説明

魚釣用電動リール

【課題】ICモジュールを収容した制御ケースにモータ出力操作部材を設けた場合に、ICモジュールへの負荷がかかり難い魚釣用電動リールを提供する。
【解決手段】本発明に係る魚釣用電動リール1は、釣糸が巻回されるスプール7の上方の左右側板間に、駆動モータ8の駆動を制御する制御ユニット30を有している。この制御ユニット30は、ICモジュール32を収容した制御ケース31と、この制御ケース31の少なくとも上面部を覆うカバー部材33と、駆動モータ8の出力を調整するモータ操作部材35と、を備えており、モータ操作部材35は、カバー部材33に支持され、制御ケース31は、カバー部材33に取り付けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用電動リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚釣用電動リールは、主に深場の釣りに適用させるべく、仕掛けの放出から巻き取りに至るまで、釣竿を船縁に装着された竿掛けに置いたままの状態で行えるように構成されたものが多いが、最近では、手持ち状態での操作が行い易いように工夫されたものが知られている。
【0003】
例えば、スプールを巻き取り駆動するモータ操作部材(以下、操作部材と称する)を、様々な位置に配置することが知られており、特許文献1には、制御ケースの上面から円板状の回転摘み(操作部材)の一部を露出させ、リール本体を把持した状態で上方から親指を押し付けながら回転操作することで、モータ出力を連続的に可変させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−92959号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、最近の魚釣用電動リールでは、ルアーフィッシングに用いられるタイプの魚釣用リール(ベイトキャスティングリール)と同様、手持ち状態で操作することが可能なタイプが望まれている。このような手持ち状態で操作をするためには、上記した特許文献1に開示されているように、リール本体を把持した状態でモータの出力調整が行えるように、操作部材を制御ケース部分に設ける必要がある。
【0006】
しかし、リール本体を把持する手の親指でモータ出力操作を行う場合、モータ操作だけではなくリール本体を把持する役目もあることから、急に大きな魚がかかった場合、操作部材に強い負荷が加わってしまい、これにより制御ケースが変形したり、また、衝撃も加わり易いことから、制御ケース内に収容されたIC基板等を有するICモジュールに損傷を与えるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、ICモジュールを収容した制御ケースにモータ出力操作部材を設けた魚釣用電動リールにおいて、ICモジュールに対する負荷がかかり難い魚釣用電動リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用電動リールは、リール本体の左右側板間に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、前記スプールを回転駆動する駆動モータと、前記スプール上方の左右側板間に配置され、前記駆動モータの駆動を制御する制御ユニットと、を有しており、前記制御ユニットは、ICモジュールを収容した制御ケースと、この制御ケースの少なくとも上面部を覆うカバー部材と、前記駆動モータの出力を調整するモータ操作部材と、を備えており、前記モータ操作部材は、前記カバー部材に支持され、前記制御ケースは、前記カバー部材に取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
上記した構成の魚釣用電動リールでは、スプール上方の左右側板間に配置される制御ユニットが、ICモジュールを収容した制御ケースの上面部をカバー部材で覆った構成となっており、カバー部材にモータ操作部材を支持した構成となっているため、実釣時において、リール本体と共に制御ユニットを把持している状態で、突然、大きな魚がかかる等、大きな負荷が制御ユニットやモータ操作部材に加わっても、その負荷(変形させようとする負荷)は、カバー部材で受け止めることが可能となる。すなわち、ICモジュールを収容した制御ケースには負荷を作用させないことから、デリケートな制御ケースを変形させるようなことはなく、また、制御ケースに対する衝撃を抑えることが可能となる。
【0010】
なお、上記した構成において、ICモジュールとは、駆動モータの制御を果たすと共に、各種の情報を表示する画像表示部(液晶パネル)や各種の情報を入力する操作部(操作ボタン)等を制御する部分が該当し、各種の制御プラグラムや画像表示データ等を記憶して、これらを制御処理する制御基板を含んで構成される。また、制御ケースには、前記液晶パネルや操作ボタンを収容していても良く、これらの構成要素の一部は、制御ケースから外部に露出した状態となっていても良い。このため、カバー部材には、そのような液晶パネルや操作ボタンを露出させる開口が形成されていても良い。
【0011】
また、上記した構成では、前記制御ケースは、前記カバー部材に対して予め固定されていても良いし、着脱可能に取り付けられていても良い。同様に、前記モータ操作部材は、前記カバー部材に対して一体的に支持された状態になっていても良いし、着脱可能に支持されていても良い。また、前記モータ操作部材については、前記カバー部材に対して直接、支持されていても良いし、カバー部材に固定される取付部材に対して支持されていても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ICモジュールを収容した制御ケースにモータ出力操作部材を設けた魚釣用電動リールにおいて、ICモジュールに対する負荷がかかり難い構成が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る魚釣用電動リールの平面図。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図。
【図3】図2のB−B線に沿った断面図。
【図4】図3のC−C線に沿った断面図。
【図5】(a)は、図1に示した制御ユニット部分を示す平面図、(b)は、制御ユニット部分を裏側から見た図。
【図6】制御ユニットの分解斜視図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る魚釣用電動リールを示し、制御ユニット部分の平面図。
【図8】図7に示す制御ユニットの分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る魚釣用電動リールの実施形態について説明する。
図1から図6は、本発明の第1の実施形態を示す図であり、図1は平面図、図2は図1のA−A線に沿った断面図、図3は図1のB−B線に沿った断面図、図4は図3のC−C線に沿った断面図、図5(a)は図1に示した制御ユニット部分を示す平面図、図5(b)は制御ユニット部分を裏側から見た図、そして、図6は制御ユニットの分解斜視図である。
【0015】
本実施形態に係る魚釣用電動リール1は、左右のフレーム3a,3bに左右カバー4a,4bを取着して構成される左右側板5A,5Bを具備したリール本体5を有している。前記リール本体5を構成する一方の側板(右側板5B)側には、巻取り操作される手動ハンドル6が設けられており、左右側板5A,5B間には、釣糸が巻回されるスプール7がスプール軸7aを中心に回転可能に支持されている。また、本実施形態では、スプール7の前方側における左右側板5A,5B間に駆動モータ8を保持しており、スプール7は、手動ハンドル6の巻取り操作および駆動モータ8の回転駆動によって、動力伝達機構10を介して釣糸巻取り方向に回転駆動される。なお、駆動モータ8は、スプールの内部に収容される構成であっても良い。
【0016】
前記動力伝達機構10については、駆動モータ8の回転駆動力を減速してスプール7側に伝達する機能、駆動モータ8が回転駆動しても手動ハンドル6を連れ回しさせない機能や手動ハンドル6の逆回転を防止する機能などを備えた公知のものによって構成することが可能である。また、そのような動力伝達機構10については、左側板5A側に配設されていても良いし、右側板5B側に配設されていても良く、或いは、左右側板それぞれに振り分けて配設されていても良い。なお、図において、符号12は、ハンドル6に結合されたハンドル軸、符号13は、ハンドル軸12に回転可能に支持されたドライブギヤ、符号14は、ドライブギヤ13に噛合するピニオンであり、これらは前述した動力伝達機構10を構成する。また、図中、符号15は、魚釣時にスプール7から釣糸が繰り出された際にスプール7の回転にドラグ力を付与する公知のドラグ機構であり、リール本体5とハンドル6との間には、ドラグ機構15によるドラグ力の調整を行なうための星型のドラグ調整ノブ(スタードラグ)16が設けられている。
【0017】
また、前記スプール7の前方の左右側板5A,5B間には、スプール7に対して均等に釣糸を巻回する機能を備えた公知のレベルワインド機構17が設置されている。さらに、リール本体を構成する前記左右側板5A,5B間のスプール7の上方には、前記駆動モータ8を制御する制御ユニット30が配設されている(制御ユニット30の構成については後述する)。この制御ユニット30は、その表面が左右側板5A,5Bの表面と面一状に構成されてリール本体に装着されている。
【0018】
また、前記リール本体5内には、スプール7を釣糸巻き取り状態/フリー回転状態に切り換える公知のクラッチ機構18が配置されている。このクラッチ機構18は、上記した動力伝達機構10に介在されて手動ハンドル6及び駆動モータ8からの動力伝達を継脱する機能を備えており、本実施形態では、右側板5B側に設置されている。
【0019】
前記クラッチ機構18は、スプール7をサミングしながら操作が可能となる位置、具体的には、スプール7の後方側の左右側板5A,5B間に橋設されたクラッチOFF切換部材19を備えており、その表面に親指を載置して下方に押し下げ操作することで、クラッチ機構18をON状態からOFF状態に切り換える(スプールを釣糸巻き取り状態からフリー回転状態に切り換える)よう構成されている。また、クラッチ機構18は、スプール7をサミングしている指(親指)が届く位置、具体的には、スプール7の後方側の右側板表面に揺動可能に支持されたクラッチON切換部材20を備えており、その表面に親指を載置して下方に押し下げ操作することで、クラッチ機構18をOFF状態からON状態に切り換える(スプールをフリー回転状態から釣糸巻き取り状態に切り換える)よう構成されている。
【0020】
前記リール本体5には、駆動モータ8に対して電力を供給するための給電部22が設けられている。この給電部22は、左側板5Aの前方側の下面領域に形成されており、この給電部22に対しては、着脱可能な携帯バッテリ(図示せず)を装着したり、或いは、足元に置いたバッテリや釣り船に設置されている電源部から電力供給される給電コードが装着される。
【0021】
前記左右側板5A,5B間のスプール7の上方の左右側板間には、前記スプール7の前方側から駆動モータ8の上方を覆うように、駆動モータ8を制御する制御ユニット30が配設されている。
この制御ユニット30は、ICモジュール32を収容した制御ケース31と、この制御ケースの少なくとも上面部(露出する表面であり、親指が載置される部分)を覆うカバー部材33と、駆動モータ8の出力を調整するモータ出力操作部材(以下、操作部材と称する)35とを備えている。
【0022】
前記制御ケース31は、箱型に構成されており、その内部には、ICモジュール32が収容されている。この場合、ICモジュール32は、各種の制御プラグラムや画像データ等を記憶したメモリ、制御処理を実行するCPU(Central Processing Unit)等を実装した制御基板32a、及び、駆動モータ等、各種駆動要素を駆動する駆動回路を実装した回路基板32b等を含んでいる。
また、制御ケース31には、前記制御処理によって各種の情報を表示する画像表示部(液晶パネル)32c、各種の情報を入力する操作部(操作ボタン)32d等が収容されている。この場合、これらの要素は、全てが制御ケース31の内部に収容されていても良いが、その一部、具体的には、図2に示すように、液晶パネル32cや操作ボタン32dは、制御ケース31の表面から外部に露出した状態となっていても良い。このため、制御ケース31の上面部を覆うカバー部材33には、図6に示すように、液晶パネル32cを露出させる開口33aや、操作ボタン32dを突出させる開口33bが形成されている(カバー部材33を透明にすることで、液晶パネル32a部分を覆うようにしても良い)。
なお、制御ケース31は、カバー部材33に取り付けられた状態で、前記制御ユニット30を構成しており、リール本体5の左右側板間に配設される。
【0023】
前記操作部材35は、円筒形状(円柱状でも良い)に形成されており、その長手軸が前記スプール軸と略平行(±30度以内の略平行でも良い)となるように、制御ケース31の後方側に回転可能に支持されている。具体的には、操作部材35は、前記制御ケース31を覆うカバー部材33に回転可能に支持されている。
【0024】
ここで、本実施形態のカバー部材33の構成、操作部材35の構成、及び、その支持態様について説明する。
前記カバー部材33は、図6に示すように、制御ケース31の表面31Aを覆う表面部33Aと、制御ケース31の前端面31Bを覆う前端部33Bと、制御ケース31の後端面31Cの中央領域を覆う後端部33Cと、この後端部33Cの両サイドで、前記表面部33Aから後方に延在する一対の支持部33Dとを備えており、これらは一体形成されている。この場合、カバー部材33に一対の支持部33Dを形成したことにより、制御ケース31をカバー部材33に取り付けると、図5(a)に示すように、制御ユニット30の後方側には、その中央領域に凹陥部(開放部)33Eが形成され、この凹陥部33Eを横切るようにして、前記操作部材35が回転可能に配置される(操作部材35の操作領域35aが露出する)。
【0025】
本実施形態では、前記制御ケース31は、カバー部材33に対して着脱できるように構成されている。このため、例えば、制御ケース31及びカバー部材33には、適所にネジ孔(図6では、制御ケース31のネジ孔31eのみが示されている)が形成されており、これらは、両者を組み付けた状態で一致するように設定され、ここに止め螺子37を螺入することで、両部材は、着脱可能に構成されている。
【0026】
また、前記操作部材35については、その両端側が直接カバー部材に対して支持されていても良いが、本実施形態では、その両端側が、それぞれカバー部材33に形成された一対の支持部33Dに、以下の取付部材を介して、着脱可能となるように回転可能に支持されている。
すなわち、前記操作部材35は、図3に示すように、中空円筒状に形成されており、前記カバー部材33の各支持部33Dにそれぞれ固定される取付部材38,39を介して回転可能に両軸支持されている。
【0027】
前記一方側の取付部材38は、基部38aと、円柱状の軸部(円筒状であっても良い)38bを備えた軸部材として構成されている。前記基部38a(取付部材38)には、固定螺子孔38cが形成されており、基部38aを支持部33Dに対して裏側から当て付けた状態で、止め螺子40を支持部33Dに形成されたネジ孔33gに螺入することで、取付部材38はカバー部材33に対して着脱可能に固定されている。
また、他方側の取付部材39は、略円柱形状の角度センサ45を保持した状態で、対向する支持部33Dに対して固定されている。すなわち、取付部材39には、図6に示すように、角度センサ45の下面側を受ける円弧状の受け面39aと固定螺子孔39cが形成されており、角度センサ45の上面側を支持部33Dに対して裏側から当て付けた状態で、止め螺子42支持部33Dに形成されたネジ孔33gに螺入することで、取付部材39はカバー部材33に対して着脱可能に固定されている。これにより、角度センサ45は、取付部材38の基部38aと同様、取付部材39の基部としての機能を有し、取付部材39の一部としての機能を備えている。
【0028】
前記角度センサ45の軸部45aは、操作部材35と共に回転駆動され、その操作角度を検知するようになっている。具体的には、前記操作部材35の内部には、区画壁35bが形成されており、左側の円形開口35c側から前記取付部材38の軸部38bが挿入され、操作部材35の断面円形状の内周面35eが軸部38bの軸心と同軸となるように配置されている。この場合、軸部38bの外周面38eと前記内周面35eとの間は、弾性部材50を介して一定の隙間が維持されている。一方、右側の円形開口35d側からは、角度センサ45の円柱基部(軸受部)45bがカラー47を介して圧入され、円柱基部45bの中心に突出する前記軸部45aが区画壁35bを貫いてナット48で固定されている。これにより、操作部材35は、軸部38bの回りに回転可能となっており、カバー部材33に対して回転可能に両軸支持された状態となっている。そして、操作部材35の回転操作量については、一体回転する軸部45aを介して前記角度センサ45によって検出され、駆動モータ8の出力は、操作部材35の操作位置に応じて調整することが可能となる。
【0029】
前記カバー部材33の両支持部33D,33Dについては、同一形状で、上記した取付部材38の基部38aの上面側と、角度センサ45の上面側を受けるように、それぞれ同一の円弧状の支持面33hを形成しておくことが好ましい。すなわち、角度センサ45の形状と取付部材38の基部38aの形状とを同じにすることで、角度センサ45を左側に配設することも可能となり、更には、円弧状の支持面33hで基部38a及び角度センサ45を受けるように構成することで、円弧面全体に負荷が分散し、カバー部材33を薄く形成することが可能となる。
【0030】
上記したように構成される操作部材35は、下側から回転操作(スプールをサミングしたまま親指を伸ばして押し上げるような回転操作)することが可能であり、かつ、上方からリール本体を押さえ付けた状態でも回転操作することが可能となっている。この場合、操作部材35の回転節度は、軸部38bの外周面と、操作部材35の内周面35eとの間に介在される弾性部材50の摩擦力によって特定されるが、以下のような構造によって、その回転節度は調整可能に構成されている。
【0031】
前記軸部38bの外周面38eには、複数の周方向溝38f,38g,38hが形成されている。これらの周方向溝は、軸方向に沿って隣接して形成されており、各周方向溝の外径は異なるように形成されている。具体的には、端部側の周方向溝38fの外径<中央の周方向溝38gの外径<基端側の周方向溝38hの外径となるように形成されており、端部側の周方向溝が深くなるように形成されている。また、周方向溝38f,38g,38hは、操作領域(本実施形態では、膨出して指が当接する領域38a)Wの範囲内に形成されていることが好ましく、これにより、操作部材38の操作性の安定化を図ることが可能となる。
【0032】
そして、これらの周方向溝の少なくとも1箇所には、操作部材35の内周面35eと接する弾性部材50が配設されている。この弾性部材50は、Oリングとして構成されており、弾性変形可能なように、加硫ゴムや熱可塑性エラストマー等によって形成され、前記外径が異なるいずれかの周方向溝に配設することで、操作部材35の内周面35eに対する圧接力が変わり、操作部材35を回転操作する際の節度を変更(調整)することが可能となっている。なお、これらの周方向溝の複数個所に弾性部材50を配設することで、より節度を高めることも可能となる。特に本実施形態では、操作部材35は、カバー部材33に対して着脱可能となっているため、節度を変更(調整)することが容易となる。
【0033】
上記したように構成される制御ユニット30は、リール本体5の左右側板間に、リール本体の表面と面一状に設置される。この場合、ICモジュール32を収容した制御ケース31の上面部(露出領域)がカバー部材33で覆われているため、制御ケースが保護されると共に、カバー部材33に操作部材35が支持されているため、操作部材35に大きな力がかかっても、直接、制御ケース31に負荷が作用することはない。すなわち、実釣時において、リール本体5と共に制御ユニット30を把持している状態で、突然、大きな魚がかかる等、大きな負荷が制御ユニット30や操作部材35に加わっても、その負荷(変形させようとする負荷)は、カバー部材33で受け止められることから、ICモジュール32を収容した制御ケース31に負荷が作用することはなく、デリケートな制御ケース31を変形させることが防止され、また、制御ケース31に対する衝撃を抑えることが可能となる。
【0034】
また、本実施形態では、制御ケース31は、カバー部材33に対して着脱可能に取り付けられているため、ICモジュールの構成要素が損傷したり動作不良があった場合でも、制御ケース31を交換するだけで済み、修理費用を安くすることが可能となる。勿論、カバー部材33が損傷した場合でも、カバー部材のみを交換することが可能であるため、修理費用を安くすることが可能となる。
【0035】
同様に、本実施形態では、操作部材35についても、カバー部材33に対して着脱可能となっているため、操作部材35が破損などした場合でも、操作部材のみを交換するだけで済み、修理費用を安くすることが可能となる。
【0036】
また、本実施形態では、操作部材35は、操作部材を回転可能に支持する取付部材38,39を介してカバー部材33に対して着脱可能に固定されているため、限られたスペースを有効に活用できると共に、操作部材35(固定部材38,39)をカバー部材33に対して、強固かつ精度よく固定することができる。しかも、固定部材38は、その軸部38bを操作部材35の内部に挿入し、操作部材35を回転可能に支持していることから、軸方向の省スペース化が図れると共に、部品点数を少なくして、操作部材を強固に支持することが可能となる。
【0037】
さらに、本実施形態では、操作部材35は、カバー部材33に対して回転可能に両軸支持され、一端側が角度センサ45を介在して支持されているため、軸方向の省スペース化が図れると共に、角度センサ45の一部を、取付部材39の一部として構成することで、左右パーツの共通化を図ることが可能となり、角度センサ45の配置を左右に自由に配設することが可能となる。
【0038】
なお、上述した構成において、取付部材38,39は、操作部材35の動作を滑らかにするため、変形することは好ましくなく、高い剛性を有する材料で形成されていることが好ましい。また、制御ケース31に固定されるカバー部材33は、他物が接触した際に、いわゆるクッションとしての役割を果たすことから、各部材の剛性(材料のヤング率)については、カバー部材33<制御ケース31<取付部材38,39となるように選択することが好ましい。このため、各部材を構成する材料については、例えば、カバー部材33をABS樹脂で形成し、制御ケース31をABS樹脂の耐衝撃グレードで形成し、取付部材38,39については、ガラス繊維複合PPS樹脂で形成することで、そのような関係にすることが可能となる。
【0039】
次に、本発明に係る魚釣用電動リールの別の実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態では、特徴的な部分について説明し、上記した実施形態と同様な構成部材については、同一の参照符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0040】
図7及び図8は、本発明の第2の実施形態を示しており、図7は、制御ユニット部分の平面図、図8は図7に示す制御ユニットの分解斜視図である。
本実施形態では、駆動モータの出力を調整する操作部材をスライド式に構成している。すなわち、操作部材65は、制御ユニット30の表面部のカバー部材33に形成された矩形の開口33mから突出して左右方向(スプール軸方向)に沿ってスライド可能に構成されている。
【0041】
前記操作部材65は、その操作量を検知する検知手段(ポテンショメータ等)を収容した検知ボックス65Aにスライド可能に保持されており、検知ボックス65Aは、止め螺子70によって、カバー部材33の裏面側から着脱可能に固定されている。すなわち、駆動モータの出力を調整する操作部材については、カバー部材33に対して固定されるものであれば良く、その操作方法についても、上記した実施形態における回転式以外にも、本実施形態のようにスライド式に構成する等、適宜変形することが可能である。また、その支持方法や配設位置についても特に限定されることはない。
このような構成においても上記した実施形態と同様な作用効果が得られる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
本発明は、魚釣用電動リールにおいて、その制御ユニットが、ICモジュールを収容する制御ケース、制御ケースの少なくとも上面を覆うカバー部材、カバー部材に支持される操作部材で構成されていれば良く、それ以外の構成については、上記した実施形態の構成に限定されることはない。また、カバー部材は、制御ケースの少なくとも上面を覆うものであれば良いが、全体を囲繞するような構成であっても良い。このように構成することで、制御ケースの防水性や耐衝撃性を高めることも可能となる。
【符号の説明】
【0043】
1 魚釣用電動リール
5 リール本体
5A,5B 左右側板
7 スプール
8 駆動モータ
30 制御ユニット
31 制御ケース
32 ICモジュール
33 カバー部材
35 操作部材
38,39 取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体の左右側板間に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、
前記スプールを回転駆動する駆動モータと、
前記スプール上方の左右側板間に配置され、前記駆動モータの駆動を制御する制御ユニットと、
を有する魚釣用電動リールであって、
前記制御ユニットは、ICモジュールを収容した制御ケースと、この制御ケースの少なくとも上面部を覆うカバー部材と、前記駆動モータの出力を調整するモータ操作部材と、を備えており、
前記モータ操作部材は、前記カバー部材に支持され、前記制御ケースは、前記カバー部材に取り付けられていることを特徴とする魚釣用電動リール。
【請求項2】
前記制御ケースは、前記カバー部材に対して着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用電動リール。
【請求項3】
前記モータ操作部材は、前記カバー部材に対して着脱可能に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣用電動リール。
【請求項4】
前記モータ操作部材は、前記カバー部材に固定される取付部材に支持されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の魚釣用電動リール。
【請求項5】
前記取付部材は、前記モータ操作部材の回転軸方向に延びる軸部を有し、
前記モータ操作部材は、略円筒形状に形成され、その筒状内部に前記軸部が挿入されていることを特徴とする請求項4に記載の魚釣用電動リール。
【請求項6】
前記モータ操作部材は、前記カバー部材に対して回転可能に両軸支持されると共に、その一端側は、回転操作量を検知可能な角度センサで支持されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の魚釣用電動リール。
【請求項7】
前記角度センサは、前記取付部材の一部を兼ねることを特徴とする請求項6に記載の魚釣用電動リール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−46580(P2013−46580A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186026(P2011−186026)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】