説明

高濃度のグアニン・モノマーを含有するオリゴヌクレオチド

本発明は、オリゴヌクレオチド合成、特にグアニン・モノマーの高い含有量を含むオリゴヌクレオチドの合成のための方法に関連する。更に詳細に、本発明は、オリゴヌクレオチド合成の間、ユニバーサル・サポート、第一のヌクレオシド又は伸長オリゴヌクレオチドに、ヌクレオシド・ホスホラミダイトをカップリングさせるための方法に関連する。本発明は更に、本発明の方法によって入手可能なオリゴヌクレオチドに関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願についてのクロス・リファレンス)
本出願は、米国特許法§119(e)の下で、2006年12月12日に出願の米国仮特許出願番号第60/869,588号に対する優先権を主張する。上記の出願の全ての教示は、参照することによりここに援用する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、オリゴヌクレオチド合成、特にグアニン・モノマーの高い含有量を含むオリゴヌクレオチドの合成のための方法に関連する。更に詳細に、本発明は、オリゴヌクレオチド合成の間、ユニバーサル・サポート、第一のヌクレオシド又は伸長オリゴヌクレオチドに、ヌクレオシド・ホスホラミダイトをカップリングさせるための方法に関連する。本発明は更に、本発明の方法によって入手可能なオリゴヌクレオチドに関連する。
(発明の背景)
【0003】
化学的に合成されたDNA及びRNA(「オリゴヌクレオチド」)及びそのアナログは、大部分の分子生物学的応用で用いられる。オリゴヌクレオチド合成の方法は30年間以上利用可能であり(Agarwal et al., Nature, 227:27-34 (1970)を参照)、現在、オリゴヌクレオチド合成で最も一般的な方法は、ホスホロアミダイト化学(McBride et al., Tetrahedron Lett., 24:245-248 (1983)を参照)によるものである。
【0004】
ホスホラミダイト合成は、通常、最も3’側(3'-most)のヌクレオチドから始り、最も5’側(5'-most)のヌクレオチドが付加されるまで、繰り返される4ステップから成る一連のサイクルによって進行する。しかしながら、適当な構造のヌクレオシド・ホスホラミダイト及び第一のヌクレオシドを選択することにより、5’−3’方向へのホスホラミダイト合成を確立することは当業者の通常の技量の範囲内である。ここに開示される方法は合成の両方向に適用でき、3’−5’方向の合成が一般的に好まれる。
【0005】
4つのステップは、脱保護、カップリング、キャッピング及び安定化(一般に酸化又は硫化)である。1つの変型例では、脱保護ステップの間、適した溶媒(例えばジクロロメタン又はトルエン)中でレシピエント・ヌクレオチドのペントース糖の5’−炭素に付加しているトリチル基がトリクロロ酢酸(イソチオシアン酸テトラメチルローダミン)又はジクロロ酢酸(ドライバー制御域)によって取り除かれ、反応性水酸基が残る。次のホスホラミダイト・モノマーは、カップリングステップで付加される。テトラゾール(弱酸)のような活性化因子はカップリングヌクレオシド・ホスホラミダイトと反応させるために用いられ、テトラゾリル・ホスホラミダイト中間体を形成する。この中間体はレシピエントの水酸基と反応し、5’から3’の結合が形成される。テトラゾールが再構成され、プロセスは続く。カップリングの失敗は、この時点でも5’末端に反応性水酸基を有しているオリゴヌクレオチドにおいて起こる。次のサイクルでオリゴヌクレオチドが反応性であること(欠損ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドを製造する)を防ぐために、それらは、アセチル化剤(例えば無水酢酸の混合液及びN−メチルイミダゾール)により不可逆的にキャッピングされることによって更なる合成からは取り除かれる。この試薬は、オリゴヌクレオチドをキャッピングするために、遊離ヒドロキシル基とだけ反応する。酸化工程において、通常、テトラヒドロフラン(THF)及び水中の軽度の酸化剤としてのヨウ素の存在下で、伸長オリゴヌクレオチド及び最も後に付加されたヌクレオチド間の亜リン酸エステル結合は安定する。水は酸素供与体として作用し、ヨウ素は亜リン酸結合を有する付加物を形成する。付加物は水によって分解され、安定したリン酸トリエステル結合となる。
【0006】
合成時間を減らし、プロダクトのより高い収率をつくるために、ホスホラミダイト合成に対して多くの有意な改変が行われた。合成においても更なる改変を必要とする改変ホスホラミダイト・モノマーが開発された。しかしながら、特定のオリゴヌクレオチドの合成において、まだ問題は残っている。1つの問題は、グアニン(G)−リッチ(guanine (G)-rich)・オリゴマーの合成であった。Gが豊富な領域を有するオリゴヌクレオチドは、種々の応用のために非常に有望だった。G−リッチ・オリゴヌクレオチドは、一般的に分子生物学及び医薬における有用な応用を有する複雑な構造に折りたたまれる。密集した4本鎖構造(例えばトロンビン・アプタマー)に折りたたむ種々のアプタマーが選択された。核酸におけるGが豊富な繰り返しは、種々の生物学的役割を伴う特定の一価又は二価の金属イオンの存在下でこれらの四重体を形成する(Deng et al., PNAS (2001), 98, 13665-13670; Jin et al., PNAS (1992), 89, 8832-8836及びLee, Nucleic Acids Research (1990), 18, 6057-6060を参照)。
【0007】
DNAの場合、この種のGが豊富な配列の精製は、pH12での陰イオン交換精製によって最も達成され、そのためにチミン及びグアニン・アミド官能性はイオン化され、構造形成に関与することができない。しかしながら、質の高い合成は、隣接するグアニン残基の数に依存して困難であり、おそらくカップリングステップにおける活性化ホスホラミダイトが5’−水酸基に接近できないことによる。
【0008】
特定の長さ又は塩基組成に達したあと、サポートに結合し、保護されたG−リッチ・オリゴマーは、凝集が起こる、又はアセトニトリルの溶解性の問題を有しており、5’−水酸基が接近しづらい原因となっている。さらに、これもまた、合成のために用いられる固相担体の性質に関連している。したがって、凝集を妨げる、又は溶解性の問題を解決する混合溶媒又は溶媒に対するニーズが存在する。
【0009】
提唱された方法は、カップリングステップにおいてグアニン・モノマーが豊富なオリゴマーに関する溶解性又は凝集の問題を軽減する、代替溶媒、特に極性非プロトン溶媒を提供する。
【0010】
(簡単な発明の要約)
提唱された方法は、カップリングステップにおいてグアニン・モノマーが豊富なオリゴマーに関する溶解性又は凝集の問題を軽減する、代替溶媒、特に極性非プロトン溶媒を提供する。溶媒は、オリゴマー、特にグアニン残基の高い含有量を有するオリゴマーに、より良好な溶解性もたらすために、アセトニトリルに添加することができる。
【0011】
(発明の詳細な説明)
提唱された方法は、カップリングステップにおいてグアニン・モノマーが豊富なオリゴマーに関する溶解性又は凝集の問題を軽減する、代替溶媒、特に極性非プロトン溶媒を提供する。ここに開示される極性非プロトン溶媒は、単独、各々と組み合わせて、好ましくはアセトニトリルと組み合わせて用いることができる。極性非プロトン溶媒は、オリゴマー、特にグアニン残基の高い含有量を有するオリゴマーにより良好な溶解性をもたらすために、アセトニトリルに添加することができる。さらにまた、ここに開示される溶媒及び混合溶媒は、カップリング溶液中のヌクレオシド・ホスホラミダイトの高い溶解性をもたらし、その溶解性は好ましくは少なくとも0.03Mである。一実施形態において、溶媒は、カップリングステップの間、アセトニトリル、モノマー及び活性化因子の混合液に添加される。アセトニトリルに対する溶媒の比は、変更することができる。ホスホラミダイト・モノマーは、従来のモノマー、又は改変されたモノマーであってもよい。一実施形態において、グアニン・モノマーは、酸に不安定な保護基、又は最終的なdGのカップリングのための脂溶性5’−O−保護基を有する改変グアニン・モノマーであってもよい。一実施形態において、用いられるdGモノマーは、トリイソプロピルシリル保護基を有するN2−イソブチリル−2´−デオキシグアノシン3´−O−ホスホラミダイトである。
【0012】
提唱された方法は、改変されたヌクレオシド・モノマーと同様に、既知のヌクレオシド・モノマーを含むオリゴヌクレオチドを用いて行うことができる。この方法は、DNA合成、又はRNA合成において用い得る。提唱された方法は、従来の陰イオン交換HPLCを基とする精製において通常利用可能なものよりも高いスケールでの生産をも可能にする。
【0013】
「Gが豊富な(G-rich)」又は「グアニンが豊富な(guanine-rich)」という用語は、高い濃度のグアニン・モノマーを有するオリゴヌクレオチドを意味する。一実施形態において、グアニン残基の濃度はオリゴヌクレオチドの溶解性を妨げる、又は減少させるのに十分大きく、それによって、合成が困難になり、所望のプロダクト収率又は純度が減少する。
【0014】
用語「オリゴヌクレオチド」は、合成されたRNA又はDNAポリマー及びそのアナログを意味し、「オリゴマー」及び「核酸」と同様の意味として用いられる。
【0015】
オリゴヌクレオチド合成の収率を決定するための方法及びオリゴヌクレオチドの純度を決定するための方法は、従来技術において一般に公知である。本発明の方法の収率について言及する場合、収率は、通常、好ましくは、基本的に実施例7に開示されるように決定される。同様に、オリゴヌクレオチドの純度に言及する場合、純度は、通常、好ましくは、基本的に実施例7に開示されるように決定される。
【0016】
一つの態様では、本発明はオリゴヌクレオチドの合成の間、ヌクレオシド・ホスホラミダイトをカップリングさせるための方法を提供し、方法はカップリング混合液として一つ以上の極性非プロトン溶媒と活性化剤を組み合わせることを含む。好ましい実施態様において、極性非プロトン溶媒はスルホランである。更なる好ましい実施態様において、極性非プロトン溶媒は、1−メチルピロリジン−2−オン(1-methylpyrrolidin-2-one)である。更なる好ましい実施態様において、N,N−ジメチルアセトアミドである。更なる好ましい実施態様において、極性非プロトン溶媒は、テトラメチル尿素である。更なる好ましい実施態様において、活性化剤及び極性非プロトン溶媒は、アセトニトリルと組み合わせられる。更なる好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは30%以上のグアニン・モノマーを含む。更なる好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは、50%以上のグアニン・モノマーを含む。更なる好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは、60%以上のグアニン・モノマーを含む。更なる好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは、グアニン・モノマーが3つ以上の連続する領域を含む。更なる好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは、グアニン・モノマーが4つ以上の連続する領域を含む。更なる好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは、グアニン・モノマーが5つ以上の連続する領域を含む。更なる好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号:10である。
【0017】
ここに記載されるカップリング反応は、オリゴヌクレオチドの合成の間、ヌクレオシド・ホスホラミダイトのユニバーサル・サポートへの最初のカップリングに有用である。そのようなユニバーサル・サポートは、、従来技術として用いられており、通常、好ましくはスクシナート−リンカーを含む。さらにまた、ここに記載されるカップリング反応は、オリゴヌクレオチドの合成の間、第一のヌクレオシドにヌクレオシド・ホスホラミダイトをカップリングさせるために有用であり、第一のヌクレオシドは遊離している、又は、好ましくはサポートに固定されている。さらにまた、ここに記載されるカップリング反応は、オリゴヌクレオチドの合成の間、伸長オリゴヌクレオチドにヌクレオシド・ホスホラミダイトをカップリングさせるために有用である。
【0018】
したがって、更なる態様において、本発明は、オリゴヌクレオチドの合成の間、ユニバーサル・サポート、第一のヌクレオシド又は伸長オリゴヌクレオチドにヌクレオシド・ホスホラミダイトをカップリングさせるための方法に関連しており、以下のステップを含んでいる:(i)カップリング溶液を作製するステップであって、カップリング溶液は(a)極性非プロトン溶媒であって、アセトニトリルでない少なくとも1つの第一の溶媒;(b)活性化剤;及び(c)前記ヌクレオシド・ホスホラミダイトを含み、カップリング溶液中のヌクレオシド・ホスホラミダイトの濃度は少なくとも0.03Mであって;好ましくは、カップリング溶液中の活性化剤の濃度は少なくとも0.05Mである;及び(ii)カップリング溶液を、ユニバーサル・サポート、第一のヌクレオシド又は伸長オリゴヌクレオチドと接触させるステップ。更なる態様において、オリゴヌクレオチドの合成の間、第一のヌクレオシド又は伸長オリゴヌクレオチドにヌクレオシド・ホスホラミダイトをカップリングさせるための方法に関連しており、以下のステップを含んでいる:(i)カップリング溶液を作製するステップであってカップリング溶液は(a)極性非プロトン溶媒であって、アセトニトリルでない少なくとも1つの第一の溶媒;(b)活性化剤;及び(c)ヌクレオシド・ホスホラミダイトを含み、カップリング溶液中のヌクレオシド・ホスホラミダイトの濃度は少なくとも0.03Mであって;好ましくは、カップリング溶液中の活性化剤の濃度は少なくとも0.05Mである;及び(ii)カップリング溶液を、ユニバーサル・サポート、第一のヌクレオシド又は伸長オリゴヌクレオチドと接触させるステップ。
【0019】
好ましい実施態様において、第一の溶媒は、(a)スクシノニトリル、(b)グルタロニトリル、(c)アジポニトリル、(d)ピメロニトリル、(e)バレロニトリル、(f)ベンゾニトリル、(g)カプロニトリルからなるグループからは選択されない。別の好ましい実施例では第一の溶媒は、(a)ジニトリル、(b)モノ・ニトリル、(c)グライム、(d)ダイグライム、(e)三グライム、(f)トリメチルホスフェート、(g)ジクロロメタン、(h)テトラヒドロフラン、(i)ジメトキシエタン及び(j)ニトロメタンからなるグループからは選択されない。更なる好ましい実施態様において、前記極性非プロトン溶媒は、双極性非プロトン溶媒である。
【0020】
更なる態様において、本発明は、本発明は、オリゴヌクレオチドの合成の間、ユニバーサル・サポート、第一のヌクレオシド又は伸長オリゴヌクレオチドにヌクレオシド・ホスホラミダイトをカップリングさせるための方法に関連しており、以下のステップを含んでいる:(i)カップリング溶液を作製するステップであってカップリング溶液は(a)極性非プロトン溶媒であって、アセトニトリルでない少なくとも1つの第一の溶媒;(b)活性化剤;(c)ヌクレオシド・ホスホラミダイト;(d)第2の溶媒を含み、第2の溶媒は化学的に少なくとも1つの第一の溶媒のいずれとも異なり、好ましくはアセトニトリルであり、カップリング溶液中のヌクレオシド・ホスホラミダイトの濃度は少なくとも0.03Mであって;好ましくは、カップリング溶液中の活性化剤の濃度は少なくとも0.05Mである;及び(ii)カップリング溶液を、ユニバーサル・サポート、第一のヌクレオシド又は伸長オリゴヌクレオチドと接触させるステップ。
【0021】
別の好ましい実施例では、少なくとも一つの第一の溶媒は、(a)スルホラン;(b)1−メチルピロリジン−2−オン;(c)N,N−ジメチルアセトアミド;(d)テトラメチル尿素;及び(e)ジメチルスルホキシド(DMSO)からなるグループから選択され、好ましくは、少なくとも一つの第一の溶媒は、(a)スルホラン;(b)1−メチルピロリジン−2−オン;(c)N,N−ジメチルアセトアミド;及び(d)テトラメチル尿素からなるグループから選択される。極めて好ましい実施態様において、少なくとも一つの第一の溶媒は、スルホランである。
【0022】
前の請求項のいずれかの方法におけるカップリング溶液中のヌクレオシド・ホスホラミダイトの濃度は0.03〜0.3M、好ましくは0.03〜0.20M、最も好ましくは0.05〜0.15Mである。
【0023】
別の好ましい実施例では、カップリング溶液の前記活性化剤の濃度は、0.05から0.90M、好ましくは0.25〜0.50M、最も好ましくは0.30から0.5Mである。更なる好ましい実施態様において、カップリング溶液は、少なくともちょうど一つの第一の溶媒の一つを含む。
【0024】
更なる好ましい実施態様において、カップリング溶液は、(a)少なくとも一つの第一の溶媒のちょうど一つ;(b)活性化剤;及び(c)ヌクレオシド・ホスホラミダイトからなる。
【0025】
更なる好ましい実施態様において、カップリング溶液は、第二の溶媒を更に含み、好ましくは第二溶媒は弱塩基性の溶媒である。極めて好ましい実施態様において、第二の溶媒はアセトニトリルである。
【0026】
本発明の基礎をなしている化学反応、特にユニバーサル・サポート、第一のヌクレオシド又は伸長オリゴヌクレオチドへのヌクレオシド・ホスホラミダイトのカップリングを促進するために、第一及び/又は第二溶媒が好ましくは水を含まない形態として提供されることは技術者にとっては明白である。
【0027】
更に好ましい実施態様において、前記カップリング溶液は、(a)少なくとも一つの第一の溶媒のちょうど一つ;(b)活性化剤;(c)ヌクレオシド・ホスホラミダイト;及び(d)好ましくはアセトニトリルである第2の溶媒を含むか、好ましくはそれらからなる。
【0028】
更に好ましい実施態様において、第二の溶媒に対する少なくとも一つの第一の溶媒の比(v/v)は、5:1から1:2の間で、好ましくは4:1から1:2の間で、より好ましくは3:1から2:5の間で、さらに好ましくは2:1から2:5の間で、さらに好ましくは2:1から1:1の間である。
【0029】
更なる好ましい実施態様において、第二の溶媒に対する少なくとも一つの第一の溶媒の比(v/v)は、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1又は1:2であり、好ましくは約1:1であり、最も好ましくは1:1である。
【0030】
更なる好ましい実施態様において、第一のヌクレオシド及び/又は伸長オリゴヌクレオチドは、サポートに固定され、そのサポートは、好ましくは(a)ポリスチレンサポート;及び(b)シリカサポートから選択され、好ましくは制御細孔ガラス(CPG)サポートである。
【0031】
更なる好ましい実施態様において、サポートはポリスチレンサポートであって、好ましくはポリスチレンサポートはジビニルベンゼンによって架橋結合されており、更に好ましくはポリスチレンサポートは機能的水酸基によって特徴づけられ、更に好ましくはポリスチレンサポートは約90μmの平均粒度を含む。
【0032】
更なる好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも75%のグアニン・モノマーを含む。
【0033】
別の好ましい実施例では活性化剤は、(a)4,5−ジシアノイミダゾール(DCI);(b)5−エチルチオ−1H−テトラゾール(ETT);(c)5−ベンジルチオ−1H−テトラゾール(BTT);及び(d)5−(3,5−ビス−トリフロロメチル)フェニル−1H−テトラゾール(活性化因子42)からなるグループから選択される。極めて好ましい実施態様において、活性化剤は、4,5−ジシアノイミダゾール(DCI)である。
【0034】
更なる好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは、グアニン・モノマーが3以上、好ましくは4以上、最も好ましくは5以上連続する領域を含む。
【0035】
更なる好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは、グアニン・モノマーが3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20連続する第一の領域を含む。
【0036】
更なる好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは、グアニン・モノマーが3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20連続する第二の領域を含む。
【0037】
更なる好ましい実施態様において、第一の領域はオリゴヌクレオチドの3’−末端に位置する、及び/又は第二の領域はオリゴヌクレオチドの5’−末端に位置する。
【0038】
更なる好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは10から50、好ましくは20〜40、最も好ましくは30のヌクレオチド・モノマーを含む。
【0039】
更なる好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドはパリンドローム配列を含み、好ましくはパリンドローム配列はGACGATCGTC(配列番号:2)である。
【0040】
更なる好ましい実施態様において、パリンドローム配列は、少なくとも4、多くても20、好ましくは多くても10のグアノシンによってその5’−末端に隣接している;及び/又はパリンドローム配列は、少なくとも6、多くても20、好ましくは多くても10のグアノシンによってその3’−末端に隣接している。
【0041】
更なる好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは、(a)GGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:3);(b)GGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:4);(c)GGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:5);(d)GGGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:6);(e)GGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGG(配列番号:7);(f)GGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGG(配列番号:8);(g)GGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGG(配列番号:9);(h)GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号:10);及び(i)GGGGGGCGACGACGATCGTCGTCGGGGGGG(配列番号:11)からなるグループから選択されるヌクレオチドを含むか、好ましくはそれらからなる。極めて好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号:10を含むか、好ましくはそれからなる。
【0042】
更なる好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドはデオキシヌクレオチドであり、好ましくはデオキシヌクレオチドはリン酸ジエステル結合モノマーのみからなる。
【0043】
更なる態様において、本発明はオリゴヌクレオチドを製造するための方法に関連し、その方法は、オリゴヌクレオチドの合成の間、ユニバーサル・サポート、第一のヌクレオシド又は伸長オリゴヌクレオチドにヌクレオシド・ホスホラミダイトをカップリングさせるための、ここに記載される方法のいずれか一つを含む。
【0044】
更なる態様において、本発明はオリゴヌクレオチドを製造するための方法に関連し、その方法は(i)第一のヌクレオシドにヌクレオシド・ホスホラミダイトをカップリングさせるステップ(カップリングは、オリゴヌクレオチドの合成の間、ヌクレオシド・ホスホラミダイトを第一のヌクレオシドにカップリングさせるための、ここに記載される方法のいずれかを含む);(ii)ステップ(i)のプロダクトを酸化させることによって、伸長オリゴヌクレオチドを生成するステップ;(iii)ステップ(ii)のプロダクトに、ヌクレオシド・ホスホラミダイトを、通常及び好ましくは脱保護の後にカップリングさせるステップ(カップリングは、オリゴヌクレオチドの合成の間、ヌクレオシド・ホスホラミダイトを伸長オリゴヌクレオチドにカップリングさせるための、ここに記載される方法のいずれかを含む);(iv)ステップ(iii)のプロダクトを酸化させることによって、伸長オリゴヌクレオチドを生成するステップ;及び(v)伸長オリゴヌクレオチドがオリゴヌクレオチドの配列を含むまで、(iii)及び(iv)のステップを繰り返すステップ、を含む。
【0045】
好ましい実施態様における方法は、変性条件の下でオリゴヌクレオチドを精製するステップをさらに含み、好ましくは変性条件は、pH10から14、好ましくはpH10から13、より好ましくは約pH12、最も好ましくはpH12として特徴づけられる。
【0046】
更なる好ましい実施態様における方法は、pH10から14、好ましくはpH10から13、より好ましくは約pH12、最も好ましくはpH12でオリゴヌクレオチドを精製するステップをさらに含む。
【0047】
更なる好ましい実施態様における精製は、陰イオン交換クロマトグラフィによって行われ、好ましくは陰イオン交換クロマトグラフィは四級アミン基で官能化された陰イオン−交換マトリックスを用いて行われ、より好ましくは陰イオン−交換マトリックスはポリスチレン及びポリメタクリレートから選択される材料からなり、更に好ましくは材料はポリメタクリレートである。
【0048】
更なる好ましい実施態様におけるオリゴヌクレオチドは、少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも40%の第一のヌクレオシドに関するモル収率で製造される。
【0049】
更なる好ましい実施態様におけるオリゴヌクレオチドの純度は、少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%である。
【0050】
更なる態様において、本発明は、ヌクレオシド又は伸長オリゴヌクレオチドにヌクレオシド・ホスホラミダイトをカップリングさせるための方法におけるカップリング溶液の使用に関するものであり、カップリング溶液は:(a)少なくとも極性非プロトン溶媒であってアセトニトリルでない一つの第一の溶媒;(b)活性化剤;及び(c)ヌクレオシド・ホスホラミダイトを含み、カップリング溶液中のヌクレオシド・ホスホラミダイトの濃度は少なくとも0.03Mであり、カップリング溶液中の活性化剤の濃度は少なくとも0.05Mである。好ましい実施態様における方法は、オリゴヌクレオチドの合成の間、第一のヌクレオシド又は伸長ヌクレオチドにヌクレオシド・ホスホラミダイトをカップリングさせるための、ここに記載される方法のいずれかの特性によって、更に特徴づけられる。
【0051】
更なる態様において、本発明は、オリゴヌクレオチドの合成の間、ユニバーサル・サポート、第一のヌクレオシド又は伸長オリゴヌクレオチドにヌクレオシド・ホスホラミダイトをカップリングさせるためのカップリング溶液に関連し、カップリング溶液は:(a)極性非プロトン溶媒であってアセトニトリルもしくはアジポニトリルではない少なくとも一つの第一の溶媒;(b)活性化剤;及び(c)ヌクレオシド・ホスホラミダイト;を含み、カップリング溶液中のヌクレオシド・ホスホラミダイトの濃度は少なくとも0.03Mであり;カップリング溶液中の活性化剤の濃度は少なくとも0.05Mである。好ましい実施態様における方法は、ここに開示される方法のいずれかの特性によって、更に特徴づけられる。好ましい実施態様において、カップリング溶液は、ここに開示されるいずれかの特性によって特徴づけられ、あらゆる組合せにより特徴づけられる。
【0052】
極めて好ましい実施態様は、(a)ちょうど一つの第一の溶媒(極性非プロトン溶媒であって、(i)スルホラン;(ii)1−メリルピロリジン−2−オン;(iii)N,N−ジメチルアセトアミド;(iv)テトラメチル尿素;及び(v)ジメチルスルホキシド(DMSO)からなるグループから選択され;好ましくは、第一の溶媒はスルホランである);(b)活性化剤;(c)前記ヌクレオシド・ホスホラミダイト;及び(d)第2の溶媒、を含むか、好ましくはそれからなり、第2の溶媒はアセトニトリルであり;カップリング溶液中のヌクレオシド・ホスホラミダイトの濃度は少なくとも0.03Mであり;第2の溶媒に対する第一の溶媒の比(v/v)は、5:1から1:2の間であって、好ましくは、1:1である。
【0053】
更なる態様において、本発明は、ここに開示されるいずれかの方法、特にここに開示されるオリゴヌクレオチドを製造するための方法のいずれかにより得られるオリゴヌクレオチドに関連する。
【0054】
好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは、(a)GGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:3);(b)GGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:4);(c)GGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:5);(d)GGGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:6);(e)GGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGG(配列番号:7);(f)GGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGG(配列番号:8);(g)GGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGG(配列番号:9);(h)GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号:10);及び(i)GGGGGGCGACGACGATCGTCGTCGGGGGGG(配列番号:11)からなるグループから選択されるヌクレオチド配列を含むか、好ましくはそれらからなる。極めて好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは配列番号:10からなる。
【0055】
更なる態様において、本発明は、(a)GGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:3);(b)GGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:4);(c)GGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:5);(d)GGGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:6);(e)GGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGG(配列番号:7);(f)GGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGG(配列番号:8);(g)GGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGG(配列番号:9);(h)GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号:10);及び(i)GGGGGGCGACGACGATCGTCGTCGGGGGGG(配列番号:11)からなるグループから選択されるヌクレオチド配列を含むか、好ましくはそれらからなるオリゴヌクレオチドに関連し、オリゴヌクレオチドの純度は、少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%である。極めて好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは配列番号:10からなる。
【0056】
ここに開示される方法はオリゴヌクレオチド、例えば、ポリ−Gが隣接するメチル化されていないCpGを含むオリゴヌクレオチドなど、特にGが豊富なオリゴヌクレオチドの大規模な合成に適している。この種の化合物は、薬学的応用において用いられる。例えば、それらは、既知の免疫系の刺激因子である。したがって、更なる態様において、本発明は、製薬及び/又はワクチンの製造における本発明のオリゴヌクレオチドの使用に関連する。
【0057】
更なる態様において、本発明は、オリゴヌクレオチドの合成の間、ユニバーサル・サポート、第一のヌクレオシド又は伸長オリゴヌクレオチドにヌクレオシド・ホスホラミダイトをカップリングさせるための方法に関連し:(i)(a)極性非プロトン溶媒であってアセトニトリルでない少なくとも一つの第一の溶媒;(b)活性化剤;及び(c)ヌクレオシド・ホスホラミダイトを含むカップリング溶液を作製するステップであって、カップリング溶液中のヌクレオシド・ホスホラミダイトの濃度は少なくとも0.03Mであり;カップリング溶液中の活性化剤の濃度は少なくとも0.05Mである;及び(ii)ユニバーサル・サポート、第一のヌクレオシド又は伸長オリゴヌクレオチドとカップリング溶液を接触させるステップ、を含む。好ましい実施態様において、第一の溶媒はアジポニトリルではない。
【0058】
ここに記載される公報、特許出願及び特許を含む全ての文献は、それぞれの文献が単独で又は特異的に援用されたことが示され、その全てが説明されたかのようにここに引用されたものとする。
【0059】
本発明の説明において(特に以下の請求項に関連して)、用語「a」及び「an」及び「the」及び類似した指示対象の使用は、特に明記しない限り、又は文脈により明らかに否定されない限り、単数及び複数を包含するように解釈される。用語「含む」、「有する」、「包含する」、及び「含有する」は、特に明記しない限り制限のない(open-ended)用語(すなわち、「含むがそれに限定されない」ことを意味する用語)として解釈される。ここにおける値の範囲の記載は、単に範囲内の個々の値を言及する簡便な方法として役割をなすことを目的とするものであり、特に明記しない限り、一つ一つが記載されるかのように、それぞれ個々の値は明細書に援用される。ここに記載される全ての方法は、特に明記しない限り、又は文脈により明らかに否定されない限り、あらゆる適切な順序で行われ得る。ここに提供されるあらゆる例及び全ての例、又は典型的な言語(例えば「のような」)の使用は、単に本発明をよりよく説明するためであり、請求されない限り、本発明の範囲を制限しない。明細書の文言は、クレームされていないエレメントが本発明を実施するために必須であることを示しているとは解釈されてはならない。
【0060】
本発明の好ましい実施態様はここに記載されており、発明者の知る本発明を実施するための最良の形態を含む。それらの好ましい実施態様の変型例は、上述の記載を読むことにより当業者に明瞭となるであろう。発明者は、熟練した技術者が適切にこの種の変型例を使用し、特にここに記載される以外の別の方法で本発明が実施されると推測する。したがって、本発明は、適用法に認められるように、ここに追加される請求項において記載されるものの全ての改変物及び均等物を含む。さらに、その全てのあり得る変型例の上述のエレメントのあらゆる組合せは、特に明記しない限り、又は文脈によって明らかに否定されない限り、本発明に包含される。
【実施例】
【0061】
以下の例は、本発明を更に説明するが、もちろんその範囲を制限するように解釈されてはならない。
【0062】
(実施例1)
この実施例は、オリゴマー合成の互換性について試験された溶媒を記載する。以下の溶媒が試験された。
【0063】
1−メチルピロリジン−2−オン(NMP)−MW99.13;密度1.032g/ml;粘性1.67cP;双極子モーメント4.09D。ペプチド合成グレードは、Flukaから得られた(カタログno.69116;ロット及びフィリングコード1059178、21504055)。GCによる純度は99.5%以上であり、含水量は0.02%以下である。
【0064】
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)−MW87.12;密度0.942g/ml;20℃における粘性1.02cP;双極子モーメント3.79D。puriss.グレードは、Flukaから得られた(カタログno.38840;ロット及びフィリングコード454936/1、40504059)。GCによる純度は、99.5%以上である。
【0065】
テトラメチル尿素(TMU)−MW116.16;密度0.968g/ml。BioChemikaグレードは、Flukaから得られた(カタログno.87849;ロット及びフィリングコード1063403、30205010)。GCによる純度は、99.5%以上である。この材料は、使用前に4オングストロームのモレキュラーシーブ上で48時間乾燥した。
【0066】
ジメチルスルホキシド(DMSO)−MW78.13;密度1.100g/ml;20℃における粘性1.996cP;双極子モーメント3.96D。モレキュラーシーブの上のPuriss.アブソルートは、Flukaから得られた(カタログno.41647、ロット及びフィリングコード1073729、22404456)。GCによる純度は99.5%以上であり、含水量は0.005%以下である。
【0067】
スルホラン−MW120.17;密度1.293g/ml;30℃における粘性10.30cP;双極子モーメント4.8D。Puriss.グレードは、Flukaから得られた(カタログno.86148、ロット及びフィリング材コード1181025、42306336)。GCによる純度は、99.5%以上である。この材料は、使用前に、最初に35℃でオーブンにおいて液化され、4オングストローム・モレキュラーシーブ上で48時間乾燥した。
【0068】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)−MW168.04;密度1.596g/ml。UV分光学グレードは、Apollo Scientificから得られた(カタログno.PC 0877、ロットno.BNO HFIP−05−14)。HFIPは、ペプチドを可溶化するために頻繁に使用する極性のヒドロキシル溶媒であるので、コントロールとして含む。
【0069】
(実施例2)
以下の実施例は、容積配合が1:1のアセトニトリル及び実施例1の溶媒中でのモノマー及び5−ベンジル・チオ・テトラゾール(BTT)の溶解性を示す。
【0070】
BTT(MW192.2、含水量75ppm以下)は、emp Biotech GmbHによって供給された(カタログno.NC−0101−1K、チャージ/ロットno.050904)。dT(MW744.83)、dGibu(MW839.92)、dAbz(MW857.93)、dCbz(MW833.93)モノマーは、Proligoによって供給された。アセトニトリル(MeCN)は、25℃において0.345cPの粘性及び3.92Dの双極子モーメントを有する。
【0071】
dTモノマー74.5mg(100μMol)は、各々7つのねじふた式の10mlバイアルに計量された。dGibuモノマーの84mg(100μmol)は、各々7つのねじふた式の10mlバイアルに計量された。dAbzモノマーの86mg(100μmol)は、各々7つのねじふた式の10mlバイアルに計量された。dCbzモノマーの83mg(100μmol)は、各々7つのねじふた式の10mlバイアルに計量された。BTTの228mg(1.2mmol)は、各々の7つのねじふた式の10mlバイアルに計量された。
【0072】
6つの異なる溶媒混合物は、10mlの乾燥したアセトニトリルと上述した異なる6つのうち一つの溶媒10mlと、アルゴンの下で別々の乾燥した瓶中で混合することにより調製された。
【0073】
異なる6つのうち一つの溶媒混合物、又は純粋なアセトニトリルの1mlがTモノマーの各別々のバイアルに添加された。バイアルは、直ちに閉じ、穏やかに攪拌された。これは、dG、dA及びdCモノマーのバイアルについて繰り返された。全てのモノマーは、標準シンセサイザー上での使用で必要とされるように、かなり迅速に0.1Mの濃度で7つ溶媒混合物中に溶解させた(10分以内で、MeCN/スルホランの場合、溶解ははいくらか遅かった)。無色透明な溶液が得られた。
【0074】
BTTの別々のバイアルのそれぞれに、6つのうち一つの溶媒混合物4mlが添加された。HFIP/MeCN以外の全てのケースにおいて、溶解は、0.3Mでは(DNA及びRNA合成のための典型的な標準濃度)ほぼ瞬間的であった。BTTは純粋なアセトニトリルに添加され、溶解は実施例1の6つの溶媒における溶解ほど早くなかった。穏やかな加温は、純粋なアセトニトリル中での迅速な溶解を達成するのに必要とされた。
【0075】
全4つの標準保護されたDNAモノマーは、アセトニトリル及びNMP、DMA、TMU、DMSO及びスルホランの1:1の混合物に0.1Mでは易溶性である。BTTは、0.3Mで5つの混合物の全てにおいて可溶性である。
【0076】
(実施例3)
以下の実施例は、48時間後の溶媒溶液のモノマー安定性を示す。様々な溶媒混合物のモノマーの安定性を確認するために、シリカゲルtlc分析は、室温で48時間置いた後に、28のモノマー溶液の1μlアリコートそれぞれに対して行われた。明らかに、示される測定可能な不安定性は、その特定の溶媒の組合せが合成装置でのDNA合成に有用でないことを意味する。このために、選択される溶出剤は、3%トリエチルアミンを含有する酢酸エチル/1,2−ジクロロエタン(1:2 v/v)であった。MeCN/HFIP(これらは全ての淡黄色であり、脱トリチル及び分解によるものだろう)以外の全てのモノマー溶液は無色であった。254nm蛍光指示薬の、tlcのためのアルミニウム・カード上のシリカゲルは、Flukaから得られた(カタログno.60778、ロットno.503066)。
【0077】
6つの関連する溶媒混合物中の様々なモノマーについて、以下のスポットが観察された。0から0.21のR値を有するtlc上の多数のスポットを伴って、主に予想されたように、溶媒混合物MeCN/HFIPは全4つのモノマーの全分解に導いた。結果は、表1に記載された。
表1

【0078】
TMUの場合、tlcスポットは、NMP及びDMAの値と比較して、わずかに増加したRf値を有した。DMSOにおいて、R値はやや減少していた。ほとんどの場合、両方のジアステレオアイソマーは観察された。NMP、DMA、TMU及びDMSOのケースにおいて、非常にかすかな不純物スポットもまた観察され得た。スルホランの場合、R値0.27のかすかな不純物スポットが、dCbzモノマーについて観察された。
【0079】
全4つの標準保護されたDNAモノマーは、溶液してから室温で48時間後では、ほとんど又は全く分解を示さない。全5つの混合物は、小規模でのオリゴ−dGを含有する配列の合成を試みるために適しているようである。
【0080】
(実施例4)
以下の例は、ABI394DNA/RNA合成装置(Applied Biosystems)でのGが豊富なオリゴヌクレオチド合成のカップリング・ステップで使われる場合の、実施例1の溶媒の有用性を示す。以下のグアニンが豊富なオリゴヌクレオチドが合成のために選択された。
配列番号:1d[GGGGGGGGGG]
【0081】
純粋なアセトニトリルと比較した粘性の変化を参酌するための算出送達因子は、表2に記載される。
表2

【0082】
ABI394合成装置のサイクル・パラメータは調整された。1μモル・スケールの場合、関連したモノマー及びモノマー+tetの送達時間(秒)が下記の表に示されているDNA合成サイクルno.20が用いられた。5つの異なる1:1の溶媒混合物についての修正された送達時間もまた表3に示されている。
表3

【0083】
ABI394−08についての以下の合成パラメーターが用いられた。(dG)10のトリチル−off合成は、アセトニトリルとNMP、DMA、TMU、DMSO及びスルホラン各々の1:1混合物と、凝縮工程のための溶媒として純粋なアセトニトリルを用いて、制御細孔ガラス(CPG)及びポリスチレン(PS)サポート上の1μモル・スケールで行われた。DNA合成サイクル20は用いられ、以下の5つのステップを含んだ:(1)75秒間の1,2−ジクロロエタン(DCE)中の5%DCAを用いた脱トリチル;(2)5分間の適切な混合溶媒中の0.1MdGモノマーを加えた0.5MDCIを用いたカップリング;(3)1分間のtac無水物/MeCNを用いたキャッピング;(4)1分間のピリジン/水(9:1 v/v)中の50mMIを用いた酸化;及び(5)5秒間のキャッピング。「tet to waste」、「B + tet to column」及び「tet to column」の送達時間は、様々な混合溶媒についての上述の表に従って調整された。
【0084】
CPG dg(tac)500Aサポートは、SAFC Proligo(プロダクトno.G302001、バルクno.5452、ロットno.223460)によって供給され、35μmol/gロードされた。したがって、28.6mgは、1μmolと当量である。79μmol/gでロードされるdGibu 80Sポリスチレンサポートは、GE Healthcare、オーダーno.17−5252−82、ロットno.1503095、ボトル12から得られた。12.7mgは、1μmolと当量である。4,5−ジシアノイミダゾール(DCI)は、SAFC Proligo(プロダクトno.M700100、ロットno.231206)から得られた。MWは、118.1である。0.5M溶液は、アセトニトリル又は他の溶媒50ml中に2.95gの乾燥したDCIである。dGibuモノマーは、SAFC Proligo(プロダクトno.G111010−01、ロットno.230394、ボトル17)から得られた。MWは、839.92である。420mgは、5mlの0.1M溶液のために必要とされる。超乾燥(extra dry)1,2−ジクロロエタン(GCによる99.8%)は、Acros Organics(製品コード32684 0010、ロットno.A0208016)から得られた。酸化のための50mMヨード液は、Biosolve(カタログno.15072402、バッチno.455001)から得られた。ジクロロ酢酸(DCA)は、Fluka、カタログno.35810、ロットno.S36318 12306B12から得られた。Cap B ACNは、SAFC Proligo(カタログno.LB50250、バッチno.16673)から得られた。Cap 2 ACNは、SAFC Proligo(カタログno.LR50250、バッチno.16950)から得られた。
【0085】
420mgのdGibuモノマーは、それぞれ6つの別々のABI10mlアミダイトボトルに入れられ、真空、オーバーナイトでP及びKOHペレットで乾燥させた。真空はアルゴンを放出され、各モノマーは溶媒混合物の一つで溶解させた。DCI2.95gアリコートは、6つの250mlABIボトルに量り分け、真空中で乾燥させた。DCIの各部分は、6つの異なる溶媒(5つの混合物及び1つの純粋なアセトニトリル)の一つで溶解させた。
【0086】
6つのABIスナップ・カラムは28.6mgのdG(tac)−CPGで満たされ、6つのカラムは12.7mgのdGibu 80Sポリスチレンサポートで満たされた。固相合成に用いる前に、PSサポートはアセトニトリル中で10分間膨張させた。
【0087】
各合成が開始する前に、全ての送達経路は新しい試薬で満たされたことを確認するために、ABI開始プロトコルが用いられた。トリチルの色は、成功したカップリングと一致していた。
【0088】
全12のサポートは、よく密封されたねじふた式のガラス・バイアルで、65℃、2.5時間、3mlの40重量%メチルアミンを含む水(Aldrich、カタログno.42,646−6、ロットno.S23322−405)において脱保護された。冷却後、上清は、ファルコン・チューブに濾過され、サポートはそれぞれ3mlの20%水性エタノールで洗浄された。洗浄物は濾過され、対応する濾過液と組み合わせられた。試料は、Speedvac中で2mlまで真空濃縮された。各試料は、5mlの総容積まで、純水で希釈された。
【0089】
各試料の260nmでの全光学密度を決定するために、各50μlアリコートは1Mトリス塩酸バッファpH7.6(分子生物学のためのFluka Biochemika Ultra grade、カタログno.93314、ロット及びフィリングコード1188960 54605275)で1mlまで希釈された。各々の溶液について、光路が1cmの使い捨てキュベット(Plastibrand、1.5ml semi−micro、カタログno.7591 50)でのA260nmが測定された。各合成についての修正された初期光学密度/μmolを表4に示す。
表4

【0090】
陰イオン交換HPLC分析は、それから全12の粗合成について行われた。各粗合成0.5mlを含む水5mlは、0.5mlのHPLCバッファA(50mMNaCl、10mMNaOH及び0.2mMEDTAを含む水)と混合された。14×1mlの試料は1.5mlのショートスレッド・オートサンプラ・バイアル(VWR International(カタログ/技術no.548−0177、バッチno.19310/20060763))に入れられ、Akta Explorer 10 HPLCシステム(GE Healthcare)に接続されるA−900オートサンプラー(GE Healthcare)のトレイにロードされた。50μlの試料は、バイアルから注入され、1ml/分の流速で25分間0から40% Bまでの勾配、及び260、280及び295nmのUV検出を用いて、50℃でDNAPac−100カラム(Dionex)に分離された(Thermasphere column heater、 Phenomenex)。Bバッファーは、2.5MNaCl、10mMNaOH及び0.2mMEDTAを含む水であった。各溶媒混合物及び各サポートについての完全長プロダクトのパーセンテージは、表5に示される。
表5

【0091】
CPGでのMeCNについて、HPLCの出力は、プロダクト・ピークの前で12%の不純物及び3.5%のn+物質を示した。ピークの高さは、863mAUであった。結果ファイルオートサンプラーDNAPac028。PSでは、出力はプロダクト・ピークの前で12%不純物及び3.3%のn+物質を示した。ピークの高さは817mAUであった。結果ファイルオートサンプラーDNAPac008。
【0092】
CPGでのDMSO/MeCNについて、HPLCの出力は、347mAUのプロダクト・ピークで主に不完全なカップリングを示した。PSプロダクト・ピークの高さは、215mAUであった。結果ファイルオートサンプラーDNAPac009。
【0093】
CPGでのDMA/MeCNについて、HPLCの出力は、少量の不完全なカップリングのみが存在することを示した。8.1%の不純物が全て適度に均一の強度でメインピークの前に存在し、5.1%のn+物質も存在した。プロダクト・ピークの高さは、725mAUであった。結果ファイルオートサンプラーDNAPac003。PSでは、10.4%のみの不純物がプロダクト・ピークの前に存在し、0.4%のみのn+物質だけが存在した。プロダクト・ピークの高さは、805mAUであった。結果ファイルオートサンプラーDNAPac010。
【0094】
CPGでのスルホラン/MeCNについて、HPLCの出力は非常に小さい失敗のピーク(不完全なカップリング)、及びプロダクト・ピークの前に7.2%の不純物と4.6%のn+物質を示した。プロダクト・ピークの高さは、867mAUであった。結果ファイルオートサンプラーDNAPac004。PSでは、0.8%のn+物質だけであった。プロダクト・ピークの高さ683mAU。結果ファイルオートサンプラーDNAPac011。
【0095】
CPGでのNMP/MeCNについて、HPLCの出力は、メインピークの前で6.3%の失敗とほぼ等しいサイズの全ての失敗及び約4.8%のn+物質を示した。プロダクト・ピークの高さは、639mAUであった。結果ファイルオートサンプラーDNAPac005。PSでは、更に2、3の顕著な失敗があったが、0.7%のn+物質であった。プロダクト・ピークの高さは、748mAUであった。結果ファイルオートサンプラーDNAPac012。
【0096】
CGでのTMU/MeCNについて、HPLCの出力は、プロダクト・ピークの前の7%の失敗及び約7.5%の全n+物質を示した。プロダクト・ピークの高さは、551mAUであった。結果ファイルオートサンプラーDNAPac007。PSでは、プロダクト・ピークの前の約11.8%の障害があり、純粋なMeCNを用いて得られた結果と非常に類似していた。全n+物質は、2.7%のみであった。プロダクト・ピークの高さは、735mAUであった。結果ファイルオートサンプラーDNAPac014。
【0097】
(実施例5)
以下の実施例は、濃縮ステップの溶媒として純粋なアセトニトリルを用いているCPG、GEポリスチレン及びNittoPhase支持体上の配列番号:10d[GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG]の1μモル・スケール合成、及びアセトニトリルと、DMA、スルホラン、NMP及びTMUの各々1:1の混合物を証明する。
【0098】
実施例4のサイクル及びパラメータは、以下の例外を除いて用いられた。合成は、SAFC ProligoのdAbzモノマー(プロダクトno.A111010−01、ロットno.228992;MW854.93;2.5mlの0.1M溶液のために215mgが必要とされる);SAFC ProligoのdCtacモノマー(プロダクトno.C111020−01、ロットno.229934);MW920.04;3.25mlの0.1M溶液のために299mgが必要とされる);及びSAFC ProligoのdTモノマー(プロダクトno.T111010−01、ロットno.231062;MW744.81;12.5mlの0.1M溶液のために86mgが必要とされる)を包含した。840mgのdGibuモノマーは、それぞれ5つの別々のABI10mlamiditeボトルに入れられ、真空、オーバーナイトでP2O5及びKOHペレットで乾燥させた。真空はアルゴンを放出され、各モノマーは溶媒混合物の一つで溶解された。DCI5.9gのアリコートは、5つの180mlABIボトルに量り分け、真空中で乾燥させた。DCIの各部分は、5つの異なる溶媒(4つの混合物及び1つの純粋なアセトニトリル)の一つで溶解させた。
【0099】
5つのABIスナップ・カラムは28.6mgのdG(tac)−CPGで満たされ、5つのカラムは約12.7mgのdGibu80Sポリスチレンサポートで満たされ、5つのカラムは約11.9mgのNittoPhase dGibuサポートで満たされた。正確な量は、表6に記載されている。固相合成に用いる前に、PSサポートはアセトニトリル中で10分間膨張させた。
表6

【0100】
各合成が開始する前に、全ての送達経路は新しい試薬で満たされたことを確認するために、ABI開始プロトコルが用いられた。合成終了後、カートリッジは、アルゴンで乾燥させた。
【0101】
カートリッジは慎重に開かれ、サポートは4mlのねじふた式ガラス・バイアルに移され、メチルアミンを40重量%含む水3ml(Aldrich、カタログno.42,646−6、ロットno.S23322−405))で65℃、2時間脱保護した。冷却後、上清は、ファルコン・チューブに濾過され、サポートはそれぞれ2×3mlの20%水性エタノールで洗浄された。洗浄物は濾過され、対応する濾過液と組み合わせられた。サンプル体積は、10mlに調整され、35μlアリコートの各々は陰イオン−交換HPLCによる分析のために取り除いた(525μlアリコートは、試料G4、P4、N4、G5、P5及びN5のために取り除かれ、475のμlの水及び溶液と混合されたそれぞれはオートサンプラー・バイアルに入れられ、Akta Explorer10HPLCシステムを結合させたオートサンプラーで実行した)。HPLC分析は、分析的DNAPac PA−100カラム、4×250mm(Dionex、プロダクトno.043010、ロットno.005−21−017及びシリアルno.005402))で行われた。直線濃度勾配は1ml/分の流速で40分間、0−50%Bから行われ、カラム廃水は260、280及び295nmのUVによってモニターされた。バッファAは50mMNaCl及び10mMNaOHを含む水であり、バッファBは2.5MNaCl及び10mMNaOHを含む水であった。それぞれの全てのピークを集積することによって得られた完全長プロダクト%は、表7に示される。
【0102】
試料は、Speedvac中で乾燥するまで真空濃縮された。各試料は、10mlの総体積まで純水で希釈された。各試料の260nmでの全光学密度を決定するために、各30μlアリコートは1Mトリス塩酸バッファpH7.6(分子生物学のためのFluka Biochemika Ultra grade、カタログno.93314、ロット及びフィリングコード1188960 54605275)で1mlまで希釈された。各々の溶液について、光路が1cmの使い捨てキュベット(Plastibrand、1.5ml semi−micro、カタログno.7591 50)でのA260nmが測定された。各合成についての修正された初期光学密度/μmolを表7に示す。
表7

【0103】
(実施例6)
以下の実施例は、グアニンが豊富なオリゴヌクレオチドG10(配列番号:10)の大規模な合成を示す。G10は、dGibuと共に120μmol/gでロードされるNittoPhaseサポートで充填されるOPIIカラムを用いて、凝縮工程の溶媒として1:1v/vのアセトニトリル/スルホラン混合液の縮合剤としてDCIを用いて、OligoPilot 100で合成された。
【0104】
合成
トリチル−off合成は、120μmol/gでロードされ、133mLのカラム体積に調製されたOPIIカラム(内径6cm、GE Healthcareコードno.18−1107−60)にパックされた20gのNittoPhase dGibuサポート(ロットno.195136)を用いて、Akta OligoPilot 100合成装置で2.4mmolスケールで行われた。用いられるモノマー濃度(4倍の過剰)はアセトニトリル/スルホラン(1:1v/v)中で0.27Mであり、アセトニトリル/スルホラン(1:1v/v)中で0.5MのDCIは10分間のカップリング時間でカップリング剤として用いられた。モノマー濃度は、以下の通りに算出された:リサイクル・ループ量は、5mLであり、用いられるカラム体積は120mL(トルエンにおいて膨張される場合のサポートの体積であり、6.0mL/gに基づいている)であり、充填カラムにおいて利用可能なオープンボリュームは、84mL、0.7×120=84mLであるので、全オープンボリュームは89mLである。これは、カップリングのために添加されることができるamidite溶液と活性化因子の最大容量を表す。カップリング混合液のモノマー溶液に対する活性化因子溶液の比が60:40v/vであったので、添加されるモノマー溶液の量は35.6mLであり、これはモノマーの9.6mmol(4倍の過剰)を含有する;したがって、モノマー濃度は0.27Mである。カップリングのために添加される活性化因子溶液の量は、53.4mlであって、26.7mmolに相当し、DCI:モノマーの比は2.78:1となる。サポートは、膨張され、トルエンに入れられ、合成を始める前にアセトニトリルで洗浄された。
【0105】
脱保護合成終了後、サポート結合オリゴヌクレオチドは、シアノエチル保護基を取り除くために乾燥したアセトニトリル中の20%ジエチルアミン(DEA)で処理された。
【0106】
粗収率及び粗純度:粗収率は187.8のA260単位/μmolと見いだされ、粗純度はHPLCにより70.25%と決定された。
【0107】
精製
次のステップは、Waters AP−5、50×200mmカラム(パートno.WAT023322)上の4つの実行の粗G10の準備の陰イオン交換HPLC精製であって、TSK−GEL SuperQ−5PW 20μmを台高18.9cmに充填し、プレップを用いて82.5分間、10−55%Bの直線濃度勾配で50mL/分で溶出した。HPLCバッファー組成物は、上述を同定した。
【0108】
粗G10溶液のpHは、ロードする前に12ちょうどに調整され、試料はもう一度濾過された。40mLの画分は、上述のように収集され、分析的陰イオン−交換HPLCにより分析された。陰イオン−交換HPLCで測定されるように、分析的純度を有する画分(85%以上)だけがプールされた。全てのピークの画分は、分析の前に、直ちに酢酸でpH6−8に中和された。
【0109】
脱塩
上記の純粋なG10の合わせられた画分(総体積2700mL)は、0.093mの表面積を伴うシングル1kDa Centramate Omega、ミディアム・スクリーン・カセット(Pall、パートno.OS001C12、シリアルno.36324055R)に適合させたPall Centramate 500Sbenchtopタンジェンシャルフロー濾過(TFF)システム(パートno.CM500SE、コミッションno.C500S−2017)で300mLに濃縮された。純水に対する13の連続ダイアフィルトレーション・サイクルが塩及びバッファを取り除くために行われた。濃縮物は、更に200mL量まで濃縮された。
【0110】
(実施例7)
用いられるサポートの重量がローディングで増やされたように(例えば、20g×120μmol/g=2.4mmol)、実施例6において記載される合成の全プロセス収率は出発材料のモル量を算出することによって決定された。100%収率はプロダクトの同じモル量であり、プロダクトのモル質量を考慮する(すなわち配列番号:10については9612mg/mmol)。プロダクト特異的吸光係数(配列番号:10は1cmの径路長で1 AU260−340=27.8μg、)を用いてUV分光法により定量化されるように、収率は実際に製造される相対量である。実施例6において記載される合成の全プロセス収率は、31.4%であった。
【0111】
生じるオリゴヌクレオチドの純度は、プロダクトの5から100μM溶液の40μlが25℃のオーブン温度でDNAPac PA−100カラムに注入するように実行されるHPLC分析で測定される。カラムは、75%バッファーA(20mMNaOH)及び25%バッファーB(20mMNaOH、1.5MNaCl、40%メタノール)で平衡化された。0.75ml/分の流速が用いられた。検出波長は260nmであった。注射の1分後、勾配は開始し、4分以内にバッファBの割合は40%まで増大され、バッファBの割合は次の35分以内で55%まで増大された。その時、バッファBの割合を1分以内に100%まで増大させて3分間保ち、その後バッファーBの割合を3.9分以内で25%まで低下させた。純度は、全てのクロマトグラムにわたる全ピーク面積のメインピークの相対ピーク面積である。谷から谷の積分が行われたように、積分限度が設定された。実施例6において記載される合成プロダクトの純度は、87.75%であった。
【0112】
(実施例8)
オリゴヌクレオチドG10(配列番号:10)の合成は、基本的に実施例5にて説明したように行われる。以下のMeCNを含む極性非プロトン溶媒の混合液は、試験され、MeCNと比較した:1.)DMA/MeCN、2.)サルホラン/MeCN、3)NMP/MeCN及び4)TMU/MeCN。実験は6回繰り返され、各繰り返しにおいてMeCNに対する溶媒の割合(v/v)は5:1、4:1、3:1、2:1、1:1から1:2へ変更した。記載及び比較されるように、プロダクトの収率及び純度が決定される。
【0113】
(配列表)
配列番号:1
GGGGGGGGGG

配列番号:2
GACGATCGTC

配列番号:3
GGGGACGATCGTCGGGGGG

配列番号:4
GGGGGACGATCGTCGGGGGG

配列番号:5
GGGGGGACGATCGTCGGGGGG

配列番号:6
GGGGGGGACGATCGTCGGGGGG

配列番号:7
GGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGG

配列番号:8
GGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGG
配列番号:9
GGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGG

配列番号:10
GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG

配列番号:11
GGGGGGCGACGACGATCGTCGTCGGGGGGG

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヌクレオシド・ホスホラミダイトを、オリゴヌクレオチド合成の間、ユニバーサル・サポート、第一のヌクレオチド又は伸長オリゴヌクレオチドにカップリングさせるための方法であって、
(i)カップリング溶液の作製するステップであって、前記カップリング溶液は、
(a)極性非プロトン溶媒であって、アセトニトリルでない少なくとも1つの第一の溶媒;
(b)活性化剤;及び
(c)ヌクレオシド・ホスホラミダイト;
前記カップリング溶液中の前記ヌクレオシド・ホスホラミダイトの濃度は少なくとも0.03Mである;及び
(ii)カップリング溶液を、ユニバーサル・サポート、第一のヌクレオシド又は伸長オリゴヌクレオチドと接触させるステップ
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記少なくとも1つの第一の溶媒が
(a)スルホラン;
(b)1−メチルピロリジン−2−オン;
(c)N,N−ジメチルアセトアミド;
(d)テトラメチルウレア;及び
(e)ジメチルスルホキシド(DMSO)
からなるグループから選択される、方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第一の溶媒がスルホランである、請求項1又は2の何れか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記カップリング溶液中の前記ヌクレオシド・ホスホラミダイトの濃度が0.03から0.30Mである、請求項1ないし3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記カップリング溶液中の前記活性化剤の濃度が0.05から0.90Mである、請求項1ないし4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記カップリング溶液がさらに第二の溶媒を含み、前記第二の溶媒がアセトニトリルである、請求項1ないし5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記カップリング溶液が
(a)前記少なくとも1つの第一の溶媒のちょうど一つ;
(b)前記活性化剤;
(c)前記ヌクレオシド・ホスホラミダイト;
(d)アセトニトリルである第二の溶媒
を含む方法。
【請求項8】
請求項6又は7の何れか一項に記載の方法であって、前記第二の溶媒に対する前記少なくとも一つの第一の溶媒の割合(v/v)が5:1から1:2の間である方法。
【請求項9】
請求項6ないし7の何れか一項に記載の方法であって、前記第二の溶媒に対する前記少なくとも一つの第一の溶媒の割合(v/v)が1:1である方法。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか一項に記載の方法であって、前記第一のヌクレオシド及び/又は前記伸長ヌクレオチドがサポート上に固定されている方法。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか一項に記載の方法であって、前記サポートがジビニルベンゼンによって架橋結合しているポリスチレンサポートである方法。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか一項に記載の方法であって、前記オリゴヌクレオチドが少なくとも30%のグアニン・モノマーを含む方法。
【請求項13】
請求項1ないし12の何れか一項に記載の方法であって、前記活性化剤が
(a)4,5−ジシアノイミダゾール(DCI);
(b)5−エチルチオ−1H−テトラゾール(ETT);
(c)5−ベンジルチオ−1H−テトラゾール(BTT);及び
(d)5−(3,5−ビス−トリフロロメチル)フェニル−1H−テトラゾール(活性化因子42)
からなるグループから選択される方法。
【請求項14】
請求項1ないし13の何れか一項に記載の方法であって、前記活性化剤が4,5−ジシアノイミダゾール(DCI)である方法。
【請求項15】
請求項1ないし14の何れか一項に記載の方法であって、前記オリゴヌクレオチドがグアニン・モノマーが3以上連続する領域を含む方法。
【請求項16】
請求項1ないし15の何れか一項に記載の方法であって、前記オリゴヌクレオチドがグアニン・モノマーが3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20連続する第一の領域を含む方法。
【請求項17】
請求項1ないし16の何れか一項に記載の方法であって、前記オリゴヌクレオチドがグアニン・モノマーが3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20連続する第二の領域を含む方法。
【請求項18】
請求項16又は17の何れか一項に記載の方法であって、前記第一の領域が前記オリゴヌクレオチドの3’−末端に位置する、及び/又は前記第二の領域が前記オリゴヌクレオチドの5’−末端に位置する方法。
【請求項19】
請求項1ないし18の何れか一項に記載の方法であって、前記オリゴヌクレオチドが10から50のヌクレオチド・モノマーを含む方法。
【請求項20】
請求項1ないし19の何れか一項に記載の方法であって、前記オリゴヌクレオチドがGACGATCGTC(配列番号:2)であるパリンドローム配列を含む方法。
【請求項21】
請求項1ないし20の何れか一項に記載の方法であって、前記パリンドローム配列が少なくとも4、多くても20のグアノシンによってその5’−末端に隣接している;及び/又はパリンドローム配列が少なくとも6、多くても20のグアノシンによってその3’−末端に隣接している方法。
【請求項22】
請求項1ないし21の何れか一項に記載の方法であって、前記オリゴヌクレオチドが
(a)GGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:3);
(b)GGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:4);
(c)GGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:5);
(d)GGGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:6);
(e)GGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGG(配列番号:7);
(f)GGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGG(配列番号:8);
(g)GGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGG(配列番号:9);
(h)GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号:10);及び
(i)GGGGGGCGACGACGATCGTCGTCGGGGGGG(配列番号:11)
からなるグループから選択されるヌクレオチド配列を含む方法。
【請求項23】
請求項1ないし22の何れか一項に記載の方法であって、前記オリゴヌクレオチドが配列番号:10からなる方法。
【請求項24】
オリゴヌクレオチドを製造する方法であって、前記方法は請求項1ないし23の何れか一項に記載の方法を含む方法。
【請求項25】
オリゴヌクレオチドを製造するための方法であって、前記方法が
(i)請求項1ないし23の何れか一項に記載の方法を含む、第一のヌクレオシドにヌクレオシド・ホスホラミダイトをカップリングさせるステップ;
(ii)ステップ(i)のプロダクトを酸化させることによって、伸長オリゴヌクレオチドを生成するステップ;
(iii)請求項1ないし23の何れか一項に記載の方法を含む、ステップ(ii)のプロダクトに、ヌクレオシド・ホスホラミダイトをカップリングさせるステップ;
(iv)ステップ(iii)のプロダクトを酸化させることによって、伸長オリゴヌクレオチドを生成するステップ;及び
(v)伸長オリゴヌクレオチドが前記オリゴヌクレオチドの配列を含むまで、(iii)及び(iv)のステップを繰り返すステップ
を含む方法。
【請求項26】
請求項24又は25の何れか一項に記載の方法であって、前記方法がさらに前記オリゴヌクレオチドを変性条件の下で精製するステップを含み、前記変性条件がpH10から14であることを特徴とする方法。
【請求項27】
前記精製が陰イオン交換クロマトグラフィーにより行われる請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項25ないし27の何れか一項に記載の方法であって、前記オリゴヌクレオチドが少なくとも20%の第一のヌクレオシドに関するモル収率で製造される方法。
【請求項29】
請求項1ないし28の何れか一項に記載の方法であって、前記オリゴヌクレオチドの精製が少なくとも75%である方法。
【請求項30】
請求項24ないし28の何れか一項に記載の方法により得られるオリゴヌクレオチド。
【請求項31】
請求項30に記載のオリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドが
(a)GGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:3);
(b)GGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:4);
(c)GGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:5);
(d)GGGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:6);
(e)GGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGG(配列番号:7);
(f)GGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGG(配列番号:8);
(g)GGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGG(配列番号:9);
(h)GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号:10);及び
(i)GGGGGGCGACGACGATCGTCGTCGGGGGGG(配列番号:11)
からなるグループから選択されるヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド。
【請求項32】
前記オリゴヌクレオチドが配列番号:10からなる請求項31に記載の方法。
【請求項33】
(a)GGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:3);
(b)GGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:4);
(c)GGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:5);
(d)GGGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号:6);
(e)GGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGG(配列番号:7);
(f)GGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGG(配列番号:8);
(g)GGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGG(配列番号:9);
(h)GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号:10);及び
(i)GGGGGGCGACGACGATCGTCGTCGGGGGGG(配列番号:11)
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドの精製が少なくとも75%であるオリゴヌクレオチド。
【請求項34】
前記オリゴヌクレオチドが配列番号:10からなる請求項33に記載のオリゴヌクレオチド。

【公表番号】特表2010−512169(P2010−512169A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541546(P2009−541546)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/087183
【国際公開番号】WO2008/073960
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(509166618)インテグレイテッド ディーエヌエー テクノロジーズ, インク. (1)
【Fターム(参考)】