説明

LED点灯装置およびLED照明装置

【課題】−20℃以下の低温環境下において、部品の変更や追加をすることなく、LED素子を確実に点灯させることができるLED点灯装置を提供する。
【解決手段】LED点灯装置10は、交流電源EとLED素子11との間に設けられる点灯回路16、および点灯回路16を制御する制御回路17を備える。点灯回路16は、−20℃以下で定格値より低容量化または高インピーダンス化する電解コンデンサC3を有する。制御回路17は、−20℃以下の環境下においては初期点灯動作としてフェードイン点灯を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、LED素子を点灯させるLED点灯装置、およびこのLED点灯装置を用いたLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、低温環境下で使用する照明装置の点灯装置においては、低温環境下において発生する不具合を改善するために、電子部品などの部品を低温環境に適応したものに代えたり特別な部品を追加するようにしている。
【0003】
例えば、LED素子を点灯させるLED点灯装置においては、点灯回路に電解コンデンサを用いるが、−20℃以下の低温環境下で消灯(非通電)状態に放置された場合に、電解コンデンサが−20℃以下となることで定格値より低容量化または高インピーダンス化する特性を有している。
【0004】
このように電解コンデンサが定格値より低容量化または高インピーダンス化した状態において、LED点灯装置が定格出力で点灯動作した場合、電解コンデンサによる平滑が十分に行われないため、それに起因した不安定動作が発生し、その発生を検知した保護回路により点灯動作を停止させ、LED素子が点灯しない不具合が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−251359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、低温環境に適応した部品への変更や部品の追加なしには、低温環境下において発生する不具合を改善することができない問題がある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、−20℃以下の低温環境下において、部品の変更や追加をすることなく、LED素子を確実に点灯させることができるLED点灯装置、およびこのLED点灯装置を用いたLED照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のLED点灯装置は、外部電源とLED素子との間に設けられる点灯回路、および点灯回路を制御する制御回路を備える。点灯回路は、−20℃以下で定格値より低容量化または高インピーダンス化する電解コンデンサを有する。制御回路は、−20℃以下の環境下においては初期点灯動作を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、−20℃以下の低温環境下において、電解コンデンサが定格値より低容量化または高インピーダンス化していても、初期点灯動作を行うことにより、部品の変更や追加をすることなく、LED素子を確実に点灯させることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態を示すLED点灯装置の回路図である。
【図2】同上LED点灯装置を用いたLED照明装置の斜視図である。
【図3】同上LED点灯装置に用いる電解コンデンサの温度に対する容量およびインピーダンスの変化を示すグラフである。
【図4】同上電解コンデンサが低容量化または高インピーダンス化したときに電解コンデンサから出力される電源電圧の波形図である。
【図5】同上電解コンデンサの容量と調光出力比との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1において、LED点灯装置10は、外部電源としての交流電源Eに接続され、複数のLED素子11を有するLEDモジュール12に電力を供給し、複数のLED素子11を点灯させるように構成されている。さらに、LED点灯装置10は、設置環境などによって異なる100V〜242Vの範囲の交流電源Eに対応する電圧フリータイプに構成されている。
【0013】
そして、LED点灯装置10は、交流電源Eに接続される入力部14と複数のLED素子11が接続される出力部15との間に設けられる点灯回路16、およびこの点灯回路16を制御する制御回路17を備えている。
【0014】
点灯回路16は、入力部14にヒューズF1を介して順次接続されるサージ吸収回路21およびフィルタ回路22、このフィルタ回路22の出力側に接続される整流回路23、この整流回路23の出力側に接続されるAC−DCコンバータ24、およびAC−DCコンバータ24の出力側に接続されるDC−DCコンバータ25を備えている。
【0015】
サージ吸収回路21は、ヒューズF1を介して入力部14に並列に接続されるバリスタV1を有している。
【0016】
また、フィルタ回路22は、バリスタV1に並列に接続されるコンデンサC1、インダクタL1およびコンデンサC2を有し、電源電圧に重畳する雑音を低減する。
【0017】
また、整流回路23は、全波整流器RECが用いられ、この全波整流器RECの入力端がフィルタ回路22の出力端に接続され、全波整流器RECの出力端にAC−DCコンバータ24の入力端が並列に接続されている。
【0018】
また、AC−DCコンバータ24は、昇圧チョッパ回路で構成されており、スイッチング素子としての電界効果トランジスタQ1のオンオフ動作により、整流回路23の出力電圧をチョッピングして所定の直流電圧を出力するもので、例えばDC420Vを出力するものである。
【0019】
すなわち、AC−DCコンバータ24は、全波整流器RECの出力端間に接続されたインダクタL2、電界効果トランジスタQ1および抵抗R1の直列回路と、電界効果トランジスタQ1および抵抗R1に並列に接続された逆流防止用のダイオードD1および平滑用の電解コンデンサC3の直列回路とを有している。そして、制御回路17の制御により電界効果トランジスタQ1が所定のスイッチング周波数およびオンデューティでオンオフ動作することにより、電解コンデンサC3の両端間に所定の直流電圧が発生する。こうして、AC−DCコンバータ24は、100V〜242Vの交流電圧を例えば420Vの直流電圧に昇圧変換してDC−DCコンバータ25に出力するように構成されている。
【0020】
電解コンデンサC3は、容器内に、セパレータを介して巻回された陽極箔と陰極箔とが収容されているとともに、電解液が封入されて構成されている。
【0021】
また、DC−DCコンバータ25は、降圧チョッパ回路で構成されており、AC−DCコンバータ24の電解コンデンサC3の両端間に接続されたスイッチング素子としての電界効果トランジスタQ2およびダイオードD2の直列回路を有している。ダイオードD2のカソードと一方の出力部15との間にインダクタL3が接続され、ダイオードD2のアノードと他方の出力部15との間に抵抗R2が接続されている。そして、制御回路17の制御により電界効果トランジスタQ2が所定のスイッチング周波数およびオンデューティでオンオフ動作することにより、出力部15の両端間にLED素子11を点灯させる所定の直流電圧が発生する。
【0022】
また、制御回路17は、DC−DCコンバータ25の出力電流を検出する検出部30、AC−DCコンバータ24の電界効果トランジスタQ1を制御するAC−DC制御部31、およびDC−DCコンバータ25の電界効果トランジスタQ2を制御するDC−DC制御部32を備え、例えば、これらが一体に構成されているICによって構成されている。
【0023】
検出部30は、DC−DCコンバータ25の出力側に接続されており、DC−DCコンバータ25の出力電流を検出する出力電流検出回路、および出力電圧を検出する出力電圧検出回路を備え、これら検出信号をDC−DC制御部32に出力する。さらに、検出された出力電流や出力電圧に基づいて異常判定する保護回路を備え、異常判定時には異常検出信号をAC−DCコンバータ24およびDC−DCコンバータ25に出力する。
【0024】
AC−DC制御部31は、電界効果トランジスタQ1をオンオフ動作により点灯動作するもので、点灯動作により電界効果トランジスタQ1のスイッチング周波数およびオンデューティを制御し、検出部30の保護回路からの異常検出信号の入力による保護回路動作により電界効果トランジスタQ1の発振を停止させる機能を有している。
【0025】
DC−DC制御部32は、電界効果トランジスタQ2をPWM制御により点灯動作するもので、電界効果トランジスタQ2のスイッチング周波数およびオンデューティを制御する。また、検出部30の保護回路からの異常検出信号の入力による保護回路動作により、電界効果トランジスタQ2の発振を停止させる機能を有している。
【0026】
そして、制御回路17は、点灯回路16を制御するとともに、−20℃以下の環境下においては初期点灯動作を行う機能を有している。この初期点灯動作としては、例えば、フェードイン点灯、保護回路動作のリセットと点灯動作との所定回数の繰り返し、保護回路動作の無効化と通電開始から所定時間経過後の保護回路動作の有効化などがある。
【0027】
次に、図2には、LED点灯装置10を用いたLED照明装置40を示す。このLED照明装置40は、低温用照明装置であり、器具本体41、この器具本体41に取り付けられるLED点灯装置10およびLEDモジュール12、LEDモジュール12を覆って器具本体41に取り付けられる透光性カバー42を備えている。そして、LED照明装置40は、冷凍倉庫などの例えば−35℃〜−40℃の低温環境に設置されて使用される。
【0028】
次に、LED点灯装置10の動作を説明する。
【0029】
交流電源Eが投入されると、ヒューズF1、サージ吸収回路21およびフィルタ回路22を通じて整流回路23で整流された電源電圧をAC−DCコンバータ24に出力する。
【0030】
AC−DCコンバータ24は、AC−DC制御部32の制御による電界効果トランジスタQ1のオンオフ動作により、整流回路23の出力電圧をチョッピングして例えば420Vの直流電圧に昇圧し、DC−DCコンバータ25に出力する。
【0031】
DC−DCコンバータ25は、DC−DC制御部32の制御による電界効果トランジスタQ2のオンオフ動作により、AC−DCコンバータ24の出力電圧をチョッピングしてLED素子11を点灯させるための直流電圧に降圧し、LED素子11に出力する。これにより、LED素子11が点灯する。
【0032】
また、LED点灯装置10に用いられている電解コンデンサC3は、広く一般に用いられている汎用部品であり、図3に示すように、−20℃以下の低温環境下においては、電解液の凍結に伴って、定格値より低容量化、高インピーダンス化する特性を有している。なお、電解コンデンサC3は、−20℃以下の低温環境下にあっても、通電によって温度上昇し、容量およびインピーダンスが定格値に回復する。
【0033】
図4の波形aに示すように、電解コンデンサC3が容量およびインピーダンスが定格値にある場合には、AC−DCコンバータ24の出力は電解コンデンサC3によって例えば420Vに平滑された直流電圧となる。
【0034】
しかしながら、LED点灯装置10が−20℃以下の低温環境下で消灯(非通電)状態に放置され、電解コンデンサC3が−20℃以下の温度となって定格値より低容量化または高インピーダンス化した状態で、交流電源Eが投入され、LED点灯装置10が定格出力で点灯動作した場合、AC−DCコンバータ24の出力は電解コンデンサC3によって正常に平滑されない不具合が発生する。すなわち、図4の波形bに示すように、AC−DCコンバータ24の出力は電解コンデンサC3によって正常に平滑されずに電源電圧が大きく下がるリプルの生じた波形となる。
【0035】
DC−DCコンバータ25ではAC−DCコンバータ24から入力される電源電圧が下がったときには上げるように制御するが、DC−DCコンバータ25で上げるように制御するときにAC−DCコンバータ24から入力される電源電圧が上がるタイミングとなった場合、オーバーシュートが生じ、DC−DCコンバータ25から過電流が出力される。
【0036】
検出部30で過電流を検出すると、保護回路からの異常検出信号がAC−DC制御部31およびDC−DC制御部32に出力され、これら制御部31,32での保護回路動作により点灯回路16を強制的に停止させる。
【0037】
したがって、電解コンデンサC3が−20℃以下となって定格値より低容量化または高インピーダンス化した状態において、交流電源Eを投入しても、保護回路動作によりLED素子11が点灯しない不具合が発生する。
【0038】
そこで、本実施形態の制御回路17は、通電開始時に初期点灯動作を行い、LED素子11を確実に点灯させることができる。
【0039】
この初期点灯動作としては、フェードイン点灯がある。このフェードイン点灯では、通電開始時に、DC−DC制御部32が、電界効果トランジスタQ2のPWM制御のオンデューティを例えば0%から連続的または段階的に上昇させていく調光スタート制御を行う。
【0040】
これにより、DC−DCコンバータ25の出力が定格出力よりも低い低出力からのスタートとなって、AC−DCコンバータ24の電解コンデンサC3からの電力の吐出し量が少なくなるため、AC−DCコンバータ24からの出力が図4の波形bのように電源電圧が大きく下がることがなく、平滑された直流電圧となる。
【0041】
すなわち、低容量化している電解コンデンサC3でAC−DCコンバータ24の出力を平滑可能となるように、DC−DCコンバータ25の出力を調光スタート制御する。
【0042】
これにより、保護回路が働かず、LED素子11がフェードイン点灯する。
【0043】
電解コンデンサC3は、通電によって温度上昇し、容量およびインピーダンスが定格値に回復していくため、調光スタートによってDC−DCコンバータ25の出力が定格出力になったときには、LED素子11が安定した所定の明るさで点灯する。
【0044】
図5には、電解コンデンサC3の容量と点灯可能な調光出力比との関係について測定を行った結果を示す。電解コンデンサC3の容量が30%以下に低下した状態においても、30%以下の調光出力比であれば、保護回路が働かずに点灯することが確認できた。そのため、フェードイン点灯においては、DC−DC制御部32が調光スタート制御を行うスタート時の調光出力比は、0%からでなく、30%からでもよい。
【0045】
したがって、−20℃以下の低温環境下において、電解コンデンサC3が定格値より低容量化または高インピーダンス化していても、初期点灯動作であるフェードイン点灯を行うことにより、LED素子11を確実に点灯させることができる。しかも、点灯回路16の部品の変更や他の部品の追加をすることなく、制御回路17の制御プログラムの変更のみで容易に対応することができる。
【0046】
なお、AC−DCコンバータ24からの出力である平滑電圧の電圧値あるいは高周波リプル成分を検出し、ある一定値以下になる場合には、フェードイン点灯を行うようにしてもよい。これにより、−20℃以下の低温環境下において、電解コンデンサC3が定格値より低容量化または高インピーダンス化している場合には、フェードイン点灯を行って確実に点灯させることができ、また、消灯直後に再点灯させるときなど、電解コンデンサC3が定格値より低容量化または高インピーダンス化していない場合には、フェードイン点灯せずに、定格出力で直ちに点灯させることができる。さらに、AC−DCコンバータ24からの出力である平滑電圧の電圧値あるいは高周波リプル成分がある一定値以下で所定時間以上継続する場合には、電解コンデンサC3の低温化による不具合ではなく、別の要因による不具合であると判断して点灯回路16を停止させるようにしてもよい。なお、AC−DCコンバータ24からの出力である平滑電圧の電圧値あるいは高周波リプル成分の検出は、制御回路17による制御に用いている検出部30を利用できるため、点灯回路16の部品の変更や他の部品の追加をすることなく、制御回路17の制御プログラムの変更のみで容易に対応することができる。
【0047】
また、初期点灯動作としては、保護回路動作のリセットと点灯動作との所定回数の繰り返しでもよい。この場合には、上述したように、通電開始時に、LED点灯装置10が定格出力で点灯動作することにより、AC−DCコンバータ24の出力が電解コンデンサC3によって正常に平滑されず、保護回路が働き、保護回路動作により点灯回路16を停止するが、制御回路17では保護回路動作が働いた後に保護回路動作をリセットし、点灯動作を再開する。点灯動作を再開しても、再び保護回路が働けば保護回路動作を行う。
【0048】
このように、制御回路17の制御により保護回路動作のリセットと点灯動作とを繰り返し、その間に電解コンデンサC3に通電がなされることで、電解コンデンサC3の温度が上昇し、容量およびインピーダンスが定格値に回復していくため、AC−DCコンバータ24からの出力が平滑された直流電圧となる。そのため、保護回路動作のリセットと点灯動作とを複数回繰り返した後には、保護回路で異常を検出しなくなり、点灯動作を継続し、LED素子11が安定した所定の明るさで点灯する。
【0049】
したがって、−20℃以下の低温環境下において、電解コンデンサC3が定格値より低容量化または高インピーダンス化していても、初期点灯動作によって保護回路動作のリセットと点灯動作とを繰り返すことにより、LED素子11を確実に点灯させることができる。しかも、点灯回路16の部品の変更や他の部品の追加をすることなく、制御回路17の制御プログラムの変更のみで容易に対応することができる。
【0050】
なお、保護回路動作のリセットと点灯動作とを予め設定された所定の上限回数まで繰り返しても保護回路が働く場合には、電解コンデンサC3の低温化による不具合ではなく、別の要因による不具合であると判断して保護回路動作によるリセットを中止し、保護回路動作による点灯回路16の停止状態を保持する。
【0051】
また、初期点灯動作としては、保護回路動作の無効化と通電開始から所定時間経過後の保護回路動作の有効化でもよい。この場合には、通電開始時に、LED点灯装置10が定格出力で点灯動作することにより、AC−DCコンバータ24の出力が電解コンデンサC3によって正常に平滑されず、保護回路が働くが、制御回路17では保護回路動作を無効化する。あるいは、制御回路17の保護回路も無効化することで保護回路動作を無効化する。
【0052】
通電開始時に、保護動作回路を無効化することで、点灯回路16が停止せず、電解コンデンサC3への通電が継続されることで、電解コンデンサC3の温度が上昇し、容量およびインピーダンスが定格値に回復していくため、AC−DCコンバータ24からの出力が平滑された直流電圧となる。そのため、LED素子11が安定した所定の明るさで点灯する。
【0053】
そして、電解コンデンサC3の容量およびインピーダンスが定格値に回復するのに十分な予め設定された所定時間経過した後、保護回路動作を有効とし、点灯後の異常検出に備える。
【0054】
したがって、−20℃以下の低温環境下において、電解コンデンサC3が定格値より低容量化または高インピーダンス化していても、初期点灯動作によって保護回路動作の無効化と通電開始から所定時間経過後の保護回路動作の有効化をすることにより、LED素子11を確実に点灯させることができる。しかも、点灯回路16の部品の変更や他の部品の追加をすることなく、制御回路17の制御プログラムの変更のみで容易に対応することができる。
【0055】
なお、保護回路が異常を判定する閾値として、初期点灯時の異常を判定する閾値と、この閾値よりも高い閾値とを含む複数の閾値を設定し、初期点灯時には、初期点灯時の異常を判定する閾値以下の閾値による判定を無効化し、初期点灯時の異常を判定する閾値より大きい閾値による判定は有効化したままとしてもよい。この場合、初期点灯時でも、電解コンデンサC3の低温化による不具合ではなく、別の要因による異常を検出して点灯回路16を停止できる。
【0056】
また、AC−DCコンバータ24からの出力である平滑電圧の電圧値あるいは高周波リプル成分を検出し、ある一定値以下になる場合には、保護回路動作を無効化してもよい。これにより、−20℃以下の低温環境下において、電解コンデンサC3が定格値より低容量化または高インピーダンス化している場合には、保護回路動作を無効化して確実に点灯させることができ、また、消灯直後に再点灯させるときなど、電解コンデンサC3が定格値より低容量化または高インピーダンス化していない場合には、保護回路動作を無効化せずに点灯させることができる。さらに、AC−DCコンバータ24からの出力である平滑電圧の電圧値あるいは高周波リプル成分がある一定値を越えれば、通電開始からの時間経過にかかわらず、保護回路動作を有効化してもよい。また、AC−DCコンバータ24からの出力である平滑電圧の電圧値あるいは高周波リプル成分がある一定値以下で所定時間以上継続する場合には、電解コンデンサC3の低温化による不具合ではなく、別の要因による不具合であると判断して点灯回路16を停止させるようにしてもよい。
【0057】
なお、電解コンデンサC3と並列に、低温化による容量への影響が生じないフィルムコンデンサを接続し、このフィルムコンデンサで、低温化によって低容量化する電解コンデンサC3の容量の一部を補い、AC−DCコンバータ24からの出力電圧を平滑するようにしてもよい。
【0058】
また、電解コンデンサC3と並列に、インピーダンスとなる負荷を一時的に接続し、電解コンデンサC3に電流を流して温度を上昇させるようにしてもよい。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
10 LED点灯装置
11 LED素子
16 点灯回路
17 制御回路
40 LED照明装置
C3 電解コンデンサ
E 外部電源としての交流電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−20℃以下で定格値より低容量化または高インピーダンス化する電解コンデンサを有し、外部電源とLED素子との間に設けられる点灯回路と;
点灯回路を制御するとともに、−20℃以下の環境下においては初期点灯動作を行う制御回路と;
を具備していることを特徴とするLED点灯装置。
【請求項2】
制御回路の初期点灯動作は、フェードイン点灯である
ことを特徴とする請求項1記載のLED点灯装置。
【請求項3】
制御回路の初期点灯動作は、保護回路動作のリセットと点灯動作との所定回数の繰り返しである
ことを特徴とする請求項1または2記載のLED点灯装置。
【請求項4】
制御回路の初期点灯動作は、保護回路動作の無効化と、通電開始から所定時間経過後の保護回路動作の有効化である
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載のLED点灯装置。
【請求項5】
LED素子と;
請求項1ないし4いずれか一記載のLED点灯装置と;
を具備していることを特徴とするLED照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−65528(P2013−65528A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204853(P2011−204853)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】