説明

魚釣用スピニングリール

【課題】ロータのアーム部を補強する補強部材における強度を維持し、ロータの可及的な軽量化が図れる魚釣用スピニングリールを提供する。
【解決手段】魚釣用スピニングリールのロータ3は、一対のアーム部3b間に橋設された補強部材10を有する。補強部材10は、平均繊維径が4μm〜7μm、平均繊維長さが1.5mm〜4.0mmの短繊維を30〜60質量%の範囲でマトリクス樹脂に含浸した繊維強化樹脂によって成形されており、補強部材10は、いずれかの領域における延在方向に垂直な断面において、表層側に、短長軸長比1:1〜1:1.155となる略円形状となる短繊維の比率が多い第1の層が形成され、かつ、その内層側に、前記第1の層の短繊維と比較してランダムに指向した短繊維を多く含む第2の層が形成された断面構造を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルの回転操作に連動回転するロータ部分に特徴を有する魚釣用スピニングリールに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、魚釣用スピニングリールは、釣糸案内部を備えたロータと、釣糸が巻回されるスプールとを備えており、ハンドルの回転操作により前記ロータを回転させると同時に、前記スプールを往復動させる構成となっている。前記ロータには、円筒状に構成された本体部の後部両側に一対のアーム部が対向形成されており、一方のアーム部に設けられた前記釣糸案内部を介して、前後動するスプールに釣糸が巻回されるようになっている。
【0003】
上記した構成の魚釣用スピニングリールのロータにおいて、アーム部における強度を維持しつつロータの可及的な軽量化を図ったものとして、特許文献1のようなロータが提案されている。この特許文献1に開示されているロータは、一対のアーム部の側部からロータの本体部の後部に向けて延出する補強部材を備えており、前記補強部材は、アーム部の基部側に移行するに連れてアーム部から離間した形状を特徴としている。
【0004】
このような魚釣用スピニングリールによれば、アーム部の側部とロータの本体部の後部との間を補強部材で接続しているため、釣糸の張力によってアーム部に大きな負荷が作用しても、その負荷は補強部材を介して分散することができ、アーム部の変形等が防止される。また、補強部材は、アーム部の基部側に移行するに連れてアーム部から離間してロータの本体部に接続されるため、アーム部の基部の厚肉化が防止され、ロータの可及的な軽量化を図ることが可能となる。
【0005】
ところで、上記したように構成されるロータは、繊維強化樹脂材料を用いることで、更に軽量化を図ることが可能である。魚釣用リールの構成部材として繊維強化樹脂材料を用いることは一般的に知られており、例えば、特許文献2には、マトリクス樹脂に1〜25mmの短繊維を混入した繊維強化樹脂製のリール本体が開示されており、特許文献3には、特許文献2と同様、マトリクス樹脂に3〜60mmの短繊維を混入した繊維強化樹脂製のリール本体が開示されている。これらの公知技術では、混入されている強化繊維(短繊維)の方向を指向させたり、ランダムに分散させることが記載されている。また、特許文献4には、リール本体を熱可塑性合成樹脂でインジェクション成形すると共に、所定位置(リール取付脚)の周面に熱硬化性樹脂含浸の繊維補強層を形成した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−4706号
【特許文献2】実開昭56−43381号
【特許文献3】特開昭57−141235号
【特許文献4】特開昭57−18362号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したような特許文献1に開示されたロータ(特に補強部材)に対して、特許文献2に開示されている繊維強化樹脂材料を適用することで、その部位を補強し、より軽量化を図ることが可能と考えられるが、単に、短繊維の方向を部材の長手方向に指向させただけでは、長手方向の曲げ負荷以外の方向の負荷に対する強度が十分ではない。例えば、せん断方向の負荷、長手方向への圧縮力、捩じり負荷が作用した際の強度面に問題がある。
また、特許文献3に開示されている技術においても、特許文献2に開示されている技術と同様な問題があると共に、強化繊維をランダムに分散させただけでは、比強度、比剛性の向上には限界がある。
さらに、特許文献4に開示されている技術では、熱可塑性樹脂の周面に熱硬化性繊維強化樹脂を巻回して補強を図るため、2回成型が必要となり、コスト高となり、かつ生産性が低く、また、成型時の熱収縮等により、各層の層間の強度も低くなってしまう。
【0008】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、ロータのアーム部を補強する補強部材における強度を維持し、ロータの可及的な軽量化が図れる魚釣用スピニングリールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、本発明は、リール本体に回転可能に設けられ、本体部と、本体部の両側に対向して形成される一対のアーム部と、各アーム部の先端に装着されてベールを支持する支持部材と、一方の支持部材に設けられ釣糸を案内する釣糸案内部とを備えたロータと、前記リール本体に前後動可能に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、を有し、前記ロータの回転によって前記釣糸案内部を介してスプールに釣糸が巻回される魚釣用スピニングリールにおいて、前記一対のアーム部の一方の側部と他方のアーム部の側部とを接続し、アーム部の基部側に移行するに連れてアーム部から離間すると共に、リール本体に向けて凸状となるように前記一対のアーム部間に橋設された補強部材を備え、前記補強部材は、平均繊維径が4μm〜7μm、平均繊維長さが1.5mm〜4.0mmの短繊維を30〜60質量%の範囲でマトリクス樹脂に含浸した繊維強化樹脂によって成形されており、前記補強部材は、いずれかの領域における延在方向に垂直な断面において、表層側に、短長軸長比1:1〜1:1.155となる略円形状となる短繊維の比率が多い第1の層が形成され、かつ、その内層側に、前記第1の層の短繊維と比較してランダムに指向した短繊維を多く含む第2の層が形成された断面構造を備えている、ことを特徴とする。
【0010】
上記した構成の魚釣用スピニングリールによれば、一方のアーム部の側部と他方のアーム部の側部との間に補強部材を橋設しているため、釣糸の張力によってアーム部に大きな負荷が作用しても、その補強部材で応力の分散が図れ、アーム部を効果的に補強して変形等することが防止される。また、補強部材は、アーム部の基部側に移行するに連れてアーム部から離間してリール本体に向けて凸状となるように橋設されているため、アーム部の基部の厚肉化が防止され、ロータの可及的な軽量化を図ることが可能になる。
【0011】
さらに、前記補強部材は、上記したような繊維強化樹脂材料によって成形されるため、ロータのさらなる軽量化が図れるとともに、補強部材は、いずれかの領域における延在方向に垂直な断面が、表層側に、短長軸長比1:1〜1:1.155となる略円形状となる短繊維の比率が多い第1の層が形成され、かつ、その内層側に、前記第1の層の短繊維と比較してランダムに指向した短繊維を多く含む第2の層が形成された状態となっているため、効率的に強度を高めることが可能となる。すなわち、外層側では、強化繊維である短繊維が略円形状となった状態(短繊維が長手方向に沿った状態となるように配列されている)となっていることから、曲げ方向について影響が大きい外層部が効果的に強化され、その内層側では、短繊維がランダムに指向した状態を多数含むため、曲げ方向以外の負荷に対する強度が得られるようになる。このため、単なる曲げ負荷方向の比強度、比剛性の向上のみならず、せん断方向の負荷や長手方向への圧縮力が生じた際の縦割れに対しても強化され、更に、捩じり負荷についても強化されるようになる。
【0012】
なお、上記した構成では、前記釣糸案内部から前記ロータの軸方向に沿って最も離れた前記補強部材の部位で該補強部材を切断した断面をAとした場合、その断面Aが、上記した2層構造となっていることが好ましい。
このように構成することで、補強部材を形成した際、最も強度が低い部分が効果的に補強されることとなり、効率的にロータを軽量化することが可能となる。
【0013】
また、一対のアーム部間に橋設される補強部材については、その一部がロータの本体部に一体的に接続された構造であっても良く、このように構成することで、補強効果を高めることが可能となる。
【0014】
なお、上記したロータの構成では、少なくとも補強部材が上記したような繊維強化樹脂材料によって成形されていれば良いが、本体部、及び本体部の両側に対向して形成される一対のアーム部と共に一体成形されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ロータのアーム部を補強する補強部材における強度を維持し、ロータの可及的な軽量化が図れる魚釣用スピニングリールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る魚釣用スピニングリールの第1の実施形態を示す全体構成図。
【図2】補強部材の断面形態を構造力学的に説明するためのロータの斜視図。
【図3】図2のロータをアーム部が対向する方向から見た側面図。
【図4】図2のロータを上側から見た平面図。
【図5】図2のロータを下側から見た下面図。
【図6】補強部材の長手方向に対して略垂直な方向から見た図2のロータの正面図。
【図7】図4,5,6のA−A線に沿う断面図。
【図8】図7に示す断面Aの構造を示す図。
【図9】図8の要部(符号Cで示す部分)拡大図。
【図10】(a)〜(h)を含み、それぞれ短繊維の向きと断面形状の関係を示す図。
【図11】本発明に係る魚釣用スピニングリールの第2の実施形態を示し、補強部材の断面形態を構造力学的に説明するためのロータの斜視図。
【図12】図11のロータをアーム部が対向する方向から見た側面図。
【図13】図11のロータを下側から見た下面図。
【図14】補強部材の長手方向に対して略垂直な方向から見た図11のロータの正面図。
【図15】図14のB−B線に沿う断面図。
【図16】図11に示す断面Aの構造を示す図。
【図17】図16の要部(符号Cで示す部分)拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明に係る魚釣用スピニングリールの実施形態について説明する。
【0018】
図1から図7は本発明の第1の実施形態を示している。
図1に示されるように、本実施形態の魚釣用スピニングリールのリール本体1には、回転操作されるハンドル2と、ハンドル2の回転操作によって回転駆動されるロータ3と、ロータ3の回転駆動と同期して前後動され且つ釣糸が巻回されるスプール5が設けられている。
【0019】
リール本体1内には、ハンドル2が装着されたハンドル軸2aが軸受を介して回転可能に支持されており、ハンドル軸2aには、ハンドル2の回転操作を、ロータ3に伝達すると共に、スプール5に伝達する動力伝達機構6が係合されている。
【0020】
動力伝達機構6は、ハンドル軸2aに一体回転可能に装着される駆動歯車(ドライブギヤ)7と、ハンドル軸2aに対して直交する方向に延出する回転軸筒8とを備えている。そして、回転軸筒8の基端側には、駆動歯車7と噛合するピニオン8aが形成されており、先端部には、ロータナット9を螺合することで、ロータ3が回転軸筒8に対して取り付けられている。
【0021】
また、回転軸筒8の内部には、前部に、釣糸が巻回されるスプール5を保持したスプール軸5aが挿通されている。このスプール軸5aには、公知のオシレーティング機構が連結されており、ハンドル軸2aがハンドル2の回転操作によって回転されたとき、スプール軸5aは軸方向に沿って前後往復駆動される。
【0022】
上記構成によれば、ハンドル2を回転操作することで、ロータ3は、駆動歯車7及びこれに噛合するピニオン8a(回転軸筒8)を介して回転駆動され、かつ、スプール5は、オシレーティング機構を介して前後に往復駆動される。この場合、ロータ3には、以下に詳述するように、釣糸案内部が設けられており、スプール5の釣糸巻回胴部5bには、ロータ3に設けられた釣糸案内部を介して釣糸が均等に巻回される。
【0023】
ロータ3は、略円筒状に形成された本体部3aを備えており、その両側には、略180°間隔おいて一対のアーム部3bが形成されている。各アーム部3bは、図2に示すように、本体部3aの後部(リール本体1側)から径方向外方に突き出した連結部3b´と共に本体部3aに一体形成されており、軸方向に延出している。これにより、本体部3aと各アーム部3bとの間には隙間が形成され、この部分に、図1に示すように、スプール5のスカート部5cが位置するようになっている。
【0024】
一対のアーム部3bの先端には、公知のように、ベール3eを支持する支持部材3cが支軸3c´を中心として釣糸巻き取り位置と釣糸放出位置との間で反転可能に支持されており、一方の支持部材3cの先端部には、スプール5に巻回される釣糸を案内する釣糸案内部(ラインローラ)3dが設けられている。また、両支持部材3cの間には、ベール3eが設けられており、支持部材3cが釣糸放出位置から釣糸巻き取り位置へ反転した際、釣糸をピックアップして釣糸案内部3dへ案内する。
【0025】
前記一対のアーム部3bの内、一方の内部には、支持部材3cを釣糸巻き取り位置と釣糸放出位置との間で反転させて振り分け保持する反転保持機構(図示せず)が配設されている。また、一方のアーム部の側部と他方のアーム部の側部との間には、以下に詳述する
補強部材10が橋設されている。
【0026】
以下、本実施形態の補強部材10の構成について詳細に説明する。
補強部材10は、図2から図6に示すように、一対のアーム部3bの側部からロータ3の本体部3aの後部(リール本体1側)に向けて延出されており、本体部3aに接続されていない。この場合、補強部材10は、図3に示すように、一対のアーム部3bそれぞれの両側部に設けておくことが好ましく、両側部に設けられた補強部材10は、好ましくは略同一の形状とされ、アーム部3bの側部の前部(支持部材3cが設けられる部分)から基部(連結部3b´側の部分)に向かって延出し、基部側に移行するに連れて、次第に離間する形状となっている。すなわち、両アーム部3bが対向する方向の側面視において、略ハの字型となる形状に形成されており、これによりアーム部3bの基部の両サイドでは、補強部材10との間で隙間Sが存在するようになっている。なお、隙間Sは、側面視において次第に拡がるようになっている。
【0027】
また、本実施形態では、補強部材10は、図2から図5に示すように、一対のアーム部3b間で橋設された構造となっており、一対のアーム部3b間において切れることなく連続形成されてリール本体側に向けて凸状となっている。
【0028】
本実施形態では、補強部材10は、一対のアーム部3b間でリール本体1側に向けて湾曲した形状となっており、図6に示されるように、少なくとも最下端部分(長手方向中間部99の領域)については、スプール5が往復動して最もリール本体側に移動した際、スプールのスカート部5cの後縁部(Rで示すライン)よりもリール本体側に位置するようにしている。より具体的には、ラインRで示すように、スプール5が最もリール本体側に移動したとき、スカート5cの後端の両側の一部が重なる程度になっており、スプール5が往復動しても、その前後動の状況は、補強部材10によって遮られることはなく、容易に視認できるようになっている。
【0029】
また、本実施形態には、補強部材10によって剛性を高めつつ補強部材10を効率良く軽量化できる特別な設計思想が盛り込まれている。具体的には、図3に示されるように、釣糸案内部3dの中心点M(本実施形態のように釣糸案内部3dがローラ形態の場合には、ローラの幅方向の中心で且つローラ円の中心(軸心))からロータ3の軸方向に沿って最も離れた(釣糸案内部3dの中心Mからロータ3の軸方向に沿う距離Lが最も大きい)補強部材10の部位(したがって、補強部材10の円弧の凸状の頂点部、すなわち、長手方向中間部99の領域における最下端部分・・・本実施形態のように補強部材10がロータの本体部3aに接続されていない構成では、この部位で応力がほぼ最大となる)で補強部材10を延在方向に垂直に切断した断面(楕円形状)をA、この断面Aの図心をG、断面Aを含む平面をP、釣糸案内部3dの中心点Mから平面Pへ下ろした垂線の足をKとすると、この点Kと図心Gとを通る直線軸mに関する断面Aの断面2次モーメントI(m)と、図心Gを通り且つ直線軸mに対して垂直な平面P内の直線軸nに関する断面Aの断面2次モーメントI(n)との間にI(m)<I(n)の関係が成り立つように補強部材10が形成されている。そして、本実施形態では、断面Aの形状は、強軸方向(構造力学上、断面2次モーメントが最大となる軸)がn軸方向と一致するように設計されている。このように、直線軸nは、断面Aの強軸と略一致(±30°)することが好ましく、完全に一致させるのが特に好ましい。また、本構成においては、図7に示すように、点Kがロータ3の両側の補強部材10,10で一致するようになっている。
【0030】
以上のようなロータ構造を有する魚釣用スピニングリールによれば、アーム部3bの側部とロータ3の本体部3aの後部との間を補強部材10で接続したことで、釣糸の張力によってアーム部3bに大きな負荷が作用しても、補強部材10を通じて応力を分散させることが可能となりアーム部の変形等を防止することが可能となる。また、図3から図5に示されるように、アーム部3bの基部を厚肉化することなく、補強部材10を梁構造のようにして、適度に隙間Sのような空隙部を設けておくことができるため、アーム部の強度維持を図りながら、可及的な軽量化を図ることが可能となる(したがって、魚釣り操作性に優れる)。
【0031】
特に、本実施形態では、補強部材10は、リール本体1側に向けて凸状(湾曲状)になるようにアーム部3b間に橋設されているため、アーム部に対して径方向に負荷が加わった際、応力を効果的に分散して応力集中を回避できるようになり、アーム部をより効果的に補強することができる。また、補強部材10を、アーム部3bの両側部に設けているため、アーム部3bの補強をより効果的に向上することが可能になると共に、ロータ3の回転バランスの向上が図れる。また、ロータ3の前方側に重量が偏ることがないため、効率良く重量バランスを図ることもできる。また、スプール5の外周側に補強部材10が配置されていないため、釣糸が補強部材10に絡むことはなく、また、補強部材10が邪魔になってラインホルダへの釣糸係止が行ない難くなることもない。
【0032】
更に、両補強部材10を、アーム部3bの両側部に対しアーム部の基部側に移行するに連れて互いに離間させて、側面視で略ハの字状に形成したことで、アーム部がいわゆる先細形状となり、糸フケや放出時の糸縒れ等によってアーム部へ釣糸の絡み付きが発生しても容易に前方に抜け易くなり、トラブルを解消することが可能となる。また、湾曲状の補強部材10を、スプール5のスカートの下縁よりもさらに下方側に突出させたことにより、ロータ部分の形状が変化し、外観の向上を図ることが可能となる。
【0033】
また、本実施形態では、上記したI(m)<I(n)の関係を成り立たせることにより、剛性をもたせる方向を負荷方向と略一致させるような形態を実現できるため、補強部材10を応力集中し難い形態にできるとともに、補強部材10の断面積を効率良く小さくする(効率良く軽量化する)ことが可能となり、ロータ3の可及的な軽量化を図ることが可能となる。特に、直線軸nを断面Aの強軸に略一致(±30°)させれば、断面Aの最大剛性方向を負荷方向と略一致させることができ、ロータ3の更なる可及的軽量化を図ることが可能となる。
【0034】
そして、上記のように構成される補強部材10は、軽量化が図れるように、平均繊維径が4μm〜7μm、平均繊維長さが1.5mm〜4.0mmの短繊維を30〜60質量%の範囲でマトリクス樹脂に含浸した繊維強化樹脂によって成形されている。この場合、上記のように特定される断面Aでは、後述するように、表層側に、短長軸長比1:1〜1:1.155となる略円形状となる短繊維の比率が多い第1の層が形成され、かつ、その内層側に、第1の層80の短繊維と比較してランダムに指向した短繊維を多く含む第2の層が形成された構造となっている。
【0035】
ここで、補強部材を構成する繊維強化樹脂材料について、具体的に説明する。
前記マトリクス樹脂は、熱可塑性樹脂であるポリアミド樹脂を主成分としたもので構成することが可能であり、それ以外の熱可塑性樹脂、例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリアセタール;ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を含有していても良い。更には、これらの材料に加えて、流動改質剤、帯電防止剤、離型剤、酸化防止剤などの添加剤を含有していても良い。
【0036】
また、前記マトリクス樹脂に多数本混入される強化繊維は、例えば、PAN系またはピッチ系の炭素繊維、具体的には、断面が円形状(真円以外にも形成時の誤差等によって、多少非円形のものが含まれていても良く、後述するように、短長軸比が1:1.00〜1.02程度のものであっても良い)で、延在方向に対して垂直な断面Aの領域で単位体積を考慮した場合、平均繊維径が4μm〜7μm、平均繊維長さが1.5mm〜4.0mmの範囲となる短繊維が用いられている(これらの短繊維は、上記のようにマトリクス樹脂に対して30〜60質量%の範囲で含有されている)。なお、混入される強化繊維については、弾性率が230〜500GPaのものを用いることが好ましい。
【0037】
ここで、強化繊維の大きさを上記した範囲に設定したのは、強化繊維の平均繊維径が4μm、平均繊維長さが1.5mmよりも小さくなると、繊維強化樹脂として所定の弾性率を得るためには、多量の繊維を混入する必要があって成形性(流動性)が悪くなる傾向があり、また、平均繊維径が7μm、平均繊維長さが4.0mmよりも大きくなると、繊維が大きすぎるため、成形性(流動性)が悪くなる傾向があるためである。すなわち、平均繊維径が4μm〜7μm、平均繊維長さが1.5mm〜4.0mmの範囲の短繊維を用いることで、ロータ成型用の金型に対して射出成形する際、繊維強化樹脂の流動性の低下が抑制され、これにより強化繊維が満遍なく行き渡って良好な形態を成形することが可能になるとともに、補強部材10の比強度、比剛性を効果的に高めることが可能となる。
【0038】
また、強化繊維の含有量をマトリクス樹脂に対して30質量%以上にすることで、充分な曲げ剛性を得ることが可能となり、60質量%以下にすることで、一般的な溶融混練装置によって安定して押し出し成形(射出成形)することが可能となる。
【0039】
具体的に、図8及び図9を参照して、補強部材10において、上記したように特定される断面A部分の構造について説明する。
補強部材10は、上記した繊維強化樹脂によって一体成形される。この場合、補強部材10は、断面Aにおいて、表層側に、短長軸長比1:1〜1:1.155となる略円形状となる短繊維81の比率が多い第1の層80が形成され、かつ、その内層側に、第1の層80の短繊維81と比較してランダムに指向した短繊維86を多く含む第2の層85が形成されるように成形されている(具体的な製造方法については後述する)。
【0040】
本実施形態では、図8に示すように、第1の層80が、補強部材10の表面から所定の深さ囲繞した状態にあり、その内側にコアとなって第2の層85が形成されている。この場合、第1の層80の厚さについては、曲げ剛性を効果的に高める機能が発現されれば良く、一対のアーム部3bを効果的に補強するためには、0.5〜3.5mmあれば良い。
【0041】
前記第1の層80は、表層側に位置する層であり、図9に示すように、強化繊維である短繊維81が略円形となった状態、すなわち、多数混入される短繊維が、概ね長手方向に沿った状態(全体として長手方向に沿った状態)となるように配列されていれば良く、具体的には、ある程度の曲げ剛性が確保されるように、多数配列されている短繊維は、短長軸長比1:1〜1:1.155となる略円形状となる短繊維の比率がその層内において多い状態となっていれば良い。
【0042】
なお、短長軸長比が、1:1.155以上になってしまうと、短繊維は、長手方向に対して30°以上傾いた状態となってしまうため、曲げ剛性を向上する上では、十分な配列状態でなくなってしまう。
【0043】
この状態を、具体的に図10を参照して説明する。
上記したように、混入される個々の短繊維は、断面が円形状で、平均の繊維径が4μm〜7μm、平均の繊維長さが1.5mm〜4.0mmの範囲となる略円柱形状となっている。このような短繊維は、図10(a)に示すように、補強部材10の延出方向(長手軸X)に対して垂直な方向で断面視した際、断面は真円(短長軸比が1:1.00〜1.02程度のものであっても良い)となっているが、長手軸Xに対して多少傾いた状態(傾き角度をθとする)になると、断面は楕円形状となる。
【0044】
この傾き角θは大きくなればなるほど、楕円の長軸が長くなり、短繊維の直径をLdとすると、その長軸L1は、L1=Ld/cosθで定義される。仮にLdを1とした場合、θが0°ではL1=1(図10(b)参照)、θが15°ではL1=1.035(図10(c)参照)、θが30°ではL1=1.155(図10(d)参照)、θが45°ではL1=1.414(図10(e)参照)、θが60°ではL1=2(図10(f)参照)、θが75°ではL1=3.862(図10(g)参照)、そして、θが90°になると、横向きの状態が視認されるようになる(図10(h)参照)。
【0045】
この短繊維の方向については、長手方向に延在すること、すなわち、個々の繊維のすべてが図10(b)に示す状態に配列されることで、曲げ方向に対する強度が最も向上することとなるが、現実的には、短長軸長比1:1〜1:1.155(長手軸Xに対する傾きが30°以下)となる略円形状の短繊維の比率が、その層内において多い状態となっていることで、効果的に曲げ強度の向上が図れるようになる。
【0046】
また、前記第2の層85については、図9に示すように、第1の層80の短繊維の配列状態と比較して、ランダムに指向した短繊維86を多く含む状態となっていれば良い。
【0047】
上記した補強部材10により、曲げ方向について影響が大きい(断面2次モーメントへの影響が大きい)外層部(第1の層80)が効果的に強化され、その内層側(第2の層85)には、短繊維がランダムに指向した状態を多数含むため、曲げ方向以外の負荷に対する強度が得られるようになる。すなわち、補強部材10の軽量化を図りながら、単なる曲げ負荷方向の比強度、比剛性の向上のみならず、せん断方向の負荷や長手方向への圧縮力が生じた際の縦割れに対しても強化され、更に、捩じり負荷についても強化を図ることが可能となる。この結果、ロータ3のアーム部3bに作用する大きな負荷を分散させる機能を果たす補強部材10の強度がより高められたことで、より効果的にロータ部分の可及的な軽量化を図ることが可能となる。特に、上記したように特定される断面Aを、上記第1の層80、第2の層85で構成される断面構造とすることで、効率的に強度を向上することが可能となる。
【0048】
なお、前記第1の層80は、上記した短長軸長比1:1〜1:1.155となる略円形状となる短繊維81の比率が、その層の断面に現れる繊維数の50%以上を占めるようにすることで、より比強度、比剛性に優れた構成部材とすることが可能である。
【0049】
また、前記第1の層80と第2の層85との間(境界R1)は、長手方向に対して直角方向、かつ、最も近い外表面P1に対して、平行な方向に指向する短繊維(図9において、そのような繊維を符号86aで示す)が多数存在するように形成しておくことが好ましい。
【0050】
このように、第1の層80と第2の層85との境界R1に、そのような方向性のある短繊維を多数存在させておくことで、補強部材10の縦割れを効果的に抑制することができ、かつ、捩じり剛性の向上が図れ、より捩じり負荷に強い構造とすることが可能である。
【0051】
上記したような補強部材10は、金型を用いて上述した繊維強化樹脂を射出することで成形することが可能であるが、ロータ3の本体部3a及び一対のアーム部3bとともに、一体成形することも可能である。
【0052】
具体的には、本体部3a、一対のアーム部3b、及び補強部材10を有するロータ3の外形状に対応する空洞が形成された金型に対し、注入ゲートを介して、上述したような、断面が円形状で平均繊維径が4μm〜7μm、平均繊維長さが1.5mm〜4.0mmの短繊維を30〜60質量%の範囲でマトリクス樹脂に含浸した繊維強化樹脂材を、所定の射出圧力で空洞部内に注入する。この場合、補強部材の領域を、上記したような2層構造とするためには、金型の注入ゲートを、補強部材に沿って繊維強化樹脂材が流れるような位置に形成しておけば良い(特に、断面Aの領域の近傍に、そのような注入ゲートを形成しておけば良い)。
【0053】
そして、金型の温度よりも、高い温度の繊維強化樹脂材料を注入すると、金型との温度差によって、注入される繊維強化樹脂材料が、金型と接触する表層側から冷却されて硬化することが可能となる。この場合、両者の温度差は、100〜250℃であれば良く、これにより、ゲートを介して空洞部内に注入された繊維強化樹脂材料は、補強部材の形状となる長手方向に沿って、所定の射出圧で移動すると共に、そこに混入されている多数の短繊維は、マトリクス樹脂の流れる方向(補強部材の形状となる長手方向)に沿って配列されるようになる。
【0054】
その後、金型の空洞部の長手方向に沿って流れた繊維強化樹脂材料は、両者の温度差によって、金型内面と接触する表面側から所定の厚さ分硬化するようになる。すなわち、表面側から硬化することで、表層側には、図8及び図9に示したような、短長軸長比1:1〜1:1.155となる略円形状となる短繊維の比率が多い第1の層80が形成されるようになる。
【0055】
そして、所定の射出圧で繊維強化樹脂材料を注入した後、未だ硬化していない繊維強化樹脂(内層側は硬化する前となっている)に対して、短繊維がランダムに分散するような圧力(分散圧力)を付与する。この分散圧力を付与することで、硬化前のマトリクス樹脂に含まれている多数の短繊維は遊動するようになり、結果として、内層側には、図9及び図10に示したような、第1の層80の短繊維と比較してランダムに指向した短繊維を多く含む第2の層85が形成されるようになる。
【0056】
その後、繊維強化樹脂材料の温度が徐々に金型の温度に近付くと(冷却しても良い)、繊維強化樹脂材料は全体が硬化し、前記第1の層80及び第2の層85が形成されるようになる(図9参照)。
【0057】
上記した製造工程において、第1の層80、及び第2の層85の層厚や、内部に分散する短繊維の方向については、金型と繊維強化樹脂材料の温度差、射出圧力や分散圧力の大きさ、分散圧力を付与するタイミング及び時間、繊維強化樹脂材料の注入方向などによって適宜、調整することが可能である。
【0058】
また、第1の層80と第2の層85との間の境界R1は、硬化した第1の層80に対して分散圧力を付与し、これが硬化したことで生じる部分である。この境界R1に、長手方向に対して直角方向、かつ、最も近い外表面P1に平行な方向に指向する短繊維86aを多数存在させるには、部品形状により条件は異なるため、例えば、分散圧力の大きさと付与するタイミング及び時間の各水準を変化させた試作を行なうことで最適な条件を見つけることが可能となる。
【0059】
次に、図11から図17を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。
本実施形態では、補強部材10の長手方向中間部が、接続部10aを介してロータ3の本体部3aの後部に一体形成で接続されている。また、本実施形態では、ロータ3の本体部3aに、開口90を形成している。開口90は、矩形状で、アーム部3bが形成される位置に対して略90°の対向する位置に形成されている。このように、開口90は、アーム部3bの強度を低下させないように、アーム部形成位置と異なる位置に形成されている。そして、開口90の下端位置で、補強部材10の中間部が接続部10aを介して本体部3aに一体的に連結されている。
【0060】
また、本実施形態のように、補強部材10がロータ3の本体部3aに接続される構成では、両側の補強部材10によって剛性を高めつつ両側の補強部材10を効率良く軽量化できるようにするための設計形態が第1の実施形態と異なる。すなわち、具体的には、補強部材10とロータ3の本体部3aとの接続部10aを除く補強部材10の部位のうち接続部10aに対して釣糸案内部3d側に位置し且つ釣糸案内部3dの中心点M(本実施形態のように釣糸案内部3dがローラ形態の場合には、ローラの幅方向の中心で且つローラ円の中心(軸心))からロータ3の軸方向に沿って最も離れた(釣糸案内部3dの中心Mからロータ3の軸方向に沿う距離L(図12参照)が最も大きい)部位(したがって、接続部10aの釣糸案内部側端部70に隣接する部位・・・本実施形態のように補強部材10がロータの本体部3aに接続される構成では、釣糸から負荷を受ける釣糸案内部3dに近いこの部位で応力がほぼ最大となる)で補強部材10を延在方向に垂直に切断した断面のうち最も面積が小さい断面(楕円形状)をA、この断面Aの図心をG、断面Aを含む平面をP、釣糸案内部3dの中心点Mから平面Pへ下ろした垂線の足をKとすると、この点Kと図心Gとを通る直線軸(弱軸)mに関する断面Aの断面2次モーメントI(m)と、図心Gを通り且つ直線軸mに対して垂直な平面P内の直線軸(強軸)nに関する断面Aの断面2次モーメントI(n)との間にI(m)<I(n)の関係が成り立つように補強部材10が形成されている(この場合、直線軸nは、断面Aの強軸と略一致(±30°)することが好ましい)。そして、本実施形態では、断面Aの形状は、強軸方向がn軸方向と一致するように設計されている。
【0061】
したがって、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、本実施形態では、本来負荷の大きくなる補強部材10の長手方向中央部99において補強部材10とロータ3の本体部3aとが接続部10aを介して接続されるため、その部分の剛性が高くなるとともに、接続部10aを除く補強部材10の非接続側断面Aの形態をI(m)<I(n)の関係が成り立つようにすることで、剛性をもたせる方向を負荷方向と略一致させるような形態を実現できるため、第1の実施形態と同様あるいはそれ以上に、補強部材10を応力集中し難い形態にできるとともに、補強部材10の断面積を効率良く小さくする(効率良く軽量化する)ことが可能となり、ロータ3の可及的な軽量化を図ることが可能となる。また、本実施形態では、接続部10aの近傍に開口90が設けられているため、接続部10aの剛性が周辺に比べて高くなり過ぎることが防止され、補強部材10の接続部10a端近傍への応力集中が緩和され、ロータ3の可及的な軽量化を図ることが可能となる。
【0062】
そして、本実施形態においても、第1実施形態と同様、上記のように構成される補強部材10は、軽量化が図れるように、平均繊維径が4μm〜7μm、平均繊維長さが1.5mm〜4.0mmの短繊維を30〜60質量%の範囲でマトリクス樹脂に含浸した繊維強化樹脂によって成形されている。この場合、上記のように特定される断面Aにおいて、図16及び図17に示すように、表層側に、短長軸長比1:1〜1:1.155となる略円形状となる短繊維81の比率が多い第1の層80が形成され、かつ、その内層側に、第1の層80の短繊維と比較してランダムに指向した短繊維86を多く含む第2の層85が形成された状態となっている。
【0063】
なお、本実施形態の補強部材10は、接続部10aを介してロータの本体部3aに接続しているため、第1の実施形態と比較して、捩じり負荷に対する強度を高める必要が少なくなる。このため、第1の実施形態と比較して、第2の層85の層厚を薄くしたり、第2の層85内の短繊維の含有比率を少なくしても良い。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【0065】
上記した補強部材10については、その形状については、適宜変形することが可能である。例えば、リール本体側に向けて凸状に形成するに際しては、湾曲状ではなく、略V字状や略U字状にする等、直線状にしても良い。また、補強部材10の表面については、平坦面にするのではなく、中間部を厚肉部とし、この部分をロータ3の本体部3bの後部に接続しても良い。このように構成することで、接続部分の強度の向上を図ることが可能となる。さらに、補強部材10の肉厚についても適宜変形することができ、ロータ3の本体部に対する接続位置についても、スプール5の前後動に支障を与えなければ、適宜変形することが可能である。
【0066】
また、第1および第2の実施形態では、上記したように特定される断面Aを楕円として示しているが、断面Aの形状および方向性はこれに限らない。例えば、断面Aは、円形状や矩形状であっても良い。また、補強部材10は、図に示したように表面が平坦に形成されている以外にも、例えば、長手方向に沿うようにリブや溝を形成しても良い。このように、長手方向に沿うようにして、リブや溝を形成することで、繊維強化樹脂材料を金型に対して射出する際、短繊維を長手方向に指向させ易くすることが可能となる。
【0067】
なお、補強部材にリブを形成することで、断面2次モーメントを効果的に大きくして曲げ負荷方向の比強度、比剛性を高めることが可能となる。特に、凸状に湾曲する補強部材10の圧縮側となる上面側にリブを形成することで、その比強度、比剛性を高めることが可能となる。
【0068】
また、上述したような第1の層80と第2の層85は、少なくとも補強部材10のいずれかの領域における延在方向と垂直な面に形成されていれば良いが、補強部材10の全ての範囲において、第1の層80と第2の層85による断面構造となっていることが好ましい。さらには、ロータの本体部3aやアーム部3bにおいても、そのような2層構造となっていても良い。
【符号の説明】
【0069】
1 リール本体
3 ロータ
3a 本体部
3b アーム部
3c 支持部材
3d 釣糸案内部
5 スプール
10 補強部材
80 第1の層
85 第2の層
A 断面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体に回転可能に設けられ、本体部と、本体部の両側に対向して形成される一対のアーム部と、各アーム部の先端に装着されてベールを支持する支持部材と、一方の支持部材に設けられ釣糸を案内する釣糸案内部とを備えたロータと、
前記リール本体に前後動可能に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、
を有し、前記ロータの回転によって前記釣糸案内部を介してスプールに釣糸が巻回される魚釣用スピニングリールにおいて、
前記一対のアーム部の一方の側部と他方のアーム部の側部とを接続し、アーム部の基部側に移行するに連れてアーム部から離間すると共に、リール本体に向けて凸状となるように前記一対のアーム部間に橋設された補強部材を備え、
前記補強部材は、平均繊維径が4μm〜7μm、平均繊維長さが1.5mm〜4.0mmの短繊維を30〜60質量%の範囲でマトリクス樹脂に含浸した繊維強化樹脂によって成形されており、
前記補強部材は、いずれかの領域における延在方向に垂直な断面において、表層側に、短長軸長比1:1〜1:1.155となる略円形状となる短繊維の比率が多い第1の層が形成され、かつ、その内層側に、前記第1の層の短繊維と比較してランダムに指向した短繊維を多く含む第2の層が形成された断面構造を備えている、ことを特徴とする魚釣用スピニングリール。
【請求項2】
前記釣糸案内部から前記ロータの軸方向に沿って最も離れた前記補強部材の部位で該補強部材を切断した断面をAとした場合、その断面Aが、前記第1の層と第2の層が形成された状態となっていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項3】
前記補強部材は、その一部が前記ロータの本体部に接続されており、その接続部分を除いた前記補強部材のいずれかの領域における延在方向に垂直な断面が、前記第1の層と第2の層が形成された状態となっていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−196186(P2012−196186A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63511(P2011−63511)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】