説明

LED電球用部材及びその製造方法

【課題】放熱性能に優れ、構造が簡単で、生産性に優れ、コストの低いLED電球用部材を提供すること。
【解決手段】LED素子を搭載するアルミニウム合金板よりなる円盤状のLED搭載用基板2と、アルミニウム合金板に塑性加工を加えることにより略円筒状又は略円錐状に成形してなる放熱部材3とを有する。LED搭載用基板2の外周縁部21と放熱部材の開口端部31とが、巻締め加工により接合されている。LED搭載用基板2の外周縁部21は略直角に立ち上がったフランジ部210を有し、放熱部材の開口端部31は、内向きに巻締め加工されていることが好ましい。放熱部材3は、アルミニウム合金板の両面又は片面に放熱性物質を含有してなる放熱性塗膜をプレコートしてなるプレコートアルミニウム合金板を用いて成形されていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)素子を内蔵してなるLED電球における構成部材に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDの高性能化に伴い、LEDを光源としたランプ(LEDランプ)を次世代の照明装置として用いることが検討されている。LEDランプとしては、様々な形態が考えられるが、広く一般家庭に普及している白熱電球に置き換え可能な電球型のLEDランプ(以下、LED電球という)が特に注目されている。
【0003】
LED電球は、従来の白熱電球に比べ、消費電力が約1/8、寿命は約40倍の性能を発揮するため、今般の地球温暖化防止思想を背景とした省エネルギー要求に合致する優れた物品といえる。
【0004】
一方、LED素子は、一般に、温度上昇に従って光出力が低下し、また、環境温度が高い方が、低い場合よりも光出力の経時的低下が大きく寿命が短い。そのため、LED電球においては、そのボディに放熱部材を設け、LED素子から生じる熱の放熱を促進する試みがなされている。これまで提案されたものとしては、例えば、特許文献1〜5の構成がある。
【0005】
特許文献1は、ラッパ状金属放熱部を有するものである。特許文献2は、放射状に放熱フィンを形成した放熱部を有している。特許文献3、4は、軸方向に重ねた放熱フィン構造の放熱部を有している。特許文献5は、基体の外周囲を覆う放熱部を設けた構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−243809号公報
【特許文献2】特開2005−93097号公報
【特許文献3】特開2005−166578号公報
【特許文献4】特開2008−186758号公報
【特許文献5】特開2008−311002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1のラッパ状金属放熱部では必ずしも十分な放熱効果が得られない。また、特許文献2〜5に記載の放熱部は、複数の部品を組み合わせた複雑な構造であるか、あるいは、アルミニウム等の鋳物あるいはダイキャスト品を用いたものであって、生産性が低く、重量が重く、コストも高いものとなっている。
最近、実用化されたLED電球としては、放熱翼を持った形状のアルミニウムの鋳物を放熱部に用いたものがあるが、価格は従来の白熱電球の数十倍程度に設定されており、その低価格化が課題となっている。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、放熱性能に優れ、構造が簡単で、生産性に優れ、コストの低いLED電球用部材を提供し、ひいては、高性能で安価なLED電球の実現を図ることができるLED電球用部材を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、LED素子を搭載する円盤状のLED搭載用基板と、
アルミニウム合金板に塑性加工を加えることにより略円筒状又は略円錐状に成形してなる放熱部材とを有し、
上記LED搭載用基板の外周縁部と上記放熱部材の開口端部とが、巻締め加工により接合されていることを特徴とするLED電球用部材にある(請求項1)。
【0010】
第2の発明は、LED素子を搭載する円盤状のLED搭載用基板と、略円筒状又は略円錐状の放熱部材とを接合してなるLED電球用部材を製造する方法であって、
アルミニウム合金板に塑性加工を加えることにより略円筒状又は略円錐状に成形してなる上記放熱部材を作製し、
該放熱部材の開口端部と上記LED搭載用基板の外周縁部とを巻締め加工することにより接合することを特徴とするLED電球用部材の製造方法にある(請求項2)。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明のLED電球用部材は、上記のごとく、2つのアルミニウム合金板を素材とした部品を組み合わせて構成されている。アルミニウム合金板は、鋳物やダイキャスト品と異なり、連続ラインを用いて大量に効率よく製造することができる。そのため、素材コストを従来よりも大幅に低減することができる。また、アルミニウム合金板の軽量である特性を活かして、LED電球用部材全体の軽量化を図ることもできる。
【0012】
また、上記LED搭載用基板と放熱部材とは、上記のごとく巻締め加工によって接合してある。これにより、上記LED搭載用基板と放熱部材の接合密着性を高めることができ、LED素子から発生した熱を上記LED搭載用基板から上記放熱部材へと効率的に伝えることができ、かつ、放熱部材から効率よく放熱することができる。それ故、上記LED電球用部材を用いれば、LED素子の特性を有効に発揮させ高性能で長寿命のLED電球を得ることができる。
【0013】
第2の発明のLED電球用部材の製造方法によれば、上記の優れたLED電球用部材を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における、放熱部材の成形方法を示す説明図。
【図2】実施例1における、LED搭載用基板の構成を示す説明図。
【図3】実施例1における、放熱部材の開口端部内にLED搭載用基板を挿入配置した状態を示す説明図。
【図4】実施例1における、巻締め加工方法を示す説明図。
【図5】実施例1における、巻締め加工による接合が完了したLED電球用部材の断面形状を示す説明図。
【図6】実施例1における、巻締め加工による接合が完了したLED電球用部材の斜視図。
【図7】実施例2における、プレコートアルミニウム合金板の構造を示す説明図。
【図8】実施例3における、巻締め加工前の放熱部材の形状を示す斜視図。
【図9】実施例3における、放熱部材の開口部内にLED搭載用基板を挿入配置した状態を示す斜視図。
【図10】実施例3における、6箇所での巻締め加工により接合した状態を示す平面図。
【図11】比較例1における、LED搭載用基板と放熱部材のねじ固定構造を示す説明図。
【図12】実施例5における、巻締め加工による接合が完了したLED電球用部材の断面形状を示す説明図。
【図13】実施例5における、巻締め加工による接合が完了したLED電球用部材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記LED電球用部材においては、上記LED搭載用基板の上記外周縁部は略直角に立ち上がったフランジ部を有し、上記放熱部材の上記開口端部は、上記フランジ部の外周面、上端面、及び内周面に順次対向するように内向きに巻締め加工されていることが好ましい(請求項2)。
また、上記LED電球用部材の製造方法においては、上記LED搭載用基板の上記外周縁部には略直角に立ち上がったフランジ部を形成し、上記放熱部材の上記開口端部を、上記フランジ部の外周面、上端面、及び内周面に順次対向するように内向きに巻締め加工することが好ましい(請求項8)。
【0016】
このような径方向内向きへの巻締め加工を採用することにより、巻締め加工部分を露出させない外観形態を得ることができ、意匠性の向上を図ることができる。また、上記LED搭載用基板に予め設けたフランジ部を用いて巻締め加工を行うことにより、上記LED搭載用基板の外周縁部にしわ等の成形不良を生じさせることなく精度よく巻締め加工することができる。
【0017】
また、上記LED搭載用基板の上記フランジ部は周方向全周に設けられており、上記放熱部材の上記開口端部は、上記フランジ部の全周に対して巻き締め加工されていることが好ましい(請求項3)。この場合には、周方向全周において容易に巻き締め加工を実現することができ、巻き締め加工による放熱性向上効果を確実に得ることができる。
【0018】
また、上記LED搭載用基板の上記フランジ部は周方向全周に設けられており、上記放熱部材の上記開口端部は、その周方向の複数箇所が部分的に巻き締め加工されている構成をとることもできる(請求項4)。この場合には、周方向全周を巻き締め加工する場合に比べて、放熱性向上効果が若干落ちるものの、巻き締め加工性を向上させることができる。
【0019】
また、上記LED搭載用基板の上記フランジ部は周方向の複数箇所に部分的に設けられており、上記放熱部材の上記開口端部は、上記フランジ部に対応して、周方向の複数箇所が部分的に巻き締め加工されている構成をとることも可能である(請求項5)。この場合にも、周方向全周を巻き締め加工する場合に比べて、放熱性向上効果が若干落ちるものの、巻き締め加工性を向上させることができる。
【0020】
また、上記LED電球用部材の製造方法において、上記巻締め加工は、複数回のプレス成形により、上記放熱部材の上記開口端部を径方向内側への曲げ加工を複数回重ねることにより行うことができる(請求項8)。プレス加工を採用することにより、例えば食品缶などの巻締め加工に用いられるようなロールフォーミング装置などを導入する必要がなく、簡便に、効率よく、安価に製造することができる。
【0021】
また、上記LED電球用部材においては、上記放熱部材は、アルミニウム合金板の両面又は片面に合成樹脂塗膜をプレコートしてなるプレコートアルミニウム合金板を用いて成形されており、該プレコートアルミニウム合金板の少なくとも一方の面にプレコートされた上記合成樹脂塗膜は、ベース樹脂中に放熱性物質を含有してなる放熱性塗膜を備えていることが好ましい(請求項6)。
また、上記LED電球用部材の製造方法においては、上記放熱部材は、アルミニウム合金板の両面又は片面に合成樹脂塗膜をプレコートしてなり、少なくとも一方の面にプレコートされた上記合成樹脂塗膜がベース樹脂中に放熱性物質を含有してなる放熱性塗膜を備えてなるプレコートアルミニウム合金板を用いて成形することが好ましい(請求項10)。
【0022】
この場合には、上記放熱性塗膜の作用効果によって、放熱部材の放熱特性を高めることができ、さらにLED電球の性能向上及び長寿命化を図ることができる。
また、上記プレコートアルミニウム合金板は、合成樹脂塗膜の塗装についても連続ラインを用いて大量に効率よく実施することができる。また。プレコートアルミニウム合金板のプレス成形は、これまでの確立した技術を組み合わせることによって、容易に行うことができ、大量生産を前提にすれば、非常に効率よく安価に加工することができる。
【0023】
また、上記放熱性塗膜は、例えば、ウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂の1種あるいは2種以上からなる数平均分子量が10000〜40000のベース樹脂中に放熱性物質を含有してなる放熱性塗膜を備えた構成とすることができる。
【0024】
また、上記アルミニウム合金板の片面だけに合成樹脂塗膜を形成する場合には、その合成樹脂塗膜が上記放熱性塗膜を備えることが必要でなり、アルミニウム合金板の両面に合成樹脂塗膜を形成する場合には、少なくとも一方の面に配置された合成樹脂塗膜に上記放熱性塗膜を備えればよい。もちろん、両面の合成樹脂塗膜に上記放熱性塗膜を備えてもよい。
【0025】
また、上記プレコートアルミニウム合金板における上記放熱性塗膜は、所望の厚みに応じて一層塗り、多層塗りを選択できる。なお、上記放熱性塗膜は、上記のごとく、放熱性物質を含有すると共に数平均分子量が10000〜40000のベース樹脂を含有していることが好ましい。
【0026】
すなわち、上記放熱性塗膜としては、そのベース樹脂として、数平均分子量が10000〜40000の合成樹脂を用いることが好ましい。この合成樹脂の数平均分子量が10000未満の場合には、塗膜が硬くなり、成形性が悪くなるおそれがあり、一方、40000を超える場合には、塗膜が軟らかすぎて耐疵付き性が低下するおそれがある。
【0027】
上記放熱性塗膜は、上記放熱性物質として、酸化チタン、カーボン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウムの1種または2種以上を含有していることが好ましい。これにより、容易に上記放熱性塗膜の放熱性を高めることができる。
【0028】
上記放熱性塗膜の放熱性の特性としては、赤外線の積分放射率によって評価することができる。本発明では、赤外線の積分放射率が70%以上となるように調整することが好ましい。これによって、安定した放熱特性が得られる。
赤外線の積分放射率は、FT−IRによって試料と理想黒体の赤外線放射量を比較することにより測定することができる。
【0029】
また、上記放熱性塗膜は、上記ベース樹脂100重量部に対して、平均粒径0.1〜100μmの酸化チタンを50〜200重量部、微粉末のカーボンを1〜25重量部、シリカを50〜200重量部、アルミナを50〜200重量部、酸化ジルコニウムを50〜200重量部の1種あるいは2種以上を含有することが好ましい。
【0030】
すなわち、上記放熱性塗膜に酸化チタンを含有させる場合には、その平均粒径を0.1〜100μmの範囲にすることが好ましい。酸化チタンの平均粒径が0.1μm未満の場合には、赤外線積分放射率が低下するという問題があり、一方、100μmを超える場合には、酸化チタンの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0031】
また、上記放熱性塗膜に酸化チタンを含有させる場合の含有量は、上記ベース樹脂100重量部に対して、50〜200重量部とすることが好ましい。酸化チタンの含有量が50重量部未満の場合には、赤外線積分放射率が低下するという問題があり、一方、200重量部を超える場合には、酸化チタンの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0032】
また、上記微粉末のカーボンとしては、粒径が1nm〜500nmのカーボンを用いることが好ましい。また、上記放熱性塗膜にカーボンを含有させる場合の含有量は、1〜25重量部であることが好ましい。カーボンの含有量が1重量部未満の場合には赤外線積分放射率が低下するという問題があり、一方、25重量部を超える場合には、カーボンの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0033】
また、上記放熱性塗膜にシリカを含有させる場合の含有量は、50〜200重量部であることが好ましい。シリカの含有量が50重量部未満の場合には、赤外線積分放射率が低下するという問題があり、一方、200重量部を超える場合には、シリカの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0034】
また、上記放熱性塗膜にアルミナを含有させる場合の含有量は、50〜200重量部であることが好ましい。アルミナの含有量が50重量部未満の場合には、赤外線積分放射率が低下するという問題があり、一方、200重量部を超える場合には、アルミナの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0035】
また、上記放熱性塗膜に酸化ジルコニウムを含有させる場合の含有量は、50〜200重量部であることが好ましい。酸化ジルコニウムの含有量が50重量部未満の場合には、赤外線積分反射率が低下するという問題があり、一方、200重量部を超える場合には、酸化ジルコニウムの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0036】
また、上記放熱性塗膜の膜厚は、0.5〜100μmであることが好ましい。膜厚が0.5μm未満の場合には、赤外線積分放射率が低下するという問題があり、一方、100μmを超える場合にはコストが増大するという問題がある。
【0037】
また、上記放熱性塗膜は、平均粒径0.3〜100μmのNi球状フィラー、あるいは0.2〜5μmの厚さで2〜50μmの長径を有する鱗片状のNiフィラーの少なくとも一方を含有しており、これら両者の合計含有量は、上記ベース樹脂100重量部に対して1〜1000重量部であることが好ましい。これらのNiフィラーを放熱性塗膜に含有させることによって、放熱性塗膜に導電性を付与することができ、LED電球の回路から発生する電磁波を遮断する効果を高めることができ、他の電子機器、家電機器等への影響を最小限に抑えることができる。
【0038】
上記Ni球状フィラーの平均粒径が0.3μm未満では導電性向上効果十分に得られないという問題があり、一方、100μmを超える場合には、Ni球状フィラーの塗膜からの脱落量が増加するという問題がある。
また、上記燐片状Niフィラーの厚みが0.2μm未満の場合には導電性向上効果十分に得られないという問題があり、一方、5μmを超える場合にはコストが増大するという問題がある。また、燐片状Niフィラーの長径が2μm未満の場合には導電性が低下するという問題があり、一方、50μmを超える場合には鱗片状Niフィラーの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0039】
そして、これら両者のNiフィラー(Ni球状フィラーと鱗片状Niフィラー)の合計含有量(一方のみの含有の場合も含む)は、上記ベース樹脂100重量部に対して1〜1000重量部であることが好ましい。この含有量が1重量部未満の場合には導電性が不足し、一方、1000重量部を超える場合にはNiフィラーの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0040】
また、上記放熱性塗膜は、上記ベース樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部のラノリン、カルナバ、ポリエチレン、マイクロクリスタリンの1種あるいは2種のインナーワックスを含有していることが好ましい。これにより、耐疵付き性向上効果を得ることができると共に、加工性をも向上させることができる。
上記インナーワックスの含有量が、ベース樹脂100重量部に対し0.05重量部未満の場合には耐疵つき性が低下するという問題があり、一方、3重量部を超える場合にはブロッキングが発生するという問題がある。
【0041】
また、上記合成樹脂塗膜は、アルミニウム合金板の表面に形成された塗布型あるいは反応型のクロメートまたはノンクロメート層の上層に形成されていることが好ましい。この場合には、アルミニウム合金板と上記プレコート層との密着性を向上させることができ、加工性、耐久性等を高めることができる。
【0042】
また、上記放熱性塗膜を備えた上記合成樹脂塗膜は、上記放熱性塗膜の下層に下地塗膜を有する複数積層構造を有しており、上記下地塗膜は、ウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂の1種あるいは2種以上からなる数平均分子量が10000以上の樹脂よりなることが好ましい。この場合には、上記放熱性塗膜の下層に、様々な特性を有する合成樹脂塗膜を下地塗膜として配置することができ、塗膜の密着性、加工性等をさらに向上させることができる。
【0043】
特に上記下地塗膜を構成する樹脂として、上記特定の樹脂のうち数平均分子量が10000以上の樹脂を選択することにより、上記放熱部材の加工を行う際の塗膜の加工性をさらに向上させることが可能となる。また、下地塗膜を構成する樹脂の数平均分子量の上限値は、下地塗膜の伸びが放熱性塗膜の伸びと大きく異なると加工時の塗膜割れが起きやすくなるという理由により40000とすることが好ましい。
なお、下地塗膜としては、放熱性物質等が含有されていない点以外は、上記放熱性塗膜と同じ樹脂を用いてもよいし、他の樹脂でもよい。
【0044】
また、上記下地塗膜の膜厚は、50μmを超えるとアルミニウム合金板と放熱性塗膜の密着性が低下するので、50μm以下とすることが好ましく、また、膜厚が薄すぎても密着性が低下するため、1μm以上とすることが好ましい。さらに好ましい範囲は5μm以上20μm以下である。
【0045】
また、上記合成樹脂塗膜には、放熱性、加工性、密着性を阻害しない範囲で、顔料及び染料を添加し、意匠性を向上させてもよい。
【0046】
また、上記LED電球用部材のLED搭載用基板又は放熱部材に適用可能なアルミニウム合金板の材質としては、1000系、3000系、5000系、6000系など、成形加工に好適な材質を用いることができる。例えば、1050、8021、3003、3004、3104、5052、5182、5N01などがある。上記LED搭載用基板と上記放熱部材とは、同じ材質であっても、異なる材質であってもよい。
【0047】
また、上記放熱部材には、その側面に、放熱性をさらに向上させるための凹凸形状を設けてもよい。
【実施例】
【0048】
(実施例1)
本発明の実施例にかかるLED電球用部材及びその製造方法につき、図1〜図6を用いて説明する。
本例のLED電球用部材1は、図6に示すごとく、LED素子8を搭載するアルミニウム合金板よりなる円盤状のLED搭載用基板2と、アルミニウム合金板に塑性加工を加えることにより略円錐状に成形してなる放熱部材3とを有する。図5に示すごとく、LED搭載用基板2の外周縁部21と放熱部材の開口端部31とが、巻締め加工により接合されている。
以下、さらに詳説する。
【0049】
<放熱部材の作製>
放熱部材3は、素材として、合成樹脂塗膜を施していない無塗装のアルミニウム合金板を採用した。具体的には、材質−質別がA8021−O材、サイズが0.5mm厚×100mm幅×100mm長のものを準備し、その両面をアルカリ系脱脂剤で脱脂した素材を用いた。
【0050】
次に、上記素材を用い、これに塑性加工を加えることにより略円錐状に成形して放熱部材3を作製する。具体的には、図1に示すごとく、複数回のプレス工程を経て成形する。まず、同図(a)(b)に示すごとく、平板状のアルミニウム合金板30に絞り加工を加え、カップ状の中間体310に成形する。このとき、中間体310の底部中央には貫通穴311を設けておく。
【0051】
次に、同図(c)に示すごとく、断面が階段状に徐々に中央部が突出する形状の第2中間体320に成形する。その後、同図(d)に示すごとく、断面がラッパ形状(略円錐形状)のほぼ最終形状を呈する放熱部材3が得られる。得られた放熱部材3は、軸方向両端が開口しており、LED搭載用基板2と接合される大径側の開口端部31のみは、軸方向に沿って真っ直ぐに伸びるストレート形状となっている。また、放熱部材3の大径部分の外径D1は約60mm、小径部分の外径D2は約30mm、全長Lは約40mmとした。
【0052】
<LED搭載用基板の作製>
LED搭載用基板2は、素材として、合成樹脂塗膜を施していない無塗装のアルミニウム合金板を採用した。具体的には、材質−質別がA1050−O材、サイズが1.5mm厚×外径約60mmφのものを平板から打ち抜き、その後、図2に示すごとく、その外周縁部21を略直角に立ち上げる絞り加工を施して、フランジ部210を形成した。フランジ部210の高さHは4mmとした。また、LED搭載用基板2は、全面をアルカリ系脱脂剤で脱脂した。
【0053】
<巻締め加工>
図3〜図5に示すごとく、LED搭載用基板2と放熱部材3との接合は、巻締め加工により行う。
まず、図3に示すごとく、放熱部材3の開口端部31の内側に、フランジ部210が外側に向くようにLED搭載用基板2を挿入配置する。
次に、図4(a)に示すごとく、第1回目のプレス加工を施して、放熱部材3の開口端部31の上半部311をLED搭載用基板2のフランジ部210の先端部分を起点として、径方向内方に向けて斜めになるよう成形する。
【0054】
次に、図4(b)に示すごとく、第2回目のプレス加工を施して、放熱部材3の開口端部31の上半部311が軸方向に略直交する方向に向くまで成形する。
次に、図4(c)に示すごとく、第3回目のプレス加工を施して、放熱部材3の開口端部31の上半部311の先端部分312を、LED搭載用基板2のフランジ部21の内周面に近づくように折り返した形状となるように成形する。
【0055】
これにより、巻締め加工が完了し、LED搭載用基板2と放熱部材3との接合が全周にわたって完了する。図4(c)、図5に示すごとく、巻締め加工によって得られた接合部は、放熱部材3の開口端部31が、フランジ部210の外周面211、上端面212、及び内周面213に順次対向するように内向きに巻締め加工された状態となる。
【0056】
得られたLED電球用部材1は、上記のごとく、2つのアルミニウム合金板を素材とした部品を組み合わせて構成されている。アルミニウム合金板は、鋳物やダイキャスト品と異なり、連続ラインを用いて大量に効率よく製造することができる。そのため、素材コストを従来よりも大幅に低減することができる。また、アルミニウム合金板の軽量である特性を活かして、LED電球用部材1全体の軽量化を図ることもできる。
【0057】
また、LED搭載用基板2と放熱部材3とは、上記のごとく巻締め加工によって接合してある。これにより、LED搭載用基板2と放熱部材3の接合密着性を高めることができ、LED素子8から発生した熱をLED搭載用基板2から放熱部材3へと効率的に伝えることができ、かつ、放熱部材3から効率よく放熱することができる。それ故、LED電球用部材1を用いれば、LED素子の特性を有効に発揮させ高性能で長寿命のLED電球を得ることができる。
【0058】
(実施例2)
本例は、実施例1の構成を基本とし、放熱部材3の素材を合成樹脂塗膜を施したプレコートアルミニウム合金板を用いた点だけが異なる例である。プレコートアルミニウム合金板は、次のようにして作製した。
【0059】
<プレコートアルミニウム合金板>
図7に示すごとく、放熱部材3用のプレコートアルミニウム合金板300を作製する。
アルミニウム合金板30としては、材質−質別がA8021−O材、サイズが0.5mm厚×100mm幅×100mm長さのものを準備した。
次に、アルミニウム合金板30の両面をアルカリ系脱脂剤で脱脂した後、アルミニウム合金板30をリン酸クロメート浴に浸漬し、化成処理を行った。得られた化成皮膜(リン酸クロメート皮膜)302は、皮膜中のCr含有量として20±5mg/m2の範囲内とした。
【0060】
次に、アルミニウム合金板30の両面のそれぞれの面に、放熱性塗膜303のみよりなる合成樹脂塗膜を形成した。塗料としては、数平均分子量が16000のポリエステル樹脂をベース樹脂とし、固形分比において、上記ベース樹脂100重量部に対して、放熱性物質305として平均粒径1μmの酸化チタンが50重量部含有され、インナーワックスとしてポリエチレンワックスが1重量部とマイクロクリスタリンワックスが1重量部含有されているものを用いた。塗装はバーコーターを用いて行い、放熱性塗膜303の膜厚は30μmとした。また、放熱性塗膜303の焼き付け硬化条件は、表面温度が230℃になるように240℃のオーブン中に60秒保持する条件とした。
【0061】
その他、放熱部材3のプレス成形、LED搭載用基板2の構成、及び巻締め加工方法は実施例1と同様とした。
【0062】
本例の場合には、放熱部材3に施した放熱性塗膜303の効果によって、さらに放熱特性を向上させることができ、実施例1の作用効果をさらに高めることができる。
【0063】
(実施例3)
本例は、図8〜図10に示すごとく、実施例1の構成を基本とし、LED搭載用基板2の外周縁部21と放熱部材3の開口端部31との巻締め加工の形態を変更し、周方向において6箇所のみにおいて巻締めを行う形態を採用した例である。
【0064】
図8、図9に示すごとく、本例で用いる放熱部材3は、実施例1と同様に放熱部材3を成形した後、開口端部31を周方向において6箇所において切り欠き、凸状に残った6箇所の開口端突片部315を設けた。一方、LED搭載用基板2は、実施例1と同様の全周にフランジ部210を有する形状とした。そして、巻き締め加工は、上記6箇所の開口端突片部315のみにおいて行った。
本例では、放熱部材3とLED搭載用基板2の周方向の接触状態は、接合箇所が6箇所、放熱部材3の開口端部とLED搭載用基板2のフランジ部210とが対面する周方向長さが全長の25%となった。
【0065】
本例の場合には、実施例1の場合よりも若干放熱特性が低下するものの、デザイン上、あるいは製造上の理由から全周の巻き締めができない場合であっても、後述するねじ固定の場合よりも放熱特性が向上させることができる。
【0066】
(実施例4)
本例は、実施例3の6箇所のみで巻締めする接合構成を基本とし、放熱部材3の素材を実施例2と同様のプレコートアルミニウム合金板を用いた点だけが異なる例である。
本例の場合も、放熱部材3とLED搭載用基板2の周方向の接触状態は、接合箇所が6箇所、放熱部材3の開口端部とLED搭載用基板2のフランジ部210とが対面する周方向長さが全長の25%となった。
【0067】
本例の場合には、放熱部材3に施した放熱性塗膜303の効果によって、さらに放熱特性を向上させることができ、実施例3の作用効果をさらに高めることができる。
【0068】
(実験例1)
実施例1〜実施例4のLED電球用部材の特性を定量的に評価するため、比較例も準備して実験を行った。
【0069】
(比較例1)
比較例1は、図11に示すごとく、基本構成を実施例1と同様とし、LED電球用部材2と放熱部材3との接合を、巻締めではなく、周方向4箇所のねじ固定とした。
すなわち、同図に示すごとく、放熱部材3の開口端部31とLED搭載用基板2のフランジ部210とに、それぞれ貫通穴319及び貫通穴219とを設けておき、これらにサイズM2のボルト51を通してナット52をねじ込んで固定する固定方法を採用した。
なお、本比較例1は、放熱部材3として、実施例1と同様に無塗装のアルミニウム合金板を用いた。その他は、実施例1と同様とした。
【0070】
(比較例2)
比較例2は、基本構成を実施例2と同様とし、LED電球用部材2と放熱部材3との接合を、巻締めではなく、周方向4箇所のねじ固定とした。ねじ固定方法は、上述した比較例1と同様である。なお、本比較例2は、放熱部材3として、実施例2と同様のプレコートアルミニウム合金板を用いた。その他は、実施例2と同様とした。
【0071】
(比較例3)
比較例3は、基本構成を比較例1と同様とし、LED電球用部材2と放熱部材3との接合を、巻締めではなく、ねじ固定とした例であって、その接合箇所を6箇所に増やした例である。ねじ固定方法は、上述した比較例1と同様である。
【0072】
(比較例4)
比較例4は、基本構成を比較例2と同様とし、LED電球用部材2と放熱部材3との接合を、巻締めではなく、ねじ固定とした例であって、その接合箇所を6箇所に増やした例である。ねじ固定方法は、上述した比較例1と同様である。
【0073】
<評価方法>
評価は、上記各LED電球用部材用いて作製したLED電球(図示略)を用いて行った。LED搭載用基板2には、LED素子8を覆う半球ドーム85(図6参照)を被せた。また、LED素子8としては、温度85℃の発熱をするタイプの白色LED素子を用いた。
【0074】
評価方法は、上記LED電球のLED素子8の近傍のLED搭載用基板2表面に温度測定用の熱電対(図示略)を固定し、通電発光の時間当たりの温度上昇を測定する方法である。
測定結果を表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
表1より知られるごとく、本発明の実施例である実施例1〜4のLED電球用部材は、巻締め加工による接合方法を採用していることにより、ねじ固定の比較例1〜4に比べて放熱性能に優れていることが分かる。また、放熱部材3を放熱性塗膜を施したプレコートアルミニウム合金板により構成した場合には、さらに放熱特性を高められることも分かった。
【0077】
(実施例5)
本例は、図12、図13に示すごとく、実施例1の構成を基本とし、放熱部材の形状のみを変更した例である。
すなわち、本例の放熱部材4は、同図に示すごとく、大径の開口端部41近傍を、外径の変化のほとんど無い円筒形状のストレート部410とした。また、小径の開口端部42に近づくにつれ外径が小さくなる略円錐形状のテーパ部420を、ストレート部410に連ねた。プレス成形方法は、最終形状が異なる以外は実施例1とほぼ同じである。
【0078】
また、本例の放熱部材4も、実施例1と同じ無塗装のアルミニウム合金板を素材として作製した。また、LED搭載用基板2の構成は、実施例1と同じであり、LED搭載用基板2と放熱部材4との接合方法も、実施例1と同じ巻締め加工を採用した。すなわち、LED搭載用基板2と放熱部材4との接合は、放熱部材4の開口端部41が、フランジ部210の外周面211、上端面212、及び内周面213に順次対向するように内向きに巻締め加工された状態となる。その他は、実施例1と同様である。
【0079】
(実施例6)
本例は、実施例2の構成を基本とし、放熱部材の形状のみを実施例5と同様に変更した例である。
また、本例の放熱部材は、実施例2と同じプレコートアルミニウム合金板を素材として作製した。また、LED搭載用基板2の構成は、実施例2と同じであり、LED搭載用基板2と放熱部材との接合方法も、実施例2と同じ巻締め加工を採用した。その他も、実施例2と同様である。
【0080】
(実施例7)
本例は、前述した実施例3の場合と同様に、実施例5の構成を基本とし、LED搭載用基板2の外周縁部21と放熱部材の開口端部31との巻締め加工の形態を変更し、周方向において6箇所のみにおいて巻締めを行う形態を採用した例である。
【0081】
本例では、放熱部材3とLED搭載用基板2の周方向の接触状態は、接合箇所が6箇所、放熱部材3の開口端部とLED搭載用基板2のフランジ部210とが対面する周方向長さが全長の25%となった。
【0082】
本例の場合には、実施例5の場合よりも若干放熱特性が低下するものの、デザイン上、あるいは製造上の理由から全周の巻き締めができない場合であっても、後述するねじ固定の場合よりも放熱特性が向上させることができる。
【0083】
(実施例8)
本例は、実施例7の6箇所のみで巻締めする接合構成を基本とし、放熱部材3の素材を実施例6と同様のプレコートアルミニウム合金板を用いた点だけが異なる例である。
本例の場合も、放熱部材3とLED搭載用基板2の周方向の接触状態は、接合箇所が6箇所、放熱部材3の開口端部とLED搭載用基板2のフランジ部210とが対面する周方向長さが全長の25%となった。
【0084】
本例の場合には、放熱部材3に施した放熱性塗膜303の効果によって、さらに放熱特性を向上させることができ、実施例3の作用効果をさらに高めることができる。
【0085】
(実験例2)
実施例5〜8のLED電球用部材の特性を定量的に評価するため、比較例も準備して実験を行った。
【0086】
(比較例5)
比較例5は、基本構成を実施例5と同様とし、LED電球用部材2と放熱部材4との接合を、巻締めではなく、周方向4箇所のねじ固定とした。ねじ固定方法は、上述した比較例1と同様である。その他は、実施例5と同様とした。
【0087】
(比較例6)
比較例6は、基本構成を実施例6と同様とし、LED電球用部材2と放熱部材3との接合を、巻締めではなく、周方向4箇所のねじ固定とした。ねじ固定方法は、上述した比較例1と同様である。なお、本比較例6は、放熱部材として、実施例4と同様のプレコートアルミニウム合金板を用いた。その他は、実施例6と同様とした。
【0088】
(比較例7)
比較例7は、基本構成を比較例5と同様とし、LED電球用部材2と放熱部材3との接合を、巻締めではなく、ねじ固定とした例であって、その接合箇所を6箇所に増やした例である。ねじ固定方法は、上述した比較例1と同様である。
【0089】
(比較例8)
比較例8は、基本構成を比較例6と同様とし、LED電球用部材2と放熱部材3との接合を、巻締めではなく、ねじ固定とした例であって、その接合箇所を6箇所に増やした例である。ねじ固定方法は、上述した比較例1と同様である。
【0090】
<評価方法>
評価は、実験例1と同様に、各LED電球用部材用いて作製したLED電球(図示略)を用いて行った。LED搭載用基板2には、LED素子8を覆う半球ドーム85(図11図13参照)を被せた。また、LED素子8としては、温度85℃の発熱をするタイプの白色LED素子を用いた。そして、LED電球のLED素子8の近傍のLED搭載用基板2表面に温度測定用の熱電対(図示略)を固定し、通電発光の時間当たりの温度上昇を測定した。
測定結果を表2に示す。
【0091】
【表2】

【0092】
表2より知られるごとく、本発明の実施例である実施例5〜8のLED電球用部材は、巻締め加工による接合方法を採用していることにより、ねじ固定の比較例5〜8に比べて放熱性能に優れていることが分かる。また、放熱部材3を放熱性塗膜を施したプレコートアルミニウム合金板により構成した場合には、さらに放熱特性を高められることも分かった。
【符号の説明】
【0093】
1 LED電球用部材
2 LED搭載用基板
21 外周縁部
210 フランジ部
3、4 放熱部材
31、41 開口端部
300 プレコートアルミニウム合金板
303 放熱性塗膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED素子を搭載するアルミニウム合金板よりなる円盤状のLED搭載用基板と、
アルミニウム合金板に塑性加工を加えることにより略円筒状又は略円錐状に成形してなる放熱部材とを有し、
上記LED搭載用基板の外周縁部と上記放熱部材の開口端部とが、巻締め加工により接合されていることを特徴とするLED電球用部材。
【請求項2】
請求項1に記載のLED電球用部材において、上記LED搭載用基板の上記外周縁部は略直角に立ち上がったフランジ部を有し、上記放熱部材の上記開口端部は、上記フランジ部の外周面、上端面、及び内周面に順次対向するように内向きに巻締め加工されていることを特徴とするLED電球用部材。
【請求項3】
請求項2に記載のLED電極用部材において、上記LED搭載用基板の上記フランジ部は周方向全周に設けられており、上記放熱部材の上記開口端部は、上記フランジ部の全周に対して巻き締め加工されていることを特徴とするLED電極用部材。
【請求項4】
請求項2に記載のLED電極用部材において、上記LED搭載用基板の上記フランジ部は周方向全周に設けられており、上記放熱部材の上記開口端部は、その周方向の複数箇所が部分的に巻き締め加工されていることを特徴とするLED電極用部材。
【請求項5】
請求項2に記載のLED電極用部材において、上記LED搭載用基板の上記フランジ部は周方向の複数箇所に部分的に設けられており、上記放熱部材の上記開口端部は、上記フランジ部に対応して、周方向の複数箇所が部分的に巻き締め加工されていることを特徴とするLED電極用部材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のLED電球用部材において、上記放熱部材は、アルミニウム合金板の両面又は片面に合成樹脂塗膜をプレコートしてなるプレコートアルミニウム合金板を用いて成形されており、該プレコートアルミニウム合金板の少なくとも一方の面にプレコートされた上記合成樹脂塗膜は、ベース樹脂中に放熱性物質を含有してなる放熱性塗膜を備えていることを特徴とするLED電球用部材。
【請求項7】
LED素子を搭載するアルミニウム合金板よりなる円盤状のLED搭載用基板と、略円筒状又は略円錐状の放熱部材とを接合してなるLED電球用部材を製造する方法であって、
アルミニウム合金板に塑性加工を加えることにより略円筒状又は略円錐状に成形してなる上記放熱部材を作製し、
該放熱部材の開口端部と上記LED搭載用基板の外周縁部とを巻締め加工することにより接合することを特徴とするLED電球用部材の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載のLED電球用部材の製造方法において、上記LED搭載用基板の上記外周縁部には略直角に立ち上がったフランジ部を形成し、上記放熱部材の上記開口端部を、上記フランジ部の外周面、上端面、及び内周面に順次対向するように内向きに巻締め加工することを特徴とするLED電球用部材の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載のLED電球用部材の製造方法において、上記巻締め加工は、複数回のプレス成形により、上記放熱部材の上記開口端部を径方向内側への曲げ加工を複数回重ねることにより行うことを特徴とするLED電球用部材の製造方法。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項に記載のLED電球用部材の製造方法において、上記放熱部材は、アルミニウム合金板の両面又は片面に合成樹脂塗膜をプレコートしてなり、少なくとも一方の面にプレコートされた上記合成樹脂塗膜がベース樹脂中に放熱性物質を含有してなる放熱性塗膜を備えてなるプレコートアルミニウム合金板を用いて成形することを特徴とするLED電球用部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−15083(P2012−15083A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181565(P2010−181565)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(000002277)住友軽金属工業株式会社 (552)
【出願人】(597099900)株式会社住軽テクノ恵那 (4)
【Fターム(参考)】