説明

魚釣用リール

【課題】ばね部材のばね力を安定して他の部材に付与することができる魚釣用リールを提供することを課題とする。
【解決手段】釣糸が巻回されるスプール120と、スプール120から釣糸が繰り出される際に、釣糸の繰り出しを制御するドラグ機構130と、を備えた魚釣用リール1であって、ドラグ機構130は、調節ノブ131と、スプール120に制動力を付与する押圧部材132と、調節ノブ131と押圧部材132との間に介設され、調節ノブ131の調節により、スプール120に制動力が付与されるように、押圧部材132を押圧するばね部材133と、を備え、ばね部材133は、螺旋状に形成された線材133aからなり、線材133aの軸断面の図心を通るばね部材133の軸方向に対して略垂直な軸に関する断面二次モーメントが最小である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の魚釣用リールとしては、スプールから釣糸が繰り出される際に、釣糸の繰り出しを制御するドラグ機構を設けたものが知られている。このドラグ機構は、調節ノブと、スプールに制動力を付与する押圧部材と、調節ノブと押圧部材との間に介設され、調節ノブの調節により、スプールに制動力が付与されるように、押圧部材を押圧するばね部材と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−269099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のドラグ機構では、円形断面の線材を螺旋状に形成したばね部材(コイルばね)が用いられている。このようなばね部材では、圧縮時に隣り合う線材の円周面同士が接触する虞がある。そして、線材の円周面同士が接触すると、線材がばね部材の径方向にずれて、ばね部材が径方向に湾曲(座屈)する場合がある。従来のドラグ機構において、調節ノブを締め込んで、ばね部材を圧縮させたときに、ばね部材が径方向に湾曲すると、ばね部材から押圧部材に付与されるばね力が偏るという問題がある。
【0005】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、ばね部材のばね力を安定して他の部材に付与することができる魚釣用リールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、釣糸が巻回されるスプールと、前記スプールから釣糸が繰り出される際に、釣糸の繰り出しを制御するドラグ機構と、を備えた魚釣用リールであって、前記ドラグ機構は、調節ノブと、前記スプールに制動力を付与する押圧部材と、前記調節ノブと前記押圧部材との間に介設され、前記調節ノブの調節により、前記スプールに制動力が付与されるように、前記押圧部材を押圧するばね部材と、を備え、前記ばね部材は、螺旋状に形成された線材からなり、前記線材の軸断面の図心を通る前記ばね部材の軸方向に対して略垂直な軸に関する断面二次モーメントが最小であることを特徴としている。
【0007】
この構成では、線材の軸断面の図心を通るばね部材の軸心に平行な軸に関する断面二次モーメントが大きくなっている。すなわち、ばね部材は径方向への曲げ剛性が大きくなるため、ばね部材が径方向に湾曲し難くなる。
【0008】
前記した魚釣用リールにおいて、前記線材は板状の部材であり、隣り合う前記線材の軸断面は、前記ばね部材の軸方向に隣り合う辺が、平行かつ前記ばね部材の軸方向に垂直となるように構成してもよい。
この構成では、ばね部材が圧縮されたときには、隣り合う線材が密接するため、線材同士がばね部材の径方向にずれ難くなる。
【0009】
前記した魚釣用リールにおいて、前記線材を、前記ばね部材の軸方向に凹凸した波状に形成し、隣り合う前記線材の凹部同士または凸部同士を対向させてもよい。
この構成では、ばね部材が圧縮されたときに、隣り合う線材の凸部同士が接触して撓むことで、ばね部材のばね定数が大きくなる。また、隣り合う線材の凸部同士が接触した状態で、弾性を有するため、隣り合う線材の間隔を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の魚釣用リールでは、ばね部材は径方向への曲げ剛性が大きくなり、ばね部材が径方向に湾曲し難くなるため、ばね部材のばね力を他の部材に安定して付与することができる。そして、本発明のばね部材をドラグ機構に用いた場合には、スプールに付与される制動力を安定させることができる。したがって、所望の制動力をスプールに対して好適に付与することができる。
【0011】
また、隣り合う線材の軸断面において、ばね部材の軸方向に隣り合う辺を、平行かつ軸方向に垂直となるように構成した場合には、線材同士がばね部材の径方向にずれ難くなるため、ばね部材の安定性をより一層高めることができる。
【0012】
また、線材をばね部材の軸方向に凹凸した波状に形成した場合には、ばね部材のばね定数が大きくなるとともに、隣り合う線材の間隔を小さくすることができるため、ばね部材の小型化および軽量化を図れるとともに、ばね部材を魚釣用リールに組み込むときの作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第一実施形態の魚釣用リール(スピニングリール)を示した全体図である。
【図2】第一実施形態の魚釣用リールのドラグ機構を示した拡大断面図である。
【図3】第一実施形態のドラグ機構に用いられているばね部材を示した図で、(a)は側面図、(b)は側断面図、(c)は軸断面の拡大図である。
【図4】第一実施形態のばね部材の変形例を示した図で、波状ばね部材の側面図である。
【図5】第一実施形態のばね部材の変形例を示した図で、(a)は軸断面が台形の線材の断面図、(b)は軸断面が長円形の線材の断面図、(c)は軸断面が平行四角形の線材の断面図である。
【図6】第二実施形態の魚釣用リール(両軸リール)を示した平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の魚釣用リールの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態の魚釣用リール1は、図1に示すように、図示しない釣竿に装着される脚部101が形成されたリール本体100と、リール本体100の前方に回転可能に設けられたロータ110と、ロータ110の回転と同期して前後に移動するスプール120と、スプール120からの釣糸の繰り出しを制御するドラグ機構130と、を主として備えたスピニングリールである。
なお、以下の説明において、「前後」を言うときは、図1に示した方向を基準とする。
【0016】
リール本体100には、ハンドル軸140が回転可能に支持されており、ハンドル軸140の突端部にはハンドル141が取り付けられている。
ハンドル軸140には、ドライブギヤ150が取り付けられている。ドライブギヤ150は、ハンドル軸140と直交する方向に延出している駆動軸筒160のピニオンギヤ161に噛合している。
【0017】
駆動軸筒160は、リール本体100に回転可能に支持されており、その空洞部にはスプール軸170が軸方向に移動可能に挿通されている。また、駆動軸筒160の前端部にはロータ110が取り付けられている。
【0018】
魚釣用リール1では、ハンドル141を操作してハンドル軸140を回転させ、ドライブギヤ150およびピニオンギヤ161を介して、駆動軸筒160を回転させることで、ロータ110を巻き取り駆動させることができる。
【0019】
スプール軸170の後端部には、スプール軸170を前後動させるためのオシレーティング機構が設けられている。オシレーティング機構は、ドライブギヤ150の歯車151に噛合する連動歯車180に設けられた偏芯突部(図示せず)と、スプール軸170の後端部に取り付けられた摺動子181と、を含んで構成され、摺動子181に設けられた案内溝(図示せず)に偏芯突部が係合している。
【0020】
スプール120は、スカート部121と前側フランジ122との間に図示しない釣糸が巻回される釣糸巻回胴部123を備えている。スプール120の前端面には、六角形等の角穴である開口凹部124が形成されている。この開口凹部124内には、後記するドラグ機構130が収容されている。そして、スプール120は、ドラグ機構130を介してスプール軸170の前端側に取り付けられている。
【0021】
ドラグ機構130は、図2に示すように、スプール軸170に回転可能に支持されたスプール120に対して所望の制動力、すなわち、スプール120に巻回された釣糸が繰り出された際に、スプール120に対して所望の制動力(ドラグ力)を与えるものである。ドラグ機構130は、調節ノブ131と、押圧部材132と、ばね部材133と、制動部材134と、を備えている。
【0022】
調節ノブ131および押圧部材132は、スプール120の回転を制動する制動力の強弱の調節を行なうとともに、スプール120の抜け止めの役割を果たすものである。
【0023】
押圧部材132は、前側に開口した断面略ハット状を呈している。押圧部材132の底部132aには、挿通孔132bが貫通している。この挿通孔132bにはスプール軸170が挿通されており、押圧部材132はスプール軸170に対して、その軸方向に移動可能となっている。
この押圧部材132は、開口凹部124内の底面(前面)側に配置され、後記する制動部材134を底部132aで押圧するように構成されている。
【0024】
調節ノブ131は、前面に操作部(ドラグ摘み部)131aが突設されており、押圧部材132の前部に係止されている。調節ノブ131の後面の中心部には、スプール軸170の前端部に形成された雄ねじ部171が螺合する雌ねじ部131bが設けられている。
また、調節ノブ131の後面は、六角形等の角穴である開口凹部状に形成され、調節ノブ131に対して軸方向に移動可能かつ回り止め嵌合されるように、雌ねじ部131bの外周部は、調節ノブ131の後面に対応して六角形等に形成されている。
【0025】
ばね部材133は、図3(a)に示すように、板状の金属部材である線材133aを螺旋状に形成した弾性部材である。図3(b)に示すように、線材133aの軸断面133bは、ばね部材133の径方向に幅広な矩形断面となっている。
【0026】
第一実施形態のばね部材133では、図3(c)に示すように、線材133aの軸断面133bの図心Gを基準とする断面二次モーメントは、ばね部材133の軸方向X(図3(b)参照)に対して平行な方向の曲げ剛性が最小となるように、図心Gを通る軸方向Xに垂直な方向であるy軸に関する断面二次モーメントが最小となっている(y軸が所謂、弱軸)。そして、ばね部材133の軸方向Xに対して垂直方向の曲げ剛性が最大となるように、図心Gを通る軸方向Xに平行な方向であるx軸に関する断面二次モーメントが最大となっている(x軸が所謂、強軸)。
すなわち、第一実施形態のばね部材133では、径方向への曲げ剛性が大きくなっており、ばね部材133は径方向に湾曲(座屈)し難くなっている。
なお、x軸に対する断面二次モーメント(Ixx)とy軸に対する断面二次モーメント(Iyy)の比は、Ixx:Iyy=2以上:1にするのが好ましく、特に、Ixx:Iyy=8以上:1とすることで、(魚の引きとのやりとりの最中などの)スプール軸に垂直な方向への衝撃が加わった場合でも確実なドラグ性能を得ることができる。
【0027】
図3(a)に示すように、線材133aの両端部は、ばね部材133の軸方向に対して垂直な面内で旋回しており、ばね部材133の両端部は平坦に形成されている。線材133aの両端部の間は、軸方向に隣り合う線材133aが同じ角度で螺旋状に形成されており、ばね部材133の軸方向に対向する面が平行に配置されている。
なお、軸方向に隣り合う線材133aとは、一本の線材133aからなるばね部材133を側面視したときに、ばね部材133の軸方向に隣り合って配置される部位(区間)である。
【0028】
また、ばね部材133では、図3(b)に示すように、ばね部材133の軸方向に隣り合う線材133aの軸断面133bは、隣り合う辺133cが平行かつばね部材133の軸方向に垂直になっている。
【0029】
制動部材134は、図2に示すように、開口凹部124の底面(前面)上に配置された複数の板状の部材によって構成されている。この制動部材134は、押圧部材132によって押圧されると、開口凹部124の底面に圧接される。
【0030】
前記したドラグ機構130では、調節ノブ131の操作部131aを摘んで回動操作すると、雌ねじ部131bがスプール軸170の軸方向に沿って移動し、調節ノブ131の回動操作量(軸方向への移動量)に応じて、ばね部材133が圧縮または伸長する。
そして、ばね部材133のばね力が押圧部材132に作用し、押圧部材132が制動部材134を押圧することで、制動部材134が開口凹部124の底面に圧接され、スプール120の釣糸繰り出し方向の回転に対して制動力が付与される。
【0031】
以上のような第一実施形態の魚釣用リール1では、図3(c)に示すように、ばね部材133の線材133aの軸断面133bの図心Gを通る軸方向X(図3(b)参照)に平行な方向であるx軸に関する断面二次モーメントが大きくなっており、ばね部材133は径方向への曲げ剛性が大きくなっている。
【0032】
また、図3(b)に示すように、線材133aは板状の部材であり、隣り合う線材133aの軸断面133bはばね部材133の軸方向に隣り合う辺133cが、平行かつばね部材133の軸方向に垂直となるように構成されており、ばね部材133が圧縮されたときには、隣り合う線材133aが密接するため、線材133a同士がばね部材133の径方向にずれ難くなっている。
【0033】
したがって、第一実施形態の魚釣用リール1では、ばね部材133が径方向に湾曲し難くなっており、同時に、ばね部材133が軸方向に積極的に湾曲し易くなっており、ばね部材133のばね力を図2に示す押圧部材132に安定して付与することができ、スプール120に付与される制動力を安定させることができる。したがって、所望の制動力をスプール120に対して好適に付与することができる。
【0034】
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明は前記第一実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、図4に示すように、線材135aを軸方向に凹凸させ、この凹凸を旋回方向に連続させた波状に形成したばね部材135を用いてもよい。このばね部材135では、隣り合う線材135aの凹部同士または凸部135b同士が対向しており、対向する凸部135bの頂点同士が接触している。
【0035】
この構成では、ばね部材135が圧縮されたときに、隣り合う線材135aの凸部135b同士が撓むことで、ばね部材135のばね定数が大きくなっている。また、隣り合う線材の凸部135b同士が接触した状態で、弾性を有しているため、隣り合う線材135aの間隔を小さくすることができる。したがって、ばね部材135の小型化および軽量化を図れる。また、ばね定数を大きくするために、複数のスプリングワッシャーを用いる方法もあるが、その場合に対して、第一実施形態の構成では、前記した効果に加えて、ばね部材135を魚釣用リールに組み込むときの作業性を高めることができる。
【0036】
また、前記第一実施形態の魚釣用リール1では、図3(c)に示すように、ばね部材133の線材133aの軸断面133bが、径方向Yに幅広な矩形断面に形成されているが、線材133aの軸断面は、図心を基準とする断面二次モーメントが、ばね部材133の軸方向に対して略平行方向が最小となるように形成されていればよく、その形状は限定されるものではない。
例えば、図5(a)に示すように、線材136aの軸断面136bを、ばね部材の径方向に幅広な台形に形成してもよい。なお、図5(a)の線材136aでは、ばね部材の軸方向に台形の平行な二辺が配置されているが、ばね部材の径方向に台形の平行な二辺が形成されていてもよい。また、図5(b)に示すように、線材137aの軸断面137bを、ばね部材の径方向に幅広な長円形に形成してもよい。
また、図5(c)に示すように、線材138aの軸断面138bを、ばね部材の径方向に幅広な平行四角形に形成してもよい。このように、軸断面138bが平行四角形の場合は、軸断面138bの図心を通る断面二次モーメントが最小になる軸方向は、ばね部材の軸方向に垂直な方向に対して、5度程度の差異が生じるが、十分な効果を得ることができる。なお、ばね部材の軸方向に垂直な方向に対する差異が、±15度程度の範囲であるならば、十分な効果を得ることができ、略垂直の範囲として定義される。
さらには、線材の軸断面をばね部材の径方向に幅広な楕円形に形成してもよい。
【0037】
<第二実施形態>
本発明の第二実施形態の魚釣用リール2は、図6に示すように、図示しない釣竿に装着されるリール本体200と、リール本体200に回転可能に設けられたスプール220と、スプール220に釣り糸を均一に巻き付けるためのレベルワインド機構210と、スプール220からの釣糸の繰り出しを制御するドラグ機構230と、を主として備えた両軸リールである。
【0038】
リール本体200の左右フレーム200a,200bの間に、スプール軸270が回転可能に支持されており、スプール軸270には、釣糸が巻回されるスプール220が取り付けられている。
スプール220は、ハンドル241を回転操作することによって回転させることができるように構成されており、ハンドル241は、リール本体200の右側板201bから突出したハンドル軸240の先端部に取り付けられている。
【0039】
ハンドル軸240には、駆動歯車250が回転自在に設けられている。この駆動歯車250は、ハンドル241の回転運動をスプール軸270に伝達するものである。
また、リール本体200には、駆動歯車250に係合して、スプール220に所定の制動力(ドラグ力)を付与するドラグ機構230が収容されている。
【0040】
ドラグ機構230は、調節ノブ231と、駆動歯車250に対して調節ノブ231側でハンドル軸240に取り付けられた筒状の押圧部材232と、調節ノブ231と押圧部材232との間に介設されたばね部材233と、駆動歯車250の押圧部材232側に当接している板状の制動部材234と、を備えている。
【0041】
前記したドラグ機構230では、押圧部材232は、ハンドル軸240に軸方向に移動可能に取り付けられている。そして、調節ノブ231を回動操作すると、調節ノブ231の回動操作量(軸方向への移動量)に応じて、ばね部材233が圧縮または伸長する。
そして、ばね部材233のばね力が押圧部材232に作用し、押圧部材232が制動部材234を押圧することで、制動部材234が駆動歯車250の側面に圧接され、スプール220の釣糸繰り出し方向の回転に対して制動力が付与される。
【0042】
第二実施形態のドラグ機構230に用いられているばね部材233は、前記第一実施形態のドラグ機構130(図2参照)に用いられているばね部材133と同じ構成である。
つまり、ばね部材233の線材233aの軸断面の図心を通るばね部材の軸心に平行な方向の軸に関する断面二次モーメントが大きくなっており、ばね部材233は径方向への曲げ剛性が大きくなっている。
また、ばね部材233の線材233aは板状の部材であり、隣り合う線材233aの軸断面はばね部材133の軸方向に隣り合う辺が、平行かつばね部材233の軸方向に垂直となるように構成されており、線材233a同士がばね部材233の径方向にずれ難くなっている。
このように、第二実施形態の魚釣用リール2では、第一実施形態の魚釣用リール1(図1参照)と同様に、ばね部材233が径方向に湾曲し難くなっており、ばね部材233のばね力を押圧部材232に安定して付与することができるため、スプール220に付与される制動力を安定させることができる。したがって、所望の制動力をスプール220に対して好適に付与することができる。
【0043】
なお、第二実施形態の魚釣用リール2では、第一実施形態と同様に、ばね部材の線材を軸方向に凹凸させ、この凹凸を旋回方向に連続させて波状に形成したばね部材を用いてもよい(図4参照)。
さらに、ばね部材の線材の軸断面は、第一実施形態と同様に、図心を通るばね部材の軸方向に対して略垂直な方向の軸に関する断面二次モーメントが最小となるように形成されていればよく、その形状は限定されるものではない。
【0044】
<他の実施形態>
前記した第一実施形態および第二実施形態では、本発明の特徴的な構成であるばね部材をドラグ機構に用いているが、ばね部材を組み込まれる部位は限定されるものではなく、魚釣用リールの各種機構に用いることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 魚釣用リール(第一実施形態)
100 リール本体
110 ロータ
120 スプール
124 開口凹部
130 ドラグ機構
131 調節ノブ
132 押圧部材
133 ばね部材
133a 線材
133b 軸断面
134 制動部材
140 ハンドル軸
160 駆動軸筒
170 スプール軸
2 魚釣用リール(第二実施形態)
200 リール本体
210 レベルワインド機構
220 スプール
230 ドラグ機構
231 調節ノブ
232 押圧部材
233 ばね部材
233a 線材
234 制動部材
240 ハンドル軸
250 駆動歯車
270 スプール軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣糸が巻回されるスプールと、前記スプールから釣糸が繰り出される際に、釣糸の繰り出しを制御するドラグ機構と、を備えた魚釣用リールであって、
前記ドラグ機構は、調節ノブと、前記スプールに制動力を付与する押圧部材と、前記調節ノブと前記押圧部材との間に介設され、前記調節ノブの調節により、前記スプールに制動力が付与されるように、前記押圧部材を押圧するばね部材と、を備え、
前記ばね部材は、螺旋状に形成された線材からなり、
前記線材の軸断面の図心を通る前記ばね部材の軸方向に対して略垂直な軸に関する断面二次モーメントが最小であることを特徴とする魚釣用リール。
【請求項2】
前記線材は板状の部材であり、
隣り合う前記線材の軸断面は、前記ばね部材の軸方向に隣り合う辺が、平行かつ前記ばね部材の軸方向に垂直であることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項3】
前記線材は、前記ばね部材の軸方向に凹凸した波状に形成されており、
隣り合う前記線材の凹部同士または凸部同士が対向していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の魚釣用リール。
【請求項4】
魚釣用リールであって、
螺旋状に形成された線材からなるばね部材を有し、
前記線材の軸断面の図心を通る前記ばね部材の軸方向に対して略垂直な軸に関する断面二次モーメントが最小であることを特徴とする魚釣用リール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−205517(P2012−205517A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72287(P2011−72287)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】