説明

DIG−11殺虫性CRY毒素

DIG−11Gry毒素、このような毒素をコードするポリヌクレオチド、このような毒素の害虫を防除するための使用、及びこのような毒素を産生する遺伝子組換え植物が、開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年6月16日付けで出願された米国仮出願第61/187,460号の利益を主張し、この米国仮出願は、本明細書において参照することにより明確に援用される。
本発明は、新規殺虫性Cry毒素及びその昆虫を防除するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
バシラス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)(B.t.)は、δ内毒素又はCryタンパク質として知られている殺虫性結晶タンパク質を産生する土壌伝染性細菌である。Cryタンパク質は、感受性昆虫の中腸細胞に作用することによって機能する経口中毒性物質(intoxicant)である。幾つかのCry毒素が、線虫に対して活性を有することが明らかにされている。δ内毒素の広範なリストは、ウェブサイトhttp://www.lifesci. sussex.ac.uk/home/Neil_Crickmore/Bt/intro.html.において維持され、定期的に更新されている。
【0003】
ウェスタン・コーン・ルートワーム(western corn rootworm)(WCR)(Diabrotica virgifera virgifera LeConte)は、作物の収量損失や昆虫管理のための費用により北アメリカでは毎年おおよそ10億ドルの収入損失を引き起こす経済的に重要なトウモロコシ害虫である。(Metcalf, 1986)。WCRの管理実務としては、ダイズとの輪作、化学殺虫剤、さらに最近はB.t.Cryタンパク質を発現する遺伝子組換え作物が挙げられる。しかし、現在まで、Cry34Ab1/Cry35Ab1(Ellis et al., 2002)、修飾Cry3Aa1(Walters et al., 2008)及び修飾Cry3Bb1(Vaughn et al., 2005)を含め、ほんの数例のB.t.Cryタンパク質が、WCRに対して商業レベルの効果を提供するだけである。これらのB.t.タンパク質は、遺伝子組換えトウモロコシの根で産生される場合には、WCRによるトウモロコシの根の被害の予防において極めて有効である(Moellenbeck et al., 2001, Vaughn et al., 2005、米国特許第7361813号明細書)。
【0004】
WCR抵抗性遺伝子組換えトウモロコシの成功にもかかわらず、幾つかの因子が、WCRを防除するために新規なCryタンパク質を発見し、開発する必要性を生み出している。第一に、遺伝子組換えトウモロコシ植物において現在展開されているCryタンパク質の産生は、WCRによる根の被害に対して確固とした保護を提供し、それによって穀物収量を保護するが、幾つかのWCR成虫が人工的寄生試験において出現し、決して完全な幼虫昆虫防除とは言えないことを示す。第二に、耐性昆虫個体群の発生は、ルートワーム防除においてCryタンパク質の長期耐久性を脅かす。Cryタンパク質抵抗性鱗翅目昆虫が、コナガ(Plutella xylostella)(Tabashnik, 1994)、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)(Janmaat及びMyers, 2003, 2005)、及びアメリカタバコガ(Helicoverpa zeae)(Tabashnik et al., 2008)に関する分野で発生している。B.t.Cryタンパク質に対する昆虫の抵抗性は、幾つかのメカニズムによって発生し得る(Heckel et al., (2007), Pigott and Ellar, 2007)。Cryタンパク質について多数の受容体タンパク質クラスが、昆虫内で同定されており、多数の例が、それぞれの受容体クラス内に存在する。特定のCryタンパク質に対する抵抗性は、例えば、受容体タンパク質のカドヘリンドメインの毒素結合部分内の突然変異によって発生し得る。抵抗性の別の手段は、プロ毒素プロセシングプロテアーゼによって仲介され得る。鱗翅目(Lepidoptera)の種のCry毒素に対する抵抗性は、複雑な遺伝学的根拠を有し、少なくとも4つの異なる主要な抵抗性遺伝子を有する。同様に、多数の遺伝子が、甲虫目(Coleoptera)の種のCry毒素に対する抵抗性を制御すると予測される。新規な高い効力のCryタンパク質の開発は、WCR管理のためのさらなるツールを提供するであろう。WCR昆虫抵抗性の発生を防止し、ルートワーム防除のためのB.t.技術の長期有用性を守るために、種々の作用様式を有するCryタンパク質を、遺伝子組換えトウモロコシにおいて組み合わせて産生させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7361813号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Ellis, R.T., Stockhoff, B.A., Stamp, L., Schnepf, H.E., Schwab, G.E., Knuth, M., Russell, J., Cardineau, G.A., Narva, K.E. (2002) 「Novel Bacillus thuringiensis binary insecticidal crystal proteins active on western corn rootworm, Diabrotica virgifera virgifera LeConte.」 Appl. Environ. Microbiol., 68:1137-1145.
【非特許文献2】Walters, F.S., Stacy, C.M., Lee, M.K., Palekar, N., Chen, J.S. (2008)「An engineered chymotrypsin/cathepsin G site in domain I renders Bacillus thuringiensis Cry3A active against western corn rootworm larvae.」 Appl. Environ. Microbiol., 74:367-374.
【非特許文献3】Vaughn, T., Cavato, T., Brar, G., Coombe, T., DeGooyer, T., Ford, S., Groth, M., Howe, A., Johnson, S., Kolacz, K., Pilcher, C., Prucell, J., Romano, C., English, L., Pershing, J. (2005)「A method of controlling corn rootworm feeding using a Bacillus thuringiensis protein expressed in transgenic maize.」Crop. Sci., 45:931-938.
【非特許文献4】Moellenbeck, D.J., Peters, M.L., Bing, J.W., Rouse, J.R., Higgins, L.S., Sims, L., Nevshemal, T., Marshall, L., Ellis, R.T., Bystrak, P.G., Lang, B.A., Stewart, J.L., Kouba, K., Sondag, V., Gustafson, V., Nour, K., Xu, D., Swenson, J., Zhang, J., Czapla, T., Schwab, G., Jayne, S., Stockhoff, B.A., Narva, K., Schnepf, H.E., Stelman, S.J., Poutre, C., Koziel, M., Duck, N. (2001) 「Insecticidal proteins from Bacillus thuringiensis protect corn from corn rootworms.」 Nat. Biotech., 19:668-672.
【非特許文献5】Tabashnik, B.E., Finson, N., Groeters, F.R., Moar, W.J., Johnson, M.W., Luo, K., Adang, M.J. (1994) 「Reversal of resistance to Bacillus thuringiensis in Plutella xylostella.」 Proc. Nat. Acad. Sci., USA91:4120-4124.
【非特許文献6】Janmaat, A.F., Myers, A.H. (2003)「Rapid evolution and the cost of resistance to Bacillus thuringiensis in greenhouse populations of cabbage loopers, Trichoplusia ni.」Proc. Royal Soc. London. Ser. B, Biolog. Sci., 270:2263-2270.
【非特許文献7】Tabashnik, B.E., Gassmann, A.J., Crowder, D.W., Carriere, T. (2008)「Insect resistance to Bt crops: evidence versus theory.」Nat. Biotech., 26:199-202.
【非特許文献8】Heckel, D.G., Gahan, L.J., Baxter, S.W., Zhao, J-Z., Shelton, A.M., Gould, F., Tabashnik, B.E. (2007)「The diversity of Bt resistance genes in species of Lepidoptera.」 J. Invert. Pathol., 95:192-197.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、殺虫性Cry毒素、例えば本明細書においてDIG−11と命名されるタンパク質毒素及びDIG−11の変異体、これらの毒素をコードする核酸、これらの毒素を使用して害虫を防除する方法、遺伝子組換え宿主細胞においてこれらの毒素を産生する方法、並びにこれらの毒素を発現する遺伝子組換え植物を提供する。野生型DIG−11タンパク質の予測アミノ酸配列を、配列番号:2に示す。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、容易に投与される機能性タンパク質を提供する。また、本発明は、昆虫の多数の目、好ましくは甲虫目に対して機能的に活性であり、有効である昆虫毒素を送達する方法を提供する。「機能的活性」(又は「に対して活性な」)とは、本明細書では、前記タンパク質毒素が、経口活性昆虫防除剤(単独で又はその他のタンパク質と組み合わせて)として機能すること、前記タンパク質が、毒作用(単独で又はその他のタンパク質と組み合わせて)を有するか、又は昆虫の死を引き起こすかもしれない又は引き起こさないかもしれない昆虫の成長及び/又は摂食を中断又は阻止できることを意味する。昆虫が、遺伝子組換え植物の発現、製剤化タンパク質組成物(1つ又は複数)、噴霧可能タンパク質組成物(1つ又は複数)、餌マトリックス又はその他の送達系によって送達される有効量の主題発明の「毒素」と接触すると、結果として典型的には、昆虫の死、昆虫の成長及び/又は増殖の阻止、及び/又は前記毒素を昆虫に対して利用可能にする供給源(好ましくは、遺伝子組換え植物)を昆虫が摂食することを防止することをもたらす。また、主題発明の機能性タンパク質は、1つ又はそれ以上のその他の毒素タンパク質の活性を高めるか又は向上させるために一緒に又は単独で機能することができる。本明細書で使用する「有毒な」、「毒性」、又は「毒素」という用語は、主題「毒素」が本明細書で定義するような「機能活性」を有することを伝えることを意味する。
【0009】
摂食昆虫の完全致死は好ましいが、機能活性を達成するためには必ずしも必要ではない。昆虫が前記毒素を忌避するか又は摂食を止めるならば、その忌避は、幾つかの用途において、その効果が亜致死性であるか又は致死が遅れるか又は間接的である場合であっても有用であろう。例えば、昆虫抵抗性遺伝子組換え植物が望まれる場合には、昆虫が植物を食することを嫌がることは、究極の目的が昆虫によって引き起こされる植物被害を避けることであるから、昆虫に対する致死毒性と同様に有用である。
【0010】
実施例1に記載するように、DIG−11タンパク質をコードする核酸が、Dow AgroSciences LLCによって内部でPS184M1と命名されたB.t.株から単離された。完全長コード領域の核酸配列が決定され、完全長タンパク質配列が核酸配列から推定された。DIG−11タンパク質は、Cry7Ab3(Genbank Accession No.ABX24522.1)及びその他のバシラス・スリンジエンシス(B. thuringiensis)Cry7型タンパク質(http://www.lifesci.sussex.ac.uk
/home/Neil_Crickmore/Bt/intro.html)と幾つかの類似性を有する。
【0011】
また、DIG−11毒素の複数の殺虫活性変異体も、本明細書に記載され、まとめてDIG−11昆虫毒素と呼ばれる。DIG−11昆虫毒素の個々の変異体は、特定DIG命名法によって特定し得る。前記毒素は、抵抗性甲虫目昆虫個体群の発生を防除するために、単独で使用し得、又はその他のCry毒素、例えばCry34Ab1/Cry35Ab1(DAS−59122−7)、Cry3Bb1(MON88017)、Cry3A(MIR604)、キメラCry1Ab/Cry3Aa(FR8A、国際公開第2008/121633A1号明細書)、CryET33及びCryET34、Vip1A、Cry1Ia、CryET84、CryET80、CryET76、CryET71、CryET69、CryET75、CryET39、CryET79、及びCryET74と組み合わせて使用し得る。
【0012】
また、DIG−11昆虫毒素は、その他の昆虫害虫の防除のためにRNAi法と組み合わせて使用してもよい。例えば、DIG−11昆虫毒素は、遺伝子組換え植物において、コーン・ルートワームの必須遺伝子又は昆虫害虫の必須遺伝子の抑制のためにdsRNAと組み合わせて使用し得る。このような標的遺伝子としては、例えば、液胞型ATPアーゼ、ARF−1、Act42A、CHD3、EF−1α、及びTFIIBが挙げられる。適当な標的遺伝子の例は、国際公開第2007/035650号明細書に記載されているような液胞型ATPアーゼである。
【0013】
一つの実施形態において、本発明は、単離されたDIG−11昆虫毒素ポリペプチドであって、
(a)配列番号:2の残基142−664のアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
(b)配列番号:2の残基142−664のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
(c)配列番号:2によってコードされる毒素の発現又は活性に悪影響を及ぼさない最大20個までのアミノ酸の置換、欠失又は修飾を有する配列番号:2の残基142−664のアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
からなる群より選択されるコア毒素セグメントを含有する単離されたDIG−11昆虫毒素ポリペプチド又はその殺虫活性断片を提供する。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、単離されたDIG−11昆虫毒素ポリペプチドであって、
(a)配列番号:2の残基1−664のアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
(b)配列番号:2の残基1−664のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
(c)配列番号:2によってコードされる毒素の発現又は活性に悪影響を及ぼさない最大20個までのアミノ酸の置換、欠失又は修飾を有する配列番号:2の残基1−664のアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
からなる群より選択されるDIG−11コア毒素セグメントを含有する単離されたDIG−11昆虫毒素ポリペプチド又はその殺虫活性断片を提供する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、単離されたDIG−11昆虫毒素ポリペプチドであって、
(a)配列番号:2の残基142−1164のアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
(b)配列番号:2の残基142−1164のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
(c)配列番号:2によってコードされる毒素の発現又は活性に悪影響を及ぼさない最大20個までのアミノ酸の置換、欠失又は修飾を有する配列番号:2の残基142−1164のアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
からなる群より選択されるDIG−11コア毒素セグメントを含有する単離されたDIG−11昆虫毒素ポリペプチド又はその殺虫活性断片を提供する。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、単離されたDIG−11昆虫毒素ポリペプチドであって、
(a)配列番号:2の残基1−1164のアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
(b)配列番号:2の残基1−1164のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
(c)配列番号:2によってコードされる毒素の発現又は活性に悪影響を及ぼさない最大20個までのアミノ酸の置換、欠失又は修飾を有する配列番号:2の残基1−1164のアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
からなる群より選択されるDIG−11コア毒素セグメントを含有する単離されたDIG−11昆虫毒素ポリペプチド又はその殺虫活性断片を提供する。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、DIG−11昆虫毒素を含有する植物を提供する。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、害虫個体群の防除方法であって、前記個体群を殺虫有効量のDIG−11昆虫毒素と接触させることからなる害虫個体群の防除方法を提供する。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、DIG−11毒素をコードする単離された核酸を提供する。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、DNA構築物であって、バシラス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)から誘導されていない及び植物中で発現を駆動できるプロモーターに操作可能に連結された(operably linked to)DIG−11昆虫毒素をコードするヌクレオチド配列を含有するDNA構築物を提供する。また、本発明は、遺伝子組換え植物であってそのゲノムに安定的に組み込まれたDNA構築物を含有する遺伝子組換え植物、及び植物を害虫から保護する方法であって前記構築物を前記植物中に導入することからなる植物を害虫から保護する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
配列の簡単な説明
配列番号:1 完全長DIG−11昆虫毒素をコードするDNA配列;3492nt
【0022】
配列番号:2 完全長DIG−11タンパク質配列;1164aa
【0023】
配列番号:3 DIG−84、すなわちDIG−11コア毒素をコードするトウモロコシ最適化DNA配列;1992nt
【0024】
配列番号:4 Cry1Abプロ毒素セグメント;545aa
【0025】
配列番号:5 キメラ毒素:DIG−84コア毒素セグメント/Cry1Abプロ毒素セグメント;1209aa
【0026】
配列番号:6 Cry1Abプロ毒素セグメントをコードする双子葉植物最適化DNA配列;1635nt
【0027】
配列番号:7 Cry1Abプロ毒素セグメントをコードするトウモロコシ最適化DNA配列;1635nt
【0028】
DIG−11昆虫毒素、及び殺虫活性変異体
本発明は、配列番号:2の完全長DIG−11昆虫毒素の他に、殺虫活性変異体を包含する。「変異体」という用語によって、本出願人は、断片、特定の欠失及び挿入突然変異体、並びに特定の融合タンパク質を含むことを意図する。DIG−11タンパク質は、古典的な3ドメインCry毒素である。本発明に含まれるDIG−11昆虫毒素の変異体を説明する前書きとして、一般的に3ドメインCry毒素の構造、特にDIG−11昆虫毒素の構造を簡単に概説することが役立つであろう。
【0029】
大部分のバシラス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)δ内毒素結晶タンパク質分子は、2つの機能性セグメントから構成される。プロテアーゼ抵抗性コア毒素は、第一のセグメントであり、タンパク質分子のほぼ最初の半分に相当する。完全な約130kDaのプロ毒素分子は、昆虫の腸内のプロテアーゼによって抵抗性コアセグメントまで迅速に処理される。このプロセシングによって削除されるセグメントは、本明細書では「プロ毒素セグメント」と呼ばれるであろう。プロ毒素セグメントは、毒素結晶の形成に関与すると考えられる(Arvidson et al., (1989))。従って、プロ毒素セグメントは、毒素分子のプロテアーゼプロセシングを低下させることにより(Haider et al., (1986))又は毒素溶解性を低下させることにより(Aronson et al., (1991))昆虫へのコアの接近を制限することによって毒素に対する部分的昆虫特異性を伝達し得る。B.t.毒素は、特定のクラス内であっても、長さにおいて及びコア毒素部分からプロ毒素部分へのトランジッションの正確な配置においてある程度変化する。コア毒素部分からプロ毒素部分へのトランジッションは、典型的には完全長毒素の約50%〜約60%の間で生じるであろう。配列番号:2は、完全長DIG−11ポリペプチドの1164アミノ酸配列を開示し、そのN末端の664個のアミノ酸は、DIG−11タンパク質のDIG−84コア毒素セグメントを含有する。配列番号:1の5’末端の1992個のヌクレオチドは、DIG−84コア毒素セグメントのコード領域である。
【0030】
三次元結晶構造が、Cry1Aa1、Cry2Aa1、Cry3Aa1、Cry3Bb1、Cry4Aa、Cry4Ba及びCry8Ea1について決定されている。コア毒素についてのこれらの構造は、著しく類似しており、以下に記載する特徴を有する3つの異なるドメインからなる(de Maagd et al., 2003に概説されている)。
【0031】
ドメインIは、ヘリックス5が6個の両親媒性ヘリックスによって取り囲まれている7個のαヘリックスの束である。このドメインは、細孔形成に関与しており、その他の細孔形成タンパク質、例えば溶血素及びコリシンと相同性を共有する。DIG−11タンパク質のドメインIは、配列番号:2のアミノ酸残基86〜306を含有する。
【0032】
ドメインIIは、βプリズム内に一緒に充填された3個の逆平行βシートによって形成される。このドメインのループは、昆虫中腸受容体を結合することにおいて重要な役割を果たす。Cry1Aタンパク質において、ドメインIIβシートの尖端で表面露出したループが、鱗翅目カドヘリン受容体に対する結合に関与する。Cry3AaドメインIIループは、レプチノタルサ・デセムリネアタ(Leptinotarsa decemlineata)(Say)(コロラドハムシ)の膜会合メタロプロテアーゼを同様の様式で結合する(Ochoa-Campuzano et al., 2007)。ドメインIIは、特定の炭水化物結合タンパク質、例えばビテリン及びジャカリンと相同性を共有する。DIG−11タンパク質のドメインIIは、配列番号:2のアミノ酸残基311−508を含有する。
【0033】
ドメインIIIは、2つの逆平行βシートのβサンドイッチである。構造上、このドメインは、タンパク質、例えばグルカナーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、シアリダーゼなどの糖質結合ドメインに関連する。ドメインIIIは、特定のクラスの受容体タンパク質を結合し、おそらくは、第二のクラスの受容体(その例は、Cry1Aタンパク質の場合にはアミノペプチダーゼ及びアリカリ性ホスファターゼである)と相互作用するオリゴマー状毒素前細孔(pre-pore)の挿入に関与するであろう(Honee et al., (1991)、Pigott and Ellar, 2007))。類似のCryドメインIII受容体は、甲虫目(Coleoptera)においてさらに確認されなければならない。保存B.t.配列ブロック2及び3は、ドメイン2のN末端及びC末端それぞれの近くに位置する。従って、これらの保存配列ブロック2及び3は、前記3つの機能性ドメインの間の適切な境界領域である。保存DNA及びタンパク質相同性のこれらの領域は、組換えB.t.毒素を操作するのに利用されている(米国特許第6,090,931号明細書、国際公開第91/01087号明細書、国際公開第95/06730号明細書、国際公開WO1998022595号明細書)。DIG−11タンパク質のドメインIIIは、配列番号:2のアミノ酸残基518−662を含有する。
【0034】
ドメインIのαヘリックス1が受容体の結合の後に除去されることが報告されている。Aronsonら(1999)は、BBMVに結合されたCry1Acが、αヘリックス1の直後の残基59で開始するプロテイナーゼK切断から保護されることを実証した;同様の結果が、Cry1Abについて挙げられた。Gomezら(2002)は、BBMV受容体の結合で形成されるCry1Abオリゴマーが、ドメインIのαヘリックス1部分を欠いていることを見出した。また、Soberonら(2007)は、三次元Cry構造のαヘリックス1を取り囲む約60個のアミノ酸を欠いているCry1Ab及びCry1AcのN末端欠失突然変異体が、カドヘリン結合の不存在下で、分子量約60kDaのモノマーを前細孔に組み立てることができることを明らかにした。これらのN末端欠失突然変異体は、Cry耐性昆虫幼虫に対して活性であることが報告されている。また、Diaz−Mendozaら(2007)は、地中海アワノメイガ(Sesamia nonagrioides)に対する活性を保持した43kDa及び46kDaのCry1Ab断片を報告している。これらの断片は、アミノ酸残基116−423を含むことが実証された;しかし、正確なアミノ酸配列は解明されておらず、これらのタンパク分解断片の活性のメカニズムは知られていない。Gomezら(2002)、Soberonら(2007)及びDiaz−Mendozaら(2007)の結果は、Cry1AbのN末端から36個のアミノ酸の欠失が殺虫活性の喪失をもたらすことを報告したHofteら(1986)の結果とは対照的である。
【0035】
本発明者らは、DIG−11毒素のドメインIのヘリックス1、2A、2B及び3の先端及び終端、並びにこれらの間のスペーサーの配置を、DIG−11タンパク質配列を、Cry8a1(その構造は、公知である)のタンパク質配列と比較することによって推測した。これらの配置を、表1に記載する。
【0036】
【表1】

【0037】
DIG−11のアミノ末端欠失変異体
その態様の一つにおいて、本発明は、ヘリックス1、2A及び2Bの全部又は一部分が欠失しており、殺虫活性を高め、昆虫による抵抗性の発現を回避するDIG−11昆虫毒素変異体を提供する。これらの修飾は、改善された属性、例えば改善された標的害虫スペクトル、効力、及び昆虫抵抗性管理を有するDIG−11変異体を提供するためになされる。主題発明の幾つかの実施形態において、主題の修飾は、昆虫を中毒に至らしめるプロ毒素の活性化及び細孔の形成の効率に影響を及ぼし得る。さらに詳しくは、改善された属性を有するDIG−11昆虫毒素変異体を提供するために、N末端をコードする遺伝子の一部分を除去する段階的な欠失が記載される。前記欠失は、αヘリックス3〜7の構造的完全性を維持しながらドメインIのαヘリックス1の全部及びαヘリックス2の全部又は一部分を除去する。従って、主題発明は、部分的には、より効率的な細孔形成のためにドメインIのαヘリカル要素を操作することによってなされるCryタンパク質効果の改善に関する。さらに詳しくは、主題発明は、部分的には、Cry1タンパク質のドメインIのαヘリックス1及び2との推定二次構造相同性を有する領域にN末端欠失を有するために設計された改善されたDIG−11昆虫毒素に関する。
【0038】
DIG−11昆虫毒素の殺虫特性を改善するための欠失は、予測されるαヘリックス2A開始の前から開始してもよく、αヘリックス2B末端の後で終結してもよいが、αヘリックス3内に及ばないことが好ましい。
【0039】
N末端欠失変異体のコード配列の設計において、ATG開始コドン(メチオニンをコードする)が、前記欠失変異体を発現するために設計されたヌクレオチド配列の5’末端に挿入される。遺伝子組換え植物において使用するために設計される配列について、Varshavsky(1997)の「N末端規則」に従うことが役立つかもしれない。幾つかのアミノ酸が、タンパク質のN末端残基として示される場合には、タンパク質の不安定性及び真核細胞の分解(degradation)に寄与し得ることが教示される。例えば、酵母細胞及び哺乳動物細胞での観察から収集されたデータは、N末端不安定アミノ酸が、F、L、W、Y、R、K、H、I、N、Q、D、E、及び場合によりPであることを示す。タンパク質分解メカニズムの詳細は、生物間で幾分異なるかもしれないが、上記のようにN末端不安定アミノ酸の同一性の保存は、同様のメカニズムが植物細胞で機能し得ることを示唆する。例えば、Worleyら(1998)は、植物において、N末端規則は、塩基及び芳香族残基を含むことを見出した。主題のB.t.殺虫性タンパク質のαヘリックス3の開始部の近くの植物プロテアーゼによるタンパク分解性切断は、不安定N末端アミノ酸を露出するかもしれないという可能性がある。このようなプロセシングは、迅速な崩壊(decay)のために切断されたタンパク質を標的とし、B.t.殺虫性タンパク質の蓄積を、効果的な昆虫防除に不十分なレベルに制限し得る。従って、不安定アミノ酸の一つから始まるN末端欠失変異体について、本出願人は、翻訳開始メチオニンと不安定アミノ酸の間のG(グリシン)アミノ酸を特定するコドンを付加する方を好む。
【0040】
実施例2は、本発明のDIG−11昆虫毒素のアミノ末端欠失変異体の具体例を示す。
【0041】
キメラ毒素
他のCry毒素のプロ毒素セグメントに融合した一つのCry毒素のコア毒素ドメインを利用するキメラタンパク質が、既に報告されている。DIG−11変異体として、コア毒素部分の末端を通り過ぎたある位置で異種プロ毒素セグメントに融合したDIG−11昆虫毒素のN末端コア毒素セグメント(これは、完全長であってもよいし又は前記のN末端欠失を有していてもよい)を含有する昆虫毒素が挙げられる。異種プロ毒素セグメントへのトランジッションは、ほぼコア毒素/プロ毒素の結合部で生じることができるし、又は別の方法で、未変性プロ毒素の一部分(コア毒素部分を通り過ぎて伸びる)は、下流で生じる異種プロ毒素へのトランジッションによって保持されることができる。例として、主題発明のキメラ毒素は、DIG−11の全コア毒素セグメント(すなわち、DIG−84;DIG−11のアミノ酸1−664)及び異種プロ毒素(アミノ酸665−C末端)を有する。好ましい実施形態において、プロ毒素の異種部分は、配列番号:5に例証するように、Cry1Abδ内毒素から誘導される。
【0042】
配列番号:4は、本発明のDIG−11昆虫毒素変異体に有用なCry1Abプロ毒素セグメントの545アミノ酸配列を開示する。主題発明のキメラ毒素に含むことが最も重要であるこのプロ毒素セグメントの最後の約100−150個のアミノ酸に注意が払われる。
【0043】
プロテアーゼ感受性変異体
昆虫の腸プロテアーゼは、典型的には、必要なアミノ酸を食餌タンパク質から得ることで昆虫を手助けすることにおいて機能を果たす。最もよく理解される昆虫消化プロテアーゼは、セリンプロテアーゼであり、これは特に鱗翅目の種において最も一般的な種類であると思われる(Englemann and Geraerts, (1980))。甲虫目昆虫は、鱗翅目昆虫の腸よりも中性〜酸性である腸を有する。大部分の甲虫目幼虫及び成虫、例えばコロラドハムシは、僅かに酸性の中腸を有し、システインプロテアーゼが、大部分のタンパク分解活性を提供する(Wolfson and Murdock, (1990))。より正確には、ThieとHouseman(1990)が、コロラドハムシにおいてシステインプロテアーゼ(カテプシンB様システインプロテアーゼ及びカテプシンH様システインプロテアーゼ)、並びにアスパルチルプロテアーゼ(カテプシンD様アスパルチルプロテアーゼ)を同定し、特性決定した。Gillikinら(1992)は、ウェスタン・コーン・ルートワームの幼虫の腸のタンパク分解活性を特定し、システインプロテアーゼを最初に見出した。米国特許第7230167号明細書は、セリンプロテアーゼ(カテプシンG)が、ウェスタン・コーン・ルートワームに存在することを開示した。昆虫腸プロテアーゼの多様な種々の活性は、個々のB.t.毒素に対する昆虫の感受性に影響を及ぼし得る。
【0044】
本発明の別の実施形態において、プロテアーゼ切断部位は、ある種の昆虫害虫の感受性幼虫の中腸内のタンパク質プロセシングに影響を及ぼすために所望の位置で操作されていてもよい。これらのプロテアーゼ切断部位は、化学的遺伝子合成又はスプライスオーバーラップPCR(Horton et al., 1989)などの方法で導入してもよい。セリンプロテアーゼ認識配列は、例えば、感受性幼虫の中腸内の所望の欠失位置でタンパク質プロセシングを行うために、場合によりCryタンパク質構造の特定の部位で挿入することができる。このような方法で利用することができるセリンプロテアーゼとしては、鱗翅目中腸セリンプロテアーゼ、例えばトリプシン又はトリプシン様酵素、キモトリプシン、エラスターゼなどが挙げられる(Christeller et al., 1992)。また、非分画幼虫中腸プロテアーゼ調剤を用いて産生させたCryタンパク質消化産物を配列決定することによって又は刷子縁膜小胞に結合することによって実験的に同定される欠失部位は、タンパク質活性化を行うために操作することができる。遺伝子欠失によるか又はプロテアーゼ切断部位の導入によるかいずれかによって産生される修飾Cryタンパク質は、鱗翅目害虫、例えばヨーロッパアワノメイガ(Ostrinia nubilalis)、サウスウェスタン・コーンボーラー(Diatraea grandiosella)、アメリカタバコガ(Helicoverpa zea)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、サトウキビメイガ(Diatraea saccharalis)、ロクサグロチス・アルビコスタ(Loxagrotis albicosta)、甲虫目害虫、例えばウェスタン・コーン・ルートワーム、サザン・コーン・ルートワーム、ノーザン・コーン・ルートワーム〔すなわち、ディアブロチカ(Diabrotica)種〕、及びその他の標的害虫に対して改善された活性を有する。
【0045】
甲虫目セリンプロテアーゼ、例えばトリプシン、キモトリプシン及びカテプシンG様プロテアーゼ、甲虫目システインプロテアーゼ、例えばカテプシン類(B様プロテアーゼ、L様ロテアーゼ、O様プロテアーゼ、及びK様プロテアーゼ)(Koiwa et al., (2000)及びBown et al., (2004))、甲虫目メタロプロテアーゼ、例えばADAM10(Ochoa-Campuzano et al., (2007))、及び甲虫目アスパラギン酸プロテアーゼ、例えばカテプシンD様及びE様プロテアーゼ、ペプシン、プラスメプシン、及びキモシンが、ある種の昆虫害虫の感受性幼虫の中腸内のCryタンパク質プロセシングに影響を及ぼすために所定のプロセシング部位で適切な認識配列を操作することによってさらに利用し得る。
【0046】
このようなプロテアーゼ切断部位の導入のための好ましい配置は、αヘリックス2Bとαヘリックス3の間の「スペーサー」領域内にあってよく、例えば完全長DIG−11タンパク質(配列番号:2及び表1)のアミノ酸137−141の中にあってもよい。プロテアーゼ切断部位の導入のための第二の好ましい配置は、αヘリックス3とαヘリックス4の間のスペーサー領域(表1)内、例えば配列番号:2の完全長DIG−11タンパク質のアミノ酸172−175内にあってもよい。遺伝子欠失によるか又はプロテアーゼ切断部位の導入によるかいずれかによって産生される修飾Cryタンパク質は、昆虫害虫、例えば以下に限定されないが、ウェスタン・コーン・ルートワーム、サザン・コーン・ルートワーム、ノーザン・コーン・ルートワームなどに対して改善された活性を有する。
【0047】
ポリペプチドのN末端又はC末端残基を含有するアミノ酸の配列の決定を可能にする種々の技法が存在する。例えば、自動エドマン分解法が、最大30個までのアミノ酸残基のN末端アミノ酸配列を残基当たり98%の精度で決定するために遂次的方法で使用できる。また、ポリペプチドのカルボキシ末端を含有するアミノ酸の配列の決定も、可能である〔Bailey et al., (1992);米国特許第6046053号明細書〕。従って、幾つかの実施形態において、タンパク分解プロセシングによって、例えば、昆虫の腸から調製されるプロテアーゼによって活性化されているB.t.Cryタンパク質は、特性決定されてもよき、活性化毒素断片のN末端又はC末端アミノ酸が同定される。昆虫、植物又は微生物プロテアーゼによるより大きな変異タンパク質のタンパク分解切断を可能にするか、又は除外するためにコード配列内の適切な位置でのプロテアーゼプロセシング部位の導入又は削除によって産生されるDIG−11昆虫毒素変異体は、本発明の範囲に入る。このような操作の最終結果は、非損傷(完全長)毒素タンパク質と同じ活性又はそれよりもよい活性を有する毒素断片分子の産生であると理解される。
【0048】
DIG−11昆虫毒素のドメイン
DIG−11昆虫毒素の別個のドメイン、(及びこのようなドメインと90%、95%、又は97%同一である変異体)は、増大した害虫毒性スペクトル、改善された効果、又は高められたタンパク質安定性を有する新規な毒素を提供するためにその他のCry毒素由来のドメインとの組み合わせを形成するのに有用であると予測される。DIG−11タンパク質のドメインIは、配列番号:2のアミノ酸残基86−306を含有する。DIG−11タンパク質のドメインIIは、配列番号:2のアミノ酸残基311−508を含有する。DIG−11タンパク質のドメインIIIは、配列番号:2のアミノ酸残基518−662を含有する。ドメイン交換又はシャフリングは、変性δ内毒素タンパク質を産生させるための別のメカニズムである。ドメインII及びIIIは、δ内毒素タンパク質同士の間で交換され、改善された殺虫活性又は標的スペクトルを有するハイブリッド又はキメラ毒素をもたらし得る。ドメインIIは、受容体結合に関与し、またドメインIIIは、特定のクラスの受容体タンパク質を結合し、おそらくはオリゴマー状毒素前細孔の挿入に関与するであろう。その他の毒素における幾つかのドメインIIIの置換が、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)に対して優れた毒性を生じることが明らかにされており(de Maagdra et al, (1996))、Cry毒素ドメイン交換の設計について指針が存在する(Knight et al., (2004))。
【0049】
組換えタンパク質を産生させ、それを殺虫活性について試験する方法は、当分野において周知である(例えば、Naimov et al., (2001)、de Maagd et al., (1996)、Ge et al., (1991)、Schnepf et al., (1990)、Rang et al., (1999))。Cry1A及びCry3Aタンパク質由来のドメインIが、膜内に挿入し、細孔を形成する能力について研究されている。ドメインIのαヘリックス4及び5は、膜挿入及び細孔形成において重要な役割を果たし(Walters et al., 1993、Gazit et al., 1998;Nunez-Valdez et al., 2001)、その他のヘリックスは、こうもり傘の骨のように膜表面に接触することが提案されている(Bravo et al., (2007);Gazit et al., (1998))。
【0050】
限定された数のアミノ酸の欠失、置換、又は付加を行うことによって作製されるDIG−11昆虫毒素変異体
配列番号:2のアミノ酸配列に対するアミノ酸の欠失、置換、及び付加は、連続した方法で容易に行うことができ、殺虫活性に対するこのような変化の影響は、バイオアッセイで試験することができる。もし変化の数が数において限定されるとすれば、このような試験は、不合理な実験を含まない。本発明は、最大10個まで、最大15個まで、又は最大20個までのアミノ酸の付加、欠失又は置換が行なわれているコア毒素(配列番号:2のアミノ酸1−664、又は配列番号:2のアミノ酸142−664)の殺虫活性変異体を含む。
【0051】
本発明は、配列番号:2のアミノ酸1−664、又は配列番号:2のアミノ酸142−664と90%、95%又は97%同一であるコア毒素セグメントを有するDIG−11昆虫毒素変異体を含む。
【0052】
変異体は、ランダム突然変異を行うことによって作製されてもよいし又は変異体は、設計されてもよい。設計された突然変異体の場合、アミノ酸同一性が、生物活性の一因となる毒素の重要な領域、又は究極的に生物活性の原因である三次元立体配置の決定に関与する毒素の重要な領域で維持される場合は未変性毒素と同様の活性を有する変異体を産生する可能性が高い。活性を保持する高い可能性はまた、置換が同類的である場合にも生じるであろう。アミノ酸は、次のクラス:非極性、非荷電極性、塩基性、及び酸性に分類し得る。一つのクラスのアミノ酸が同じ種類の別のアミノ酸に置換される同類置換は、変異体の生物活性を実質的に変える可能性が最も低い。表2は、それぞれのクラスに属するアミノ酸の例のリストを提供する。
【表2】

【0053】
ある場合には、非同類置換も行い得る。重要な要素は、これらの置換が毒素の生物活性を著しく損なってはならないということである。変異体は、突然変異誘発に起因してアミノ酸配列が異なるポリペプチドを含む。本発明に含まれる変異タンパク質は、生物学的に活性である、すなわち本発明に含まれる変異タンパク質は、未変性タンパク質の所望の活性を持ち続ける、すなわち殺虫活性を保持する。
【0054】
また、配列レベルで異なるが、同じ又は類似する全体的な必須三次元構造、表面電荷分布などを保持する変異タンパク質も設計し得る。例えば、米国特許第7058515号明細書;Larson et al., (2002);Stemmer(1994a, 1994b, 1995);及びCrameri et al., (1996a, 1996b, 1997)参照。
【0055】
核酸
DIG−11昆虫毒素をコードする単離された核酸は、本発明の一つの態様である。これは、配列番号:2及び配列番号:5をコードする核酸、並びにこれらの相補体、並びに配列番号:2の殺虫活性変異体をコードするその他の核酸を含む。「単離された」とは、本出願人は、核酸分子が、その自然環境から取り出されており、人の手によって異なる環境に置かれていることを意味する。遺伝暗号の重複性のために、種々様々な異なるDNA配列が、本明細書に開示されるアミノ酸配列をコードすることができる。同じ毒素又は本質的に同じ毒素をコードするこれらの別のDNA配列を作製することもまた、当業者の範囲内にある。
【0056】
遺伝子合成
本明細書に記載の改善されたCryタンパク質をコードする遺伝子は、当分野において周知の種々様々な方法で作り出すことができる。例えば、合成遺伝子セグメント及び合成遺伝子は、亜リン酸トリエステル及びホスホロアミダイト化学で作り出すことができ(Caruthers et al., 1987)、商業的ベンダーを、要求に応じて遺伝子合成を行うために利用できる。全長遺伝子は、種々様々な方法で、例えば制限断片の連結反応又はオーバーラップオリゴヌクレオチドのポリメラーゼ連鎖反応組み立てによって組み立てることができる(Stewart and Burgin, 2005)。また、末端遺伝子欠失は、部位特異的末端オリゴヌクレオチドを使用してPCR増幅によって作り出すことができる。
【0057】
DIG−11昆虫毒素をコードする核酸は、例えば、幾つかの商業的供給業者のいずれかによって現在実施されている方法による合成構築することによって作製できる。(例えば、米国特許第7482119B2号明細書参照)。これらの遺伝子、あるいはその部分又は変異体もまた、例えば、遺伝子合成装置及び例えば米国特許第5380831号明細書の設計方法を使用することによって合成的に構築し得る。別法として、合成又は天然に存在する遺伝子の変異体(variations)を、点変異を作るための標準的な分子生物学的技法を使用して容易に構築してもよい。これらの遺伝子の断片もまた、商業的に入手できるエキソヌクレアーゼ又はエンドヌクレアーゼを使用して標準手法に従って作製することができる。例えば、Bal31のような酵素又は部位特異的突然変異誘発が、これらの遺伝子の端部からヌクレオチドを系統的に切り離すのに使用できる。また、活性毒素断片をコードする遺伝子断片は、種々様々な制限酵素を使用して得てもよい。
【0058】
DIG−11昆虫毒素のアミノ酸配列を考慮に入れると、コード配列は、意図する宿主に好ましいコドンを使用してコード配列を逆翻訳し、次いで別のコドンを使用して配列を精製して、問題を生じるかもしれない配列を取り除き、周期的停止コドンを得て非コード読み取り枠の長いオープンコード配列を除去することによって設計することができる。
【0059】
配列同一性の定量
2つのアミノ酸配列又は2つの核酸配列の%同一性を決定するために、複数の配列を、最適比較のために整列させる。2つの配列の間の%同一性は、配列によって共有される同じ位置の数の関数である〔すなわち、%同一性=同じ位置の数/位置の総数(例えば、重複位置)×100〕。一つの実施形態において、2つの配列は、同じ長さである。2つの配列の間の%同一性は、ギャップを考慮に入れて又は考慮に入れずに、以下に記載する技法と同様の技法を使用して決定できる。%同一性の算出において、典型的には完全な一致が数えられる。
【0060】
2つの配列の間の%同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成できる。このようなアルゴリズムの非限定的な例は、Altschulら(1990)、並びにKarlin及びAltschul(1990)のアルゴリズムであり、Karlin及びAltschul(1993)におけるように変更され、BLASTN及びBLASTXプログラムに組み込まれたアルゴリズムである。BLAST検索は、核酸又はタンパク質データベースの問い合わせ配列に相同性の(類似の)配列を特定するのに都合よく使用し得る。BLASTN検索は、本発明の特許請求された核酸分子に対して相同性を有するヌクレオチド配列を特定するために行うことができる(スコア=100、単語の長さ=12)。BLASTX検索は、本発明の特許請求された殺虫性タンパク質分子に対して相同性を有するアミノ酸配列を特定するために行うことができる(スコア=50、単語の長さ=3)。
【0061】
Gapped BLAST(Altschul et al., (1997))を利用して、比較のためのギャップドアラインメントを取得し得る。別法として、PSI−Blastが、分子間の距離相関を検出する反復検索を行うために使用できる(Altschul et al., (1987))。BLASTプログラム、Gapped BLASTプログラム、及びPSI−Blastプログラムを利用する場合には、それぞれのプログラムのデフォルトパラメーターを使用し得る。ウェブサイトwww.ncbi.nlm.nih.gov.参照。
【0062】
配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの非限定的な例は、ClustalWアルゴリズムである(Thompson et al., (1994))。ClustalWは、配列を比較し、アミノ酸又はDNA配列の全体を整列させ、従って完全なアミノ酸配列又はヌクレオチド配列の配列保存についてデータを提供し得る。ClustalWアルゴリズムは、幾つかの商業的に入手できるDNA/アミノ酸解析ソフトウエアパッケージ、例えばVector NTI Program Suite(Invitrogen,Inc.,Carlsbad,CA)のALIGNXモデュールにおいて使用される。ALIGNXを用いてアミノ酸配列を整列させる場合には、2つの配列の間の%アミノ酸類似性(共通)又は同一性を評価するために、10のギャップ開始ペナルティ、0.1のギャップ伸長ペナルティ及びblosum63mt2比較行列を用いてデフォルト設定を都合よく使用し得る。ALIGNX用いてDNA配列を整列させる場合には、2つの配列の間の%同一性を評価するために、15のギャップ開始ペナルティ、6.6のギャップ伸長ペナルティ及びswgapdnamt比較行列を用いてデフォルト設定を都合よく使用し得る。
【0063】
配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの非限定的な例は、Myers及びMiller(1988)のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、wEMBOSS配列アラインメントソフトウエアパッケージ(ウェブサイトhttp://emboss. sourceforge.net/で入手できる)の一部であるwSTRETCHERプログラムに組み込まれる。wSTRETCHERは、線形空間を使用する古典的動的プログラミングアルゴリズムの修正を使用して2つの配列の最適グローバルアラインメントを計算する。アラインメントを計算するのに使用される置換行列、ギャップ挿入ペナルティ及びギャップ伸長ペナルティを、明記し得る。ヌクレオチド配列を比較するためにwSTRETCHERプログラムを利用する場合には、16のギャップ開始ペナルティ及び4のギャップ伸長ペナルティが、スコア行列ファイルEDNAFULLと共に使用できる。アミノ酸配列を比較するために使用する場合には、12のギャップ開始ペナルティ及び2のギャップ伸長ペナルティが、EBLOSUM62スコア行列ファイルと共に使用し得る。
【0064】
配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの別の非限定的な例は、NeedlemanとWunsch(1970)のアルゴリズムであり、これは、配列アラインメントソフトウエアパッケージGAPバージョン10及びwNEEDLE(ウェブサイトhttp://emboss.sourceforge.net/)に組み込まれる。GAPバージョン10は、以下のパラメーターを使用して配列同一性又は類似性を決定するのに使用し得る:ヌクレオチド配列については、%同一性及び%類似性は、50のギャップウエイト(GAP Weight)及び3のレングスウェイト(Length Weight)並びにnwsgapdna.cmpスコア行列を使用して見出される。アミノ酸配列の比較のためには、%同一性又は%類似性は、8のギャップウエイト及び2のレングスウェイト、並びにBLOSUM62スコアプログラムを使用して決定される。
【0065】
wNEEDLEは、2つの入力配列を読み取り、その全体の長さに沿って最適アラインメント(ギャップを含む)を見つけ出し、その最適グローバル配列アラインメントを書き出してファイルする。このアルゴリズムは、全ての可能なアラインメントを精査し、あらゆる可能な残基又はヌクレオチドマッチ(match)の値を含むスコア行列を使用して最もよいアラインメントを選択する。wNEEDLEは、最大可能スコアを用いてアラインメント見つけ出し、この場合にアラインメントのスコアは、整列させた配列の開始ギャップ及び伸長ギャップから生じるペナルティを差し引いたスコア行列から得られるマッチの総計と同じである。置換行列及びギャップ開始ペナルティ及びギャップ伸長ペナルティは、ユーザー指定である。アミノ酸配列を比較する場合には、10のデフォルトギャップ開始ペナルティ、0.5のギャップ伸長ペナルティ、及びEBLOSUM62比較行列が使用される。DNA配列を、wNEEDLEを使用して比較する場合には、10のギャップ開始ペナルティ、0.5のギャップ伸長ペナルティ0.5、及びEDNAFULL比較行列が使用される。
【0066】
同等のプログラムも使用し得る。「同等プログラム」とは、問題とする任意の2つの配列について、ALIGNX、wNEEDLE、又はwSTRETCHERによって作製される対応アラインメントと比較した場合に、同じヌクレオチド又はアミノ酸残基マッチ及び同じ%配列同一性を有するアラインメントを生じる任意の配列比較プログラムを意図する。%同一性は、報告された整列領域(その長さに任意のギャップを含む)全体にわたる2つの配列の間の同じマッチの%であり、%類似性は、報告された整列領域(その長さに任意のギャップを含む)全体にわたる2つの配列の間のマッチの%である。
【0067】
アラインメントは、精査によって手動で行ってもよい。
【0068】
組換え宿主
主題発明の昆虫毒素コード遺伝子は、種々様々な微生物又は植物宿主に導入し得る。昆虫毒素遺伝子の発現は、直接的に又は間接的に、殺虫性タンパク質の細胞内産生及び維持をもたらす。適当な微生物宿主、例えばシュードモナス菌について、当該微生物は、害虫が繁殖し、摂食するであろう害虫の環境に施用できる。その結果は、害虫の防除である。別法として、昆虫毒素遺伝子を宿す微生物は、毒素の活性を長くし、細胞を安定させる条件下で処理し得る。毒素活性を保持する処理細胞は、次いで、標的害虫の環境に施用し得る。
【0069】
B.t.毒素遺伝子が適当なベクターを介して微生物宿主に導入され、前記宿主が生活状態の環境に施用される場合には、ある種の宿主微生物を使用することが不可欠である。関心の1つ又はそれ以上の作物の「植物圏」(葉面、葉圏、根圏、及び/又は根面)を占有することが知られている微生物宿主が、選択される。これらの微生物は、特定の環境(作物及びその他の昆虫の生息環境)で野生型固有微生物とうまく競合することができ、ポリペプチド有害生物防除剤(pesticide)を発現する遺伝子の安定な維持及び発現を提供し、そして望ましくは、環境の悪化及び不活性化から有害生物防除剤の改善された保護を提供することができるように選択される。
【0070】
多数の微生物が、種々様々な重要作物の葉面(植物の葉の表面)及び/又は根圏(植物の根を取り囲む土壌)に生息することが知られている。これらの微生物としては、細菌類、藻類、及び真菌類が挙げられる。特に重要であるのは、微生物、例えば細菌、例えばシュードモナス(Pseudomonas)属、エルウィニア(Erwinia)属、セラチア(Serratia)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、キサントモナス(Xanthomonas)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、リゾビウム(Rhizobium)属、シノリゾビウム(Sinorhizobium)属、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)属、メチルフィルス(Methylophilius)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アセトバクター(Acetobacter)属、ラクトバシラス(Lactobacillus)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、アゾトバクター(Azotobacter)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属、及びアルカリゲネス(Alcaligenes)属の細菌;真菌類、特に酵母、例えばサッカロミセス(Saccharomyces)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、スポロミセス(Sporobolomyces)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、及びアウレオバシジウム(Aureobasidium)属の真菌である。特に重要ものは、シュードモナス・シリンゲ(Pseudomanas syringae)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomanas fluorescens)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)、ロドシュードモナス・スフェロイデス(Rhodopseudomonas spheroides)、キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)、シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti)〔以前は、リゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti)〕、アルカリゲネス・ユートロフス(Alcaligenes eutrophus)、及びアゾトバクター・ビネランジイ(Azotobacter vinelandii)などの植物圏細菌種;並びに植物圏酵母種、例えばロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、ロドトルラ・グルチニス(R. glutinis)、ロドトルラ・マリナ(R. marina)、ロドトルラ・アウランチアカ(R. aurantiaca)、クリプトコッカス・アルビヅス(Cryptococcus albidus)、クリプトコッカス・ジフルエンス(C. diffluens)、クリプトコッカス・ローレンチイ(C. laurentii)、サッカロミセス・ロゼイ(Saccharomyces rosei)、サッカロミセス・プレトリエンシス(S. pretoriensis)、サッカロミセス・セレビシアエ(S. cerevisiae)、スポロボロミセス・ロゼウス(Sporobolomyces roseus)、スポロボロミセス・オドルス(S. odorus)、クルイベロミセス・ベロナエ(Kluyveromyces veronae)、及びアウレオバシジウム・ポルランス(Aureobasidium pollulans)である。特に重要なものは、色素微生物である。
【0071】
昆虫害虫の防除方法
昆虫が、遺伝子組換え植物発現、製剤化タンパク質組成物(1つ又は複数)、噴霧可能タンパク質組成物(1つ又は複数)、食餌マトリックス又はその他の送達系によって送達される有効量の毒素と接触すると、その結果、典型的には、昆虫は死ぬか、又は毒素を昆虫に利用可能な状態にする供給源を昆虫が食べなくなる。
【0072】
主題のタンパク質毒素は、標的昆虫に接触させるために種々様々な方法で「施用]又は提供され得る。例えば、遺伝子組換え植物(この場合、前記タンパク質は、該植物によって産生されるか又は該植物中に存在する)が、使用でき、当分野において周知である。また、毒素遺伝子の発現は、植物の特定の組織、例えば根、葉などにおいて選択的に達成され得る。これは、例えば、組織特異的プロモーターを使用することによって達成し得る。噴霧施用は、別の例であり、これも当分野において周知である。主題タンパク質は、所望の最終用途のために適切に製剤し、次いで保護すべき植物及び/又は植物の周囲/植物の近辺に、寄生が発見される前に、標的昆虫が発見された後に、前後両方などに噴霧(又は施用)できる。また、餌顆粒も、例えば使用でき、当分野において公知である。
【0073】
遺伝子組換え植物
主題タンパク質は、任意の種類の植物を、昆虫害虫による被害から実用的に保護するのに使用し得る。このような植物の例としては、ほんの数例を挙げると、トウモロコシ、ヒマワリ、ダイズ、ワタ、アブラナ、イネ、モロコシ、コムギ、オオムギ、野菜、観葉植物、カラシ(トウガラシを含む)、サトウダイコン、果実、及び芝生が挙げられる。植物を形質転換する方法は、当分野において周知であり、例示的な形質転換方法を実施例に記載する。
【0074】
主題発明の好ましい実施形態は、主題の殺虫性タンパク質又はその変異体をコードする遺伝子を用いた植物の形質転換である。形質転換植物は、形質転換植物の細胞内に防除量の主題の殺虫性タンパク質又はその変異体を存在させることによって昆虫標的害虫による攻撃に耐える。B.t.殺虫性毒素の殺虫特性をコードする遺伝物質を、特定の昆虫害虫によって食べられる植物のゲノムに組み込むことによって、その成虫又は幼虫は、食用植物を消費した後に死ぬであろう。単子葉植物及び双子葉植物分類の多数のメンバーが、形質転換されている。遺伝子組換え農業作物及び果実並びに野菜が、商業的に重要である。このような作物としては、以下に限定されないがトウモロコシ、イネ、ダイズ、アブラナ、ヒマワリ、アルファルファ、モロコシ、コムギ、ワタ、落花生、トマト、ジャガイモなどが挙げられる。外来遺伝物質を植物細胞に導入し、導入された遺伝子を安定的に維持し、発現する植物を得るための幾つかの技法が存在する。このような技法としては、直接に細胞内への微粒子表面にコーティングされた遺伝物質の加速が挙げられる(米国特許第4945050号及び米国特許第5141131号明細書)。植物は、アグロバクテリウム技術を使用して形質転換し得、米国特許第5177010号、米国特許第5104310号、欧州特許出願公告第0131624B1号、欧州特許出願第120516号、欧州特許出願公告第159418B1号、欧州特許出願第176112号、米国特許第5149645号、米国特許第5469976号、米国特許第5464763号、米国特許第4940838号、米国特許第4693976号、欧州特許出願第116718号、欧州特許出願第290799号、欧州特許出願第320500号、欧州特許出願第604662号、欧州特許出願第627752号、欧州特許出願第0267159号、欧州特許出願第0292435号、米国特許第5231019号、米国特許第5463174号、米国特許第4762785号、米国特許第5004863号、及び米国特許第5159135号各明細書が参照される。その他の形質転換技術としては、WHISKERS(商標)技術が挙げられ、米国特許第5302523号及び米国特許第5464765号各明細書が参照される。電気穿孔技術も、植物を形質転換するのに使用されており、国際公開第87/06614号、米国特許第5472869号、米国特許第5384253号、国際公開第9209696号、及び国際公開第9321335号各明細書が参照される。これらの形質転換特許及び刊行物の全てが、参照することにより援用される。植物を形質転換するための多数の技術の他に、外来遺伝子と接触させる組織の種類もまた多種多様であり得る。このような組織としては、以下に限定されないが、胚形成組織、カルス組織タイプI及びII、胚軸、分裂組織などが挙げられる。ほぼ全ての植物組織を、当業者の範囲内の適切な技術を使用して脱分化中に形質転換させ得る。
【0075】
DIG−11昆虫毒素をコードする遺伝子は、前記に開示したような当分野において周知である種々様々な技法を使用して植物細胞に挿入することができる。例えば、形質転換微生物細胞の選択を可能にする標識と大腸菌中で機能的な複製系とを含有してなる多数のクローニングベクターが、高等植物に挿入するための外来遺伝子の調製及び修飾に利用できる。このような操作としては、例えば、意図する用途に望まれるような突然変異の挿入、切断(truncation)、付加、置換を挙げ得る。ベクターは、例えば、pBR322、pUCシリーズ、M13mpシリーズ、pACYC184などを有する。従って、Cryタンパク質又は変異体をコードする配列が、ベクターに適当な制限部位で挿入できる。得られるプラスミドが、大腸菌の形質転換のために使用され、その細胞が適当な栄養培地で培養され、次いで収穫され、実行可能な量のプラスミドが回収されるように溶解される。配列分析、制限断片分析、電気泳動、及びその他の生化学的−分子生物学的方法が、一般に分析の方法として実施される。それぞれの操作の後に、使用するDNA配列を、切断し、次のDNA配列に連結できる。それぞれの操作DNA配列は、同じプラスミド又は別のプラスミド内でクローン化することができる。
【0076】
植物細胞の形質転換のためのT−DNA含有ベクターの使用は、鋭意研究され、欧州特許出願第120516号明細書;Lee and Gelvin (2008)、Fraley et al.,(1986)、及び An et al., (1985)に十分に記載されており、当該分野で十分に確立されている。
【0077】
挿入されたDNAは、植物ゲノムに一旦組み込まれると、その後の産生全体を通じて比較的安定である。植物細胞を形質転換するのに使用されるベクターは、標準的に、形質転換植物細胞に、除草剤又は抗生物質、例えば特にビアラホス、カナマイシン、G418、ブレオマイシン、又はハイグロマイシンに対する抵抗性を付与するタンパク質をコードする選択可能な標識遺伝子を含有する。従って、個々に用いられる選択可能な標識遺伝子は、形質転換細胞の選択を可能にすべきであり、同時に挿入DNAを含有していない細胞の増殖が該選択性化合物によって抑制される。
【0078】
多数の技法が、DNAを宿主植物細胞に挿入するのに利用できる。これらの技法としては、形質転換剤としてアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)又はアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)によって送達されるT−DNAを用いる形質転換が挙げられる。さらに、植物プロトプラストと送達すべきDNAを含有するリポソームとの融合、DNAの直接注入、微粒子銃形質転換(微粒子銃)法、又は電気穿孔法、及びその他の可能な方法を用いてもよい。
【0079】
主題発明の好ましい実施形態において、植物は、タンパク質コード領域のコドン使用頻度が植物について最適化されている遺伝子を用いて形質転換されるであろう。例えば、米国特許第5380831号明細書が参照され、これは参照することにより本明細書で援用される。また、都合よく、切断毒素をコードする植物が使用されるであろう。切断毒素は、典型的には、完全長毒素の約55%〜約80%をコードするであろう。植物に使用するための合成B.t.遺伝子を作製する方法は、当分野において公知である(Stewart 2007)。
【0080】
形質転換技法に関係なく、前記遺伝子は、ベクター内に植物プロモーターを含むことによって、植物細胞内でB.t.殺虫性毒素遺伝子及び変異体を発現するのに適合した遺伝子トランスファーベクターに組み込まれることが好ましい。植物プロモーターの他に、種々の供給源からのプロモーターが、植物細胞中で外来遺伝子を発現するために効率的に使用できる。例えば、細菌起源のプロモーター、例えばオクトピンシンターゼプロモーター、ノパリンシンターゼプロモーター、マンノピンシンターゼプロモーター;ウイルス起源のプロモーター、例えばカリフラワーモザイクウイルスの35S及び19Sプロモーターなどが、使用し得る。植物プロモーターとしては、以下に限定されないが、リブロース−1,6−ビスホスフェート(RUBP)カルボキシラーゼ小サブユニット(ssu)、β−コングリシニンプロモーター、ファゼオリンプロモーター、ADH(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、熱ショックプロモーター、ADF(アクチン解重合因子)プロモーター、及び組織特異的プロモーターが挙げられる。プロモーターはまた、転写効率を向上し得るある種のエンハンサー配列要素も含有し得る。典型的なエンハンサーとしては、以下に限定されないが、ADH1−イントロン1及びADH1−イントロン6が挙げられる。構成的プロモーターを使用してもよい。構成的プロモーターは、ほぼ全ての細胞タイプにおいて及びほぼいつでも連続した遺伝子発現を指示する(例えば、アクチン、ユビキチン、CaMV35S)。組織特異的プロモーターは、特定の細胞又は組織タイプ、例えば葉又は種子での遺伝子発現に関与し〔例えば、ゼイン、オレオシン、ナピン、ACP(アシルキャリアータンパク質)〕、これらのプロモーターも使用し得る。植物の発育の特定の段階の間に活性である及び特定の植物組織及び器官で活性であるプロモーターも使用し得る。このようなプロモーターの例としては、以下に限定されないが、根特異的、花粉特異的、胚特異的、トウモロコシの毛特異的、ワタ線維特異的、種子胚乳特異的、師部特異的及びその他特異的なプロモーターが挙げられる。
【0081】
特定の環境下では、誘導性プロモーターを使用することが望ましいものであり得る。誘導性プロモーターは、特定のシグナル、例えば:物理的刺激(例えば、熱ショック遺伝子);光(例えば、RUBPカルボキシラーゼ);ホルモン(例えば、グルココルチコイド);抗生物質(例えば、テトラサイクリン);代謝産物;及びストレス(例えば、干ばつ)に応答する遺伝子発現に関与する。植物内で機能するその他の望ましい転写及び翻訳要素、例えば5’非翻訳リーダー配列、RNA転写終結配列及びポリアデニル酸付加シグナル配列を使用し得る。多数の植物特異的遺伝子トランスファーベクターが、当分野に知られている。
【0082】
昆虫抵抗性(IR)形質を含む遺伝子組換え作物は、北アメリカ全体でトウモロコシ及びワタ植物で一般に用いられており、これらの形質の使用は全世界で拡大している。IRと除草剤耐性(HT)形質とを兼ね備えた商用遺伝子組換え作物が、多数の種子会社で開発されている。これらは、B.t.殺虫性タンパク質によって付与されるIR形質と、HT形質、例えばアセト乳酸シンターゼ(ALS)阻害剤、例えばスルホニルウレア類、イミダゾリノン類、トリアゾロピリミジン、スルホンアニリド類など、グルタミンシンテターゼ(GS)阻害剤、例えばビアラホス、グルホシネートなど、4−ヒドロキシフェニルピルベートジオキシゲナーゼ(HPPD)阻害剤、例えばメソトリオン、イソオキサフルトールなど、5−エノールピルビルシキメート−3−ホスフェートシンターゼ(EPSPS)阻害剤、例えばグリホセートなど、及びアセチル−Co酵素Aカルボキシラーゼ(ACCase)阻害剤、例えばハロキシホップ、キザロホップ、ジクロホップなどに対する耐性との組み合わせを含む。遺伝子組換えにより提供されるタンパク質が、除草剤分類、例えばフェノキシ酸系除草剤及びピリジルオキシアセテートオーキシ系除草剤(国際公開第2007/053482A2号明細書参照)、又はフェノキシ酸系除草剤及びアリールオキシフェノキシプロピオネート系除草剤(国際公開第2005107437A2、A3号明細書参照)に耐性の植物を提供するその他の例が、知られている。多数の害虫問題をIR形質によって防除できることが、重要な商業製品概念であり、この製品概念の便益は、昆虫防除形質及び雑草防除形質が同一植物中で組み合わさる場合に高められる。また、高められた価値は、単一植物でのB.t.殺虫性タンパク質、例えば主題発明のB.t.殺虫性タンパク質によって付与されるIR形質と、1つ又はそれ以上の追加のHT形質、例えば前述の形質と、さらに1つ又はそれ以上の追加の入力形質(例えば、B.t.によって誘導されるか又はその他の殺虫性タンパク質によって付与されるその他の昆虫抵抗性、RNAiなどのようなメカニズムによって付与される昆虫抵抗性、耐病性、ストレス耐性、改善された窒素利用など)、又は出力形質(例えば、高い油分含有量、ヘルシーオイル組成、栄養改善など)との組み合わせによって取得し得る。このような組み合わせは、従来の育種〔育種素材(breeding stack)〕によるか又は多重遺伝子〔分子素材(molecular stack)〕の同時導入を含む新規形質イベントとして加えることによって取得し得る。便益としては、昆虫害虫を管理できること及び製造者及び/又は消費者に副次的便益を提供する作物植物において改善された雑草防除が挙げられる。従って、主題発明は、その他の形質と組み合わせて使用して、多数の農業経済学的問題を柔軟に及び費用効率的に管理する能力を有する高められた作物品質の完全な農業経済学的パッケージを提供できる。
【0083】
標的害虫
本発明のDIG−11昆虫毒素は、昆虫害虫の防除に使用するのに特に適している。甲虫目(Coleopterans)は、毎年極めて多額の被害を引き起こす一つの重要な群の農業害虫、園芸害虫及び家庭害虫である。この昆虫目は、葉及び根摂食幼虫及び成虫、例えば:ヒゲナガゾウムシ科(Anthribidae)、マメゾウムシ科(Bruchidae)、及びゾウムシ科(Curculionidae)のゾウムシ〔例えば、メキシコワタミゾウムシ(Anthonomus grandis Boheman)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus Kuschel)、グラナリアコクゾウムシ(Sitophilus grananus Linnaeus)、ココクゾウムシ(Sitophilus oryzae Linnaeus)、ツメクサタコゾウムシ(Hypera punctata Fabricius)、及びトウモロコシゾウムシ(Sphenophorus maidis Chittenden)〕;ハムシ科(Chrysomelidae)のノミトビヨロイムシ、ウリハムシ、ルートワーム(rootworm)、ハムシ、ジャガイモハムシ、及びハモグリムシ〔例えば、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata Say)、ウェスタン・コーン・ルートワーム(Diabrotica virgifera virgifera LeConte)、ノーザン・コーン・ルートワーム(Diabrotica barben Smith & Lawrence);サザン・コーン・ルートワーム(Diabrotica undecimpunctata howardi Barber)、トウモロコシノミハムシ(Chaetocnema pulicara Melsheimer)、アブラナ科植物ノミハムシ(Phyllotreta cruciferae Goeze)、グレープ・コラスピス(grape colaspis)(Colaspis brunnea Fabricius)、クビアカクビボソハムシ(Oulema melanopus Linnaeus)、及びヒマワリハムシ(Zygogramma exclamationis Fabricius)〕;テントウムシ科(Coccinellidae)の甲虫類〔例えば、インゲンテントウ(Epilachna varivestis Mulsant)〕;コガネムシ科(Scarabaeidae)のコガネムシ及びその他の甲虫類〔例えば、マメコガネ(Popillia japonica Newman)、ノーザン・マスクドシェイファー(northern masked chafer)(Cyclocephala borealis Arrow)、サザン・マスクドシェイファー(southern masked chafer)(Cyclocephala immaculata Olivier)、ヨーロッパシェイファー(European chafer)(Rhizotrogus majalis Razoumowsky)、コガネムシ類幼虫(Phyllophaga crinita Burmeister)、及び キャロットビートル(Ligyrus gibbosus De Geer)〕;カツオブシムシ科(Dermestidae)のカツオブシムシ;コメツキムシ科(Elateridae)のコメツキムシ〔例えば、メラノツス(Melanotus)種、コノデルス(Conoderus)種、リモニウス(Limonius)種、アグリオテス(Agriotes)種、クテニセラ(Ctenicera)種、アエオルス(Aeolus)種〕;キクイムシ科(Scolytidae)のキクイムシ、及びゴミムシダマシ科(Tenebrionidae)の甲虫類〔例えば、エレオデス(Eleodes)種〕を含む。上記に列挙した属(及びその他)は、一般に、主題発明の一部として標的にすることもできる。これらの属(標的として)のいずれかの更なる昆虫も本発明の範囲に含まれる。
【0084】
鱗翅目(Lepidopterans)は、毎年極めて多額の被害を引き起こす別の重要な群の農業害虫、園芸害虫及び家庭害虫である。この昆虫目は、葉及び根摂食幼虫及び成虫を含む。鱗翅目昆虫害虫としては、以下に限定されないが:アコロイア・グリセラ(Achoroia grisella)、アクレリス・グロベラナ(Acleris gloverana)、アクレリス・バリアナ(Acleris variana)、リンゴコカクハモン(Adoxophyes orana)、アグロチス・イプシロン(Agrotis ipsilon)(タマナヤガ)、アラバマ・アルギラセア(Alabama argillacea)、アルソフィラ・ポメタリア(Alsophila pometaria)、クルミマダラメイガ(Amyelois transitella)、スジコナマダラメイガ(Anagasta kuehniella)、モモキバガ(Anarsia lineatella)、アニソタ・セナトリア(Anisota senatoria)、サクサン(Antheraea pernyi)、アンチカルシア・ゲムマタリス(Anticarsia gemmatalis)、アルチップス(Archips)種、アルジロタエニア(Argyrotaenia)種、アセチス・ミンダラ(Athetis mindara)、カイコガ(Bombyx mori)、ブックラトリクス・スルベリエラ(Bucculatrix thurberiella)、スジマダラメイガ(Cadra cautella)、コリストニューラ(Choristoneura)種、コキルス・ホスペス(Cochylls hospes)、コリアス・ユーリテメ(Colias eurytheme)、ガイマイツヅリガ(Corcyra cephalonica)、シジア・ラチフェレアヌス(Cydia latiferreanus)、コドリンガ(Cydia pomonella)、ダタナ・インテゲルリマ(Datana integerrima)、デンドロリムス・シベリカス(Dendrolimus sibericus)、デスミア・フェネラリス(Desmia feneralis)、ディアファニア・ヒアリナタ(Diaphania hyalinata)、アメリカウリノメイガ(Diaphania nitidalis)、ディアトラエア・グランジオセラ(Diatraea grandiosella)(サウスウエスタン・コーンボーラー)、ディアトラエア・サッカッラリス(Diatraea saccharalis)、アメリカトガリキリバエダシャクガ(Ennomos subsignaria)、エオレウマ・ロフチニ(Eoreuma loftini)、チャマダラメイガ(Esphestia elutella)、エランニス・チラリア(Erannis tilaria)、キシタゴマダラヒトリ(Estigmene acrea)、ユーリア・サルブリコラ(Eulia salubricola)、ユーポエシリア・アンビグエラ(Eupoecilia ambiguella)、ブドウホソマキ(Eupoecilia ambiguella)、オグロムモンシロドクガ(Euproctis chrysorrhoea)、エウクソア・メソリア(Euxoa messoria)、ハチノスツヅリガ(Galleria mellonella)、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、アメリカブドウホソクロバ(Harrisina americana)、ヘリコベルパ・サブフレキサ(Helicoverpa subflexa)、アメリカタバコガ(Helicoverpa zea)(コーン・イアーワーム)、ニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens)、ヘミレウカ・オリビアエ(Hemileuca oliviae)、ホモエオソマ・エケクテルム(Homoeosoma electellum)、アメリカシロヒトリ(Hyphantia cunea)、ケイフェリア・リコペリシセラ(Keiferia lycopersicella)、カナダツガシャクトリガ(Lambdina fiscellaria fiscellaria)、エダシャクガ(Lambdina fiscellaria lugubrosa)、ヤナギドクガ(Leucoma salicis)、ホソバヒメハマキ(Lobesia botrana)、ロクサグロチス・アルビコスタ(Loxagrotis albicosta)(ウェスタン・ビーン・カットワーム)、ヘリキスジノメイガ(Loxostege sticticalis)、マイマイガ(Lymantria dispar)、マカラ・チリサリス(Macalla thyrisalis)、マラコソマ(Malacosoma)種、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、ベルタアワヨトウ(Mamestra configurata)、マンヅカ・キンクエマクラータ(Manduca quinquemaculata)、タバコスズメガ(Manduca sexta)、マメノメイガ(Maruca testulalis)、メランチラ・ピクタ(Melanchra picta)、ナミスジフユナミシャク(Operophtera brumata)、オルギア(Orgyia)種、アワノメイガ(Ostrinia nubilalis) (ヨーロッパ・コーンボーラー)、パレアシリタ・ヴェルナタ(Paleacrita veRNAta)、パピアペマ・ベブリス(Papiapema nebris)〔コモン・ストーク・ボーラー(common stalk borer)〕、クレスフォンテスタスキアゲハ(Papilio cresphontes)、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)、フィリガニディア・カリフォルニカ(Phryganidia californica)、フィロノリクテル・ブランカルデラ(Phyllonorycter blancardella)、エゾスジグロシロチョウ(Pieris napi)、モンシロチョウ(Pieris rapae)、プラチペナ・スカブラ(Plathypena scabra)、プラチノタ・フロウエンダナ(Platynota flouendana)、プラチノタ・スツルタナ(Platynota stultana)、プラチプチリア・カルジュイダクチラ(Platyptilia carduidactyla)、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)、コナガ(Plutella xylostella)、イチマツシロチョウ(Pontia protodice)、シューダレチア・ウニプンクタ(Pseudaletia unipuncta)(アワヨトウ)、シュードプラシア・インクルデンス(Pseudoplasia includens)、サブロデス・アエグロタタ(Sabulodes aegrotata)、シズラ・コンシナ(Schizura concinna)、バクガ(Sitotroga cerealella)、リンゴシロヒメハマキ(Spilonta ocellana)、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)、スポドプテラ・エクシグア(Spodoptera exigua)(シロイチモジヨトウ)、タウルンストポエア・ピチオカンパ(Thaurnstopoea pityocampa)、エンソラ・ビセリエラ(Ensola bisselliella)、イラクサギンウワバ(Trichoplusia hi)、ウデア・ルビガリス(Udea rubigalis)、キシロミゲス・クリアリス(Xylomyges curiails)、及びヨーロッパリンゴスガ(Yponomeuta padella)が挙げられる。
【0085】
作物植物の甲虫目害虫を防除するためのDIG−11昆虫毒素の使用が、意図される。幾つかの実施形態において、Cryタンパク質は、以下に限定されないが、例えばルートワーム、例えばディアブロチカ・ウンデシムプンクタタ・ホワルジ(Diabrotica undecimpunctata howardi)(サザン・コーン・ルートワーム)、ディアブロチカ・ロンギコルニス・バーベリ(Diabrotica longicornis barberi)(ノーザン・コーン・ルートワーム)、及びディアブロチカ・ビルギフェラ(Diabrotica virgifera)(ウェスタン・コーン・ルートワーム)、及び地虫、例えば、シクロセファラ・ボレアリス(Cyclocephala borealis)(ノーザン・マスクドシェイファー)、シクロセファラ・イマクラタ(Cyclocephala immaculata)(サザン・マスクドシェイファー)及びマメコガネ(Popillia japonica)を含む昆虫害虫の防除に経済的に配置し得る。
【0086】
寄生線虫、例えば以下に限定されないが、ネコブセンチュウ(Meloidogyne icognita)及びダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)を防除するためのDIG−11昆虫毒素の使用も意図される。
【0087】
DIG−11昆虫毒素の抗体検出
抗毒素抗体
本明細書に開示する昆虫毒素、又は同等の毒素、あるいはこれらの毒素の断片に対する抗体は、この技術の標準方法を使用して容易に調製できる。このような抗体は、DIG−11昆虫毒素の存在を検出するのに有用である。
【0088】
B.t.殺虫性毒素が一旦単離されると、該毒素に特異的な抗体を、当分野で周知の慣用の方法で生じさせ得る。数週間又は数ヶ月にわたる選り抜きの宿主への反復注射は、免疫応答を誘発し、顕著な抗B.t.毒素血清力価をもたらす。好ましい宿主は、哺乳動物種であり、さらに好ましい種は、ウサギ、ヤギ、ヒツジ及びマウスである。このような免疫動物から採取された血液は、B.t.殺虫性毒素と反応性の抗血清(ポリクロナール抗体)を得るために、確立された方法で処理し得る。次いで、抗血清は、当分野で公知の技法に従って前記毒素に吸着させることによってアフィニティ精製し得る。アフィニティ精製抗血清は、当分野で公知の方法を使用して、抗血清内の免疫グロブリン画分を単離することによってさらに精製し得る。得られる物質は、B.t.殺虫性毒素と反応性の免疫ブロブリンの不均一集団であろう。
【0089】
抗B.t.毒素抗体はまた、免疫原担体に複合させたB.t.殺虫性毒素の合成ペプチド断片からなる半合成免疫原を調製することによって生じさせてもよい。ペプチド断片を作製するのに有用な多数のスキーム及び装置が、当分野において周知である。多数の適当な免疫原担体、例えばウシ血清アルブミン又はキーホールリンペット・ヘモシアニンも、当分野において免疫原と担体タンパク質とを結合させる技法であると周知である。半合成免疫原が一旦組み立てられると、B.t.殺虫性毒素断片に特異的な抗体を作製する手順は、天然B.t.毒素と反応性の抗体を作製するのに使用される手順と同じである。
【0090】
抗B.t.毒素モノクロナール抗体(MAb)は、精製B.t.殺虫性毒素を使用して容易に調製される。MAbを製造する方法は、15年間にわたって実施されており、当業者には周知である。補助剤中の精製B.t.殺虫性毒素の反復腹腔又は皮下注射は、大部分の動物において免疫応答を誘発するであろう。高度免疫Bリンパ球が、動物から取り出され、無期限に培養できる適当な融合パートナー細胞株と融合される。Bリンパ球が高度免疫処置され、MAbの産生に使用される好ましい動物は、哺乳動物である。さらに好ましい動物は、ラット及びマウスであり、最も好ましいのはBALB/cマウス株である。
【0091】
多数の哺乳動物細胞株が、ハイブリドーマの産生に適した融合パートナーである。多数のこのような細胞株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC,Manassas,VA)及び商業供給業者から入手できる。好ましい融合パートナー細胞株は、マウス骨髄腫から誘導され、HL−1(登録商標)フレンドリー骨髄腫653細胞株(Ventrex,Portland,ME)が最も好ましい。融合されると、得られるハイブリドーマは、選択増殖培地で1〜2週間培養される。2つの周知の選択系が、非融合骨髄腫細胞、又は骨髄腫細胞同士の間の融合物を、混合ハイブリドーマ培養物から除去するのに利用できる。選択系の選択は、免疫処置されるマウスの株及び使用される骨髄腫融合パートナーに依存する。TaggartとSamloffによって記載された(1983)ATT選択系を使用し得る;しかし、Littlefieldによって記載された(1964)HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選択系が、その好ましいマウス株及び前述の融合パートナーとの相溶性から好ましい。次いで、使用済み増殖培地は、免疫特異的MAb分泌について選別される。酵素結合免疫吸着検定(ELISA)法が、この目的に最もよく適合する;しかし、大容量スクリーニングに適合した放射線免疫検定法も許容できる。相当な数の不適切な又はあまり望まれない培養を連続して少しずつ減らすために設計される多重スクリーニングを行ってもよい。B.t.殺虫性毒素と反応性のMAbを分泌する培養物は、公知B.t.殺虫性毒素との交差反応性について選別してもよい。好ましいB.t.殺虫性毒素に優先的に結合するMAbは、商業的に入手できるアッセイを使用してイソタイプを判別してもよい。好ましいMAbは、IgGクラスのものであり、さらに好ましいMAbは、IgG及びIgG2aサブイソタイプのものである。
【0092】
好ましいMAbを分泌するハイブリドーマ培養物は、単クローン性及び安定性を確立するために数回サブクローニングしてもよい。真核非接着性細胞培養物をサブクローニングする周知の方法としては、限界希釈法、軟アガロース及び蛍光活性化細胞選別法が挙げられる。それぞれサブクローニングした後に、得られる培養物は、好ましくは、安定な好ましいMAb分泌培養物が確立されることを確実にするために抗体の分泌及びイソタイプについて再度アッセイされる。
【0093】
抗B.t.毒素抗体は、本発明の特許請求されるB.t.殺虫性毒素及びその変異体又は断片を検出する種々の方法に有用である。リポーティング基で標識された抗体が、種々様々な環境の抗原の存在を確認するのに使用できることは周知である。放射性同位元素で標識された抗体は、放射線免疫検定において、種々様々な体液中の抗原の存在を高い精度及び感度で同定するのに数十年間使用されている。最近になって、酵素標識抗体は、ELISA検定において放射性標識抗体の代替として使用されている。また、本発明のB.t.殺虫性毒素に免疫反応性の抗体は、固定化物質、例えばポリスチレンウエル又は粒子に結合することができ、B.t.毒素が検査試料中に存在するか否かを調べるために免疫検定において使用できる。
【0094】
プローブを使用する検出
主題発明の毒素及び遺伝子を同定する別の方法は、オリゴヌクレオチドプローブの使用による。これらのプローブは、検出可能なヌクレオチド配列である。これらの配列は、適切な放射性標識によって検出できるようにし得るし又は米国特許第6268132号明細書に記載されているように本質的に蛍光を発するようにし得る。当分野で周知のように、プローブ分子と核酸試料が、2つの分子の間で強い塩基対合結合を形成することによってハイブリダイズする場合には、プローブと試料は、相当な配列相同性を有すると合理的に推測できる。好ましくは、ハイブリダイゼーションは、ストリンジェントな条件下で、例えば、Keller and Manak(1993)に記載のように、当分野で周知の技法で行なわれる。プローブの検出は、ハイブリダイゼーションが生じたか否かを公知の方法で調べる手段を提供する。このようなプローブ分析は、主題発明の毒素コード遺伝子を同定する迅速な方法を提供する。本発明に従ってプローブとして使用されるヌクレオチドセグメントは、DNA合成装置及び標準手順を使用して合成できる。これらのヌクレオチド配列はまた、主題発明の遺伝子を増幅するためにPCRプライマーとして使用することもできる。
【0095】
ハイブリダイゼーション
分子生物学において当業者に周知のように、2つの核酸の類似性は、これらのハイブリダイズする傾向によって特徴付けられる。本明細書で使用するように、「ストリンジェントな条件」又は「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という用語は、プローブが、その標的配列に、その他の配列にハイブリダイズよりも大きな検出可能な程度まで(例えば、バックグラウンドよりも少なくとも2倍)ハイブリダイズする(アニールする)条件を指すことを意図する。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、異なる環境では異なるであろう。ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄条件のストリンジェンシーを調節することによって、プローブと100%相補的な標的配列が同定できる(相同プロービング)。あるいは、ストリンジェンシー条件は、より低い程度の類似性が検出される(非相同プロービング)ような配列中の幾つかの誤対合を可能にするために調節される。一般に、プローブは、ヌクレオチドが約1000個未満の長さであり、好ましくはヌクレオチドが500個未満の長さである。
【0096】
典型的には、ストリンジェントな条件は、塩濃度が、約1.5M未満のNaイオン濃度であり、典型的にはpH7.0〜pH8.3で約0.01〜1.0MのNaイオン濃度(又はその他の塩)であり、温度が、短いプローブ(例えば、10〜50個のヌクレオチド)については少なくとも約30℃であり、長いプローブ(例えば、50個を超えるヌクレオチド)については少なくとも約60℃である条件である。また、ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの脱安定剤の添加によっても達成し得る。典型的な低ストリンジェンシー条件としては、37℃で、30%〜35%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝液を用いるハイブリダイゼーション及び50℃〜55℃で1X−2X SSC(20X SSC=3.0M NaCl/0.3Mクエン酸三ナトリウム)中での洗浄が挙げられる。典型的な中度のストリンジェンシー条件としては、37℃で40%〜45%ホルムアミド、1.0M NaCl、1%SDS中でのハイブリダイゼーション及び55℃〜60℃で0.5X−1X SSC中での洗浄が挙げられる。典型的な高ストリンジェンシー条件としては、37℃で50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS中でのハイブリダイゼーション及び60℃〜65℃で0.1X SSC中での洗浄が挙げられる。場合より、洗浄緩衝液は、約0.1%〜約1%のSDSを含有していてもよい。ハイブリダイゼーションの時間は、一般的には約24時間未満、通常は約4〜約12時間である。
【0097】
特異性は、典型的にはハイブリダイゼーション後の洗浄作用であり、重要な因子は、最終洗浄溶液のイオン濃度及び温度である。DNA/DNAハイブリッドについては、熱融点(T)は、相補的標的配列の50%が、完全に一致したプローブにハイブリダイズする温度(規定されたイオン濃度及びpH下で)である。Tは、1%の誤対合それぞれについて約1℃低下する;従って、T、ハイブリダイゼーション条件、及び/又は洗浄条件は、所望の同一性の配列のアニーリングを促進するために調節することができる。例えば、>90%の同一性を有する配列を探索する場合には、Tは、10℃低下させることができる。一般に、ストリンジェントな条件は、規定されるイオン強度及びpHで特定の配列及びその相補体のTよりも約5℃低いように選択される。しかし、高ストリンジェントな条件は、Tよりも1℃、2℃、3℃、又は4℃低い温度でのハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができ;中度のストリンジェントな条件は、Tよりも6℃、7℃、8℃、9℃、又は10℃低い温度でのハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができ、及び低ストリンジェントな条件は、Tよりも10℃、12℃、13℃、14℃、15℃、又は20℃低い温度でのハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができる。
【0098】
(℃)は、実験的に決定してもよいし又は計算によって概算してもよい。DNA−DNAハイブリッドについて、Tは、MeinkothとWahl(1984)の式:
Tm(℃)=81.5℃+16.6(logM)+0.41(%GC)−0.61
(%ホルムアミド)−500/L;
(式中、Mは、一価陽イオンのモル濃度であり、%GCは、DNA中のグアノシン及びシトシンヌクレオチドの%であり、%ホルムアミドは、ハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドの%であり、及びLは、塩基対中のハイブリッドの長さである)
から概算できる。
【0099】
あるいは、Tは、次式(Beltz et al., 1983):
Tm(℃)=81.5℃+16.6(log[Na])+0.41(%GC)−
0.61(%ホルムアミド)−600/L
(式中、[Na]は、ナトリウムイオンのモル濃度であり、%GCは、DNA中のグアノシン及びシトシンヌクレオチドの%であり、%ホルムアミドは、ハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドの%であり、及びLは、塩基対中のハイブリッドの長さである)
によって記載される。
【0100】
前記の式、ハイブリダイゼーション及び洗浄組成物、並びに所定のTを使用して、ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄溶液のストリージェンシーの変化が本質的に記載されることを、当業者は理解するであろう。所望の程度の誤対合が45℃未満(水溶液)又は32℃未満(ホルムアミド溶液)のTをもたらす場合には、さらに高い温度が使用できるようにSSC濃度を上昇させることが好ましい。核酸のハイブリダイゼーションに対する広範囲に及ぶ指針は、Tijssen(1993)及びAusubelら(1995)の論文に見出される。また、Sambrook et al., (1989)も参照。
【0101】
サザンブロット上の固定化DNAと放射活性標識遺伝子特異的プローブとのハイブリダイゼーションは、標準法(Sambrook et al., 上記)で行ってもよい。ポリヌクレオチドプローブを標識するために使用される放射性同位元素としては、32P、33P、14C、又は3Hを挙げ得る。放射性同位元素のポリヌクレオチドプローブ分子への組み込みは、分子生物学の分野の当業者に周知の幾つかの方法のいずれかで実施し得る(例えば、Sambrook et al., 上記、参照)。一般的に、ハイブリダイゼーション及びその後の洗浄は、特許請求された毒素をコードする遺伝子と相同性を有する標的配列の検出を可能にするストリンジェントな条件下で実施し得る。二本鎖DNA遺伝子プローブについて、ハイブリダイゼーションは、6X SSPE、5Xデンハート溶液、0.1%SDS、0.1mg/mLの変性DNA[20X SSPEは、3M NaCl、0.2M NaHPO、及び0.02M EDTA(エチレンジアミン四酢酸ナトリウム)であり;100Xデンハート溶液は、20gm/Lのポリビニルピロリドン、20gm/Lのフィコールタイプ400及び20gm/Lのウシ血清アルブミン(画分V)である]中で、DNAハイブリッドのTよりも低い20℃〜25℃で一夜実施し得る。
【0102】
洗浄は、典型的には、以下の通りに実施し得る:
1X SSPE、0.1%SDS中、室温で15分間2回(低ストリンジェンシー洗浄)。
0.2X SSPE、0.1%SDS中、T−20℃で15分間1回(中度ストリンジェンシー洗浄)。
【0103】
オリゴヌクレオチドプローブについて、ハイブリダイゼーションは、6X SSPE、5X デンハート溶液、0.1%SDS、0.1mg/mLの変性DNA中、ハイブリッドのTよりも低い10℃〜20℃で一夜実施し得る。オリゴヌクレオチドプローブのTは、次式によって決定し得る(Suggs et al., 19811)。
Tm(℃)=2(T/A塩基対の数)+4(G/C塩基対の数)
【0104】
洗浄は、典型的には以下の通りに実施し得る:
1X SSPE、0.1%SDS中、室温で15分間2回(低ストリンジェンシー洗浄)。
1X SSPE、0.1%SDS中、ハイブリダイゼーション温度で15分間1回(中度ストリンジェンシー洗浄)。
【0105】
ハイブリダイゼーション用のプローブ分子、及びプローブと標的分子の間で形成されるハイブリッド分子は、放射性標識以外の手段で検出可能にし得る。このような代替法は、本発明の範囲内にあることが意図される。
【0106】
全ての特許、特許出願、仮出願、及びこれらにおいて参照又は引用された刊行物は、本明細書の明示的な教示と矛盾しない程度までその全体を参照することにより援用される。
【0107】
本明細書において用語「遺伝物質」を使用することによって、それが全ての遺伝子、核酸、DNA及びRNAを包含することを意味する。用語「dsRNA」とは、二本鎖RNAを指す。ポリヌクレオチド、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、及びプライマーのヌクレオチド残基の名称並びにタンパク質のアミノ酸残基の名称について、標準IUPAC略号が、この文書全体を通じて用いられる。核酸配列は、標準的な5’から3’方向に示され、タンパク質配列は、標準的なアミノ(N)末端からカルボキシ(C)末端方向に示される。
【0108】
本明細書に記載される実施例及び実施形態は、例示の目的のためだけのものであること及びこれらを考慮して種々の変更又は変化が、当業者に示唆され、本出願の精神及び範囲並びに添付の特許請求の範囲に含まれることが理解されるべきである。これらの実施例は、限定すると解釈されるべきでない。
【0109】
特に明示又は暗示しない限りは、用語「a」、「an」、及び「the」は、本明細書で使用するように「少なくとも1つ」を意味する。
【0110】
全ての%は、重量によるものであり、全ての溶媒混合物の割合は、特に明記しない限りは容量によるものである。全ての温度は、℃である。
【実施例】
【0111】
実施例1
DIG−11毒素をコードする遺伝子の単離
特に明示しない限りは、本実施例及び以後の実施例に記載する分子生物学的操作及び生化学的操作は、例えばAusubel et al., (1995)、及びSambrook et al., (1989)、並びにこれらの最新情報に開示されているような標準方法で行った。本明細書においてDIG−11昆虫毒素と命名される殺虫性Cryタンパク質をコードする核酸は、B.t.株PS184M1から単離した。PS184M1ゲノムDNAを鋳型として使用するPCR反応でフォワードプライマー及びリバースプライマーとして使用すべき縮重プライマーは、B.t.殺虫性毒素のそれぞれのクラスの多重配列アラインメントに基づいて設計した。フォワードプライマーは、配列番号:1の塩基841−865に対応し、リバースプライマーは、配列番号:1の塩基2227−2250の相補体に対応する。このプライマー対を、配列番号:1のヌクレオチド841−2250に対応する1410bpの断片を増幅するのに使用した。この配列を、Genome Walker(登録商標)Universal Kit(Clontech,Palo Alto,CA)から適合させた方法を使用してゲノム歩行を開始するためにアンカーポイントとして使用した。DIG−11コード領域にわたる断片の核酸配列を調べた。配列番号:1は、完全長DIG−11タンパク質をコードする3492bpヌクレオチド配列である。配列番号:2は、配列番号:1から推測した完全長DIG−11タンパク質のアミノ酸配列である。
【0112】
実施例2
DIG−11からドメインIαヘリックスの欠失
DIG−11昆虫毒素の殺虫活性特性を改善するために、連続して段階的な欠失を行い、そのそれぞれは、DIG−11タンパク質のN末端の一部分を除去する。欠失は、αヘリックス3からαヘリックス7の構造完全性を維持しながら、ドメインIのαヘリックス1の一部又は全部及びαヘリックス2の一部又は全部を除去する。
【0113】
欠失は、以下の通りに設計する。本実施例は、完全長DIG−11タンパク質をコードする完全長キメラDNA配列(例えば、配列番号:1及び配列番号:2、それぞれ)を利用して、73個の特異的変異体を用いる設計原理を例証する。それは、追加の73個の特異的変異体を提供するために配列番号:5のキメラ配列(Cry1Abプロ毒素セグメントに融合したDIG−84コア毒素セグメントをコードするDNA)を利用する。当業者は、DIG−11タンパク質の全部又はN末端部分をコードする他のDNA配列を、所望の結果を達成するために同様に操作し得ることを理解するであろう。最初の欠失変異コード配列を考え出すために、αヘリックス2Aの開始部近くのロイシン残基(すなわち、配列番号:2の完全長DIG−11タンパク質のL100)のコドンを含むαヘリックス1をコードする塩基の全部を、除去する。従って、配列番号:1の塩基1−300の排除は、配列番号:2のアミノ酸1−100のコード配列を除去する。前記開始部(すなわち、完全長タンパク質のアミノ酸101に対応するコドンの前)での翻訳開始ATG(メチオニン)コドンの再導入は、1065個のアミノ酸を含有する欠失変異DIG−11タンパク質(すなわち、メチオニンに加えて完全長DIG−11タンパク質のアミノ酸101−1164)をコードする3195個の塩基の読み取り枠を含有する欠失変異コード配列を提供する。配列番号:2の完全長DIG−11タンパク質の残基101−141に対応する単一アミノ酸の追加コドンを除去する連続した段階的な欠失は、αヘリックス2A及びαヘリックス2Bの一部分又は全部を失っている変異体を提供する。従って、第二の設計された欠失変異コード配列は、配列番号:1の塩基1−303の除去を必要とし、それによってアミノ酸1−101のコード配列を除去する。機能的読み取り枠の回復は、残りのコード配列の開始部で翻訳開始メチオニンコドンの再導入によって再び達成され、このようにして1064個のアミノ酸を含有する欠失変異DIG−11タンパク質(すなわち、メチオニンに加えて完全長DIG−11タンパク質のアミノ酸102−1164)をコードする3192個の塩基の読み取り枠を有する第二の欠失変異コード配列を提供する。最後の設計された欠失変異コード配列は、配列番号:1の塩基1−423の除去を必要とし、従ってアミノ酸1−141のコード配列を除去し、翻訳開始メチオニンコドンの再導入後に、1023個のアミノ酸の欠失変異DIG−11タンパク質(すなわち、メチオニンに加えて完全長DIG−11タンパク質のアミノ酸142−1164)をコードする3069個の塩基の読み取り枠を有する欠失変異コード配列を提供する。例示するように、欠失配列の除去後に、開始剤メチオニンコドンが、機能的読み取り枠を回復するために残りのコード配列の開始部に付加される。また、記載するように、欠失配列の除去が、完全長タンパク質の残部のN末端で、前記で提供されたような不安定性決定アミノ酸の一つを暴露された状態にしておく場合には、追加のグリシンコドンが、メチオニンコドンと不安定性決定アミノ酸のコドンの間に付加される。
【0114】
表3は、前記の方法に従って設計された特異的変異体を記載する。
【表3】



【0115】
表3に記載の毒素をコードする核酸は、前記のように植物中での発現を目的とした合成遺伝子のために一般原理に従って設計される。
【0116】
実施例3
DIG−84及びCry1Abプロ毒素タンパク質のコード配列の植物最適化バージョンの設計
植物コドン偏位を有するDNA配列を、遺伝子組換え単子葉植物においてDIG−84タンパク質を産生させるために及び単子葉植物又は双子葉植物においてCry1Abプロ毒素セグメントを産生させるために設計し、合成した。トウモロコシ(Zea mays L.)についてのコドン使用頻度は、GenBankに寄託された配列から得られる706タンパク質コード配列(CD)から算出した。タバコ(Nicotiana tabacum、1268CD)、アブラナ(Brassica napus、530CD)、ワタ(Gossypium hirsutum、197CD)、及びダイズ(Glycine max;約1000CD)についてのコドン使用頻度は、ウェブサイトhttp://www.kazusa.or.jp/codon/のデータからダウンロードした。トウモロコシCDSの高使用コドン、及び合体させた(merged)双子葉植物CDSデータセットを、適切な再スケーリングされた相対量で含有する偏りのあるコドンセットが、いずれかの植物タイプのそのアミノ酸についての全コドン使用の約10%未満で使用される任意の同義語コドンを除外した後で算出された。DIG−84タンパク質をコードするトウモロコシ最適化配列を駆動するために、実験的に決定されたDIG−11DNA配列に対する同義語コドン置換が、得られるDNA配列がトウモロコシコドン偏位表の全コドン組成を、コードされたアミノ酸配列を保存しながら有するように行なわれた。配列のさらなる精製を行って、好ましくない制限酵素認識部位、潜在的植物イントロンスプライス部位、A/T又はC/G残基のロングラン(long run)、及び植物細胞のコード領域のRNA安定性、転写、又は翻訳を妨害しないその他のモチーフを除いた。その他の変更を行い、所望の制限酵素認識部位を導入し、及び長い内部読み取り枠(+1以外の枠)を除いた。これらの変更は、全てトウモロコシ偏位コドン組成を保持するという制約内で行なわれた。設計された配列の合成は、商用ベンダー(DNA2.0,Menlo Park,CA)によって行なわれた。
【0117】
合成遺伝子の産生に関する更なる指針は、例えば、国際公開第97/13402号及び米国特許第5380831号各明細書に見出すことができる。
【0118】
DIG−84コア毒素セグメントをコードし、配列番号:2の完全長DIG−11タンパク質のアミノ酸1−664を含有するトウモロコシ最適化DNA配列を、配列番号:3に示す。類似の方法を使用して、配列番号:6として開示されるようなCry1Abプロ毒素セグメントをコードする双子葉植物最適化DNA配列、及び配列番号:7として開示されるようなCry1Abプロ毒素セグメントをコードするトウモロコシ最適化DNA配列を設計した。
【0119】
実施例4
DIG−84昆虫毒素をコードする発現プラスミドの構築及び細菌宿主での発現
標準的なクローニング方法を、トウモロコシ最適化コード領域によってコードされるDIG−84タンパク質を産生するために操作されたシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)(Pf)発現プラスミドの構築において使用した。制限エンドヌクレアーゼは、New England BioLabs(NEB;Ipswich、MA)から入手し、T4 DNAリガーゼ(NEB)をDNA連結反応に使用した。プラスミドの調製を、Nucleospin(登録商標)プラスミドキット(Macherey−Nagel Inc,Bethlehem,PA)を使用し、供給業者の取扱説明書に従って行った。DNA断片を、アガローストリス−酢酸ゲル電気泳動の後に、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen,Valencia,CA)を使用して精製した。この線状化ベクターを、NEB Antarctic Phosphataseを用いてホスファターゼ化して組換え分子の形成を高めた。
【0120】
基本的なクローニング法は、配列番号:3によって提供されるようなDIG−84昆虫毒素コード配列(CDS)を有するDNA断片を、pDOW1169中に、例えばSpeI及びXhoI制限部位でサブクローニングすることを必要とし、それによってそれを、プラスミドpKK223−3(PL Pharmacia,Milwaukee,WI)からのPtacプロモーター及びrrnBT1T2ターミネーターの発現調節下に置いた。pDOW1169は、RSF1010複製起点、pyrF遺伝子、及びタンパク質コード領域を含有するDNA断片を導入し得る制限酵素認識部位の直ぐ前のリボソーム結合部位を有する培地コピープラスミドである(米国特許出願第20080193974号明細書)。発現プラスミドpDAB102007を、電気穿孔によって、DC454〔突然変異ΔpyrF及びlsc::lacIQIを有するほぼ野生型のシュードモナス・フルオレッセンス(P. fluorescens)株〕、又はその誘導体に形質転換し、SOC−Soy加水分解物培地に回収し、選択培地で平板培養した(ウラシルを欠いているM9グルコース寒天、Sambrook et al., 上記)。微生物学操作の詳細は、参照することにより本明細書で援用されるSquires et al., (2004)、米国特許出願第20060008877号、米国特許出願第20080193974号及び米国特許出願第20080058262号各明細書において入手できる。組換えコロニーは、ミニプレップ(miniprep)プラスミドDNAの制限酵素消化によって同定し、1つ(DPf13591)をさらなる作業のために選択した。pDAB102007発現ベクターから産生されるDIG−84タンパク質は、配列番号:2に開示されたDIG−11タンパク質のアミノ酸1−664を、pDAB102007中のDIG−84CDSを終結させるのに使用されるXhoI制限酵素認識部位を含有する塩基の翻訳によって提供される2つのアミノ酸(ロイシン及びグルタミン)のN末端付加と共に含有する。
【0121】
振盪フラスコでの増殖及び発現分析
特性決定及び昆虫バイオアッセイのためのDIG−84タンパク質の産生は、振盪フラスコで増殖させたシュードモナス・フルオレッセンス(P. fluorescens)株DPf13591を宿す(harboring)発現構築物(例えば、プラスミドpDAB102007)によって達成された。1%グルコースと微量元素を補足したM9培地で増殖させた種培養物を使用して、5%グリセロールを有する限定最少培地(Teknova Cat.#3D7426,Hollister,CA)50mLに接種した。PtacプロモーターによるDIG−84毒素遺伝子の発現は、振盪しながら30℃で24時間の初期インキュベーションの後に、イソプロピル−β−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)の添加によって誘導した。培養物を、誘導時及び誘導後の種々の時間で試料採取した。細胞密度を、600nmの光学濃度(OD600)で測定した。シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の増殖に適したその他の培地を、例えばHuang et al., 2007及び米国特許出願第20060008877号明細書に記載されているように利用してもよい。
【0122】
振盪フラスコ試料の細胞分画及びSDS−PAGE分析
それぞれの試料採取時間で、試料の細胞密度をOD600=20に調節し、1mLのアリコートを、14000×gで5分間遠心分離した。得られた細胞ペレットを−20℃で凍結した。凍結振盪フラスコ細胞ペレットから可溶性及び不溶性画分を、0.5mLのバターフィールドリン酸カリウム緩衝液(pH7.2)(Thermo−Fisher Scientific,Rockford,IL)に前記ペレットを再懸濁した後に生成させた。直系2mmのプローブ及びBranson Sonifier 250(Danbury,CT)を使用して、粉砕中は氷冷しながら、試料を、20の一定出力で45秒間、2回超音波処理した。溶菌液を、4℃で14,000rpmで20分間遠心分離し、上清を可溶性画分として回収した。次いで、ペレット(不溶性画分)を、同じ容量のバターフィールドリン酸緩衝液に再懸濁した。
【0123】
試料を、β−メルカプトエタノールを含有する2X Laemmli試料緩衝液(Sambrook et al., 上記)と1:1で混合し、5分間煮沸した後に、Criterion XT Bis−Tris12%ゲル(Bio−Rad Inc.,Hercules,CA.)上に乗せた。電気泳動を、推奨されるXT MOPS緩衝液中で行った。ゲルを、Bio−Safeクーマシー色素を用いて製造業者(Bio−Rad)のプロトコールに従って染色し、Alpha Innotech撮像装置(San Leandro,CA)を使用して撮像した。
【0124】
DIG−84昆虫毒素調製
DIG−84昆虫毒素は、400mLの溶解緩衝液〔100mM CAPS、5mM EDTA、5mM TCEP(トリス(2−カルボキシエチル)−ホスフィン塩酸塩))pH11〕に再懸濁させた45.5gの組換えシュードモナス菌細胞ペーストから富化させた。得られた懸濁液を、M−11OY Microfluidizer(登録商標)(Microfluidics Inc.,Newton,MA)に2回通した。この装置は、2つのチャンバー:H30Z Auxiliary Processinng Module(APM)(これは、200ミクロンの公称通過寸法を有する)及びH1OZ Interact Chamber(IXC)(これは、100ミクロンの公称通過寸法を有する)を備えている。APMは、製造業者によって推奨されるようにIXCから下流側に配置した。細胞を、11,000〜15,000psiの間に破壊し、遠心分離(SLC1500ローター、12,000rpm、20分間)によって澄ませた。上清を傾瀉し、イオン交換クロマトグラフィの前に濾過(0.8μm)した。
【0125】
シュードモナス菌細胞溶菌液を、半分に分け、2つのバッチで処理した。DIG−84タンパク質を、直列に端と端を連結した5本の5mLのHigh Trap Capto(登録商標)Qカラム(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)に通すことによって濃縮した。前記溶菌液を、前記5本のカラム系列に5mL/分の流量で注入した。未結合タンパク質を、緩衝液A(50mMビストリスプロパン、5mM EDTA、5mM DTT、pH9)を用いて、280nmでの吸光度がベースライン近くに達するまで溶出させた。0.15M NaClを含有する緩衝液Aを用いて溶出を続けて、さらに混入物を除去した。溶菌液の最初の半分については、混入物の継続溶出のためにNaCl濃度を0.2Mまで上昇させ、次いで結合したタンパク質を、0.5M NaClまでの直線濃度勾配で、240mL全体にわたって10mLずつ画分を採取しながら溶出した。溶菌液の後の半分については、緩衝液Aを用いて最初に溶出した後に、0.15M NaClを用いて溶出する(0.2M NaCl溶出工程は、除外した)ことによって混入物を除去し、次いで結合したタンパク質を、前記の0.5MまでのNaCl濃度勾配で溶出した。
【0126】
プールした画分を、Amicon Ultra−15再生セルロース遠心分離濾過装置(分画分子量50,000;Millipore)で濃縮し、次いでSlide−A−Lyzer(登録商標)カセット(分画分子量10,000;Thermo Fisher Scientific)に注入し、2つの4リットル容量の透析緩衝液〔10mM CAPS(3−(シクロヘキサアミノ)1−プロパンスルホン酸)、pH10〕に4℃で一夜透析した。その後に、全タンパク質濃度を、Bradford法の全タンパク質アッセイで測定した。
【0127】
ゲル電気泳動
濃縮抽出液を、5mMジチオトレイトールを還元剤として含有するNuPAGE(登録商標)LDS試料緩衝液(Invitrogen)に1:5希釈することによって電気泳動用に調製し、95℃で4分間加熱した。試料を、0.2〜2μg/レーンの範囲の5個のBSA標準(標準曲線作成のため)と一緒に、4−12%NuPAGE(登録商標)ゲルの二重反復レーンに装填した。MOPS SDS走査緩衝液(Invitrogen)を使用して、追跡用色素がゲルの下部に達するまで、電圧を200Vで印加した。ゲルを、0.2%クーマシーブルーG−250を用いて45%メタノール中で染色し、10%酢酸中で染色し、脱染色し、最初に簡潔に45%メタノールで脱染色し、10%酢酸で脱染色し、次いで7%酢酸で十分に脱染色し、5%メタノールでバックグラウンドが透明になるまで十分に脱染色した。脱染色後に、ゲルを、BioRad Fluor−S MultiImagerで走査した。装置のQuantity Oneバージョン4.5.2ソフトウエアを使用して標準タンパク質バンドのバックグラウンドの差し引き容量を得、原液中のDIG−84タンパク質の濃度算出するために使用されるBSA標準曲線を作成した。
【0128】
実施例5
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)で産生されたDIG−84昆虫毒素の殺虫活性
DIG−84昆虫毒素を、甲虫目昆虫ウェスタン・コーン・ルートワーム(WCR、Diabrotica virgifera virgifera LeConte)の幼虫に対する活性について試験した。DIG−84昆虫毒素を、さらに、鱗翅目昆虫、例えばコナガ〔DBM;Plutella xylostella(Linnaeus)〕及びCry1A耐性DBM(rDBM)の幼虫に対する活性について試験した。
【0129】
試料調製及びバイオアッセイ
DIG−84試料を、10mM CAPS(pH10)中で調製し、全てのバイオアッセイは、この緩衝液のみからなる対照処理(これは、死虫率又は増殖阻止のバックグラウンドチェックとして働く)を含んでいた。
【0130】
バイオアッセイ緩衝液のタンパク質濃度を、BioRad撮像装置(Quantity Oneソフトウエアバージョン4.5.2を有するFluor−S MultiImager)を使用して測定されるゲル濃度測定用の標準曲線を作成するためにBSAを使用してゲル電気泳動によって評価した。ゲルマトリックス中のタンパク質を、クーマシーブルー系色素で染色し、読み取る前に脱染色した。
【0131】
精製タンパク質を、殺虫活性について人工昆虫餌上の新生昆虫幼虫を用いて行なわれるバイオアッセイにおいて試験した。DBM及びrDBMの幼虫は、商業昆虫飼育場(Benzon Research Inc.,Carlisle,PA)で維持されたコロニーから入手される卵から孵化させた。WCR卵は、Crop Characteristics,Inc.(Farmington,MN)から入手した。
【0132】
バイオアッセイは、昆虫バイオアッセイ用に特別に設計された128ウエルプラスチックトレイ(C−D International,Pitman、NJ)で行った。各ウエルは、1.0mLの多種鱗翅目餌(Southland Products,Lake Village,AR)又は甲虫目昆虫の増殖用に設計された適切な餌(Dow AgroSciences LLC,Indianapolis,IN)を含んでいた。タンパク質試料の40μL又は60μLのアリコートを、ピペットで各ウエルの1.5cmの餌表面に加えた(27μL/cm又は40μL/cm)。餌濃度を、ウエルの表面積の平方センチメートル(cm)当たりのDIG−84タンパク質の量(ng)として算出した。処理トレイを、餌表面の液体が蒸発するか又は餌の中に吸収されるまでドラフトチャンバー内に入れた。
【0133】
孵化の数時間以内に、個々の幼虫を、湿らせたラクダの毛のブラシで拾い上げ、処理した餌の上に置いた(ウエル当たり1匹又は2匹の幼虫)。次いで、寄生させたウエルを、透明プラスチックの粘着シートで密封し、ガス交換させるために通風した(C−D International,Pitman,NJ)。バイオアッセイトレイを、調節した環境条件(28℃、〜40%相対湿度、16:8[昼間:夜間])下で5日間保持し、その後に各タンパク質試料に暴露された昆虫の総数、死んだ昆虫の数、及び生存昆虫の体重を記録した。%死虫率、平均生体重、及び成長阻止を、各処理について算出した。生育阻害は、平均生体重の減少として定義した。成長阻止(GI)は、次の通りに算出した:
GI=[1−(TWIT/TNIT)/(TWIBC/TNIBC)]
〔式中、
TWITは、処理における生存昆虫の全重量であり、
TNITは、処理における昆虫の総数であり、
TWIBCは、バックグラウンドチェック(緩衝液対照)における生存昆虫の合計重量であり、及び
TNIBCは、バックグラウンドチェック(緩衝液対照)における昆虫の総数である〕
【0134】
GI50は、GI値が50%である餌中のDIG−84タンパク質の濃度であると決定される。LC50(50%致死濃度)は、試験昆虫の50%を殺す餌中のDIG−84タンパク質の濃度として記録される。統計分析は、JMPソフトウエア(SAS,Cary,NC)を使用して行った。
【0135】
反復バイオアッセイは、DIG−84昆虫毒素の摂取が、表4に示すように、ウェスタン・コーン・ルートワーム幼虫の発育阻害をもたらすことを実証した。試験したその他の昆虫に対する活性は、観察しなかった。
【表4】

【0136】
実施例6
アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換
標準クローニング方法を、バイナリー植物形質転換及び発現プラスミドの構築において使用する。制限エンドヌクレアーゼ及びT4 DNAリガーゼは、NEBから入手する。プラスミドの調製は、NucleoSpin(登録商標)プラスミド調製キット又はNucleoBond(登録商標)AX Xtra Midiキット(両方共にMacherey−Nagelから入手する)を使用し、製造業者の説明書に従って行う。DNA断片は、ゲル単離の後に、QIAquick PCR精製キット又はQIAEX IIゲル抽出キット(両方共にQiagenから入手する)を使用して精製する。
【0137】
修飾DIG−11昆虫毒素又はその断片をコードするヌクレオチド配列を含有するDNA断片は、商業ベンダーによって合成され(例えば、DNA2.0,Menlo Park,CA)、標準プラスミドベクター中のクローン化断片として供給されてもよいし、又は適切なヌクレオチド配列を含有するその他の構築物の標準的な分子生物学操作によって得てもよい。それぞれの遺伝子に対して内部にある独特な制限部位は、同定し得るし合成されたそれぞれの遺伝子の断片のそれぞれは特定の欠失又は挿入を含む。修飾Cry断片を、他のCry断片コード領域に適切な制限部位でサブクローン化して、所望の完全長タンパク質、融合タンパク質、又は欠失変異タンパク質をコードするコード領域を得てもよい。例えば、変異体クローンを構築するのに使用してもよい、遺伝子の開始部の適切な制限認識部位及びそれぞれの遺伝子に特異的な第二の内部制限部位を同定してもよい。
【0138】
非限定的な例において、基本的なクローニング法は、完全長又は修飾Cryコード配列(CDS)を植物発現プラスミドにNcol及びSad制限部位でサブクローンことであってもよい。植物発現要素(例えば、植物発現可能プロモーター、3’末端転写終結及びポリアデニル酸付加決定基など)の制御下の適切なCryコード領域を含有する得られる植物発現カセットは、例えばGateway(登録商標)技術又は標準制限酵素断片クローニング法を利用してバイナリーベクタープラスミドにサブクローン化してもよい。例えば、LR Clonase(商標)(Invitrogen)は、Gateway(登録商標)技術を利用する場合には、完全長及び修飾遺伝子植物発現カセットを、バイナリー植物形質転換プラスミドに再結合させるのに使用してもよい。プラスミドが大腸菌及びアグロバクテリウム細菌細胞中に存在する場合には、抗生物質スペクチノマイシン耐性を付与する細菌遺伝子を宿すバイナリー植物形質転換ベクターを用いることが都合がよい。また、所望の宿主植物において機能する植物発現できる選択可能な標識遺伝子を含有するバイナリーベクタープラスミドを用いることも都合がよい。植物発現できる選択可能な標識遺伝子の例としては、以下に限定されないが、抗生物質カナマイシン、ネオマイシン及びG418に対する抵抗性をコードするトランスポゾンTn5(Aph II)のアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ遺伝子、並びにグリホセート;ハイグロマイシン;メトトレキセート;ホスフィノスリシン(ビアラホス)、イミダゾリジノン、スルホニル尿素及びトリアゾロピリミジン系除草剤、例えばクロロロスルフロン、ブロモキシニル、ダラポンなどに対する抵抗性又は耐性をコードする遺伝子が挙げられる。
【0139】
アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株Z707S(Z707のストレプトマイシン抵抗性誘導体;Hepburn et al., 1985)のエレクトロコンピテント細胞が、電気穿孔法を使用して調製され、形質転換される(Weigel and Glazebrook, 2002)。電気穿孔後に、1mLのYEPブロス(gm/L:酵母抽出物、10;ペプトン、10;NaCl、5)が、キュベットに加えられ、得られる細胞−YEP懸濁物が、水浴中、28℃で一定の攪拌で4時間インキュベーションするために15mL培養試験管に移される。この細胞を、スペクチノマイシン(200μg/mL)とストレプトマイシン(250μg/mL)とを加えたYEP+寒天(25gm/L)に塗布し、プレートを、28℃で2〜4日間インキュベートする。十分に分離した単一コロニーを選択し、前述のようにスペクチノマシンとストレプトマイシンとを加えた新しいYEP+寒天プレートに画線し、28℃で1〜3日間インキュベートする。
【0140】
バイナリー植物形質転換ベクター中のDIG−11昆虫毒素遺伝子挿入断片の存在は、ベクター特異的プライマーを、選択されたアグロバクテリウムコロニーから調製された鋳型プラスミドDNAと一緒に使用してPCR分析により行なわれる。前述のようにスペクチノマシンとストレプトマイシンとを加えたYEP中で増殖させた15mLの一夜培養物のアリコート4mLからの細胞ペレットを、Qiagen Spin Mini Prepsを使用して抽出する(製造業者の説明書に従って行う)。アグロバクテリウム電気穿孔形質転換において使用したバイナリーベクターからのプラスミドDNAを、対照として含有させる。PCR反応を、製造業者の説明書に従ってInvitrogen製のTaq DNAポリメラーゼを0.5X濃度で使用して完結させる。PCR反応は、以下の条件を用いてプログラムされたMJ Research Peltier Thermal Cyclerで行う:ステップ1)94℃で3分間;ステップ2)94℃で45秒間;ステップ3)55℃で30秒間;ステップ4)72℃で、予測産生成物長さkb当たり1分間;ステップ5)ステップ2まで29回;ステップ6)72℃で10分間。反応は、サイクリング後、4℃に維持する。増幅生成物を、アガロースゲル電気泳動(例えば、0.7%〜1%アガロース、w/v)で分析し、臭化エチジウム染色することによって可視化する。PCR生成物がプラスミド対照と同じであるコロニーを選択する。
【0141】
別法として、DIG−11遺伝子挿入断片を含有するバイナリー植物形質転換ベクターのプラスミド構造は、アグロバクテリウム操作の当業者に周知の標準的な分子生物学的方法で候補アグロバクテリウム単離物から調製されるプラスミドDNAの制限消化フィンガープリントマッピングによって行われる。
【0142】
アグロバクテリウム媒介形質転換法によって形質転換植物を得ることについて当業者は、Z707S以外のその他のアグロバクテリウム株を都合よく使用し得、菌株の選択は、形質転換すべき宿主植物の同一性に依存し得ることを理解するであろう。
【0143】
実施例7
双子葉植物でのDIG−11昆虫毒素及び変異体の産生
シロイヌナズナの形質転換
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)Col−01を、フローラルディップ法(Weigel and Glazebrook, 2002)を使用して形質転換する。選択したアグロバクテリウムコロニーを使用して、選択のための適切な抗生物質を含有するYEPブロスの培養物1mL〜15mLを接種する。培養物を220rpmで一定に攪拌しながら28℃で一夜インキュベートする。それぞれの培養物を、選択のための適切な抗生物質を含有するYEPブロスの培養物の2つの500mL培養物に接種するのに使用し、新たな培養物を、一定に攪拌しながら28℃で一夜インキュベートする。細胞を、約8700×gで、室温で10分間ペレット化し、得られる上清を廃棄する。細胞ペレットを、1/2xムラシゲ・スクーグ塩類(Sigma−Aldrich)/ガンボーグのB5ビタミン類(Gold Bio Technology,St.Louis,MO)、10%(w/v)スクロース、0.044μMベンジルアミノプリン(1mg/mLのDMSO中の原液1リットル当たり10μL)及び300μL/1LのSilwet L−77を含有する500mLの浸潤培地に徐々に再懸濁する。この培地に、約1月齢の植物を、最も新しい花序の浸漬を確実にするために注意を払いながら15秒間浸漬する。次いで、この植物を、横向きに置き、24時間被覆し(透明又は不透明)、水洗し、直立状態に置いた。植物を22℃で昼間16時間/夜間8時間の光周期で育てる。浸漬後約4週目に、種子を収穫する。
【0144】
シロイヌナズナの生育及び選択
新たに収穫したT1種子を、乾燥剤の存在下で、室温で少なくとも7日間乾燥させる。種子を、0.1%寒天/水(Sigma−Aldrich)溶液に懸濁し、次いで4℃で2日間土の層の間に入れて発芽させる。植え付けのために調製するために、10.5インチ×21インチの発芽用トレイ(T.O.Plastics Inc.,Clearwater,MN)の中のSunshine Mix LP5(Sun Gro Horticulture Inc.,Bellevue,WA)を、微細バーミキュライトで覆い、湿潤するまでHoagland液(Hoagland and Arnon, 1950)で地下灌漑し、次いで24時間排水させる。土の層の間に入れて発芽させた種子を、微細バーミキュライト上に播種し、湿気ドーム(humidity dome)(KORD Products,Bramalea,Ontario,Canada)で7日間覆う。種子を発芽させ、植物を、植物生育チャンバーConviron(型式CMP4030又はCMP3244;Controlled Environments Limited,Winnipeg,Manitoba,Canada)の中で、長日条件(16時間の昼間/8時間の夜間)下で、120〜150μモル/m秒の光強度で、一定の温度(22℃)及び湿度(40〜50%)で育てる。植物に最初にHoagland液、次いで脱イオン水を用いて水やりして土壌水分を保つが、湿らせない。
【0145】
前記ドームを播種後5〜6日目に取り除き、植物に、非形質転換種子から発芽させた植物を枯らすために化学選択剤を噴霧する。例えば、バイナリー植物形質転換ベクターによって提供される植物発現できる選択可能な標識遺伝子が、pat又はbar遺伝子(Wehrmann et al., 1996)である場合には、形質転換植物は、Finale(5.78%グルホシネートアンモニウム、Farnam Companies Inc.,Phoenix,AZ.)の1000X溶液を噴霧することによって選択してもよい。その後に2回の噴霧を、5〜7日の間隔で行う。生存植物(活発に発育する植物)を、最終噴霧の7〜10日後に同定し、Sunshine Mix LP5を用いて調製したポットに移植する。移植植物を、3〜4日間湿度ドームで覆い、前述の生育条件下の植物生育チャンバーConvironに入れる。
【0146】
双子葉植物形質転換を行う当業者は、他の植物発現できる選択可能な標識遺伝子(例えば、除草剤耐性遺伝子)を使用する場合には、形質転換植物の別の選択方法を利用できることを理解するであろう。
【0147】
遺伝子組換えシロイヌナズナの昆虫バイオアッセイ
修飾Cryタンパク質を発現する遺伝子組換えシロイヌナズナ株が、人工餌オーバーレイアッセイで感受性昆虫に対して活性であることを実証する。遺伝子組換え及び非遺伝子組換えシロイヌナズナ株から抽出されたタンパク質を、適切な方法で定量し、試料容量を、タンパク質濃度を標準化するために調整する。前記の人工餌についてバイオアッセイを行う。非遺伝子組換えシロイヌナズナ及び/又は緩衝液及び水を、バックグラウンドチェック処理としてアッセイに含める。
【0148】
実施例8
スーパーバイナリーベクターの作製のためのアグロバクテリウム形質転換
アグロバクテリウム・スーパーバイナリー系は、単子葉植物宿主の形質転換に都合よく使用される。スーパーバイナリーベクターを構築、有効にする方法は、十分に確立されている。例えば、欧州特許第EP604662B1号及び米国特許第7060876号各明細書参照。標準的な分子生物学的及び微生物学的方法が、スーパーバイナリープラスミドを作製するのに使用される。スーパーバイナリープラスミドの構造の検証/有効性は、バイナリーベクターについて上記に記載したような方法を使用して行なわれる。
【0149】
実施例9
単子葉植物でのDIG−11昆虫毒素及び変異体の産生
トウモロコシのアグロバクテリウム介在形質転換
高II F交差(Armstrong et al., 1991)による種子を、95%Metro−Mix 360無土壌栽培培地(Sun Gro Horticulture,Bellevue,WA)と5%埴壌土とを入れた5ガロンポットに植える。植物を、温室で高圧ナトリウムランプと金属ハロゲン化物ランプの組み合わせを使用して、16:8時間の昼間:夜間の光周期で育てる。形質転換用の未成熟F胚について、制御された同胞受粉を行う。未成熟胚を、胚が約1.0〜2.0mmの大きさになった受粉後8〜10日目に単離する。
【0150】
感染及び同時培養
トウモロコシの穂を、液体石鹸でごしごし洗い、70%エタノールに2分間浸漬し、次いで20%市販漂白剤(0.1%次亜塩素酸ナトリウム)に30分間浸漬し、その後に滅菌水で洗浄することによって表面殺菌する。スーパーバイナリーベクターを含有する懸濁アグロバクテリウム細胞を、100mg/Lのスペクチノマイシン、10mg/Lのテトラサイクリン、及び250mg/Lのストレプトマイシンを含有するYEP固形培地で、28℃で2〜3日間育てた細菌の1〜2ループを、100μMアセトシリンゴンを含有する5mLの液体感染培地〔LS基礎培地(Linsmaier and Skoog., 1965)、N6ビタミン類(Chu et al., 1975)、1.5mg/Lの2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、68.5gm/Lのスクロース、36.0gm/Lのグルコース、6mMのL−プロリン(pH5.2)〕に移すことによって調製する。溶液を、均一な懸濁が達成されるまでボルテックスし、濃度を、紫色フィルターを有するクレット・サマーソン(Klett−Summerson)光度計を使用して200クレット(Klett)単位の最終濃度に調整する。未成熟を、2mLの感染培地を入れた微小遠心管に直接に単離する。培地を、除去し、200クレット単位の密度を有する1mLのアグロバクテリウム溶液に置き換え、アグロバクテリウム及び胚溶液を、室温で5分間インキュベートし、次いで同時培養培地〔LS基礎培地、N6ビタミン類、1.5mg/Lの2,4−D、30.0gm/Lのスクロース、6mMのL−プロリン、0.85mg/LのAgNO、100μMのアセトシリンゴン、3.0gm/Lのゲランゴム(Phyto Technology Laboratories.,Lenexa、KS)、pH5.8〕に暗条件下で、25℃で5日間移す。
【0151】
同時培養後に、胚を選択培地に移し、その後に形質転換単離物を、約8週にわたって得る。植物発現できるpat又はbar選択可能な標識遺伝子を含有するスーパーバイナリープラスミドを用いて形質転換されたトウモロコシ組織の選択のために、LS基礎培地〔LS基礎培地、N6ビタミン類、1.5mg/Lの2,4−D、0.5gm/LのMES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸一水和物;Phyto Technologies Labr.)、30.0gm/Lのスクロース、6mMのL−プロリン、1.0mg/LのAgNO、250mg/Lのセフォタキシム、2.5gm/Lのジェランガム、pH5.7〕を、ビアラホス(Gold Biotechnology)と一緒に使用する。胚を、3mg/Lのビアラホスを含有する選択培地に、胚由来単離物が得られるまで移す。回収した単離物を、新しい選択培地に、再生及びさらなる分析のために2週間隔で移すことによって増量する。
【0152】
トウモロコシ形質転換の当業者は、他の植物発現できる選択可能な標識遺伝子(例えば、除草剤耐性遺伝子)を使用する場合には、形質転換植物の別の選択方法を利用できることを理解するであろう。
【0153】
再生及び種子生成
再生のために、培養物を、「28」誘導培地〔MS塩及びビタミン類、30gm/Lのスクロース、5mg/Lのベンジルアミノプリン、0.25mg/Lの2,4−D、3mg/Lのビアラホス、250mg/Lのセフォタキシム、2.5gm/L ノジェランガム、(pH5.7)〕に、低光量(14μEm−2−1)条件下で1週間、次いで高光量(約89μEm−2−1)条件下で1週間移す。その後に、組織を、「36」再生培地(植物成長調節剤を欠いている以外は誘導培地と同じ培地)に移す。小植物体が3〜5cmの長さまで成長したときに、それを、SHGA培地〔Schenk & Hildebrandt塩及びビタミン類(1972);Phyto Technologies Labr.)、1.0gm/Lのミオイノシトール、10gm/Lのスクロース及び2.0gm/Lのジェランガム、(pH5.8)〕を入れたガラス培養管に移し、新芽及び根のさらなる成長及び発生をさせる。植物を、本明細書で先に記載した土壌混合物と同じ土壌混合物に植え、温室で開花させるために生育する。種子生成のための制御された開花を行う。
【0154】
実施例10
遺伝子組換えトウモロコシのバイオアッセイ
植物細胞で産生されたDIG−11昆虫毒素及び変異体の生物活性を、慣用のバイオアッセイ法(例えば、Huang et al., 2006参照)で実証する。例えば、DIG−11昆虫毒素を産生する植物から誘導される種々の植物組織又は組織片を、制御された給餌環境の標的昆虫に餌を与えることによって、効果を実証することができる。別法として、タンパク質抽出物は、DIG−11昆虫毒素を産生する植物から誘導される種々の植物組織から調製し、本明細書に先に記載のような人工餌バイオアッセイにおいて抽出されたタンパク質を組み込み得る。このようなアッセイの結果は、DIG−11昆虫毒素又は変異体を産生しない宿主植物由来の適切な対照組織を用いる同様に行われるバイオアッセイ、又はその他の対照試料と比較されることが理解されるべきである。
【0155】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたポリペプチドであって、
(a)配列番号:2の残基142−664のアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
(b)配列番号:2の残基142−664のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
(c)配列番号:2によってコードされる毒素の発現又は活性に悪影響を及ぼさない最大20個までのアミノ酸の置換、欠失又は修飾を有する配列番号:2の残基142−664のアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
からなる群より選択されるコア毒素セグメントを含有する単離されたポリペプチド又はその殺虫活性断片。
【請求項2】
(a)配列番号:2の残基1−664のアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
(b)配列番号:2の残基1−664のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
(c)配列番号:2によってコードされる毒素の発現又は活性に悪影響を及ぼさない最大20個までのアミノ酸の置換、欠失又は修飾を有する配列番号:2の残基1−664のアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
からなる群より選択されるコア毒素セグメントを含有する請求項1に記載の単離されたポリペプチド又はその殺虫活性断片。
【請求項3】
(a)配列番号:2の残基142−1164のアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
(b)配列番号:2の残基142−1164のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
(c)配列番号:2によってコードされる毒素の発現又は活性に悪影響を及ぼさない最大20個までのアミノ酸の置換、欠失又は修飾を有する配列番号:2の残基142−1164のアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
からなる群より選択されるコア毒素セグメントを含有する請求項1に記載の単離されたポリペプチド又はその殺虫活性断片。
【請求項4】
(a)配列番号:2の残基1−1164のアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
(b)配列番号:2の残基1−1164のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
(c)配列番号:2によってコードされる毒素の発現又は活性に悪影響を及ぼさない最大20個までのアミノ酸の置換、欠失又は修飾を有する配列番号:2の残基1−1164のアミノ酸配列を含有するポリペプチド;
からなる群より選択されるコア毒素セグメントを含有する請求項1に記載の単離されたポリペプチド又はその殺虫活性断片。
【請求項5】
請求項1に記載のポリペプチドを含有する植物。
【請求項6】
請求項2に記載のポリペプチドを含有する植物。
【請求項7】
請求項3に記載のポリペプチドを含有する植物。
【請求項8】
請求項4に記載のポリペプチドを含有する植物。
【請求項9】
害虫個体群の防除方法であって、前記個体群を殺虫有効量の請求項1に記載のポリペプチドと接触させることからなる害虫個体群の防除方法。
【請求項10】
請求項1に記載のポリペプチドをコードする単離された核酸。
【請求項11】
請求項2に記載のポリペプチドをコードする単離された核酸。
【請求項12】
請求項3に記載のポリペプチドをコードする単離された核酸。
【請求項13】
請求項4に記載のポリペプチドをコードする単離された核酸。
【請求項14】
配列番号:1又は配列番号:3の配列を有する請求項10に記載の単離された核酸。
【請求項15】
配列番号:2又は配列番号:5のアミノ酸配列を含有する請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項16】
DNA構築物であって、バシラス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)から誘導されていない及び植物中で発現を駆動することができるプロモーターに操作可能に連結された請求項10に記載のヌクレオチド配列を含有するDNA構築物。
【請求項17】
遺伝子組換え植物であって、そのゲノムに安定的に組み込まれた請求項16に記載のDNA構築物を含有する遺伝子組換え植物。
【請求項18】
害虫から植物を保護する方法であって、前記植物に請求項16に記載のDNA構築物を導入することからなる害虫から植物を保護する方法。
【請求項19】
コーン・ルートワーム(根切り虫)に対して活性を有する請求項1、2、3又は4に記載のポリペプチド。

【公表番号】特表2012−532586(P2012−532586A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516158(P2012−516158)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/038483
【国際公開番号】WO2010/147880
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】