説明

ねずみ検出撮影システム

【課題】ねずみ検出対象範囲(検出対象領域)をビデオカメラによって動画撮影した撮影動画像データに基づき、ねずみの存在証明のみならず、ねずみの移動経路や行動パターンの把握も可能とする技術の開発。
【解決手段】ねずみセンサ22及び人センサ23を有する検出装置20と、ねずみ検出対象範囲の動画撮影用のビデオカメラ30と、このビデオカメラ30から撮影動画像データを格納する入力データ格納部を有する録画装置40とを具備し、録画装置40は、検出装置20から出力されたねずみ検出報知信号を受信したときに入力データ格納部から前記ねずみセンサよる物体検出時を含む予め設定された時間範囲に連続撮影された撮影動画像データを抽出して格納するデータ抽出格納部を具備するねずみ検出撮影システム10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねずみ検出対象範囲(検出対象領域)へのねずみの侵入検出、及び前記ねずみ検出対象範囲を含む撮影範囲の動画撮影を行い、ねずみの存在証明、移動経路の把握等を行うための撮影動画像データを得るねずみ検出撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ねずみ防除にあっては、施設内へのねずみの侵入経路や、施設内での移動経路の把握が、殺鼠剤の配置やトラップの配置といった防除計画の立案上、重要である。
この目的のために、従来から、光電式あるいは赤外線式等のねずみ検出用センサを設けたねずみ検出装置を用いて、特定場所を通過するねずみを検出し、その数をカウントすることが行われている。
【0003】
また、ねずみ検出装置としては、ねずみ検出用センサの検出範囲を往復動するねずみの重複カウントや、ねずみ検出用センサの検出範囲を人が通過したときの誤検出を防止、抑制するための様々な工夫もなされている(例えば特許文献1)。
中でも、ねずみ検出装置のねずみ検出数のカウント動作に連動させたフィルムカメラによって、ねずみ検出用センサによるねずみ検出範囲を含む撮影領域を撮影するようにしたシステム(検出・静止画像撮影システム)は、フィルムカメラが撮影した静止画像を検証することで、重複カウントや人の通過等による誤検出(誤カウント)の排除が可能であり、カウント数の信頼性向上に大きな成果を挙げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2811545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の検出・静止画像撮影システムは、フィルム撮影である以上、静止画像しか得られない。このため、ねずみの存在証明にはなっても、ねずみの移動経路や行動パターンは把握できない。
【0006】
本発明は、前記課題に鑑みて、ねずみ検出対象範囲(検出対象領域)をビデオカメラによって動画撮影した撮影動画像データに基づき、ねずみの存在証明のみならず、ねずみの移動経路や行動パターンの把握も可能とするねずみ検出撮影システムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、ねずみ検出を行うねずみ検出対象範囲へのねずみの侵入を検出するためのねずみセンサを有する検出装置と、前記ねずみ検出対象範囲を動画撮影するためのビデオカメラと、このビデオカメラが撮影した撮影動画像データがビデオカメラから入力される録画装置とを具備し、前記録画装置は、前記ビデオカメラから入力された撮影動画像データを格納する入力データ格納部と、前記検出装置がねずみ検出時に出力するねずみ検出報知信号を受信する受信部と、この受信部に接続され前記受信部が前記ねずみ検出報知信号を受信したときに前記入力データ格納部から前記ねずみセンサによる前記ねずみ検出対象範囲に侵入した物体の検出時を含む予め設定された時間範囲に連続撮影された撮影動画像データの抽出を開始するデータ抽出部と、このデータ抽出部によって前記入力データ格納部から抽出された撮影動画像データを格納する抽出データ格納部とを具備することを特徴とするねずみ検出撮影システムを提供する。
第2の発明は、前記録画装置の前記データ抽出部は、前記受信部が前記ねずみ検出報知信号を受信したときに、前記時間範囲で前記ねずみセンサよる物体検出時及びその前後にわたって連続撮影された撮影動画像データの前記入力データ格納部からの抽出を開始することを特徴とする第1の発明のねずみ検出撮影システムを提供する。
第3の発明は、前記録画装置の前記入力データ格納部が、前記ビデオカメラから入力され格納した撮影動画像データのうち、前記時間範囲と同じかあるいは前記時間範囲よりも長く設定した保存時間を経過したものを消去する機能を有する消去機能付きデータ格納部であることを特徴とする第1又は2の発明のねずみ検出撮影システムを提供する。
第4の発明は、前記録画装置に、前記抽出データ格納部に格納された撮影動画像データである抽出動画像データを出力するための出力端子が設けられていることを特徴とする第1〜3のいずれか1つの発明のねずみ検出撮影システムを提供する。
第5の発明は、前記検出装置は連結具によって前記録画装置に対して着脱可能とされていることを特徴とする第1〜4のいずれか1つの発明のねずみ検出撮影システムを提供する。
第6の発明は、前記録画装置から離隔させて設置可能な検出装置を複数有し、これら検出装置が出力するねずみ検出報知信号がそれぞれ前記録画装置の前記受信部にて受信可能とされていること特徴とする第1〜5のいずれか1つの発明のねずみ検出撮影システムを提供する。
第7の発明は、前記検出装置は、前記ねずみセンサと、前記ねずみ検出対象範囲の上側を検出範囲とし該検出範囲への人の侵入を検出するための人センサと、前記ねずみセンサがねずみ検出対象範囲への物体の侵入を検出したときに出力する検出信号であるねずみ検出信号及び前記人センサがその検出範囲への物体の侵入を検出したときに出力する検出信号である人検出信号を受信可能であり、受信した検出信号に基づいてねずみを検出したかどうかを判定する検出判定処理を行い、ねずみを検出したものと判定したときにねずみ検出報知信号を出力する検出判定処理部とを具備することを特徴とする第1〜6のいずれか1つの発明のねずみ検出撮影システムを提供する。
第8の発明は、前記検出装置は、複数の前記ねずみセンサと、前記人センサと、前記検出判定処理部とを具備し、前記検出判定処理部は、前記ねずみセンサが出力するねずみ検出信号及び前記人センサが出力する人検出信号を受信可能な検出信号受信部と、前記人検出信号を受信した時点から予め定められた経過時間である人検出後経過時間と前記ねずみ検出信号を受信した時点から予め定められた経過時間であるねずみ検出後経過時間とを計測し、各ねずみセンサからのねずみ検出信号の受信に係る前記ねずみ検出後経過時間が同時に重なる時点が存在し、かつ、同時に重なる時点が存在する全てのねずみ検出後経過時間と前記人検出後経過時間とが重なっていないと判定した場合に、前記ねずみ検出報知信号を出力する、タイマー機能付きのねずみ検出報知信号出力部とを有することを特徴とする第7の発明のねずみ検出撮影システムを提供する。
第9の発明は、前記検出装置は、複数の前記ねずみセンサと、前記ねずみセンサがねずみ検出対象範囲への物体の侵入を検出したときに出力する検出信号であるねずみ検出信号を受信可能であり、受信した検出信号に基づいてねずみを検出したかどうかを判定する検出判定処理を行い、ねずみを検出したものと判定したときにねずみ検出報知信号を出力する検出判定処理部とを具備し、前記検出判定処理部は、前記ねずみセンサが出力するねずみ検出信号を受信可能な検出信号受信部と、ねずみセンサが出力した前記ねずみ検出信号を受信した時点から予め定められた経過時間であるねずみ検出後経過時間を計測し、複数のねずみセンサからのねずみ検出信号の受信に係る前記ねずみ検出後経過時間が同時に重なる時点が存在し、かつ、同時に重なる時点が存在する全てのねずみ検出後経過時間と前記人検出後経過時間とが重なっていないと判定した場合に、前記ねずみ検出報知信号を出力する、タイマー機能付きのねずみ検出報知信号出力部とを有することを特徴とする第1〜6のいずれか1つの発明のねずみ検出撮影システムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るねずみ検出撮影システムによれば、検出装置から出力されたねずみ検出報知信号を録画装置の受信部が受信することで、録画装置が、ねずみ検出対象範囲をビデオカメラによって連続撮影して得られた撮影動画像データが入力される入力データ格納部から、ねずみセンサによる物体検出時を含む予め設定された時間範囲(以下、設定時間範囲とも言う)の撮影動画像データを抽出し抽出データ格納部に格納する動作(抽出格納動作)を行う。つまり、検出装置が、ねずみセンサによる物体検出時からねずみ検出報知信号の出力までの動作時間を要する構成のものであっても、検出装置が出力したねずみ検出報知信号を受信した録画装置の抽出格納動作によって、ねずみセンサによる物体検出時を含む設定時間範囲に撮影された撮影動画像データを抽出データ格納部に保存できる。このため、例えば抽出データ格納部に保存された撮影動画像データの動画再生等によってねずみセンサが検出した物体の確認等を容易に行える。また、ねずみの存在証明のみならず、ねずみの移動経路や行動パターンの把握も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の1実施形態のねずみ検出撮影システムを示す平面図である。
【図2】図1のねずみ検出撮影システムを示す斜視図である。
【図3】図1のねずみ検出撮影システムの検出装置と録画装置とを連結具を用いて互いに連結してなる連結ユニットを示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】図1のねずみ検出撮影システムの検出装置のねずみ検出判定処理に係る構成を説明するブロック図である。
【図5】(a)〜(c)は、図1のねずみ検出撮影システムの検出装置の動作例を説明するタイムチャートである。
【図6】図1のねずみ検出撮影システムの検出装置のねずみ検出判定処理を説明するフローチャートである。
【図7】(a)〜(c)は、図1のねずみ検出撮影システムの検出装置によるねずみ検出を説明する概念図である。
【図8】図1のねずみ検出撮影システムの録画装置の構成を説明するブロック図である。
【図9】図1のねずみ検出撮影システムの検出装置からのカウント信号の出力タイミングと、録画装置のデータ抽出格納部が入力データ格納部から撮影動画像データを抽出して格納する動作との関係を説明する図である。
【図10】図1のねずみ検出撮影システムの検出装置を録画装置から分離した状態を示す斜視図である。
【図11】図1のねずみ検出撮影システムを用いた画像撮影試験を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る1実施形態のねずみ検出撮影システムについて、図面を参照して説明する。
なお、図2、図3(a)、(b)、図7において、上側を上、下側を下として説明する。
【0011】
ここで説明するねずみ検出撮影システムは、例えばビルや戸建住宅等の建物、トンネル等の地下構造物、といった施設、その他、屋外のゴミ集積所付近などといった場所(検出場所)のねずみの存在証明、ねずみの移動経路の把握等のため、前記検出場所に設定したねずみ検出対象範囲1へのねずみの侵入検出、動画撮影を行うものである。
【0012】
図1、図2に示すように、前記ねずみ検出撮影システム10は、ねずみ検出対象範囲1へのねずみAの侵入を検出するための検出装置20と、前記ねずみ検出対象範囲1を含むねずみ検出対象範囲1よりも広範囲の撮影範囲30Sを連続して動画撮影するためのビデオカメラ30と、前記撮影範囲30Sをビデオカメラ30によって撮影して得られた撮影動画像データが前記ビデオカメラ30から入力される録画装置40とを具備する概略構成となっている。
【0013】
図2、図3(a)、(b)に示すように、図示例の検出装置20の前記筐体21は具体的には外観が概略箱形になっている。
この検出装置20は、ねずみセンサ22及び前記ねずみ検出対象範囲1の上側を検出範囲とし該検出範囲に侵入した人を検出するための人センサ23を筐体21に設けて構成されている。
この検出装置20は、建物床面等の施設床面、道路路面、地面などである検出場所床面2(以下、単に床面とも言う)上に、前記筐体21の底面21a(以下、筐体底面とも言う)が下面となる向きで載置し、その前面(筐体前面21b)に配置されたねずみセンサ22及び人センサ23のうちねずみセンサ22がねずみ検出対象範囲1に臨むようにして設置される。
【0014】
図1、図2において、ねずみ検出対象範囲1は、床面2上におけるねずみAの行動範囲を想定して床面2上に設定されている。ねずみ検出対象範囲1は、床面2上のねずみAの想定行動範囲の一部である。また、このねずみ検出対象範囲1の高さ方向の設定範囲は床面2におけるねずみAの想定行動範囲の高さ範囲と同じであり、検出対象のねずみの概ねのサイズに応じて、例えば床面2から高さ5cm程度の範囲に設定される。
【0015】
人センサ23は、検出装置20前側(前方)に侵入した人M(図7(a)、(c)参照)を検出するために、ねずみセンサ22よりも上側に設けられ、ねずみ検出対象範囲1の上側に向けられる。人センサ23は、人Mの胴部を検出して人検出を確実にするべくねずみ検出対象範囲1よりも上側を検出範囲とする。ねずみAと人Mの身体のサイズ(特に高さ方向の寸法)は格段に異なるため、人センサ23の検出範囲をねずみ検出対象範囲1よりも上側とすることで、ねずみ検出対象範囲1に侵入したねずみAを人センサ23が誤検出することを回避できる。また、人センサ23は、ねずみ検出対象範囲1に侵入したねずみA等、高さ方向の存在範囲がねずみ検出対象範囲1の高さ方向の設定範囲内の物体を検出しないように、検出装置20における取り付け位置や取り付け向きが設定される。
【0016】
前記ねずみセンサ22は、筐体21の前面21bに横並びに2つ(第1のねずみセンサ22a及び第2のねずみセンサ22b)、互いに離隔させて設けられている。
人センサ23も前面(筐体前面21b)側に設けられている。2つのねずみセンサ22及び人センサ23は、いずれも検出装置20からその前方(筐体前面21bを介して背面21fとは反対側)を検出範囲とし、該検出範囲に侵入した物体を検出することで検出信号を出力する。
【0017】
前記ねずみセンサ22、人センサ23としては、ここでは赤外線センサであるが、この他、光電センサ等も採用可能である。
赤外線センサとしては、ねずみや人の検出に用いられている周知のもので良く、例えばデュアル素子タイプのものを好適に使用できる。
赤外線センサを用いたねずみセンサ22、人センサ23は、その検出範囲に侵入した人やねずみといった動物が発生する赤外線を受光することで、検出信号を出力する。すなわち、赤外線センサを用いたねずみセンサ22、人センサ23は、主に代謝熱で体温が維持されている内温性の恒温動物の検出に好適に用いることができるものである。
光電センサは、ここでは、検出光を出力する検出光出力部と、この検出光出力部が物体に衝突して反射した反射光を受光する受光部とを備え、受光レベルに応じた受光信号を出力するものを指す。この光電センサの場合、その検出範囲へのねずみや人の侵入に起因する受光部での受光レベルの変動に対応する受光信号の変化が、検出信号として機能する。
【0018】
図3(b)に示すように、ねずみセンサ22及び人センサ23は、その受光側先端部22f、23fが、筐体前面21bを形成する検出装置20の前側部に配置されるようにして筐体21に組み込んで設けられている。ねずみセンサ22及び人センサ23の受光側先端部22f、23fは検出装置20前側から目視可能であり、ねずみセンサ22及び人センサ23は検出装置20前方からの光を受光側先端部22f、23fにて受光できる。
【0019】
ねずみセンサ22は、該ねずみセンサ22(詳細にはその受光側先端部22f)から検出装置20を設置した床面2の側に傾いた方向を検出範囲とするように組み込み向きを設定してある。一方、人センサ23は、該ねずみセンサ22(詳細にはその受光側先端部23f)から検出装置20を設置した床面2に対して該床面2とは反対の側に傾いた方向を検出範囲とするように組み込み向きを設定してある。
【0020】
具体的には、図3(a)、(b)に示す検出装置20は、筐体21の前面21bの下部に、底面21aに対して垂直ではなく、底面21aに対する傾斜角度θcが例えば90度よりも大きく110度以下(例えば97度)程度の鈍角の傾斜面になっている前側下部面21cを有し、前記前側下部面21cの上側に、筐体底面21aに対する傾斜角度θdが例えば60度から90度未満程度の鋭角の傾斜面になっている前側上部面21dを有している。
【0021】
ねずみセンサ22は受光側端部22fの端面が前側下部面21cに概ね揃うようにして筐体21に組み込まれている。ねずみセンサ22は検出装置20の筐体21の前側下部面21cに垂直の斜め前方を検出範囲とする。また、ねずみセンサ22は、2つのねずみセンサ22によるねずみAの同時重複検出を回避するべく、検出装置20におけるねずみセンサ22間の離隔距離の設定や、受光側端部22fの受光範囲の絞り込み(例えば検出装置20からの離隔距離が大きい箇所にあっても検出範囲が殆どあるいは全く拡がらないようにする)等によって、2つのねずみセンサ22a、22bの検出範囲同士が重ならないようにしてある。
【0022】
検出装置20を平坦な床面2上に設置すれば、ねずみセンサ22による検出範囲は前側下部面21cの底面21aに対する傾斜角度θcによって決まる。検出装置20は、ねずみセンサ22によるねずみAの検出範囲を、例えば前側下部面21cから前側へ数m(例えば2m)程度確保できるように、前側下部面21cの底面21aに対する傾斜角度θc及び前側下部面21cにおけるねずみセンサ22の高さ方向の取り付け位置を設定する。ねずみセンサ22による検出範囲の前側下部面21cからの延在長は、数メートル程度に限定されず適宜設定可能である。
前側下部面21cにおけるねずみセンサ22の高さ方向の取り付け位置は、例えば筐体底面21aから5〜50mm程度であるが、これに限定されるものではない。
【0023】
一方、人センサ23は、筐体前面21bの前側上部面21dに垂直の斜め前方を検出範囲とする。図示例の筐体21において、前記筐体前面21bの前側上部面21dは、筐体底面21aに対する傾斜角度θdが90度よりも小さい傾斜面であるため、人センサ23の検出範囲は該人センサ23から床面2に対して該床面2とは反対の方向に傾く斜め前方となる。
また、人センサ23は、外観ドーム形(半球状)に形成された受光側先端部23fを前記前側上部面21dから筐体21外側に突出させた状態で筐体21に組み込んで設けられ、人Mの身長差や姿勢(直立やしゃがんだ姿勢など)に幅広く対応して人を検出するべく、検出装置20から離隔するほど拡がるテーパ状の検出範囲を確保できるようになっている。但し、人センサ23は、例えばフレネルレンズ等を使用して赤外線による検出範囲を絞るようにしても良い。
【0024】
図4は、本実施形態による検出装置20の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、検出装置20は、2つのねずみセンサ22a、22bと、ひとつの人センサ23と、前記ねずみセンサ22a、22b及び人センサ23から出力される検出信号を受信可能であり受信した検出信号に基づいてねずみ検出判定処理(検出判定処理)を行う検出判定処理部24と、この検出判定処理部24がねずみを検出したものと判定したときに出力するカウント信号(ねずみ検出報知信号)を受信することでねずみ検出数を積算(カウント)するカウンタ25とを具備している。
【0025】
また、この検出装置20は、図3(a)、(b)に示すように、筐体21の側面21eに、前記カウンタ25に接続され前記カウンタ25によるねずみ検出数の積算値(カウント数)を画面表示するディスプレイである表示部26と、第1のねずみセンサ22aがその検出範囲に侵入した物体(例えばねずみA)を検出したときに出力する検出信号(以下、ねずみ検出信号)を受信することで発光する第1のねずみ検出発光部27aと、第2のねずみセンサ22bがその検出範囲に侵入した物体(例えばねずみA)を検出したときに出力するねずみ検出信号を受信することで発光する第2のねずみ検出発光部27bと、人センサ23がその検出範囲に侵入した物体を検出したときに出力する人検出信号を受信することで発光する人検出発光部27cと、検出装置20に搭載されたバッテリの残電圧が予め設定した閾値以下に低下したときに発光するバッテリ警告発光部27dとを具備している。
なお、表示部26、第1のねずみ検出発光部27a、第2のねずみ検出発光部27b、人検出発光部27c、バッテリ警告発光部27dのうち、表示部26以外は、図4での図示を略している。また、検出装置20としては、その駆動電源としてバッテリを搭載したものに限定されず、例えば家庭用電源等の一般商用電源に配線用差込接続器(コンセントとプラグ)を介して接続して使用できる構成とすることも可能である。
【0026】
第1のねずみ検出発光部27a、第2のねずみ検出発光部27b、人検出発光部27cバッテリ警告発光部27dとしては検出信号の受信によって可視光を発光するものであり、例えば発光ダイオード(LED(Light Emitting Diode))を用いた構成のものを採用できるが、発光素子としては発光ダイオードに限定されず各種構成のものを使用可能である。
【0027】
図4に示すように、前記検出判定処理部24は、第1のねずみセンサ22aがその検出範囲に侵入した物体(例えばねずみA)を検出したときに出力するねずみ検出信号(以下、第1のねずみ検出信号とも言う)、第2のねずみセンサ22bがねずみA(あるいは人M)を検出したときに出力するねずみ検出信号(以下、第2のねずみ検出信号とも言う)、人センサ23が出力する検出信号(人検出信号)を受信する検出信号受信部24aと、この検出信号受信部24aが受信した検出信号に基づいてねずみを検出したかどうかを判定するねずみ検出判定処理を行い、ねずみを検出したと判定したときねずみ検出報知信号としてカウント信号を出力するカウント信号出力部24bとを具備している。ねずみ検出判定処理の詳細については後述する。
【0028】
カウンタ25は、カウント信号出力部24bが出力したカウント信号を受信することでカウント信号の受信回数をねずみのカウント値(検出数)として積算し、積算値を記憶する。例えば、カウンタ25は、予め0(ゼロ)の値を示す情報であるカウント値を記憶しておき、カウント信号出力部24bからねずみカウント信号を受信すると、そのカウント値に1を追加し、カウント値として記憶する。この積算値は、前記表示部26に表示されるため目視にて容易に把握できる。
【0029】
図3(b)に示すように、検出装置20には、カウンタ25が記憶するカウント値を0(ゼロ)に戻すためのカウンタリセットスイッチ25aが設けられている。カウンタリセットスイッチ25aのスイッチング操作によってカウンタ25が記憶するカウント値が0(ゼロ)に戻されれば、表示部26にて表示される数値もゼロとなる。
図3(b)に例示するカウンタリセットスイッチ25aは、筐体21外側から押し込み操作可能な押し込み式スイッチであるが、カウンタリセットスイッチ25aとしては筐体21外側からスイッチング操作可能なものであれば良く、例えば回転ダイヤル式のものなど、その具体的構成には特には限定は無い。
【0030】
表示部26は、カウンタ25が記憶するカウント値を人間に知覚可能に出力する出力手段である。すなわち、本実施形態では、表示部26は、液晶画面による画面表示部等のディスプレイであるが、これに限定されず音声などによりカウント値を出力する構成としても良い。
【0031】
図示例の検出装置20において、検出判定処理部24及びカウンタ25は筐体21内に組み込まれている。検出判定処理部24(詳細にはカウント信号出力部24b)からカウンタ25へのカウント信号の出力は、例えば検出判定処理部24(詳細にはカウント信号出力部24b)とカウンタ25とを接続(結線)した信号線を介した電子信号として伝送する有線方式での伝送を好適に採用できるが、これに限定されず、電波、光、音波等を利用して行う無線出力であっても良い。
【0032】
また、表示部26、第1のねずみ検出発光部27a、第2のねずみ検出発光部27b、人検出発光部27c、バッテリ警告発光部27dは、筐体21の前面21bの左右両側から該前面21bとは反対側の背面21fに向かって延在する一対の側面の片方に配置されているが、これら表示部26、第1のねずみ検出発光部27a、第2のねずみ検出発光部27b、人検出発光部27c、バッテリ警告発光部27dの筐体21における設置位置はこれに限定されず、適宜変更可能である。
【0033】
この検出装置20は、検出判定処理部24が、第1のねずみセンサ22a、第2のねずみセンサ22b、人センサ23からの検出信号の受信の有無、受信タイミングに基づいてねずみ検出判定処理を行うことで、ねずみセンサ22a、22bの検出範囲への人Mの侵入や通過による誤検出を抑えることができる。
【0034】
次に、図5と図6とを参照して、カウント信号出力部24bが行う上述のねずみ検出判定処理について説明する。
図5には、検出信号受信部24aが受信する検出信号と、カウント信号出力部24bがカウント信号を出力する場合のタイムチャートの一例が示されている。このタイムチャートは、検出信号受信部24aが受信する検出信号に対するカウント信号出力部24bからのカウント信号の出力の有無、カウント信号を出力する場合の出力タイミングの関係の一例を示す。
【0035】
カウント信号出力部24bは、第1又は第2ねずみセンサ22a、22bから出力された検出信号、すなわち第1のねずみ検出信号、第2のねずみ検出信号の一方(以下、第1検出信号とも言う)を検出信号受信部24aが受信した時点からの予め定められた経過時間である第1の経過時間(ねずみ検出後経過時間。図5ではT201−1、T201−2、T201−3。例えば10秒)と、第1のねずみ検出信号、第2のねずみ検出信号の他方(以下、第2検出信号とも言う)を検出信号受信部24aが受信した時点からの予め定められた経過時間である第2の経過時間(ねずみ検出後経過時間。図5ではT202−1、T202−2。例えば10秒)と、検出信号受信部24aが人センサ23からの人検出信号を受信した時点からの予め定められた経過時間である第3の経過時間(人検出後経過時間。図5ではT101−1、T101−2、T101−3、T101−4。例えば20秒)とを計測(計時。以下同)し、第1の経過時間及び第2の経過時間のいずれにも第3の経過時間が重なっておらず、かつ、第1の経過時間と第2の経過時間とに互いに重なる時点が存在する場合に、カウント信号(小動物カウント信号)を出力する。
【0036】
具体的には、例えば、図5には、検出信号受信部24aが、人検出信号と、第1のねずみ検出信号と、第2のねずみ検出信号と、のそれぞれを受信する例が時間差で示されている。図5において、時間は右に流れていることとする。さらに、図5には、上述の検出信号に基づいて、カウント信号出力部24bがカウント信号を出力するタイミング例が示されている。
【0037】
図5(a)には、検出信号受信部24aが人検出信号を受信してからの第3の経過時間が、T101−1と、T101−2とで示されており、第1のねずみ検出信号を受信してからの第1の経過時間が、T201−1で示されており、第2のねずみ検出信号を受信してからの第2の経過時間が、T202−1で示されている。
ここで、T101−1とT201−1とT202−1との経過時間は重なっているので、カウント信号出力部24bは、検出装置20の近傍を通過したのは人であると判定し、カウント信号を出力しない。
【0038】
図5(b)には、検出信号受信部24aが人検出信号を受信しておらず、第1のねずみ検出信号を受信してからの第1の経過時間が、T201−2で示されており、第2のねずみ検出信号を受信していない場合のタイムチャートが示されている。
ここで、検出信号受信部24aは第1のねずみ検出信号は受信しているが、第2のねずみ検出信号は受信していないため、第1のねずみセンサ22aから第1のねずみ検出信号を受信したのはなんらかの誤動作によるものであり、ねずみが通過したわけではないと判定し、カウント信号を出力しない。このような場合は、赤外線センサが、風、振動、ホコリ、水滴などの影響や、電磁波などの外乱ノイズの影響を受けて誤動作した場合であると考えられるからである。
【0039】
図5(c)には、検出信号受信部24aが人検出信号を受信してからの第3の経過時間が、T101−3と、T101−4とで示されており、第1のねずみ検出信号を受信してからの第1の経過時間が、T201−3で示されており、第2のねずみ検出信号を受信してからの第2の経過時間が、T202−2で示されている。
ここで、T201−3とT202−2は重なっており、T101−3またはT101−4と、T201−3とT202−2との経過時間は重なってないので、カウント信号出力部24bは、検出装置20の近傍をねずみが通過したと判定し、カウント信号を出力する。カウント信号は、例えば、500ミリ秒間出力する。
【0040】
次に、図6を参照して、上述のようなねずみ検出判定処理を行うためのねずみ判定処理ロジックについて説明する。検出装置20は、例えば、電源がオン状態である間中、以下のねずみ検出判定処理を繰り返す。図6は、ねずみ検出判定処理を示すフローチャートである。
カウント信号出力部24bは、検出装置20の電源がオン状態になると、ねずみ検出判定処理を開始する(図6のSTART)。
【0041】
まず、カウント信号出力部24bは、検出信号受信部24aが人検出信号を受信したか否かを判定する(ステップS1)。カウント信号出力部24bは、検出信号受信部24aが人検出信号を受信したと判定すれば、予め定められた時間(人検出後待機時間。Ta秒間。例えば20秒間)が経過するまで、なにもしない(ステップS10)。これは、一人の人が検出範囲内に侵入した場合でも、数秒間程度検出範囲内にとどまった場合にこれを新たな侵入としないためである。また、これは、一般的に、赤外線センサは、一度動作した後、再び安定した動作を行うために一定の時間が必要だからである。
このステップS10の人検出後待機時間は、既述の第3の経過時間(人検出後経過時間)に相当するものであり、この人検出後待機時間内に検出信号受信部24aがねずみセンサからの検出信号を受信してもねずみを検出したものと判定(カウント信号を出力)することは無い(後述のステップS2に移行することは無い)。
カウント信号出力部24bは、ステップS10にて人検出後待機時間の経過後、ステップS1として示した人検出信号の検出判定処理に戻る。
【0042】
ステップS1にて検出信号受信部24aが人検出信号を受信していなければ、カウント信号出力部24bは、第1のねずみ検出信号、第2のねずみ検出信号の一方(第1検出信号)を検出信号受信部24aが受信したか否かを判定する(ステップS2)。カウント信号出力部24bによる判定の結果、検出信号受信部24aが第1検出信号を受信していなければ、ステップS1の処理に戻る。一方、カウント信号出力部24bによる判定の結果、検出信号受信部24aが第1検出信号を受信していれば、カウント信号出力部24bは、第1検出信号の受信時点から予め定められた時間(第1の経過時間。例えば10秒間。以下、検出重複待機時間とも言う)を経過した時点で、検出重複待機時間内に検出信号受信部24aが人検出信号を受信したか否か(人検出信号の受信の有無)を判定する(ステップS3)。
【0043】
このステップS3にて検出重複待機時間内での検出信号受信部24aの人検出信号の受信が有った場合は、ステップS11に進み、予め定められた時間(人検出後待機時間(第3の経過時間)。Tb秒間。例えば20秒間)、なにもしない。そして、ステップS11の人検出後待機時間を経過した後、ステップS1の処理に戻る。
一方、ステップS3にて検出重複待機時間内での検出信号受信部24aの人検出信号の受信が無ければ、ステップS4に進み、検出重複待機時間内に検出信号受信部24aが第2検出信号を受信したか否か(第2検出信号の受信の有無)の判定を行う。
【0044】
カウント信号出力部24bには、検出信号受信部24aが第1のねずみ検出信号、第2のねずみ検出信号、人検出信号のいずれかを受信したときに出力する受信信号が入力される。検出信号受信部24aからカウント信号出力部24bに入力される受信信号は、第1のねずみ検出信号、第2のねずみ検出信号、人検出信号の個々に対応してカウント信号出力部24bにて識別可能なものである。検出信号受信部24aからカウント信号出力部24bに前記受信信号が入力されると、検出信号受信部24aでの受信がカウント信号出力部24bにて認識され、カウント信号出力部24bが検出信号受信部24aでの受信があったものと判定する。
【0045】
ステップS4にて、検出重複待機時間内に検出信号受信部24aでの第2検出信号の受信が無ければステップS1の処理に戻る。ステップS4にて、検出重複待機時間内に検出信号受信部24aでの第2検出信号が受信あったことをカウント信号出力部24bが認識、判定すれば、ステップS5に進む。ステップS5では、カウント信号出力部24bが、第2検出信号の受信に係る第2の経過時間に相当する期間の終了時点までの期間内に検出信号受信部24aが人検出信号を受信したか否か(人検出信号の受信の有無)を判定する。このステップS5は、検出信号受信部24aが第2検出信号を受信した時点で開始される第2の経過時間の計時が終わるまで継続される。
【0046】
なお、検出信号受信部24aでの第2検出信号の受信が第1検出信号の受信と同時でなく、第1検出信号の受信から検出重複待機時間が終わるまでの間である場合、検出信号受信部24aでの第2検出信号の受信から検出重複待機時間の終了までの期間は、既にステップS3にて、検出信号受信部24aでの人検出信号の受信がなかったことは判っている。このため、このステップS5は、カウント信号出力部24bが、検出重複待機時間の終了から第2検出信号の受信に係る第2の経過時間に相当する期間の終了時点までの期間内に検出信号受信部24aが人検出信号を受信したか否か(人検出信号の受信の有無)を判定する構成としても良い。
【0047】
ステップS5にて、カウント信号出力部24bは、検出信号受信部24aが人検出信号を受信したことを判定すれば、予め定められた時間(人検出時待機時間。Tc秒間。例えば20秒間)、なにもしない(ステップS12)。そして、ステップS1の処理に戻る。一方、ステップS5にて人検出信号の受信がなければ、カウント信号出力部24bがねずみカウント信号を出力する(ステップS6)。このように、カウント信号出力部24bは、ねずみ検出判定処理を行う。
【0048】
図4に示すように、カウント信号出力部24bは、具体的には、検出信号受信部24aが第1のねずみ検出信号を受信した時点から予め設定しておいた経過時間(ねずみ検出後経過時間)を計測する第1タイマーT1と、検出信号受信部24aが第2のねずみ検出信号を受信した時点から予め設定しておいた経過時間(ねずみ検出後経過時間)を計測する第2タイマーT2と、検出信号受信部24aが人検出信号を受信した時点から前記第3の経過時間を計測する第3タイマーT3と、判定部24cと、カウント信号を出力してカウンタ25に送信するための第1信号送信部24dと、カウント信号を出力して録画装置40の受信部42に送信するための第2信号送信部24eとを具備している。第2信号送信部24eは、ここでは具体的には、カウント信号を電波信号として出力して録画装置40の受信部42に無線伝送するための送信用アンテナである。
【0049】
ねずみ検出判定処理は、具体的には、検出信号受信部24a及び第1〜3タイマーT1〜T3と接続された判定部24cが行う。そして、カウント信号出力部24bは、判定部24cがねずみを検出したものと判定した場合に、判定部24cに接続されている第1、第2信号送信部24d、24eが判定部24cからのカウント信号出力指令の入力によりカウント信号を出力して、カウンタ25や録画装置40の受信部42へ送信する。
【0050】
検出判定処理部24において、第1〜3タイマーT1〜T3は判定部24cを介して検出信号受信部24aと電気的に接続されており、検出信号受信部24aが第1のねずみ検出信号を受信した時に出力する受信信号は判定部24cを介して第1タイマーT1に入力され、検出信号受信部24aが第2のねずみ検出信号を受信した時に出力する受信信号は判定部24cを介して第2タイマーT2に入力され、検出信号受信部24aが人検出信号を受信した時に出力する受信信号は判定部24cを介して第3タイマーT3に入力される。
【0051】
検出信号受信部24aが第1のねずみ検出信号を受信した時点から第1タイマーT1が計測する経過時間を、以下、第1タイマー時間、検出信号受信部24aが第2のねずみ検出信号を受信した時点から第2タイマーT2が計測する経過時間を、以下、第2タイマー時間、検出信号受信部24aが人検出信号を受信した時点から第3タイマーT3が計測する経過時間を、以下、第3タイマー時間とも言う。第1タイマー時間、第2タイマー時間のうち一方が第1の経過時間、他方が第2の経過時間として機能する。また、第3タイマー時間は第3の経過時間として機能する。
前記判定部24cは、第1タイマー時間と第2タイマー時間とに同時に重なる時点が存在し、かつ、同時に重なる時点が存在する第1タイマー時間及び第2タイマー時間のいずれにも前記第3タイマー時間が重なっていないと判定した場合に、ねずみを検出したものと判定して、第1、第2信号送信部24d、24eからカウント信号を出力させる。
【0052】
前記判定部24cには、タイマーによる計時開始時点に計時開始信号、計時終了時点に計時終了信号がタイマーから入力される。この計時開始信号、計時終了信号は、例えば計時開始時点及び計時終了時点にそれぞれタイマーが出力する出力信号である。判定部24cはタイマーから受信する計時開始信号、計時終了信号に基づいてねずみ検出判定処理を行う。
【0053】
また、ここではタイマーT1〜T3として、検出信号受信部24aが出力した受信信号を受信した時点から予め設定された経過時間(第1タイマー時間、第2タイマー時間、第3タイマー時間のいずれか)が経過するまで継続的にタイマー信号(例えばパルス信号)を出力する構成のものを採用している。この場合、タイマー信号を出力していないタイマーからのタイマー信号の出力開始を計時開始信号、タイマー信号を出力中のタイマーからのタイマー信号の出力停止を計時終了信号として扱うことができる。
図5(a)〜(c)は、具体的には、検出信号受信部24aが受信した検出信号(第1のねずみ検出信号、第2のねずみ検出信号、人検出信号)に対応して第1〜3タイマーT1〜T3がタイマー信号を出力する時間を示すタイムチャートである。
【0054】
判定部24cはタイマーから受信したタイマー信号に基づいてねずみ検出判定処理を行う。判定部24cが受信したタイマー信号同士の重なりが、タイマー時間同士の重なり、すなわち第1〜第3の経過時間のうちの2以上の重なりに対応する。判定部24cは、第3タイマーT3からのタイマー信号(以下、第3タイマー信号とも言う)を受信していない状況下で、第1タイマーT1が出力するタイマー信号(以下、第1タイマー信号とも言う)及び第2タイマーT2が出力するタイマー信号(以下、第2タイマー信号とも言う)の少なくとも一方の受信を開始したとき、第3タイマー信号を受信していない状況が継続したまま、第1タイマー信号と第2タイマー信号との重複受信が生じ、第1タイマー信号及び第2タイマー信号の受信が終了するまで、第3タイマー信号を受信しなかったときに、ねずみが検出されたものと判定する。
【0055】
なお、タイマーは、判定部24cに計時開始信号を入力した後、判定部24cに計時終了信号を入力するまでは、新規に検出信号受信部24aからの受信信号を受信してもこれを無効として扱う。タイマーは、判定部24cに計時開始信号を入力した後、判定部24cに計時終了信号を入力するまでは、検出信号受信部24aから新規に受信信号を受信しても計時をやり直したり、判定部24cに計時開始信号を入力し直すといったことは無い。このため、例えば、検出装置20前方を通過したねずみが移動方向を反転して短時間のうち(第1の経過時間の計測開始から第2の経過時間の終了前まで)に検出装置20前方を再度通過した場合に、これを重複カウントしてしまうといった不都合を防ぐことができる。
【0056】
次に、上述のねずみ検出判定処理を、図5(c)の場合に即して説明する。
第1タイマー時間と第2タイマー時間とは同じ長さ(例えば10秒)、第3タイマー時間は第1、第2タイマー時間よりも長く設定(例えば20秒)している。
第1タイマー時間と第2タイマー時間を10秒、第3タイマー時間を20秒にした場合、第1ねずみセンサ22a、第2ねずみセンサ22bの少なくとも一方がねずみを検出(ねずみ検出信号を出力)してからカウント信号出力までの動作時間は10〜20秒である。
【0057】
カウント信号出力部24bがねずみ判定処理を開始し、図6に示すステップS1にて検出信号受信部24aが人検出信号を受信すれば、ステップS10に進み、予め定められた時間待機する(T101−3の期間。人検出後待機時間。Ta秒間。例えば20秒間)。そして、ステップS1に戻る。ステップS1にて検出信号受信部24aが人検出信号を受信していないものと判定すれば、ステップS1からステップS2に進む。そして、検出信号受信部24aが第1検出信号(図5(c)では第1のねずみ検出信号)を受信していることを判定すると、図6のステップS3に進み、カウント信号出力部24bは、T201−3の期間(検出重複待機時間、第1の経過時間)、ここでは検出信号受信部24aが第1検出信号の受信時点から20秒以内に人検出信号を受信するか否かを判定する。このステップS3にて検出信号受信部24aが人検出信号を受信していないものと判定すれば、ステップS4に進み、T201−3の期間内での検出信号受信部24aの第2検出信号(図5(c)では第2のねずみ検出信号)の受信の有無を判定する。
【0058】
ステップS4にて、検出信号受信部24aがT201−3の期間内に第2検出信号を受信していることを判定すると、ステップS5に進み、T202−2の期間(第2の経過時間)、すなわち第2検出信号の受信から10秒以内に、検出信号受信部24aが人検出信号を受信するか否かを判定する。そして、T202−2の期間での人検出信号の受信が無ければ、カウント信号出力部24bは、カウント信号を出力する(ステップS6)。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によれば、従来技術と比べて、より高い精度でねずみを検出することができる。例えば、図7(a)に示すような場合には、人センサとねずみセンサとが検出信号を出力し、近傍を通過したのが人であると判定することができる。例えば、図7(b)に示すような場合には、ねずみセンサのみが検出信号を出力し、近傍を通過したのがねずみであると判定することができる。
図7(c)に示すように、ねずみ検出対象範囲1へのねずみの侵入が無く、ねずみセンサの検出範囲及び人センサの検出範囲の外を人Mが通過する場合には、人センサとねずみセンサとがどちらも検出信号を出力せず、遠方を通過した人間を誤ってねずみと判定することはない。
【0060】
さらに、複数のねずみセンサを設けることとしたので、誤動作のある赤外線センサを用いる場合でも、検出の精度を高めることができるものである。
【0061】
なお、本発明における検出判定処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより小動物検出を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0062】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(信号線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0063】
このねずみ検出撮影システム10にあっては、検出装置20の検出判定処理装置24(詳細にはカウント信号出力部24b)がねずみを検出したものと判定したときに出力するカウント信号は、検出装置20のカウンタ25以外に、ビデオカメラ30が撮影した撮影動画像データを録画する録画装置40(具体的には図8の受信部42)にも入力可能である。図示例のねずみ検出撮影システム10の録画装置40は、検出装置20のカウント信号出力部24bから電波信号として無線出力したカウント信号を受信可能な受信部42(図8参照)を具備している。
【0064】
前記検出装置20は、その筐体21の前面21bとは反対の背面21f側に設けられた連結具28によって録画装置40の筐体41に離脱可能に連結して一体化することができる。図2、図3(a)、(b)は、検出装置20を録画装置40に連結して一体化した連結ユニット60を示す。
既述のように、このねずみ検出撮影システム10は、検出装置20のカウント信号出力部24bから録画装置40へのカウント信号の入力を無線にて行える構成であるため、検出装置20を録画装置40に連結せず録画装置40から離隔した位置に配置しても、検出装置20から録画装置40へのカウント信号の入力が可能である。図10に示すように検出装置20を録画装置40から分離した状態とすれば、録画装置40と連結して一体化して連結ユニット60の状態とした場合に比べて検出装置40を狭隘な場所に設置することが容易になるため、検出装置20をねずみAの検出に適した場所に設置することに有利である。また、検出装置20を録画装置40と連結して一体化して連結ユニット60の状態とすれば、検出装置20と録画装置40とを一括して搬送できる点で有利である。
【0065】
なお、検出装置20から録画装置40へカウント信号を無線入力する構成としては、カウント信号を電波信号として無線入力可能とする構成に限定されず、例えばカウント信号を赤外線等の光信号あるいは音波信号として検出装置(詳細にはカウント信号出力部24b)から出力して、録画装置40(詳細には受信部42)にて受信する構成等も採用可能である。
また、検出装置20は信号線を用いて録画装置40と電気的に接続して、カウント信号を録画装置40に前記信号線を介して伝送する電気信号として入力可能としても良い。
【0066】
図示例の検出装置20の連結具28は、具体的にはいわゆる引っ掛け錠であり、筐体21の前記背面21fに垂直の上面21gに設けられている。図10等に示すように、図示例の連結具28(引っ掛け錠)は、前記筐体21に回転軸28aを介して枢着された板状の操作片28bと、この操作片28bの前記回転軸28aに枢着された基端部と該基端部とは反対側の先端部との間の中間部に枢着された門形引っ掛け部材28cとを具備している。そして、検出装置20の筐体背面21fを箱形の録画装置筐体41の外周面の一つに当接させ、操作片28bを筐体上面21gから立ち上げるように起立させた状態で前記門形引っ掛け部材28cを録画装置40の筐体41に突設された鉤状係止部41aに係合し、作業者が手指で前記回転軸28aを中心に回転させるようにして操作片28bを筐体上面21gに沿うように倒した状態にすることで、検出装置20を録画装置40に連結できる。
【0067】
この連結具28によって検出装置20を録画装置40に連結、一体化した状態(図3(a)、(b)に示す状態)は、筐体上面21gに沿うように倒した状態の操作片28bを回転操作して筐体上面21gから立ち上げるように起立させ(図10参照)、録画装置40の筐体41の鉤状係止部41aに係合状態の門形引っ掛け部材28cを前記鉤状係止部41aから離脱させることで簡単に解除でき、検出装置20を録画装置40から離隔した位置に配置できる。この連結具28は、筐体上面21gに沿うように倒した状態の操作片28bを操作して起立状態にしない限り、検出装置20を録画装置40に連結、一体化した状態(連結ユニット60を組み立てた状態)を安定維持できる。
【0068】
なお、前記連結具28の検出装置20の筐体21に対する取り付け位置は、筐体上面21gに限定されず、筐体背面21fに垂直の側面21eであっても良い。
また、前記連結具としては、検出装置20を録画装置40に離脱可能に連結して一体化できるものであれば良く、上述の引っ掛け錠に限定されず、様々構成を採用できる。さらに、上述のように、連結具を検出装置20の筐体21に設ける構成に限定されず、連結具を録画装置の筐体に設けた構成も採用可能である。また、連結具としては、検出装置及び録画装置とは別体であり検出装置を録画装置に連結、一体化する際に検出装置及び/又は録画装置に取り付けて使用するアタッチメントであっても良い。
【0069】
図8のブロック図に示すように、前記録画装置40は、前記ビデオカメラ30から入力された撮影動画像データを格納する入力データ格納部43と、前記検出装置20が出力するカウント信号(ねずみ検出報知信号)を受信する前記受信部42と、この受信部42が前記カウント信号を受信したときに出力する受信信号を受信することで、前記入力データ格納部43から、前記ねずみセンサよるねずみの検出時を含む予め設定された時間範囲(図9の符号TH)に連続撮影された撮影動画像データを抽出して格納するデータ抽出格納部44とを具備して構成されている。
【0070】
前記データ抽出格納部44に格納された撮影動画像データである抽出動画像データは、録画装置40に設けられたデータ出力端子41cから電子信号として取り出すことができる。例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(特に可搬媒体)にデータ書き込み可能な書き込み装置をデータ出力端子41cと接続して、データ出力端子41cから取り出した抽出動画像データを書き込み装置にて前記記録媒体に記録するといったことが可能である。また、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(信号線)のような情報伝送機能を有する伝送媒体をデータ出力端子41cと接続して、データ出力端子41cから取り出した抽出動画像データを、録画装置40の設置場所から離隔した位置に設置された管理用パソコン等に伝送しても良い。
この録画装置40にあっては、データ抽出格納部44にねずみ検出時を含む設定時間範囲に連続撮影された撮影動画像データ(抽出動画像データ)のみが格納されるので、この抽出動画像データの録画装置40からの取り出しを楽に簡単に行える。
【0071】
前記データ抽出格納部44は、本発明に係るデータ抽出部とデータ格納部とを兼ねるものである。また、本発明に係る録画装置としては、入力データ格納部43からねずみセンサよるねずみ検出時を含む設定時間範囲THで連続撮影された撮影動画像データを抽出するデータ抽出部と、このデータ抽出部が入力データ格納部43から抽出した撮影動画像データ(以下、抽出動画像データとも言う)を格納する抽出データ格納部(データ抽出部は抽出動画像データを抽出データ格納部に格納する)とが互いに別個の構成になっているものも採用可能である。
【0072】
データ抽出部とは別個の抽出データ格納部としては、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(特に可搬媒体)を採用することが可能である。抽出データ格納部が記録媒体である場合、録画装置に設けた書き込み装置にて抽出動画像データの書き込みを行った記録媒体を、前記書き込み装置を含む録画装置から外へ取り出し可能な構成とすることも可能である。なお、この場合、前記書き込み装置は前記データ抽出部の一部として機能する。
【0073】
録画装置40には、ビデオカメラ30が信号線31を介して電気的に接続されており、ビデオカメラ30が撮影範囲30S(図1参照)を撮影して生成した撮影動画像データが前記信号線31を介して入力される。ビデオカメラ30から録画装置40に伝送された撮影動画像データは、録画装置40の入力データ格納部43(図8)に格納(録画)される。ビデオカメラ30は、前記撮影範囲30S(図1参照)を連続して動画撮影する。録画装置40の入力データ格納部43には、撮影範囲30Sが撮影して生成した撮影動画像データが連続入力される。
【0074】
ビデオカメラ30は、具体的には、図2に示すように該ビデオカメラ30から延出する信号線31の先端を、録画装置40の筐体41に設けられたデータ入力端子41b(図3(a)参照)に挿脱可能にコネクタ接続して、前記データ入力端子41bを介して前記筐体41内の入力データ格納部43に電気的に接続されている。ビデオカメラ30が撮影範囲30Sを撮影して生成した撮影動画像データは、電気信号として入力データ格納部43に格納(録画)される。
ビデオカメラ30としては、例えばモノクロ撮影用あるいはカラー撮影用のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラを好適に用いることができる。
【0075】
また、前記ビデオカメラ30は、前記録画装置40とは別体であり、録画装置40から離隔した位置に設置できる。図2では、ビデオカメラ30を、録画装置40上面等の設置面上に載置可能な支持具32の支柱32aに取り付けて録画装置40上の高さ方向の所望位置に支持した構成を例示しているが、ビデオカメラ30を支持するための支持具としては図示例のものに限定されず、例えばねずみの検出を行う対象の建物(施設)の壁や柱、天井等にビデオカメラ30を取り付けるための取付具等、各種構成のものを採用できる。
ビデオカメラ30を録画装置40から離隔した位置に設置する場合は、ビデオカメラ30の設置位置の選択の自由度が高まるため、撮影範囲30Sの動画撮影に適した設置場所を選んで設置することが容易となる。なお、前記録画装置40からの離隔距離は前記信号線31の長さの範囲である。
【0076】
図9に例示するように、ここで説明する実施形態の前記録画装置40の前記データ抽出格納部44は、受信部42が前記カウント信号の受信時に出力する受信信号を受信したときに、前記入力データ格納部43から、予め設定された時間範囲(設定時間範囲TH)で前記ねずみセンサよるねずみAの検出時及びその前後にわたって連続撮影された撮影動画像データを抽出し、格納する動作を実行(開始)する。
【0077】
ここで、前記設定時間範囲の好適な一例としては、例えば、ねずみセンサよるねずみAの検出時の前後にそれぞれ10〜30秒程度、合計で20〜60秒程度の時間範囲である。図9は具体例として、検出装置20の2つのねずみセンサ22a、22bのうち1以上がねずみを検出してから検出判定処理部24によるカウント信号の出力までに要する検出装置20の動作時間が10〜20秒の場合に、1以上のねずみセンサよるねずみAの検出前の20秒間、検出後の15秒間、ねずみAの検出時を含む合計35秒間の時間範囲にわたってビデオカメラ30によって連続撮影された撮影動画像データを、データ抽出格納部44が入力データ格納部43から抽出して格納する構成を例示している。
【0078】
前記設定時間範囲のうち、ねずみセンサよるねずみAの検出時から前の時間範囲を、以下、検出前抽出時間範囲(図9中、符号TF)、ねずみセンサよるねずみAの検出後の時間範囲を、以下、検出後抽出時間範囲(図9中、符号TB)とも言う。
上述のように、受信部42が前記カウント信号の受信時に出力する受信信号を受信することで、前記データ抽出格納部44が前記入力データ格納部43から、検出前抽出時間範囲TF及び検出後抽出時間範囲TBをそれぞれ10〜30秒程度確保した設定時間範囲に連続撮影された撮影動画像データを抽出して格納する構成であれば、例えば前記データ抽出格納部44から取り出した撮影動画像データを動画再生することで、ねずみセンサによるねずみ検出時及びその前後でのビデオカメラ30の撮影範囲におけるねずみの行動を容易に目視確認できる。このため、例えば、ねずみセンサによって検出したねずみがどこから現れ、どこへ移動したかなど、ねずみの移動経路や行動パターンを把握することも可能である。また、検出装置20が検出したものがねずみかどうかを確認できることも言うまでも無い。
【0079】
また、データ抽出格納部44は、入力データ格納部43から、ねずみセンサよるねずみ検出時を含む設定時間範囲に連続撮影された撮影動画像データを抽出して格納する構成であるから、データ抽出格納部44に格納された抽出動画像データにはねずみセンサよるねずみ検出時の動画像データが含まれている。したがって、フィルムカメラによって静止画像を撮影する従来技術のように、撮影時にねずみがカメラの視野外になってしまうものとは異なり、ねずみセンサが検出したねずみを確実に撮影(動画撮影)することができる。データ抽出格納部44から取り出した抽出動画像データを動画再生すればねずみセンサによって検出されたねずみを確実に目視確認できる。
【0080】
既述のように、録画装置40は、カウント信号を受信してから、入力データ格納部43からの前記設定時間範囲の撮影動画像データの抽出を実行(開始)する。図9に示すように、検出後抽出時間範囲TBは、ねずみセンサによるねずみ検出から検出判定処理部24によるカウント信号の出力までに要する検出装置20の動作時間(図9の例では最長で20秒)よりも長く設定することも短く設定することも可能である。検出後抽出時間範囲TBを検出装置20の動作時間よりも長く設定した場合には、カウント信号受信後にビデオカメラ30から録画装置40の入力データ格納部43に入力された撮影動画像データも、データ抽出格納部44による抽出、格納動作の対象となる。
【0081】
録画装置40の入力データ格納部43は、ビデオカメラ30から連続入力された撮影動画像データのうち、前記設定時間範囲と同じかあるいは前記設定時間範囲よりも若干長く設定した保存時間を経過したものを消去する機能を有する消去機能付きデータ格納部である。この入力データ格納部43の撮影動画像データの保存時間は、ねずみセンサ22a、22bのうち1以上がねずみを検出してから検出判定処理部24によるカウント信号の出力までに要する検出装置20の動作時間に鑑みて、ねずみセンサよるねずみAの検出時の前後に前記設定時間範囲を確保できるように設定する。
これにより入力データ格納部43のデータ格納容量を小さく抑えることができ、録画装置40の小型化、低コスト化に有効に寄与する。
【0082】
図1、図2では、撮影範囲30Sに侵入したねずみのビデオカメラ30による撮影を鮮明にするために、照明装置50を設置してビデオカメラ30による撮影範囲30Sに光(可視光)を照射して照らしている。
ねずみ検出撮影システム10によるねずみの検出、動画撮影を行うのは、例えば夜間の建物内、地下室内、トンネルなどの地下構造物内等、可視光が少ない暗い環境下であることが多い。照明装置50によってビデオカメラ30による撮影範囲30Sを照らすことは、撮影範囲30Sに侵入したねずみを鮮明に撮影することを目的とする。
【0083】
図1、図2に例示した照明装置50は、光反射板51を内装したカバー52の内側に直管形の蛍光灯53を縦置きに1本設置し、蛍光灯53からの出力光が前記光反射板51が設けられている装置背面側とは反対の装置前面側に拡散放射されるようにしたものである。
照明装置50は、ねずみの活動に影響を与えない程度の弱い光で撮影領域を照らすものが好ましい。例えば蛍光灯53としては6W程度ものであれば足りる。また、照明装置の具体的には特には限定は無い。例えば、光源として直管形の蛍光灯ではなく、丸管形の蛍光灯を採用したもの、白熱電球を採用したもの等であっても良い。
また、図示例の照明装置50は、床上に設置する据え置き形のものであるが、照明装置としてはこれに限定されず、例えば建物の天井から吊り下げ可能な吊り下げ形のもの、建物の壁や柱、建物内に設置された棚等に取り付け具を用いて取り付けることが可能なもの等も採用可能である。
【0084】
照明装置50は必要に応じて設けるものであり、照明装置の設置は必須ではない。例えば、撮影範囲30Sにねずみの撮影に足る程度の可視光が入射している場合は、照明装置50を省略しても構わない。また、ビデオカメラとして赤外線カメラを使用する場合も、照明装置50を省略可能である。
【0085】
また、本発明に係るねずみ検出撮影システムとしては、図11に示すように、録画装置40から離隔させて設置可能な検出装置20(図中符号29を付記する)を複数有し、これら検出装置29が出力するねずみ検出報知信号がそれぞれ前記録画装置40の前記受信部にて受信可能とされている構成も採用可能である。
図11に示すねずみ検出撮影システム10Aは、録画装置40に検出装置20を取り付けて一体化してなる連結ユニット60と、録画装置40から離隔させて設置した複数の検出装置29とを具備する。このねずみ検出撮影システム10Aの録画装置40の受信部は、該システム10Aの全ての検出装置20からのねずみ検出報知信号を受信可能である。
【0086】
録画装置40は、検出装置20からのねずみ検出報知信号を受信する度に、データ抽出格納部44(図8参照)が入力データ格納部43からの撮影動画像データの抽出、格納動作を行い。また、データ抽出格納部44は、検出装置20からのねずみ検出報知信号の受信日時データ及び該ねずみ検出報知信号とともに検出装置20から送信される検出装置識別データに、入力データ格納部43から抽出した抽出動画像データを関連付けて格納する。データ抽出格納部44に格納された前記受信日時データ及び検出装置識別データは、録画装置40の出力端子41c(図8参照)から、抽出動画像データとともに取り出すことができる。
なお、受信日時データ及び検出装置識別データは、録画装置40のデータ格納部として録画装置40から取り出し可能に設けられたコンピュータ読み取り可能な記録媒体に、抽出動画像データとともに格納しても良い。
【0087】
このねずみ検出撮影システム10Aにあっては、録画装置40に一体化していない検出装置29は連結ユニット60に比べて設置スペースが小さくて済み、設置位置の自由度が大きいため、検出装置29を、ねずみが通る可能性が高い場所のねずみ検出に適した位置に設置することを容易に実現できる。これによりねずみ検出の効率を高めることができる。また、ねずみの移動経路の把握等も容易に実現できる。例えば図11に例示するように、このねずみ検出撮影システム10Aを建物の室R内に設置した場合は、室R内の複数箇所に設置した検出装置20によって、室R内全体についてねずみの出没場所や移動経路を把握するといったことも可能である。
また、このねずみ検出撮影システム10Aは、ひとつの録画装置40によって、複数の検出装置20からのねずみ検出報知信号に対応した撮影動画像データの抽出、格納を行えるので、連結ユニット60を複数使用する場合に比べて低コスト化できる。
【0088】
なお、本発明に用いることができる検出装置としては上述の構成のものに限定されない。
上述のように、前記検出装置20は、その前を通過する人を検出しないようにするために、人センサ23を覆うカバー(図示略)を取り付けて使用することも可能である。本発明のねずみ検出撮影システムは、既述の検出装置20から人センサを省略した構成の検出装置を採用しても良い。また、ねずみセンサを3以上具備する構成の検出装置も採用可能である。
【0089】
また、本発明にて使用可能な検出装置としては、ねずみセンサをひとつだけ有し、人センサを有していないものも採用可能である。この例としては、例えば、既述の特許文献1に開示されるように、ねずみの活動範囲の高さに設けられ活動範囲内へのねずみの侵入を検出して、ねずみ検出信号を発生するねずみセンサと、上記ねずみ検出信号を入力としてねずみパルス信号を発生するねずみパルス発生器と、上記ねずみパルス信号を入力した時点から所定のタイマー時間に渡ってこの時間中に発生するねずみパルス信号を無効としながら上記タイマー時間の経過後にタイマー出力を発生するねずみ検出用のタイマーと、ねずみ検出用のタイマーからのタイマー出力を積算するカウンタと、上記の各部分に必要な電力を供給する電池および電源回路とを具備することを特徴とする検出装置を挙げることができる。また、特許文献1に開示される、ねずみの活動範囲の高さに設けられ活動範囲内へのねずみの侵入を検出して、ねずみ検出信号を発生するねずみセンサと、上記ねずみ検出信号を入力としてねずみパルス信号を発生するねずみパルス発生器と、上記ねずみパルス信号を入力した時点から所定のタイマー時間に渡ってこの時間中に発生するねずみパルス信号を無効としながら上記タイマー時間の経過後にタイマー出力を発生するねずみ検出用のタイマーと、ねずみ検出用のタイマーからのタイマー出力を積算するカウンタと、上記の各部分に必要な電力を供給する電池および電源回路と、この電源回路からの電力の供給時刻帯を設定する動作時刻の設定器とを具備することを特徴とするねずみ検出装置もこれに該当し、本発明に採用可能である。
特許文献1に開示されるこれら検出装置において、ねずみ検出用のタイマーが行う、ねずみパルス信号を入力した時点から所定のタイマー時間に渡ってこの時間中に発生するねずみパルス信号を無効としながら上記タイマー時間の経過後にタイマー出力を発生するの動作は、本発明に係るカウント処理動作に相当する。また、ねずみ検出用のタイマーが発生するタイマー出力は、本発明に係るカウント信号に相当する。
【0090】
さらに、検出装置としては、ひとつのねずみセンサとひとつの人センサとを具備する構成のものも採用可能である。この例として、例えば、既述の特許文献1に開示されるように、ねずみの活動範囲の高さに設けられ活動範囲内へのねずみの侵入を検出して、ねずみ検出信号を発生するねずみセンサと、上記ねずみ検出信号を入力としてねずみパルス信号を発生するねずみパルス発生器と、上記ねずみパルス信号を入力した時点から所定のタイマー時間に渡ってこの時間中に発生するねずみパルス信号を無効としながら上記タイマー時間の経過後にタイマー出力を発生するねずみ検出用のタイマーと、人の活動範囲に向けられ人の通過を検出して、人検出信号を発生する人センサと、上記人検出信号を入力として人パルス信号を発生する人パルス発生回路と、上記人パルス発生信号を入力した時点から所定のタイマー時間に渡ってこの時間中に発生する人パルス信号を無効とするとともに、所定のタイマー時間に渡るタイマー出力により上記ねずみ検出用のタイマーの動作を禁止する人検出用のタイマーと、ねずみ検出用のタイマーからのタイマー出力を積算するカウンタと、上記の各部分に必要な電力を供給する電池および電源回路とを具備する検出装置を挙げることができる。
この検出装置のねずみ検出用のタイマーが発生するタイマー出力は本発明に係るねずみ検出報知信号に相当する。また、この検出装置は、ねずみパルス発生器、ねずみ検出用のタイマー、人パルス発生回路、人検出用のタイマーとによって構成される検出判定処理部を具備するものである。
【符号の説明】
【0091】
1…ねずみ検出対象範囲、2…床面、
10、10A…ねずみ検出撮影システム、20…検出装置、22…ねずみセンサ、22a…第1のねずみセンサ(ねずみセンサ)、22b…第2のねずみセンサ(ねずみセンサ)、23…人センサ、24…検出判定処理部、24a…検出信号受信部、24b…カウント信号出力部、24c…判定部、28…連結具、29…検出装置、30…ビデオカメラ、40…録画装置、42…受信部、43…入力データ格納部、44…データ抽出部、抽出データ格納部(データ抽出格納部)、50…照明装置、60…連結ユニット、A…ねずみ、M…人。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねずみ検出を行うねずみ検出対象範囲へのねずみの侵入を検出するためのねずみセンサを有する検出装置と、前記ねずみ検出対象範囲を動画撮影するためのビデオカメラと、このビデオカメラが撮影した撮影動画像データがビデオカメラから入力される録画装置とを具備し、
前記録画装置は、前記ビデオカメラから入力された撮影動画像データを格納する入力データ格納部と、前記検出装置がねずみ検出時に出力するねずみ検出報知信号を受信する受信部と、この受信部に接続され前記受信部が前記ねずみ検出報知信号を受信したときに前記入力データ格納部から前記ねずみセンサによる前記ねずみ検出対象範囲に侵入した物体の検出時を含む予め設定された時間範囲に連続撮影された撮影動画像データの抽出を開始するデータ抽出部と、このデータ抽出部によって前記入力データ格納部から抽出された撮影動画像データを格納する抽出データ格納部とを具備することを特徴とするねずみ検出撮影システム。
【請求項2】
前記録画装置の前記データ抽出部は、前記受信部が前記ねずみ検出報知信号を受信したときに、前記時間範囲で前記ねずみセンサよる物体検出時及びその前後にわたって連続撮影された撮影動画像データの前記入力データ格納部からの抽出を開始することを特徴とする請求項1に記載のねずみ検出撮影システム。
【請求項3】
前記録画装置の前記入力データ格納部が、前記ビデオカメラから入力され格納した撮影動画像データのうち、前記時間範囲と同じかあるいは前記時間範囲よりも長く設定した保存時間を経過したものを消去する機能を有する消去機能付きデータ格納部であることを特徴とする請求項1又は2に記載のねずみ検出撮影システム。
【請求項4】
前記録画装置に、前記抽出データ格納部に格納された撮影動画像データである抽出動画像データを出力するための出力端子が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のねずみ検出撮影システム。
【請求項5】
前記検出装置は連結具によって前記録画装置に対して着脱可能とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のねずみ検出撮影システム。
【請求項6】
前記録画装置から離隔させて設置可能な検出装置を複数有し、これら検出装置が出力するねずみ検出報知信号がそれぞれ前記録画装置の前記受信部にて受信可能とされていること特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のねずみ検出撮影システム。
【請求項7】
前記検出装置は、前記ねずみセンサと、前記ねずみ検出対象範囲の上側を検出範囲とし該検出範囲への人の侵入を検出するための人センサと、前記ねずみセンサがねずみ検出対象範囲への物体の侵入を検出したときに出力する検出信号であるねずみ検出信号及び前記人センサがその検出範囲への物体の侵入を検出したときに出力する検出信号である人検出信号を受信可能であり、受信した検出信号に基づいてねずみを検出したかどうかを判定する検出判定処理を行い、ねずみを検出したものと判定したときにねずみ検出報知信号を出力する検出判定処理部とを具備することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のねずみ検出撮影システム。
【請求項8】
前記検出装置は、複数の前記ねずみセンサと、前記人センサと、前記検出判定処理部とを具備し、前記検出判定処理部は、前記ねずみセンサが出力するねずみ検出信号及び前記人センサが出力する人検出信号を受信可能な検出信号受信部と、前記人検出信号を受信した時点から予め定められた経過時間である人検出後経過時間と前記ねずみ検出信号を受信した時点から予め定められた経過時間であるねずみ検出後経過時間とを計測し、各ねずみセンサからのねずみ検出信号の受信に係る前記ねずみ検出後経過時間が同時に重なる時点が存在し、かつ、同時に重なる時点が存在する全てのねずみ検出後経過時間と前記人検出後経過時間とが重なっていないと判定した場合に、前記ねずみ検出報知信号を出力する、タイマー機能付きのねずみ検出報知信号出力部とを有することを特徴とする請求項7記載のねずみ検出撮影システム。
【請求項9】
前記検出装置は、複数の前記ねずみセンサと、前記ねずみセンサがねずみ検出対象範囲への物体の侵入を検出したときに出力する検出信号であるねずみ検出信号を受信可能であり、受信した検出信号に基づいてねずみを検出したかどうかを判定する検出判定処理を行い、ねずみを検出したものと判定したときにねずみ検出報知信号を出力する検出判定処理部とを具備し、
前記検出判定処理部は、前記ねずみセンサが出力するねずみ検出信号を受信可能な検出信号受信部と、ねずみセンサが出力した前記ねずみ検出信号を受信した時点から予め定められた経過時間であるねずみ検出後経過時間を計測し、複数のねずみセンサからのねずみ検出信号の受信に係る前記ねずみ検出後経過時間が同時に重なる時点が存在し、かつ、同時に重なる時点が存在する全てのねずみ検出後経過時間と前記人検出後経過時間とが重なっていないと判定した場合に、前記ねずみ検出報知信号を出力する、タイマー機能付きのねずみ検出報知信号出力部とを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のねずみ検出撮影システムを提供する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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