説明

Webアプリケーション用開発支援システム

【課題】 本発明は、プラグインソフトウェアを必要とせずに、Webブラウザにおいて既存のインフラを利用して、Webシステムの柔軟性、ローコスト化を図り、データ入力作業の容易化を達成せんとするものである。
【解決手段】 WebブラウザとWebサーバ間で画像データのやり取りを行うWebアプリケーションにおいて、Webブラウザ上で再描画処理される時のレスポンスの遅さを改善する目的のダミーフレームをWebブラウザの画面上に用意し、このダミーフレームはWebブラウザ画面上の入力項目に入力された入力要求を一時的に受け取り、Webブラウザからの入力要求の回答をWebサーバとやり取りすることでオブジェクト処理して回答を取得し、その回答をWebブラウザ画面の入力項目に戻す機能を有することを特徴とするWebアプリケーション用開発支援システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はWebアプリケーション用開発支援システムに係り、さらに詳しくは、大量かつ定期的で、不定型又は定型のデータを、入力、表示したり、さらには複雑な画面遷移や、大量の帳票印刷を必要とするWebアプリケーションに利用することができるWebアプリケーション用開発支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
汎用機又はオフコンやメインフレーム上で運用している従来のアプリケーションを、Web化することが行われるようになった。
これはWebブラウザの使い勝手において、専用クライアント・ソフトウェアを使用せずに、さまざまなアプリケーションにアクセスできるという利点がある。
【0003】
しかしながら、上記した従来のアプリケーションは画面の切り替えを早くすることができないとか、汎用機であるデスクトップ型コンピュータ並みのスピードで使用できないとか、動作環境に信頼がない等の問題点があった。
【0004】
この問題を解決するために、スクリプト言語の処理機構を加えたWebシステムのインターフェース等も存在するが、このインターフェースによっても、やはり上記の問題を解決することはできなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2003−141169号公報
【0006】
この特許文献1に記載されたWebブラウザによるデータベース上データ表示方法では、コンピュータのキーボード上のEnterキーの制御(次項目にカーソルを移動させること)で入力データを確定させたり、あるいはカーソルを移動させたりすることができない。またファンクションキーには画面上の表示機能の割り当てがなされておらず、さらには画面上で定義するデータファイル項目の参照表示において,コード入力によるマスタ等のデータファイル項目を画面切り替えを行わずに、各種項目(名称、数値、日付など)の検索、参照を行うことができないため、後述する点で使いにくいWebアプリケーションとなっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
まずWebブラウザのユーザーインターフェイスでのデータ入力に際しては、マウスによる操作が中心となっているため、キーボード操作が主体となるアプリケーション(例えば、テンキーによる数値入力の例)にあっては、この特許文献1を含む従来のWebアプリケーション用開発支援システムでは、十分な操作性が発揮できず、業務オペレーションの作業効率を低下させてしまうという問題点があった。
【0008】
またWebシステムでは、画面(フレーム)ごとにWebサーバとの間で通信をすることになるが、画面(フレーム)ごとにWebサーバとの間で通信をすると、通信に際して入力操作に対するレスポンスの低下を招くという問題点もあった。具体的には、ユーザーがアクションを起こしてから、そのアクションの結果を表示し終わるまで、すなわち一連の処理が終了するまで、長い待ち時間がとられてしまい、この待ち時間が利便性を損なわせる原因となっていた。
【0009】
さらに、Webブラウザにおいては、既存のキーボード上のファンクションキーでは提供されていない機能を必要とすることがあるが、その用意がないためWebアプリケーションの柔軟度(適応の度合い)が低下するという問題点もあった。
【0010】
本発明は、上記の全ての問題点を解消し、クライアント/サーバ・システム並の高いパフォーマンスで使い易いWebアプリケーション用開発支援システムを提供して、プラグインソフトウェアを必要とせずに、Webブラウザにおいて既存のインフラを利用して、Webシステムの柔軟性、ローコスト化を図り、データ入力作業の容易化を達成せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、WebブラウザとWebサーバ間で画像データのやり取りを行うWebアプリケーションにおいて、Webブラウザ上で再描画処理される時のレスポンスの遅さを改善する目的のダミーフレームをWebブラウザの画面上に用意し、このダミーフレームはWebブラウザ画面上の入力項目に入力された入力要求を一時的に受け取り、Webブラウザからの入力要求の回答をWebサーバとやり取りすることでオブジェクト処理して回答を取得し、その回答をWebブラウザ画面の入力項目に戻す機能を有することを特徴とするWebアプリケーション用開発支援システムである。
【0012】
請求項2記載の発明は、Webブラウザ画面上の入力項目を確定する際、キーボード上のEnterキーからオン信号を受けると、WebブラウザとWebサーバ間で画像データのやり取りを行うようにした請求項1記載のWebアプリケーション用開発支援システムである。
【0013】
請求項3記載の発明は、キーボード上のファンクションキーに、機能割り当てを行えるようにした請求項1又は2記載のWebアプリケーション用開発支援システムである。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように、請求項1及び2のWebアプリケーション用開発支援システムによれば、ダミーフレームの存在により、従来は画面再描画処理を全面的に行っていたものが、本発明では画面全体の情報のやり取りを最小限度の情報(入力要求)の部分のみに限定して行うので、送信情報量が著しく少なくなり、これによってやり取りのレスポンスが速くなり、操作性を格段に向上させることができるという効果がある。
【0015】
請求項3のWebアプリケーション用開発支援システムによれば、ファンクションキーに各種の機能を割り当てられるため、例えば帳票を印刷するようなWebブラウザにおいては、プラグインソフトウェアを必要とせずに、Webブラウザにおいて既存のインフラを利用して、Webシステムの柔軟性、ローコスト化を図り、データ入力作業の容易化を達成できるという効果がある。
特に、Webアプリケーションにおいては、ファンクションキーに各種の機能を割り当てるというようなことは行われていなかったので、大変使いやすいものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下添付図面に基づいて、本発明に係るWebアプリケーション用開発支援システムの実施例を詳説する。
図1は本発明の対象とするシステム全体の構成図であり、図2はWebアプリケーションによりデータ設定されるWebブラウザ上の画面テーブル仕様を示している。
【実施例1】
【0017】
クライアントが使用するクライアントコンピュータ1のWebブラウザ画面2には、ダミーフレーム3が操作者からは見えない状態で備えられている。
【0018】
このWebブラウザ画面2には、特定のWebアプリケーションで必要とされる各項目入力欄4が存在する。項目入力欄4の窓に、必要な項目を入力する際には、画面上で定義するデータファイル項目を参照して行うことになるが、コード入力によるマスタ等のデータファイル項目を画面を切り換えずに表示し、各種名称、数値、日付等の検索や、参照が容易に行えるようになっている。
【0019】
ここで、項目記入欄4にある企業名を取得したい場合には、例えばコード番号を入力し、その入力信号をダミーフレーム3に送り、そのダミーフレームを介してWebサーバ5と交信し、Webサーバ5との間で画像データのやり取りを行い、Webサーバ5は接続するデータベース6から要求7に対する結果8を引き出し、その結果をJSP9を経由してWebブラウザ画面2の参照表示欄10に表示することになる。この手順は、全て本システムに基づきクライアントコンピュータ1が、自ら判断してその結果を導き出すようになっている。
【0020】
上記の手順中、ダミーフレーム3を介してWebサーバ5に送られる情報は、Webブラウザ画面2上の全ての情報ではなく、項目記入欄4に入力された情報のみであり、一方Webサーバ5からJSP9を経由して参照表示欄10に送られる情報も項目記入欄4に入力された結果の要求7に対する結果8だけである。
【0021】
このWebブラウザ画面2とWebサーバ5との間の通信が、いわば贅肉を落とした状態で行われるため、入力操作に対するレスポンスが俊敏に行える効果が得られる。すなわち、ユーザーがアクションを起こしてから、その結果を表示し終わるまでの待ち時間は大変短くなり、レスポンスの低下を招来しない。
【0022】
Webブラウザにおいて、表示するデータ、レイアウト情報、Java(登録商標)Script等の処理プログラムをダウンロードするたびに、全体ファイルの解析・画面情報の算出・描画処理を行わないため、画面更新時に通信情報量の増加やレスポンスの低下を招来することはない。
【0023】
次に、本発明はWebブラウザ画面2上の入力項目を確定する際、キーボード11上のEnterキー12から、オン信号を受け取ると、WebブラウザとWebサーバ5間で画像データのやり取りを行うようにしているので、Enterキー12の制御による入力項目の確定、カーソルの移動が簡単に行えるようになり、この点で操作性を向上させることとなった。
【0024】
さらに、Webブラウザ画面2上で定義するデータファイル項目の参照表示において、コード入力によるマスタ等のデータファイル項目を画面切り替えを行うことなく、入力項目の検索、参照ができるようになった。
【0025】
また、本発明は、Webアプリケーションにおいてファンクションキーに各種の機能を割り当てられるようにしたので、キーボード11上のファンクションキー13に、機能割り当てを行えるようになり、Webブラウザ画面上のボタンをファンクションキーに割り当てることも可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のWebアプリケーション用開発支援システムは、Webアプリケーションを利用するあらゆる分野において利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の対象とするシステム全体の構成図である。
【図2】図2はWebアプリケーションによりデータ設定されるWebブラウザ上の画面テーブル仕様を示している。
【符号の説明】
【0028】
1…クライアントコンピュータ
2…Webブラウザ画面
3…ダミーフレーム
4…項目入力欄
5…Webサーバ
6…データベース
7…要求
8…結果
9…JSP
10…参照表示欄
11…キーボード
12…Enterキー
13…ファンクションキー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
WebブラウザとWebサーバ間で画像データのやり取りを行うWebアプリケーションにおいて、Webブラウザ上で再描画処理される時のレスポンスの遅さを改善する目的のダミーフレームをWebブラウザの画面上に用意し、このダミーフレームはWebブラウザ画面上の入力項目に入力された入力要求を一時的に受け取り、Webブラウザからの入力要求の回答をWebサーバとやり取りすることでオブジェクト処理して回答を取得し、その回答をWebブラウザ画面の入力項目に戻す機能を有することを特徴とするWebアプリケーション用開発支援システム。
【請求項2】
Webブラウザ画面上の入力項目を確定する際、キーボード上のEnterキーからオン信号を受けると、WebブラウザとWebサーバ間で画像データのやり取りを行うようにした請求項1記載のWebアプリケーション用開発支援システム。
【請求項3】
キーボード上のファンクションキーに、機能割り当てを行えるようにした請求項1又は2記載のWebアプリケーション用開発支援システムである。


【図1】
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【図2】
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