説明

T細胞の免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン1(TIM−1)抗原に対する抗体を用いて卵巣癌および腎臓癌を処置する方法

本明細書中に記載される本発明は、抗原TIM−1に指向される抗体と、このような抗体の癌(例えば、腎臓癌および卵巣癌)の処置のための使用に関する。特に、抗原TIM−1に指向される完全ヒトモノクローナル抗体が提供される。重鎖および軽鎖免疫グロブリン分子をコードする単離されたポリヌクレオチド配列、ならびに、重鎖および軽鎖免疫グロブリン分子を含むアミノ酸配列、特に、フレームワーク領域(FR)および/または相補性決定領域(CDR)(具体的には、FR1〜FR4またはCDR1〜CDR3)にまたがる連続した重鎖および軽鎖の配列に対応する配列が提供される。このような免疫グロブリン分子およびモノクローナル抗体を発現するハイブリドーマまたは他の細胞株もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本明細書において開示される本発明は、抗原であるT細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン1(TIM−1)タンパク質に指向される抗体、ならびにこのような抗体の使用に関する。具体的には、抗原TIM−1に指向される完全ヒトモノクローナル抗体が提供される。重鎖および軽鎖の免疫グロブリン分子コードするヌクレオチド配列ならびに重鎖および軽鎖の免疫グロブリン分子を含むアミノ酸配列、特に、フレームワーク領域および/または相補性決定領域(CDR)にわたって連続する重鎖および軽鎖の配列(特に、FR1〜FR4またはCDR1〜CDR3)に対応する配列が提供される。このような免疫グロブリン分子およびモノクローナル抗体を発現するハイブリドーマまたは他の細胞株もまた提供される。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
T細胞の免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン1(TIM)タンパク質をコードする遺伝子の新規ファミリー(ヒトにおいて3つ、マウスにおいて8つ)が、最近、免疫において明らかになった役割と共に記載されている。非特許文献1;脾特許文献2。TIM遺伝子ファミリーのメンバーは、ヒトにおいて5q33.2、そして、マウスにおいては11HB1.1の染色体領域にあり、アレルギー疾患および自己免疫疾患に関連付けられている。非特許文献3;非特許文献4。
【0003】
1つのTIMファミリーメンバーであるTIM−1はまた、A型肝炎ウイルスの細胞レセプター(HAVcr−1)としても公知であり、A型肝炎ウイルス(HAV)のついてのレセプターとして最初に発見された(非特許文献5)。この遺伝子は後に、腎臓損傷性分子1(KIM−1)としてクローニングされた(非特許文献6;非特許文献7)。
【0004】
Kaplanらは、このレセプターを発現する初代のアフリカミドリザル腎臓(AGMK)細胞株に由来するcDNAライブラリーからA型肝炎ウイルスについての細胞レセプターを単離した。特許文献1を参照のこと。ポリペプチドおよび核酸の開示される有用性は、A型肝炎ウイルスによる感染を診断すること、サンプル中の不純物からA型肝炎ウイルスを分離すること、A型肝炎ウイルスによる感染を処置すること、ならびに、A型肝炎ウイルスによる感染を防止すること、であった。さらに、ポリペプチドは、形質転換された細胞において発現され得、そして、抗A型肝炎ウイルス結合アッセイにおいて化合物の効能を試験するために使用され得る。
【0005】
ヒトホモログであるhHAVcr−1(TIM−1としても公知)は、非特許文献8により記載された。同じ分子が、腎臓を損傷した後に腎臓組織においてアップレギュレートされたことが見出された腎臓損傷関連分子(KIM)として、特許文献2、特許文献3および特許文献4に記載された。この分子は、特に、腎臓の疾患、障害または損傷の種々の治療的介入において有用であるものとして記載された。例えば、特許文献5は、KIMに対する抗体を記載し、そして、KIM−1を発現する細胞(例えば、腎細胞または腎臓癌細胞)からのKIM−1ポリペプチドの脱皮(shedding)を阻害する抗体を記載する。
【0006】
TIM−1は、新規の6システイン免疫グロブリン様ドメインと、ムチンであるスレオニン/セリン/プロリンリッチ(T/S/P)ドメインとを含む、1型の膜タンパク質である。TIM−1は、最初にラットにおいて同定された。TIM−1は、マウス、アフリカミドリザルおよびヒトにおいて発見されている(非特許文献8)。アフリカミドリザルのオルソログは、ヒトTIM−1に対して最も密に関連しており、358の整列されたアミノ酸にわたり、77.6%のアミノ酸同一性を示す。ラットおよびマウスのオルソログは、それぞれ、50%(155/310)および45.6%(126/276)のアミノ酸同一性を示すが、アフリカミドリザルよりも整列される配列のセグメントが短い。TIM−1のIg様ドメインに対するモノクローナル抗体は、インビトロにおいてA型肝炎ウイルス感染に対して防御的であることが示されている。非特許文献9。さらに、KIM−1は、正常な腎臓において低いレベルで発現されることが示されたが、その発現は、虚血後の腎臓において劇的に上昇する。非特許文献6。HAVCR−1もまた、クリアな細胞癌腫およびこの癌腫に由来する癌細胞株において上昇したレベルで発現される。
【0007】
TIM−1は、P型の「三葉型」ドメインに対して相同性を示し、他のP型三葉型ファミリーメンバーと類似する生物学的活性を有し得ることが示唆される。三葉型ドメインを含むタンパク質のいくつかは、腎臓、結腸および胸部の腫瘍細胞株を処置するために使用されるとき、細胞の散乱および浸潤を誘導することが示されている。非特許文献10。さらに、三葉型ドメインを含むタンパク質のいくつかは、上皮における足場に関連するアポトーシス現象であるアノイキス(anoikis)に対して細胞の抵抗性を与える。非特許文献11。
【0008】
TIM−1は、喘息に関与しているマウスのシンテニー領域内のTaprとして知られる、ヒト第5染色体の領域にマッピングされる。Tapr(主要T細胞調節遺伝子座)は、気道の過反応性の発生を制御する。非特許文献12;非特許文献2。
【特許文献1】米国特許第5,622,861号明細書
【特許文献2】国際公開第97/44460号パンフレット
【特許文献3】国際公開第98/53071号パンフレット
【特許文献4】米国特許第6,664,385号明細書
【特許文献5】国際公開第02/098920号パンフレット
【非特許文献1】Kuchrooら、Nat Rev Immunol 3:454−462(2003)
【非特許文献2】McIntireら、Nat Immunol 2:1109−1116(2001)
【非特許文献3】Shevach、Nat Rev Immunol 2:389−400(2002)
【非特許文献4】Wills−Karpら、Nat Immunol 4:1050−1052(2003)
【非特許文献5】Kaplanら、EMBO J 15(16):4282−96(1996)
【非特許文献6】Ichimuraら、J Biol Chem 273:4135−4142(1998)
【非特許文献7】Hanら、Kidney Int 62:237−244(2002)
【非特許文献8】Feigelstockら、J Virology 72(8):6621−6628(1998)
【非特許文献9】Silbersteinら、J Virol 75(2):717−25(2001)
【非特許文献10】Prestら、FASEB J 16(6):592−4(2002)
【非特許文献11】Chenら、Biochem Biophys Res Commun 274(3):576−82(2000)
【非特許文献12】Wills−Karp、Nature Immunology 2:1095−1096(2001)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本明細書に記載される本発明の実施形態は、TIM−1に結合し、そして、TIM−1の機能に影響するヒトモノクローナル抗体またはその結合フラグメントの開発に基づく。TIM−1は、新生物および炎症性疾患のような病理において上昇したレベルで発現される。従って、TIM−1の生物学的活性の阻害は、炎症を防止し得、そして、他に望ましい作用(TIM−1により誘導される細胞の増殖を含む)を及ぼし得る。本発明の実施形態は、TIM−1に特異的に結合する単離された抗体またはその結合フラグメントの生成および同定に基づく。
【0010】
従って、本発明の1つの実施形態は、TIM−1に特異的に結合する単離された抗体またはこの抗体のフラグメントを包含する。当該分野で公知であるように、抗体は、有利なように、例えば、モノクローナル抗体、キメラ抗体および/または完全ヒト抗体であり得る。本明細書に記載される本発明の実施形態はまた、これらの抗体を産生するための細胞を提供する。
【0011】
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態は、TIM−1に結合し、そしてTIM−1の機能に影響するモノクローナル抗体に関する。他の実施形態は、治療的な観点から望ましい特性(TIM−1に対する強い結合親和性、インビトロおよびインビボにおいてTIM−1を中和する能力、ならびに、TIM−1により誘導される細胞の増殖を阻害する能力を含む)を有する完全ヒト抗TIM−1抗体および抗TIM−1抗体調製物に関する。
【0012】
好ましい実施形態において、本明細書に記載される抗体は、非常に高い親和性(Kd)でTIM−1に結合する。例えば、ヒト抗体、ウサギ抗体、マウス抗体、キメラ抗体またはヒト化抗体は、10−7M未満のKd、10−8M未満のKd、10−9M未満のKd、10−10M未満のKd、10−11M未満のKd、10−12M未満のKd、10−13M未満のKdもしくは10−14M未満のKd、または、これらの値内のあらゆる範囲もしくは値で、TIM−1に結合し得る。親和性および/またはアビディティの測定は、本明細書に記載されるように、KinExA(登録商標)および/またはBIACORE(登録商標)によって測定され得る。
【0013】
1つの実施形態において、本発明は、T細胞の免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン1(TIM−1)に特異的に結合する単離された抗体を提供する。いくつかの実施形態において、単離された抗体は、配列番号2、配列番号6、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号26、配列番号30、配列番号34、配列番号38、配列番号42、配列番号46および配列番号50からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドを有する。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、T細胞の免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン1(TIM−1)に特異的に結合し、そして、配列番号4、配列番号8、配列番号12、配列番号16、配列番号20、配列番号24、配列番号28、配列番号32、配列番号36、配列番号40、配列番号44、配列番号48および配列番号52からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを有する単離された抗体を提供する。
【0015】
なお別の実施形態において、本発明は、TIM−1に特異的に結合し、配列番号2、配列番号6、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号26、配列番号30、配列番号34、配列番号38、配列番号42、配列番号46および配列番号50からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドを有し、そして、配列番号4、配列番号8、配列番号12、配列番号16、配列番号20、配列番号24、配列番号28、配列番号32、配列番号36、配列番号40、配列番号44、配列番号48および配列番号52からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを有する、単離された抗体を提供する。
【0016】
本発明の別の実施形態は、TIM−1に特異的に結合し、そして、表4に示される配列のうちの1つを含む相補性決定領域(CDR)を含むアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドを有する、完全ヒト抗体である。CDRの決定は、当業者により容易に達成され得ることに注意されたい。例えば、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版,NIH Publication 91−3242,Bethesda MD[1991],第1〜3巻を参照のこと。
【0017】
なお別の実施形態は、TIM−1に特異的に結合し、そして、表5に示される配列のうちの1つを含むCDRを含むアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを有する抗体である。特定の実施形態において、抗体は完全ヒトモノクローナル抗体である。
【0018】
さらなる実施形態は、TIM−1に結合し、表4に示されるCDR配列のうちの1つを含むアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドを有し、かつ、表5に示されるCDR配列のうちの1つを含むアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを有する抗体である。特定の実施形態において、抗体は完全ヒトモノクローナル抗体である。
【0019】
本発明の別の実施形態は、TIM−1のオルソログに結合する完全ヒト抗体である。本明細書におけるさらなる実施形態は、本明細書に記載される完全ヒト抗体と、TIM−1への結合について交差競合する抗体である。
【0020】
他の実施形態は、ヒトTIM−1を用いて哺乳動物を免疫化することによって、TIM−1に対して高い親和性の抗体、または、そのフラグメント、および、その1以上のオルソログ配列またはフラグメントを産生する方法を包含する。
【0021】
本発明の実施形態は、いかなる特定の形態の抗体にも限定されないことが理解される。例えば、抗TIM−1抗体は、全長抗体(例えば、インタクトなヒトFc領域を有する)、または、抗体フラグメント(例えば、Fab抗体、Fab’抗体、F(ab’)抗体、または単鎖抗体)であり得る。さらに、抗体は、抗体を分泌するハイブリドーマから、抗体をコードする遺伝子を用いて形質転換もしくはトランスフェクトされた組換え的に産生された細胞から、製造され得る。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に記載される抗TIM−1抗体のいずれかをコードする単離された核酸分子、抗TIM−1抗体をコードする単離された核酸分子を有するベクター、および、このような核酸分子を用いて形質転換された宿主細胞を包含する。さらに、本発明の1つの実施形態は、核酸分子を発現させて抗体を産生させる条件下で宿主細胞を培養し、その後、この宿主細胞から抗体を回収することによって、抗TIM−1抗体を産生する方法である。
【0023】
他の実施形態において、本発明は、抗体またはその機能的なフラグメントと、薬学的に受容可能なキャリアとを含む組成物を提供する。
【0024】
いくつかの実施形態において、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤との混合物において抗TIM−1抗体の有効量を有する薬学的組成物を包含する。なお他の実施形態において、抗TIM−1抗体またはそのフラグメントは、治療剤に結合される。治療剤は、例えば、毒素、放射性同位元素または化学療法因子であり得る。好ましくは、このような抗体は、例えば、腫瘍および癌(例えば、卵巣癌、胃癌、子宮内膜癌、唾液腺癌、肺癌、肝臓癌、結腸癌、結腸直腸癌、甲状腺癌、膵臓癌、前立腺癌および膀胱癌)、ならびに、他の炎症性状態を含む病理の処置のために使用され得る。より好ましくは、抗体は、腎臓癌および卵巣癌を処置するために使用され得る。
【0025】
なおさらなる実施形態において、本明細書に記載される抗体は、動物におけるTIM−1により誘導された細胞の増殖の効率的な処置のための医薬の調製のために使用され得、この場合、上記モノクローナル抗体は、TIM−1に対して特異的に結合する。
【0026】
なお別の実施形態は、新生物および炎症性状態のような疾患の処置のための医薬の調製における抗TIM−1抗体の使用である。1つの実施形態において、新生物としては、卵巣癌、胃癌、子宮内膜癌、唾液腺癌、肺癌、肝臓癌、結腸癌、結腸直腸癌、甲状腺癌、膵臓癌、前立腺癌および膀胱癌のような、腫瘍および癌が挙げられるがこれらに限定されない。
【0027】
なお別の局面において、本発明は、TIM−1の発現に関連する病理を効率的に処置するための方法を包含する。これらの方法は、TIM−1の発現に関連する状態のための処置を必要とする動物を選択する工程、および、完全ヒトモノクローナル抗体の治療有効用量を上記動物に投与する工程を包含し、ここで、上記抗体は、TIM−1に対して特異的に結合する。
【0028】
好ましくは、哺乳動物、そして、より好ましくは、ヒトは、抗TIM−1抗体を受ける。好ましい実施形態において、新生物(腎腫瘍および膵臓腫瘍、頭頚部癌、卵巣癌、胃癌、黒色腫、リンパ腫、前立腺癌、肝臓癌、肺癌、直腸癌、膀胱癌、結腸癌、食道癌および脳腫瘍が挙げられるがこれらに限定されない)が処置される。
【0029】
本発明のさらなる実施形態は、動物における新生物疾患の効率的な処置のための医薬の調製における抗体の使用を包含し、ここで、上記モノクローナル抗体はTIM−1に特異的に結合する。処置可能な新生物疾患としては、例えば、卵巣癌、膀胱癌、肺癌、神経膠芽腫、胃癌、子宮内膜癌、腎臓癌、結腸癌、膵臓癌および前立腺癌が挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態において、本発明は、TIM−1の発現に関連する細胞増殖を阻害するための方法を包含する。これらの方法は、TIM−1により誘導された細胞の増殖のための処置を必要とする動物を選択する工程、および、完全ヒトモノクローナル抗体の治療有効用量を上記動物に投与する工程を包含し、ここで、上記抗体はTIM−1に特異的に結合する。他の実施形態において、TIM−1を発現する細胞は、抗TIM−1抗体またはそのフラグメントの有効量で処置される。この方法は、インビボにおいても実施され得る。
【0031】
この方法は、インビボにおいて実施され得、そして、患者は、好ましくはヒト患者である。好ましい実施形態において、この方法は、新生物疾患(例えば、腎腫瘍、膵臓癌、頭頚部癌、卵巣癌、胃癌、黒色腫、リンパ腫、前立腺癌、肝臓癌、乳癌、肺癌、膀胱癌、結腸癌、食道癌および脳腫瘍のような腫瘍および癌)の処置と関係がある。
【0032】
いくつかの実施形態において、抗TIM−1抗体は患者に投与され、その後、過剰に循環する抗体を血液から除去するために清浄剤が投与される。
【0033】
いくつかの実施形態において、抗TIM−1抗体は、その補体を固定する能力と補体依存性の細胞傷害性(CDC)に関与する能力とを増強するように改変され得る。1つの実施形態において、抗TIM−1抗体は、アミノ酸置換などによって改変されて、身体からのそのクリアランスを変更し得る。あるいは、いくつかの他のアミノ酸置換は、身体からの抗体のクリアランスを遅くし得る。
【0034】
別の実施形態において、本発明は、容器を含めた製造品を提供する。容器は、抗TIM−1抗体を含む組成物と、その組成物が、TIM−1の過剰発現により特徴付けられる新生物または炎症性疾患を処置するために使用され得ることを示す包装挿入物またはラベルとを備える。
【0035】
なお別の実施形態は、患者のサンプルにおけるTIM−1のレベルをアッセイするための方法を提供し、この方法は、抗TIM−1抗体を患者からの生物学的サンプルと接触させる工程、および、上記抗体と上記サンプルにおけるTIM−1との間の結合のレベルを検出する工程を包含する。より具体的な実施形態において、生物学的サンプルは血液である。
【0036】
1つの実施形態において、本発明は、哺乳動物の組織または細胞においてTIM−1およびTIM−1のオルソログを検出して、新生物疾患または炎症性状態をスクリーニングするためのアッセイキットを包含する。このキットは、TIM−1に結合する抗体と、TIM−1が存在する場合に、この抗体のTIM−1との反応を示すための手段とを備える。好ましくは、抗体はモノクローナル抗体である。1つの実施形態において、TIM−1に結合する抗体は標識される。別の実施形態において、抗体は、標識されていない一次抗体であり、そして、キットはさらに、この一次抗体を検出するための手段を備える。1つの実施形態において、この手段は、抗免疫グロブリンである標識された二次抗体を含む。好ましくは、抗体は、蛍光色素、酵素、放射性核種および放射線不透過性物質からなる群より選択されるマーカーで標識される。
【0037】
本発明の別の実施形態は、疾患または状態を診断する方法を包含し、この方法において、本明細書に記載されるように調製した抗体は、患者サンプルにおけるTIM−1のレベルを検出するために利用される。1つの実施形態において、患者サンプルは、血液または血清である。さらなる実施形態において、危険因子の同定、疾患の診断、および疾患のステージ分けのための方法が提示され、これらの方法は、抗TIM−1抗体を用いてTIM−1の過剰発現を同定することを必要とする。
【0038】
本明細書に記載される本発明の実施形態はまた、TIM−1アゴニスト(模倣物)またはTIM−1アンタゴニストのいずれかとして機能するTIM−1タンパク質の改変体に関する。
【0039】
本発明の別の実施形態は、抗腫瘍治療薬のような細胞傷害性の化学療法因子または放射性療法因子に結合された、TIM−1抗原に対して指向されたモノクローナル抗体の使用である。
【0040】
1つの実施形態は、配列番号2、配列番号6、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号26、配列番号30、配列番号34、配列番号38、配列番号42、配列番号46および配列番号50からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドを有する抗体によるTIM−1抗原への同時の結合をブロックする単離された抗体を提供する。別の実施形態は、TIM−1抗原に結合し、そして、配列番号2、配列番号6、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号26、配列番号30、配列番号34、配列番号38、配列番号42、配列番号46および配列番号50からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドを有する抗体と交差反応する単離された抗体を提供する。
【0041】
本発明の別の実施形態は、配列番号54のTIM−1抗原上にある配列番号87のエピトープに結合し、そして、配列番号2、配列番号6、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号26、配列番号30、配列番号34、配列番号38、配列番号42、配列番号46および配列番号50からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドを有する抗体と交差反応する単離された抗体を提供する。なお別の実施形態において、本発明は、配列番号54のTIM−1抗原上にある配列番号87のエピトープに結合する単離された抗体を提供し、上記抗体は、配列番号2、配列番号6、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号26、配列番号30、配列番号34、配列番号38、配列番号42、配列番号46および配列番号50からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドを有する抗体によるTIM−1への同時の結合をブロックする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本明細書に記載される本発明の実施形態は、T細胞の免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン1(TIM−1)に特異的に結合する単離された抗体の生成および同定に基づく。以下に考察するように、TIM−1は、クリアな細胞癌およびこのような癌に由来する癌細胞株において上昇したレベルで発現される。従って、TIM−1に結合する抗体は、癌の処置および阻害に有用である。さらに、TIM−1に結合する抗体はまた、細胞の移動を減らし、そして、腎臓癌細胞のアポトーシスを増強するためにも有用である。
【0043】
従って、本明細書に記載される本発明の実施形態は、TIM−1に結合する単離された抗体またはこの抗体のフラグメントを提供する。当該分野で公知であるように、抗体は、有利なように、例えば、モノクローナル抗体、キメラ抗体および/またはヒト抗体であり得る。本明細書に記載される本発明の実施形態はまた、これらの抗体を産生するための細胞を提供する。
【0044】
本発明の別の実施形態は、診断目的または治療目的のためにこれらの抗体を使用するために提供される。例えば、本発明の実施形態は、細胞増殖に関連するTIM−1の発現を阻害するための方法および抗体を提供する。好ましくは、抗体は、腎腫瘍および膵臓腫瘍、頭頚部癌、卵巣癌、胃癌、黒色腫、リンパ腫、前立腺癌、肝臓癌、乳癌、肺癌、腎臓癌、膀胱癌、結腸癌、食道癌および脳腫瘍のような新生物を処置するために使用される。このような処置に関連して、これらの抗体を含む製造品が提供される。さらに、これらの抗体を含むアッセイキットが、癌または腫瘍についてスクリーニングするために提供される。
【0045】
さらに、本明細書に記載される核酸ならびにそのフラグメントおよび改変体が、非限定的な例として、(a)対応するコードタンパク質、ポリペプチド、フラグメントおよび改変体の、組換えまたは異種遺伝子産物としての生合成を指向するため、(b)本明細書において開示される核酸の検出および定量のためのプローブとして、(c)アンチセンス分子を調製するための配列鋳型として、などで使用され得る。このような用途は、以下の開示においてより完全に記載される。
【0046】
さらに、本明細書に記載されるTIM−1タンパク質およびポリペプチド、ならびに、そのフラグメントおよび改変体は、(a)抗TIM−1抗体の産生を刺激するための免疫原としてはたらくこと、(b)このような抗体についての免疫原性アッセイにおける捕捉抗原として、(c)本明細書に記載されるTIM−1ポリペプチドに結合する物質についてのスクリーニングのための標的として、そして(d)この抗体を用いた処置が標的により媒介される分子および/または細胞の機能に影響を与えるような、TIM−1特異的抗体のための標的として、を含む、種々の方法において使用され得る。TIM−1ポリペプチドの発現または活性は、細胞の生存および/または転移の能力を促進し得る。逆に、TIM−1ポリペプチド発現の低下またはその機能の阻害は、治療上有益な様式で、腫瘍細胞の生存と浸潤性とを低下させる。
【0047】
TIM−1に特異的な単鎖抗体(scFv’)および二重特異的抗体は、特に有用である。なぜなら、これらは、その全IgG分子と比較してより小さなサイズに起因して、腫瘍塊により容易に貫入し得るからである。全IgG分子とscFvとの間で腫瘍の貫入を比較する研究は、文献において記載されている。scFvは、TIM−1抗原を発現する腫瘍細胞を破壊するために、IgG2またはIgG4の抗TIM−1の毒素で標識したかまたは放射性核種で誘導体化したすでに考察した全抗体と類似する様式で、毒素または放射性核種で誘導体化され得るが、scFvは、腫瘍により完全に貫入し得るという利点があり、この利点は、結果として、腫瘍を根絶することにおける効能を増加させ得る。生物学的に活性な抗TIM−1 scFvの具体的な例は、本明細書において提供される。
【0048】
(配列表)
代表的なヒト抗TIM−1抗体の重鎖および軽鎖の可変領域のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、配列表において提供され、この配列表の内容を、以下の表1に要約する。
【0049】
【表1−1】

【0050】
【表1−2】

【0051】
【表1−3】


【0052】
(定義)
他に規定されない限り、本明細書に記載される本発明に関連して使用される科学技術用語は、当業者により一般に理解される意味を有する。さらに、文脈により他に必要とされない限り、単数形の用語は、複数形の用語を包含し、そして、複数形の用語は単数形の用語を包含する。一般に、本明細書に記載される細胞および組織の培養、分子生物学、ならびに、タンパク質およびオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの化学およびハイブリダイゼーションの技術に関連して利用される命名法は、当該分野で周知でありかつ一般に使用される命名法である。標準的な技術が、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに、組織培養および形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)のために使用される。酵素反応および精製技術は、製造業者の説明書に従って、または、当該分野で一般に達成されるように、または、本明細書に記載されるように、行われる。上記の技術および手順は、一般に、当該分野で周知の従来の方法に従って、そして、本明細書全体にわたり引用および考察される、種々の一般的かつより具体的な参考文献に記載されるように、行われる。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))(この文献は、本明細書において参考として援用される)を参照のこと。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、ならびに、医学および薬学的な化学に関連して利用される命名法、ならびに、これらの実験室での手順および技術は、当該分野で周知でありかつ一般に使用されるものである。標準的な技術は、化学合成、化学分析、薬学的な調製、処方および送達、ならびに、患者の処置のために使用される。
【0053】
本開示に従って利用される場合、以下の用語は、他にそうでないと示されない限り、以下の意味を有するものと理解される:
用語「TIM−1」とは、T細胞の免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン1を指す。1つの実施形態において、TIM−1は、配列番号54のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。
【0054】
用語「ポリペプチド」は、本明細書において、ネイティブなタンパク質、フラグメント、または、ポリペプチド配列のアナログを指す一般的な用語として使用される。従って、ネイティブなタンパク質、フラグメント、およびアナログは、ポリペプチド属の種類である。本発明に従う好ましいポリペプチドは、ヒト重鎖免疫グロブリン分子およびヒトκ軽鎖免疫グロブリン分子、ならびに、重鎖免疫グロブリン分子を、κ軽鎖免疫グロブリン分子のような軽鎖免疫グロブリン分子と共に含む(逆もまた然り)組み合わせにより形成される抗体分子、ならびにこれらのフラグメントおよびアナログを含む。
【0055】
本明細書において参照される場合、用語「ポリヌクレオチド」は、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチド、または、いずれかの型のヌクレオチドの修飾形態の、少なくとも10塩基の長さのヌクレオチドのポリマー形態を意味する。この用語は、DNAの一本鎖および二本鎖の形態を包含する。
【0056】
用語「単離されたポリヌクレオチド」は、本明細書において使用される場合、ゲノム、cDNA、もしくは合成起源、または、これらのいくつかの組み合わせのポリヌクレオチドを意味し、その起源の観点から、単離されたポリヌクレオチドは、(1)その単離されたポリヌクレオチドが天然で見出されるポリヌクレオチドの全体もしくは一部を伴わない、(2)その単離されたポリヌクレオチドが天然では連結されていないポリヌクレオチドに対して作動可能に連結される、または(3)天然では、より大きな配列の一部として存在しない。
【0057】
本明細書において参照される用語「単離されたタンパク質」は、cDNA、組換えRNA、もしくは合成起源、または、これらのいくつかの組み合わせのタンパク質を意味し、その起源または誘導体の供給源の観点から、「単離されたタンパク質」は、(1)天然で見出されるタンパク質を伴わない、(2)同じ供給源に由来する他のタンパク質を含まない(例えば、マウスタンパク質を含まない)、(3)異なる種に由来する細胞により発現される、または(4)天然では存在しない。
【0058】
本明細書において参照される用語「オリゴヌクレオチド」は、天然に存在するヌクレオチド、および、天然に存在するオリゴヌクレオチド結合および天然に存在しないオリゴヌクレオチド連結によって一緒に連結された修飾ヌクレオチドを包含する。オリゴヌクレオチドは、一般に200以下の塩基の長さを含むポリヌクレオチドサブセットである。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、10〜60塩基の長さであり、そして、最も好ましくは、12塩基、13塩基、14塩基、15塩基、16塩基、17塩基、18塩基、19塩基または20〜40塩基の長さである。オリゴヌクレオチドは通常、例えば、プローブのために一本鎖であるが;オリゴヌクレオチドは、例えば、遺伝子変異体の構築において使用するために二本鎖であり得る。本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは、センスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドのいずれかであり得る。
【0059】
同様に、他に特定されない限り、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側の末端は5’末端であり;二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側の方向は、5’方向と呼ばれる。発生しようとするRNA転写物の5’から3’への付加の方向は、転写方向と呼ばれ;RNA転写物の5’末端に対して5’側にある、RNAと同じ配列を有するDNA鎖の配列領域は、上流配列と呼ばれ;RNA転写物の3’末端に対して3’側にある、RNAと同じ配列を有するDNA鎖の配列領域は、下流配列と呼ばれる。
【0060】
本明細書において使用される場合、用語「天然に存在する」は、ある対象に対して適用されるとき、その対象が天然では見出され得るという事実を指す。例えば、天然の供給源から単離され得、そして、研究所の人員によって、または、他の方法で意図的に修飾されていない、生物(ウイルスを含む)中に存在するポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列は、天然に存在するものである。
【0061】
本明細書において参照される用語「天然に存在するヌクレオチドレ」は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを包含する。本明細書において参照される用語「修飾されたヌクレオチド」とは、修飾されたかまたは置換された糖基などを有するヌクレオチドを包含する。本明細書において参照される用語「オリゴヌクレオチド連結」は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホラニラデート(phoshoraniladate)、ホスホロアミデートなどのようなオリゴヌクレオチド連結を包含する。例えば、LaPlancheら、Nucl.Acids Res.14:9081(1986);Stecら、J.Am.Chem.Soc.106:6077(1984);Steinら、Nucl.Acids Res.16:3209(1988);Zonら、Anti−Cancer Drug Design 6:539(1991);Zonら、Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,pp.87−108(F.Eckstein編、Oxford University Press,Oxford England(1991));Stecら、米国特許第5,151,510号;UhlmannおよびPeyman、Chemical Reviews 90:543(1990)(これらの文献の開示は本明細書により参考として援用される)を参照のこと。オリゴヌクレオチドは、所望される場合、検出のための標識を備え得る。
【0062】
用語「作動可能に連結される」は、本明細書において使用される場合、このように記載された成分の位置が、その意図される様式で機能することを可能にする関係にあることをいう。コード配列に対して作動可能に連結された制御配列は、制御配列と適合性のある条件下でコード配列の発現が達成されるような方法で連結される。
【0063】
用語「制御配列」は、本明細書において使用される場合、これらが連結されるコード配列の発現およびプロセシングを達成するのに必要なポリヌクレオチド配列をいう。このような制御配列の性質は、宿主生物に依存して変化する;原核生物においては、このような制御配列は、プロモーター、リボソーム結合部位、および転写終止配列を含む;真核生物においては、一般に、このような制御配列は、プロモーターおよび転写終止配列を含む。用語制御配列は、最低でも、その存在が発現およびプロセシングに必須であるあらゆる成分を含み、そしてまた、その存在が有利であるさらなる成分(例えば、リーダー配列および融合パートナー配列)を含み得る。
【0064】
本明細書において参照される用語「選択的にハイブリダイズする」は、検出可能かつ特異的に結合することを意味する。本明細書に記載されるポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよびそのフラグメントは、非特異的な核酸への検出可能な結合の検知できる量を最小限にするハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件下で、核酸鎖に選択的にハイブリダイズする。高ストリンジェンシーの条件は、当該分野で公知であり、かつ、本明細書において考察されるような、選択的なハイブリダイゼーション条件を達成するために使用され得る。一般に、本明細書に記載されるポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよびフラグメントと、目的の核酸配列との間の核酸配列相同性は、少なくとも80%であり、そして、より代表的には、好ましくは、少なくとも85%、90%、95%、99%および100%の増加した相同性を有する。
【0065】
2つのアミノ酸配列間に部分的または完全な同一性が存在する場合、この2つのアミノ酸配列は相同である。例えば、85%の相同性とは、2つの配列を最大マッチングのために整列したとき、85%のアミノ酸が同一であることを意味する。(マッチングされた2つの配列のいずれかにおける)ギャップは、最大のマッチングを可能にする;5以下のギャップ長さが好ましく、2以下のギャップ長さがより好ましい。あるいは、そして好ましくは、この用語が本明細書において使用される場合、2つのタンパク質配列(または少なくとも30アミノ酸長の、これらの配列に由来するポリペプチド配列)が、変異データマトリックスを含むプログラムALIGNを用いて、(標準偏差単位において)5以上のアラインメントスコアと、6以上のギャップペナルティを有する場合、これら2つのタンパク質配列は、相同である。Dayhoff,M.O.,Atlas of Protein Sequence and Structure,pp.101−110(第5巻,National Biomedical Research Foundation(1972))およびこの巻に対する補遺2,pp.1−10を参照のこと。これら2つの配列またはその一部は、より好ましくは、ALIGNプログラムを用いて最適に整列したときに、これらのアミノ酸が50%以上同一である場合に、相同である。
【0066】
用語「〜に対応する」は、本明細書において、ポリヌクレオチド配列が、参照ポリヌクレオチド配列の全体または一部に対して相同である(すなわち、厳密には進化的に関連していないが、同一である)か、または、ポリペプチド配列が、参照ポリペプチド配列に対して同一であることを意味するために使用される。
【0067】
対照的に、用語「〜に対して相補的」は、本明細書において、相補配列が、参照ポリヌクレオチド配列の全体または一部に対して相同であることを意味するために使用される。一例として、ヌクレオチド配列「TATAC」は、参照配列「TATAC」に対応し、そして、参照配列「CTATA」に対して相補的である。
【0068】
以下の用語は、2以上のポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列間の配列の関係を記載するために使用される:「参照配列」、「比較窓」、「配列同一性」、「配列同一性の%」および「実質的な同一性」。「参照配列」は、配列比較のための基礎として使用される規定された配列である;参照配列は、例えば、配列表に与えられる全長cDNAまたは遺伝子配列のセグメントとして、大きな配列のサブセットであっても、完全cDNAまたは遺伝子配列を含んでいてもよい。一般に、参照配列は、少なくとも18ヌクレオチド長または6アミノ酸長であり、頻繁に、少なくとも24ヌクレオチド長または8アミノ酸長であり、そして、しばしば、少なくとも48ヌクレオチド長または16アミノ酸長である。2つのポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列は、(1)各々が、2つの分子間で類似する配列(すなわち、完全なポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の一部)を含み得、そして(2)さらに、2つのポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列間で異なる配列を含み得るので、2(またはそれ以上)の分子間での配列比較は、代表的には、2つの分子の配列を比較窓を通して比較し、配列が類似する局所的な領域を同定および比較することによって行われる。「比較窓」とは、本明細書において使用される場合、少なくとも18の連続するヌクレオチド位置または6つのアミノ酸の概念的なセグメントを指し、この比較窓において、ポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列は、少なくとも18の連続するヌクレオチド配列または6つのアミノ酸配列の参照配列と比較され得、そして、この比較窓内のポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の最適な整列について参照配列に対して比較されたときに、20%以下の付加、欠失、置換など(すなわち、ギャップ)を含み得る。比較窓を整列するための配列の最適なアラインメントは、SmithおよびWaterman,Adv.Appl.Math.,2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch,J.Mol.Biol,48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、PearsonおよびLipman,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.),85:2444(1988)の類似性検索法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0(Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.)、GeneworksまたはMac VectorソフトウェアパッケージにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)によって、または、目視によって、行われ得、そして、種々の方法によって生成された最良のアラインメント(すなわち、比較窓を通した相同性の最も高い%をもたらすもの)が選択される。
【0069】
用語「配列同一性」は、2つのポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列が、比較窓を通して同一(すなわち、ヌクレオチドごと、または、残基ごとを基礎として)であることを意味する。用語「配列同一性%」は、2つの最適に整列された配列を比較窓を通して比較し、両方の配列において同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、UまたはI)または残基が存在する位置の数を決定してマッチングした位置の数を得、このマッチングした位置の数を、比較窓内の位置の総数(すなわち、窓のサイズ)で割り、そして、この結果を100倍して配列同一性の%を得ることによって計算される。用語「実質的な同一性」は、本明細書亜において使用される場合、ポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の特徴を示し、このポリヌクレオチドまたはアミノ酸は、少なくとも18ヌクレオチド(6アミノ酸)位置の比較窓を通して、しばしば、少なくとも24〜48ヌクレオチド(8〜16アミノ酸)位置の比較窓を通して参照配列に対して比較したときに、少なくとも85%の配列同一性、好ましくは、少なくとも90%〜95%の配列同一性、より通常は、少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含み、ここで、配列同一性%は、比較窓を通して参照配列の合計20%以下の欠失または付加を含み得る配列に対して、参照配列を比較することによって計算される。この参照配列は、より大きな配列のサブセットであり得る。
【0070】
本明細書において使用される場合、20個の従来のアミノ酸およびその略称は、従来の使用法に従う。Immunology−A Synthesis(第2版、E.S.GolubおよびD.R.Gren編、Sinauer Associates,Sunderland,Mass.(1991))(本明細書において参考として援用される)を参照のこと。20個の従来のアミノ酸の立体異性体(例えば、Dアミノ酸)、α−,α−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸のような非天然アミノ酸、ならびに、他の非従来型のアミノ酸もまた、本明細書に記載されるポリペプチドのための適切な成分であり得る。非従来型のアミノ酸の例としては、以下が挙げられる:4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、ε−N,N,N−トリメチルリジン、ε−N−アセチルリジン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、σ−N−メチルアルギニン、ならびに、他の同様のアミノ酸およびイミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン)。本明細書において使用されるポリペプチドの表記において、標準的な使用法および慣習に従って、左手方向は、アミノ末端の方向であり、そして、右手方向はカルボキシ末端の方向である。
【0071】
ポリペプチドに対して適用される場合、用語「実質的な同一性」とは、デフォルトのギャップ重量を用いてプログラムGAPまたはBESTFITなどによって最適に整列されたとき、2つのペプチド配列は、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは、少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも95%の配列同一性、そして最も好ましくは少なくとも99%の配列同一性を共有する。おそらく、同一ではない残基位置は、保存的アミノ酸置換によって異なっている。保存的アミノ酸置換は、類似の側鎖を有する残基が交換可能であることをいう。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンである;脂肪族−ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリンおよびスレオニンである;アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギンおよびグルタミンである;芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンである;塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リジン、アルギニンおよびヒスチジンである;そして、硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群は、システインおよびメチオニンである。好ましい保存的アミノ酸置換の群は、以下のとおりである:バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リジン−アルギニン、アラニン−バリン、グルタミン酸−アスパラギン酸、およびアスパラギン−グルタミン。
【0072】
本明細書において考察されるように、抗体または免疫グロブリン分子のアミノ酸配列における小さなバリエーションは、そのアミノ酸配列におけるバリエーションが、本明細書に記載される抗体または免疫グロブリン分子に対して少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、そして最も好ましくは99%の配列同一性を維持するという条件で、本明細書に記載される本発明により包含されるものとして企図される。特に、保存的アミノ酸置換が企図される。保存的置換は、その側鎖において関連するアミノ酸のファミリー内での起こるものである。遺伝子にコードされるアミノ酸は、一般に、以下のファミリーに分けられる:(1)酸性=アスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性=リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)無電荷極性=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン。より好ましいファミリーは以下のとおりである:セリンおよびスレオニンは、脂肪族−ヒドロキシファミリーである;アスパラギンおよびグルタミンはアミド含有ファミリーである;アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンは、脂肪族ファミリーである;そして、フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは、芳香族ファミリーである。特に、置換がフレームワーク部位内のアミノ酸を巻き込まない場合、例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンで、アスパラギン酸をグルタミン酸で、スレオニンをセリンでの孤立した置換、または、あるアミノ酸の、構造的に関連したアミノ酸での同様の置換は、得られる分子の結合または特性に大きな影響を与えないものと予測することは論理的である。アミノ酸の変化が機能的なペプチドを生じるかどうかは、ポリペプチド誘導体の比活性をアッセイすることによって容易に決定され得る。アッセイは、本明細書に詳細に記載される。抗体または免疫グロブリン分子のフラグメントまたはアナログは、当業者によって容易に調製され得る。フラグメントまたはアナログの好ましいアミノ末端またはカルボキシ末端は、機能的ドメインの境界付近に生じる。構造的ドメインおよび機能的ドメインは、そのヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列のデータを、公的または専売の配列データベースと比較することによって同定され得る。好ましくは、コンピュータ化された比較方法が、公知の構造および/または機能の他のタンパク質において存在する配列モチーフまたは予測されるタンパク質コンフォメーションドメインを同定するために使用される。公知の三次元構造へと折り畳まれるタンパク質配列を同定するための方法は公知である。Bowieら、Science,253:164(1991)。従って、上記の例は、当業者が、本明細書に記載される構造的ドメインおよび機能的ドメインを規定するために使用され得る配列モチーフおよび構造的なコンフォメーションを認識し得ることを実証する。
【0073】
好ましいアミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を減少させる、(2)酸化に対する感受性を減少させる、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変更する、(4)結合親和性を変更する、そして(4)このようなアナログの他の生理化学的または機能的な特性を与えるかまたは修正するものである。アナログは、天然に存在するペプチド配列以外の配列の種々のムテインを含み得る。例えば、単一または複数のアミノ酸置換(好ましくは、保存的アミノ酸置換)が、天然に存在する配列において(好ましくは、分子間接触を形成するドメインの外側にあるポリペプチドの部分において)作製され得る。保存的アミノ酸置換は、本発明の配列の構造的な特徴を実質的に変更するべきではない(例えば、置換アミノ酸は、本発明の配列内に生じるヘリックスを破壊する傾向、または、本発明の配列を特徴付ける他の型の二次構造を破壊する傾向がないべきである)当該分野で認識されるポリペプチドの二次構造および三次構造の例は、Proteins,Structures and Molecular Principles(Creighton編、W.H.Freeman and Company,New York(1984));Introduction to Protein Structure(C.BrandenおよびJ.Tooze編、Garland Publishing,New York,N.Y.(1991));ならびにThorntonら、Nature,354:105(1991)(これらは各々が、本明細書において参考として援用される)に記載される。
【0074】
用語「ポリペプチドフラグメント」は、本明細書において使用される場合、アミノ末端および/またはカルボキシ末端の欠失を有するが、残りのアミノ酸配列は、例えば全長cDNA配列に由来する天然に存在する配列における対応する位置に対して同一であるポリペプチドをいう。フラグメントは代表的には、少なくとも5アミノ酸長、少なくとも6アミノ酸長、少なくとも8アミノ酸長または少なくとも10アミノ酸長であり、好ましくは、少なくとも14アミノ酸長であり、より好ましくは、少なくとも20アミノ酸長であり、通常は、少なくとも50アミノ酸長であり、なおより好ましくは、少なくとも70アミノ酸長である。用語「アナログ」は、本明細書において使用される場合、由来を調べられたアミノ酸配列の一部に対して実質的な同一性を有する少なくとも25アミノ酸のセグメントから構成されるポリペプチドをいい、これは、以下の特性のうち少なくとも1つを有する:適切な結合条件下でTIM−1に特異的に結合すること、(2)適切なTIM−1の結合をブロックする能力、または、(3)インビトロもしくはインビボにおいてTIM−1を発現する細胞の増殖および/もしくは生存を阻害する能力。代表的には、ポリペプチドアナログは、天然に存在する配列に関して保存的なアミノ酸置換(または付加もしくは欠失)を含む。アナログは、代表的には、少なくとも20アミノ酸長、好ましくは少なくとも50アミノ酸長またはそれ以上であり、そして、しばしば、全長の天然に存在するポリペプチドと同じ長さであり得る。
【0075】
ペプチドアナログは、一般に、鋳型ペプチドの機能に類似する機能を有する非ペプチド薬物として、製薬産業において使用される。これらの型の非ペプチド化合物は、ペプチド模倣物と呼ばれる。Fauchere,J.Adv.Drug Res.,15:29(1986);VeberおよびFreidinger,TINS,p.392(1985);ならびにEvansら、J.Med.Chem.,30:1229(1987)(これらは、本明細書中に参考として援用される)。このような化合物は、しばしば、コンピュータ化された分子モデリングの助けを借りて開発される。治療上有用なペプチドに構造的に類似するペプチド模倣物は、等価な治療上または予防上の効果を提供するために使用され得る。一般に、ペプチド模倣物は、ヒト抗体のようなパラダイム(paradigm)ポリペプチド(すなわち、生化学的特性または薬理学的活性を有するポリペプチド)に構造的に類似するが、当該分野で周知の方法により、以下からなる群より選択される結合によって必要に応じて置き換えられた1以上のペプチド結合を有する:−−CHNH−−、−−CHS−−、−−CH−CH−−、−−CH=CH−−(シスおよびトランス)、−−COCH−−、−−CH(OH)CH−−および−−CHSO−−。コンセンサス配列の1以上のアミノ酸の同じ型のD−アミノ酸での系統的な置換(例えば、L−リジンの代わりにD−リジン)は、より安定なペプチドを生成するために使用され得る。さらに、コンセンサス配列または実質的に同一のコンセンサス配列のバリエーションを含む束縛されたペプチドは、当該分野で公知の方法によって(RizoおよびGierasch,Ann.Rev.Biochem.,61:387(1992)、本明細書中に参考として援用される);例えば、分子内ジスルフィド架橋(ペプチドを環化する)を形成し得る内部システイン残基を加えることによって生成され得る。
【0076】
「抗体」または「抗体ペプチド」は、インタクトな抗体、または、特異的な結合についてインタクトな抗体と競合するその結合フラグメントをいう。結合フラグメントは、組換えDNA技術によって、または、インタクトな抗体の酵素的もしくは化学的な切断によって生成される。結合フラグメントとしては、Fab、Fab’、F(ab’)、Fvおよび単鎖抗体が挙げられる。二重特異的または二重機能的抗体以外の抗体は、その同一な結合部位の各々を有するものと理解される。抗体は、過剰な抗体が、少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約60%または少なくとも約80%だけ、そして、より通常は、約85%よりも多く(インビトロ競合結合アッセイにおいて測定した場合)、カウンターレセプター(counterreceptor)に結合するレセプターの量を減少させるとき、レセプターの反レセプターへの接着を実質的に阻害する。
【0077】
酵素パパインを用いた抗体の消化は、「Fab」フラグメントとしても知られる2つの同一な抗原結合フラグメントと、抗原結合活性はないが結晶化能は有する「Fc」フラグメントとをもたらす。酵素ペプシンを用いた抗体の消化は、1つの「F(ab’)」フラグメントをもたらし、このフラグメントにおいて、抗体分子の2つのアームは連結されたままであり、そして、2つの抗原結合部位を含む。F(ab’)フラグメントは、抗原を架橋する能力を有する。
【0078】
本明細書において使用される場合、「Fv」は、抗原認識部位および抗原結合部位の両方を保持する抗体の最小フラグメントを指す。
【0079】
本明細書において使用される場合、「Fab」は、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖のCH1ドメインを含む抗体のフラグメントを指す。
【0080】
用語「エピトープ」は、免疫グロブリンまたはT細胞レセプターに特異的に結合し得るあらゆるタンパク質決定基を含む。エピトープの決定基は通常、アミノ酸または糖側鎖のような分子の化学的に活性な表面基から構成され、そして通常、特異的な三次元構造特徴ならびに特異的な電荷特徴を有する。抗体は、解離定数が<1μM、好ましくは、<100nM、そして最も好ましくは<10nMである場合に、抗原に特異的に結合すると言われる。
【0081】
用語「薬剤」は、本明細書において、化学的な化合物、化学的な化合物の混合物、生物学的な高分子、または生物学的物質から作製された抽出物を指すために使用される。
【0082】
用語「薬学的な薬剤」または「薬物」は、本明細書において使用される場合、患者に対して適切に投与されたときに、所望の治療効果を誘導し得る化学的な化合物または組成物をいう。本明細書における他の化学用語は、The McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(Parker,S.編、McGraw−Hill,San Francisco(1985)、本明細書により参考として援用される)によって例示されるような当該分野で従来どおりの使用法に従って使用される。
【0083】
用語「抗腫瘍剤」は、本明細書において、癌腫、肉腫、リンパ腫または白血病のようなヒトにおける新生物、特に、悪性(癌性)病巣の発生または進行を阻害する機能的特性を有する薬剤をいうために使用される。転移の阻害は、しばしば、抗腫瘍剤の特性である。
【0084】
本明細書において使用される場合、「実質的に純粋」とは、対象となる種が、存在する優勢な種であり(すなわち、モル濃度ベースで、組成物中のあらゆる他の個々の種よりも豊富である)、そしてより好ましくは、実質的に純粋な分画が、対象となる種が、存在する全高分子種の少なくとも約50%(モル濃度ベースで)を含む組成物であることを意味する。一般に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての高分子種の約80%より多く、より好ましくは、約85%より多く、約90%より多く、約95%より多く、そして約99%より多くを含む。より好ましくは、対象となる種は、本質的に均質になるまで精製され(夾雑種は、従来の検出法によって組成物中に検出され得ない)、ここで、この組成物は、本質的に単一の高分子種からなる。
【0085】
TIM−1ポリペプチドに関して「活性な」または「活性」とは、ネイティブなTIM−1ポリペプチドの生物学的活性または免疫学的活性を有するTIM−1ポリペプチドの一部をいう。本明細書において使用される場合、「生物学的に(な)」とは、ネイティブなTIM−1ポリペプチドの活性から得られる生物学的な機能をいう。好ましい生物学的活性は、例えば、細胞増殖の調節を含む。
【0086】
「標識」または「標識された」とは、本明細書において使用される場合、ポリペプチドへの検出可能な部分(例えば、放射標識、蛍光標識、酵素的な標識、化学発光標識、またはビオチン基)の付加をいう。放射性同位元素または放射性核種としては、H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131Iが挙げられ得、蛍光標識としては、ローダミン、ランタニド蛍光体またはFITCが挙げられ得、そして、酵素的な標識としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼが挙げられ得る。
【0087】
「哺乳動物」は、本明細書において使用される場合、哺乳動物と考えられるあらゆる動物を指す。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0088】
「リポソーム」は、本明細書に記載されるTIM−1ポリペプチドまたはこのようなTIM−1ポリペプチドに対する抗体を含み得る薬物の、哺乳動物への送達のために有用であり得る小さな小胞を指す。
【0089】
用語「患者」は、ヒト被験体および獣医学上の被験体を包含する。
【0090】
(抗体の構造)
基本的な全抗体の構造単位は、四量体を含むことが知られる。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一対から構成され、各対が、1つの「軽」鎖(約25kDa)と1つの「重」鎖(約50〜70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識を主に担う約100〜110またはそれ以上のアミノ酸の可変ドメインを含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を主に担う定常領域を規定する。ヒトの軽鎖は、κ軽鎖およびλ軽鎖として分類される。ヒトの重鎖は、μ、δ、γ、αまたはεとして分類され、そして、それぞれ、IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEとして抗体の同位体を規定する。軽鎖および重鎖において、可変領域と定常領域とは、約12またはそれ以上のアミノ酸の「J」領域によって接続され、重鎖はまた、約10またはそれ以上のアミノ酸の「D」領域を含む。一般的には、Fundamental Immunology 第7章(Paul,W.編、第2版、Raven Press,N.Y.(1989))(その全体があらゆる目的のために参考として援用される)を参照のこと。軽鎖/重鎖の各々の可変領域は、抗体結合部位を形成する。
【0091】
可変ドメインは全て、3つの超可変領域(相補性決定領域すなわちCDRとも呼ばれる)によって接続された、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般構造を示す。各対の重鎖および軽鎖からのCDRは、フレームワーク領域により整列され、特異的なエピトープへの結合を可能にする。N末端からC末端まで、軽鎖および重鎖の両方は、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4のドメインを含む。各領域へのアミノ酸の割り当ては、Kabat、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987および1991))、またはChothia & Lesk,J.Mol.Biol.196:901−917(1987);Chothiaら、Nature 342:878−883(1989)の定義に従う。
【0092】
二重特異的抗体または二重機能性抗体は、2つの異なる重鎖/軽鎖対と、2つの異なる結合部位とを有する人工的なハイブリッド抗体である。二重特異的な抗体は、ハイブリドーマの融合、または、Fab’フラグメントの連結を含む種々の方法によって産生され得る。例えば、Songsivilai & Lachmann,Clin.Exp.Immunol.79:315−321(1990)、Kostelnyら、J.Immunol.148:1547−1553(1992)を参照のこと。二重特異的抗体は、単一の結合部位を有するフラグメント(例えば、Fab、Fab’およびFc)の形態では存在しない。
【0093】
このような二重特異的抗体または二重機能性抗体は、本発明により企図されかつ包含されることが理解される。TIM−1および細胞傷害性Tリンパ球上のCD3抗原に対する特異性を有する二重特異的な単鎖抗体は、これらのT細胞を、TIM−1を発現する腫瘍細胞へと指向させ、そして、腫瘍のアポトーシスおよび根絶を引き起こすために使用され得る。この目的のための2つの二重特異的scFv構築物が本明細書において記載される。TIM−1に特異的なscFv成分は、本明細書に記載される抗TIM−1抗体に由来し得る。いくつかの実施形態において、表4および5に開示される抗TIM−1抗体の成分は、TIM−1に対して指向された生物学的に活性なscFvを生成するために使用され得る。好ましい実施形態において、scFv成分は、mAb 2.70に由来する。治療的な二重特異的scFvの抗CD3 scFv成分は、Genbankに寄託した配列(登録番号CAE85148)に由来した。CD3または他のT細胞抗原を標的とすることが公知の代替的な抗体は、単鎖バックボーン上であっても、完全IgG上であっても、抗TIM−1と結合させたとき、同様に悪性腫瘍を処置するのに有効であり得る。
【0094】
(ヒト抗体および抗体のヒト化)
本明細書に記載される本発明の実施形態は、ヒト抗体を企図および包含する。ヒト抗体は、マウスまたはラットの可変領域および/または定常領域を有する抗体に関連する一定の問題を回避する。このようなマウスまたはラットに由来するタンパク質の存在は、抗体の迅速なクリアランスにつながり得るか、または、げっ歯類以外の哺乳動物による抗体に対する免疫応答の生成につながり得る。
【0095】
(ヒト抗体)
YACにおいてメガベースサイズのヒトの遺伝子座をクローニングし、再構築する能力、および、これらの遺伝子座をマウスの生殖細胞に導入する能力は、非常に大きなまたは粗野にマッピングされた遺伝子座の機能的な成分を明らかにし、ならびに、ヒトの疾患の有用なモデルを作製するための強力なアプローチを提供する。このような戦略の重要かつ実用的な用途は、マウスの体液性免疫系の「ヒト化」である。ヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子座を、内因性のIg遺伝子が不活性化されたマウスに導入することは、マウスにおいてヒト抗体を発生させる機会を提供する。完全ヒト抗体は、マウスまたはマウス由来のMabに固有の免疫原性およびアレルギー性の応答を最小限にし、従って、ヒトに投与される抗体の効能および安全性を高めることが期待される。完全ヒト抗体の使用は、抗体の反復投与を必要とする慢性および再発性のヒト疾患(例えば、炎症、自己免疫および癌)の処置において実質的な利点を提供することが期待され得る。
【0096】
この目的に向かう1つのアプローチは、ヒトIg遺伝子座の大きなフラグメントを用いて、マウス抗体産生不全のマウス系統を遺伝子操作することであった。これは、このようなマウスが、マウス抗体の非存在下でヒト抗体の大きなレパートリーを産生することを期待してのものである。この一般的な戦略は、1994年に刊行された、本発明者らの最初のXenoMouse(登録商標)系統の作製にと一緒に示された。Greenら、Nature Genetics 7:13−21(1994)を参照のこと。XenoMouse(登録商標)系統は、ヒト重鎖遺伝子座(245kb)およびκ軽鎖遺伝子座(190kb)の生殖細胞系の構成をしたフラグメント(コア可変領域配列およびコア定常領域配列を含んだ)を含む酵母人工染色体(YAC)を用いて遺伝子操作された。上掲。XENOMOUSE(登録商標)系統は、Abgenix,Inc.(Fremont,CA)から入手可能である。約80%よりも多いヒト抗体レパートリーが、メガベースサイズの導入により、それぞれヒト重鎖遺伝子座およびκ軽鎖遺伝子座の生殖細胞系の構成をしたYACフラグメントが導入され、XenoMouse(登録商標)マウスを作製した。
【0097】
XENOMOUSE(登録商標)の作製は、以下においてさらに考察および概説される:米国特許出願第07/466,008号(1990年1月12日出願)、同第07/610,515号(1990年11月8日出願)、同第07/919,297号(1992年7月24日出願)、同第07/922,649号(1992年7月30日出願)、同第08/031,801号(1993年3月15日出願)、同第08/112,848号(1993年8月27日出願)、同第08/234,145号(1994年4月28日出願)、同第08/376,279号(1995年1月20日出願)、同第08/430,938号(1995年4月27日出願)、同第08/464,584号(1995年6月5日出願)、同第08/464,582号(1995年6月5日出願)、同08/463,191号(1995年6月5日出願)、同第08/462,837号(1995年6月5日出願)、同第08/486,853号(1995年6月5日出願)、同第08/486,857号(1995年6月5日出願)、同第08/486,859号(1995年6月5日出願)、同第08/462,513号(1995年6月5日出願)、同第08/724,752号(1996年10月2日出願)および、同第08/759,620号(1996年12月3日出願)ならびに米国特許第6,162,963号、同第6,150,584号、同第6,114,598号、同第6,075,181号、および同第5,939,598号、ならびに、日本国特許第3 068 180 B2号、同第3 068 506 B2号、および同第3 068 507 B2号。Mendezら、Nature Genetics 15:146−156(1997)ならびにGreenおよびJakobovits,J.Exp.Med.188:483−495(1998)もまた参照のこと。欧州特許第0 463 151 B1号(1996年6月12日特許公開)、国際特許出願公開WO 94/02602(1994年2月3日公開)、国際特許出願公開WO 96/34096(1996年10月31日公開)、WO 98/24893(1998年6月11日公開)、WO 00/76310(2000年12月21日公開)もまた参照のこと。上記の引用される特許、出願および参考文献の開示は、その全体が本明細書により参考として援用される。
【0098】
代替的なアプローチは、「ミニ遺伝子座(minilocus)」アプローチを利用するものであり、このアプローチにおいて、外来性のIg遺伝子座が、そのIg遺伝子座に由来する区画(個々の遺伝子)を含めることによって模倣される。こうして、1以上のV遺伝子、1以上のD遺伝子、1以上のJ遺伝子、μ定常領域および第二の定常領域(好ましくは、γ定常領域)が、動物内への挿入のために、構築物内に形成される。このアプローチは、以下に記載される:Suraniらに対する米国特許第5,545,807号、ならびに、各々がLonbergおよびKayに対する米国特許第5,545,806号、同第5,625,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、同第5,770,429号、同第5,789,650号、同第5,814,318号、同第5,877,397号、同第5,874,299号および同第6,255,458号、KrimpenfortおよびBemsに対する米国特許第5,591,669号および同第6,023,010号、Bernsらに対する米国特許第5,612,205号、同第5,721,367号および同第5,789,215号、ならびに、ChoiおよびDunnに対する米国特許第5,643,763号、ならびに、GenPharm Internationalの米国特許出願第07/574,748号(1990年8月29日出願)、同第07/575,962号(1990年8月31日出願)、同第07/810,279号(1991年12月17日出願)、同第07/853,408号(1992年3月18日出願)、同第07/904,068号(1992年6月23日出願)、同第07/990,860号(1992年12月16日出願)、同第08/053,131号(1993年4月26日出願)、同第08/096,762号(1993年7月22日出願)、同第08/155,301号(1993年11月18日出願)、同第08/161,739号(1993年12月3日出願)、同第08/165,699号(1993年12月10日出願)、同第08/209,741号(1994年3月9日出願)(これらの開示は、本明細書により参考として援用される)。欧州特許第0 546 073 B1号、国際特許出願公開WO 92/03918、同WO 92/22645、同WO 92/22647、同WO 92/22670、同WO 93/12227、同WO 94/00569、同WO 94/25585、同WO 96/14436、同WO 97/13852および同WO 98/24884、ならびに、米国特許第5,981,175号(これらの開示は、その全体が本明細書により参考として援用される)もまた参照のこと。さらに、Taylorら,1992、Chenら,1993、Tuaillonら,1993、Choiら,1993、Lonbergら,(1994)、Taylorら,(1994)、およびTuaillonら,(1995)、Fishwildら,(1996)(これらの開示は、その全体が本明細書により参考として援用される)も参照のこと。
【0099】
キメラ抗体は、ヒトの定常領域とマウスの可変領域とを有するが、特定のヒト抗キメラ抗体(HACA)の応答は、特に、抗体の慢性的な利用または複数回の投薬での利用において観察されることが予想される。したがって、ヒト抗マウス抗体(HAMA)またはHACAの応答の問題および/または効果を無効にするために、TIM−1に対する完全ヒト抗体を提供することが望ましい。
【0100】
(ヒト化およびディスプレイの技術)
免疫原性が減少した抗体は、ヒト化およびライブラリーディスプレイの技術を用いて作製され得る。抗体は、当該分野で周知の技術を用いてヒト化または霊長類化され得ることが理解される。例えば、WinterおよびHarris,Immunol Today 14:43−46(1993)ならびにWrightら、Crit,Reviews in Immunol.12:125−168(1992)を参照のこと。目的の抗体は、組み換えDNA技術により、CH1、CH2、CH3、ヒンジドメインおよび/またはフレームワークドメインを、対応するヒト配列で置換することによって加工され得る(WO 92/02190ならびに米国特許第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,792号、同第5,714,350号および同第5,777,085号を参照のこと)。また、キメラ免疫グロブリン遺伝子の構築のためのIg cDNAの使用は、当該分野で公知である(Liuら、P.N.A.S.84:3439(1987)およびJ.Immunol.139:3521(1987))。mRNAは、ハイブリドーマまたは抗体を産生する他の細胞から単離され、そして、cDNAを生成するために使用される。目的のcDNAは、特定のプライマー(米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号)を用いたポリメラーゼ連鎖反応により増幅され得る。あるいは、発現ライブラリーが作製され、抗体の可変領域をコードする目的の配列を単離するためにスクリーニングされ、次いで、この目的の配列がヒト定常領域配列に融合される。ヒト定常領域の配列は、Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」N.I.H.publication no.91−3242(1991)に見出され得る。ヒトC領域の遺伝子は、公知のクローンから容易に入手可能である。アイソタイプの選択は、補体結合、または、抗体依存性の細胞傷害性における活性のような、所望のエフェクター機能によって導かれる。好ましいアイソタイプは、IgG1、IgG2およびIgG4である。ヒト軽鎖定常領域のκまたはλのいずれかが使用され得る。キメラのヒト化抗体は、次いで、従来の方法により発現される。発現ベクターとしては、プラスミド、レトロウイルス、YAC、EBV由来のエピソームなどが挙げられる。
【0101】
Fv、F(ab’)およびFabのような抗体フラグメントは、例えば、プロテアーゼによる切断または化学的な切断により、インタクトなタンパク質を切断することによって調製され得る。あるいは、短縮型の遺伝子が設計される。例えば、F(ab’)フラグメントをコードするキメラ遺伝子は、CH1ドメインおよびH鎖のヒンジ領域をコードするDNA配列を含み、その後に翻訳終止コドンが続いて、短縮型の分子を得る。
【0102】
H鎖およびL鎖のJ領域のコンセンサス配列は、その後のV領域セグメントのヒトC領域セグメントへの連結のために有用な制限酵素部位をJ領域に導入するためのプライマーとして使用するためのオリゴヌクレオチドを設計するために使用され得る。C領域のcDNAは、ヒト配列における類似の位置に制限酵素部位を配置するように、部位特定突然変異導入法によって改変され得る。
【0103】
発現ベクターとしては、プラスミド、レトロウイルス、YAC、EBV由来のエピソームなどが挙げられる。従来のベクターは、機能的に完全なヒトCHまたはCL免疫グロブリン配列をコード死、任意のVHまたはVL配列が容易に挿入および発現されるように遺伝子操作された適切な制限酵素部位を有するベクターである。このようなベクターにおいて、スプライシングは通常、挿入されたJ領域内のスプライスドナー部位と、ヒトC領域に先行するスプライスアクセプター部位との間で生じ、そしてまた、ヒトCHエキソン内に生じるスプライシング領域においても生じる。ポリアデニル化および転写の終止は、コード領域の下流にあるネイティブな染色体部位において生じる。この得られたキメラ抗体は、レトロウイルスのLTR(例えば、SV−40早期プロモーター)(Okayamaら、Mol.Cell.Bio.3:280(1983))、ラウス肉腫ウイルスのLTR(Gormanら、P.N.A.S.19:6111(1982))、およびモロニーマウス白血病ウイルスのLTR(Grosschedlら、Cell 41:885(1985))を含めた任意の強力なプロモーターへと接続され得る。また、理解されるように、ネイティブなIgプロモーターなども使用され得る。
【0104】
さらに、ヒト抗体または他の種に由来する抗体は、当該分野で周知の技術を用いて、ディスプレイ型の技術(ファージディスプレイ、レトロウイルスディスプレイ、リボソームディスプレイおよび他の技術が挙げられるがこれらに限定されない)により作製され得、そして、得られた分子は、さらなる成熟(例えば、親和性成熟)に供され得る。このような技術は当該分野で周知である。WrightおよびHarris,上掲、HanesおよびPlucthau,PNAS USA 94:4937−4942(1997)(リボソームディスプレイ)、ParmleyおよびSmith,Gene 73:305−318(1988)(ファージディスプレイ)、Scott,TIBS 17:241−245(1992)、Cwirlaら,PNAS USA 87:6378−6382(1990)、Russelら,Nucl.Acids Res.21:1081−1085(1993)、Hoganboomら,Immunol.Reviews 130:43−68(1992)、ChiswellおよびMcCafferty,TIBTECH 10:80−84(1992)、ならびに、米国特許第5,733,743号。ディスプレイ技術がヒトではない抗体を産生するために利用される場合、このような抗体は、上記のようにヒト化され得る。
【0105】
これらの技術を用いて、抗体は、TIM−1を発現する細胞、TIM−1自体、TIM−1の形態、そのエピトープまたはペプチド、およびこれらに対する発現ライブラリー(例えば、米国特許第5,703,057号を参照のこと)へと生成され得、その後、上記のような活性について、上記のようにスクリーニングされ得る。
【0106】
(抗体治療)
特定の局面において、TIM−1に対する治療候補としての抗体の生成に関連して、抗体は、補体を結合し得、そして、補体依存性の細胞傷害性(CDC)に関与し得ることが望ましくあり得る。このような抗体としては以下が挙げられるがこれらに限定されない:マウスIgM、マウスIgG2a、マウスIgG2b、マウスIgG3、ヒトIgM、ヒトIgGlおよびヒトIgG3。生成される抗体は、最初からこのようなアイソタイプを有する必要はなく、むしろ、生成される抗体は、任意のアイソタイプを有し得、そして、この抗体は、当該分野で周知の従来の技術を用いて、その後に切り替えられたアイソタイプであり得ることが理解される。このような技術としては、とりわけ、直接組換え技術(例えば、米国特許第4,816,397号を参照のこと)、細胞−細胞融合技術(米国特許第5,916,771号および同第6,207,418号を参照のこと)の使用が挙げられる。
【0107】
細胞−細胞融合技術において、任意の所望のアイソタイプを用いて、重鎖を有する骨髄腫または他の細胞株が調製され、そして、軽鎖を有する別の骨髄腫または他の細胞株が調製される。その後、これらのような細胞が融合され得、そして、インタクトな抗体を発現する細胞株が単離され得る。
【0108】
一例として、本明細書において考察されるTIM−1抗体は、ヒト抗TIM−1 IgG2抗体である。このような抗体がTIM−1分子に対する所望の結合を有する場合、この抗体は、ヒトIgMアイソタイプ、ヒトIgG1アイソタイプまたはヒトIgG3アイソタイプを生成するために容易にアイソタイプが切り替えられ得、その一方で、この抗体は、同じ可変領域(抗体の特異性およびその親和性のいくらかを規定する)を有する。このような分子は、次いで、補体を固定し得、そして、CDCに関与し得る。
【0109】
(他の治療の設計および生成(generation))
その腎臓腫瘍および膵臓腫瘍、頭頚部癌、卵巣癌、胃癌、黒色腫、リンパ腫、前立腺癌、肝臓癌、乳癌、肺癌、腎臓癌、膀胱癌、結腸癌、食道癌および脳腫瘍との関連性に起因して、抗TIM−1抗体を含む抗腫瘍剤が、本発明により企図および包含される。
【0110】
さらに、TIM−1に関して本明細書において製造および特徴づけされた抗体の活性に基づいて、抗体部分以外の他の治療様式の設計が促進される。このような様式としては、二重特異的抗体のような進化した抗体治療、免疫毒素および放射標識治療、ペプチド治療の生成、遺伝子治療(特に、体内)、アンチセンス治療、ならびに低分子が挙げられるがこれらに限定されない。
【0111】
補体結合が所望される特質である進化した抗体治療の生成に関連して、例えば、二重特異的抗体、免疫毒素、または、放射標識を使用することにより、細胞を殺傷するために補体に依存することを回避することが可能となり得る。
【0112】
例えば、二重特異的抗体に関連して、(i)TIM−1に対する抗体と、第二の分子に対する抗体とが一緒に結合された2つの抗体、(ii)TIM−1に対して特異的な第一の鎖と、第二の分子に対して特異的な第二の鎖とを有する単一の抗体、または(iii)TIM−1および他の分子に対する特異性を有する単鎖抗体を含む二重特異的抗体が生成され得る。このような二重特異的抗体は、周知の技術を用いて生成され得、例えば、(i)および(ii)に関連しては、Fangerら、Immunol Methods 4:72−81(1994)ならびにWrightおよびHarris(上掲)を参照のこと;(iii)に関連しては、例えば、Trauneckerら、Int.J.Cancer(補遺)7:51−52(1992)を参照のこと。各場合において、第二の特異性は、重鎖活性化レセプター(CD16またはCD64(例えば、Deoら、18:127(1997)を参照のこと)またはCD89(例えば、Valeriusら、Blood 90:4485−4492(1997)を参照のこと)が挙げられるがこれらに限定されない)に対して獲得され得る。前述の事項に従って調製された二重特異的抗体は、おそらく、TIM−1を発現する細胞、特に、本明細書中に記載されるTIM−1抗体が有効である細胞を殺傷する。
【0113】
免疫毒素に関して、抗体は、当該分野で周知の技術を利用して、免疫毒素として機能するように修飾され得る。例えば、Vitetta,Immunol Today 14:252(1993)を参照のこと。また、米国特許第5,194,594号も参照のこと。放射標識抗体の調製に関連して、このような修飾された抗体はまた、当該分野で周知の技術を利用して容易に調製され得る。例えば、Junghansら、Cancer Chemotherapy and Biotherapy 655−686(第2版、ChafnerおよびLongo編、Lippincott Raven(1996))を参照のこと。また、米国特許第4,681,581号、同第4,735,210号、同第5,101,827号、同第5,102,990号(RE 35,500)、同第5,648,471号および同第5,697,902号も参照のこと。免疫毒素および放射標識分子の各々は、おそらく、TIM−1を発現する細胞、特に、本明細書中に記載されるTIM−1抗体が有効である細胞を殺傷する。
【0114】
TIM−1に関連する構造情報、および(低分子に関連して以下に考察されるような)本明細書中に記載される抗体のようなTIM−1に対する抗体を利用するか、または、ペプチドライブラリーのスクリーニングを介した、治療ペプチドの生成に関連して、TIM−1に対して指向される治療ペプチドが生成され得る。ペプチド治療の設計およびスクリーニングは、以下に関連して考察される:Houghtenら、Biotechniques 13:412−421(1992)、Houghten、PNAS USA 82:5131−5135(1985)、Pinallaら、Biotechniques 13:901−905(1992)、BlakeおよびLitzi−Davis、BioConjugate Chem.3:510−513(1992)。免疫毒素および放射標識された分子はまた、ペプチド部分に関連して類似する様式で、抗体に関連して上で考察されたように調製され得る。
【0115】
TIM−1分子(または、スプライス改変体または代替的な形態のような形態)が疾患のプロセスにおいて機能的に活性であると仮定すると、従来の技術により、これらに対する遺伝子治療およびアンチセンス治療を設計することもまた可能である。このような様式は、TIM−1の機能を調節するために利用され得る。これに関連して、本明細書中に記載される抗体は、これに関連する機能的アッセイの設計および使用を容易にする。アンチセンス治療についての設計および戦略は、国際特許出願公開WO94/29444において詳細に考察される。遺伝子治療のための設計および戦略は周知である。しかし、特に、体内に関する遺伝子治療技術の使用は、特に有益であることを証明し得る。例えば、Chenら、Human Gene Therapy 5:595−601(1994)およびMarasco、Gene Therapy 4:11−15(1997)を参照のこと。遺伝子治療の一般的な設計および遺伝子治療に関連する考察はまた、国際特許出願公開第97/38137号において考察される。
【0116】
低分子治療もまた想定され得る。薬物は、本明細書中に記載されるように、TIM−1の活性を調節するように設計され得る。本明細書中に記載されるようなTIM−1分子の構造およびその他の分子との相互作用から収集される知識(例えば、本明細書中に記載される抗体など)は、さらなる治療様式を合理的に設計するために利用され得る。この点に関して、X線結晶学、コンピュータ補助(またはコンピュータ支援)分子設計(CAMM)、定量的または定性的な構造−活性関係性(QSAR)、および類似のテクノロジーのような合理的な薬物設計技術が、薬物発見の努力に焦点を集めるために利用され得る。合理的な設計は、分子またはその特定の形態と相互作用し得るタンパク質または合成構造体が、TIM−1の活性を修正または調節するために使用され得るという予想を可能にする。このような構造体は、化学的に合成されても、生態系において発現されてもよい。このアプローチは、Capseyら、Genetically Engineered Human Therapeutic Drugs(Stockton Press,NY(1988))において総説されている。さらに、コンビナトリアルライブラリーは、ハイスループットスクリーニングの努力のようなスクリーニングプログラムにおいて、設計、合成および使用され得る。
【0117】
(TIM−1のアゴニストおよびアンタゴニスト)
本明細書に記載される本発明の実施形態はまた、TIM−1アゴニスト(模倣物)またはTIM−1アンタゴニストのいずれかとして機能するTIM−1タンパク質の改変体に関する。TIM−1タンパク質の改変体は、突然変異誘発(例えば、TIM−1タンパク質の不連続の点変異または短縮によって生成され得る。TIM−1タンパク質のアゴニストは、TIM−1タンパク質の天然に存在する形態と実質的に同じ生物学的活性か、または、その生物学的活性の一部分を保持し得る。TIM−1タンパク質のアンタゴニストは、例えば、TIM−1タンパク質を含む細胞シグナル伝達カスケードの下流または上流のメンバーに競合的に結合することによって、TIM−1タンパク質の天然に存在する形態の1以上の活性を阻害し得る。したがって、特異的な生物学的作用は、限られた機能の改変体を用いた処置により誘引され得る。1つの実施形態において、タンパク質の天然に存在する形状の生物学的活性の一部分を有する改変体を用いた被験体の処置は、TIM−1タンパク質の天然に存在する形態を用いた処置に関して、被験体においてより少ない副作用を有する。
【0118】
TIM−1アゴニスト(模倣物)またはTIM−1アンタゴニストのいずれかとして機能するTIM−1タンパク質の改変体は、TIM−1タンパク質の変異体(例えば、短縮変異体)のコンビナトリアルライブラリーを、タンパク質のアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性についてスクリーニングすることにより同定され得る。1つの実施形態において、TIM−1改変体の多様なライブラリーは、核酸レベルでのコンビナトリアル突然変異誘発により生成され、そして、多様な遺伝子ライブラリーによってコードされる。TIM−1改変体の多様なライブラリーは、例えば、可能性のあるTIM−1配列の変質したセットが、個々のポリペプチドとして、あるいは、その内部にTIM−1配列のセットを含むより長い融合タンパク質(例えば、ファージディスプレイのためのもの)として発現可能となるように、合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列内に酵素的に連結することによって生成され得る。変質したオリゴヌクレオチド配列から可能性のあるTIM−1改変体のライブラリーを生成するために使用され得る種々の方法が存在する。変質した遺伝子配列の化学合成は、自動DNA合成装置において実行され得、そして、この合成遺伝子は、次いで、適切な発現ベクター内へと連結される。遺伝子の変質したセットの使用は、1つの混合物において、可能性のあるTIM−1改変体配列の所望のセットをコードする配列全体を供給することを可能とする。変質したオリゴヌクレオチドを合成するための方法は当該分野で公知である(例えば、Narang、Tetrahedron 39:3(1983);Itakuraら、Annu.Rev.Biochem.53:323(1984);Itakuraら、Science 198:1056(1984);Ikeら、Nucl.Acid Res.11:477(1983)を参照のこと)。
【0119】
(放射性免疫抗体および免疫化学療法用抗体)
癌の細胞傷害性化学療法または放射線療法は、感受性の高い正常細胞に対する毒性から生じる、深刻な、ときおり、生命にかかわる副作用により制限される。なぜならば、これらの治療は、悪性細胞に選択的ではないからである。それゆえ、その選択性を改善する必要がある。1つの戦略は、腫瘍関連抗原を認識する抗体に、治療薬を結び付けることである。このことにより、リガンド標的化された治療薬に対する悪性細胞の曝露が増加するが、同じ薬剤に対する正常細胞の曝露は減少する。Allen、Nat.Rev.Cancer 2(10):750−63(2002)を参照のこと。
【0120】
TIM−1抗原は、FACSおよびIHCによって、腫瘍細胞の細胞膜上でのその特異的な発現により示されるように、これらの腫瘍関連抗原のうちの1つである。それゆえ、本発明の1つの実施形態は、抗腫瘍治療薬として細胞傷害性化学療法剤または放射性療法剤に結合されたTIM−1抗原に対して指向される、モノクローナル抗体を使用することである。
【0121】
放射標識は、当該分野において公知であり、そして、診断用または治療用の放射免疫結合体のために使用されている。放射標識の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:放射性同位元素または放射性核種(例えば、H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I、177Lu、レニウム−186、レニウム−188、サマリウム−153、銅−64、スカンジウム−47)。例えば、放射免疫結合体により導かれる臨床診断おいて使用されている放射性核種としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:131I、125I、123I、99Tc、67Gaならびに111In。抗体はまた、標的化免疫療法における可能性のある使用のために、種々の放射性核種で標識されている(Peirerszら、1987を参照のこと)。モノクローナル抗体結合体はまた、癌の診断および処置のために使用されている(例えば、Immunol.Cell Biol.65:111−125)。これらの放射性核種としては、例えば、188Reおよび186Reならびに90Yが挙げられ、そして、より重要でない程度に、199Auおよび67Cuが挙げられる。I−(131)はまた、治療目的のためにも使用されている。米国特許第5,460,785号は、このような放射性同位元素のリストを提供する。放射性療法キレート化合物およびキレート化合物結合体は当該分野で公知である。米国特許第4,831,175号、同第5,099,069号、同第5,246,692号、同第5,286,850号および同第5,124,471号を参照のこと。
【0122】
抗TIM−1抗体を利用する免疫放射性医薬品は、当該分野で周知の技術を利用して調製され得る。例えば、Junghansら、Cancer Chemotherapy and Biotherapy 655−686(第2版、ChafnerおよびLongo編、Lippincott Raven(1996))、米国特許第4,681,581号、同第4,735,210号、同第5,101,827号(RE 35,500)、同第5,648,471号および同第5,697,902号を参照のこと。
【0123】
細胞傷害性免疫結合体は、当該分野で公知であり、そして、治療剤として使用されている。このような免疫結合体は、例えば、メイタンシノイド(maytansinoid)(米国特許第6,441,163号)、チューブリン重合阻害薬、アウリスタチン(auristatin)(Mohammadら、Int.J.Oncol.15(2):367−72(1999);Doroninaら、Nature Biotechnology 21(7):778−784(2003))、ドラスタチン(dolastatin)誘導体(Ogawaら、Toxicol Lett.121(2):97−106(2001);21(3)778−784)、Mylotarg(登録商標)(Wyeth Laboratories,Philadelphia,PA);メイタンシノイド(DMI)、タキサンまたはメルタンシン(mertansine)(ImmunoGen Inc.)を使用し得る。抗TIM−1抗体を利用する免疫毒素は、当該分野で周知の技術により調製され得る。例えば、Vitetta、Immunol Today 14:252(1993);米国特許第5,194,594号を参照のこと。
【0124】
二重特異的抗体は、当該分野で周知の技術を用いて作製され得る。例えば、Fangerら、Immunol Methods 4:72−81(1994);WrightおよびHarris(上掲);Trauneckerら、Int.J.Cancer(補遺)7:51−52(1992)を参照のこと。各場合において、第一の選択性はTIM−1に対するものであり、第二の選択性は、重鎖活性化レセプター(CD16またはCD64が挙げられるがこれらに限定されない)に対してつくられ得る(例えば、Deoら、18:127(1997)を参照のこと)またはCD89(例えば、Valeriusら、Blood 90:4485−4492(1997)を参照のこと)。上記方法に従って調製した二重特異的抗体は、TIM−1を発現する細胞を殺傷する。
【0125】
抗体の意図される用途(すなわち、診断試薬または治療試薬として)に依存して、放射標識は当該分野で公知であり、そして、同様の目的のために使用されている。例えば、臨床診断において使用されている放射性核種としては、131I、125I、123I、11Tc、67Gaならびに111Inが挙げられるがこれらに限定されない。抗体はまた、標的化免疫治療における可能性のある用途のために、種々の放射性核種で標識されている。Peirerszら、(1987)を参照のこと。モノクローナル抗体結合体はまた、癌の診断および処置のために使用されている。例えば、Immunol.Cell Biol.65:111−125を参照のこと。これらの放射性核種としては、例えば、188Reおよび186Reならびに90Yが挙げられ、そして、より重要でない程度に、199Auおよび67Cuが挙げられる。I−(131)もまた、治療目的のために使用されている。米国特許第5,460,785号は、このような放射性同位元素のリストを提供する。
【0126】
放射性療法キレート化合物およびキレート化合物結合体に関連する特許は、当該分野で公知である。例えば、Gansowの米国特許第4,831,175号は、多置換ジエチレントリアミンペンタ酢酸キレート化合物、および、このキレート化合物を含むタンパク質結合体と、これらの調製方法とに関する。Gansowの米国特許第5,099,069号、同第5,246,692号、同第5,286,850号および同第5,124,471号もまた、多置換DTPAキレート化合物に関連する。
【0127】
細胞傷害性化学療法は、当該分野で公知であり、そして、同様の目的のために使用されている。例えば、米国特許第6,441,163号は、メイタンシノイドと抗体との細胞傷害性結合体の生成のためのプロセスを記載する。チューブリン重合阻害薬であるオーリスタチンPEの抗腫瘍活性は、当該分野で公知である。Mohammadら、Jnt.J.Oncol.15(2):367−72(1999年8月)。
【0128】
(抗体の調製)
簡単に述べると、マウスのXenoMouse(登録商標)系統を、TIM−1タンパク質で免疫し、抗体を発現するマウスからリンパ球(例えば、B細胞)を回収し、そして、骨髄細胞株と融合して、不死性のハイブリドーマ細胞株を調製し、そして、このようなハイブリドーマ細胞株をスクリーニングおよび選択して、TIM−1に対して特異的な抗体を生成するハイブリドーマ細胞株を同定した。あるいは、骨髄腫細胞に融合してハイブリドーマを生成する代わりに、マウスの免疫したXenoMouse(登録商標)系統から単離した、TIM−1に対する反応性を有する(例えば、TIM−1−Hisタンパク質を用いたELISAにより決定)回収したB細胞を、次いで、TIM−1特異的な溶血斑形成法を用いて単離した。Babcookら、Proc.Natl.Acad.Sd.USA,93:7843−7848(1996)。このアッセイにおいて、ヒツジ赤血球(SRBC)のような標的細胞を、TIM−1抗原でコーティングした。抗TIM−1抗体および補体を分泌するB細胞培養物の存在下における斑の形成は、標的細胞の特異的なTIM−1媒介性の溶解を示す。斑の中心にある単一抗原特異的な形質細胞を単離し、そして、抗体の特異性をコードする遺伝子情報を、単一の形質細胞から単離した。
【0129】
逆転写酵素PCRを用いて、分泌された抗体の可変領域をコードするDNAがクローニングされ、そして、適切な発現ベクター(好ましくは、pcDNAのようなベクターカセット、より好ましくは、免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖の定常ドメインを含むpcDNA)内に挿入された。この作製したベクターは、次いで、宿主細胞(好ましくは、CHO細胞)にトランスフェクトされ、そして、プロモーターを誘導するため、形質転換体を選択するため、または、所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適切に改変した従来の栄養培地において培養した。
【0130】
一般に、上述の細胞株により生成された抗体は、ヒトκ軽鎖を含む完全ヒトIgG2重鎖を有した。これらの抗体は、高い親和性を有し、固相および液相のいずれかにより測定した場合、代表的には、約10−6M〜約10−11MのKdを有した。これらのmAbは、以下に考察されるような、抗原結合競合研究に基づいて、群または「ビン(bin)」へと層化され得る。
【0131】
理解されるように、本明細書に記載される抗体は、ハイブリドーマ細胞株以外の細胞株において発現され得る。特定の抗体をコードする配列は、適切な哺乳動物宿主細胞の形質転換のために使用され得る。形質転換は、宿主細胞内にポリヌクレオチドを導入するためのあらゆる公知の方法によって行われ得、これらの方法としては、例えば、ウイルス内(またはウイルスベクター内)にポリヌクレオチドを封入することによって、および、ウイルス(またはベクター)を用いて宿主細胞を形質導入することによって、または、米国特許第4,399,216号、同第4,912,040号、同第4,740,461号および同第4,959,455号(これらの特許は、本明細書により本明細書中に参考として援用される)により例示されるような当該分野で公知のトランスフェクション手順によって、が挙げられる。使用される形質転換手順は、形質転換される宿主に依存する。異種性のポリヌクレオチドを哺乳動物細胞内に導入するための方法は、当該分野で周知であり、そして、デキストラン媒介性トランスフェクション、リン酸カルシウム沈降法、ポリブレン(polybrene)媒介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム内へのポリヌクレオチドの封入、および、DNAの核内への直接的なマイクロインジェクションが挙げられる。
【0132】
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は、当該分野で周知であり、そして、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株(チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、新生仔ハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、および多数の他の細胞株が挙げられるがこれらに限定されない)が挙げられる。特に好ましい細胞株は、どの細胞株が高い発現レベルを有し、構成的なTIM−1結合特性を有する抗体を生成するかを決定することによって選択される。
【0133】
(治療的な投与および処方物)
本発明の化合物は、キャリアビヒクル内において調製するなどの標準的な操作に従って処方される。用語「薬学的に受容可能なキャリア」とは、1種以上の、天然または合成の、有機または無機の成分を意味し、これと共に、変異プロトオンコジーンまたは変異癌原タンパク質(oncoprotein)が合わせられて、その用途を助ける。適切なキャリアとしては滅菌生理食塩水が挙げられるが、薬学的に受容可能であることが公知の他の水性および非水性の等張滅菌溶液および滅菌懸濁液は、当業者に公知である。この点について、用語「キャリア」は、リポソームおよび抗体(Chenら、Anal.Biochem.227:168−175(1995)を参照のこと)、ならびに、あらゆるプラスミドおよびウイルス発現ベクターを包含する。
【0134】
本発明のあらゆる新規ポリペプチドは、薬学的に受容可能な塩の形態で使用され得る。本発明のポリペプチドと塩を形成し得る適切な酸および塩基は、当業者に周知であり、そして、無機酸および有機酸、ならびに無機塩基および有機塩基が挙げられる。
【0135】
本発明の化合物は、治療上有効な量で被験体に投与される。この治療上有効な量とは、医学的に望ましい結果を生じるか、または、処置される特定の状態に対して影響を及ぼす化合物の量を意味する。本発明の化合物の有効量は、罹患状態、変性状態または損傷状態を軽減するか、または、これらの状態の進行を遅延することができる。有効量は、個人ベースで決定され得、そして、部分的に、被験体の身体的特性、処置される症状および求められる結果の考慮に基づいている。有効量は、このような要因を用いて、そして、慣用的に過ぎない実験を用いて、当業者により決定され得る。
【0136】
本発明の化合物は、医学的に受容可能なあらゆる様式で投与され得る。この投与様式としては、注射、非経口経路(例えば、静脈内、血管内、動脈内、皮下、筋肉内、腫瘍内、腹腔内、心室内、硬膜内など)ならびに、経口経路、経鼻経路、眼経路、直腸経路または局所経路が挙げられ得る。デポー注射または腐食性移植片のような手段による、持続放出投与もまた、本明細書中に具体的に包含される。カテーテルを介した1以上の動脈(例えば、腎動脈または限局性の腫瘍に供給する血管)への送達のような手段による、局所送達も、具体的に意図される。
【0137】
本明細書中に記載される生物学的に活性な抗TIM−1抗体は、血清のTIM−1レベルを低下させ、それにより、例えば、血清TIM−1が異常に上昇した病理学的状態を効率的に処置するために、滅菌の薬学的調製物または処方物において使用され得る。抗TIM−1抗体は、好ましくは、TIM−1を標的とする治療範囲内まで強く抑制するために適切な親和性を有し、そして、好ましくは、少ない回数の投薬を可能にするために適切な作用期間を有する。作用期間の延長は、皮下または筋肉内注射のような代替的な非経口経路による、少ない頻度でかつより簡便な投薬スケジュールを可能にする。
【0138】
インビボ投与のために使用される場合、抗体処方物は滅菌でなければならない。これは、例えば、凍結乾燥および再構成の前または後に、滅菌ろ過膜を通してろ過することによって容易に達成される。抗体は、通常、凍結乾燥形態または溶液中で保存される。治療用抗体組成物は、一般に、滅菌のアクセスポートを有する容器(例えば、皮下注入用注射針により穿刺可能な栓のような処方物の回収を可能にするアダプタを有する静脈内溶液用のバッグまたはバイアル)内に入れられる。
【0139】
抗体の投与経路は、公知の方法(例えば、静脈内、腹腔内、脳内、筋肉内、眼内、動脈内、くも膜下腔内、吸入、もしくは病巣内の経路による注射もしくは注入、または、以下に記載されるような持続放出システムによって)に従ってなされる。抗体は、好ましくは、注入または大量注射によって連続投与される。
【0140】
治療上用いられる抗体の有効量は、例えば、治療対象、投与経路、および患者の状態に依存する。したがって、治療専門家は、必要な場合、最適な治療効果を得るために、投薬量を力価測定し、そして、投与経路を修正することが好ましい。代表的には、医師は、所望の硬化を達成する投薬量に到達するまで抗体を投与する。この治療の進行は、従来のアッセイまたは本明細書中に記載されるアッセイにより容易にモニターされる。
【0141】
本明細書中に記載される抗体は、薬学的に受容可能なキャリアとの混合物において調製され得る。この治療用組成物は、好ましくは、液体または粉末のエアロゾル(凍結乾燥)として、静脈内、または、鼻もしくは肺を介して投与され得る。この組成物はまた、所望される場合、非経口、または皮下で投与され得る。全身投与される場合、治療用組成物は、滅菌で、発熱物質を含まず、そして、pH、等張性および安定性の点から、非経口投与に受容可能な溶液中にあるべきである。これらの条件は、当業者に公知である。簡単に述べると、本明細書中に記載される化合物の投薬処方物は、所望の程度の純度を有する化合物を、生理学的に受容可能なキャリア、賦形剤または安定化剤と混合することによって、保存または投与のために調製される。このような物質は、使用される投薬量および濃度においてレシピエントに対して無毒性であり、そして、TRIS−HCl、リン酸、クエン酸、酢酸および他の有機酸の塩のような緩衝液;アスコルビン酸のような抗酸化物質;ポリアルギニンのような低分子量(約10残基未満)ペプチド、血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンのような低分子量タンパク質;ポリビニルピロリジノンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニンのようなアミノ酸;単糖類、二糖類およびセルロースもしくはその誘導体、グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む他の糖質;EDTAのようなキレート化剤;マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような対イオン、および/あるいは、TWEEN、PLURONICまたはポリエチレングリコールのような非イオン性が挙げられる。
【0142】
注射用の滅菌組成物は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(第20版、Lippincott Williams & Wilkens Publishers(2003)に記載されるような従来の薬学的な実務に従って処方され得る。例えば、水もしくは天然に存在する植物油(ゴマ油、ピーナッツ油または綿花油など)もしくは合成脂肪質ビヒクル(オレイン酸エチルなど)中への活性化合物の溶解または懸濁が望ましくあり得る。緩衝液、保存料、抗酸化物質などが、容認される薬学的な実務に従って組み込まれ得る。
【0143】
持続放出調製物の適切な例としては、ポリペプチドを含む固形疎水性ポリマーの半透性マトリックスを含み、これらのマトリックスは、成形された物品、フィルム、またはマイクロカプセルの形状である。持続放出マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、Langerら、J.Biomed Mater.Res.,(1981)15:167−277およびLanger、Chem.Tech.,(1982)12:98−105により記載されるようなポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、または、ポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号、EP 58,481)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタミン酸のコポリマー(Sidmanら、Biopolymers,(1983)22:547−556)、非分解性エチレン−酢酸ビニル(Langerら、上掲)、LUPRON DepotTM(乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフェア)およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP 133,988)のような分解性乳酸−グリコール酸コポリマーが挙げられる。
【0144】
エチレン−酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸のようなポリマーは、100日間にわたる分子の放出が可能であるが、特定のヒドロゲルは、より短い期間にわたりタンパク質を放出する。封入されたタンパク質が長時間にわたり体内に残るとき、これらは、37℃において湿気に対して曝露された結果、変性または凝集して、生物学的活性の減損、および、免疫原性の潜在的な変化をもたらし得る。関与する機構に依存して、タンパク質の安定化のための合理的な戦略が考案され得る。例えば、凝集機構がジスルフィド交換を介した分子間S−S結合の形成であることが分かった場合、安定化は、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥し、水分含量を制御し、適切な添加物を使用し、そして、特定のポリマーマトリックス組成を開発することによって達成され得る。
【0145】
持続放出組成物はまた、結晶を懸濁液中に維持し得る適切な処方物中に懸濁された抗体の結晶の調製物を包含する。これらの調製物は、皮下または腹腔内注射されるとき、持続放出作用を生じ得る。他の組成物としてはまた、リポソームにより捕捉された抗体が挙げられる。このような抗体を含むリポソームは、それ自体公知の方法により調製される:米国特許DE 3,218,121;Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1985)82:3688−3692;Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1980)77:4030−4034;EP 52,322;EP 36,676;EP 88,046;EP 143,949;EP 142,641;日本国特許出願昭58−118008;米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号;ならびにEP 102,324。
【0146】
所定の患者のための抗体処方物の投薬量は、薬物の作用を変更することが知られる種々の要因(疾患の重篤度および型、体重、性別、食事、投与の時間および経路、他の医薬、ならびに、他の関連する臨床上の要因を含む)を考慮して、主治医により決定される。治療上有効な投薬量は、インビトロまたはインビボのいずれかの方法により決定され得る。
【0147】
治療的に使用される、本明細書に記載される抗体の有効量は、例えば、治療対象、投与経路、および患者の状態に依存する。したがって、必要に応じて、最適な治療効果を得るように、治療専門家が投薬量を力価測定し、そして、投与経路を修正することが好ましい。代表的な1日の投薬量は、上述の要因に依存して、約0.001mg/kg〜100mg/kgまたはそれ以上の範囲であり得る。代表的には、医師は、所望の効果を達成する投薬量に達するまで、治療用抗体を投与する。この治療の進行は、従来のアッセイによって、または本明細書中に記載されるようにして容易にモニターされる。
【0148】
本明細書中の組成物および方法に従った治療物質の投与は、適切なキャリア、賦形剤、および、転移、送達、耐性などの改善を提供するために処方物中に組み込まれた他の因子と共に投与される。これらの処方物としては、例えば、散剤、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、オイル、脂質、ベシクルを含む脂質(カチオン性またはアニオン性)(例えば、Lipofectin(登録商標))、DNA結合体、無水吸着ペースト、水中油エマルジョンおよび油中水エマルジョン、エマルジョン炭素含有蝋(carbowax)(種々の分子量のポリエチレングリコール)、半固形ゲル、炭素含有蝋を含む半固形混合物が挙げられる。処方物中の活性成分が処方により不活性化されず、そして、処方物が、生理学的に適合性であり、かつ投与経路に対して許容されるという条件で、上記の混合物のいずれもが、本発明に従う処置および治療において適切であり得る。薬学分野の化学者に周知の処方物、賦形剤およびキャリアに関するさらなる情報については、Baldrick P.「Pharmaceutical excipient development:the need for preclinical guidance」Regul.Toxicol.Pharmacol.32(2):210−8(2000)、Wang W.「Lyophilization and development of solid protein pharmaceuticals」Int.J.Pharm.203(1−2):1−60(2000)、Charman WN「Lipids,lipophilic drugs,and oral drug delivery−some emerging concepts」J Pharm Sci.89(8):967−78(2000)、Powellら「Compendium of excipients for parenteral formulations」PDA J Pharm Sci Technol.52:238−311(1998)、および、上記文献における引用文献もまた参照のこと。
【0149】
本明細書中に記載される抗体は、TIM−1発現から生じる症状および状態の処置に良好な治療効果を有することが期待される。特定の実施形態において、本明細書中の抗体および方法は、TIM−1の発現から生じる症状(癌の症状を含む)の処置に関連する。さらなる実施形態は、肺癌、結腸癌、胃癌、腎臓癌、前立腺癌、または卵巣癌のような癌を処置するために、本明細書中に記載される抗体および方法を使用することに関する。
【0150】
(診断的な用途)
TIM−1は、正常な腎臓において低いレベルで発現されることが分かっているが、その発現は、虚血後の腎臓において劇的に増加する。Ichimuraら、J.Biol.Chem.273(7):4135−42(1998)。抗TIM−1抗体を用いた免疫組織化学染色は、腎臓癌、前立腺癌および卵巣癌の陽性染色を示し(以下を参照のこと)、正常な組織に対するTIM−1の過剰発現は、このような疾患の診断マーカーとして機能し得る。
【0151】
抗体フラグメントを含む抗体は、TIM−1タンパク質の発現を定性的または定量的に検出するために使用され得る。上述のように、抗体は、好ましくは、検出可能な物質(例えば、蛍光標識)を備え、そして、結合は、光学顕微鏡、フローサイトメトリー、フルオリメトリー(fluorimetry)、または、当該分野で公知の他の技術によりモニターされ得る。これらの技術は、増幅された遺伝子が細胞表面タンパク質(例えば、増殖因子)をコードする場合、特に適切である。このような結合アッセイは、当該分野で公知であるように実施される。
【0152】
TIM−1タンパク質に対する抗体の結合のインサイチュでの検出は、例えば、免疫蛍光顕微鏡法または免疫電子顕微鏡法により実施され得る。この目的のために、組織生検が患者から取り出され、そして、標識された抗体が、好ましくは、生物学的サンプルの上に抗体を重ねることによって、この生検に対して適用される。この手順はまた、試験される組織におけるマーカー遺伝子生成物の分布を決定することを可能にする。広範な種々の方法が、インサイチュ検出のために容易に利用可能であることが、当業者には明らかである。
【0153】
(エピトープマッピング)
抗体により認識されるタンパク質の免疫原の特異的な部分は、タンパク質の部分(例えば、N末端側半分およびC末端側半分)に対する抗体の反応性をアッセイすることによって決定され得る。この得られた反応性フラグメントは、次いで、最小の反応性ペプチドが規定されるまで、抗体を用いて免疫原の連続したより小さい部分をアッセイすることにより、さらに細かく分析され得る。抗TIM−1 mAb 2.70.2は、抗原配列から設計された重なりペプチドに対する反応性についてアッセイされ、そして、TIM−1免疫原(配列番号54)のアミノ酸189〜202に対応するアミノ酸配列PLPRQNHE(配列番号96)を特異的に認識することが分かった。さらに、アラニン走査技術を用いて、2番目のプロリン残基とアスパラギン残基とが、mAb 2.70.2結合に重要であるようであるということが決定された。
【0154】
あるいは、本発明の抗TIM−1抗体により結合されるエピトープは、還元剤の非存在下または存在下のいずれかにおいて、TIM−1免疫原をSDS−PAGEに供することにより決定され、そして、免疫ブロット法により解析され得る。エピトープマッピングもまた、SELDIを用いて実施され得る。SELDI ProteinChip(登録商標)(LumiCyte)アレイを使用して、タンパク質−タンパク質相互作用の部位を規定した。TIM−1タンパク質抗原またはそのフラグメントは、PROTEINCHIPアレイ表面上に共有結合性に固定された抗体により特異的に捕捉され得る。結合した抗体は、レーザー誘起脱着プロセスにより検出され、そして、直接解析されて、その質量を決定され得る。
【0155】
本明細書中に記載される抗TIM−1抗体により認識されるエピトープは、PROTEINCHIPアレイを、Filamentousファージ(New England Biolabs)上にディスプレイしたランダムな12マーのペプチドのコンビナトリアルライブラリーに対して曝露することにより決定され得る。抗体の結合したファージは溶出され、次いで、増幅され、そして、さらなる結合および増幅のサイクルを行って、結合配列の観点からプールを富化する。3または4ラウンドの後、個々の結合クローンは、さらに、抗体をコーティングしたウェル上で行う、ファージELISAアッセイにより結合について調べられて、陽性クローンの特異的DNA配列決定により特徴付けられる。
【実施例】
【0156】
行った実験および達成された結果を含む以下の実施例は、本明細書に記載される本発明を例示する目的のためだけに提供され、本明細書に記載される本発明を制限するものとしてはみなされるべきではない。
【0157】
(実施例1 TIM−1に結合するモノクローナル抗体の調製)
TIM−1の可溶性細胞外ドメインを、免疫原として用いて、XenoMouse(登録商標)動物における免疫応答を刺激した。TIM−1細胞外ドメイン(推定N末端シグナルペプチドを除く)についてのアミノ酸配列をコードするDNA(CG57008−02)を、バキュロウイルス発現ベクターであるpMelV5His(CuraGen Corp.,New Haven,CT)にサブクローニングし、pBlueBacバキュロウイルス発現システム(Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)を用いて発現させ、そして、ウェスタンブロット解析により確認した。以下のヌクレオチド配列が、抗体を生成するために使用したポリペプチドをコードする:
【0158】
【数1】


【0159】
このヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列は、以下のとおりである:
【0160】
【数2】


【0161】
組換えTIM−1の精製を容易にするために、発現構築物は、V5結合ドメインV5およびHISタグについてのコード配列を組み込み得る。TIM−1に対して指向された完全ヒトIgG2およびIgG4モノクローナル抗体(mAb)を、マウス抗体産生を不全にし、そして、Yangら、Cancer Res.(1999)において以前に記載されたようなヒト重鎖およびκ軽鎖遺伝子座からのメガベースサイズのフラグメントに関するヒト抗体遺伝子レパートリーの大部分を含むように遺伝子操作された、ヒト抗体を産生するXenoMouse(登録商標)系統から生成した。2つのXenoMouse(登録商標)系統、hIgG2(xmg−2)系統およびIgG4(3C−1)系統を、TIM−1抗原(配列番号54)で免疫した。両方の系統は、免疫処置に対して十分に応答した(表2および3)。
【0162】
【表2】

【0163】
【表3】


【0164】
免疫したマウスからハイブリドーマ細胞株を生成した。1.29、1.37、2.16、2.17、2.24、2.45、2.54、2.56、2.59、2.61、2.70および2.76と名付けた、選択したハイブリドーマ(およびそのサブクローン)をさらに特徴付けた。細胞株1.29および1.37により産生される抗体は、完全ヒトIgG2重鎖とヒトκ軽鎖とを有し、一方で、細胞株2.16、2.17、2.24、2.45、2.54、2.56、2.59、2.61、2.70および2.76により産生される抗体は、完全ヒトIgG4重鎖とヒトκ軽鎖とを有する。
【0165】
12の抗TIM−1抗体の重鎖可変ドメイン領域のアミノ酸配列を、そのそれぞれの生殖細胞系列の配列と共に以下の表4に示す。対応する軽鎖可変ドメイン領域のアミノ酸配列を以下の表5に示す。「X」は、任意のアミノ酸、好ましくは、対応するアミノ酸位置における生殖細胞系列の配列を示す。免疫グロブリンにおけるCDR(CDR1、CDR2およびCDR3)およびFR(FR1、FR2およびFR3)を、それぞれの欄の表題の下に示す。
【0166】
【表4】

【0167】
【表5】


【0168】
ヒト抗体重鎖VH3−33は、TIM−1に対して首尾よく結合する抗体を産生するための、増殖性再配列において頻繁に選択された。TIM−1に対する抗体を作製する増殖性再配列におけるヒト抗体VH3−33生殖細胞系のあらゆる改変体は、本発明の範囲内である。TIM−1に結合する抗体において選択される他の重鎖V領域は、以下を含んだ:VH4−31、VH3−15、VH4−61、VH3−7およびVH3−48。選択される軽鎖V領域は、以下を含んだ:A27、A3、A30、A23、O12、O1およびA26。λκ XenoMouse(登録商標)が、λV領域を利用して抗TIM−1抗体を生成するために使用され得ることが理解される。
【0169】
12の抗TIM−1抗体の、重鎖可変ドメインの生殖細胞系列の利用を表6に示す。軽鎖可変ドメインの生殖細胞系列の利用を表7(以下)に示す。
【0170】
【表6】

【0171】
【表7】


【0172】
モノクローナル抗体1.29、1.37、2.16、2.17、2.24、2.45、2.54、2.56、2.59、2.61、2.70および2.76をコードする配列(それぞれが、重鎖ヌクレオチド配列(A)、重鎖アミノ酸配列(B)および軽鎖ヌクレオチド配列(C)およびそのコードされるアミノ酸配列(D)を含む)を、上記表1にまとめるように、配列表において提供する。特定のモノクローナル抗体2.70を、さらにサブクローニングし、そして、2.70.2と名付けた。表1を参照のこと。
【0173】
(実施例2 FACSによるTIM−1タンパク質に結合した膜との抗体の反応性)
蛍光細胞分析分離装置(FACS)解析を行って、細胞膜に結合するTIM−1抗原に対する抗TIM−1抗体の特異性を実証し、そして、治療剤または診断剤としての使用に好ましい抗体を同定した。2つの腎癌細胞株ACHN(ATCC#:CRL−1611)およびCAKI−2(ATCC#:HTB−47)について、解析を行った。TIM−1抗原を発現しない乳癌細胞株BT549をコントロールとして使用した。表8は、抗体2.59.2および2.70.2の両方が、ACHN細胞およびCAKI−2細胞上に発現されるTIM−1抗原に特異的に結合するが、抗原ネガティブなBT549細胞には結合しないことを示す。無関係な抗体アイソタイプコントロール(pK16)に対して正規化した幾何平均割合に基づいて、ACHN細胞は、CAKI−2細胞よりも高い、TIM−1タンパク質の細胞表面発現を有した。
【0174】
【表8】


【0175】
(実施例3 抗TIM−1モノクローナル抗体の特異性)
抗TIM−1抗体は、ELISAアッセイにおいて、TIM−1タンパク質に特異的に結合するが、無関係なタンパク質には結合しない。4つの抗TIM−1モノクローナル抗体(1.29、2.56.2、2.59.2および2.45.1)ならびに、アイソタイプの一致するコントロールmAbであるPK16.3についてのTIM−1抗原(V5−HISタグあり)の特異的な結合の結果を図1に示す。X軸は、上に列挙した順序で使用した抗体を示し、そして、Y軸は、光学濃度である。無関係なタンパク質(これらもまたV5−HISタグあり)に対するこれらの抗体のそれぞれの結合を、図2に示す。
【0176】
(ELISAプロトコール)
96ウェルの高タンパク質結合ELISAプレート(Corning Costarカタログ番号3590)を、コーティング緩衝液(0.1M 炭酸塩、pH9.5)中で希釈した50μLのTIM−1抗原(濃度5μg/mL)でコーティングし、そして、4℃にて一晩インキュベートした。次いで、これらのウェルを、200〜300μLのPBS中0.5%のTween−20で5回洗浄した。次に、プレートを、200μLのアッセイ希釈物(Pharmingen,San Diego,CA,カタログ番号26411E)を用いて、室温にて少なくとも1時間ブロッキングした。次いで、抗TIM−1モノクローナル抗体をアッセイ希釈物中で、最終濃度が7ng/mL、15ng/mL、31.3ng/mL、62.5ng/mL、125ng/mL、250ng/mL、500ng/mLおよび1000ng/mLとなるように希釈した。抗V5−HRP抗体を1:1000で用いて、ELISAについてのポジティブコントロールとして、V5を含むペプチドを検出した。次いで、プレートを再度上記のように洗浄した。次に、50μLの各抗体希釈物を適切なウェルに加え、次いで、室温にて少なくとも2時間インキュベートした。プレートを再度上記のように洗浄し、次いで、50μLの二次抗体(ヤギ抗ヒトHRP)を1:1000で加え、そして、室温にて1時間インキュベートさせた。プレートを再度上記のように洗浄し、次いで、1ウェルごとに100μLのTMB基質溶液(1:1の比の溶液A+B)(Pharmingen,San Diego,CA,カタログ番号2642KK)を用いて発色させた。最後に、50μLの硫酸で反応を停止させ、そして、450nmでプレートを読み取り、550nmで補正を行った。
【0177】
(実施例4 抗体の配列)
本明細書中に記載されるように抗体の構造を解析するために、特定のハイブリドーマからの重鎖フラグメントおよび軽鎖フラグメントをコードする遺伝子をクローニングした。遺伝子のクローニングおよび配列決定は、以下のようにして達成した。ポリ(A)+mRNAを、Fast−Trackキット(Invitrogen)を用いて、免疫したXenoMouse(登録商標)マウスに由来する約2×10個のハイブリドーマ細胞から単離した。ランダムにプライムしたcDNAの生成の後、PCRを行った。ヒトVHまたはヒトVκファミリー特異的な可変ドメインプライマー(Marksら、1991)またはユニバーサルヒトVHプライマーであるMG−30(CAGGTGCAGCTGGAGCAGTCIGG)(配列番号83)を、以下のヒトに特異的なプライマー:
【0178】
【数3】

または、ヒトCκ定常ドメイン(hκP2;Greenら、1994に以前記載されたもの)と組み合わせて使用した。ハイブリドーマからのヒトMAb由来の重鎖およびκ軽鎖の転写物の配列を、上記プライマーを用いて、ポリ(A)RNAから生成したPCR生成物の直接的な配列決定により得た。PCR生成物をまた、TAクローニングキット(Invitrogen)を用いてpCRIIにクローニングし、そして、両方の鎖を、Prism色素−終結部位配列決定キットおよびABI377配列決定装置を用いて配列決定した。全ての配列を、Mac Vector and Geneworksソフトウェアプログラムを用いて、「V BASE配列ディレクトリー」(Tomlinsonら、MRC Centre for Protein Engineering,Cambridge,UK)に対するアラインメントにより解析した。
【0179】
上記表4〜7の各々において、Kabat番号付けシステムに従って、CDRドメインを決定した。Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987および1991))を参照のこと。
【0180】
(実施例5 エピトープビニング(binning)およびBiaCore(登録商標)親和性の決定)
本明細書中に記載される特定の抗体を、2003年8月21日に公開された、米国特許出願公開第20030157730号(発明の名称「Antibody Categorization Based on Binding Characteristics」)に記載されるプロトコールに従って、「ビン(bin)」した。
【0181】
一次抗体に結合させるための、mxhIgG結合ビーズを調製した。必要とされる上清の容積を、以下の式を用いて計算した:(n+10)×50μL(この式において、nは、プレート上のサンプルの総数である)。濃度が既知である場合、0.5μg/mLを使用した。ビーズストックを、穏やかにボルテックスし、次いで、1ウェルあたり2500個の各ビーズの濃度、すなわち、0.5×10/mLの濃度まで、上清中で希釈し、そして、室温にて一晩、または、0.5μg/mLの既知濃度の場合は2時間、暗所にてシェーカー上でインキュベートした。吸引後、50μLの各ビーズをフィルタープレートの各ウェルに加え、次いで、1ウェルあたり100μLの洗浄緩衝液を加えることによって一度洗浄し、そして、吸引した。1ウェルあたり50μLで抗原およびコントロールをフィルタープレートに加え、次いで、蓋をし、そして、暗所にて1時間、シェーカー上でインキュベートさせた。洗浄工程の後、一次抗体について用いたものと同じ希釈(または既知の場合、同じ濃度)を用いて、1ウェルあたり50μLで、未知の二次抗体を加えた。次いで、このプレートを、室温にて2時間、シェーカー上でインキュベートし、その後、洗浄工程を行った。次に、1:500に希釈した、ビオチン化mxhIgGを1ウェルあたり50μL加えて、室温にて1時間、暗所にてシェーカー上でインキュベートさせた。洗浄工程の後、1ウェルあたり50μLのストレプトアビジン−PEを1:1000で加え、そして、室温にて15分間、暗所にてシェーカー上でインキュベートさせた。洗浄工程の後、各ウェルを、80μLのブロッキング緩衝液中に再懸濁し、そして、Luminexシステムを用いて読み取った。
【0182】
表9は、生成されたモノクローナル抗体が、8個の別個のビン(bin)に属することを示す。抗体は、TIM−1抗原上の少なくとも3つの別個のエピトープに結合した。
【0183】
(BiaCore(登録商標)解析を用いた抗TIM−1 mAb親和性の決定)
BiaCore(登録商標)解析を用いて、抗TIM−1抗体のTIM−1抗原に対する結合親和性を決定した。この解析は、研究等級CM5センサチップを備えたBiaCore(登録商標)2000バイオセンサを用いて、25℃にて行った。慣用的なアミンカップリングを用いて、CM5 BiaCore(登録商標)チップの上に高濃度ヤギαヒト抗体表面を調製した。抗体上清を、100μg/mLのBSAおよび10mg/mLのカルボキシメチルデキストランを含有するHBS−P流動緩衝液中、約5μg/mLに希釈した。次いで、これらの抗体を、2分の接触時間を用いて分離表面上で個々に捕捉し、そして、抗体の基線の安定化のために5分の洗浄を行った。
【0184】
TIM−1抗原を、各表面上に75秒間にわたり292nMで注入し、その後、3分間分離させた。コントロールの流動細胞からの信号を減算し、そして、TIM−1注入の直前に注入した緩衝液の基線の流れを減算することにより、二重に関係付けた結合データを得た。各mAbについてのTIM−1結合データを、各表面上に捕捉されたmAbの量について正規化した。この正規化された流れにより補正した応答もまた測定した。25℃における抗TIM−1 mAb結合の運動性解析結果を以下の表9に列挙する。
【0185】
【表9】


【0186】
(実施例6 エピトープマッピング)
抗TIM−1 mAb 2.70.2を、TIM−1抗原配列から設計した重なりペプチドに対する反応性についてアッセイした。アッセイプレートをTIM−1フラグメントペプチドでコーティングし、無関係なペプチドまたはペプチドなしをコントロールとして用いた。抗TIM−1 mAb 2.70.2をこのプレートに加え、インキュベートし、洗浄し、次いで、抗ヒトIg HRP結合対を用いて結合した抗体を検出した。TIM−1に対する特異性のないヒト抗体、アイソタイプコントロール抗体、または、抗体なし、をコントロールとして用いた。結果は、mAb 2.70.2が、TIM−1免疫原(配列番号54)のアミノ酸189−202に対応するアミノ酸配列PMPLPRQNHEPVAT(配列番号87)を有するペプチドと特異的に反応したことを示した。
【0187】
以下のペプチド:
【0188】
【数4】

に対してアッセイすることによって、mAb 2.70.2の特異性をさらに規定した。
【0189】
結果は、mAb 2.70.2がペプチドA、B、CおよびFに特異的に結合することを示し、抗体のエピトープの範囲をPLPRNHE(配列番号96)に限定した。
【0190】
表10に示すように、合成ペプチドを作製し、これらの合成ペプチドにおいて、エピトープの各アミノ酸残基を、アラニンで置き換え、そして、mAb 2.70.2との反応性についてアッセイした。この実験において、3番目のプロリン残基およびアスパラギン残基が、mAb 2.70.2結合に決定的であると決定した。さらに、さらにN末端残基またはC末端残基を除いたペプチドのアッセイは、mAb 2.70.2の結合が、最小エピトープLPRQNH(配列番号97)により保持されることを示した。
【0191】
【表10】


【0192】
(実施例7 正常組織および腫瘍組織におけるTIM−1発現の免疫組織化学(IHC)の解析)
正常組織生検および腫瘍組織生検におけるTIM−1発現の免疫組織化学(IHC)解析を、当該分野で公知の技術を用いて行った。ビオチン化した完全ヒト抗TIM−1抗体2.59.2、2.16.1および2.45.1を解析した。ストレプトアビジン−HRPを検出のために使用した。
【0193】
簡単に述べると、組織を、従来の技術を用いて脱パラフィン処理し、次いで、熱誘発性のエピトープ回復プロセスを用いてプロセシングして、組織サンプル内の抗原性エピトープを露出させた。切片を、10%正常ヤギ血清と共に10分間インキュベートした。正常ヤギ血清溶液の水気を切り、そして、拭いて、過剰な溶液を除いた。切片を、5μg/mLのビオチン化した抗TIM−1 mAbと共に、25℃にて30分間インキュベートし、そして、PBSで徹底的に洗浄した。ストレプトアビジン−HRP結合体と共に10分間インキュベートした後、ジアミノベンジジン(DAB)溶液をこの切片の上に加えて、免疫反応性を可視化した。アイソタイプコントロールについては、切片を、ビオチン化した抗TIM−1 mAbの代わりに、5μg/mLのビオチン化したアイソタイプの一致するネガティブコントロールmAbと共に、25℃で30分間インキュベートした。IHC研究の結果を、表11および12にまとめる。
【0194】
生検を、0〜3のスケールで等級分けし、1+のスコアは、染色が、アイソタイプコントロールである無関係な抗体で染色されたコントロール組織において観察されたものを上回ることを示す。1つの腎腫瘍および膵臓腫瘍からの対応する組織学的生検を、図3(AおよびB)に示す。これらの腎腫瘍および膵臓腫瘍に加えて、頭頚部癌、卵巣癌、胃癌、黒色腫、リンパ腫、前立腺癌、肝臓癌、乳癌、肺癌、膀胱癌、結腸癌、食道癌および脳腫瘍、ならびに、対応する正常組織からの生検を、抗TIM−1 mAb 2.59.2で染色した。全体的に、腎臓癌組織サンプルおよび膵臓癌組織サンプルは、抗TIM−1 mAb 2.59.2で染色したとき、高度に陽性であった。正常組織においては染色は観察されなかった。これらの結果は、TIM−1が、これらの組織における癌のマーカーであり、そして、抗TIM−1 mAbが、正常組織から癌を区別して、インビボにおいてTIM−1を発現する細胞を標的とするために使用され得ることを示す。
【0195】
【表11】

【0196】
【表12】




【0197】
(実施例8 抗体による媒介される毒素殺傷)
当該分野において記載されるクローン原性アッセイを用いて、サポリン毒素を結合した二次抗体試薬と組み合わせて使用したときに、一次抗体が、癌細胞死を誘導し得るかどうかを決定した。KohlsおよびLappi,Biotechniques,28(1):162−5(2000)。
【0198】
(アッセイプロトコル)
ACHN細胞およびBT549細胞を、1ウェルあたり3000細胞の濃度で、平底組織培養プレートにプレーティングした。2日目、または細胞が約25%のコンフルエンシーに到達したとき、100ng/ウェルの二次mAb−毒素(ヤギ抗ヒトIgG−サポリン;Advanced Targeting Systems;HUM−ZAP;カタログ番号IT−22)を加えた。次いで、ポジティブコントロール抗EGFR抗体、mAb 2.7.2、mAb 2.59.2またはアイソタイプコントロールmAbを各ウェルに所望の濃度(代表的に、1〜500ng/mL)で加えた。5日目に、細胞をトリプシン処理し、15cm組織培養皿に移し、そして、37℃にてインキュベートした。プレートを毎日観察した。10〜12日目に、全てのプレートをギムザ染色し、そして、プレート上のコロニーをカウントした。15cmプレートに移す前の細胞数と、最終的に形成されたコロニーの数とを比較することによって、プレーティングの効率を決定した。
【0199】
抗原陽性のACHN細胞株および抗原陰性のBT549細胞株における生存割合を、それぞれ、図4および図5に示す。この研究において、細胞傷害性化学療法試薬である5−フルオロウラシル(5−FU)をポジティブコントロールとして使用し、そして、ほぼ完全な殺傷を誘導した。その一方で、サポリンを結合したヤギ抗ヒト二次抗体単独では効果がなかった。両方の細胞株により発現されるEGFレセプターに対して生成したモノクローナル抗体(NeoMarkers MS−269−PABX)を用いて、一次抗体および二次抗体−サポリン結合体の特異的な殺傷を実証した。結果は、両方の細胞株が、100ng/mLにおいてEGFR mAb媒介性の毒素殺傷に対して感受性であったことを示す。同じ用量において、抗TIM−1 mAb 2.59.2および抗TIM−1 mAb 2.70.2の両方が、BT549細胞死が0%であったのに対し、90%を超えるACHN細胞死を誘導した。
【0200】
(抗体毒素結合体により媒介される殺傷:クローン原性アッセイ)
CAKI−1細胞およびBT549細胞を、1ウェルあたり3000細胞の濃度で、平底組織培養プレート上にプレーティングした。2日目、または細胞が約25%のコンフルエンシーに到達したとき、種々の濃度(代表的には、1〜1000ng/ml)の非結合mAbおよびアウリスタチンE(AE)結合mAb(抗EGFRmAb、抗TIM−1 mAb 2.7.2、抗TIM−1 mAb 2.59.2またはアイソタイプコントロールmAb)を細胞に加えた。これらの抗体の各々をAEに結合させた。両方の細胞株により発現されるEGFRに対して生成したモノクローナル抗体(NeoMarkers MS−269−PABX)をポジティブコントロールとして使用して、AE結合抗体により媒介される特異的な殺傷を実証した。5日目に、細胞をトリプシン処理し、15cm組織培養皿に移し、そして、37℃でインキュベートした。プレートを毎日観察した。10〜12日目に、全てのプレートをギムザ染色し、そして、プレート上のコロニーをカウントした。15cmプレートに移す前の細胞をカウントし、最終的に形成されたコロニーの数と比較することによって、プレーティングの効率を決定した。
【0201】
抗原陽性のCAKI−1細胞株および抗原陰性のBT549細胞株における生存割合を、それぞれ、図6および図7に示す。
【0202】
結果は、非結合アイソタイプコントロールmAbおよびAE結合アイソタイプコントロールmAbが、CAKI−1細胞およびBT549細胞の両方の増殖に対して効果がなかったことを示す。しかし、両方の細胞株は、用量依存性の様式でAE−EGFR mAb媒介性の毒素殺傷に対して感受性であった。最大用量において、両方の抗TIM−1 mAb(2.59.2および2.70.2)が、その非結合相対物と比較して、90%を超えるCAKI−1細胞死を誘導した。この応答は、用量依存性であった。同じ用量範囲において、抗TIM−1 mAb 2.59.2および2.70.2の両方は、BT549細胞の生存に影響を及ぼさなかった。
【0203】
(実施例9 ヒト腫瘍異種移植片の増殖遅延アッセイ)
標準的な試験法に従って、腫瘍増殖阻害モデルを使用した。Geranら、Cancer Chemother.Rep.3:1−104(1972)。無胸腺ヌードマウス(nu/nu)に、既存の宿主からの腫瘍細胞または腫瘍フラグメントのいずれかを移植した。特に、腎臓(CaKi−1)または卵巣(OVCAR)癌腫瘍フラグメントを使用した。これらの動物を、次いで、体重1kgあたり1〜20mgの範囲の用量で、2週間の期間にわたり週に2回、抗TIM−1抗体免疫毒素結合体(例えば、mAb 2.70.2 AE結合体)で処置した。処置した動物についての腫瘍容積を評価し、そして、未処置のコントロール腫瘍と比較し、こうして、腫瘍増殖の遅延を決定した。
【0204】
容積が100mmに達した後、動物を無作為抽出し、そして、個々に、1ケージあたり5匹の固体の群に割り当てた。目的のタンパク質または抗体を、2週間の期間にわたり、従来の経路(腹腔内、皮下、静脈内または筋肉内)を介して投与した。週に2回、動物を、カリパスを用いて腫瘍サイズについて評価した。投薬期間全体にわたり、そして、その後は週に2回、個々の動物の体重を毎日記録する。以下の式を用いて腫瘍容積を決定する:腫瘍容積(mm)=(長さ×幅×高さ)×0.536。処置群について決定された容積を、未処置の担腫瘍コントロール群と比較する。処置された腫瘍についてのin timeでの差を、500mm、1000mm、1500mmおよび2000mmについて計算する。未処置の担腫瘍コントロール動物と比較したときの変化について、体重を評価する。データは、時間に対してプロットした容積での、腫瘍増殖として報告する。各実験群についての体重もまた、グラフの形態でプロットする。
【0205】
結果は、処置がマウスによって十分に耐えられることを示す。具体的には、IGROV1卵巣(6.25mg/kg,q4d×4静脈内投与)およびCaki−1(3.3mg/kg,q4d×4静脈内投与)腎臓細胞癌モデルの両方において、完全な退行が顕著であった。25mg/kgまでの用量(100mg/kgの累積用量)では、マウスにおいて明白な毒性は観察されなかった。これらのデータは、抗TIM−1 mAb AE結合体により処置が、確立されたCaKi−1腫瘍およびOVCAR腫瘍の腫瘍増殖を阻害し、したがって、これらの抗体が、卵巣癌および腎臓癌の処置において有用にすることを示す。
【0206】
(実施例10 抗TIM−1抗体を用いた腎臓癌の処置)
腎臓癌の処置を必要とする患者に、細胞傷害性化学療法剤または放射性療法剤に結合した抗TIM−1抗体の静脈内注射を与える。患者の進行をモニターし、そして、腎臓癌の増殖を阻害するために、必要に応じて、抗TIM−1抗体の追加の投与を与える。このような処置の後、患者における癌のレベルが減少する。
【0207】
(実施例11 CD4+ T細胞におけるTIM−1タンパク質の発現のFACS解析)
Ficollを通して20分間スピンさせることによって、PBS中で1:1に希釈したヒト血液から単核細胞を単離した。この単核細胞を、PBS−MgおよびCaと共に1000rpmで2回洗浄し、そして、Miltenyi緩衝液(Miltenyi Biotec Inc.,Auburn,CA);PBS、0.5% BSA、5mM EDTA中に、約10細胞/mLで再懸濁した。細胞10個あたり20μLのCD4 Miltenyiビーズを加え、そして、氷上で15分間インキュベートした。細胞を10倍過剰容量のMiltenyi緩衝液で洗浄した。ポジティブ選択カラム(VS+型)(Miltenyi Biotec Inc.,Auburn,CA)を、3mLのMiltenyi緩衝液で洗浄した。ペレット状の細胞を、Miltenyi緩衝液1mLあたり10細胞で再懸濁し、そして、洗浄したVSカラムにアプライした。次いで、このカラムを、3mLのMiltenyi緩衝液で洗浄した。この後、VSカラムを磁場から取り出し、そして、5mLのMiltenyi緩衝液を用いてCD4+細胞を溶出した。単離されたCD4+リンパ球をペレット状にし、そして、DMEM 5% FCS+添加物(非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、メルカプトエタノール、グルタミン、ペニシリンおよびストレプトマイシン)中に、10細胞/mLで再懸濁した。1×10の新しく単離した休止CD4+T細胞を、フローサイトメトリー管に移し、そして、PBS、1%BSAおよび0.05% NaNを含有する2mL/管のFACS染色緩衝液(FSB)で洗浄した。細胞をスピンダウンし、そして上清を除いた。細胞を、FBS中の20%ヤギ血清を用いて、氷上で30分間ブロッキングした。細胞を上述のように洗浄し、そして、氷上で45分間、FBS(200μL)中10μg/mLの一次ヒト抗TIM−1 mAbまたはコントロールPK16.3 mAbと共にインキュベートし、その後、洗浄した。暗所、氷上にて45分間、二次ヤギ抗ヒトPE結合抗体を1:50の希釈で加え、戦場し、1%ホルムアルデヒドを含有するPBS(500μL)中に再懸濁し、そして、フローサイトメトリー解析を行うまで、4℃に維持した。
【0208】
FACS解析を行って、ヒトおよびマウスの休止CD4+T細胞、ならびに、ヒトの活性化CD4+T細胞およびヒト分極CD4+T細胞における、5つの抗TIM−1モノクローナル抗体(2.59.2、1.29、2.70.2、2.56.2、2.45.1)を用いて検出された、TIM−1タンパク質の発現を決定した。これらの解析は、新しく単離した休止CD4+T細胞が、TIM−1を発現しない一方、分極したヒトTh2細胞およびTh1細胞の主な画分はTIM−1を発現することを示す。
【0209】
5つの抗TIM−1モノクローナル抗体を用いた、ヒトCD4+Th2細胞におけるTIM−1タンパク質の発現のFACS解析を表13に示す。実験は左の欄に記載し、そして、標識した抗体を上の行に沿って特定する。データを、蛍光強度の幾何平均として報告する。
【0210】
【表13】


【0211】
表14は、抗TIM−1 mAb 2.70.2により測定したとき、5日の時間経過にわたり、T細胞の継続的な刺激が、コントロールのPK16.3抗体と比較して、TIM−1の発現の増加をもたらすことを実証する。さらに、マトリックスメタロプロテイナーゼインヒビター(MMP1)の添加は、測定可能なほどにはTIM−1の発現を増加させず、この実験条件下では、レセプターがT細胞から脱皮されないことを実証した。したがって、TIM−1タンパク質の発現および特異的な抗体の結合は、活性化されたTh1細胞およびTh2細胞に特異的であり、同様に、炎症性応答(具体的には、喘息)に特徴的である。
【0212】
【表14】


【0213】
(実施例12 サイトカインアッセイ)
標準的なELISAプロトコールを用いて、活性化Th1細胞およびTh2細胞によるIL−4、IL−5、IL−10、IL−13およびIFNγの産生レベルを、抗TIM−1抗体で処理した培養物の上清において測定した。抗TIM−1抗体で処理したTh1細胞またはTh2細胞によるサイトカインの産生を、コントロールのPK16.3抗体で処理したTh1細胞またはTh2細胞と比較した。さらに、以下のサンプルを内部コントロールとして平行して行った:i)抗CD3処理したTh1細胞またはTh2細胞(同時刺激を行わなかったので、サイトカインの産生は予想されない)、ii)抗CD3/抗Cd28で刺激したTh1細胞またはTh2細胞(検出可能なサイトカインの産生を示すと予想される)、およびiii)未処理のTh1細胞またはTh2細胞。CD4+T細胞を、上記実施例に記載したように単離した。単離したCD4+リンパ球を、次いで、スピンダウンし、そして、DMEM 5% FCS+添加物(非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、メルカプトエタノール、グルタミン、ペニシリンおよびストレプトマイシン)中に、10細胞/mLで再懸濁した。Falcon 6ウェル非組織培養処理プレートを、抗CD3(2μg/mL)および抗CD28(10μg/mL)(DulbeccoのPBS中合計600μl)で、4℃にて一晩事前コーティングした。このプレートを、PBSで洗浄し、そして、CD4+リンパ球をTh2培地(DMEM+10% FCS+添加物ならびにIL−2 5ng/mL、IL−4 5ng/mL、抗IFNγ 5μg/mL)中に500,000細胞/mLで懸濁し、そして、細胞を、TIM−1タンパク質またはアイソタイプの一致したネガティブコントロールmAb PK16.3を認識するmAb(5μg/mL)の存在下、37℃および5% COにて、4〜6日間刺激した。
【0214】
実験の別のセットにおいて、CD4+リンパ球を、Th1培地(DMEM+10% FCS+添加物ならびにIL−2 5ng/mL、IL12 5ng/mL、抗IL−4 5μg/mL)中に500,000細胞/mLで懸濁し、そして、5μg/mLのTIM−1またはアイソタイプの一致するコントロールmAb PK16.3の存在下、37℃および5% COにて、4〜6日間刺激した。細胞を、DMEM中で2回洗浄し、そして、5μg/mLのTIM−1 mAbまたはコントロールのPK16.3 mAbの存在下、DMEM、10% FCS+添加物および2ng/mLのIL−2中に再懸濁し(500,000細胞/mL)、37℃および5% COにて4〜6日間培養した(休止させた)。細胞のFAS媒介性のアポトーシスを防止するために抗CD95L(抗FASリガンド)を加えて、活性化および休止のプロセスを上記のように少なくとも1回以上繰り返した。500ng/mLの抗CD3 mAbおよび5μg/mLの同時刺激分子B7H2(B7ホモログ2)で一晩事前コーティングしたFalcon 96ウェル非組織培養処理プレートを洗浄し、そして、各ウェルに、100μLのTIM−1 mAbで処理したTh1またはTh2(200,000細胞)を加えた。培養から3日後、上清を除去し、そして、ELISA(Pharmingen,San Diego,CAまたはR&D Systems,Minneapolis,MN)により、IL−4、IL−5、IL−10、IL−13およびIFNγのレベルを決定した。
【0215】
以下に実証されるように、抗TIM−1 mAbは、Th1細胞およびTh2細胞による調べたサイトカインの放出を有意に阻害した(図8〜17を参照のこと)。サイトカイン産生の阻害が有意(p=0.02〜0.008)であった結果については、棒グラフにアスタリスクで印をつけている。表15および16は、図8〜17の棒グラフを要約する。
【0216】
【表15】

【0217】
【表16】


【0218】
異なるドナーを用いた複数の実験から得られたTh2サイトカイン阻害データのまとめを、表17に提供する。各実験は、2人の異なるドナーからの全血サンプルから単離した、精製CD4+細胞を使用した。サイトカイン産生は、コントロールPK16.3 mAbを用いて検出されたサイトカイン産生の割合として報告する。各実験において使用した抗TIM−1 mAbを、下の行に沿って特定する。有意なサイトカイン阻害を報告する結果は、以下の表17において下線を付す。「ND」の使用は、実験を行わなかったことを意味する。これらの結果は、ドナー依存性の変化を反映するが、mAb 2.59.2および1.29が、1以上のTh2サイトカインを再現可能にブロックすることを示す。
【0219】
【表17】


【0220】
(実施例13 抗TIM−1 scFvの構築、発現および精製)
mAb 2.70のVLドメインおよびVHドメインを用いて、scFv構築物を作製した。抗TIM−1 scFvの配列は、当該分野で公知の方法により合成した。
【0221】
抗TIM−1 scFvのヌクレオチド配列は以下のとおりである:
【0222】
【数5】


【0223】
成熟な抗TIM−1 scFvのアミノ酸配列は以下のとおりである:
【0224】
【数6】


【0225】
E.coliにおけるペリプラズムでの発現のために、合成したDNAを、pET−20b(+)発現ベクター内に挿入し得る。細胞を増殖させ、そして、ペリプラズムのタンパク質を、標準的なプロトコールを用いて調製した。抗TIM−1 scFvの精製は、抗FLAG M2アフィニティーカラムを製造業者の指示にしたがって用いて達成する。成熟なタンパク質の予想される分子量は、30222.4ダルトンである。この精製したscFvを、以下に記載するアッセイにおいて使用し、生物学的活性について試験する。scFv構築物は、シグナルペプチド(SP)、mAb 2.70に由来するVL(VL1)、25個のアミノ酸リンカー205Cに基づくリンカー(L4)、mAb 2.70に由来するVH(VH1)およびタグ(この場合、FLAGタグ)から構成される。他のSP、リンカーおよびタグの配列が、本明細書に記載される抗TIM−1 scFv抗体と同じ活性を得るために利用され得ることは、当業者に明らかである。
【0226】
(実施例14 抗TIM−1かつ抗CD3二重特異的なscFv1の構築、発現および精製)
この治療用タンパク質の構築物についての基本式は以下のとおりである:
SP1−VL1−L1−VH1−L2−VH2−L3−VL2−Tag。
【0227】
シグナルペプチドSP1は、Medical Research Council(MRC)Centre for Protein Engineering,University of Cambridge,UKからの、IgGκシグナルペプチドVKIII A27と同じである。
【0228】
他のシグナルペプチドもまた使用され得、そして、他のシグナルペプチドは、当業者に明らかである。このタンパク質は、哺乳動物細胞から発現されるように設計される。成熟な切断タンパク質の予想される分子量は、54833.3ダルトンである。L1は、(Gly4Ser)3リンカーに対応し、一方で、リンカー2(L2)は、短いリンカー配列:GGGGSに対応する。L3は、18アミノ酸のリンカーである。VH2は、Genbankからの抗CD3可変重鎖ドメイン(アクセッション番号CAE85148)に対応し、一方で、VL1は、Genbankからの抗CD3可変軽鎖ドメイン(アクセッション番号CAE85148)に対応する。この構築物に使用されるタグは、この新規タンパク質の精製および検出を容易にするHisタグである。標準的なプロトコールを使用して、このHisタグ化タンパク質を発現および精製し、そして、これを、以下に記載されるプロトコールにおいて、活性および腫瘍細胞殺傷について試験する。
【0229】
抗TIM−1かつ抗CD3二重特異的scFv1を含む成分についてのアミノ酸および核酸の番号付けは以下のとおりである:
【0230】
【数7】


【0231】
抗TIM−1かつ抗CD3二重特異的scFv1のヌクレオチド配列は以下のとおりである:
【0232】
【数8】


【0233】
抗TIM−1かつ抗CD3二重特異的scFv1のアミノ酸配列は以下のとおりである:
【0234】
【数9】


【0235】
(実施例15 抗TIM−1かつ抗CD3二重特異的scFv2の構築、発現および精製)
この新規治療用タンパク質の構築物についての基本式は以下のとおりである:
SP1−VL1−L4−VH1−L2−VH2−L4−VL2−Tag。
【0236】
シグナルペプチドSP1は、Medical Research Council(MRC)Centre for Protein Engineering,University of Cambridge,UKからの、IgGκシグナルペプチドVKIII A27である。さらなる情報についえは、mrc−cpe.cam.ac.uk/ALIGNMENTS.php?menu=901を参照のこと。他のシグナルペプチドおよびリンカーもまた、さらなる生物学的に活性な二重特異的単鎖抗体を得るために使用され得る。この例に記載されるタンパク質はまた、哺乳動物細胞から発現されるように設計され、そして、上の基本式において示されるのとは異なるリンカーを利用すること(L4、先に記載される)、および、最初の例におけるHisタグの代わりにFlagタグが使用されること以外は、抗TIM−1かつ抗CD3二重特異的scFv1と同様である。
【0237】
成熟な切断タンパク質の予想される分子量は、58070.0ダルトンである。この構築物に使用されるタグは、この新規タンパク質の精製および検出を容易にするFLAGタグである。標準的なプロトコールを使用して、この分泌されるタンパク質を発現させ、そして精製して、そして、これを、以下に記載されるプロトコールにおいて、活性および腫瘍細胞殺傷について試験する。
【0238】
抗TIM−1かつ抗CD3二重特異的scFv2を含む成分についてのアミノ酸および核酸の番号付けは以下のとおりである:
【0239】
【数10】


【0240】
抗TIM−1かつ抗CD3二重特異的scFv2のヌクレオチド配列は以下のとおりである:
【0241】
【数11】


【0242】
抗TIM−1かつ抗CD3二重特異的scFv2のアミノ酸配列は以下のとおりである:
【0243】
【数12】


【0244】
(実施例16 抗TIM−1 scFv種の生物学的活性のELISA解析)
抗TIM−1かつ抗CD3二重特異的なscFv1抗体およびscFv2抗体が特定の抗原に結合するかどうかを決定するために、ELISA解析を行い、1μg/mlの特異的抗原(CG57008−02)を、炭酸/重炭酸緩衝液(pH約9.2〜9.4)中で一晩ELISAプレートに結合させる。プレートを、Pharmingen,San Diego,CAから購入したアッセイ希釈緩衝液でブロッキングし、そして、種々の濃度の抗TIM−1 scFv二重特異的抗体を室温にて1時間添加する。プレートを、PBS中0.01%のTween 20において洗浄し、その後、アッセイ希釈液中の6−Hisタグ(Invitrogen,Carlsbad,CA)またはFLAGペプチドタグ(Sigma,St.Louis,MO)のいずれかに対して、HRP結合したmAbを、室温にて60分間加えた。TMB基質(Pharmingen)を用いて発色させ、そして、HSOで反応を停止する。プレートを、A450nmにて読み取り、そして、このO.D.値をタンパク質結合の指標とみなす。
【0245】
(FACS解析)
抗TIM−1かつ抗CD3二重特異的なscFv1抗体およびscFv2抗体、ならびに、抗TIM−1 scFv抗体の、抗TIM−1ヒトmAbにより認識される抗原を発現する細胞に対する結合を、FACS解析により調べる。細胞(例えば、ACHN)を、PBS中で洗浄し、そして、1%BSAまたは1%FBSを加えた氷冷PBSから構成されるFACS緩衝液中に再懸濁する。この再懸濁した細胞を、次いで、種々の濃度の二重特異的抗体と共に氷上で30分間インキュベートする。細胞を洗浄して、非結合抗体を除去する。結合抗体を、二重特異的な抗体の配列上で遺伝子操作された6−hisタグまたはFLAGタグを特異的に認識する二次標識mAb(フィコエリスリン標識またはFITC標識)の結合により検出する。細胞を洗浄し、そして、FACS解析により抗タグmAbの結合のために解析する。二重特異的mAb+抗タグmAbの結合を、抗タグmAb単独の結合と比較する。
【0246】
(細胞傷害性解析)
二重特異的抗体が、T細胞にTIM−1を発現する正常細胞もしくは腫瘍細胞を標的とさせる、二重特異的な能力により規定される機能的活性を有するかどうかを決定するために、二重特異的抗体を細胞傷害性アッセイにおいて試験する。T細胞を、濃度分離媒体(density separation medium)(特定濃度1.077)を通した血液の遠心分離から誘導される低密度の細胞から得る。T細胞は、末梢血単核細胞画分(B細胞、NK細胞および単球も含む)に由来する異種性混合物で使用されても、MACS分離およびネガティブもしくはポジティブ選択を用いて、低濃度の細胞からさらに精製されてもよい。血液から直接誘導したT細胞を用いるアッセイにおける殺傷は、PHA、サイトカイン、活性化モノクローナル抗体、または、他のポリクローナルT細胞活性化の刺激因子により、インビトロで刺激された細胞よりも少ない細胞溶解活性を有する。それゆえ、これらの活性化因子は、機能的アッセイにおいてT細胞の活性をさらに高めるために使用される。細胞傷害性アッセイの多くのバリエーションが利用可能である。細胞傷害性アッセイは、溶解の際に、細胞代謝の本来の生成物(例えば、LDH)の放出を測定する。他のアッセイは、放射性クロム(51Cr)、DELFIA BATDA、CSFE、または、類似の標識剤のような種々の薬剤での細胞の標識、および、これらの薬剤により結合される生細胞における放出または変化の検出に基づくものである。
【0247】
DELFIA細胞傷害性アッセイ(PerkinElmer Life and Analytical Sciences,Inc.Boston,MA)は、細胞媒介性の細胞傷害性研究において使用される、非放射性の方法を提供する。この方法は、蛍光増強リガンドのアセトキシメチルエステルを用いた細胞の負荷(loading)に基づく。リガンドが細胞膜を貫通した後、エステル結合が、細胞内で加水分解されて、親水性リガンドを形成し、これはもはや、膜を通過できない。細胞溶解後、この放出されたリガンドは、ユーロピウム溶液へと導入されて、蛍光キレートを形成する。測定されるシグナルは、溶解した細胞の量と直接相関する。標的細胞を、2×10/mlの濃度に再懸濁する。10μlのDELFIA BATDAを、製造業者の説明書に従って、チューブ内で2mlの標的細胞と混合した。種々の濃度のT細胞を、96ウェルの丸底プレート内の一定濃度の標識した標的細胞(1ウェルあたり5000細胞)に加え、そして、37℃にて少なくとも2時間インキュベートする。このプレートを、約200gにてスピンダウンし、その後、20μlの上清を吸引し、この上清を次いで、別のプレート内のユーロピウム溶液(200μl)に加えた。このプレートを室温で15分間インキュベートし、その後、製造業者の説明書に従って、SAFIRE(Tecan,Maennedorf,Switzerland)にて解析を行った。試験ウェルにおけるシグナルを、100%溶解のウェル(T細胞の代わりに10%溶解緩衝液)および培地のみの細胞(自然な放出)と比較し、そして、特異的溶解%を以下の式から計算する:
特異的溶解%=(試験−自然な放出)/100%溶解 ×100。
【0248】
(scFv構築物のBIAcore運動性解析)
scFv構築物(モノマー、かつ、二重特異的、少なくとも1つのTIM−1に結合するscFv部分を含む)についての親和性を決定するための運動性測定を、本発明の全抗体について先に記載した方法を用いて測定する。scFvを含む抗体タンパク質のTIM−1に対する親和性は、mAb 2.70について与えられる親和性の10の係数内(すなわち、0.271nM〜27.1nM)であると予想される。
【0249】
(実施例17 抗TIM−1 mAbのヒト卵巣癌細胞の増殖を阻害する能力)
いくつかの完全ヒトモノクローナル抗体クローンを、上記の免疫処置から単離し、そして、そのOVCAR−5(ヒト卵巣癌)細胞の増殖能を阻害する能力を、5−ブロモ−2−デオキシウリジン(BrdU)取り込みアッセイ(国際特許出願公開WO 01/25433に記載される)を用いて解析した。
【0250】
BrdUアッセイにおいて、OVCAR−5癌細胞(Manassas,VA)を、それぞれ、10%胎仔ウシ血清または10%仔ウシ血清を補充したDulbeccoの改変Eagle培地(DMEM)において培養した。卵巣癌細胞株を、10% CO/空気にて37℃でコンフルエントになるまで増殖させた。次いで、細胞を、DMEM中で24時間飢餓状態にした。富化した馴化培地(培養100μLあたり10μL)を18時間加えた。次いで、BrdU(10μM)を加え、そして、細胞と共に5時間インキュベートした。BrdUの取り込みを、製造業者の仕様書に従って、色素性イムノアッセイ(Boehringer Mannheim,Indianapolis,IN)によりアッセイした。
【0251】
種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和能力を評価した。図18A〜18Tに提供される結果は、棒グラフの形式で提示され、本明細書中に記載される種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体への曝露時のOVCAR5細胞におけるBrdU取り込みのレベルを比較するのに役立つ。ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールとして、OVCAR5細胞を、完全培地(完全)または限られた血清を含有する培地(飢餓)のいずれかにおいて培養した。さらに、モノクローナル抗体PK16.3を、無関係な特異性のヒトIgG抗体を表すネガティブ処理コントロールとして含めた。本明細書中に記載されるヒト抗TIM−1モノクローナル抗体は、種々の濃度で利用するコントロールの実験と比較するために、種々の用量(10〜1000ng/mL)で使用した。
【0252】
(実施例18 抗体結合研究)
抗TIM−1特異的なmAb(1.29および2.56.2)および種々の無関係な抗体(PK16.3を含む)に対して結合した植物毒素サポリンを用いて、さらなる抗体結合研究を行った(図19A〜19C)。さらなるネガティブコントロールとして、毒素なしの抗TIM−1特異的mAb2.56.2および無関係な抗体PK16.3を含めた(図19D)。4つの癌細胞株(うち、3つが腎臓癌細胞株(ACHN、CAKIおよび7860)で、1つが乳癌細胞株(BT549))を、サポリン−抗体結合体または抗体単独で72時間処理し、この時間の後、BrdUを加えて、24時間の期間にわたり増殖をモニターした。結果を、腎臓癌細胞株については図19A〜20Cに、そして、乳癌細胞株については、図19Dに記載する。3つ全ての腎臓癌細胞株は、BrdU取り込みにおける顕著な現象により実証されるように、サポリン−TIM−1特異的抗体結合体での処理に対して感受性であった。同じ細胞株の無関係な抗体への結合体での処理は、抗原依存性の抗増殖作用を示す効果がほとんどなかったか、または全くなかった。BT549細胞株を用いて行った同様の研究は、TIM−1特異的抗体2.56.2が、単独で、または、サポリンと結合した場合のいずれも、抗増殖作用を示さなかったことを示した。これらの研究のためのネガティブコントロールは、細胞傷害作用なしに、十分に機能しているようであった。
【0253】
(実施例19 配列)
以下は、TIM−1に対するモノクローナル抗体に関する配列である。アミノ酸配列に関しては、太字は、フレームワーク領域を示し、下線はCDR領域を示し、そして、斜体は定常領域を示す。
【0254】
(抗TIM−1 mAb 1.29)
重鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0255】
【数13】


【0256】
配列番号1によりコードされる重鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0257】
【数14】


【0258】
軽鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0259】
【数15】


【0260】
配列番号3によりコードされる軽鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0261】
【数16】


【0262】
(抗TIM−1 mAb 1.37)
重鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0263】
【数17】


【0264】
配列番号5によりコードされる重鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0265】
【数18】


【0266】
軽鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0267】
【数19】


【0268】
配列番号7によりコードされる軽鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0269】
【数20】


【0270】
(抗TIM−1 mAb 2.16)
重鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0271】
【数21】


【0272】
配列番号9によりコードされる重鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0273】
【数22】


【0274】
軽鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0275】
【数23】


【0276】
配列番号11によりコードされる軽鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0277】
【数24】


【0278】
(抗TIM−1 mAb 2.17)
重鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0279】
【数25】


【0280】
配列番号13によりコードされる重鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0281】
【数26】


【0282】
軽鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0283】
【数27】


【0284】
配列番号15によりコードされる、軽鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0285】
【数28】


【0286】
(抗TIM−1 mAb 2.24)
重鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0287】
【数29】


【0288】
配列番号17によりコードされる重鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0289】
【数30】


【0290】
軽鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0291】
【数31】


【0292】
配列番号19によりコードされる軽鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0293】
【数32】


【0294】
(抗TIM−1 mAb 2.45)
重鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0295】
【数33】


【0296】
配列番号21によりコードされる重鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0297】
【数34】


【0298】
軽鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0299】
【数35】


【0300】
配列番号23によりコードされる軽鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0301】
【数36】


【0302】
(抗TIM−1 mAb 2.54)
重鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0303】
【数37】


【0304】
配列番号25によりコードされる重鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0305】
【数38】


【0306】
軽鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0307】
【数39】


【0308】
配列番号27によりコードされる軽鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0309】
【数40】


【0310】
(抗TIM−1 mAb 2.56)
重鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0311】
【数41】


【0312】
配列番号29によりコードされる重鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0313】
【数42】


【0314】
軽鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0315】
【数43】


【0316】
配列番号31によりコードされる軽鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0317】
【数44】


【0318】
(抗TIM−1 mAb 2.59)
重鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0319】
【数45】


【0320】
配列番号33によりコードされる重鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0321】
【数46】


【0322】
軽鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0323】
【数47】


【0324】
配列番号35によりコードされる軽鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0325】
【数48】


【0326】
(抗TIM−1 mAb 2.61)
重鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0327】
【数49】


【0328】
配列番号37によりコードされる重鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0329】
【数50】


【0330】
軽鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0331】
【数51】


【0332】
配列番号39によりコードされる軽鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0333】
【数52】


【0334】
(抗TIM−1 mAb 2.70)
重鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0335】
【数53】


【0336】
配列番号41によりコードされる重鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0337】
【数54】


【0338】
軽鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0339】
【数55】


【0340】
配列番号43によりコードされる軽鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0341】
【数56】


【0342】
(抗TIM−1 mAb 2.70.2)
重鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0343】
【数57】


【0344】
配列番号136によりコードされる重鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0345】
【数58】


【0346】
軽鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0347】
【数59】


【0348】
配列番号138によりコードされる軽鎖可変領域および部分的な定常領域のアミノ酸配列:
【0349】
【数60】


【0350】
(抗TIM−1 mAb 2.76)
重鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0351】
【数61】


【0352】
配列番号45によりコードされる重鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0353】
【数62】


【0354】
軽鎖可変領域および定常領域の一部のヌクレオチド配列:
【0355】
【数63】


【0356】
配列番号47によりコードされる軽鎖可変領域および定常領域の一部のアミノ酸配列:
【0357】
【数64】


【0358】
(実施例20 卵巣癌の処置のための抗TIM−1抗体の有用性を実証するインビボ研究)
インビボ研究を行って、無胸腺マウスにおける、確立されたヒトIGROV−1卵巣異種移植片に対する、抗体−薬物結合体であるCR014−vcMMAEの潜在能力および治療的効能を評価した。
【0359】
(材料および方法)
試験動物:5〜6週齢の無胸腺マウス(CD−1 nu/nu 雌性)をCharles Rivers Laboratories(Wilmington,DE)から入手し、これをヒト腫瘍異種移植片のために使用した。動物は、Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care International(AAALAC International)のガイドラインに従って、特定の病原体を含まない条件下で飼育した。試験動物に、固形飼料と水を自由に与え、そして、通気(HVAC)、温度(22℃±2℃)、相対湿度(55%±15%)および光周期(12時間)が制御された室内に維持した。全ての研究を、承認された施設の動物管理および使用のプロトコールを用いて行った。Contract Research Organizations。インビボでの実験は、Southern Research Institute(Birmingham,AL)において行った。
【0360】
ヒト卵巣癌異種移植片モデル。CR014−MMAE免疫結合体の腫瘍阻害活性を、刊行された方法(Geran RI,Greenberg NH,Macdonald MM,Schumacher AM and Abbott BJ(1972)Protocols for screening chemical agents and natural products against animal tumors and other biological systems.Cancer Chemother Rep 3:1−104)に従って、無胸腺マウスを用いて、抗腫瘍異種移植モデルにおいて測定した。
【0361】
簡単に述べると、試験動物に、トロカールにより、無胸腺マウスの腫瘍ドナーから切除したIGROV1癌の小さな断片(30〜60mg)を皮下移植した。腫瘍が確立されると(20日目、95mg)、これらの動物を対にマッチングさせて2群に分け(n=6マウス/群)、そして、処置を静脈内投与(尾静脈)により投与した。
【0362】
IGROV1卵巣癌は、1985年に47歳の女性に由来するものであり、そして、American Type Culture Collectionから入手した。処置の効果を、Vernierカリパスを用いた2つの直径にわたる腫瘍の繰り返し測定によりモニターした;腫瘍サイズ(mg)を、比重を1.0と仮定して、標準的な式(W×L)/2を用いて算出した。腫瘍サイズおよび体重を1週間に2回評価した。しかし、マウスは毎日観察し、そして、瀕死の動物は、過度な疼痛または苦痛の臨床上の兆候が顕著である場合(すなわち、衰弱、姿勢の湾曲、麻痺/不全麻痺、腹部膨張、潰瘍形成、膿瘍、てんかん、および/または、出血)は、人道的に安楽死させた。2,000mgを超える腫瘍を有する動物は、研究から除外し、そして人道的に安楽死させた。
【0363】
無胸腺マウスにおける異種移植片研究は、種々の薬剤についての抗腫瘍効果を効率的に実証することが示され、これらの薬剤は、その後、臨床上の癌に対する活性を有することが見出された。Johnson JI,Decker S,Zaharevitz D,Rubinstein LV,Venditti JM,Schepartz S,Kalyandrug S,Christian M,Arbuck S,Hollingshead MおよびSausville EA(2001)Relationships between drug activity in NCI preclinical in vitro and in vivo models and early clinical trials.Br J Cancer 84:1424−1431。
【0364】
結果:
IGROV1に対するインビボでの抗腫瘍効果。TIM−1発現細胞に対するCR014−vcMMAEのインビトロでの効能及び細胞傷害性に基づいて、抗腫瘍効果をインビボで検証した。
【0365】
皮下ヒトIGROV1卵巣癌の増殖に対する、ビヒクル対照群、基準薬剤、CR014−vcMMAE免疫結合体の効果を図20に示す。
【0366】
生理食塩水又はPBSで処置した動物の腫瘍は、腫瘍の質量が2,000mgに達するまで徐々に増殖したが、この時点で動物を試験から除外して、人道的に安楽死させた。免疫不全宿主におけるIGROV1腫瘍の「定着」率は高く(93%)、自然退縮率は非常に低い(0%)(Dykes DJ、Abbott BJ、Mayo JG、Harrison Jr.SD、Laster Jr WR、Simpson−Herren LおよびGriswold Jr.DP(1992)「Development of human tumor xenograft models for in vivo evaluation of new antitumor drugs,in Immunodeficient mice」Oncology,vol.42(Fiebig HHおよびBerger DPe編)pp.1〜22,Contrib.Oncol.Basel,Karger)。
【0367】
基準となる既知の抗腫瘍薬2種類、硫酸ビンブラスチン(1.7mg/kg,q4d×4静脈内投与)及びパクリタキセル(24mg/kg,q2d×4静脈内投与)を本研究において使用した;予備試験で定めた最大耐許容投与量(MTD)でこれらの薬剤を投与した。ビンブラスチンは、ごく軽微であり、有意ではない抗腫瘍効果を生じた(p<0.20);一方、パクリタキセルは、有意な腫瘍増殖抑制を示し、卵巣腫瘍の完全退縮が認められた(n=6/6);観察期間中(処置開始後101日間)に腫瘍の再増殖は認められなかった。臨床での卵巣癌に対するパクリタキセルの有効性は周知であるが、ビンブラスチンについては不明である(Markman,M.,Taxol:an important new drug in the management of epithelial ovarian cancer.Yale J Biol Med,1991.64(6):p.583−90)。
【0368】
IGROV1担癌マウスへのCR014−vcMMAE静脈内投与の抗腫瘍効果は顕著であった。一方、高用量のCR014免疫抱合体を投与した場合、50mg/kg/処置(1/6=17%)および100mg/kg/処置(6/6=100%)において、致死毒性が生じた。それでも、50mg/kg/処置を投与した動物6匹中5匹においてヒト卵巣癌の完全退縮が認められた。25mg/kg/処置、12.5mg/kg/処置、6.25mg/kg/処置などの低用量では治療効果のある腫瘍増殖抑制が認められ、被験動物の大半において完全退縮が認められた。観察期間中に、退縮した腫瘍は再増殖しなかった。
【0369】
本研究(CR014−ONC−1,CGC−17)の動物において、100mg/kg以下の用量では肉眼所見において治療効果の異常は認められず、50mg/kgではマウス6匹中1匹のみに体重抑制及び致死的毒性が認められた。50mg/kg/処置以下では、週2回の体重測定において、CR014−vcMMAEを用いた処置の体重または体重増加に対する観察可能な効果や統計学的に有意な効果は認められなかった。
【0370】
結論:CR014−vcMMAEは、実質的に用量依存性の抗腫瘍効果を生じる。この抗腫瘍効果は、腫瘍増殖の阻害として始まったが、すぐに、確立されたヒト卵巣異種移植片の完全な退行をもたらした;この退行は、観察期間中(処置開始後101日間)に首尾よい治療が認められなかった後の、長期生存および腫瘍の再増殖であった。
【0371】
(参考としての援用)
本明細書において引用される全ての参考文献(特許、特許出願、論文、教科書などを含む)およびこれらの文献において引用される参考文献は、それらがもはやそうではない程度までに、その全体が本明細書において参考として援用される。さらに、以下の参考文献もまた、このような参考文献において引用される参考文献を含め、その全体が本明細書において参考として援用される:
(等価物)
本発明の好ましい実施形態が例示および記載されてきたが、本発明は、本発明が属する分野の当業者により変更および改変され得、それゆえ、示される正確な用語に限定されないが、このような変更および改変がまた本発明を種々の用途および条件に適用させるためになされ得ることが理解されるべきである。したがって、このような変更および改変は、等価物の全範囲内であり、それゆえ、添付の特許請求の範囲の全範囲内であることが適切に意図される。
【0372】
本発明、ならびに、本発明を作成および使用する様式およびプロセスは、本発明が属する分野、または、本発明を作成および使用することに最も密接に関連のある分野のあらゆる当業者が実施できるように、このように完全、明瞭、簡潔かつ正確な用語で記載された。
【図面の簡単な説明】
【0373】
【図1】図1は、TIM−1抗原に対する抗TIM−1モノクローナル抗体1.29、2.56.2、2.59.2および2.45.1のELISAアッセイの結果の棒グラフである。
【図2】図2は、無関係なタンパク質に対する抗TIM−1モノクローナル抗体1.29、2.56.2、2.59.2および2.45.1のELISAアッセイの結果の棒グラフである。
【図3】図3は、抗TIM−1 mAb 2.59.2を用いた、腎細胞癌(3A)および膵臓癌(3B)の染色を示す。
【図4】図4は、ACHN腎臓癌細胞株における、抗TIM−1モノクローナル抗体により媒介される毒素殺傷のクローン原性アッセイ結果の棒グラフである。
【図5】図5は、BT549乳癌細胞株における、抗TIM−1モノクローナル抗体により媒介される毒素殺傷のクローン原性アッセイ結果の棒グラフである。
【図6】図6は、オーリスタチンE(AE)を結合した抗体を用いて処置されたCAKI−1細胞のクローン原性アッセイ結果の棒グラフである。
【図7】図7は、オーリスタチンE(AE)を結合した抗体を用いて処置されたBT549細胞のクローン原性アッセイ結果の棒グラフである。
【図8】図8は、抗TIM−1モノクローナル抗体2.59.2、2.56.2および2.45.1が、コントロールのPKI 6.3 mAbと比較して、Th1細胞からのIL−4の放出を有意に阻害することを示す棒グラフである。
【図9】図9は、抗TIM−1モノクローナル抗体2.59.2および2.45.1が、コントロールのPKI 6.3 mAbと比較して、Th2細胞からのIL−4の放出を有意に阻害することを示す棒グラフである。
【図10】図10は、抗TIM−1モノクローナル抗体2.59.2が、コントロールのPKI 6.3 mAbと比較して、Th1細胞からのIL−5の放出を有意に阻害したことを示す棒グラフである。
【図11】図11は、抗TIM−1モノクローナル抗体2.59.2および1.29が、コントロールのPKI 6.3 mAbと比較して、Th2細胞からのIL−5の放出を有意に阻害したことを示す棒グラフである。
【図12】図12は、抗TIM−1モノクローナル抗体2.59.2、1.29および2.56.2が、コントロールのPKI 6.3 mAbと比較して、Th1細胞からのIL−10の放出を有意に阻害したことを示す棒グラフである。
【図13】図13は、抗TIM−1モノクローナル抗体2.59.2、1.29および2.45.1が、コントロールのPKI 6.3 mAbと比較して、Th2細胞からのIL−10の放出を有意に阻害したことを示す棒グラフである。
【図14】図14は、抗TIM−1モノクローナル抗体2.59.2、1.29および2.56.2が、コントロールのPKI 6.3 mAbと比較して、Th1細胞からのIL−13の放出を有意に阻害したことを示す棒グラフである。
【図15】図15は、抗TIM−1モノクローナル抗体2.59.2および1.29が、コントロールのPKI 6.3 mAbと比較して、Th2細胞からのIL−13の放出を有意に阻害したことを示す棒グラフである。
【図16】図16は、抗TIM−1モノクローナル抗体が、コントロールのPKI 6.3 mAbと比較して、Th1細胞からのIFNγの放出を阻害しなかったことを示す棒グラフである。
【図17】図17は、抗TIM−1モノクローナル抗体2.59.2および2.45.1が、コントロールのPKI 6.3 mAbと比較して、Th2細胞からのIFNγの放出を有意に阻害したことを示す棒グラフである。
【図18A】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18B】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18C】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18D】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18E】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18F】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18G】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18H】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18I】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18J】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18K】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18L】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18M】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18N】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18O】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18P】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18Q】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18R】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18S】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図18T】図18A〜18Tは、種々のヒト抗TIM−1モノクローナル抗体の中和を評価した実験からBrdU取り込みアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図19A】図19A〜19Dは、TIM−1特異的な抗体と無関係な抗体とに結合させた植物毒素であるサポリンを用いて行った、抗体結合体研究の結果を示す線グラフである(図19A〜19C)。毒素なしの無関係な抗体のみのさらなるネガティブコントロールを含めた(図19D)。
【図19B】図19A〜19Dは、TIM−1特異的な抗体と無関係な抗体とに結合させた植物毒素であるサポリンを用いて行った、抗体結合体研究の結果を示す線グラフである(図19A〜19C)。毒素なしの無関係な抗体のみのさらなるネガティブコントロールを含めた(図19D)。
【図19C】図19A〜19Dは、TIM−1特異的な抗体と無関係な抗体とに結合させた植物毒素であるサポリンを用いて行った、抗体結合体研究の結果を示す線グラフである(図19A〜19C)。毒素なしの無関係な抗体のみのさらなるネガティブコントロールを含めた(図19D)。
【図19D】図19A〜19Dは、TIM−1特異的な抗体と無関係な抗体とに結合させた植物毒素であるサポリンを用いて行った、抗体結合体研究の結果を示す線グラフである(図19A〜19C)。毒素なしの無関係な抗体のみのさらなるネガティブコントロールを含めた(図19D)。
【図20】図20は、4日間毎日4回の処置について6.25mg/kg〜50mg/kgでの静脈内投与処置を行った後の、無胸腺マウスにおけるIGROV1卵巣癌異種移植片の腫瘍増殖の抑制と、完全な後退とを示すグラフである。ビンブラスチン(1.7mg/kg q4d×4静脈内投与)およびパクリタキセル(15.0mg/kg q2d×4静脈内投与)のような参考薬物に対する腫瘍を有する動物の応答もまた示される。コントロール群は、リン酸緩衝化食塩水(PBS)または生理食塩水のいずれかで処置した。CR014−vcMMAEは、処置1回につき50mg/kg(n=1/6)および処置1回につき100mg/kg(n=6/6)において、試験動物に対して毒性であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵巣癌を効率的に処置する方法であって、該方法は、処置を必要とする患者にT細胞の免疫グロブリンドメインまたはムチンドメイン1(TIM−1)に特異的に結合する抗体またはその結合フラグメントの治療有効用量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項2】
前記抗体が配列番号54に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記抗体が10−7Mと10−14Mとの間のKdでTIM−1に対して結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記抗体または結合フラグメントが治療剤に結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記治療剤が毒素である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記治療剤が放射性同位元素である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記治療剤が化学療法因子である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
腎臓癌を効率的に処置する方法であって、該方法は、処置を必要とする患者にT細胞の免疫グロブリンドメインまたはムチンドメイン1(TIM−1)に特異的に結合する抗体またはその結合フラグメントの治療有効用量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項10】
前記抗体が配列番号54に示されるアミノ酸配列を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記抗体が10−7Mと10−14Mとの間のKdでTIM−1に対して結合する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記抗体または結合フラグメントが治療剤に結合される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記治療剤が毒素である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記治療剤が放射性同位元素である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記治療剤が化学療法因子である、請求項13に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図18E】
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【図18F】
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【図18G】
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【図18H】
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【図18I】
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【図18J】
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【図18K】
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【図18L】
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【図18M】
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【図18N】
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【図18O】
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【図18P】
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【図18Q】
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【図18R】
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【図18S】
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【図18T】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図19D】
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【図20】
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【公表番号】特表2009−515897(P2009−515897A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540265(P2008−540265)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/044090
【国際公開番号】WO2007/059082
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(508141678)キュラジェン コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】