説明

MITF遺伝子発現促進物質

【課題】 安全でかつ効果の高いメラノサイト活性促進剤、およびそれを用いた抗白髪剤を提供する。
【解決手段】MITF遺伝子(microphtalmia−assoeiated transcription factor)発現促進物質は、ホップ中の微量成分であるカルコン類、フラバノン類およびイソフムロン類より成る群から選択される1種または2種以上の化合物を含有する。例えばカルコン類のキサントフモール、フラバノン類のイソキサントフモール等、イソフムロン類のイソフムロン等は1×10−7質量%の濃度で非常に高いMITF遺伝子発現促進効果を示した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メラノサイトにおけるMITF遺伝子の発現を高めることができるMITF遺伝子発現促進物質、ならびにそれを含有するメラノサイト活性促進剤および抗白髪剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メラノサイトにおけるメラニン合成活性を指標としたスクリーニングにおいて、ホップ抽出物がメラニン生成促進効果を有し、白髪防止効果を有することを我々は見出した(特許文献1)。
【0003】
ホップは、ヨーロッパ原産のつる性の多年草(学名:Humulus luplus)であり、その毬果(雌花が成熟したもの)を一般にはホップと称し、ビールの苦味、香りづけに用いられることで有名である。これらの苦味、香りは、ホップのルプリン部分(毬果の内苞の根元に形成される黄色の顆粒)よりもたらされる。ホップは民間薬としても用いられており、鎮静効果、入眠・安眠効果、食欲増進、健胃作用、利尿作用など多くの生理効果を有することが知られており、またその抗糖尿病作用についても報告されている(特許文献2および3)。また、最近では、ホップ毬果よりルプリン部分を除いたホップ苞に由来するポリフェノール類に関し、リパーゼ阻害作用、体重増加抑制作用等があるとの報告もされている(特許文献4および5)。ホップ成分であるフムロン類やキサントフモールについては、骨吸収抑制作用がin vitroの実験で示されている(特許文献6および7、非特許文献1)。また、ホップにエストロゲン活性があるということは以前から言われていたが(例えば非特許文献2を参照)、1999年になって初めて、ホップから女性ホルモン作用物質として8-プレニルナリンゲニンが単離されている(非特許文献3)。さらに、ホップ成分の異性化物に関して、例えばビール製造の過程(麦汁煮沸工程中)で添加されたホップ成分が異性化されてビール中に生成するものとしてイソフムロン類(イソα酸類)、イソキサントフモールが知られている。このうちイソフムロン類については、血糖値上昇抑制作用、脂質代謝改善作用、血圧降下作用、抗肥満作用、動脈硬化予防作用が、イソキサントフモールについては、閉経に伴う骨密度低下抑制作用などがそれぞれ報告されている(非特許文献4および5)。
【0004】
上記のように、ホップには様々な生理作用を有する多数の成分が含まれていることが知られているが、ホップ中のどの成分が白髪防止に寄与し得るかについては全く分かっていなかった。抗白髪効果を有する有効成分がホップ抽出物の微量成分である場合、ホップ抽出物を用いるより、その特定の有効成分を高濃度で配合した方がより高い抗白髪効果をもたらすことができると考えられる。
【0005】
一方で、白髪の発生は、メラノサイトのメラニン合成活性の低下のみならず、ヘアサイクルの転換時でのメラノサイトの増殖不全、再配置不全等、様々な要因が関与していることが分かっており、従って、より高い効果を有する抗白髪剤を開発するために、単にメラニン合成活性を促進するのみならず、メラノサイト活性を総合的に高めることができる物質の特定が強く望まれていた。従来の抗白髪物質のスクリーニング方法は、例えば、メラニン合成に関与するチロシナーゼ活性の測定や、メラニン生成量の視感判定等により、メラノサイトのメラニン合成活性を指標としており(例えば、特許文献1および8)、メラノサイト活性を総合的に評価できるin vitroのスクリーニング系はなかった。また、in vivoの評価系は、多数の物質を評価するのには適さず、特に微量成分についての評価が困難であった。
【0006】
MITF遺伝子(microphtalmia-associated transcription factor)は、メラノサイトの色素合成に関わるチロシナーゼならびにTRP1およびTRP2の転写制御を行う制御遺伝子であるが、単に色素合成に関わるのみならず、メラノサイトの分化、増殖、配置等、メラノサイトの活性全般に関与するマスター遺伝子として機能することが知られている(非特許文献6)。従って、MITF遺伝子の発現レベルはメラノサイト活性の総合的な指標となり、ホップ中のMITF遺伝子発現を高めることができる物質を特定することによって、メラニン合成活性のみならずメラノサイトの活性を総合的に高めることができる物質を特定できると考えられる。
【0007】
特許文献9には、毛包を構成する細胞等に被験物質を接触させた際の遺伝子発現量またはタンパク質発現量等に関する情報を用いたin vitroでのスクリーニング方法が提案されており、MITFに関してもその発現量の低下と白髪と関連性が示唆されているが、具体的にその発現量を指標としてin vitroで物質をスクリーニングすることについては全く記載されていない。実際に、通常メラノサイトの培養に用いられている市販の培地を用いた培養系では、MITFの発現量の変化を測定できなかった。
【特許文献1】特開2002−212039号公報
【特許文献2】特願昭48−121394号公報
【特許文献3】特願昭57−170277号公報
【特許文献4】特開2001−321166号公報
【特許文献5】特開2001−131080号公報
【特許文献6】特願平7−85405号公報
【特許文献7】特願平6−82852号公報
【特許文献8】特開平9−263540号公報
【特許文献9】特開2003−171240号公報
【非特許文献1】Biosci Biotech Biochem 61(1), 158-159 (1997)
【非特許文献2】Munch. Med. Wschr.95, 845 (1953)
【非特許文献3】J. Clinical Endocrinology & Metabolism 83(6), 2249-2252 (1999)
【非特許文献4】日本醸造協会誌98(4) 228-240(2003)
【非特許文献5】生物工学会81(12),521-524(2003))
【非特許文献6】松本二郎、溝口昌子著,「色素細胞」慶応義塾大学出版会,2001年10月20日,第6章
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑み、ホップ中の微量成分を含む様々な化合物の中から、MITF遺伝子発現を高めることができるMITF遺伝子発現促進物質を特定し、そのような物質を含有する、安全でかつ効果の高いメラノサイト活性促進剤および抗白髪剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、MITF遺伝子発現レベルの変化を指標としたin vitro の評価方法において、メラノサイトの培地中の塩基性繊維芽細胞増殖因子(b−FGF)の濃度を0.1ng/mlに下げることによって、ホップ抽出物によるMITF遺伝子発現の上昇を検出できること、ならびにそのような評価方法を用いてホップ中の各種化合物をスクリーニングすることによって、ホップ中の微量成分である特定のカルコン類、フラバノン類およびイソフムロン類がMITF遺伝子発現を顕著に高め得ることを見出し、本願発明を達成するに至った。
【0010】
b−FGFは天然に存在するメラノサイトの増殖因子であり、通常メラノサイトの培養に用いられている培地は、その増殖を促進および維持するためにb−FGFを3ng/ml程度の濃度で含有している。したがって、従来の方法では、そのような高濃度のb−FGFの存在によってMITFの発現レベルが亢進されて、ホップ抽出物によるMITF遺伝子の発現促進効果が隠れてしまって観察できなかったと考えられる。
【0011】
本発明のMITF遺伝子発現促進物質は、下記の一般式(I)で表されるカルコン類、下記の一般式(II)で表されるフラバノン類、および下記の一般式(III)で表されるイソフムロン類より成る群から選択される1種または2種以上の化合物を含有することを特徴とする:
【化1】

【0012】
(式中Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rはプレニル基またはゲラニル基を表す)
【化2】

【0013】
(式中Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、RおよびRは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、プレニル基またはゲラニル基を表し、RおよびRの何れか一方はプレニル基またはゲラニル基である)
【化3】

【0014】
(式中Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す)。
【0015】
好ましくは、本発明のMITF遺伝子発現促進物質に含まれる上記化合物は、キサントフモール、イソキサントフモール、6−プレニルナリンジェニン、8−プレニルナリンジェニン、イソフムロン、イソコフムロンおよびイソアドフムロンより成る群から選択される。
【0016】
また、本発明のMITF遺伝子発現促進物質は、異性化ホップエキスを含有することが好ましい。
【0017】
本明細書において、「異性化ホップエキス」は、ホップ抽出物をアルカリまたは酸化マグネシウム等の存在下で加熱あるいはその他公知の方法で異性化処理したものを意味する。異性化処理によって、ホップ抽出物中のフムロン類やキサントフモールがイソ化されるため、異性化ホップエキスは、異性化処理前のホップ抽出物よりも高濃度でイソフムロン類やイソキサントフモールを含有する。
【0018】
本発明のメラノサイト活性促進剤は、上記のMITF遺伝子発現促進物質を含有することを特徴とする。本明細書において、「メラノサイト活性促進」または「メラノサイトの活性を促進する」とは、メラノサイトの任意の活性を高めることを意味する。
【0019】
好ましくは、本発明のメラノサイト活性促進剤は抗白髪剤である。本明細書において「抗白髪」とは、白髪を防止または改善(黒化)することを意味する。
【発明の効果】
【0020】
本発明のMITF遺伝子発現促進物質は、上記の特定のカルコン類、フラバノン類および/またはイソフムロン類を含有するため、メラノサイトにおけるMITF遺伝子の発現を顕著に高めることができる。ホップ抽出物の主成分であるフムロン、コフムロンおよびアドフムロン等のフムロン類はメラノサイトにおけるMITF遺伝子の発現を促進できないのに対して、それらフムロン類が異性化されたイソフムロン類は高いMITF遺伝子発現促進効果を有している。異性化ホップエキスはイソフムロン類を高濃度で含有しており、したがって、本発明のMITF遺伝子発現促進物質が異性化ホップエキスを含有する場合、非常に高いMITF遺伝子発現促進効果をもたらすことができる。さらに、上記のカルコン類、フラバノン類およびイソフムロン類はいずれもホップの微量成分であるため、ホップ抽出物を配合するよりも、本発明のMITF遺伝子発現促進物質を配合することによって、より安全でかつ効果の高いメラノサイト活性促進剤および抗白髪剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明において用いられる上記一般式(I)で表されるカルコン類において、Rの具体例として例えば水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。好ましくは、R は水素原子、メチル基またはエチル基であり、R はプレニル基である。例えば、本発明において用いられるカルコン類として、キサントフモールが例示される。
【0022】
また、本発明において用いられる上記一般式(II)で表されるフラバノン類において、Rの具体例として例えば水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、RおよびRの具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プレニル基、ゲラニル基等が挙げられる。好ましくは、R は水素原子、メチル基またはエチル基であり、RおよびRの何れか一方がプレニル基で、他方が水素原子またはメチル基である。例えば、本発明において用いられるフラバノン類として、イソキサントフモール、6−プレニルナリンジェニン、8−プレニルナリンジェニン等が例示される。
【0023】
また、本発明において用いられる上記一般式(III)で表されるイソフムロン類において、Rの具体例として例えば水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。好ましくは、Rは、iso-プロピル等のプロピル基、またはiso-ブチル、sec-ブチル等のブチル基である。例えば、本発明において用いられるイソフムロン類として、イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン等が例示される。
【0024】
上記のカルコン類、フラバノン類およびイソフムロン類は、例えばホップのような天然動植物に由来するものであっても、または合成したものであっても差し支えない。例えば、各種クロマトを用いてホップ毬花、あるいはホップ抽出物より分取することができる。また、遠心分配クロマトを用いてホップ毬花の超臨界抽出物(ホップエキス)より、高純度のフムロン、アドフムロン、コフムロンが大量に精製できることも報告されている(J of Chromatography A 664 (1994) 45-53 A. C. J. Hermans-Lokkerbolら)。さらに再結晶により、純品を得ることもできる。
【0025】
あるいは、上記のカルコン類、フラバノン類および/またはイソフムロン類を含有する異性化ホップ抽出物等の天然物または人工組成物をそのまま、または濃縮もしくは分画等したものを本発明で用いることができる。
【0026】
本発明で用いられる異性化ホップエキスは、ホップ抽出物をアルカリ、または酸化マグネシウム存在下で加熱し更に異性化することにより調製することができる。あるいは、例えば、ホップ毬花粉砕物の炭酸ガス抽出物を異性化したエキス(例、Isomerized Kettle Extract (SS. Steiner社)、イソフムロン類とルプロン類が主成分)、ホップ毬花粉砕物の炭酸ガス抽出物を異性化した後、さらにカリウム塩化して粘性の低い液体とした水溶性エキス(例、ISOHOPCO2N (English Hop Products社)、ISOHOPR(Botanix社)、イソフムロン類が主成分)等の市販品を本発明において用いてもよい。また、ホップ毬花粉砕物をエタノール抽出した後、超臨界点炭酸抽出法により分画し、キサントフモール含量を高めたホップエキス(例、Xanthohumol-enriched hop product:Hopsteiner社)や、キサントフモール約80%を含む製品(Xantho-pure:Hopsteiner社)があるが、これらを異性化したものを、イソキサントフモールを高濃度で含む異性化ホップエキスとして使用することもできる。さらには、これらのエキスを濃縮して、さらに有効成分を高濃度で含有する分画物を本発明において用いてもよい。
【0027】
本発明において用いられるカルコン類、フラバノン類およびイソフムロン類ならびに異性化ホップエキスを調製するのに用いることができるホップ抽出物は、例えば毬花やその圧縮物をそのままもしくは粉砕後、抽出操作に供することによって調製することができる。抽出方法としては、例えば、ビール醸造に用いられるホップエキスの調製法として用いられるエタノール溶媒による抽出法や超臨界二酸化炭素抽出法などがある。このうち超臨界二酸化炭素抽出はポリフェノール成分が少なく、苦味質と精油成分がより高く濃縮されるなどの特徴を有する。また、ホップ抽出法として、その他一般に用いられる方法を採用することができ、例えば、溶媒中にホップの毬花、その粉砕物などを冷浸、温浸等によって浸漬する方法;加温し攪拌しながら抽出を行い、濾過して抽出液を得る方法;またはパーコレーション法等が挙げられる。得られた抽出液は、必要に応じてろ過または遠心分離によって固形物を除去した後、使用の態様により、そのまま用いるか、または溶媒を留去して一部濃縮若しくは乾燥して用いてもよい。また濃縮乃至は乾燥後、さらに非溶解性溶媒で洗浄して精製して用いても、またこれを更に適当な溶剤に溶解もしくは懸濁して用いることもできる。更に、例えば、上記のようにして得られた溶媒抽出液を、減圧乾燥、凍結乾燥等の通常の手段によりホップ抽出エキス乾燥物として使用することもできる。上記の抽出に用いられる溶媒としては、例えば、水;メタノール,エタノール,プロパノールおよびブタノール等の炭素数1〜4の低級アルコール;酢酸エチルエステル等の低級アルキルエステル;エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのグリコール類;その他エチルエーテル、アセトン、酢酸等の極性溶媒;ベンゼンやヘキサン等の炭化水素;エチルエーテルや石油エーテルなどのエーテル類等の非極性溶媒の公知の有機溶媒を挙げることができる。これら溶媒は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて使用することもできる。その後必要に応じて不溶物をろ過により除去したり、減圧等により濃縮し、溶媒を乾固させてもよい。また毬花を粉砕したものを超臨界点炭酸抽出、あるいは液化炭酸ガス抽出することも好ましい。
【0028】
本発明のMITF遺伝子発現促進物質は、上記のカルコン類、フラバノン類および/またはイソフムロン類を1種単独で、または2種以上を組合せて含有していてよい。本発明のMITF遺伝子発現促進物質におけるそれら化合物の含有量は、特に限定はされないが、好ましくは、本発明のMITF遺伝子発現促進物質の全質量に対して、0.01〜100質量%であり、より好ましくは0.05〜50質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。また、本発明のMITF遺伝子発現促進物質は、本発明の所望の効果を損なわない限り、上記の特定のカルコン類、フラバノン類および/またはイソフムロン類の他に、任意の他の成分を含有していて差し支えない。
【0029】
本発明のメラノサイト活性促進剤(以下、本剤とも称する)は上記のMITF遺伝子発現促進物質を含有する。本剤において、上記のMITF遺伝子発現促進物質の配合量は本剤の具体的用途、配合する物質の種類や組合せ等に応じて適宜決められ、特に限定はされないが、好ましくは、本剤の全質量に対して、カルコン類、フラバノン類および/またはイソフムロン類の含有量が0.001〜10質量%、より好ましくは0.005〜5質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%になるように配合する。
【0030】
本発明のメラノサイト活性促進剤は、メラノサイトの活性を高めることによる様々な効果を企図する剤であり、その使用態様は、特に限定はされず、例えば、毛髪におけるメラノサイトを活性化して白髪を防止または改善する抗白髪剤や、美容上の理由等から皮膚を積極的に黒化させるためのタンニング剤等が挙げられる。
【0031】
メラノサイト活性促進剤がこれらのいずれの態様をとる場合であっても、上記の特定のカルコン類、フラバノン類および/またはイソフムロン類を含有するMITF遺伝子発現促進物質の他に、本発明の所望の効果を損なわない限り、その具体的態様等に応じて任意の他の成分を配合することができる。
【0032】
例えば、通常の毛髪用剤や皮膚外用剤に配合され得る一般的な基剤成分や薬効成分を、必要に応じて本発明のメラノサイト活性促進剤に配合することができる。具体的には、希釈剤,界面活性剤,高級アルコール,油分,保湿剤,増粘剤,溶剤,使用性向上剤,防腐剤,酸化防止剤,金属イオン封鎖剤,紫外線防御剤,粉末成分,各種の薬剤,色剤,香料等を目的とする剤型や形態に応じて適宜使用して製剤化することができる。
【0033】
希釈剤としては、例えば水,エタノール,イソプロピルアルコール,グリコール類等が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩,ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩,アルキル硫酸エステル塩,オレフィンスルホン酸塩,アルキルリン酸塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩,ジアルキルスルホコハク酸塩,脂肪酸塩等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレン脂肪酸エステル,多価アルコール脂肪酸部分エステル,ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体,脂肪酸ジエタノールアミド等が挙げられる。陽イオン性界面活性剤としては、例えば第3級脂肪族アミン塩,アルキルトリメチルアンモニウムハライド,ジアルキルジメチルアンモニウムハライド等が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えばアミドベタイン型,イミダゾリニウムベタイン型,スルホベタイン型等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0034】
高級アルコールとしては、例えばセチルアルコール,ステアリルアルコール,ベヘニルアルコール等を挙げることができる。油分としては、例えば高級脂肪酸,固形パラフィン,流動パラフィン,シリコーン油,高分子シリコーンとその誘導体,スクワラン,ワセリン,エステル油等が挙げられる。保湿剤としては、例えばグリセリン.プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール,ジプロピレングリコール,ソルビトール等を挙げることができる。増粘剤としては、例えばメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,カラギーナン,カルボキシメチルセルロース,カチオン化セルロース等を挙げることができる。粉末成分としては、例えばシリカ,ナイロンパウダー,ポリエチレンパウダー等の粉末樹脂等を挙げることができる。
【0035】
本発明のメラノサイト活性促進剤が抗白髪剤である場合、通常頭皮頭髪用製剤としての形態をとるのが一般的であり、本発明の所望の効果を損なわない限り、養毛成分として一般的に用いられている成分をさらに配合して、抗白髪効果と養毛効果を同時に発揮し得る、頭皮頭髪用剤とすることも可能である。
【0036】
このような養毛成分としては、例えば塩化カプロニウム,センブリ抽出物,アセチルコリン等の血管拡張剤;セリン,メチオニン,アルギニン等のアミノ酸類、ビタミンB6 ,ビタミンE類,ビオチン等のビタミン類、パントテン酸とその誘導体、グリチルリチン酸とその誘導体、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸エステル類、セファランチン等の皮膚機能亢進剤、エストラジオール等の女性ホルモン剤等を挙げることができる。
【0037】
さらに例えば、ヒノキチオール,ヘキサクロロフェン,ベンザルコニウムクロリド,ウンデシレン酸,トリクロロカルバニリド,ビチオノール等の抗菌剤、メントール等の清涼剤、サリチル酸,亜鉛とその誘導体,乳酸とそのアルキルエステル等の活性物質、クエン酸等の有機酸類等も本発明の抗白髪剤中に配合することができる。
【0038】
本発明のメラノサイト活性促進剤の剤型は、液剤,乳剤,軟膏等の皮膚又は頭皮に適用できる性状のものであればいずれでもよく、一般的にエモリエントローション,エモリエントクリーム,モイスチャージェル,化粧水,ヘアトニック,ヘアリキッド,スカルプトトリートメント,ヘアークリーム,エアゾールムース,エアゾールスプレー,ヘアージェル,スプレームース等の形態を採ることができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0040】
MITF遺伝子の発現レベルの測定
MITFにはN末端領域のみが異なる少なくとも5種のアイソフォームが存在し、それらの中でメラノサイトにおいて特異的に発現されているMITF−Mがメラノサイトの分化過程においてマスター遺伝子的に機能する。従って、本明細書において、「MITF」とは、特に指定がない限りMITF−Mを意味するものであり、「MITF遺伝子の発現」とはMITF−Mに関するものを意味する。
【0041】
MITF遺伝子の発現レベルの測定は、RT−PCR法を用いて行った。培養した細胞からmRNAを抽出し、逆転写酵素(Invitrogen社のSuperscriptII(商標))を用いてcDNAを合成し、合成されたcDNAを鋳型として、以下の配列番号1および2の配列のプライマーを用いてPCRを行った。
【0042】
MITF−Mは他の4種のアイソフォームとは異なる固有のN末領域を有しており、従って、そのN末端をコードするエキソンに特異的な配列を有する配列番号1および/または配列番号2の配列をそれぞれフォワード側またはリバース側のプライマーとして用いることによって、MITF−Mを特異的に検出できる:
MITF−M−F(フォワード):ACCGTCTCTCACTGGATT(配列番号1)
MITF−M−R(リバース) :CTTTACCTGCTGCCGTTG(配列番号2)
【0043】
PCR反応の途中経過は、サイバーグリーンの取り込みによって上昇する蛍光強度を指標に、ロシュ・ダイアグノスティックス社のLightCycler(商標)を用いてモニターした。モニターにより得られた増幅曲線を元に、mRNA中のMITFmRNA量を計算した。反応産物を回収し、アガロースゲル電気泳動によってシングルバンドであることを確認した。同様に、細胞あたりの発現量が一定であるハウスキーピング遺伝子のG3PDHの発現レベルをRT−PCRおよびLightCyclerにより増幅および検出した。G3PDHの発現レベルを基準とし、MITF/G3PDHとして、MITF遺伝子の発現レベルを標準化した。
【0044】
MITF遺伝子発現レベルの変化を指標とした評価方法の検討
培養メラノサイト(Cas1520)を約1.5×105 /ウェルで24穴プレートに播種し、M154s・HMGS培地(Cascade Biologics, Inc.)中のb−FGF濃度を3ng/mlまたは0.1ng/mlになるように調整した培地中で24時間予備培養した後、1x10−6質量%のホップ抽出物(エタノールに溶解)を添加し、または対照としてエタノールを添加し、さらに24時間培養した。ホップ抽出物は、ホップ(雌花穂 乾燥物)を、ゆるやかに加温しながら50%エタノール中に1週間浸漬し、抽出液から溶媒を留去して調製した。培養後の細胞を回収し、上述した方法に基づいて、MITF遺伝子の発現レベルを測定した。結果は、それぞれのb−FGF濃度において、エタノールを添加した試料におけるMITF/G3PDHに対する、ホップ抽出物を添加した試料におけるMITF/G3PDHの割合(%)として表した。結果を図1に示す。
【0045】
b−FGFを3ng/mlの濃度で含有する培地中でメラノサイトを培養すると、ホップ抽出物の添加によるMITF遺伝子の発現レベルの変化を検出できなかったが、b−FGFを0.1ng/mlの濃度で含有する培地中でメラノサイトを培養することによって、ホップ抽出物によるMITF遺伝子の発現レベルの上昇を検出することができた。従来のメラノサイト用の培地は3ng/mlの濃度でb−FGFを含有しており、従って、従来の方法では、そのような高濃度のb−FGFの存在によってMITFの発現レベルが亢進されて、ホップ抽出物によるMITF遺伝子の発現促進効果が隠れてしまって観察できなかったと考えられる。本発明者は、培地中のb−FGFの濃度を0.1ng/mlに下げて評価することによって、メラノサイトにおけるMITF遺伝子発現レベルの変化の検出が可能であることを見出した。本方法はin vitro法であるため、微量成分の評価も容易に行うことができる。以下この評価方法を用いて、MITF発現促進効果についてホップ中の各種化合物をスクリーニングした。
【0046】
ホップ中の化合物のスクリーニング
M154s・HMGS培地(Cascade Biologics, Inc.)のb−FGF濃度を0.1ng/mlになるように調整した培地を用いて、表1に示すホップ中の各化合物(実施例1から7、および比較例1から4)を評価した:
【表1】

【0047】
各化合物は、以下のように調製した。
【0048】
イソフムロン、イソアドフムロン、イソコフムロンについては、水溶性の異性化ホップエキス(商品名、ISOHOPCO2N (English Hop Products社製)より、分取用HPLC(島津製作所 LC-8ポンプ、PDA連動フラクションコレクターシステム)を用いて精製を行った。条件は、移動層:85%メタノール、15%(1%ギ酸水)、カラム:YMC-ODS-AQ 25X250mm、流速:20ml/分で行った。
【0049】
フムロン、コフムロン、アドフムロンについては、ホップエキス(商品名、CO2 Pure Resin Extract(Hopsteiner社製)から移動層:67%メタノール、33%(1%ギ酸水)、カラム:YMC-ODS-AQ 25X250mm、流速:20ml/分で精製を行った。分取した画分について酢酸エチルで抽出を行なった後、減圧乾固し重量測定を行った。尚、比較例1で用いた試料は、イソフムロンとアドフムロンとを含有する。
【0050】
ルプロン、コルプロンについては、乾燥ホップのエタノール抽出物から、移動層:90%メタノール、10%(1%ギ酸水)、カラム:YMC-Pack 10X250mm、流速:2ml/分で精製を行った。分取した画分について酢酸エチルで抽出を行なった後、減圧乾固し重量測定を行った。尚、比較例3で用いた試料は、ルプロンとアドルプロンとを含有する。
【0051】
キサントフモールについては、市販品(Apin chemical社製)を用いた。また、ホップより精製して得ることもできる。例えば、乾燥ホップをエタノール抽出し、ろ過後、減圧濃縮する。さらに、ヘキサンと85%エタノール水溶液を用いた液―液分配処理によりエタノール水溶液層を分取し、減圧下で濃縮する。得られた濃縮物をクロロホルム:ヘキサン(5:2)に溶解し、シリカゲル系カラムによりキサントフモール溶出画分を分取する。溶出液を減圧濃縮し、再結晶を繰り返すことにより精製が可能である。
【0052】
イソキサントフモールについては、次のように精製した。ホップエキス(商品名、Xanthohumol enriched hop product (Hopsteiner社)に水に加え煮沸し、熱異性化させた後、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル層を減圧乾固した後、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Kieselgel 60)で分画した。カラムは30%酢酸エチル/n-ヘキサンで洗浄後、60%酢酸エチル/n-ヘキサンで溶出しイソキサントフモール溶出画分を分取した。これを減圧乾固し、メタノールに溶解し分取用HPLCにて更に精製した。HPLCの条件は、移動層:45%アセトニトリル、55%蒸留水、カラム:YMC-ODS-AQ 25X250mm 流速:10ml/分で行った。精製して得られたイソキサントフモールはHPLC分析および核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定で純度および構造を確認した。
【0053】
6-プレニルナリンゲニン、8-プレニルナリンゲニンは文献(Tetrahedron Vol 34, (1978) 3563-3567 A.C.Jain等)記載の情報を基にナリンゲニンより化学合成した。合成反応生成物からの6-プレニルナリンゲニン、8-プレニルナリンゲニンの精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Kieselgel 60)により両化合物の溶出画分(80%n-ヘキサン/20%酢酸エチル)を分取した。更にこれを分取用HPLCにて精製した。HPLCの条件は、移動層:A液 アセトニトリル、B液 蒸留水40%〜100%によるグラジエント溶出、カラム:関東化学RP-18 10X250mm 流速:2.5ml/分で行った。精製して得られた両化合物はHPLC分析および核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定で純度および構造を確認した。
【0054】
用いた試料はすべてエタノールで終濃度0.1%濃度になるように調整し、さらにアッセイ用培地で適宜希釈して、添加した。
【0055】
培養メラノサイト(Cas1520)を約1.5×105 /ウェルで24穴プレートに播種し、M154s・HMGS培地(Cascade Biologics, Inc.)で24時間予備培養した後、b−FGF濃度を0.1ng/mlになるように調整した培地に、エタノールに溶解した各被験物質(実施例1から7、および比較例1から4)を1x10−7質量%の濃度になるように添加し、または対照としてエタノールを添加し、さらに24時間培養した。培養後の細胞を回収し、上述した方法に基づいて、MITF遺伝子の発現レベルを測定した。結果は、エタノールを添加した試料におけるMITF/G3PDHに対する、被験物質を添加した試料におけるMITF/G3PDHの割合(%)として表した。
【0056】
結果を図2に示す。驚くべきことに、ホップの微量成分である、上記の一般式(I)で表されるカルコン類であるキサントフモール(実施例1)、上記の一般式(II)で表されるフラバノン類であるイソキサントフモール(実施例2)、6−プレニルナリンジェニン(実施例3)および8−プレニルナリンジェニン(実施例4)、ならびに上記の一般式(III)で表されるイソフムロン類であるイソフムロン(実施例5)、イソコフムロン(実施例6)およびイソアドフムロン(実施例7)は、1x10−7質量%の濃度で、非常に高いMITF遺伝子発現促進効果を示した。
【0057】
一方、ホップの主成分であるフムロン、アドフムロンおよびコフムロン等のフムロン類(比較例1および2)、ならびにルプロン、アドルプロンおよびコルプロン等のルプロン類(比較例3および4)は、全くMITF遺伝子発現を高めることができなかった。データは示していないが、これら化合物は、1x10−4質量%の濃度でも全くMITF遺伝子発現を高めることができなかった。
【0058】
以下に、本発明のメラノサイト活性促進剤の処方例を示す。尚、配合量は全て製剤全量に対する質量%で表す。
【0059】
処方例1 O/W乳液型抗白髪剤
(A相)
ポリオキシエチレン(60モル)付加硬化ヒマシ油 2.0質量%
グリセリン 10.0
キサントフモール 0.001
ジプロピレングリコール 10.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ポリエチレングリコール1500 5.0
(B相)
セチルイソオクタネート 10.0
スクワラン 5.0
ワセリン 2.0
プロピルパラベン 2.0
(C相)
カルボキシビニルポリマー1%水溶液 30.0
ヘキサメタリン酸ソーダ 0.03
イオン交換水 8.35
(D相)
カセイカリ 0.12
イオン交換水 残 余

(製造法)
A相、B相をそれぞれ60℃で加熱溶解し、混合してホモミキサー処理しゲルを作る。次に、これに溶解したC相を加え、最後に溶解したD相を添加し、ホモミキサーで乳化してO/W乳液型の抗白髪剤を得た。
【0060】
処方例2 クリーム状抗白髪剤
(A相)
流動パラフィン 5.0質量%
セトステアリルアルコール 5.5
グリセリルモノステアレート 3.0
イソキサントフモール 0.001
プロピルパラベン 0.3
香料 0.1
(B相)
ビタミンEコハク酸エステル 5.0
グリセリン 8.0
ジプロピレングリコール 20.0
ポリエチレングリコール4000 5.0
ドデシル硫酸ナトリウム 0.1
ヘキサメタリン酸ソーダ 0.005
イオン交換水 45.095

(製造法)
A相、B相をそれぞれ加熱溶解して混合し、ホモミキサーで乳化してクリーム状抗白髪剤を得た。
【0061】
処方例3
イソフムロン 0.001質量%
ステアリルジメチルアミンオキシド 0.5
硬化ヒマシ油エチレンオキシド(40モル)付加物 1.0
95%エタノール 54.0
イオン交換水 残 余

(製造法)
95%エタノールにイオン交換水を加え、これに硬化ヒマシ油エチレンオキシド(40モル)付加物及びステアリルジメチルアミンオキシドを加えた後、イソフムロンを加え、攪拌溶解した。
【0062】
処方例4
N−ヤシラウリル−β−アミノプロピオン酸ソーダ 0.2質量%
イソコフムロン 0.001
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.5
硬化ヒマシ油エチレンオキシド(40モル)付加物 1.0
95%エタノール 54.0
イオン交換水 残 余

(製造法)
95%エタノールにイオン交換水を加え、これに硬化ヒマシ油エチレンオキシド(40モル)付加物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びN−ヤシラウリル−β−アミノプロピオン酸ソーダを加えた後、イソコフムロンを加え、攪拌溶解した。
【0063】
処方例5 ローション
(A相)
ソルビトール 3.0質量%
グリセリン 5.0
レゾルシン 0.02
イオン交換水 残 余
(B相)
イソアドフムロン 0.001
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
95%エタノール 20.5
香料 適 量

(製造法)
A相の各成分を混合溶解し、これにB相の混合溶液を攪拌しながら加えて均質な溶液とし、ローションを調製した。
【0064】
処方例6
(A相)
ミツロウ 10.0質量%
パラフィンワックス 6.0
ラノリン 3.0
イソプロピルミリステート 6.0
スクワラン 8.0
流動パラフィン 26.0
ポリオキシエチレンソルビタンステアレート 2.0
ソルビタンモノステアレート 4.2
防腐剤 適 量
(B相)
プロピレングリコール 2.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.0
6−プレニルナリンジェニン 0.001
精製水 残 余

(製造法)
A相の成分を混合し、約75℃で加熱溶解し、これに75℃に加熱したB相の混合液を攪拌しながら加えた後、45℃になるまで冷却しながら攪拌を続け、放置してクリームを得た。
【0065】

処方例7 O/W乳液型抗白髪剤
(A相)
8−プレニルナリンジェニン 0.001質量%
ポリオキシエチレン(60モル)付加硬化ヒマシ油 2.0
グリセリン 10.0
ジプロピレングリコール 10.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ポリエチレングリコール(分子量1500) 5.0
(B相)
セチルイソオクタネート 10.0
スクワラン 5.0
ワセリン 2.0
プロピルパラベン 2.0
(C相)
カルボキシビニルポリマー1%水溶液 30.0
ヘキサメタリン酸ソーダ 0.03
イオン交換水 8.35
(D相)
イオン交換水 4.5
(E相)
カセイカリ 0.12
イオン交換水 残 余

(製造法)
A相、B相をそれぞれ60℃で加熱溶解し、混合してホモミキサー処理しゲル状物質を得た。これにD相を徐々に添加しホモミキサーで分散した後、ここに溶解したC相を加え、さらに溶解したE相を添加し、ホモミキサーで乳化してO/W乳液を得た。
【0066】
処方例8 クリーム状抗白髪剤
(A相)
イソキサントフモール 0.01質量%
流動パラフィン 5.0
セトステアリルアルコール 5.5
グリセリルモノステアレート 3.0
EO(20モル)−2−オクチルドデシルエーテル 3.0
プロピルパラベン 0.3
香料 0.1
(B相)
グリセリン 8.0
ジプロピレングリコール 20.0
ポリエチレングリコール(分子量4000) 5.0
ヘキサメタリン酸ソーダ 0.005
イオン交換水 残 余

(製造法)
A相、B相をそれぞれ加熱溶解して混合し、ホモミキサーで乳化してクリームを得た。
【0067】
処方例9 ヘアトニック
イソフムロン 0.01質量%
ペパーミント(1,3−ブチレングリコール溶液) 0.1
N,N−ジメチル−2−ドデシルアミンオキシド 1.0
ヒノキチオール 1.0
ビタミンB6 0.2
ビタミンEアセテート 0.02
メントール 0.2
センブリエキス 1.0
サリチル酸 0.1
マイカイカ(エタノール抽出液) 0.5
プロピレングリコール 2.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
ポリオキシエチレン(10モル)モノステアレート 2.0
75%エタノール 残 余

(製造法)
75%エタノールに上記各成分を順次添加し、攪拌溶解してヘアトニックを得た。
【0068】
処方例10 ヘアトニック
イソコフムロン 0.01質量%
アルテア(エタノール抽出液) 1.5
ヨクイニン(エタノール抽出液) 1.5
N,N−ジメチル−2−テトラデシルアミンオキシド 0.05
ヒノキチオール 1.0
ビタミンB6 0.2
ビタミンEアセテート 0.02
メントール 0.2
サリチル酸 0.1
カッコン(エタノール抽出液) 0.5
プロピレングリコール 0.01
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
ポリオキシエチレン(10モル)モノステアレート 2.0
70%エタノール 残 余

(製造法)
70%エタノールに上記各成分を順次添加し、攪拌溶解してヘアトニックを得た。
【0069】
処方例11 エアゾール抗白髪剤
(原液処方)
キサントフモール 0.01質量%
95%エタノール 50.0
グリチルレチン酸 0.1
アルテア(エタノール抽出液) 0.05
ペパーミント(エタノール抽出液) 0.05
センブリエキス 0.1
ラウリル硫酸ナトリウム 0.1
N,N−ジヒドロキシメチル−2− 0.2
デシルアミンオキシド
硬化ヒマシ油エチレンオキシド(40モル)付加物 0.5
乳酸 適 量
乳酸ナトリウム 適 量
香料 適 量
色素 適 量
精製水 残 余
(充填処方)
原液 50.0
液化石油ガス 50.0

(製造法)
原液処方を溶解した後、これを缶に充填し、バルブ装着後、ガスを充填してエアゾール製剤を得た。
【0070】
上記の処方例の製剤は、いずれも優れたメラノサイト活性促進効果および抗白髪効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】MITF遺伝子発現レベルの変化を指標とした評価方法における培地中のb−FGFの濃度の検討結果を示すグラフ
【図2】MITF遺伝子発現促進効果に関するホップ中の各種化合物のスクリーニング結果を示すグラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I)で表されるカルコン類、下記の一般式(II)で表されるフラバノン類、および下記の一般式(III)で表されるイソフムロン類より成る群から選択される1種または2種以上の化合物を有効成分として含有するMITF遺伝子発現促進物質。
【化1】

(式中Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rはプレニル基またはゲラニル基を表す)
【化2】

(式中Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、RおよびRは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、プレニル基またはゲラニル基を表し、RおよびRの何れか一方はプレニル基またはゲラニル基である)
【化3】

(式中Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す)。
【請求項2】
前記化合物が、キサントフモール、イソキサントフモール、6−プレニルナリンジェニン、8−プレニルナリンジェニン、イソフムロン、イソコフムロンおよびイソアドフムロンより成る群から選択されることを特徴とする請求項1記載のMITF遺伝子発現促進物質。
【請求項3】
異性化ホップエキスを含有することを特徴とする請求項1または2記載のMITF遺伝子発現促進物質。
【請求項4】
請求項1から3いずれか1項記載のMITF遺伝子発現促進物質を含有するメラノサイト活性促進剤。
【請求項5】
抗白髪剤であることを特徴とする請求項4記載のメラノサイト活性促進剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−28143(P2006−28143A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213569(P2004−213569)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【出願人】(000253503)麒麟麦酒株式会社 (247)
【復代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
【Fターム(参考)】