説明

魚釣用スピニングリール

【課題】本発明は、プロテクターを専用のねじを用いることなくロータ本体にしっかりと固定できる魚釣用スピニングリールの提供を目的とする。
【解決手段】魚釣用スピニングリール1は、リール本体2に支持されたスプール6およびロータ5を備えている。ロータ5は、リール本体2に回転可能に支持されるロータ本体10と、ロータ本体10を間に挟んで向かい合う一対のアーム部11a, 11bと、アーム部11a, 11bを外側から覆う一対のカバー24, 25とを有し、ロータ本体10のうちスプール6の後方に位置する後端部12の外周部分にプロテクター30が装着されている。プロテクター30は、ロータ本体10の後端部12とカバー24, 25の後端部との間に介在される第1および第2の挟持部31a, 31bと、ロータ本体10の後端部12の外周部分を覆う中間部32とを含んでいる。プロテクター30は、第1および第2の挟持部31a, 31bをロータ本体10の後端部12とカバー24, 25の後端部との間で挟み込むことで、ロータ本体10に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプールに釣糸を巻き付けるロータを有する魚釣用スピニングリールに係り、特にロータの後端部の外周部分にプロテクターを取り付けるための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
魚釣用スピニングリールは、スプールと、このスプールに対して回転可能なロータとを備えている。ロータは、リール本体に支持された円筒状のロータ本体を有し、このロータ本体に釣糸をスプールの外周面に巻き付けるベールアーム機構が設けられている。
【0003】
この種の魚釣用スピニングリールでは、スプールがロータ本体の外側に被さっており、ロータ本体のフランジ状をなす後端部がスプールとリール本体との間に位置している。このロータ本体の後端部は、ベールアーム機構によって保護されることなく魚釣用スピニングリールの外方に直接露出している。
【0004】
したがって、ロータ本体の後端部は、例えば釣場を移動したり、あるいは実際に釣をしている時に、釣場の岩や石と干渉して傷付くことがある。ロータ本体に傷が付くと、ロータ本体の強度が低下したり、腐食の原因となるといった問題がある。
【0005】
この対策として、従来、ロータ本体の後端部の外周部分にプロテクターを装着し、ロータ本体の後端部の傷付きを防止するようにした魚釣用スプニングリールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1によると、プロテクターは、ベールアーム機構のベールとは反対側に位置するとともに、ロータ本体の後端部の外周部分に沿うように円弧状に湾曲している。このプロテクターは、係止用爪部をロータ本体に引っ掛けるとともに、両端部をねじを介してロータ本体に締め付け固定することで、ロータ本体の後端部に一体的に保持されている。
【特許文献1】特開2003−274816号公報(図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された魚釣用スピニングリールによると、プロテクターをロータ本体に固定する専用のねじを必要とし、このねじの分だけ部品点数が増える。それとともに、プロテクターをロータ本体に装着したり、ロータ本体から取り外す度にドライバーのような工具を用いてねじを回す面倒な作業を強いられることになり、作業工数が増える。この結果、魚釣用スピニングリールの製造コストの増大を招く要因となる。
【0008】
さらに、工具を用いてねじを回す時に、誤って工具でプロテクターに傷を付ける虞があり得るとともに、ねじの頭がプロテクターの上に露出するのを避けられず、外観的な面においても今一歩改善の余地が残されている。
【0009】
本発明の目的は、プロテクターを専用のねじを用いることなくロータ本体に固定できる魚釣用スピニングリールを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る魚釣用スピニングリールは、
リール本体に支持されたスプールと、
上記リール本体に回転可能に支持されるロータ本体と、上記ロータ本体を間に挟んで向かい合う一対のアーム部と、これらアーム部に取り外し可能に固定され、上記アーム部を外側から覆う一対のカバーとを有するロータと、
上記ロータのアーム部に設けられ、釣糸を上記スプールの外周面に巻回可能に案内する釣糸案内装置と、
上記ロータ本体のうち、上記スプールの後方に位置する後端部の外周部分に装着されたプロテクターと、を備えている。
【0011】
上記プロテクターは、上記ロータ本体の後端部と上記カバーの後端部との間に介在される第1および第2の挟持部と、これら第1の挟持部と第2の挟持部との間に跨るとともに、上記ロータ本体の後端部の外周部分を覆う中間部と、を含んでおり、上記第1および第2の挟持部を上記ロータ本体の後端部と上記カバーの後端部との間で挟み込むことで、上記プロテクターを上記ロータ本体に固定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プロテクターをロータ本体に固定する専用のねじが一切不要となる。このため、部品点数を削減できるとともに、プロテクターをロータ本体に装着したり、ロータ本体から取り外す際の作業性を改善することができ、ロータの製造コストを低減できる。
【0013】
さらに、プロテクターをロータ本体に固定した時に、プロテクターの上にねじの頭が露出することはない。したがって、プロテクターとロータ本体との一体感が高まるとともに、プロテクターをロータ本体に対し着脱する時に、工具によるプロテクターの傷付きを防止でき、ロータ回りの外観を良好に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の第1の実施の形態を、図1ないし図8に基づいて説明する。
【0015】
図1は、魚釣用スピニングリール1を開示している。魚釣用スピニングリール1は、金属又は樹脂製のリール本体2を備えている。リール本体2は、上向きに延びる脚部3を有し、この脚部3の上端部に竿取り付け部4が形成されている。竿取り付け部4は、図示しない釣竿のリールシートに固定される
リール本体2の前部にロータ5およびスプール6が同軸状に設けられている。ロータ5は、リール本体2に回転可能に支持されている。スプール6は、釣糸を巻き付ける小径部6aと、この小径部6aの後方に位置する大径部6bとを有している。スプール6は、リール本体2の前後方向に往復動可能にリール本体2に支持されている。
【0016】
リール本体2の内部にロータ5を回転させる巻き取り駆動機構と、スプール6を往復動させるオシレート機構とが収容されている。巻き取り駆動機構およびオシレート機構は、リール本体2の側方に位置するハンドル7に連動している。このため、釣人がハンドル7を手で回すと、オシレート機構を介してスプール6がリール本体2の前後方向に往復動するとともに、巻き取り駆動機構を介してロータ5が回転するようになっている。
【0017】
ロータ5は、例えばマグネシウム合金のような超軽量高強度の金属材料で造られている。図2ないし図4に示すように、ロータ5は、スプール6の大径部6bが同軸状に被さるロータ本体10と、一対のアーム部11a,11bとを有している。ロータ本体10は、リール本体2の後方に向けて開口する中空の円筒状をなしている。ロータ本体10は、スプール6の大径部6bとリール本体2との間に位置する後端部12を有している。後端部12は、ロータ本体10の外周面から径方向外側に向けてフランジ状に張り出すとともに、ロータ本体10の周方向に連続している。
【0018】
アーム部11a,11bは、ロータ本体10に一体に形成されている。アーム部11a,11bは、ロータ本体10の後端部12からリール本体2の前方に向けて突出している。アーム部11a,11bは、ロータ本体10を間に挟んで互いに向かい合っており、これらアーム部11a,11bの間にスプール6の大径部6bが位置している。各アーム部11a,11bの外側面に、側方に突出するボス部13が一体に形成されている。ボス部13は、ねじ孔13aを有している。
【0019】
図1に示すように、アーム部11a,11bの先端部は、スプール6の小径部6aと大径部6bとの境界部分に位置している。アーム部11a,11bの先端部の間に釣糸案内装置14が取り付けられている。釣糸案内装置14は、スプール6の小径部6aに釣糸を案内するためのものであり、一対のアームレバー15(一方のみを図示)、ラインローラ16およびベール17を備えている。
【0020】
アームレバー15は、アーム部11a,11bの先端に回動可能にねじ止めされている。ラインローラ16は、一方のアームレバー15に取り付けられている。ベール17は、ラインローラ16と他方のアームレバー15との間に跨っており、スプール6の小径部6aの外側に位置している。
【0021】
釣糸案内装置14は、釣糸を巻き取る第1の位置と、釣糸を投出する第2の位置との間で回動可能となっている。図1は、釣糸案内装置14が第1の位置に回動した状態を開示している。この第1の位置では、ベール17がスプール6の小径部6aを外側から覆うように小径部6aの下方に円弧状に張り出している。
【0022】
図4および図6に示すように、ロータ本体10の後端部12は、フラットな後面19を有している。後面19は、ロータ本体10の後方に露出するとともに、ロータ本体10の周方向に沿うリング状をなしている。
【0023】
さらに、ロータ本体10の後端部12の外周部分は、アーム部11a,11bよりも上方に位置する円弧状の領域20を有している。この領域20は、釣糸案内装置14が第1の位置に回動されている時に、ベール17に対しロータ5を間に挟んだ反対側に位置している。
【0024】
ロータ本体10の後端部12の領域20に、ロータ本体10の周方向に沿う係止凹部22が形成されている。係止凹部22は、ロータ本体10の後面19から一段凹む底面22aと、この底面22aの外周縁からロータ本体10の軸方向に延びる外周面22bとを有し、ロータ本体10の後方および上方に向けて開放するような形状をなしている。
【0025】
係止凹部22は、第1の端部23aと第2の端部23bとを備えている。第1の端部23aは、一方のアーム部11aの後端上部に連なるとともに、第2の端部23bは、他方のアーム部11bの後端上部に連なっている。
【0026】
図4に示すように、アーム部11a,11bは、夫々ロータ5の外側からカバー24,25によって覆われている。カバー24,25は、例えば合成樹脂製であり、その外表面が意匠的効果を高めるメッキ層で覆われている。
【0027】
カバー24,25は、例えばアルミニウム合金製のねじ26を介してアーム部11a,11bに固定されている。ねじ26は、アーム部11a,11bから突出するボス部13のねじ孔13aにねじ込まれている。このねじ込みにより、カバー24,25の外周縁がアーム部11a,11bの外周縁に突き当たっている。
【0028】
各カバー24,25は、その後端にアーム部11a,11bの後方に回り込む後面27を有している。カバー24,25の後面27は、カバー24,25をアーム部11a,11bに固定した時に、アーム部11a,11bの後端部を後方から覆うとともに、ロータ本体10の後面19と同一平面上に位置している。
【0029】
さらに、各カバー24,25の後面27の上端部に逃げ部28が形成されている。逃げ部28は、ロータ本体10の後端部12の外周部分から遠ざかるように切り欠かれているとともに、係止凹部22の第1および第2の端部23a,23bと向かい合っている。
【0030】
図2ないし図6に示すように、ロータ本体10の後端部12の領域20にプロテクター30が取り付けられている。プロテクター30は、例えば合成樹脂製であり、その外表面が意匠的効果を高めるメッキ層で覆われている。
【0031】
プロテクター30は、第1の挟持部31a、第2の挟持部31bおよび中間部32を有している。第1の挟持部31aは、ロータ本体10の後端部12の外周部分と一方のカバー24の逃げ部28との間に介在されている。第2の挟持部31bは、ロータ本体10の後端部12の外周部分と他方のカバー25の逃げ部28との間に介在されている。中間部32は、第1の挟持部31aと第2の挟持部31bとの間に跨るとともに、ロータ本体10の後端部12の外周部分に沿うように円弧状に湾曲している。中間部32は、ロータ本体10の係止凹部22に取り外し可能に嵌め込まれて、この係止凹部22の底面22aおよび外周面22bを連続して覆っている。
【0032】
図4および図6に最もよく示されるように、プロテクター30の第1および第2の挟持部31a,31bは、夫々第1の係合凸部33および第2の係合凸部34を有している。第1の係合凸部33は、第1および第2の挟持部31a,31bの外面からカバー24,25の後端の逃げ部28に向けて突出している。第2の係合凸部34は、第1および第2の挟持部31a,31bの内面からロータ本体10の後端部12の外周部分に向けて突出している。
【0033】
図5、図7および図8に示すように、カバー24,25の後端の逃げ部28に夫々係合凹部35が形成されている。係合凹部35は、第1の係合部の一例であり、カバー24,25の逃げ部28の縁に開口している。係合凹部35は、プロテクター30の第1の係合凸部33に対応するものであり、この係合凹部35に第1の係合凸部33が引っ掛かるようになっている。
【0034】
さらに、ロータ本体10の後端部12の外周部分に一対の係合孔36が形成されている。係合孔36は、第2の係合部の一例であり、係止凹部22を間に挟んでロータ本体10の周方向に振り分けられている。係合孔36は、プロテクター30の第2の係合凸部34に対応するものであり、この係合孔36に第2の係合凸部34が引っ掛かるようになっている。
【0035】
プロテクター30は、ロータ本体10の後方に露出する後面37を有している。後面37は、プロテクター30の第1の挟持部31a、第2の挟持部31bおよび中間部32に連続して形成されており、プロテクター30をロータ本体10の係止凹部22に嵌め込んだ時に、ロータ本体10の後面19と同一平面上に位置するようになっている。
【0036】
プロテクター30の第1の挟持部31aは、カバー24をアーム部11aに固定した時に、このカバー24の後端の逃げ部28とロータ本体10の後端部12の外周部分との間で挟み込まれる。同様に、プロテクター30の第2の挟持部31bは、カバー25をアーム部11bに固定した時に、このカバー25の後端の逃げ部28とロータ本体10の後端部12の外周部分との間で挟み込まれる。
【0037】
この結果、プロテクター30の第1の係合凸部33とカバー24,25の係合凹部35との係合が維持されるとともに、プロテクター30の第2の係合凸部34とロータ本体10の係合孔36との係合が維持される。
【0038】
したがって、ロータ本体10の後端部12、プロテクター30およびカバー24,25の相対的な位置が精度良く定まるとともに、プロテクター30がロータ本体10の係止凹部22に固定されるようになっている。
【0039】
さらに、プロテクター30をロータ本体10に固定した状態では、ロータ本体10の後端部12の後面19、カバー24,25の後面27およびプロテクター30の後面37が同一平面上に位置している。そのため、図8に示すように、三つの後面19,27,37は、段差を有することなく面一に連続している。
【0040】
プロテクター30は、カバー24,25をアーム部11a,11bに固定する以前にロータ本体10の後端部12に装着される。
【0041】
具体的に述べると、プロテクター30は、第2の係合凸部34をロータ本体10の係合孔36に位置合わせした状態でロータ本体10の係止凹部22に嵌め込む。これにより、第2の係合凸部34が係合孔36に引っ掛かり、ロータ本体10の後端部12に対するプロテクター30の位置が定まる。それとともに、ロータ本体10の軸方向および周方向へのプロテクター30の移動が制限され、このプロテクター30がロータ本体10の後端部12に仮止めされる。
【0042】
次に、一方のアーム部11aの外側面にカバー24を重ね合わせ、このカバー24をねじ26でアーム部11aに固定する。この固定により、カバー24の逃げ部28の縁がプロテクター30の第1の挟持部31aの縁に突き当たり、この第1の挟持部31aをロータ本体10の後端部12の外周部分との間で挟み込む。
【0043】
次に、他方のアーム部11bの外側面にカバー25を重ね合わせ、このカバー25をねじ26でアーム部11bに固定する。この固定により、カバー25の逃げ部28の縁がプロテクター30の第2の挟持部31bの縁に突き当たり、この第2の挟持部31bをロータ本体10の後端部12の外周部分との間で挟み込む。
【0044】
このことにより、プロテクター30が一対のカバー24,25を介してロータ本体10の後端部12の領域20を覆うように固定され、この領域20がプロテクター30によって保護される。
【0045】
このような構成の魚釣用スピニングリール1によれば、ロータ本体10の後端部12を保護するプロテクター30は、アーム部11a,11bを覆うカバー24,25とロータ本体10の後端部12の外周部分との間で挟み込むことで、ロータ本体10に固定される。このため、プロテクター30をロータ本体10に固定する専用のねじ類が一切不用となり、ロータ5の部品点数を削減できる。
【0046】
それとともに、プロテクター30をカバー24,25と一緒にロータ本体10に固定できるので、プロテクター30をロータ本体10に固定する独立した工程を排除でき、ロータ5の組み立て工数を削減することができる。したがって、プロテクター30をロータ本体10に固定したり、ロータ本体10から取り外す際の作業性を改善することができ、魚釣用スピニングリール1の製造コストを低減することができる。
【0047】
しかも、プロテクター30をロータ本体10に固定した時に、プロテクター30の上にねじの頭が露出することはない。そのため、プロテクター30とロータ本体10との一体感が高まるとともに、プロテクター30をロータ本体10に固定したり、ロータ本体10から取り外す時に、工具によるプロテクター30の傷付きを防止できる。よって、ロータ5の外観を良好に維持することができる。
【0048】
さらに、上記構成によれば、ロータ本体10の後面19、カバー24,25の後面27およびプロテクター30の後面37が同一平面上に位置するので、ロータ本体10、カバー24,25およびプロテクター30の境界部分に段差が生じることはない。よって、この境界部分に埃やヌメリのような異物が付着し難くなり、魚釣用スピニングリール1の外観を良好に維持することができる。
【0049】
加えて、上記構成によると、プロテクター30の第1の係合凸部33がカバー24,25の係合凹部35に引っ掛かるので、プロテクター30とカバー24,25との相対的な位置が精度良く定まる。それとともに、プロテクター30の第2の係合凸部34がロータ本体10の後端部12の係合孔36に引っ掛かるので、プロテクター30とロータ本体10との相対的な位置が精度良く定まる。
【0050】
その上、プロテクター30の第1および第2の挟持部31a,31bは、ロータ本体10とカバー24,25との間で挟み込まれるだけではなくて、ロータ本体10およびカバー24,25に個々に引っ掛かるので、プロテクター30をロータ本体10の後端部12に確実に固定できる。
【0051】
よって、プロテクター30、ロータ本体10およびカバー24,25との一体感が向上し、魚釣用スピニングリール1の外観を良好に維持する上で好都合となる。
【0052】
本発明は、上記第1の実施の形態に特定されるものではない。図9〜図11は本発明の第2の実施の形態を開示している。
【0053】
この第2の実施の形態は、プロテクター30をロータ本体10とカバー24,25との間で挟み込む部分の構成が上記第1の実施の形態と相違しており、それ以外の魚釣用スピニングリール1の基本的な構成は、第1の実施の形態と同様である。そのため、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0054】
図9に示すように、プロテクター30の第1および第2の挟持部31a,31bは、ロータ本体10の係合孔36に引っ掛かる係合凸部34のみを有している。このため、第1および第2の挟持部31a,31bおよびカバー24,25は、互いに引っ掛かり合う構成要素を有しておらず、カバー24,25の逃げ部28の縁が単に第1および第2の挟持部31a,31bの縁に突き当たるに止まっている。
【0055】
このような構成においても、プロテクター30の第1および第2の挟持部31a,31bをロータ本体10の後端部12とカバー24,25との間で挟み込んで固定することができる。そのため、プロテクター30をロータ本体10に固定する専用のねじ類を省略することができ、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0056】
しかも、第1の実施の形態との比較において、第1および第2の挟持部31a,31bの形状を簡略化することができ、プロテクター30のコストを低減できる。
【0057】
なお、カバーおよびプロテクターは合成樹脂製に限らず、例えばアルミニウム合金あるいはマグネシウム合金のような金属製としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る魚釣用スピニングリールの側面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るロータの斜視図。
【図3】本発明の第1の実施の形態において、プロテクターを装着したロータの斜視図。
【図4】本発明の第1の実施の形態において、ロータ本体、プロテクターおよびカバーの相対的な位置関係を分解して示すロータの斜視図。
【図5】本発明の第1の実施の形態において、ロータ本体、プロテクターおよびカバーの相対的な位置関係を示すロータの背面図。
【図6】本発明の第1の実施の形態において、ロータ本体とプロテクターとを互いに分離した状態を示すロータの背面図。
【図7】図5のF7部を拡大して示す背面図。
【図8】図7のF8−F8線に沿う断面図。
【図9】本発明の第2の実施の形態において、ロータ本体、プロテクターおよびカバーの相対的な位置関係を示すロータの背面図。
【図10】図9のF10部を拡大して示す背面図。
【図11】図10のF11−F11線に沿う断面図。
【符号の説明】
【0059】
1…魚釣用スピニングリール、2…リール本体、5…ロータ、6…スプール、10…ロータ本体、11a,11b…アーム部、12…後端部、14…釣糸案内装置、24,25…カバー、30…プロテクター、31a,31b…第1および第2の挟持部、32…中間部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体に支持されたスプールと、
上記リール本体に回転可能に支持されるロータ本体と、上記ロータ本体を間に挟んで向かい合う一対のアーム部と、これらアーム部に取り外し可能に固定され、上記アーム部を外側から覆う一対のカバーとを有するロータと、
上記ロータのアーム部に設けられ、釣糸を上記スプールの外周面に巻回可能に案内する釣糸案内装置と、を具備し、
上記ロータ本体は、上記スプールの後方に位置する後端部を有し、この後端部の外周部分にプロテクターを装着した魚釣用スピニングリールであって、
上記プロテクターは、上記ロータ本体の後端部と上記カバーの後端部との間に介在される第1および第2の挟持部と、これら第1の挟持部と第2の挟持部との間に跨るとともに、上記ロータ本体の後端部の外周部分を覆う中間部と、を含み、
上記第1および第2の挟持部を上記ロータ本体の後端部と上記カバーの後端部との間で挟み込むことで、上記プロテクターを上記ロータ本体に固定することを特徴とする魚釣用スピニングリール。
【請求項2】
請求項1の記載において、上記プロテクターの第1および第2の挟持部と上記カバーの後端部は、夫々上記ロータ本体の後方に露出する後面を有し、上記ロータ本体の後端部の後面、上記カバーの後端部の後面および上記プロテクターの第1および第2の挟持部の後面は、互いに同一平面上に位置することを特徴とする魚釣用スピニングリール。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の記載において、上記プロテクターの第1および第2の挟持部は、上記カバーの後端部に向けて突出する第1の係合凸部を有し、上記カバーの後端部は、上記第1の係合凸部が係合する第1の係合部を有することを特徴とする魚釣用スピニングリール。
【請求項4】
請求項3の記載において、上記プロテクターの第1および第2の挟持部は、上記ロータ本体の後端部の外周部分に向けて突出する第2の係合凸部を有し、上記ロータ本体の後端部の外周部分は、上記プロテクターの第2の係合凸部が係合する第2の係合部を有することを特徴とする魚釣用スピニングリール。
【請求項5】
請求項1又は請求項2の記載において、上記プロテクターは、上記各カバーをねじを介して上記アーム部に締め付け固定することで、上記ロータ本体に保持されることを特徴とする魚釣用スピニングリール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−195436(P2007−195436A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16516(P2006−16516)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000002495)ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】