説明

ねじれ紐アクチュエータとそれを用いた義肢用アクチュエータユニット

【課題】ねじれ紐アクチュエータのスライド部材と駆動対象物を接続するワイヤの緩みを防止し張り具合を一定にする作業を短時間で行うことを可能にする。
【解決手段】ねじれ紐アクチュエータは、2本の紐を互いにねじり合わせた構造のねじれ紐1と、ねじれ紐1の基端側に接続された駆動機構部20と、ねじれ紐の先端側に接続されたスライド部材32と、その先端側と駆動対象物との間に接続されるワイヤ5とを備えている。駆動機構部20の作動に伴いねじれ紐1の長さが変化してスライド部材32がねじれ紐1の長手方向に変位し、その変位がワイヤ5を介して駆動対象物に伝達される。スライド部材32とワイヤ5との接続部に、ワイヤ5の張り具合を調整する調整手段7が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本の紐を互いにねじり合わせた構造のねじれ紐とモータを用いたねじれ紐アクチュエータと、それを用いた義肢用アクチュエータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットハンドや電動義肢等に用いられるアクチュエータの一種として、例えば特許文献1又は2に記載されているようなワイヤとモータを用いたアクチュエータ(以下、ワイヤ式アクチュエータという)が知られている。図13に、従来のワイヤ式アクチュエータの基本的な構造を示す。
【0003】
図13に示すワイヤ式アクチュエータでは、モータ101の回転軸101aに減速機を介してプーリーのような回転体102が接続されている。あるいは、減速機内蔵型モータ101の回転軸101aに回転体102が直接接続されている。回転体102の径方向に対向する2箇所にワイヤ103、104が1本ずつ接続され、それぞれのワイヤ103、104の他端は指関節105に接続されている。
【0004】
モータ101の回転軸101aが回転すると、回転体102がゆっくり回転し、2本のワイヤ103、104が互いに逆方向に駆動される。つまり、一方は引っ張られ、他方は緩められる。その結果、指関節105は軸心AXを中心として回転駆動される。
【0005】
多くの関節を有するロボットハンドや電動義肢等に上記のようなワイヤ式アクチュエータを使用する場合は、関節ごとに必要なモータとして小型モータ又は超小型モータを使用し、装置全体の重量を抑える必要がある。しかも、電動義肢やロボットハンド等に要求される一定以上の把持力を確保するためには、モータ及び減速機を含む駆動系にある程度の出力トルクが要求される。
【0006】
小さなモータであっても減速機を使用することによって大きなトルクを得ることが可能となるが、減速機それ自体が装置の重量を増加させるので、例えば義肢やロボットハンドの先端部分が重くなってしまう問題が生ずる。さらに、減速機を組み込むスペースを確保するために、小形軽量の電動義肢やロボットハンドを実現することが困難な場合がある。
【0007】
また、複数段の減速ギアが組み込まれたギア式の減速機を用いる場合は、その重量及びスペースが増加する問題に加えて、ギアが回転する際にギア同士の噛合部で発生する騒音が大きくなる問題もある。
【0008】
このような問題を解決し得るワイヤ式アクチュエータとして、本出願人は先に、ねじれ紐アクチュエータに関する発明の特許出願を行った。このねじれ紐アクチュエータでは、2本の紐を互いにねじり合わせた構造のねじれ紐の基端側がモータを含む駆動機構部に接続され、ねじれ紐の先端側がスライド部材とワイヤを介して駆動対象物に接続されている。駆動機構部のモータが回転すると、ねじれ紐を構成する2本の紐のねじれが強められ、又は緩められることにより、ねじれ紐の長さが伸縮する。その結果、スライド部材がねじれ紐の長手方向に変位し、この変位がワイヤを介して駆動対象物に伝達される。
【0009】
上記のようなねじれ紐アクチュエータを複数組用いて電動義肢やロボットハンド等を構成する場合に、各指に少なくとも1個の関節が必要であり、きめ細かい動作を可能にするためには各指に2個の関節が必要である。例えば、親指に3個の関節、他の4本の指に2個の関節、手首に2個の関節を設ける場合は、合計13個の関節が必要となる。したがって、13組のねじれ紐アクチュエータが必要になる。
【0010】
また、1個の関節を両方向に駆動するために、互いに逆方向に伸縮する2本(一対)のねじれ紐を使用するのが望ましい。そこで、各関節を駆動するための1組のねじれ紐アクチュエータの好ましい構成は、例えば、1個の駆動機構部と、その2本の回転出力軸にそれぞれ接続された2本のねじれ紐と、各ねじれ紐の先端側に接続された2個のスライド部材と、各スライド部材と関節とを接続する2本のワイヤとを備えている。
【0011】
駆動機構部のモータが回転すると、一対のねじれ紐の一方が伸長し、他方が収縮するように駆動される。その結果、一対のスライド部材は、ねじれ紐の長手方向に沿って互いに逆方向に変位し、一対のワイヤの先端に接続された関節が支点を中心に回転するように駆動される。
【特許文献1】特開平06−008178号公報
【特許文献2】特開平07−096485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のようなねじれ紐アクチュエータの組立工程において、駆動対象である指関節とスライド部材との間に手作業でワイヤを張るように接続する際に、固定した段階でワイヤが緩んでしまう場合がある。また、作業者によってワイヤの張り具合がばらついてしまう問題がある。そのような緩みや張り具合のばらつきが無い状態でワイヤの接続・固定作業を行なおうとすると、作業にかかる時間が長くなってしまう欠点もある。
【0013】
一対のねじれ紐にスライド部材を介して接続された一対のワイヤに緩みがあったり張り具合が大きく異なったりすると、指関節の初期状態が定まり難くなる。あるいは、指関節の初期状態に対応する一対のねじれ紐のねじれ度(伸縮度)が変化するので、指関節の状態とねじれ紐アクチュエータのねじれ度とに関する動作特性が変化し、安定的な動作を損なうおそれがある。さらに、複数の指関節に使用される複数組のねじれ紐アクチュエータ相互間においても、ワイヤの張り具合が一定し、緩みのないことが望ましい。
【0014】
本発明は、上記のような従来の課題に鑑み、ねじれ紐アクチュエータのスライド部材と駆動対象物を接続するワイヤの緩みを防止し、張り具合を一定にする作業を短時間で行うことを可能にすることを目的とする。
【0015】
また、本発明の別の目的は、複数組のねじれ紐アクチュエータを用いた義肢用アクチュエータユニットにおいて、ねじれ紐と回転出力軸との接続、取り外し及び再接続を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によるねじれ紐アクチュエータは、2本の紐を互いにねじり合わせた構造のねじれ紐と、当該ねじれ紐の基端側に接続された回転出力軸を有する駆動機構部と、前記ねじれ紐の先端側に接続されて前記ねじれ紐の長手方向のスライド運動のみが許容されるスライド部材と、当該スライド部材と駆動対象物との間に接続されるワイヤとを備え、前記駆動機構部の回転出力軸が回転すると前記ねじれ紐を構成する2本の紐のねじれの強弱変化によって前記ねじれ紐の長さが変化し、その結果、前記スライド部材が前記ねじれ紐の長手方向に変位し、当該変位が前記ワイヤを介して前記駆動対象物に伝達されるねじれ紐アクチュエータであって、前記スライド部材と前記ワイヤとの接続部に、前記ワイヤの張り具合を調整する調整手段が設けられていることを特徴とする。(請求項1)。
【0017】
このような構成によれば、ワイヤをスライド部材と駆動対象物との間に接続した後に、ワイヤの張り具合を調整する調整手段を用いてワイヤの緩みを解消し、所定の張り具合に調整することが可能になる。例えば、指関節に接続された一対のワイヤの張り具合がほぼ等しく、緩みのない状態となるように調整することを短時間で簡単に行うことができる。その結果、指関節の初期状態に対応する一対のねじれ紐のねじれ度(伸縮度)を一定にし、ねじれ紐アクチュエータの安定的な動作を確保することができる。
【0018】
具体的な形態として、前記調整手段は、前記ワイヤの端部が巻き付けられる巻き取りシャフトと、当該巻き取りシャフトを手動回転させるつまみ部とを備えていることが好ましい(請求項2)。
【0019】
更に好ましい形態として、前記巻き取りシャフトの回転量を目視でチェックすることにより、前記調整手段による前記ワイヤの張り具合の調整量を把握することを可能にする調整量把握手段を更に備えている(請求項3)。
【0020】
また、本発明による義肢用アクチュエータユニットは、上記のような構成のねじれ紐アクチュエータを複数組用いて駆動対象である複数の指関節を駆動する義肢用アクチュエータユニットであって、前記駆動機構部、前記ねじれ紐、前記スライド部材及び前記調整手段を含むアクチュエータ部が複数組、略平行に配置され、それらが義肢を構成する固定台に固定されている(請求項4)。このような構成によれば、各指関節に接続された一対のワイヤの張り具合をほぼ等しくすると共に、複数の指関節に接続された複数組のねじれ紐アクチュエータ相互間におけるワイヤの張り具合の統一を容易に実現することができる。
【0021】
本発明の義肢用アクチュエータユニットの好ましい実施形態において、前記固定台の表面に前記駆動機構部の全体又は一部が埋設される凹部が形成され、かつ、前記駆動機構部の回転出力軸と前記ねじれ紐の基端側との接続が前記回転出力軸に着脱自在な紐固定部材を介して成されている(請求項5)。このような構成によれば、義肢用アクチュエータユニットを薄型に構成できると共に、義肢用アクチュエータユニットを組み立てる際のねじれ紐と回転出力軸との接続を容易に行うことができる。また、例えば駆動機構部の交換を行う場合に、ねじり紐と駆動機構部との接続を一旦外して再接続する作業が簡単になる。
【発明の効果】
【0022】
上記のように、本発明によれば、ワイヤをスライド部材と駆動対象物との間に接続した後に、ワイヤの張り具合を調整する調整手段を用いてワイヤの緩みを解消し、所定の張り具合に調整することが可能であるので、ワイヤの接続及び調整作業を従来よりも短時間で行うことができる。また、義肢用アクチュエータユニットを組み立てる際のねじれ紐と回転出力軸との接続、取り外し及び再接続を容易に行うこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、各部材の位置関係や方向を上下左右で説明する場合があるが、あくまで図面における位置関係や方向を意味し、実際に使用されたり組み立てられたりするときの位置関係や方向を意味するわけではない。
【0024】
図1は、本発明のねじれ紐アクチュエータの概念を示す模式図である。図1に示すねじれ紐アクチュエータは、2本の紐11、12を互いに緩くねじり合わせた構造のねじれ紐1とモータ2とを用いて構成される。図1(a)は2本の紐11、12のねじれ合わせが緩められて2本の平行な紐になった状態を模式的に示しており、図1(b)は2本の紐11、12が互いにねじれ合わされた状態を模式的に示している。ねじれ紐1、すなわち2本の紐11、12の一端側は駆動対象物OBに接続(固定)され、他端側はモータ2の回転軸21に接続(固定)されている。
【0025】
図1(a)に示す状態でのねじれ紐1の長さをLとし、この状態からモータ2の回転軸21が回転して、図1(b)に示すように、ねじれ紐1を構成する2本の紐11、12が互いにねじれ合わされた状態になると、ねじれ紐1の長さはL−ΔLとなる。つまり、2本の紐11、12がねじれ合わされることにより、ねじれ紐1の長さがΔLだけ短縮される。その結果、駆動対象物OBには、ねじれ紐1の張力によってモータ2へ引き寄せられる方向(右方向)の駆動力Fが働く。したがって、ねじれ紐1は、そのねじれ方向の回転運動(モータ2の回転力)を長さ方向の直線運動(張力)に変換する機能を有することになる。
【0026】
また、図1(b)の状態からモータ2の回転軸21が上記と逆方向に回転すると、ねじれ紐1を構成する2本の紐11、12のねじれが緩められる。このとき、図1には示していないが、引っ張りバネのような付勢手段で物体OBが左方向に付勢されていると仮定すると、その付勢力によって物体OBはモータ2から遠ざかる方向(左方向)へ移動し、ねじれ紐1の長さが伸張する。2本の紐11、12のねじれ合わせが緩められて2本の平行な紐になった図1(a)の状態で、ねじれ紐1の長さが最も長い値(L)になることが分かる。
【0027】
したがって、2本の紐11、12を互いに緩くねじり合わせた構造のねじれ紐1とモータ2とを用いた上記のねじれ紐アクチュエータによれば、モータ2の回転軸21の回転方向に応じてねじれ紐1を構成する2本の紐11、12のねじれが強められ、又は緩められることにより、ねじれ紐1の長さが短縮され、又は伸張され、その結果、駆動対象物OBを所定の範囲内で駆動することが可能である。
【0028】
ねじれ紐1は減速機構を含む動力伝達手段として機能するので、多段ギア等を用いた減速機が不要となり、装置全体の小型化、軽量化に大きく貢献することができる。また、多段ギア等を用いた減速機で発生するような騒音の発生が無く、静音アクチュエータを実現することができる。また、一般にねじれ紐は多段ギア等を用いた減速機に比べて安価であるので、アクチュエータのコスト低減が可能になる。
【0029】
さらに、ねじれ紐1のねじれ方向の回転運動と長さ方向の直線運動との間にある程度の柔軟性(フレキシビリティ)及び弾性が存在するので、バネやエアシリンダ等の弾性付勢手段を用いなくても、いわゆるソフトアクチュエータを実現することが可能である。これにより、例えば人の手のようなコンプライアンス機能を容易に実現することが可能になる。
【0030】
図2は、ねじれ紐アクチュエータを用いて指関節を駆動する適用例を示す模式図である。この模式図では、軸心AXを中心として回転可能な指関節FJが駆動対象物に相当する。図2に示すように、駆動対象物としての指関節FJの駆動方向及び駆動範囲を規制するために、スライドガイド31に沿って所定範囲内で移動可能なスライド部材32が設けられ、ねじれ紐1の先端側に接続されている。このスライド部材32は、ねじれ紐1の長手方向のスライド運動のみが許容されている。また、スライド部材32と指関節FJとの間にはワイヤ5が張られている。
【0031】
図2に示すように、ねじれ紐1、モータ2、スライド部材32及びワイヤ5を含むねじれ紐アクチュエータが2組設けられ、指関節FJの軸心AXを挟んで対向する2箇所P1及びP2に、2組のねじれ紐アクチュエータのワイヤ5の先端側がそれぞれ接続されている。
【0032】
図2の構成では、スライドガイド31及びスライド部材32によって、駆動対象物である指関節FJの駆動方向及び駆動範囲を容易に規制することができる。また、モータ2と指関節FJとの距離や方向に関する設計上のフレキシビリティを確保することができるので、アクチュエータが実装されるスペースの制限に対応することが容易になると共に、スペースの有効活用が可能になる。
【0033】
また、2組のねじれ紐アクチュエータのねじれ紐1は互いに逆方向に駆動される。例えば、図2に示すように、上側のねじれ紐1を短縮させる方向に駆動し、かつ、下側のねじれ紐1を伸張させる方向に駆動する。これにより、指関節FJを軸心AX周りに回転駆動することができる。図2に示す構成では、2個のモータ2を用いて2組のねじれ紐アクチュエータのねじれ紐1を個別に駆動している。この構成では、2個のモータ2を同期させて駆動制御することが必要である。また、一方のモータ2のみが動作することを防ぐインターロック回路を設けることが好ましい。そのような制御や回路を簡素化するために、後述するように、1個のモータを用いて2組のねじれ紐アクチュエータのねじれ紐1を同時に駆動するように構成してもよい。
【0034】
図3は、図2に示したねじれ紐アクチュエータの複数指関節への適用例を示す模式図である。2個の指関節FJ1及びFJ2が軸心AX1で枢支連結された状態が示されている。指関節FJ1は軸心AX1を中心として回転可能であり、指関節FJ2は軸心AX2を中心として回転可能である。図3では省略しているが、指関節FJ2についても、指関節FJ1と同様に、ねじれ紐1及びスライド部材32を含むねじれ紐アクチュエータが2組設けられ、軸心AX2を挟んで対向する2箇所に、2組のねじれ紐アクチュエータのねじれ紐1の一端側がスライド部材32を介してそれぞれ接続されるように構成されている。この例では、1関節に対して2本のねじれ紐アクチュエータが使用され、n関節の場合は2n本のねじれ紐アクチュエータが使用されることになる。
【0035】
図4は、1個のモータで2本のねじれ紐を同時に駆動する構成例を示す模式図である。この構成例は、図2又は図3に示した構成において、1個のモータを用いて2組のねじれ紐アクチュエータのねじれ紐1を同時に駆動するように構成したものである。すなわち、2組のねじれ紐アクチュエータのねじれ紐1の基端側(モータ側)が、モータ2の回転軸21に接続された動力伝達機構4の互いに異なる2本の回転出力軸41、42に接続されている。モータ2の回転軸21が回転すると、上側の第1回転出力軸41はそれに接続されたねじれ紐1のねじれを強める方向に回転し、かつ、下側の第2回転出力軸42はそれに接続されたねじれ紐1のねじれを緩める方向に回転するように構成されている。
【0036】
この構成では、1個の指関節FJ1について2組のねじれ紐1を含むねじれ紐アクチュエータを使用しながら、1個のモータ2でそれらのねじれ紐1を同時に駆動するので、2個のモータで個別に駆動する場合に比べて、駆動制御が簡単になる。また、指関節FJ1の迅速な駆動が可能になる。
【0037】
図4に示した構成では、動力伝達機構4として、1個のピニオンギア43及び2個の平ギア44、45を用いた減速反転機構が使用されている。ピニオンギア43はモータ2の回転軸21に固定され、上側の平ギア44は上側のねじれ紐1が接続された第1回転出力軸41に固定され、下側の平ギア45は、下側のねじれ紐1が接続された第2回転出力軸42に固定されている。上側の平ギア44と下側の平ギア45は同一方向(共にピニオンギア43と反対方向)に回転するので、2組のねじれ紐アクチュエータのねじれ紐1のねじれ方向を互いに逆の方向にしておく必要がある。
【0038】
つまり、モータ2の回転軸21が回転すると、第1回転出力軸41と第2回転出力軸42は同一方向(共にモータ2の回転軸21と逆方向)に回転するが、2本のねじれ紐1のねじれ方向が互いに逆の方向であるので、例えば図4に示すように、上側のねじれ紐1はねじれを強める方向(長さが短縮する方向)に駆動され、下側のねじれ紐1はねじれを緩める方向(長さが伸張する方向)に駆動される。
【0039】
動力伝達機構4を構成するギアの数や組合せを変えることにより、2本の回転出力軸41、42の回転方向が互いに逆方向になるように動力伝達機構4を構成し、上下2本のねじれ紐1のねじれ方向が互いに同一方向になるようにしてもよい。要するに、モータ2の回転軸21が回転したときに、第1回転出力軸41及び第2回転出力軸42の一方はねじれ紐1のねじれを強める方向に回転し、他方はねじれ紐のねじれを緩める方向に回転するように、動力伝達機構4及びねじれ紐1を構成すればよい。但し、第1回転出力軸41と第2回転出力軸42の出力トルクが等しくなるように、あるいは両者のバランスがとれるように、動力伝達機構4を構成することが望ましい。
【0040】
また、ギア同士の噛合部における騒音の発生を回避するために、ギアに代えて、接触面の摩擦力で動力を伝達する複数のローラ、あるいはローラ及びベルトを用いて動力伝達機構4を構成してもよい。また、モータ2として、DCブラシレスモータを使用することにより、モータ2から発生する騒音を低減することも望ましい。
【0041】
図5は、本発明の実施形態に係るねじれ紐アクチュエータのモータ2及びギアボックス4の構造を示す断面図である。ギアボックス4は、上記の説明における動力伝達機構4に相当するものである。このギアボックス4とモータ2とが一体に結合して駆動機構部20を構成している。ギアボックス4は、基端側プレート46、先端側プレート47及び側面プレート48で囲まれた箱形形状を有し、その内部空間に上述のピニオンギア43及び平ギア44、45等が収容されている。
【0042】
ギアボックス4の基端側プレート46の中央部には、モータ2の回転軸21とそれに固定されたピニオンギア43とが挿通される貫通孔が形成され、その周囲の外側面(下面)にはモータ2のケース先端部を受け入れる段状凹部が形成されている。基端側プレート46の段状凹部とモータ2のケース先端部とが嵌入、接着、ねじ止め等の手段によって互いに固定される。
【0043】
また、基端側プレート46の内側面(上面)には、その中心の貫通孔から所定距離を隔てた両側に、平ギア44、45を回転自在に支持するための固定軸部材49が2本立設されている。平ギア44、45の上下には、筒状部441、451が一体に設けられ、その中心部に固定軸部材49に外嵌するスリーブ軸受が設けられている。これにより、平ギア44、45は、固定軸部材49に支持され遊転することができる。また、平ギア44、45はピニオンギア43に螺合し、モータ2の回転軸21の回転に伴って回転駆動される。
【0044】
平ギア44、45の上部の中央部から上方(先端側)に向かって突出するように、回転出力軸41、42がそれぞれ一体に設けられ、ギアボックス4の先端側プレート47には回転出力軸41、42が挿通される2個の貫通孔が形成されている。なお、回転出力軸41(42)、筒状部441(451)及び平ギア44(45)は、個別の部材として形成され、それらが一体に結合していてもよいし、それらの全て又は一部(3個のうちの2個)が初めから一体の部材として形成されていてもよい。
【0045】
また、先端側プレート47の内側面(下面)において、回転出力軸41、42が挿通される貫通孔の周りに円環状の溝が形成されており、この溝に含油焼結合金からなる円環状部材51が嵌め込まれ接着等の手段で固定されている。また、この円環状部材51に当接して摺動可能な円環状摺動面442、452が筒状部441、451の先端側に形成されている。
【0046】
図5の上部において二点鎖線の長方形で囲んだ部分は、円環状部材51の軸方向から見た平面図を示している。この平面図から分かるように、円環状部材51の、回転側の円環状摺動面442、452に対向する円環状の面に12個の半球状突起部511が周方向に離間して設けられ、この半球状突起部511の先端部が円環状摺動面442、452に当接するように構成されている。
【0047】
円環状部材51は、回転出力軸41、42の軸心方向への移動を規制して保持するスラストベアリングの働きを有する。つまり、回転出力軸41、42の先端部に接続されるねじれ紐のねじれが強められ、ねじれ紐の長さが短縮されるときに、駆動対象物を引き寄せる駆動力の反作用として、回転出力軸41、42が駆動対象物の方向へ引っ張られる力(以下、スラスト力という)が大きくなる。このスラスト力は、筒状部441、451の先端側の円環状摺動面442、452と円環状部材51の半球状突起部511(の先端部)とが当接することによって受け止められる。
【0048】
円環状部材51は含油焼結合金からなり、回転側の円環状摺動面442、452との円滑な摺動を実現するので、スラスト力が大きくなっても回転駆動出力が低下しにくい。しかも、ボールベアリングを使用する場合に比べて、省スペースで安価なスラストベアリングを実現することができる。これにより、小形で安価なねじれ紐アクチュエータを実現することができる。
【0049】
また、円環状部材51に設けられた12個の半球状突起部511の先端部が回転側の円環状摺動面442、452に当接するので、円環状部材51の面全体で円環状摺動面442、452に当接する場合に比べて接触面(摺動面)の面積が小さくなるので、接触面での摺動摩擦に起因する出力ロスが低減される。これにより、スラスト力が大きくなっても回転駆動出力が一層低下しにくい安価なねじれ紐アクチュエータを実現することができる。なお、円環状部材51に設けた半球状突起部511の数を12個に限定する必要はなく、少なくとも3個あればスラストベアリングとして安定した動作が得られる。
【0050】
以上に説明したような駆動機構部20、一対のねじれ紐1、スライド部材32及びワイヤ5からなる1組のねじれ紐アクチュエータを駆動対象である指関節の数だけ用意し、適切な配置で並べることにより、義肢用アクチュエータユニットを構成することができる。なお、本発明の義肢用アクチュエータユニットは、義肢の他に、ロボットハンド等にも適用可能である。例えば義肢において、各指に少なくとも1個の関節が必要であり、きめ細かい動作を可能にするためには各指に2個の関節が必要である。仮に、親指に3個の関節、他の4本の指に2個の関節、手首に2個の関節を設けとすると、合計13個の関節が必要となる。したがって、13組のねじれ紐アクチュエータが必要になる。
【0051】
義肢用アクチュエータユニットの全体をコンパクトに構成するために、13組のねじれ紐アクチュエータ、特に13個の駆動機構部20を効率よく配置する必要がある。例えば図6の模式図に示すように、13個の駆動機構部20、一対のねじれ紐1及びスライド部材32を、円環状に配置することが可能である。図6において、一対の円環形状を有する第1枠部材61及び第2枠部材62が所定の間隔で対向するように配置され、両者が3本の棒状の連結部材63で連結固定されている。第1枠部材61の基端側の面には、周方向に沿って13個の駆動機構部20が配置され、固定されている。それぞれの駆動機構部20は、図4及び図5を用いて説明したように、モータ2及びギアボックス(動力伝達機構)4からなり、2本の回転出力軸41、42を有する。
【0052】
図6には示されていないが、2本の回転出力軸41、42が第1枠部材61の内側の面から突出し、ねじれ紐1の基端側がそれぞれの回転出力軸41、42に接続されている。なお、図6では、2本の紐11、12からなるねじれ紐1(図4参照)が1本の実線で描かれている。また、図4に示した一対のねじれ紐1が1組のねじれ紐アクチュエータを構成している。
【0053】
図6において、第2枠部材62には、周方向に沿って13組のスライド部材32が配置されている。図4に示したように、1組のねじれ紐アクチュエータには、2個のスライド部材32が設けられ、2本のねじれ紐1にそれぞれ接続されている。図6では、2個1組のスライド部材32が2個並んだ長方形で描かれている。各スライド部材32は、各ねじれ紐1の先端側に接続され、ねじれ紐1の長手方向のスライド運動のみが許容されている。つまり、第2枠部材62を貫通するように形成された角孔にスライド部材32が内嵌しており、第2枠部材62の周方向及び径方向への変位及び回転(自転)は規制され、軸方向(ねじれ紐1の長手方向)の変位のみが許容されている。
【0054】
これにより、駆動機構部20の作動に伴って前述のようにねじれ紐1が伸縮すると、スライド部材32がねじれ紐1の長手方向に変位することができる。なお、図6では図示を省略しているが、図4に示したように、スライド部材32はワイヤ5を介して駆動対象である指関節に接続されているので、スライド部材32がねじれ紐1の長手方向に変位することによって指関節を動かすことができる。
【0055】
この実施形態によれば、例えば義肢の腕の周囲に複数組のねじれ紐アクチュエータを効率良く配置して、スペースを有効に使用することができる。一対の枠部材61、62の中央の円形開口部をつなぐ円筒状空間に、義肢の腕部又は脚部やロボットハンドの腕部を通すように配置することができる。
【0056】
別の実施形態として、図7に示すように、板状の固定台6の上に駆動機構部20及びスライドガイド31を固定し、これらに加えてそれぞれ一対のねじれ紐1、スライド部材32及びワイヤ5を含む1組のねじれ紐アクチュエータを構成するようにしてもよい。このような固定台6を幅方向に複数連結し、義肢の腕部又は脚部やロボットハンドの腕部に巻き付けるように略円筒状に配置すれば、複数の指関節を駆動するための義肢用アクチュエータユニットが構成される。
【0057】
上記のようなねじれ紐アクチュエータ、又はそれを用いた義肢用アクチュエータユニットの組立工程において、駆動対象である指関節とスライド部材32との間に手作業でワイヤ5を張るように接続する際に、ワイヤ5を固定した段階でワイヤ5が緩んでしまう場合がある。つまり、図7に示すように、スライド部材32の先端側に形成された孔32aにワイヤ5の先端を通して固定した際に、ワイヤ5が指関節とスライド部材32との間で緩んだ(たるんだ)状態になってしまうことがある。つまり、作業者によってワイヤ5の張り具合がばらついてしまう。逆に、そのような緩みが無く張り具合が均一な状態でワイヤ5の接続・固定作業を行おうとすれば、作業にかかる時間が長くなってしまう。
【0058】
そこで、図8に示すように、スライド部材32とワイヤ5との接続部に、ワイヤ5の基端側を巻き取ることによってその長さを調整する調整機構(調整手段)7を設ける。なお、図8では、ワイヤ5の基端側を調整機構7の基端側から出ているワイヤ(又は紐)5aにワイヤ5の基端側を接続しているが、ワイヤ5が調整機構7によって巻き取り可能な可撓性(柔軟性)を有している場合は、ワイヤ5の基端側を調整機構7に直接接続して巻き取る構成としてもよい。いずれの場合も、指関節とスライド部材32との間にワイヤ5を接続したのちに、調整機構7を用いてワイヤ5の張り具合を調整することができる。
【0059】
この調整機構7の構成例を分解斜視図として図9に示す。図9に示す調整機構7は、上ケース71、下ケース72、巻き取りシャフト73、回り止めナット74、つまみ部75等で構成されている。上ケース71及び下ケース72は、樹脂又はアルミニウム等の金属で形成され、いずれも長方形の板の両側部に低い壁711、721が形成された形状を有する。上ケース71及び下ケース72は、それぞれの壁711、721の先端面を付き合わせるようにして、接着、溶着等の手段で両者が結合される。ビス止め又は嵌合等の手段で両者を結合するような構造としてもよい。
【0060】
互いに結合した状態の上ケース71及び下ケース72(以下、ケース71、72という)は、内部に空間を有し、その基端側(図9では右奧側)にはスライド部材32の先端側が挿入される開口POが形成されている。また、スライド部材32をケース71、72に固定するためのボルト76が挿通される貫通孔712が上ケース71の上面の基端側寄りに形成され、下ケース72の対応箇所にはボルト76の雄螺子に合致する雌螺子を有する螺子孔722が形成されている。図9に破線で示すように、ボルト76が上ケース71の貫通孔712及びスライド部材32の孔32aを通って下ケース72の螺子孔722にねじ込まれることにより、スライド部材32とケース71、72(即ち調整機構7)とが図8に示したように固定(連結)される。
【0061】
ケース71、72の先端側には巻き取られるワイヤ5aが挿入される開口DOが形成されている。また、上ケース71上面の先端側寄りには巻き取りシャフト73の上部が挿通される貫通孔713が形成され、下ケース72の対応箇所には巻き取りシャフト73の下部が挿通される貫通孔723が形成されている。また、巻き取りシャフト73の上部には雄螺子731が切られており、これに螺合する回り止めナット74が上ケース71の上面側から巻き取りシャフト73にねじ込まれる。
【0062】
回り止めナット74は、巻き取りシャフト73の雄螺子731の下方に形成された鍔部732とで上ケース71の貫通孔713の周辺部を挟み付けるようにして巻き取りシャフト73を固定する(回転を防止する)働き(回り止め機能)を有する。なお、上ケース71の貫通孔713の周辺部(円環部)に肉盛りを行うことが好ましい。更に、その円環部と巻き取りシャフト73の鍔部732との接触面に凹凸を設けることにより、上記の回り止め機能を確実なものとすることができる。
【0063】
なお、巻き取りシャフト73を回転操作してワイヤ5aを巻き取るときは、回り止めナット74を緩め、ワイヤ5が適切な張り具合に調整された状態で回り止めナット74を締め付けて巻き取りシャフト73を固定することになる。巻き取りシャフト73の上端には回転操作を容易にするためのつまみ部75が螺合、嵌合、接着等の手段により固定されている。つまみ部75と巻き取りシャフト73との固定を確実にする(空回りを防止する)ために、巻き取りシャフト73の上端部の断面形状を回り止め機能が働く異形とし、それに嵌合する凹部をつまみ部75下面に形成するようにしてもよい。
【0064】
本実施形態の変形例として、図10に示すように、巻き取りシャフト73の上側先端面に六角レンチ用の六角凹部734を設けてもよい。この場合は、ワイヤ5の張り具合の調整時に、所定の六角レンチを六角凹部734に嵌合させて巻き取りシャフト73を回転させ、その後、回り止めナット74を締め付けて巻き取りシャフト73を固定することができる。したがって、つまみ部75を省略することができる。
【0065】
また、巻き取りシャフト73の鍔部732の下方に設けられたフック733は、ワイヤ5aを巻き取りシャフト73に巻き付ける際に、その基端側を引っかけるために使用される。なお、図示の例では巻き取りシャフト73にワイヤ(又は紐)5aが巻き付けられ、その先端部にワイヤ5の基端側が接続される(図8参照)が、ワイヤ5の基端側を巻き取りシャフト73に直接巻き付ける構成としてもよい。その場合は、例えば、ワイヤ5の基端側に小さな輪を形成しておき、ケース71、72の先端側の開口DOから巻き取りシャフト73のフック733が見えるように巻き取りシャフト73の回転位置を調整し、ワイヤ5の基端側の輪をフック733に引っかけてから巻き取りシャフト73を回転させてワイヤ5の基端側を巻き取るようにすればよい。
【0066】
また、本実施形態の別の変形例として、図11に示すように、上ケース71の上面において、回り止めナット74の回りの部分に目盛り714を設けてもよい。この目盛り714は、巻き取りシャフト73の回転量を目視でチェックすることにより、ワイヤ5aの巻き取り量(即ちワイヤ5の張り具合の調整量)を把握することを可能にする調整量把握手段に相当する。更に、つまみ部75の周部の一箇所に目盛り714を指し示す突起部751を設けてもよい。
【0067】
次に、図7又は図8に示した板状の固定台6、駆動機構部20、スライドガイド31、ねじれ紐1、スライド部材32等を含む1組のねじれ紐アクチュエータの構造の他の実施例について説明する。図7又は図8では、義肢(又はロボットハンド)の腕部又は脚部の周囲に配置される固定台6の上にモータを含む駆動機構部20が載置され、固定されているが、固定台6の表面に凹部を形成し、その凹部に駆動機構部20の全体又は一部を埋設するようにしてもよい。駆動機構部20を小形化し、固定台6にある程度の厚みを持たせることにより、そのような構造が可能になる。
【0068】
また、図7又は図8では、ねじれ紐1の基端側が回転出力軸41、42に直接接続されている。例えば、図12(a)に示すように、回転出力軸41の先端部に設けた貫通孔411に通した紐1aで小さな輪を形成するようにしてねじり紐1の基端側を回転出力軸41に接続している。
【0069】
しかし、この接続方法では、例えば駆動機構部20の交換を行う場合に、紐1aを一旦切断して駆動機構部20を交換した後に新たな紐1aを用いてねじり紐1の基端側を回転出力軸41(又は42)に接続する必要があり、作業に多くの時間がかかる。そこで、図12(b)に示すように、回転出力軸41’に着脱自在な紐固定部材8をねじれ紐1の基端側にあらかじめ接続しておく。なお、図12(b)は一方の回転出力軸41の変形である回転出力軸41’とそれに着脱自在な紐固定部材8を示しているが、他方の回転出力軸42’についても同様である。
【0070】
紐固定部材8は、樹脂又はアルミニウムのような金属で形成された略円筒形状を有する。その先端側(左側)にはねじれ紐1が挿通される貫通孔81が形成され、基端側(右側)には六角形の凹部82が形成されている。回転出力軸41’の先端側には、紐固定部材8の凹部82に挿入されて嵌合する六角柱の突起部412が形成されている。また、抜け止めピン又は螺子(図示せず)が挿入される貫通孔又は螺子孔83及び413が紐固定部材8及び出力軸41’(の突起部412)に形成されている。
【0071】
このように回転出力軸41’(及び42’)に着脱自在な紐固定部材8を介してねじり紐1の基端側を回転出力軸41’(及び42’)に接続することにより、例えば駆動機構部20の交換を行う場合に、ねじり紐1と駆動機構部20との接続を一旦外して再接続する作業が簡単になる。
【0072】
なお、回転出力軸41’(又は42’)と紐固定部材8との嵌合部の形状は図12(b)に示したような六角柱及び六角形の凹部に限る必要はない。つまり、それらの断面は六角形に限らず、三角形、四角形等、他の多角形でも良いし、半円や円の一部が欠けた形状でも良い。あるいは、雄螺子と雌螺子の螺合によって両者が着脱自在である構造を採用してもよい。
【0073】
以上、本発明の複数の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は上記の実施形態及び変形例に限らず、種々の形態で実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の義肢用アクチュエータユニットを構成するねじれ紐アクチュエータの概念を示す模式図である。
【図2】ねじれ紐アクチュエータを用いて指関節を駆動する適用例を示す模式図である。
【図3】図2に示したねじれ紐アクチュエータの複数指関節への適用例を示す模式図である。
【図4】1個のモータで2本のねじれ紐を同時に駆動する構成例を示す模式図である。
【図5】本発明の実施形態に係るねじれ紐アクチュエータのモータ及びギアボックスの構造を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る義肢用アクチュエータユニットにおける13組のねじれ紐アクチュエータの配置例を示す模式図である。
【図7】本発明の別の実施形態に係る義肢用アクチュエータユニットの一部分を示す斜視図である。
【図8】本発明の調整機構を備えた実施形態に係る義肢用アクチュエータユニットの一部分を示す斜視図である。
【図9】調整機構の分解斜視図である。
【図10】調整機構を構成する巻き取りシャフトの変形例を示す斜視図である。
【図11】調整機構の変形例を示す斜視図である。
【図12】ねじれ紐の基端側と回転出力軸との接続方法を示す図である。
【図13】従来のワイヤ式アクチュエータの基本的な構造を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1 ねじれ紐
5 ワイヤ
6 固定台
7 調整手段
8 紐固定部材
20 駆動機構部
32 スライド部材
41、42 回転出力軸
73 巻き取りシャフト
75 つまみ部
714 目盛り(調整量把握手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の紐を互いにねじり合わせた構造のねじれ紐と、当該ねじれ紐の基端側に接続された回転出力軸を有する駆動機構部と、前記ねじれ紐の先端側に接続されて前記ねじれ紐の長手方向のスライド運動のみが許容されるスライド部材と、当該スライド部材と駆動対象物との間に接続されるワイヤとを備え、前記駆動機構部の回転出力軸が回転すると前記ねじれ紐を構成する2本の紐のねじれの強弱変化によって前記ねじれ紐の長さが変化し、その結果、前記スライド部材が前記ねじれ紐の長手方向に変位し、当該変位が前記ワイヤを介して前記駆動対象物に伝達されるねじれ紐アクチュエータであって、
前記スライド部材と前記ワイヤとの接続部に、前記ワイヤの張り具合を調整する調整手段が設けられていることを特徴とするねじれ紐アクチュエータ。
【請求項2】
前記調整手段は、前記ワイヤの端部が巻き付けられる巻き取りシャフトと、当該巻き取りシャフトを手動回転させるつまみ部とを備えていることを特徴とする
請求項1記載のねじれ紐アクチュエータ。
【請求項3】
前記巻き取りシャフトの回転量を目視でチェックすることにより、前記調整手段による前記ワイヤの張り具合の調整量を把握することを可能にする調整量把握手段を更に備えていることを特徴とする
請求項1又は2記載のねじれ紐アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載のねじれ紐アクチュエータを複数組用いて駆動対象である複数の指関節を駆動する義肢用アクチュエータユニットであって、
前記駆動機構部、前記ねじれ紐、前記スライド部材及び前記調整手段を含むアクチュエータ部が複数組、略平行に配置され、それらが義肢を構成する固定台に固定されていることを特徴とする義肢用アクチュエータユニット。
【請求項5】
前記固定台の表面に前記駆動機構部の全体又は一部が埋設される凹部が形成され、かつ、前記駆動機構部の回転出力軸と前記ねじれ紐の基端側との接続が前記回転出力軸に着脱自在な紐固定部材を介して成されていることを特徴とする
請求項4記載の義肢用アクチュエータユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−269156(P2009−269156A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124084(P2008−124084)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000232302)日本電産株式会社 (697)
【Fターム(参考)】