説明

CCDカメラの調整回路

【目的】 高輝度の被写体の撮像時、画像の焦点深度が浅くならず、画像にスミアを生じないようにする。
【構成】 CCD2の出力信号をS/H回路3で雑音除去し、検波器5で検波し、出力を抵抗器R2を介し誤差増幅器6に入力し、抵抗器R1より−端子に印加の設定電圧との差を演算し増幅出力する。この出力は比較器8に入力し、レベル設定回路7よりの電圧と比較し、相応の信号を出力する。比較器よりの信号はシャッターパルス発生器9に入力し、所要のシャッターパルスに生成され、CCD2のシャッター速度を制御する。前記検波出力は抵抗器R6およびコンデンサC2で積分して減算器10に入力し、+端子の規準電圧より減算出力され、オートアイリスレンズ1のコイルL1を駆動する。スイッチ回路11は、電源投入時、抵抗器R5、コンデンサC1の時定数で遅延作動し、減算器への規準電圧印加を遅延する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はCCDカメラ(電荷結合素子を用いたテレビジョンカメラ)の調整回路に係り、被写体が高輝度の場合に焦点深度が深く画像にスミアを生じないものに関する。
【0002】
【従来の技術】電子感度調整(電子シャッター)機能およびオートアイリスレンズの絞り(自動絞り)機能を有するCCDカメラで、電子感度調整およびオートアイリスレンズ絞りが別々に作動するものでは、カメラの電源投入時、シャッター速度は高速(例えば、5万分の1秒)で動作を開始し徐々に所要の速度になるが、例えば、60分の1秒になるまでに約3秒前後の時間がかかる。このように、電源投入にてシャッターが高速で動作開始するため、例えば、被写体の輝度が高い場合、映像出力を所要のレベルにするためにオートアイリスレンズの絞りが開いた状態でバランスし、そのまま動作を継続することになる。このような場合、撮像された画像は焦点深度が浅く、また、CCDには大量の光線が入るため、画像にスミア現象(隣接の入光のないCCD等に電荷が移行し、このCCDに入光があったような画像になる現象)を生ずる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような点に鑑み、高輝度の画像が入力した場合にオートアイリスレンズの絞りを優先させ、充分に絞られた状態で電子シャッターを作動させるようにし、また、電源投入時、所要の時間が経過するまでオートアイリスレンズの絞り駆動を禁止して絞り切った状態におき、電子シャッターが低速に達した後に作動するようにし、これらにより、入力画像の輝度に応じて所要の焦点深度に保ち、シャープな画像が得られるようにすると共に、スミアのない画像を出力することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解決するため、撮像素子よりの信号を検波し、検波出力に基づいて絞りを駆動するオートアイリスレンズ駆動回路および前記検波出力に基づいてシャッター速度を調整する電子感度調整回路を有するCCDカメラにおいて、オートアイリスレンズ駆動回路にオートアイリスレンズの絞り駆動を遅延するための第1時定数回路を設け、電源投入にて作動し前記オートアイリスレンズの絞り駆動の開始を所要の時間遅延する第2時定数回路を設けて構成したCCDカメラの調整回路を提供するものである。
【0005】
【作用】以上のように構成したので、本発明によるCCDカメラの調整回路においては、オートアイリスレンズを絞り切った状態で電子シャッター調整回路が作動し、所要のシャッター速度に達した後にオートアイリスレンズを絞り駆動し、また、電源投入時、電子シャッターが所要の速度に達するまでの間、オートアイリスレンズは絞られた状態に保持される。また、オートアイリスレンズ駆動回路および電子シャッター駆動回路は同一設定電圧を規準として動作する。
【0006】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明によるCCDカメラの調整回路の実施例を詳細に説明する。図1は本発明によるCCDカメラの調整回路の一実施例の要部ブロック図である。図において、1はオートアイリスレンズで、絞り駆動コイルL1に印加される直流電圧により絞りを開閉駆動する。コイルL2は、絞り駆動コイルL1で発生した磁界により逆起電力を発生し、抵抗器R7を介しコイルL1の駆動回路にフィードバックする。2はCCD等の撮像素子である。3はサンプルホールド(S/H)回路で、CCD2よりの信号の雑音除去等を行い、図示しない信号処理回路に信号4を出力する。5は検波器で、S/H回路3よりの信号を検波する。R1は映像出力レベル設定用の抵抗器で、電源電圧Vcより分圧設定した電圧を出力する。6は誤差増幅器で、「+」端子に入力した検波器5より抵抗器R2を介しての信号が、抵抗器R3を介し「−」端子に印加された規準電圧以上になった場合、差を演算し増幅出力する。
【0007】7はレベル設定回路で、シャッター速度を制御するための、映像レベルの上限に相応する設定電圧、および映像レベルの下限に相応する設定電圧をそれぞれ出力する。8は比較器で、誤差増幅器6よりの信号をレベル設定回路8よりの電圧と比較し、上限設定電圧より高い場合、および下限設定電圧より低い場合にそれぞれ信号出力する。9はシャッターパルス発生器で、比較器7よりの信号に基づいて、CCD2のシャッター速度を制御するためのシャッターパルスを発生する。10は減算器(演算増幅器)で、検波器5よりの信号を抵抗器R6およびコンデンサC2で積分して「−」端子に入力し、「+」端子に印加された電圧より減算して出力し、オートアイリスレンズ1の絞り駆動コイルL1に供給する。11はスイッチ回路で、カメラの電源投入時、電源Vcより抵抗器R5およびコンデンサC1で積分して印加された電圧が所要電圧以上の場合にオンし、減算器10の「+」端子を前記抵抗器R1の分圧端子に接続する。
【0008】次に、本発明によるCCDカメラの調整回路の動作を説明する。被写体よりの光はオートアイリスレンズ1を介しCCD2に入光し、電気信号に変換されて出力する。この信号はS/H回路3に入力し、雑音の除去等を行い、信号4を映像信号処理回路に出力する。S/H回路3よりの信号は、他方で検波器5に入力し検波される。検波器5の出力は、抵抗器R2を介し誤差増幅器6の「+」端子に入力する。誤差増幅器6の「−」端子には、抵抗器R1で設定された規準電圧が印加されており、「+」端子に入力した検波器5よりの信号を、信号レベルが「−」端子の電圧以上の場合に「−」端子電圧との差を演算し、抵抗器R3と、「−」端子および出力端子間に接続された抵抗器R4との比率(R4/R3)で増幅出力し、比較器8に入力する。
【0009】比較器8は、誤差増幅器6よりの信号をレベル設定回路7よりの電圧と比較し、映像レベルの上限電圧より高い場合、または映像レベルの下限電圧より低い場合に、それぞれ信号出力する。比較器8の出力信号はシャッターパルス発生器9に入力する。このシャッターパルス発生器9は、誤差増幅器6の出力する信号レベルが上限より高い場合にシャッター速度を高速に制御するためのシャッターパルスに生成し、また、誤差増幅器6の出力する信号レベルが下限より低い場合にシャッター速度を低速に制御するためのシャッターパルスに生成し、それぞれCCD2に印加する。
【0010】前記検波器5の検波出力は、他方で、抵抗器R6およびコンデンサC2で積分し、減算器10の「−」端子に入力する。減算器10の「+」端子には、前記抵抗器R1で設定された映像出力レベルの規準電圧が印加されており、この「+」端子の電圧より「−」端子に入力された電圧を演算(減算)して出力する。この出力はオートアイリスレンズ1の駆動コイルL1に加わり、駆動電圧の上昇(被写体の輝度低下)にてオートアイリスレンズ1の絞りを開き、駆動電圧の下降(被写体の輝度上昇)にて絞りを閉じるように駆動する。
【0011】前記シャッターパルス発生器9によるシャッター速度の制御のタイミングは、検波器5の検波出力の変化に対し信号処理のために所要時間の遅れが生ずる。このため、オートアイリスレンズ1の絞りが先に開き駆動しないように、前記減算器10の信号入力を遅延させる。すなわち、減算器10の「−」端子に入力する検波器5よりの信号を、前記シャッター速度制御のタイミングを勘案し、所要の時間遅延するように、抵抗器R6およびコンデンサC2による積分回路の時定数を設定する。これにより、例えば、検波器5の出力が減少(被写体の輝度が下降)した場合、オートアイリスレンズ1の絞りの開き駆動は前記時定数に相応する時間だけ遅延し、この間にシャッター速度が低速の方向に制御され、その結果、画像の焦点深度は変わらないようになる。なお、上述した如く、誤差増幅器6および減算器10は、同一の設定電圧を規準に動作するので、被写体の輝度変化時、シャッター速度のみが変化し、オートアイリスレンズの絞りは変化しない(あるいはシャッター速度は変わらずに絞りのみが変化する)等の現象を生じない。
【0012】また、スイッチ回路11の駆動端子には、電源Vcより抵抗器R5およびコンデンサC1で積分した電圧が印加されるので、電源投入時、スイッチ回路11のオン動作は前記積分回路の時定数に相応する時間の遅れが生じる。これにより、減算器10の「+」端子には前記時定数による時間、規準電圧の印加が遅れ、オートアイリスレンズ1の絞りの開き駆動が遅延し、この間に、シャッターは被写体の輝度に応じた速度(低速)に達する。従って、例えば、カメラの電源投入時、被写体の輝度が高い場合にシャッター速度が高速で作動し、絞りが比較的開いた状態で動作するという現象(焦点深度が浅く、画像にスミアが生じる)を回避できる。
【0013】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によるCCDカメラの調整回路によれば、電子シャッターの速度制御動作に対してオートアイリスレンズの絞りが先行動作し、また、電源投入時、電子シャッターが所要の低速動作に達した後にオートアイリスレンズの絞りが駆動されて絞りを開くものであるから、高輝度の被写体を撮像する場合等に焦点深度の深い画像が得られ、また、画像のスミアが軽減されるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるCCDカメラの調整回路の一実施例の要部ブロック図である。
【符号の説明】
1 オートアイリスレンズ
2 撮像素子(CCD)
3 サンプルホールド(S/H)回路
5 検波器
6 誤差増幅器
7 レベル設定回路
8 比較器
9 シャッターパルス発生器
10 減算器(演算増幅器)
11 スイッチ回路
L1 絞り駆動コイル
R1 映像出力レベル設定用抵抗器
R5 抵抗器
R6 抵抗器
C1 コンデンサ
C2 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 撮像素子よりの信号を検波し、検波出力に基づいて絞りを駆動するオートアイリスレンズ駆動回路および前記検波出力に基づいてシャッター速度を調整する電子感度調整回路を有するCCDカメラにおいて、オートアイリスレンズ駆動回路にオートアイリスレンズの絞り駆動を遅延するための第1時定数回路を設け、電源投入にて作動し前記オートアイリスレンズの絞り駆動の開始を所要の時間遅延する第2時定数回路を設けてなるCCDカメラの調整回路。
【請求項2】 撮像素子よりの信号を検波し、検波出力に基づいて絞りを駆動するオートアイリスレンズ駆動回路および前記検波出力に基づいてシャッター速度を調整する電子感度調整回路を有するCCDカメラにおいて、オートアイリスレンズ駆動回路にオートアイリスレンズの絞り駆動を遅延するための第1時定数回路を設け、電源投入にて作動し前記オートアイリスレンズの絞り駆動の開始を所要の時間遅延する第2時定数回路を設け、前記オートアイリスレンズ駆動回路の動作の規準電圧および電子感度調整回路の動作の規準電圧を同一電圧に設定したCCDカメラの調整回路。

【図1】
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