説明

LED照明具及びLED照明装置

【課題】 取付け工事、交換作業、改修作業等が容易で、放熱性に優れたものとする。
【解決手段】 ソケットユニットと、それに着脱自在に取り付け可能な照明ユニットを備え、ソケットユニットはソケットケースと、照明ユニットを嵌合できる嵌合空間と、照明ユニットの電極端子を嵌合可能な電極孔と、電極端子が電気的に接続される電源電極と、電源電極に接続された電源コードを備え、照明ユニットはソケットユニットの嵌合空間に嵌合可能な嵌合部を備えた照明ケースと、電源回路基板と、LED実装基板と、LEDからの発熱を放熱する放熱具を備え、電源回路基板にはソケットケースの電極孔に差し込んで電極孔に係止できる電極端子が設けられ、ソケットユニットの嵌合空間に嵌合し、電極孔に電極端子を差し込んで回転させてソケットユニットに装着できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、光源にLEDを用いた照明具と照明装置に関し、特に、収納ボックスや戸棚といった収容室内の天井板、棚板、側板等の板材に取付けて使用するのに適した照明具と、それを前記板材に取付けた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
収容室の天板、戸棚の下板(底板)等の板材に下向きに取付けられる照明装置(ダウンライト)として、LEDを光源とするものが知られている(特許文献1)。特許文献1記載の照明装置は、LED実装用基板、リフレクタ板、及びレンズ板が一つの製品にまとめられており、天井や棚下にネジで取り付けるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−49830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1記載の照明装置は、LED実装用基板、リフレクタ板、及びレンズ板が一つの製品にまとめられているため、LED交換時や改修工事等の際に、それら部品が一纏めになっている照明装置全体を取り外したり、交換したりしなければならず、交換作業や改修工事が大掛かりになり面倒である。
【0005】
本願発明の解決課題は、前記諸問題を解決でき、取付け工事、交換作業、改修作業等が容易で、薄型で、放熱性に優れ、LEDの光を効率良く利用できる照明具と照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明のLED照明具は、光源にLEDを用いたLED照明具において、板材に取付けられるソケットユニットと、そのソケットユニットに着脱自在に取り付け可能な照明ユニットを備え、前記ソケットユニットは、前記板材に開口された装備孔内に差し込んで前記板材に固定可能なソケットケースと、前記照明ユニットを嵌合できる嵌合空間と、照明ユニットの電極端子を嵌合可能な電極孔と、電極孔に嵌合された電極端子が電気的に接続される電源電極と、電源電極に接続された電源コードを備え、前記電源コードの一端側がソケットケースの外に引き出され、前記照明ユニットは、ソケットユニットの嵌合空間に嵌合可能な嵌合部を備えた照明ケースと、電源回路基板と、LED実装基板と、LEDからの発熱を放熱する放熱具を備え、前記電源回路基板には前記ソケットケースの電極孔に差し込んで電極孔に係止できる電極端子が設けられ、前記ソケットユニットの嵌合空間に照明ユニットの嵌合部を嵌合し、ソケットユニットの電極孔に照明ユニットの電極端子を差し込んで回転させることにより、ソケットユニットに装着可能としてある。
【0007】
本願発明のLED照明具は、前記LED照明具において、ソケットユニットは、前記板材に開口された装備孔内に差し込んで板材に固定可能なソケットケースと、ソケットケースを板材に固定する固定具がユニット化され、照明ユニットは、ソケットユニットの嵌合空間に嵌合可能な嵌合部を備えた照明ケースと、照明ケースの内側に取り付けられた電源回路基板と、LED実装基板と、LEDからの発熱を放熱する放熱具と、LEDからの光を少なくとも集光可能なレンズと、レンズの外側に被せるカバーを備え、前記照明ケースと電源回路基板と放熱具とLED実装基板とレンズとカバーがLEDの光軸方向に一列に配列されてユニット化してある。
【0008】
本願発明のLED照明具は、前記LED照明具において、放熱具を樹脂と高熱伝導性炭素繊維を混合した材料製としてある。前記LED照明具は、電源回路に電解コンデンサを必要としないLED照明駆動用ICを使用し、電解コンデンサに代えて小型のコンデンサを使用することもできる。
【0009】
本願発明のLED照明装置は、前記LED照明具が板材に取付けられ、そのLED照明具のソケットユニットが板材の装備孔内に挿入して板材に取付けられ、ソケットユニットの電源コードが板材の配線空間内に配線され、電源コードの一端が配線空間の外に引き出され、前記ソケットユニットに照明ユニットを脱着可能とし、前記照明ユニットをソケットユニットに装着すると、照明ユニットの電極端子とソケットユニットの電源電極とが電気的に接続されるようにしてある。
【0010】
本願発明のLED照明装置は、電源回路に電解コンデンサを必要としないLED照明駆動用ICを使用し、電解コンデンサに代えて小型のコンデンサを使用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本願発明のLED照明具には、次のような効果がある。
(1)板材に装備できるソケットユニットに、それとは別体の照明ユニットを着脱自在であり、照明具ユニットを取り外すだけでLEDモジュールの交換や改修工事等ができるため、メンテナンスが容易である。
(2)照明ユニットの放熱具が、発熱量の多いLED実装基板の裏面側に配置されているので放熱具による放熱効率が良い。
(3)放熱具が樹脂と高熱伝導性炭素繊維を混合した材料製であるため、放熱効率がより良くなる。アルミ製のものに比べて軽量でもある。
(4)照明ケースとカバーの間に、電源回路基板、放熱具、LED実装基板、及びレンズのすべてが配置されているので、従来の照明装置に比べて薄くなり、収納ボックスの天井板や、棚の底板等に取付けても突出長が短く、収容ボックス内への収容物の出し入れの邪魔にならず使い勝手が良く、体裁もよい。
(5)電源コードを設けてあるため商用電源の取り込みが容易である。
(6)レンズがあるため、LED光が集光されて、レンズが無い場合よりもレンズの先方が明るくなる。
(7)電源回路に電解コンデンサを必要としないLED照明駆動用ICを使用し、電解コンデンサに代えて小型のコンデンサを使用したので、LED照明具が薄型になり、ダウンライト等として使用するのに適する。
【0012】
本願発明のLED照明装置は、次のような効果がある。
(1)ソケットユニットが板材の装備孔内にセットされて取付けられているため、ソケットユニットが板材から殆ど突出せず体裁が良い。
(2)電源コードが板材の配線空間内に配線されているので、電源コードが邪魔にならず、体裁もよい。
(3)ソケットユニットを板材に取付けるだけで、板材へのソケットユニットの取付けが完了するので、板材へのLED照明具の取付け作業が容易になる。
(4)電源回路に電解コンデンサを必要としないLED照明駆動用ICを使用し、電解コンデンサに代えて小型のコンデンサを使用したので、収容室のダウンライトとして使用しても収容室内側への突出長が短くなり、収容室内への収容物の出し入れの邪魔になりくい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本願発明のLED照明装置の一例を示す説明図。
【図2】本願発明のLED照明装置の一例を示す分解斜視図。
【図3】本願発明のLED照明具のソケットユニットの一例を示す分解斜視図。
【図4】本願発明のLED照明具の照明ユニットの一例を示す分解斜視図。
【図5】照明ユニットのユニット化説明図。
【図6】照明ユニットの部分詳細図。
【図7】板材に取付けたソケットユニットに照明ユニットを取り付ける途上の断面図。
【図8】板材に本願発明のLED照明具を取り付けた状態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態)
本願発明のLED照明具の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本願発明のLED照明具は、収納ボックス、戸棚といった収容部の天板又は底板又は側板といった各種板材に取付けて使用できるが、図1に示すLED照明具Aはキッチンの戸棚Bの下板(以下「板材」という)Cに取付けて、下方を照明できるようにした場合の例である。
【0015】
図1に示すLED照明具Aは、図2に示すように、板材Cに装備されるソケットユニット1と、そのソケットユニット1に着脱可能な照明ユニット2とから構成される。このソケットユニット1は板材Cに開口されている装備穴H(図2)内に装備できるようにしてあり、照明ユニット2は装備穴H内に装備されたソケットユニット1に着脱自在としてある。
【0016】
(ソケットユニット)
前記ソケットユニット1は図3に示すように、ソケットケース10と、ソケットケース10を板材Cに固定する固定具11と、ソケットケース10に被せる裏蓋12を備え、ソケットケース10は前記照明ユニット2を嵌合できる中央孔13と、鍵穴形状の電極孔14と、電源コード15を備え、ソケットケース10と固定具11と裏蓋12は図3に示すように一列に配置連結されて図2のようにユニット化してある。
【0017】
電源コード15はソケットケース10の外に引き出されている。電源コード15には図2のように中継コネクタ16が取り付けられ、それに電源供給コード17のコネクタ18を接続できるようにしてある。電源供給コード17には商用電源に接続できるプラグ19が接続されている。
【0018】
ソケットケース10は樹脂製であり、図3に示すように外壁20と内壁21と底板22が一体成型された上面開口のリング状である。外壁20と内壁21と底板22の内側は収容空間23(図7)となっており、外壁20にはコード引き出し口24(図3)が開口されている。底板22には前記電極孔14(図3)が2つ開口され、夫々の電極孔14内に電源電極Tが設けられ、その電源電極Tに、収容空間23内に配線された電源コード15の一端が接続されている。内壁21の周方向四箇所には内溝25(図3)が縦向きに形成され、内壁21の対向位置二箇所には係止突起26が設けられている。外壁20の周方向四箇所には外溝27が縦向きに形成されている。
【0019】
前記裏蓋12は樹脂製のリング状であり、中央開口部28の周縁四箇所に係止爪29が形成されている。係止爪29の本数は所望数とすることができる。
【0020】
前記固定具11も樹脂製のリング状であり、その周縁に係止片30が4本突設され、二つの固定片31が外側に突設されている。係止片30や固定片31の数は所望数とすることができる。係止片30はソケットケース10の外周にその下方から被せて、ソケットケース10の外壁20に形成されている外溝27に嵌合させ、係止片30の先端に形成されている爪32を外溝27に係止固定してある。前記2つの固定片31は図2のように板材CにネジMで固定するためのものである。リング状の固定具11の内側には照明ユニット2を嵌合可能な嵌合空間33が形成されている。
【0021】
(ソケットユニットのユニット化)
図3に示すソケットユニット構成部材を組み立てて図2のようなソケットユニット1に仕上げる(ユニット化する)には次のようにすることができる。
(1)図3の裏蓋12の四本の係止爪29をソケットケース10の内溝25に嵌合係止させて、ソケットケース10の上面開口部を裏蓋12で閉塞する。このとき、電源コード15はソケットケース10に形成されたコード引き出し口24から外に引き出しておく。
(2)ソケットケース10の下に固定具11を配置し、固定具11の係止片30をソケットケース10の外溝27に嵌合係止して、固定具11をソケットケース10に取り付ける。
【0022】
(照明ユニット)
前記照明ユニット2は、図4に示すように照明ケース40と、電源回路基板41と、放熱具42と、LED実装基板43と、レンズ44と、カバー45を備え、それらが図5のように上下方向(LEDの照射方向)に順次配置されて図6、図7のようにユニット化されている。この照明ユニット2は照明ケース40を図2のようにソケットユニット1の嵌合空間33内に嵌合し、ソケットユニット1の電極孔14に照明ユニット2の電極端子46を差し込んで、照明ユニット2を時計方向に回転させるとソケットユニット1に装着(係止)でき、照明ユニット2を逆回転させるとソケットユニット1から取り外すことができるようにしてある。
【0023】
図4に示す照明ケース40は天板50の外周縁に周壁51が下向きに突設され、天板50の中央部に図4の上方に突出する下面開口の円筒状の突部52が形成され、周壁51と突部52の内側が中空になっている底面開口の皿状である。周壁51の内側はLED実装基板43を収容可能なサイズと広さの基板収容空間53(図5)となっている。前記突部52はソケットユニット1の嵌合空間33から中央孔13内に差し込み可能な外径と高さにしてあり、突部52の周壁の外周面対向位置二箇所にL溝54が形成されている。このL溝54は照明ユニット2を図2に示すようにソケットユニット1に嵌合する時に、図3に示すソケットケース10の二つの係止突起26(図3)に嵌合させてから照明ユニット2を回転させると、係止突起26にL溝54が係止して照明ユニット2がソケットユニット1に係止されるようにしてある。
【0024】
図4の天板50には突出孔55が開口されている。この突出孔55は電源回路基板41に突設されている電極端子46が突出できる大きさである。天板50の内面から下方に連結軸56とガイドピン57が突設されている。連結軸56とガイドピン57は互いに接近して設けられており、天板50の内面四箇所に設けられている(図4に示されているのは天板50の手前側の2本の連結軸56と、2本のガイドピン57のみである)。
【0025】
図4に示す電源回路基板41は、円形のプリント基板60の表面と裏面にLEDの点灯に必要な電源回路が形成されている。このプリント基板60の表面と裏面にLEDの点灯に必要な電源部品61、例えば、チョークコイル、抵抗、LED照明駆動用IC、コンデンサ等が実装されている。また、電極端子46がプリント基板60の表面に突設され、プリント基板60の裏面の電源回路に半田付けや他の固定手段で電気的に接続固定されている。LED照明駆動用ICには電解コンデンサを必要としないICを使用し、電解コンデンサに代えて小型の(チップ状の)セラミックコンデンサを使用してある。コンデンサは他のチップコンデンサとすることも可能である。LED照明駆動用ICとしては例えばサンケン電気株式会社製のLC5205Sを用いることができる。厚さのあるチョークコイルはプリント基板60の上面(電極端子46の突出面と同じ面)であって二つの電極端子46の内側に配置して電源回路全体(プリント基板60、表裏面の電子部品61)の厚さを13mm前後に薄くしてある。このように薄くすることにより図8のように照明ユニット2を厚さ20mm前後の板材Cに組み込まれたソケットユニット1内に差し込んで取付けると、電源回路全体が板材C内に収まる(板材Cの上方(棚の中)に全く又は殆ど突出しない)ようにしてある。前記二つの電極端子46は図3のソケットケース10の電極孔14に差し込んで電極孔14に係止できる大径頭部を備えている。前記電源回路にはリード線62が接続されており、そのリード線62はプリント基板60の裏面に導出されている。プリント基板60の表裏面への電源部品61の配置は任意に選択できるが、背の高い厚みある電子部品は電極端子46と同じ面に配置し、放熱性の高い電源部品は放熱し易い面にまとめて配置するのが望ましい。
【0026】
図4の放熱具42は円形の浅い皿状であり、天板63が周壁64の上縁よりも一段下げて形成されて、天板63の上に周壁64で囲われた外凹部65が形成され、天板63の下に周壁64で囲われた内凹部66(図5)が形成されている。内凹部66はLED実装基板43(図4)を収容できる広さと深さにしてある。周壁64の下部には円弧状の放熱羽根67(図4)が突設されている。前記天板63にリード線差込孔79が開口されている。リード線差込孔79はプリント基板60の裏面に引き出されているリード線62(図4)を差込み可能な大きさにしてある。
【0027】
放熱具42は樹脂と高熱伝導性炭素繊維の混合樹脂で成型してある。その混合樹脂としては、熱伝導率を高めた放熱樹脂、例えば、成型樹脂中に熱伝導性フィラー(高熱伝導性炭素繊維)を適量分散混合した樹脂が適する。熱伝導性フィラーとしては、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、シリカ等の無機フィラー、銀、金、銅などの金属フィラー、高熱伝導性の炭素系フィラーなどが好ましく例示される。これらの中でも、樹脂の熱伝導率を効率的に高め、機械的強度や成形性にも高い性能が得られる高結晶性の黒鉛構造を有する黒鉛化炭素繊維が好ましく、特に、メソフェーズピッチを原料とし、平均繊維径が2〜20μm、平均繊維長が30〜1000μm、黒鉛結晶の六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが20nm以上である黒鉛化炭素短繊維が好ましい。平均繊維径はより好ましくは5〜15μm、平均繊維長はより好ましくは70〜300μm、結晶子サイズはより好ましくは40nm以上である。
【0028】
黒鉛化炭素短繊維に関する商品としては、例えば帝人株式会社製のラヒーマ(登録商標)が挙げられる。これら黒鉛化炭素繊維を各種成形樹脂中に10〜50wt%程度の割合で分散混合することが好ましい。
【0029】
熱伝導性フィラーは複数種を組み合わせて利用する事も可能であり、黒鉛化炭素繊維と無機フィラーおよびまたは金属フィラーを組み合わせて利用する事も好ましく行われる。これら熱伝導フィラーをトータル30〜60wt%前後の割合で樹脂に混合した場合、放熱樹脂の熱伝導率として20W/m・K以上の高い値を得ることも可能である。マトリックスとする樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が好ましく用いられ、射出成形、プレス成形、ブロー成形、真空成形、注型法などの成形法により、放熱性に優れた放熱具42を成型することができる。
【0030】
熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、脂肪族ポリアミド(ナイロン)、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー(LCP)等が挙げられ、これらのアロイ、変性体等も利用可能である。変性物としてはエラストマー成分を共重合してなる熱可塑性エラストマー等も好適に用いられる。
【0031】
熱硬化性樹脂としては例えばエポキシ、シリコーン、ウレタン、不飽和ポリエステル、メラミン等が挙げられる。
【0032】
図4のLED実装基板43には細長のLEDモジュール68が4個実装されている。LED実装基板43の外周縁四箇所にはガイド溝69が形成されている。夫々のLEDモジュール68は多数のLEDチップ(図示しない)を一列に配列したものである。LED実装基板43には2つの接続電極70が設けられている。この接続電極70は照明ユニット化すると、電源回路基板41の電源回路から引き出されているリード線62と電気的に接続されて、LEDモジュール68に電源が供給されるようにしてある。
【0033】
図4のレンズ44は樹脂製の基板(円板)の四箇所を加工してフレネルレンズ71を複数本(図4では4本)形成したものである。4本のフレネルレンズ71はLEDモジュール68の配列に沿って形成されている。フレネルレンズ71はLEDモジュール68からの光を集光、拡散、反射等させるものである。集光させることにより集光しないときよりも照度(明るさ)を高めることができ、拡散させることによりLEDモジュール68を構成する個々のLEDの直進光が拡散されてLEDモジュール68からの光を線状にすることができる。レンズはフレネルレンズ以外のものであってもよい。レンズ自体は光を拡散しないものであってもよい。その場合は、レンズの基板材料である樹脂に拡散剤を混入して基板に拡散性を付与することができる。
【0034】
図4のカバー45はユニット化すると図6のようにレンズ44、LED実装基板43、放熱具42を下方から被覆するものである。カバー45は中央部に形成された貫通孔(カバー開口部)72の外周に平板73が形成された円形リング状である。カバー開口部72の周縁に上向きの内周壁74がリング状に立設され、内周壁74の上に連結用のボス75が突設され、平板73の外周縁に上方に向けて外側広がりの外周壁76が設けられている。
【0035】
図4の内周壁74の内面にはレンズ44を嵌入係止するためのレンズ嵌入溝77(図6)と、LED実装基板43を係止するための基板係止縁78(図6)が形成されている。
【0036】
(照明ユニットのユニット化)
図4に示す照明ケース40、電源回路基板41、放熱具42、LED実装基板43、レンズ44、カバー45を組み立てて図2のような照明ユニット2に仕上げる(ユニット化する)には次のようにすることができる。
(1)照明ケース40の基板収容空間53(図5)内に電源回路基板41をセットし、電極端子46を突出用孔55から上方に突出させる。このとき図4に仮想線で示すように、照明ケース40のガイドピン57が電源回路基板41のガイド孔58aを、連結軸56がピン孔58bを夫々貫通して電源回路基板41の下方に突出するようにする。
(2)放熱具42を図6のように照明ケース40に収容されている電源回路基板41に対向させて照明ケース40の下に配置する。このとき図4に仮想線で示すように、ガイドピン57が放熱具42のガイド孔59aを、連結軸56がピン孔59bを夫々貫通して、放熱具42の下方に突出するようにする。
(3)レンズ44を図6のようにカバー45のレンズ嵌入溝77に嵌入係止し、LED実装基板43をカバー45の基板係止縁78に係止する。
(4)前記(3)の状態のカバー45を、図6のように照明ケース40及び電源回路基板41と連結した放熱具42の下方に配置し、放熱具42の下方に突出している前記4本の連結軸56をカバー45のボス75の孔に挿入して接着剤で固定する。このとき、放熱具42の下方に突出しているガイドピン57がLED実装基板43のガイド部69の位置に合致するように位置合わせし、LED実装基板43の回転を規制し、LED実装基板43を位置決めする。
(5)前記(4)の状態で、図6のようにカバー45の平板73の内面に接触する放熱具42の放熱羽根67を、熱伝導性接着剤で平板73の内面に接着固定する。熱伝導性接着剤としては例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)系の背着剤が適する。
(6)図6のようにカバー45を被せると、カバー45の内周壁74が放熱具43の内凹部66(図5、6)内に収まる。
【0037】
(LED照明装置)
本願発明のLED照明装置は次のような構成になっている。図2に示すように、板材Cに設けられた装着穴H内にソケットユニット1をセットしてネジMで固定する。電源コード15は図7のように板材Cの裏側に設けられた配線空間S内に配線し、一端を図2のように板材Cの外部に引き出して電源供給コード17と連結接続できるようにしてある。
【0038】
図2のように板材Cに取付けられたソケットユニット1の嵌合空間33から中央孔13内に照明ユニット2の突部52(図2)を差し込み、電極端子46(図4)を電極孔14(図3)に挿し込んでから、照明ユニット2を水平に時計方向に回転させる。これにより、電極端子46の大径頭部が電極孔14内に嵌合係止され、電極端子46がソケットユニット1に設けられた電源電極Tに接触して両者が電気的に接続されている。
【0039】
照明ユニット2の突部52をソケットユニット1の嵌合空間33から中央孔13内に差し込むとき、図4のように照明ケース40の突部52の周壁に形成されているL溝54を、図3に示すソケットケース10の二つの係止突起26に嵌合させ、照明ユニット2を前記のように時計方向へ回転させ、係止突起26がL溝54に係止し、この係止によっても照明ユニット2がソケットユニット1に係止され、照明ユニット2とソケットユニット1の連結が確実になる。
【0040】
照明ユニット2を取り外すときは、照明ユニット2を少し上方に持ち上げて反時計方向に回転させ、電極端子46の大径頭部が電極孔14の大径部分に位置したところで、照明ユニット2を引き下げると、ソケットユニット1は板材Cに取付けられたままで、照明ユニット2がソケットユニット1から取り外されるようにしてある。
【0041】
(その他の実施形態)
前記実施形態では、本発明の照明具をキッチンの板材Cに取り付けて使用する場合を一例として説明しているが、本願発明のLED照明具及びLED照明装置は、レストラン、公共施設、ホテル、一般の家屋、マンションといった室内や収納室等の天井照明、キャビネット内の照明、什器内の照明等として利用することができる。また、本願発明の照明装置は下向きに取り付ける場合に限らず、上向きや横向きに取り付けたり、斜め向きに取り付けたりすることもできる。
【0042】
前記実施形態はあくまでも一例であり、本発明の課題を達成できれば、他の形状、構造、ユニット構造とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本願発明の照明装置は、自動車、バス、飛行機、船舶といった乗り物の室内照明としても利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ソケットユニット
2 照明ユニット
10 ソケットケース
11 固定具
12 裏蓋
13 中央孔
14 電極孔
15 電源コード
16 中継コネクタ
17 電源供給コード
18 コネクタ
19 プラグ
20 外壁
21 内壁
22 底板
23 収容空間
24 コード引き出し口
25 内溝
26 係止突起
27 外溝
28 中央開口部
29 係止爪
30 係止片
31 固定片
32 爪
33 嵌合空間
40 照明ケース
41 電源回路基板
42 放熱具
43 LED実装基板
44 レンズ
45 カバー
46 電極端子
50 天板
51 周壁
52 突部
53 基板収容空間
54 L溝
55 突出孔
56 連結軸
57 ガイドピン
58a ガイド孔
58b ピン孔
59a ガイド孔
59b ピン孔
60 プリント基板
61 電源部品
62 リード線
63 天板
64 周壁
65 外凹部
66 内凹部
67 放熱羽根
68 LEDモジュール
69 ガイド部
70 接続電極
71 フレネルレンズ
72 貫通孔(カバー開口部)
73 平板
74 内周壁
75 ボス
76 外周壁
77 レンズ嵌入溝
78 基板係止縁
79 リード線差込孔
A LED照明具
B 戸棚
C 板材
H 装着穴
M ネジ
S 配線空間
T 電源電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源にLEDを用いたLED照明具において、
板材に取付けられるソケットユニットと、そのソケットユニットに着脱自在に取り付け可能な照明ユニットを備え、
前記ソケットユニットは、前記板材に開口された装備孔内に差し込んで前記板材に固定可能なソケットケースと、前記照明ユニットを嵌合できる嵌合空間と、照明ユニットの電極端子を嵌合可能な電極孔と、電極孔に嵌合された電極端子が電気的に接続される電源電極と、電源電極に接続された電源コードを備え、前記電源コードの一端側がソケットケースの外に引き出され、
前記照明ユニットは、ソケットユニットの嵌合空間に嵌合可能な嵌合部を備えた照明ケースと、電源回路基板と、LED実装基板と、LEDからの発熱を放熱する放熱具を備え、前記電源回路基板には前記ソケットケースの電極孔に差し込んで電極孔に係止できる電極端子が設けられ、前記ソケットユニットの嵌合空間に照明ユニットの嵌合部を嵌合し、ソケットユニットの電極孔に照明ユニットの電極端子を差し込んで回転させることにより、ソケットユニットに装着可能とした、
ことを特徴とするLED照明具。
【請求項2】
請求項1記載のLED照明具において、
ソケットユニットは、板材に開口された装備孔内に差し込んで前記板材に固定可能なソケットケースと、ソケットケースを板材に固定する固定具がユニット化され、
照明ユニットは、ソケットユニットの嵌合空間に嵌合可能な嵌合部を備えた照明ケースと、照明ケースの内側に取り付けられた電源回路基板と、LED実装基板と、LEDからの発熱を放熱する放熱具と、LEDからの光を少なくとも集光可能なレンズと、レンズの外側に被せるカバーを備え、
前記照明ケースと電源回路基板と放熱具とLED実装基板とレンズとカバーがLEDの光軸方向に一列に配列されてユニット化された、
ことを特徴とするLED照明具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のLED照明具において、
放熱具を樹脂と高熱伝導性炭素繊維を混合した材料製とした、
ことを特徴とするLED照明具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のLED照明具において、
電源回路に電解コンデンサを必要としないLED照明駆動用ICを使用し、電解コンデンサに代えて小型のコンデンサを使用した、
ことを特徴とするLED照明具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のLED照明具が板材に取付けられ、そのLED照明具のソケットユニットが板材の装備孔内に挿入して取付けられ、ソケットユニットの電源コードが板材の配線空間内に配線され、電源コードの一端が配線空間の外に引き出され、前記ソケットユニットに照明ユニットを脱着可能とし、前記照明ユニットをソケットユニットに装着すると、照明ユニットの電極端子とソケットユニットの電源電極とが電気的に接続される、
ことを特徴とするLED照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−99366(P2012−99366A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246764(P2010−246764)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【特許番号】特許第4851617号(P4851617)
【特許公報発行日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【出願人】(592114703)株式会社ベスト (69)
【Fターム(参考)】