説明

L−カルニチンまたはD−カルニチン検出用誘導体化試薬の調製およびその使用

本発明は、L−カルニチンまたはD−カルニチン検出用誘導体化試薬の調製方法およびその使用を提供する。本発明の試薬は安定しており、L−カルニチンまたはD−カルニチンの正確かつ高感度な検出に使用可能である。すなわち、本試薬は、合成または天然L−カルニチン量および混合D−カルニチン量の検出に適用される。この化合物の試薬を用いれば、L−カルニチンまたは/およびD−カルニチンを含有する、化学薬品、生物試薬、健康管理試薬、化粧品、体液およびさまざまな食品中のキラル異性体および他のキラルアミノ酸の光学異性体を同定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、L−カルニチンまたはD−カルニチン検出用の誘導体化試薬の調製およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
L−カルニチンには、さまざまな生理的機能があるが、基本的な機能の一つが、β酸化が起きるミトコンドリア膜を通して、ミトコンドリア内に長鎖脂肪酸を「輸送する」ことである。L−カルニチンは、脂肪酸代謝に不可欠であり、カルニチンの合成が体内で阻害されるか、カルニチンが分解または過度に分泌されるか、またはカルニチントランスフェラーゼの機能の低下または喪失が起きると、脂質代謝に混乱を来し、エネルギー供給に影響を与え、多くの病気を引き起こすことになる。天然のL−カルニチンの代表的な抽出方法は、1952年にケイター(Cater)が報告したウシからの抽出である。しかしながら、肉に含有されるL−カルニチンの絶対量は非常に低いうえ、肉汁内に存在するコリンは構造上非常に類似しており分離が難しいため、直接抽出法は複雑であり、生成量も低く高価である。したがって、十分な天然L−カルニチンを得るのは容易なことではない。
【0003】
現在、医薬用途のL−カルニチンは通常、人工的に合成されている。通常、L−カルニチン合成にはラセミ化合物の分離が利用されている。原材料が安価で、入手が容易であり、プロセスの工業化も容易である。しかしながら、従来の化学的分解の問題点として、D−異性体は完全に除去することができないため、合成L−カルニチンは完全に左旋性ではなくD−カルニチンも含まれている。
【0004】
天然カルニチンはL−カルニチンであり、L−カルニチンのみに生理活性がある。D−カルニチンは、カルニチンアセチルトランスフェラーゼ(CAT)およびカルニチンパルミチルトランスフェラーゼ(PTC)の拮抗阻害剤である。したがって、DL−カルニチンを摂取後、約10%の患者が重症筋無力症を経験したとの報告がある(マーチンデール(Martindale):特別薬局方(Extra Pharmacopoeia)(33巻):1356)。したがって、薬物安全性を考慮すると、化学合成プロセスにおいてD−カルニチン量を厳密に制御する必要がある。
【0005】
現在、D−カルニチン量は、比旋光度(specific rotation)により検出されるが、この方法では正確性を欠く。L−カルニチン合成物中のD−カルニチン含有量を正確に検出し、より安全でより効果的な医薬品、健康製品および食品を提供するために、L−カルニチン合成物中のD−カルニチン含有量を検出する、より高精度かつ高感度な方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の目的は、L−カルニチン(またはD−カルニチン)の含有量検出用試薬およびその調製方法の提供である。本発明で開示する調製方法は、シンプルで経済的である。この方法で調製される試薬は、保存中安定しており、使用しやすい。
【0007】
本発明の第二の目的は、L−カルニチンまたはD−カルニチンの医薬品有効成分中、およびL−カルニチンまたは/およびD−カルニチンを含む、さまざまな医薬品または生物剤、健康管理用品(大衆薬)、化粧品、体液およびさまざまな食品中のL−カルニチン(またはD−カルニチン)の含有量を検出する方法を提供することである。本発明で開示する検出方法は、高感度であり、便利で効果的である。
【0008】
本発明には、L−カルニチン(またはD−カルニチン)含有量検出用の、光学的に純粋な以下の化学式(I)の誘導体化試薬が開示される:
【化1】

式中、アスタリスクの付いた炭素原子は、キラル炭素原子であり;本発明の化合物は、純粋な光学活性を有するキラル化合物であり、D−またはL−化合物であり;Rは、C1〜C6の直鎖または分岐アルキル基、C6〜C10のアリール基、C2〜C6の直鎖または分岐アルケニル基またはアルキニル基、またはC3〜C6のシクロアルキル基を示し;Xは、ハロゲン原子を示す。
【0009】
本発明で使用する化学式(I)の化合物において、Rはメチル、エチル、イソプロピル、ブチルまたはベンジルであり、XはClまたはBrである。
【0010】
好ましくは、本発明では、L−カルニチンまたはD−カルニチン含有量の検出用誘導体化試薬として、(+)α−メチル−6−メトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物を開示する。
【0011】
本発明で開示するL−カルニチンまたはD−カルニチン含有量の検出用誘導体化試薬は、好ましくは、光学的に純粋な化学式(I)の化合物の結晶性固体である。結晶性固体は、溶液と比較して、より安定しており、分解されにくく保存しやすいのが特徴である。
【0012】
本発明の光学的に純粋な化学式(I)の化合物の結晶性固体は、好適な溶媒による再結晶であり;前記溶媒は、エーテル、プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、酢酸エチル、n−ヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、またはいずれか2以上の前記溶媒の混合物から選択される。
【0013】
光学的に純粋な化学式(I)の化合物の再結晶化用溶媒は、好ましくはアセトニトリルである。
【0014】
また、本発明では、光学的に純粋な化学式(I)の化合物の誘導体化試薬としての使用についても開示している。該化合物は、光学的に純粋な化学式(I)の化合物およびその結晶を溶媒に溶解し、特定濃度の溶液を作製し調製され、前記溶媒は、エーテル、プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、酢酸エチル、n−ヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、またはいずれか2以上の前記溶媒の混合物から選択される。溶液の濃度は、0.01〜100mg/mlである。特に好ましくは、溶媒はアセトニトリルであり、溶液の濃度は1〜10mg/mlである。
【0015】
化学式(I)の有効成分原料は、以下のステップにより作製される:
【化2】

【0016】
(+)または(−)α−メチル−6−メトキシ−2−ナフチル酢酸は、加水分解され、その後、フェノール性ヒドロキシル基がハロ炭化水素と結合し、アシル化により粗アシルハライドが形成される。
【0017】
また、本発明では、光学的に純粋な化学式(I)の化合物の結晶性固体の調製についても開示される。すなわち、粗アシルハライドは、好適な溶媒で再結晶化されて結晶性固体を形成する。前記溶媒は、エーテル、プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、酢酸エチル、n−ヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、またはいずれか2以上の前記溶媒の混合物から選択される。
【0018】
光学的に純粋な化学式(I)の化合物の再結晶化用溶媒は、好ましくは、アセトニトリルであり、得られる結晶性固体は高い光学純度を有し、安定的に保存可能である。
【0019】
本発明では、光学的に純粋な化学式(I)の化合物、(+)α−メチル−6−メトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物の結晶を開示している。該結晶は、白色の針状結晶であり、融点(m.p)が92.3〜93.5℃であることを特徴とし;回折角(2θ)のX線データは、6.579(d=13.4231、I/I=54.4)、10979(d=8.0522、I/I=34.1)、13.218(d=6.6925、I/I=72.2)、13.499(d=6.5539、I/I=45.8)、18.222(d=4.8646、I/I=21.2)、18.780(d=4.7211、I/I=100.0)、19.901(d=4.4577、I/I=21.7)、21.619(d=4.1072、I/I=26.2)、22.100(d=4.0188、I/I=75.3)、27.139(d=3.2830、I/I=19.0)、47.681(d=1.9057、I/I=15.0)であり;IRは、3414.5cm−1、2983.2cm−1、1786.2cm−1、1605.0cm−1、1390.6cm−1、1270.4cm−1、1183.1cm−1、823.8cm−1、701.6cm−1、742.2cm−1であり;1HNMR(CD3COCD3、500MHz)が1.66(m、3H)、3.78(s、3H)、4.46(m、1H)、7.19(m、1H)、7.29(m、1H)、7.43(m、1H)、7.82(m、1H)、7.83(s、1H)、7.85(s、1H)であり;元素分析は、C%:67.76(理論値は67.61)、H%:5.25(5.27)である。
【0020】
MSより、分子量は、248、250で、塩素の同位体ピークであり、m/z185は存在量100%の基準ピークである。このことから、断片イオンとして以下の化学式のイオンが考えられる。
【化3】

【0021】
本発明では、サンプル中のL−カルニチンまたはD−カルニチン含有量の検出方法を開示しており、該検出方法には、以下のステップが含まれる:
(1)適量のL−カルニチン(またはD−カルニチン)を含有するテストサンプル溶液およびDL−カルニチンを含有するコントロール溶液を用意する;
(2)適量の本発明の誘導体試薬を、L−カルニチン(またはD−カルニチン)を含有するテストサンプル溶液と混合し反応させて、L−カルニチン(またはD−カルニチン)誘導体を提供させる;
(3)HPLCを行い、サンプル中のL−カルニチン(またはD−カルニチン)含有量を検出・算出する。
【0022】
本発明では、サンプル中のL−カルニチンまたはD−カルニチン含有量の検出方法を開示しており、該検出方法には、以下のステップが含まれる:
(一)誘導体化試薬溶液を用意する。すなわち、請求項1〜5のいずれかに記載のD型またはL型の光学的に純粋な化学式(I)の化合物を、溶媒中に溶解し、暗状態で0.01〜100mg/ml溶液を作製する。ここで、該化学式(I)の化合物は、好ましくは(+)α−メチル−6−メトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物であり、該溶媒は、好ましくはアセトニトリルであり、溶液濃度は、好ましくは1〜10mg/mlである;
(二)L−カルニチンまたはD−カルニチンのテスト溶液と、DL−カルニチンのコントロール溶液を用意する;
(三)ステップ(一)の誘導試薬を、溶媒存在下、密閉容器内で、20℃〜95℃にてウォーターバスを用いて20〜180分間、ステップ(二)のテスト溶液およびコントロール溶液と混合・反応させる;
(四)HPLCを行い、反応したテスト溶液およびコントロール溶液を分離、検出し、テスト溶液中のL−カルニチン(またはD−カルニチン)含有量を外部標準法にて算出する。
【0023】
また、検出の詳細には、以下が含まれる:
(i)クロマトグラフィー条件: オクタデシルシラン結合シリカを充填剤とし、トリエチルアミンバッファー(リン酸塩8ml、トリエチルアミン15ml、水1500ml)−テトラヒドロフランを勾配溶離用の移動相とする。励起波長は230nm〜260nm、発光波長は340nm〜380nmである;
(ii)テスト溶液の調製: テストサンプルを正確に秤量し、水に溶解して0.1μg/ml〜3.0μg/mlの溶液を作製し、テスト溶液とする;
(iii)コントロール溶液の調製: DL−カルニチンを正確に秤量し、水に溶解して0.2μg/ml〜6.0μg/mlの溶液を作製し、コントロール溶液とする;
(iv)誘導体化反応: コントロール溶液とテスト溶液をそれぞれ30μlずつ5mlの容量フラスコに入れ、それぞれに対し、0.01mol/L〜0.5mol/Lのカーボネートバッファー溶液を添加し、適量のピリジンアセトニトリル溶液(アセトニトリル1mlあたり1μl〜50μlのピリジンを含有)を、本発明の誘導体化試薬溶液と混合して密封し、ウォーターバス中20℃〜95℃で反応させて、酢酸バッファーで等量希釈し、ウォーターバスから取り出してすぐに振とう、ろ過させる;
(v)含有量の検出: 反応後のテストサンプルとコントロール溶液とを、それぞれ同量ずつHPLCに注入してクロマトグラムを記録し、テスト溶液中のL−カルニチン(またはD−カルニチン)含有量を外部標準法にて算出する。
【0024】
本発明L−カルニチン(またはD−カルニチン)含有量の検出において、上述のステップ(i)のクロマトグラフィー条件には、トリエチルアミンバッファー(リン酸塩8ml、トリエチルアミン15ml、水1500ml)と、テトラヒドロフランとの混合物である移動相が含まれる。トリエチルアミンバッファー溶液のpH値は2.0〜9.0である。トリエチルアミンバッファー濃度が70%〜90%で、THF濃度が30%〜10%のとき、2成分の勾配は、0〜10分間であり;トリエチルアミンバッファー濃度が70%〜30%から90%〜30%で、THF濃度が30%〜70%から10%〜70%のときは、10〜11分間であり;トリエチルアミンバッファー濃度が30%で、テトラヒドロフラン濃度が70%のときは、11〜18分間であり;トリエチルアミンバッファー濃度が30%〜70%から30%〜90%で、THF濃度が70%〜30%から70%〜10%のときは、18〜19分間であり;トリエチルアミンバッファー濃度が70%〜90%で、THF濃度が30%〜10%のときは、19〜25分間である。
【0025】
本発明のL−カルニチン(またはD−カルニチン)含有量の検出において、ステップ(iii)のコントロール溶液は、詳しくは、DL−カルニチン2mg〜60mgを正確に秤量して、100mLの容量フラスコ内で水に溶解し、このうち10mlを正確にピペットで取り100mlの容量フラスコに入れて水を加えて調製される。これをコントロール溶液とする。L−カルニチン(またはD−カルニチン)濃度が0.1μg/ml〜3.0μg/mlのとき、良好な直線関係が得られ、線形相関係数rは、0.9991であり、回収率(recovery)は100.6%である。
【0026】
本発明のL−カルニチン(またはD−カルニチン)含有量の検出において、ステップ(iv)の誘導体化試薬の濃度は、0.01〜100mg/ml、好ましくは1〜10mg/ml、最も好ましくは5mg/mlである。
【0027】
本発明のL−カルニチン(またはD−カルニチン)含有量の検出において、ステップ(iv)のカーボネートバッファー溶液は、詳しくは、重炭酸ナトリウム4.2gを水900mlに溶解して、pH値を5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で7.0〜12.0に調整し1000mLまで水を添加することにより調製される。
【0028】
本発明のL−カルニチン(またはD−カルニチン)含有量の検出において、ステップ(iv)のカーボネートバッファー溶液の添加量は5μl〜500μlである。
【0029】
本発明のL−カルニチン(またはD−カルニチン)含有量の検出において、ステップ(iv)の反応温度は20℃〜95℃であり、反応時間は20分間〜180分間である。
【0030】
本発明のL−カルニチン(またはD−カルニチン)含有量の検出において、ステップ(iv)の酢酸バッファー溶液は、詳しくは、氷酢酸3.0mLを水900mLにて溶解し、5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液でpH値を2.0〜7.0に調整し1000mLまで水を添加することにより調製される。
【0031】
本発明に開示される誘導体化試薬および検出方法は、L−カルニチンまたは/およびD−カルニチンを含有する、さまざまな医薬品または生物剤、健康管理用品、化粧品、体液およびさまざまな食品(たとえば、L−カルニチンAPI、注射剤、経口液体、錠剤、痩身(減量)カプセル剤、飲料など)中のL−カルニチンおよび/またはD−カルニチン含有量の検出に適用できる。
【0032】
本発明に開示される誘導体化試薬および検出方法は、ヒトを含むさまざまなほ乳類の組織および血しょう中のカルニチン含有量の検出に適用できる。
【0033】
本発明に開示される誘導体化試薬および検出方法は、さまざまな食用植物および動物性食品中のカルニチン含有量の検出に適用できる。たとえば、ブタ、ウシ、ヒツジ、トリ、エビ、魚、卵、野菜、果物などが挙げられる。
【0034】
本発明に開示される誘導体化試薬および検出方法は、さまざまな動物飼料中のカルニチン含有量の検出に適用できる。
【0035】
本発明に開示される誘導体化試薬および検出方法は、さまざまな植物栄養素中のカルニチン含有量の検出に適用できる。
【0036】
本発明に開示される誘導体化試薬および検出方法は、その他の光学純度のキラルアミノ酸の検出に適用できる。
【0037】
本発明で使用される記号について以下にまとめる:
D−: D−異性体
L−: L−異性体
IR: 赤外吸収分光法
HNMR: 水素核磁気共鳴
MS: 質量分析
HPLC: 高速液体クロマトグラフィー
(+)MNPC: (+)α−メチル−6−メトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物
(+)ENPC: (+)α−メチル−6−エトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物
(+)PNPC: (+)α−メチル−6−イソプロポキシ−2−ナフチルアセチル塩化物
(+)BUNPC: (+)α−メチル−6−ブトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物
(+)BNPC: (+)α−メチル−6−ベンゾキシ−2−ナフチルアセチル塩化物
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、L−カルニチン(またはD−カルニチン)含有量の検出時の励起スペクトルであり;
【図2】図2は、L−カルニチン(またはD−カルニチン)含有量の検出時の発光スペクトルであり;
【図3】図3は、L−カルニチン[L−カルニチン(tR=5.139分間)]含有量の検出時のHPLCであり;
【図4】図4は、L−カルニチン[D−カルニチン(tR=4.389分間)、L−カルニチン(tR=5.136分間)]含有量の検出時のHPLCである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の実施形態を用いて本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されない。
【0040】
実施例1:(+)α−メチル−6−メトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物((+)MNPC)の調製
(+)α−メチル−6−メトキシ−2−ナフチル酢酸4.6gと、THF50mlを100mlのシングルネックの瓶に添加して、氷冷し、磁力でかき混ぜた。2mlのSOClを添加し、適量のピリジンを添加して6時間反応させ、回転式機械により乾燥させた。アセトニトリル20mlを添加して、淡黄色の固体が得られるまで冷却し、15mlのアセトニトリルで再結晶化させて白色の針状結晶を得た。真空下で乾燥させて、2.87gの生成物を得た。収率は57%で、融点は92.3〜93.5℃であった。
【0041】
IR: 3414.5cm−1、2983.2cm−1、1786.2cm−1、1605.0cm−1、1390.6cm−1、1270.4cm−1、1183.1cm−1、832.8cm−1、701.6cm−1、472.2cm−1
【0042】
1HNMR((CD3COCD3、500MHz): 1.66(m、3H)、3.78(s、3H)、4.46(m、1H)、7.19(m、1H)、7.29(m、1H)、7.43(m、1H)、7.82(m、1H)、7.83(s、1H)、7.85(s、1H)。
【0043】
X線データ: 回折角(2θ)は、6.579(d=13.4231、I/I=54.4)、10979(d=8.0522、I/I=34.1)、13.218(d=6.6925、I/I=72.2)、13.499(d=6.5539、I/I=45.8)、18.222(d=4.8646、I/I=21.2)、18.780(d=4.7211、I/I=100.0)、19.901(d=4.4577、I/I=21.7)、21.619(d=4.1072、I/I=26.2)、22.100(d=4.0188、I/I=75.3)、27.139(d=3.2830、I/I=19.0)、47.681(d=1.9057、I/I=15.0)。
【0044】
MS: 分子量(MW)は248、250で、塩素の同位体ピークであり、m/z185は存在量100%の基準ピークである。このことから、断片イオンとして以下の化学式のイオンが考えられる。
【化4】

【0045】
元素分析: C%:67.76(理論値は67.61)、H%:5.25(5.27)
【0046】
実施例2:(+)α−メチル−6−エトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物((+)ENPC)の調製
(ステップ1)
(+)α−メチル−6−エトキシ−2−ナフチル酢酸50gを、氷酢酸205mlに溶解し、還流加熱した。30分ごとに36%HClを20mlずつ添加して、6時間反応させ、氷冷水600gに注ぎ入れてろ過した。エタノール−水により再結晶化して乾燥させ、無色の結晶(9.87g)を得た。収率は90.5%、融点は189.4〜191.3℃であった。
【0047】
IR: 3411.1cm−1、1701.4cm−1、1632.5cm−1、1606.2cm−1、1509.1cm−1、1384.4cm−1、1189.0cm−1、1147.3cm−1、865.9cm−1、477.8cm−1
【0048】
1HNMR((CD3COCD3、500MHz): σ1.53(m、3H)、3.98(s、3H)、7.15(m、1H)、7.20(m、1H)、7.42(m、1H)、7.67(m、1H)、7.73(s、1H)、7.76(m、1H)、8.55(s、1H)。
【0049】
(ステップ2)
ステップ1の生成物(41.0g)と、KOH(32.0g)とを、メタノール200mlに溶解し、ブロモエタン35.5mlを添加して2時間還流加熱した。冷却後、5%NaOH200mlを添加して3〜4時間反応させた。反応後に氷冷水600gを添加、撹拌し、静置してろ過し、水で洗浄した。エタノール500mlにより再結晶化して80℃で乾燥させ、生成物(37.2g)を得た。収率は80.3%、融点は151.8〜155.6であった。
【0050】
IR: 3453.5cm−1、1729.6cm−1、1609.5cm−1、1604.5cm−1、1393.7cm−1、1181.9cm−1、1158.4cm−1、862.4cm−1、481.8cm−1
【0051】
1HNMR((CD3COCD3、500MHz): σ1.43(m、3H)、1.53(m、3H)、3.90(m、1H)、4.16(m、2H)、7.15(m、1H)、7.25(m、1H)、7.46(m、1H)、7.75(s、1H)、7.76(s、1H)、7.79(s、1H)。
【0052】
(ステップ3)
実施例1を参照して、ステップ2の生成物から融点91.7〜92.9℃の塩化アシルを作製した。
【0053】
IR: 3416.7cm−1、2982.1cm−1、1785.9cm−1、1605.2cm−1、1309.5cm−1、1269.1cm−1、1182.6cm−1、832.8cm−1、701.8cm−1、472.6cm−1
【0054】
1HNMR((CD3COCD3、500MHz): σ1.43(m、3H)、1.66(m、3H)、4.18(m、2H)、4.46(m、1H)、7.19(m、1H)、7.29(m、1H)、7.43(m、1H)、7.82(m、1H)、7.83(s、1H)、7.85(s、1H)。
【0055】
実施例3:(+)α−メチル−6−イソプロポキシ−2−ナフチルアセチル塩化物((+)PNPC)の調製
ステップ2で2−ブロモプロパンを使用し、実施例1の方法に従って、融点77.8〜79.4℃の(+)PNPCを得た。
【0056】
IR: 3416.3cm−1、1784.5cm−1、1604.8cm−1、1390.2cm−1、1270.3cm−1、1182.5cm−1、854.6cm−1、699.2cm−1、469.5cm−1
【0057】
1HNMR((CD3COCD3、500MHz): σ1.06(m、3H)、1.65(m、3H)、1.83(m、2H)、4.07(m、2H)、4.45(m、1H)、7.19(m、1H)、7.29(m、1H)、7.42(m、1H)、7.81(m、1H)、7.82(s、1H)、7.84(m、1H)。
【0058】
実施例4:(+)α−メチル−6−ブトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物((+)BUNPC)の調製
ステップ2でブロモブタンを使用し、実施例1の方法に従って、融点56.3〜57.3℃の(+)BUNPCを得た。
【0059】
IR: 3415.7cm−1、1785.3cm−1、1605.2cm−1、1468.3cm−1、1392.3cm−1、1268.9cm−1、1178.3cm−1、921.8cm−1、819.9cm−1、727.45cm−1、747.6cm−1
【0060】
1HNMR((CD3COCD3、500MHz): σ1.00(m、3H)、1.55(m、2H)、1.67(m、3H)、1.82(m、2H)、4.14(m、2H)、4.48(m、2H)、7.19(m、1H)、7.31(m、1H)、7.42(m、1H)、7.82(m、1H)、7.83(s、1H)、7.85(m、1H).
【0061】
実施例5:(+)α−メチル−6−ベンゾキシ−2−ナフチルアセチル塩化物((+)BNPC)の調製
ステップ2で臭化ベンジルを使用し、実施例1の方法に従って、融点77.2〜79.1℃の(+)BNPCを得た。
【0062】
1HNMR((CD3COCD3、500MHz): σ1.6(d、3H)、3.81(m、1H)、4.14(m、2H)、4.48(m、H)、5.26(s、2H)、7.19(m、1H)、7.22(m、1H)、7.38(m、3H)、7.42(m、1H)、7.47(m、2H)、7.83(m、1H)、7.87(m、1H)、7.90(m、1H)。
【0063】
実施例6:誘導体化反応およびクロマトグラフィー条件
1. クロマトグラフィー条件および系統適応性テスト:
アジレント1100HPLC;蛍光検出器;カラム:C18−ODSカラム(4.6×150mm、5μm);総流速:1ml/分;移動相:トリエチルアミンバッファー(リン酸塩8ml、トリエチレンアミン15ml、水1500ml、pHは5.4に調整)−テトラヒドロフラン混合物、時間勾配は以下の表1のとおりであった。
【0064】
【表1】

【0065】
理論段数は、5000より大きく、L−カルニチンおよびD−カルニチンのピーク分解能はいずれも1.5超であった。
【0066】
2. 検出波長
誘導体化反応後にスペクトルスキャンを行った(図1、2)。最終的に励起波長は234nm、発光波長は360nmを選択した。
【0067】
3. コントロール溶液の調製
DL−カルニチン20mgを正確に秤量し、100mLの容量フラスコ内で水を添加、溶解した。その後、この溶液10mlを100mlの容量フラスコに正確にピペットで取り、水を加えた。これをコントロール溶液とした。
【0068】
4. 誘導体化反応
コントロール溶液およびテスト溶液を、それぞれ30μlずつ5mlの容量フラスコに入れ、それぞれについて、0.05mol/Lのカーボネートバッファー溶液(重炭酸ナトリウム4.2gを水900mlに溶解し、pHを5mol/LのNaOHにて8.4に調整したもの)100μlと、ピリジンアセトニトリル溶液(アセトニトリル1mlあたりピリジン25μlを含有)100μlと、誘導体化試薬の溶液(0.5%(+)α−メチル−6−メトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物)200μlとを混合し、密閉して40℃のウォーターバスにて60分間反応させた。これを、酢酸バッファー(氷酢酸3mlを水900mlに溶解して、pHを5mol/LのNaOHで7.0に調整し1000mLになるまで水を添加したもの)で希釈して、ウォーターバスから出した直後に振とうしてろ過した。
【0069】
5. 検出
反応後のテストサンプル10μlと、コントロール溶液をそれぞれHPLCに注入し、クロマトグラムを記録して、テスト溶液中のL−カルニチン(またはD−カルニチン)含有量を外部標準法にて算出した。
【0070】
L−カルニチン(またはD−カルニチン)のサンプル濃度が0.33μg/ml〜1.64μg/mlのときには良好な直線関係が得られ、線形相関係数rは0.9991であり、回収率は100.6%であった。
【0071】
実施例7:化学式(I)の化合物の結晶化および該化合物含有溶液の安定性
誘導体化試薬の正確な含有量は、正確な結果を保証する。しかしながら、化学式(I)の化合物は、塩化アシルであり、化学活性があり水に分解されやすく、化学式(I)の化合物の安定性を確保し、検出エラーを低減できる好適な溶媒を選択することなど、適切な保存法と使用条件を見いだすことが必要である。溶媒は、エーテル、プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、酢酸エチルなどから選択され、結晶は溶媒に溶解して溶液とし、結晶および溶液の安定性について共に検出した。
【0072】
5mg/mlの(+)α−メチル−6−メトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物((+)MNPC)溶液(それぞれアセトニトリル、アセトン、酢酸エチルに溶解したもの)および相対する固体結晶の安定性テストを行った。表2、表3、表4、表5に実験データをまとめた。
【0073】
【表2】

注意:保存条件は、茶色のガラス製容器に分注、密閉して冷凍保存(−15℃)とした。
【0074】
【表3】

注意:保存条件は、茶色のガラス製容器に分注、密閉して冷凍保存(−15℃)とした。
【0075】
【表4】

注意:保存条件は、茶色のガラス製容器に分注、密閉して冷凍保存(−15℃)とした。
【0076】
【表5】

注意:保存条件は、茶色のガラス製容器に分注、密閉して冷凍保存(−15℃)とした。
【0077】
表2〜表5から、全サンプル中MNPCの固体結晶がどの溶液よりも安定していることがわかった。また、全溶液中MNPCアセトニトリル溶液が最も高い安定性を有することがわかった。MNPCアセトニトリル溶液では、60日目以降含有量が明らかに減少したのに対し、それ以外の溶液ではさらに悪化していた。したがって、MNPCの固体結晶が誘導体化試薬として最も安定性に優れ、長期保存や輸送に適している。全溶液中MNPCアセトニトリル溶液が最も安定性に優れており、アセトニトリルは誘導体化試薬の調製および誘導体反応の実施に好適な溶媒である。
【0078】
実施例8:合成L−カルニチン中のD−カルニチン含有量の正確な検出
L−カルニチン100mgを正確に秤量し、100mlの容量フラスコ内で水を加えて溶解させた。この溶液10mlを100mlの容量フラスコにピペットで取り、水を添加してサンプル溶液とした。DL−カルニチン20mgを秤量し、100mlの容量フラスコ内で水を加えて溶解させた。この溶液1mlを100mlの容量フラスコにピペットで取り、水を添加してコントロール溶液とした。
【0079】
コントロール溶液およびテスト溶液を、それぞれ30μlずつ5mlの容量フラスコに正確にピペットで取り、それぞれについて、0.05mol/Lのカーボネートバッファー溶液(重炭酸ナトリウム4.2gを水900mlに溶解し、pHを5mol/LのNaOHにて8.4に調整したもの)100μlと、ピリジンアセトニトリル溶液(アセトニトリル1mlあたりピリジン25μlを含有)100μlと、誘導体化試薬の溶液(0.5%(+)α−メチル−6−メトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物)200μlとを混合し、密閉して40℃のウォーターバスにて60分間反応させた。これを、酢酸バッファー(氷酢酸3mlを水900mlに溶解して、pHを5mol/LのNaOHで7.0に調整し1000mLになるまで水を添加したもの)で希釈して、ウォーターバスから出した直後に振とうしてろ過した。コントロール溶液と、テストサンプルを10μlずつピペットで取ってそれぞれHPLCに注入し、クロマトグラムを記録して、テスト溶液中のD−カルニチン含有量を外部標準法にて算出した。結果を表6にまとめた。
【0080】
【表6】

【0081】
実施例9:L−カルニチン含有量の検出
L−カルニチン10mgを正確に秤量し、100mlの容量フラスコ内で水を加えて溶解させた。この溶液1mlを100mlの容量フラスコにピペットで取り、水を添加してサンプル溶液とした。DL−カルニチン20mgを秤量し、100mlの容量フラスコ内で水を加えて溶解させた。この溶液1mlを100mlの容量フラスコにピペットで取り、水を添加してコントロール溶液とした。
【0082】
コントロール溶液およびテスト溶液を、それぞれ30μlずつ5mlの容量フラスコに正確にピペットで取り、それぞれについて、0.05mol/Lのカーボネートバッファー溶液(pH=8.4)100μlと、ピリジンアセトニトリル溶液100μlと、0.5%の誘導体化試薬アセトニトリル溶液100μlとを混合し、密閉して40℃のウォーターバスにて60分間反応させた。これを、0.05mol/Lの酢酸バッファー(pH7.0)で希釈して、ウォーターバスから出した直後に振とうしてろ過した。コントロール溶液と、テストサンプルを10μlずつピペットで取ってそれぞれHPLCに注入し、クロマトグラムを記録して、テスト溶液中のL−カルニチン含有量を外部標準法にて算出した。結果を表8にまとめた。
【0083】
【表8】

【0084】
実施例10:L−カルニチンAPI中のL−カルニチンおよびD−カルニチンの同期検出
L−カルニチン含有食品100mgを正確に秤量し、100mlの容量フラスコ内で水を加えて溶解させた。この溶液1mlを100mlの容量フラスコにピペットで取り、水を添加してサンプル溶液とした。DL−カルニチン20mgを秤量し、100mlの容量フラスコ内で水を加えて溶解させ、コントロール1とした。この「コントロール1」溶液1mlを100mlの容量フラスコにピペットで取り、水を添加してコントロール2とした。
【0085】
「コントロール1」、「コントロール2」およびテスト溶液を、それぞれ30μlずつ5mlの容量フラスコに正確にピペットで取り、それぞれについて、0.05mol/Lのカーボネートバッファー溶液(重炭酸ナトリウム4.2gを水900mlに溶解し、pHを5mol/LのNaOHにて8.4に調整したもの)100μlと、ピリジンアセトニトリル溶液(アセトニトリル1mlあたりピリジン25μlを含有)100μlと、誘導体化試薬の溶液(0.5%(+)α−メチル−6−メトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物)100μlとを混合し、密閉して40℃のウォーターバスにて60分間反応させた。これを、酢酸バッファー(氷酢酸3mlを水900mlに溶解して、pHを5mol/LのNaOHで7.0に調整し1000mLになるまで水を添加したもの)で希釈して、ウォーターバスから出した直後に振とうしてろ過した。コントロール溶液と、テストサンプルを10μlずつピペットで取ってそれぞれHPLCに注入し、クロマトグラムを記録して、D−カルニチンおよびL−カルニチン含有量を外部標準法にて算出した。結果を表9にまとめた。
【0086】
【表9】

【0087】
実施例11:注射剤中のL−カルニチン含有量の検出
L−カルニチン注射剤(5ml:1g)1mLを100mLの容量フラスコに正確にピペットで取り、水を添加した。この溶液1mlを100mlの容量フラスコに正確にピペットで取り、水を添加した。この溶液5mlを100mlの容量フラスコに正確にピペットで取り、水を添加した。これをサンプル溶液とした。
【0088】
実施例9の方法を用いて検出し、結果を表10にまとめた。
【0089】
【表10】

【0090】
実施例12:経口液体中のL−カルニチン含有量の検出
L−カルニチン経口溶液(10ml:1g)1mLを100mLの容量フラスコに正確にピペットで取り、水を添加した。この溶液1mlを100mlの容量フラスコに正確にピペットで取り、水を添加した。この溶液10mlを100mlの容量フラスコに正確にピペットで取り、水を添加した。これをサンプル溶液とした。
【0091】
実施例9の方法を用いて検出し、結果を表11にまとめた。
【0092】
【表11】

【0093】
実施例13:痩身カプセル剤中のL−カルニチン含有量の検出
L−カルニチン痩身カプセル剤20個を正確に秤量し、カプセル剤の内容物を取り出し(カプセル殻は捨てずに小さなブラシで汚れを取って秤量した)、カプセル剤の内容物を混合して粉状化し、適切に秤量した(L−カルニチン10mgに相当)。これを100mlの容量フラスコに入れ、水を添加して超音波で30分間処理した。完全に溶解した後、水を足してろ過した。その後、1mlを100mlの容量フラスコにピペットで取り、水を添加してサンプル溶液とした。
【0094】
実施例9の方法を用いて検出し、結果を表12にまとめた。
【0095】
【表12】

【0096】
実施例14:血しょう中の遊離カルニチンの検出
テスト用血しょうの前処理: 血しょう100μl(血液銀行より入手したもの)をピペットで取り、10%メタノールアセトニトリル400μlを添加して、振とうし、ボルテックスで5分間振動させて10000rpm(r.min−1)で10分間遠心し、上清をサンプル溶液として用いた。
【0097】
コントロール溶液: DL−カルニチン35mgを正確に秤量して、100mLの容量フラスコ内で溶媒を加えて溶解させた。その後、この溶液1mlを100mlの容量フラスコにピペットで取り、水を加えた。
【0098】
実施例9の方法を用いて検出し、結果を表13にまとめた。
【0099】
【表13】

【0100】
実施例15:肉中のカルニチン濃度の検出
肉サンプル調製: まず、新鮮な肉を粉砕し、粉砕済みサンプル2gを秤量して、10%メタノールアセトニトリル溶液25mlを添加した。5分間ホモジナイズして、超音波で30分間処理をし、10000rpmで10分間遠心した。上清を移しておき、残存物に10%メタノールアセトニトリル溶液25mlを添加した。超音波で30分間処理をし、10000rpmで10分間遠心して、上清を合わせてサンプル溶液とした。
【0101】
DL−カルニチン100mgを正確に秤量し、100mLの容量フラスコ内で溶媒を加えて溶解させた。その後、この溶液1mlを100mlの容量フラスコにピペットで取り、水を加えた。
【0102】
実施例9の方法を用いて検出し、結果を表14にまとめた。
【0103】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
L−カルニチンまたはD−カルニチンの分離、またはサンプル中のL−カルニチンまたはD−カルニチン含有量検出への、光学的に純粋な下記化学式(I)の誘導体化試薬の使用。
【化1】

式中、アスタリスクの付いた炭素原子は、キラル炭素原子であり;本発明の化合物は、純粋な光学活性を有するキラル化合物であり、D−またはL−化合物であり;Rは、C1〜C6の直鎖または分岐アルキル基、C6〜C10のアリール基、C2〜C6の直鎖または分岐アルケニル基またはアルキニル基、またはC3〜C6のシクロアルキル基を示し;Xは、ハロゲン原子を示す。
【請求項2】
前記化学式(I)の化合物において、前記Rは、メチル、エチル、イソプロピル、ブチルまたはベンジルを示し、前記XはClまたはBrである請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記化学式(I)の化合物は結晶性固体である請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記化学式(I)の化合物は、(+)α−メチル−6−メトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物、(−)α−メチル−6−メトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物、(+)α−メチル−6−エトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物および(−)α−メチル−6−エトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物から選択される請求項3に記載の使用。
【請求項5】
光学的に純粋な化学式(I)の化合物およびその結晶性固体を溶媒に溶解して、適当な濃度の溶液を作製し;
前記溶媒をエーテル、プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、酢酸エチル、またはいずれか2以上の上記溶媒の混合物から選択し;
該溶液の濃度は0.01〜100mg/mlである請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
前記溶媒はアセトニトリルであり;濃度は1〜10mg/mlである請求項5に記載の使用。
【請求項7】
サンプル中のL−カルニチンまたはD−カルニチン含有量の検出方法であって、
(1)適量のL−カルニチン(またはD−カルニチン)を含有するテストサンプル溶液およびDL−カルニチンを含有するコントロール溶液を調製し;
(2)適量の本発明の誘導体試薬と、L−カルニチン(またはD−カルニチン)を含有するテストサンプル溶液とを適量ずつ混合し、反応させてL−カルニチン(またはD−カルニチン)誘導体を提供させ;
(3)HPLCを行って、サンプル中のL−カルニチン(またはD−カルニチン)を検出・算出するステップを含む方法。
【請求項8】
(一)請求項1〜5のいずれかに記載のD型またはL型の光学的に純粋な化学式(I)の化合物を請求項6の溶媒に溶解して、暗状態で0.01〜100mg/ml溶液を作製する誘導体化試薬溶液の調製ステップ: 前記化学式(I)の化合物が好ましくは(+)α−メチル−6−メトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物であり、前記溶媒が好ましくはアセトニトリルであり;前記溶液の濃度は好ましくは1〜10mg/mlである;と
(二)L−カルニチンまたはD−カルニチンのテスト溶液およびDL−カルニチンのコントロール溶液を調製するステップ;と
(三)前記ステップ(一)の誘導試薬を、溶媒存在下、密閉容器内で、20℃〜95℃にてウォーターバスを用いて20〜180分間、前記ステップ(二)のテスト溶液およびコントロール溶液とそれぞれ混合・反応させるステップ;
(四)HPLCを行って、反応後のテスト溶液およびコントロール溶液を分離・検出し、前記テスト溶液中のL−カルニチン(またはD−カルニチン)含有量を外部標準法にて算出するステップをさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記サンプルには、L−カルニチンAPI、注射剤、経口液体、錠剤、痩身カプセル剤および飲料などの、L−カルニチンまたは/およびD−カルニチンを含有する、さまざまな医薬品または生物剤、健康管理用品、化粧品、体液およびさまざまな食品が含まれる請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプルには、ヒトを含むいずれかのほ乳類の組織または血しょうが含まれる請求項7または8に記載の方法。
【請求項11】
前記サンプルには、ブタ、ウシ、ヒツジ、トリ、エビ、魚、卵、野菜、果物などのさまざまな食用植物および動物性食品が含まれる請求項7または8に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプルには動物飼料が含まれる請求項7または8に記載の方法。
【請求項13】
前記サンプルには植物栄養素が含まれる請求項7または8に記載の方法。
【請求項14】
キラルアミノ酸含有量の検出への請求項1〜4のいずれかに記載の光学的に純粋な化学式(I)の化合物の使用。
【請求項15】
光学的に純粋な下記化学式(I)の化合物であって、
【化2】

式中、アスタリスクの付いた炭素原子は、キラル炭素原子であり;本発明の化合物は、純粋な光学活性を有するキラル化合物であり、D−またはL−化合物であり;Rは、C1〜C6の直鎖または分岐アルキル基、C6〜C10のアリール基、C2〜C6の直鎖または分岐アルケニル基またはアルキニル基、またはC3〜C6のシクロアルキル基を示し;Xは、ハロゲン原子を示す化合物。
【請求項16】
前記Rがメチル、エチル、イソプロピル、ブチルまたはベンジルを示し、前記XがClまたはBrを示す請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
前記化学式(I)の化合物は結晶性固体である請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
前記化学式(I)の化合物は、(+)α−メチル−6−メトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物、(−)α−メチル−6−メトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物、(+)α−メチル−6−エトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物および(−)α−メチル−6−エトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物から選択される請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
前記化学式(I)の化合物は、(+)α−メチル−6−メトキシ−2−ナフチルアセチル塩化物であり、その回折角(2θ)のX線データは、6.579(d=13.4231、I/I=54.4)、10979(d=8.0522、I/I=34.1)、13.218(d=6.6925、I/I=72.2)、13.499(d=6.5539、I/I=45.8)、18.222(d=4.8646、I/I=21.2)、18.780(d=4.7211、I/I=100.0)、19.901(d=4.4577、I/I=21.7)、21.619(d=4.1072、I/I=26.2)、22.100(d=4.0188、I/I=75.3)、27.139(d=3.2830、I/I=19.0)、47.681(d=1.9057、I/I=15.0である請求項18に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−505419(P2012−505419A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531329(P2011−531329)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【国際出願番号】PCT/CN2009/001127
【国際公開番号】WO2010/043112
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(511093292)チャンジョウ マリティプル ディメンジョン インスティテュート オブ インダストリー テクノロジー カンパニー,リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】CHANGZHOU MULTIPLE DIMENSION INSTITUTE OF INDUSTRY TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Jiaxin Huayuan A−1704,No.18 Hengshan Road,Xinbei Changzhou,Jiangsu 213022,CHINA