説明

たばこパッケージの収容マガジン

【課題】収容されたたばこパッケージを手前側に押し出すために使用するばねが露出されることなく、さらにマガジンに対して前後方向のいずれにもたばこパッケージを押し出すことができるたばこパッケージの収容マガジンを提供する。
【解決手段】箱体形状のたばこパッケージを立てて並べて収容可能であり、前後方向に長尺の容器2と、該容器2内を前後方向に沿って移動可能な押し出し装置4と、該押し出し装置4に内蔵され、渦巻きばねを含むぜんまいユニットと、前記押し出し装置4内に配され、前記渦巻きばねの巻軸となる回転軸と、前記押し出し装置4の左右の少なくとも一方の外側面に配され、前記回転軸とともに回転するピニオンギヤと、前記容器2の少なくとも一の内側面に関して前後方向に延び、前記ピニオンギヤに噛合するラックギヤ8とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たばこパッケージの収容マガジンに関する。より詳しくは、マガジン内に並べられたたばこパッケージが押し出されるたばこパッケージの収容マガジンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
商品陳列装置が特許文献1に開示されている。この装置は、商品のカウンター上に設置するたばこ箱等の商品の陳列を安全かつ安定性よく保持し、取り出しやすくするものである。たばこパッケージ(たばこ箱)は、長尺のマガジン(トレー)に対して長手方向となる前後方向に並べて収容され、手前のたばこ箱を取り出せば後側のたばこ箱が手前側に自動的に移動する。特許文献1では、たばこ箱を手前方向に押し出すための動力源として、コンストンばね等の巻ばねを利用している。
【0003】
しかしながら、特許文献1のような押し出し機構では、巻ばねが露出しているので、取扱に際し注意が必要であり、誤って触れた場合にけがをするおそれがある。また、巻ばねはその一端がトレーの後側に固定されているので、収容されたたばこ箱はトレーに対して一方向にしか押し出すことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−106536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、収容されたたばこパッケージを手前側に押し出すために使用するばねが露出されることなく、さらにマガジンに対して前後方向のいずれにもたばこパッケージを押し出すことができるたばこパッケージの収容マガジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明では、箱体形状のたばこパッケージの上部を露出させながら立てて並べて収容可能であり、前後方向に長尺の容器と、該容器内を前後方向に沿って移動可能な押し出し装置と、該押し出し装置に内蔵され、渦巻きばねを含むぜんまいユニットと、前記押し出し装置内に配され、前記渦巻きばねの巻軸となる回転軸と、前記押し出し装置の左右の少なくとも一方の外側面に配され、前記回転軸とともに回転するピニオンギヤと、前記容器の少なくとも一の内側面に関して前後方向に延び、前記ピニオンギヤに噛合するラックギヤとを備えたことを特徴とするたばこパッケージの収容マガジンを提供する。
【0007】
好ましくは、前記ピニオンギヤは、前記押し出し装置の左右両側面にそれぞれ形成され、前記ラックギヤは、前記容器の左右両方の内側面にそれぞれ形成され、前記ピニオンギヤは、前記ラックギヤのそれぞれと噛合可能である。
【0008】
好ましくは、前記押し出し装置は、前記容器の左右方向に互いに摺動できる左ケース及び右ケースと、前記押し出し装置内に配され、該左ケース及び右ケースを離間させる方向に付勢された圧縮ばねとをさらに含み、前記容器は、前記左右両方の内側面に関して前後方向に延び、前記ラックギヤが配されて該ラックギヤと噛合された状態の前記ピニオンギヤを収容可能な溝をさらに含む。
【0009】
好ましくは、前記左ケース及び右ケースのいずれか一方は前記ピニオンギヤと一体として形成され、前記左ケース及び右ケースのそれぞれの外周側面であって、前記圧縮ばねが圧縮された状態で互いに同一の周方向に位置する突起が形成されている。
【0010】
好ましくは、前記容器の底面両端部には、上方に傾斜している傾斜部が形成されている。
好ましくは、前記容器の一方の端面における外側面に、前記容器に収容されるたばこパッケージの情報を記載したラベルを収容可能な収容部が形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容器の内側面に関して前後方向に延びるラックギヤにピニオンギヤを噛合させ、この状態で押し出し装置を容器内の前後方向のいずれか一方(例えば後方向)に沿って移動(巻き移動)させれば、ピニオンギヤとともに回転軸が回転し、これに伴いぜんまいユニット内の渦巻きばねが巻軸に巻締められる。このとき、押し出し装置は渦巻きばねの復元力によりピニオンギヤを逆回転させようとするので、このピニオンギヤとラックギヤとが噛合していることと相俟って、容器内の前後方向の他の一方(例えば前方向)に移動(戻り移動)しようとする。この戻り移動方向の手前にたばこパッケージを立てて並べて収容すれば、押し出し装置はたばこパッケージを戻り方向手前側に常に押圧した状態となる。したがって、容器前側のたばこパッケージを取り出せば、奥側に収容されたたばこパッケージが手前側に自動的に押し出されて移動してくるので、たばこパッケージの取り出し位置が常に同じ場所とすることができ、取り扱い性が向上する。このとき、たばこパッケージを手前側に押圧するための渦巻きばねはぜんまいユニットとして押し出し装置内に内蔵されているので、使用者が誤ってこの渦巻きばねに触れることはなく、安全性も向上する。したがって、渦巻きばねによる復元力と、ラックギヤ及びピニオンギヤとの協働により、取り扱い性が高められ、安全性が高められたたばこパッケージの収容マガジンを得ることができる。
【0012】
また、ピニオンギヤは、押し出し装置の左右両側面にそれぞれ形成され、ラックギヤは、容器の左右両方の内側面にそれぞれ形成され、ピニオンギヤは、ラックギヤのそれぞれと噛合可能であることとすれば、押し出し装置を容器に対して前後方向のいずれにも巻き移動及び戻り移動させることができる。すなわち、押し出し装置の左右両側面に形成されたピニオンギヤのそれぞれは、容器の左右両側面に形成されたラックギヤのいずれにも噛合可能であるため、押し出し装置の向きを変えれば、容器内を一方向だけでなく、両方向に移動させることができる。したがって、容器の向きを変えずに、容器前後の所望の側からたばこパッケージを取り出せるようにすることができる。
【0013】
また、押し出し装置を圧縮ばねにより左右方向に互いに摺動できる左ケース及び右ケースとで形成し、容器内側面にピニオンギヤを収容可能な溝を形成することにより、押し出し装置を容器内に入れ込む際に、左右方向に圧縮させ、容器内で圧縮ばねの復元力で押し出し装置を伸長させれば、押し出し装置の左右両端に形成されたピニオンギヤが溝に収容される。したがって、容器内における押し出し装置の上下方向に対する揺動を防止できるので、ピニオンギヤの歯飛びを防止でき、たばこパッケージを確実に押し出すことができる。
【0014】
また、圧縮ばねが圧縮された状態で互いに同一の周方向に位置する突起を左ケース及び右ケースの外周側面に設けることにより、押し出し装置を左右方向に圧縮させた場合に、これらの突起が周方向に当接するため、左ケース及び右ケースが互いに相対的に回転することが防止される。したがって、ぜんまいユニットの渦巻きばねが巻き締められた状態で押し出し装置を左右方向に圧縮させて容器から取り外しても、ピニオンギヤが回転することはない。これを利用して、押し出し装置を容器内で一方向に数回移動させることができ、確実に渦巻きばねを巻き締めることができる。
【0015】
また、上方に傾斜している傾斜部を容器の底面両端部に形成すれば、取り出し手前側に位置するたばこパッケージが容器から上方に突出した状態となるので、取り出しやすく、取り扱い性が向上する。
【0016】
また、容器の一方の端面における外側面に、容器に収容されるたばこパッケージの情報を記載したラベルを収容可能な収容部を設ければ、収容されたたばこパッケージの情報を容易に得ることができる。したがって、ラベルの情報を参照してたばこパッケージを容器から取り出すことができる。また、上述したような容器前後の所望の側からたばこパッケージを取り出せる構造とすれば、容器に収容されたたばこパッケージを商品として店舗に陳列した場合に、収容部側を購入者側に配置し、取り出し側を店員側とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るたばこパッケージの収容マガジンにたばこパッケージを収容した状態を示す概略図である。
【図2】本発明に係るたばこパッケージの収容マガジンを示す概略図である。
【図3】押し出し装置の概略図である。
【図4】押し出し装置の概略図である。
【図5】押し出し装置を分解した状態を示す概略図である。
【図6】押し出し装置を分解した状態を示す概略図である。
【図7】本発明に係る別のたばこパッケージの収容マガジンを示す概略図である。
【図8】容器に押し出し装置を収容したときの状態を示す概略図である。
【図9】本発明に係るたばこパッケージの収容マガジンにたばこパッケージを収容した状態の概略断面図である。
【図10】収容部が解放された状態を示す概略図である。
【図11】本発明に係るたばこパッケージの収容マガジンの概略断面図である。
【図12】本発明に係るたばこパッケージの収容マガジンの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すれば明らかなように、本発明に係るたばこパッケージの収容マガジン1は、長手方向を前後方向とする長尺の容器2を有している。この容器2は、上面が開口した略箱体形状である。容器2には、たばこパッケージ3の上部を露出させながら立てて並べて収容可能である。このたばこパッケージ3は、略箱体形状を有し、例えば複数本のたばこを箱に詰めて包装したものである。
【0019】
また、図2を参照すれば明らかなように、容器2内には、押し出し装置4が収容されている。この押し出し装置4は、容器2内を前後方向に沿って移動可能である。図3〜図6を参照すれば明らかなように、押し出し装置4内には渦巻きばね(不図示)を含むぜんまいユニット5が内蔵されている。このぜんまいユニット5の外周には、例えば押し出し装置4の内壁と係合可能な係合部9(図5、図6参照)が形成されていて、押し出し装置4内でぜんまいユニット5自らが回転することを防止されている。図の例では、係合部9は軸方向に沿って立設された2枚の壁体であり、この壁体の間に押し出し装置4の内壁に設けられた板状の突出壁(不図示)が差し込まれてぜんまいユニット5の回転を防止する。また、押し出し装置4内には、渦巻きばねの巻き軸となる回転軸6が配されている。押し出し装置の左右両側の外側面には、それぞれピニオンギヤ7が配されている。このピニオンギヤ7は回転軸6と連動して回転する。これら両側のピニオンギヤ7は、回転軸6を介して同期して回転する。一方、容器2の内側面には、前後方向に延びるラックギヤ8が形成されている(図2参照)。このラックギヤ8は、ピニオンギヤ7と噛合可能である。
【0020】
以上のような構造によれば、容器2の内側面に関して前後方向に延びるラックギヤ8にピニオンギヤ7を噛合させ、この状態で押し出し装置4を容器2内の前後方向のいずれか一方(例えば図1で示す後方向)に沿って移動(巻き移動)させれば、ピニオンギヤ7とともに回転軸が回転し、これに伴いぜんまいユニット5内の渦巻きばねが巻軸(不図示)に巻締められる。このとき、押し出し装置4は渦巻きばねの復元力によりピニオンギヤ7を逆回転させようとするので、このピニオンギヤ7とラックギヤ8とが噛合していることと相俟って、容器2内の前後方向の他の一方(例えば図1で示す前方向)に移動(戻り移動)しようとする。すなわち、渦巻きばねの復元力が回転軸6の回転動力源となり、ピニオンギヤ7を回転させ、この回転動力はラックギヤ8により直線方向の動力に変換されて押し出し装置4は容器2内を戻り方向に移動できることになる。この渦巻きばねによる回転動力は、押し出し装置4を容器2に沿って巻き移動させるだけの簡単な操作で得られることができる。
【0021】
なお、図2に示すようにラックギヤ8をピニオンギヤ7の下側に配してもよいし、図7に示すように、ラックギヤ8をピニオンギヤ7の上側に配してもよい。どちらに配しても、ピニオンギヤ7を噛合させて渦巻ばねを回転させることができる。すなわち、設計の都合に合わせて適宜変更可能である。
【0022】
図1に示すように、戻り移動方向の手前(すなわち容器2の前側)にたばこパッケージ3を立てて並べて収容すれば、押し出し装置4はたばこパッケージ3を戻り方向手前側に常に押圧した状態となる。したがって、容器2の前側のたばこパッケージ3を取り出せば、奥側に収容されたたばこパッケージ3が手前側に自動的に押し出されて移動してくるので、たばこパッケージ3の取り出し位置が常に同じ場所とすることができ、取り扱い性が向上する。実際の使用では、最前側のたばこパッケージ3を一つずつ取り出す。このとき、上述したように、たばこパッケージ3を手前側に押圧するための渦巻きばねはぜんまいユニット5として押し出し装置内に内蔵されているので、使用者が誤ってこの渦巻きばねに触れることはなく、安全性も向上する。したがって、渦巻きばねによる復元力と、ラックギヤ7及びピニオンギヤ8との協働により、取り扱い性が高められ、安全性が高められたたばこパッケージの収容マガジン1を得ることができる。
【0023】
なお、ピニオンギヤ7は押し出し装置4の左右の少なくとも一方の外側面に形成されていれば少なくとも上記たばこパッケージ3を押し出すという効果を得ることができる。図で示したように、ピニオンギヤ7を押し出し装置4の左右両側面に形成した場合には、ラックギヤ8もこれに伴い容器2の左右両方の内側面にそれぞれ形成される。
【0024】
ピニオンギヤ7は、ラックギヤ8のそれぞれと噛合可能である。すなわち、押し出し装置の左右両側面に形成された一方のピニオンギヤ7(例えば右側)は、容器2の左右両側面に形成されたラックギヤ8のいずれにも噛合可能であり、他方のピニオンギヤ7(例えば左側)もまた、ラックギヤ8のいずれにも噛合可能である。したがって、押し出し装置4は、容器2に対して前後方向に向きを変えることができる。これにより、容器2に対して前後方向のいずれにも巻き移動及び戻り移動させることができる。これを利用して、容器2の向きを変えずに、容器2前後の所望の側からたばこパッケージ3を取り出せるようにすることができる。
【0025】
押し出し装置4についてさらに詳述すると、押し出し装置4は有底の中空円筒形状をなす左ケース10と右ケース11とを有している。図3〜図6を参照すれば明らかなように、左ケース10は右ケース11よりも径が小さい部分を有し、この部分において両ケース10及び11は互いに左右方向に摺動可能である。押し出し装置4内には圧縮ばね12が配され、この圧縮ばね12は左ケース10及び右ケース11を離間させる方向に付勢している。したがって、押し出し装置4が組み立てられた状態では、左ケース10及び右ケース11は互いに付勢され、押し出し装置4全体としては左右方向に伸長した状態である。
【0026】
なお、図の例では、右ケース11の端面にはねじ13を介してピニオンギヤ7が取付けられ、このピニオンギヤ7とともに回転する回転軸6が右ケース11内に配されている。具体的には、ねじ13は回転軸6の軸心に螺合されている。さらに右ケース11には、この回転軸6が挿通されたぜんまいユニット5が配されている。右ケース11の開口側には、固定パーツ15が取付けられている。この取付は、右ケース11の開口側の端面から軸方向に切欠かれた複数の切欠き14に対し、固定パーツ15の外周面に形成された軸方向に延びて突出する突状部16を差し込んで行われる。固定パーツ15は、右ケース11に取付けられて右ケース11の一部を形成することになる。左ケース10は、この固定パーツ15の内側を通って圧縮ばね12を介在させて右ケース11内に挿入される。右ケース11には、ピニオンギヤ7が一体として形成されている。このような構造の押し出し装置4は、上述したような容器2内で巻き移動の際、すなわちピニオンギヤ7が回転された際、左ケース10も回転し、さらに圧縮ばね12及び回転軸6も回転される。このとき、圧縮ばね12とぜんまいユニット5との間には、シート17が配されていて、このシート17は、圧縮ばね12が回転したときに圧縮ばね12とぜんまいユニット5との摩擦を軽減する。
【0027】
図2又は図8を参照すれば明らかなように、容器2には、左右両方の内側面に関して前後方向に延びる溝18が形成されている。図の例では、この溝18の下側の側面にラックギヤ8が形成されている。この溝18内には、押し出し装置4の両端に配されたピニオンギヤ7がそれぞれ収容可能である。このような構造では、容器2に押し出し装置4を収容する際は、上述した圧縮ばね12を圧縮させて左ケース10と右ケース11を互いに接する方向に圧縮し、容器2内に入れ込んでから圧縮ばね12を解放し、押し出し装置4を左右方向に伸長させる。この動作により、押し出し装置4の左右両端に形成されたピニオンギヤ7が溝18に収容される。したがって、容器2内における押し出し装置4の上下方向に対する揺動を防止できるので、ピニオンギヤ7の歯飛びを防止でき、たばこパッケージ3を確実に押し出すことができる。また、このような溝18は、容器2の側面の強度向上にも寄与する。
【0028】
左ケース10及び右ケース11のそれぞれの外周側面には、突起19及び20が形成されている。これら突起19、20は押し出し装置4が伸長している状態では互いに軸方向(左右方向)に離間しているが、圧縮ばね12を圧縮させて押し出し装置4を圧縮させた状態では互いに同一の周方向に位置づけられる。すなわち、突起19が図8の矢印A方向に移動し、隣り合う突起20の間に入り込む。これにより、左ケース10及び右ケース11が互いに相対的に回転することが防止される。すなわち、押し出し装置4を圧縮させるだけの簡単な操作で、左ケース10(又は右ケース11)の回転を防止することができる。したがって、ぜんまいユニット5の渦巻きばねが巻き締められた状態で押し出し装置4を左右方向に圧縮させて容器2から取り外しても、ピニオンギヤ7(左ケース10)が回転することはない。これを利用して、押し出し装置4を容器2内で一方向に数回移動させることができ(巻き移動を数回行うことができ)、確実に渦巻きばねを巻き締めることができる。
【0029】
また、図9を参照すれば明らかなように、容器2の底面両端部には、上方に傾斜している傾斜部21が形成されている。このように上方に傾斜している傾斜部21を容器2の底面両端部に形成すれば、取り出し手前側に位置するたばこパッケージ3が容器2から上方に突出した状態となるので、取り出しやすく、取り扱い性が向上する。すなわち、容器2の前側からたばこパッケージ3を取り出すように押し出し装置4で押圧するようにすれば(押し出し装置4が戻り移動するようにすれば)、最前側のたばこパッケージ3が上方に飛び出し、常に取り出しやすい状況を提供することができる。このように容器2の両端部に傾斜部21を設けることは、押し出し装置4が容器2に対していずれの方向にもたばこパッケージ3を押し出せる構造を有しているからこそ効果を奏するものである。
【0030】
また、押し出し装置4には、ピニオンギヤ7とラックギヤ8とが噛合した状態で、容器2の底面に当接する当接体22が形成されている。この当接体22は、図3〜図6に示すように、固定パーツ15の外周面から周方向の一部に亘って突出する板材である。なお、当接体22は、固定パーツ15のみならず、右ケース11の外周面から周方向の一部に亘って突出させてもよい。このような当接体22を押し出し装置4に設ければ、作用反作用の関係で、押し出し装置4のピニオンギヤ7を除く本体部分(右ケース11)が容器2内で回転することを防止できる。
【0031】
また、容器2の一方の端面における外側面には、容器2に収容されるたばこパッケージ3の情報を記載したラベルを収容可能な収容部23が形成されている。この収容部23は、図1、図2、図9に示されるように、容器2の端面を覆うカバーで形成されている。このカバーと容器2の端面との間の隙間にラベルを収容可能である。ラベルは、カバーと容器2の端面との間であって、解放されている上側から挿入される。このラベルを容易に参照可能とするため、カバーは透明材料で形成されていることが好ましい。カバーはその両端が折り曲げられ、容器2の側面下側にて軸支されている。この軸(不図示)を支点に回動させることにより、図10を参照すれば明らかなように、カバー(収容部23)は開閉可能である。収容部23を解放させることで、収容部23内に付着したごみや埃を容易に除去できる。カバーを閉じるときは、例えば図10に示すようにカバーの折り曲げ部分を貫通する孔24と、容器2側面から突出する突出部25を嵌合させる。このような収容部23を設けることにより、収容されたたばこパッケージ3の情報を容易に得ることができる。
【0032】
したがって、例えば図11に示すように収容部23側に戻り移動させるように押し出し装置4を配すれば、ラベルの情報を参照してたばこパッケージを容器2から取り出すことができる。一方で、容器2の向きは変えずに、図12に示すように、押し出し装置4の戻り移動方向を変更すれば、収容部23と反対側の端部からたばこパッケージ3を取り出すようにすることができる。このようにすれば、容器2に収容されたたばこパッケージ3を商品として店舗に陳列した場合に、収容部23側を購入者側に配置し、取り出し側を店員側とすることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 たばこパッケージの収容マガジン
2 容器
3 たばこパッケージ
4 押し出し装置
5 ぜんまいユニット
6 回転軸
7 ピニオンギヤ
8 ラックギヤ
9 係合部
10 左ケース
11 右ケース
12 圧縮ばね
13 ねじ
14 切欠き
15 固定パーツ
16 突状部
17 シート
18 溝
19 突起
20 突起
21 傾斜部
22 当接体
23 収容部
24 孔
25 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体形状のたばこパッケージの上部を露出させながら立てて並べて収容可能であり、前後方向に長尺の容器と、
該容器内を前後方向に沿って移動可能な押し出し装置と、
該押し出し装置に内蔵され、渦巻きばねを含むぜんまいユニットと、
前記押し出し装置内に配され、前記渦巻きばねの巻軸となる回転軸と、
前記押し出し装置の左右の少なくとも一方の外側面に配され、前記回転軸とともに回転するピニオンギヤと、
前記容器の少なくとも一の内側面に関して前後方向に延び、前記ピニオンギヤに噛合するラックギヤと
を備えたことを特徴とするたばこパッケージの収容マガジン。
【請求項2】
前記ピニオンギヤは、前記押し出し装置の左右両側面にそれぞれ形成され、
前記ラックギヤは、前記容器の左右両方の内側面にそれぞれ形成され、
前記ピニオンギヤは、前記ラックギヤのそれぞれと噛合可能であることを特徴とする請求項1に記載のたばこパッケージの収容マガジン。
【請求項3】
前記押し出し装置は、
前記容器の左右方向に互いに摺動できる左ケース及び右ケースと、
前記押し出し装置内に配され、該左ケース及び右ケースを離間させる方向に付勢された圧縮ばねとをさらに含み、
前記容器は、
前記左右両方の内側面に関して前後方向に延び、前記ラックギヤが配されて該ラックギヤと噛合された状態の前記ピニオンギヤを収容可能な溝をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のたばこパッケージの収容マガジン。
【請求項4】
前記左ケース及び右ケースのいずれか一方は前記ピニオンギヤと一体として形成され、
前記左ケース及び右ケースのそれぞれの外周側面であって、前記圧縮ばねが圧縮された状態で互いに同一の周方向に位置する突起が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のたばこパッケージの収容マガジン。
【請求項5】
前記容器の底面両端部には、上方に傾斜している傾斜部が形成されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のたばこパッケージの収容マガジン。
【請求項6】
前記容器の一方の端面における外側面に、前記容器に収容されるたばこパッケージの情報を記載したラベルを収容可能な収容部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のたばこパッケージの収容マガジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−176088(P2012−176088A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40126(P2011−40126)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【復代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
【Fターム(参考)】