説明

魚体の中骨分断処理方法および装置

【課題】 魚体を三枚におろすことによって得られた肉付きの中骨から、ひれ部とメフンとを切除して、すり身の原料に適した良質の肉部が付着している中骨部を得る。
【解決手段】 上下一対の搬送ベルト2、3によって肉付き中骨を挟持しながら搬送し、この搬送途上に設けているひれカッタ4に達した時に、肉付き中骨の背部を受止レバー12に受止させながら腹部を第1押圧レバー11によって押圧してひれカッタ4により背びれから尾びれまでの背皮を切除し、次いで、メフンカッタ5に達した時に、肉付き中骨の腹部を第2押圧レバー17により押圧してこの肉付き中骨におけるメフン付き中骨部をメフンカッタ5による切断位置に位置付け、メフンカッタ5によりメフン付き中骨部を切除して良質の肉部が付着している中骨部を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スケトウダラやホキ、イワシ、サンマ等の魚体を三枚におろした際に発生する中骨を前処理して、該中骨に付着している良質の肉部を得るための中骨分断処理方法およびその方法を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フィレーマシンと称される魚体処理装置によって、二枚の半身(フィレー)と中骨との3枚におろされた魚体にあっては、良質の肉部からなる二枚の半身は食用に供されるが、中骨は良質の肉が付着していてもそのまま食用に供することが困難であるために魚粉にしたり、或いは、採肉してすり身原料として使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、フィレーマシンによって魚体を二枚の半身と中骨との三枚におろしたのち、中骨を粉砕してこの粉砕した骨を半身と共にすり身にし、骨に含まれるカルシウム分を採取することができるカルシウム強化練製品やカルシウム強化ハンバークの材料として使用することが記載されている。同様に、特許文献2には、上記半身だけによるすり身ではカルシウム分が少ないので、中骨をペースト状に粉砕し、この魚骨ペーストを上記半身に添加してカルシウム強化練製品を得るためのすり身とすることが記載されている。
【0004】
また、特許文献3には、三枚におろされた魚体における上記中骨には、かなりの肉が付着しているので、採肉機によってその肉部を採取してハムやソーセージの原料として使用することが記載され、さらに、採肉後の中骨をベースト状に粉砕し、このペースト状の魚骨粉を練製品に用いることが記載されている。
【0005】
一方、特許文献4には三枚におろされた魚体における中骨に付着した良質の肉を中骨から分断する方法及び装置が開示されている。具体的には、左右に隙間を存して平行に配置された案内手段上に尾びれ側を搬送方向に向けた状態にして中骨を載せ、上下方向にこの中骨の脊柱の太さ間隔を存して配設している上下一対の円形カッタに中骨を供給してこの上下円形カッタによって上記脊柱から良質の肉部が付着している背部と腹部とにそれぞれ伸びている部分を分断することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−34516号公報
【特許文献2】特許第2908871号公報
【特許文献3】特開2000−60496号公報
【特許文献4】米国特許第4151629号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フィレーマシンによって魚体を三枚におろした場合、中骨には上述したように、かなりの肉が付着しているばかりでなく、半身から分離した背びれや尾びれも付いており、さらに、腹部側にはメフン(凝固した血液を含む袋)が付着している中骨部が存在している。従って、この中骨をすり身の原料に使用して練製品を製造すると、ヒレやメフンなどの爽雑物によって品質低下を引き起こすことになる。そのため、中骨からこれらの背びれや尾びれ、メフン等を除去したのち、中骨に付着している肉を採肉機によって採取し、また、中骨を上述したようにペースト状に粉砕して採取した肉と共にすり身の原料として使用することが好ましい。
【0008】
しかしながら、中骨からの背びれや尾びれの除去作業は極めて困難で、上記特許文献2には中骨を洗浄することによって除去しているが、洗浄では背びれや尾びれ等を完全に除去することが難しく、長時間の洗浄によって例え除去できたとしても、中骨に付着している肉の一部と共に除去される事態が発生するといった問題点がある。一方、中骨からの背びれや尾びれ、メフン等の除去作業を人手によって行えば、より完全な除去が可能であるが、人手では作業能率が低下することになる。
【0009】
一方、上記特許文献4に記載している構成によれば、中骨から上下一対のカッタにより良質の肉を付着している背部側と腹部側との部分に自動的に分断することができるが、中骨の長さや大小に応じて切断部位を制御するのではなく、一定の上下間隔を存して互いに平行に配設したカッタにより分断するものであるから、背部側と腹部側とを分断した中骨の脊柱側に良質の肉が残存する場合が発生して歩留りが悪いといった問題点がある。さらに、背部側が中骨の脊柱から分断されても背びれが以前としてこの背部に残存しており、この背びれを除去しなければすり身としての品質低下を引き起こすことになる。
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、背びれや尾びれ、メフン等が付いている中骨から不要部分を切除して品質のよい肉が付着している中骨部を歩留り良く且つ確実に得ることができる魚体の中骨分断処理方法とその方法を実施するための装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の魚体の中骨分断処理方法は、請求項1に記載したように、魚体を三枚におろした際に得られた肉付きの中骨をその切断頭部側を搬送方向に向け、且つ、背部側を一側方に向けた状態にして上下一対の搬送ベルトにより挟持しながらこの搬送ベルトおける対向挟持面の一側端に沿って順次配設しているひれカッタとメフンカッタとに送り込み、ひれカッタの位置において、第1制御手段によりひれカッタに対する中骨のひれ切断位置を制御しながらひれカッタにより中骨の背部を背びれから尾びれまで切除する工程と、メフンカッタの位置において、第2制御手段によりメフンカッタに対するメフン付き中骨部の切断位置を制御しながらメフンカッタによりメフン付き中骨部を切除する工程とを順次行って、良質の肉が付着した中骨部を得ることを特徴とする。なお、本発明においては、魚肉加工現場での慣用的表現にならい、魚体を三枚におろして、左右のフィレを除いた後の、背骨を中心として魚肉、ひれなどが付着した状態の部分を「中骨」と称する。
【0012】
上記のように構成した魚体の中骨分断処理方法において、請求項2に係る発明は、上記第1制御手段は中骨の腹部を押圧する第1押圧レバーと中骨の背部を受止する受止レバーとからなり、上下一対の搬送ベルトにより挟持されてひれカッタに達した中骨の腹部を第1押圧レバーによりひれカッタに向かって押圧する一方、受止レバーをひれカッタに対して中骨のひれ部を切除可能な間隔を存した位置に保持させて中骨の背部を受止させた状態でひれカッタにより中骨の背部を背びれから尾びれ近傍部に達するまで切断したのち、中骨の尾びれがひれカッタに達する直前に受止レバーによる背部の受止を解除すると同時に第1押圧レバーにより尾びれ部をさらに押し進めてひれカッタの切断刃上を一側方に向かって移動させることにより尾びれの中骨部分をひれカッタにより切断し、尾びれを背びれと一体に切除することを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、上記第2制御手段は中骨の腹部を押圧する第2押圧レバーからなり、上下一対の搬送ベルトにより挟持されてメフンカッタに達する直前の中骨の腹部を押圧して搬送ベルトの幅方向に移動させ、中骨に付着している肉部を搬送ベルトの対向挟持面の一側端から外側方に突出させた状態にしながらメフンカッタにより該肉部を付着している中骨からメフンが付着している中骨部を分断させることを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明は、上記中骨分断処理方法を実施するための装置であって、魚体を三枚におろした際に得られた肉付きの中骨を、その切断頭部側を搬送方向に向け且つ背部側を一側方に向けた状態して挟持しながら搬送する上下一対の搬送ベルトと、この搬送ベルトの搬送途上における一側端に沿って順次配設されたひれカッタ及びメフンカッタと、上記ひれカッタの側方に配設されてひれカッタに対する中骨のひれ切断位置を制御する第1制御手段と、上記メフンカッタの側方に配設されてメフンカッタに対するメフン付き中骨部の切断位置を制御する第2制御手段とからなることを特徴とする。
【0015】
このように構成した中骨分断処理装置において、請求項5に係る発明は、上記第1制御手段を、ひれカッタの一側方に配設されてひれカッタによる中骨のひれ部切断時に、尾びれがひれカッタに達するまで中骨の背部を受止してひれカッタに対する中骨の背びれ切断位置を保持し、尾びれ切断時にはその受止力を解く受止レバーと、この受止レバーに対向してひれカッタの他側方に配設されてひれカッタによる中骨のひれ部切断時に尾びれがひれカッタに達するまで上記受止レバーに向かって中骨の腹部を押圧し、尾びれ切断時には上記受止レバーの受止力の解放と同時に尾びれをひれカッタの切断刃上を通じて一側方に押し進める第1押圧レバーとから構成していることを特徴とする。
【0016】
請求項6に係る発明は、上記第2制御手段を、メフンカッタの手前における搬送ベルトの一側方に配設されて上記背びれから尾びれまで切除された中骨の腹部側を押圧することにより、中骨を搬送ベルトの幅方向に移動させてメフン付き中骨部を上記メフンカッタによる切断位置に位置付ける第2押圧レバーによって構成していることを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に係る発明は、上下一対の搬送ベルトによる搬送始端部からひれカッタの手前に至るまでの間と、ひれカッタの直後からメフンカッタの手前に至るまでの間とに、搬送ベルトの一側端に沿って中骨の背部を受止して中骨を案内する上流側固定ガイド板と下流側固定ガイト板とをそれぞれ配設してあり、さらに、搬送始端側の他側方に搬送ベルトの対向挟持面間の隙間を通じて中骨の腹部側を押圧して中骨の背部を上記上流側固定ガイド板に押し付けるローラからなる位置修正手段を配設していることを特徴とする。
【0018】
さらに、請求項8に係る発明は、搬送ベルトの搬送始端部側に搬送されてくる中骨の通過時間を検出して中骨の長さを算出するための光電センサからなる第1検出センサを配設していると共に、第1押圧レバーの手前側に搬送されてくる中骨を検出して上記第1検出センサにより検出された中骨の長さに応じて第1押圧レバーと受止レバーの作動を制御するための光電センサからなる第2検出センサを配設してあり、さらに、第2押圧レバーの手前側に搬送されてくる中骨を検出して上記第1検出センサにより検出された中骨の長さに応じて第2押圧レバーの作動を制御するための光電センサからなる第3検出センサを配設していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、魚体を三枚におろした際に得られた肉付きの中骨を、その切断頭部側を搬送方向に向け且つ背部側を一側方に向けた状態にして上下一対の搬送ベルトにより挟持しながら搬送し、搬送ベルトの一側端に沿って配設しているひれカッタに達した時に、第1制御手段によってひれカッタに対するひれ切断位置を制御しながらひれカッタによって中骨のひれ部を背びれから尾びれに至るまで切除し、次いで、搬送ベルトの一側端に沿って配設しているメフンカッタに達した時に、第2制御手段によってメフンカッタに対するメフン切断位置を制御しながメフンカッタによって中骨におけるメフンを付着している中骨部を切除するので、品質の良い肉を付着している中骨部を歩留りよく確実に得ることができ、この中骨部をすり身の原料として使用することにより、良質のすり身を製造することができる。
【0020】
請求項2又は請求項5に係る発明によれば、上記第1制御手段は中骨の腹部を押圧する第1押圧レバーと中骨の背部を受止する受止レバーとからなり、上下一対の搬送ベルトにより挟持されてひれカッタに達した中骨の腹部を第1押圧レバーによりひれカッタに向かって押圧する一方、受止レバーをひれカッタに対して中骨のひれ部を切除可能な間隔を存した位置に保持させて中骨の背部を受止させた状態でひれカッタにより中骨の背部を背びれから尾びれ近傍部に達するまで切断するように構成しているので、中骨がひれカッタを通過する時に、第1押圧レバーによって中骨をひれカッタに押し付け、且つ、受止レバーにより中骨を強固に受止させながらひれカッタによって中骨の背びれを素早く且つ正確に切断することができる。さらに、中骨の尾びれがひれカッタに達する直前に受止レバーによる背部の受止を解除すると同時に第1押圧レバーにより尾びれをさらに押し進めてひれカッタの切断刃上を一側方に向かって移動させるように構成しているので、ひれカッタによって背びれから尾びれに至る背部を連続的に能率よく切除することができる。
【0021】
請求項3又は請求項6に係る発明によれば、上記第2制御手段は中骨の腹部を押圧する第2押圧レバーからなり、上下一対の搬送ベルトにより挟持されてメフンカッタに達する直前の中骨の腹部をこの第2押圧レバーによって押圧して搬送ベルトの幅方向に移動させ、中骨に付着している肉部を搬送ベルトの対向挟持面の一側端から外側方に突出させた状態にしながらメフンカッタにより該肉部を付着している中骨からメフンが付着している中骨部を分断させるように構成しているので、上記ひれカッタによってひれ部を切除された中骨を第2押圧レバーによってメフンカッタに対するメフン切断位置に保持しながら、メフン付き中骨部を正確に能率よく切除することができ、品質の良い肉を付着している中骨部を歩留りよく得ることができる。
【0022】
上記中骨分断処理装置において、請求項7に係る発明によれば、上下一対の搬送ベルトによる搬送始端部からひれカッタの手前に至るまでの間と、ひれカッタの直後からメフンカッタの手前に至るまでの間とに、搬送ベルトの一側端に沿って中骨の背部を受止して中骨を案内する上流側固定ガイド板と下流側固定ガイト板とをそれぞれ配設しているので、中骨をこれらの上流側固定ガイド板と下流側固定ガイド板とによってひれカッタやメフンカッタに対して正確に切断可能な姿勢を保持させながら搬送することができる。さらに、搬送始端側の他側方に搬送ベルトの対向挟持面間の隙間を通じて中骨の腹部側を押圧して中骨の背部を上記上流側固定ガイド板に押し付けるローラからなる位置修正手段を配設しているので、分断処理すべき中骨を搬送ベルトに供給する際に、正確に位置決めする必要はなく、その切断頭部側を搬送方向に向け且つ背部側を一側方に向けた状態して供給するだけで、位置修正ローラにより中骨の背部を上流側固定ガイド板に押しつけて正確に切断可能な姿勢に補正することができる。
【0023】
また、請求項8に係る発明によれば、搬送ベルトの搬送始端部側に搬送されてくる中骨の通過時間を検出して中骨の長さを算出するための光電センサからなる第1検出センサを配設していると共に、第1押圧レバーの手前側に搬送されてくる中骨を検出して上記第1検出センサにより検出された中骨の長さに応じて第1押圧レバーと受止レバーの作動を制御するための光電センサからなる第2検出センサを配設してあり、さらに、第2押圧レバーの手前側に搬送されてくる中骨を検出して上記第1検出センサにより検出された中骨の長さに応じて第2押圧レバーの作動を制御するための光電センサからなる第3検出センサを配設しているので、長さの異なる中骨や中骨の搬送間隔に応じて、第1押圧レバーと受止レバー及び第2押圧レバーを作動させて中骨を順次、正確にひれ部とメフン付き中骨部と良質な肉付き中骨部とに分断処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】装置全体の簡略斜視図。
【図2】上側搬送ベルトの一部を削除した状態の簡略平面図。
【図3】簡略側面図。
【図4】処理すべき中骨の平面図。
【図5】ひれカッタ部分の正面図。
【図6】その要部の拡大正面図。
【図7】背びれ部分の切断開始直前の状態を示す簡略平面図。
【図8】背びれ部分を切断している状態を示す簡略平面図。
【図9】背びれ部分の切断終了直前の状態を示す簡略平面図。
【図10】尾びれ部分を切断している状態を示す簡略平面図。
【図11】ひれ側と肉付き中骨側とに分断した状態の平面図。
【図12】第1押圧レバーと受止レバーとの作動状態を示すタイムチャート。
【図13】メフンカッタ部分の正面図。
【図14】その要部の拡大正面図。
【図15】メフン部分の切断開始直前の状態を示す簡略平面図。
【図16】メフン部分を切断している状態を示す簡略平面図。
【図17】メフン部分の切断終了直後の状態を示す簡略平面図。
【図18】メフン付き中骨部と肉付き中骨部とに分断した状態の平面図。
【図19】第2押圧レバーの作動状態を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の具体的な実施の形態を図面に基づいて説明すると、図1〜図3において、機台1上にスケトウダラ等の魚体を三枚におろした際に得られた中骨Aを挟持して搬送するタイミングベルトからなる上下一対の搬送ベルト2、3を配設している。上記中骨Aは、頭部を切断した魚体をフィレーマシンによってその腹部を切除すると共に切り身としての両面の半身を切り取った残りの肉a1が付着している中骨であって、図4に示すようにその背部側には背びれa3を有する背皮a2が残存していると共に腹部側にはメフンa5が残存してあり、さらに、中骨の後端に尾びれa4が残存している。この肉付き中骨Aは切断頭部側を上記搬送ベルト2、3による搬送方向に向け、且つ、その背部側を搬送ベルト2、3における一側端側に向けた横臥状態にして搬送ベルト2、3の対向挟持面2a、3a(図6に示す)によって挟持される。なお、搬送ベルト2、3による中骨搬送始端側を上流側とする。
【0026】
上記上下一対の搬送ベルト2、3において、下側の搬送ベルト3は、機台1の魚体搬送始端部と搬送終端部とにそれぞれ回転自在に支持された従動プーリ31と駆動プーリ32間にガイドプーリ(図示せず)を介して無端状に掛け渡され、中骨挟持面3aを上向きにして機台1の上面に沿って水平状に配設されている。上側の搬送ベルト2は、下側の搬送ベルト3の搬送始端から下流側に向かって一定間隔を存した位置と搬送終端部とにおいて、機台1の一側端に上方に向かって突設している垂直固定板1aに回転自在に支持された駆動プーリ21と従動プーリ22間にガイドプーリ23を介して無端状に掛け渡され、上記下側搬送ベルト3の中骨挟持面3aに対向した中骨挟持面2aを下向きにしてその背面の複数箇所を押圧ローラ24によって押圧することにより、これらの搬送ベルト2、3の挟持面2a、3a間で上記中骨Aを所定の挟持圧でもって挟持するように構成している。
【0027】
搬送ベルト2、3の挟持面2a、3aには、一定高さを有する小幅の凸条2b、3bとこれらの凸条2b、3bの高さに等しい深さを有する小幅の凹条2b' 、3b' とがベルトの長さ方向に交互に連続してベルトの全長に亘って設けられてあり、且つ、これらの凹凸条2b、2b' 、3b、3b' の長さ方向は、搬送ベルト2、3の長さ方向に対してベルトの全幅に亘って直角方向に向けられている。従って、中骨Aを搬送方向に対しては凹凸条2b、2b' 、3b、3b' に係止させた状態にしてその方向に妄動させることなく搬送できる一方、ベルト幅方向に対しては、ベルト側方からの押圧力によって凹凸条2b、2b' 、3b、3b' に沿って移動可能に構成している。
【0028】
この上下一対の搬送ベルト2、3による中骨Aの搬送途上において、搬送ベルト2、3の一側方に中骨Aの背皮a2を背びれa3から尾びれa4に至るまで切断するひれカッタ4と、このひれカッタ4から下流側に向かって一定間隔を存した位置に中骨Aの腹部側に残存している上記メフンa5が付着している中骨部A1を切断するメフンカッタ5とを順次、配設してあり、さらに、上記搬送ベルト2、3による搬送始端部から上記ひれカッタ4の手前に至る部分まで、中骨Aの背部側を受止してこの中骨Aをひれカッタ4にまで案内する一定高さを有する上流側固定ガイド板6(図2、図7に示す)を上下搬送ベルト2、3の一側端に沿って配設していると共にひれカッタ4の直後から上記メフンカッタ5の手前に至る部分まで、上記背皮a2が切断された中骨Aの背部を受止してメフンカッタ5にまでこの中骨Aを案内する一定高さの下流側固定ガイド板7(図2、図15に示す)を配設している。
【0029】
なお、上記上流側固定ガイド板6と下流側固定ガイド板7、及び、ひれカッタ4とメフヘンカッタ5とは、上下搬送ベルト2、3の一側端に沿って一直線上に配設されている。ひれカッタ4とメフンカッタ5は、駆動モータによって一定の回転速度でもって回転駆動される円形刃からなり、垂直状に配設されていてその下周部を上下一対の搬送ベルト2、3の対向挟持面2a、3aの一側端面に沿って下方に突出させている。
【0030】
搬送ベルト2、3の搬送始端部側における他側方に、これらの搬送ベルト2、3の対向挟持面2a、3a間を通じて一側方に向かって投光する光電センサからなる第1検出センサ8を配設してあり、搬送ベルト2、3によって搬送されてくる中骨Aの通過時間をこの第1検出センサ8によって検出し、搬送ベルト2、3の搬送速度と中通過時間とから中骨Aの長さLを算出するように構成している。
【0031】
この第1検出センサ8から下流側に向かって小間隔を存した位置に、搬送ベルト2、3の中骨Aを挟持する対向挟持面2a、3a間の隙間を通じて中骨Aの腹部側を搬送ベルト2、3の一側端側に向かってベルト幅方向に押圧して中骨Aの背部を上記上流側固定ガイド板6に押し付ける位置修正手段9を配設している。
【0032】
この位置修正手段9は図2に示すように、上下一対の搬送ベルト2、3の対向挟持面2a、3a間にその一部を進退自在に挿入して中骨Aの背部を押圧する位置修正ローラ9aと、先端部にこの位置修正ローラ9aの回転中心部を回転自在に枢着させている回動レバー9bと、機台1の他側部に設けられてこの回動レバー9bの基端部を回動自在に枢着させている水平台板1bと、回動レバー9bの基端部にこの回動レバー9bに対して直角方向に突設している突片9cと、この突片9cの先端と水平台板1bの適所間に張設されて突片9cを介して回動レバー9cの先端に設けている上記位置修正ローラ9aに常時、ベルト幅方向に押圧力を付与しているスプリング9dと、突片9cを受止して位置修正ローラ9aがスプリング9d力によって必要以上に上流側固定ガイド板6側に移動するのを阻止するストッパ9eとから構成されている。
【0033】
さらに、上流側固定ガイド板6の終端と上記ひれカッタ4との間には、搬送ベルト2、3の対向挟持面2a、3aの一側端に沿ってガイド板が存在しない間隙部10(図2、図7に示す)が設けられてあり、この間隙部10の位置をおいて、搬送ベルト2、3の対向挟持面2a、3aを両側から挟むようにして中骨Aの腹部側を押圧する第1押圧レバー11と、この第1押圧レバー11の押圧力よりも強い力でもって中骨Aの背部を受止する受止レバー12とからなる第1制御手段を配設してあり、この第1制御手段によってひれカッタ4に対して中骨Aのひれ切断位置を制御するようにしている。
【0034】
第1押圧レバー11は、ひれカッタ4の手前における搬送ベルト2、3の他側方に配設されてあり、その基端部を先端部よりも上流側に位置させて該基端部をサーボモータ13の回転軸に固着していると共に基端部から先端部に向かうに従ってひれカッタ4側に接近するように傾斜させてあり、常態においては図5、図6に示すように、その先端をひれカッタ4における中骨切断刃部の他側方近傍部に位置させて搬送ベルト2、3の対向挟持面2a、3a間の隙間にその先端部を挿入してあり、搬送されてくる中骨Aの頭部切断端面を該先端部に当接させて該中骨Aを上記間隙部10側に向かって一定の押圧力でもってベルト幅方向に押し進めるように構成している。
【0035】
上記受止レバー12は、第1押圧レバー11に対して搬送ベルト2、3の対向挟持面2a、3aを挟んでひれカッタ4の手前における搬送ベルト2、3の一側方に配設されてあり、その基端部を先端部よりも上流側に位置させて該基端部をサーボモータ14の回転軸に固着していると共に基端部から先端部に向かうに従ってひれカッタ4側に接近するように傾斜させてあり、常態においては図5、図6に示すように、その先端をひれカッタ4における中骨切断刃部の一側方において、中骨Aの背皮a2の厚みに相当する間隔を存した位置に設けていて、搬送されてくる中骨Aの背部を受止しながらひれカッタ4により背皮a2を背びれa3と共に尾びれ近傍部にまで切断するように構成している。
【0036】
さらに、第1押圧レバー11の手前における上下一対の搬送ベルト2、3の他側方に、これらの搬送ベルト2、3の対向挟持面2a、3a間を通じて搬送ベルト2、3の一側方に向かって投光する光電センサからなる第2検出センサ15を配設してあり、上下一対の搬送ベルト2、3によって搬送される中骨Aをこの第2検出センサ15によって検出して上記第1検出センサ8により検出された中骨Aの長さLに応じて上記第1押圧レバー11と受止レバー12の作動を制御するように構成している。
【0037】
これらの第1押圧レバー11と受止レバー12の作動を制御する時間は第1、第2タイマーT1、T2を使用することによって行われ、図12に示すように、第1タイマーT1は、上記第1検出センサ8で測定した中骨Aの長さの切断頭部側から尾部近くに達するまでの長さ部分、例えば、中骨Aの全長の80%の長さに相当する搬送ベルト2、3の長さ部分がひれカッタ4を通過するに必要な時間だけ作動し、第2タイマーT2は上記中骨Aの長さLの尾びれa4を含む残りの20%に相当する長さ部分とこの長さ部分と同程度の適当な長さαとの和に相当する搬送ベルト2、3の長さ部分がひれカッタ4を通過するに必要な時間だけ作動するように制御回路を構成している。
【0038】
さらに、上記第2検出センサ15によって中骨Aの通過を検出した時に、先ず、第1タイマーT1を作動させて第1押圧レバー11を一定の押圧力に保持すると共に受止レバー12を第1押圧レバー11の押圧力よりも大きい中骨受止圧力に保持しながらひれカッタ4により中骨Aの背皮a2をその切断頭部側から中骨全長Lの80%に達する長さ部分まで切断し、第1タイマT1のタイムアップに引き続いて第2タイマT2を作動させて受止レバー12の受止圧力を解除する一方、第1押圧レバー11の押圧力を大きくしてその先端部をひれカッタ4の切断刃部の手前を交差するように一側方に向かって回動させることにより、尾びれa4をひれカッタ4の他側方から一側方に設けられている上記間隙部10に向かって湾曲させながらひれカッタ4の切断刃上を横断させた状態にしてひれカッタ4により尾びれa4側の中骨部を切断し、尾びれa4を背びれa3と共に背皮a2に連ねた状態にして切除し、切除後、第1押圧レバー11と受止レバー12とを元の位置に復帰させるように制御回路を構成している。
【0039】
なお、受止レバー12による中骨Aの受止力の解除は、ひれカッタ4によって中骨Aがその切断頭部側から全長の80%に達する長さ部分が切断された時に設定しているが、処理すべき魚体の中骨形状等に応じて上記数値を変更することができるのは勿論である。
【0040】
ひれカッタ4から下流側に設けられている上記下流側固定ガイド板7の終端と上記メフンカッタ5との間には、上記上流側固定ガイド板6とひれカッタ4との間に設けた間隙部10と同様に、搬送ベルト2、3の対向挟持面2a、3aの一側端に沿ってガイド板が存在しない間隙部16(図2、図15に示す)が設けられてあり、この間隙部16に対向して搬送ベルト2、3の他側方に中骨Aの腹部側を押圧する第2押圧レバー17からなる第2制御手段を配設している。
【0041】
この第2押圧レバー17は、上記第1押圧レバー11と同様に、搬送ベルト2、3の挟持面間の隙間に挿入可能な厚みを有し、その基端部を先端部よりも上流側に位置させて該基端部をサーボモータ18の回転軸に固着していると共に基端部から先端部に向かうに従ってメフンカッタ5側に接近するように傾斜させてあり、常態においてはその先端をメフンカッタ5の切断刃部から他側方に向かって中骨Aにおけるメフンa5が付着している中骨部A1を切除可能な間隔を存した位置に一定の押圧力を保持した状態で搬送ベルト2、3の対向挟持面2a、3a間の隙間に配設されていて、その圧力でもって搬送されてくる中骨Aを上記間隙部16側に向かってベルト幅方向に移動させ、メフンカッタ5 によってメフン付き中骨部A1を切除するように構成している。
【0042】
さらに、この第2押圧レバー17の手前における搬送ベルト2、3の他側方に、これらの搬送ベルト2、3の対向挟持面2a、3a間を通じて搬送ベルト2、3の一側方に向かって投光する光電センサからなる第3検出センサ19を配設してあり、搬送ベルト2、3によって搬送される背部が切除された肉付き中骨部A'をこの第3検出センサ19によって検出して上記第1検出センサ8により検出された中骨Aの長さに応じて上記第2押圧レバー17の作動を制御するように構成している。
【0043】
この第2押圧レバー17の作動を制御する時間は第3、第4タイマーT3、T4を使用することによって行われ、図19に示すように、第3タイマーT3は上記第1検出センサ8で測定した中骨Aの長さの切断頭部側からメフンa5が付着している中骨部A1の長さ部分に相当する搬送ベルト2、3の長さ部分がメフンカッタ5を通過するに必要な時間だけ作動し、第4タイマーT4は残りの長さ部分に相当する長さ部分とこの長さ部分よりも短い長さα' との和に相当する搬送ベルト2、3の長さ部分がメフンカッタ5を通過するに必要な時間だけ作動するように制御回路を構成している。
【0044】
この場合、上記メフンa5が付着している中骨部A1の長さが中骨全長Lの略40%に相当し、残りの長さが略60%に相当するものとして上記第3、第4タイマーT3、T4の作動時間を設定しているが、処理すべき魚体の種類等に応じて上記第1、第2タイマーT3、T4と同様にその時間を変更することができるのは勿論である。
【0045】
さらに、上記第3検出センサ19によって中骨Aの通過を検出した時に、先ず、第3タイマーT3が作動して第2押圧レバー17をその先端をメフンカッタ5の切断刃部から他側方に向かって中骨Aにおけるメフンa5が付着している中骨部A1を切除可能な間隔を存した位置に一定の押圧力でもって保持させて、メフンカッタ5によりメフンa5が付着している中骨部A1を切断し、第3タイマT3がタイムアップした時に、このタイムアップに引き続いて第4タイマT4を作動させて第3押圧レバー17をメフンカッタ5による切断刃部を越えてメフンカッタ5の一側方にまで回動させることにより、上記中骨部A1と良質の肉a1を付着させている中骨部A2との連設部をメフンカッタ5により切断し、切断後、第2押圧レバー17を元の位置に復帰させるように制御回路を構成している。
【0046】
なお、ひれカッタ4に対して中骨Aのひれ切断位置を制御する第1制御手段を構成している上記第1押圧レバー11と受止レバー12との押圧力の設定と、メフンカッタ5に対してメフンa5が付着している中骨部A1の切断位置を制御する第2制御手段を構成している第2押圧レバー17との押圧力の設定とは、これらのレバー11、12、17を作動させるサーボモータ13、14、18の回転軸の回転トルクを制御することによって行われる。図中、41はひれカッタ4により中骨Aから切除されたひれ付き背皮a2の排出シュートで、ひれカッタ4の下方に設けられてあり、42はメフンカッタ5によるメフン付き中骨部A1から分断された良質の肉a1が付着している中骨部A2の排出シュートであって、メフンカッタ5の下方に設けられている。さらに、上下一対の搬送ベルト2、3による搬送終端部にはメフン付き中骨部A1の排出シュート43が設けられている。
【0047】
次に、フィレーマシンによってスケトウダラ等の魚体を三枚におろすことによって得られた中骨Aを、上記のように構成した中骨分断装置によって、背びれa3と尾びれa4を連ねている背皮a2と、メフン付き中骨部A1と、良質の肉a1を付着させている中骨部A2とに分断する処理方法について説明する。
【0048】
まず、上下一対の搬送ベルト2、3による中骨挟持開始端から上流側における機台1の端部上に露出している下側搬送ベルト3の挟持面3a上に上記中骨Aを図2に示すように、その切断頭部側を下流側に向け、且つ、背皮a2側を上流側固定ガイド板6に面した状態にして順次載置し、下側搬送ベルト3によってこの下側搬送ベルト3と上側搬送ベルト2とによる中骨挟持開始端にまで搬送し、これらの上下一対の搬送ベルト2、3の対向挟持面2a、3aにより挟持させて下流側に向かって一定の速度でもって搬送する。
【0049】
搬送ベルト2、3により挟持されながら下流側に向かって搬送される中骨Aが、搬送ベルト2、3による挟持直後におけるこれらの搬送ベルト2、3の他側方に配設されている第1検出センサ8を通過する際に、この第1検出センサ8から搬送ベルト2、3の対向挟持面2a、3a間の隙間を通じて照射されている光を遮断するので、その遮断時間をこの第1検出センサ8によって検出してこの遮断時間と搬送ベルト2、3の搬送速度とにより中骨Aの長さ(体長)Lを算出し、その長さLの検出信号に基づいて制御回路を介して後述するようにひれカッタ4とメフンカッタ5の制御を行う。
【0050】
第1検出センサ8を通過した中骨Aは、続いて位置修正手段9に達すると、搬送ベルト2、3の対向挟持面における他側部内にその一部を挿入している位置修正手段9における位置修正ローラ9aに突き当たり、この位置修正ローラ9aを中骨Aの腹部の端面に乗り上げさせて腹部をベルト幅方向に押圧させる。位置修正ローラ9aは回動レバー9bの先端に回転自在に支持され、この回動レバー9bはスプリング9dの力によって位置修正ローラ9aを中骨Aの腹部側に押し進める方向に付勢されているので、中骨Aは位置修正ローラ9aからの押圧力によって搬送ベルト2、3の一側方に向かって幅方向に押し進められ、その背部を搬送ベルト2、3の対向挟持面2a、3aの一側端から外方に突出させて上流側固定ガイド板6に受止させ、この上流側固定ガイド板6に摺接しながら搬送ベルト2、3により下流側に搬送される。
【0051】
なお、搬送ベルト2、3の対向挟持面2a、3aには、凸条2b、3bと凹条2b' 、3b' とが長さ方向に交互に連続的に設けられているので、上記位置修正ローラ9aによる押圧力によってこれらの凹凸条に沿って中骨Aを容易にベルト幅方向に移動させることができる。
【0052】
上下搬送ベルト2、3によって挟持されながら上流側固定ガイド板6に沿って搬送される中骨Aが、第1押圧レバー11の手前においてこれらの搬送ベルト2、3の他側方に配設されている第2検出センサ15に達してこの第2検出センサ15によりその通過が検出されると、この第2検出センサ15から第1、第2タイマーT1、T2に中骨通過信号を出力してこれらの第1、第2タイマーT1、T2を順次起動させ、制御回路を介して中骨Aがひれカッタ4に達した後からの中骨Aの長さに応じて第1制御手段である第1押圧レバー11と受止レバー12とのサーボモータ13、14による作動を制御しながらひれカッタ4によって中骨Aの背皮a2を切除する。
【0053】
ひれカッタ4による中骨Aからの背皮a2の切除態様を詳述すると、図12に示すように、第2検出センサ15からの中骨通過検出信号によってまず、第1タイマーT1が起動し、第1押圧レバー11の駆動用サーボモータ13と受止レバー12の駆動用サーボモータ14とを作動させて第1押圧レバー11の駆動用サーボモータ14により第1押圧レバー11を図7に示すように、その先端が搬送されている中骨Aの頭部切断端面に対向させた位置に保持させると共にこの第1押圧レバー11に搬送ベルト2、3の一側方に向かう一定の回動力、即ち、中骨Aの腹部をひれカッタ4側に押圧する一定の押圧力を付与しておく一方、受止レバー12の駆動用サーボモータ14により、上記第1押圧レバー11に付与されている押圧力よりも大きい押圧力を受止レバー12に付与した状態で該受止レバー12の先端を図5、図6に示すようにひれカッタ4の切断刃部の一側面から中骨Aの背皮a2の厚みに相当する間隔を存した位置に保持させる。
【0054】
この状態にして中骨Aが搬送ベルト2、3によって挟持されながら上流側固定ガイド板6の終端部とひれカッタ4との間隙部10に沿ってひれカッタ4に送り込まれると、中骨Aの頭部切断端面が第1押圧レバー11の先端に当接して該第1押圧レバー11を後退させると共に第1押圧レバー11が後退しながらこの中骨Aの腹部側に移動して図8に示すように、該腹部を一定の圧力でもって押圧する一方、中骨Aの背部側がこの第1押圧レバー11の押圧力よりも受止力が大きい受止レバー12によって受止されているので、上記第1押圧レバー11の押圧力は中骨Aをひれカッタ4側に押し付ける作用を行うだけで、この押圧力によって中骨Aが上記間隙部10に向かって移動することはなく、その背部を受止レバー12によって受止されながら搬送ベルト2、3による搬送に従って受止レバー12の先端とひれカッタ4の切断刃部との間の上記間隔に応じた厚み分だけ背皮a2がひれカッタ4によって図9に示すように尾びれa4側に向かって切断される。
【0055】
なお、ひれカッタ4による中骨Aの切断開始時には、上述したように第1押圧レバー11の先端は中骨Aの切断頭部の端面に当接するが、この端面からの反力によって後退しながら腹部側に移動すると共に、腹部のメフンa5上を通過して中骨Aから幅方向に突出した肉部に達した時においても、この肉部を押圧した状態を保持しながら肉部の突出端面に沿って後退する。
【0056】
ひれカッタ4によって中骨Aの背皮a2が切断頭部側からこの中骨Aの全長の、例えば80%に達する長さまで切断されると、上記第1タイマーT1がタイムアップすると同時に第2タイマーT2が起動して受止レバー12の駆動用サーボモータ14が作動し、図10に示すように受止レバー12のの先端がひれカッタ4から離間する方向に後退して中骨Aの背部に対する受止力を解くと同時に、第1押圧レバー11の駆動用サーボモータ13の回動トルクを大きくして第1押圧レバー11をその先端がひれカッタ4の切断刃部から一側方に向かって突出する方向に回動させることにより、尾びれa4を有する尾部をひれカッタ4の他側方から一側方に向かって湾曲させてひれカッタ4の切断刃上を横断させた状態にし、この状態でひれカッタ4により尾部を背部側から腹部側に向かって中骨部を横切りながら切断して中骨Aを図11に示すように、背びれa3に連なった尾びれa4側の中骨部A3と、良質の肉a1が付着している中骨部A2とに分割すると共に、この肉付き中骨部A2から尾びれa4を背びれ付き背皮a2に連なった状態で分離させて上流側固定ガイド板6とひれカッタ4との間の上記間隔部10を通じてシュート41に排出、除去する。
【0057】
上記ひれカッタ4による中骨分断処理は、中骨Aがひれカッタ4を一定の速度でもって通過する間に瞬時に行われ、こうしてひれカッタ4により中骨Aが背びれa3と尾びれa4とを有する背皮a2と、良質の肉a1を付着させている中骨部A2とに分割されたのち、上記第2タイマーT2がタイムアップすると、第1押圧レバー11と受止レバー12とが元の位置に復帰し、再び、上記同様にして送られてくる中骨Aの分断処理を順次行う。
【0058】
一方、良質の肉a1が付着している中骨部A2は搬送ベルト2、3によって挟持されながら下流側に向かって搬送されて第3検出センサ19の位置に達し、この第3検出センサ19によって検出されると図19に示すように、まず、第3タイマーT1が起動して第2制御手段である第2押圧レバー17のサーボモータ18を制御することにより図15〜図17に示すように、この第2押圧レバー17の先端をメフンカッタ5の切断刃部から他側方に向かって中骨Aにおけるメフンa5が付着している中骨部A1の太さに相当する間隔を存した位置に一定の押圧力を保持した状態で固定し、この状態にして搬送ベルト2、3により搬送されてくる上記肉付き中骨部A2におけるメフンa5が付着している中骨部A1の背面側をメフンカッタ5によってこの中骨部A1に沿って切断する。
【0059】
このメフン付き中骨部A1の長さは中骨Aの全長の略40%に相当し、メフンカッタ5によってこの中骨部A1に付着したメフンa5が図17に示すように、その終端部にまで全長に亘って切断されると、上記第3タイマーがタイムアップすると同時に第4タイマT4が作動してサーボモータ18により第3押圧レバー17をメフンカッタ5による切断刃部を越えてメフンカッタ5の一側方にまで回動させることにより、上記メフン付き中骨部A1と肉付き中骨部A2との連設部をメフンカッタ5により切断してメフン付き中骨部A1を肉付き中骨部A2から分離させ、メフン付き中骨部A1をそのまま搬送ベルト2、3によって挟持させた状態で下流側に搬送する一方、肉付き中骨部A2を下流側固定ガイド板7の終端とメフンカッタ5との間の間隙部16を通じてシュート42に落下させ、このシュート42の排出端から容器(図示せず)に回収する。
【0060】
こうして図18に示すように、メフンカッタ5により中骨Aをメフン付き中骨部A1と良質の肉付き中骨部A2とに分断したのち、上記第4タイマーT4がタイムアップして第2押圧レバー17を元の位置に復帰させ、再び、上記同様にして送られてくる中骨Aの分断処理を順次行う。また、搬送ベルト2、3によって挟持された上記メフン付き中骨部A1は、搬送ベルト2、3の終端からシュート42に排出される。こうして得られた上記肉付き中骨部A2をすり身の原料として使用することにより、良質のすり身を製造することができる。なお、ひれカッタ4に対して中骨Aのひれ切断位置を制御する第1制御手段やメフン付き中骨部A1の切断位置を制御する第2制御手段をレバーによって構成しているが、レバーに限定されることなく、中骨Aを上下一対の搬送ベルト2、3のベルト幅方向に移動するローラや板片部材等を採用してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 機台
2、3 搬送ベルト
4 ひれカッタ
5 メフンカッタ
6 上流側固定ガイド板
7 下流側固定ガイド板
8 第1検出センサ
9 位置修正手段
9a 位置修正ローラ
11 第1押圧レバー
12 受止レバー
15 第2検出センサ
17 第2押圧レバー
19 第3検出センサ
A 中骨
A1 メフン付き中骨部
A2 良質な肉付き中骨部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚体を三枚におろした際に得られた肉付きの中骨をその切断頭部側を搬送方向に向け、且つ、背部側を一側方に向けた状態にして上下一対の搬送ベルトにより挟持しながらこの搬送ベルトおける対向挟持面の一側端に沿って順次配設しているひれカッタとメフンカッタとに送り込み、ひれカッタの位置において、第1制御手段によりひれカッタに対する中骨のひれ切断位置を制御しながらひれカッタにより中骨の背部を背びれから尾びれまで切除する工程と、メフンカッタの位置において、第2制御手段によりメフンカッタに対するメフン付き中骨部の切断位置を制御しながらメフンカッタによりメフン付き中骨部を切除する工程とを順次行って、良質の肉が付着した中骨部を得ることを特徴とする魚体の中骨分断処理方法。
【請求項2】
第1制御手段は中骨の腹部を押圧する第1押圧レバーと中骨の背部を受止する受止レバーとからなり、上下一対の搬送ベルトにより挟持されてひれカッタに達した中骨の腹部を第1押圧レバーによりひれカッタに向かって押圧する一方、受止レバーをひれカッタに対して中骨のひれ部を切除可能な間隔を存した位置に保持させて中骨の背部を受止させた状態でひれカッタにより中骨の背部を背びれから尾びれ近傍部に達するまで切断したのち、中骨の尾びれがひれカッタに達する直前に受止レバーによる背部の受止を解除すると同時に第1押圧レバーにより尾びれ部をさらに押し進めてひれカッタの切断刃上を一側方に向かって移動させることにより尾びれの中骨部分をひれカッタにより切断し、尾びれを背びれと一体に切除することを特徴とする請求項1に記載の魚体の中骨分断処理方法。
【請求項3】
第2制御手段は中骨の腹部を押圧する第2押圧レバーからなり、上下一対の搬送ベルトにより挟持されてメフンカッタに達する直前の中骨の腹部を押圧して搬送ベルトの幅方向に移動させ、中骨に付着している肉部を搬送ベルトの対向挟持面の一側端から外側方に突出させた状態にしながらメフンカッタにより該肉部を付着している中骨からメフンが付着している中骨部を分断させることを特徴とする請求項1に記載の魚体の中骨分断処理方法。
【請求項4】
魚体を三枚におろした際に得られた肉付きの中骨を、その切断頭部側を搬送方向に向け且つ背部側を一側方に向けた状態して挟持しながら搬送する上下一対の搬送ベルトと、この搬送ベルトの搬送途上における一側端に沿って順次配設されたひれカッタ及びメフンカッタと、上記ひれカッタの側方に配設されてひれカッタに対する中骨のひれ切断位置を制御する第1制御手段と、上記メフンカッタの側方に配設されてメフンカッタに対するメフン付き中骨部の切断位置を制御する第2制御手段とからなることを特徴とする魚体の中骨分断処理装置。
【請求項5】
第1制御手段は、ひれカッタの一側方に配設されてひれカッタによる中骨のひれ部切断時に、尾びれがひれカッタに達するまで中骨の背部を受止してひれカッタに対する中骨の背びれ切断位置を保持し、尾びれ切断時にはその受止力を解く受止レバーと、この受止レバーに対向してひれカッタの他側方に配設されてひれカッタによる中骨のひれ部切断時に尾びれがひれカッタに達するまで上記受止レバーに向かって中骨の腹部を押圧し、尾びれ切断時には上記受止レバーの受止力の解放と同時に尾びれをひれカッタの切断刃上を通じて一側方に押し進める第1押圧レバーとから構成していることを特徴とする請求項4に記載の魚体の中骨分断処理装置。
【請求項6】
第2制御手段は、メフンカッタの手前における搬送ベルトの一側方に配設されて背びれから尾びれまで切除された中骨の腹部側を押圧することにより、中骨を搬送ベルトの幅方向に移動させてメフン付き中骨部を上記メフンカッタによる切断位置に位置付ける第2押圧レバーによって構成していることを特徴とする請求項4に記載の魚体の中骨分断処理装置。
【請求項7】
上下一対の搬送ベルトによる搬送始端部からひれカッタの手前に至るまでの間と、ひれカッタの直後からメフンカッタの手前に至るまでの間とに、搬送ベルトの一側端に沿って中骨の背部を受止して中骨を案内する上流側固定ガイド板と下流側固定ガイト板とをそれぞれ配設してあり、さらに、搬送始端側の他側方に搬送ベルトの対向挟持面間の隙間を通じて中骨の腹部側を押圧して中骨の背部を上記上流側固定ガイド板に押し付けるローラからなる位置修正手段を配設していることを特徴とする請求項4に記載の魚体の中骨分断処理装置。
【請求項8】
搬送ベルトの搬送始端部側に搬送されてくる中骨の通過時間を検出して中骨の長さを算出するための光電センサからなる第1検出センサを配設していると共に、第1押圧レバーの手前側に搬送されてくる中骨を検出して上記第1検出センサにより検出された中骨の長さに応じて第1押圧レバーと受止レバーの作動を制御するための光電センサからなる第2検出センサを配設してあり、さらに、第2押圧レバーの手前側に搬送されてくる中骨を検出して上記第1検出センサにより検出された中骨の長さに応じて第2押圧レバーの作動を制御するための光電センサからなる第3検出センサを配設していることを特徴とする請求項4、請求項5又は請求項6に記載の魚体の中骨分断処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−75406(P2012−75406A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225142(P2010−225142)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(510264590)ユニシーインク (1)
【氏名又は名称原語表記】UniSea Inc.
【住所又は居所原語表記】15400 Northeast 90th Street, P.O.Box97019, Redmond, Washington, United States of America
【出願人】(000222794)東洋水産機械株式会社 (8)
【出願人】(000004189)日本水産株式会社 (119)
【Fターム(参考)】