γδT細胞活性化物質を使用して治療用抗体の効率を増大させる方法および組成物
本発明は、治療用抗体の効率を増大させるための方法および組成物に関する。より具体的には、本発明はγδT細胞活性化化合物または活性化γδT細胞と組み合わせた治療用抗体の使用に関し、それによって特に標的細胞の枯渇増大を通じてヒト対象における治療の有効性を増強するために、哺乳類対象におけるγδT細胞の細胞毒性を増強できるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に治療用抗体の効率を増大させるための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトにおける様々な治療的戦略は、治療用抗体の使用に基づいている。これらとしては、例えば特にウイルス感染細胞、腫瘍細胞またはその他の病原細胞などの病的細胞である、標的細胞を除去するように開発された治療用抗体の使用が挙げられる。このような抗体は、典型的にIgG種のモノクローナル抗体であり、典型的にヒトIgG1またはIgG3のFc部分がある。これらの抗体は天然または組み換え抗体であることができ、「ヒト化」マウス抗体であることが多い(すなわち典型的にヒトまたは非ヒト霊長類起源のFc部分である様々な種からの機能ドメインを含んでなり、マウス起源の可変部または相補性決定領域(CDR)がある)。代案としてはモノクローナル抗体は、ヒトIg遺伝子座を有する遺伝子導入マウスにおける免疫化を通じて完全にヒト抗体であることができ、またはヒト細胞に由来するcDNAライブラリーを通じて得られる。
【0003】
このような治療用抗体の特定例は、CD20特異性を与えるマウスの可変領域と結合しているヒトγ1およびκ定常部からできている(したがってヒトIgG1 Fc部分がある)キメラ抗CD20モノクローナル抗体である、リツキシマブ(Mabthera(登録商標)、Rituxan(登録商標))である。過去数年間にリツキシマブは、Bリンパ球増殖性悪性腫瘍、特に非ホジキンリンパ腫(NHL)に対する治療戦略を大幅に変更した。その他のヒト化IgG1抗体の例としては、B細胞悪性腫瘍の治療で使用されるアレムツズマブ(Campath−1H(登録商標))、および乳癌の治療で使用されるトラスツズマブ(Herceptin(登録商標))が挙げられる。開発中の治療用抗体の追加的な例は、当該技術分野で開示されている。
【0004】
治療用抗体の作用機序は、なおも論議を呼ぶ問題である。抗体の注射は、抗体によって特異的に認識される抗原を持つ細胞の枯渇をもたらす。この枯渇は、少なくとも次の3つの機序を通じて媒介され得る。抗体媒介性細胞傷害活性(ADCC)、補体依存性溶解、および抗体により標的とされる抗原を通じて送られるシグナルを通じた、腫瘍増殖の直接的抗腫瘍阻害。
【0005】
これらの抗体が、特に腫瘍治療のためのヒト治療法に対する新しく有効なアプローチを代表する一方で、それらは常に強力な有効性を示すとは限らない。例えばリツキシマブは単独で、または化学療法と併用して、低〜中悪性度のNHLと高悪性度NHLの双方の治療において効果的であることが示されているが、低悪性度NHLがある患者の30%〜50%は、リツキシマブに対して臨床反応が全くない。リンパ腫細胞上のCD20発現レベル、治療時点における高い腫瘍量の存在、または低血清リツキシマブ濃度が、一部の患者におけるリツキシマブの有効性の欠如を説明するかもしれないことが、提案されている。それにもかかわらず治療の失敗の実際の原因は、ほとんど未知のままである。
【0006】
さらに治療用抗体の使用は、それらの投与によって引き起こされる副作用によって制限されうる。例えば発熱、頭痛、悪心、血圧低下、喘鳴、発疹、感染症など、およびその他多数の副作用が患者に出現することができ、抗体を投与できる可能な量または頻度を潜在的に制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって治療用抗体の有効性を増大させること、または副作用を生じる可能性がより少ない、用量を低減させた抗体を使用して治療的有効性を達成できることは、非常に有利であろう。本発明は、これらおよびその他の要求に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、治療用抗体の有効性を増強する新しいアプローチを開示する。実際、本発明は、治療用抗体の有効性にかかわる現行の困難を克服する新しい組成物および方法、特に標的細胞(例えば腫瘍細胞、感染細胞、炎症媒介細胞など)を除去することが意図されるものを提供する。本発明では、γδT細胞が活性化および/または増殖される際に、個人からのVγ9δ2T細胞が治療的なmAb(モノクローナル抗体)の効率に影響できることが示され、治療用抗体とγδT細胞活性化物質療法との相乗作用が示唆される。γδT細胞活性化物質と治療用抗体とのこのような併用は、治療用抗体を単独で(along)使用して観察されるものよりもより多くの標的細胞溶解物をもたらす。γδT細胞の活性化および/または増殖前に溶解物がほとんどまたは全く観察されなかった場合に、γδT細胞の活性化および/または増殖が、標的細胞溶解物を再び作成できることもまた観察された。
【0009】
したがって本発明は、γδT細胞活性化物質化合物が治療用抗体と同時に対象に投与される、対象を治療する方法を開示する。本発明者らは、溶解、サイトカイン放出などの細胞応答を活性化し、および/またはこれらの細胞の増殖を誘発する、γδT細胞活性化物質、好ましくはホスホ抗原の例えば同時注射などの同時投与によって、治療用抗体の効率が大幅に改善ができることをここで実証する。場合によりホスホ抗原が、サイトカインと併せてさらに投与される。好ましくはサイトカインは、例えばIL−2などのγδT細胞活性化物質と併せて投与すると、γδT細胞の増殖を生じさせることができるあらゆるサイトカインである。
【0010】
本発明は、γδT細胞活性化物質、治療用抗体、および薬学的に許容可能なキャリアを含んでなる医薬組成物に関する。本発明はまた、疾患治療における同時、別個または逐次使用のための併用製剤として、γδT細胞活性化物質と治療用抗体とを含有するキットまたは製品にも関する。
【0011】
本発明はまた、疾患を治療する薬物を調製するためのγδT細胞活性化物質と治療用抗体の使用にも関する。
【0012】
本発明はまた、治療用抗体による治療効率を増大させるためのγδT細胞活性化物質の使用にも関する。特に本発明は、治療的有効量のγδT細胞活性化物質の前に、それと同時に、またはそれに続いて、治療用抗体の投与が対象に投与される、前記対象における前記治療用抗体の投与を伴う、治療効率を増大させる薬物を調製するためのγδT細胞活性化物質の使用に関する。
【0013】
特定の態様では、本発明は、a)γδT細胞活性化物質をそれを必要とするヒト対象に投与するステップと、b)治療用抗体を前記対象に投与するステップとを含んでなる、前記対象において、疾患を治療しまたは細胞を排除する方法を提供する。
【0014】
別の態様では、本発明は、a)細胞を治療用抗体に接触させるステップと、b)前記細胞を活性化γδT細胞に接触させるステップとを含んでなる、細胞を排除する方法を提供する。一態様では本方法は生体外で実施され、排除される細胞は生物学的サンプルである。場合によりステップ(a)は、活性化γδT細胞をサンプルに添加するステップを含んでなり、またはγδT細胞およびγδT細胞活性化物質をサンプルに添加するステップを含んでなる。別の態様では本方法は生体内で実施され、前記排除される細胞は哺乳類対象中にある。場合によりステップ(a)は、活性化γδT細胞を前記対象に投与するステップ、またはγδT細胞活性化物質を前記対象に投与するステップを含んでなる。場合により前記生体内または生体外方法では、前記活性化γδT細胞をサンプルに添加し、または対象へ投与する前に、γδT細胞活性化物質に接触させる。
【0015】
好ましくは治療用抗体は、ウイルス感染細胞、腫瘍細胞、自己免疫障害の原因となる細胞またはその他の病原細胞などの病的細胞を標的とする。それはモノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体、またはその抗原結合断片であってよい。好ましい実施態様では、治療用抗体は抗CD20抗体(例えばリツキシマブ)、および抗HER2/Neu抗体(例えばハーセプチン)および/または抗CD52抗体(例えばカンパス)である。
【0016】
好ましくはγδT細胞活性化物質は、式(I)、
【化1】
(式中、
Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し;
mは1〜3の整数であり;
BはO、NH、または加水分解されうる任意の基であり;
Y=O−Cat+、C1〜C3アルキル基、−A−R基、またはヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、脂肪酸、単純脂質、複合脂質、葉酸、テトラヒドロ葉酸、リン酸、イノシトール、ビタミン、補酵素、フラボノイド、アルデヒド、エポシキド、およびハロヒドリンからなる群から選択される基であり;
AはO、NH、CHF、CF2またはCH2であり;
Rは、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断されていてもよい、直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和の、C1〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基は、アルキル、アルキレニル、アルキニル、エポキシアルキル、アリール、複素環、アルコキシ、アシル、アルコール、カルボン酸基(−COOH)、エステル、アミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、ニトリル、ヒドロキシル(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、ハロゲン、ハロゲノアルキル、チオール(−SH)、チオアルキル、スルホン、スルホキシド、およびその組み合わせからなる群から選択される1つまたはいくつかの置換基によって置換されていてもよい、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含んでなる)
の化合物である。
【0017】
より好ましい実施態様では、γδT細胞活性化物質は、式(II)、
【化2】
(式中、
Xはハロゲン(好ましくはI、Br、およびClから選択される)であり、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、R1はメチルまたはエチル基であり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、nは2〜20の整数であり、AはO、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+である)
の化合物である。
【0018】
特にγδT細胞活性化物質は、BrHPP、C−BrHPPまたはN−BrHPPであることができる。その他のより好ましい実施態様では、γδT細胞活性化物質は、式(XII)、
【化3】
(式中、
R3、R4、およびR5は同一であるかまたは異なり、水素または(C1〜C3)アルキル基であり、Wは−CH−または−N−であり、R6は(C2〜C3)アシル、アルデヒド、(C1〜C3)アルコール、または(C2〜C3)エステルであり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、AはO、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+である)
の化合物である。
【0019】
特にγδT細胞活性化物質は、HDMAPP、C−HDMAPPまたはN−HDMAPPであることができる。
【0020】
好ましくはγδT細胞活性化物質は、式XVII、
【化4】
(式中、
R’は直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和の、C1〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基は、アミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、およびその組み合わせからなる群から選択される1つまたはいくつかの置換基によって置換されている、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含んでなる)
のアミノホスホン酸であることもできる。
【0021】
好ましい実施態様では、式XVIIのR’は、アミン、アミノ基、ピリジン基、ピリミジン基、ピロール基、イミダゾール基、ピラゾール基、トリアゾール基によって置換される、直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和、C1〜C10炭化水素基である。
【0022】
なおもより好ましい実施態様では、式XVIIのR’は、
【化5】
からなる群から選択される。
【0023】
特にγδT細胞活性化物質は、パミドロネート、アレンドロネート、イバンドロネート、リセドロネート、およびゾレドロネートからなる群から選択できる。
【0024】
任意の実施態様の別の態様では、限定されるものではないが、アミノホスホン酸をはじめとするここで列挙されるγδT細胞活性化物質のいずれか1つを除外でき、例えばゾレドロネートを除外できる。
【0025】
特定の実施態様では、疾患は、好ましくはウイルス感染細胞、腫瘍細胞、自己免疫障害の原因となる細胞またはその他の病原細胞などの病的細胞である、標的細胞の枯渇を必要とする。疾患は、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、および感染性(例えば細菌またはウイルス性)疾患からなる群から選択できる。疾患はまた、移植片拒絶、より具体的には同種移植片拒絶、および移植片対宿主病(GVHD)にも関わる。
【0026】
特に本発明の目的は、好ましくはリツキシマブである抗CD20抗体と、γδT細胞活性化物質とによる有効な併用療法を提供することであり、これはBリンパ腫枯渇に対してリツキシマブ単独よりも効果がある。
【0027】
特に、本発明の別の目的は、好ましくはリツキシマブである抗CD20抗体とγδT細胞活性化物質とによる有効な併用療法を提供することであり、これはB細胞集団の再構成を遅延させ、それによって生体内B細胞枯渇療法の有効性を改善する。本発明は、Bリンパ腫の枯渇を改善するためのγδT細胞活性化物質と治療用抗体との併用療法を提供する。別の態様では、本発明は、B細胞集団の再構成を遅延させるためのγδT細胞活性化物質と治療用抗体との併用療法もまた提供する。好ましくは治療用抗体はリツキシマブなどの抗CD20抗体である。
【0028】
抗CD20抗体(例えばリツキシマブ)、抗HER2/Neu抗体(例えばハーセプチン)および/または抗CD52抗体(例えばカンパス)などの治療用抗体は、現在癌治療において一般に使用されており、広範な生物学的機序を含む。治療用抗体剤はほとんどの場合、第一線の治療である。それにもかかわらず、治療用抗体は、全ての患者に対して効果的なわけではなく、状況次第で、患者の大部分は非応答性または抵抗性である。さらにひとたび患者が治療用抗体で治療されると、彼らの腫瘍は「逃避(escape)」するかもしれず、その他の治療法に対してさらに抵抗性になる。したがって治療を改善するために、薬物の組み合わせが活発に模索されている。
【0029】
本発明は、ヒトをはじめとする哺乳類において、癌を治療するのに有用な組成物および方法に関する。本方法および組成物は、典型的に、組成物が癌を治療するのに効果的であるような、治療用抗体とγδT細胞活性化物質との使用を含んでなる。好ましくは本組成物は治療用抗体の効果を増強し、古典的抗体療法からの腫瘍の逃避を防止または遅延させる。
【0030】
本発明はまた、γδT細胞活性化物質の前に治療用抗体を投与するステップを含んでなる、疾患治療のためのγδT細胞活性化物質と治療用抗体との併用の投与計画も提供する。好ましくは治療用抗体は、典型的に3週間前後である数週間の治療サイクルにわたり毎週1回投与され、γδT細胞活性化物質は治療用抗体と併せて投与される。最も好ましくはγδT細胞活性化物質は、治療用抗体の2回目の投与と実質的に同時に投与される。場合によりサイトカインが3〜10日の期間にわたり投与され、1回目のサイトカイン投与はγδT細胞活性化物質投与と同日に行われる。好ましくはサイトカインIL−2およびIL−2は、各γδT細胞活性化物質投与と共に、5日間連続して投与される。
【0031】
しかしこれらの治療用抗体療法は、腫瘍を完全に根絶せず、それらが何とか一定期間、腫瘍の増殖を抑制する一方で、腫瘍はやがて制御を逃れて、次に治療用抗体療法および/またはその他の治療法に抵抗性となる。腫瘍の逃避を防止する手段は、有利であろう。
【0032】
別の態様では、本発明は、哺乳類において、抗体治療法の抗腫瘍効果を増強するため、γδT細胞活性化療法の抗腫瘍効果を増強するため、腫瘍が抗体治療法による制御から逃避するのを防止するため、および/または抗体治療法に対する腫瘍の抵抗性を防止するため、増殖する(例えば腫瘍)細胞を死滅させまたは抑制する方法を包含し、本方法は、哺乳類にγδT細胞活性化化合物と治療用抗体とを併せて投与するステップとを含んでなる。治療用抗体と組み合わせて使用または投与される医薬組成物または薬剤製造のための、γδT細胞活性化物質の使用もまた提供される。このような組成物を含んでなる、関連医薬組成物およびキットもまた包含される。
【0033】
本発明は、腫瘍、特に固形腫瘍の逃避を防止する改善された手段を提供する。したがって本発明の方法は、腫瘍があるヒト患者において生存を延長または改善する方法もまた提供する。本方法はまた、治療用抗体で治療された腫瘍の進行を妨げる手段も提供する。別の実施態様では、本発明は、腫瘍または腫瘍細胞が治療用抗体での治療に対して抵抗性になるのを防止する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)よって活性化されたγδT細胞プラス抗CD20リツキシマブは、マントル細胞リンパ腫を代表するB細胞リンパ腫の死滅を増大させる(細胞系GRANTA、NCEB1を参照されたい)。
【図2】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD20リツキシマブは、濾胞性リンパ腫を代表するB細胞リンパ腫の死滅を増大させる(細胞系RLおよびKARPAS−422を参照されたい)。
【図3】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD20リツキシマブは、バーキットリンパ腫を代表するB細胞リンパ腫の死滅を増大させる(細胞系RajiおよびDAUDIを参照されたい)。
【図4】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD52トラスツズマブ(カンパス(Campath))は、マントル細胞リンパ腫を代表するB細胞リンパ腫の死滅を増大させる(細胞系ES−MOULT、GRANTAを参照されたい)。
【図5】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD52トラスツズマブは、濾胞性リンパ腫を代表するB細胞リンパ腫の死滅を増大させる(細胞系RLを参照されたい)。
【図6】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD52トラスツズマブは、バーキットリンパ腫を代表するB細胞リンパ腫の死滅を増大させる(細胞系RajiおよびDAUDIを参照されたい)。
【図7】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)によって活性化されたγδT細胞プラス抗Her2Neuハーセプチン(Herceptin)は、Her2Neu乳癌細胞を代表するHer2Neu癌腫細胞の死滅を増大させる(細胞系FKBR3を参照されたい)。
【図8】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)(Pico)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD20リツキシマブ(Ritux)は、マントル細胞リンパ腫を代表するB細胞リンパ腫存在下で、γδT細胞による溶解活性マーカーCD107aの表面発現を活性化した(細胞系NCEB1を参照されたい)。
【図9】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)(Pico)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD20リツキシマブ(Ritux)は、濾胞性リンパ腫を代表するB細胞リンパ腫存在下でのγδT細胞による溶解活性マーカーCD107aの表面発現を活性化した(細胞系RL:上のパネル、およびKARPAS−422:下のヒストグラムを参照されたい)。
【図10】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)(Pico)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD20リツキシマブ(Ritux)は、バーキットリンパ腫を代表するB細胞リンパ腫存在下でγδT細胞による溶解活性マーカーCD107aの表面発現を活性化した(細胞系RajiおよびDAUDIを参照されたい)。
【図11】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)(Pico)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD52トラスツズマブは、マントル細胞リンパ腫を代表するB細胞リンパ腫存在下でのγδT細胞による溶解活性マーカーCD107aの表面発現を活性化した(細胞系ES−MOULT、GRANTAを参照されたい)。
【図12】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)(Pico)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD52トラスツズマブは、濾胞性リンパ腫を代表するB細胞リンパ腫存在下でのγδT細胞による溶解活性マーカーCD107aの表面発現を活性化した(細胞系RLを参照されたい)。
【図13】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)(Pico)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD52トラスツズマブは、バーキットリンパ腫を代表するB細胞リンパ腫の死滅を増大させる(細胞系RajiおよびDAUDIを参照されたい)。
【図14】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)(Pico)によって活性化されたγδT細胞プラス抗Her2Neuハーセプチン(Herceptin)は、Her2Neu乳癌細胞を代表するHer2Neu癌腫細胞の死滅を増大させる(細胞系FKBR3を参照されたい)。
【図15】リツキシマブ単独またはリツキシマブ+BrHPP+IL−2のどちらかについての62日間の治療経過観察中の血中CD20+細胞(左パネル)およびBrHPP−標的γδリンパ球(右パネル)の変化。薄い灰色の線は「リツキシマブ単独」群について、それぞれのCD20+細胞またはγδリンパ球の変化を示す。黒線は「リツキシマブ+BrHPP+IL−2」群について、それぞれのCD20+細胞またはγδリンパ球の変化を示す。(x軸:日数/y軸:血中リンパ球の対応集団の%)。
【発明を実施するための形態】
【0035】
「を含んでなる」を使用する場合、これは好ましくは「から本質的になる」、より好ましくは「からなる」によって置換できる。
【0036】
明細書中の用法では、「a」または「an」は、1つ以上を意味してもよい。特許請求の範囲中での使用では、「を含んでなる」という語と併せて使用する場合、単数冠詞「a」または「an」は、1つまたは1つ以上を意味する。本明細書での用法では、「別の」とは、少なくとも2つめまたはそれ以上を意味してもよい。
【0037】
上記および下記において、数値を使用する場合、それらは上限および下限を表す数を含むことが意図される。例えば「1〜3の間」は「1以上3以下」の範囲を表し、「1〜3の範囲内」は「1以上3以下」を表す。数値(例えば3)の代わりに数を表す単語(例えば「三(three)」)を使用する場合も同じである。
【0038】
「毎週」とは、「週に約1回」(約1週間の治療間隔で1回を超える治療が行われることを意味する)を表し、約とはここで好ましくは±1日(すなわち結果的に「6〜8日毎」)を意味し、最も好ましくは「毎週」は「7日毎に1回」を表す。
【0039】
「3週間毎」または「三週間毎」は、「3週間に約1回」(約3週間の治療間隔で1回を超える治療が行われることを意味する)を表し、約とはここで好ましくは±3日(すなわち結果的に「18〜24日毎」)を意味し、最も好ましくは「毎週」は「21日毎に1回」(3週間おき)を表す。
【0040】
「約」または「およそ」という用語は、通常、所与の値または範囲の20%以内、より好ましくは10%以内、およびなおも最も好ましくは5%以内を意味する。代案としては特に生体系では(例えば免疫反応を測定する場合)、「約」という用語は、約1対数以内(すなわち一桁分)、好ましくは所与の値の2倍以内を意味する。
【0041】
本明細書での用法では、「併せた」、「組み合わせた」または「併用療法」という用語は同義的に使用され、2つ以上の治療薬が同一疾患の治療または予防に影響する状況を指す。「併せた」、「組み合わせた」または「併用療法」という用語の使用は、疾患がある対象に治療(例えば予防薬または治療薬)が投与される順序を限定しない。第1の治療は、疾患がある対象に第2の治療を投与する前に(例えば5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)、それと同時に、またはそれに続いて(例えば5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後)に投与できる。
【0042】
本明細書での用法では、「実質的に同時に」という用語は、通常、同時、または5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間などの短時間内を意味する。
【0043】
治療用抗体とγδT細胞活性化物質との併用
本発明は、γδT細胞活性化物質と治療用抗体とを含んでなる医薬組成物に関する。本医薬組成物は、薬学的キャリアをさらに含んでなることができる。それはまた、その他の活性薬剤を含んでなることができる。特に本組成物は、好ましくはインターロイキン、より好ましくはIL−2(アルデスロイキン、Proleukin(登録商標))であるサイトカインをさらに含んでなることができる。実際、IL−2は、γδT細胞の改善された生体内増殖を提供できる。さらに本発明の組成物は、化学療法またはその他の免疫療法などのその他の活性薬剤または治療プログラムをさらに含んでなってもよく、または同時にまたは逐次にそれらと組み合わせて使用してもよい。本発明はまた、治療用抗体とγδT細胞活性化物質とを含んでなるキットにも関する。さらに本発明は、疾患治療における同時、別個または逐次使用のための併用製剤として、γδT細胞活性化物質と治療用抗体とを含有する製品に関する。より具体的には、疾患の治療は、好ましくはウイルス感染細胞、腫瘍細胞、自己免疫障害の原因となる細胞、またはその他の病原細胞などの病的細胞である、標的細胞の枯渇を必要とする。好ましくは疾患は癌、感染性または免疫疾患である。より好ましくは疾患は、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、および感染性(例えば細菌またはウイルス性)疾患からなる群から選択される。疾患はまた、移植片拒絶、より具体的には同種移植片拒絶、および移植片対宿主病(GVHD)にも関する。
【0044】
さらに本発明は、治療用抗体およびγδT細胞活性化物質によって活性化されたγδT細胞を含んでなる医薬組成物に関する。γδT細胞活性化物質によって活性化されたγδT細胞は、その開示を参照によって本明細書に援用する、米国特許出願公開第2005−0196385号明細書で述べられているようにして調製できる。本発明はまた、治療用抗体およびγδT細胞活性化物質によって活性化されたγδT細胞を含んでなるキットにも関する。本発明は、疾患治療における同時、別個または逐次使用のための併用製剤として、治療用抗体およびγδT細胞活性化物質によって活性化されたγδT細胞を含有する製品に関する。
【0045】
本発明の組成物は、場合により安定剤、保存料を添加した、典型的に緩衝液、等張溶液、水性懸濁液などである、あらゆる薬学的に許容可能なキャリアまたは賦形剤を含んでなってもよい。典型的な調合物としては、食塩溶液および、場合により高分子量タンパク質(例えばヒト血清アルブミン)などの保護分子または安定化分子が挙げられる。
【0046】
本発明はまた、疾患を治療する薬剤を調製するためのγδT細胞活性化物質と治療用抗体との使用にも関する。本発明は、γδT細胞活性化物質と治療用抗体とを対象に投与するステップを含んでなる、対象において疾患を治療する方法にさらに関する。γδT細胞活性化物質と治療用抗体との投与は、同時、別個または逐次であることができる。本方法は、特にIL−2であるサイトカインの投与をさらに含んでなることができる。より具体的には、疾患の治療は、好ましくはウイルス感染細胞、腫瘍細胞またはその他の病原細胞などの病的細胞である、標的細胞の枯渇を必要とする。
【0047】
本発明はまた、疾患を治療する薬剤を調製するための治療用抗体とγδT細胞活性化物質によって活性化されたγδT細胞との使用にも関する。本発明は、治療用抗体とγδT細胞活性化物質によって活性化されたγδT細胞とを対象に投与するステップを含んでなる、対象において疾患を治療する方法にさらに関する。γδT細胞活性化物質によって活性化されたγδT細胞と治療用抗体との投与は、同時、別個または逐次であることができる。本方法は、特にIL−2であるサイトカインを投与するステップをさらに含んでなることができる。
【0048】
考慮される疾患としては、造血性細胞の新生物増殖が挙げられる。場合により前記疾患は、リンパ芽球性白血病、急性または慢性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、および慢性リンパ球性白血病からなる群から選択される。前記疾患はまた、ENT癌、結腸直腸癌、乳癌、上皮癌も含む。前記疾患は、CMV感染症、およびB型肝炎などのウイルス感染症を含む。前記疾患は、クローン病、関節リウマチ、喘息、乾癬、多発性硬化症または糖尿病などの炎症性疾患を含む。特に表1に列挙したあらゆる疾患を治療できる。
【0049】
本発明の方法および組成物に従って、好ましくはγδT細胞活性化物質および治療用抗体である化合物が、「有効な」または「治療的に効果的な」量で投与される。好ましくは治療的有効量は、疾患または病状、または1つ以上のその症状を寛解させる、または疾患または病状の進行を予防する、または別の治療(例えば治療薬またはその他の理学療法)の治療効果を改善するのに十分である、治療(例えば治療薬)の量である。効果的な用量はまた、当業者によって認識されるように、治療する疾患、投与経路、賦形剤使用、およびその他の薬剤の使用などのその他の治療的処置との同時使用の可能性次第で変動する。
【0050】
好ましくは個人または対象の治療は、1つ以上の治療(例えば1つ以上の予防薬および/または治療薬)の投与から帰結する、疾患または病状、またはその1つ以上の症状の進行、重篤性、および/または持続期間の低減または寛解を含んでなる。
【0051】
好ましくは個人または対象における疾患または病状の予防は、対象における、疾患または病状、またはその1つ以上の症状の再発、発症、または進行の予防を含んでなり、前記予防は、治療法(例えば予防薬または治療薬の投与)、または併用療法(例えば予防薬または治療薬の併用の投与)から帰結する。
【0052】
好ましい実施態様では、癌の治療は、癌進行の予防、癌症状の低減、および/または確立した癌の増殖抑制、サイズ低下および/または破壊誘発を含んでなる。その他の態様では、薬剤は、癌を発症するリスクを低下させる目的で、癌を発症するリスクがある対象に投与される。
【0053】
一実施態様では、本発明に従った治療方法は、γδT細胞活性化物質の投与前に、またはそれに続いて、対象中のγδT細胞の活性または数を評価する追加的ステップをさらに含んでなる。別の実施態様では、追加的ステップは、i)投与前に対象からγδT細胞を得るステップ、ii)γδT細胞活性化物質の存在または不在下で、治療用抗体によって認識される1つ以上の標的細胞の存在下でγδT細胞を培養するステップ、およびiii)標的細胞を除去するγδT細胞の能力に対するγδT細胞活性化物質の影響を評価するステップを伴い、γδT細胞が標的細胞を除去する能力をγδT細胞活性化物質が増強するという発見は、本化合物が本方法での使用に適し、本方法が対象での使用に適することを示唆する。
【0054】
本発明はまた、γδT細胞活性化物質と、標的細胞を標的とする治療用抗体とを対象に投与するステップを含んでなる、対象中で標的細胞を死滅させる方法にも関する。特に標的細胞は、癌細胞、感染細胞、抗体被覆細胞であることができる。本発明は、γδT細胞活性化物質を対象に投与するステップを含んでなる、対象において標的細胞の死滅を増大させる方法にさらに関し、標的細胞を標的とする治療用抗体が対象に投与される。標的細胞を標的とする治療用抗体は、γδT細胞活性化物質の前、同時または後に投与できる。本発明は、標的細胞を標的とする治療用抗体と、γδT細胞活性化物質によって活性化されたγδT細胞とを対象に投与するステップを含んでなる、対象において標的細胞を死滅させる方法にさらに関する。
【0055】
本発明はまた、治療用抗体による治療効率を増大させるためのγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の使用にも関する。特に本発明は、対象における治療用抗体の投与を伴う、治療効率を増大させる薬物を調製するためのγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の使用に関し、前記治療用抗体の投与は、治療的有効量のγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の前に、それと同時に、またはそれに続いて前記対象に投与される。本発明はまた、対象において治療用抗体による治療効率を増大させる方法にも関し、γδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)は、治療用抗体の投与の前に、それと同時に、またはそれに続いて対象に投与される。
【0056】
一実施態様では、候補化合物は、標的細胞を破壊する治療用抗体の能力を50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%以上増強させる。
【0057】
本発明はまた、特にγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)を投与することで、例えば標的細胞を除去する抗体などの治療用抗体の投薬量を低下させる方法も含んでなる。例えば治療用抗体とγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の同時投与は、より低用量の治療用抗体の使用を可能にする。このような抗体は、化合物不在下で推奨される用量よりも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%低い用量で使用できる。
【0058】
本発明の重要な実施態様では、γδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の使用は、削減用量の治療用抗体で、治療的な有効性を達成できるようにする。治療用抗体の使用(例えば投薬量、投与計画)は、例えばリツキシマブの場合、発熱、頭痛、喘鳴、血圧低下、およびその他の副作用によって制限される。したがって多くの患者では、γδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)と組み合わせた標準用量の治療用抗体が投与され、それによってますます大きな治療有効性を要とする患者において標準用量の有効性を増強する一方、例えば副作用によって激しく影響されるその他の患者では、γδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の投与は、削減用量の治療用抗体で治療的な有効性が達成されるようにし、それによって副作用が回避される。実際には、熟練した医師は、例えば患者の特定の要求および全身状態の観点から最も適切な治療ストラテジーなど、所与の患者のために治療用抗体およびγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の理想的用量および投与計画を判断できる。治療用抗体およびγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)双方のための適切な投薬量の判定を導くために、「レミントン:薬学の科学と実践(Remington:The Science and Practice of Pharmacy)」ジェンナーロ(Gennaro)(2003年)、ISBN:0781750253;グッドマン(Goodman)およびギルマンズ(Gilmans)「薬物療法の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」ハードマン(Hardman)、リンバード(Limbird)、およびギルマン(Gilman)編(2001年),ISBN:0071354697;ローリンズ(Rawlins)E.A.編、「ベントレーの医薬品テキスト(Bentley’s Textbook of Pharmaceutics)」London:Bailliere,Tindall and Cox(1977年)他などの多数の参考文献が利用できる。
【0059】
一実施態様では、医師は、任意のγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の投与と併せて投与される治療用抗体の量を、投薬量または投与頻度のどちらかの観点から徐々に低下させて、例えばγδT細胞活性のモニター、患者の標的細胞の存在のモニター、様々な臨床徴候のモニター、またはあらゆるその他の手段によって治療用抗体の有効性をモニターし、モニタリング結果を考慮して、治療用抗体および/またはγδT細胞活性化物質の相対濃度または投与様式を調節して、治療的有効性および副作用の制限を最適化できる。
【0060】
γδT細胞活性化物質および/または治療用抗体の適切な用量はまた、一般に生体外でまたは動物モデル中で判定でき、例えば生体外で様々な濃度の治療用抗体を標的細胞、γδT細胞、および変動する濃度の1つ以上のγδT細胞活性化物質の存在下でインキュベートして、(例えば実施例で述べられているように)標準アッセイを使用して、様々な条件下における標的細胞枯渇の程度または速度を評価する。代案としては、抗体で治療できる疾患のための動物モデル(例えばリツキシマブの場合はNHLのための動物モデル)に、γδT細胞活性化物質の変動する投薬量と共に、治療用抗体の変動する投薬量を投与して、動物の治療における抗体の有効性を(例えばあらゆる適切な臨床、細胞、または分子アッセイまたは基準による判定で)評価できる。
【0061】
本発明に従った組成物または製品は、典型的に静脈内、腹腔内、動脈内、筋肉内または経皮的経路によって対象に直接注射してもよい。リツキサン(Rituxan)(リツキシマブ)またはゾレア(Xolair)(オマリズマブ)などのいくつかのモノクローナル抗体は、臨床状況において効果があることが示されており、本発明の組成物と同様の投与計画(すなわち製剤形態および/または用量および/または投与プロトコール)を使用してもよい。γδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)および治療用抗体は、同一経路によってまたは異なる経路によって投与できる。
【0062】
したがって本発明は、例えば標的細胞枯渇を引き起こすことが意図される抗体などの治療用抗体の治療的に効果的な削減用量を判定する方法を提供し、本方法は、i)γδT細胞活性化物質不在下で、第1の濃度の治療用抗体と、標的細胞およびγδT細胞とを共培養するステップと、ii)γδT細胞活性化物質の存在下で、第2のより低濃度の治療用抗体と、標的細胞およびγδT細胞とを共培養するステップと、iii)ステップii)で観察された標的細胞枯渇が、ステップi)で観察された枯渇より大きいかどうかを判定するステップとを含んでなる。ステップii)がステップi)と同程度に有効であることが観察されれば、次に例えば患者の特定の要求次第で、標的細胞枯渇を最大化させる、治療用抗体用量を低下させる、または化合物用量を低下させるなど、所与の患者での使用に適した異なる条件を同定するために、γδT活性化物質と治療用抗体との相対濃度を変動させて、枯渇を観察できる。
【0063】
別の態様では、本発明は、治療用抗体と組み合わせた投与のために、γδT細胞活性化物質を選択する方法を提供し、前記方法は、i)γδT細胞活性化物質候補を提供するステップと、ii)γδT細胞の存在下で、化合物候補の存在または不在下で、治療用抗体を治療用抗体によって特異的に認識される標的細胞と共に培養するステップと、iii)標的細胞を除去するγδT細胞の能力に対する候補化合物の影響を評価するステップとを含んでなり、候補化合物が標的細胞を除去するγδT細胞の能力を増強するという発見は、候補化合物が本方法での使用に適することを示唆する。
【0064】
本発明の文脈で、対象または患者は、あらゆる哺乳類対象または患者、より好ましくはヒト対象または患者を含む。
【0065】
特に、本発明の目的は、Bリンパ腫枯渇のためにリツキシマブ単独よりも効果がある、リツキシマブおよびγδT細胞活性化物質による有効な併用療法を提供することである。Bリンパ腫の影響を受けたB細胞はCD20+フェノタイプを示し、リツキシマブなどの抗CD20抗体が、目下このような癌を有する患者を治療するために治療法で使用されている。抗CD20抗体および特にリツキシマブは、ADCC(抗体依存性細胞仲介細胞毒性)と称される細胞毒性効果を有することが知られており、この効果はCD20マーカーを発現するB細胞に向けられる。以前の研究は、いかなる重篤な副作用もなしに、患者が重要なB細胞枯渇に耐えられることを示したので、B細胞癌を治療する有利なやり方は、癌性B細胞を選択的に根絶して、患者の骨髄からB細胞を再生させることである。したがって改善された長期のB細胞枯渇を得る手段は、より良い治療的結果を得るために興味深い。発明者らは、実施例2で説明されるように、リツキシマブなどの抗CD20抗体とγδT細胞活性化物質との併用が、リツキシマブなどの抗CD20抗体単独と比較して、改善された長期のB細胞枯渇をもたらすことを意外にも見いだした。
【0066】
特に本発明の別の目的は、B細胞集団の再構成を遅らせ、それによって生体内でのB細胞枯渇療法の有効性を改善する、リツキシマブとγδT細胞活性化物質とによる有効な併用療法を提供することである。
【0067】
併用療法の投与
一実施態様では、治療用抗体およびγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)は、対象に同時に投与される。別の実施態様では、γδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)は、治療用抗体の投与の数週間(例えば2、3、4、5、または6週間)以内、好ましくは1週間以内に対象に投与される。第1の実施態様では、γδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)は、治療用抗体の前に対象に投与される。第2の実施態様では、治療用抗体はγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の前に対象に投与される。γδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)および治療用抗体は、相乗効果が得られるように投与される。
【0068】
γδT細胞活性化物質は、個人に1回のみ投与できる。別の態様では、γδT細胞活性化物質は頻回用量で投与され、γδT細胞活性化物質の逐次投与は、少なくとも2、3または4週間以上隔てられ、γδT細胞活性化物質のそれぞれの新しい投与が治療サイクルを規定する。治療サイクル数は、各患者の特異的応答性および健康次第で、当業者によって判定される。一般にγδT細胞比率(γδT細胞数)は、2回目の化合物投与前に実質的に基本比率に戻される。患者のγδT細胞比率が実質的に基本比率に戻るには、少なくとも約1週間、より好ましくは少なくとも約2週間、または最高で8週間が必要とされる。例えばγδT細胞活性化物質は個人に1回のみ投与でき、または好ましくは治療用抗体の特定の過程内に1回のみ(例えば最中またはその後)投与でき、実際には(is practice)通常、毎月1回を超えず、または2、3または6ヶ月毎に1回、γδT細胞活性化物質が投与されることを意味する。γδT細胞活性化物質は、治療用抗体治療の間に投与される。γδT細胞活性化物質は、治療用抗体の間に数サイクルにわたって投与できる。より好ましくはγδT細胞活性化物質は、少なくとも2サイクル、またはより好ましくは少なくとも3サイクルにわたって投与される。
【0069】
治療用抗体は、通常、実施例2に示すように、約2、3週間、典型的に3週間前後の治療サイクルにわたり毎週約1回投与される。一実施態様では、治療用抗体は、3〜5週間、典型的に21日間前後の期間にわたり投与される。好ましくは治療用抗体は、γδT細胞活性化物質の前に投与される。
【0070】
本発明は、ここで実施例2に記載されるように、マカク(cynomolgus macaque)などの適切な生体内モデル内で効果があることが判明した投与の具体的スキームを提供する。
【0071】
γδT細胞活性化物質は、治療用抗体と併せて1回投与される。好ましくはγδT細胞活性化物質は、1回の抗体の投与と実質的に同時に投与される。最も好ましくはγδT細胞活性化物質は、2回目の治療用抗体の投与と実質的に同時に、典型的に2回目の抗体の投与の48時間以内に投与される(例えば治療サイクルの7または8日目前後)。最も好ましくはγδT細胞活性化物質は、2回目の抗体の投与の48時間以内に1回投与される。一例ではγδT細胞活性化物質は、0日目を治療用抗体の投与の初日として、γδT細胞活性化物質が7または8日目に投与されるように治療用抗体治療と併せて使用できる。しかしγδT細胞活性化物質は治療用抗体の2回の各逐次投与の間に必ずしも投与されず、γδT細胞活性化物質の逐次投与は少なくとも2、3または4週間以上に隔てられるものと理解される。別の実施態様では、サイトカインが、3〜10日の期間にわたってさらに投与され、1回目のサイトカイン投与は、γδT細胞活性化物質投与と同日に行われる。好ましくはサイトカインはIL−2であり、IL−2は5日間連続して各γδT細胞活性化物質投与と共に投与される。
【0072】
サイトカインとの併用治療
γδT細胞活性化物質が、治療用抗体と併せて使用される実施態様では、本発明の方法は、場合によりサイトカインをさらに投与するステップを含んでなる。本発明の化合物は、さらなる投与ありまたはなしで使用してよいが、好ましい態様では、サイトカインが投与でき、前記サイトカインはγδT細胞活性化物質化合物で処理されたγδT細胞集団の拡大を増大でき、好ましくはサイトカインは、前記サイトカイン不在下でのγδT細胞活性化物質化合物の投与に起因する拡大を超える、γδT細胞集団の拡大を誘発できる。好ましいサイトカインはインターロイキン−2ポリペプチドである。
【0073】
γδT細胞増殖活性を有するサイトカイン、最も好ましくはインターロイキン−2ポリペプチドが、典型的に1〜10日の期間にわたって低用量で投与される。γδT細胞活性化物質は、好ましくは典型的にγδT細胞活性化物質治療の始めに、単回用量で投与される。
【0074】
好ましい態様では、サイトカイン、最も好ましくはIL−2が、最高約10日間にわたって、好ましくは3〜10日の期間にわたって、または最も好ましくは約5日間にわたって毎日投与される。好ましくはサイトカインの投与は、γδT細胞活性化物質の投与と同日に始まる(例えば24時間内)。サイトカインは、約3〜10日間の前記投与計画内のあらゆる適切なスキームで投与できるものと理解される。例えば一態様ではサイトカインが毎日投与されるのに対し、その他の態様ではサイトカインは必ずしも毎日投与されない。好ましい実施態様では、サイトカインIL−2は8日目から始めて5日間にわたって投与できる。
【0075】
好ましくはIL−2は、例えば毎日平方メートルあたり1800万国際単位(MIU/m2)の治療的標準よりも低い用量などの低用量で投与される。好ましくはIL−2用量は毎日5MIU/m2未満であり、ヒトにおける1日当たりの総量10MIU未満に相当する。好ましくは用量は、ヒトにおける1日当たりの総量1MIU(0.5MIU/m2)からヒトにおける1日当たりの総量8MIU(4MIU/m2)の間である。
【0076】
治療用抗体
本発明は、γδT細胞を活性化する化合物と組み合わされた治療用抗体の使用を扱う。本発明では多種多様な治療用抗体のいずれでも使用できる。
【0077】
「抗体」という用語は、本明細書での用法ではポリクローナルおよびモノクローナル抗体を指す。重鎖中の定常領域のタイプ次第で、抗体はIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMの主要5クラスの1つに割り当てられる。これらのいくつかは、さらにIgG1、IgG2、IgG3、IgG4などのサブクラスまたはアイソタイプに分割される。例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を構成する。各四量体は、2つの同一ポリペプチド鎖ペアから構成され、各ペアは、1本の「軽鎖」(約25kDa)と1本の「重鎖」(約50〜70kDa)を有する。各鎖のN末端は、アミノ酸約100〜110個以上の主として抗原認識の役割を担う可変部を画定する。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語は、それぞれこれらの軽鎖および重鎖を指す。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常領域は、それぞれ「α」、「δ」、「ε」、「γ」、および「μ」と称される。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元配置についてはよく知られている。IgGおよび/またはIgMは生理学的状況において最も一般的な抗体であり、IgGおよび/またはIgMは実験室環境で最も容易に作成され、IgGはFcγ受容体によって特異的に認識されることから、IgGおよび/またはIgMが本発明で用いるのに好ましいクラスの抗体であり、IgGが特に好ましい。好ましくは本発明の抗体はモノクローナル抗体である。特に好ましいのは、ヒト化抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、またはさもなければヒトに適切な抗体である。
【0078】
本発明の文脈で「治療用抗体または抗体」という用語は、より具体的には患者において標的細胞に機能し、および場合により患者において標的細胞を除去するあらゆる抗体を示す。特に治療用抗体は、例えば腫瘍細胞上に優勢にまたは排他的に存在する腫瘍特異的抗原などの、標的細胞の表面に存在する抗原と特異的に結合する。好ましくは治療用抗体はヒトFc部分を含み、またはヒトFc受容体と相互作用できる。治療用抗体は、例えばADCCまたは別のやり方などのあらゆる手段で細胞を標的にでき、「裸」である、すなわち抱合部分なしであることができ、またはそれらは放射性標識または毒素などの化合物と抱合できる。
【0079】
本発明の目的で、「ヒト化」抗体とは、その中で1つ以上のヒト免疫グロブリンの定常および可変フレームワーク領域が、例えば動物免疫グロブリンのCDRなどの結合領域と融合する抗体を指す。このようなヒト化抗体は、結合領域がそれに由来する非ヒト抗体の結合特異性を維持するが、非ヒト抗体に対する免疫反応を回避するようにデザインされている。
【0080】
「キメラ抗体」は、その中で(a)抗原結合部位(可変部)が、異なるまたは改変されたクラス、エフェクター機能および/または種の定常部と結合し、または例えば酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物などのキメラ抗体に新しい特性を与える全く異なる分子と結合するように、定常部またはその一部が改変、置換または交換されている、または(b)可変部またはその一部が、異なるまたは改変された抗原特異性を有する可変部によって改変、置換または交換されている、抗体分子である。本発明の好ましい実施態様では、それにもかかわらずキメラ抗体は、免疫グロブリンのFc領域、好ましくはヒトFc領域を保持し、それによって標的細胞表面のヒトFc受容体との相互作用を可能にする。
【0081】
本化合物を使用して、治療用抗体によって特異的に認識される抗原を発現する標的細胞を除去する、治療用抗体の能力を増強できる。したがって少なくともある程度、治療用抗体が標的にできる細胞によって引き起こされ、または悪化するあらゆる疾患または病状は、ここで述べられている方法を使用して治療できる。標的細胞の具体例としては、腫瘍細胞と、ウイルス感染細胞と、同種細胞と、アレルギー、自己免疫疾患、同種反応などに関与する病理学的免疫担当細胞(例えばBリンパ球、Tリンパ球、抗原提示細胞など)が挙げられ、または健康な細胞(例えば抗血管新生治療ストラテジー中の内皮細胞)でさえ含まれる。本発明の文脈で最も好ましい標的細胞は、腫瘍細胞およびウイルス感染細胞である。治療用抗体は、特に抗体依存細胞媒介細胞毒性(ADCC)によって、例えば細胞毒性効果または細胞溶解を媒介してもよい。
【0082】
治療用抗体は、G1、G2、G3またはG4サブタイプ(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4)のヒト免疫グロブリン定常領域(Fc)を有し、および/またはCD16に結合する。これらの各サブタイプは、少なくとも一部の例では除去されることが実証されている。好ましい実施態様では、治療用抗体は、G1またはG3サブタイプのヒトFc領域を含んでなり、またはFc領域または抗体が改変され、または標的細胞を除去する治療用抗体の能力を増大させるように作成されている場合は、G2またはG4サブタイプのヒトFc領域を含んでなる。別の実施態様では、治療用抗体は抗体またはその断片である。治療用抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであってもよい。好ましくは治療用抗体は、モノクローナル抗体またはその断片である。一実施態様では、治療用抗体は、とりわけFab断片、Fab’2断片、CDR、およびScFvなどの抗体断片または誘導体であることができる。好ましくは断片は抗原結合断片である。一実施態様では治療用抗体はヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体またはその断片である。本質的にあらゆる治療用抗体が、「裸」であるかまたは放射標識、毒素、またはその他の部分と抱合しているかどうか、または全長または断片であるかどうか、または真の抗体または抗体の改変誘導体であるかどうかに関わりなく使用できる。別の実施態様では、治療用抗体は放射性または毒性部分と抱合していない。
【0083】
治療用抗体は、ハイブリドーマによって、または所望の可変および定常領域を発現する、改変された組み換え細胞によって産生されてもよい。抗体は、抗原特異性および下側ヒンジ領域を保持する、一本鎖抗体またはその他の抗体誘導体、またはその変異型であってもよい。これらは、多機能性抗体、組み換え抗体、ヒト化抗体、断片またはその変異型であってもよい。抗体断片を含んでなる治療用抗体としてはまた、二重特異性抗体も挙げられるがこれに限定されるものではなく、適切な二重特異性抗体の一例は、CD16に特異的な抗原結合領域と、腫瘍抗原に特異的な抗原結合領域を含んでなる。断片を含んでなるその他の抗体形式としては、BiTETMとも称される、単一ポリペプチド鎖上の2つの異なる抗体の結合領域を組み合わせた組み換え二重特異性抗体誘導体が挙げられる(その開示を参照によって本明細書に援用する、クファー(Kufer)P,ら、TRENDS in Biotechnology 2004年;22(5):238〜244頁;およびBaeuerleら、Current Opinion in Molecular Therapeutics 2003年;5(4):413〜419頁。
【0084】
治療用抗体は、例えば膜抗原などの表面抗原に対して一般に特異的である。最も好ましい治療用抗体は、CD20、CD52、ErbB2(またはHER2/Neu)、CD33、CD22、CD25、MUC−1、CEA、KDR、αVβ3など、特にリンパ腫抗原(例えばCD20)などの腫瘍抗原(例えば腫瘍細胞によって特異的に発現される分子)に対して特異的である。治療用抗体は好ましくはヒトまたは非ヒト霊長類IgG1またはIgG3Fc部分、より好ましくはヒトIgG1を有する。
【0085】
本発明の治療用抗体の典型的な例は、リツキシマブ、アレムツズマブ、およびトラスツズマブである。このような抗体は、ヒト対象で使用することが認可されている臨床プロトコールに従って使用してもよい。治療用抗体の追加的具体例としては、例えばエプラツズマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、セツキシマブ、ラベツズマブ、セビルマブ、ツブリマブ、パリビズマブ、インフリキシマブ、オマリズマブ、エファリツマブ、ナタリズマブ、クレノリキシマブなどが挙げられる。本発明に従って使用するための好ましい治療用抗体のその他の例としては、抗フェリチン抗体(米国特許公開第2002/0106324号明細書)、抗p140および抗sc5抗体(国際公開第02/50122号パンフレット)が挙げられ、上記それぞれの参考文献の開示を参照によって本明細書に援用する。治療用抗体のその他の例を次の表に列挙し、そのいずれもが(およびその他が)本方法で使用できる。次の表に列挙されているか、または本明細書の他の所で述べられているどうかにかかわらず、細胞を標的にできて場合により例えばADCCによって標的細胞を排除できるあらゆる抗体は、本方法から恩恵を受けることができ、次の表1は、その中で列挙される抗体について、または列挙される抗体の標的または適応症についても排他的でないものと理解される。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
したがって治療用抗体は、表1の抗体から選択される抗体、または同じ抗原に結合する抗体であることができる。対象に投与される治療用抗体の効果的量は、約0.1mg/kg〜約20mg/kgの間であることができる。しかし抗体の効果的量は、抗体の形態(ホールIg、または断片)、mAbの親和性、および特定抗体毎に判定しなくてはならない薬物動態学的パラメーターに左右される。
【0090】
好ましい実施態様では抗体はリツキシマブである。より特定の実施態様では、抗体はリツキシマブであり、前記抗体は週あたり375mg/m2未満の投薬量で投与される。別の実施態様では抗体はカンパス(Campath)である。より特定の実施態様では、抗体はカンパス(Campath)であり、抗体は週あたり90mg未満の投薬量で投与される。
【0091】
実施態様のいずれかの別の態様では、抗EGFR抗体または抗VEGF抗体をはじめとするがこれに限定されるものではない、ここで列挙される抗体のいずれか1つを除外でき、例えばセツキシマブを除外できる。
【0092】
γδT細胞活性化物質
「γδT細胞活性化物質」という用語は、γδTリンパ球を活性化できる好ましくは人工的に生産された分子を示す。それはより好ましくはγδTリンパ球のT受容体のリガンドである。活性化物質は、ペプチド、脂質、小分子などの様々な性質であってもよい。それは精製され、さもなければ(例えば化学合成によって、または微生物学的工程によって)人工的に生産された、内在性リガンド、またはその断片または誘導体、または実質的に同じ抗原特異性を有する抗体であってもよい。
【0093】
γδT細胞活性化物質であるホスホ抗原は、γδT細胞の増殖または増加をも刺激して、または刺激しないで、好ましくはγδT細胞の生物学的活性を増大させまたは増殖を引き起こし、好ましくはγδT細胞の活性化を増大させ、特にγδT細胞からのサイトカイン分泌を増大させ、またはγδT細胞の細胞溶解活性を増大させる。したがってγδT細胞活性化物質は、対象においてγδT細胞の活性を増大させるのに十分な量および条件下で、好ましくはγδT細胞によるサイトカイン分泌を増大させ、および/またはγδT細胞の細胞溶解活性を増大させるのに十分な量および条件下で投与される。サイトカイン分泌および細胞溶解活性は、あらゆる適切な生体外アッセイを使用して評価できる。
【0094】
あらゆる例示的なアッセイにおいて、サイトカイン分泌は、TNF−α−感応性細胞を使用した生物検定中のTNF−α放出の測定について記述するエスピノザ(Espinosa)ら(J.Biol.Chem.、2001年、276巻、21号、18337〜18344頁)が述べている方法に従って判定できる。簡単に述べると、104個のγδT細胞/ウェルを刺激して25単位のIL2/ウェルを添加して、100μlの培養液中で37℃で24時間インキュベートした。次に、3×104個の細胞/ウェルで播種した、アクチノマイシンD(2μg/ml)およびLiCl(40mM)添加培養液中の50μlのWEHI細胞に、50μlの上清を添加して37℃で20時間インキュベートした。3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミドアッセイによって、TNF−α−感応性細胞生存度を測定した。ウェルあたり50μlの3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(シグマ(Sigma):リン酸緩衝食塩水中2.5mg/ml)を添加して、37℃で4時間のインキュベーション後、50μlの可溶化緩衝液(20%SDS、66%ジメチルホルムアミド、pH4.7)を添加して吸光度(570nm)を測定した。次にニュージャージー州ロッキーヒルのペプロテック・インコーポレーテッド(PeproTech,Inc.(Rocky Hill,NJ))からの精製rTNF−αを使用して得られた標準曲線から、TNF−α放出レベルを計算した。T細胞によって活性化されたインターフェロン−γ放出をサンドイッチ酵素結合抗体免疫吸着アッセイによって測定した。5×104個のγδT細胞/ウェルを刺激して、25単位のIL2/ウェルを添加して、100μlの培養液中で37℃で24時間インキュベートした。次に米国カリフォルニア州カマリロのバイオソース(BIOSOURCE,Camarillo,CA)からのマウスモノクローナル抗体を使用した酵素結合抗体免疫吸着アッセイのために、50μlの上清を収集した。
【0095】
細胞溶解活性のための好ましいアッセイは、51Cr放出アッセイである。例示的なアッセイでは、4時間51Cr放出アッセイ中で、γδT細胞の細胞溶解活性が、自己の正常および腫瘍標的細胞系、またはDaudiなどの対照感応性標的細胞系、およびRajiなどの対照抵抗性標的細胞系に対して測定される。具体例では、標的細胞を2×103細胞/ウェルの量で使用して、100μCi51Crで60分間標識した。エフェクター/標的(E/T)比率は、30:1〜3.75:1の範囲であった。比溶解(百分率で表わされる)は、標準式を使用して計算される。
[(実験的放出−自然放出/総放出−自然放出)×100]
【0096】
論じたように、本発明の方法は一般に、γδT細胞活性を刺激できるあらゆるγδT細胞活性化物質で実施できる。この刺激は、下で論じるように、純粋γδT細胞培養物中でγδT細胞を刺激できる化合物を使用した、γδT細胞に対する直接効果によることができ、または刺激はIPP蓄積をもたらすビスホスホン酸などの薬理作用物質による治療などの間接的機序によることができる。好ましくはγδT細胞活性化物質は、培養物中のγδT細胞クローン集団内で、γδT細胞の活性を抑制できる化合物である。γδT細胞活性化物質は、好ましくはγδT細胞活性化物質が培養物中に100mM未満の濃度で存在する場合、γδT細胞クローンのγδT細胞集団の活性をミリモル濃度で制御できる。場合によりγδT細胞活性化物質は、好ましくはγδT細胞活性化物質が培養物中に10mM未満、またはより好ましくは1mM未満の濃度で存在する場合、γδT細胞クローンのγδT細胞集団の活性をミリモル濃度で制御できる。γδT細胞活性の抑制は、あらゆる適切な手段によって、好ましくは本明細書で述べられているように、サイトカイン分泌、最も好ましくはTNF−α分泌を評価することによって評価できる。純粋なγδT細胞クローン集団を得る方法については、その開示を参照によって本明細書に援用する、ダボドー(Davodeau)ら、(1993年)およびモロー(Moreau)ら、(1986年)で述べられている。好ましくは活性化物質は、培養物中のγδT細胞数に少なくとも20%、50%以上の増大を、またはより好ましくは培養物中のγδT細胞数に少なくとも2倍の増大を引き起こすことができる。
【0097】
一実施態様では、活性化物質は、Vγ9Vδ2Tリンパ球を選択的に活性化できる合成化合物であってもよい。Vγ9Vδ2Tリンパ球の選択的活性化は、化合物が特異的細胞集団に向けた選択的作用を有することを示唆し、好ましくはVγ9Vδ2T細胞の活性化が、Vδ1T細胞などのその他のT細胞タイプよりも速くまたはより高程度に増大され、またはその他のT細胞タイプは実質的に活性化されない。このような選択性は、生体外T細胞活性化アッセイで評価することができる。本明細書で開示されているような選択性は、好ましい化合物が、Vγ9Vδ2Tリンパ球の増殖または生物学的活性の選択的または標的を定めた活性化を引き起こすことができることを提案する。
【0098】
好ましいホスホ抗原
γδT細胞活性化物質は、好ましくは非ペプチド抗原である。なおも別の実施態様では、化合物は(例えばγδT細胞以外の免疫細胞を直接活性化することで)、直接または間接的に作用する化合物をはじめとする、あらゆるその他のγδT細胞活性化物質である。
【0099】
本発明で有用なγδT細胞活性化物質は、式(I)、
【化6】
(式中、
Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し;
mは1〜3の整数であり;
BはO、NH、または加水分解されうる任意の基であり;
Y=O−Cat+、C1〜C3アルキル基、−A−R基、またはヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、脂肪酸、単純脂質、複合脂質、葉酸、テトラヒドロ葉酸、リン酸、イノシトール、ビタミン、補酵素、フラボノイド、アルデヒド、エポシキド、およびハロヒドリンからなる群から選択される基であり;
AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり;
Rは、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断されていてもよい、直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和の、C1〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基は、アルキル、アルキレニル、アルキニル、エポキシアルキル、アリール、複素環、アルコキシ、アシル、アルコール、カルボン酸基(−COOH)、エステル、アミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、ニトリル、ヒドロキシル(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、ハロゲン、ハロゲノアルキル、チオール(−SH)、チオアルキル、スルホン、スルホキシド、およびその組み合わせからなる群から選択される1つまたはいくつかの置換基によって置換されていてもよい、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含んでなる)
の化合物を含んでなる。
【0100】
特定の実施態様では、上で定義される置換基は、上で指定される置換基の少なくとも1つによって置換される。
【0101】
好ましくは置換基は、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルキレニル、(C2〜C6)アルキニル、(C2〜C6)エポキシアルキル、アリール、複素環、(C1〜C6)アルコキシ、(C2〜C6)アシル、(C1〜C6)アルコール、カルボン酸基(−COOH)、(C2〜C6)エステル、(C1〜C6)アミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、(C1〜C6)イミン、ニトリル、ヒドロキシル(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、ハロゲン、(C1〜C6)ハロゲノアルキル、チオール(−SH)、(C1〜C6)チオアルキル、(C1〜C6)スルホン、(C1〜C6)スルホキシド、およびその組み合わせからなる群から選択される。
【0102】
より好ましくは置換基は、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)エポキシアルキル、(C2〜C6)アルキレニル、(C1〜C6)アルコキシ、(C2〜C6)アシル、(C1〜C6)アルコール、(C2〜C6)エステル、(C1〜C6)アミン、(C1〜C6)イミン、ヒドロキシル、アルデヒド基、ハロゲン、(C1〜C6)ハロゲノアルキル、およびその組み合わせからなる群から選択される。
【0103】
なおもより好ましくは置換基は、(C3〜C6)エポキシアルキル、(C1〜C3)アルコキシ、(C2〜C3)アシル、(C1〜C3)アルコール、(C2〜C3)エステル、(C1〜C3)アミン、(C1〜C3)イミン、ヒドロキシル、ハロゲン、(C1〜C3)ハロゲノアルキル、およびその組み合わせからなる群から選択される。好ましくはRは(C3〜C25)炭化水素基、より好ましくは(C5〜C10)炭化水素基である。
【0104】
本発明の文脈で、「アルキル」という用語は、より具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシルなどの基、およびその他のその異性体を意味する。(C1〜C6)アルキルはより具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびその他のその異性体を意味する。(C1〜C3)アルキルはより具体的には、メチル、エチル、プロピル、またはイソプロピルを意味する。
【0105】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和エチレン結合を有する上で定義されるアルキル基を指し、「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和アセチレン結合を有する上で定義されるアルキル基を指す。(C2〜C6)アルキレンとしては、エテニル、プロペニル(1−プロペニルまたは2−プロペニル)、1−または2−メチルプロペニル、ブテニル(1−ブテニル、2−ブテニル、または3−ブテニル)、メチルブテニル、2−エチルプロペニル、ペンテニル(1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル)、ヘキセニル(1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル)、およびその他のその異性体が挙げられる。(C2〜C6)アルキニルとしては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、または5−ヘキシニル、およびその他のその異性体が挙げられる。
【0106】
「エポキシアルキル」という用語は、エポキシド基を有する上で定義されるアルキル基を指す。より具体的には、(C2〜C6)エポキシアルキルとしては、エポキシエチル、エポキシプロピル、エポキシブチル、エポキシペンチル、エポキシヘキシル、およびその他のその異性体が挙げられる。(C2〜C3)エポキシアルキルとしては、エポキシエチルおよびエポキシプロピルが挙げられる。
【0107】
「アリール」基とは、6〜18個の炭素原子を有する単−、二−または三−環式芳香族炭化水素である。例としては、特にフェニル、α−ナフチル、β−ナフチルまたはアントラセニル基が挙げられる。
【0108】
「複素環」基は、1つ以上のヘテロ原子、好ましくは1〜5個の環内ヘテロ原子を含んでなる5〜18個の環を含有する基である。それらは単−、二−または三−環式であってもよい。それらは芳香族または非芳香族であってもよい。好ましくはそしてR5についてより具体的には、それらは芳香族複素環である。芳香族複素環の例としては、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾールおよびトリアジン基が挙げられる。二環式の例としては、特にキノリン、イソキノリン、およびキナゾリン基(2つの6員環)およびインドール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、およびインダゾール(6員環および5員環)が挙げられる。非芳香族複素環は、特にピペラジン、ピペリジンなどを構成する。
【0109】
「アルコキシ」基は、−O−(エーテル)結合によって分子に結合した上で定義されるアルキル基に相当する。(C1〜C6)アルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、およびその他のその異性体が挙げられる。(C1〜C3)アルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、およびイソプロピルオキシが挙げられる。
【0110】
「アシル」基は、−CO−(カルボニル)基によって分子に結合した上で定義されるアルキル基に相当する。(C2〜C6)アシルとしては、アセチル、プロピルアシル、ブチルアシル、ペンチルアシル、ヘキシルアシル、およびその他のその異性体が挙げられる。(C2〜C3)アシルとしては、アセチル、プロピルアシルおよびイソプロピルアシルが挙げられる。
【0111】
「アルコール」基は、少なくとも1つの水酸基を含有する上で定義されるアルキル基に相当する。アルコールは、一級、二級または三級であることができる。(C1〜C6)アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、およびその他のその異性体が挙げられる。(C1〜C3)アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、およびイソプロパノールが挙げられる。
【0112】
「エステル」基は、−COO−(エステル)結合によって分子に結合した上で定義されるアルキル基に相当する。(C2〜C6)エステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、およびその他のその異性体が挙げられる。(C2〜C3)エステルとしては、メチルエステルおよびエチルエステルが挙げられる。
【0113】
「アミン」基は、−N−(アミン)結合によって分子に結合した上で定義されるアルキル基に相当する。(C1〜C6)アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、およびその他のその異性体が挙げられる。(C1〜C3)アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、およびプロピルアミンが挙げられる。
【0114】
「イミン」基は、(−C=N−)結合を有する上で定義されるアルキル基に相当する。(C1〜C6)イミンとしては、メチルイミン、エチルイミン、プロピルイミン、ブチルイミン、ペンチルイミン、ヘキシルイミン、およびその他のその異性体が挙げられる。(C1〜C3)イミンとしては、メチルイミン、エチルイミン、およびプロピルイミンが挙げられる
【0115】
ハロゲンはCl、Br、I、またはFであることができ、より好ましくはBrまたはFである。
【0116】
「ハロゲノアルキル」基は、少なくとも1つのハロゲンを有する上で定義されるアルキル基に相当する。基は、モノハロゲン化されていても、または同一であるかまたは異なるハロゲン原子を含有してポリハロゲン化されていてもよい。例えば基は、トリフルオロアルキル(CF3−R)であることができる。(C1〜C6)ハロゲノアルキルとしては、ハロゲノメチル、ハロゲノエチル、ハロゲノプロピル、ハロゲノブチル、ハロゲノペンチル、ハロゲノヘキシル、およびその他のその異性体が挙げられる。(C1〜C3)ハロゲノアルキルとしては、ハロゲノメチル、ハロゲノエチル、およびハロゲノプロピルが挙げられる。
【0117】
「チオアルキル」基は、−S−(チオエーテル)結合によって分子に結合した上で定義されるアルキル基に相当する。(C1〜C6)チオアルキルとしては、チオメチル、チオエチル、チオプロピル、チオブチル、チオペンチル、チオヘキシル、およびその他のその異性体が挙げられる。(C1〜C3)チオアルキルとしては、チオメチル、チオエチル、およびチオプロピルが挙げられる。
【0118】
「スルホン」基は、−SOO−(スルホン)結合によって分子に結合した上で定義されるアルキル基に相当する。(C1〜C6)スルホンとしては、メチルスルホン、エチルスルホン、プロピルスルホン、ブチルスルホン、ペンチルスルホン、ヘキシルスルホン、およびその他のその異性体が挙げられる。(C1〜C3)スルホンとしては、メチルスルホン、エチルスルホン、およびプロピルスルホンが挙げられる。
【0119】
「スルホキシド」基は、−SO−(スルホキシド)基によって分子に結合した上で定義されるアルキル基に相当する。(C1〜C6)スルホキシドとしては、メチルスルホキシド、エチルスルホキシド、プロピルスルホキシド、ブチルスルホキシド、ペンチルスルホキシド、ヘキシルスルホキシド、およびその他のその異性体が挙げられる。(C1〜C3)スルホキシドとしては、メチルスルホキシド、エチルスルホキシド、プロピルスルホキシド、およびイソプロピルスルホキシドが挙げられる。
【0120】
「ヘテロ原子」とは、N、S、またはOを指す。
【0121】
「ヌクレオシド」としては、アデノシン、チミン、ウリジン、シチジン、およびグアノシンが挙げられる。
【0122】
特定の実施態様では、炭化水素基は、シクロペンタジエンまたはフェニルなどのシクロアルキレニル、またはフラン、ピロール、チオフェン、チアゾール、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラン、またはピラジンなどの複素環である。好ましくはシクロアルキレニルまたは複素環は、シクロペンタジエン、ピロールまたはイミダゾールからなる群から選択される。好ましい実施態様では、シクロアルキレニルまたは複素環は、アルコールによって置換される。好ましくは前記アルコールは(C1〜C3)アルコールである。
【0123】
その他の実施態様では、炭化水素基は1つまたはいくつかの二重結合があるアルキレニルである。好ましくはアルキレニル基は、1つの二重結合を有する。好ましくはアルキレニル基は(C3〜C10)アルキレニル基、より好ましくは(C4〜C7)アルキレニル基である。好ましくは前記アルキレニル基は、少なくとも1つの官能基によって置換される。より好ましくは官能基は、ヒドロキシ、(C1〜C3)アルコキシ、アルデヒド、(C2〜C3)アシル、または(C2〜C3)エステルからなる群から選択される。より好ましい実施態様では、炭化水素基は−CH2OH基によって置換されたにブテニルである。場合により前記アルケニル基は、trans(E)またはcis(Z)イソ型であることができ、より好ましくはtrans(E)イソ型である。最も好ましい実施態様では、アルキレニル基は(E)−4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブテニルである。その他の好ましい実施態様では、アルキレニル基はイソペンテニル、ジメチルアリルまたはヒドロキシジメチルアリルである。
【0124】
追加的実施態様では、炭化水素基はアシルによって置換されたアルキル基である。より好ましくは炭化水素基は、(C1〜C3)アシルによって置換された(C4〜C7)アルキル基である。
【0125】
さらに好ましい実施態様では、Rは、次からなる群から選択される。
【化7】
式中、nは2〜20の整数であり、R1は(C1〜C3)アルキル基であり、R2はハロゲン化(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)アルコキシ−(C1〜C3)アルキル、ハロゲン化(C2〜C3)アシルまたは(C1〜C3)アルコキシ−(C2〜C3)アシルである。好ましくはR1はメチルまたはエチル基であり、R2はハロゲン化メチル(−CH2−X、Xはハロゲンである)、ハロゲン化(C2〜C3)アセチル、または(C1〜C3)アルコキシ−アセチルである。ハロゲン化メチルまたはアセチルは、モノ−、ジ−、またはトリ−ハロゲン化されていることができる。好ましくはnは2〜10、または2〜5の整数である。より好ましい実施態様では、nは2である。最も好ましい実施態様では、nは2であり、R1はメチルであり、R2はハロゲン化メチル、より好ましくはモノハロゲン化メチル、なおもより好ましくは臭化メチルである。特に好ましい実施態様では、nは2であり、R1はメチルであり、R2は臭化メチルである。最も好ましい実施態様では、Rは3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イルである。
【0126】
【化8】
式中、nは2〜20の整数であり、R1はメチルまたはエチル基である。好ましくはnは2〜10、または2〜5の整数である。より好ましい実施態様では、nは2であり、R1はメチルである。
【0127】
【化9】
式中、R3、R4、およびR5は、同一であるかまたは異なり、水素または(C1〜C3)アルキル基であり、Wは−CH−または−N−であり、R6は(C2〜C3)アシル、アルデヒド、(C1〜C3)アルコール、または(C2〜C3)エステルである。より好ましくはR3およびR5はメチルであり、R4は水素である。より好ましくはR6は−CH2−OH、−CHO、−CO−CH3または−CO−OCH3である。場合によりWとCの間の二重結合は、trans(E)またはcis(Z)配座である。より好ましくはWとCの間の二重結合はtrans(E)配座である。
【0128】
Y基は、プロドラッグのデザインを可能にできるようにする。したがってYは、対象の特定領域で切断できる酵素不安定基である。Y基はまた、標的基であることもできる。好ましい実施態様では、YはO−Cat+、−A−R基、またはヌクレオシド、単糖類、エポキシドおよびハロヒドリンからなる群から選択される遊離基である。好ましくはYは、酵素不安定基である。好ましくはYはO−Cat+、−A−R基、またはヌクレオシドである。第1の好ましい実施態様では、YはO−Cat+である。第2の好ましい実施態様では、Yはヌクレオシドである。
【0129】
好ましい実施態様では、Cat+はH+、Na+、NH4+、K+、Li+、(CH3CH2)3NH+である。
【0130】
好ましい実施態様では、AはO、CHF、CF2またはCH2である。より好ましくはAはOまたはCH2である。
【0131】
好ましい実施態様では、BはOまたはNHである。より好ましくはBはOである。
【0132】
好ましい実施態様では、mは1または2である。より好ましくはmは1である。
【0133】
特定の一実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(II)、
【化10】
(式中、
Xは、ハロゲン(好ましくはI、Br、およびClから選択される)であり、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、R1はメチルまたはエチル基であり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、nは2〜20の整数であり、AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+、ヌクレオシド、または遊離基−A−R(式中、Rは1)、2)または3)の群から選択される)であり、好ましくはYはO−Cat+、またはヌクレオシドである)
の化合物を含んでなる。より好ましくはYはO−Cat+である。好ましくはR1はメチルである。好ましくはAはOまたはCH2である。より好ましくはAはOである。好ましくはnは2である。好ましくはXは臭化物である。好ましくはBはOである。好ましくはmは1または2である。より好ましくはmは1である。
【0134】
例えば合成γδT細胞活性化物質は、式(III)または(IV)、
【化11】
(式中、
X、R1、n、m、およびYは前述の意味を有する)
の化合物を含んでなる。
【0135】
好ましい一実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(V)、
【化12】
(式中、
Xはハロゲン(好ましくはI、Br、およびClから選択される)であり、R1はメチルまたはエチル基であり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、nは2〜20の整数である)
の化合物を含んでなる。好ましくはR1はメチルである。好ましくはnは2である。好ましくはXは臭化物である。
【0136】
最も好ましい実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(VI)、
【化13】
(式中、
好ましくはx Cat+は1または2Na+である)
の化合物(ホスホスチム(Phosphostim)とも称される)を含んでなる。
【0137】
別の最も好ましい実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(VII)、
【化14】
(式中、
好ましくはxCat+は1または2Na+である)
の化合物を含んでなる。
【0138】
別の最も好ましい実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式、
【化15】
(式中、
好ましくはx Cat+は1または2Na+である)
の化合物を含んでなる。
【0139】
特定の一実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(VIII)、
【化16】
(式中、
R1はメチルまたはエチル基であり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、nは2〜20の整数であり、AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+、ヌクレオシド、または遊離基−A−R(式中、Rは1)、2)または3)の群から選択される)である)
の化合物を含んでなる。好ましくはYはO−Cat+、またはヌクレオシドである。より好ましくはYはO−Cat+である。好ましくはR1はメチルである。好ましくはAはOまたはCH2である。より好ましくはAはOである。好ましくはnは2である。好ましくはBはOである。好ましくはmは1または2である。より好ましくはmは1である。
【0140】
例えば合成γδT細胞活性化物質は、式(IX)または(X)、
【化17】
(式中、
R1、n、m、およびYは前述の意味を有する)
の化合物を含んでなる。
【0141】
好ましい一実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(XI)、
【化18】
(式中、
R1はメチルまたはエチル基であり、CAT+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、およびnは2〜20の整数である)
の化合物を含んでなる。好ましくはR1はメチルである。好ましくはnは2である。
【0142】
最も好ましい実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(XI)、
【化19】
の化合物を含んでなる。好ましくはx Cat+は1または2Na+である。
【0143】
特定の一実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(XII)、
【化20】
(式中、
R3、R4、およびR5は同一であるかまたは異なり、水素または(C1〜C3)アルキル基であり、Wは−CH−または−N−であり、R6は(C2〜C3)アシル、アルデヒド、(C1〜C3)アルコール、または(C2〜C3)エステルであり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+、ヌクレオシド、または遊離基−A−R(式中、Rは1)、2)または3)の群から選択される)である)
の化合物を含んでなる。好ましくはYはO−Cat+、またはヌクレオシドである。より好ましくはYはO−Cat+である。好ましくはAはOまたはCH2である。より好ましくはAはOである。より好ましくはR3およびR5はメチルであり、R4は水素である。より好ましくはR6は−CH2−OH、−CHO、−CO−CH3または−CO−OCH3である。好ましくはBはOである。好ましくはmは1または2である。より好ましくはmは1である。場合によりWとCの間の二重結合はtrans(E)またはcis(Z)配座である。より好ましくはWとCの間の二重結合はtrans(E)配座である。
【0144】
例えば合成γδT細胞活性化物質は、式(XIII)または(XIV)、
【化21】
(式中、
R3、R4、R5、R6、W、m、およびYは、上述の意味を有する)
の化合物を含んでなる。好ましくはWは−CH−である。好ましくはR3およびR4は水素である。好ましくはR5はメチルである。好ましくはR6は−CH2−OHである。
【0145】
最も好ましい実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(XV)、
【化22】
の化合物を含んでなる。
【0146】
別の最も好ましい実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(XVI)、
【化23】
の化合物を含んでなる。
【0147】
別の最も好ましい実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式、
【化24】
の化合物を含んでなる。
【0148】
別の例では、ホスホ抗原は、式、
【化25】
(式中、
R3、R4、R5、R6、およびAは前述の意味を有し、R7は水素原子または(C1〜C3)アルキル基を表し、
好ましくはR3、R4、およびR6は水素である)
の化合物を含んでなる。好ましくはR7はメチルである。好ましくはR5は−CH2−OHである。好ましくはAはCH2、NHまたはOである。
【0149】
好ましい実施態様では、ホスホ抗原は、式、
【化26】
の化合物を含んでなる。
【0150】
これらの化合物は、その開示を参照によって本明細書に援用する、国際公開第00/12516号パンフレット、国際公開第00/12519号パンフレット、国際公開第03/050128号パンフレット、および国際公開第03/009855号パンフレットにおいてそのいくつかが開示されている、それ自体当該技術分野で公知の様々な技術に従って生成されてもよい。
【0151】
最も好ましい実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、HDMAPP、CHDMAPP、Epox−PP、BrHPP、およびCBrHPP、より好ましくはHDMAPP、CHDMAPP、BrHPP、およびCBrHPP、なおもより好ましくはHDMAPPからなる群から選択される。
【0152】
代案としては、効率性に劣るが、本発明で使用するためのその他の活性化物質は、国際公開第95/20673号パンフレットで開示されているホスホ抗原、イソペンテニルピロリン酸(IPP)などのアルケニルピロリン酸(米国特許第5,639,653号明細書)、および3−メチルブテ−3−エニルピロホスホン酸(C−IPP)である。双方の参考文献の開示は、参照によって本明細書に援用する。関係のあるその他の化合物としては、欧州特許第1153928号明細書中の2−メチル−3−ブテニル−1−ピロリン酸塩およびその他の化合物が挙げられる。
【0153】
特にγδT細胞活性化物質はHDMAPP、C−HDMAPPまたはN−HDMAPPであることができる。
【0154】
化合物の具体例としてはまた、(E)1−ピロホスホノブタ−1,3−ジエン;(E)1−ピロホスホノペンタ−1,3−ジエン;(E)1−ピロホスホノ−4−メチルペンタ−1,3−ジエン;(E,E)1−ピロホスホノ−4,8−ジメチルノナ−1,3,7−トリエン;(E,E,E)1−ピロホスホノ−4,8,12−トリメチルトリデカ−1,3,7,11−テトラエン;(E,E)1−トリホスホノ−4,8−ジメチルノナ−1,3,7−トリエン;4−トリホスホノ−2−メチルブテン;α,β−ジ−[3−メチルペンテ−3−エニル]−ピロホスホン酸;1−ピロホスホノ−3−メチルブテ−2−エン;α,γ−ジ−[3−メチルブテ−2−エニル]−トリホスホン酸;α,β−ジ−[3−メチルブテ−2−エニル]−ピロホスホン酸;アリル−ピロホスホン酸;アリル−トリホスホン酸;α,γ−ジ−アリル−ピロホスホン酸;α,β−ジ−アリル−トリホスホン酸;(E,E)4−[(5’−ピロホスホノ−6’−メチル−ペンタ−2’,4’−ジエニルオキシメチル)−フェニル]−フェニル−メタノン;(E,E)4−[(5’−トリホスホノ−6’−メチル−ペンタ−2’,4’−ジエニルオキシメチル)−フェニル]−フェニル−メタノン;(E,E,E)[4−(9’−ピロホスホノ−2’,6’−ジメチル−ノナ−2’,6’,8’−トリエニルオキシメチル)−フェニル]−フェニル−メタノン;(E,E,E)[4−(9’−ピロホスホノ−2’,6’,8’−トリメチル−ノナ−2’,6’,8’−トリエニルオキシメチル)−フェニル]−フェニル−メタノン;5−ピロホスホノ−2−メチルペンテン;5−トリホスホノ−2−メチルペンテン;α,γ−ジ−[4−メチルペンテ−4−エニル]−トリホスホン酸;5−ピロホスホノ−2−メチルペンテ−2−エン;5−トリホスホノ−2−メチルペンテ−2−エン;9−ピロホスホノ−2,6−ジメチルノナ−2,6−ジエン;9−トリホスホノ−2,6−ジメチルノナ−2,6−ジエン;α,γ−ジ−[4,8−ジメチルノナ−2,6−ジエニル]−トリホスホン酸;4−ピロホスホノ−2−メチルブテン;4−メチル−2−オキサ−ペンテ−4−エニルオキシメチルピロリン酸;4−メチル−2−オキサ−ペンテ−4−エニルオキシメチル三リン酸;α,β−ジ−[4−メチル−2−オキサ−ペンテ−4−エニルオキシメチル]−ピロリン酸;およびα,γ−ジ−[4−メチル−2−オキサ−ペンテ−4−エニルオキシメチル]−三リン酸も挙げられる。
【0155】
その他の特定の実施態様では、ホスホ抗原は、3−(ハロメチル)−3−ブタノール−1−イル−二リン酸;3−(ハロメチル)−3−ペンタノール−1−イル−二リン酸;4−(ハロメチル)−4−ペンタノール−1−イル−二リン酸;4−(ハロメチル)−4−ヘキサノール−1−イル−二リン酸;5−(ハロメチル)−5−ヘキサノール−1−イル−二リン酸;5−(ハロメチル)−5−ヘプタノール−1−イル−二リン酸;6−(ハロメチル)−6−ヘプタノール−1−イル−二リン酸;6−(ハロメチル)−6−オクタノール−1−イル−二リン酸;7−(ハロメチル)−7−オクタノール−1−イル−二リン酸;7−(ハロメチル)−7−ノナノール−1−イル−二リン酸;8−(ハロメチル)−8−ノナノール−1−イル−二リン酸;8−(ハロメチル)−8−デカノール−1−イル−二リン酸;9−(ハロメチル)−9−デカノール−1−イル−二リン酸;9−(ハロメチル)−9−ウンデカノール−1−イル−二リン酸;10−(ハロメチル)−10−ウンデカノール−1−イル−二リン酸;10−(ハロメチル)−10−ドデカノール−1−イル−二リン酸;11−(ハロメチル)−11−ドデカノール−1−イル−二リン酸;11−(ハロメチル)−11−トリデカノール−1−イル−二リン酸;12−(ハロメチル)−12−トリデカノール−1−イル−二リン酸;12−(ハロメチル)−12−テトラデカノール−1−イル−二リン酸;13−(ハロメチル)−13−テトラデカノール−1−イル−二リン酸;13−(ハロメチル)−13−ペンタデカノール−1−イル−二リン酸;14−(ハロメチル)−14−ペンタデカノール−1−イル−二リン酸;14−(ハロメチル)−14−ヘキサデカノール−1−イル−二リン酸;15−(ハロメチル)−15−ヘキサデカノール−1−イル−二リン酸;15−(ハロメチル)−15−ヘプタデカノール−1−イル−二リン酸;16−(ハロメチル)−16−ヘプタデカノール−1−イル−二リン酸;16−(ハロメチル)−16−オクタデカノール−1−イル−二リン酸;17−(ハロメチル)−17−オクタデカノール−1−イル−二リン酸;17−(ハロメチル)−17−ノナデカノール−1−イル−二リン酸;18−(ハロメチル)−18−ノナデカノール−1−イル−二リン酸;18−(ハロメチル)−18−エイコサノール−1−イル−二リン酸;19−(ハロメチル)−19−エイコサノール−1−イル−二リン酸;19−(ハロメチル)−19−ヘンエイコサノール−1−イル−二リン酸;20−(ハロメチル)−20−ヘンエイコサノール−1−イル−二リン酸;20−(ハロメチル)−20−ドコサノール−1−イル−二リン酸;21−(ハロメチル)−21−ドコサノール−1−イル−二リン酸;および21−(ハロメチル)−21−トリコサノール−1−イル−二リン酸からなる群から選択できる。
【0156】
より詳しくは、ホスホ抗原は、3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル−二リン酸(BrHPP);5−ブロモ−4−ヒドロキシ−4−メチルペンチルピロホスホン酸(CBrHPP);3−(ヨードメチル)−3−ブタノール−1−イル−二リン酸(IHPP);3−(クロロメチル)−3−ブタノール−1−イル−二リン酸(ClHPP);3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル−三リン酸(BrHPPP);3−(ヨードメチル)−3−ブタノール−1−イル−三リン酸(IHPPP);α,γ−ジ−[3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル]−三リン酸(diBrHTP);およびα,γ−ジ−[3−(ヨードメチル)−3−ブタノール−1−イル]−三リン酸(diIHTP)からなる群から選択できる。
【0157】
別の特定の実施態様では、ホスホ抗原は、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−二リン酸(Epox−PP);3,4,−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−三リン酸(Epox−PPP);α,γ−ジ−3,4,−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−三リン酸(ジ−Epox−TP);3,4−エポキシ−3−エチル−1−ブチル−二リン酸;4,5−エポキシ−4−メチル−1−ペンチル−二リン酸;4,5−エポキシ−4−エチル−1−ペンチル−二リン酸;5,6−エポキシ−5−メチル−1−ヘキシル−二リン酸;5,6−エポキシ−5−エチル−1−ヘキシル−二リン酸;6,7−エポキシ−6−メチル−1−ヘプチル−二リン酸;6,7−エポキシ−6−エチル−1−ヘプチル−二リン酸;7,8−エポキシ−7−メチル−1−オクチル−二リン酸;7,8−エポキシ−7−エチル−1−オクチル−二リン酸;8,9−エポキシ−8−メチル−1−ノニル−二リン酸;8,9−エポキシ−8−エチル−1−ノニル−二リン酸;9,10−エポキシ−9−メチル−1−デシル−二リン酸;9,10−エポキシ−9−エチル−1−デシル−二リン酸;10,11−エポキシ−10−メチル−1−ウンデシル−二リン酸;10,11−エポキシ−10−エチル−1−ウンデシル−二リン酸;11,12−エポキシ−11−メチル−1−ドデシル−二リン酸;11,12−エポキシ−11−エチル−1−ドデシル−二リン酸;12,13−エポキシ−12−メチル−1−トリデシル−二リン酸;12,13−エポキシ−12−エチル−1−トリデシル−二リン酸;13,14−エポキシ−13−メチル−1−テトラデシル−二リン酸;13,14−エポキシ−13−エチル−1−テトラデシル−二リン酸;14,15−エポキシ−14−メチル−1−ペンタデシル−二リン酸;14,15−エポキシ−14−エチル−1−ペンタデシル−二リン酸;15,16−エポキシ−15−メチル−1−ヘキサデシル−二リン酸;15,16−エポキシ−15−エチル−1−ヘキサデシル−二リン酸;16,17−エポキシ−16−メチル−1−ヘプタデシル−二リン酸;16,17−エポキシ−16−エチル−1−ヘプタデシル−二リン酸;17,18−エポキシ−17−メチル−1−オクタデシル−二リン酸;17,18−エポキシ−17−エチル−1−オクタデシル−二リン酸;18,19−エポキシ−18−メチル−1−ノナデシル−二リン酸;18,19−エポキシ−18−エチル−1−ノナデシル−二リン酸;19,20−エポキシ−19−メチル−1−エイコシル−二リン酸;19,20−エポキシ−19−エチル−1−エイコシル−二リン酸;20,21−エポキシ−20−メチル−1−ヘンエイコシル−二リン酸;20,21−エポキシ−20−エチル−1−ヘンエイコシル−二リン酸;21,22−エポキシ−21−メチル−1−ドコシル−二リン酸;および21,22−エポキシ−21−エチル−1−ドコシル−二リン酸からなる群から選択されることができる。
【0158】
さらなる特定の実施態様では、ホスホ抗原は、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−二リン酸(Epox−PP);3,4,−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−三リン酸(Epox−PPP);α,γ−ジ−3,4,−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−三リン酸(ジ−Epox−TP);およびウリジン5’−三リン酸−(3,4−エポキシメチルブチル)(Epox−UTP)からなる群から選択されることができる。
【0159】
別の好ましい実施態様では、ホスホ抗原は(E)−4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブテニルピロリン酸(HDMAPP)および(E)−5−ヒドロキシ−4−メチルペンテ−3−エニルピロホスホン酸(CHDMAPP)からなる群から選択されることができる。
【0160】
これらの化合物は、その開示を参照によって本明細書に援用する国際公開第00/12516号パンフレット、国際公開第00/12519号パンフレット、国際公開第03/050128号パンフレット、国際公開第02/083720号パンフレット、および国際公開第03/009855号パンフレットにおいてそのいくつかが開示されている、それ自体当該技術分野で公知の様々な技術に従って生成されてもよい。
【0161】
好ましい一実施態様では、ホスホ抗原はγδT細胞活性化物質であり、その化学式および特異的構造ならびに合成方法の開示を参照によって本明細書に援用する、国際公開第00/12516号パンフレット、国際公開第00/12519号パンフレット、国際公開第03/050128号パンフレット、国際公開第02/083720号パンフレット、国際公開第03/009855号パンフレット、および国際公開第05/054258号パンフレットのいずれかで述べられている化合物である。別の好ましい実施態様では、ホスホ抗原はγδT細胞活性化物質であり、HDMAPP、CHDMAPP、NHDMAPP、H−アンジェリル(angelyl)PP、Epox−PP、BrHPP、およびCBrHPPからなる群から選択される化合物である。
【0162】
さらなる実施態様では、本発明および特に結晶相を作成する方法は、ここで具体的に言及されるものと構造的に関連した化合物と共に使用するのに適するものと理解される。好ましい実施態様では、本発明はヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体または誘導体またはヌクレオチド様化合物ならびにビスホスホン酸化合物もまた包含する。
【0163】
γδT細胞活性化物質はまた、アミノホスホン酸、好ましくは式XVII、
【化27】
(式中、
R’は直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和の、C1〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基はアミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、およびその組み合わせからなる群から選択される1つまたはいくつかの置換基によって置換されているアルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含んでなる)
のアミノホスホン酸であることもできる。
【0164】
好ましい実施態様では、式XVIIのR’は直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和、C1〜C10炭化水素基であり、それはアミン、アミノ基、ピリジン基、ピリミジン基、ピロール基、イミダゾール基、ピラゾール基、トリアゾール基によって置換される。
【0165】
なおもより好ましい実施態様では、式XVIIのR’は、
【化28】
からなる群から選択される。
【0166】
好ましくはビスホスホン酸タイプの化合物は、以下の化合物からなる群または薬学的に許容可能なその塩、またはあらゆるその水和物から選択される。例えばパミドロネート(APD)などの3−アミノ−1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸(パミドロン酸);例えばジメチル−APDなどの3−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸;例えばアレンドロネートなどの4−アミノ−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジホスホン酸(アレンドロン酸);例えばエチドロネートなどの1−ヒドロキシ−エチリデン−ビスホスホン酸;例えばイバンドロネートなどの1−ヒドロキシ−3−(メチルペンチルアミノ)−プロピリデン−ビスホスホン酸、イバンドロン酸;例えばアミノ−ヘキシル−BPなどの6−アミノ−1−ヒドロキシヘキサン−1,1−ジホスホン酸;例えばメチル−ペンチル−APD(=BM21.0955)などの3−(N−メチル−N−ペンチルアミノ)−1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸;1−ヒドロキシ−2−(イミダソール−1イル)エタン−1,1−ジホスホン酸;例えばNE−10244またはNE−10446、3−[N−(2−フェニルチオエチル)−N−メチルアミノ]−1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸などのヨウ化ピリジニウムN−メチルなどの、そのN−メチルピリジニウム塩を含むリセドロネートなどの1−ヒドロキシ−2−(3−ピリジニル)エタン−1,1−ジホスホン酸(リセドロン酸);例えばEB 1053(レオ(Leo))などの1−ヒドロキシ−3−(ピロリジン−1−イル)プロパン−1,1−ジホスホン酸;例えばFR 78844(フジサワ(fuzisawa))などの1−(N−フェニルアミノチオカルボニル)メタン−1,1−ジホスホン酸;例えばU−81581(アップジョン(Upjohn))などの5−ベンゾイル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラゾール−3,3−ジホスホン酸テトラエチルエステル;例えばYM529などの1−ヒドロキシ−2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル)エタン−1,1−ジホスホン酸;および例えばクロドロネートなどの1,1−ジクロロメタン−1,1−ジホスホン酸(クロドロン酸)。好ましくはビスホスホン酸は、γδT細胞の活性化をもたらす化合物である。
【0167】
特にγδT細胞活性化物質は、パミドロネート、アレンドロネート、イバンドロネート、リセドロネート、およびゾレドロネートからなる群から選択されることができる。
【0168】
本発明のさらなる態様および利点は、例証的なものと見なされ、本明細書の範囲を制限するものではない以下の実験の項で開示される。
【0169】
好ましくは治療のための式I〜XVIIのγδT細胞活性化物質化合物の投薬量(単一投与)は、約1μg/kg〜約1.2g/kgの間である。上の投薬量は、一群の化合物にかかわり、本明細書で例示的な化合物についてさらに述べられているように、各特定化合物では最適用量が変動してもよいものと理解される。それにもかかわらず化合物は、好ましくは対象においてγδT細胞の生物学的活性を顕著に増大させ、またはγδT細胞集団数を顕著に増大させるのに十分な用量で投与される。前記用量は好ましくは静脈内(i.v.)投与によって、2〜180分間、好ましくは2〜120分間、より好ましくは約5〜約60分間、または最も好ましくは約30分間または約60分間かけてヒトに投与される。好ましい例示的な化合物では、式I〜XVIIの化合物は、約0.1mg/kg〜約1.2g/kgの間、好ましくは約10mg/kg〜約1.2g/kgの間、より好ましくは約5mg/kg〜約100mg/kgの間、なおもより好ましくは約5μg/kg〜60mg/kgの間の投薬量(単一投与)で投与される。
【実施例】
【0170】
1.生体外有効性結果
細胞溶解活性アッセイ
第1の実験は、腫瘍細胞死滅のアセスメントからなる。標準細胞毒性アッセイ(4時間51Cr放出)で測定されるいくつかの腫瘍細胞系に対する溶解能力について、健康な供与者からの末梢性Vγ9δ2T細胞を試験した。腫瘍細胞系は51Crで同位体標識した。51Crの放出を共培養の4時間後に判定した。標準式[(実験的放出−自然放出/総放出−自然放出)×100]を使用して、非溶解(百分率で表わされる)を計算する。
【0171】
3つの実験条件を使用して、腫瘍細胞死滅を比較した。
−腫瘍細胞系+異なる濃度(100、50、および10μg/ml)の治療用抗体(リツキシマブまたはカンパス(Campath))、
−腫瘍細胞系+異なる細胞比(30:1、10:1、1:1)のホスホ抗原(phosphantigen)による活性化γδT細胞(BrHPP100nM、HDMAPP20nMまたはC−HDMAPP20nM)、
−腫瘍細胞系+異なる細胞比(30:1、10:1、1:1)のホスホ抗原(phosphantigen)による活性化γδT細胞(BrHPP100nM、HDMAPP20nMまたはC−HDMAPP20nM)+10μg/mlの治療用抗体(リツキシマブまたはカンパス(Campath))。ホスホ抗原γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)プラス抗Her2Neuハーセプチン(Herceptin)は、Her2Neu乳癌細胞を代表するHer2Neu癌腫細胞の死滅を増大させる(細胞系FKBR3を参照されたい)。
【0172】
実験を少なくとも三連で実施した。(*)および(**)は、それぞれ高度に有意な<1/100および<1/1000を意味する
【0173】
試験された腫瘍細胞系は次のとおり。NCBE、GRANTA、RL、Karpas−422、RAJI、DAUDI、およびEs−Moult。試験された細胞系を図1〜7に示す。
【0174】
C−HDMAPP(Pico)での結果を図1〜7に示す。同一結果がBrHPPおよびHDMAPPで観察された。
【0175】
2つの異なる治療用抗体について、治療用抗体とγδT細胞活性化物質の併用による腫瘍細胞死滅が、より高いことが観察された。したがって治療用抗体およびγδT細胞活性化物質は、腫瘍細胞の死滅に対して相乗効果を有する。
【0176】
細胞溶解性細胞判定アッセイ
第2の実験は、Vγ9δ2T細胞の細胞毒性能力のアセスメントからなる。前述したように、腫瘍細胞系をγδT細胞(治療用抗体単独10μg/ml、ホスホ抗原による活性化Vγ9δ2T細胞単独、または双方)と共に同時培養した。実験は、細胞毒性活性を有するVγ9δ2T細胞の数を判定した。細胞毒性能力を有するVγ9δ2T細胞は、溶解を被りやすい標的細胞と接触した後に、それらの表面にCD107aを発現することが知られている。CD107a+細胞は、フローサイトメトリーによって測定した。
【0177】
試験された腫瘍細胞系は次のとおり。NCBE、RL、Karpas−422、RAJI、DAUDI、GRANTA、FKBR3、およびEs−Moult。試験された細胞系を図8〜14に示す。
【0178】
C−HDMAPPでの結果を図8〜14に示す。同一結果がBrHPPおよびHDMAPPで観察された。
【0179】
2つの異なる治療用抗体について、治療用抗体とγδT細胞活性化物質の併用療法に続いて細胞毒性Vγ9δ2T細胞の数が増大することが観察された。
【0180】
2.霊長類における臨床前データ
GLP研究において、8匹の目的に合わせて繁殖されたカニクイザル(Macaca fascicularis)をリツキシマブおよびBrHPPで処置した。6匹の動物にリツキシマブおよびBrHPPの組み合わせを投与した。2匹からなる対照群はリツキシマブ単独(BrHPPなし)で処置した。
【0181】
カニクイザル(3匹/性別)に、5mg/kgのリツキシマブの4週間の静脈内注射(5mL/kg、30分または1時間輸液)、3週間間隔で3回の90mg/kgのBrHPP静脈内注射(15mL/kg、30分間の輸液)を行い、BrHPPの1回目の投与は2回目のリツキシマブ注射と同日であり、BrHPP投与の日から始めて連続5日間、皮下IL−2(100万IU、400万IU/m2当量、450μL用量容積)と共に投与した。
【0182】
対照動物(1匹/性別)に、BrHPPおよびIL−2の代わりのビヒクル注射と共に、5mg/kgのリツキシマブの4週間の静脈点滴を行った。
【0183】
研究全体を通じて不耐性または急性毒性の持続性徴候はなく、併用療法は安全と見なされる。
【0184】
初期サイトカイン放出投薬量に基づいて(リツキシマブまたはBrHPPの各投与の4時間以内)、炎症促進性サイトカインの明らかな過剰誘導はないように見える。サイトカインプロフィールは、各化合物の単独投与後に予期されるものと全く同じであり、生成レベルは矛盾しない。
【0185】
血液リンパ球集団の免疫モニタリングは、リツキシマブ処置動物においてBrHPPにより、生体内でγδTリンパ球が有効にかつ繰り返し増幅できることを確認し、応答レベルおよび動態は一般にBrHPP単独で観察されるのと少なくとも同様である(図15、右パネル:併用処置動物は黒色、対照は灰色)。
【0186】
さらにBrHPP+リツキシマブ処置動物では、B細胞枯渇がリツキシマブ単独で処置された動物よりも迅速で有効かつ相当高い。さらに血液中のB細胞の再構成は、リツキシマブ単独処置動物より、BrHPP+リツキシマブ処置動物でより遅い(図15、左パネル:併用処置動物は黒色、対照は灰色)。
【0187】
これらの全ての観察は、リツキシマブおよびBrHPPの併用が、リツキシマブ単独よりもBリンパ腫枯渇のためにより有効であり、B細胞集団の再構成を遅延させ、それによって生体内B細胞枯渇療法の有効性を改善することを確認する。
【0188】
結論
BHPPとリツキシマブの相互作用は薬理学的に有益なようであり(B細胞枯渇)、単独療法の各化合物と比較して効果が改善される。さらにサルに臨床投与計画を適用しても、特に併用療法に起因するサイトカイン放出の劇的な増大の徴候である毒性の主な徴候は生じなかった。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に治療用抗体の効率を増大させるための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトにおける様々な治療的戦略は、治療用抗体の使用に基づいている。これらとしては、例えば特にウイルス感染細胞、腫瘍細胞またはその他の病原細胞などの病的細胞である、標的細胞を除去するように開発された治療用抗体の使用が挙げられる。このような抗体は、典型的にIgG種のモノクローナル抗体であり、典型的にヒトIgG1またはIgG3のFc部分がある。これらの抗体は天然または組み換え抗体であることができ、「ヒト化」マウス抗体であることが多い(すなわち典型的にヒトまたは非ヒト霊長類起源のFc部分である様々な種からの機能ドメインを含んでなり、マウス起源の可変部または相補性決定領域(CDR)がある)。代案としてはモノクローナル抗体は、ヒトIg遺伝子座を有する遺伝子導入マウスにおける免疫化を通じて完全にヒト抗体であることができ、またはヒト細胞に由来するcDNAライブラリーを通じて得られる。
【0003】
このような治療用抗体の特定例は、CD20特異性を与えるマウスの可変領域と結合しているヒトγ1およびκ定常部からできている(したがってヒトIgG1 Fc部分がある)キメラ抗CD20モノクローナル抗体である、リツキシマブ(Mabthera(登録商標)、Rituxan(登録商標))である。過去数年間にリツキシマブは、Bリンパ球増殖性悪性腫瘍、特に非ホジキンリンパ腫(NHL)に対する治療戦略を大幅に変更した。その他のヒト化IgG1抗体の例としては、B細胞悪性腫瘍の治療で使用されるアレムツズマブ(Campath−1H(登録商標))、および乳癌の治療で使用されるトラスツズマブ(Herceptin(登録商標))が挙げられる。開発中の治療用抗体の追加的な例は、当該技術分野で開示されている。
【0004】
治療用抗体の作用機序は、なおも論議を呼ぶ問題である。抗体の注射は、抗体によって特異的に認識される抗原を持つ細胞の枯渇をもたらす。この枯渇は、少なくとも次の3つの機序を通じて媒介され得る。抗体媒介性細胞傷害活性(ADCC)、補体依存性溶解、および抗体により標的とされる抗原を通じて送られるシグナルを通じた、腫瘍増殖の直接的抗腫瘍阻害。
【0005】
これらの抗体が、特に腫瘍治療のためのヒト治療法に対する新しく有効なアプローチを代表する一方で、それらは常に強力な有効性を示すとは限らない。例えばリツキシマブは単独で、または化学療法と併用して、低〜中悪性度のNHLと高悪性度NHLの双方の治療において効果的であることが示されているが、低悪性度NHLがある患者の30%〜50%は、リツキシマブに対して臨床反応が全くない。リンパ腫細胞上のCD20発現レベル、治療時点における高い腫瘍量の存在、または低血清リツキシマブ濃度が、一部の患者におけるリツキシマブの有効性の欠如を説明するかもしれないことが、提案されている。それにもかかわらず治療の失敗の実際の原因は、ほとんど未知のままである。
【0006】
さらに治療用抗体の使用は、それらの投与によって引き起こされる副作用によって制限されうる。例えば発熱、頭痛、悪心、血圧低下、喘鳴、発疹、感染症など、およびその他多数の副作用が患者に出現することができ、抗体を投与できる可能な量または頻度を潜在的に制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって治療用抗体の有効性を増大させること、または副作用を生じる可能性がより少ない、用量を低減させた抗体を使用して治療的有効性を達成できることは、非常に有利であろう。本発明は、これらおよびその他の要求に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、治療用抗体の有効性を増強する新しいアプローチを開示する。実際、本発明は、治療用抗体の有効性にかかわる現行の困難を克服する新しい組成物および方法、特に標的細胞(例えば腫瘍細胞、感染細胞、炎症媒介細胞など)を除去することが意図されるものを提供する。本発明では、γδT細胞が活性化および/または増殖される際に、個人からのVγ9δ2T細胞が治療的なmAb(モノクローナル抗体)の効率に影響できることが示され、治療用抗体とγδT細胞活性化物質療法との相乗作用が示唆される。γδT細胞活性化物質と治療用抗体とのこのような併用は、治療用抗体を単独で(along)使用して観察されるものよりもより多くの標的細胞溶解物をもたらす。γδT細胞の活性化および/または増殖前に溶解物がほとんどまたは全く観察されなかった場合に、γδT細胞の活性化および/または増殖が、標的細胞溶解物を再び作成できることもまた観察された。
【0009】
したがって本発明は、γδT細胞活性化物質化合物が治療用抗体と同時に対象に投与される、対象を治療する方法を開示する。本発明者らは、溶解、サイトカイン放出などの細胞応答を活性化し、および/またはこれらの細胞の増殖を誘発する、γδT細胞活性化物質、好ましくはホスホ抗原の例えば同時注射などの同時投与によって、治療用抗体の効率が大幅に改善ができることをここで実証する。場合によりホスホ抗原が、サイトカインと併せてさらに投与される。好ましくはサイトカインは、例えばIL−2などのγδT細胞活性化物質と併せて投与すると、γδT細胞の増殖を生じさせることができるあらゆるサイトカインである。
【0010】
本発明は、γδT細胞活性化物質、治療用抗体、および薬学的に許容可能なキャリアを含んでなる医薬組成物に関する。本発明はまた、疾患治療における同時、別個または逐次使用のための併用製剤として、γδT細胞活性化物質と治療用抗体とを含有するキットまたは製品にも関する。
【0011】
本発明はまた、疾患を治療する薬物を調製するためのγδT細胞活性化物質と治療用抗体の使用にも関する。
【0012】
本発明はまた、治療用抗体による治療効率を増大させるためのγδT細胞活性化物質の使用にも関する。特に本発明は、治療的有効量のγδT細胞活性化物質の前に、それと同時に、またはそれに続いて、治療用抗体の投与が対象に投与される、前記対象における前記治療用抗体の投与を伴う、治療効率を増大させる薬物を調製するためのγδT細胞活性化物質の使用に関する。
【0013】
特定の態様では、本発明は、a)γδT細胞活性化物質をそれを必要とするヒト対象に投与するステップと、b)治療用抗体を前記対象に投与するステップとを含んでなる、前記対象において、疾患を治療しまたは細胞を排除する方法を提供する。
【0014】
別の態様では、本発明は、a)細胞を治療用抗体に接触させるステップと、b)前記細胞を活性化γδT細胞に接触させるステップとを含んでなる、細胞を排除する方法を提供する。一態様では本方法は生体外で実施され、排除される細胞は生物学的サンプルである。場合によりステップ(a)は、活性化γδT細胞をサンプルに添加するステップを含んでなり、またはγδT細胞およびγδT細胞活性化物質をサンプルに添加するステップを含んでなる。別の態様では本方法は生体内で実施され、前記排除される細胞は哺乳類対象中にある。場合によりステップ(a)は、活性化γδT細胞を前記対象に投与するステップ、またはγδT細胞活性化物質を前記対象に投与するステップを含んでなる。場合により前記生体内または生体外方法では、前記活性化γδT細胞をサンプルに添加し、または対象へ投与する前に、γδT細胞活性化物質に接触させる。
【0015】
好ましくは治療用抗体は、ウイルス感染細胞、腫瘍細胞、自己免疫障害の原因となる細胞またはその他の病原細胞などの病的細胞を標的とする。それはモノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体、またはその抗原結合断片であってよい。好ましい実施態様では、治療用抗体は抗CD20抗体(例えばリツキシマブ)、および抗HER2/Neu抗体(例えばハーセプチン)および/または抗CD52抗体(例えばカンパス)である。
【0016】
好ましくはγδT細胞活性化物質は、式(I)、
【化1】
(式中、
Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し;
mは1〜3の整数であり;
BはO、NH、または加水分解されうる任意の基であり;
Y=O−Cat+、C1〜C3アルキル基、−A−R基、またはヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、脂肪酸、単純脂質、複合脂質、葉酸、テトラヒドロ葉酸、リン酸、イノシトール、ビタミン、補酵素、フラボノイド、アルデヒド、エポシキド、およびハロヒドリンからなる群から選択される基であり;
AはO、NH、CHF、CF2またはCH2であり;
Rは、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断されていてもよい、直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和の、C1〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基は、アルキル、アルキレニル、アルキニル、エポキシアルキル、アリール、複素環、アルコキシ、アシル、アルコール、カルボン酸基(−COOH)、エステル、アミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、ニトリル、ヒドロキシル(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、ハロゲン、ハロゲノアルキル、チオール(−SH)、チオアルキル、スルホン、スルホキシド、およびその組み合わせからなる群から選択される1つまたはいくつかの置換基によって置換されていてもよい、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含んでなる)
の化合物である。
【0017】
より好ましい実施態様では、γδT細胞活性化物質は、式(II)、
【化2】
(式中、
Xはハロゲン(好ましくはI、Br、およびClから選択される)であり、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、R1はメチルまたはエチル基であり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、nは2〜20の整数であり、AはO、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+である)
の化合物である。
【0018】
特にγδT細胞活性化物質は、BrHPP、C−BrHPPまたはN−BrHPPであることができる。その他のより好ましい実施態様では、γδT細胞活性化物質は、式(XII)、
【化3】
(式中、
R3、R4、およびR5は同一であるかまたは異なり、水素または(C1〜C3)アルキル基であり、Wは−CH−または−N−であり、R6は(C2〜C3)アシル、アルデヒド、(C1〜C3)アルコール、または(C2〜C3)エステルであり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、AはO、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+である)
の化合物である。
【0019】
特にγδT細胞活性化物質は、HDMAPP、C−HDMAPPまたはN−HDMAPPであることができる。
【0020】
好ましくはγδT細胞活性化物質は、式XVII、
【化4】
(式中、
R’は直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和の、C1〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基は、アミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、およびその組み合わせからなる群から選択される1つまたはいくつかの置換基によって置換されている、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含んでなる)
のアミノホスホン酸であることもできる。
【0021】
好ましい実施態様では、式XVIIのR’は、アミン、アミノ基、ピリジン基、ピリミジン基、ピロール基、イミダゾール基、ピラゾール基、トリアゾール基によって置換される、直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和、C1〜C10炭化水素基である。
【0022】
なおもより好ましい実施態様では、式XVIIのR’は、
【化5】
からなる群から選択される。
【0023】
特にγδT細胞活性化物質は、パミドロネート、アレンドロネート、イバンドロネート、リセドロネート、およびゾレドロネートからなる群から選択できる。
【0024】
任意の実施態様の別の態様では、限定されるものではないが、アミノホスホン酸をはじめとするここで列挙されるγδT細胞活性化物質のいずれか1つを除外でき、例えばゾレドロネートを除外できる。
【0025】
特定の実施態様では、疾患は、好ましくはウイルス感染細胞、腫瘍細胞、自己免疫障害の原因となる細胞またはその他の病原細胞などの病的細胞である、標的細胞の枯渇を必要とする。疾患は、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、および感染性(例えば細菌またはウイルス性)疾患からなる群から選択できる。疾患はまた、移植片拒絶、より具体的には同種移植片拒絶、および移植片対宿主病(GVHD)にも関わる。
【0026】
特に本発明の目的は、好ましくはリツキシマブである抗CD20抗体と、γδT細胞活性化物質とによる有効な併用療法を提供することであり、これはBリンパ腫枯渇に対してリツキシマブ単独よりも効果がある。
【0027】
特に、本発明の別の目的は、好ましくはリツキシマブである抗CD20抗体とγδT細胞活性化物質とによる有効な併用療法を提供することであり、これはB細胞集団の再構成を遅延させ、それによって生体内B細胞枯渇療法の有効性を改善する。本発明は、Bリンパ腫の枯渇を改善するためのγδT細胞活性化物質と治療用抗体との併用療法を提供する。別の態様では、本発明は、B細胞集団の再構成を遅延させるためのγδT細胞活性化物質と治療用抗体との併用療法もまた提供する。好ましくは治療用抗体はリツキシマブなどの抗CD20抗体である。
【0028】
抗CD20抗体(例えばリツキシマブ)、抗HER2/Neu抗体(例えばハーセプチン)および/または抗CD52抗体(例えばカンパス)などの治療用抗体は、現在癌治療において一般に使用されており、広範な生物学的機序を含む。治療用抗体剤はほとんどの場合、第一線の治療である。それにもかかわらず、治療用抗体は、全ての患者に対して効果的なわけではなく、状況次第で、患者の大部分は非応答性または抵抗性である。さらにひとたび患者が治療用抗体で治療されると、彼らの腫瘍は「逃避(escape)」するかもしれず、その他の治療法に対してさらに抵抗性になる。したがって治療を改善するために、薬物の組み合わせが活発に模索されている。
【0029】
本発明は、ヒトをはじめとする哺乳類において、癌を治療するのに有用な組成物および方法に関する。本方法および組成物は、典型的に、組成物が癌を治療するのに効果的であるような、治療用抗体とγδT細胞活性化物質との使用を含んでなる。好ましくは本組成物は治療用抗体の効果を増強し、古典的抗体療法からの腫瘍の逃避を防止または遅延させる。
【0030】
本発明はまた、γδT細胞活性化物質の前に治療用抗体を投与するステップを含んでなる、疾患治療のためのγδT細胞活性化物質と治療用抗体との併用の投与計画も提供する。好ましくは治療用抗体は、典型的に3週間前後である数週間の治療サイクルにわたり毎週1回投与され、γδT細胞活性化物質は治療用抗体と併せて投与される。最も好ましくはγδT細胞活性化物質は、治療用抗体の2回目の投与と実質的に同時に投与される。場合によりサイトカインが3〜10日の期間にわたり投与され、1回目のサイトカイン投与はγδT細胞活性化物質投与と同日に行われる。好ましくはサイトカインIL−2およびIL−2は、各γδT細胞活性化物質投与と共に、5日間連続して投与される。
【0031】
しかしこれらの治療用抗体療法は、腫瘍を完全に根絶せず、それらが何とか一定期間、腫瘍の増殖を抑制する一方で、腫瘍はやがて制御を逃れて、次に治療用抗体療法および/またはその他の治療法に抵抗性となる。腫瘍の逃避を防止する手段は、有利であろう。
【0032】
別の態様では、本発明は、哺乳類において、抗体治療法の抗腫瘍効果を増強するため、γδT細胞活性化療法の抗腫瘍効果を増強するため、腫瘍が抗体治療法による制御から逃避するのを防止するため、および/または抗体治療法に対する腫瘍の抵抗性を防止するため、増殖する(例えば腫瘍)細胞を死滅させまたは抑制する方法を包含し、本方法は、哺乳類にγδT細胞活性化化合物と治療用抗体とを併せて投与するステップとを含んでなる。治療用抗体と組み合わせて使用または投与される医薬組成物または薬剤製造のための、γδT細胞活性化物質の使用もまた提供される。このような組成物を含んでなる、関連医薬組成物およびキットもまた包含される。
【0033】
本発明は、腫瘍、特に固形腫瘍の逃避を防止する改善された手段を提供する。したがって本発明の方法は、腫瘍があるヒト患者において生存を延長または改善する方法もまた提供する。本方法はまた、治療用抗体で治療された腫瘍の進行を妨げる手段も提供する。別の実施態様では、本発明は、腫瘍または腫瘍細胞が治療用抗体での治療に対して抵抗性になるのを防止する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)よって活性化されたγδT細胞プラス抗CD20リツキシマブは、マントル細胞リンパ腫を代表するB細胞リンパ腫の死滅を増大させる(細胞系GRANTA、NCEB1を参照されたい)。
【図2】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD20リツキシマブは、濾胞性リンパ腫を代表するB細胞リンパ腫の死滅を増大させる(細胞系RLおよびKARPAS−422を参照されたい)。
【図3】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD20リツキシマブは、バーキットリンパ腫を代表するB細胞リンパ腫の死滅を増大させる(細胞系RajiおよびDAUDIを参照されたい)。
【図4】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD52トラスツズマブ(カンパス(Campath))は、マントル細胞リンパ腫を代表するB細胞リンパ腫の死滅を増大させる(細胞系ES−MOULT、GRANTAを参照されたい)。
【図5】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD52トラスツズマブは、濾胞性リンパ腫を代表するB細胞リンパ腫の死滅を増大させる(細胞系RLを参照されたい)。
【図6】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD52トラスツズマブは、バーキットリンパ腫を代表するB細胞リンパ腫の死滅を増大させる(細胞系RajiおよびDAUDIを参照されたい)。
【図7】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)によって活性化されたγδT細胞プラス抗Her2Neuハーセプチン(Herceptin)は、Her2Neu乳癌細胞を代表するHer2Neu癌腫細胞の死滅を増大させる(細胞系FKBR3を参照されたい)。
【図8】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)(Pico)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD20リツキシマブ(Ritux)は、マントル細胞リンパ腫を代表するB細胞リンパ腫存在下で、γδT細胞による溶解活性マーカーCD107aの表面発現を活性化した(細胞系NCEB1を参照されたい)。
【図9】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)(Pico)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD20リツキシマブ(Ritux)は、濾胞性リンパ腫を代表するB細胞リンパ腫存在下でのγδT細胞による溶解活性マーカーCD107aの表面発現を活性化した(細胞系RL:上のパネル、およびKARPAS−422:下のヒストグラムを参照されたい)。
【図10】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)(Pico)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD20リツキシマブ(Ritux)は、バーキットリンパ腫を代表するB細胞リンパ腫存在下でγδT細胞による溶解活性マーカーCD107aの表面発現を活性化した(細胞系RajiおよびDAUDIを参照されたい)。
【図11】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)(Pico)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD52トラスツズマブは、マントル細胞リンパ腫を代表するB細胞リンパ腫存在下でのγδT細胞による溶解活性マーカーCD107aの表面発現を活性化した(細胞系ES−MOULT、GRANTAを参照されたい)。
【図12】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)(Pico)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD52トラスツズマブは、濾胞性リンパ腫を代表するB細胞リンパ腫存在下でのγδT細胞による溶解活性マーカーCD107aの表面発現を活性化した(細胞系RLを参照されたい)。
【図13】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)(Pico)によって活性化されたγδT細胞プラス抗CD52トラスツズマブは、バーキットリンパ腫を代表するB細胞リンパ腫の死滅を増大させる(細胞系RajiおよびDAUDIを参照されたい)。
【図14】γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)(Pico)によって活性化されたγδT細胞プラス抗Her2Neuハーセプチン(Herceptin)は、Her2Neu乳癌細胞を代表するHer2Neu癌腫細胞の死滅を増大させる(細胞系FKBR3を参照されたい)。
【図15】リツキシマブ単独またはリツキシマブ+BrHPP+IL−2のどちらかについての62日間の治療経過観察中の血中CD20+細胞(左パネル)およびBrHPP−標的γδリンパ球(右パネル)の変化。薄い灰色の線は「リツキシマブ単独」群について、それぞれのCD20+細胞またはγδリンパ球の変化を示す。黒線は「リツキシマブ+BrHPP+IL−2」群について、それぞれのCD20+細胞またはγδリンパ球の変化を示す。(x軸:日数/y軸:血中リンパ球の対応集団の%)。
【発明を実施するための形態】
【0035】
「を含んでなる」を使用する場合、これは好ましくは「から本質的になる」、より好ましくは「からなる」によって置換できる。
【0036】
明細書中の用法では、「a」または「an」は、1つ以上を意味してもよい。特許請求の範囲中での使用では、「を含んでなる」という語と併せて使用する場合、単数冠詞「a」または「an」は、1つまたは1つ以上を意味する。本明細書での用法では、「別の」とは、少なくとも2つめまたはそれ以上を意味してもよい。
【0037】
上記および下記において、数値を使用する場合、それらは上限および下限を表す数を含むことが意図される。例えば「1〜3の間」は「1以上3以下」の範囲を表し、「1〜3の範囲内」は「1以上3以下」を表す。数値(例えば3)の代わりに数を表す単語(例えば「三(three)」)を使用する場合も同じである。
【0038】
「毎週」とは、「週に約1回」(約1週間の治療間隔で1回を超える治療が行われることを意味する)を表し、約とはここで好ましくは±1日(すなわち結果的に「6〜8日毎」)を意味し、最も好ましくは「毎週」は「7日毎に1回」を表す。
【0039】
「3週間毎」または「三週間毎」は、「3週間に約1回」(約3週間の治療間隔で1回を超える治療が行われることを意味する)を表し、約とはここで好ましくは±3日(すなわち結果的に「18〜24日毎」)を意味し、最も好ましくは「毎週」は「21日毎に1回」(3週間おき)を表す。
【0040】
「約」または「およそ」という用語は、通常、所与の値または範囲の20%以内、より好ましくは10%以内、およびなおも最も好ましくは5%以内を意味する。代案としては特に生体系では(例えば免疫反応を測定する場合)、「約」という用語は、約1対数以内(すなわち一桁分)、好ましくは所与の値の2倍以内を意味する。
【0041】
本明細書での用法では、「併せた」、「組み合わせた」または「併用療法」という用語は同義的に使用され、2つ以上の治療薬が同一疾患の治療または予防に影響する状況を指す。「併せた」、「組み合わせた」または「併用療法」という用語の使用は、疾患がある対象に治療(例えば予防薬または治療薬)が投与される順序を限定しない。第1の治療は、疾患がある対象に第2の治療を投与する前に(例えば5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)、それと同時に、またはそれに続いて(例えば5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後)に投与できる。
【0042】
本明細書での用法では、「実質的に同時に」という用語は、通常、同時、または5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間などの短時間内を意味する。
【0043】
治療用抗体とγδT細胞活性化物質との併用
本発明は、γδT細胞活性化物質と治療用抗体とを含んでなる医薬組成物に関する。本医薬組成物は、薬学的キャリアをさらに含んでなることができる。それはまた、その他の活性薬剤を含んでなることができる。特に本組成物は、好ましくはインターロイキン、より好ましくはIL−2(アルデスロイキン、Proleukin(登録商標))であるサイトカインをさらに含んでなることができる。実際、IL−2は、γδT細胞の改善された生体内増殖を提供できる。さらに本発明の組成物は、化学療法またはその他の免疫療法などのその他の活性薬剤または治療プログラムをさらに含んでなってもよく、または同時にまたは逐次にそれらと組み合わせて使用してもよい。本発明はまた、治療用抗体とγδT細胞活性化物質とを含んでなるキットにも関する。さらに本発明は、疾患治療における同時、別個または逐次使用のための併用製剤として、γδT細胞活性化物質と治療用抗体とを含有する製品に関する。より具体的には、疾患の治療は、好ましくはウイルス感染細胞、腫瘍細胞、自己免疫障害の原因となる細胞、またはその他の病原細胞などの病的細胞である、標的細胞の枯渇を必要とする。好ましくは疾患は癌、感染性または免疫疾患である。より好ましくは疾患は、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、および感染性(例えば細菌またはウイルス性)疾患からなる群から選択される。疾患はまた、移植片拒絶、より具体的には同種移植片拒絶、および移植片対宿主病(GVHD)にも関する。
【0044】
さらに本発明は、治療用抗体およびγδT細胞活性化物質によって活性化されたγδT細胞を含んでなる医薬組成物に関する。γδT細胞活性化物質によって活性化されたγδT細胞は、その開示を参照によって本明細書に援用する、米国特許出願公開第2005−0196385号明細書で述べられているようにして調製できる。本発明はまた、治療用抗体およびγδT細胞活性化物質によって活性化されたγδT細胞を含んでなるキットにも関する。本発明は、疾患治療における同時、別個または逐次使用のための併用製剤として、治療用抗体およびγδT細胞活性化物質によって活性化されたγδT細胞を含有する製品に関する。
【0045】
本発明の組成物は、場合により安定剤、保存料を添加した、典型的に緩衝液、等張溶液、水性懸濁液などである、あらゆる薬学的に許容可能なキャリアまたは賦形剤を含んでなってもよい。典型的な調合物としては、食塩溶液および、場合により高分子量タンパク質(例えばヒト血清アルブミン)などの保護分子または安定化分子が挙げられる。
【0046】
本発明はまた、疾患を治療する薬剤を調製するためのγδT細胞活性化物質と治療用抗体との使用にも関する。本発明は、γδT細胞活性化物質と治療用抗体とを対象に投与するステップを含んでなる、対象において疾患を治療する方法にさらに関する。γδT細胞活性化物質と治療用抗体との投与は、同時、別個または逐次であることができる。本方法は、特にIL−2であるサイトカインの投与をさらに含んでなることができる。より具体的には、疾患の治療は、好ましくはウイルス感染細胞、腫瘍細胞またはその他の病原細胞などの病的細胞である、標的細胞の枯渇を必要とする。
【0047】
本発明はまた、疾患を治療する薬剤を調製するための治療用抗体とγδT細胞活性化物質によって活性化されたγδT細胞との使用にも関する。本発明は、治療用抗体とγδT細胞活性化物質によって活性化されたγδT細胞とを対象に投与するステップを含んでなる、対象において疾患を治療する方法にさらに関する。γδT細胞活性化物質によって活性化されたγδT細胞と治療用抗体との投与は、同時、別個または逐次であることができる。本方法は、特にIL−2であるサイトカインを投与するステップをさらに含んでなることができる。
【0048】
考慮される疾患としては、造血性細胞の新生物増殖が挙げられる。場合により前記疾患は、リンパ芽球性白血病、急性または慢性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、および慢性リンパ球性白血病からなる群から選択される。前記疾患はまた、ENT癌、結腸直腸癌、乳癌、上皮癌も含む。前記疾患は、CMV感染症、およびB型肝炎などのウイルス感染症を含む。前記疾患は、クローン病、関節リウマチ、喘息、乾癬、多発性硬化症または糖尿病などの炎症性疾患を含む。特に表1に列挙したあらゆる疾患を治療できる。
【0049】
本発明の方法および組成物に従って、好ましくはγδT細胞活性化物質および治療用抗体である化合物が、「有効な」または「治療的に効果的な」量で投与される。好ましくは治療的有効量は、疾患または病状、または1つ以上のその症状を寛解させる、または疾患または病状の進行を予防する、または別の治療(例えば治療薬またはその他の理学療法)の治療効果を改善するのに十分である、治療(例えば治療薬)の量である。効果的な用量はまた、当業者によって認識されるように、治療する疾患、投与経路、賦形剤使用、およびその他の薬剤の使用などのその他の治療的処置との同時使用の可能性次第で変動する。
【0050】
好ましくは個人または対象の治療は、1つ以上の治療(例えば1つ以上の予防薬および/または治療薬)の投与から帰結する、疾患または病状、またはその1つ以上の症状の進行、重篤性、および/または持続期間の低減または寛解を含んでなる。
【0051】
好ましくは個人または対象における疾患または病状の予防は、対象における、疾患または病状、またはその1つ以上の症状の再発、発症、または進行の予防を含んでなり、前記予防は、治療法(例えば予防薬または治療薬の投与)、または併用療法(例えば予防薬または治療薬の併用の投与)から帰結する。
【0052】
好ましい実施態様では、癌の治療は、癌進行の予防、癌症状の低減、および/または確立した癌の増殖抑制、サイズ低下および/または破壊誘発を含んでなる。その他の態様では、薬剤は、癌を発症するリスクを低下させる目的で、癌を発症するリスクがある対象に投与される。
【0053】
一実施態様では、本発明に従った治療方法は、γδT細胞活性化物質の投与前に、またはそれに続いて、対象中のγδT細胞の活性または数を評価する追加的ステップをさらに含んでなる。別の実施態様では、追加的ステップは、i)投与前に対象からγδT細胞を得るステップ、ii)γδT細胞活性化物質の存在または不在下で、治療用抗体によって認識される1つ以上の標的細胞の存在下でγδT細胞を培養するステップ、およびiii)標的細胞を除去するγδT細胞の能力に対するγδT細胞活性化物質の影響を評価するステップを伴い、γδT細胞が標的細胞を除去する能力をγδT細胞活性化物質が増強するという発見は、本化合物が本方法での使用に適し、本方法が対象での使用に適することを示唆する。
【0054】
本発明はまた、γδT細胞活性化物質と、標的細胞を標的とする治療用抗体とを対象に投与するステップを含んでなる、対象中で標的細胞を死滅させる方法にも関する。特に標的細胞は、癌細胞、感染細胞、抗体被覆細胞であることができる。本発明は、γδT細胞活性化物質を対象に投与するステップを含んでなる、対象において標的細胞の死滅を増大させる方法にさらに関し、標的細胞を標的とする治療用抗体が対象に投与される。標的細胞を標的とする治療用抗体は、γδT細胞活性化物質の前、同時または後に投与できる。本発明は、標的細胞を標的とする治療用抗体と、γδT細胞活性化物質によって活性化されたγδT細胞とを対象に投与するステップを含んでなる、対象において標的細胞を死滅させる方法にさらに関する。
【0055】
本発明はまた、治療用抗体による治療効率を増大させるためのγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の使用にも関する。特に本発明は、対象における治療用抗体の投与を伴う、治療効率を増大させる薬物を調製するためのγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の使用に関し、前記治療用抗体の投与は、治療的有効量のγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の前に、それと同時に、またはそれに続いて前記対象に投与される。本発明はまた、対象において治療用抗体による治療効率を増大させる方法にも関し、γδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)は、治療用抗体の投与の前に、それと同時に、またはそれに続いて対象に投与される。
【0056】
一実施態様では、候補化合物は、標的細胞を破壊する治療用抗体の能力を50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%以上増強させる。
【0057】
本発明はまた、特にγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)を投与することで、例えば標的細胞を除去する抗体などの治療用抗体の投薬量を低下させる方法も含んでなる。例えば治療用抗体とγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の同時投与は、より低用量の治療用抗体の使用を可能にする。このような抗体は、化合物不在下で推奨される用量よりも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%低い用量で使用できる。
【0058】
本発明の重要な実施態様では、γδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の使用は、削減用量の治療用抗体で、治療的な有効性を達成できるようにする。治療用抗体の使用(例えば投薬量、投与計画)は、例えばリツキシマブの場合、発熱、頭痛、喘鳴、血圧低下、およびその他の副作用によって制限される。したがって多くの患者では、γδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)と組み合わせた標準用量の治療用抗体が投与され、それによってますます大きな治療有効性を要とする患者において標準用量の有効性を増強する一方、例えば副作用によって激しく影響されるその他の患者では、γδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の投与は、削減用量の治療用抗体で治療的な有効性が達成されるようにし、それによって副作用が回避される。実際には、熟練した医師は、例えば患者の特定の要求および全身状態の観点から最も適切な治療ストラテジーなど、所与の患者のために治療用抗体およびγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の理想的用量および投与計画を判断できる。治療用抗体およびγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)双方のための適切な投薬量の判定を導くために、「レミントン:薬学の科学と実践(Remington:The Science and Practice of Pharmacy)」ジェンナーロ(Gennaro)(2003年)、ISBN:0781750253;グッドマン(Goodman)およびギルマンズ(Gilmans)「薬物療法の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」ハードマン(Hardman)、リンバード(Limbird)、およびギルマン(Gilman)編(2001年),ISBN:0071354697;ローリンズ(Rawlins)E.A.編、「ベントレーの医薬品テキスト(Bentley’s Textbook of Pharmaceutics)」London:Bailliere,Tindall and Cox(1977年)他などの多数の参考文献が利用できる。
【0059】
一実施態様では、医師は、任意のγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の投与と併せて投与される治療用抗体の量を、投薬量または投与頻度のどちらかの観点から徐々に低下させて、例えばγδT細胞活性のモニター、患者の標的細胞の存在のモニター、様々な臨床徴候のモニター、またはあらゆるその他の手段によって治療用抗体の有効性をモニターし、モニタリング結果を考慮して、治療用抗体および/またはγδT細胞活性化物質の相対濃度または投与様式を調節して、治療的有効性および副作用の制限を最適化できる。
【0060】
γδT細胞活性化物質および/または治療用抗体の適切な用量はまた、一般に生体外でまたは動物モデル中で判定でき、例えば生体外で様々な濃度の治療用抗体を標的細胞、γδT細胞、および変動する濃度の1つ以上のγδT細胞活性化物質の存在下でインキュベートして、(例えば実施例で述べられているように)標準アッセイを使用して、様々な条件下における標的細胞枯渇の程度または速度を評価する。代案としては、抗体で治療できる疾患のための動物モデル(例えばリツキシマブの場合はNHLのための動物モデル)に、γδT細胞活性化物質の変動する投薬量と共に、治療用抗体の変動する投薬量を投与して、動物の治療における抗体の有効性を(例えばあらゆる適切な臨床、細胞、または分子アッセイまたは基準による判定で)評価できる。
【0061】
本発明に従った組成物または製品は、典型的に静脈内、腹腔内、動脈内、筋肉内または経皮的経路によって対象に直接注射してもよい。リツキサン(Rituxan)(リツキシマブ)またはゾレア(Xolair)(オマリズマブ)などのいくつかのモノクローナル抗体は、臨床状況において効果があることが示されており、本発明の組成物と同様の投与計画(すなわち製剤形態および/または用量および/または投与プロトコール)を使用してもよい。γδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)および治療用抗体は、同一経路によってまたは異なる経路によって投与できる。
【0062】
したがって本発明は、例えば標的細胞枯渇を引き起こすことが意図される抗体などの治療用抗体の治療的に効果的な削減用量を判定する方法を提供し、本方法は、i)γδT細胞活性化物質不在下で、第1の濃度の治療用抗体と、標的細胞およびγδT細胞とを共培養するステップと、ii)γδT細胞活性化物質の存在下で、第2のより低濃度の治療用抗体と、標的細胞およびγδT細胞とを共培養するステップと、iii)ステップii)で観察された標的細胞枯渇が、ステップi)で観察された枯渇より大きいかどうかを判定するステップとを含んでなる。ステップii)がステップi)と同程度に有効であることが観察されれば、次に例えば患者の特定の要求次第で、標的細胞枯渇を最大化させる、治療用抗体用量を低下させる、または化合物用量を低下させるなど、所与の患者での使用に適した異なる条件を同定するために、γδT活性化物質と治療用抗体との相対濃度を変動させて、枯渇を観察できる。
【0063】
別の態様では、本発明は、治療用抗体と組み合わせた投与のために、γδT細胞活性化物質を選択する方法を提供し、前記方法は、i)γδT細胞活性化物質候補を提供するステップと、ii)γδT細胞の存在下で、化合物候補の存在または不在下で、治療用抗体を治療用抗体によって特異的に認識される標的細胞と共に培養するステップと、iii)標的細胞を除去するγδT細胞の能力に対する候補化合物の影響を評価するステップとを含んでなり、候補化合物が標的細胞を除去するγδT細胞の能力を増強するという発見は、候補化合物が本方法での使用に適することを示唆する。
【0064】
本発明の文脈で、対象または患者は、あらゆる哺乳類対象または患者、より好ましくはヒト対象または患者を含む。
【0065】
特に、本発明の目的は、Bリンパ腫枯渇のためにリツキシマブ単独よりも効果がある、リツキシマブおよびγδT細胞活性化物質による有効な併用療法を提供することである。Bリンパ腫の影響を受けたB細胞はCD20+フェノタイプを示し、リツキシマブなどの抗CD20抗体が、目下このような癌を有する患者を治療するために治療法で使用されている。抗CD20抗体および特にリツキシマブは、ADCC(抗体依存性細胞仲介細胞毒性)と称される細胞毒性効果を有することが知られており、この効果はCD20マーカーを発現するB細胞に向けられる。以前の研究は、いかなる重篤な副作用もなしに、患者が重要なB細胞枯渇に耐えられることを示したので、B細胞癌を治療する有利なやり方は、癌性B細胞を選択的に根絶して、患者の骨髄からB細胞を再生させることである。したがって改善された長期のB細胞枯渇を得る手段は、より良い治療的結果を得るために興味深い。発明者らは、実施例2で説明されるように、リツキシマブなどの抗CD20抗体とγδT細胞活性化物質との併用が、リツキシマブなどの抗CD20抗体単独と比較して、改善された長期のB細胞枯渇をもたらすことを意外にも見いだした。
【0066】
特に本発明の別の目的は、B細胞集団の再構成を遅らせ、それによって生体内でのB細胞枯渇療法の有効性を改善する、リツキシマブとγδT細胞活性化物質とによる有効な併用療法を提供することである。
【0067】
併用療法の投与
一実施態様では、治療用抗体およびγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)は、対象に同時に投与される。別の実施態様では、γδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)は、治療用抗体の投与の数週間(例えば2、3、4、5、または6週間)以内、好ましくは1週間以内に対象に投与される。第1の実施態様では、γδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)は、治療用抗体の前に対象に投与される。第2の実施態様では、治療用抗体はγδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)の前に対象に投与される。γδT細胞活性化物質(または活性化γδT細胞)および治療用抗体は、相乗効果が得られるように投与される。
【0068】
γδT細胞活性化物質は、個人に1回のみ投与できる。別の態様では、γδT細胞活性化物質は頻回用量で投与され、γδT細胞活性化物質の逐次投与は、少なくとも2、3または4週間以上隔てられ、γδT細胞活性化物質のそれぞれの新しい投与が治療サイクルを規定する。治療サイクル数は、各患者の特異的応答性および健康次第で、当業者によって判定される。一般にγδT細胞比率(γδT細胞数)は、2回目の化合物投与前に実質的に基本比率に戻される。患者のγδT細胞比率が実質的に基本比率に戻るには、少なくとも約1週間、より好ましくは少なくとも約2週間、または最高で8週間が必要とされる。例えばγδT細胞活性化物質は個人に1回のみ投与でき、または好ましくは治療用抗体の特定の過程内に1回のみ(例えば最中またはその後)投与でき、実際には(is practice)通常、毎月1回を超えず、または2、3または6ヶ月毎に1回、γδT細胞活性化物質が投与されることを意味する。γδT細胞活性化物質は、治療用抗体治療の間に投与される。γδT細胞活性化物質は、治療用抗体の間に数サイクルにわたって投与できる。より好ましくはγδT細胞活性化物質は、少なくとも2サイクル、またはより好ましくは少なくとも3サイクルにわたって投与される。
【0069】
治療用抗体は、通常、実施例2に示すように、約2、3週間、典型的に3週間前後の治療サイクルにわたり毎週約1回投与される。一実施態様では、治療用抗体は、3〜5週間、典型的に21日間前後の期間にわたり投与される。好ましくは治療用抗体は、γδT細胞活性化物質の前に投与される。
【0070】
本発明は、ここで実施例2に記載されるように、マカク(cynomolgus macaque)などの適切な生体内モデル内で効果があることが判明した投与の具体的スキームを提供する。
【0071】
γδT細胞活性化物質は、治療用抗体と併せて1回投与される。好ましくはγδT細胞活性化物質は、1回の抗体の投与と実質的に同時に投与される。最も好ましくはγδT細胞活性化物質は、2回目の治療用抗体の投与と実質的に同時に、典型的に2回目の抗体の投与の48時間以内に投与される(例えば治療サイクルの7または8日目前後)。最も好ましくはγδT細胞活性化物質は、2回目の抗体の投与の48時間以内に1回投与される。一例ではγδT細胞活性化物質は、0日目を治療用抗体の投与の初日として、γδT細胞活性化物質が7または8日目に投与されるように治療用抗体治療と併せて使用できる。しかしγδT細胞活性化物質は治療用抗体の2回の各逐次投与の間に必ずしも投与されず、γδT細胞活性化物質の逐次投与は少なくとも2、3または4週間以上に隔てられるものと理解される。別の実施態様では、サイトカインが、3〜10日の期間にわたってさらに投与され、1回目のサイトカイン投与は、γδT細胞活性化物質投与と同日に行われる。好ましくはサイトカインはIL−2であり、IL−2は5日間連続して各γδT細胞活性化物質投与と共に投与される。
【0072】
サイトカインとの併用治療
γδT細胞活性化物質が、治療用抗体と併せて使用される実施態様では、本発明の方法は、場合によりサイトカインをさらに投与するステップを含んでなる。本発明の化合物は、さらなる投与ありまたはなしで使用してよいが、好ましい態様では、サイトカインが投与でき、前記サイトカインはγδT細胞活性化物質化合物で処理されたγδT細胞集団の拡大を増大でき、好ましくはサイトカインは、前記サイトカイン不在下でのγδT細胞活性化物質化合物の投与に起因する拡大を超える、γδT細胞集団の拡大を誘発できる。好ましいサイトカインはインターロイキン−2ポリペプチドである。
【0073】
γδT細胞増殖活性を有するサイトカイン、最も好ましくはインターロイキン−2ポリペプチドが、典型的に1〜10日の期間にわたって低用量で投与される。γδT細胞活性化物質は、好ましくは典型的にγδT細胞活性化物質治療の始めに、単回用量で投与される。
【0074】
好ましい態様では、サイトカイン、最も好ましくはIL−2が、最高約10日間にわたって、好ましくは3〜10日の期間にわたって、または最も好ましくは約5日間にわたって毎日投与される。好ましくはサイトカインの投与は、γδT細胞活性化物質の投与と同日に始まる(例えば24時間内)。サイトカインは、約3〜10日間の前記投与計画内のあらゆる適切なスキームで投与できるものと理解される。例えば一態様ではサイトカインが毎日投与されるのに対し、その他の態様ではサイトカインは必ずしも毎日投与されない。好ましい実施態様では、サイトカインIL−2は8日目から始めて5日間にわたって投与できる。
【0075】
好ましくはIL−2は、例えば毎日平方メートルあたり1800万国際単位(MIU/m2)の治療的標準よりも低い用量などの低用量で投与される。好ましくはIL−2用量は毎日5MIU/m2未満であり、ヒトにおける1日当たりの総量10MIU未満に相当する。好ましくは用量は、ヒトにおける1日当たりの総量1MIU(0.5MIU/m2)からヒトにおける1日当たりの総量8MIU(4MIU/m2)の間である。
【0076】
治療用抗体
本発明は、γδT細胞を活性化する化合物と組み合わされた治療用抗体の使用を扱う。本発明では多種多様な治療用抗体のいずれでも使用できる。
【0077】
「抗体」という用語は、本明細書での用法ではポリクローナルおよびモノクローナル抗体を指す。重鎖中の定常領域のタイプ次第で、抗体はIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMの主要5クラスの1つに割り当てられる。これらのいくつかは、さらにIgG1、IgG2、IgG3、IgG4などのサブクラスまたはアイソタイプに分割される。例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を構成する。各四量体は、2つの同一ポリペプチド鎖ペアから構成され、各ペアは、1本の「軽鎖」(約25kDa)と1本の「重鎖」(約50〜70kDa)を有する。各鎖のN末端は、アミノ酸約100〜110個以上の主として抗原認識の役割を担う可変部を画定する。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語は、それぞれこれらの軽鎖および重鎖を指す。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常領域は、それぞれ「α」、「δ」、「ε」、「γ」、および「μ」と称される。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元配置についてはよく知られている。IgGおよび/またはIgMは生理学的状況において最も一般的な抗体であり、IgGおよび/またはIgMは実験室環境で最も容易に作成され、IgGはFcγ受容体によって特異的に認識されることから、IgGおよび/またはIgMが本発明で用いるのに好ましいクラスの抗体であり、IgGが特に好ましい。好ましくは本発明の抗体はモノクローナル抗体である。特に好ましいのは、ヒト化抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、またはさもなければヒトに適切な抗体である。
【0078】
本発明の文脈で「治療用抗体または抗体」という用語は、より具体的には患者において標的細胞に機能し、および場合により患者において標的細胞を除去するあらゆる抗体を示す。特に治療用抗体は、例えば腫瘍細胞上に優勢にまたは排他的に存在する腫瘍特異的抗原などの、標的細胞の表面に存在する抗原と特異的に結合する。好ましくは治療用抗体はヒトFc部分を含み、またはヒトFc受容体と相互作用できる。治療用抗体は、例えばADCCまたは別のやり方などのあらゆる手段で細胞を標的にでき、「裸」である、すなわち抱合部分なしであることができ、またはそれらは放射性標識または毒素などの化合物と抱合できる。
【0079】
本発明の目的で、「ヒト化」抗体とは、その中で1つ以上のヒト免疫グロブリンの定常および可変フレームワーク領域が、例えば動物免疫グロブリンのCDRなどの結合領域と融合する抗体を指す。このようなヒト化抗体は、結合領域がそれに由来する非ヒト抗体の結合特異性を維持するが、非ヒト抗体に対する免疫反応を回避するようにデザインされている。
【0080】
「キメラ抗体」は、その中で(a)抗原結合部位(可変部)が、異なるまたは改変されたクラス、エフェクター機能および/または種の定常部と結合し、または例えば酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物などのキメラ抗体に新しい特性を与える全く異なる分子と結合するように、定常部またはその一部が改変、置換または交換されている、または(b)可変部またはその一部が、異なるまたは改変された抗原特異性を有する可変部によって改変、置換または交換されている、抗体分子である。本発明の好ましい実施態様では、それにもかかわらずキメラ抗体は、免疫グロブリンのFc領域、好ましくはヒトFc領域を保持し、それによって標的細胞表面のヒトFc受容体との相互作用を可能にする。
【0081】
本化合物を使用して、治療用抗体によって特異的に認識される抗原を発現する標的細胞を除去する、治療用抗体の能力を増強できる。したがって少なくともある程度、治療用抗体が標的にできる細胞によって引き起こされ、または悪化するあらゆる疾患または病状は、ここで述べられている方法を使用して治療できる。標的細胞の具体例としては、腫瘍細胞と、ウイルス感染細胞と、同種細胞と、アレルギー、自己免疫疾患、同種反応などに関与する病理学的免疫担当細胞(例えばBリンパ球、Tリンパ球、抗原提示細胞など)が挙げられ、または健康な細胞(例えば抗血管新生治療ストラテジー中の内皮細胞)でさえ含まれる。本発明の文脈で最も好ましい標的細胞は、腫瘍細胞およびウイルス感染細胞である。治療用抗体は、特に抗体依存細胞媒介細胞毒性(ADCC)によって、例えば細胞毒性効果または細胞溶解を媒介してもよい。
【0082】
治療用抗体は、G1、G2、G3またはG4サブタイプ(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4)のヒト免疫グロブリン定常領域(Fc)を有し、および/またはCD16に結合する。これらの各サブタイプは、少なくとも一部の例では除去されることが実証されている。好ましい実施態様では、治療用抗体は、G1またはG3サブタイプのヒトFc領域を含んでなり、またはFc領域または抗体が改変され、または標的細胞を除去する治療用抗体の能力を増大させるように作成されている場合は、G2またはG4サブタイプのヒトFc領域を含んでなる。別の実施態様では、治療用抗体は抗体またはその断片である。治療用抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであってもよい。好ましくは治療用抗体は、モノクローナル抗体またはその断片である。一実施態様では、治療用抗体は、とりわけFab断片、Fab’2断片、CDR、およびScFvなどの抗体断片または誘導体であることができる。好ましくは断片は抗原結合断片である。一実施態様では治療用抗体はヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体またはその断片である。本質的にあらゆる治療用抗体が、「裸」であるかまたは放射標識、毒素、またはその他の部分と抱合しているかどうか、または全長または断片であるかどうか、または真の抗体または抗体の改変誘導体であるかどうかに関わりなく使用できる。別の実施態様では、治療用抗体は放射性または毒性部分と抱合していない。
【0083】
治療用抗体は、ハイブリドーマによって、または所望の可変および定常領域を発現する、改変された組み換え細胞によって産生されてもよい。抗体は、抗原特異性および下側ヒンジ領域を保持する、一本鎖抗体またはその他の抗体誘導体、またはその変異型であってもよい。これらは、多機能性抗体、組み換え抗体、ヒト化抗体、断片またはその変異型であってもよい。抗体断片を含んでなる治療用抗体としてはまた、二重特異性抗体も挙げられるがこれに限定されるものではなく、適切な二重特異性抗体の一例は、CD16に特異的な抗原結合領域と、腫瘍抗原に特異的な抗原結合領域を含んでなる。断片を含んでなるその他の抗体形式としては、BiTETMとも称される、単一ポリペプチド鎖上の2つの異なる抗体の結合領域を組み合わせた組み換え二重特異性抗体誘導体が挙げられる(その開示を参照によって本明細書に援用する、クファー(Kufer)P,ら、TRENDS in Biotechnology 2004年;22(5):238〜244頁;およびBaeuerleら、Current Opinion in Molecular Therapeutics 2003年;5(4):413〜419頁。
【0084】
治療用抗体は、例えば膜抗原などの表面抗原に対して一般に特異的である。最も好ましい治療用抗体は、CD20、CD52、ErbB2(またはHER2/Neu)、CD33、CD22、CD25、MUC−1、CEA、KDR、αVβ3など、特にリンパ腫抗原(例えばCD20)などの腫瘍抗原(例えば腫瘍細胞によって特異的に発現される分子)に対して特異的である。治療用抗体は好ましくはヒトまたは非ヒト霊長類IgG1またはIgG3Fc部分、より好ましくはヒトIgG1を有する。
【0085】
本発明の治療用抗体の典型的な例は、リツキシマブ、アレムツズマブ、およびトラスツズマブである。このような抗体は、ヒト対象で使用することが認可されている臨床プロトコールに従って使用してもよい。治療用抗体の追加的具体例としては、例えばエプラツズマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、セツキシマブ、ラベツズマブ、セビルマブ、ツブリマブ、パリビズマブ、インフリキシマブ、オマリズマブ、エファリツマブ、ナタリズマブ、クレノリキシマブなどが挙げられる。本発明に従って使用するための好ましい治療用抗体のその他の例としては、抗フェリチン抗体(米国特許公開第2002/0106324号明細書)、抗p140および抗sc5抗体(国際公開第02/50122号パンフレット)が挙げられ、上記それぞれの参考文献の開示を参照によって本明細書に援用する。治療用抗体のその他の例を次の表に列挙し、そのいずれもが(およびその他が)本方法で使用できる。次の表に列挙されているか、または本明細書の他の所で述べられているどうかにかかわらず、細胞を標的にできて場合により例えばADCCによって標的細胞を排除できるあらゆる抗体は、本方法から恩恵を受けることができ、次の表1は、その中で列挙される抗体について、または列挙される抗体の標的または適応症についても排他的でないものと理解される。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
したがって治療用抗体は、表1の抗体から選択される抗体、または同じ抗原に結合する抗体であることができる。対象に投与される治療用抗体の効果的量は、約0.1mg/kg〜約20mg/kgの間であることができる。しかし抗体の効果的量は、抗体の形態(ホールIg、または断片)、mAbの親和性、および特定抗体毎に判定しなくてはならない薬物動態学的パラメーターに左右される。
【0090】
好ましい実施態様では抗体はリツキシマブである。より特定の実施態様では、抗体はリツキシマブであり、前記抗体は週あたり375mg/m2未満の投薬量で投与される。別の実施態様では抗体はカンパス(Campath)である。より特定の実施態様では、抗体はカンパス(Campath)であり、抗体は週あたり90mg未満の投薬量で投与される。
【0091】
実施態様のいずれかの別の態様では、抗EGFR抗体または抗VEGF抗体をはじめとするがこれに限定されるものではない、ここで列挙される抗体のいずれか1つを除外でき、例えばセツキシマブを除外できる。
【0092】
γδT細胞活性化物質
「γδT細胞活性化物質」という用語は、γδTリンパ球を活性化できる好ましくは人工的に生産された分子を示す。それはより好ましくはγδTリンパ球のT受容体のリガンドである。活性化物質は、ペプチド、脂質、小分子などの様々な性質であってもよい。それは精製され、さもなければ(例えば化学合成によって、または微生物学的工程によって)人工的に生産された、内在性リガンド、またはその断片または誘導体、または実質的に同じ抗原特異性を有する抗体であってもよい。
【0093】
γδT細胞活性化物質であるホスホ抗原は、γδT細胞の増殖または増加をも刺激して、または刺激しないで、好ましくはγδT細胞の生物学的活性を増大させまたは増殖を引き起こし、好ましくはγδT細胞の活性化を増大させ、特にγδT細胞からのサイトカイン分泌を増大させ、またはγδT細胞の細胞溶解活性を増大させる。したがってγδT細胞活性化物質は、対象においてγδT細胞の活性を増大させるのに十分な量および条件下で、好ましくはγδT細胞によるサイトカイン分泌を増大させ、および/またはγδT細胞の細胞溶解活性を増大させるのに十分な量および条件下で投与される。サイトカイン分泌および細胞溶解活性は、あらゆる適切な生体外アッセイを使用して評価できる。
【0094】
あらゆる例示的なアッセイにおいて、サイトカイン分泌は、TNF−α−感応性細胞を使用した生物検定中のTNF−α放出の測定について記述するエスピノザ(Espinosa)ら(J.Biol.Chem.、2001年、276巻、21号、18337〜18344頁)が述べている方法に従って判定できる。簡単に述べると、104個のγδT細胞/ウェルを刺激して25単位のIL2/ウェルを添加して、100μlの培養液中で37℃で24時間インキュベートした。次に、3×104個の細胞/ウェルで播種した、アクチノマイシンD(2μg/ml)およびLiCl(40mM)添加培養液中の50μlのWEHI細胞に、50μlの上清を添加して37℃で20時間インキュベートした。3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミドアッセイによって、TNF−α−感応性細胞生存度を測定した。ウェルあたり50μlの3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(シグマ(Sigma):リン酸緩衝食塩水中2.5mg/ml)を添加して、37℃で4時間のインキュベーション後、50μlの可溶化緩衝液(20%SDS、66%ジメチルホルムアミド、pH4.7)を添加して吸光度(570nm)を測定した。次にニュージャージー州ロッキーヒルのペプロテック・インコーポレーテッド(PeproTech,Inc.(Rocky Hill,NJ))からの精製rTNF−αを使用して得られた標準曲線から、TNF−α放出レベルを計算した。T細胞によって活性化されたインターフェロン−γ放出をサンドイッチ酵素結合抗体免疫吸着アッセイによって測定した。5×104個のγδT細胞/ウェルを刺激して、25単位のIL2/ウェルを添加して、100μlの培養液中で37℃で24時間インキュベートした。次に米国カリフォルニア州カマリロのバイオソース(BIOSOURCE,Camarillo,CA)からのマウスモノクローナル抗体を使用した酵素結合抗体免疫吸着アッセイのために、50μlの上清を収集した。
【0095】
細胞溶解活性のための好ましいアッセイは、51Cr放出アッセイである。例示的なアッセイでは、4時間51Cr放出アッセイ中で、γδT細胞の細胞溶解活性が、自己の正常および腫瘍標的細胞系、またはDaudiなどの対照感応性標的細胞系、およびRajiなどの対照抵抗性標的細胞系に対して測定される。具体例では、標的細胞を2×103細胞/ウェルの量で使用して、100μCi51Crで60分間標識した。エフェクター/標的(E/T)比率は、30:1〜3.75:1の範囲であった。比溶解(百分率で表わされる)は、標準式を使用して計算される。
[(実験的放出−自然放出/総放出−自然放出)×100]
【0096】
論じたように、本発明の方法は一般に、γδT細胞活性を刺激できるあらゆるγδT細胞活性化物質で実施できる。この刺激は、下で論じるように、純粋γδT細胞培養物中でγδT細胞を刺激できる化合物を使用した、γδT細胞に対する直接効果によることができ、または刺激はIPP蓄積をもたらすビスホスホン酸などの薬理作用物質による治療などの間接的機序によることができる。好ましくはγδT細胞活性化物質は、培養物中のγδT細胞クローン集団内で、γδT細胞の活性を抑制できる化合物である。γδT細胞活性化物質は、好ましくはγδT細胞活性化物質が培養物中に100mM未満の濃度で存在する場合、γδT細胞クローンのγδT細胞集団の活性をミリモル濃度で制御できる。場合によりγδT細胞活性化物質は、好ましくはγδT細胞活性化物質が培養物中に10mM未満、またはより好ましくは1mM未満の濃度で存在する場合、γδT細胞クローンのγδT細胞集団の活性をミリモル濃度で制御できる。γδT細胞活性の抑制は、あらゆる適切な手段によって、好ましくは本明細書で述べられているように、サイトカイン分泌、最も好ましくはTNF−α分泌を評価することによって評価できる。純粋なγδT細胞クローン集団を得る方法については、その開示を参照によって本明細書に援用する、ダボドー(Davodeau)ら、(1993年)およびモロー(Moreau)ら、(1986年)で述べられている。好ましくは活性化物質は、培養物中のγδT細胞数に少なくとも20%、50%以上の増大を、またはより好ましくは培養物中のγδT細胞数に少なくとも2倍の増大を引き起こすことができる。
【0097】
一実施態様では、活性化物質は、Vγ9Vδ2Tリンパ球を選択的に活性化できる合成化合物であってもよい。Vγ9Vδ2Tリンパ球の選択的活性化は、化合物が特異的細胞集団に向けた選択的作用を有することを示唆し、好ましくはVγ9Vδ2T細胞の活性化が、Vδ1T細胞などのその他のT細胞タイプよりも速くまたはより高程度に増大され、またはその他のT細胞タイプは実質的に活性化されない。このような選択性は、生体外T細胞活性化アッセイで評価することができる。本明細書で開示されているような選択性は、好ましい化合物が、Vγ9Vδ2Tリンパ球の増殖または生物学的活性の選択的または標的を定めた活性化を引き起こすことができることを提案する。
【0098】
好ましいホスホ抗原
γδT細胞活性化物質は、好ましくは非ペプチド抗原である。なおも別の実施態様では、化合物は(例えばγδT細胞以外の免疫細胞を直接活性化することで)、直接または間接的に作用する化合物をはじめとする、あらゆるその他のγδT細胞活性化物質である。
【0099】
本発明で有用なγδT細胞活性化物質は、式(I)、
【化6】
(式中、
Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し;
mは1〜3の整数であり;
BはO、NH、または加水分解されうる任意の基であり;
Y=O−Cat+、C1〜C3アルキル基、−A−R基、またはヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、脂肪酸、単純脂質、複合脂質、葉酸、テトラヒドロ葉酸、リン酸、イノシトール、ビタミン、補酵素、フラボノイド、アルデヒド、エポシキド、およびハロヒドリンからなる群から選択される基であり;
AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり;
Rは、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断されていてもよい、直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和の、C1〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基は、アルキル、アルキレニル、アルキニル、エポキシアルキル、アリール、複素環、アルコキシ、アシル、アルコール、カルボン酸基(−COOH)、エステル、アミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、ニトリル、ヒドロキシル(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、ハロゲン、ハロゲノアルキル、チオール(−SH)、チオアルキル、スルホン、スルホキシド、およびその組み合わせからなる群から選択される1つまたはいくつかの置換基によって置換されていてもよい、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含んでなる)
の化合物を含んでなる。
【0100】
特定の実施態様では、上で定義される置換基は、上で指定される置換基の少なくとも1つによって置換される。
【0101】
好ましくは置換基は、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルキレニル、(C2〜C6)アルキニル、(C2〜C6)エポキシアルキル、アリール、複素環、(C1〜C6)アルコキシ、(C2〜C6)アシル、(C1〜C6)アルコール、カルボン酸基(−COOH)、(C2〜C6)エステル、(C1〜C6)アミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、(C1〜C6)イミン、ニトリル、ヒドロキシル(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、ハロゲン、(C1〜C6)ハロゲノアルキル、チオール(−SH)、(C1〜C6)チオアルキル、(C1〜C6)スルホン、(C1〜C6)スルホキシド、およびその組み合わせからなる群から選択される。
【0102】
より好ましくは置換基は、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)エポキシアルキル、(C2〜C6)アルキレニル、(C1〜C6)アルコキシ、(C2〜C6)アシル、(C1〜C6)アルコール、(C2〜C6)エステル、(C1〜C6)アミン、(C1〜C6)イミン、ヒドロキシル、アルデヒド基、ハロゲン、(C1〜C6)ハロゲノアルキル、およびその組み合わせからなる群から選択される。
【0103】
なおもより好ましくは置換基は、(C3〜C6)エポキシアルキル、(C1〜C3)アルコキシ、(C2〜C3)アシル、(C1〜C3)アルコール、(C2〜C3)エステル、(C1〜C3)アミン、(C1〜C3)イミン、ヒドロキシル、ハロゲン、(C1〜C3)ハロゲノアルキル、およびその組み合わせからなる群から選択される。好ましくはRは(C3〜C25)炭化水素基、より好ましくは(C5〜C10)炭化水素基である。
【0104】
本発明の文脈で、「アルキル」という用語は、より具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシルなどの基、およびその他のその異性体を意味する。(C1〜C6)アルキルはより具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびその他のその異性体を意味する。(C1〜C3)アルキルはより具体的には、メチル、エチル、プロピル、またはイソプロピルを意味する。
【0105】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和エチレン結合を有する上で定義されるアルキル基を指し、「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和アセチレン結合を有する上で定義されるアルキル基を指す。(C2〜C6)アルキレンとしては、エテニル、プロペニル(1−プロペニルまたは2−プロペニル)、1−または2−メチルプロペニル、ブテニル(1−ブテニル、2−ブテニル、または3−ブテニル)、メチルブテニル、2−エチルプロペニル、ペンテニル(1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル)、ヘキセニル(1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル)、およびその他のその異性体が挙げられる。(C2〜C6)アルキニルとしては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、または5−ヘキシニル、およびその他のその異性体が挙げられる。
【0106】
「エポキシアルキル」という用語は、エポキシド基を有する上で定義されるアルキル基を指す。より具体的には、(C2〜C6)エポキシアルキルとしては、エポキシエチル、エポキシプロピル、エポキシブチル、エポキシペンチル、エポキシヘキシル、およびその他のその異性体が挙げられる。(C2〜C3)エポキシアルキルとしては、エポキシエチルおよびエポキシプロピルが挙げられる。
【0107】
「アリール」基とは、6〜18個の炭素原子を有する単−、二−または三−環式芳香族炭化水素である。例としては、特にフェニル、α−ナフチル、β−ナフチルまたはアントラセニル基が挙げられる。
【0108】
「複素環」基は、1つ以上のヘテロ原子、好ましくは1〜5個の環内ヘテロ原子を含んでなる5〜18個の環を含有する基である。それらは単−、二−または三−環式であってもよい。それらは芳香族または非芳香族であってもよい。好ましくはそしてR5についてより具体的には、それらは芳香族複素環である。芳香族複素環の例としては、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾールおよびトリアジン基が挙げられる。二環式の例としては、特にキノリン、イソキノリン、およびキナゾリン基(2つの6員環)およびインドール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、およびインダゾール(6員環および5員環)が挙げられる。非芳香族複素環は、特にピペラジン、ピペリジンなどを構成する。
【0109】
「アルコキシ」基は、−O−(エーテル)結合によって分子に結合した上で定義されるアルキル基に相当する。(C1〜C6)アルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、およびその他のその異性体が挙げられる。(C1〜C3)アルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、およびイソプロピルオキシが挙げられる。
【0110】
「アシル」基は、−CO−(カルボニル)基によって分子に結合した上で定義されるアルキル基に相当する。(C2〜C6)アシルとしては、アセチル、プロピルアシル、ブチルアシル、ペンチルアシル、ヘキシルアシル、およびその他のその異性体が挙げられる。(C2〜C3)アシルとしては、アセチル、プロピルアシルおよびイソプロピルアシルが挙げられる。
【0111】
「アルコール」基は、少なくとも1つの水酸基を含有する上で定義されるアルキル基に相当する。アルコールは、一級、二級または三級であることができる。(C1〜C6)アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、およびその他のその異性体が挙げられる。(C1〜C3)アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、およびイソプロパノールが挙げられる。
【0112】
「エステル」基は、−COO−(エステル)結合によって分子に結合した上で定義されるアルキル基に相当する。(C2〜C6)エステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、およびその他のその異性体が挙げられる。(C2〜C3)エステルとしては、メチルエステルおよびエチルエステルが挙げられる。
【0113】
「アミン」基は、−N−(アミン)結合によって分子に結合した上で定義されるアルキル基に相当する。(C1〜C6)アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、およびその他のその異性体が挙げられる。(C1〜C3)アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、およびプロピルアミンが挙げられる。
【0114】
「イミン」基は、(−C=N−)結合を有する上で定義されるアルキル基に相当する。(C1〜C6)イミンとしては、メチルイミン、エチルイミン、プロピルイミン、ブチルイミン、ペンチルイミン、ヘキシルイミン、およびその他のその異性体が挙げられる。(C1〜C3)イミンとしては、メチルイミン、エチルイミン、およびプロピルイミンが挙げられる
【0115】
ハロゲンはCl、Br、I、またはFであることができ、より好ましくはBrまたはFである。
【0116】
「ハロゲノアルキル」基は、少なくとも1つのハロゲンを有する上で定義されるアルキル基に相当する。基は、モノハロゲン化されていても、または同一であるかまたは異なるハロゲン原子を含有してポリハロゲン化されていてもよい。例えば基は、トリフルオロアルキル(CF3−R)であることができる。(C1〜C6)ハロゲノアルキルとしては、ハロゲノメチル、ハロゲノエチル、ハロゲノプロピル、ハロゲノブチル、ハロゲノペンチル、ハロゲノヘキシル、およびその他のその異性体が挙げられる。(C1〜C3)ハロゲノアルキルとしては、ハロゲノメチル、ハロゲノエチル、およびハロゲノプロピルが挙げられる。
【0117】
「チオアルキル」基は、−S−(チオエーテル)結合によって分子に結合した上で定義されるアルキル基に相当する。(C1〜C6)チオアルキルとしては、チオメチル、チオエチル、チオプロピル、チオブチル、チオペンチル、チオヘキシル、およびその他のその異性体が挙げられる。(C1〜C3)チオアルキルとしては、チオメチル、チオエチル、およびチオプロピルが挙げられる。
【0118】
「スルホン」基は、−SOO−(スルホン)結合によって分子に結合した上で定義されるアルキル基に相当する。(C1〜C6)スルホンとしては、メチルスルホン、エチルスルホン、プロピルスルホン、ブチルスルホン、ペンチルスルホン、ヘキシルスルホン、およびその他のその異性体が挙げられる。(C1〜C3)スルホンとしては、メチルスルホン、エチルスルホン、およびプロピルスルホンが挙げられる。
【0119】
「スルホキシド」基は、−SO−(スルホキシド)基によって分子に結合した上で定義されるアルキル基に相当する。(C1〜C6)スルホキシドとしては、メチルスルホキシド、エチルスルホキシド、プロピルスルホキシド、ブチルスルホキシド、ペンチルスルホキシド、ヘキシルスルホキシド、およびその他のその異性体が挙げられる。(C1〜C3)スルホキシドとしては、メチルスルホキシド、エチルスルホキシド、プロピルスルホキシド、およびイソプロピルスルホキシドが挙げられる。
【0120】
「ヘテロ原子」とは、N、S、またはOを指す。
【0121】
「ヌクレオシド」としては、アデノシン、チミン、ウリジン、シチジン、およびグアノシンが挙げられる。
【0122】
特定の実施態様では、炭化水素基は、シクロペンタジエンまたはフェニルなどのシクロアルキレニル、またはフラン、ピロール、チオフェン、チアゾール、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラン、またはピラジンなどの複素環である。好ましくはシクロアルキレニルまたは複素環は、シクロペンタジエン、ピロールまたはイミダゾールからなる群から選択される。好ましい実施態様では、シクロアルキレニルまたは複素環は、アルコールによって置換される。好ましくは前記アルコールは(C1〜C3)アルコールである。
【0123】
その他の実施態様では、炭化水素基は1つまたはいくつかの二重結合があるアルキレニルである。好ましくはアルキレニル基は、1つの二重結合を有する。好ましくはアルキレニル基は(C3〜C10)アルキレニル基、より好ましくは(C4〜C7)アルキレニル基である。好ましくは前記アルキレニル基は、少なくとも1つの官能基によって置換される。より好ましくは官能基は、ヒドロキシ、(C1〜C3)アルコキシ、アルデヒド、(C2〜C3)アシル、または(C2〜C3)エステルからなる群から選択される。より好ましい実施態様では、炭化水素基は−CH2OH基によって置換されたにブテニルである。場合により前記アルケニル基は、trans(E)またはcis(Z)イソ型であることができ、より好ましくはtrans(E)イソ型である。最も好ましい実施態様では、アルキレニル基は(E)−4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブテニルである。その他の好ましい実施態様では、アルキレニル基はイソペンテニル、ジメチルアリルまたはヒドロキシジメチルアリルである。
【0124】
追加的実施態様では、炭化水素基はアシルによって置換されたアルキル基である。より好ましくは炭化水素基は、(C1〜C3)アシルによって置換された(C4〜C7)アルキル基である。
【0125】
さらに好ましい実施態様では、Rは、次からなる群から選択される。
【化7】
式中、nは2〜20の整数であり、R1は(C1〜C3)アルキル基であり、R2はハロゲン化(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)アルコキシ−(C1〜C3)アルキル、ハロゲン化(C2〜C3)アシルまたは(C1〜C3)アルコキシ−(C2〜C3)アシルである。好ましくはR1はメチルまたはエチル基であり、R2はハロゲン化メチル(−CH2−X、Xはハロゲンである)、ハロゲン化(C2〜C3)アセチル、または(C1〜C3)アルコキシ−アセチルである。ハロゲン化メチルまたはアセチルは、モノ−、ジ−、またはトリ−ハロゲン化されていることができる。好ましくはnは2〜10、または2〜5の整数である。より好ましい実施態様では、nは2である。最も好ましい実施態様では、nは2であり、R1はメチルであり、R2はハロゲン化メチル、より好ましくはモノハロゲン化メチル、なおもより好ましくは臭化メチルである。特に好ましい実施態様では、nは2であり、R1はメチルであり、R2は臭化メチルである。最も好ましい実施態様では、Rは3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イルである。
【0126】
【化8】
式中、nは2〜20の整数であり、R1はメチルまたはエチル基である。好ましくはnは2〜10、または2〜5の整数である。より好ましい実施態様では、nは2であり、R1はメチルである。
【0127】
【化9】
式中、R3、R4、およびR5は、同一であるかまたは異なり、水素または(C1〜C3)アルキル基であり、Wは−CH−または−N−であり、R6は(C2〜C3)アシル、アルデヒド、(C1〜C3)アルコール、または(C2〜C3)エステルである。より好ましくはR3およびR5はメチルであり、R4は水素である。より好ましくはR6は−CH2−OH、−CHO、−CO−CH3または−CO−OCH3である。場合によりWとCの間の二重結合は、trans(E)またはcis(Z)配座である。より好ましくはWとCの間の二重結合はtrans(E)配座である。
【0128】
Y基は、プロドラッグのデザインを可能にできるようにする。したがってYは、対象の特定領域で切断できる酵素不安定基である。Y基はまた、標的基であることもできる。好ましい実施態様では、YはO−Cat+、−A−R基、またはヌクレオシド、単糖類、エポキシドおよびハロヒドリンからなる群から選択される遊離基である。好ましくはYは、酵素不安定基である。好ましくはYはO−Cat+、−A−R基、またはヌクレオシドである。第1の好ましい実施態様では、YはO−Cat+である。第2の好ましい実施態様では、Yはヌクレオシドである。
【0129】
好ましい実施態様では、Cat+はH+、Na+、NH4+、K+、Li+、(CH3CH2)3NH+である。
【0130】
好ましい実施態様では、AはO、CHF、CF2またはCH2である。より好ましくはAはOまたはCH2である。
【0131】
好ましい実施態様では、BはOまたはNHである。より好ましくはBはOである。
【0132】
好ましい実施態様では、mは1または2である。より好ましくはmは1である。
【0133】
特定の一実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(II)、
【化10】
(式中、
Xは、ハロゲン(好ましくはI、Br、およびClから選択される)であり、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、R1はメチルまたはエチル基であり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、nは2〜20の整数であり、AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+、ヌクレオシド、または遊離基−A−R(式中、Rは1)、2)または3)の群から選択される)であり、好ましくはYはO−Cat+、またはヌクレオシドである)
の化合物を含んでなる。より好ましくはYはO−Cat+である。好ましくはR1はメチルである。好ましくはAはOまたはCH2である。より好ましくはAはOである。好ましくはnは2である。好ましくはXは臭化物である。好ましくはBはOである。好ましくはmは1または2である。より好ましくはmは1である。
【0134】
例えば合成γδT細胞活性化物質は、式(III)または(IV)、
【化11】
(式中、
X、R1、n、m、およびYは前述の意味を有する)
の化合物を含んでなる。
【0135】
好ましい一実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(V)、
【化12】
(式中、
Xはハロゲン(好ましくはI、Br、およびClから選択される)であり、R1はメチルまたはエチル基であり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、nは2〜20の整数である)
の化合物を含んでなる。好ましくはR1はメチルである。好ましくはnは2である。好ましくはXは臭化物である。
【0136】
最も好ましい実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(VI)、
【化13】
(式中、
好ましくはx Cat+は1または2Na+である)
の化合物(ホスホスチム(Phosphostim)とも称される)を含んでなる。
【0137】
別の最も好ましい実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(VII)、
【化14】
(式中、
好ましくはxCat+は1または2Na+である)
の化合物を含んでなる。
【0138】
別の最も好ましい実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式、
【化15】
(式中、
好ましくはx Cat+は1または2Na+である)
の化合物を含んでなる。
【0139】
特定の一実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(VIII)、
【化16】
(式中、
R1はメチルまたはエチル基であり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、nは2〜20の整数であり、AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+、ヌクレオシド、または遊離基−A−R(式中、Rは1)、2)または3)の群から選択される)である)
の化合物を含んでなる。好ましくはYはO−Cat+、またはヌクレオシドである。より好ましくはYはO−Cat+である。好ましくはR1はメチルである。好ましくはAはOまたはCH2である。より好ましくはAはOである。好ましくはnは2である。好ましくはBはOである。好ましくはmは1または2である。より好ましくはmは1である。
【0140】
例えば合成γδT細胞活性化物質は、式(IX)または(X)、
【化17】
(式中、
R1、n、m、およびYは前述の意味を有する)
の化合物を含んでなる。
【0141】
好ましい一実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(XI)、
【化18】
(式中、
R1はメチルまたはエチル基であり、CAT+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、およびnは2〜20の整数である)
の化合物を含んでなる。好ましくはR1はメチルである。好ましくはnは2である。
【0142】
最も好ましい実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(XI)、
【化19】
の化合物を含んでなる。好ましくはx Cat+は1または2Na+である。
【0143】
特定の一実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(XII)、
【化20】
(式中、
R3、R4、およびR5は同一であるかまたは異なり、水素または(C1〜C3)アルキル基であり、Wは−CH−または−N−であり、R6は(C2〜C3)アシル、アルデヒド、(C1〜C3)アルコール、または(C2〜C3)エステルであり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+、ヌクレオシド、または遊離基−A−R(式中、Rは1)、2)または3)の群から選択される)である)
の化合物を含んでなる。好ましくはYはO−Cat+、またはヌクレオシドである。より好ましくはYはO−Cat+である。好ましくはAはOまたはCH2である。より好ましくはAはOである。より好ましくはR3およびR5はメチルであり、R4は水素である。より好ましくはR6は−CH2−OH、−CHO、−CO−CH3または−CO−OCH3である。好ましくはBはOである。好ましくはmは1または2である。より好ましくはmは1である。場合によりWとCの間の二重結合はtrans(E)またはcis(Z)配座である。より好ましくはWとCの間の二重結合はtrans(E)配座である。
【0144】
例えば合成γδT細胞活性化物質は、式(XIII)または(XIV)、
【化21】
(式中、
R3、R4、R5、R6、W、m、およびYは、上述の意味を有する)
の化合物を含んでなる。好ましくはWは−CH−である。好ましくはR3およびR4は水素である。好ましくはR5はメチルである。好ましくはR6は−CH2−OHである。
【0145】
最も好ましい実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(XV)、
【化22】
の化合物を含んでなる。
【0146】
別の最も好ましい実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式(XVI)、
【化23】
の化合物を含んでなる。
【0147】
別の最も好ましい実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、式、
【化24】
の化合物を含んでなる。
【0148】
別の例では、ホスホ抗原は、式、
【化25】
(式中、
R3、R4、R5、R6、およびAは前述の意味を有し、R7は水素原子または(C1〜C3)アルキル基を表し、
好ましくはR3、R4、およびR6は水素である)
の化合物を含んでなる。好ましくはR7はメチルである。好ましくはR5は−CH2−OHである。好ましくはAはCH2、NHまたはOである。
【0149】
好ましい実施態様では、ホスホ抗原は、式、
【化26】
の化合物を含んでなる。
【0150】
これらの化合物は、その開示を参照によって本明細書に援用する、国際公開第00/12516号パンフレット、国際公開第00/12519号パンフレット、国際公開第03/050128号パンフレット、および国際公開第03/009855号パンフレットにおいてそのいくつかが開示されている、それ自体当該技術分野で公知の様々な技術に従って生成されてもよい。
【0151】
最も好ましい実施態様では、合成γδT細胞活性化物質は、HDMAPP、CHDMAPP、Epox−PP、BrHPP、およびCBrHPP、より好ましくはHDMAPP、CHDMAPP、BrHPP、およびCBrHPP、なおもより好ましくはHDMAPPからなる群から選択される。
【0152】
代案としては、効率性に劣るが、本発明で使用するためのその他の活性化物質は、国際公開第95/20673号パンフレットで開示されているホスホ抗原、イソペンテニルピロリン酸(IPP)などのアルケニルピロリン酸(米国特許第5,639,653号明細書)、および3−メチルブテ−3−エニルピロホスホン酸(C−IPP)である。双方の参考文献の開示は、参照によって本明細書に援用する。関係のあるその他の化合物としては、欧州特許第1153928号明細書中の2−メチル−3−ブテニル−1−ピロリン酸塩およびその他の化合物が挙げられる。
【0153】
特にγδT細胞活性化物質はHDMAPP、C−HDMAPPまたはN−HDMAPPであることができる。
【0154】
化合物の具体例としてはまた、(E)1−ピロホスホノブタ−1,3−ジエン;(E)1−ピロホスホノペンタ−1,3−ジエン;(E)1−ピロホスホノ−4−メチルペンタ−1,3−ジエン;(E,E)1−ピロホスホノ−4,8−ジメチルノナ−1,3,7−トリエン;(E,E,E)1−ピロホスホノ−4,8,12−トリメチルトリデカ−1,3,7,11−テトラエン;(E,E)1−トリホスホノ−4,8−ジメチルノナ−1,3,7−トリエン;4−トリホスホノ−2−メチルブテン;α,β−ジ−[3−メチルペンテ−3−エニル]−ピロホスホン酸;1−ピロホスホノ−3−メチルブテ−2−エン;α,γ−ジ−[3−メチルブテ−2−エニル]−トリホスホン酸;α,β−ジ−[3−メチルブテ−2−エニル]−ピロホスホン酸;アリル−ピロホスホン酸;アリル−トリホスホン酸;α,γ−ジ−アリル−ピロホスホン酸;α,β−ジ−アリル−トリホスホン酸;(E,E)4−[(5’−ピロホスホノ−6’−メチル−ペンタ−2’,4’−ジエニルオキシメチル)−フェニル]−フェニル−メタノン;(E,E)4−[(5’−トリホスホノ−6’−メチル−ペンタ−2’,4’−ジエニルオキシメチル)−フェニル]−フェニル−メタノン;(E,E,E)[4−(9’−ピロホスホノ−2’,6’−ジメチル−ノナ−2’,6’,8’−トリエニルオキシメチル)−フェニル]−フェニル−メタノン;(E,E,E)[4−(9’−ピロホスホノ−2’,6’,8’−トリメチル−ノナ−2’,6’,8’−トリエニルオキシメチル)−フェニル]−フェニル−メタノン;5−ピロホスホノ−2−メチルペンテン;5−トリホスホノ−2−メチルペンテン;α,γ−ジ−[4−メチルペンテ−4−エニル]−トリホスホン酸;5−ピロホスホノ−2−メチルペンテ−2−エン;5−トリホスホノ−2−メチルペンテ−2−エン;9−ピロホスホノ−2,6−ジメチルノナ−2,6−ジエン;9−トリホスホノ−2,6−ジメチルノナ−2,6−ジエン;α,γ−ジ−[4,8−ジメチルノナ−2,6−ジエニル]−トリホスホン酸;4−ピロホスホノ−2−メチルブテン;4−メチル−2−オキサ−ペンテ−4−エニルオキシメチルピロリン酸;4−メチル−2−オキサ−ペンテ−4−エニルオキシメチル三リン酸;α,β−ジ−[4−メチル−2−オキサ−ペンテ−4−エニルオキシメチル]−ピロリン酸;およびα,γ−ジ−[4−メチル−2−オキサ−ペンテ−4−エニルオキシメチル]−三リン酸も挙げられる。
【0155】
その他の特定の実施態様では、ホスホ抗原は、3−(ハロメチル)−3−ブタノール−1−イル−二リン酸;3−(ハロメチル)−3−ペンタノール−1−イル−二リン酸;4−(ハロメチル)−4−ペンタノール−1−イル−二リン酸;4−(ハロメチル)−4−ヘキサノール−1−イル−二リン酸;5−(ハロメチル)−5−ヘキサノール−1−イル−二リン酸;5−(ハロメチル)−5−ヘプタノール−1−イル−二リン酸;6−(ハロメチル)−6−ヘプタノール−1−イル−二リン酸;6−(ハロメチル)−6−オクタノール−1−イル−二リン酸;7−(ハロメチル)−7−オクタノール−1−イル−二リン酸;7−(ハロメチル)−7−ノナノール−1−イル−二リン酸;8−(ハロメチル)−8−ノナノール−1−イル−二リン酸;8−(ハロメチル)−8−デカノール−1−イル−二リン酸;9−(ハロメチル)−9−デカノール−1−イル−二リン酸;9−(ハロメチル)−9−ウンデカノール−1−イル−二リン酸;10−(ハロメチル)−10−ウンデカノール−1−イル−二リン酸;10−(ハロメチル)−10−ドデカノール−1−イル−二リン酸;11−(ハロメチル)−11−ドデカノール−1−イル−二リン酸;11−(ハロメチル)−11−トリデカノール−1−イル−二リン酸;12−(ハロメチル)−12−トリデカノール−1−イル−二リン酸;12−(ハロメチル)−12−テトラデカノール−1−イル−二リン酸;13−(ハロメチル)−13−テトラデカノール−1−イル−二リン酸;13−(ハロメチル)−13−ペンタデカノール−1−イル−二リン酸;14−(ハロメチル)−14−ペンタデカノール−1−イル−二リン酸;14−(ハロメチル)−14−ヘキサデカノール−1−イル−二リン酸;15−(ハロメチル)−15−ヘキサデカノール−1−イル−二リン酸;15−(ハロメチル)−15−ヘプタデカノール−1−イル−二リン酸;16−(ハロメチル)−16−ヘプタデカノール−1−イル−二リン酸;16−(ハロメチル)−16−オクタデカノール−1−イル−二リン酸;17−(ハロメチル)−17−オクタデカノール−1−イル−二リン酸;17−(ハロメチル)−17−ノナデカノール−1−イル−二リン酸;18−(ハロメチル)−18−ノナデカノール−1−イル−二リン酸;18−(ハロメチル)−18−エイコサノール−1−イル−二リン酸;19−(ハロメチル)−19−エイコサノール−1−イル−二リン酸;19−(ハロメチル)−19−ヘンエイコサノール−1−イル−二リン酸;20−(ハロメチル)−20−ヘンエイコサノール−1−イル−二リン酸;20−(ハロメチル)−20−ドコサノール−1−イル−二リン酸;21−(ハロメチル)−21−ドコサノール−1−イル−二リン酸;および21−(ハロメチル)−21−トリコサノール−1−イル−二リン酸からなる群から選択できる。
【0156】
より詳しくは、ホスホ抗原は、3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル−二リン酸(BrHPP);5−ブロモ−4−ヒドロキシ−4−メチルペンチルピロホスホン酸(CBrHPP);3−(ヨードメチル)−3−ブタノール−1−イル−二リン酸(IHPP);3−(クロロメチル)−3−ブタノール−1−イル−二リン酸(ClHPP);3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル−三リン酸(BrHPPP);3−(ヨードメチル)−3−ブタノール−1−イル−三リン酸(IHPPP);α,γ−ジ−[3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル]−三リン酸(diBrHTP);およびα,γ−ジ−[3−(ヨードメチル)−3−ブタノール−1−イル]−三リン酸(diIHTP)からなる群から選択できる。
【0157】
別の特定の実施態様では、ホスホ抗原は、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−二リン酸(Epox−PP);3,4,−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−三リン酸(Epox−PPP);α,γ−ジ−3,4,−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−三リン酸(ジ−Epox−TP);3,4−エポキシ−3−エチル−1−ブチル−二リン酸;4,5−エポキシ−4−メチル−1−ペンチル−二リン酸;4,5−エポキシ−4−エチル−1−ペンチル−二リン酸;5,6−エポキシ−5−メチル−1−ヘキシル−二リン酸;5,6−エポキシ−5−エチル−1−ヘキシル−二リン酸;6,7−エポキシ−6−メチル−1−ヘプチル−二リン酸;6,7−エポキシ−6−エチル−1−ヘプチル−二リン酸;7,8−エポキシ−7−メチル−1−オクチル−二リン酸;7,8−エポキシ−7−エチル−1−オクチル−二リン酸;8,9−エポキシ−8−メチル−1−ノニル−二リン酸;8,9−エポキシ−8−エチル−1−ノニル−二リン酸;9,10−エポキシ−9−メチル−1−デシル−二リン酸;9,10−エポキシ−9−エチル−1−デシル−二リン酸;10,11−エポキシ−10−メチル−1−ウンデシル−二リン酸;10,11−エポキシ−10−エチル−1−ウンデシル−二リン酸;11,12−エポキシ−11−メチル−1−ドデシル−二リン酸;11,12−エポキシ−11−エチル−1−ドデシル−二リン酸;12,13−エポキシ−12−メチル−1−トリデシル−二リン酸;12,13−エポキシ−12−エチル−1−トリデシル−二リン酸;13,14−エポキシ−13−メチル−1−テトラデシル−二リン酸;13,14−エポキシ−13−エチル−1−テトラデシル−二リン酸;14,15−エポキシ−14−メチル−1−ペンタデシル−二リン酸;14,15−エポキシ−14−エチル−1−ペンタデシル−二リン酸;15,16−エポキシ−15−メチル−1−ヘキサデシル−二リン酸;15,16−エポキシ−15−エチル−1−ヘキサデシル−二リン酸;16,17−エポキシ−16−メチル−1−ヘプタデシル−二リン酸;16,17−エポキシ−16−エチル−1−ヘプタデシル−二リン酸;17,18−エポキシ−17−メチル−1−オクタデシル−二リン酸;17,18−エポキシ−17−エチル−1−オクタデシル−二リン酸;18,19−エポキシ−18−メチル−1−ノナデシル−二リン酸;18,19−エポキシ−18−エチル−1−ノナデシル−二リン酸;19,20−エポキシ−19−メチル−1−エイコシル−二リン酸;19,20−エポキシ−19−エチル−1−エイコシル−二リン酸;20,21−エポキシ−20−メチル−1−ヘンエイコシル−二リン酸;20,21−エポキシ−20−エチル−1−ヘンエイコシル−二リン酸;21,22−エポキシ−21−メチル−1−ドコシル−二リン酸;および21,22−エポキシ−21−エチル−1−ドコシル−二リン酸からなる群から選択されることができる。
【0158】
さらなる特定の実施態様では、ホスホ抗原は、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−二リン酸(Epox−PP);3,4,−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−三リン酸(Epox−PPP);α,γ−ジ−3,4,−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−三リン酸(ジ−Epox−TP);およびウリジン5’−三リン酸−(3,4−エポキシメチルブチル)(Epox−UTP)からなる群から選択されることができる。
【0159】
別の好ましい実施態様では、ホスホ抗原は(E)−4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブテニルピロリン酸(HDMAPP)および(E)−5−ヒドロキシ−4−メチルペンテ−3−エニルピロホスホン酸(CHDMAPP)からなる群から選択されることができる。
【0160】
これらの化合物は、その開示を参照によって本明細書に援用する国際公開第00/12516号パンフレット、国際公開第00/12519号パンフレット、国際公開第03/050128号パンフレット、国際公開第02/083720号パンフレット、および国際公開第03/009855号パンフレットにおいてそのいくつかが開示されている、それ自体当該技術分野で公知の様々な技術に従って生成されてもよい。
【0161】
好ましい一実施態様では、ホスホ抗原はγδT細胞活性化物質であり、その化学式および特異的構造ならびに合成方法の開示を参照によって本明細書に援用する、国際公開第00/12516号パンフレット、国際公開第00/12519号パンフレット、国際公開第03/050128号パンフレット、国際公開第02/083720号パンフレット、国際公開第03/009855号パンフレット、および国際公開第05/054258号パンフレットのいずれかで述べられている化合物である。別の好ましい実施態様では、ホスホ抗原はγδT細胞活性化物質であり、HDMAPP、CHDMAPP、NHDMAPP、H−アンジェリル(angelyl)PP、Epox−PP、BrHPP、およびCBrHPPからなる群から選択される化合物である。
【0162】
さらなる実施態様では、本発明および特に結晶相を作成する方法は、ここで具体的に言及されるものと構造的に関連した化合物と共に使用するのに適するものと理解される。好ましい実施態様では、本発明はヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体または誘導体またはヌクレオチド様化合物ならびにビスホスホン酸化合物もまた包含する。
【0163】
γδT細胞活性化物質はまた、アミノホスホン酸、好ましくは式XVII、
【化27】
(式中、
R’は直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和の、C1〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基はアミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、およびその組み合わせからなる群から選択される1つまたはいくつかの置換基によって置換されているアルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含んでなる)
のアミノホスホン酸であることもできる。
【0164】
好ましい実施態様では、式XVIIのR’は直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和、C1〜C10炭化水素基であり、それはアミン、アミノ基、ピリジン基、ピリミジン基、ピロール基、イミダゾール基、ピラゾール基、トリアゾール基によって置換される。
【0165】
なおもより好ましい実施態様では、式XVIIのR’は、
【化28】
からなる群から選択される。
【0166】
好ましくはビスホスホン酸タイプの化合物は、以下の化合物からなる群または薬学的に許容可能なその塩、またはあらゆるその水和物から選択される。例えばパミドロネート(APD)などの3−アミノ−1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸(パミドロン酸);例えばジメチル−APDなどの3−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸;例えばアレンドロネートなどの4−アミノ−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジホスホン酸(アレンドロン酸);例えばエチドロネートなどの1−ヒドロキシ−エチリデン−ビスホスホン酸;例えばイバンドロネートなどの1−ヒドロキシ−3−(メチルペンチルアミノ)−プロピリデン−ビスホスホン酸、イバンドロン酸;例えばアミノ−ヘキシル−BPなどの6−アミノ−1−ヒドロキシヘキサン−1,1−ジホスホン酸;例えばメチル−ペンチル−APD(=BM21.0955)などの3−(N−メチル−N−ペンチルアミノ)−1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸;1−ヒドロキシ−2−(イミダソール−1イル)エタン−1,1−ジホスホン酸;例えばNE−10244またはNE−10446、3−[N−(2−フェニルチオエチル)−N−メチルアミノ]−1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸などのヨウ化ピリジニウムN−メチルなどの、そのN−メチルピリジニウム塩を含むリセドロネートなどの1−ヒドロキシ−2−(3−ピリジニル)エタン−1,1−ジホスホン酸(リセドロン酸);例えばEB 1053(レオ(Leo))などの1−ヒドロキシ−3−(ピロリジン−1−イル)プロパン−1,1−ジホスホン酸;例えばFR 78844(フジサワ(fuzisawa))などの1−(N−フェニルアミノチオカルボニル)メタン−1,1−ジホスホン酸;例えばU−81581(アップジョン(Upjohn))などの5−ベンゾイル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラゾール−3,3−ジホスホン酸テトラエチルエステル;例えばYM529などの1−ヒドロキシ−2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル)エタン−1,1−ジホスホン酸;および例えばクロドロネートなどの1,1−ジクロロメタン−1,1−ジホスホン酸(クロドロン酸)。好ましくはビスホスホン酸は、γδT細胞の活性化をもたらす化合物である。
【0167】
特にγδT細胞活性化物質は、パミドロネート、アレンドロネート、イバンドロネート、リセドロネート、およびゾレドロネートからなる群から選択されることができる。
【0168】
本発明のさらなる態様および利点は、例証的なものと見なされ、本明細書の範囲を制限するものではない以下の実験の項で開示される。
【0169】
好ましくは治療のための式I〜XVIIのγδT細胞活性化物質化合物の投薬量(単一投与)は、約1μg/kg〜約1.2g/kgの間である。上の投薬量は、一群の化合物にかかわり、本明細書で例示的な化合物についてさらに述べられているように、各特定化合物では最適用量が変動してもよいものと理解される。それにもかかわらず化合物は、好ましくは対象においてγδT細胞の生物学的活性を顕著に増大させ、またはγδT細胞集団数を顕著に増大させるのに十分な用量で投与される。前記用量は好ましくは静脈内(i.v.)投与によって、2〜180分間、好ましくは2〜120分間、より好ましくは約5〜約60分間、または最も好ましくは約30分間または約60分間かけてヒトに投与される。好ましい例示的な化合物では、式I〜XVIIの化合物は、約0.1mg/kg〜約1.2g/kgの間、好ましくは約10mg/kg〜約1.2g/kgの間、より好ましくは約5mg/kg〜約100mg/kgの間、なおもより好ましくは約5μg/kg〜60mg/kgの間の投薬量(単一投与)で投与される。
【実施例】
【0170】
1.生体外有効性結果
細胞溶解活性アッセイ
第1の実験は、腫瘍細胞死滅のアセスメントからなる。標準細胞毒性アッセイ(4時間51Cr放出)で測定されるいくつかの腫瘍細胞系に対する溶解能力について、健康な供与者からの末梢性Vγ9δ2T細胞を試験した。腫瘍細胞系は51Crで同位体標識した。51Crの放出を共培養の4時間後に判定した。標準式[(実験的放出−自然放出/総放出−自然放出)×100]を使用して、非溶解(百分率で表わされる)を計算する。
【0171】
3つの実験条件を使用して、腫瘍細胞死滅を比較した。
−腫瘍細胞系+異なる濃度(100、50、および10μg/ml)の治療用抗体(リツキシマブまたはカンパス(Campath))、
−腫瘍細胞系+異なる細胞比(30:1、10:1、1:1)のホスホ抗原(phosphantigen)による活性化γδT細胞(BrHPP100nM、HDMAPP20nMまたはC−HDMAPP20nM)、
−腫瘍細胞系+異なる細胞比(30:1、10:1、1:1)のホスホ抗原(phosphantigen)による活性化γδT細胞(BrHPP100nM、HDMAPP20nMまたはC−HDMAPP20nM)+10μg/mlの治療用抗体(リツキシマブまたはカンパス(Campath))。ホスホ抗原γδT細胞活性化物質ピコスチム(Picostim)プラス抗Her2Neuハーセプチン(Herceptin)は、Her2Neu乳癌細胞を代表するHer2Neu癌腫細胞の死滅を増大させる(細胞系FKBR3を参照されたい)。
【0172】
実験を少なくとも三連で実施した。(*)および(**)は、それぞれ高度に有意な<1/100および<1/1000を意味する
【0173】
試験された腫瘍細胞系は次のとおり。NCBE、GRANTA、RL、Karpas−422、RAJI、DAUDI、およびEs−Moult。試験された細胞系を図1〜7に示す。
【0174】
C−HDMAPP(Pico)での結果を図1〜7に示す。同一結果がBrHPPおよびHDMAPPで観察された。
【0175】
2つの異なる治療用抗体について、治療用抗体とγδT細胞活性化物質の併用による腫瘍細胞死滅が、より高いことが観察された。したがって治療用抗体およびγδT細胞活性化物質は、腫瘍細胞の死滅に対して相乗効果を有する。
【0176】
細胞溶解性細胞判定アッセイ
第2の実験は、Vγ9δ2T細胞の細胞毒性能力のアセスメントからなる。前述したように、腫瘍細胞系をγδT細胞(治療用抗体単独10μg/ml、ホスホ抗原による活性化Vγ9δ2T細胞単独、または双方)と共に同時培養した。実験は、細胞毒性活性を有するVγ9δ2T細胞の数を判定した。細胞毒性能力を有するVγ9δ2T細胞は、溶解を被りやすい標的細胞と接触した後に、それらの表面にCD107aを発現することが知られている。CD107a+細胞は、フローサイトメトリーによって測定した。
【0177】
試験された腫瘍細胞系は次のとおり。NCBE、RL、Karpas−422、RAJI、DAUDI、GRANTA、FKBR3、およびEs−Moult。試験された細胞系を図8〜14に示す。
【0178】
C−HDMAPPでの結果を図8〜14に示す。同一結果がBrHPPおよびHDMAPPで観察された。
【0179】
2つの異なる治療用抗体について、治療用抗体とγδT細胞活性化物質の併用療法に続いて細胞毒性Vγ9δ2T細胞の数が増大することが観察された。
【0180】
2.霊長類における臨床前データ
GLP研究において、8匹の目的に合わせて繁殖されたカニクイザル(Macaca fascicularis)をリツキシマブおよびBrHPPで処置した。6匹の動物にリツキシマブおよびBrHPPの組み合わせを投与した。2匹からなる対照群はリツキシマブ単独(BrHPPなし)で処置した。
【0181】
カニクイザル(3匹/性別)に、5mg/kgのリツキシマブの4週間の静脈内注射(5mL/kg、30分または1時間輸液)、3週間間隔で3回の90mg/kgのBrHPP静脈内注射(15mL/kg、30分間の輸液)を行い、BrHPPの1回目の投与は2回目のリツキシマブ注射と同日であり、BrHPP投与の日から始めて連続5日間、皮下IL−2(100万IU、400万IU/m2当量、450μL用量容積)と共に投与した。
【0182】
対照動物(1匹/性別)に、BrHPPおよびIL−2の代わりのビヒクル注射と共に、5mg/kgのリツキシマブの4週間の静脈点滴を行った。
【0183】
研究全体を通じて不耐性または急性毒性の持続性徴候はなく、併用療法は安全と見なされる。
【0184】
初期サイトカイン放出投薬量に基づいて(リツキシマブまたはBrHPPの各投与の4時間以内)、炎症促進性サイトカインの明らかな過剰誘導はないように見える。サイトカインプロフィールは、各化合物の単独投与後に予期されるものと全く同じであり、生成レベルは矛盾しない。
【0185】
血液リンパ球集団の免疫モニタリングは、リツキシマブ処置動物においてBrHPPにより、生体内でγδTリンパ球が有効にかつ繰り返し増幅できることを確認し、応答レベルおよび動態は一般にBrHPP単独で観察されるのと少なくとも同様である(図15、右パネル:併用処置動物は黒色、対照は灰色)。
【0186】
さらにBrHPP+リツキシマブ処置動物では、B細胞枯渇がリツキシマブ単独で処置された動物よりも迅速で有効かつ相当高い。さらに血液中のB細胞の再構成は、リツキシマブ単独処置動物より、BrHPP+リツキシマブ処置動物でより遅い(図15、左パネル:併用処置動物は黒色、対照は灰色)。
【0187】
これらの全ての観察は、リツキシマブおよびBrHPPの併用が、リツキシマブ単独よりもBリンパ腫枯渇のためにより有効であり、B細胞集団の再構成を遅延させ、それによって生体内B細胞枯渇療法の有効性を改善することを確認する。
【0188】
結論
BHPPとリツキシマブの相互作用は薬理学的に有益なようであり(B細胞枯渇)、単独療法の各化合物と比較して効果が改善される。さらにサルに臨床投与計画を適用しても、特に併用療法に起因するサイトカイン放出の劇的な増大の徴候である毒性の主な徴候は生じなかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
γδT細胞活性化物質、治療用抗体、および薬学的に許容可能なキャリアを含んでなる医薬組成物。
【請求項2】
疾患治療における同時、別個または逐次使用のための併用製剤として、γδT細胞活性化物質および治療用抗体を含有する製品。
【請求項3】
前記治療用抗体が、ウイルス感染細胞、腫瘍細胞、自己免疫障害の原因となる細胞またはその他の病原細胞などの病的細胞を標的とする、請求項1または2に記載の組成物または製品。
【請求項4】
前記治療用抗体がモノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体またはその抗原結合断片である、請求項の1〜3いずれか一項に記載の組成物または製品。
【請求項5】
前記治療用抗体がリツキシマブまたはカンパスである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物または製品。
【請求項6】
前記γδT細胞活性化物質が、式(I)
【化1】
(式中、
Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し;
mは1〜3の整数であり;
BはO、NH、または加水分解されうる任意の基であり;
Y=O−Cat+、C1〜C3アルキル基、−A−R基、またはヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、脂肪酸、単純脂質、複合脂質、葉酸、テトラヒドロ葉酸、リン酸、イノシトール、ビタミン、補酵素、フラボノイド、アルデヒド、エポシキド、およびハロヒドリンからなる群から選択される基であり;
AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり;
Rは、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断されていてもよい、直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和の、C1〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基は、アルキル、アルキレニル、アルキニル、エポキシアルキル、アリール、複素環、アルコキシ、アシル、アルコール、カルボン酸基(−COOH)、エステル、アミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、ニトリル、ヒドロキシル(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、ハロゲン、ハロゲノアルキル、チオール(−SH)、チオアルキル、スルホン、スルホキシド、およびその組み合わせからなる群から選択される1つまたはいくつかの置換基によって置換されていてもよい、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含んでなる)
の化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物または製品。
【請求項7】
前記γδT細胞活性化物質が、式(II)
【化2】
(式中、
Xはハロゲン(好ましくはI、Br、およびClから選択される)であり、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、R1はメチルまたはエチル基であり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、nは2〜20の整数であり、AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+である)
の化合物である、請求項6に記載の組成物または製品。
【請求項8】
前記γδT細胞活性化物質がBrHPP、C−BrHPPまたはN−BrHPPである、請求項7に記載の組成物または製品。
【請求項9】
前記γδT細胞活性化物質が、式(XII)
【化3】
(式中、
R3、R4、およびR5は同一であるかまたは異なり、水素または(C1〜C3)アルキル基であり、Wは−CH−または−N−であり、R6は(C2〜C3)アシル、アルデヒド、(C1〜C3)アルコール、または(C2〜C3)エステルであり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+である)
の化合物である、請求項6に記載の組成物または製品。
【請求項10】
前記γδT細胞活性化物質が、HDMAPP、C−HDMAPPまたはN−HDMAPPである、請求項9に記載の組成物または製品。
【請求項11】
前記γδT細胞活性化物質が、式XVII
【化4】
(式中、
R’は直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和の、C1〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基は、アミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、およびその組み合わせからなる群から選択される1つまたはいくつかの置換基によって置換されている、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含んでなる)
の化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物または製品。
【請求項12】
前記γδT細胞活性化物質が、パミドロネート、アレンドロネート、イバンドロネート、リセドロネート、およびゾレドロネートからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物または製品。
【請求項13】
薬剤を調製するためのγδT細胞活性化物質および治療用抗体の使用。
【請求項14】
治療的有効量のγδT細胞活性化物質の投与前に、それと同時に、またはそれに続いて、治療用抗体が対象に投与される、前記対象への前記治療用抗体の投与を伴う、疾患治療効率を増大させる薬物を調製するためのγδT細胞活性化物質の使用。
【請求項15】
前記治療用抗体が、ウイルス感染細胞、腫瘍細胞、自己免疫障害の原因となる細胞、およびその他の病原細胞からなる群から選択される病的細胞を標的とする、請求項13または14に記載の使用。
【請求項16】
疾患が、好ましくはウイルス感染細胞、腫瘍細胞、自己免疫障害の原因となる細胞またはその他の病原細胞などの病的細胞である、標的細胞の枯渇を必要とする、請求項13〜15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
疾患が、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、および感染性(例えば細菌またはウイルス性)疾患からなる群から選択される、請求項13〜16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記治療用抗体が、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体またはその抗原結合断片である、請求項13〜17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
前記治療用抗体がリツキシマブまたはカンパスである、請求項13〜18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
前記γδT細胞活性化物質が、式(I)
【化5】
(式中、
Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し;
mは1〜3の整数であり;
BはO、NH、または加水分解されうる任意の基であり;
Y=O−Cat+、C1〜C3アルキル基、−A−R基、またはヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、脂肪酸、単純脂質、複合脂質、葉酸、テトラヒドロ葉酸、リン酸、イノシトール、ビタミン、補酵素、フラボノイド、アルデヒド、エポシキド、およびハロヒドリンからなる群から選択される基であり;
AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり;
Rは、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断されていてもよい、直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和の、C1〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基は、アルキル、アルキレニル、アルキニル、エポキシアルキル、アリール、複素環、アルコキシ、アシル、アルコール、カルボン酸基(−COOH)、エステル、アミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、ニトリル、ヒドロキシル(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、ハロゲン、ハロゲノアルキル、チオール(−SH)、チオアルキル、スルホン、スルホキシド、およびその組み合わせからなる群から選択される1つまたはいくつかの置換基によって置換されていてもよい、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含んでなる)
の化合物である、請求項13〜19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
前記γδT細胞活性化物質が、式(II)
【化6】
(式中、
Xはハロゲン(好ましくはI、Br、およびClから選択される)であり、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、R1はメチルまたはエチル基であり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、nは2〜20の整数であり、AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+である)
の化合物である、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記γδT細胞活性化物質が、BrHPP、C−BrHPPまたはN−BrHPPである、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記γδT細胞活性化物質が、式(XII)
【化7】
(式中、
R3、R4、およびR5は同一であるかまたは異なり、水素または(C1〜C3)アルキル基であり、Wは−CH−または−N−であり、R6は(C2〜C3)アシル、アルデヒド、(C1〜C3)アルコール、または(C2〜C3)エステルであり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+である)
の化合物である、請求項20に記載の使用。
【請求項24】
前記γδT細胞活性化物質が、HDMAPP、C−HDMAPPまたはN−HDMAPPである、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
前記γδT細胞活性化物質が、式XVII、
【化8】
(式中、
R’は直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和の、C1〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基はアミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、およびその組み合わせからなる群から選択される1つまたはいくつかの置換基によって置換されている、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含んでなる)
の化合物である、請求項13〜19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
前記γδT細胞活性化物質が、パミドロネート、アレンドロネート、イバンドロネート、リセドロネート、およびゾレドロネートからなる群から選択される、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
Bリンパ腫の枯渇を改善するためのγδT細胞活性化物質および治療用抗体の使用。
【請求項28】
B細胞集団の再構成を遅延させるためのγδT細胞活性化物質および治療用抗体の使用。
【請求項29】
前記治療用抗体がリツキシマブである、請求項27または28に記載の使用。
【請求項30】
γδT細胞活性化物質の前に前記治療用抗体を投与するステップを含んでなる、疾患を治療するためのγδT細胞活性化物質および治療用抗体の使用。
【請求項31】
前記γδT細胞活性化物質が1回投与され、前記投与が2回目の抗体の投与と実質的に同時に行われる、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
サイトカインを3〜10日の期間にわたり投与するステップを含んでなり、1回目のサイトカイン投与が前記γδT細胞活性化物質の投与と同日に行われる、請求項30または31に記載の使用。
【請求項1】
γδT細胞活性化物質、治療用抗体、および薬学的に許容可能なキャリアを含んでなる医薬組成物。
【請求項2】
疾患治療における同時、別個または逐次使用のための併用製剤として、γδT細胞活性化物質および治療用抗体を含有する製品。
【請求項3】
前記治療用抗体が、ウイルス感染細胞、腫瘍細胞、自己免疫障害の原因となる細胞またはその他の病原細胞などの病的細胞を標的とする、請求項1または2に記載の組成物または製品。
【請求項4】
前記治療用抗体がモノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体またはその抗原結合断片である、請求項の1〜3いずれか一項に記載の組成物または製品。
【請求項5】
前記治療用抗体がリツキシマブまたはカンパスである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物または製品。
【請求項6】
前記γδT細胞活性化物質が、式(I)
【化1】
(式中、
Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し;
mは1〜3の整数であり;
BはO、NH、または加水分解されうる任意の基であり;
Y=O−Cat+、C1〜C3アルキル基、−A−R基、またはヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、脂肪酸、単純脂質、複合脂質、葉酸、テトラヒドロ葉酸、リン酸、イノシトール、ビタミン、補酵素、フラボノイド、アルデヒド、エポシキド、およびハロヒドリンからなる群から選択される基であり;
AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり;
Rは、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断されていてもよい、直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和の、C1〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基は、アルキル、アルキレニル、アルキニル、エポキシアルキル、アリール、複素環、アルコキシ、アシル、アルコール、カルボン酸基(−COOH)、エステル、アミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、ニトリル、ヒドロキシル(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、ハロゲン、ハロゲノアルキル、チオール(−SH)、チオアルキル、スルホン、スルホキシド、およびその組み合わせからなる群から選択される1つまたはいくつかの置換基によって置換されていてもよい、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含んでなる)
の化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物または製品。
【請求項7】
前記γδT細胞活性化物質が、式(II)
【化2】
(式中、
Xはハロゲン(好ましくはI、Br、およびClから選択される)であり、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、R1はメチルまたはエチル基であり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、nは2〜20の整数であり、AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+である)
の化合物である、請求項6に記載の組成物または製品。
【請求項8】
前記γδT細胞活性化物質がBrHPP、C−BrHPPまたはN−BrHPPである、請求項7に記載の組成物または製品。
【請求項9】
前記γδT細胞活性化物質が、式(XII)
【化3】
(式中、
R3、R4、およびR5は同一であるかまたは異なり、水素または(C1〜C3)アルキル基であり、Wは−CH−または−N−であり、R6は(C2〜C3)アシル、アルデヒド、(C1〜C3)アルコール、または(C2〜C3)エステルであり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+である)
の化合物である、請求項6に記載の組成物または製品。
【請求項10】
前記γδT細胞活性化物質が、HDMAPP、C−HDMAPPまたはN−HDMAPPである、請求項9に記載の組成物または製品。
【請求項11】
前記γδT細胞活性化物質が、式XVII
【化4】
(式中、
R’は直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和の、C1〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基は、アミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、およびその組み合わせからなる群から選択される1つまたはいくつかの置換基によって置換されている、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含んでなる)
の化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物または製品。
【請求項12】
前記γδT細胞活性化物質が、パミドロネート、アレンドロネート、イバンドロネート、リセドロネート、およびゾレドロネートからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物または製品。
【請求項13】
薬剤を調製するためのγδT細胞活性化物質および治療用抗体の使用。
【請求項14】
治療的有効量のγδT細胞活性化物質の投与前に、それと同時に、またはそれに続いて、治療用抗体が対象に投与される、前記対象への前記治療用抗体の投与を伴う、疾患治療効率を増大させる薬物を調製するためのγδT細胞活性化物質の使用。
【請求項15】
前記治療用抗体が、ウイルス感染細胞、腫瘍細胞、自己免疫障害の原因となる細胞、およびその他の病原細胞からなる群から選択される病的細胞を標的とする、請求項13または14に記載の使用。
【請求項16】
疾患が、好ましくはウイルス感染細胞、腫瘍細胞、自己免疫障害の原因となる細胞またはその他の病原細胞などの病的細胞である、標的細胞の枯渇を必要とする、請求項13〜15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
疾患が、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、および感染性(例えば細菌またはウイルス性)疾患からなる群から選択される、請求項13〜16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記治療用抗体が、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体またはその抗原結合断片である、請求項13〜17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
前記治療用抗体がリツキシマブまたはカンパスである、請求項13〜18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
前記γδT細胞活性化物質が、式(I)
【化5】
(式中、
Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し;
mは1〜3の整数であり;
BはO、NH、または加水分解されうる任意の基であり;
Y=O−Cat+、C1〜C3アルキル基、−A−R基、またはヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、脂肪酸、単純脂質、複合脂質、葉酸、テトラヒドロ葉酸、リン酸、イノシトール、ビタミン、補酵素、フラボノイド、アルデヒド、エポシキド、およびハロヒドリンからなる群から選択される基であり;
AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり;
Rは、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断されていてもよい、直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和の、C1〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基は、アルキル、アルキレニル、アルキニル、エポキシアルキル、アリール、複素環、アルコキシ、アシル、アルコール、カルボン酸基(−COOH)、エステル、アミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、ニトリル、ヒドロキシル(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、ハロゲン、ハロゲノアルキル、チオール(−SH)、チオアルキル、スルホン、スルホキシド、およびその組み合わせからなる群から選択される1つまたはいくつかの置換基によって置換されていてもよい、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含んでなる)
の化合物である、請求項13〜19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
前記γδT細胞活性化物質が、式(II)
【化6】
(式中、
Xはハロゲン(好ましくはI、Br、およびClから選択される)であり、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、R1はメチルまたはエチル基であり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、nは2〜20の整数であり、AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+である)
の化合物である、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記γδT細胞活性化物質が、BrHPP、C−BrHPPまたはN−BrHPPである、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記γδT細胞活性化物質が、式(XII)
【化7】
(式中、
R3、R4、およびR5は同一であるかまたは異なり、水素または(C1〜C3)アルキル基であり、Wは−CH−または−N−であり、R6は(C2〜C3)アシル、アルデヒド、(C1〜C3)アルコール、または(C2〜C3)エステルであり、Cat+は1つの(またはいくつかの同一のまたは異なる)有機または無機カチオン(プロトンを含む)を表し、BはOまたはNHであり、mは1〜3の整数であり、AはO、S、NH、CHF、CF2またはCH2であり、YはO−Cat+である)
の化合物である、請求項20に記載の使用。
【請求項24】
前記γδT細胞活性化物質が、HDMAPP、C−HDMAPPまたはN−HDMAPPである、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
前記γδT細胞活性化物質が、式XVII、
【化8】
(式中、
R’は直鎖、分枝、または環式、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和の、C1〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基はアミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、およびその組み合わせからなる群から選択される1つまたはいくつかの置換基によって置換されている、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含んでなる)
の化合物である、請求項13〜19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
前記γδT細胞活性化物質が、パミドロネート、アレンドロネート、イバンドロネート、リセドロネート、およびゾレドロネートからなる群から選択される、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
Bリンパ腫の枯渇を改善するためのγδT細胞活性化物質および治療用抗体の使用。
【請求項28】
B細胞集団の再構成を遅延させるためのγδT細胞活性化物質および治療用抗体の使用。
【請求項29】
前記治療用抗体がリツキシマブである、請求項27または28に記載の使用。
【請求項30】
γδT細胞活性化物質の前に前記治療用抗体を投与するステップを含んでなる、疾患を治療するためのγδT細胞活性化物質および治療用抗体の使用。
【請求項31】
前記γδT細胞活性化物質が1回投与され、前記投与が2回目の抗体の投与と実質的に同時に行われる、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
サイトカインを3〜10日の期間にわたり投与するステップを含んでなり、1回目のサイトカイン投与が前記γδT細胞活性化物質の投与と同日に行われる、請求項30または31に記載の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−544582(P2009−544582A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518903(P2009−518903)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057217
【国際公開番号】WO2008/006895
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(591049848)
【氏名又は名称原語表記】INSERM
【出願人】(506000184)イナート・ファルマ (15)
【氏名又は名称原語表記】INNATE PHARMA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057217
【国際公開番号】WO2008/006895
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(591049848)
【氏名又は名称原語表記】INSERM
【出願人】(506000184)イナート・ファルマ (15)
【氏名又は名称原語表記】INNATE PHARMA
【Fターム(参考)】
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