説明

PTPシートの製造装置及び製造方法

【課題】PTPシートの強度向上を図ると共に、PTPシートの外観品質の低下抑制等を図ることのできるPTPシートの製造装置及び製造方法を提供する。
【解決手段】PTP包装機は、容器フィルム3にポケット部2を形成するポケット部形成装置、当該ポケット部2に錠剤を投入する錠剤投入装置、ポケット部2を塞ぐように帯状のカバーフィルムを取着する連続送りロール等、カバーフィルム取着後のPTPフィルムからPTPシート1を打ち抜くと共に、当該PTPシート1のシート横方向両端部にシート縦方向に沿って折り曲がった折曲部8を形成するシート打抜装置等を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤等を収容するPTPシートを製造するための製造装置及び製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PTPシートは、錠剤等の内容物が充填されるポケット部が形成された容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとから構成されている。一般に、PTPシートは、容器フィルムがPP(ポロプロピレン)等の樹脂材料により形成され、カバーフィルムがアルミニウム等の金属材料により形成されている。
【0003】
近年では、材料費や環境上の観点等からPTPシートの薄肉化が図られている。また、PTPシートが薄くなると撓みや変形等が生じやすくなるため、これに鑑み、PTPシートにリブを形成して強度を高める技術等も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−252369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般にPTPシートは、その製造後、複数枚まとめてバンド掛けされたり、そのシート横方向一端側を所定の爪部材によって押されるようにして移送される(図9,10参照)。
【0006】
そのため、上記製造後の各種作業工程において、リブの形成されないPTPシートの端面(シート横方向両端側の端面)が局所的に潰れる等して変形してしまい、PTPシートの外観品質が低下するおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、PTPシートの強度向上を図ると共に、PTPシートの外観品質の低下抑制等を図ることのできるPTPシートの製造装置及び製造方法を提供することを主たる目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0009】
手段1.所定の内容物を収容するための複数のポケット部を有する容器フィルムと、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを備えたPTPシートを製造するためのPTPシートの製造装置であって、
帯状の前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムを略矩形状のPTPシート単位に打ち抜くシート打抜手段と、
前記PTPシートのシート横方向(短辺方向)両端部に、シート縦方向(長辺方向)に沿って折り曲がった折曲部を形成する折曲部形成手段とを備えたことを特徴とするPTPシートの製造装置。
【0010】
上記手段1によれば、複数のポケット部が形成された容器フィルムにカバーフィルムが取着されてなる帯状のPTPフィルムがシート単位で打ち抜かれることでPTPシートが製造される。さらに、当該PTPシートには、そのシート横方向両端部にシート縦方向に沿って折り曲がった折曲部が形成される。
【0011】
当該折曲部が形成されることにより、PTPシートの強度を向上させることができる。また、PTPシートの搬送時やバンド結束時等において、PTPシートのシート横方向両端側の端面に対し直接負荷がかからず、当該負荷を折曲部の面で受けることができるため、搬送時等に受ける外圧によりPTPシートの端面が局所的に潰れ変形してしまうといった不具合の発生を低減することができる。結果として、PTPシートの外観品質の低下抑制を図ることができる。
【0012】
手段2.前記シート打抜手段の機能と前記折曲部形成手段の機能とを備えてなるシート打抜装置を備えたことを特徴とする手段1に記載のPTPシートの製造装置。
【0013】
上記手段2によれば、シート打抜手段と折曲部形成手段とを一体化することにより、生産効率の向上、製造工程の簡素化等を図ることができる。また、PTPフィルムの搬送方向と、PTPシートのシート縦方向が直交する設定の下においても、より簡単に折曲部を形成することができる。より具体的な構成としては、以下の手段3に記載した構成等が一例に挙げられる。
【0014】
手段3.前記シート打抜装置は、
前記PTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜くための打抜刃を有する第1可動部材(パンチ)と、
前記打抜刃に対応して設けられた第1打抜孔を有する第1固定部材(第1ダイ)と、
前記第1打抜孔よりも横幅(第1打抜孔を通して第1可動部材により打ち抜かれたPTPシートのシート横方向に沿った幅)が狭く設定された第2打抜孔を有する第2固定部材(第2ダイ)と、
前記第2打抜孔を通して前記PTPシートを押出す第2可動部材(プッシャ)とを備えていることを特徴とする手段2に記載のPTPシートの製造装置。
【0015】
上記手段3によれば、第1可動部材に具備された打抜刃が第1固定部材の打抜孔に入り込むことで、第1可動部材と第1固定部材との間に配された帯状のPTPフィルムからPTPシートが打抜かれる。続けて、打ち抜かれたPTPシートのシート横方向両端部が第2固定部材の第2打抜孔の縁部に引っ掛かった状態で、当該PTPシートを第2可動部材により第2打抜孔を介して押出すことで、シート横方向両端部に折曲部が形成されたPTPシートが製造される。つまり、第1可動部材及び第1固定部材によりシート打抜手段が構成され、第2可動部材及び第2固定部材により折曲部形成手段が構成される。結果として、比較的簡素な構成で上記手段2の構成を実現することができる。
【0016】
尚、帯状のPTPフィルムとして搬送されている段階、すなわちPTPフィルムからPTPシートを打抜く前の段階において、PTPシート対応部分に折曲部を折り曲げ形成しようとすると、当該折り曲げによりPTPフィルムの長手方向におけるPTPシートのシート形成ピッチが変化してしまうため、フィルム搬送に支障をきたすおそれがある。この点、PTPシートの打抜きに併せて折曲部を形成する構成とすれば、PTPフィルムの搬送に影響を与えなくて済む。
【0017】
手段4.前記PTPシートを所定のポケット部単位のシート小片に切離すための切離線をシート横方向に沿って形成するための切離線形成手段を備えたことを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のPTPシートの製造装置。
【0018】
錠剤等を収容するPTPシートにおいては、一般にシート小片に切離すためのスリット等の切離線が形成される。切離線をPTPシートのシート横方向に沿って形成する構成の下、仮にシート縦方向に沿ってリブを形成した場合、当該リブが切離線と交差し、断続的なものなってしまうため、強度向上の効果が得られないおそれがある。また、リブと切離線の両者を形成する場合、どちらを先に形成したとしても、一方を形成した後には他方が形成し難くなる。さらに、リブが形成されていると、PTPシートをシート小片に切離しにくくなるおそれがある。この点、本願では、リブに代えて、折曲部を形成することで、上記種々の不具合の発生を抑制することができる。
【0019】
手段5.所定の内容物を収容するための複数のポケット部を有する容器フィルムと、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを備えたPTPシートを製造するためのPTPシートの製造方法であって、
帯状の前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填工程と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着工程と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムを略矩形状のPTPシート単位に打ち抜くシート打抜工程と、
前記PTPシートのシート横方向両端部に、シート縦方向に沿って折り曲がった折曲部を形成する折曲部形成工程とを備えたことを特徴とするPTPシートの製造方法。
【0020】
上記手段5によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。
【0021】
手段6.前記シート打抜工程と共に、前記折曲部形成工程を行うことを特徴とする手段5に記載のPTPシートの製造方法。
【0022】
上記手段6によれば、シート打抜工程と共に、折曲部形成工程を行うことにより、上記手段2と同様の作用効果が奏される。
【0023】
手段7.前記PTPシートを所定のポケット部単位のシート小片に切離すための切離線をシート横方向に沿って形成する切離線形成工程を備えたことを特徴とする手段5又は6に記載のPTPシートの製造方法。
【0024】
上記手段7によれば、上記手段4と同様の作用効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】PTP包装機の全体構成を説明するための概略図である。
【図2】PTPシートを示す斜視図である。
【図3】PTPフィルムを示す斜視図である。
【図4】PTPシートの部分拡大断面図である。
【図5】シート打抜装置の動作態様を説明するための部分断面図である。
【図6】シート打抜装置の動作態様を説明するための部分断面図である。
【図7】シート打抜装置の動作態様を説明するための部分断面図である。
【図8】シート打抜装置の動作態様を説明するための部分断面図である。
【図9】折曲部を有するPTPシートの集積体をバンド結束した状態を示す模式図である。
【図10】折曲部を有するPTPシートの搬送時の態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず製造対象となるPTPシートについて図2〜図4を参照して詳しく説明する。
【0027】
図2,4に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3の裏側に取着されたカバーフィルム4とを有している。各ポケット部2には、内容物としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0028】
PTPシート1は、容器フィルム3及びカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(図3参照)が打抜かれることで、シート状に製造される。
【0029】
本実施形態における容器フィルム3は、例えば厚さ200〜300μm程度の透明なポリプロピレン等の合成樹脂により形成されている。一方、カバーフィルム4は、例えば厚さ17〜20μm程度のアルミラミネートフィルムにより形成されている。
【0030】
また、PTPシート1の容器フィルム3には、所定数(本実施形態では2つ)のポケット部2を含むシート小片7に切離すことができるように、シート横方向に沿って切離線としての複数の切離用スリット(以下、単にスリットという)9が形成されている。
【0031】
さらに、PTPシート1のシート横方向両端部には、シート縦方向に沿って折り曲げられた折曲部8が形成されている。
【0032】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTPシート製造装置としてのPTP包装機11の概略について説明する。
【0033】
図1に示すように、PTP包装機11の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。
【0034】
ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0035】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間における容器フィルム3の搬送経路には、加熱装置15とポケット成形装置16とが順に並設されており、これらによってポケット部形成手段が構成されている。
【0036】
そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット成形装置16によって容器フィルム3にポケット部2が成形される。このポケット部2の成形は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0037】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及び連続送りロール20の順に掛装されている。
【0038】
連続送りロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的にかつ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール14と連続送りロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の撓みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0039】
ガイドロール19と連続送りロール20との間における容器フィルム3の移送経路には、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填手段としての錠剤投入装置21が配設されている。錠剤投入装置21は、連続送りロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が投入される。
【0040】
錠剤投入装置21と連続送りロール20との間における容器フィルム3の移送経路には、錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、また錠剤5等の異常の有無、異物混入の有無等の検査を行うための検査装置22が配設されている。この検査装置22はポケット部2の開口側からの検査を行うものである。
【0041】
帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24に案内され、加熱ロール25の方へと案内されている。加熱ロール25は、連続送りロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填されたPTPフィルム6が製造されるようになっている。本実施形態では、連続送りロール20及び加熱ロール25によって取着手段が構成されている。
【0042】
連続送りロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記連続送りロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の撓みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0043】
連続送りロール20とテンションロール27との間におけるPTPフィルム6の移送経路には、PTPフィルム6の表側に対応して、錠剤5の異常の有無、異物混入の有無等の検査を行うための検査装置29が配設されている。この検査装置29はポケット部2の突出面側からの検査を行うものである。
【0044】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、特段の事情がない限り、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の撓みを防止する。
【0045】
間欠送りロール28とテンションロール31との間におけるPTPフィルム6の移送経路には、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置にスリット9を形成する切離線形成手段としての機能を有する。また、刻印装置34は、PTPフィルム6の所定位置にロットナンバー等の識別情報を示す刻印を付す刻印手段としての機能を有する。
【0046】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間におけるPTPフィルム6の移送経路には、シート打抜装置37が配設されている。
【0047】
シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位に打抜く機能を有する。本実施形態では、PTPフィルム6の幅方向にPTPシート1を2枚同時に打抜く構成となっている。これにより、PTPフィルム6の搬送方向をシート横方向としたPTPシート1が製造される。
【0048】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、取出しコンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。但し、上記各検査装置22,29によって不良品と判定された場合、その不良品と判定されたPTPシート1は、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0049】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、前記テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。なお、前記連続送りロール36は従動ロールが圧接されており、前記不要フィルム部42を挟持しながら搬送動作を行う。裁断装置41では、不要フィルム部42を所定寸法に裁断しスクラップ処理する機能を有する。このスクラップはスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0050】
なお、上記各送りロール14,20,28,32は、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、各送りロール14等の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が各送りロール14等の各凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。勿論、上記送りロール14等のみならず、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているロールに関しては、上記同様、その表面にポケット部2が収容される凹部が形成されている。
【0051】
また、図示は省略するが、PTP包装機11の下流側には、集積装置、搬送装置、包装装置等が順に設置されている。尚、これら各装置については、周知のため詳細な説明を省略する。
【0052】
上記完成品用ホッパ40に収容されたバラのPTPシート1は、例えば2枚一組の抱き合せ状態とされた上で、集積装置において複数組ずつ積上げられる。積み上げられた複数のPTPシート1からなる集積体48(図9等参照)は、搬送装置によってバンド49で結束されつつ包装装置へと搬送され、包装装置においてピロー包装等される。
【0053】
尚、PTPシート1や集積体48は、所定位置で移送される際又は各装置間で受け渡しが行われる際、そのシート横方向一端側を所定の爪部材45によって押されるようにして移送される(図10参照)。
【0054】
PTP包装機11等の概略は以上のとおりであるが、以下においてシート打抜装置37について図5〜図8を参照して詳しく説明する。
【0055】
シート打抜装置37は、略水平方向に沿って間欠搬送されるPTPフィルム6が適宜載置される台座部50と、当該台座部50の上方にて昇降可能に設けられた可動機構51とを備えている。
【0056】
台座部50は、第1固定部材としての第1ダイ(打抜用ダイ)53と、第2固定部材としての第2ダイ(折曲用ダイ)54とが上下に積層された構成となっている。
【0057】
第1ダイ53及び第2ダイ54には、各PTPシート1に対応して、それぞれ第1打抜孔55及び第2打抜孔56が上下方向に貫通形成されており、当該第1打抜孔55及び第2打抜孔56は連通している。
【0058】
第1ダイ53の上面53aに開口した第1打抜孔55の開口部は、後述する打抜刃63に対応して、PTPフィルム6の搬送方向(図5等の左右方向)を短辺方向、これに直交する方向を長辺方向とした略矩形状に形成されている。つまり、第1打抜孔55の開口部は、PTPフィルム6から打ち抜かれるPTPシート1の外縁に対応した形状となっている。
【0059】
第2ダイ54の上面54aに開口した第2打抜孔56の開口部は、第1打抜孔55と同様、PTPフィルム6の搬送方向を短辺方向、これに直交する方向を長辺方向とした略矩形状に形成されている。但し、その横幅(短辺方向の幅)W2は、第1打抜孔55の横幅W1より短く設定されている(図5参照)。
【0060】
可動機構51は、PTPフィルム6をPTPシート1単位に打ち抜く第1可動部材としてのパンチ60と、当該PTPシート1を下方へ押出すための第2可動部材としてのプッシャ61と、シート打抜き時にPTPフィルム6を押さえるための押え部62とを備えている。ここでは特にパンチ60及び第1ダイ53によりシート打抜手段が構成され、プッシャ61及び第2ダイ54により折曲部形成手段が構成される。
【0061】
パンチ60、プッシャ61及び押え部62は、その位置関係が上下方向に相対変位可能に構成されており、それぞれに図示しない駆動機構が連結されている。駆動機構としては、モータ、流体圧シリンダ、カム伝達機構等を採用することができる。これにより、パンチ60、プッシャ61及び押え部62は、それぞれ台座部50に近接又は没入する作業位置と、台座部50から上方へ離間した待機位置とに上下動する。
【0062】
パンチ60の先端には、PTPフィルム6からPTPシート1の外縁を打ち抜くための打抜刃63が下向きに突設されている。つまり、本実施形態の打抜刃63は、PTPシート1の外縁に合わせて、四隅が湾曲形状となった略矩形状に形成されている。
【0063】
さて、上記のように構成されてなるPTP包装機11によってPTPシート1を製造する手順について主要な工程を中心に説明する。
【0064】
まず容器フィルム3が加熱装置15へ移送される。ここで、ポケット部2に対応する部位が部分的に加熱され、非常に伸びやすい軟化状態となる。続いて、容器フィルム3は、ポケット成形装置16へ移送される。ここで、容器フィルム3の軟化した部分が延伸され、ポケット部2が形成される。かかる工程がポケット部形成工程に相当する。
【0065】
その後、容器フィルム3は錠剤投入装置21へ移送される。ここで、ポケット部2に錠剤5が投入される。かかる工程が充填工程に相当する。
【0066】
また続く検査装置22による検査工程を経た後、容器フィルム3は、カバーフィルム4と共に、連続送りロール20及び加熱ロール25へと移送される。ここで、カバーフィルム4が容器フィルム3に対し加熱圧接されて取着される。かかる工程が取着工程に相当する。
【0067】
次に、カバーフィルム4が取着されて得られたPTPフィルム6は、検査装置29による検査工程を経た後、スリット形成装置33へ移送される。ここで、PTPフィルム6の容器フィルム3側にスリット9が形成される。かかる工程がスリット形成工程(切離線形成工程)に相当する。
【0068】
続いてPTPフィルム6は刻印装置34へ移送される。ここで、PTPフィルム6のカバーフィルム4側に刻印が付される。かかる工程が刻印工程に相当する。
【0069】
その後、PTPフィルム6はシート打抜装置37へと移送される。ここで、PTPフィルム6からPTPシート1が打ち抜かれる。かかる工程がシート打抜工程に相当する。以下、シート打抜工程について、より詳しく説明する。
【0070】
シート打抜装置37では、通常時、すなわちPTPフィルム6の搬送中においては、可動機構51(パンチ60、プッシャ61及び押え部62)が台座部50から上方へ離間した待機位置に位置している。尚、PTPフィルム6は、台座部50の上面(第1ダイ53の上面53a)に沿って略水平方向に移送される。
【0071】
そして、間欠搬送されるPTPフィルム6が第1ダイ53の上面53aの所定位置に停止されると(図5参照)、可動機構51が降下し、まず押え部62と第1ダイ53とによりPTPフィルム6が挟持される。
【0072】
続けてパンチ60がさらに降下し、打抜刃63が第1ダイ53の第1打抜孔55に入り込むことで、PTPフィルム6からPTPシート1が打抜かれる(図6参照)。そして、パンチ60により打ち抜かれたPTPシート1は、自由落下(又は続くプッシャ61の駆動により落下)し、そのシート横方向両端部が第2ダイ54の第2打抜孔56の開口部周縁に引っ掛かった状態で第2ダイ54の上面54aに載置された状態となる。
【0073】
さらにプッシャ61が降下し、第2ダイ54の上面54a上のPTPシート1を押圧していき(図7参照)、当該PTPシート1を第2打抜孔56を介して第2ダイ54の下方へ押出す(図8参照)。ここで、PTPシート1のシート横方向両端部が第2ダイ54の第2打抜孔56の開口部周縁に引っ掛かった状態となっているため、結果として、押出されたPTPシート1のシート横方向両端部には、シート縦方向に沿って折り曲げられた折曲部8が形成されることとなる。シート打抜工程のうち、かかる工程が折曲部形成工程に相当する。
【0074】
その後、可動機構51が上昇し、台座部50から離間することで、PTPシート1の打ち抜き工程が終了する。
【0075】
上述したとおり、シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、取出しコンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に貯留された後、集積装置へ移送される。ここで、所定枚数ずつ積上げられた後、包装装置へ移送され、ピロー包装等される。
【0076】
以上詳述したように、本実施形態で製造されるPTPシート1には、そのシート横方向両端部にシート縦方向に沿って折り曲がった折曲部8が形成される。
【0077】
当該折曲部8が形成されることにより、PTPシート1の強度を向上させることができる。また、PTPシート1の搬送時(図10参照)やバンド結束時(図9参照)等において、PTPシート1のシート横方向両端側の端面に対し直接負荷がかからず、当該負荷を折曲部8の面で受けることができるため、搬送時等に受ける外圧によりPTPシート1の端面が局所的に潰れ変形してしまうといった不具合の発生を低減することができる。結果として、PTPシート1の外観品質の低下抑制を図ることができる。
【0078】
また、折曲部8を有した本実施形態のPTPシート1は、シート縦方向に沿ってリブを形成する場合と比較して、シート横方向に沿ってスリット9が形成された場合であっても、その製造及びシート小片7への切離しが容易となる。
【0079】
さらに、本実施形態では、PTPシート1の打抜きに併せて折曲部8が形成されるため、生産効率の向上、製造工程の簡素化等を図ることができる。また、折曲部8を形成することで、PTPフィルム6におけるPTPシート1のシート形成ピッチを変化させてしまうおそれもなく、フィルム搬送を安定して行うことができる。
【0080】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0081】
(a)上記実施形態では、内容物が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物の種別、形状等については特に限定されるものではなく、例えば食品や電子部品等が内容物として充填される構成であってもよい。勿論、これらの内容物に対応して形成されるポケット部2の形状や大きさ等に関しても上記実施形態に限定されるものではない。
【0082】
(b)容器フィルム3及びカバーフィルム4の素材、ポケット部2の数や配列、形状など、PTPシート1の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、容器フィルム3をアルミニウムなど他の材質で形成してもよい。また、上記実施形態とは異なる厚さの容器フィルム3やカバーフィルム4を採用してもよい。
【0083】
(c)上記実施形態のPTPシート1では、切離線としてシート横方向に沿ったスリット9のみが形成されているが、これに限らず、シート横方向のスリット9と共にシート縦方向に沿ったスリットを形成してもよい。また、縦方向のスリットのみを有するPTPシートや、スリットを有しないPTPシート等に具体化することもできる。勿論、スリットに代えて、切離線としてミシン目を形成した構成としてもよい。
【0084】
(d)折曲部8に関しても上記実施形態に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。例えば折曲部8の折曲げ角度が90°となった構成としてもよいし、折曲部8の角部が湾曲した形状となっていてもよい。また、PTPシート1のシート横方向両端部がカバーフィルム4側に折り曲げられることにより折曲部8が形成される構成としてもよい。
【0085】
(e)PTPフィルム6におけるPTPシート1の打抜き態様は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、PTPフィルム6の幅方向にPTPシート1を2枚同時に製造する構成となっているが、これに代えて、PTPシート1をPTPフィルム6の幅方向に3枚以上製造する構成としてもよいし、また1枚だけ製造する構成としてもよい。
【0086】
また、例えばPTPシート1の打抜部分の周囲(四方向)に残材部が残るなど、PTPフィルム6の残材部の残り方が上記実施形態とは異なる構成としてもよい。
【0087】
(f)上記実施形態では、折曲部形成手段の機能がシート打抜装置37に一体化された構成となっている。折曲部形成手段を設ける箇所はこれに限定されるものではなく、例えば他の装置と一体化して設けることとしてもよいし、他の装置とは別途独立した機構として設けてもよい。
【0088】
(g)折曲部8の形成方法は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、PTPシート1のシート横方向両端部が第2ダイ54の第2打抜孔56の開口部周縁に引っ掛かった状態で、当該PTPシート1をプッシャ61により第2打抜孔56を介して押出すことで、シート横方向両端部に折曲部8が形成される構成となっている。これに加えて、折り曲げ予定箇所に事前にスリットを形成する、又は、第2ダイ54を介してPTPシート1に熱を加える等して、折曲部8を形成しやすくした構成としてもよい。また、上記実施形態に代えて、例えばPTPシート1のシート横方向両端部をチャック等により把持して折り曲げる構成等としてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1…PTPシート、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤、6…PTPフィルム、7…シート小片、8…折曲部、9…スリット、11…PTP包装機、15…加熱装置、16…ポケット成形装置、20…連続送りロール、21…錠剤投入装置、25…加熱ロール、33…スリット形成装置、37…シート打抜装置、50…台座部、51…可動機構、53…第1ダイ、54…第2ダイ、55…第1打抜孔、56…第2打抜孔、60…パンチ60、61…プッシャ、62…押え部、63…打抜刃。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の内容物を収容するための複数のポケット部を有する容器フィルムと、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを備えたPTPシートを製造するためのPTPシートの製造装置であって、
帯状の前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムを略矩形状のPTPシート単位に打ち抜くシート打抜手段と、
前記PTPシートのシート横方向両端部に、シート縦方向に沿って折り曲がった折曲部を形成する折曲部形成手段とを備えたことを特徴とするPTPシートの製造装置。
【請求項2】
前記シート打抜手段の機能と前記折曲部形成手段の機能とを備えてなるシート打抜装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載のPTPシートの製造装置。
【請求項3】
前記シート打抜装置は、
前記PTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜くための打抜刃を有する第1可動部材と、
前記打抜刃に対応して設けられた第1打抜孔を有する第1固定部材と、
前記第1打抜孔よりも横幅が狭く設定された第2打抜孔を有する第2固定部材と、
前記第2打抜孔を通して前記PTPシートを押出す第2可動部材とを備えていることを特徴とする請求項2に記載のPTPシートの製造装置。
【請求項4】
前記PTPシートを所定のポケット部単位のシート小片に切離すための切離線をシート横方向に沿って形成するための切離線形成手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のPTPシートの製造装置。
【請求項5】
所定の内容物を収容するための複数のポケット部を有する容器フィルムと、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを備えたPTPシートを製造するためのPTPシートの製造方法であって、
帯状の前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填工程と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着工程と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムを略矩形状のPTPシート単位に打ち抜くシート打抜工程と、
前記PTPシートのシート横方向両端部に、シート縦方向に沿って折り曲がった折曲部を形成する折曲部形成工程とを備えたことを特徴とするPTPシートの製造方法。
【請求項6】
前記シート打抜工程と共に、前記折曲部形成工程を行うことを特徴とする請求項5に記載のPTPシートの製造方法。
【請求項7】
前記PTPシートを所定のポケット部単位のシート小片に切離すための切離線をシート横方向に沿って形成する切離線形成工程を備えたことを特徴とする請求項5又は6に記載のPTPシートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−56673(P2013−56673A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194626(P2011−194626)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000106760)CKD株式会社 (627)
【Fターム(参考)】