説明

FtsZの阻害剤およびそれらの用途

【課題】FtsZ重合の阻害剤およびそれらの用途。
【解決手段】細菌の成長を阻止する方法を提供し、該方法は、以下の構造を有する1種またはそれ以上の化合物またはそれらの塩の有効量を細菌と接触させる工程を包含する:


ここで、(a)XおよびXは、CHまたはNであり、XおよびXの少なくとも1個は、Nである。(b)Sは、1個〜8個の炭素原子を含む有機ラジカルである。(c)S、SおよびSは、別個に、水素、アミノ、ハロゲン、または1個〜26個の炭素原子を含む1個またはそれ以上の有機ラジカルから選択される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(謝辞)
本発明は、the National Institutes of Healthから授与された助成ROl AI50470下で、政府の支援により、行われた。
【0002】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、一般に、抗菌剤およびそれらの用途(特に、FtsZの阻害剤)の分野に関する。
【0003】
(背景技術)
多くの抗菌剤の作用機構が実証されている。例えば、細菌の細胞壁合成阻害におけるペニシリンおよび他のβ−ラクタム薬物の作用機構は、よく研究されている。しかしながら、他の場合には、作用機構は理解されていない。抗菌化合物は、6つの一般的な作用に分類され、これらには、以下の阻害が挙げられる:1)細胞壁の合成;2)細胞分裂;3)細胞膜の作用;4)タンパク質の合成;5)核酸の合成;および6)中間代謝。
【0004】
抗菌剤に対する耐性および/または抵抗性の進行は、疾患を治療する性能に対して、著しい脅威となっている。例えば、耐性種が認められることが増えていることには、多くの要因が寄与しており、これには、1)抗菌剤の乱用;2)抗菌剤の不適切な使用;3)多くの細菌が遺伝子物質を交換して耐性を与える能力;および4)多くの細菌で観察されている急速な変異速度(これにより、耐性株の選択が可能となる)が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一旦、生物体が特定の抗菌剤に対して耐性を発現すると、有効な代替物を発見することが重要となってくる。もし、生物体がこの第二抗菌剤に対して耐性を発現した場合、別の代替物が必要となる。結果として、新しい薬剤を連続して開発する必要がある。この薬剤は、生物体の生理機能を選択的に標的とするべきであるが、広範囲の生物体に対して作用できなければならない。それゆえ、当該技術分野では、単一および多剤耐性株に対する有効な代替薬物として働く抗菌剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明の目的に従って、本明細書中で具体化され広範に記述されているように、本発明は、1局面では、細菌の成長を阻止する方法に関し、該方法は、以下の構造を有する1種またはそれ以上の化合物またはそれらの塩の有効量を細菌と接触させる工程を包含する:
【0007】
【化20】

【0008】
ここで、
(a)XおよびXは、CHまたはNであり、XおよびXの少なくとも1個は、Nである;
(b)Sは、有機ラジカルである;
(c)S、SおよびSは、別個に、水素、アミノ、ハロゲン、または1個またはそれ以上の有機ラジカル、あるいは
(d)その塩から選択される。
【0009】
別の局面では、本発明は、細菌を殺す方法に関し、該方法は、本明細書中で開示した構造および種々の実施態様を有する1種以上の化合物の有効量を該細菌と接触させる工程を包含する。
【0010】
さらに別の局面では、本発明は、細菌におけるFtsZ重合を阻止する方法に関し、該方法は、本明細書中で開示した構造および種々の実施態様を有する1種またはそれ以上の化合物の有効量を該細菌と接触させる工程を包含する。
【0011】
さらなる局面では、本発明は、細菌の成長を阻止する方法に関し、該方法は、構造4−[(6−アミノ−2,3−ジフェニル−ピリド[2,3−b]ピラジン−8−イルアミノ)−メチル]−N,N−ジエチル−ベンゼンスルホンアミドを有する化合物の有効量を細菌と接触させる工程を包含する。
【0012】
本発明はまた、細菌に感染した被験体を治療する方法に関し、該方法は、該被験体に、本明細書中で開示した構造および種々の実施態様を有する1種以上の化合物の有効量を投与する工程を包含する。
【0013】
本発明のさらなる利点は、一部には、以下の記述で述べられており、また、一部には、その記述から明らかであるか、または、本発明を実行することにより、習得され得る。本発明の利点は、添付の請求の範囲で特に指摘された要素および組合せによって、実現され達成される。前述の一般的な記述および以下の詳細な記述の両方は、例示的で説明的であるにすぎず、請求した本発明を制限するものではない。
【0014】
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
細菌の成長を阻止する方法であって、該方法は、以下の構造を有する1種またはそれ以上の化合物またはそれらの塩の有効量を細菌と接触させる工程を包含する:
【0015】
【化1】

【0016】
ここで、
(a)XおよびXは、CHまたはNであり、XおよびXの少なくとも1個は、Nである;
(b)Sは、1個〜8個の炭素原子を含む有機ラジカルである;
(c)S、SおよびSは、別個に、水素、アミノ、ハロゲン、または1個〜26個の炭素原子を含む1個またはそれ以上の有機ラジカルから選択される、
方法。
(項目2)
前記細菌が、抗生物質に耐性である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記細菌が、グラム陽性である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記グラム陽性菌が、以下からなる群から選択される、項目3に記載の方法:
【0017】
【化2】

【0018】

(項目5)
前記細菌が、グラム陰性菌である、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記グラム陰性菌が、以下からなる群から選択される、項目5に記載の方法:
【0019】
【化3】

【0020】

(項目7)
前記化合物が、浸透性賦活薬と併用され、ここで、該浸透性賦活薬が、該浸透性賦活薬により、該化合物が前記細菌の細胞エンベロープを通過できる、項目5に記載の方法。
(項目8)
前記浸透性賦活薬が、ポリミキシンB、表面活性剤、デフェンシン、他の膜活性ペプチドおよびキレート化剤からなる群から選択される、項目7に記載の方法。
(項目9)
さらに、前記細菌を浸透性賦活薬と接触させる工程を包含する、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記浸透性賦活薬が、ポリミキシンB、表面活性剤、デフェンシン、他の膜活性ペプチドおよびキレート化剤からなる群から選択される、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記化合物が、約500グラム/モル未満の分子量を有する、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記化合物が、以下の構造を有する、項目1に記載の方法:
【0021】
【化4】

【0022】
ここで、
a)Sは、1個〜4個の炭素原子を含むアルキル基である;
b)Sは、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、1個〜26個の炭素原子を含む有機ラジカルであり、該有機ラジカルは、アルキル、アルコキシ、一置換アミノまたは二置換アミノから選択される;
c)SおよびSは、
(i)別個に、置換基であり、該置換基は、別個に、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、または1個〜26個の炭素原子を含む有機ラジカルから選択できるか、または
(ii)一緒になって、ヘテロアリールラジカルまたは複素環ラジカルを形成し、該ヘテロアリールラジカルまたは複素環ラジカルは、5個、6個または7個の環原子を含み、必要に応じて、1個、2個または3個の置換基で置換されており、該置換基は、ハロゲン、アミノ、または1個〜12個の炭素原子を含む有機ラジカルから選択される、
方法。
(項目13)
前記化合物が、以下の構造またはそれらの薬学的に受容可能な塩を有する、項目1に記載の方法:
【0023】
【化5】

【0024】
ここで、
a)XおよびXは、CHまたはNであり、XおよびXの少なくとも1個は、Nである;
b)Xは、CH、N、NH、OまたはSである;
c)Xは、ハロゲン、酸素、イオウまたはリン原子、アミノ、NH、または1個〜26個の炭素原子を含む有機ラジカルである;
d)Rは、1個〜4個の炭素原子を含むアルキルラジカルである;
e)Rは、任意のラジカルであり、該任意のラジカルは、水素、アミノ、ハロゲン、または1個〜26個の炭素原子を含む1個またはそれ以上の有機ラジカルから選択される;
f)Rおよび任意のR’ラジカル(存在または不在であり得る)は、別個に、水素、ハロゲン、または1個〜26個の炭素原子を含む有機ラジカルから選択される;
g)Cnは、1個または2個の任意の環炭素原子を含み、ここで、各任意の環炭素原子は、1個または2個の置換基ラジカルを有し、該置換基ラジカルは、別個に、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、または1個〜26個の炭素原子を含む有機ラジカルから選択される、
方法。
(項目14)
前記化合物が、以下の構造またはそれらの薬学的に受容可能な塩を有する、項目1に記載の方法:
【0025】
【化6】

【0026】
ここで、
a)Rは、1個〜4個の炭素原子を含むアルキル基である;
b)R−−Xは、アミノまたは一置換アミノラジカルであり、該アミノまたは一置換アミノラジカルは、1個〜26個の炭素原子を含む;
c)RおよびRは、別個に、水素、ハロゲン、または1個〜12個の炭素原子を含む有機ラジカルから選択される、
方法。
(項目15)
およびRが、別個に、水素、アルキルまたはアルコキシラジカル、アリールラジカルまたはヘテロアリールラジカルから選択され、該アルキルまたはアルコキシラジカルが、1個〜18個の炭素原子を含み、該アリールラジカルが、6個〜18個の炭素を含み、そして該ヘテロアリールラジカルが、1個〜18個の環炭素を含む、項目15に記載の方法。
(項目16)
前記化合物が、以下の構造またはそれらの薬学的に受容可能な塩を有する、項目1に記載の方法:
【0027】
【化7】

【0028】
ここで、
a)XおよびXは、CHまたはNであり、XおよびXの少なくとも1個は、Nである;
b)Xは、CH、N、NH、OまたはSである;
c)Xは、ハロゲン、酸素、イオウまたはリン原子、アミノ、NH、または1個〜26個の炭素原子を含む有機ラジカルである;
d)Rは、1個〜4個の炭素原子を含むアルキルラジカルである;
e)Rは、水素、アミノ、ハロゲン、または1個〜26個の炭素原子を含む1個またはそれ以上の有機ラジカルから選択される;
f)R、R、R’、R’ラジカルは、別個に、水素、ハロゲン、または1個〜26個の炭素原子を含む有機ラジカルから選択される、
方法。
(項目17)
前記化合物が、以下の構造またはそれらの薬学的に受容可能な塩を有する、項目1に記載の方法:
【0029】
【化8】

【0030】
ここで、
a)XおよびXは、CHまたはNであり、XおよびXの少なくとも1個は、Nである;
b)Xは、CH、N、NH、OまたはSである;
c)Xは、ハロゲン、酸素、イオウまたはリン原子、アミノ、NH、または1個〜26個の炭素原子を含む有機ラジカルである;
d)Rは、1個〜4個の炭素原子を含むアルキルラジカルである;
e)Rは、水素、アミノ、ハロゲン、または1個〜26個の炭素原子を含む1個またはそれ以上の有機ラジカルから選択される;
f)R、R、R、および任意のR’R’およびR’ラジカルは、別個に、水素、ハロゲン、または1個〜26個の炭素原子を含む有機ラジカルから選択される、
方法。
(項目18)
前記化合物が、以下の構造またはそれらの薬学的に受容可能な塩を有する、項目1に記載の方法:
【0031】
【化9】

【0032】
ここで、
a)Rは、1個〜4個の炭素原子を含むアルキルラジカルである;
b)R、R、R、R’およびR’ラジカルは、別個に、水素、ハロゲン、または1個〜26個の炭素原子を含む有機ラジカルから選択される、
方法。
(項目19)
前記化合物が、以下の構造またはそれらの薬学的に受容可能な塩を有する、項目1に記載の方法:
【0033】
【化10】

【0034】
ここで、
a)XおよびXは、CHまたはNであり、XおよびXの少なくとも1個は、Nである;
b)Xは、CH、N、NH、OまたはSである;
c)Xは、ハロゲン、酸素、イオウまたはリン原子、アミノ、NH、または1個〜26個の炭素原子を含む有機ラジカルである;
d)Rは、1個〜4個の炭素原子を含むアルキルラジカルである;
e)Rは、任意のラジカルであり、該任意のラジカルは、水素、アミノ、ハロゲン、または1個〜26個の炭素原子を含む1個またはそれ以上の有機ラジカルから選択される;
f)Cnは、水素、または1個〜26個の炭素原子を含む有機ラジカルである、
方法。
(項目20)
前記化合物が、次式またはそれらの薬学的に受容可能な塩を有する、項目1に記載の方法:
a)[5,6−ジアミノ−4−(2−ヒドロキシ−1−メチル−3−フェノキシプロピルアミノ)−ピリジン−2−イル]−カルバミン酸エチルエステル;
b)[8−(4−ジエチルアミノ−1−メチル−ブチルアミノ)−2,3−ジフェニル−ピリド[2,3−b]ピラジン−6−イル]−カルバミン酸エチルエステル;
c)(1−アミノ−8−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−2,5,9−トリアザベンゾシクロヘプテン−3−イル)−カルバミン酸エチルエステル;
d)[2,3−ジフェニル−8−(4−スルファモイル−ベンジルアミノ)−ピリド[2,3−b]ピラジン−6−イル]−カルバミン酸エチルエステル;
e)(5−アミノ−3−ブチル−2−メチル−1,2−ジヒドロ−ピリド[3,4−b]ピラジン−7−イル)−カルバミン酸エチルエステル;
f)(5−アミノ−2,3−ジフェニル−2H−ピリド[4,3−b][1,4]オキサジン−7−イル)−カルバミン酸エチルエステル;
g)(5−エトキシ−2,3−ジフェニル−ピリド[3,4−b]ピラジン−7−イル)−カルバミン酸エチルエステル;
h)(5−アミノ−2,3−ジフェニル−ピリド[3,4−b]ピラジン−7−イル)−カルバミン酸エチルエステル;
i)(5−アミノ−3−{[(4−メトキシ−フェニル)−メチル−アミノ]−メチル}−1,2−ジヒドロ−ピリド[3,4−b]ピラジン−7−イル)−カルバミン酸エチルエステル;または
j)[5−アミノ−3−(4−ブチルカルバモイルオキシ−フェニル)−2−メチル−1,2−ジヒドロ−ピリド[3,4−b]ピラジン−7−イル]−カルバミン酸エチルエステル。
(項目21)
細菌を殺す方法であって、該方法は、以下の構造を有する1種またはそれ以上の化合物またはそれらの塩の有効量を該細菌と接触させる工程を包含する:
【0035】
【化11】

【0036】
ここで、
a)XおよびXは、CHまたはNであり、XおよびXの少なくとも1個は、Nである;
b)Sは、1個〜8個の炭素原子を含む有機ラジカルである;
c)S、SおよびSは、別個に、水素、アミノ、ハロゲン、または1個〜26個の炭素原子を含む1個またはそれ以上の有機ラジカルから選択される、
方法。
(項目22)
前記細菌感染が、グラム陽性菌感染である、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記細菌感染が、以下からなる群から選択される、項目22に記載の方法:
【0037】
【化12】

【0038】

(項目24)
前記感染が、グラム陰性菌感染である、項目21に記載の方法。
(項目25)
前記細菌感染が、以下からなる群から選択される、項目24に記載の方法:
【0039】
【化13】

【0040】

(項目26)
前記化合物が、チューブリンに影響を及ぼさない、項目21に記載の方法。
(項目27)
細菌におけるFtsZ重合を阻止する方法であって、該方法は、以下の構造を有する1種またはそれ以上の化合物またはそれらの塩の有効量と接触させる工程を包含する:
【0041】
【化14】

【0042】
ここで、
a)XおよびXは、CHまたはNであり、XおよびXの少なくとも1個は、Nである;
b)Sは、1個〜8個の炭素原子を含む有機ラジカルである;
c)S、SおよびSは、別個に、水素、アミノ、ハロゲン、または1個〜26個の炭素原子を含む1個またはそれ以上の有機ラジカルから選択される、
方法。
(項目28)
前記細菌が、グラム陽性である、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記グラム陽性細菌が、以下からなる群から選択される、項目28に記載の方法:
【0043】
【化15】

【0044】

(項目30)
前記細菌が、グラム陰性である、項目27に記載の方法。
(項目31)
前記グラム陰性細菌染が、以下からなる群から選択される、項目30に記載の方法:
【0045】
【化16】

【0046】

(項目32)
前記化合物が、浸透性賦活薬に連結され、ここで、該浸透性賦活薬により、該化合物が前記細菌の細胞エンベロープを通過できる、項目27に記載の方法。
(項目33)
前記賦活薬が、ポリミキシンB、表面活性剤、デフェンシン、他の膜活性ペプチドおよびキレート化剤からなる群から選択される、項目32に記載の方法。
(項目34)
さらに、前記細菌を浸透性賦活薬と接触させる工程を包含する、項目27に記載の方法。
(項目35)
前記浸透性賦活薬が、ポリミキシンB、表面活性剤、デフェンシン、他の膜活性ペプチドおよびキレート化剤からなる群から選択される、項目34に記載の方法。
(項目36)
細菌の成長を阻止する方法であって、構造4−[(6−アミノ−2,3−ジフェニル−ピリド[2,3−b]ピラジン−8−イルアミノ)−メチル]−N,N−ジエチル−ベンゼンスルホンアミドを有する化合物の有効量を細菌と接触させる工程を包含する、方法。
(項目37)
細菌に感染した被験体を治療する方法であって、該方法は、該被験体に、以下の構造を有する1種またはそれ以上の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩の有効量を投与する工程を包含する:
【0047】
【化17】

【0048】
ここで、
a)XおよびXは、CHまたはNであり、XおよびXの少なくとも1個は、Nである;
b)Sは、1個〜8個の炭素原子を含む有機ラジカルである;
c)S、SおよびSは、別個に、水素、アミノ、ハロゲン、または1個〜26個の炭素原子を含む1個またはそれ以上の有機ラジカルから選択される、
方法。
(項目38)
前記細菌感染が、グラム陽性菌感染である、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記細菌感染が、以下からなる群から選択される、項目38に記載の方法:
【0049】
【化18】

【0050】

(項目40)
前記細菌感染が、グラム陰性菌感染である、項目37に記載の方法。
(項目41)
前記細菌感染が、以下からなる群から選択される、項目40に記載の方法:
【0051】
【化19】

【0052】

(項目42)
前記化合物が、チューブリン重合を阻害しない、項目37に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、種々の源由来のFtsZ配列の系統的樹形図を示す。
【図2】図2は、M.tuberculosisH37Raに対するSRI−3072の殺菌活性を示す。2倍、4倍および8倍のMIC(0.25mg/ml)存在下のcfu/mlを、薬物の存在下、インキュベーションの6日後に7H11寒天上にプレーティングすることにより、決定した。
【図3】図3は、M.tuberculosis FtsZポリマー化の阻害を示す。FtsZ(13μM)を、ポリマー化緩衝液中の異なる濃度のSRI−7614、SRI−3072およびコルヒチンと共にインキュベートした。ポリマー化を、40μMのGTPの付加により開始し、蛍光における増大を、90°光散乱アッセイを使用して測定した。挿入図はID50値の決定を例示する。最大光散乱を、GTP加算の前に、ピーク値からベースライン値を引くことにより計算した。
【図4】図4は、GTP加水分解の阻害を例示する。FtsZを、ポリマー化アッセイに記載される同じ条件の下でアッセイした。種々の時点で、25μlのアリコートを回収し、32Pの放出についてアッセイした。GTP加水分解に対する時間経過を、100μMコルヒチン、SRI−7614およびSRI−3072の存在下で測定し、コントロールと比較した。
【図5】図5は、チューブリンポリマー化の阻害を例示する。チューブリン(20μM)を、ポリマー緩衝液中100Mコルヒチン、SRI−7614、SRI−3072でインキュベートし、コントロールと比較した。ポリマー化を、1mMのGTPの添加により開始し、蛍光における増大を、90°光散乱アッセイを使用して測定した。
【図6】図6は、3−デアザプテリジン化合物の合成についての1つの合成スキームを示す。
【図7】図7は、ピリドジアゼピン化合物の合成についての1つの合成スキームを示す。
【図8】図8は、3−デアザプテリジンおよびピリドジアゼピン化合物のアザアナログの合成についての重要な中間体の合成についての1つの合成スキームを示す。
【図9】図9は、細胞長におけるSRI−3072の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
(好ましい実施態様の説明)
本発明は、本発明の好ましい実施態様の以下の詳細な説明およびそこに含まれる実施例ならびに図面および先の記述および以下の記述を参照することにより、さらに容易に理解できる。
【0055】
本発明の化合物、組成物、製品、装置および/または方法を開示し記述する前に、本発明は、特定の合成方法、特定の変異体または特定のスクリーニング方法には限定されず、それ自体、もちろん、変え得ることが理解できるはずである。また、本明細書中で使用する専門用語は、特定の実施態様を記述する目的のためのみであり、限定するとは解釈されないことが理解できるはずである。
【0056】
本明細書および添付の請求の範囲で使用する単数形「a」、「an」および「the」は、他に文脈で明らかに指示がなければ、複数の指示物を含む。それゆえ、例えば、「細菌(a bacterium)」の対象物は、複数の細菌の培養物および集団を含み、また、「細菌(bacteria)」の対象物は、2種以上の細菌を含むなどである。
【0057】
範囲は、本明細書中にて、「約」ある特定の値からおよび/または「約」別の特定の値までとして表わされ得る。このような範囲が表わされる場合、別の実施態様は、ある特定の値からおよび/または他の特定の値までを包含する。同様に、値が、先行詞である「約」を使用することにより、概算値として表わされる場合、その特定の値は、別の実施態様をなすことが理解できる。さらに、これらの範囲の各々の終点は、他の終点に関連して、また、他の終点とは無関係に、重要であることが理解できる。
【0058】
以下の本明細書および請求の範囲では、多数の用語を参照するが、これらは、以下の意味を有するように定義される:
「任意の」または「必要に応じて」とは、引き続いて記述された事象または状況が起こり得るかまたは起こり得ないこと、およびこの記述が、該事象または該状況が起こる場合および該事象が起こらない場合を含むことを意味する。
【0059】
本開示において、細菌細胞増殖およびFtsZ活性の阻害剤としての化合物の使用が、記載される。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、用語「FtsZ」は、M.Tuberculosisおよびその誘導体由来の寄託番号O08378の下でSwissProt Protein Data Baseに列挙されるポリペプチドをいう。
【0060】
FtsZの「誘導体」は、FtsZの生物学的活性に実質的に類似する生物学的活性(機能的または構造的のいずれか)を有するポリペプチドに関し、そして「フラグメント」、「改変体」、「アナログ」、「ホモログ」および「化学的変化」を含む。好ましくは、誘導体は、重合化する能力を保持する。
【0061】
用語「フラグメント」は、FtsZの3以上の連続的または隣接するアミノ酸を組み込むFtsZアミノ酸配列の任意のポリペプチドサブセットをいうことを意味する。用語「改変体」は、アミノ酸構造において全FtsZ分子、またはそのフラグメントのいずれかと実質的に類似の分子をいうことを意味する。用語「アナログ」は、機能において全FtsZ分子またはそのフラグメントのいずれかと実質的に類似の分子をいう。用語「ホモログ」は、種々の細菌において、対応するFtsZの対応物、またはその誘導体をいうことを意味し、この細菌としては、グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌の両方を含むが、これらに限定されない。用語「化学的変化」は、同じ様式で構造的に修飾されたFtsZの誘導体を意味するが、これは、FtsZと類似の様式で機能する。化学的変化は、FtsZ遺伝子をコードするヌクレオチド配列の修飾により(例えば、置換、付加、欠失などにより)作製され得、あるいは化学的手段、mRNAのインビトロ翻訳、当業者に公知の任意の他の等価な方法、またはFtsZへの化学的部分の付加を介してのような、インビトロでのポリペプチドの合成により生成される。天然に存在する、ftsz遺伝子、またはそのタンパク質への変異がまた、含まれる。
【0062】
両方の分子が、その各々のアミノ酸配列の間で、50%より高い同一性または50%より高い類似性(60%、70%、80%、90%または95%を含めて)を有する場合、構造に関して、または両方の分子がアミノ酸配列の類似性または同一性に関わらず類似の生物学的活性を有する場合、機能に関して、分子は、FtsZと「実質的に類似」または「相同な」である。当業者は、いかにして2つのタンパク質の相同性を決定するかを容易に理解する。
【0063】
用語「改変体」は、核酸またはペプチド分子のいずれかの配列における変異をいう。改変体といわれる場合、改変体は記述される特定の置換に依存する特定の性質を表すが、改変体が開示された活性を保持する場合、特に記述された位置以外の位置における他の置換、欠失、および/または挿入、例えば、保護的置換、挿入および/または欠失がまた、企図される。
【0064】
ほとんどのFtsZアミノ酸配列は、化学種間の配列保護をほとんど示さない短いN末端セグメントおよび短い〜長いC末端セグメントを有する。しかし、化学種の至る所で保護される保護されたコア配列が存在する。E.coliにおいて、保護されたコアは、アミノ酸10〜316に延び、次の配列(DAVIK(配列番号2)−VATGIG(配列番号3))で始まり、そして終わる。保護されたコアが、比較のために使用される場合、FtsZ配列は、40%〜60%の同一性を示す。保護されたFtsZ配列を有する細菌の代表的な列挙は、図1に示される。FtsZコア配列は、広範な生物にわたる注目すべき程度の類似性を共有する。
【0065】
本明細書中で議論されるように、公知であり、本明細書中で企図されるFtsZ分子の多くの改変体が、存在する。公知の機能性株改変体に加えて、開示された方法および組成物においても機能するFtsZタンパク質の誘導体が、存在する。タンパク質改変体および誘導体は、当業者に十分理解され、アミノ酸配列改変を含み得る。例えば、アミノ酸配列改変は、代表的に、以下の3つのクラスの1つ以上に入る:置換改変体、挿入改変体、または欠失改変体。挿入は、アミノ末端融合および/またはカルボキシル末端融合ならびに単一のまたは複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。挿入は、もともと、例えば、およそ1〜4の残基の、アミノ末端融合またはカルボキシル末端融合の挿入よりも小さな挿入である。欠失は、タンパク質配列からの1つ以上のアミノ酸残基の除去により特徴付けられる。代表的に、約2〜6以下の残基が、タンパク質分子中の任意の1つの部位で欠失される。これらの改変体は、通常タンパク質をコードするDNAにおけるヌクレオチドの部位特異的突然変異誘発により調製され、これにより、改変体をコードするDNAを産生し、そしてその後、組換え細胞培養物中でDNAを発現する。既知の配列を有するDNA中の所定の部位で置換変異を行うための技術が、周知である(例えば、M13プライマー突然変異誘発およびPCR突然変異誘発)。置換改変体は、少なくとも1つの残基が除去され、そして異なる残基がその場所に挿入される改変体である。このような置換は、一般的に、以下の表1および表2に従って行われ、保存的置換(conservative substitution)と呼ばれる。
【0066】
【表1−1】

【0067】
【表1−2】

【0068】
【表2】

【0069】
機能における実質的な変化が、表2における置換よりもあまり保存的でない置換を選択すること(すなわち、(a)置換領域におけるポリペプチド骨格の構造(例えばシート構造またはヘリックス構造のような)、(b)標的部位での分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の嵩高さを維持する効果においてより有意に異なる残基を選択すること)により行われる。一般に、タンパク質特性において最も大きな変化を作るよう予測される置換は、(a)親水性残基(例えば、セリン残基またはトレオニン残基)が、疎水性残基(例えば、ロイシン残基、イソロイシン残基、フェニルアラニン残基、バリン残基、またはアラニン残基)の代わりに置換され;(b)システインまたはプロリンが、任意の他の残基の代わりに(または任意の他の残基により)置換され;(c)電気陽性側鎖を有する残基(例えば、リジン残基、アルギニン残基、またはヒスチジン残基)が、電気陰性残基(例えば、グルタミン残基またはアスパラギン残基)の代わりに(または電気陰性残基により)置換されるか、または;(d)嵩高い側鎖(例えば、フェニルアラニン)を有する残基が、側鎖(例えば、この場合グリシン)を有さない残基の代わりに置換される、(e)硫酸化および/またはグリコシル化のための部位の数を増加することによる置換である。
【0070】
例えば、1つのアミノ酸残基の、生物学的および/または化学的に類似の別のアミノ酸残基との置換は、保存的置換として当業者に公知である。例えば、保存的置換は、1つの疎水性残基を別の疎水性残基で置換するか、または1つの極性残基を別の極性残基で置換することである。これらの置換としては、例えば、Gly、Ala;Val、Ile、Leu;Asp、Glu;Asn,Gln;Ser、Thr;Lys、Arg;およびPhe、Tyrのような組み合わせが挙げられる。各々の明確に開示された配列のこのような保存的に置換された改変体は、本明細書中に提供されるモザイクポリペプチド中に含まれる。
【0071】
アミノ酸置換は、代表的に単一の残基の置換であるが、多くの異なる位置で同時に起こり得る;挿入は、通常、およそ約1〜10のアミノ酸残基であり;そして欠失は、約10〜30残基にわたる。欠失または挿入が、好ましくは、隣接する対(すなわち、2残基の欠失または2残基の挿入)において作製される。置換、欠失、挿入またはこれらの任意の組み合わせが、組み合わされて最終構築物に到達し得る。突然変異誘発は、配列をリーディングフレームの外に配置してはならず、そして好ましくは、第2のmRNA構造を生成し得る相補的領域を作製しない。
【0072】
置換突然変異誘発または欠失突然変異誘発が利用されて、N−グリコシル化(Asn−X−Thr/Ser)またはO−グリコシル化(SerまたはThr)のための部位を挿入し得る。システインまたは他の不安定残基の欠失がまた、所望され得る。可能性のあるタンパク質分解部位(例えば、Arg)の欠失または置換が、例えば塩基性残基の1つの欠失またはグルタミン残基もしくはヒスチジン残基による塩基性残基の1つの置換により、達成される。
【0073】
ある翻訳後の誘導体は、発現されたポリペプチド上の組換え宿主細胞のいくらかの型の作用の結果である。グルタミン残基およびアスパラギン残基は、しばしば、翻訳後に対応するグルタミン酸残基およびアスパラギン酸残基に脱アミド化される。あるいは、これらの残基は、穏やかな酸性条件下で脱アミド化される。他の翻訳後の修飾としては、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリン残基またはスレオニン残基のヒドロキシル基のホスホリル化、リジン、アルギニンおよびヒスチジン側鎖のo−アミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco pp79−86[1983])、N末端アミンのアセチル化、および、ある場合は、C末端カルボキシルのアミド化が挙げられる。
【0074】
本明細書が種々のタンパク質およびタンパク質配列を議論するので、これらのタンパク質配列をコードし得る核酸もまた開示されることが理解される。これは、特定のタンパク質配列に関連する全ての縮重配列(すなわち、1つの特定のタンパク質配列をコードする配列を有する全ての核酸ならびにタンパク質配列の開示された改変体および誘導体をコードする全ての核酸(縮重核酸を含む))を含む。従って、各特定の核酸配列が本明細書中に書き記され得ないものの、各全ての配列が、開示されたタンパク質配列によって、本明細書に、実際に開示され、そして記載されることが理解される。
【0075】
FtsZ分子に組み込まれ得る多くのアミノ酸およびペプチドアナログが存在することが理解される。例えば、多くのDアミノ酸、または表1および表2に示されるアミノ酸とは異なる官能性置換基を有するアミノ酸が存在する。天然に存在するペプチドの反対の立体異性体、ならびにペプチドアナログの立体異性体が開示される。これらのアミノ酸は、tRNA分子を選択したアミノ酸で荷電すること、および部位特異的方法でペプチド鎖内にアナログアミノ酸を挿入するために例えばアンバーコドンを利用する遺伝子構築物を操作することによってポリペプチド鎖内に容易に組み込まれ得る(Thorsonら,Methods in Molec.Biol.77:43−73(1991),Zoller,Current Opinion in Biotechnology,3:348−354(1992);Ibba,Biotechnology & Genetic Enginerring Reviews 13:197−216(1995),Cahillら、TIBS,14(10):400−403(1989);Benner,TIB Tech,12:158−163(1994);IbbaおよびHennecke,Bio/technology,12:678−682(1994)(これらは全て、少なくともアミノ酸アナログに関連する材料について、本明細書中において参考として援用される))。
【0076】
本明細書中で考察されるように、相同性および同一性という用語の使用が、類似性と同じことを意味することが理解される。従って、例えば、相同性という言葉の使用が2つの非天然の配列の間で使用される場合、これは、これら2つの配列間の進化的関係を必ずしも示さず、むしろ、それらの核酸配列またはアミノ酸配列間の類似性または関係性を見ていることが理解される。2つの進化的に関連する分子間の相同性を決定するための方法の多くが、それらが進化的に関連するか否かに関わらず、配列類似性を測定する目的で、任意の2つ以上の核酸またはタンパク質に慣用的に適用される。
【0077】
保存的変異および相同性についての記載が、任意の組み合わせで一緒に組み合わされ得(例えば、特定の配列に対して少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の相同性を有する実施形態)、この改変体が保存的アミノ酸置換を含むことが理解される。
【0078】
一般的に、本明細書中に開示される遺伝子およびタンパク質の任意の公知の改変体および誘導体または生じ得る改変体および誘導体を規定するための1つの方法は、特定の公知の配列に対する相同性の点で改変体および誘導体を規定することによることが理解される。本明細書中に開示される特定の配列のこの同一性はまた、本明細書中で他で考察される。一般的に、本明細書中で代表的に開示される遺伝子およびタンパク質の改変体は、示された配列またはネイティブな配列と少なくとも約40%、50%、55%、60%、65%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の相同性を有する。当業者は、2つのタンパク質または核酸(例えば、遺伝子)の相同性を決定する方法を容易に理解する。例えば、相同性がその最も高いレベルであるように、2つの配列を整列した後に、相同性が計算され得る。
【0079】
相同性を計算する別の方法は、公開されたアルゴリズムによって実行され得る。比較のための配列の最適な整列は、SmithおよびWaterman Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch,J.MoL Biol.48:443(1970)の相同性整列アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2444(1988)の類似性方法についての検索によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実行(the Wisconsin Genetlcs Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)によって、または検査によって実行され得る。
【0080】
同じタイプの相同性は、例えば、Zuker,M.Science 244:48−52,1989,Jaegerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:7706−7710,1989、Jaegerら、Methods Enzymol.l83:28l−306,1989(少なくとも核酸配列に関連する材料について、本明細書中において、参考として援用される)に開示されるアルゴリズムによって、核酸について得られ得る。代表的に、任意の方法が使用され得、そして特定の場合において、これらの種々の方法の結果が異なり得ることが理解されるが、当業者は、これらの方法のうちの少なくとも1つで同一性が見出される場合、これらの配列は、示された同一性を有すると言われ、本明細書中に開示されることを理解する。
【0081】
例えば、本明細書中で使用される場合、別の配列に対して特定のパーセントの相同性を有するとして示された配列は、上記計算方法の任意の1つ以上によって計算される、示された相同性を有する配列をいう。例えば、たとえ第1配列が任意の他の計算方法によって計算された場合に第2配列に対して80%の相同性を有さないとしても、第1配列が第2配列に対してZuker計算法を使用して80%の相同性を有すると計算される場合、本明細書中に規定される場合、第1配列は、第2配列に対して80%の相同性を有する。別の例として、たとえ第1配列がSmith and Waterman計算法、Needlemann and Wunsch計算法、Jaeger計算法、または任意の他の計算方法によって計算された場合に第2配列に対して80%の相同性を有さないとしても、第1配列が第2配列に対してZuker計算法およびPearson and Lipman計算法の両方を使用して80%の相同性を有すると計算される場合、本明細書中に規定される場合、第1配列は、第2配列に対して80%の相同性を有する。なお別の例として、第1配列が第2配列に対して任意の計算法を使用して80%の相同性を有すると計算される場合、本明細書中に規定される場合、第1配列は、第2配列に対して80%の相同性を有すると計算される(もっとも、実際には、異なる計算方法は、しばしば、異なる計算された相同性%を生じる)。
【0082】
「薬学的に受容可能な」とは、生物学的またはそれ以外で有害ではない物質、すなわち、臨床的に許容できない生体効果を生じたりせず、また、それが含有される医薬組成物の他の成分のいずれかと有害な様式で相互作用せずに、関連した活性化合物と共に個体に投与できる物質を意味する。
【0083】
「アルキル」との用語は、炭化水素基または残基であって、非環式アルカンからの1つの水素原子の除去および置換(従って、非水素基または残基の置換)により変性した非環式アルカン化合物と構造的に類似しているものを意味する。アルキルは、非環式で飽和の直鎖または分枝鎖炭化水素残基を包含し、これは、1個〜12個の炭素、1個〜8個の炭素または1個〜6個の炭素を有する。このようなアルキルラジカルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、アミ
ル、t−アミル、n−ペンチルなどのラジカルが挙げられる。低級アルキルは、1個〜4個の炭素原子を有する非環式で飽和の直鎖または分枝鎖炭化水素残基を包含する。
【0084】
本明細書中で使用する「アルコキシ」との用語は、上で定義したアルキル残基であって、酸素原子に結合してエーテルラジカルを形成するものを意味し、ここで、この酸素原子はまた、他のラジカルに結合される。例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、イソ−ブトキシなどが挙げられる。
【0085】
「一置換アミノ」との用語は、そのRラジカルが有機ラジカルであるアミノ(−NHR)ラジカルを意味する。適当な有機ラジカルには、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシまたはアシルが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、この用語は、本明細書中で見られる定義を有する。一置換アミノ基の例には、メチルアミノ(−NH−CH);エチルアミノ(−NHCHCH)、ヒドロキシエチルアミノ(−NH−CHCHOH)、メトキシエチルアミノ(−NH−CHCHOCH)などが挙げられる。
【0086】
「二置換アミノ」との用語は、二置換アミノラジカル(−NR)を意味し、ここで、RおよびRは、同一または異なり得る有機ラジカルである。適当な有機ラジカルには、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシまたはアシルが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、この用語は、本明細書中で見られる定義を有する。一部の例には、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ、ジヒドロキシエチルアミノ、および類似のラジカルが挙げられる。
【0087】
「ハロアルキル」との用語は、そのアルキルラジカル上の1個またはそれ以上の水素を1個またはそれ以上のハロゲンで置き換えたアルキル残基(これは、上で定義した)を意味する。ある実施態様では、これらのハロゲンは、フルオロラジカルである。例には、クロロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどが挙げられる。
【0088】
「ハロアルコキシ」との用語は、酸素に直接結合してハロアルキル置換基ラジカル有するエーテルラジカルを形成するハロアルキル残基(これは、上で定義した)を意味する。例には、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシなどが挙げられる。
【0089】
「アシル」との用語は、そのRラジカルが水素であるかまたはカルボニル炭素に結合した有機ラジカルの炭素を有するR−C(O)−を意味する。例には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、イソ−ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、ベンゾイルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
「アシルオキシ」との用語は、酸素と直接結合してR−C(O)O−ラジカルを形成するアシルラジカル(これは、上で定義した)を意味する。例には、アシルオキシ、プロピオニルオキシ、ブタノイルオキシ、イソ−ブタノイルオキシ、ベンゾイルオキシ、および類似のラジカルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
「アリール」との用語は、6個〜18個の炭素、好ましくは、6個〜12個の炭素を含有する炭化水素環ラジカルであって、その中に、少なくとも1個の6員芳香族「ベンゼン」環を含むものを意味する。このようなアリールラジカルの例には、フェニル、ビフェニルおよびナフチルが挙げられる。「置換アリール」との用語は、上で定義したアリール環ラジカルであって、1個またはそれ以上、または好ましくは、1個、2個または3個の有機環、ラジカルまたは無機置換基でさらに置換したものを意味し、これらには、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシル、シクロアルキル、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アシルオキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、アルキルカルボキサミド、置換アルキルカルボキサミド、ジアルキルカルボキサミド、置換ジアルキルカルボキサミド、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、チオアルキル、チオハロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシまたはハロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、複素環、置換複素環(ここで、これらの用語は、本明細書中で定義されている)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの有機置換基は、1個〜12個の炭素原子、または1個〜6個の炭素原子、または1個〜4個の炭素原子を含有できる。
【0092】
「ヘテロアリール」との用語は、芳香環ラジカル(これは、1個〜18個の環炭素、または2個〜15個の環炭素、または3個〜12個の環炭素、または4個〜10個の環炭素、または5個〜8個の環炭素を含有する)であって、その中の芳香環の少なくとも1個の原子をヘテロ原子で置き換えたものを意味し、このヘテロ原子には、窒素原子、酸素原子およびイオウ原子が挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリールは、1個、2個、3個、4個、5個または6個の別個に選択された環ヘテロ原子を有し得る。ヘテロアリール残基の例には、ピリジル、ビピリジル、フラニルおよびチオフラニル残基が挙げられる。置換「ヘテロアリール」残基は、1個またはそれ以上の有機ラジカルまたは無機置換基、または好ましくは、1個、2個または3個のこのような基を有し得、これらは、この上で言及したように、そのヘテロ芳香環の炭素原子に結合されている。これらの有機置換基は、1個〜12個の炭素原子、または1個〜6個の炭素原子、または1個〜4個の炭素原子を含有できる。
【0093】
「ハロ」または「ハロゲン」との用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードラジカルをいう。
【0094】
「チオアルキル」との用語は、アルキルラジカルに結合したスルフィド原子(直鎖または分枝)を意味する。例には、メチルスルフィド、エチルスルフィド、イソプロピルスルフィドなどが挙げられる。
【0095】
「チオハロアルキル」との用語は、1個またはそれ以上の水素をハロゲン原子で置き換えたチオアルキルラジカルを意味する。例には、トリフルオロメチルチオ、1,1−ジフルオロメチルチオ、2,2,2−トリフルオロエチルチオなどが挙げられる。
【0096】
「シクロアルキル」との用語は、炭化水素基であって、環式アルカンからの水素原子の除去(従って、非水素基または残基の置換)により修飾した環式アルカン化合物と構造的に類似している。シクロアルキル基または残基ラジカルは、3個〜18個の炭素、好ましくは、4個〜12個の炭素、または5個〜8個の炭素を有する。例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、デカヒドロナフチル、アダマンチルなどの残基が挙げられる。
【0097】
「置換シクロアルキル」との用語は、上で定義したシクロアルキル残基であって、1個、2個またはそれ以上の追加の有機ラジカルまたは無機置換基でさらに置換したものを意味し、これらには、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、置換アルコキシ、カルボキシ、カルボアルコキシ、アルキルカルボキサミド、置換アルキルカルボキサミド、ジアルキルカルボキサミド、置換ジアルキルカルボキサミド、アミノ、一置換アミノまたは二置換アミノを挙げることができるが、これらに限定されない。このシクロアルキルが1個またはそれ以上の置換基で置換されているとき、それらは、同一または異なり得る。これらの有機置換基は、1個〜12個の炭素原子、または1個〜6個の炭素原子、または1個〜4個の炭素原子を含有できる。
【0098】
「シクロアルケニル」との用語は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有する、上で定義したシクロアルキル残基を意味する。例には、シクロプロペニル、1−シクロブテニル、2−シクロブテニル、1−シクロペンテニル、2−シクロペンテニル、3−シクロペンテニル、1−シクロヘキシル、2−シクロヘキシル、3−シクロヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。「置換シクロアルケニル」との用語は、上で定義したシクロアルケニルであって、1個またはそれ以上の有機ラジカルまたは無機置換基でさらに置換したものを意味する。適当な置換基ラジカルには、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、置換アルコキシ、ハロアルコキシ、カルボキシ、カルボアルコキシ、アルキルカルボキサミド、ジアルキルカルボキサミド、アミノ、一置換アミノまたは二置換アミノラジカルが挙げられるが、これらに限定されない。このシクロアルケニルが1個またはそれ以上の基で置換されているとき、それらは、同一または異なり得る。これらの有機置換基は、1個〜12個の炭素原子、または1個〜6個の炭素原子、または1個〜4個の炭素原子を含有できる。
【0099】
本明細書中で定義し使用する「有機ラジカル」は、1個またはそれ以上の炭素原子を含有する。例えば、有機ラジカルは、1個〜26個の炭素原子、1個〜18個の炭素原子、1個〜12個の炭素原子、1個〜8個の炭素原子、または1個〜4個の炭素原子を有し得る。有機ラジカルは、しばしば、その有機ラジカルの炭素原子の少なくとも一部に結合した水素を有する。無機原子を含有しない有機ラジカルの一例には、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチルラジカルがある。ある実施態様では、有機ラジカルは、そこに結合した1個〜10個の無機ヘテロ原子を含有でき、これらには、ハロゲン、酸素、イオウ、窒素、リンなどが挙げられる。有機ラジカルの例には、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、一置換アミノ、二置換アミノ、アシルオキシ、シアノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、アルキルカルボキサミド、置換アルキルカルボキサミド、ジアルキルカルボキサミド、置換ジアルキルカルボキサミド、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、チオアルキル、チオハロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、複素環または置換複素環ラジカルが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、これらの用語は、本明細書中の他の箇所で定義されている。ヘテロ原子を含有する有機ラジカルの少数の非限定的な例には、アルコキシラジカル、トリフルオロメトキシラジカル、アセトキシラジカル、ジメチルアミノラジカルなどが挙げられる。
【0100】
「プロドラッグ」との表現は、薬剤前駆体である化合物を意味し、これは、投与に続いて、化学的または生理学的プロセスによりインビボで薬剤を放出する(例えば、プロドラッグは、生理学的pHにされるか酵素作用により、所望の薬剤形状に変換される)。代表的なプロドラッグは、開裂すると、対応する遊離酸を放出し、式(I)の化合物のこのような加水分解可能エステル形成残基には、カルボキシル部分を有するものが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、その遊離水素は、以下で置き換えられている:(C〜C)アルキル、(C〜C)アルカノイルオキシメチル、1−(アルカノイルオキシ)エチル(これは、4個〜9個の炭素原子を有する)、1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル(これは、5個〜10個の炭素原子を有する)、アルコキシカルボニルオキシメチル(これは、3個〜6個の炭素原子を有する)、1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル(これは、4個〜7個の炭素原子を有する)、1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル(これは、5個〜8個の炭素原子を有する)、N−(アルコキシカルボニル)アミノメチル(これは、3個〜9個の炭素原子を有する)、1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル(これは、4個〜10個の炭素原子を有する)、3−フタリジル、4−クロトノールアクトリル、γ−ブチロールオクトン−4−イル、ジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキル(例えば、b−ジメチルアミノエチル)、カルバモイル−(C〜C)アルキル、N,N−ジ(C〜C)アルキルカルバモイル−(C〜C)アルキルおよびピペリジノ−、ピロリジノ−またはモルホリノ(C〜C)アルキル。
【0101】
(本発明の方法)
本発明は、インビボおよびインビトロ抗菌方法を提供する。「抗菌」とは、細菌の成長を阻止または防止するか、細菌を殺すか、または細菌の数を減らすことを意味する。それゆえ、本発明は、細菌の成長を阻止または防止する方法を提供し、該方法は、以下の構造を有する1種またはそれ以上の化合物の有効量を細菌と接触させる工程を包含する:
【0102】
【化21】

【0103】
本発明の化合物のさらに別の構造は、本明細書中で提供されている。
【0104】
また、本発明は、細菌の成長を阻止または防止する方法を提供し、該方法は、式4−[(6−アミノ−2,3−ジフェニル−ピリド[2,3−b]ピラジン−8−イルアミノ)−メチル]−N,N−ジエチル−ベンゼンスルホンアミドを有する1種またはそれ以上の化合物の有効量を細菌と接触させる工程を包含する。
【0105】
「細菌の成長を阻止する」とは、単一の細菌が娘細胞に分裂する能力を低下させるか細菌の集団が娘細胞に分裂する能力を低下させることとして、定義される。細菌が再生する能力は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または100%またはそれ以上、低下できる。
【0106】
本発明はまた、細菌または細菌の集団を殺す方法を提供し、該方法は、本明細書中で開示し記述した1種またはそれ以上の化合物を該細菌と接触させる工程を包含する。
【0107】
「細菌を殺す」とは、単一の細菌の死を引き起こすこと、または複数の細菌(例えば、コロニー中のもの)の数を減らすこととして、定義される。細菌が複数形状であるとき、「細菌を殺す」とは、所定細菌集団の10%の割合、その集団の20%の割合、その集団の30%の割合、その集団の40%の割合、その集団の50%の割合、その集団の60%の割合、その集団の70%の割合、その集団の80%の割合、その集団の90%の割合、またはその集団の100%に等しいかそれ未満の割合での集団の細胞死として、定義される。
【0108】
本発明のFtszインヒビターは、インビトロまたはインビボで抗菌活性を有する。一連の化合物が表3および表8に示される。これらの化合物を、12.5g/mlの濃度でM.tuberuculosis H37Rvに対する潜在的な抗菌活性についてスクリーニングした。細菌増殖の少なくとも90%阻害を示す化合物を、さらなる研究のために選択した。
【0109】
表3および表8に示されるように、いくつかの化合物が、最初のスクリーニングにおいて、M.tuberuculosis H37Rvに対して活性を示した。これらは、SRI−7405、SRI−3072、SRI−7614、SRI7462、4427−026−15、4427−143、CAO−040、3491−23および3302−98Fを含んだ。これらの化合物のいくつかが、以下に記載されるように、M.tuberuculosis H37Rvに対してより低濃度で試験され、最小阻害濃度(MIC99)(BACTECアッセイ)を決定し、哺乳動物Vero細胞に対して試験して、IC50(MTSアッセイ)を決定した。MIC99値およびIC50値を使用して、これらの化合物についての選択性指数(SI、IC50/MIC99として規定される)を決定した。SRI−7614は、6.25mg/L(19μM)のMIC99を有し、>200μg/mlのIC50を有した。SRI−7614についての得られたSIは、>32であった。SRI−3072は、0.15μg/ml(0.28μM)のMIC99および6.3μg/mlのIC50を有した。SRI−3072についての得られたSIは、42.0であった。さらなる結果を、表3に示す。これらの結果は、本発明の化合物について幅広い範囲の抗菌活性を示す。
【0110】
イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、カナマイシン、ピラジナミド、チアセタゾン(thiacetazone)、またはサイクロセリンのいずれかに対して単独で耐性であったM.tuberuculosisの株は、SRI−7614およびSRI−3072に対して一様に感受性であり、野生型株の値と類似したMIC99値を有する(表5)。従って、本発明の化合物は、抗生物質耐性細菌に対して有用である。
【0111】
M.tuberuculosis H37RaについてのSRI−3072のMICおよびMBCは、0.25mg/L(0.47μM)および1〜2mg/l(1.9〜3.8μM)であった(図2)。0.95μM、1.9μMおよび3.8μMの薬物の存在下での対数減少(cfu/mL)は、それぞれ、0.98±0.11、1.7±0.06および2.0±0.12であった。薬物を用いない生存度コントロールでの増殖は、インキュベーションの6日後に、≧1−log10cfu/mL増加したことを推定した(実施例1を参照のこと)。
【0112】
好ましい実施形態において、MICに対するMBCの殺菌比は、約4以下である。SRI−3072について、この比は、1.9μMのMBCについての値を使用して、4であった。
【0113】
SRI−3072は、感染したマウス骨髄マクロファージにおいて、M.tuberuculosisの増殖を阻害した。7日後のミコバクテリア増殖における90%減少および99%減少をもたらす濃度は、それぞれ、0.23μM(0.12μg/ml、EC90)および2.7μM(1.42μg/ml、EC99)であった。EC90は、H37Rv、H37Ra、Erdmanおよび薬物耐性株についてのMIC値と類似し、これは、マクロファージ内へのSRI−3072の適切な透過性を示す。
【0114】
さらに、SRI−3072を、Escherichia coli、Enterococcus hirae、およびStaphylococcus aureus(それぞれ、グラム陰性杆体およびグラム陽性球菌を代表する)に対してアッセイした(表7)。次いで、薬物をグラム陽性杆体および球菌の拡大したパネルに対して試験し、これは、メチシリン耐性ブドウ球菌、多剤耐性ブドウ球菌およびバンコマイシン耐性腸球菌を含んだ。これらの生物に対するMICは、試験した単一のグラム陽性杆体(Bacillus subtilis)について、16μg/mLのMICで阻害したことを除いて、32〜64μg/mLの範囲であった。結論として、SRI−3072は、いくつかのグラム陽性細菌(薬物耐性株を含む)に対して中程度の活性を示した(実施例8)。
【0115】
本発明の化合物は、いくつかの異なるタイプの細菌の阻害によって実証されるように、抗菌活性を示した。SRI−3072はまた、感染したマウス骨マクロファージにおいて、M.tuberuculosis Erdmanの増殖を阻害することを示した。
【0116】
本発明はまた、細菌に感染した被験体を治療する方法を提供し、該方法は、該被験体に、本発明の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する。
【0117】
本明細書中で提供した化合物の「治療有効量」との用語は、その化合物が1つまたはそれ以上の症状の所望の減少をもたらす非毒性であるが十分な量を意味する。以下で指摘するように、必要な化合物の正確な量は、被験体の種、年齢および一般的な健康状態、治療する疾患の重症度、使用する特定の化合物、その投与様式などに依存して、被験体ごとに変わる。それゆえ、正確な「有効量」を特定することは不可能である。しかしながら、適当な有効量は、常套的な実験方法を使用するだけで、当業者により決定され得る。
【0118】
本発明の化合物は、当該技術分野で公知の技術を使用して、調製される。これらの化合物は、個々にまたは共同で、被験体に投与する薬学的に受容可能な担体またはビヒクルと混ぜ合わせられる。「薬学的に受容可能な担体」または「薬学的に受容可能なビヒクル」とは、好ましくない生理学的応答を引き起こすことなく、また、有害な様式でその組成物の他の成分と相互作用することなく、生きている動物またはヒトの組織と接触して使用するのに適当な任意の組成物または化合物を意味するように本明細書中で使用され、これらには、水または生理食塩水、ゲル、軟膏、溶媒、希釈液、液体軟膏基剤、リポソーム、ミセル、巨大ミセルなどが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、E.W.Martin Mack Pub.Co.,Easton,PAによるRemington’s
Pharmaceutical Sciencesの最新版を参照。これは、典型的な担体およびそれらの薬剤の処方製剤と併用され得る医薬組成物を調製する通常の方法を開示しており、その内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0119】
これらの化合物は、経口的、非経口的(例えば、静脈内)、筋肉内、腹腔内、局所的、経皮的、局所的、全身的、脳室内、脳内的、硬膜下、関節内またはくも膜下腔内、鼻腔内的または挿管で、投与され得る。その薬剤および投与様式に依存して、薬剤が血液脳関門を横断するのを促進するために、特別な規定が必要であり得る。当業者は、投与様式、薬理学的担体、または血液脳関門がもたらす制約を回避する他のパラメータを改良することを知っている。投与する活性化合物の量は、もちろん、治療する被験体、被験体の体重、投与様式、および処方する内科医、獣医師または栄養士の判断に依存している。
【0120】
意図した投与様式に依存して、これらの医薬組成物は、固形、半固形または液状の剤形(例えば、錠剤、座剤、丸薬、カプセル剤、粉剤、液体、懸濁液、ローション、クリーム、ゲルなど)、好ましくは、正確な投薬量を1回投与するのに適当な単位剤形であり得る。これらの組成物は、上記のように、薬学的に受容可能な担体と組み合わせて、選択した薬剤の有効量を含有し、さらに、他の医薬、薬剤、担体、アジュバント、希釈剤などを含有し得る。
【0121】
本発明はまた、式(I)または本明細書中で提供した他の式の化合物のプロドラッグを含有する医薬組成物を包含する。本発明はまた、FtsZの阻害により治療または予防できる障害を治療または予防する方法を包含し、該方法は、式(I)または本明細書中で提供した他の式の化合物のプロドラッグを投与する工程を包含する。遊離のアミン基、アミド基、水酸基、スルホンアミド基またはカルボン酸基を有する式(I)の化合物は、プロドラッグに変換できる。プロドラッグには、アミノ酸残基、または2種またはそれ以上(例えば、2種、3種または4種)のアミノ酸残基(これらは、ペプチドを介して共有結合されている)のポリペプチド鎖は、式(I)または本明細書中で提供した他の式の化合物の遊離のアミド基、アミノ基、水酸基またはカルボン酸機に結合した化合物が挙げられる。これらのアミノ酸残基には、3つの文字記号により一般に指定された20種の天然に生じるアミノ酸が挙げられ、また、4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、デモシン、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、β−フラニン、γ−アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチンおよびメチオニンスルホンが挙げられる。プロドラッグには、また、カーボネート、カーバメート、アミドおよびアルキルエステルがカルボニル炭素プロドラッグ側鎖を介して式(I)の上記置換基に共有結合した化合物が挙げられる。
【0122】
固形組成物について、通常の非毒性固形担体には、例えば、医薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、滑石、セルロース、グルコース、ショ糖、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。液状の薬学的に投与可能な組成物は、例えば、本明細書中で記述した活性化合物および任意の医薬アジュバントを賦形剤(例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセリン、エタノールなど)に溶解、分散などして、それにより、溶液または懸濁液を形成することにより、調製できる。もし望ましいなら、投与する医薬組成物はまた、少量の非毒性の補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤など(例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム、トリエタノールアミンオレイン酸塩など))を含有し得る。このような剤形の実際の調製方法は、公知であるか、または当業者に明らかである;例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(上で引用)を参照。
【0123】
経口投与用の微粉末または顆粒は、希釈剤、分散剤および/または表面活性剤を含有し得、そして水またはシロップ、カプセルまたは香粉(乾燥状態)、または非水性の溶液または懸濁液(ここで、懸濁液が含有され得る)、錠剤(ここで、結合剤および潤滑剤が含有され得る)、または懸濁液(水中またはシロップ中)に存在し得る。望ましいか必要な場合、香料、防腐剤、懸濁液、増粘剤または乳化剤が含有され得る。錠剤および顆粒は、好ましい経口投与形状であり、これらは、被覆され得る。
【0124】
非経口投与は、もし使用するなら、一般に、注射を特徴とする。注射可能物は、通常の形態(溶液または懸濁液、注射前の液体中の溶液または懸濁液に適当な固形物形状、または乳濁液のいずれか)で、調製できる。非経口投与のための最も最近修正されたアプローチには、遅延放出または徐放システムの使用が関与しており、その結果、一定投薬レベルが維持される。例えば、米国特許第3,710,705号(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)を参照。
【0125】
本発明の治療組成物はまた、リポソーム送達系(例えば、小ユニラメラベシクル、大ユニラメラベシクルおよびマルチラメラベシクル、微小球体またはナノ球体および他の遅延放出組成物)の形態で、投与できる。リポソームは、種々のリン脂質(例えば、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン)から形成できる。
【0126】
本発明の治療組成物はまた、その化合物分子がカップリングする個々の担体としてモノクローナル抗体を使用することにより、送達され得る。本開示の治療組成物はまた、標的可能薬剤担体として、溶解性重合体とカップリングされ得る。このような重合体には、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピル−メタクリル−アミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルとアミドフェノールまたはポリエチレンオキシドポリリシンが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本開示の治療組成物は、薬剤を制御して放出する際に有用な生物分解性重合体(例えば、ポリ乳酸、ポリε−カプロラクタム、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロ−ピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロック共重合体)にカップリングされ得る。
【0127】
局所投与用の液体、懸濁液、ローション、クリーム、ゲルなどは、その活性化合物が皮膚の表面に送達できる限り、使用され得る。
【0128】
好ましくは、この化合物の投与により、細菌感染が、少なくとも約3%、さらに好ましくは、約10%、さらに好ましくは、約20%、さらに好ましくは、約30%、さらに好ましくは、約50%、さらに好ましくは、75%、さらにより好ましくは、約100%少なくなる。この感染の減少は、白血球数の減少、発熱の低下、炎症の減少、細菌数の減少または細菌感染の他の指標の低下のようなパラメータにより、決定される。細菌感染の低下を高めるために、その投薬量は、被験体に対して非毒性のままとどまる最も有効なレベルまで高めることができる。
【0129】
本明細書全体を通じて使用される「被験体」とは、個体を意味する。好ましくは、被験体は、哺乳動物(例えば、霊長類)、さらに好ましくは、ヒトである。「被験体」は、ペット(例えば、ネコ、イヌなど)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモットなど)および魚類を含めることができる。
【0130】
「細菌感染」とは、被験体または試料における細菌の存在として、定義される。このような細菌は、被験体または試料内またはその上での天然に生じる細菌の外生であり得、または外来生物体の侵入により得る。
【0131】
本発明の化合物は、抗生物質と同じ様式で、使用できる。抗生物質の使用は、当該技術分野で周知である。それらの使用の一例には、動物の治療が挙げられる。必要なとき、本発明の化合物は、通常、獣医師または栄養士の専門的な指針と共に、注射により、または食物または水を介して、投与できる。それらは、疾患の重症度および動物の種のような状況に依存して、個々に、または群として、いずれかで送達される。もし、全ての動物が類似の免疫状態であり、また、全てが同じ疾患を引き起こす微生物に晒されているなら、群全体の治療および看護が必要であり得る。
【0132】
これらの化合物を使用する他の例には、水生動物の微生物感染を減らすことが挙げられ、これは、微生物感染に罹った水生動物を選択する工程、本発明の化合物、キレート化剤(例えば、EDTA、TRIENE)を含有する抗菌溶液を提供する工程、この溶液にpH緩衝剤を加える工程、およびそれらのpHを約7.0と約9.0の間の値に調節する工程、この溶液に水生動物を浸漬する工程、およびその中の水生動物をその動物の微生物負荷を減らすのに有効な期間にわたって放置する工程を包含する。EDTA、本発明の化合物およびTRIENEおよびpH緩衝剤を含有する溶液への水生動物の浸漬は、その動物の微生物負荷がなくなるまで、繰り返される(米国特許第6,518,252号)。
【0133】
本発明の化合物の他の用途には、歯科治療および水の精製(これには、例えば、市の上水道、下水処理システム、飲用および非飲用の給水、および孵化場を挙げることができる)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
上記方法の1つの実施形態は、FtsZ重合を阻害する化合物が、チューブリンの重合を阻害しないことである。チューブリンは、微小管(生細胞の骨格系として役立つ中空繊維)を形成する長鎖またはフィラメントへと重合するタンパク質である。微小管は、細胞が有糸分裂を起こし得るかまたは細胞内輸送を調節し得る種々の形成を介して移動する能力を有する。
【0135】
「チューブリンの重合を阻害する」は、コントロールと比較して、重合したチューブリンの量を減少させる(すなわち、重合体のサイズおよび/または数の減少)として規定される。好ましくは、このような阻害は、100%以下のチューブリンの重合を阻害すること、90%以下のチューブリンの重合を阻害すること、または80%以下のチューブリンの重合を阻害すること、または70%以下のチューブリンの重合を阻害すること、または60%以下のチューブリンの重合を阻害すること、または50%以下のチューブリンの重合を阻害すること、または40%以下のチューブリンの重合を阻害すること、または30%以下のチューブリンの重合を阻害すること、または20%以下のチューブリンの重合を阻害すること、または10%以下のチューブリンの重合を阻害すること、または50%以下のチューブリンの重合を阻害することを包含する。
【0136】
今回、本発明の化合物のいくつかの高い活性の抗菌化合物は、抗新生物/チューブリン阻害活性を示す2−ACPクラスのメンバーによって示される関係とは有意に異なる構造−活性関係(SAR)を示した。従って、ヒトチューブリンと細菌FtsZタンパク質との間には違いが存在する。さらに、FtsZとチューブリンの両方がチューブリン−同一性モチーフ(GGGTGS/TG)(配列番号1)を共有するものの、FtsZとチューブリンとの全体的なアミノ酸配列類似性は、低い(<20%同一性)。それにもかかわらず、FtsZおよびチューブリンは、類似した3次元の折り畳みを有することが見出され、そしてFtsZは、チューブリンの細菌ホモログであるようである。
【0137】
本発明はまた、細菌においてFtsZ重合体化を阻害する方法を提供し、該方法は、細菌を本発明の化合物と接触させる工程を包含する。
【0138】
FtsZは、多くの細菌細胞の細胞分裂プロセスにおいて重要な役割を果たす。FtsZは、40kDaのタンパク質であり、これは、細菌内でほぼ偏在している。FtsZは、葉緑体の中にも存在する。FtsZは、GTP依存性様式で重合体化し、そして細菌チューブリンホモログであることが示されている。FtsZおよびチューブリンは、まず直鎖状のプロトフィラメントを形成し、次いで、これらのプロトフィラメントは、シートおよびチューブのようなより大きな構造内に結合する。しかし、上で考察したように、FtsZおよびチューブリンの配列類似性は、全体的には低いが(<20%同一性)、FtsZおよびチューブリンの両方は、チューブリン同一性モチーフとして公知の一続きのアミノ酸(GGGTGS/TG)(配列番号1)を共有するし、このアミノ酸は、GTPに結合し、加水分解するように作用する。Methanococcus jannaschii由来のFtsZは、チューブリンと類似の3次元折りたたみを有することが示された。細胞分裂プロセスにおいて、細菌は、通常はMin Cタンパク質、Min Dタンパク質、およびMin Eタンパク質の助けによってまず細胞分裂に適切な部位(壁(septum)が形成する位置)を選択する。FtsZは、壁(septum)に現れる第1の非調節エレメントであり、そして壁(septum)の作用は、正しいFtsZ作用に依存することが示されている。FtsZ作用の阻害は、種々の型の細菌および葉緑体における細胞分裂の欠損に関わっている。実際、FtsZのチューブリン同一性モチーフにおける1つのアミノ酸置換は、壁(septum)形成を開始することの不全をもたらす。細胞分裂または分離のプロセスの間、FtsZ環の直径は小さくなり、環乳する細胞壁の先端を残すようになる。従って、FtsZは、細菌細胞分裂の中枢的な役割を果たすため、新規の抗菌剤にとって非常に見込みのある標的である。
【0139】
「FtsZ重合体化の阻害」は、コントロールと比較して、1つの細菌または細菌集団の中で生じ、FtsZ重合体化の量を低減させるか、または阻害する(大きさおよび/またはポリマーの数のどちらかにおいて)と定義される。全体を通して使用されるように、「コントロール」は、無処理細菌または無処理細菌集団である。無処理細菌または無処理細菌集団は、前処理または後処理された細菌であり得るか、または独特の細菌集団であり得る。
【0140】
FtsZ重合体化は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%未満、または100%以下に低減される。
【0141】
この化合物を、FtsZおよびチューブリンの重合体化およびFtsZ GTP加水分解の阻害について試験した。チューブリンインヒビターとして公知であるコルヒチンもまた、参照化合物として含まれる。SRI−3072、SRI−7614、およびコルヒチンは、それぞれ52±12、60±0.0、および104±2.0μMのID50値を有する容量依存性様式でM.tuberculosis FtsZの重合体化を阻害した(表6)。FtsZによるGTP加水分解は、FtsZの重合体化が進行するために必要とされ、各化合物を、GTP加水分解の阻害について試験した。SRI 3072、SRI
7614、およびコルヒチンで阻害されたGTP加水分解は、それぞれ20%、25%、および30%、である。
【0142】
また、SRI−3072、SRI−7614およびコルヒチンを、チューブリン重合体化のインヒビターとして評価した(表5)。予測したように、コルヒチンは、FtsZのインヒビターとしてよりも、チューブリンのインヒビターとしてより効果的であった。SRI−3072は、FtsZに特異的である;チューブリンの阻害は示されなかった。コルヒチンのように、SRI−7614は、両タンパク質の重合体化を阻害した(ID50=60μM FtsZ、ID50=4μMチューブリン)。上記で考察し、表6で示した
ように、SRI 3072およびSRI−7614は、M.tuberculosisの有効かつ特異的なインヒビターである。また、実施例8において考察したように、SRI−3072はまた、他の型の細菌についても有効かつ特異的である。
【0143】
従って、1つの実施形態において、この化合物は、チューブリン重合体化を阻害することなく、FtsZ重合体化を阻害する。チューブリン重合体化の阻害の非存在は、アッセイのバックグラウンドの1.5倍未満の任意の阻害、または実質的な有意性を欠く任意の阻害を含む。選択された化合物(SRI−3072およびSRI−7614によって説明される)の抗細菌活性とFtsZ重合体化とGTP加水分解との間には、相関関係が存在する。
【0144】
(化合物の構造)
本発明の方法は、置換2−アルコキシカルボニルアミノピリミジンまたは2−アルコキシカルボニルアミノ−ピリジン(「2−ACP」)化合物に関するか、またはそれを利用する。本発明の種々の方法で使用される化合物の化学構造は、式(I)の化合物により、例示される:
【0145】
【化22】

【0146】
ここで、XおよびXは、NまたはCHラジカルであり得るが、但し、XおよびXの少なくとも1個は、Nである。もし、XおよびXの両方がNなら、この化合物は、以下で示す構造(Ia)を有する置換ピリミジン化合物である。もし、XおよびXの1個だけがNであるなら、この化合物は、以下で示す式(Ib)または(Ic)の置換ピリジン化合物である。
【0147】
【化23】

【0148】
は、有機ラジカルであり、これには、アルキル基または低級アルキル基が挙げられるが、これらに限定されない。この2−ACP核には、数回の置換を行うことができ、従って、S、SおよびSは、別個に、水素、アミノ、ハロゲン、または1個またはそれ以上の有機ラジカルであり得、これは、その用語が本明細書中の他の箇所でさらに定義されているように、以下でさらに述べるように、その中にN、O、Sおよびハロゲンヘテロ原子を有する有機ラジカルを含む。Sがアルキル基であるとき、アルコキシカルボニルアミノラジカル(すなわち、カーバメートラジカル、カルバミン酸のエステル)が得られ、これは、ヘテロ芳香族ピリミジン環またはピリジン環の「2」位置で、その炭素に結合されており、それゆえ、「2−ACP」との術語を使用する。しかしながら、この「2−ACP」との術語は、必ずしも、可能なSラジカルの素性または組成をアルキルのみに限定するものではない。
【0149】
多くの実施態様では、本発明の方法に関連した2−ACP化合物は、以下で示すように、式(II)のヘテロ芳香族化合物である:
【0150】
【化24】

【0151】
式(II)の化合物では、「A」環は、6員芳香族複素環(すなわち、ヘテロアリール)であり、これは、ピリミジン(XおよびXの両方がNである)またはピリジン(XおよびXの一方がNであり、そして他方がCHである)のいずれかである。Xは、水素、ハロゲン、有機ラジカル(これには、これには、アルキル基またはメチレン基が挙げられるが、これらに限定されない)、酸素原子、イオウ原子、リン原子またはハロゲン原子であり得るが、多くの実施態様では、窒素ベースラジカル(例えば、アミノ、一置換アミノまたは二置換アミノラジカル)である。
【0152】
「B」環の性質は、変えることができる。Xラジカルは、CH、N、O、S、またはNHラジカルであり得る。「B」環は、芳香族であり得るか、または部分的または完全に飽和であり得る。「B」環は、図面で示すように、少なくとも1個のN原子またはNHラジカル、および少なくとも1個のXラジカルを含有する。このN原子とXラジカルとの架橋は、少なくとも1個の炭素ベースラジカル(これは、少なくとも1個のR置換基および任意のR3置換基を有する)であり、その結果、「B」環は、少なくとも5個の環原子を有する。
【0153】
(II)の化合物はまた、6員または7員「B」環を含有し得、これらは、0個、1個または2個の追加「Cn」架橋炭素ラジカル(すなわち、nは、0、1または2であり得る)に対応している。これらのCn架橋した炭素ベースのラジカルは、RまたはR置換基を有し、必要に応じて、追加RまたはR置換基を有し得る。もし、n=0なら、上述のように、追加Cnラジカルは存在せず、そして5員「B」環が得られる。もし、n=1なら、「B」環には、CR架橋ラジカルが存在し、これは、必要に応じて、追加R4置換基を有し得、それは、Rと同一または異なり得、6員環「B」環が得られる。もし、n=2なら、追加CR架橋ラジカル(また、必要に応じて、追加R置換基)も存在し、7員「B」環の複素環が形成される。R、R、R、RおよびR置換基は、水素、ハロゲン、酸素(これは、カルボニル基を形成する)、アミノ、ヒドロキシ、または任意の有機ラジカル(この用語は、本明細書中の他の箇所で定義されている)であり得る。Rは、任意の置換基である。
【0154】
式(II)の化合物の多くの実施形態では、Xは、Nであり、Rは、低級アルキル基(例えば、メチルまたはエチル)である;Rは、アミノ、一置換アミノまたは二置換アミノラジカルであり、R、R、R、R3’、R4’またはR5’は、水素である。関連した実施形態では、R〜Rは、フェニル、(C〜C20)アルキル、X−Ph、X−PhCH、HetArCH、MeNCH(CH、MeOCH(CHなどであり得る。Cn炭素原子の1個が2個の異なるR基を有する多くの場合、得られる化合物は、キラルである可能性があり得ることに注目すべきである。
【0155】
ある実施形態では、式(II)の化合物は、芳香族「B」環を有する。例えば、もし、n=1であり、X、XおよびXが、Nであるなら、この環は、RおよびR置換基が存在しないように、芳香族であり、式(IIa)の「プテリジン」属の化合物が得られる。もし、n=1であり、そしてXおよびXの一方が、CHであるなら、他方は、Nてあり、Xは、Nであり、そして「B」環は、式(IIb)および(IIb’)の芳香族「デアザ−プテリジン」化合物が得られる。
【0156】
【化25】

【0157】
本発明の化合物の一部の実施形態では、Rが低級アルキル基(メチルまたはエチルを含めて)であることが好ましい。他の実施形態では、細菌の対する活性は、時には、それより大きい有機置換基(例えば、アリール、ヘテロアリールまたはそれより大きいアルキル)を使用することにより、高めることができる。
【0158】
一部の実施形態では、RおよびRは、ベンゼンラジカルである。一部の実施形態では、R−Xラジカルは、アミノまたは一置換アミノラジカルである。
【0159】
式(IIb)の数種の例は、以下の表3で示し、これらには、化合物「SRI−3072」が挙げられ、これは、本発明の方法で使用したとき、特に有効であることが明らかとなっている。
【0160】
【化26】

【0161】
SRI−3072=[8−(4−ジエチルアミノ−1−メチル−ブチルアミノ)−2,3−ジフェニル−ピリド[2,3−b]ピラジン−6−イル]−カルバミン酸エチルエステル
「B」環は、以下の式(IIc)および(IId)の化合物により示されるように、芳香族である必要はなく、R’および/またはR’置換基ラジカルが存在している結果として、部分的または完全に飽和であり得る:
【0162】
【化27】

【0163】
還元した非芳香族「B」環を有するデアザ−プテリジン化合物の具体的な例には、以下で示すような化合物SRI−5713およびSRI−20158がある。
【0164】
【化28】

【0165】
SRI−20158=[5−アミノ−3−(4−ブチルカルバモイルオキシ−フェニル)−2−メチル−1,2−ジヒドロ−ピリド[3,4−b]ピラジン−7−イル]−カルバミン酸エチルエステル
【0166】
【化29】

【0167】
SRI−5713=(5−アミノ−3−{[(4−メトキシ−フェニル)−メチル−アミノ]−メチル}−1,2−ジヒドロ−ピリド[3,4−b]ピラジン−7−イル)−カルバミン酸エチルエステル
芳香族「B」環を有する他の属の化合物では、もし、n=0であり、Xが、CHであり、Xが、Nであり、そしてXが、NHなら、式(IIe)を有する2−カーバメート置換プリン属の化合物が得られる:
【0168】
【化30】

【0169】
さらに他の属の化合物では、もし、n=2であり、そしてXが、NHであるなら、式(IIf)を有する2−置換ジアゼピン属の化合物が得られる:
【0170】
【化31】

【0171】
本発明の方法の一部の実施形態では、以下で示す属のジアゼピン化合物(IIg)は、特に重要である:
【0172】
【化32】

【0173】
上記属に由来の特定のピリド−ジアゼピン化合物であるSRI−7614は、本発明の方法で重要であることが発見されている。
【0174】
【化33】

【0175】
SRI−7614=(1−アミノ−8−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−2,5,9−トリアザ−ベンゾシクロヘプタン−3−イル)−カルバミン酸エチルエステル
式(I)の2−ACP化合物のさらに他の実施形態では、化合物は、「B」環を全く有しない。このような式(III)を有する単環式化合物の亜属は、以下で示す。
【0176】
【化34】

【0177】
式(III)の化合物に関連した本発明の種々の実施形態では、R、R、X、X、XおよびXは、式(I)および(II)の化合物についてこの上で記述した意味のいずれかを有し得る。これらの実施形態では、Cnは、水素、または本明細書中の他の箇所で定義した任意の有機ラジカルであり得る。表3で示したこの属の種には、SRI−7405があり、その構造は、以下で示す;
【0178】
【化35】

【0179】
SRI−7405=[5,6−ジアミノ−4−(2−ヒドロキシ−1−メチル−3−フェノキシ−プロピルアミノ)−ピリジン−2−イル]−カルバミン酸エチルエステル
本発明の化合物の例には、以下の表3で示した化合物が挙げられるが、これらに限定されず、これらの化合物には、SRI−7405、SRI−3072、SRI−7614、SRI−7462、4427−026−15、4427−143、CAO−040、3491−23および3302−89F、SRI−5713、およびSRI−20158が挙げられる。追加例は、表8にある。
【0180】
(表3:2−ACP化合物の抗菌活性)
【0181】
【表3−1】

【0182】
【表3−2】

【0183】
【表3−3】

【0184】
【表3−4】

【0185】
(PI=12.5%μg/mlでの成長阻害%)。
【0186】
(化合物の構造活性関係)
上記開示は、X、XおよびXでの一定範囲の置換およびR〜R基での複数の置換基を想定している。理論および実験に基づいた関係のいずれかに束縛されることを望まないものの、予備的には、式(I)の化合物の置換パターンと、本発明の方法の少なくとも一部で認められる活性との間には、特定の実験に基づいた関係が認められている。
【0187】
例えば、式(II)(式(IIa)および式(IIb)を含めて)の芳香族化合物(ここで、Cn=1であり、そしてRおよびRは、両方とも、比較的に大きくかつ立体的に嵩張った基(例えば、フェニル基)である)の場合、これらのフェニル基の互いの相互作用は、そのプテリジン構造の芳香族性を弱め、そして側鎖基(この場合、フェニル基)を芳香環構造の平面から伸長させることができる。これにより、RおよびRのフェニル基の1個がFtsZの活性部位で相互作用できる立体配座が生じ得る。
【0188】
式(IIf)の化合物(ここで、Cn=2である)の場合、その7員環は、平面ではなく、R〜Rの側鎖基をそれらがFtsZの活性部位と相互作用し得る位置に置く。これらの化合物の作用の他の機構が存在し得、出願人は、他の作用機構を本開示の範囲からはずすつもりはない。
【0189】
上述の置換パターンにより、これらの化合物は、チューブリン阻害よりもFtsZ阻害に対して選択的にされる。表4は、代表的な種類として3−デアザプテリジンを使用するFtsZの選択的阻害に関する化合物の間の一般的な構造活性関係を要約している。他の化合物(ピリドジアゼピン化合物を含めて)の類似の構造−活性関係は、予想され得る。
【0190】
(表4:2−ACP化合物の構造−活性関係)
【0191】
【表4】

【0192】
表4の化合物の命名法および/または置換基標識化は、上で示した式(IIa〜g)の化合物に付けたものとは異なるが、しかしながら、式(IIa〜g)の構造における同様の位置での置換基は、同等であり得ることが認められる。
【0193】
例えば、表4で示した領域Dで置換された化合物は、著しい抗結核活性を維持できる(表3、エントリー2、4、6および8を参照)。典型的な抗癌剤である7,8−ジヒドロ−1−デアザプテリジンにおけるこの「D」位置での置換は、チューブリンの結合および抗癌活性を大きく減少させるかなくす。実際、SRI−3072(表3、エントリー2)は、FtsZ重合およびGTP加水分解における阻害剤として良好な活性を有するが(表5)、100μMでウシチューブリンの重合に対する効果はない。明らかに、これらの化合物間での領域Dにおける可変性(表6)は、それらの化合物の選択性および活性に影響を与える。
【0194】
領域Aでは、抗癌活性に最適なR基は、メチル基またはエチル基である;それらより大きいアルキル基は、チューブリン結合活性を大きく削減し得る。対照的に、それらより大きいRアルキル基(例えば、n−ブチル、t−ブチル、ベンジル)を有する種々の化合物は、著しい抗菌活性を示し(12.5μg/mLでの細菌成長の>95%の阻止)、このことは、これらの化合物がまた、FtsZ重合も阻害できることを示唆している。それゆえ、領域AのR基における変化もまた、これらの化合物の選択性および活性に影響を与え得る。
【0195】
領域BおよびCでは、そのカーバメート(領域C)は、このデアザプテリジン環系の2位置でのHN−官能基(領域B)と同様に、最適な抗新生物活性に絶対的に必要である。対照的に、このカーバメートを有しない3−デアザプテリジン類の化合物は、著しい抗菌活性を維持できる(表3の4427−143を参照)。従って、この領域での変化もまた、これらの2−ACP化合物の選択性および活性に影響を与え得る。
【0196】
領域G(これは、小領域EおよびFから構成される)は、この1−デアザ−7,8−ジヒドロプテリジンのチューブリン結合および抗癌活性の重要な決定因子である。領域E(1−デアザプテリジン環の8位置)では、そのヘテロ原子置換は、NHでなければならず、そうでなければ、活性が失われる。対照的に、O−およびS−の両方で置換した化合物(例えば、化合物CAO−040、表3のエントリー7)は、著しい抗菌活性を保持すると思われる。領域EでのSARプロフィールのこの変化は、他の重要な点に相当し、この場合、他のヘテロ原子での置換は、抗菌活性およびFtsZ阻害に対する選択性を押し進め得る。
【0197】
さらに、このピリドピリダジンまたは1−デアザ−7,8−ジヒドロプテリジン環系の「B」環の還元形状は、最適な抗新生物活性に絶対的に必要である。完全に芳香族性の「B」環系を有する化合物(例えば、SRI−3072)なら、表6で示すように、チューブリンを阻害するとは予想されない。最後に、これらの2−ACP化合物の領域Fにおける置換は、活性および選択性に決定的に影響を与え得る。一般に、RおよびRには、小さい基が最適である(典型的には、チューブリン結合および抗新生物活性には、H−またはMe−置換)。より大きい基(例えば、SRI−3072における7−フェニル置換)は、チューブリン結合および抗新生物活性には許容されない。それにもかかわらず、SRI−3072のような化合物は、著しい抗菌活性を示し、それらのSARは、哺乳動物のチューブリン重合を阻止する化合物とは異なる。さらに、これらの化合物のいくつか(例えば、SRI−3072)は、印象的な選択性指数を有する。
【0198】
さらに、本発明の化合物の分子量が約500グラム/モル未満、好ましくは、約450または400グラム/モル未満であるとき、しばしば、改良された生体活性が得られることが発見されている。
【0199】
(代表的な化合物の合成)
合成的には、式(I)、(IIa〜g)および(III)の化合物の多くは、2つの重要な中間体のうちの1つによりアクセス可能であり、それらの構造は、以下で示す。
【0200】
【化36】

【0201】
式(Ib)および式(Ic)の多くのピリド2−ACP化合物に適当な出発物質は、構造3を有し、これらはまた、図6で示され、そして当該技術分野で概説された方法(Elliott,R.D.ら、J.Org.Chem.,31:1890−1894,1966;Templeら、J.Med.Chem.,30:1746−1751,1987;Lister,J.H.Synthesis from Pyrimidines,Chapter II,J.Wiley & Sons,Inc.;(Taylor,E.C.;著),1996,pas 21− 59;Barryら、Biochem.Pharm.,59:221 −231,2000;Shortnacy,A.T.ら、Nucleosides & Nucleotides,8(5&6):911−913,1996)により、ケリダミン酸(chelidamic acid)(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee Wisconsin U.S.A.)から、14%の全収率で、8工程で入手できる。これらの参考文献の内容は、これらの方法について、本明細書中でその全体が援用されている。この調製は、大量の化合物3を得るために、規模が拡大されている。式(Ia)のピリミジン化合物の調製に必要な同様に重要な出発化合物11の調製は、Marksら、J.Org.Chem.46:5405−5407(1981)(その内容は、これらの方法について、本明細書中でその全体が援用されている))で開示されているように、高収率で、ずっと安価な出発物質から、ずっと容易である(図6を参照)。
【0202】
図6で示すように、式1の3−デアザプテリジン化合物(例えば、SRI−3072)は、化合物3の4−クロロ基を置換第一級または第二級アミンで置き換えて化合物4を形成し、続いて、化学量論的な水素化物源(例えば、NaBH)との種々の公知反応のいずれかまたは種々の触媒による触媒水素化によって5−ニトロ基を選択的に還元してオルトジアミン化合物5を形成することにより、容易に得ることができ、これは、1,2−ジケトンまたはベンジル誘導体(Gabriel Colman型の調製)と縮合でき、最終標的クラス1が得られる(Fryer,R.I.;ら、Heterocyclic Compounds.John Wiley & Sons,Inc.;(Taylor,E.C.;編),pgs 209−420,1991;Haddad,M.ら、Tet.Lett.38(34),5981−5984,1997;English,J.ら、J.Am.Chem.Soc.78,4057−4060,1956;Horner,J.K J.Org.Chem.10,387−391,1967;Stoilova,V.ら、Synthesis Communications,105−106,1997)。この反応は、同じRおよびRラジカルを有する対称化合物を調製するのに非常に有用であり、種々の適当なジケトンが利用可能である(Matyus,ら、Eur.J.Med.Chem.27,107−114,1997;Curran,D.J.Am.Chem.Soc.,104,4024−4026,1982;Mukaiyama,T.Pure & Appl.Chem.55(11),1749−1758,1983 Mukaiyama,T.ら、J.Am.Chem.Soc.96:24,7503−7509,1974;Le Roux,C.;Gaspardら、J.Org.Chem.58,1835−1839,1993;Kuwajima,I.ら、Tet.Lett.21,1817−1820,1976;Kobayashi,S.ら、J.Org.Chem.59,3590−3596,1994;Oishi,M.ら、J.Am.Chem.Soc.120,8271−8272,1998;Noyori,R.ら、J.Am.Chem.Soc.,103,2106−2108,1981)。この反応手順で非対称ケトンを使用するとき、RおよびRでの異性体の混合物が得られ得る。得られる生成物の割合は、これらのケトンの反応性の差だけでなく、そのジアミンの反応性(その環窒素に対してメタ位置であるニトロ基の還元により誘導されるアミンは、最も反応性が高い)により、制御できる。ある場合には、容易に分離可能な混合物が調製された。
【0203】
時には、RおよびRに関して明確なレギオ化学作用を与える反応が利用できる。例えば、プテリジンのTimmis型調製では、容易に入手できるハロカルボニル化合物は、レギオ特異的に反応でき、7,8−ジヒドロデアザプテリジンが得られ、これは、容易に空気酸化でき、完全な芳香族系が得られる。この状況には、5,6−ジアミノ−ピリミジンの興味深い有用な反応もまた適用できる(Bodnarら、J.Org.Chem.62:4737−4745,1997)。この反応では、反応性がより高い5−アミノ基が、まず、アルデヒドと反応され、続いて、その6−アミノ基がオルトエステルと反応される。加熱すると、閉環が開始し、6,7−二置換プテリジンが得られる。この状況は、反応性が高いメタアミノ基が反応性イミンを形成できること、また、閉環が残りの6−アミノ基とオルトエステルとの反応および加熱により実行できること以外は、類似している。他の代替物(例えば、ヒドロキシおよびアミノケトン)もまた、有用であることが証明できる(Matsumoto,Tetrahedron,50(2),335−346,1994;Marks,M.J.;J.Org.Chem.47:52−56,1982;Stergiades,I.A.;J.Org.Chem.64,7547−7551,1999;Brown,H.C.ら、Tet.Lett.;40,7875−7877,1999;Kokubo,K.ら、J.Org.Chem.62,4564−4565,1997;Morihata,K.ら、Tet.Lett.6(31),5555−5558,1995;Elliott,R.D.J.Org.Chem.36:2818−2823,1971;Temple,C.,Jr.ら、J.Heterocyclic Chem.7:451−454,1970)。この1−デアザプテリジン環系では、レギオ化学作用が容易に制御できること、完全に芳香族性の6,7−二置換デアザプテリジンが重要であり得ることに注目すべきである。最後に、適当に置換した3−デアザプテリジンを得るために、ピリドジアゼピン標的(2)について述べたものと類似のいくつかの代替的なアプローチが使用できる。
【0204】
式(IIf)の二環式ジアゼピン(例えば、図7で示した化合物2)は、典型的には、o−アリーレンジアミンを、α,β−不飽和アルデヒド、α,β−不飽和ケトン、β−ハロケトン、β−アミノケトンまたはβ−ヒドロキシケトンと反応させるこことにより、調製される。もし、このジアミンまたはカルボニル官能基のいずれかが非対称であるなら、混合物が生じ得る。これらのピリドジアゼピンの場合、レギオ選択性は、3の反応性の4−クロロ基と3−アミノプロパノールとを反応させることにより、制御できる(Templeら、J.Heterocyclic Chem.7:451−454,1970)。広範囲の置換3−アミノプロパノールが合成的に利用可能である(Temple,C.ら、J.Heterocyclic Chem.7:1195−1202,1970;Temple,C.ら、J.Med.Chem.13:853−857,1970;Waring,A.J.Comprehensive Organic Chemistry.The Synthesis and Reactions of Organic Compounds.(Stoddart,J.R.;Ed.),Pergamon Press,pgs.1017−1095;1979;Bulman−Page,P.C.ら、Tet.Lett.48(35):7265−7274,1992;Olah,G.A.ら、Synthesis,1177−1179,1991)。例えば、多様な3−アミノプロパノールは、3−ヒドロキシケトンを還元的にアミノ化することにより調製でき、これらのケトンは、順に、典型的には、Mukaiyama−Aldol反応だけでなく、他の方法により、調製される(Mitchell,R.H.ら、Tetrahedron
Letters34(23):3683−3686,1993;Takahashi,K.;ら、J.Org.Chem.48:1909−1912,1983;Shi,Z.ら、Chinese Chemical Letters,11(9),757−760,2000;Jiang,J.−L.ら、Synthetic Communications,28(2),4137−4142,1998;Kashimura,S.ら、Tet.Lett.38(38),6717−6720,1997;Verlhac,J.B.ら、Tet.Lett.26(49):6075−6078,1985;Yoneda,F.ら、J.C.S.Perkin I,1336−1339;Temple,C.ら、J.Med.Chem.34:3176−3181,1981;Seyferth,D.ら、J.Org.Chem.48:1144−1146,1948.)。
【0205】
図8で示すように、この3−アミノプロパノールのアミノ基は、化合物3の芳香環の塩化物置換基を置き換えて化合物6が得られるように反応できる。化合物6と類似の他の化合物は、化合物3のアミノ基を種々の有機および無機求電子試薬(例えば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アシル、エポキシドなど)と反応させることにより、調製できる。化合物6およびその類似物のニトロ基は、還元でき、アミン化合物6’が得られる。化合物6’およびその類似物は、上で開示した式(III)を有する化合物の属の構成要素である。
【0206】
化合物6の水酸基の酸化により、ニトロ−ケトン7が得られ、その芳香環の5−ニトロ基を還元カップリングに続いて内部環化すると、このジアゼピン環が形成される。強力な化合物であるSRI−7614は、構造8(R1=Et、R4、R5、R6=H)を有するジアゼピン化合物の属の良好な例である。この反応スキームにより、R、R、RおよびRで著しい多様性を有する種々の化合物を調製することが可能となる。位置R、RおよびRでの変化は、この3−デアザプテリジン環系(これらは、生体活性および選択性に著しい影響があると思われる)での類似の効果の点から、生体活性に影響を及ぼし得、これらの3−デアザプテリジンの類似のアミノ基での置換もまた、生体活性および選択性を著しく変え得る(SRI−3072および4427−026−15)。
【0207】
図8で示した化合物8に至る反応では、このピリジン環の4−アミノ基での変化が容易にでき得ない。このアミノ基での置換を変えるために、ジアゾ化を介する化合物8のアミノ基の加水分解に続いて得られた水酸基のクロロ脱水酸化により、化合物10のクロロ基が得られ、これは、次いで、この位置での多様性を得るために、種々のアミンで置き換えることができる。ピリジンでのクロロ基は、典型的には、電子供与性官能基で置換されている。求核性が低いアミンは、苛酷な条件が必要であり得る。この位置での一部の多様性は、8でジアゼピン環系を作成するように進める前に、3の初期還元アミノ化により、誘導できる。興味深いことに、構造8の種々のアミンでの還元アミノ化もまた使用できるが、還元し過ぎたテトラヒドロジアゼピンが得られる。
【0208】
この4−クロロ基の存在下にて、この6−クロロを選択的に置き換えることにより、8〜10により例示した一連の反応を介して、図8(3)の6−アミノ基を6−クロロ基に変えることも可能であり得る。最後に、重要な6−アミノ基で多様性を生じる代替経路として、Templeら(J.Med.Chem.30:1746−1751,1987)で詳述された一連の反応に従って、他のピリジンカルボン酸、シトラジン酸で開始することが可能であり得る。シトラジン酸からピリドジアゼピン系を形成する一連の工程は、完全に酸化した1,5−ジアゼピン、または2,3−ジヒドロ−またはテトラヒドロ−1,5−ジアゼピンを生成するのに使用できる。SRI−7614は、2,3−ジヒドロジアゼピンである。
【0209】
式(Ia)のピリミジン化合物もまた、合成できる。第一に、類似の重要な中間体の調製は、ずっと安価な出発物質から、ずっと容易である(図8の3と11とを比較して)(Kuebrickら、J.Am.Chem.Soc.93:1214−1220,1971)。これらのアザ類似物の少数は、出願人の機関で調製し、そしてチューブリンに対する活性についてスクリーンした。これらのピリミジン類似物は、対応するデアザ類似物よりもずっと毒性が低く、活性および毒性の点で、これらのピリドジアゼピンと同様に作用することが発見された(図8の構造2)。
【0210】
1で表わされる化合物の調製は、上で概説したアプローチと直接類似している。2のアザ類似物の調製には、このジクロロ類似物を窒化して1個のクロロ基を3−アミノプロパノール類似物で置き換えることが必要であり得る。残りのクロロ基は、置換アミンで置き換えることができるか、または一組の反応は、このジアゼピンの閉環を生じ得、続いて、そのクロロ基を種々のアミンで置き換える。
【0211】
薬学および合成有機化学の当業者が理解するように、本発明の化合物の殆どまたは全部は、塩基性窒素原子を含有し、それにより、これらの化合物は、極性有機担体または水性担体に容易に溶解できる所望の塩を形成するために、これらの窒素含有化合物を酸(例えば、HCl、HSO、乳酸、コハク酸など)と反応させることにより、それらの化合物の塩(薬学的に受容可能な塩を含めて)を容易に調製するのに適当にする。
【0212】
合成有機化学の当業者が理解するように、本明細書中で使用する種々の合成戦略、有機反応および/または官能基の変換は、上で明白に記述したもの以外の多数の戦略、反応または手順により、実行できる。本明細書中で開示した化合物に至る合成工程に利用できる他の合成手順の参照は、例えば、March,J.,Advanced Organic
Chemistry,4版、Weiley−Interscience(1992);またはLarock,R.C.,Comprehensive Organic Transformations,A Guide to Functional Group
Preparations,VCH Publishers,Inc.(1989)で見られ、両方の内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0213】
(細菌)
本発明の方法によって標的化された細菌は、グラム陽性菌またはグラム陰性菌であり得る。グラム陽性菌は、以下からなる群から選択され得る:
【0214】
【化37】

【0215】

【0216】
グラム陰性菌は、以下からなる群から選択され得る:
【0217】
【化38】

【0218】

【0219】
グラム陽性菌およびグラム陰性菌の上記の例は、限定を意図せず、全てのグラム陽性菌およびグラム陰性菌、ならびに非グラム試験反応性細菌(non−gram test responsive bacteria)を含むより大きな集団の代表例であることを意図する。細菌の他の種の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
【0220】
【化39】

【0221】

【0222】
(浸透性賦活薬)
1つの実施形態において、化合物は、改変されるか、または、他の薬剤と合わせられ、標的細菌の浸透性を促進する。賦活化された浸透性を可能にするプロドラッグが設計され得る。化合物は、必要に応じて、浸透性賦活薬と連結され得、ここで、浸透性賦活薬は、化合物が細菌の細胞壁を通過することを可能にする。「連結される」とは、式(I)の化合物と化学的に結合もしくは結合体化されるか、または、式(I)の化合物の部分の一部となることを意味する。浸透性賦活薬は、例えば、式(I)の化合物のS、S、SまたはSラジカルのうちの1つに化学的に連結され得る。グラム陰性細菌の場合、細胞エンベロープの主要な成分は、リポ多糖(LPS)である。あるいは、本発明の化合物と浸透性賦活薬とを含む組成物が使用され得る。LPSの表面層は、グラム陰性細菌のいくつかの株において、いくつかの複素環化合物に対する浸透性バリアとして機能し得る。しかし、これらの化合物に対して浸透性バリアを有さないグラム陰性細菌の株が存在する。例としては、深部ラフ変異(rfa)を含む細菌の株(例えば、Salmonella typhimurium、Bordatella pertussis、B.parapertussisおよびB.bronchiseptica(Allenら、J Bacteriol.180(1):35−40,1998))が挙げられるがこれらに限定されない。
【0223】
「浸透性賦活薬」は、本発明の化合物の、細菌の細胞エンベロープを通る通過を増強し得る任意の物質または化合物として定義される。浸透性は、賦活前の細胞またはコントロールと比較して、1%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上、2倍以上、10倍以上、100倍以上または1000倍以上の細胞の浸透性により増強され得る。1つの実施形態において、浸透性のレベルは、浸透性賦活薬への曝露後に、細菌集団のMICを測定することによって試験され得る。
【0224】
浸透性賦活薬の例としては、ポリミキシンB、カチオン性ステロイド抗生物質、表面活性剤、デフェンシン、他の膜活性ペプチド(Evansら、Vet Clin Pathol 24(4):109−116,1995)およびキレート剤(Sulingら、Antimicrob.Agents Chemother.8:334−343,1975)が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書中に規定されるような、式(I)の化合物のプロドラッグ形態のいくつか(例えば、プロドラッグの膜活性ペプチド型)が、浸透性賦活薬として機能し得る。ポリミキシンBは、Bacillus polymyxaから単離された、天然に存在する環状ドカペプチドである(Tsuberyら、Mol
Pharmacol.62(5):1036−42,2002)。カチオン性ステロイド抗体は、細胞エンベロープに選択的に作用して、エンベロープの浸透性を高める(Qunying Guanら、Organic Letters 2:2837−2840,2000;Chunhong Liら、J.Am.Chem.Soc.120:2961−2962,1997)。
【0225】
1つの実施形態に置いて、浸透性賦活薬は、本発明の化合物と連結されることなく、本発明の化合物と共に使用される。
【0226】
以下の実施例は、本明細書中で特許請求される化合物、組成物、物品、デバイスおよび/または方法が、いかにして作製され、評価されるかについての完全な開示および説明を、当業者に提供するために示され、本発明の純粋な例示として意図され、発明者らが発明者らの発明としてみなす範囲を制限することは意図されない。数(例えば、量、温度など)に関して正確さを保証するための努力がなされたが、いくつかの誤りおよび逸脱が考慮されるべきである。他に示されない限り、部は重量部であり、温度は摂氏(℃)であるか、または、大気温度であり、そして、圧力は大気圧であるか、または、大気圧付近である。
【実施例】
【0227】
(実施例1)
(抗結核アッセイ)
ほとんどの抗結核アッセイを、BACTEC 460ラジオメトリックシステムを使用して、M.tuberculosis H37Rv(ATCC 27294;American Type Culture Collection,Manassas,VA)に対して、NIH Tuberculosis Anti−bacterial Acquisition and Coordination Facility(TAACF)のスクリーニング設備により実施し、最低限の抑制性濃度(MIC99)を決定した。リファンピンがポジティブコントロールであった。MIC99はまた、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、カナマイシン、ピラジナミド、チアセタゾンまたはシクロセリンに耐性であるM.tuberculosis株に対して、SRI−7614およびSRI−3072についても決定した(表5)。MIC99の決定と同時に、化合物を、Vero細胞において、細胞毒性(IC50)について試験した。72時間の曝露の後、生存率を、Promega CellTiter 96(登録商標)AQueous Non−radioactive Cell Proliferationアッセイを使用して、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩(MTS)のホルマザン生成物への細胞内変換に基づいて評価した。化合物の選択性の指標(SI)を、IC50:MIC99の比として定義する。
【0228】
(表5:M.tuberculosisの単剤耐性株に対するSRI7614およびSRI−3072の活性)
【0229】
【表5】

【0230】
WT=野生型(H37Rv)、INH−R=イソニアジド耐性、RMP−R=リファンピン耐性、EMB−R=エタンブトール耐性、KM−R=カナマイシン耐性、PZA−R=ピラジナミド耐性、TAC−R=チアセタゾン耐性、CS−R=シクロセリン耐性。
【0231】
(M.tuberculosis H37RaについてのSRI−3072のMIC/MBC)
SRI−3072のMICを、他の場所(Sulingら、Journal of Antimicrobial Chemotherapy 42,811−815,1998;Sulingら、Antimicrobial Agents and Chemotherapy 44,2784−2793,2000)に記載されるように、比色(アラマーブルー)微量希釈ブロスアッセイを使用して、M.tuberculosis H37Ra(ATCC 25177)について決定した。化合物をDMSOに溶解し、ADC富化し、0.2%グリセロールを補充した7H9ブロス(アッセイ培地)中に2倍増分で段階希釈した。各希釈におけるDMSOの最終量は、1.3%であった。SRI−3072を、4連でアッセイした。培地、薬物および生存率コントロールをこのアッセイに組み込んだ。エタンブトールは、ポジティブコントロールであり、2μg/mlのMICを有した。SRI−3072の殺菌活性を、インキュベーションの6日後に、プレートにレドックス色素を添加する直前に決定した。この時点で、プレートを視覚的に試験した。可視的な増殖が見られない各ウェルを、マイクロピペッターで注意深く液体を出し入れすることによって混合し、7H11寒天上に播いた(10μL)。プレートを36〜37℃にて、ポリエチレンバッグ中で21日間インキュベートし、解剖顕微鏡での補助によりコロニーを計数した。計数を最初の種菌の計数と比較し、生存百分率および生存のlog10減少を算出した。MBCを、2−log10±SD(N=4)によりcfuを減少した最低薬物濃度として定義した。
【0232】
(M.tuberculosis感染したマクロファージにおけるSRI−3072の活性)
SRI−3072を、以前に記載されたように(Kellyら、Anti.Agents&Chemo.44:2784−2793,1994)、マウス骨髄マクロファージの単層において、M.tuberculosis Erdman(ATCC35801)に対する活性についてTAACFによるMIC(0.2μg/ml)の0.25倍、1倍、4倍および16倍においてアッセイした。活性を、薬物を含まないコントロールと比較して、7日後のcfuにおいて、90%の減少を得る最低薬物濃度(EC90)および99%の減少を得る最低薬物濃度(EC99)として報告した。毒性を、視覚的な検査により決定した。
【0233】
(実施例2)
(M.tuberculosisからのFtsZの精製および特徴づけ)
FtsZの精製を、以前に記載されたように行った(Whiteら、J.Bact.182:4028−4034,2000)。M.tuberculosis FtsZをコードする配列を、pET15b(Novagen)のNcoI部位にサブクローニングした。このプラスミドpJD169を使用して、E.coli BL21(DE3)/pLysSを形質転換した。細胞を、32℃にて、0.4%グルコースを含有するLB培地中で1時間インキュベートした。500μlの形質転換細胞を、0.4%グルコース、100μg/mlアンピシリンおよび34μg/mlクロラムフェニコールを含有する250mlの新しいLB培地に添加し、32℃にて一晩インキュベートした。これらの細胞を、室温で遠心分離によってペレット状にした。これらの細胞を、0.2%グルコース、100μg/mlアンピシリンおよび34μg/mlクロラムフェニコールを含有する、4リットルの予め温めておいたLB培地中に再懸濁し;培養物を、32℃にて、良好に通気しながら振盪した。培養物が、約0.4のA600に達したときに、1mMイソプロピルβ−D−チオガラクトシドを用いてFtsZの発現を誘導した。3時間後に細胞を回収し、急速に冷蔵(8〜10℃)し、遠心分離し、氷冷リン酸緩衝化生理食塩水で洗浄し、再びペレット状にし、そして、−80℃にて保存した。
【0234】
以下の手順を4℃にて実施した。1リットルのE.coli培養物からの凍結した細胞ペレットを、30mlの溶解緩衝液(20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.8)、500mM NaCl、2mM PMSF、4μg/mlペプスタチンA、4μg/mlロイペプチン、1mMベンズアミジン、および20μg/mlダイズトリプシンインヒビター)中に再懸濁し、短時間超音波処理して、ゴム様ペレットをなくした。細胞懸濁物を30分間、1mgのDNAseで消化し、次いで、15,000〜20,000lb/inにてFrenchプレスを2回通過させることによって抽出した。この溶液を27,000gにて20分間の遠心分離により浄化し、次いで、10mMイミダゾール、20mMリン酸ナトリウム、0.5M NaCl(pH 7.8)で平衡化したNi2+−アガロースカートリッジ(Pharmacia)にアプライした。カラムを100mMイミダゾールを含有する平衡緩衝液(15ml)で洗浄した。組み換え型FtsZを、250mMイミダゾールを含有する平衡緩衝液(5ml)で溶出した。溶出液を、即座に、25mM HEPES−NaOH(pH 7.2)、100mM KCl、0.1mM EDTA、1mM DTTおよび10%グリセロールで平衡化したSephadex G−25カラム(PD−10、Pharmacia)に通した。FtsZ 1mlあたり0.5単位のトロンビン(Sigma)で氷上にて2時間消化することにより、N末端Hisタグを取り除いた。サンプルを、脱塩緩衝液で平衡化したベンズアミジン−アガロースカラム(Sigma、流速約1ml/分)を通過させることによりトロンビンを除去した。FtsZを、安定なポリマーを得る条件(すなわち、塩なし、1mM GTP)の下で重合し、100,000gにて遠心分離して、ポリマーを沈殿させ、ペレットを、150mM KClを含有する緩衝液中に再懸濁することによって脱重合し、最後に高速にて2回遠心分離して、いかなる凝集物も除去した。プロテアーゼインヒビター(2mM 1,10−フェナントロリン、20μg/mlダイズトリプシンインヒビター、4μg/mlペプスタチンA、10μg/ml APMSF、50μg/mlアプロチニン、2mM PMSF、4μg/mlロイペプチン、40μg/ml TLCKおよび1mMベンズアミジン)を、プールした画分に添加した。サンプルを、25mM HEPES−NaOH(pH 7.2)、1mM EDTA、50mM KCl、1mM DTTおよび10%グリセロールで平衡化したゲル濾過カラム(Pharmacia HiLoad 26/60 Superdex 200調製用グレード)にアプライした。吸光度を280nmにてモニタリングした。プロテアーゼカクテルを、プールした画分に添加した。20mg/mlまで濃縮(Millipore BioMax 15−1000)した後、サンプルを25mM HEPES−NaOH(pH 7.2)、1mM DTT、0.1mM EDTAおよび10%グリセロールに対して透析した。プロテアーゼカクテルを、3回添加し、タンパク質を−80℃にて保存した。
【0235】
95,500ダルトンの分子量に対応する単一のピークで、大半のFtsZがカラムから溶出した。このピークからの画分をプールし、濃縮し、10%グリセロールを含有する緩衝液に対して透析し、そして、等分して−80℃にて保存した。これらの条件下で、タンパク質は数ヶ月間安定であった。全てのE.coli培養物からの代表的な収量は、30mgのFtsZであった。
【0236】
15%SDS−PAGEにより決定したFtsZの分子量は、45,700ダルトンであった。質量分光測定分析(MALDI−TOF)は、これが正しい質量(実測値、39,064.30;理論値、39,036.45;質量は、トロンビン消化後に残るN末端のGly−Ser−Hisを含む)を有したことを確認した。N末端の配列決定は、GSHMTPPHNYの除かれた配列を確認した。FtsZを、約2,000,000Da(空隙容量)から95,500Da(主要なピーク)までの分子量の減少した一連の凝集物としてゲル濾過カラムから溶出した。サブユニットの分子量が39,036Daなので、95,000Daのピークは、おそらくFtsZの二量体である。類似の状態(ヌクレオチドもMg2+もなし)下で、E.coli FtsZは、分析用超遠心分離および化学的架橋により、約70%が二量体、15%が三量体、そして、15%が単量体の混合物として存在することを示した。M.jannaschii FtsZがまた、オリゴマーとして存在すると報告されている。
【0237】
精製したFtsZ(5μM)がGTPase活性を有し、1時間あたり、FtsZ 1mgあたり6.9nmolのGTPをGDPに変換した。E.coli FtsZとは異なり、M.tuberculosis FtsZを加熱しても、GTPase活性は増加しなかった。GDPは、GDP/モルFtsZが1:1のモル比(E.coli FtsZについて見られる比とおよそ同じ比)で結合した。GDPase活性は協調性であるため、E.coli FtsZの刊行された比活性と6.9nmol/mg/hrというM.tuberculosis FtsZについての本発明者らの比活性との間で直接比較することは困難である。しかし、M.tuberculosis FtsZは、E.coli FtsZ(30μmol/mg/hrのVmaxを有すると報告されている)よりもかなりゆっくりとした速度でGTPを加水分解することが明らかである。
【0238】
(実施例3)
(FtsZ重合についての光散乱アッセイ)
精製したFtsZの重合および脱重合の後に、E.coli FtsZについてのMukherjeeおよびLutkenhausにより記載された方法(J.Bact.181:823−832,1999)を行った。光散乱を、0.5mlの石英キュベット(セル 2×10mm、Hellma)を使用するサーモスタット制御(30℃)Aminco−Bowmanシリーズ2ルミネセンス分光光度計で測定した。励起波長および放射波長は、2nmのスリット幅で400nmであった。ゲインは、代表的には、540Vに設定したが、必要な場合は、約8の最大応答を与えるように増加させた。FtsZ(500μg/ml;13μM)を、50mM MES−NaOH(pH 6.5)、100mM
KClおよび5mM MgCl中でインキュベートして、ベースラインを確立した。GTP(40μM)を添加し(最終容量300μl)、光散乱の増分をさらに50〜60分間測定した。特定の実験についての成分の濃度変化を、文字または図の凡例に示す。
【0239】
(実施例4)
(光散乱アッセイを用いるM.tuberculosis FtsZの特徴づけ)
M.tuberculosis FtsZの重合を、E.coli FtsZについて記載された条件下で測定した。FtsZ(10μM)を、10mM MgClおよび25mM KClを含有する50mM MES−NaOH(pH 6.5)中で、30℃にてインキュベートした。1mM GTPを添加すると、光散乱が即座に増加し、約10分でプラトーに達した。光散乱は、非常に安定であり、5時間で<10%減少した。一旦重合が起こると、温度が45℃まで上昇しても、1℃まで低下しても、脱重合を誘導しなかった(データ示さず)。しかし、20mM EDTAの添加により、光散乱は、即座にベースラインまで戻った。FtsZは、光散乱の増加により測定されるように、反応に25mM MgClを添加することにより、再重合し得る。
【0240】
M.tuberculosis FtsZの重合および脱重合は、E.coli FtsZの重合および脱重合よりも明らかにずっと遅い。重合は、E.coli FtsZについて非常に迅速に(30秒未満)生じ、安定な相は、約15分間持続し、続いてさらに10分間のうちに完全に脱重合した。同一条件下では、M.tuberculosis FtsZは、最大重合に達するまでに約10分間かかり、続いて安定な相が少なくとも5時間持続し、反応速度は、哺乳動物のチューブリンにより類似している。しかし、チューブリンとは異なり、FtsZは、1℃への温度シフトによって脱重合できなかった。これにより、E.coli FtsZと比較してより遅い、M.tuberculosis FtsZの動力学が、そのより低いGTPase活性に関連するとの推測が導かれる。おそらく、FtsZの重合速度および脱重合速度は、生物体の増殖速度と比例する。細胞分裂時間がずっと速い、E.coliは、より遅く増殖するM.tuberculosisよりも多くの動的な細胞分裂タンパク質を必要とし得る。重合および脱重合は、この反応を開始するために用いられたGTPの濃度に依存した。5mM MgClを用いると、0.2mM〜1mM GTPは、光散乱における増加を開始し、この増加は、添加25分後に依然として増加していた。より低い濃度のGTP(0.05mM〜0.1mM)は、重合および脱重合の両方を25分以内にもたらした。1mMのGDPまたは5’−グアニリルイミド二リン酸(GMP−PNP)(非加水分解性GTPアナログ)のいずれかでGTPを置き換えた場合、光散乱における増加は見られなかった。
【0241】
E.coli FtsZによるGTP加水分解の速度は、KCl濃度によって影響を受ける(Mukherjeeら,Proc.Natl.Acad.Sci.90:1053−1057,1993)ので、M.tuberculosis FtsZの重合に対するKClの影響を調べた。10mMまたは50mMのKClを用いると、GTPの添加は、光散乱における増加を開始し、これは、1時間にわたって持続した。KClを用いないと、重合は、低KClを用いてよりも遅かったが、1時間の終わりにおいても依然として持続した。より高い濃度のKCl(100mMおよび200mM)は、光散乱における増加、続いて減少をもたらした。光散乱の最大量は、KCl濃度が上昇するにつれて減少した。KClによる脱重合に対する影響は、特異的であるようである。なぜなら、100mMまたは200mMのNaClの存在下では、重合は、1時間の時点で依然として増加していたからである。E.coli FtsZ GTPase活性は、KClによって刺激され得るが、NaClによっては刺激され得ず、そしてKCl濃度の増加は、重合の定常状態相の短縮と関連する。
【0242】
M.tuberculosis FtsZは、他のGTPaseと同様に、GTPからGDPへの加水分解のためにMg2+を必要とする。MgClが1mMから5mMへと増加するにつれて、M.tuberculosis FtsZの最大重合が増強され、続いてベースラインに戻った。5mMより高いMgClでは、重合のみが観察された。FtsZは、MgClの非存在下では重合しなかった。これは、MgClの非存在下でのGTPの添加が、10mM MgClを用いて得られたレベルの約3分の1の、光散乱における増加を生じたE.coli FtsZと対照的である。
【0243】
FtsZ濃度の関数として光散乱を調べることにより、重合に必要なタンパク質最小濃度の決定が可能になった。種々の濃度でのFtsZを、100mM KClおよび5mM
MgClを含む重合緩衝液中でインキュベートした。0.05mM GTPの添加後、最大量の光散乱を測定し、そしてFtsZ濃度に対してプロットした。重合に必要な臨界濃度についての値は、3M(120g/ml)であった。これは、沈降によって1.5Mであると決定されたE.coli FtsZについての臨界濃度よりもわずかに高いが、光散乱アッセイから得られた2.5Mの値に類似する。
【0244】
M.tuberculosis FtsZ重合は、中性pHまたはアルカリ性pHにおいて顕著に減少した。GTP依存性重合は、その範囲にわたって一定のイオン強度を維持した緩衝系(50mM HEPES、50mM MES、100mMエタノールアミン)において、pH6.5、pH7.0およびpH7.4の順であった。pH7.0における最大光散乱は、pH6.5における最大光散乱の4分の1未満であった。重合はpH7.5において見られなかった。E.coli FtsZは、pH変化に対して、より耐性であるようである。
【0245】
(実施例5)
(インヒビター研究)
M.tuberculosis FtsZの重合および脱重合に対する異なる化合物の影響(表6)を、上記の光散乱アッセイを用いてモニタリングした。化合物を反応物に添加し、そしてベースラインを確立した。GTPを添加して重合を開始し、そして光散乱データをさらに50分間〜60分間収集した。最大光散乱を、GTP前のベースライン値をピーク値から差し引くことにより算出した。コントロール活性%を、化合物なしのアッセイとの比較により算出した。DMSOを溶媒として用いた場合、このコントロールはまた、同じ量のDMSO(2%)を含んでいた。化合物を、100μMにおいて最初に評価した。阻害が観察されたならば、この化合物をいくつかの濃度で再度試験した。化合物濃度に対するコントロール活性%の半対数プロットを用いて、50%阻害濃度を算出した。3つの独立した曲線を、各化合物について描いた。コルヒチンを、Sigmaから購入した。精製したウシチューブリンチューブリン(Sigma)のGTP開始重合に続いて、光散乱アッセイを行った。ウシチューブリン(1mg/mL;20M)を、100mM MES−NaOH(pH6.5)、1mM EGTA、100μM EDTA、2Mグリセロールおよび0.5mM MgCl+インヒビターまたは溶媒中でインキュベートして、ベースラインを確立した。GTP(1mM)を添加し(最終体積500L)、そして光散乱における増加をさらに50分間〜60分間にわたって測定した。最大光散乱を、ベースライン値を、ピーク値から差し引くことにより算出した。DMSOを溶媒として用いた場合、このコントロールはまた、同じ量のDMSO(2%)を含んでいた。化合物を、100μMにおいて最初に評価した。阻害が観察されたならば、この化合物を、いくつかの濃度で再試験した。ID50値および阻害パーセントを、上記の通りに算出した。
【0246】
【表6】

【0247】
(実施例6)
(質量分析法およびアミノ酸配列決定)
MALDI−TOF質量スペクトルを、遅延抽出技術(PerSeptive Biosystems)を用いてVoyager Elite質量分析計(ポジティブモード)について得た。加速電圧を25kVに設定し、そして10〜50のレーザーショットを合計した。このマトリクスは、CHCN−0.1% CFCOH(1:1)中に溶解したシナピン酸(Aldrich)であった。分光計を、アポミオグロビンを用いて較正した。サンプルをマトリクスで1:10希釈し、その後、1μlを平滑なプレート上にピペッティングした。N末端配列決定を、気相微量配列決定系(Model Pl 2090E,Beckman)において自動化エドマン分解によって行った。所定のサイクルにおいて遊離されたアミノ酸残基を、異なるクロマトグラム(以前のサイクルとの比較)から同定した。
【0248】
(実施例7)
(細菌のパネルに対する抗細菌活性)
微量希釈ブロスアッセイを用いて、MICを決定した。SRI−3072をDMSO中に溶解し、次いでアッセイ培地(Mueller−Hintonブロス)中に2倍希釈で連続希釈した。この培地における最終DMSO量は1.3%であり、そして生物体のパネルの増殖に対して影響を有さなかった(表7)。薬物希釈物(50μl)を、96ウェル(U字型)プレートの適切なウェルに添加した。試験生物体の接種物を、Mueller−Hintonブロスに新鮮なスラント培養物からの増殖物を接種し、続いて37℃にて5時間〜6時間(この時点で、増殖物を濁度計測定により測定した)にわたってインキュベートすることにより調製した。次いで、各培養物を、約1×10CFU/ml相当の濁度になるように培地中に希釈し、そして接種物として用いた(50μL/ウェル)。このアッセイプレートはまた、生存率コントロール、ならびに非接種培地および薬物コントロールを含んでいた。トリメトプリムを、ポジティブ薬物コントロールとして用い、そしてトリメトプリム耐性株について0.13〜>16μg/mlの範囲のMICを有していた。このプレートを、18時間〜20時間にわたってインキュベートし、そしてウェルを、増殖について視覚試験した。MICを、可視の増殖がもたらされない最大薬物希釈と定義した。SRI−3072を、それぞれ、グラム陰性桿菌およびグラム陽性球菌を代表する、Escherichia coli、Enterococcus hirae、およびStaphylococcus aureusに対してアッセイした。この薬物は、E.coliに対しては活性ではなく、そして2つの球菌に対しては中程度の活性(32μg/mLのMIC)を有した。次いで、この薬物を、グラム陽性桿菌およびグラム陽性球菌の拡大パネルに対して試験した。この拡大パネルは、メチシリン耐性ブドウ球菌、多剤耐性ブドウ球菌およびバンコマイシン耐性腸球菌を含んでいた。これらの生物体に対するMICは、試験した単一のグラム陽性桿菌Bacillus subtilisを除いて、32〜64μg/mLの範囲で一様であった。Bacillus subtilisは、16μg/mLのMICにおいて阻害された。この薬物はE.coliに対して活性ではなかったので、別のグラム陰性桿菌であるS.typhimuriumを試験した。この特定の株のS.typhimuriumは、細胞エンベロープのLPS成分の多糖類側鎖におけるディープラフ(deep rough)(rfa)変異を含んでいた。このような株は、複素環式化合物に対して増加した透過性を保有する。SRI−3072は、このグラム陰性変異体に対して活性であった。結論として、SRI−3072は、単一のグラム陰性細菌の代表に対して活性ではなかったが、薬物耐性株を含めたいくつかのグラム陽性細菌に対して中程度の活性を有した。また、ディープラフ変異体は、SRI−3072に対して感受性であった。このことは、E.coliの活性の欠如が、E.coliに対する影響の欠如というよりも透過性に起因したことを示す。
【0249】
【表7】

【0250】
(実施例8)
(細胞機構に対する化合物の影響)
Mycobacterium bovis(BCG)の細胞分裂機構に対するSRI 3072の影響を調べた(図9)。BCGは、M.tuberculosisについての優れた代用品である。なぜなら、それらのゲノムは、ほぼ95%同一だからである。緑色蛍光タンパク質を発現するBCGを、0.3μg/ml SRI 3072(MIC未満の濃度)とともに5日間インキュベートし、そして細胞長さについてアッセイした。細胞をスピンダウンし、PBS中で洗浄し、次いでポリ−1−リジンコーティングカバーガラス上で風乾した。50%グリセロール中のDAPI(3μg/ml)をカバーガラス上にピペッティングし、そしてこのスライド上に反転させた。このスライドを、DXM 1200色CCDを備えたNikonエクリプス顕微鏡で観察した。画像を、Lucia Gソフトウェアバージョン4を用いて取り込んだ。蛍光を用いた位相差画像を得た。コントロール細胞は、2〜3μm付近に集まった、やや細い細胞長さを有する。一方、SRI 3072で処理した細胞は、ずっと長く、分岐している。コントロール細胞とは異なり、SRI 3072処理細胞におけるDNAは、異常な細胞全体に分散する。SRI 3072は、細胞分裂機構を破壊する。さらに、培養細胞を洗浄してSRI 3072を培地から除去する場合、これらは回復しない。
【0251】
(実施例9)
FtsZを含むサンプル25μlのGTPase活性を、Mukherjeeら(Proc.Natl.Acad.Sci.90:1053−1057,1993)に記載される方法を用いてモニタリングした。手短に述べると、FtsZを、40μM[γ−32P]GTP(250〜400cpm/pmol)、100mM MES−NaOH(pH6.5)、100 mM KCl、および5mM MgClとともに30℃で60分間インキュベートした(最終体積50μl)。放射性無機リン酸を、1mM KHPOを含む0.1M HClOを用いて抽出し、続いてモリブデン酸ナトリウムおよび酢酸イソプロピルを添加した。有機相のアリコートを、液体シンチレーションカウンター中で測定した。断続的ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアルキルアミドゲル電気泳動(15%ゲル)を用いて、精製をモニタリングし、そしてサブユニット分子量を決定した。タンパク質濃度を、ウシガンマグロブリンを標準として使用して、Bradford手順によって決定した。このタンパク質(50μM FtsZ)に結合したヌクレオチドの量を、3%過塩素酸抽出物(Sossongら,Biochem.38:14843−50,1990)を用いて決定した。上清を257nmにおいて読み取り、そして濃度をGDP(5〜200μM)の標準曲線から算出した。強アニオン交換HPLCを用いて、ヌクレオチドを同定した。
【0252】
引用したいずれの文献の開示内容も、本発明が属する技術の状況を十分に記述するために、その全体が本明細書中で参考として援用されている。
【0253】
本発明の範囲および精神を逸脱することなく、本発明において、種々の改良および変更を行うことができることは、当業者に明らかである。本発明の他の実施態様は、本明細書および本明細書中で開示された発明の実施の要件から、当業者に明らかとなる。本明細書および実施例は、代表的なものと見なされるにすぎず、本発明の真の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲で示されると解釈される。
【0254】
(実施例10)
以下の化合物(表8)は、本発明の化合物の例、およびそれらの阻害濃度である。
【0255】
(表8)
【0256】
【表8−1】

【0257】
【表8−2】

【0258】
【表8−3】

【0259】
【表8−4】

【0260】
【表8−5】

【0261】
【表8−6】

【0262】
【表8−7】

【0263】
【表8−8】

【0264】
【表8−9】

【0265】
【表8−10】

【0266】
【表8−11】

【0267】
【表8−12】

【0268】
【表8−13】

【0269】
【表8−14】

【0270】
【表8−15】

【0271】
【表8−16】

【0272】
【表8−17】

【0273】
【表8−18】

【0274】
【表8−19】

【0275】
【表8−20】

【0276】
【表8−21】

【0277】
【表8−22】

【0278】
【表8−23】

【0279】
【表8−24】

【0280】
【表8−25】

【0281】
【表8−26】

【0282】
【表8−27】

【0283】
【表8−28】

【0284】
【表8−29】

【0285】
【表8−30】

【0286】
【表8−31】

【0287】
【表8−32】

【0288】
【表8−33】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−105731(P2011−105731A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288957(P2010−288957)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【分割の表示】特願2004−519843(P2004−519843)の分割
【原出願日】平成15年7月2日(2003.7.2)
【出願人】(505002484)サザン リサーチ インスティチュート (1)
【Fターム(参考)】