説明

鶏糞移送装置

【課題】 ベルトコンベヤ機構の搬送ベルトが幅方向にずれた場合には、搬送ベルトの走行を停止させて、位置ずれによる搬送ベルトの損傷やモータの破損を防止できる鶏糞移送装置を提供する。
【解決手段】 長手方向に沿って多数のケージ17を列設してなる養鶏用ケージ列18の下方に鶏糞用ベルトコンベヤ機構3が配置され、前記鶏糞用ベルトコンベヤ機構3の搬送ベルト31上に堆積する鶏糞を端部に移送する鶏糞移送装置1であって、前記搬送ベルト31の幅方向の位置ずれを検知する検知手段Sを前記搬送ベルト31に近接するように設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大量飼育の養鶏用鶏舎における鶏糞処理に用いて好適なベルトコンベヤ機構を使用した鶏糞移送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から鶏舎で複数の鶏を飼育する場合、複数のケージに仕切られた長いケージ列の下方にケージ列の長手方向に沿ってベルトコンベヤ機構を配置し、このベルトコンベヤ機構で鶏が放出した鶏糞を回収することが行われている。(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−184833号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ケージ列の下方にベルトコンベヤ機構を配置して鶏糞を回収する場合、ベルトコンベヤ機構の搬送ベルトが各ケージ列の下方を通過する際に、搬送ベルト上に堆積している移送中の鶏糞の上に次々に新しい鶏糞が放出されて、搬送ベルト上に堆積する鶏糞の重量が重くなり、堆積鶏糞の重量が搬送ベルトの側部に偏ると搬送ベルトの位置が幅方向にずれてしまうことがある。この状態で搬送ベルトが走行すると損傷したり、負荷が大きくなってベルトコンベヤ機構を駆動するモータが破損してしまう虞があるためベルトコンベヤ機構を使用した鶏糞移送装置の改善が望まれていた。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたもので、ベルトコンベヤ機構の搬送ベルトが幅方向にずれた場合には、搬送ベルトの走行を停止させて、位置ずれによる搬送ベルトの損傷やモータの破損を防止できる鶏糞移送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、長手方向に沿って多数のケージを列設してなる養鶏用ケージ列の下方に鶏糞用ベルトコンベヤ機構が配置され、前記鶏糞用ベルトコンベヤ機構の搬送ベルト上に堆積する鶏糞を端部に移送する鶏糞移送装置であって、前記搬送ベルトの幅方向の位置ずれを検知する検知手段を前記搬送ベルトに近接するように設けたことを特徴とする鶏糞移送装置である。
【0006】
また、請求項2記載の発明は、前記検知手段が位置ずれを検知したときに、前記ベルトコンベヤ機構の駆動を停止する駆動制御手段および/または位置ずれを報知する警報手段を備えた請求項1に記載の鶏糞移送装置である。
【0007】
また、請求項3記載の発明は、前記駆動制御手段は、前記検知手段が前記位置ずれを検知してから所定時間経過後に、前記検知手段が前記位置ずれを継続して検知している場合に前記ベルトコンベヤ機構の駆動を停止するように構成した請求項1または2に記載の鶏糞移送装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の鶏糞移送装置によれば、ベルトコンベヤ機構の搬送ベルトに位置ずれが生じた場合には、ベルトコンベヤ機構の駆動を停止させて、位置ずれによる搬送ベルトの損傷やモータの破損を防止させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は本発明に係る鶏糞移送装置の実施例1の概略説明図、図2は図1の要部拡大図、図3は図1、図2の検知スイッチの概略斜視図、図4は図1の検知装置の回路図である。
【0011】
図1〜4において、鶏糞移送装置1は、複数のケージユニット2A、2B、2Cと、各ケージユニット2A、2B、2Cに使用されている鶏糞用のベルトコンベヤ機構3の搬送ベルト31の幅方向の位置ずれを検知する検知装置4、およびモータ駆動制御装置5とを備えて構成されている。
【0012】
一つのケージユニット2Aは、左右の脚部フレーム11,11の各上部を中間フレーム12で接続して構成した複数の脚部枠13,13,・・の各左右の脚部フレーム11,11同士の上下の複数個所を長尺な横フレーム14で接続して構成した脚部ユニット15を下部に有している。脚部ユニット15の各脚部枠13,13内にはベルトコンベヤ機構3が取り付けられている。また、脚部ユニット15の上部の複数個所には、左右対称に斜めに柱部材16,16が立設されている。左右の柱部材16,16には、多数のケージ17を列設してなる複数の養鶏用ケージ列18,18,・・が高さをずらして上下多段(図1では5段)に設けられている。
【0013】
検知装置4は、ケージユニット2A、2B、2Cに対応するタイマ回路A、B、Cを有しており、各タイマ回路A、B、Cのそれぞれには、ケージユニット2A、2B、2Cのそれぞれのベルトコンベヤ機構3の長手方向の数カ所の位置に接触片PによりノブKが操作される複数の機械的な検知スイッチS1〜Snが設けられている。また、各タイマ回路A、B、Cは、それぞれ、タイマT1、T2、T3を有している。タイマT1〜T3は、検知スイッチS1〜SnのいずれかのノブKが操作された場合に、搬送ベルト31を停止させるタイミングを任意に設定した時間の間、保留させることができる。
【0014】
各検知スイッチS1〜Snは、搬送ベルト31の両側に対向して搬送ベルト31に近接して設けられている。また、左右の脚部フレーム11,11の上部には、各検知スイッチS1〜SnのノブKを操作する接触片Pの一端が回動可能に軸支されている。接触片Pの他端側は、搬送ベルト31の側縁に当接しており、搬送ベルト31の幅方向の動きにより搬送ベルト31に押されて回動する。
【0015】
次に、鶏糞移送装置1の動作について、検知装置4の電源が投入されてパワーランプPLが点灯している状態のときに、例えば、ケージユニット2Aのベルトコンベヤ機構3において、搬送ベルト31の位置ずれが発生した場合について説明する。
【0016】
ケージユニット2Aのベルトコンベヤ機構3において、搬送ベルト31の位置ずれが発生すると、ケージユニット2Aに設けられている1つの接触片Pが搬送ベルト31の位置ずれが生じていると判断されるWの位置まで回動して、検知スイッチS1〜SnのいずれかのノブKを操作したとする。
【0017】
この場合、検知スイッチS1〜SnのいずれのノブKが操作されても、ケージユニット2Aに対応するタイマ回路A内のタイマT1が駆動される。タイマT1は、タイマT1に任意で設定された位置ずれ停止保留時間を超えているときに、検知スイッチS1〜Snからの信号が入っていることで、位置ずれを継続して検知している場合に、常開のタイマスイッチST1をオン操作して、リレーRL1を駆動する。この位置ずれ停止保留時間を、例えば0秒と設定すれば、搬送ベルト31が位置ずれして検知スイッチS1〜Snが操作されたと同時に搬送ベルト31を停止させる。
【0018】
また、搬送ベルト31が適性な位置から、一旦は、検知スイッチS1〜Snが操作されて位置ずれと見なされる位置に移動しても短時間で適性な位置に戻る場合がある。或いは、周期的に短時間だけ位置ずれが発生する場合がある。このような一次的な位置ずれ状態は搬送ベルト31にあまり問題を発生させないと判断できる場合もあり、管理上、むしろ搬送ベルト31をすぐに停止させてしまうことが問題となることもある。タイマT1の位置ずれ停止保留時間を任意に(例えば0秒〜30秒)設定可能とすることで、問題の発生しない位置ずれに対しては搬送ベルト31を停止させないことも可能である。
【0019】
リレーRL1が駆動されると、常開のリレースイッチSR1および警報用のリレースイッチSR2をオン操作し、警報表示装置AL1が作動して、ランプまたは音声により搬送ベルト31の位置ずれによる警報状態が報知される。
【0020】
リレースイッチSR1はリレーRL1の自己保持スイッチであり、リレーRL1はオン状態を自己保持するので、リレースイッチSR1、SR2は共にオン状態を継続し、警報状態が維持される。
【0021】
また、リレーRL1が駆動されたときには、モータ駆動制御装置5において、ベルトコンベヤ機構3の駆動用のモータM1(図示省略)への電源投入用のリレースイッチSR3がオフ操作されるので、モータM1が停止してベルトコンベヤ機構3の駆動が停止され、搬送ベルト31の走行が停止する。
【0022】
なお、モータ駆動制御装置5内には、ケージユニット2Aに対応するタイマ回路A内のリレーRL1で制御されるリレースイッチSR3の他に、ケージユニット2Bに対応するタイマ回路B内のリレーRL2で制御されるリレースイッチSR6、および、ケージユニット2Cに対応するタイマ回路C内のリレーRL3で制御されるリレースイッチSR9が設けられている。
【0023】
これらのリレースイッチSR6、SR9の動作は、リレースイッチSR3と同様に、検知スイッチが位置ずれを検知したときにオフ操作され、それにより、ケージユニット2B、2Cの各モータM2、M3を停止させて、ケージユニット2B、2Cの各ベルトコンベヤ機構3の駆動を停止させるものである。
【0024】
さて、警報表示装置AL1の作動により、ランプまたは音声により搬送ベルト31の位置ずれによる警報状態が報知されると、鶏舎の管理者は、目視または音声によりどのケージユニットに搬送ベルト31の位置ずれが生じているかを判断して、該当するケージユニット2Aのベルトコンベヤ機構3が駆動を停止していることを確認し、そのベルトコンベヤ機構3の搬送ベルト31の位置ずれを直す。
【0025】
その後、常閉のリセットスイッチSW1をオフ操作してリレーRL1の自己保持状態を解除する。これにより、検知装置4は初期設定され、モータM1の駆動スイッチSR3はオン状態に復帰してモータM1が駆動を開始する。そして、ケージユニット2Aにおいてベルトコンベヤ機構3が駆動されて搬送ベルト31が走行を開始する。また、警報用のリレースイッチSR2はオフ状態に戻り、警報表示装置AL1の作動は停止され、警報状態の表示が中止される。
【実施例2】
【0026】
図5は本発明に係る鶏糞移送装置の実施例2の概略側面図、図6は実施例2の概略平面図である。
【0027】
実施例2のケージユニット2Dは、柱フレーム21,21の各上部を中間フレーム22で接続して構成した両端枠23,23同士の上下の複数個所を長尺な横フレーム24で接続して構成した骨組みユニット25を有している。骨組みユニット25の左右の横フレーム24の複数個所には、幅方向に対称に縦フレーム25が垂直に立設されている。各縦フレーム25には、複数の養鶏用ケージ列18が上下に離間して多段に取り付けられている。
【0028】
また、各縦フレーム25には、各養鶏用ケージ列18の下部にベルトコンベヤ機構3が取り付けられている。そして、上下に隣接するベルトコンベヤ機構3、3は反対方向に駆動され、上段のケージ列18のベルトコンベヤ機構3の搬送ベルト31から下段のケージ列18のベルトコンベヤ機構3の搬送ベルト31へ次々に鶏糞を落としていき最終的に最下段のケージ列18のベルトコンベヤ機構3の搬送ベルト31から全ての鶏糞が回収されるように構成されている。
【0029】
また、各縦フレーム25の上下の部分にはパンタグラフの形状をした板バネ26、26を介して接触バー27が取り付けられている。各接触バー27は多段に構成されている各ベルトコンベヤ機構3のいずれかの搬送ベルト31に接触している。各縦フレーム25の中間の位置には検知スイッチSが取り付けられていて、各接触バー27の中間の位置に設けられている操作片27aにより検知スイッチSaのノブKaが操作されるようになっている。
【0030】
実施例2はケージユニット2Dと検知スイッチSaの構成が、異なる以外は、実施例1の検知装置4とモータ駆動制御装置5を採用したものである。したがって、ケージユニット2Dのベルトコンベヤ機構3において、搬送ベルト31の位置ずれが発生した場合の制御動作も実施例1と同じであるので、以下の説明については省略する。
【0031】
前述した実施例の説明では、搬送ベルト31の位置ずれを検知する検知スイッチを機械的スイッチで説明したが、発光素子からの光を受光素子で受ける光結合回路を使用して、ベルトコンベヤ機構3において発光素子からの光を搬送ベルト31が遮断して光結合回路の光路を遮断、または、発光素子からの光を搬送ベルト31の面で反射して光結合回路の光路を結合したときに、搬送ベルト31の位置ずれを検知して、タイマT1が作動するように構成してもよい。
【0032】
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することがなければ、種々の設計変更が可能であり、前記実施例に限定されないことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は本発明に係る鶏糞移送装置の実施例1の概略説明図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図1、図2の検知スイッチの概略斜視図である。
【図4】図4は図1の検知装置の回路図である。
【図5】本発明に係る鶏糞移送装置の実施例2の概略側面図である。
【図6】実施例2の概略平面図である。
【符号の説明】
【0034】
2A、2B、2C、2D ケージユニット
3 ベルトコンベヤ機構
4 検知装置
5 モータ駆動制御装置
11 脚部フレーム
12,22 中間フレーム
13 脚部枠
14,24 横フレーム
15 脚部ユニット
16 柱部材
17 ケージ
18 養鶏用ケージ列
21 柱フレーム
23 両端枠
25 骨組みユニット
26 板バネ
27 接触バー
31 搬送ベルト
A、B、C タイマ回路
AL1〜AL3
K,Ka ノブ
P 接触片
PL パワーランプ
RL1〜RL3 リレー
S1〜Sn,Sa 検知スイッチ
SR1〜SR9 リレースイッチ
ST1〜ST3 タイマスイッチ
SW1〜SW3 リセットスイッチ
T1〜T3 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って多数のケージを列設してなる養鶏用ケージ列の下方に鶏糞用ベルトコンベヤ機構が配置され、前記鶏糞用ベルトコンベヤ機構の搬送ベルト上に堆積する鶏糞を端部に移送する鶏糞移送装置であって、
前記搬送ベルトの幅方向の位置ずれを検知する検知手段を前記搬送ベルトに近接するように設けたことを特徴とする鶏糞移送装置。
【請求項2】
前記検知手段が位置ずれを検知したときに、前記ベルトコンベヤ機構の駆動を停止する駆動制御手段および/または位置ずれを報知する警報手段を備えた請求項1に記載の鶏糞移送装置。
【請求項3】
前記駆動制御手段は、前記検知手段が前記位置ずれを検知してから所定時間経過後に、前記検知手段が前記位置ずれを継続して検知している場合に前記ベルトコンベヤ機構の駆動を停止するように構成した請求項1または2に記載の鶏糞移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−49909(P2007−49909A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235355(P2005−235355)
【出願日】平成17年8月15日(2005.8.15)
【出願人】(505332004)株式会社ホソヤ (1)
【Fターム(参考)】