わら切刃
【課題】刃板部の基端部側の強度が向上して耐久寿命が長期化するわら切刃を提供すること。
【解決手段】刃板部4の基端部から所定範囲に存する凹凸刃縁7の各谷部6を、V字溝形状の先鋭谷部6Aとせずに谷底部がR形状となるR形状谷部6Bに形成すると共に、この各R形状谷部6Bは、刃板部4の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部4の突出先端側に位置するR形状谷部6Bほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したわら切刃。
【解決手段】刃板部4の基端部から所定範囲に存する凹凸刃縁7の各谷部6を、V字溝形状の先鋭谷部6Aとせずに谷底部がR形状となるR形状谷部6Bに形成すると共に、この各R形状谷部6Bは、刃板部4の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部4の突出先端側に位置するR形状谷部6Bほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したわら切刃。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインや脱穀機のこぎ胴の対向位置に設けられ、わら屑を細断するわら切刃の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
こぎ室内で回転するこぎ胴1のこぎ歯8により脱穀が行われる際、稲の根本は搬送用チェーンなどで挟持保持されてはいるが、かなりのわら屑が発生する。
【0003】
このわら屑が、こぎ歯8に引っ掛からないように、例えば、特許文献1のようなコ字状のわら切刃Hがこぎ室に設けられている。
【0004】
このわら切刃Hは、取付部3の左右に突設した刃板部4の湾曲した上縁に、山部5と谷部6とが連続した凹凸刃縁7が設けられた構成で、こぎ歯8がこの刃板部4間を通過するようにこぎ胴1の対向位置に固定されているものである(図2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3672916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなわら切刃Hは、凹凸刃縁7の各谷部6が良好な切断性を発揮するように、V字溝形状となる先鋭谷部6Aに形成されている。
【0007】
そのため、わら切刃Hには、わら切り時に刃板部4の基端部側に大きな応力が加わるが、この応力が凹凸刃縁7の基端部側に存するV字溝形状の先鋭谷部6Aに集中してしまい、これが原因でわら切刃Hを長く使用していると、凹凸刃縁7の基端部側に存する先鋭谷部6Aの谷底部分から刃板部4に亀裂を生じて、刃板部4が破断してしまう場合があった。
【0008】
本発明は、このような従来のわら切刃の問題点に注目し、これを解決しようとするもので、基端部側の凹凸刃縁の谷部に簡易な構造変更を施すことにより、これまでのわら切刃よりも刃板部の基端部側の強度が向上して耐久寿命の長期化を達成できる画期的なわら切刃を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
脱穀部のこぎ胴1の対向位置に配設されるわら切刃Hであって、板材2をコ字状に折曲形成して前記脱穀部に取付する取付部3の左右に刃板部4を並設状態に突設した構成とし、この刃板部4の縁部に、基端部から突出先端部にかけて山部5と谷部6とが連続した凹凸刃縁7を形成すると共に、この凹凸刃縁7の谷部6をV字溝形状となる先鋭谷部6Aに形成したわら切刃Hにおいて、前記刃板部4の基端部から所定範囲に存する前記凹凸刃縁7の前記各谷部6を、前記先鋭谷部6Aとせずに谷底部がR形状となるR形状谷部6Bに形成すると共に、この各R形状谷部6Bは、刃板部4の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部4の突出先端側に位置するR形状谷部6Bほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したことを特徴とするわら切刃に係るものである。
【0011】
また、前記刃板部4の最も基端部側に位置する前記谷部6から順番に隣接する所定箇所までの谷部6を、前記R形状谷部6Bに形成すると共に、この各R形状谷部6Bは、刃板部4の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部4の突出先端側に位置するR形状谷部6Bほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したことを特徴とする請求項1記載のわら切刃に係るものである。
【0012】
また、前記刃板部4の最も基端部側に位置する前記谷部6から、刃板部4の中間部に存する前記先鋭谷部6Aまでの間の範囲に存する前記凹凸刃縁7の前記各谷部6を、前記R形状谷部6Bに形成すると共に、この各R形状谷部6Bは、刃板部4の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部4の突出先端側に位置するR形状谷部6Bほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のわら切刃に係るものである。
【0013】
また、少なくとも、前記刃板部4の最も基端部側に位置する谷部6から順番に隣接する三箇所の谷部6までを、前記R形状谷部6Bに形成すると共に、この各R形状谷部6Bは、刃板部4の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部4の突出先端側に位置するR形状谷部6Bほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のわら切刃に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、凹凸刃縁の基端部から所定範囲に存するR形状谷部がわら切り時に刃板部の基端部側に加わる応力を効果的に分散でき、これにより刃板部の亀裂や破断等を生じにくく秀れた耐久性を発揮するので商品寿命の長期化が実現でき、また、各R形状谷部は、わら切りの重要度が高い刃板部の突出先端部側に位置するものほど先鋭形状に近く切断性が良好となるように形成したため、従来品と比べて遜色のないわら切り性能を発揮でき、しかも本発明は、従来品に対して、凹凸刃縁の刃板部の基端部から所定範囲に存する谷部の谷底部の形状を、先鋭形状からR形状に構造変更するだけで実現可能であるため、この構成は簡易に設計実現可能で量産性にも秀れるなど、極めて実用性に秀れた画期的なわら切刃となる。
【0015】
また、請求項2,3,4記載の発明においては、前記作用・効果を確実に発揮する極めて実用性に秀れた簡易構成のわら切刃となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1を示す斜視図である。
【図2】わら切刃の使用状態を示す説明側面図である。
【図3】実施例1を示す平面図である。
【図4】実施例1の部分拡大正断面図である。
【図5】実施例1の製作手順を示す説明断面図である。
【図6】実施例1の基端部側の凹凸刃縁を示す部分拡大斜視図である。
【図7】実施例1の基端部側の凹凸刃縁を示す部分拡大側面図である。
【図8】実施例2を示す斜視図である。
【図9】実施例2を示す平面図である。
【図10】実施例2の部分拡大正断面図である。
【図11】実施例2の基端部側の凹凸刃縁を示す部分拡大斜視図である。
【図12】実施例2の基端部側の凹凸刃縁を示す部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
脱穀部のこぎ胴1の対向位置に配設されるわら切刃Hには、わら切り時に左右の刃板部4の基端部側に大きな応力が加わるが、この際、刃板部4の基端部から所定範囲に存する凹凸刃縁7の各R形状谷部6Bには、そのR形状の谷底部に沿って応力が分散して加わることになる。
【0019】
従って、従来のわら切刃のように、凹凸刃縁7の谷部6が全てV字溝形状の先鋭谷部6Aであると、この凹凸刃縁7の基端部側に存する先鋭谷部6Aの谷底部分にわら切り時の応力が集中してしまうために、経年使用によってこの基端部側の先鋭谷部6Aから刃板部4に亀裂を生じてしまう場合があったが、本発明によれば、凹凸刃縁7の基端部から所定範囲に存する谷部6がR形状(R形状谷部6B)であるから、このR形状谷部6Bが刃板部4の基端部側に加わる応力を効果的に分散して、これにより刃板部4の亀裂や破断等を生じにくく秀れた耐久性を発揮して商品寿命の長期化が実現することになる。
【0020】
また、刃板部4の基端部から所定範囲に存する各R形状谷部6Bは、前記したような秀れた耐久強度を刃板部4にもたらす反面、先鋭谷部6Aと比べるとやや切断有効刃長(高さ)が短く(低く)なってしまう。
【0021】
しかし、出願人がこれまでに行ってきた研究によると、凹凸刃縁7でのわら切りが行われているのは、凹凸刃縁7の全範囲のうち刃板部4の突出先端部側の2/3範囲程度がほとんどであって、残りの基端部側の1/3範囲はあまり切断機能を必要としないことがわかっており、刃板部4の基端部から所定範囲の凹凸刃縁7の谷部6(R形状谷部6B)の切断有効刃長域(高さ)がやや短く(低く)なるものであっても、わら切り能力に大きな影響はない。
【0022】
しかも、この各R形状谷部6Bは、刃板部4の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなって徐々に先鋭形状に近づくため、わら切りが行われ易い刃板部4の突出先端部側に位置するものほど切断性が良好な(切断有効刃長域(高さ)が長い(高い))R形状谷部6Bとなり、それ故従来品に比してわら切り性能が大きく損なわれるようなことはなく、略同等のわら切り性能を発揮できる。
【0023】
また、本発明は、凹凸刃縁7の刃板部4の基端部から所定範囲に存する谷部6の形状を、従来品では先鋭形状(V字溝形状)であったところをR形状に構造変更するだけで実現可能であるため、この構成は簡易に設計実現可能で従来品と同等の量産性を容易に確保可能となる。
【実施例1】
【0024】
本発明の具体的な実施例1について図1〜図7に基づいて説明する。
【0025】
本実施例は、前記特許文献1で示したわら切刃Hに本発明を適用した場合であって、図1に示すように、板材2をコ字状に折曲形成して取付部3の左右に刃板部4を並設状態に突設した構成とし、この刃板部4の湾曲させた上縁部には、基端部から突出先端部にかけて山部5と谷部6とが連続した凹凸刃縁7を形成している。
【0026】
更に具体的には、本実施例では、図5に示すように、プレス加工によって板材2の前記刃板部4となる部分の凹凸刃縁7形成側を、刃板部4となったとき外側方向となる方向に傾斜折曲すると共に、このプレス時にこの傾斜折曲部分に凹凸面をプレス形成して傾斜折曲部9を形成する。
【0027】
即ち、板材2をコ字状に折曲することで略平行並設状態になる刃板部4となる部分を夫々外側方向となる方向に傾斜折曲すると共に、型押しによって凹凸面を形成して傾斜折曲部9を形成している。
【0028】
そして、この傾斜折曲部9をプレス形成した後、この板材2をコ字状に折曲形成して取付部3の左右に、夫々外側に傾斜折曲されていて凹凸面を有する前記傾斜折曲部9を設けた刃板部4を並設形成し、焼き入れした後、この刃板部4の外面と研削面が面一となるように、刃板部4の並設外面に沿って傾斜折曲部9を研削することで刃板部4の外面と同一平面上に山部5及び谷部6が連続形成された前記凹凸刃縁7を形成している(図3,図4参照。)。
【0029】
従って、本実施例では、簡単な手法にして凹凸刃縁7でありながら、凹凸が左右に出入りしてなく、凹凸即ち、山部5と谷部6とは刃縁形成方向に一直線上(刃板部4の立平面)に位置するため、カミソリのような切り味でわらを良好に細断できることとなる。
【0030】
また、傾斜させて研削するのではなく、凹凸刃縁7を形成する部分を外側へ傾斜折曲させておき、外側に折曲突出した部分(傾斜折曲部9)を刃板部4の外面に沿って基端から突出先端へと研削するため、コーナー部は後述する実施例2のように不必要に研削して刃縁としない基端部まで板厚をカットしてしまうことなく本来の板厚のままとすることができ、コーナー部の肉厚は確保できるため、著しく耐久性・破損強度を向上させることにもなり、これによりこぎ胴1の破損も防止できることとなる。
【0031】
また、本実施例の前記凹凸刃縁7は、各谷部6をV字溝形状となる先鋭谷部6Aに形成している。
【0032】
具体的には、前記刃板部4への凹凸面形成時に用いる凹凸形状のプレス型の凸出先端部を先鋭形状とすることで、断面V字形の凹面部を具備する凹凸面を刃板部4にプレス形成し、このV字形の凹面部を具備する凹凸面を研削することによって、凹凸刃縁7の各谷部6の谷底部分の形状が、先鋭形状(V字溝形状)の先鋭谷部6Aとなって表出する構成としている。
【0033】
また、本実施例では、前記刃板部4の基端部から所定範囲に存する谷部6を、前記先鋭谷部6Aとせずにその谷底部分の形状がR形状となるR形状谷部6Bに形成している。換言すると、刃板部4の基端部から所定範囲に存する各谷部6は、谷底部がRで結ばれた形状のR形状谷部6Bに形成している。
【0034】
具体的には、前記刃板部4の基端部から中間部までの範囲に存する前記各谷部6を、前記R形状谷部6Bに形成している。即ち、刃板部4の最も基端部側に位置する谷部6から、刃板部4の中間部より先端側に存する前記先鋭谷部6A群までの間の範囲に存する各谷部6を、R形状谷部6Bに形成している。
【0035】
このR形状谷部6Bは、前記刃板部4に凹凸形状のプレス型で凹凸面を形成する際に、刃板部4の基端部から所定範囲をプレスする部位の凸出先端部がR形状とされたプレス型を用いることで、刃板部4の基端部から所定範囲に断面R形状の凹面部を具備する凹凸面をプレス形成し、このR形状の凹面部を具備する凹凸面を研削することによって、凹凸刃縁7の谷部6の谷底部分の形状が、R形状(R形状谷部6B)となって表出するように構成している。
【0036】
また、更に具体的には、刃板部4の最も基端部側に位置する一番目の谷部6から順番に隣接する数箇所の谷部6を、R形状谷部6Bに形成している。
【0037】
また、この数箇所のR形状谷部6Bは、刃板部4の最も基端部に位置する一番目のR形状谷部6BのR形状が最も大きく、この一番目のR形状谷部6Bから刃板部4の先端部側に向かうにしたがってR形状谷部6BのR形状が連続的に小さくなるように、前記プレスによって形成する凹凸面の凹面部の断面形状(R形状)を設定している。
【0038】
即ち、この数箇所のR形状谷部6Bは、前記刃板部4の突出先端側に位置するものほど、それらより刃板部4の突出先端側に連続している先鋭谷部6Aの谷底形状(V字溝形状)に近づくように構成している。
【0039】
また、更に詳しく説明すると、本実施例では、図6,図7に示すように、刃板部4の最も基端部に位置する一番目の谷部6から数えて五番目の谷部6までをR形状谷部6Bに構成し、また、一番目のR形状谷部6Bから四番目のR形状谷部6Bまでは、刃板部4の先端部側に位置するものほど徐々に谷底部分のR形状が小さくなるように構成し、四番目と五番目のR形状谷部6Bは、略同じR形状となるように構成している。
【0040】
従って、凹凸刃縁7の基端部側の一番目から五番目までの谷部6をR形状谷部6Bとした本実施例のわら切刃Hは、この基端部側の五箇所のR形状谷部6Bの谷底部分に加わる応力がR形状底によって分散するので、この五箇所のR形状谷部6Bに応力が集中しにくい。そのため、凹凸刃縁7の全ての谷部6が先鋭谷部6Aに形成される従来品にあっては、わら切り時に凹凸刃縁7の基端部位の先鋭谷部6Aの谷底部分に応力が集中して先鋭谷部6Aの谷底部分に沿って亀裂を生じて、わら切刃Hが破断してしまう場合があったが、本実施例では刃板部4の基端部側のR形状谷部6Bへの応力集中を効果的に防止できて耐久寿命を著しく長期化できることになった。
【0041】
また、五箇所のR形状谷部6Bは、先鋭谷部6Aと比べると切断有効刃長(高さ)が短く(低く)やや切断性に劣るものとなってしまうが、わら切りにおいて、凹凸刃縁7の基端部側はあまり切断機能を必要としないことが確認されており、しかも、この各R形状谷部6Bは、刃板部4の最も基端部側に位置する一番目の谷部6の底部分のR形状が最も大きく、この一番目の谷部6から刃板部4の先端部側に向かうにしたがって谷部6の谷底部分のR形状が徐々に小さくなって先鋭形状へと近づくため、この五箇所のR形状谷部6Bにおいても、わら切りが比較的行われ易い刃板部4の突出先端部側ほど切断性が良好となり、従って、従来品に比してわら切り性能が大きく損なわれるようなことなく、略同等のわら切り性能を発揮できる。
【0042】
また、本実施例は、凹凸刃縁7の刃板部4の基端部側のわずか五箇所の谷部6に対し、従来品では先鋭形状とするために凹凸面の凹面部の断面形状をV字形としていたところを、プレス型を変更して凹面部の断面形状をR形状とするだけでR形状谷部6Bを形成でき、他は従来と同等の製造方法で実現可能であるので、従来品と同等の量産性を容易に確保可能である。
【実施例2】
【0043】
本発明の具体的な実施例2について図8〜図12に基づいて説明する。
【0044】
本実施例のわら切刃Hは、前記実施例1(前記特許文献1)における従来タイプに本発明を適用した場合である。
【0045】
即ち、図9,図10に示すように刃縁を真上から見たとき(刃板部4を板面方向(板厚を見る方向)から見たとき)、刃縁形成方向に対して山部5と谷部6とが一直線上(同一平面上)にはなく、山部5と谷部6とが夫々この刃縁形成方向に対して左右に出入りして位置ズレした刃縁となるように構成した場合である。
【0046】
具体的には、前記実施例1において、板材2のプレス加工時に傾斜折曲部9を形成せず、凹凸面のみをプレス形成し、その後、この板材2をコ字状に折曲形成して取付部3の左右に、夫々凹凸面を有する刃板部4を並設形成し、焼き入れした後、前記凹凸面の反対側から刃縁形成部分の外面をこの刃板部4の他の外面に対して斜めに研削して板厚を先鋭にし刃縁を形成することで凹凸刃縁7とした場合である。
【0047】
他の構成は、前記実施例1と同様であるので、図面に同符号を付すことで詳しく説明することは省略する。
【0048】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0049】
1 こぎ胴
2 板材
3 取付部
4 刃板部
5 山部
6 谷部
6A 先鋭谷部
6B R形状谷部
7 凹凸刃縁
H わら切刃
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインや脱穀機のこぎ胴の対向位置に設けられ、わら屑を細断するわら切刃の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
こぎ室内で回転するこぎ胴1のこぎ歯8により脱穀が行われる際、稲の根本は搬送用チェーンなどで挟持保持されてはいるが、かなりのわら屑が発生する。
【0003】
このわら屑が、こぎ歯8に引っ掛からないように、例えば、特許文献1のようなコ字状のわら切刃Hがこぎ室に設けられている。
【0004】
このわら切刃Hは、取付部3の左右に突設した刃板部4の湾曲した上縁に、山部5と谷部6とが連続した凹凸刃縁7が設けられた構成で、こぎ歯8がこの刃板部4間を通過するようにこぎ胴1の対向位置に固定されているものである(図2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3672916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなわら切刃Hは、凹凸刃縁7の各谷部6が良好な切断性を発揮するように、V字溝形状となる先鋭谷部6Aに形成されている。
【0007】
そのため、わら切刃Hには、わら切り時に刃板部4の基端部側に大きな応力が加わるが、この応力が凹凸刃縁7の基端部側に存するV字溝形状の先鋭谷部6Aに集中してしまい、これが原因でわら切刃Hを長く使用していると、凹凸刃縁7の基端部側に存する先鋭谷部6Aの谷底部分から刃板部4に亀裂を生じて、刃板部4が破断してしまう場合があった。
【0008】
本発明は、このような従来のわら切刃の問題点に注目し、これを解決しようとするもので、基端部側の凹凸刃縁の谷部に簡易な構造変更を施すことにより、これまでのわら切刃よりも刃板部の基端部側の強度が向上して耐久寿命の長期化を達成できる画期的なわら切刃を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
脱穀部のこぎ胴1の対向位置に配設されるわら切刃Hであって、板材2をコ字状に折曲形成して前記脱穀部に取付する取付部3の左右に刃板部4を並設状態に突設した構成とし、この刃板部4の縁部に、基端部から突出先端部にかけて山部5と谷部6とが連続した凹凸刃縁7を形成すると共に、この凹凸刃縁7の谷部6をV字溝形状となる先鋭谷部6Aに形成したわら切刃Hにおいて、前記刃板部4の基端部から所定範囲に存する前記凹凸刃縁7の前記各谷部6を、前記先鋭谷部6Aとせずに谷底部がR形状となるR形状谷部6Bに形成すると共に、この各R形状谷部6Bは、刃板部4の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部4の突出先端側に位置するR形状谷部6Bほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したことを特徴とするわら切刃に係るものである。
【0011】
また、前記刃板部4の最も基端部側に位置する前記谷部6から順番に隣接する所定箇所までの谷部6を、前記R形状谷部6Bに形成すると共に、この各R形状谷部6Bは、刃板部4の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部4の突出先端側に位置するR形状谷部6Bほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したことを特徴とする請求項1記載のわら切刃に係るものである。
【0012】
また、前記刃板部4の最も基端部側に位置する前記谷部6から、刃板部4の中間部に存する前記先鋭谷部6Aまでの間の範囲に存する前記凹凸刃縁7の前記各谷部6を、前記R形状谷部6Bに形成すると共に、この各R形状谷部6Bは、刃板部4の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部4の突出先端側に位置するR形状谷部6Bほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のわら切刃に係るものである。
【0013】
また、少なくとも、前記刃板部4の最も基端部側に位置する谷部6から順番に隣接する三箇所の谷部6までを、前記R形状谷部6Bに形成すると共に、この各R形状谷部6Bは、刃板部4の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部4の突出先端側に位置するR形状谷部6Bほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のわら切刃に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、凹凸刃縁の基端部から所定範囲に存するR形状谷部がわら切り時に刃板部の基端部側に加わる応力を効果的に分散でき、これにより刃板部の亀裂や破断等を生じにくく秀れた耐久性を発揮するので商品寿命の長期化が実現でき、また、各R形状谷部は、わら切りの重要度が高い刃板部の突出先端部側に位置するものほど先鋭形状に近く切断性が良好となるように形成したため、従来品と比べて遜色のないわら切り性能を発揮でき、しかも本発明は、従来品に対して、凹凸刃縁の刃板部の基端部から所定範囲に存する谷部の谷底部の形状を、先鋭形状からR形状に構造変更するだけで実現可能であるため、この構成は簡易に設計実現可能で量産性にも秀れるなど、極めて実用性に秀れた画期的なわら切刃となる。
【0015】
また、請求項2,3,4記載の発明においては、前記作用・効果を確実に発揮する極めて実用性に秀れた簡易構成のわら切刃となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1を示す斜視図である。
【図2】わら切刃の使用状態を示す説明側面図である。
【図3】実施例1を示す平面図である。
【図4】実施例1の部分拡大正断面図である。
【図5】実施例1の製作手順を示す説明断面図である。
【図6】実施例1の基端部側の凹凸刃縁を示す部分拡大斜視図である。
【図7】実施例1の基端部側の凹凸刃縁を示す部分拡大側面図である。
【図8】実施例2を示す斜視図である。
【図9】実施例2を示す平面図である。
【図10】実施例2の部分拡大正断面図である。
【図11】実施例2の基端部側の凹凸刃縁を示す部分拡大斜視図である。
【図12】実施例2の基端部側の凹凸刃縁を示す部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
脱穀部のこぎ胴1の対向位置に配設されるわら切刃Hには、わら切り時に左右の刃板部4の基端部側に大きな応力が加わるが、この際、刃板部4の基端部から所定範囲に存する凹凸刃縁7の各R形状谷部6Bには、そのR形状の谷底部に沿って応力が分散して加わることになる。
【0019】
従って、従来のわら切刃のように、凹凸刃縁7の谷部6が全てV字溝形状の先鋭谷部6Aであると、この凹凸刃縁7の基端部側に存する先鋭谷部6Aの谷底部分にわら切り時の応力が集中してしまうために、経年使用によってこの基端部側の先鋭谷部6Aから刃板部4に亀裂を生じてしまう場合があったが、本発明によれば、凹凸刃縁7の基端部から所定範囲に存する谷部6がR形状(R形状谷部6B)であるから、このR形状谷部6Bが刃板部4の基端部側に加わる応力を効果的に分散して、これにより刃板部4の亀裂や破断等を生じにくく秀れた耐久性を発揮して商品寿命の長期化が実現することになる。
【0020】
また、刃板部4の基端部から所定範囲に存する各R形状谷部6Bは、前記したような秀れた耐久強度を刃板部4にもたらす反面、先鋭谷部6Aと比べるとやや切断有効刃長(高さ)が短く(低く)なってしまう。
【0021】
しかし、出願人がこれまでに行ってきた研究によると、凹凸刃縁7でのわら切りが行われているのは、凹凸刃縁7の全範囲のうち刃板部4の突出先端部側の2/3範囲程度がほとんどであって、残りの基端部側の1/3範囲はあまり切断機能を必要としないことがわかっており、刃板部4の基端部から所定範囲の凹凸刃縁7の谷部6(R形状谷部6B)の切断有効刃長域(高さ)がやや短く(低く)なるものであっても、わら切り能力に大きな影響はない。
【0022】
しかも、この各R形状谷部6Bは、刃板部4の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなって徐々に先鋭形状に近づくため、わら切りが行われ易い刃板部4の突出先端部側に位置するものほど切断性が良好な(切断有効刃長域(高さ)が長い(高い))R形状谷部6Bとなり、それ故従来品に比してわら切り性能が大きく損なわれるようなことはなく、略同等のわら切り性能を発揮できる。
【0023】
また、本発明は、凹凸刃縁7の刃板部4の基端部から所定範囲に存する谷部6の形状を、従来品では先鋭形状(V字溝形状)であったところをR形状に構造変更するだけで実現可能であるため、この構成は簡易に設計実現可能で従来品と同等の量産性を容易に確保可能となる。
【実施例1】
【0024】
本発明の具体的な実施例1について図1〜図7に基づいて説明する。
【0025】
本実施例は、前記特許文献1で示したわら切刃Hに本発明を適用した場合であって、図1に示すように、板材2をコ字状に折曲形成して取付部3の左右に刃板部4を並設状態に突設した構成とし、この刃板部4の湾曲させた上縁部には、基端部から突出先端部にかけて山部5と谷部6とが連続した凹凸刃縁7を形成している。
【0026】
更に具体的には、本実施例では、図5に示すように、プレス加工によって板材2の前記刃板部4となる部分の凹凸刃縁7形成側を、刃板部4となったとき外側方向となる方向に傾斜折曲すると共に、このプレス時にこの傾斜折曲部分に凹凸面をプレス形成して傾斜折曲部9を形成する。
【0027】
即ち、板材2をコ字状に折曲することで略平行並設状態になる刃板部4となる部分を夫々外側方向となる方向に傾斜折曲すると共に、型押しによって凹凸面を形成して傾斜折曲部9を形成している。
【0028】
そして、この傾斜折曲部9をプレス形成した後、この板材2をコ字状に折曲形成して取付部3の左右に、夫々外側に傾斜折曲されていて凹凸面を有する前記傾斜折曲部9を設けた刃板部4を並設形成し、焼き入れした後、この刃板部4の外面と研削面が面一となるように、刃板部4の並設外面に沿って傾斜折曲部9を研削することで刃板部4の外面と同一平面上に山部5及び谷部6が連続形成された前記凹凸刃縁7を形成している(図3,図4参照。)。
【0029】
従って、本実施例では、簡単な手法にして凹凸刃縁7でありながら、凹凸が左右に出入りしてなく、凹凸即ち、山部5と谷部6とは刃縁形成方向に一直線上(刃板部4の立平面)に位置するため、カミソリのような切り味でわらを良好に細断できることとなる。
【0030】
また、傾斜させて研削するのではなく、凹凸刃縁7を形成する部分を外側へ傾斜折曲させておき、外側に折曲突出した部分(傾斜折曲部9)を刃板部4の外面に沿って基端から突出先端へと研削するため、コーナー部は後述する実施例2のように不必要に研削して刃縁としない基端部まで板厚をカットしてしまうことなく本来の板厚のままとすることができ、コーナー部の肉厚は確保できるため、著しく耐久性・破損強度を向上させることにもなり、これによりこぎ胴1の破損も防止できることとなる。
【0031】
また、本実施例の前記凹凸刃縁7は、各谷部6をV字溝形状となる先鋭谷部6Aに形成している。
【0032】
具体的には、前記刃板部4への凹凸面形成時に用いる凹凸形状のプレス型の凸出先端部を先鋭形状とすることで、断面V字形の凹面部を具備する凹凸面を刃板部4にプレス形成し、このV字形の凹面部を具備する凹凸面を研削することによって、凹凸刃縁7の各谷部6の谷底部分の形状が、先鋭形状(V字溝形状)の先鋭谷部6Aとなって表出する構成としている。
【0033】
また、本実施例では、前記刃板部4の基端部から所定範囲に存する谷部6を、前記先鋭谷部6Aとせずにその谷底部分の形状がR形状となるR形状谷部6Bに形成している。換言すると、刃板部4の基端部から所定範囲に存する各谷部6は、谷底部がRで結ばれた形状のR形状谷部6Bに形成している。
【0034】
具体的には、前記刃板部4の基端部から中間部までの範囲に存する前記各谷部6を、前記R形状谷部6Bに形成している。即ち、刃板部4の最も基端部側に位置する谷部6から、刃板部4の中間部より先端側に存する前記先鋭谷部6A群までの間の範囲に存する各谷部6を、R形状谷部6Bに形成している。
【0035】
このR形状谷部6Bは、前記刃板部4に凹凸形状のプレス型で凹凸面を形成する際に、刃板部4の基端部から所定範囲をプレスする部位の凸出先端部がR形状とされたプレス型を用いることで、刃板部4の基端部から所定範囲に断面R形状の凹面部を具備する凹凸面をプレス形成し、このR形状の凹面部を具備する凹凸面を研削することによって、凹凸刃縁7の谷部6の谷底部分の形状が、R形状(R形状谷部6B)となって表出するように構成している。
【0036】
また、更に具体的には、刃板部4の最も基端部側に位置する一番目の谷部6から順番に隣接する数箇所の谷部6を、R形状谷部6Bに形成している。
【0037】
また、この数箇所のR形状谷部6Bは、刃板部4の最も基端部に位置する一番目のR形状谷部6BのR形状が最も大きく、この一番目のR形状谷部6Bから刃板部4の先端部側に向かうにしたがってR形状谷部6BのR形状が連続的に小さくなるように、前記プレスによって形成する凹凸面の凹面部の断面形状(R形状)を設定している。
【0038】
即ち、この数箇所のR形状谷部6Bは、前記刃板部4の突出先端側に位置するものほど、それらより刃板部4の突出先端側に連続している先鋭谷部6Aの谷底形状(V字溝形状)に近づくように構成している。
【0039】
また、更に詳しく説明すると、本実施例では、図6,図7に示すように、刃板部4の最も基端部に位置する一番目の谷部6から数えて五番目の谷部6までをR形状谷部6Bに構成し、また、一番目のR形状谷部6Bから四番目のR形状谷部6Bまでは、刃板部4の先端部側に位置するものほど徐々に谷底部分のR形状が小さくなるように構成し、四番目と五番目のR形状谷部6Bは、略同じR形状となるように構成している。
【0040】
従って、凹凸刃縁7の基端部側の一番目から五番目までの谷部6をR形状谷部6Bとした本実施例のわら切刃Hは、この基端部側の五箇所のR形状谷部6Bの谷底部分に加わる応力がR形状底によって分散するので、この五箇所のR形状谷部6Bに応力が集中しにくい。そのため、凹凸刃縁7の全ての谷部6が先鋭谷部6Aに形成される従来品にあっては、わら切り時に凹凸刃縁7の基端部位の先鋭谷部6Aの谷底部分に応力が集中して先鋭谷部6Aの谷底部分に沿って亀裂を生じて、わら切刃Hが破断してしまう場合があったが、本実施例では刃板部4の基端部側のR形状谷部6Bへの応力集中を効果的に防止できて耐久寿命を著しく長期化できることになった。
【0041】
また、五箇所のR形状谷部6Bは、先鋭谷部6Aと比べると切断有効刃長(高さ)が短く(低く)やや切断性に劣るものとなってしまうが、わら切りにおいて、凹凸刃縁7の基端部側はあまり切断機能を必要としないことが確認されており、しかも、この各R形状谷部6Bは、刃板部4の最も基端部側に位置する一番目の谷部6の底部分のR形状が最も大きく、この一番目の谷部6から刃板部4の先端部側に向かうにしたがって谷部6の谷底部分のR形状が徐々に小さくなって先鋭形状へと近づくため、この五箇所のR形状谷部6Bにおいても、わら切りが比較的行われ易い刃板部4の突出先端部側ほど切断性が良好となり、従って、従来品に比してわら切り性能が大きく損なわれるようなことなく、略同等のわら切り性能を発揮できる。
【0042】
また、本実施例は、凹凸刃縁7の刃板部4の基端部側のわずか五箇所の谷部6に対し、従来品では先鋭形状とするために凹凸面の凹面部の断面形状をV字形としていたところを、プレス型を変更して凹面部の断面形状をR形状とするだけでR形状谷部6Bを形成でき、他は従来と同等の製造方法で実現可能であるので、従来品と同等の量産性を容易に確保可能である。
【実施例2】
【0043】
本発明の具体的な実施例2について図8〜図12に基づいて説明する。
【0044】
本実施例のわら切刃Hは、前記実施例1(前記特許文献1)における従来タイプに本発明を適用した場合である。
【0045】
即ち、図9,図10に示すように刃縁を真上から見たとき(刃板部4を板面方向(板厚を見る方向)から見たとき)、刃縁形成方向に対して山部5と谷部6とが一直線上(同一平面上)にはなく、山部5と谷部6とが夫々この刃縁形成方向に対して左右に出入りして位置ズレした刃縁となるように構成した場合である。
【0046】
具体的には、前記実施例1において、板材2のプレス加工時に傾斜折曲部9を形成せず、凹凸面のみをプレス形成し、その後、この板材2をコ字状に折曲形成して取付部3の左右に、夫々凹凸面を有する刃板部4を並設形成し、焼き入れした後、前記凹凸面の反対側から刃縁形成部分の外面をこの刃板部4の他の外面に対して斜めに研削して板厚を先鋭にし刃縁を形成することで凹凸刃縁7とした場合である。
【0047】
他の構成は、前記実施例1と同様であるので、図面に同符号を付すことで詳しく説明することは省略する。
【0048】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0049】
1 こぎ胴
2 板材
3 取付部
4 刃板部
5 山部
6 谷部
6A 先鋭谷部
6B R形状谷部
7 凹凸刃縁
H わら切刃
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀部のこぎ胴の対向位置に配設されるわら切刃であって、板材をコ字状に折曲形成して前記脱穀部に取付する取付部の左右に刃板部を並設状態に突設した構成とし、この刃板部の縁部に、基端部から突出先端部にかけて山部と谷部とが連続した凹凸刃縁を形成すると共に、この凹凸刃縁の谷部をV字溝形状となる先鋭谷部に形成したわら切刃において、前記刃板部の基端部から所定範囲に存する前記凹凸刃縁の前記各谷部を、前記先鋭谷部とせずに谷底部がR形状となるR形状谷部に形成すると共に、この各R形状谷部は、刃板部の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部の突出先端側に位置するR形状谷部ほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したことを特徴とするわら切刃。
【請求項2】
前記刃板部の最も基端部側に位置する前記谷部から順番に隣接する所定箇所までの谷部を、前記R形状谷部に形成すると共に、この各R形状谷部は、刃板部の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部の突出先端側に位置するR形状谷部ほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したことを特徴とする請求項1記載のわら切刃。
【請求項3】
前記刃板部の最も基端部側に位置する前記谷部から、刃板部の中間部に存する前記先鋭谷部までの間の範囲に存する前記凹凸刃縁の前記各谷部を、前記R形状谷部に形成すると共に、この各R形状谷部は、刃板部の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部の突出先端側に位置するR形状谷部ほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のわら切刃。
【請求項4】
少なくとも、前記刃板部の最も基端部側に位置する谷部から順番に隣接する三箇所の谷部までを、前記R形状谷部に形成すると共に、この各R形状谷部は、刃板部の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部の突出先端側に位置するR形状谷部ほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のわら切刃。
【請求項1】
脱穀部のこぎ胴の対向位置に配設されるわら切刃であって、板材をコ字状に折曲形成して前記脱穀部に取付する取付部の左右に刃板部を並設状態に突設した構成とし、この刃板部の縁部に、基端部から突出先端部にかけて山部と谷部とが連続した凹凸刃縁を形成すると共に、この凹凸刃縁の谷部をV字溝形状となる先鋭谷部に形成したわら切刃において、前記刃板部の基端部から所定範囲に存する前記凹凸刃縁の前記各谷部を、前記先鋭谷部とせずに谷底部がR形状となるR形状谷部に形成すると共に、この各R形状谷部は、刃板部の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部の突出先端側に位置するR形状谷部ほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したことを特徴とするわら切刃。
【請求項2】
前記刃板部の最も基端部側に位置する前記谷部から順番に隣接する所定箇所までの谷部を、前記R形状谷部に形成すると共に、この各R形状谷部は、刃板部の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部の突出先端側に位置するR形状谷部ほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したことを特徴とする請求項1記載のわら切刃。
【請求項3】
前記刃板部の最も基端部側に位置する前記谷部から、刃板部の中間部に存する前記先鋭谷部までの間の範囲に存する前記凹凸刃縁の前記各谷部を、前記R形状谷部に形成すると共に、この各R形状谷部は、刃板部の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部の突出先端側に位置するR形状谷部ほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のわら切刃。
【請求項4】
少なくとも、前記刃板部の最も基端部側に位置する谷部から順番に隣接する三箇所の谷部までを、前記R形状谷部に形成すると共に、この各R形状谷部は、刃板部の突出先端側に位置するものほど谷底部のR形状が小さくなる形状に形成して、刃板部の突出先端側に位置するR形状谷部ほど徐々に先鋭形状に近づくように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のわら切刃。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−268728(P2010−268728A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123491(P2009−123491)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(593077250)ナシモト工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(593077250)ナシモト工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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