説明

高所作業用安全帯のロープ保護装置

【課題】帯状ロープとフックを簡単に連結することができる帯状ロープの保護装置を提供することである。
【解決手段】フック5のロープ連結孔6にU字形のシンブル10の一端部を挿入して、ロープ連結孔6にシンブル10を係合し、そのシンブル10の保護板11を包み込むようにしてロープ連結孔6内に帯状ロープ4を挿入し、その帯状ロープ4の折返し端部を帯状ロープ4に重ね合わせて縫製する。折返し部4bの外周にU字形の外カバー20を沿わせ、上記帯状ロープ4に予め嵌合された縫製カバー30を縫製部を覆う位置までスライドさせ、そのスライド方向の先端部に形成された一対の係合爪32を外カバー20の爪挿入孔23からシンブル10の爪挿入孔16に挿入して、その先端の鈎部33をシンブル10側の膨出部15の後面に係合させることにより、帯状ロープ4とフック5を連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築現場等の高所で作業を行う際に使用される高所作業用安全帯における帯状ロープの保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高所で作業を行う場合、高所作業用安全帯が使用される。その高所作業用安全帯として、特許文献1に記載されたものが従来から知られている。この高所作業用安全帯においては、胴ベルトの巻き締め状態で左腰部と対応する部位の外面側に巻取器を取付け、その巻取器から引き出された帯状ロープの先端にフックを連結し、そのフックを高所作業位置に張設された親綱や構築物等に係合して安全性を確保するようにしている。
【0003】
ここで、巻取器は、作業者が万一足を踏み外して落下し、帯状ロープが急速に引き出された際に、その帯状ロープの繰出しをロックして、作業者の落下距離を最小限に抑え、帯状ロープによって墜落が阻止される作業者に大きな衝撃力が負荷されることのないようにしている。
【0004】
上記のような高所作業用安全帯においては、帯状ロープが金属製のフックと直接接触するような連結であると、フックとの接触部においてロープが摩耗し易く、耐久性を低下させることになる。
【0005】
その耐久性の低下を抑制するため、従来では、図8(ヘ)乃至(チ)に示す順序に従って帯状ロープ4とフック5を連結するようにしている。
すなわち、図8(ヘ)に示すように、フックの後端部に形成されたロープ連結孔6に合成樹脂の成形品からなるU字形のシンブル50を取付け、一方、帯状ロープ4に熱収縮性のチューブ51を嵌合して熱収縮する。
次に、その帯状ロープ4を上記ロープ連結孔6内に挿入し、上記チューブ51がシンブル50の外周に巻き付くようにして折返し、その折返し側端部を帯状ロープ4に重ね合わせ、図8(ト)に示すように、上記重なり部を縫製する。52はその縫製部を示す。
帯状ロープ4の折返し部の縫製後、帯状ロープ4に予め嵌合した熱収縮性チューブ53を縫製部52に向けてスライドし、その熱収縮性チューブ53を熱収縮させて、図8(チ)に示すように、縫製部52を覆うようにしている。
【0006】
上記のような帯状ロープ4とフック5の連結による帯状ロープの保護装置においては、帯状ロープ4の折返し部にチューブ51が嵌合され、そのチューブ51の折返し部の内側にシンブル50が組込まれているため、帯状ロープ4はフック5に対して非接触の状態となり、フック5との接触によって帯状ロープ4が摩耗することがなく、耐久性の低下を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−112514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、図8に示す帯状ロープの保護装置においては、2つの熱収縮性チューブ51、53をそれぞれ熱収縮させる必要があるため、加工性が悪く、帯状ロープ4とフック5の連結に非常に手間がかかるという不都合があった。
【0009】
また、折返し部の熱収縮性チューブ51が外部に露出しているため、その熱収縮性チューブ51が損傷し易いという不都合があった。
【0010】
この発明の課題は、帯状ロープとフックを簡単に連結することができ、しかも、帯状ロープの折り返し部の摩耗を確実に防止することができるようにした帯状ロープの保護装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、第1の発明においては、胴ベルトに後端部が連結された帯状ロープの先端部をフックの後端部に形成されたロープ連結孔に挿入して折り返し、その折り返し側端部を帯状ロープに重ね合わせて縫製した高所作業用安全帯のロープ保護装置において、前記帯状ロープの折返し部の内側に組込まれるシンブルと、前記折返し部の外側に装着される外カバーと、前記帯状ロープの縫製部に嵌合されたエラストマーの成形品からなる扁平な角筒状の縫製カバーとを具え、前記シンブルが、前記折返し部の内周に沿うU字形保護板の両側に折返し部の両側を覆う対向一対のフランジを設け、その対向一対のフランジの外周面の両端部間にわたされた一対の連結板のそれぞれ外面に膨出部を設け、その膨出部に前後に貫通する爪挿入孔を形成した合成樹脂の成形品からなり、前記外カバーが、前記折返し部の外周に沿うU字形とされて両端部が前記シンブルの膨出部の外側に配置される保護板を有し、その保護板の両端部の内面にシンブル側膨出部のロープ縫製部側の前面に対向配置される一対の膨出部を設け、その膨出部にシンブル側膨出部の爪挿入孔と前後で対向する爪挿入孔を形成した合成樹脂の成形品からなり、前記縫製カバーのシンブルと対向する端部に一対の係合爪を設け、その一対の係合爪を外カバーに形成された爪挿入孔からシンブルに設けられた爪挿入孔に挿入し、その係合爪をシンブル側膨出部の後面に係合してシンブルと外カバーと縫製カバーとを非分離とした構成を採用したのである。
【0012】
上記の構成からなる帯状ロープの保護装置において、フックと帯状ロープの連結に際しては、フックの後端部に形成されたロープ連結孔内にシンブルの一端部を挿入して、そのシンブルをロープ連結孔の内周に係合し、上記シンブルの保護板を包み込むようにして帯状ロープの端部をロープ連結孔に挿入し、その帯状ロープの折返し側端部を帯状ロープに重ね合わせて縫製する。
【0013】
折返し側端部の縫製後、ロープ連結孔に外カバーの一端部を挿入し、その外カバーの保護板を帯状ロープの折返し部の外周面に沿わせ、両端部に設けられた膨出部をシンブル側膨出部のロープ縫製部側の前面に対向配置した状態において、帯状ロープに予め嵌合された縫製カバーをロープ縫製部を覆う位置までスライドさせ、そのスライド方向の前側に設けられた一対の係合爪を外カバー側膨出部の爪挿入孔からシンブル側膨出部の爪挿入孔に挿入し、その係合爪をシンブル側膨出部の後面に係合して、シンブルと外カバーと縫製カバーとを連結状態に保持する。
【0014】
上記のような帯状ロープとフックの連結において、帯状ベルトの折返し部はシンブルと外カバーによって全体が覆われることになり、帯状ロープの折返し部の摩耗等による損傷を確実に防止することができる。
【0015】
上記の課題を解決するため、第2の発明においては、胴ベルトに後端部が連結された帯状ロープの先端部をフックの後端部に形成されたロープ連結孔に挿入して折り返し、その折り返し側端部を帯状ロープに重ね合わせて縫製した高所作業用安全帯のロープ保護装置において、前記帯状ロープの折返し部の内側に組込まれるシンブルと、前記折返し部の外側に装着される外カバーと、前記帯状ロープの縫製部に嵌合されたエラストマーの成形品からなる扁平な角筒状の縫製カバーとを具え、前記シンブルが、前記折返し部の内周に沿うU字形保護板の両側に折返し部の両側を覆う対向一対のフランジを設け、その対向一対のフランジの外周面の両端部間にわたされた一対の連結板のそれぞれ外面に縫製カバーの端面を位置決めする位置決め突起と、係合凹部とを設けた合成樹脂の成形品からなり、前記外カバーが、前記折返し部の外周に沿うU字形とされて両端部がシンブルの連結板を覆う保護板を有し、その保護板の両端部に前記係合凹部に係合可能な一対の内向きの係合爪を設けた合成樹脂の成形品からなり、前記縫製カバーには前記シンブルの両端部に嵌合される嵌合筒部を設け、その嵌合筒部に前記一対の係合爪が挿入される一対の爪挿入孔を設け、前記外カバーの一対の係合爪を前記嵌合筒部の爪挿入孔に挿入し、前記係合凹部に対する係合により、シンブルと外カバーと縫製カバーとを非分離とした構成を採用したのである。
【0016】
上記の構成からなる帯状ロープの保護装置において、フックと帯状ロープの連結に際しては、フックの後端部に形成されたロープ連結孔内にシンブルの一端部を挿入して、そのシンブルをロープ連結孔の内周に係合し、上記シンブルの保護板を包み込むようにして帯状ロープの端部をロープ連結孔に挿入し、その帯状ロープの折返し側端部を帯状ロープに重ね合わせて縫製する。
【0017】
折返し側端部の縫製後、帯状ロープに予め嵌合された縫製カバーをロープ縫製部を覆う位置までスライドさせ、そのスライド方向の前側に設けられた嵌合筒部をシンブルの両端部に嵌合する。次に、外カバーの一端部をロープ連結孔に挿入し、その外カバーの保護板を帯状ロープの折返し部の外周面に沿わせ、その両端部に設けられた係合爪を嵌合筒部に形成された爪挿入孔に挿入して、その先端部をシンブルの連結板に形成された係合凹部に係合して、シンブルと外カバーと縫製カバーを連結状態に保持する。
【0018】
上記第2の発明に係る帯状ロープの保護装置においても、シンブルと外カバーとによって帯状ベルトの折返し部の全体を覆うことができるため、帯状ロープの折返し部の摩耗等による損傷を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
上記第1の発明に係る帯状ロープの保護装置においては、フックのロープ連結孔に係合されたシンブルの保護板を包み込むようにしてロープ連結孔内に帯状ロープを挿入し、その帯状ロープの折返し端部を帯状ロープに重ね合わせて縫製し、上記折返し部の外周に外カバーを沿わせ、上記帯状ロープに予め嵌合された縫製カバーをその縫製部を覆う位置までスライドさせて、スライド方向の先端部に形成された一対の係合爪を外カバーの爪挿入孔からシンブルの爪挿入孔に挿入して、その先端部をシンブル側の膨出部の後面に係合させることにより、帯状ロープとフックを連結することができるため、帯状ロープとフックを極めて容易に連結することができる。
【0020】
一方、第2の発明に係る帯状ロープの保護装置においては、フックのロープ連結孔に係合されたシンブルの保護板を包み込むようにしてロープ連結孔内に帯状ロープを挿入し、その帯状ロープの折返し端部を帯状ロープに重ね合わせて縫製し、帯状ロープに予め嵌合された縫製カバーをその縫製部を覆う位置までスライドさせ、そのスライド方向の先端部に形成された嵌合筒部をシンブルの両端部に嵌合し、帯状ロープの折返し部の外周に外カバーを沿わせて、その外カバーに設けられた係合爪を爪挿入孔に挿入して係合凹部に係合させることにより、帯状ロープとフックを連結することができるため、第1の発明と同様に、帯状ロープとフックを極めて容易に連結することができる。
【0021】
また、第1の発明および第2の発明のいずれの発明も、帯状ロープとフックの連結状態において、シンブルと外カバーとで帯状ベルトの折返し部の全体を覆うことができるため、帯状ロープの折返し部の摩耗等による損傷を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明に係る高所作業用安全帯のロープ保護装置の第1の実施の形態を示す正面図
【図2】図1のフックと帯状ロープの連結部を拡大して示す正面図
【図3】図2のフックと帯状ロープの連結部を拡大して示す断面図
【図4】外カバー、シンブル、および、縫製カバーを示す分解斜視図
【図5】(イ)乃至(ホ)は、フックと帯状ロープの連結を段階的に示す正面図
【図6】この発明に係る高所作業用安全帯のロープ保護装置の第2の実施の形態を示す正面図
【図7】図6に示す外カバー、シンブル、および、縫製カバーの分解斜視図
【図8】(ヘ)乃至(チ)は、従来の帯状ロープ保護装置におけるフックと帯状ロープの連結を段階的に示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1乃至図5は、この発明に係る帯状ロープ保護装置の第1の実施の形態を示す。図1に示すように、胴ベルト1は、締め付け用のバックル2を一端部に有する。
【0024】
胴ベルト1には、腰部に対する巻き締め状態において、左腰部と対応する部位の表面に巻取器3が取り付けられ、その巻取器3から引き出された帯状ロープ4の先端部に、図2に示すように、フック5が連結されている。
【0025】
ここで、巻取器3は、帯状ロープ4が急速に引き出された際に、その帯状ロープ4の繰出しをロックするようになっている。
【0026】
図3に示すように、帯状ロープ4の先端部は、フック5の後端部に形成されたロープ連結孔6内に挿入されて折り返され、その折返し側端部が帯状ロープ4に重ね合わされ、その重なり部が縫製されている。4aは縫製部を示し、4bは折返し部を示す。
【0027】
帯状ロープ4の折返し部4bの内側には合成樹脂の成形品からなるシンブル10が組込まれ、また、上記折返し部4bの外側には合成樹脂の成形品からなる外カバー20が装着されている。一方、縫製部4aの外側にはエラストマーの成形品からなる縫製カバー30が嵌合されている。
【0028】
図3および図4に示すように、シンブル10は、折返し部4bの内周に沿うU字形保護板11を有し、その保護板11の両側に折返し部4bの両側を覆う対向一対のフランジ12が設けられている。対向一対のフランジ12の外周面の両端部間には一対の連結板13がわたされ、その連結板13と保護板11の端部間にロープ挿入孔14が形成されている。
【0029】
一対の連結板13のそれぞれ外面には角形の膨出部15が設けられ、その膨出部15のそれぞれに前後に貫通する爪挿入孔16が形成されている。
【0030】
また、保護板11の両端部の内面には、対向一対の突出部17と、その突出部17から保護板11の端縁に片寄った位置に互いに係合可能な一対の保持爪18とが設けられ、その一対の保持爪18の係合によって一対の突出部17は衝合状態に保持されている。
【0031】
外カバー20は、帯状ロープ4の折返し部4bの外周に沿うU字形とされて、両端部がシンブル10の膨出部15を覆う保護板21を有している。保護板21は、シンブル10の対向一対のフランジ12間に略ぴったりと嵌り合う幅寸法とされ、その両端部の内面には、シンブル10に形成された上記膨出部15のロープ縫製部4a側の前面に対向配置される一対の角形の膨出部22が設けられ、その膨出部22にシンブル側膨出部15の爪挿入孔16と前後で対向する爪挿入孔23が形成されている。
【0032】
縫製カバー30は、縫製部4aの外側に嵌合される扁平な角筒状をなし、そのシンブル10側の端部にはテーパ状の嵌合筒部31が形成され、その嵌合筒部31の開口端には対向一対の係合爪32が形成されている。この係合爪32は、縫製カバー30より硬質の材料でもって嵌合筒部31に一体に成形されている。
【0033】
対向一対の係合爪32は、外カバー20に形成された爪挿入孔23からシンブル10に形成された爪挿入孔16に挿入されて先端に形成された鈎部33が膨出部15の後面に係合し、その係合によってシンブル10、外カバー20および縫製カバー30が連結一体化されて非分離とされている。
【0034】
第1の実施の形態で示す帯状ロープ保護装置は上記の構造からなり、フック5と帯状ロープ4の連結に際しては、図5(イ)に示すように、フック5の後端部に形成されたロープ連結孔6内にシンブル10の一端部を挿入し、U字形の屈曲部がロープ連結孔6内に位置する状態で、そのシンブル10の両端部を摘み、互いに接近する方向に向けて押圧する。その押圧により、図5(ロ)に示すように、一対の保持爪18が互いに係合し、対向一対の突出部17が衝合する状態に保持され、ロープ連結孔6にシンブル10が取付けられる。
【0035】
シンブル10の取付け後、帯状ロープ4の端部を一対のロープ挿入孔14の一方に挿通し、その帯状ロープ4を保護板11の外面に沿わせて折り返し、その折返し側端部を他方のロープ挿入孔14に挿入し、外部に引き出された折返し側端部を帯状ロープ4に重ね合わせて、その重なり部を縫製する。
【0036】
図5(ハ)は、折返し側端部を帯状ロープ4に縫製した状態を示し、その縫製によって縫製部4aが形成される。縫製部4aの形成後、図5(ニ)の鎖線で示すように、ロープ連結孔6に外カバー20の一端部を挿入し、その外カバー20の保護板21を帯状ロープ4の折返し部4bの外周面に沿わせ、両端部に設けられた膨出部22をシンブル側膨出部15のロープ縫製部4a側の前面に対向配置する。
【0037】
外カバー20の装着後、図5(ニ)に示すように、帯状ロープ4に予め嵌合された縫製カバー30を縫製部4aを覆う位置までスライドさせ、そのスライド方向の前側に設けられた一対の係合爪32を外カバー20側の膨出部22に形成された爪挿入孔23からシンブル10側の膨出部15に形成された爪挿入孔16に挿入し、その係合爪32の先端部に形成された鈎部33をシンブル10側の膨出部の後面に係合する。その係合によってシンブル10と外カバー20と縫製カバー30は連結状態に保持され、フック5と帯状ロープ4は連結状態とされる。
【0038】
上記のように、フック5のロープ連結孔6にシンブル10を係合し、そのシンブル10の保護板11を包み込むようにしてロープ連結孔6内に帯状ロープ4を挿入し、その帯状ロープ4の折返し端部を帯状ロープ4に重ね合わせて縫製する作業の終了後に、上記折返し部4bの外周に外カバー20を沿わせ、上記帯状ロープ4に予め嵌合された縫製カバー30を縫製部4aを覆う位置までスライドさせ、そのスライド方向の先端部に形成された一対の係合爪32を外カバー20の爪挿入孔23からシンブル10の爪挿入孔16に挿入して、その先端の鈎部33をシンブル10側の膨出部15の後面に係合させることにより、帯状ロープ4とフック5を連結することができるため、帯状ロープ4とフック5を極めて容易に連結することができる。
【0039】
また、上記のような帯状ロープ4とフック5の連結において、帯状ベルト4の折返し部4bはシンブル10と外カバー20によって全体が覆われることになるため、帯状ロープ4の折返し部4bの摩耗等による損傷を確実に防止することができる。
【0040】
図6および図7は、この発明に係る帯状ロープ保護装置の第2の実施の形態を示す。この実施の形態においては、帯状ロープ4の折返し部4bの内側に組込まれるシンブル10の対向一対のフランジ12の両端部間にわたされた一対の連結板13のそれぞれ外面に縫製カバー30の端面を位置決めする位置決め突起41と、係合凹部42とを設けている。
【0041】
また、帯状ロープ4の折返し部4bの外側に装着される外カバー20の保護板21をその両端部がシンブル10の連結板13を覆うU字形とし、その保護板21の両端部に上記係合凹部42と係合可能な一対の内向きの係合爪43を設けている。
【0042】
さらに、帯状ロープ4の縫製部4aに嵌合された扁平な角筒状の縫製カバー30のテーパ状嵌合筒部31の開口端にシンブル10の両端部に嵌合される角形の第2の嵌合筒部44を連設し、その嵌合筒部44に前記一対の係合爪43が挿入される一対の爪挿入孔45を設け、上記外カバー20に設けられた一対の係合爪43を嵌合筒部44の爪挿入孔45に挿入し、シンブル10の連結板13に形成された係合凹部42に対する係合爪43の係合によって、シンブル10と外カバー20と縫製カバー30とを非分離としている。他の構成は、第1の実施の形態と同一であるため、同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
上記の構成からなる帯状ロープ保護装置において、帯状ロープ4とフック5の連結に際しては、第1の実施の形態で示す帯状ロープ保護装置と同様の作業によってフック5のロープ連結孔6にシンブル10を取付ける。
【0044】
シンブル10の取付け後、帯状ロープ4の端部を一対のロープ挿入孔14の一方に挿通し、その帯状ロープ4を保護板11の外面に沿わせて折り返し、その折返し側端部を他方のロープ挿入孔14に挿入し、外部に引き出された折返し側端部を帯状ロープ4に重ね合わせて、その重なり部を縫製する。
【0045】
折返し側端部の縫製後、帯状ロープ4に予め嵌合された縫製カバー30を縫製部4aを覆う位置までスライドさせ、そのスライド方向の前側に設けられた嵌合筒部44をシンブル10の両端部に嵌合する。次に、外カバー20の一端部をロープ連結孔6に挿入し、その外カバー20の保護板21を帯状ロープ4の折返し部外周面に沿わせ、その両端部に設けられた係合爪43を嵌合筒部44に形成された爪挿入孔45に挿入して、その先端の鈎部46をシンブル10の連結板13に形成された係合凹部42に係合して、シンブル10と外カバー20と縫製カバー30を連結状態に保持する。
【0046】
上記第2の実施の形態に係る帯状ロープの保護装置においても、帯状ロープ4とフック5を簡単に連結することができ、しかも、シンブル10と外カバー20とによって帯状ベルト4の折返し部4bの全体を覆うことができるため、帯状ロープ4の折返し部4bの摩耗等による損傷を確実に防止することができる。
【0047】
なお、第1の実施の形態および第2の実施の形態のいずれの高所作業用安全帯も、帯状ロープ4が胴ベルト1に取付けられた巻取器3を介して胴ベルト1に連結されたものを示したが、上記帯状ロープ4は、その後端部が胴ベルト1にD環等の金具を介して連結されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 胴ベルト
4 帯状ロープ
5 フック
10 シンブル
11 シンブルの保護板
12 フランジ
13 連結板
15 膨出部
16 爪挿入孔
17 突出部
18 保持爪
20 外カバー
21 外カバーの保護板
22 膨出部
23 爪挿入孔
30 縫製カバー
32 係合爪
41 位置決め突起
42 係合凹部
43 係合爪
44 嵌合筒部
45 爪挿入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴ベルトに後端部が連結された帯状ロープの先端部をフックの後端部に形成されたロープ連結孔に挿入して折り返し、その折り返し側端部を帯状ロープに重ね合わせて縫製した高所作業用安全帯のロープ保護装置において、
前記帯状ロープの折返し部の内側に組込まれるシンブルと、前記折返し部の外側に装着される外カバーと、前記帯状ロープの縫製部に嵌合されたエラストマーの成形品からなる扁平な角筒状の縫製カバーとを具え、
前記シンブルが、前記折返し部の内周に沿うU字形保護板の両側に折返し部の両側を覆う対向一対のフランジを設け、その対向一対のフランジの外周面の両端部間にわたされた一対の連結板のそれぞれ外面に膨出部を設け、その膨出部に前後に貫通する爪挿入孔を形成した合成樹脂の成形品からなり、
前記外カバーが、前記折返し部の外周に沿うU字形とされて両端部が前記シンブルの膨出部の外側に配置される保護板を有し、その保護板の両端部の内面にシンブル側膨出部のロープ縫製部側の前面に対向配置される一対の膨出部を設け、その膨出部にシンブル側膨出部の爪挿入孔と前後で対向する爪挿入孔を形成した合成樹脂の成形品からなり、
前記縫製カバーのシンブルと対向する端部に一対の係合爪を設け、その一対の係合爪を外カバーに形成された爪挿入孔からシンブルに設けられた爪挿入孔に挿入し、その係合爪をシンブル側膨出部の後面に係合してシンブルと外カバーと縫製カバーとを非分離としたことを特徴とする高所作業用安全帯のロープ保護装置。
【請求項2】
胴ベルトに後端部が連結された帯状ロープの先端部をフックの後端部に形成されたロープ連結孔に挿入して折り返し、その折り返し側端部を帯状ロープに重ね合わせて縫製した高所作業用安全帯のロープ保護装置において、
前記帯状ロープの折返し部の内側に組込まれるシンブルと、前記折返し部の外側に装着される外カバーと、前記帯状ロープの縫製部に嵌合されたエラストマーの成形品からなる扁平な角筒状の縫製カバーとを具え、
前記シンブルが、前記折返し部の内周に沿うU字形保護板の両側に折返し部の両側を覆う対向一対のフランジを設け、その対向一対のフランジの外周面の両端部間にわたされた一対の連結板のそれぞれ外面に縫製カバーの端面を位置決めする位置決め突起と、係合凹部とを設けた合成樹脂の成形品からなり、
前記外カバーが、前記折返し部の外周に沿うU字形とされて両端部がシンブルの連結板を覆う保護板を有し、その保護板の両端部に前記係合凹部に係合可能な一対の内向きの係合爪を設けた合成樹脂の成形品からなり、
前記縫製カバーには前記シンブルの両端部に嵌合される嵌合筒部を設け、その嵌合筒部に前記一対の係合爪が挿入される一対の爪挿入孔を設け、
前記外カバーの一対の係合爪を前記嵌合筒部の爪挿入孔に挿入し、前記係合凹部に対する係合により、シンブルと外カバーと縫製カバーとを非分離としたことを特徴とする高所作業用安全帯のロープ保護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−72525(P2011−72525A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226646(P2009−226646)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000106287)サンコー株式会社 (24)
【Fターム(参考)】