水分の少ない、例えば、高圧の水素を容易に結露しないものとし、さらには高圧状態での露点が−40℃の高圧水素を効率的に製造することも可能とするものである。
さらに、そのための装置を、反応系と反応系外との境界に背圧弁を設けた装置とすることにより、上記の水素がより容易に製造することができる。
【0045】
また、水素の反応系外への取出しを、当該水素の圧力が一定圧以上、例えば、200気圧以上に達した場合のみに行なうことにすれば、反応系内での圧力変動が相対的に小さくなるので、電解セルの陰極室と陽極室に対する負荷の変動が小さくなり、均一した差圧下に、言い換えれば、水素取出しにより差圧調整が乱されることなく、安定的に水素の製造が可能となる。
【0046】
さらに、前記したように水素中に拡散する酸素は、水素と反応して水として、水素に導伴した水とともに除去されるが、目的とする水素が、より高圧、例えば400気圧以上になると、拡散する酸素が、分圧の関係で多くなるため、水として除去される水素の量が無視し得ない量となるので、その際は加圧装置によって、例えば、水電解で製造した400(strikethrough:300)気圧の水素を、反応系外で2倍に加圧して、800(strikethrough:600)気圧の水素とすることによって、収量低下の問題も除去される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、図面を参照しながら、この発明にかかる高圧水素製造装置と、この高圧水素製造装置を用いた高圧水素の製造方法を詳細に説明する。なお、図1は、この発明の一実施例である高圧水素製造装置のフローチャート、図2は、他の実施例における高圧水素製造装置のフローチャート、図3は、図2で示された高圧水素製造装置に用いられた加圧装置のフローチャート、図4は差圧調整装置の一例を示す図である。
【0048】
図1のフローチャートに示される、この発明の一実施例である高圧水素製造装置は、酸素高圧容器1、差圧調整装置6、水素高圧容器7、電解セル13、水分吸着筒20、背圧弁21、水素冷却器22、脱酸素筒25を主要構成要素とするものである。
【0049】
この発明の高圧水素製造装置においては、循環ポンプ5により酸素高圧容器1内の純水を電解セル13の陽極側に送り、電源12から電解電力を電解セル13に通電すると、循環ポンプ5により電解セル13に送られた純水が電気分解される。この電気分解により電解セル13に発生した酸素は、循環ポンプ5の循環水戻り純水とともに、酸素高圧容器1に送られ、酸素高圧容器1の水面34の上方領域に貯留される。
【0050】
循環ポンプ5から電解セル13に送られた純水の一部は、電解セル13で電気分解されて消費されるので、水面34は低下するが、差圧計2により水面34が検知され、加圧ポンプ3により、水面34が一定水位になるように酸素高圧容器1に純水が圧入されるので、電解セル13で消費した純水に相当する量の純水が、常時、供給され、水面34は一定水位を保つことができる。
【0051】
この電気分解で電解セル13の陰極に発生した水素は、透過水とともに、水素放出口14より水素高圧容器7内に放出され、水面11の上に貯まる。
【0052】
前記水面11は、水素放出口14より、水素とともに放出される透過水により上昇するが、差圧計10により水面11が検知され、流量調整弁8により排水9の量が制御され、水面11が、常時、所定の水位に保たれる。
【0053】
水素高圧容器7に水素が貯まるに従い、水素高圧容器7内の圧力は高くなるが、酸素高圧容器1にも酸素が貯まるので、酸素高圧容器1内の圧力も増す。
【0054】
この実施例では、酸素高圧容器1の酸素が貯まる部分の容積が、水素高圧容器7の水素が貯まる部分の容積に比して小さくなるように構成されているので、酸素高圧容器1の圧力の方が水素高圧容器7の圧力より早く上昇し、水素高圧容器7の圧力と酸素高圧容器1の圧力とに差圧が生ずることになるが、実際には、差圧調整装置6により、そのような差圧は解消され、常時、酸素高圧容器1の圧力と水素高圧容器7の圧力は等しくなるよう構成されている。
【0055】
このような差圧調整装置6の働きにより、電解セル13内の酸素側と水素側及び内部と外部には、差圧が作用しないので、発生した水素及び酸素の圧力で電解セル13が破壊することはない。
【0056】
このような差圧調整装置6が差圧を解消する原理は、差圧調整装置6を、水素高圧容器7の底部と酸素高圧容器1の底部とで、各々配管接続し、水素高圧容器7の底部の水と酸素高圧容器1の底部の水とが、差圧調整装置6の両端から差圧調整装置6内部に設けた自由に動く栓やベローズの両端に流入し、差圧に応じて栓やベローズが自由に動いて差圧を相殺することによるものである。
【0057】
この差圧調整装置6内部に設けた栓やベローズには、磁石が埋め込まれているので、その位置を磁気センサーにより検知し、常に、差圧調整装置6の中央付近に位置するように酸素放出口29から放出する酸素放出量を制御することにより、水素高圧容器7内の圧力と酸素高圧容器1内の圧力との差圧を相殺することができる。特にベローズは水中に発生した気泡の影響を受けないため、この発明においては、栓の使用より好ましい。
【0058】
ベローズを用いた差圧調整装置6の構造の一例を図4に示した。差圧調整装置6の内部には、磁石72が埋め込まれたベローズ71が設置され、ベローズ71の一方は酸素側接続口74(場合に応じて水素側接続口73)に接続されている。また、磁気式位置センサー75が差圧調整装置6の内部に同様に設けられており、差圧調整装置6の端部にはフランジ70が設けられている。
【0059】
この実施例においては、前記差圧調整装置6によって、水素高圧容器7と酸素高圧容器1との差圧が、常時、解消されるので、酸素高圧容器1内の酸素圧力及び水素高圧容器7内の水素圧力が高くなっても、電解セル13にはそれらの差圧が作用しないので、電解セル13が壊れることはない。
【0060】
上記のようにして、電解セル13での電気分解を続けると、水素高圧容器7内の水素圧力が上昇するが、水素の反応系外への取出し配管に設けられた前記背圧弁21は、予め設定しておいた所定の圧力に到達するまでは弁が開かないので、水素高圧容器7から水素が系外へ供給されることはない。
【0061】
前記背圧弁21に設定した圧力、すなわち、高圧水素の供給圧力としては、製造しようとする高圧水素の圧力と同一もしくはそれ以上とするのが好ましく、通常、高圧ガスと見做される10気圧以上であるが、少なくも、除湿すべき水分や、高圧容器間の差圧の変動を小さく抑えるためには、50気圧さらには100気圧とするのがより好ましく、200気圧以上に設定するのが特に好ましい。
【0062】
前記水素高圧容器7の圧力が背圧弁21の設定圧力を超えると、水素は自動的に背圧弁21から水分吸着筒20を経由して蓄圧器19方向に流れ出す。この時、それまでの水素圧力の上昇は停止するが、電解セル13に流す電流は、背圧弁21から水素が流出する以前と同じであるので、電解セル13から発生する酸素及び水素の発生量には変化がなく、水素高圧容器7の圧力と酸素高圧容器1の圧力は、バランスした状態が大きくは乱されない。したがって、差圧調整装置6により差圧が発生することなく、スムーズに水素の供給を開始することができる。
【0063】
水素高圧容器7に貯留された水素は、水電解セル13から随伴し、水素高圧容器7に同様に貯留される水分の影響で、飽和水蒸気を含み、さらに、水電解セル13から随伴した酸素を含んでいる。
【0064】
この水素中に含まれる酸素は、酸素除去触媒を充填した脱酸素筒25を通して、水素と反応させて水に戻される。したがって、背圧弁21から供給される水素には、過飽和の水蒸気を含むことになるが、背圧弁21から供給する前に水素冷却器22で冷やすことで、水素冷却器22の温度で定まる露点温度以上の水分は、結露し、水素冷却器22の温度で定まる飽和水蒸気を含む水素になる。その際、冷却器22で結露した水は、水タンク26に溜まり、弁27から排水管28に排水される。
【0065】
前記背圧弁21から供給され、水分吸着筒20に送られる水素には、水素冷却器22の温度で決まる、背圧弁21の設定圧力できまる高圧状態での飽和水蒸気、すなわち、少量の水分しか含んでいないので、水素に含まれる水分の量で、水分吸着筒20に充填しているモレキュラシーブ等の水分吸着剤の処理時間が大きく影響されることはない。また、圧力の低い飽和水蒸気量の多い水素が水分吸着筒20に流入して、水分吸着筒20に充填しているモレキュラシーブ等の水分吸着剤に多量の水分を吸着させ、その能力を短くするようなことも発生しない。
【0066】
水分吸着筒20で水分の除去された水素は、蓄圧器19に送られて貯留される。
【0067】
前記背圧弁21は、以上のように、水素高圧容器7の圧力と酸素高圧容器1の圧力バランスを保って、差圧が発生しないようにして水素を供給する機能と、水分を多量に含む圧力の低い水素が、水分吸着筒20に流入するのを防ぐ二重の役目をしている。
【0068】
この実施例で使用した水分吸着筒20は、モレキュラシーブを充填した内筒と、高圧容器である外筒よりなるもので、モレキュラシーブの量は、例えば、電解セル13が400気圧、30Nm/Hの能力を有する場合、29Lのモレキュラシーブを使用すると、1日当り12時間処理して、100日間以上使用できる。100日間使用した後、新しいモレキュラシーブに交換した場合の費用は、数万円程度である。
【0069】
また、モレキュラシーブを交換するためには、水分吸着筒20を大気圧に戻す時に水素を放出し、さらに、交換後には、水素で水分吸着筒20内をパージする必要があるが、それらの水素量は、両方合わせても、10Nm程度である。
【0070】
その間に処理した水素量は、(30Nm/H)×1200Hであるので、10/36000=1/3600となり、0.03%程度であるため、エネルギー効率的には無視できる。また、モレキュラシーブを公知の再生方法で再生して再利用するとしても、モレキュラシーブ乾燥に要する水素及びモレキュラシーブ加熱電力は、合わせても、水分吸着筒20が100日間に処理した水素のエネルギーに比べると、0.3%程度のエネルギーロスにしかならない。
【0071】
以上では350気圧の場合について説明したが、700気圧では、除湿する水分量は半分になるので、将来、700気圧になると、350気圧の場合に比べて、同じ量のモレキュラシーブで2倍の日数除湿処理に使用できることになる。
【0072】
モレキュラシーブの水分吸着能力は、低圧では、室温で飽和水蒸気を含むガスを、−60℃以下に乾燥できることが知られている。高圧では、モレキュラシーブの除湿性能が向上すると考えられるが、低圧の時と同じと仮定すると、圧力に関係なく、露点が−60℃程度の水素が生成できると考えられるので、蓄圧器19に貯蔵される水素は結露の心配がない。
【0073】
なお、従来の350気圧の高圧の圧縮水素を製造する高圧水素製造装置においては、水素の供給、すなわち、水素を貯蔵した水素高圧容器7から、低圧の容器、例えば、蓄圧器19に移す場合、両方の容器間に流量制御弁を設けて行なっているので、計算上は、温度25℃の室温の場合、含まれる水分量は、100ppm以下で、2.5Lのモレキュラシーブを充填した高圧容器に、2.5Nm/Hの流量で1日当り12時間処理させても、100日間以上使用できる計算であったが、実際には、1ヶ月と持たなかった。
【0074】
これは、上記した従来の方法では、高圧の水素を貯蔵した容器の圧力変動を起こさないで水素を供給することは難しいため、供給を受ける容器の圧力に応じて、供給する容器の水素圧力を低くせざるを得ず、水素発生装置から水素の供給を受ける蓄圧器19の圧力が低圧の場合、水分の多い低圧の水素が水分吸着剤を入れた高圧容器を通って供給され、多量の水分を含んだ水素が水分吸着筒に送られ、水分吸着剤が除湿すべき水分量が増えることに起因している。
【0075】
図2は、この発明の他の実施例を示すもので、水素の反応系外への取出し配管に、2つの背圧弁21,40を設けるとともに、その間に、加圧装置41と冷却器22を設けたものであって、電解セル13で発生した高圧の圧縮水素を、さらに、加圧装置41で圧縮してより高圧の水素を得るように構成されている。
【0076】
すなわち、水素の圧力が、背圧弁21より高い圧力に設定された第2の背圧弁40の設定圧以上になると、水素が第2背圧弁40から蓄圧器19方向に向かって流出し、水分吸着筒20に流入するので、水分吸着筒20に流入する水素に含まれる水分量は、第2の背圧弁40の設定圧力が高い分だけ、図1に示された実施例に比べて少なくできる。また、低圧の水素を発生させて、除湿してから、高圧の圧縮水素に昇圧する場合に比べれば、除湿に必要なエネルギーははるかに少なくてすむ。
【0077】
図3は、図2で示した実施例で使用した加圧装置41の詳細を示す図で、高さ位置の異なる、すなわち、位置エネルギーの異なる、適当量の純水が収容された高圧容器51と高圧容器62の2種の高圧容器と、両者に連通するポンプ58を主たる要素とするものである。なお、ポンプ58としては、ベローズを具備し、油あるいはその他の適切な圧力媒体を用いて作動されるものを使用するのが好ましい。
【0078】
加圧装置41において、図2に示される水電解セル13で発生し、脱酸素筒25で含有酸素が水に変換された圧力P1の高圧水素が、弁59及び弁65が開いた状態で、逆止弁64を通って高圧容器62に送られると、高圧容器51にも弁65を通って流入し、高圧容器51及び高圧容器62は同圧となるとともに、弁59を通って純水が自由に行き来できるので、水面の高さも同じになる。
【0079】
このような状態で、高圧容器51及び高圧容器62内の圧力が、ほぼP1になったところで、弁59、弁65を閉止し、ポンプ58で高圧容器62内の純水を高圧容器51に注入すると、水面63は下がると同時に圧力もP1より下がるが、逆止弁64から圧力P1の水素が供給されるので、高圧容器62内の圧力は、常時、P1の圧力を保つ。
【0080】
一方、高圧容器51内の水面52は、ポンプ58により純水が注入され上昇し、高圧容器51内の圧力はP1より高くなり、背圧弁68の設定圧をP2とすると、P2以上に高圧容器51内の圧力が高くなると、背圧弁68から圧力がP2に圧縮された圧縮水素が供給される。
【0081】
このようにして、ポンプ58から高圧容器62の純水供給が続く間、背圧弁68から圧力がP2の水素の供給が続く。このようにして、水面52が高圧容器51の上面に達するまで圧力P2の圧縮水素が背圧弁68より供給でき、水面52が高圧容器51の上面近くに達すると、ポンプ58からの純水供給を停止され、背圧弁68からの水素供給も停止される。
【0082】
この状態に至ったとき、再び弁59及び弁65を開くと、高圧容器62内の水素は、高圧容器51に移り、高圧容器51内の純水は、高圧容器62に移り、水面52と水面63の高さが同じになるとともに、高圧容器51と高圧容器63の水素の圧力は、P1と同じか少し高い状態になるので、弁59及び弁65を閉止して、上記操作が繰り返される。
【0083】
前記背圧弁68から供給される水素は、予め冷却器69を通って冷却され、余分な水分は結露させて除去しているので、高圧容器51と高圧容器62内の水面52と水面63が平衡する位置が上昇する。したがって、差圧計53によりその水位を計測し、弁60から排水管61に排水して、水面52と水面63の平衡水面が所定の水面位置になるように制御する。
【0084】
差圧計53は、高圧容器51の底面の圧力と、上部の水素の圧力との差圧を計測し、水面52を検知するが、高圧容器51内の水素は、飽和水蒸気を含む圧力P1の水素を加圧して圧力を高くするので、過飽和の水蒸気を含むものとなる。したがって、過飽和の水蒸気が結露し、差圧計53の水素圧力計測側の配管に水を生成する虞があるので、この発明では、勾配を付けて配置した冷却器71により冷却して、過飽和の水蒸気の結露が水素側配管に生じないようにしている。この措置は、図1、図2に示される冷却器にも同様に適応させてある。
【0085】
また、万一にも、結露が生じたとしても、生じた水は水タンク55に溜まり、水位計測に影響しないようにしている。
【0086】
このようにして、水素の圧力を高くすると、含まれる水分を少なくできるので、ガス乾燥の負荷をその分軽減できる。また、350気圧の水素を供給する水電解による図1の実施例に示す高圧水素発生装置を設置し、700気圧の水素の供給が必要になった時に、図3に示す加圧装置を付加して、要求を満足させる等の応用が考えられる。
【0087】
この発明の高圧水素製造装置は、350気圧以上の高圧水素、しかも水分や酸素の含有量が少ない高圧水素を、きわめて安定的に供給できるものであるから、高圧水素をエネルギーとして使用する業界を始めとして、水素を使用する各種産業において、幅広く利用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】この発明の一実施例である高圧水素製造装置のフローチャートである。
【図2】他の実施例における高圧水素製造装置のフローチャートである。
【図3】図2で示された高圧水素製造装置に用いられた加圧装置のフローチャートである。
【図4】この発明で用いられる差圧調整装置の構造の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
1 酸素高圧容器
2 差圧計
3 加圧ポンプ
4 バイパス弁
5 循環ポンプ
6 差圧調整装置
7 水素高圧容器
8 流量調節弁
9 排水管
10 差圧計
11,34 水面
12 電源
13 電解セル
14 水素放出口
16,22 冷却器
18 ディスペンサ
19 蓄圧器
20 水分の吸着筒
21 背圧弁
25 脱酸素筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧容器内に設置された固体高分子電解質膜からなる電解セルを用い、純水の電気分解により陰極で水素を、陽極で酸素を発生させる高圧水素の製造方法において、
得られた水素の反応系外への取出しを、当該水素の圧力を所定の圧力以上に維持しながら行なうこと
を特徴とする高圧水素の製造方法。
【請求項2】
高圧容器内に設置された固体高分子電解質膜からなる電解セルを用い、純水の電気分解により陰極で水素を、陽極で酸素を発生させる高圧水素の製造方法において、
得られた水素の反応系外への取出しを、当該水素の圧力が所定の圧力を超えた時のみ行なうこと
を特徴とする高圧水素の製造方法。
【請求項3】
前記電気分解は、
陰極における圧力と陽極における圧力の差を調整しながら、行なわれるものであること
を特徴とする請求項1又は2に記載の高圧水素の製造方法。
【請求項4】
前記圧力は、
10気圧以上の圧力であること
を特徴とする請求項1又は2に記載の高圧水素の製造方法。
【請求項5】
前記水素の反応系外への取出しは、
予め定められた設定圧力を超えたときのみ作動する背圧弁を用いて行なわれること
を特徴とする請求項1又は2に記載の高圧水素の製造方法。
【請求項6】
前記水素は、
含有する水分が、反応系外へ取出された後、吸着剤を用いて除去されること
を特徴とする請求項1又は2に記載の高圧水素の製造方法。
【請求項7】
前記水素は、
含有する水分が、反応系外へ取出される前に、その一部が冷却により除去され、反応系外へ取り出された後に、吸着剤を用いてさらに除去されること
を特徴とする請求項1又は2に記載の高圧水素の製造方法。
【請求項8】
前記水素は、
含有する酸素が、反応系外へ取出される前に、水素と反応し水として除去されること
を特徴とする請求項1又は2に記載の高圧水素の製造方法。
【請求項9】
前記水素は、
反応系外へ取出された後、加圧されること
を特徴とする請求項1又は2に記載の高圧水素の製造方法。
【請求項10】
前記水素は、
反応系外へ取出されて加圧された後、冷却により含有する水分が除去されること
を特徴とする請求項1又は2に記載の高圧水素の製造方法。
【請求項11】
前記加圧された水素は、
含有する水分が、冷却および吸着剤により除去されること
を特徴とする請求項9に記載の高圧水素の製造方法。
【請求項12】
固体高分子電解質膜からなり高圧容器内に設置された電解セルによる純水の電気分解によって、前記電解セルの陰極で水素を、陽極で酸素を発生させる高圧水素製造装置において、
得られた水素の反応系外への取出し配管に、背圧弁が設けられていること
を特徴とする高圧水素製造装置。
【請求項13】
前記高圧水素製造装置が、
陰極における圧力と陽極における圧力の差を解消させる差圧調整装置を有すること
を特徴とする請求項12に記載の高圧水素製造装置。
【請求項14】
前記差圧調整装置が、
水素を貯留する高圧水素容器と、酸素を貯留する高圧酸素容器の各底部間を連通させる配管に設けられていること
を特徴とする請求項13に記載の高圧水素製造装置。
【請求項15】
前記差圧調整装置が、
ベローズを用いて差圧を調整するものであること
を特徴とする請求項13又は14に記載の高圧水素製造装置。
【請求項16】
前記背圧弁の入口側水素配管には、
脱酸素筒と、水分除去のための冷却器とが接続されていること
を特徴とする請求項12に記載の高圧水素製造装置。
【請求項17】
前記背圧弁の出口側水素配管には、
水分吸着筒が接続されていること
を特徴とする請求項12に記載の高圧水素製造装置。
【請求項18】
前記背圧弁の出口側水素配管には
水素ガスの加圧装置が接続されていること
を特徴とする請求項12に記載の高圧水素製造装置。
【請求項19】
前記背圧弁の出口側水素配管には、
水素ガスを加圧するための加圧装置と、水分除去のための冷却器が接続されていること
を特徴とする請求項12に記載の高圧水素製造装置。
【請求項20】
固体高分子電解質膜からなり高圧容器内に設置されている電解セルによる純水の電気分解により、陰極で水素を、陽極で酸素を発生させる高圧水素製造装置において、
得られた水素の反応系外への取出し配管に、2つの背圧弁が所定の間隔を存して配置されていること
を特徴とする高圧水素製造装置。
【請求項21】
前記得られた水素の反応系外への取出し配管には、
前記2つの背圧弁間に、水素ガスを加圧するための加圧装置が設けられていること
を特徴とする請求項20に記載の高圧水素製造装置。
【請求項22】
前記得られた水素の反応系外への取出し配管には、
前記2つの背圧弁間に、水素ガスを加圧するための加圧装置と、水分除去のための冷却器とが設けられていること
を特徴とする請求項20に記載の高圧水素製造装置。
【請求項23】
前記水素ガスの加圧装置は、
加圧容器と、この加圧容器に水を注入するポンプとから構成されていること
を特徴とする請求項18,19,21又は22のいずれかに記載の高圧水素製造装置。
【請求項24】
前記ポンプが、
ベローズを具備し、圧力媒体を用いて作動するものであること
を特徴とする請求項23に記載の高圧水素製造装置。
【請求項25】
前記各背圧弁は、
出口側水素配管に、水分吸着筒が設けられていること
を特徴とする請求項20〜24のいずれかに記載の高圧水素製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−100204(P2007−100204A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−295213(P2005−295213)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度、地域新生コンソーシアム研究開発事業、九州経済産業局委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005979)三菱商事株式会社 (56)
【Fターム(参考)】