説明

高電圧発生ユニット

【課題】高電圧発生ユニット1に高圧コード3を接続する際に、高圧コード3を円筒状の出力端子部2に挿入するが、高圧コード3が抜け出ないように接着剤を用いる構成では、接着剤が硬化するまで長時間を要し、生産性を上げることができない。また、接続用の端子部材を別途用いる構成では、端子部材のコストが高くなる。
【解決手段】出力端子部2に対する高圧コード3の挿入方向に対してほぼ90度の角度を成す方向に高圧コード3が延在するように、高圧コード3を着脱自在に把持する高圧コード把持部12をケーシング11に一体に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス器具のバーナなどに点火を行うための高電圧を発生させる高電圧発生ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
このような高電圧発生ユニットは、低電圧の電力が入力されると内蔵する昇圧コイルで高電圧の電力を発生させ、出力端子から外部へと出力するように構成されている。出力端子は外部に対して絶縁する必要があるため、ケーシングに形成された円筒状の出力端子部の内側に設置されている。
【0003】
一方、出力端子からスパーカー等への接続は高圧コードを介して行われる。そのため、高圧コードの一端を出力端子部に挿入して、高圧コードの芯線と出力端子とを電気的に接続している。
【0004】
高圧コードを出力端子部に挿入しただけでは高圧コードが容易に出力端子部から抜け出てしまうので、従来は高圧コードを出力端子部に挿入した状態で、高圧コードと出力端子部との隙間に接着剤を介在させて接着していた。ところが、このように接着剤を用いるものでは、接着剤を硬化させるために長時間を要し、生産性を上げることが困難であった。
【0005】
そこで、高圧コードの芯線に板金製の端子部材を予めかしめて取り付け、端子部材を出力端子に係合させることにより高圧コードを出力端子に接続するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3551265号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のものでは、端子部材を新たに用いなければならず、端子部材の製造コストがかかり、かつ予め高圧コードの芯線に端子部材をかしめるという工数を追加しなければならない。
【0007】
なお、高圧コードを出力端子部に挿入した状態で、出力端子部を外部から挟んで変形させ、出力端子部の一部を高圧コードの被覆に食い込ませて高圧コードが出力端子部から抜け出ないようにしたものが、特開2004-172510号公報により知られているが、このものでは、出力端子部を変形させるために工具を用いなければならず、また、出力端子部が複数個並設されている場合には適用しづらいという不具合が生じる。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、上述の不具合の生じない高電圧発生ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明による高電圧発生ユニットは、ケーシングの表面に高圧コードが挿入される円筒状の出力端子部を有し、内部で発生させた高圧電力をこの出力端子部に挿入された高圧コードを介して出力する高電圧発生ユニットにおいて、出力端子部に対する高圧コードの挿入方向に対してほぼ90度の角度を成す方向に高圧コードが延在するように、高圧コードを着脱自在に把持する高圧コード把持部を、上記ケーシングに一体に形成したことを特徴とする。
【0010】
高圧コードに対して、引き抜き方向の力が作用しても、高圧コードは高圧コードの挿入方向に対してほぼ90度の角度を成す方向に把持されているので、高圧コードの端部には出力端子部から引き抜かれる方向に力が作用せず、高圧コードの抜けが防止される。
【0011】
なお、上記高圧コード把持部の形状は、工具を用いることなく高圧コードを手作業にて把持させることのできる形状であることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明は、接着剤や別途の端子部材を用いることなく高圧コードが出力端子部から抜け出ることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照して、1は本発明による高電圧発生ユニットである。この高電圧発生ユニット1のケーシング11は樹脂による射出成形により形成されている。ケーシング11の上面には円筒状の出力端子部2が1列に並設されている。各出力端子部2の内部には図示しない出力端子が配設されている。各出力端子部2には高圧コード3が挿入されている。
【0014】
本発明では、高圧コード3の端部を出力端子部2に垂直方向上方から挿入した後、把持部12に水平方向に保持されるように高圧コード3を把持させた。これにより、仮に高圧コード3が引っ張られても、高圧コード3の端部は水平方向に引かれることになり、出力端子部2から抜け出ることが防止される。
【0015】
内、把持部12の上部には高圧コード3が挿通する挿通部14と、高圧コード3がこの挿通部14内から上方へ抜けないように押さえる1対の爪部13を形成した。この構成により、高圧コード3を爪部13の相互間に位置させた状態で高圧コード3を上方から指Fで押し下げるだけで高圧コード3を把持部12に把持させることができる。
【0016】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【符号の説明】
【0018】
1 高電圧発生ユニット
2 出力端子部
3 高圧コード
11 ケーシング
12 把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングの表面に高圧コードが挿入される円筒状の出力端子部を有し、内部で発生させた高圧電力をこの出力端子部に挿入された高圧コードを介して出力する高電圧発生ユニットにおいて、出力端子部に対する高圧コードの挿入方向に対してほぼ90度の角度を成す方向に高圧コードが延在するように、高圧コードを着脱自在に把持する高圧コード把持部を、上記ケーシングに一体に形成したことを特徴とする高電圧発生ユニット。
【請求項2】
上記高圧コード把持部の形状は、工具を用いることなく高圧コードを手作業にて把持させることのできる形状であることを特徴とする請求項1に記載の高電圧発生ユニット。

【図1】
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【公開番号】特開2007−303767(P2007−303767A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134537(P2006−134537)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(000100562)アール・ビー・コントロールズ株式会社 (97)
【Fターム(参考)】