説明

LEDランプ

【課題】光源としてLEDを用いることで環境負荷の軽減を図るとともに、犯罪抑止力を効果的に発揮できるLEDランプを提供することを目的とする。
【解決手段】光源として複数のLED2・2・・・が設けられ、少なくとも2色以上の発色で発光可能なLEDランプ1であって、長手方向両端部に照明器具71のソケット差込孔72に嵌入される装着用端子30が設けられる支持基体3と、複数のLED2・2・・・が取り付けられ、支持基体3の長手方向両端部の間に配設される照明基板4と、LED2・2・・・の発光方向を覆うようにして支持基体3に取り付けられる透光部材5とを具備してなり、支持基体3の略垂直下方位置を白色に発光させる第一発光部20と、支持基体3の略垂直下方よりも外側位置を青色に発光させる第二発光部21とが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDランプの技術に関し、より詳細には、街路灯や防犯灯などに用いられ、少なくとも2色以上の発色で発光可能なLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
市街地の道路・交差点・駐車場・公園などには、街路灯や防犯灯などの屋外用照明器具が配置されている。従来、屋外用照明器具の光源用ランプとしては、白熱電球や水銀灯や蛍光灯などが用いられてきたが、近年では、白熱電球等に替わる光源としてLED(Light Emitting Diodo)ランプを用いた照明器具が提案されている。
【0003】
一例として、特許文献1には、光源に白色LEDを用いた照明器具であって、グローブの発光面部を凹凸状かつ湾曲状に形成することで、LEDより照射された光の照射領域を拡大させることを目的とした照明器具が開示されている(特許文献1参照)。
また、特許文献2には、広角用LED照射器、中角用LED照射器、及び狭角用LED照射器を備え、各照射器から歩道の幅方向に対して異なる領域に光を照射するようにした照明器具が開示されている(特許文献2参照)。
【0004】
このように光源にLEDを用いた照明器具は、消費電力を抑制でき、光源発熱量の低減による温暖化防止といった環境負荷の軽減化を達成することができることから、環境に配慮した事業活動を行う上で効果的であり、また、光源の耐久性や発色のバリエーションが多様であることからも注目されているところである。
【0005】
ところで、近年、安全・安心な街づくりのための環境設計が見直されており、中でも、屋外用照明器具に関して、地域内の屋外用照明器具(特に、防犯灯)を「青色」に組替えることで、当該地域での犯罪抑止(若しくは防止)を図ることを目的とした取り組みが注目されている。
「青色」に発光する防犯灯を地域内に配置することで、犯罪抑止が期待できる理由としては、(1)元来、青色には、人間の副交感神経に作用することによる鎮静効果と、普遍的嗜好性から心理的に冷静にさせる効果があること、(2)青色は、赤色やオレンジ色に比べて「プルキンエ効果」により夜間の視認性が向上するため、犯罪者等において「人目を避けたい」とする心理が働くこと等が考えられている。
そして、すでに、幾つかの地域においては、実証実験が試みられており、その結果興味深い結果も報告されてきている。
【0006】
しかしながら、従来の屋外用照明器具の構成では、単に照射光を「青色」に変更したとしても、灯具本体からの照射光が青色の単一色であれば、アスファルト等の歩道面が通常暗い色合いであることから、色調のコントラストが不均衡となって、反って、歩行者や走行車両にとって屋外用照明器具の略直下位置での円滑な交通が妨げられてしまうといった課題があった。また、LED独特の指向性により、照射される方向によっては色むらが生じ易く、遠方の歩行者や走行車両から青色の照射光を視認しにくいため、期待されるような犯罪抑止の効果が低減されてしまうといった課題があった。
【0007】
一方、近年では、光源にLEDを用いるという観点から、特許文献3〜5に開示されるように、既設の蛍光灯型の照明器具に取り付けて使用するLEDを光源とした照明装置(ランプ)が公知となっている。すなわち、これらの照明装置は光源として複数のLEDを有するランプであって、既設の蛍光灯型の照明器具に既存の蛍光灯(管)に代えて取り付けて使用することができるように構成されている。このように、既設の蛍光灯型の照明器具に取り付けることができるLEDランプが提供されることで、照明器具の消費電力を抑えることができるとともに、長寿命化によるメンテナンスコストも大幅に低減できるという効果が期待されている。
【特許文献1】特許第3498290号公報
【特許文献2】特開2004−116177号公報
【特許文献3】特開2001−351402号公報
【特許文献4】特開2004−303614号公報
【特許文献5】特許第3987103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明においては、LEDランプに関し、前記従来の課題を解決するもので、光源としてLEDを用いることで環境負荷の軽減を図るとともに、犯罪抑止力を効果的に発揮できるLEDランプを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
すなわち、請求項1においては、光源として複数のLEDが設けられ、少なくとも2色以上の発色で発光可能なLEDランプであって、長手方向両端部に照明器具に対する装着用端子が設けられる支持基体と、前記複数のLEDが取り付けられ、前記支持基体の長手方向両端部の間に配設される照明基板と、前記LEDの発光方向を覆うようにして前記支持基体に取り付けられる透光部材とを具備してなり、前記支持基体の略垂直下方位置を白色に発光させる第一発光部と、前記支持基体の略垂直下方よりも外側位置を青色に発光させる第二発光部とが形成されるものである。
【0011】
請求項2においては、前記第二発光部は、前記第一発光部に対して対向する一対の縁部に設けられるものである。
【0012】
請求項3においては、前記第二発光部は、光源として白色LEDが配設され、前記透光部材の所定の領域に、前記LEDからの照射光の内、青色の波長範囲の光のみを透過させるフィルタ層が設けられるものである。
【0013】
請求項4においては、前記第二発光部は、光源として青色LEDが配設されるものである。
【0014】
請求項5においては、前記第二発光部は、光源として白色LEDが配設されるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、光源としてLEDが用いられることで、消費電力を抑制でき、光源発熱量の低減による温暖化防止といった環境負荷の軽減化を達成することができる。また、本発明のLEDランプが照明器具に取り付けられた状態で、支持基体の略垂直下方が白色に発光されることで、照明器具の下方を通過する歩行者や走行車両の円滑な通行が妨げられることがないとともに、支持基体の略垂直下方よりも外側位置が青色に発光されることで、遠方からは照明器具を「青色」に視認することができ、犯罪抑止の効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明の第一実施例に係るLEDランプの全体的な構成を示した斜視図、図2はLEDランプの横断面図、図3はLEDランプの縦断面図、図4はLEDランプの上下断面図、図5は第一発光部及び第二発光部の構成を示した横断面図、図6は本実施例のLEDランプを適用した防犯灯の側面図、図7は照明器具の側面図、図8は照明器具から照射される照射光の水平面照度分布図、図9は第二実施例のLEDランプの上下断面図、図10は第三実施例のLEDランプの横断面図、図11は第四実施例のLEDランプの横断面図、図12は同じく第四実施例のLEDランプの上下断面図である。
なお、以下の実施例においては、図2おける上下方向をLEDランプ1の上下方向とし、同じく図2の左右方向をLEDランプ1の短手方向、図3の左右方向をLEDランプ1の長手方向とする。
【0017】
まず、第一実施例のLEDランプ1の構成について、以下に説明する。
図1乃至図4に示すように、本実施例のLEDランプ1は、少なくとも2色以上の発色で発光可能なLEDランプ1であって、光源としての複数のLED2・2・・・と、長板状の支持基体3と、LED2・2・・・が配設された照明基板4と、支持基体3に取り付けられる透光性の透光部材5等とで構成されており、支持基体3の略垂直下方位置を白色に発光させる第一発光部20と、支持基体3の略垂直下方よりも外側位置を青色に発光させる第二発光部21とが形成されている。
【0018】
本実施例のLEDランプ1は、全体として長手方向に延出された断面略円形の筒状部材として構成されている。具体的には、支持基体3が上方に配置され、支持基体3の下面3aにLED2・2・・・の発光面が下方に向けられるようにして取り付けられた照明基板4が配設されるとともに、支持基体3の下方空間であってLED2・2・・・の発光面を覆うようにして断面略円形状の透光部材5が取り付けられる。
【0019】
LED2・2・・・は、後述する照明基板4に基板表面から突出するようにして取り付けられ、同一平面上に所定のピッチとなるように、略等間隔に、千鳥格子状若しくは碁盤升目状等の行列に配設されている。本実施例では、LEDランプ1の長手方向に沿って所定個数(本実施例では30個)のLED2・2・・・が2列に配列されている(図4参照)。
【0020】
LED2は、白色LEDが用いられており、昼光色、昼白色、白色、温白色又は電球色などに相当する純白色から淡灰色までの色調を含む「白色系」の発光色のものが用いられる。具体的には、本実施例のLED2としては、JISZ9112「蛍光ランプの光源色及び演色性による区分」の4.2「色度範囲」に規定された昼光色、昼白色、白色、温白色又は電球色に相当する「白色系」の光が発光されるものが用いられる。
【0021】
特に、本実施例のLED2は、好ましくは1個当たりの消費電力が1W以上で、超高光度で発光特性に優れたLED(例えば、いわゆるハイパワーLEDなど)が用いられる。ただし、LED2としてハイパワーLEDが用いられる場合には、熱として放出されるエネルギーが大きく、かかる熱がLED2の近傍に蓄積すると光度低下及び寿命特性の劣化等を招くため、本実施例のLEDランプ1では、LED2から放出された熱を適切に処理するための構成が設けられている。
【0022】
また、LED2は、砲弾型や表面実装型のものを用いることができるが、好ましくは、表面実装型のものが用いられる。表面実装型のLED2は、自身の電極面積が大きく、照明基板4に接触する面積が大きくなるため、発生した熱を効率的に照明基板4に拡散させることができるからである。
【0023】
支持基体3は、平面視長板状に形成され、LED2・2・・・が取り付けられた照明基板4が配設される。本実施例の支持基体3には、照明器具71側に設けられたソケット差込孔72に嵌入される一対の装着用端子30・30が長手方向両端部に設けられている(図7参照)。支持基体3としては、例えば、プラスチックやアルミニウム等の素材より形成され、好ましくは、熱伝導率が高い金属(より好ましくは、熱伝導率が200W/(m・K)以上の金属)により形成される。また、支持基体3がアルミニウムで形成される場合には、さらにアルマイト処理がなされることが望ましい。アルミニウムで形成された支持基体3をアルマイト処理することによって、表面積が増加し放熱効果が高まるからである。
【0024】
装着用端子30は、導電性の金属部材より構成され、照明器具71に設けられたソケット差込孔72に嵌入されることで、照明器具71を通してLED2に電流・電圧が供給される。
【0025】
なお、本実施例のLEDランプ1は、既設の蛍光灯型の照明器具71にも取り付けることができるように構成されている(図6及び図7参照)。また、支持基体3の長手方向両端部には、装着用端子30の他に、LEDランプ1を点灯するための電源装置として、例えば、交流電力を一定の直流電力に変換する図示せぬスイッチング電源装置などが配設され、かかるスイッチング電源装置によって光源としてのLED2に電力調整された直流電力が供給される。
【0026】
照明基板4は、光源としてのLED2・2・・・が取り付けられ、支持基体3と透光部材5とにより形成される中空構造の内側に配置される。本実施例の照明基板4は、平面視長板状に形成された周知の配線基板であって、LED2・2・・・の接続端子と電気的に接続される取付孔(図略)が所定の配列で設けられている。照明基板4は、上述した長板状の支持基体3の下面3aに配設され、LED2の発光面が支持基体3の略垂直下方に向くようにして取り付けられる(図2等参照)。
【0027】
照明基板4としては、アルミニウム等の素材より形成され、好ましくは、熱伝導率が高い金属(より好ましくは、熱伝導率が200W/(m・K)以上の金属)により形成される。すなわち、本実施例の照明基板4は、支持基体3と同一材質により形成される。照明基板4が熱伝導性の良い材料で形成されることで、LED2・2・・・の近傍に熱が蓄積するのを防止することができる。特に、本実施例のように、支持基体3及び照明基板4を熱伝導性の良い同一の素材により形成することで、LED2・2・・・で発生した熱を、照明基板4を介して支持基体3から大気中に効率的に放熱することができる。
【0028】
照明基板4は、例えばプレス加工等により密着性を高めた状態で支持基体3に密着して当接される。支持基体3及び照明基板4が互いに当接されることで、支持基体3及び照明基板4の間に空気が入ることによって照明基板4から支持基体3への熱伝導が阻害されるのを防止することができ、効率的な熱処理を行うことができる。なお、プレス加工が行われる際には、支持基体3及び照明基板4との間に、例えば、接着剤や基材なしの両面テープなどが挟み込まれる。
【0029】
透光部材5は、断面略円形に形成された内部中空の筒部材であって、LED2・2・・・の発光方向を覆うようにして支持基体3に取り付けられる。すなわち、本実施例のLEDランプ1は、支持基体3の下方空間は透光部材5によって完全に覆われた状態で構成されている。透光部材5は、LED2・2・・・からの照射光を透光させる透光性を有する素材にて形成され、具体的には、透明ガラス、アクリル樹脂、又はポリカーボネート等により形成される。
【0030】
本実施例の透光部材5は、LED2より照射される照射光の波長範囲を変更することなく透過させる部材により構成されているが、後述するように、透光部材5の内壁面の所定の領域には、LED2・2・・・からの照射光の内、青色の波長範囲の光を透過させるフィルタ層としてのフィルタ部材50が貼付されている(図2等参照)。
【0031】
次に、本実施例のLEDランプ1に形成された各発光部20・21の構成について、以下に詳述する。
図1、図2、及び図5に示すように、本実施例のLEDランプ1には、支持基体3の略垂直下方位置を白色に発光させる第一発光部20と、支持基体3の略垂直下方よりも外側位置を青色に発光させる第二発光部21とが構成されており、各発光部20・21からLEDランプ1の径方向に向けて白色又は青色の照射光が照射されることで、LEDランプ1全体として白色及び青色の2色の発色で発光可能に構成されている。
【0032】
具体的には、本実施例のLEDランプ1では、透光部材5の長手方向の全域であって、かつ、内壁面の円周方向の所定の領域に、LED2・2・・・からの照射光の内、青色の波長範囲の光を透過させるフィルタ層としてのフィルタ部材50が貼付されており、フィルタ部材50が貼付される所定の領域(以下、かかる領域をフィルタ領域51という。)にLED2・2・・・からの照射光が透過されることで、第二発光部21として青色に発光される。一方、透光部材5の内壁面にフィルタ部材50が設けられない領域(以下、かかる領域を非フィルタ領域52という。)にLED2・2・・・からの照射光が透過されることで、第一発光部20として白色に発光される。
【0033】
フィルタ部材50は、青色の波長範囲の光のみを透過させる機能を有するフィルム状の素材により形成され、具体的には、青色の波長範囲である380〜550nm内であって、好ましくは400〜480nm内の波長範囲の光を透過させるものが用いられる。このような青色の波長範囲の光を透過させるフィルタ部材50が用いられることで、フィルタ部材50が貼付されたフィルタ領域51において、LED2から照射された白色の照射光が青色の照射光に変換される。
【0034】
なお、本実施例では、LED2が発光する光の波長がフィルタ部材50を透過する波長範囲の成分(青色の波長範囲)を含んでいなければならない。したがって、本実施例で用いられるLED2としては、少なくとも400〜700nmの波長成分を発光波長に有するものが用いられる。具体的には、LED2としては、昼光色、昼白色、白色、温白色又は電球色等に相当する発光色で発光されるものが用いられる。好ましくは、このようなLED2としては、青色発光タイプのチップ上に蛍光体を塗布することにより昼光色、昼白色、白色、温白色又は電球色等に相当する発光色を得るタイプのLEDが用いられる。
【0035】
フィルタ領域51は、透光部材5の長手方向の全域に渡って、かつ、円周方向の内、照明基板4の法線方向に沿って延出されるLED2の発光軸に対してなす角βが略60度となる延長線上に設けられる。特に、LED2からの照射範囲は、透光部材5の円周方向の内、上述したLED2の発光軸に対する略60度のなす角βの内側(発光軸側)の領域であるため、少なくとも上述した領域にフィルタ領域51が設けられることで、LED2からの照射光をフィルタ領域51に確実に透過させることができる。
【0036】
なお、フィルタ領域51としては、少なくとも、円周方向の内、上述したLED2の発光軸に対してなす角βが略60度となる延長線上に設けられればよく、実際には、かかる延長線上であって、かつ、かかる延長線に対して外側の領域及び内側領域に渡って設けられる。また、本実施例では、フィルタ領域51は、LEDランプ1の短手方向の両側に設けられる(図2参照)。
【0037】
一方、非フィルタ領域52は、透光部材5の長手方向の全域に渡って、かつ、円周方向の内、フィルタ領域51よりも内側(発光軸側)の領域に設けられる。非フィルタ領域52では、フィルタ部材50が貼付されないため、フィルタ領域51とは異なりLED2からの照射光が、波長範囲が変更されることなくそのまま透過される。本実施例では、上述したように、LED2は、昼光色、昼白色、白色、温白色又は電球色等に相当する400〜700nmの波長成分を発光波長に有するため、LED2から照射された白色の照射光は非フィルタ領域52をそのまま透過される。
【0038】
このように、本実施例のLEDランプ1は、LED2からの照射光が非フィルタ領域52をそのまま透過して支持基体3の略垂直下方位置に向けて照射されることで、非フィルタ領域52の領域が第一発光部20として白色に発光される。一方で、LED2からの照射光がフィルタ領域51にて青色の波長範囲の光のみが透過して支持基体3の略垂直下方よりも外側位置に向けて照射されることで、フィルタ領域51の領域が第二発光部21として青色に発光される。
【0039】
なお、本実施例の第二発光部21は、LEDランプ1の短手方向に対して第一発光部20の対向する一対の縁部に構成されており、換言すると、LEDランプ1の長手方向の中心部に第一発光部20が構成され、その短手方向の両側を囲むようにして第二発光部21が構成されている。
【0040】
次に、本実施例のLEDランプ1を適用した防犯灯7の構成について、以下に概説する。
図6乃至図8に示すように、本実施例の防犯灯7は、屋外用の照明装置である防犯灯として構成されており、具体的には、電柱等の支柱8に取り付けられ、支柱8への取り付け部材70と、LEDランプ1が取り付けられる照明器具71等とで構成されている。防犯灯7では、照明器具71の略垂直下方領域から支柱8の軸中心からの突出方向に向けて拡径方向領域が照射可能領域とされている。なお、地表面から照明器具71までの所定距離Dは、防犯灯7の設置場所や、光源の照度及び輝度等に応じて適宜設定され、本実施例では、照明器具71が地表面から約3m〜5m垂直上方に位置される。
【0041】
本実施例のLEDランプ1は、上述したように、照明器具71のソケット差込孔72に一対の装着用端子が嵌入されることで取り付けられる(図7参照)。
【0042】
図8は、LEDランプ1が取り付けられた照明器具71から照射される照射光の水平面照度分布図であって、照明器具71を地表面Gから約4.5m上方に位置させたときの照度分布図である。照明器具71を地表面Gから約4.5m上方に位置させた防犯灯7では、その水平面照度分布は、略垂直下方では7lxの照度が確保されており、半径方向外側に遠ざかるにつれて5lx、3lx、1lxと減衰している。特に、本実施例では、照度分布におけるLEDランプ1の短手方向外側方向の減衰が、LEDランプ1の長手方向外側方向の減衰に比べて顕著である。これは、LEDランプ1の第二発光部21から短手方向外側へ向けて青色の照射光が照射されることで、短手方向外側方向の照度が低減しているためである。
【0043】
そして、本実施例の防犯灯7では、LEDランプ1の第一発光部20からは、照明器具71の略垂直下方の領域(以下、かかる領域を略垂直下方領域という。)に向けて白色系の照射光が照射されるとともに、第二発光部21からは照明器具71の略垂直下方よりも外側、すなわち略垂直下方領域の外側の領域(以下、かかる領域を下方外側領域という。)に向けて青色系の照射光が照射される(図6参照)。
【0044】
つまり、本実施例では、照明器具71の近傍位置においては、略垂直下方領域ではLEDランプ1の第一発光部20から照射された白色系の照射光により白色系の光分布となり、下方外側領域ではLEDランプ1の第二発光部21から照射された青色系の照射光により青色系の光分布となる。このような状態では、防犯灯7を遠方から目視すると、照明器具71及びその下方近傍位置が青色に発光しているように視認される。
【0045】
一方、地表面Gの近傍位置では、略垂直下方領域T1が照明器具71の近傍位置と比べてその領域が外周方向に広がっており、主に白色系単一の光分布となる。このような状態では、例えば、歩行者や走行車両が防犯灯7に徐々に近接して照明器具71の略垂直下方(略垂直下方領域)を通過する際には、略垂直下方の地表面G及びその周辺が白色系の照射光により白色に発光され、主に歩行者や走行車両用に歩車道の地表面Gが照らされる。
【0046】
以上のように、本実施例のLEDランプ1は、光源として複数のLED2・2・・・が設けられ、少なくとも2色以上の発色で発光可能なLEDランプ1であって、長手方向両端部に照明器具71のソケット差込孔72に嵌入される装着用端子30が設けられる支持基体3と、複数のLED2・2・・・が取り付けられ、支持基体3の長手方向両端部の間に配設される照明基板4と、LED2・2・・・の発光方向を覆うようにして支持基体3に取り付けられる透光部材5とを具備してなり、支持基体3の略垂直下方位置を白色に発光させる第一発光部20と、支持基体3の略垂直下方よりも外側位置を青色に発光させる第二発光部21とが形成されるものである。
【0047】
そのため、本実施例のLEDランプ1は、光源としてLED2が用いられるため、消費電力を抑制でき、光源発熱量の低減による温暖化防止といった環境負荷の軽減化を達成することができる。具体的には、光源からの発熱量の低減による地球温暖化防止対策(例えば、ヒートアイランド問題の解決)や、消費電力の低減による省電力事業対策や、その波及効果としての二酸化炭素削減事業対策などに寄与することができる。
【0048】
特に、本実施例のLEDランプ1は、従来の蛍光ランプ等と比較して、その消費電力を10%〜15%に抑えることができるとともに、長寿命化によるメンテナンスコストも大幅に低減できる。したがって、本実施例のLEDランプ1を従来の蛍光ランプ等に替えて設置した場合には、数年後には組替え費用を消費電力コストの低減で賄うこともできるのである。特に、本実施例のLEDランプ1は水銀を使用しないので、水銀が含まれる蛍光ランプ等と比較して環境負荷が小さい。
【0049】
また、本実施例のLEDランプ1は、支持基体3の略垂直下方よりも外側位置を青色に発光させる第二発光部21が形成されるため、LEDランプ1を照明器具に取り付けた場合に、照明器具及びその近傍位置が青色に発光される。そのため、遠方からは青色系の照射光により照明器具及びその近傍位置が「青色」に発光しているように視認することができ、「青色」の防犯灯として犯罪抑止の効果が期待できる。
一方で、本実施例のLEDランプ1は、支持基体3の略垂直下方位置を白色に発光させる第一発光部20が形成されるため、同じくLEDランプ1を照明器具に取り付けた場合に、地表面Gの近傍位置が白色系に照らされているため、照明器具の下方の照度が落ちることなく、歩行者や走行車両の円滑な通行が妨げられることがない。特に、略垂直下方に位置する対象物を白色系の自然色で照らし出すことができるため、監視用及び会話用の録音録画可能な通信カメラによって鮮明な画像を録画することができる。
このように、当該地域に本実施例のLEDランプ1を採用した「青色」の照明器具を複数箇所に配置することで、犯罪抑止効果を発揮して、安全・安心な街づくりのための環境設計に寄与することができるのである。
【0050】
また、本実施例のLEDランプ1では、第二発光部21は、光源として白色LEDが配設され、透光部材5の所定の領域に、LED2からの照射光の内、青色の波長範囲の光のみを透過させるフィルタ部材50が貼付されるため、フィルタ部材50を任意の箇所に貼付するだけで所定の領域を容易に青色に発光させることができる。
【0051】
特に、本実施例の第二発光部21は、LEDランプ1の短手方向に対して第一発光部20の対向する一対の縁部に構成されており、換言すると、LEDランプ1の長手方向の中心部に第一発光部20が構成され、その短手方向の両側を囲むようにして第二発光部21が構成されている。このように構成されることで、指向性(直進性)の高いLED2によって2色の照射光を効率よく分離させることができ、特に、第二発光部21から青色系の照射光を全方向に照射させることができるため第二発光部21における「青色」の視認性を向上できる。
【0052】
本実施例の屋外照明装置の構成としては、上述したLEDランプ1の構成に限定されない。
なお、以下に図示して説明する別実施例では、上述した実施例と略同一である箇所についての詳細な説明は省略し、主に、構造上相違する箇所についてのみ詳細に説明する。
【0053】
すなわち、上述した実施例(図2及び図4参照)では、第二発光部21は、光源として白色LEDが配設され、透光部材5の所定の領域に、LED2からの照射光の内、青色の波長範囲の光のみを透過させるフィルタ層(フィルタ部材50)が設けられるが、第二発光部21として用いられるLEDの種類や配置構成、及び第一発光部20に対する第二発光部21の配置構成等はこれに限定されない。
【0054】
例えば、図9に示す第二実施例のように、第一発光部120に白色のLED102aを設けるとともに、第二発光部121に青色のLED102bが設けられてもよい。なお、かかる実施例では、第一発光部120に対してLEDランプ1の長手方向の両側を挟むようにして第二発光部121が構成されるとともに、透光部材105にはLED2からの照射光の内、青色の波長範囲の光のみを透過させるフィルタ層が設けられない。つまり、かかる実施例のLEDランプ101は、第一発光部120では白色のLED102aによって支持基体103の略垂直下方位置が白色に発光されるとともに、第二発光部121では青色のLED102bによって支持基体103の略垂直下方よりもLEDランプ1の長手方向外側位置が青色に発光されることになる。
【0055】
また、上述した実施例(図2及び図5等参照)では、所定の波長範囲の光を透光させるフィルタ層としてフィルム状のフィルタ部材50が透光部材5の壁面に貼付されることによりフィルタ領域51が構成されるが、フィルタ領域51の構成としてはこれに限定されず、例えば、透光部材5において、所定の領域に所定の波長範囲の光を透光させる塗料が材料に混入されることで、フィルタ層が透光部材5に一体的に形成されてもよい。
【0056】
具体的には、図10に示す第三実施例のように、透光部材205においては、所定の領域にLED202からの照射光の内青色の波長範囲の光のみを透過させるフィルタ層250が一体的に形成されている。すなわち、かかる実施例のLEDランプ201では、透光部材205において、長手方向の全域に渡って、かつ、円周方向の内、照明基板204の法線方向に沿って延出されるLED202の発光軸に対してなす角βが略60度となる延長線上にフィルタ層250が透光部材205と一体的に形成され、その他の領域はLED2より照射される照射光の波長範囲を変更することなく透過させる層として構成される。
【0057】
また、上述した実施例(図2、図4等参照)では、LED2は、支持基体3の長手方向に沿って照明基板4に二列に取り付けられているが、LED2の配列はこれに限定されない。例えば、図11及び図12に示す第四実施例のように、LED2が支持基体3の長手方向に沿って照明基板4に一列に取り付けられてもよい。
【0058】
また、上述した実施例(図2等参照)では、支持基体3は、平面視長板状の単一部材より構成されるが、支持基体3としては複数の部材より構成されてもよい。すなわち、光源にLED2を用いたLEDランプ1としては、LED2からの発熱を如何にして効率よく放熱するかが課題であるところ、支持基体3を複数の部材より構成してより効果的な放熱構造が設けられてもよい。
【0059】
また、上述した実施例(図4等参照)では、照明基板4は、平面視長板状の単一部材より構成されるが、照明基板4としては複数の部材により構成されてもよい。照明基板4を複数の部材により構成することで、例えば、支持基体3と照明基板4との線膨張係数が異なる場合において、LEDランプ1の全体温度が上昇した際に支持基体3と照明基板4の密着性が悪化することを防止することができる。
【0060】
また、上述した実施例(図1及び図2等参照)では、LEDランプ1の形状が、断面略円形の透光部材5が用いられることで全体として断面略円形となるように構成されているが、LEDランプ1の形状としてはこれに限定されない。例えば、LEDランプ1の形状として、支持基体3と透光部材5とがそれぞれ略ハーフパイプ状に形成されて、支持基体3と透光部材5とが一体的に組み合わされて、断面略円形に形成されてもよい。また、LEDランプ1の支持基体3が断面略コ字型の筐体形状に形成され、透光部材5が支持基体3の開口部を覆うようにして一体的に組み合わされて、断面が略矩形状に形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第一実施例に係るLEDランプの全体的な構成を示した斜視図。
【図2】LEDランプの横断面図。
【図3】LEDランプの縦断面図。
【図4】LEDランプの上下断面図。
【図5】第一発光部及び第二発光部の構成を示した横断面図。
【図6】本実施例のLEDランプを適用した防犯灯の側面図。
【図7】照明器具の側面図。
【図8】照明器具から照射される照射光の水平面照度分布図。
【図9】第二実施例のLEDランプの上下断面図。
【図10】第三実施例のLEDランプの横断面図。
【図11】第四実施例のLEDランプの横断面図。
【図12】同じく第四実施例のLEDランプの上下断面図。
【符号の説明】
【0062】
1 LEDランプ
2 LED
3 支持基体
4 照明基板
5 透光部材
20 第一発光部
21 第二発光部
30 装着用端子
71 照明器具
72 ソケット差込孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源として複数のLEDが設けられ、少なくとも2色以上の発色で発光可能なLEDランプであって、
長手方向両端部に照明器具に対する装着用端子が設けられる支持基体と、
前記複数のLEDが取り付けられ、前記支持基体の長手方向両端部の間に配設される照明基板と、
前記LEDの発光方向を覆うようにして前記支持基体に取り付けられる透光部材とを具備してなり、
前記支持基体の略垂直下方位置を白色に発光させる第一発光部と、
前記支持基体の略垂直下方よりも外側位置を青色に発光させる第二発光部とが形成されることを特徴とするLEDランプ。
【請求項2】
前記第二発光部は、前記第一発光部に対して対向する一対の縁部に設けられることを特徴とする請求項1に記載のLEDランプ。
【請求項3】
前記第二発光部は、光源として白色LEDが配設され、前記透光部材の所定の領域に、前記LEDからの照射光の内、青色の波長範囲の光のみを透過させるフィルタ層が設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のLEDランプ。
【請求項4】
前記第二発光部は、光源として青色LEDが配設されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のLEDランプ。
【請求項5】
前記第二発光部は、光源として白色LEDが配設されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のLEDランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−151967(P2009−151967A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326781(P2007−326781)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【特許番号】特許第4277047号(P4277047)
【特許公報発行日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000167820)広島化成株式会社 (65)
【Fターム(参考)】