説明

RGB3原色を用いた波形表示装置及び波形表示方法

【課題】 従来のLCD波形モニターは、単一色表示である為ダイナミックレンジが狭く、重複現象が発生した表示部ではCRT波形モニターに比べて線の濃淡が判別し難い為、得られる情報が少なかった。
【解決手段】 重複現象が発生した表示部においては、RGB3原色の内、主力色をビットシフトした色データ加算によって輝度値を増加するか、主力色以外の他の色で加色表示する事により波形表示色の濃淡を増加して情報量を増やすことにより視認性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCD(Liquid Crystal Display)波形モニターにおけるRGB3原色を用いた波形表示に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の波形モニターは、表示器としてCRT(Cathode Ray Tube)を使用していたが、小型化/耐久性向上の為に近年LCDが使用される様になった。
【0003】
【特許文献1】特許第3164061号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のCRTによって波形を表示する場合、その残像特性によって繰り返して生じる波形部分は稀にしか生じない部分より明るく表示される。この現象は特に映像信号を水平同期信号でトリガーして観測する場合などには静止している部分と動いている部分の判別が容易であり有効であった。
【0005】
しかしながら、LCD波形モニターにはこの現象がないため、繰り返し生じる部分も稀にしか生じない部分も同一の明るさで表示される。この表示特性はCRTモニターを見慣れた観測者には奇異に感じられると共に、表示から得られる情報量が少ないという欠点があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決し、波形表示色の濃淡によって繰り返し現象を判別し易いLCD波形モニターを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決する為に、本発明の波形表示方法はLCD波形モニターにおいて、繰り返し生じる現象に対して単一色の輝度を高めるか、RGB3原色の内、主力色以外の他の色を加色表示する事により波形表示色の濃淡を増加する事を特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、輝度を高める加色データとして単一色をビットシフトした値を使用するのでハードウェアが小規模で済む。また主力色以外の他の色を加色する事により単一色表示に比べてダイナミックレンジが広がり、線の濃淡が増加して情報量の多さを判断出来るので視認性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明の実施例であり、被観測信号の波形表示のブロック図である。通常の波形モニターでは複数の入力信号に対して、表示色を変えるなどして同時に表示をするが、ここでは第1ch(例えば主力色は緑)のみについて説明する。他のチャンネルについても同様である。
【0010】
入力された信号10は標本化・符号化部1でディジタル信号に変換される。走査部2では同期信号20に同期した走査信号を発生するが、同期信号を外部から供給せず、被観測信号21より抽出することもできる。波形表示においては、符号化された被観測信号のレベルが垂直位置を、走査信号は水平位置を表す。これらの情報によりVRAM4の該当する位置に輝度の高い色情報を書き込み、これが表示部5によって視覚的に表示される。
【0011】
従来の方法ではVRAMの該当位置に書き込む色情報は単一色であったが、本発明では同一位置に重ね書きするときは同一色の輝度を加算する、または他の原色の色を加算することにより表示の輝度を高め、繰り返し出現する部分を判別し易くしている。
【0012】
図2は従来のLCD波形モニターにおける波形表示用色データの例であり、左が上位ビットである。複数の表示チャンネルの内、第1chを例えば緑で表示する場合、各原色の10bitコードは図2のようにGは適当な輝度(例えばこの例では32)、他のBおよびRは0である。
【0013】
図3は本発明に基づく第一の方法の波形表示用色データの例である。表示の同一位置に重複現象が発生した時、下位ビットに1を加えて輝度を高める。
【0014】
図4は本発明の別の方法による波形表示用色データの例である。この方法では、同一位置に重複現象が発生した場合に、同一原色でなく他の原色(例えばこの例ではBとR)を加えることによって輝度を高める。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】LCD波形モニターにおける波形表示のブロック図である。
【図2】従来のLCD波形モニターにおける波形表示用色データの例である。
【図3】本発明の第一の方法による波形表示用色データの例である。
【図4】本発明の別の方法による波形表示用色データの例である。
【符号の説明】
【0016】
1 標本化・符号化
2 走査部
3 制御部
4 VRAM
5 表示部
10 被観測信号
11 ディジタル化信号(垂直位置情報)
20 同期信号
21 被観測信号より抽出した同期信号
22 走査信号(水平位置情報)
31 色情報
41 表示信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被観測信号をディジタル信号に変換する標本化/符号化部と、
同期信号から画面上の水平位置を示す走査信号を出力する走査部と、
該垂直水平位置情報から重複表示の状況を判断し、これに対応する色情報を出力する制御部と、
これらの情報を記録するVRAMと、
該VRAMに対応する表示器をそなえたRGB3原色によるLCD波形モニターにおいて、
波形重複頻度を波形表示色の濃淡により表示する事を特徴とする波形表示装置。
【請求項2】
波形表示色の濃淡を輝度の差によって表示する事を特徴とする請求項1に記載の波形表示装置。
【請求項3】
波形表示色の濃淡を主力色以外の他の色で加色表示する事を特徴とする請求項1に記載の波形表示装置。
【請求項4】
被観測信号をディジタル信号に変換する標本化/符号化部と、
同期信号から画面上の水平位置を示す走査信号を出力する走査部と、
該垂直水平位置情報から重複頻度を判断し、これに対応する色情報を出力する制御部と、
これらの情報を記録するVRAMと、
該VRAMに対応する表示器をそなえたRGB3原色によるLCD波形モニターにおいて、
波形重複頻度を波形表示色の濃淡により表示する事を特徴とする波形表示方法。
【請求項5】
波形表示色の濃淡を輝度の差によって表示する事を特徴とする請求項4に記載の波形表示方法。
【請求項6】
波形表示色の濃淡を主力色以外の他の色で加色表示する事を特徴とする請求項4に記載の波形表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−300573(P2006−300573A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119124(P2005−119124)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000101330)アストロデザイン株式会社 (28)