説明

X線撮影システム及びX線撮影方法

【課題】X線吸収率が小さい対象物であっても簡易に視認性の高い撮影画像を得ることができるX線撮影システム及びX線撮影方法を提供すること。
【解決手段】X線撮影システム1では、被写体Wに焦点径D(μm)のX線を照射するX線管2と、当該照射されたX線のX線量に応じたX線画像を記録するX線検出器31とを用いて、乳房を除くX線吸収率が小さい被写体を撮影する際に、X線管2と被写体Wとの距離R1を、0.1≦R1≦2とし、被写体WからX線検出器31までの距離R2を、0.3≦R2≦2とし、X線管2の焦点からX線検出器31までの距離R3を、0.8≦R3≦3とし、X線管2の焦点径Dを、5≦D≦200とし、拡大率Mを、1.5≦M≦20として、位相コントラスト撮影を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体にX線を照射し、そのX線画像を撮影するX線撮影システム及びX線撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮影画像の視認性を向上させるため、位相コントラスト法による撮影が行われている(例えば、特許文献1参照)。位相コントラスト撮影は、X線管の焦点径、X線管から被写体までの距離、被写体からX線検出器までの距離を所定の関係とする拡大撮影である。この位相コントラスト撮影では、X線屈折の現象から被写体内の組織の境界部分が強調された画像を得ることができるため、精査を要する読影に最適な画像を医師に提供することが可能となる。このエッジ強調はエッジ効果と呼ばれている。
【0003】
また、近年の医療システムのデジタル化に伴い、前記位相コントラスト撮影をデジタル検出器を用いて実施するシステムが開発されている(特許文献2参照)。
【0004】
位相コントラスト撮影は、乳房を被写体とする乳房撮影システムにおいて、東芝社製乳房撮影装置「MGU−100B」(X線管の焦点径100μm)で撮影し、コニカミノルタ社製レジウスシステム(model190)でデータ処理を行い、同社製イメージャ(ドライプロmodel793)でフィルム出力を行うシステムが実用化されている。乳房撮影は主に乳癌の所見となる腫瘤、微小石灰化クラスタといった病変部の陰影(以下、異常陰影という)を検出するために行われるものである。これらの検出は精査を要するため、位相コントラスト撮影によるエッジ効果は読影に際して非常に有用なものとなる。
【0005】
ところで、軟骨などのX線吸収が低い組織では、X線撮影により画像を得ることは難しいとされており、このような部位で観察される病気の診断にX線画像を利用することはできなかった。
【0006】
例えば、今や国民病ともされるリウマチでは、その症状に伴い骨の形状の変化が観察されるが、初期症状の段階で軟骨の磨り減りが観察されるとされている。現段階でリウマチはその根本的な治療薬が存在せず、症状の進行を止める治療しか存在しない疾患の一つであることから、早期発見による治療への移行が重要であり、軟骨の形状を観察することが可能なX線撮影技術が望まれるところである。しかしながら、現在のX線撮影では、比較的低管電圧撮影である手の撮影でも上記の理由からせいぜい40数kVpまでしか管電圧を下げて撮影しなかったため、この管電圧で照射されるエネルギーのX線では、軟骨を描写することは困難であり、得られた画像を基に診断を行うには早期発見という観点から不十分であった。
【0007】
そのため、このような組織では、通常、X線撮影に代わり、MRIにより得られた画像を基に診断が行われてきた。また、最近では、X線撮影のうち、X線が平行に直進する放射光を取り出し、これを用いて軟骨を撮影する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−91479号公報
【特許文献2】特開2001−299733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前者のMRIによる撮影は、得られる画像の解像度が低く、また、費用がかかることから敬遠されがちであり、結局、X線撮影による観察が可能となる骨への異常が観察される程にまで病状が進行してから、X線撮影が行われることが多く、リウマチと診断される頃には、患者は不自由な生活を余儀なくされていた。
【0009】
また、後者の放射光を用いて軟骨を撮影する技術は、試験研究に用いられる特殊な撮影方法であり、撮影設備を整えるには巨大すぎて、一般の病院での診断には適用できず、また、診断に際して時間が数10分単位でかかるなど、医療現場で実際に使用するには不向きな構成である。
【0010】
そこで、本発明の課題は、前記問題点を鑑みてなされたものであり、X線吸収率が小さい対象物であっても簡易に視認性の高い撮影画像を得ることができるX線撮影システム及びX線撮影方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、X線撮影システムであって、
乳房を除くX線吸収率が小さい被写体に対し、
焦点径D(μm)が5≦D≦200であるX線を照射するX線管と、
前記照射されたX線のX線量に応じたX線画像を記録するX線検出器とを備え、
前記X線管の焦点から前記被写体までの距離R1を、0.1≦R1≦2とし、
前記被写体から前記X線検出器までの距離R2を、0.3≦R2≦2とし
前記X線管の焦点から前記X線検出器までの距離R3を0.8≦R3≦3とし、
拡大率Mを1.5≦M≦20として位相コントラスト撮影を行うことを特徴とする(ただし、拡大率M=R3/R1とする。)。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のX線撮影システムにおいて、
幾何学的不鋭B(μm)は、下記一般式(1)を満たすものであることを特徴とする。
B=(M−1)×D≦300 ・・・(1) 。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のX線撮影システムにおいて、
前記X線管は、前記被写体に平均X線エネルギーE(keV)のX線を照射するものであり、
前記被写体を撮影する際に、
前記平均X線エネルギーE(keV)を15≦E≦35とする(ただし、平均X線エネルギーE(keV)は、X線管から1m離れた位置で測定された値とする。)ことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のX線撮影システムにおいて、
前記被写体を撮影する際の前記平均X線エネルギーE(keV)を25≦E≦35とする(ただし、平均X線エネルギーE(keV)は、X線管から1m離れた位置で測定された値とする。)ことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のX線撮影システムにおいて、
前記X線管は、医療用のX線管であることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のX線撮影システムにおいて、
前記X線管から放射される光は、拡散光であることを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のX線撮影システムにおいて、
前記X線管は、電子を発生する陰極と、前記電子の衝突によりX線を発生する陽極とを備えることを特徴とする。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のX線撮影システムにおいて、
前記陰極は、熱電子放出型であることを特徴とする。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載のX線撮影システムにおいて、
前記陰極は、電界放出型であることを特徴とする。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項7〜請求項9のいずれか一項に記載のX線撮影システムにおいて、
前記陽極は、タングステンを主成分として形成されるとともに、
前記X線管の管電圧V(kVp)を20≦V<40とすることを特徴とする。
【0021】
請求項11に記載の発明は、請求項7〜請求項9のいずれか一項に記載のX線撮影システムにおいて、
前記陽極は、モリブデンを主成分として形成されるとともに、
前記X線管の管電圧V(kVp)を20≦V<22、38<V≦60とすることを特徴とする。
【0022】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載のX線撮影システムにおいて、
アルミ半価層L(mm)を、0.3≦L≦3.5とすることを特徴とする。
【0023】
請求項13に記載の発明は、X線撮影方法であって
乳房を除くX線吸収率が小さい被写体に対し、
焦点径D(μm)を5≦D≦200としてX線を照射するX線管と、
前記照射されたX線のX線量に応じたX線画像を記録するX線検出器とを用い、
拡大率Mを、1.5≦M≦20とし、
前記X線管の焦点から前記被写体までの距離R1を、0.1≦R1≦2とし、
前記被写体から前記X線検出器までの距離R2を、0.3≦R2≦2とし、
前記X線管の焦点から前記X線検出器までの距離R3を、0.8≦R3≦3として位相コントラスト撮影を行うことを特徴とする(ただし、拡大率M=R3/R1とする。)。
【0024】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載のX線撮影方法において、
幾何学的不鋭B(μm)は、下記一般式(2)を満たすものであることを特徴とする。
B=(M−1)×D≦300 ・・・(1)
【0025】
請求項15に記載の発明は、請求項13又は請求項14に記載のX線撮影方法において、
前記X線管は、前記被写体に平均X線エネルギーE(keV)のX線を照射するものであり、
前記被写体を撮影する際に、
前記平均X線エネルギーE(keV)を、15≦E≦35とする(ただし、平均X線エネルギーE(keV)は、X線管から1m離れた位置で測定された値とする。)ことを特徴とする。
【0026】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載のX線撮影方法において、
前記被写体を撮影する際の前記平均X線エネルギーE(keV)を25≦E≦35とする(ただし、平均X線エネルギーE(keV)は、X線管から1m離れた位置で測定された値とする。)ことを特徴とする。
【0027】
請求項17に記載の発明は、請求項13〜請求項16のいずれか一項に記載のX線撮影方法において、
前記X線管は、医療用のX線管であることを特徴とする。
【0028】
請求項18に記載の発明は、請求項13〜請求項17のいずれか一項に記載のX線撮影方法において、
前記X線管から放射される光は、拡散光であることを特徴とする。
【0029】
請求項19に記載の発明は、請求項13〜請求項18のいずれか一項に記載のX線撮影方法において、
前記X線管は、電子を発生する陰極と、前記電子の衝突によりX線を発生する陽極とを備えることを特徴とする。
【0030】
請求項20に記載の発明は、請求項19に記載のX線撮影方法において、
前記陰極は、熱電子放出型であることを特徴とする。
【0031】
請求項21に記載の発明は、請求項19に記載のX線撮影方法において、
前記陰極は、電界放出型であることを特徴とする。
【0032】
請求項22に記載の発明は、請求項19〜請求項21のいずれか一項に記載のX線撮影方法において、
前記陽極は、タングステンを主成分として形成されるとともに、
前記X線管の管電圧V(kVp)を20≦V<40とすることを特徴とする。
【0033】
請求項23に記載の発明は、請求項19〜請求項21のいずれか一項に記載のX線撮影方法において、
前記陽極は、モリブデンを主成分として形成されるとともに、
前記X線管の管電圧V(kVp)を20≦V<22、38<V≦60とすることを特徴とする。
【0034】
請求項24に記載の発明は、請求項13〜請求項23のいずれか一項に記載のX線撮影方法において、
アルミ半価層L(mm)を、0.3≦L≦3.5とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
請求項1、12に記載の発明によれば、X線吸収が低い対象物であっても、鮮明に視認することができる高画質の画像を提供することができる。特に、リウマチの初期診断に利用でき、早期発見により、早期治療が可能となり、患者のQOL( quality of life )を向上させることができる。
【0036】
請求項2、13に記載の発明によれば、位相差コントラストを利用した撮影をおこなうことで幾何学的不鋭が生じた場合であっても、幾何学的不鋭の大きさをこの範囲内に収めることで、さらに鮮明に視認することができる高画質の画像を提供することができる。
【0037】
請求項3、4、15、16に記載の発明によれば、X線吸収が低い対象物であっても、鮮明に視認することができる高画質の画像を提供することができる。特に、リウマチの初期診断に利用でき、早期発見により、早期治療が可能となり、患者のQOL( quality of life )を向上させることができる。
【0038】
請求項5、17に記載の発明によれば、特に医療現場において、X線吸収が低い対象物を鮮明に視認することができる高画質の画像を提供することができる。
【0039】
請求項6、18に記載の発明によれば、X線管は、いわゆる一般的なX線管で、放射光とは異なるものであり、一般に使用されているX線管を用いてX線吸収が低い対象物を撮影することができるので、手軽に一般の病院でも安価に撮影可能である。
【0040】
請求項7、19に記載の発明によれば、陰極から発生された電子を陽極に衝突させてX線を発生させる一般的なX線管であり、一般に使用されているX線管を用いてX線吸収が低い対象物を撮影することができるので、手軽に一般の病院でも安価に撮影可能である。
【0041】
請求項8、20に記載の発明によれば、加熱することにより陰極から電子を放出することができる。
【0042】
請求項9、21に記載の発明によれば、電界(高電圧)をかけることにより陰極から電子を放出することができる。
【0043】
請求項10、22に記載の発明によれば、陽極はタングステンを主成分として形成されるとともに、X線管の管電圧V(kVp)を20≦V<40に設定してX線撮影を行うことにより、平均X線エネルギーE(keV)を15≦E≦35とすることができ、特に、一般撮影の場合に、X線吸収が低い対象物を鮮明に視認することができる高画質の画像を提供することができる。
【0044】
請求項11、23に記載の発明によれば、陽極はモリブデンを主成分として形成されるとともに、X線管の管電圧V(kVp)を20≦V<22、38<V≦60に設定してX線撮影を行うことにより、平均X線エネルギーE(keV)を15≦E≦35とすることができ、X線吸収が低い対象物を鮮明に視認することができる高画質の画像を提供することができる。
【0045】
請求項12、24に記載の発明によれば、X線のスペクトルを表す指標の一つであるアルミ半価層L(mm)を0.3≦L≦3.5とすることで、平均X線エネルギーE(keV)を15≦E≦35とすることができ、簡易にX線吸収が低い対象物を鮮明に視認することができる高画質の画像を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本発明に係るX線撮影システムについて、図1〜図6を参照して説明する。
まず、本実施形態におけるX線撮影システム1の構成を説明する。
X線撮影システム1は、図1に示すように、X線管2、撮影装置3と、X線管2と撮影装置3との間に配置された図示しない被写体保持具を備えて構成されており、X線管2から被写体Wに向けて照射したX線を撮影装置3で受け、そのX線量に応じたX線画像を撮影装置3内に装着されたX線検出器31で検出するものである。撮影時には、被写体WとX線管2、被写体WとX線検出器31間の距離R1、R2を調整することにより拡大率Mの位相コントラスト撮影を行う。
【0047】
X線管2は、医療用のX線管であり、真空容器を備えて、その内部に陰極と、陽極とを具備して、陰極から発生された電子を陽極に衝突させてX線を発生させるとともに、この真空容器に、内部で発生したX線を外部に取り出すことが可能な窓を形成させることで、窓からX線を被写体Wに向けて照射するものである。X線管2の陰極としては、熱電子放出型や電界放出型のものを適用することが可能であり、陽極としては、タングステン(W)やモリブデン(Mo)などを主成分に用いたものを被写体に応じて選択して適用することが可能である。なお、タングステンは一般撮影で使用され、モリブデンは乳房撮影で使用されるものである。また、X線管2の窓は、X線の吸収がされにくい材料であるベリリウム(Be)で形成されてもよい。
【0048】
なお、X線管2は、平均X線エネルギーE(keV)が15≦E≦35となるX線を照射するように設定管電圧や付加フィルタなどが調整されて構成されていることが好ましく、よりコントラストがついて識別能が向上する観点から、特に15≦E≦25となるX線を照射するように構成されていることが好ましい。ただし、平均X線エネルギーE(keV)は、X線管から1m離れた位置で測定された値として以下、説明を行う。
【0049】
ここで、平均X線エネルギーE(keV)をこのような範囲に規定したのは、E>35とした場合、X線吸収が低い組織、例えば手の軟骨組織では、X線による吸収が少なく適正なコントラストが得られず、軟骨の診断を行うことができなくなるためである。軟骨を想定した1mm厚の水でX線撮影を行うと、平均X線エネルギーE(keV)は、X線エネルギー30keVでのX線吸収量は約2%であり、画像に生じうるノイズを考慮すると、吸収コントラストとして検出可能なX線エネルギーの下限である。ちなみに、X線エネルギーが20(keV)及び15(keV)の場合でのX線吸収量は、それぞれ10%及び20%程度であり、適正なコントラストが得られる。
【0050】
一方、E<15とした場合、被写体での吸収が大きく、被曝量が増大して、患者への負担をかけるだけでなく、これに伴って検出器に到達するX線量が少なくなることで、画像ノイズが多くなって診断能が低下してしまう。つまり、前述の手の組織の例で説明すると、患者は吸収量の増大により被曝量が増すだけでなく、得られる画像としては、骨は写るもののノイズに埋もれてしまい、診断に利用できないだけでなく、診断に利用できないX線撮影により患者は不要に被曝してしまうことになる。指を想定した1cm厚の水でX線撮影を行うと、X線エネルギー15keVでのX線吸収量は約90%であり、手が体幹部でないとしても、被曝やノイズの面からの上限と考えられる。ちなみに、X線エネルギーが20(keV)及び30(keV)の場合でのX線吸収量は、それぞれ60%及び25%程度であり、乳房の撮影を加味しても適正なコントラストの範囲内にある。したがって、平均X線エネルギーE(keV)は、ある一定以上に高いX線エネルギーに調整されることが必要である。
【0051】
なお、平均X線エネルギーE(keV)の具体的な調整手段としては、撮影装置3の操作部において管電圧を設定する際に、管電圧の設定値を調整することにより行うことが可能である。管電圧を例えばA(kVp)と設定した場合、X線管2から放射されるX線エネルギーの最大値がA(keV)であり、A(keV)以下のさまざまなエネルギーのX線が混ざった多色のX線であり、例えば、タングステン陽極の撮影装置においてA(kVp)と設定した場合の平均X線エネルギーは、通常、A/3〜2A/3(keV)程度になる。
【0052】
従って、例えば、陽極にタングステンを用いる一般撮影を行う際には、X線管の管電圧V(kVp)を20≦V<40に設定することで、平均X線エネルギーE(keV)を15≦E≦35に調整できる。また、X線管2の管電圧V(kVp)を20≦V≦30に設定することで、平均X線エネルギーE(keV)を25≦E≦35に調整できる。
あるいは、陽極にモリブデンを用いる乳房撮影を行う際には、X線管の管電圧V(kVp)を20≦V<22、38<V≦60に設定することで平均X線エネルギーE(keV)を15≦E≦35に調整できる。また、X線管2の管電圧V(kVp)を20≦V<22、38<V≦45に設定することで、平均X線エネルギーE(keV)を25≦E≦35に調整できる。
【0053】
撮影装置3は、デジタル方式の撮影を行うものであり、X線検出器31を含む撮影部32、撮影制御を行うための本体部33等を備えて構成されている。
撮影部32は、X線検出器31を内蔵し、撮影部位に合わせてその高さ位置を調整可能に構成されている。
【0054】
X線検出器31は照射されるX線を検出するものである。X線が照射されたX線検出器31は、図示しない出力システムにおいて画像処理を行うことにより、X線画像を可視化することができる。出力システムとしては、処理の簡便性からCR( Computed Radiography )やFPD( Flat Panel Detector )等のデジタルシステムであることが好ましい。また、可視化する際には、軟骨組織や関節組織などの撮影を行いたい部位(関心領域)に対して、実際に撮影された領域(撮影領域)、例えば手などとの間で、画像処理を変えることが好ましい。デジタルシステムでは、ダイナミックレンジが広いため、関心領域を観察する場合に適性なコントラストとなるように画像処理が施された画像であっても、後から階調(γ)を低くする補正により撮影領域全体を描出させることも可能である。また、撮影時には適性なコントラストが得られていない画像であっても、後から階調(γ)を高くする補正により、鮮明に画像を描出させることも可能である。
【0055】
本体部33はX線管2と接続されており、X線管2及び撮影部32の撮影動作の制御操作を行うための操作部や、撮影装置3の各部を集中制御する制御部、他の外部装置と通信を行う通信部等を備えている。
【0056】
本体部33では、操作部を介してX線管2における管電圧、管電流等のX線の照射条件や照射タイミング等を指示操作することが可能であり、制御部ではこの指示操作に応じてX線管2等の各部の動作を集中制御する。
【0057】
また、デジタル検出器の制御単位(画素サイズ)S(μm)は、20≦S≦200であり、好ましくは25≦S≦100、さらに好ましくは30≦S≦70を満たすものであることが好ましい。
【0058】
被写体保持具は、撮影時に被写体Wを固定するものであり、ここでは、位相コントラスト撮影が行われるようにX線管2及びフォルム31との距離が調節されて構成されている。
【0059】
次に、位相コントラスト撮影方法について説明する。
図2は、位相コントラスト撮影の概略を説明する図である。
図2に示すように、通常の撮影方法の場合、被写体WとにX線検出器31が接する位置に被写体Wが配置されている(図2の密着撮影位置)。この場合、そのX線検出器31に記録されるX線画像(潜像)はライフサイズ(被写体Wと同一サイズであることをいう)とほぼ等サイズとなる。
【0060】
これに対し、位相コントラスト撮影は、被写体WとX線検出器31間に距離を設けるものであり、X線管2からコーンビーム状に照射されたX線により、ライフサイズに対して拡大されたX線画像(以下、拡大画像という)の潜像がX線検出器31で検出されることとなる。
【0061】
ここで、拡大画像のライフサイズに対する拡大率Mは、X線管2の焦点aから被写体Wまでの距離をR1、被写体WからX線検出器31までの距離をR2、X線管2の焦点aからX線検出器31までの距離をR3(R3=R1+R2)とすると、下記式(1)により求めることができる。
M=R3/R1・・・(1)
【0062】
位相コントラスト拡大画像では、図3に示すように、被写体Wの辺縁を通過することにより屈折したX線が被写体Wを介さずに通過したX線とX線検出器31上で重なり合い、重なった部分のX線強度が強くなる。一方で、屈折したX線の分だけ、被写体Wの辺縁内側の部分においてX線強度が弱くなる現象が生じる。そのため、被写体Wの辺縁を境にしてX線強度差が広がるエッジ強調作用(エッジ効果ともいう)が働き、辺縁部分が鮮鋭に描写された視認性の高いX線画像を得ることができる。
【0063】
X線源が点線源(つまり、焦点aが点)であるとみなした場合、辺縁部分におけるX線強度は図4の実線で示すようなものとなる。図4に示すEは、エッジ強調の半値幅を示し、下記式(2)により求めることができる。半値幅Eはエッジの山−谷間の距離を示す。
【数1】

【0064】
しかし、医療現場や非破壊検査施設では、クーリッジX線管(熱電子X線管ともいう)が広く使用されており、このクーリッジX線管では、図5に示すように焦点径Dが有る程度大きくなるため、理想的な点線源とみなすことができない。この場合、図5に示すように、エッジ強調の半値幅Eが広がり、かつ強度が低下することとなるため、幾何学的不鋭が生じることとなる。この幾何学的不鋭をボケという。
【0065】
ボケが生じた場合の辺縁部分におけるX線強度は、図4の点線で示すようなものとなる。ボケが生じた際のエッジ強調の半値幅は、幾何学的不鋭のため理想的な点線源を想定した場合のエッジ強調幅Eより広がることとなる。このボケが生じた場合のエッジ強調の半値幅をEBとすると、EBは下記式(3)から求めることができる。
【数2】


式中、δ及びrの定義は、式2と同じである。
また、EBはボケが無い場合のエッジ強調半値幅Eにボケの大きさを示すBを加え、EB=E+Bで示される。
【0066】
また、特に、被写体のX線吸収が低い組織の場合には、位相コントラスト撮影によるエッジ効果が吸収の効果より大きくなる。図6は、X線エネルギーが20(keV)にあるいくつかの物質について、複素屈折率における物質の屈折と吸収との関係を表した図である。
【0067】
ここで、複素屈折率nは、下記式(4)で表わされる。
【数3】

式中、δの定義は式2と同じであり、屈折に関わる指数である。βの定義はX線の吸収に関わる指数である。)
【0068】
図6に示すように、δはβに対して100〜10000倍大きい値であり、これが、位相コントラストは吸収コントラストより約1000倍感度が高いといわれる根拠である。密度の大きいカルシウムやアルミニウムの場合は、δとβとの差は100倍〜1000倍以下となってしまうのに対し、ポリエチレンやエタノールなどの密度の小さい物質の場合には、δはβに対して1000倍を超える値となっている。このことから、密度が大きくX線を多く吸収する骨などでは、吸収コントラストで鮮明に描写されるのに対し、密度が小さく従来の吸収コントラストがつきづらいX線吸収が低い組織では、位相コントラストで鮮明に描写され、δとβの差が大きいほど位相コントラスト撮影によるエッジ効果の寄与が大きくなるといえる。したがって、位相コントラストによるX線撮影はX線吸収が低い組織において有効となる。
【0069】
なお、X線吸収が低い組織とは、30keVのX線における線減弱係数k(/cm)がk≦0.5をみたす組織であり、特に、k≦0.2をみたす組織である。撮影システム1に適用される被写体は、頭部、胸部、腹部、脊椎部、四肢等の全身のうち、特にX線吸収が低い組織であり、軟骨を始めとする筋肉、皮膚、脂肪、血管等の軟部組織であり、特に、リウマチの診断に用いられる関節軟骨やガンの診断に用いられる肉腫及び中皮腫などの組織が該当する。
【0070】
撮影室内等、距離R3の設定に制限がある場合には、距離R3を固定し、その固定した距離R3の中で距離R1、R2の比率を変えて最適な条件で撮影することができる。例えば、R3=3.0(m)に決定した場合、この距離R3に対し、R1=1.0(m)、R2=2.0(m)とする。一般的な撮影室の広さを考慮すると、距離Rを0.1≦R1≦2.0、0.3≦R2≦2.0、0.8≦R3≦3.0の範囲とし、拡大率Mを1.5≦M≦10、焦点径Dを5.0≦D≦200の範囲とし、この範囲内で拡大画像の視認性との関係を見ながら、経験的、実験的に最適な距離R3、R1、R2及び拡大率M、焦点径Dを決定すればよい。焦点径Dをこのような範囲とすることで、X線強度が強く、短時間の撮影が可能となり、被写体Wの動きによる運動ボケを小さくさせることができる。なお、より好ましい距離Rとしては、0.5≦R1≦1.2、0.5≦R2≦1.2、1.0≦R3≦2.5の範囲を満たし、拡大率Mを2.0≦M≦5.0、焦点径Dを50≦D≦120の範囲を満たす設定とすることができる。
【0071】
また、式3からも分かるように、ボケBの程度は焦点径Dに依るところが大きく、焦点径Dを大きくするとその分ボケの程度も大きくなり、結果としてエッジ強調作用が得られない画像となってしまう。
【0072】
また、ボケBの程度(μm)には、下限が存在する。B>300となると、画像がボケて診断能を低下させてしまうことから、B≦300を満たすものであり、下記式(5)により求めることができる。
B=(M−1)×D ・・・(5)
式5からもわかるように、ボケの大きさBは、拡大率Mと焦点径Dの両方の値に依存するものであり、拡大率Mと焦点径Dの両方を同時に大きくすることはできない。
【0073】
この他、X線撮影システム1には、被写体WとX線管2との間には、余分な被曝を防ぐ為の照射野絞りや筐体(共に図示せず)を設置されていてもよい。
【0074】
また、X線管2から放出されたX線がX線検出器31に到達するまでの間に透過する物体(カセッテのフロント板や保護膜、照射野絞り、筐体、被写体保持具等)は、後述するように低エネルギーのX線を利用して撮影を行うため、これらの部材はX線を吸収しにくい材質にて形成されることが好ましい。被写体保持具の場合には、X線が透過する部分に構成部材が存在しない構造であってもよい。
【0075】
この他、平均X線エネルギーE(keV)の調整手段としては、X線のスペクトルを表す指標の一つであるアルミ半価層L(mm)を測定することで調整することが可能である。この場合、アルミ半価層L(mm)を0.3≦L≦3.5とすることで、平均X線エネルギーE(keV)を15≦E≦35とすることができる。また、アルミ半価層L(mm)を1.0≦L≦3.5とすることで、平均X線エネルギーE(keV)を25≦E≦35とすることができる。このことにより、X線の平均エネルギーを求めることができ、その条件で対象部位を撮影することが可能になる。
【0076】
次に、X線撮影システム1を用いた本発明に係るX線撮影方法について説明する。
X線撮影システム1では、撮影に際し、先ず撮影装置3内にフィルム3を挿入し、被写体WとX線管2、被写体WとX線検出器31間の距離R1、R2を調整することにより拡大率Mを調整して被写体Wを所定位置に載置し、被写体保持具で固定する。そして、本体部33の操作部から撮影を行う被写体の情報(氏名、年齢、撮影部位等)や焦点径D、X線管2の管電圧を前述の所定の値に設定し、X線管2、撮影装置3の準備が整ったところで、X線管2から被写体Wに向けてX線を放射させる。
すると、X線は被写体Wを透過し、X線検出器31で像を結ばれる。このとき、位相差コントラストにより被写体Wの辺縁を境にしてエッジ効果が働いており、辺縁部分が鮮鋭に描写される像となっている。その後、出力システムにおいて画像処理が行われて、X線検出器31上のX線画像が可視化される。
【0077】
以上述べたように、本発明に係るX線撮影システム1では、X線吸収率が小さい対象物を撮影する際には、X線管と前記被写体との距離R1を、0.1≦R1≦2とし、被写体からX線検出器までの距離R2を、0.3≦R2≦2とし、X線管の焦点からX線検出器までの距離R3を、0.8≦R3≦3とし、X線管の焦点径Dを、5≦D≦200、特に好ましくは8≦D≦120とし、拡大率Mを、1.5≦M≦20として、位相コントラスト撮影を行うことで、その撮影画像を出力した際に簡易に視認性の高い撮影画像を得ることができる。
【0078】
本発明では、X線吸収が低い被写体に対して効果があることを示してきたが、X線吸収率差が低い(小さい)部分に対してさらにその効果が大きい。
すなわち、軟骨はそれ自体X線吸収が小さく検出ないし描出し難いものであるが、さらに周辺が関節液という軟骨と非常にX線吸収係数が近似している物質に覆われている。そのため、周囲の関節液と軟骨組織を別組織として描出するには、わずかな吸収差を大きなコントラストで表現する必要があり、そのためには低エネルギーのX線で撮影することが非常に有効的な手段となる。さらに、位相コントラスト撮影方法は、吸収よりも感度がある位相情報を基に画像を描出するので、わずかな吸収差である物質(今回例に挙げた関節液内の軟骨など)を撮影するには大きな効果がある。特に吸収率差として、30keVのX線における線減弱係数の差が0.2/cm以下、さらに0.1/cm以下である部分について効果が大きい。
【0079】
また、X線吸収はデジタル検出器の信号値で確認することができる。
例えば、検出器に入射したX線量と信号値とが線形な関係にあるもの(Flat Panel Detectorなど)で考えた場合について説明する。
線形ということは、あるX線量が入射した時の信号値が1ならば10倍のX線量が入射したときの信号値は10になるということである。被写体例として、アルミニウムと水を撮影した場合の吸収率差を考えると、それぞれ30keVにおける線減弱係数は3/cm、及び0.3/cmであり、被写体厚がそれぞれ1cmの場合、アルミニウムを透過するX線量は5%、水を透過するX線量は74%である。何も被写体がないところにX線を照射した場合に信号値100が得られる場合、アルミニウムの場所では信号値5、水では信号値74が得られ、両者の信号値差69がコントラスト差として画像情報が得られることになる。実際の被写体は、アルミニウムが水に覆われているような系になると考えられるので、これまでの考えの延長線で信号値差を得ることができる。
このように被写体の物質と厚さがわかれば信号値差が得られるので、逆に信号値差から物質の吸収や吸収率差を得ることができ、本発明に該当する条件かどうか検証することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本実施形態における撮影システムの構成を示す図である。
【図2】位相コントラスト撮影を説明する図である。
【図3】位相コントラスト効果(エッジ効果)について説明する図である。
【図4】エッジ効果におけるエッジ強度とボケの関係を示す図である。
【図5】位相コントラスト効果においてボケが生じる場合について説明する図である。
【図6】X線エネルギーが20(keV)にあるいくつかの物質について、複素屈折率における物質の屈折と吸収との関係を表した図である。
【符号の説明】
【0081】
1 撮影システム
2 X線管
a 焦点
3 撮影装置
31 X線検出器
W 被写体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳房を除くX線吸収率が小さい被写体に対し、
焦点径D(μm)が5≦D≦200であるX線を照射するX線管と、
前記照射されたX線のX線量に応じたX線画像を記録するX線検出器とを備え、
前記X線管の焦点から前記被写体までの距離R1を、0.1≦R1≦2とし、
前記被写体から前記X線検出器までの距離R2を、0.3≦R2≦2とし
前記X線管の焦点から前記X線検出器までの距離R3を0.8≦R3≦3とし、
拡大率Mを1.5≦M≦20として位相コントラスト撮影を行うことを特徴とするX線撮影システム(ただし、拡大率M=R3/R1とする。)。
【請求項2】
幾何学的不鋭B(μm)は、下記一般式(1)を満たすものであることを特徴とする請求項1に記載のX線撮影システム。
B=(M−1)×D≦300 ・・・(1)
【請求項3】
前記X線管は、前記被写体に平均X線エネルギーE(keV)のX線を照射するものであり、
前記被写体を撮影する際に、
前記平均X線エネルギーE(keV)を15≦E≦35とする(ただし、平均X線エネルギーE(keV)は、X線管から1m離れた位置で測定された値とする。)ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のX線撮影システム。
【請求項4】
前記被写体を撮影する際の前記平均X線エネルギーE(keV)を25≦E≦35とする(ただし、平均X線エネルギーE(keV)は、X線管から1m離れた位置で測定された値とする。)ことを特徴とする請求項3に記載のX線撮影システム。
【請求項5】
前記X線管は、医療用のX線管であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のX線撮影システム。
【請求項6】
前記X線管から放射される光は、拡散光であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のX線撮影システム。
【請求項7】
前記X線管は、電子を発生する陰極と、前記電子の衝突によりX線を発生する陽極とを備えることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のX線撮影システム。
【請求項8】
前記陰極は、熱電子放出型であることを特徴とする請求項7に記載のX線撮影システム。
【請求項9】
前記陰極は、電界放出型であることを特徴とする請求項7に記載のX線撮影システム。
【請求項10】
前記陽極は、タングステンを主成分として形成されるとともに、
前記X線管の管電圧V(kVp)を20≦V<40とすることを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれか一項に記載のX線撮影システム。
【請求項11】
前記陽極は、モリブデンを主成分として形成されるとともに、
前記X線管の管電圧V(kVp)を20≦V<22、38<V≦60とすることを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれか一項に記載のX線撮影システム。
【請求項12】
アルミ半価層L(mm)を、0.3≦L≦3.5とすることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載のX線撮影システム。
【請求項13】
乳房を除くX線吸収率が小さい被写体に対し、
焦点径D(μm)を5≦D≦200としてX線を照射するX線管と、
前記照射されたX線のX線量に応じたX線画像を記録するX線検出器とを用い、
拡大率Mを、1.5≦M≦20とし、
前記X線管の焦点から前記被写体までの距離R1を、0.1≦R1≦2とし、
前記被写体から前記X線検出器までの距離R2を、0.3≦R2≦2とし、
前記X線管の焦点から前記X線検出器までの距離R3を、0.8≦R3≦3として位相コントラスト撮影を行うことを特徴とするX線撮影方法(ただし、拡大率M=R3/R1とする。)
【請求項14】
幾何学的不鋭B(μm)は、下記一般式(2)を満たすものであることを特徴とする請求項13に記載のX線撮影方法。
B=(M−1)×D≦300 ・・・(1)
【請求項15】
前記X線管は、前記被写体に平均X線エネルギーE(keV)のX線を照射するものであり、
前記被写体を撮影する際に、
前記平均X線エネルギーE(keV)を、15≦E≦35とする(ただし、平均X線エネルギーE(keV)は、X線管から1m離れた位置で測定された値とする。)ことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のX線撮影方法。
【請求項16】
前記被写体を撮影する際の前記平均X線エネルギーE(keV)を25≦E≦35とする(ただし、平均X線エネルギーE(keV)は、X線管から1m離れた位置で測定された値とする。)ことを特徴とする請求項15に記載のX線撮影方法。
【請求項17】
前記X線管は、医療用のX線管であることを特徴とする請求項13〜請求項16のいずれか一項に記載のX線撮影方法。
【請求項18】
前記X線管から放射される光は、拡散光であることを特徴とする請求項13〜請求項17のいずれか一項に記載のX線撮影方法。
【請求項19】
前記X線管は、電子を発生する陰極と、前記電子の衝突によりX線を発生する陽極とを備えることを特徴とする請求項13〜請求項18のいずれか一項に記載のX線撮影方法。
【請求項20】
前記陰極は、熱電子放出型であることを特徴とする請求項19に記載のX線撮影方法。
【請求項21】
前記陰極は、電界放出型であることを特徴とする請求項19に記載のX線撮影方法。
【請求項22】
前記陽極は、タングステンを主成分として形成されるとともに、
前記X線管の管電圧V(kVp)を20≦V<40とすることを特徴とする請求項19〜請求項21のいずれか一項に記載のX線撮影方法。
【請求項23】
前記陽極は、モリブデンを主成分として形成されるとともに、
前記X線管の管電圧V(kVp)を20≦V<22、38<V≦60とすることを特徴とする請求項19〜請求項21のいずれか一項に記載のX線撮影方法。
【請求項24】
アルミ半価層L(mm)を、0.3≦L≦3.5とすることを特徴とする請求項13〜請求項23のいずれか一項に記載のX線撮影方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−268033(P2007−268033A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98635(P2006−98635)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】