説明

ころがり要素軸受に作用する接触力ベクトルを決定するための方法及びそのためのセンサ装置

運転中のころがり要素軸受(1)に作用する接触力ベクトルを決定するための方法そして装置である。センサ信号は、ころがり要素軸受(1)の運転特性を測定す複数のセンサ(8)から得られる。複数のセンサ信号は接触力ベクトルを決定するために処理される。複数のセンサ(8)は、軸受の部材の変形を測定するように配され、処理の工程は、ころがり要素軸受(1)を表わす有限要素解析モデルの逆変換を用いて接触力ベクトルを決定する工程を含む。有限要素解析モデルは、少なくとも一つの一般化モード形を用いて簡単化され、少なくとも一つの一般化モード形は、内輪(6)あるいは外輪(5)のようなころがり要素軸受(1)の部材の自然モード変形の数学的表記である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玉軸受あるいはころ軸受のようなころがり要素軸受での荷重測定に関する。さらに詳しくは、本発明は、内輪、外輪そして内輪と外輪との間に配された複数のころがり要素を有するころがり要素軸受について、運転中にころがり要素軸受に作用する接触力ベクトルを決定するための方法そしてセンサ装置に関し、該方法は、ころがり要素軸受の運転特性を測定する複数のセンサからの信号を受ける工程と、接触力ベクトルを決定するために受信センサ信号を処理する工程とを経る。
【背景技術】
【0002】
このような荷重測定方法は、例えば、センサユニットをもつころがり要素軸受を開示する特許文献1で知られている。ここでは、センサユニットは、ストレーンゲージの形態の二つのセンサ要素を有し、これらは、作用する荷重、回転連度そして加速度を含めて軸受のいくつかの運転特性を効果的に測定する。
【特許文献1】US-A-5,140,849
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この公知のセンサ装置は、軸受に作用している総荷重ベクトルを測定する能力がない。二つのセンサ要素によって検知された軸受への荷重がどう作用しているか、したがって、軸受への荷重がセンサ要素信号からどのように決定するか、軸受形態について仮定が(多くは経験的に)なされている。又、軸受の非線形特性に起因して、玉通過周特徴を用いた通常の振動測定法が、広い意味で、軸受への荷重を決定するには十分ではない。
【0004】
本発明は、軸受へ作用する完全な荷重ベクトル、すなわち、直交せる三つの力の成分と二つのモーメント(軸受の回転軸まわりのモーメントは重要でない)を決定することのできる、軸受荷重決定のための改善された方法とセンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一のアスペクトによると、ころがり要素軸受に作用する接触力ベクトルを決定するための方法において、軸受の要素についての変形を測定するように配された複数のセンサが設けられ、処理の工程は、ころがり要素軸受を表す有限要素解析モデルの逆変換を用いた接触力ベクトルを決定する工程を含んでいる。センサを用いて変形が測定される軸受の要素は、内輪や外輪であり、あるいは一つの転がり要素であってもよい。
【0006】
この方法は、部材の変形についての測定を行うことにより、有限要素解析モデルを用いて得られる、ころがり要素軸受について、すべての位置ですべての直交方向での荷重ベクトルを決定することができるという利点がある。
【0007】
本発明方法の好ましい形態では、有限要素解析モデルが少なくとも一つの一般化モードの形の使用で簡略化され、ここで、少なくとも一つの一般化モードの形は、内輪や外輪のようなころがり軸受の部材の自然モード変形の数学的表記である。この形態は、ころがり要素軸受の部材が固有の自然モードの形にしたがって変形するという点についての着目にもとづいている。一般化モード形は、一般化質量、剛性マトリックスそして減衰マトリックスを用いて、部材の自然モードの変形、すなわち、部材の静的そして動的動きを表わす。少なくとも一つの一般化モード形状を用いると、荷重ベクトルを決定するために解かねばならない方程式の数を大幅に少なくでき、何万もの要素を有する部材が数百の一般化モード形に縮小される。
【0008】
さらなる形態では、簡略化されたモデルは次の形で表される。
【0009】
【数6】

【0010】
なお、本明細書では、ベクトル表記として、文中では「」をベクトルである文字の前に付し、数式中では「」をその文字の上に付している。又、行列を表記するために、文中では「」を行列を示す文字の前に付し、数式中では「」をその文字の上に付している。又、行列の表記において文字の右肩に付された「T」は転置を表す。
【0011】
上記式において、
s(ω)は、周波数ωにおいて変形が測定された一組の測定点であり、
は、簡略化されたモデルのための剛性マトリックスの計算のために用いられる変換マトリックスTの部分集合であり、
剛性マトリックスは、
【0012】
【数7】

【0013】
で、FEMは、部材の有限要素解析モデルの剛性マトリックスであり、
pは部材の変形を表わすベクトルであり、
θは部材の周方向での座標であり、
αは部材に直角な座標であり、
Fは部材の簡略化モデルのために用いられる形状関数(shape function)
であり、
は、ベクトルθとαでストアされた座標での点に作用する接触力のベクトルであり、
は、部材に、作用する他の力のベクトルであり、
そして、
接触力ベクトルfを決定する工程が、θとαのための簡略化されたモデル方程式を解く工程と
【0014】
【数8】

【0015】
にしたがって接触力を合計する工程とを含む。

簡略化されたモデルを形成する特定の一連の方程式は、速やかにそして正確に、荷重ベクトルfを決定すべく解かれる。
【0016】
本発明のさらなる形態では、ころがり要素通過周波数ωbpにおけるセンサ信号のみが簡単化されたモデルで考慮される。部材への外力を表すベクトルはころがり要素通過周波数ではほとんどゼロなので、これは一組の方程式を解く仕事を楽にする。
【0017】
本発明のさらなる他の形態においても、センサはころがり要素と同じピッチで配されており、簡単化されたモデルは、次の式で表わされる。
【0018】
【数9】

【0019】
そして、接触力ベクトルfを決定する工程は、||とαのための簡略化されたモデル方程式を解く工程と
【0020】
【数10】

【0021】
にしたがい接触力を合計する工程とを含む。センサをころがり要素と同じピッチの位置に配することにより、相の影響は簡略化されたモデルで除去でき、さらには一組の方程式を解くコンピュータで仕事を減ずることさえできる。
【0022】
センサの数は、好ましくは、ころがり要素の数と同じである。これは、一組の方程式についての解を正確に決定でき、一組の方程式についての過度な決定をしなくて済む。
【0023】
さらなる形態においては、ころがり要素軸受に作用する力のベクトルの接触角が予め定めた値に等しく、複数のセンサは荷重を受けているころがり要素の数と同じである。力のベクトルの接触角が、この場合、既知なので、一組の方程式を解のに必要な情報(すなわちセンサ要素の数)が少なくなる。例えば、荷重ベクトルを三つだけのころがり要素で支持している、ラジアル荷重を受ける軸受の場合、これらの三位置での変形を決定するだけで十分であり、したがって三つのセンサのみ必要となる。
【0024】
アンギュラコンタクト玉軸受の場合、力のベクトルの角度αは既知であり、荷重を受けているころがり要素の数に等しいN個のセンサを用いるだけで十分である。
【0025】
本発明の他のアスペクトでは、本発明は運転中のころがり要素軸受に作用する接触力ベクトルを決定するためのセンサ装置に関し、ころがり要素軸受は内輪、外輪そして内外輪内に配された複数のころがり要素と、処理手段と該処理手段に接続された複数のセンサを有するセンサ装置とを備え、上記処理手段は上記方法の各工程を遂行するようになっている。
【0026】
かかるセンサ装置は、五つの自由度での力のベクトルを迅速そして正確に決定する。センサ装置は非常に正確で、そして、又、温度、取付け、ころがり要素軸受のインターフェイス条件の影響を受けない。
【0027】
好ましく用いられるセンサとしては、軸受外輪のような表面の変形あるいは変位を測定するのに好適な、ストレーンゲージあるいは他の形式のセンサが用いられる。
【0028】
さらなる他の形態においては、処理手段はニューラルネットワークを備え、このニューラルネットワークは、複数のセンサからの入力信号を用いて出力として接触力ベクトルを供するように学習すべく設定されている。これは軸受(部材)のメカニズムのモデル化を完全にするのに大変効果的な解決策である。
【0029】
軸受の内輪あるいは外輪は、さらなる形態では、センサホルダに取付けられており、内輪あるいは外輪そしてセンサホルダの接触面の少なくとも一部に周方向凹部が形成されている。この周方向凹部は、軸受に作用しころがり要素によって伝達される力のベクトルの影響で、内輪あるいは外輪に局部的変形を生じせしめる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、添付図面にもとづき、いくつかの実施形態を通して、本発明をさらに詳説する。
【0031】
図1には、ころがり要素軸受、例えば、玉あるいはころ軸受の断面図が示されている。ころがり要素軸受1は、外輪5、内輪6そして複数のころがり要素7(図ではころがり要素7の数は8個である)を有している。ころがり要素軸受1の外輪5はセンサホルダ2内に固定されており、該センサホルダ2はころがり軸受1のための固定環境を与えている、センサホルダ2には、軸受1のころがり要素7同士間の周方向間隔に対応する周方向間隔をもって、軸受の外輪5に対面する位置で、8個のセンサ8が設けられている。センサ8は、例えば、当業者にとっては公知の変位センサあるいは振動センサである。
【0032】
図2に示す断面図に見られるように、軸受の外輪5は外周面に一つの凹部3が形成されている。軸受の外輪5の外周面はセンサホルダ2に至近している。センサ8は、ころがり要素7の通過の結果、外輪5の凹部3の面の変位と軸受1に加わる力のベクトルをモニタする。
【0033】
当業者にとっては、軸受の外輪5の外周面での局部的変位が可能となるように、センサホルダ2にも周方向凹部が形成されていてもよい、ということが明白であろう。又、当業者にとっては、軸受内輪6の内周面をモニタするセンサ8を用いること、そして軸受の内輪6(あるいはセンサホルダ2に類似する内輪サポート)に周方向凹部3を形成してもよいということが明らかであろう。
【0034】
ころがり要素軸受1が用いられている構造の故に、力のベクトルが主として一方向を向いているということが予め判っているときには、このセンサ組立体では、少ない数のセンサ8を用いれば十分である。もし、力のベクトルが主として一つの方向に向いていることが判っているならば、その方向で互に隣接する、例えば、三つのセンサを設けるだけで十分である。その理由は、外輪5の領域にのみ変位が生ずるからである。これはセンサ組立体を、十分な精度を維持しつつ、簡略化することとなる。
【0035】
図1においては、x軸とy軸が示されており、z軸はx軸そしてy軸の両方に直角(紙面に対して直角)な軸として定義される。さらには、二つの回転軸、例えば、x軸まわりそしてy軸まわりの回転を示す回転軸が定義される。一般に、ころがり要素軸受は1は、運転中に、力のベクトルfを受けるが、このベクトルはx,yそしてz軸でのそれぞれの三つの力と、x,y軸についてのそれぞれのモーメント要素を有している。
【0036】
図3には、本発明の一実施形態によるセンサの構成についての概要が示されている。センサ8は、汎用コンピュータあるいは専用信号処理システムのような処理手段10に接続されていて、該処理手段10へセンサ信号を供給する。処理手段10は、さらに、パラメータ、データそして処理結果をストアしておく記憶手段11を有していてもよい。又、処理手段10は、例えば、処理結果の出力をディスプレイやプリンタに供給するためにインターフェイス手段に接続されていてもよい。
【0037】
処理手段10はセンサ8からの信号を処理するように構成されており、例えば、フィルタ、増幅器等、アナログ−ディジタルコンバ−タ、ディジタルフィルタ、算術論理演算回路等あるいは両者の組み合せのような、あるいはディジタル処理手段を有していてもよい。
【0038】
さらなる形態では、処理手段10はニューラルネットワークを有していてもよく、これは、入力信号としてのセンサ8の測定信号を用いて、出力として力のベクトルを提供するように適宜学習すべく設定されている。ニューラルネットワークは本発明の本旨をなす部分ではないので、以降詳細には記載されていない。
【0039】
本発明のコンセプトは、軸受輪5,6における変位や振動を測定することにより、軸受内での接触荷重を決定することを基本としている。測定信号の大きさは接触荷重により支配される。モデル化技術は、接触荷重の作用点(すなわち、接触角度)と大きさを決定するのに用いられる。特定時でのすべての接触荷重についての作用点そして大きさが与えられると、軸受1での総荷重を算出することが可能となる。総荷重は三つの直交せる力の成分と二つのモーメント成分(軸受の回転軸まわりのモーメント成分は重要でない)をベクトルとして含む。
【0040】
本発明では、軸受の内外輪5,6等のいかなる機械的対象物もその自然モード形にしたがって変形される。
【0041】
モデル化技術はいわゆる成分モード合成(component mode synthesis:CMS)技術に基づいて用いられる。この技術によると、自然モード形は、例えば、文献としてここに採用されたJ.A.Wensing氏によるISBN90−36512298での「玉軸受の動力学について」に開示されているような特殊な一組の方程式を用いて表わされる。これらの自然モード形は、例えば、部材5,6についての有限要素解析モデルを用いて決定できる。このモデルは、有限要素解析モデルと成分モード合成技術を用いて簡略化でき、一般化モード形をもった部材の変形を示す簡略化されたモデルに到達する。これは、何万という要素を伴う有限要素解析モデルを数百のモード形の表記にすることができ、これは解くのが容易で早く行える。簡略化されたモデルを用いると、変位も部材5,6のすべての位置で算出できる。
【0042】
本発明では、ころがり要素7の荷重による部材5,6の変位は、これらの一般化モード形の方程式を用いて表わすことができる。一般化された、質量、剛性マトリックス、そして減衰マトリックスが決定され、これらは部材5,6の静的そして動的動きをモード形で表すようになる。
【0043】
次に、部材5,6に作用するすべての接触荷重が知れたときに、軸受1での荷重ベクトルが再構築される。接触荷重は、上記のモデルを用いて、一連の自然モード形として表わされる変位を生ずる。この変位は、成分モード形表記から直接得られる剛性マトリックスによってころがり接触力につながる。剛性マトリックスの逆マトリックスは、かくして、センサ8により検知されたまま部材5,6について局所で表された変位の関数として力を表わすこととなる。
【0044】
このモデル化技術によると、接触荷重による軸受輪での一般化された力は、
【0045】
【数11】

【0046】
で表わされ、ここで、
pは一般化自由度をもって軸受輪の変位を表すベクトルであり、

は、対応する一般化力のベクトルであり、
Fは可撓輪のモデル化のために用いられる一組の関数であり、
θとαの形でストアされた座標上の点で作用している接触力であり、
θは、軸受論の軌道での周方向での座標であり、
αは軸受輪の軌道に直角な座標(例えば接触角)である。
【0047】
軸受輪についての一般化自由度pと一般化力との間の関係(慣性特性を無視)は:
【0048】
【数12】

【0049】
であり、ここでは剛性マトリックスである。変位(変形)や振動が測定される一組の測定点sについて、次の方程式が成り立つ:
【0050】
【数13】

【0051】
ここで、はCMSモデル
【0052】
【数14】

【0053】
の剛性マトリックスの計算に用いられる変換マトリックスの部分集合である。

FEMは軸受輪のFEMモデルの剛性マトリックスである。
【0054】
上記方程式が組み合され、そして軸受輪での他の荷重(t)を表す一般力を加えると、次のようになる。
【0055】
【数15】

【0056】
この方程式で未知なのはベクトルθ,αそしてである。周波数領域(fregnency domain)でのこの方程式の変換は、次のようになる。
【0057】
【数16】

【0058】
ころがり要素軸受の特性により、或る位置での接触力は、玉(ころ)の通過周波数ωbpと共に変わる。又、玉の通過周波数での外力の大きさは、殆んど、ゼロ、すなわち、bp)≒0
と考えられる。したがって、
玉の通過周波数では、接触荷重の影響度は大きさと相の項に見い出される。接触荷重が与えられると、軸受での外力は接触荷重を合計することにより次のように計算できる。
【0059】
【数17】

【0060】
特殊な形態では、相により影響は、軸受のころがり要素同士間の距離(ピッチ)に等しい相互距離をもった軸受内輪あるいは外輪の断面における変形あるいは振動を検出するセンサを配することにより、除去することができる。この場合、方程式は、次のように簡単化される。
【0061】
【数18】

【0062】
この方程式において、未知なのは、||とαだけになる。マトリックスと、はCMSモデルから直接引き出せる。解析型の関数(analytical shape function)F(θ,α)は、定義(definition)により既知である。かくして、ころがり要素の数に等しい数の断面に対のセンサを配することにより、上記方程式に用いる接触荷重を決定できる。
【0063】
接触荷重が得られると、軸受への外力は、
【0064】
【数19】

【0065】
にしたがって接触荷重を合計することで、算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】複数の変位センサを備えたころがり要素軸受が断面図である。
【図2】図1でのII−IIにおけるころがり要素軸受の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるセンサ装置のブロック線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内輪(6)、外輪(5)そして内輪と外輪との間に配された複数のころがり要素(7)を有することがり要素軸受について、運転中にころがり要素軸受(1)に作用する接触力ベクトルを決定するための方法であって、該方法が、
−ころがり要素軸受(1)の運転特性を測定する複数のセンサ(8)からの信号を受 ける工程と、
−接触力ベクトルを決定するために受信センサ信号を処理する工程と、
を経る方法において、
軸受の要素についての変形を測定するように配された複数のセンサ(8)が設けられ、処理の工程は、ころがり要素軸受(1)を表わす有限要素解析モデルの逆変換を用いた接触力ベクトルを決定する工程を含んでいる、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
有限要素解析モデルが少なくとも一つの一般化モードの形の使用で簡略化され、少なくとも一つの一般化モードの形は、内輪(6)や外輪(5)を含むころがり軸受(1)の部材の自然モード変形の数学的表記であることとする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
簡略化されたモデルは次の形で表され、
【数1】

ここで、
s(ω)は周波数ωにおいて変形が測定された一組の測定点であり、
は簡略化されたモデルのための剛性マトリックスの計算のために用いられる変換マトリックスTの部分集合であり、剛性マトリックス
【数2】

で、KFEMは部材の有限要素解析モデルの剛性マトリックスであり、
pは部材の変形を表すベクトルであり、
θは部材の周方向での座標であり、
αは部材に直角な座標であり、
Fは部材の簡略化モデルのために用いられる形状関数(shape function)
であり、
はベクトルθとαでストアされた座標での点に作用する接触力ベクトルであり、
は部材に作用する他の力のベクトルであり、
そして、
接触力ベクトルfを決定する工程が、θとαのための簡略化されたモデル方程式を解く工程と
【数3】

にしたがって接触力を合計する工程とを含む、
こととする請求項2に記載の方法
【請求項4】
ころがり要素通過周波数ωbpにおけるセンサ信号のみが簡略化されたモデルで考慮されていることとする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
センサ(8)はころがり要素(7)と同じピッチで配されており、簡略化されたモデルは、次の式で表され、
【数4】

そして接触力ベクトルfを決定する工程は、||とαのための簡略化されたモデル方程式を解く工程と
【数5】

にしたがい接触力を合計する工程とを含むこととする請求項3又は請求項4に記載の方法。
【請求項6】
センサの数(8)は、ころがり要素(7)の数と同じであることとする請求項3、請求項4、そして請求項5のうちの一つに記載の方法。
【請求項7】
ころがり要素軸受(1)に作用する力のベクトルの接触角が予め定めた値に等しく、複数のセンサ(8)は荷重を受けているころがり要素(7)の数と同じであることとする請求項3、請求項4そして請求項5のうちの一つに記載の方法。
【請求項8】
運転中のころがり要素軸受(1)に作用する接触力ベクトルを決定するためのセンサ装置であって、ころがり要素軸受(1)は内輪(6)、外輪(5)そして内外輪間に配された複数のころがり要素(7)と、処理手段(10)と該処理手段に接続された複数のセンサ(8)を有するセンサ装置とを備え、上記処理手段(10)は請求項1ないし請求項7のうちの一つの方法の各工程を遂行するようになっていることを特徴とするセンサ装置。
【請求項9】
処理手段(10)はニューラルネットワークを備え、このニューラルネットワークは、複数のセンサ(18)からの入力信号を用いて出力として接触力ベクトルを供すべく学習するように設定されていることとする請求項8に記載のセンサ装置。
【請求項10】
軸受の内輪(6)あるいは外輪(5)は、センサホルダ(2)に取付けられており、内輪(6)あるいは外輪(5)そしてセンサホルダ(2)の接触面の少なくとも一部に周方向凹部が形成されていることとする請求項8又は請求項9に記載のセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−528347(P2006−528347A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521022(P2006−521022)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000516
【国際公開番号】WO2005/008204
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(503046530)アクチボラゲット エス ケイ エフ (13)
【Fターム(参考)】