説明

魚礁設置情報管理システム

【課題】海洋版GISを利用し、高い位置精度とビジュアル性に優れた魚礁情報の統合的なデータベース化を行い、その内容を容易に閲覧でき、また、魚礁の蝟集効果の診断を可能とする。
【解決手段】海洋版GISは、等深線のような観測データの水平分布図を表示でき、この水平分布図上に、正確な緯度経度情報に基づいた魚礁位置をマークとしてプロットする。このマークのリンク情報として、魚礁名、種類、規模、底質、単体図、配置図、水中写真、ビデオ映像、漁獲状況などの情報を用意する。リンク情報は、魚礁位置を示すマークをマウスでクリックすることにより表示できる。魚礁情報のデータベースを組込んだ魚礁管理システムが提供される。正確な魚礁位置と、正確な船の位置に基づく操業情報と、漁獲高情報とから魚礁の実際の蝟集効果を診断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、魚礁等の海洋構造物の設置に関連する情報の管理に適用される海洋構造物設置情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
我が国においては、人工魚礁、天然魚礁等の海洋構造物(以下、単に魚礁と称する。)が多数の漁業者および遊魚者に利用されることから、魚礁設置のほとんどは公共事業として実施されている。投資された費用対効果(例えば蝟集効果、蝟集とは、多くの魚が1箇所に集まっていることを言う)の観点からみると、事業を計画する行政機関ばかりでなく、魚礁開発メーカー、施工業者、試験研究機関、漁協、地先漁業者との情報連携が不可欠である。
【0003】
現状では、各機関では事業に対する視点・要求が異なり、蓄積している情報も互いに異なっている。例えば行政機関では事業実施の実績情報が蓄積されており、魚礁開発メーカーでは自社製魚礁の製品情報を有し、施工業者では沈設・位置管理情報が蓄積されており、試験研究機関では魚礁効果に関する科学的知見が蓄積されており、漁業者は操業状況に関する経験的知見などの蓄積がある。しかしながら、これらの情報の統合化が進展していない状況下にある。したがって、これらの情報を統合的に管理可能な情報管理システムが構築できれば、より効果的な魚礁事業展開に貢献できると考えられる。
【0004】
なお、魚礁のデータベースについては、既に国、県で構築例があり、データベース作成そのものは新しい発想ではない。しかしながら、既存のデータベースは主に行政機関や研究機関等が管轄し、事業実績の把握に重点が置かれているため、正確な位置情報や海底地形、水中写真、水中ビデオ等、漁業者が必要とする情報を含んでいない。また、海上において、測位精度が実用レベルに達したのは、GPS(Global Positioning System )技術が普及し始めた1989年頃からであり、それ以前に設置された魚礁の魚礁データベース上における記載位置のほとんどが数百mの誤差を有している。このような不正確な位置情報を頼りに現場に行っても、魚礁の位置にたどり着くことは、経験上殆ど不可能と言える。また、設置された魚礁が年数を経つにしたがって崩壊することもあり、魚礁データベースをなるべく短い期間で更新することが望まれる。
【0005】
一例として、水中構築物(マーカとしてのチェーン)の位置等の構築状況をサイドスキャンソナーを使用して測定することが下記の特許文献1に記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−248642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
魚礁の効果的な利用を図る意味において、魚礁の位置を正確に特定した魚礁データベースを構築することがきわめて重要かつ緊急な課題である。しかしながら、膨大な数の魚礁の位置を正確且つ効率的に特定する技術が普及していなかったために、位置特定が殆ど進展していない。
【0008】
行政機関が立案する魚礁設置の事業計画の技術的基礎は、試験研究機関が蓄積してきた科学的知見に基づいているが、その反面、実際に魚礁を利用している漁業者の経験的知見が正しく反映されないケースも多く、このことが事業進展の大きな阻害要因の一つとなっている。
【0009】
したがって、この発明の第1の目的は、海洋版GIS(Geographical Information System:地理情報システム)を利用し、高い位置精度と、操作性に優れた魚礁詳細情報の統合的な魚礁データベースを構築し、魚礁データベースの内容を行政機関から漁業者までの誰もが容易に閲覧できる海洋構造物設置情報管理システムを提供することにある。
【0010】
この発明の第2の目的は、魚礁名、魚礁の種類、設置位置の緯度経度、魚礁の単体図、魚礁の配置図などの一般的な魚礁情報に加えて、海底という直接的に目視することができない特殊条件下の情報のうち、サイドスキャンソナーを用いて取得された海底探査画像を船上で表示しつつ、現場で魚礁の調査が可能な海洋構造物設置情報管理システムを提供することにある。
【0011】
この発明の第3の目的は、上述した海洋構造物設置情報管理システムを安価に提供し、予め組み込んだデータベースを共有することにより、漁業者の経験的知見を魚礁事業計画に反映させるための情報フィードバックシステムとして機能させ、より効果的な魚礁事業展開を図ることができる海洋構造物設置情報管理システムを提供することにある。
【0012】
この発明の第4の目的は、上述した海洋構造物設置情報管理システムに基づいた正確な魚礁位置情報に基づいて、実際の魚礁への魚群の蝟集効果を診断することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、この発明は、海洋構造物に関する情報からなるデータベースと、データベースを閲覧する閲覧システムとからなり、
データベースは、等深線が表示可能な海洋版地理情報システム上に、正確な位置情報に基づいた海洋構造物の位置に対応するマークが表示され、
マークに対応する海洋構造物に関するリンク情報のデータファイルが関連付けて保持され、
閲覧システムにおいて、マークをクリックすることによって、ウインドウが表示され、ウインドウ内の所望のアイコンをクリックしてリンク情報を表示させるようにした海洋構造物設置情報管理システムである。
【0014】
リンク情報は、少なくとも海洋構造物の位置の緯度経度および設置年月日の情報と、海底探査画像とを含むことが好ましい。
【0015】
好ましくは、閲覧システムが測位装置による測位情報を取り込むことが可能とされ、
海上においても、データベース画面上に緯度経度をリアルタイムに表示しつつ、リンク情報の閲覧が可能とされると共に、ナビゲーションの際の保存ログファイルをシミュレーション再生すれば、移動中の緯度経度、時刻、速度、針路を解析することが可能とされる。
【0016】
さらに、海洋構造物の位置情報と、漁船の操業情報と、実際の漁獲量情報とに基づいて海洋構造物への魚群の蝟集効果を診断することが可能とされる。
【発明の効果】
【0017】
この発明により、魚礁設置事業に関わるすべての機関、関係者が、より実態を反映した魚礁最新情報の閲覧と共有化が可能となり、行政機関においては海域条件に最も適した魚礁の種類、配置、施工方法を決定できるばかりでなく、詳細かつ高精度の魚礁情報を提供するため漁業者においても効率的な操業が可能となり、より効率的かつ効果的な事業展開に貢献でき、水産業の発展に大きく寄与できる。特に、この発明による魚礁の蝟集効果の診断は、実際に魚礁を設置する上で役立つ情報を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、一実施形態のシステムの構成を示す。一実施形態は、以下に示す3つの段階から構成され、これらの段階が有機的に機能することにより、この発明の効果が最大限発揮される。
【0019】
第1段階:魚礁情報のデータベース化
第2段階:魚礁管理システムの構築
第3段階:行政機関、試験研究機関、漁協(漁業者)への提供
【0020】
最初に魚礁情報のデータベース化について説明する。魚礁情報のデータベース化は、海洋版GIS(Geographical Information System:地理情報システム)を使用する。海洋版
GISは、等深線のような観測データの水平分布図を表示でき、この水平分布図上に、正確な緯度経度情報に基づいた魚礁位置をマークとしてプロットする。このマークのリンク情報として、行政機関、試験研究機関、漁協などが蓄積している、魚礁名、種類、規模、底質、単体図、配置図、水中写真、ビデオ映像、漁獲状況などの情報を用意する。リンク情報は、魚礁位置を示すマークをマウスでクリックすることにより容易に表示できる仕様となっている。
【0021】
リンクファイルは、データベース化に使用しているパソコンで開けるファイル(デジタル情報)であれば特に制限なく利用可能である。また、海底探査画像のように位置情報を包含し、ファイル容量が大きい画像(GeoTiff(座標を持つTiffファイル)形式)は、特
殊な画像フォーマットに圧縮・変換した上で、GIS上に貼付けることにより、高速な画面表示が可能である。これらのことにより、海域条件の基本的要素であり、陸部と異なる海域の特殊要素とも言える水深、海底地形を含んだ魚礁情報のデータベース化が実現する。
【0022】
魚礁情報(リンク情報を含む。以下、同様)は、文字、数値、図表、写真、動画、特殊画像等のデータである。図1に示されている魚礁情報は、一例であり、図示されているものに限られず、他の情報をデータベースに取り込むようにしても良く、一方、全ての情報をデータベース化する必要はない。魚礁情報の各情報について簡単に説明する。
【0023】
基本情報1・・・魚礁の位置の緯度経度および設置年月日は必須の情報である。緯度経度情報は、GISにとって必要な情報である。さらに、魚礁名、魚礁番号、魚礁種類、魚礁規模、底質、水深のオプションの情報がある。魚礁の位置情報は、従来の魚礁台帳から取得した計画値の場合と、海底探査とGPSにより実測された実測値の場合との何れかであり、両者を区別することための表記がされている。後述する閲覧ソフトウェアを使用する魚礁管理システムにおいては、画面上に基本情報1が一覧表として表示される。
構造情報2・・・魚礁単体の構造を示す図および複数の魚礁の配置図である。基本情報1は、従来の魚礁台帳から取得することが可能な情報である。
【0024】
海底探査画像3・・・サイドスキャンソナーにより取得した画像情報である。サイドスキャンソナーは、海底の形状を探査するための機器である。例えば調査船によってサイドスキャンソナーが曳航され、サイドスキャンソナーが海底に向かって扇状に拡がる超音波を発信し、海底で散乱し、戻ってきた超音波を受信する。探索範囲は、100m〜200m程度(最大では、片側400mまで可能)とされ、約100mの水深程度とされる。また、調査船のサイドスキャンソナーの計測データを処理するパーソナルコンピュータには、携帯型GPSが接続されており、探索された魚礁の位置をGPSによる正確な位置情報として把握することが可能とされている。位置測定装置としては、調査船に搭載のGPS等を使用しても良い。
【0025】
サイドスキャンソナーは、測定対象としての海底および海洋構造物を超音波でスキャンし、測定対象までの距離と方向を求めることによって、測定対象の形状を求める。また、測定対象から戻ってくる超音波の強弱は、測定対象の材質を反映する。魚礁のような硬い面から戻ってくる超音波が強く、泥質のような柔らかい面から戻ってくる音波が弱いものとなる。戻ってきた超音波のデータを処理することによって、形状のみならず、材質も求めることができる。サイドスキャンソナーは、計測データを処理して濃淡表示とすることによって、測定対象の音響的パノラマ写真(画像)を得ることができる。
【0026】
図2は、実際にサイドスキャンソナーによって取得された水深35mの海底の画像と、その一部を拡大したものを示す。これらの画像には、2m角型魚礁が捉えられている。サイドスキャンソナーは、比較的広範囲の海底の魚礁の画像を明瞭に提供するので、付近に設置されている他の魚礁と目的の魚礁とをリアルタイムで区別することが容易となり、調査船上での魚礁調査活動を効率的に行うことができる。
【0027】
蝟集状況調査データ(ビデオ映像4a,水中写真4b,目視観察結果4c)
ビデオ映像4a・・・ROV(Remotely Operated Vehicle:水中テレビカメラロボット
)によって取得したビデオ映像(動画像)である。必要に応じて圧縮符号化されている。サイドスキャンソナーの画像によって魚礁位置を把握し、魚礁上に調査船を錨で固定し、海底に錘が付いた観測ワイヤーを沈め、観測ワイヤーに沿ってROVを降ろし、魚礁付近を撮影する。
水中写真4b・・・ROVまたは水中カメラで取得した魚礁付近の静止画像である。必要に応じて圧縮符号化されている。
目視観察結果4c・・・実際にダイバーが潜って調べた結果の報告である。水深が約50mまでの情報である。
【0028】
漁獲状況データ5・・・インターネットを通じて漁業情報サービスセンター(Japan Fisheries Information Service Center)が提供している漁獲管理システム(TAC)や各都道府県の水産試験場が整備しているデータベースから取得することができる。
【0029】
魚礁管理システム10は、ハードウェアおよびソフトウェアからなる。ハードウェアは、携帯型パーソナルコンピュータ(所謂ノートパソコン)、携帯型GPS装置から構成されている。ソフトウェアは、ユーザーの要求に応じて作成したデータベースを閲覧するための専用ビュアーソフトウェアウェアからなる。この専用ビュアーソフトウェアは、一定の編集機能を有する。
【0030】
例えば魚礁データベースは、日本の全域をカバーするものとされ、サーバ上に保存されている。サーバに対してアクセスし、必要とする範囲例えば海域に関するデータベースがノートパソコンにダウンロードされる。魚礁管理システム10によって、データベースを自由に閲覧し、ファイル出力することができる。
【0031】
図3は、魚礁管理システム10によってデータベースを閲覧する場合の画面表示の一例を示す。コンピュータディスプレイの画面上に等深線のような観測領域の水平分布図が表示され、この水平分布図上に、正確な緯度経度情報に基づいた魚礁位置に対応するマークが表示される。ユーザが所望のマークの位置にカーソルを位置させ、マウスをクリックすると、クリックされたマークに対応する魚礁の正確な位置の緯度経度と、リンクファイルの種類とその有無に対応するリンクボタンとが表示される。
【0032】
ユーザが所望のリンクボタンをクリックすると、リンクファイルが開かれ、画面上にオーバーレイされる。図3の例では、基本情報1および構造情報2が一覧表として表示され、また、水中撮影されたビデオ映像4aの動画が表示されている。
【0033】
さらに、魚礁管理システム10は、携帯型GPSまたは調査船に備えられているGPS装置と連動して、データベースを表示した状態でのナビゲーションが可能である。例えば、目的とする魚礁に船舶を誘導でき、現地で様々な魚礁情報を確認できる。また、ナビゲーションの際のGPS記録は、ログファイルとして保存されるので、それをシミュレーション再生すれば、移動中の緯度経度、対地速度、針路が確認・解析できる。
【0034】
このGPSナビゲーションデータの再生画面例を図4に示す。図4の例は、調査船に海洋版GISを組み込んだノートパソコンを持ち込んで、サイドスキャンソナーによって海底探査画像を記録しておき、後日、陸上の事務所で、調査をシミュレーション再生した場合の表示例である。調査船の航跡データがログファイルとして保存できるので、再生画面中に海底探査画像と、航跡を示す線とをオーバーレイさせることができる。魚礁管理システム10は、権限を有する者によって、実測されたデータによって魚礁データベースを更新する。なお、日本全体の魚礁データベースの場合には、データ量が極めて多くなるので、魚礁管理システム10のノートパソコンに対しては、必要とする領域のデータのみがデータベースからダウンロードされる。
【0035】
この魚礁管理システム10が行政機関、試験研究機関、漁協などの関係者11に提供されることにより、魚礁情報の共有化と共通認識の醸成を図ることができる。特に、魚礁を利用するのは漁業者であり、漁業者が経済効果を実感できる理想的な魚礁を創出するには、行政機関が経験的知見との整合性を図ることが重要であり、漁業者の経験的知見を事業計画に反映させるために、実際の情報をフィードバックさせることが望ましい。その結果、魚礁設置計画12を正確且つ効果的に策定することができる。
【0036】
上述した魚礁データベースを活用して魚礁の効果を診断する診断方法について図5を参照して説明する。図5において、+のマークが上述した魚礁データベースによって正確に特定された位置の魚礁を示している。魚礁の周辺の海域例えば魚礁から半径3km以内の範囲が魚礁による効果を及ぶ海域(魚礁設置海域と称する)21a、21bとされる。
【0037】
魚礁設置海域を含む海域での漁船の操業情報が取得される。実際に操業する漁船に対して、データロガーを搭載し、データロガーにより操業情報が得られる。多数の漁船の場合には、標本船と称される所定の割合の数の漁船に対してデータロガーを積んで操業情報を得るようになされる。操業情報は、標本船の航跡である。図5中で線Lが航跡を示す。例えばGPSの測位情報を所定時間例えば1分毎にハードディスク等に記憶し、測位情報に基づいて航跡Lを求め、表示することができる。
【0038】
また、航跡Lの時間変化から標本船の速度を求めることができる。図6は、求めた速度の変化のグラフの一例である。縦軸が速度を表し、横軸が時間変化を示す。この速度変化を解析することによって、標本船が移動中か、操業中かを判定することができる。例えば網を引いている時には、一定の速度であることを利用して操業中であることを判定できる。また、魚種によっては、船が停止している状態で操業する場合もある。したがって、標本船の実際の漁法,魚種等に応じて速度データが解析される。
【0039】
図5の例では、位置P1から位置P2までの区間、位置P3から位置P4までの区間、位置P5から位置P6までの区間、位置P7から位置P8までの区間がそれぞれ漁船操業中の区間である。これらの区間は、ほぼ魚礁設置海域21a、21bを含んでいる。経験的に、または魚礁データベースから漁業者は、魚礁設置海域を予め知っていることが多いので、魚礁設置海域付近で操業することが多い。
【0040】
漁船操業中の区間の全てに関しての漁獲量情報によって魚礁の蝟集効果が判定される。漁獲量情報は、標本船から直接得ることができ、また、毎日の漁獲量情報が提供されているので、インターネットを介して所望の漁獲量情報を得ることが可能である。例えば図5の例では、漁獲量情報から魚礁設置海域21a、21bの蝟集効果を診断できる。また、魚礁設置海域毎に漁獲量を調べることで各魚礁設置海域における蝟集効果を診断できる。正確な診断を行うためには、操業中における魚礁設置海域と重なる区間の割合をもとに、漁獲量を補正する必要がある。例えば操業中の区間の魚礁設置海域とが60%の割合で重なる場合には、この操業中の漁獲量に0.6を乗じたものを漁獲量と扱うことが必要とされる。
【0041】
上述したように、魚礁データベースにより規定される正確な魚礁位置の情報と、データロガーのデータの解析に基づく正確な操業情報と、魚礁設置海域の実際の漁獲量情報とから魚礁の蝟集効果を正確に診断することができる。この診断結果によって、魚礁設置計画の立案等の魚礁事業を費用対効果に優れたものとすることができる。
【0042】
図1に示すこの発明の一実施形態のビジネスモデルについては、ユーザー自らが独自のデータベースを構築できるように、以下のようなコンテンツ作成とサービスを提供し、定期的な収入源とすることができる。
【0043】
(1)コンピュータの操作に不慣れなユーザーでも簡単に操作でき、目的とする魚礁の情報を閲覧できる魚礁管理システムを安価に提供する。魚礁管理システムは、ソフトウェアウェアーとノートパソコンおよびGPS装置からなり、ユーザーの利用環境と利用目的に応じてカスタマイズし、ユーザーフレンドリーなシステムを構築・提供する。
【0044】
(2)データベースの修正・追加、インターフェース改良などを通じて、魚礁管理技術の精度向上やより効果的な魚礁設置計画のための手法や情報を提供するなど、高度で多角的なコンサルティング業務を展開することができる。
【0045】
以上、この発明の実施の形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の一実施形態のシステムを示す略線図である。
【図2】サイドスキャンソナーにより取得された海底探査画像の一例およびその一部拡大画像を示す略線図である。
【図3】魚礁情報データベースの表示画面の一例を示す略線図である。
【図4】GPSナビゲーションデータの再生画面の一例を示す略線図である。
【図5】魚礁の蝟集効果診断システムの説明に用いる略線図である。
【図6】船に積んだデータロガーの計測データを解析して得られる速度データの一例である。
【符号の説明】
【0047】
1 魚礁データベースの基本情報
2 構造情報
3 海底探査画像
10 魚礁管理システム
21a、21b 魚礁設置海域
L 標本船の航跡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋構造物に関する情報からなるデータベースと、上記データベースを閲覧する閲覧システムとからなり、
上記データベースは、等深線が表示可能な海洋版地理情報システム上に、正確な位置情報に基づいた上記海洋構造物の位置に対応するマークが表示され、
上記マークに対応する上記海洋構造物に関するリンク情報のデータファイルが関連付けて保持され、
上記閲覧システムにおいて、上記マークをクリックすることによって、ウインドウが表示され、上記ウインドウ内の所望のアイコンをクリックして上記リンク情報を表示させるようにした海洋構造物設置情報管理システム。
【請求項2】
請求項1において、
上記リンク情報は、少なくとも上記海洋構造物の位置の緯度経度および設置年月日の情報と、海底探査画像とを含む海洋構造物設置情報管理システム。
【請求項3】
請求項1において、
上記閲覧システムが測位装置による測位情報を取り込むことが可能とされ、
海上においても、データベース画面上に緯度経度をリアルタイムに表示しつつ、上記リンク情報の閲覧が可能とされると共に、ナビゲーションの際の保存ログファイルをシミュレーション再生すれば、移動中の緯度経度、時刻、速度、針路を解析できる海洋構造物設置情報管理システム。
【請求項4】
請求項1において、
上記海洋構造物の位置情報と、漁船の操業情報と、実際の漁獲量情報とに基づいて上記海洋構造物への魚群の蝟集効果を診断することを可能とする海洋構造物設置情報管理システム。

【図1】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−178325(P2008−178325A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13290(P2007−13290)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年9月1日 インターネットアドレス「http://www.gosea.or.jp」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年11月30日 社団法人 水産土木建設技術センター発行の「水産土木建設技術センター会報 No.77 2006.11」に発表
【出願人】(307000961)
【出願人】(504447028)
【Fターム(参考)】