アイアン型ゴルフクラブ
【課題】クラブセットを通じて連続性のある美観上の見た目およびフィーリングを維持し、同時に、重心特性および慣性モーメント特性を微調整できるようにする。
【解決手段】インサートの質量はセットを通じて系統的に変化して、セットを通じて見た目やフィーリングの連続性を維持しつつセットの質量分配特性を系統的に変化させるようになっている。インサートの質量は、セットを通じてインサートの体積または密度を調整して変化させる。セットの他の設計パラメータ、例えば、溝タイプおよび深さ、ロフト角、キャビティ体積、打撃フェース粗度、およびソール幅をセットを通じて系統的に変化させても良い。1実施例では、質量制御インサートは高密度インサートおよび軽量カバーを含む。高密度インサートの密度を簡易に変化させてクラブヘッドの質量分配特性を変更できる。
【解決手段】インサートの質量はセットを通じて系統的に変化して、セットを通じて見た目やフィーリングの連続性を維持しつつセットの質量分配特性を系統的に変化させるようになっている。インサートの質量は、セットを通じてインサートの体積または密度を調整して変化させる。セットの他の設計パラメータ、例えば、溝タイプおよび深さ、ロフト角、キャビティ体積、打撃フェース粗度、およびソール幅をセットを通じて系統的に変化させても良い。1実施例では、質量制御インサートは高密度インサートおよび軽量カバーを含む。高密度インサートの密度を簡易に変化させてクラブヘッドの質量分配特性を変更できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は一般にはゴルフクラブに関し、より具体的には、アイアン型クラブのセットの関する。
【背景技術】
【0002】
セット中の個々のクラブヘッドは、典型的には、クラブがロングアイアンからショートアイアンおよびウェッジに進むに従って、そのフェース表面面積および重量を増大させる。そのため、ロングアイアンのクラブヘッドのフェース表面面積はショートアイアンよりも狭く、平均的なゴルファーが首尾一貫して上手に打撃するのはより難しくなる。通常のクラブヘッドについては、これは、フェース表面面積が小さくなればなるほど、そのスイートスポットが小さくなることに、少なくとも部分的に起因する。
【0003】
平均的なゴルファーが首尾一貫して上手にスイートスポットを打撃できるようにするために、周辺重みを増大させたキャビティバック構造の多くのゴルフクラブを入手できる。また周辺を重み付けすることによりクラブヘッドのその重心回りの回転モーメントが大きくなる。回転モーメントが大きなクラブヘッドでは、その分、中心から外れた打撃に起因する回転の程度が小さくなる。他の最近の製品傾向は、クラブヘッドの全体サイズを大きくすることであり、これは、とくにロングアイアンで顕著である。これらの特徴の各々によりスイートスポットのサイズが大きくなり、この結果、若干中心からずれた打撃もスイートスポットに当たり、遠くかつまっすぐに飛ぶことになる。クラブヘッドのサイズを最大化するときにゴルフクラブ設計者が試みることの1つは、ゴルフクラブの所望の有益な全体重量を維持することである。例えば、3番アイアンのクラブヘッドのサイズや重量が大きくなると平均的なゴルファーは正しくスイングすることがかなり困難になる。
【0004】
一般に、スイートスポットを大きくするために、これらクラブの重心はクラブヘッドの底およびバックの方に移動させられる。これにより、平均的なゴルファーはボールをより速く空中へ放出してより遠くへ打つことができる。さらに、クラブヘッドの慣性モーメントを大きくすることにより、中心からはずれた打撃に関連する距離および精度のペナルティを最小化できる。クラブヘッドの全体重量を増大させることなく重みを下方および後方に移動するために、材料および重量がクラブヘッドの1つの領域から他の領域に移動させられる。1つの解決手法は、クラブのフェースから材料を取り、薄いクラブフェースを作り出すことであった。このタイプの処理の例は特許文献1(米国特許第4,928,972号)、特許文献2(同第5,967,903号)および特許文献3(同第6,045,456号)に見いだすことができる。
【0005】
しかしながら、アイアンセットについては、一般に、ロングアイアンに要求される性能特性がショートアイアンのそれと異なっている。例えば、ロングアイアンは、プロ不ゴルファーでも、正確にうつことはより難しく、この結果、ロングアイアンはより大きなスイートスポットを持つことが好ましい。同様に、ショートアイアンは比較的正確に打つことができ、スイートスポットの大きさはさほど重要でない。ただし、ショートアイアンの作業性をより十分なものにすることがしばしば要請されている。
【0006】
クラブセットを通じて連続性のある美観上の見た目およびフィーリング(look and feel)を維持し、同時に、重心特性および慣性モーメント特性を微調整することは困難である。現在、全体としてのゲーム結果を最良のものにするために、ゴルファーはクラブを一本一本買わなければならず、セットを通じてのプレイの差分が大きくなりすぎて好ましくない。さらに、異なる製造業者からの異なるクラブを用いると、バラバラのセットの中の任意のクラブは正確なプレイ標準を構成するかも知らないが、ゴルファーにとって好ましいフィーリングに欠けるであろう。したがって、当業界において、セットの性能の連続性を全体として最大化し、しかも、プレイ中に美観上の見た目やフィーリングの一貫性を維持するようにセット中の個々のクラブを設計するクラブセットに対する要望がある。
【特許文献1】米国特許第4,928,972号
【特許文献2】米国特許第5,967,903号
【特許文献3】米国特許第6,045,456号
【発明の開示】
【0007】
この発明の一側面によれば、アイアン型ゴルフクラブセットは、少なくとも1本のロングアイアンを有し、このロングアイアンは第1の打撃フェース、その内部に第1の溝を形成させた第1の背面フェース、および、第1の打撃フェースの背面に配置された第1のインサートを有する。このセットは、また、少なくとも1本のショートアイアンを有し、このショートアイアンは第2の打撃フェース、その内部に第2の溝を形成させた第2の背面フェース、および、第2の打撃フェースの背面に配置された第2のインサートを有する。ロングアイアン上の第1のインサートの質量およびショートアイアン上の第2のインサートの質量は系統的(systematic)に差異を有する。
【0008】
この発明の他の側面によれば、アイアン型ゴルフクラブヘッドは、第1の密度の鍛造材料から製造された本体を有し、この本体に打撃フェースを一体に形成させている。背面フランジが打撃フェースと一体に結合され、背面フランジと打撃フェースとの間において背面フランジ内に溝が形成される。インサートが背面フランジおよび打撃フェースに接触するように構成され、このインサートは第2の密度の第2の材料から製造され、第2の密度は第1の密度より小さい。
【0009】
この発明の他の側面によれば、ゴルフクラブヘッドをカスタマイズする方法は、
(i)ゴルフクラブヘッドを供給するステップ、
(ii)複数の質量調整インサートを供給するステップ、
(iii)質量調整インサートをゴルフクラブヘッドに取り付ける手段を供給するステップ、
(iv)複数の質量調整インサートの各々を伴うゴルフクラブヘッドをテストするステップ、および、
(v)複数の質量調整インサートのうちの1つをゴルフクラブヘッドに取り付けるステップを有する。
【0010】
添付の図は明細書の一部を構成し、それと関連づけて理解すべきであり、これらの図において、同様の参照番号は同様な部分を参照するのに用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
添付図面に示され以下詳細に説明されるように、この発明は、アイアン型のゴルフクラブのセットに向けられている。説明の便宜上、図1は参考アイアン型クラブヘッド10を示し、この発明の種々の設計パラメータが定義される。クラブの関するこれら設計パラメータはセットを通じてロングアイアンからショートアイアンへと所定の態様で反かするように選定されている。クラブヘッド10はシャフト(図示しない)に当業界で知られているにんいに手法で結合される。
【0012】
クラブヘッド10は、一般に、ボディー12およびホーゼル14を有する。ボディー12は打撃フェース16および背面フェース20を有する。ボディー12はホーゼル14に角度をもって結合され、ロフト角30がホーゼル中心線18および打撃フェース16の間に定義される、さらに、ボディー12およびホーゼル14の間の相対的な構造により、打撃フェースのベースの先端22とホーゼルの最前点15の間にオフセット34が存在する。
【0013】
ゴルフクラブの典型的なセットでは、打撃フェース16の面積、ボディー12のヒール・トウ間長、ロフト角30およびオフセット34はセット内のクラブ間で変化する。例えば、通常の番手を用いた場合、2番または3番のロングアイアンでは、典型的には、シャフトが比較的長く、打撃フェース16の面積が比較的大きく、ロフト角30が比較的小さい。同様に、通常の番手を用いた場合、8番または9番のショートアイアンでは、典型的には、シャフトが比較的短く、打撃フェース16の面積が比較的小さく、ロフト角30が比較的大きい。この発明では、このようなパラメータは各クラブの用途に応じた性能を最大化するように具体的に選択されている。さらに、これらパラメータはセットを通じて予め定められた態様で変化する。
【0014】
同様に、ゴルフクラブの多くの典型的なセットでは、ロフト角30は、セットがロングアイアン(2、3、4)からショートアイアン(8、9、PW)へと進むにつれて大きくなる。ロングアイアンにおいて、ロフト角30は線形に変化する。すなわち約3度ずつ変化する。同様に、ショートアイアンで、線形に、約4度ずつ変化する。ロフト角30の他の態様もこの発明の範囲内であり、ロフト角30の選定は種々の他の設計上の考慮、例えば材料や美観の選定に左右される。
【0015】
クラブ設計における、このようなパラメータの他の1つは、背面フェース20の構造である。典型的なゴルフクラブセットでは、背面フェースは、「キャビティバック」、すなわち、クラブヘッドの質量のかなりの部分が周辺32の回りのバック側に配置されているもの、または、「マッスルバック」、すなわち、クラブの質量が比較的等分にボディー12のヒール・トウ長に沿って配分されるもののいずれかを有する。キャビティバッククラブではスイートスポットが大きくなる、重心が低く、慣性が大きくなるという傾向がある。換言すると、キャビティバッククラブは丁度良い打撃を生みやすい。ロングアイアンでは、スイートスポットは正確に打撃するのが困難なことが多い。したがって、ロングアイアンではキャビティバック構造を採用することが好ましい。マッスルバッククラブでは比較的スイートスポットは小さく、重心が高く、シャフト軸18回りの慣性が小さいという傾向がある。打撃が正確であれば、マッスルバッククラブは、スイートスポットの後方の質量(すなわちマッスル)により、全体的な性能および作業性がよりすぐれたものであるが、スイートスポットが小さい分、平均的なゴルファーにとっては正確に打撃するのが困難である。ショートアイアンは平均的なゴルファーでも正確に打撃することは容易でるが、作業性にかけることがあるので、ショートアイアンはマッスルバック特徴であることが望ましい。
【0016】
この発明の一側面によれば、「631」親出願で開示されるように、背面フェース20の構造を、ロングアイアンでキャビティバックが優勢でショートアイアンでマッスルバックが優勢に成るように徐々に変化させて、セットの性能の連続性を最大化させている。この発明の他の側面によれば、「745」親出願で開示され、図2−7に示されるように、背面フェース20の構造を、ロングアイアンでオーバーサイズのチャネルバックが優勢でショートアイアンで標準サイズのチャネルバックが優勢に成るように徐々に変化させて、セットの性能の連続性を最大化させている。図2−7に示され以下に詳細に検討される実施例は、部分的には、軽量コア(図4の要素1052)により強化された極めて薄い打撃フェース(図4の要素1017)と、振動ダンパー(図4の要素1052)とを採用するサンドイッチ構造によって性能の連続性を実現している。この発明のさらに他の側面によれば、図8A−Cにおいて理解されるように、チャネルバックのロングアイアンでキャビティバッククラブの特徴を有する背面フェース構造を伴うものから徐々に変化させて、セットのクラブの性能の連続性を実現する。図8A−Cに示される実施例は、部分的には、サンドイッチ構造に薄い打撃フェース(図9の要素1316)を設け、かつ、打撃フェースインサートを設け、あるいは設けず、さらに、打撃フェース後方の質量調整インサート(図9の要素1360)を設けることにより、性能の連続性を実現する。ただし、質量調整インサートの重量はロングアイアンでより重く、ショートアイアンでより軽くなるように変化する。
【0017】
さらに、振動減衰インサートチャネルバッククラブに一体化される。さらに、ロングアイアンでオーバーサイズのクラブヘッド、すなわち、標準的または伝統的なクラブヘッドより大きなまたは実質的に大きなクラブヘッドを用い、ショートアイアンに行くにつれて中間的または標準的なサイズに移行させて性能の連続性を助長させる。この態様では、ロングアイアンでは正確な打撃が比較的容易になり、ショートアイアンの作業性は維持される。
【0018】
親出願である米国特許出願11/105631はすでに参照してその内容をここに組み入れたが、この出願は性能の連続性があるセットの実施例を示している。その実施例において、ロングアイアンはキャビティバック構造であり、これが徐々にショートアイアンにおいて系統的にマッスルバック構造に変化する。換言すれば、クラブがセットを通じて変わるにつれて、背面構造が、最も長いアイアン、例えば2番アイアンにおいてキャビティバックとして始まり、クラブヘッドの周囲により小さな質量しか持たないようなミッドアイアンにおいてマッスルバックの特徴への展開し、最後に、8番アイアンまたはその程度の番手においてマッスルバックになる。表1は、「631」出願のセットがロングアイアンからショートアイアンに移行する際の一例のフェース面積、一例のオフセット、一例のボディー長、および一例のロフト角の詳細を示す。
【表1】
【0019】
セット中のロングアイアンのキャビティバックからミッッドレンジアイアンの中間的なキャビティ・マッスルバックを介してショートアイアンの純粋なマッスルバックへの系統的な移行により、全体としてのセットのより滑らかな性能連続性が実現される。ロングアイアンはキャビティバック設計により正確な打撃を容易に実現し、ショートアイアンはマッスルバック設計により性能が改善される。
【0020】
当業者が理解するように、重心の位置はセットを通じて他の手段により変更でき、例えば、本出願人の2004年8月8日出願に係る米国特許出願10/911422に開示されるような高密度インサートにより変更でき、また、打撃フェース16の材料の厚さを米国特許第6,605,007号に説明されるように変えて、変更できる。これらの開示内容は参照してここに組みこむ。
【0021】
ゴルフクラブの回転慣性モーメント(「慣性」)は周知であり、米国特許第4,420,156号を含む多くの文献において十分に検討されており、参照してここに組みこむ。慣性が小さすぎると、中心からはずれた打撃により過剰に回転しがちである。慣性が大きくなると、その分、回転質量が大きくなり、中心から外れた打撃に起因する回転が小さくなり、この結果、中心から外れた打撃でも、より遠く、意図した経路の近くに飛行させることができる。慣性は、クラブヘッドの重心を通る垂直軸の回り(Iyy)、およびクラブヘッドの重心(CG)を通る水平軸の回り(Ixx)で測定される。クラブヘッドがCGを通るy軸の回りを回転する傾向は、y軸から外れた打撃に起因する回転の量を示す。同様に、クラブヘッドがCGを通るx軸の回りを回転する傾向は、x軸から外れた打撃に起因する回転の量を示す。最も中心から外れた打撃は、x軸およびy軸の双方の回りを回転させがちである。IxxおよびIyyが大きいと、回転傾向が少なくなり、中心から外れた打撃をより許容することになる。
【0022】
慣性はまたシャフト軸(Isa)の回りでも測定される。まず、クラブのフェースをアドレス位置にセットし、つぎに、フェースをまっすぐにし、ロフト角およびライ角をセットする。この後、測定する。ゴルフボールがヒットすると、どのようなものでも、クラブヘッドをシャフト軸の回りで回転させがちである。中心からトウへ外れている打撃では、シャフト軸の回りの回転を最も起こしやすく、中心からヒールへ外れている打撃では、最も起こしにくい。Isaが大きいと回転傾向が小さくなり、打撃フェースを制御しやすくなる。
【0023】
また、表2は「631」親出願から引用したものであり、表1に示される一例のセットパラメータの系統的な移行に伴って、ボディーの重心が一例としてどのように系統的に増加するかを示している。重心は、クラブヘッドをアドレス位置に配置したときに地面から測定され、アドレス位置は、ゴルファーがスイングを開始する前にクラブのソールを地面に接して当該クラブを配置する位置である。
【表2】
【0024】
図2〜7は、親出願の米国特許11/193745で示され検討され、先に参照してここに組みこまれた、セットを通じて性能の連続性を伴うクラブセットの他の実施例を示している。セット中のクラブヘッドの種々の設計パラメータが系統的にセットを通じて徐々に変化し、性能および美観の連続性を実現する。図2〜7に示される実施例では、クラブヘッド1010、1110、1210が、好ましくは、ロングアイアンの特大のチャネルバック(図2〜5に示される)から、ミッドアイアンの中間サイズのチャネルバック(図6に示す)を経て、最終的に、ショートアイアンの標準サイズのキャビティバック(図7に示す)へと進んでいく。他の実施例では、セット中のすべてのクラブが特大、中間サイズ、または標準サイズの打撃フェース16、または、それらの任意の組み合わせを有してよい。
【0025】
図2〜5は、ロングアイアン、好ましくは、通常の番手で2、3または4番アイアンのクラブヘッドを示す。図2はロフト角1030でボディー1012にホーゼル1014を結合させたクラブヘッド1010の正面図である。ロングアイアンでは、ロフト角1030は好ましくは約18度〜約27度の範囲である。ボディー1012は打撃フェース1016および図3に示す背面フェース1020を含む。背面フェース1020の構造は図3に示すように好ましくは当業界で「チャネルバック」として知られているタイプのものであり、ここで、チャネル1042(図4および図4Aに示す)はクラブヘッド1010のソール部分中のフランジ1040により形成される。図示のように、チャネルバックはキャビティバック設計とともに採用される。クラブヘッド1010は当業界で知られる任意の材料から当業界で知られる任意の手法で製造して良い。ただし、好ましくは、クラブヘッド1010はステンレス鋼から鍛造され、クロムメッキされる。この製造手法や他の製造手法ならびに適切な材料に関する検討は、本出願人の2003年8月13日出願に係る米国特許出願10/640537に見いだすことができ、参照してその内容をここに組み入れる。
【0026】
図4、図4Aおよび図5に示すように、打撃フェース1016は好ましくはサンドイッチ型の構造を有し、これは、打撃フェースインサート1017、減衰要素1050、および打撃フェースインサートを強化する軽量コア1052を含んでいる。打撃フェースインサート1017は、好ましくは、薄く、かつ、軽量で、打撃フェース1016の重量をフランジ1040へ再配置でき、また強度が大きく、繰り返される衝撃に耐えるようになっている。このサンドイッチ構造では、コア1052が打撃フェースインサート1017の衝撃ゾーンを強化するので、打撃フェースインサート1017を極めて薄くできる。打撃フェース1017が薄く、したがって、より厚い材料から製造される従来の打撃フェースより軽いので、クラブヘッド1010の重心が後部に移動し、この結果、ボールがより高く飛ぶ。減衰要素1050はクラブヘッド1010の振動特性の改善に役立つ。
【0027】
打撃フェースインサート1017は、好ましくは、約5g/cc未満の密度で、ロックウェル硬度Cスケール(HRC)で約20〜約60の範囲の硬度の軽量材料から製造される。適切な材料は、チタン、チタン合金、プラスチック、ウレタン、およびマグネシウムを含む。より好ましくは、打撃フェースインサート1017の硬度はHRCで約40である。打撃フェースインサート1017は、好ましくは、打撃フェース1016の対応する凹みに圧入できる寸法とし、当業界で知られている任意の手法、例えば、接着または融着により固定される。打撃フェースインサート1017の前方側は好ましくは表面模様、例えば粗面および連続溝1056(図2および図5に示す)を含む。打撃フェースインサートは当業界で知られている任意の手法、例えば、シート金属の機械加工、鍛造、成型、その他により製造できる。
【0028】
打撃フェースインサート1017が薄いので、コア1052が打撃フェースインサート1017の背後に配されて打撃フェースインサート1017を強化する。コア1052は好ましくは軽量材料例えばアルミニウムにより製造される。コア1052は、少なくとも部分的にチャネル1042に例えば圧入により挿入されるような構造になっており、また好ましくはチャネル1042内に固着され、打撃フェースインサート1017に対向するようになっており、例えば、エポキシのような接着剤が用いられる。他の実施例では、チャネル1042はエポキシまたは発泡剤のような他の材料で満たされて良い。
【0029】
減衰要素1050は、打撃フェースインサート1017およびコア1052の間に配される。減衰要素1050は、振動減衰用に当業界で知られている任意の種類の弾性材料、例えば、ロックウェル硬度ショアAスケール(HRA)で約60の硬度のゴムまたはウレタンであってよい。減衰要素1050は好ましくはコア1052に形成された凹み(図示しない)に圧入される構造をしており、エポキシのような接着剤によりそこに固着される。好ましくは、減衰要素1050は全体として四辺形の形状をしており、減衰要素1050の表面の1つの表面面積は約0.1立方インチ〜約2.5立方インチであり、より好ましくは、0.15立方インチ〜1.2立方インチである。減衰要素1050の厚さは好ましくは約0.050インチ〜約0.45インチであり、好ましくは約0.1インチである。当業者が理解するように、任意の個別のクラブヘッド用に選ばれた減衰要素1050の寸法は、多くのファクタに左右され、これには、打撃フェースの面積および減衰要素の材料が含まれる。減衰要素1050は、好ましくは、打撃フェースインサート1017の後方で、ボールが衝突する蓋然性が高い点、例えば、ソールから約0.75インチの点に配置される。減衰要素1050は衝突のショックの一部を吸収し、プレイ中にクラブの振動を減少させて良好なフィーリングを実現する。
【0030】
当業者には明らかなように、サンドイッチ型の構造を採用して打撃フェースを強化し減衰性を付与することは、任意のアイアン型のクラブに採用して好適である。さらに、減衰要素1050およびコア1052は、打撃フェースインサート1017がない場合、すなわち、打撃フェース1016の単体の後方に直接に設ける場合にも採用できる。ただし、クラブヘッドがロングアイアンのチャネルバックからショートアイアンの通常のキャビティバックに遷移する、好ましいセットでは、打撃フェースインサート1017とともにサンドイッチ型構造を採用するのは、好ましくは、ロングアイアンに限定される。
【0031】
ミッドアイアンクラブヘッド1110のデザインが図6に示される。クラブヘッド1110において、ホーゼル1114がボディー1112にロフト角1130で結合される。ロフト角1130は好ましくは約27度〜約40度であり、より好ましくは約29度〜約37度である。クラブヘッド1110は、好ましくは、材料、例えば鍛造ステンレス鋼またはチタンから単一体として製造される。換言すると、ミッドアイアンクラブでは重心が高くても良いので、軽量打撃フェースインサートまたはサンドイッチ型構造を省略しても良い。ただし、他の実施例では、打撃フェース1116を薄くしても良いし、サンドイッチ型構造を採用しても良い。しかし、好ましくは、打撃フェースインサートは用いられない。好ましくは、セット中のミッドアイアンクラブでは、背面のキャビティの容積はショートアイアンのそれより少ない。これは、キャビティの容積はセットを通じて大きくなり上述のとおり性能の連続性を実現させるからである。
【0032】
ショートアイアンクラブヘッド1210のデザインを図7に示す。クラブヘッド1210では、ホーゼル1214がボディー1212にロフト角1230で結合する。ロフト角1230は好ましくは約40度〜約52度であり、より好ましくは約41度〜約50度である。図6を参照して先に検討したクラブヘッド1110と同様に、クラブヘッド1210は好ましくは材料、例えば鍛造ステンレス鋼から単一体として製造される。この場合も、マッスルバックまたはチャネルバック例えばチャネル1042を採用しても良いが、好ましくは、クラブヘッド1210は伝統的なキャビティバックデザインである。好ましくは、ショートアイアンでは、後方のキャビティの容積は、ミッドアイアンのそれより少ない。これは、キャビティの容積はセットを通じて大きくなり上述のとおり性能の連続性を実現させるからである。
【0033】
この実施例では、打撃フェース1016、1116、1216は好ましくは実質的にセット通じて一定である。ただし、セットを通じてクラブヘッドのタイプを変更するのに加えて、他の設計パラメータも系統的にセットを通じて変化させてセットから最高の性能を引き出す。これを表3に示す。
【表3】
【0034】
これら設計パラメータは好ましくはセットを通じてほぼ線形に変化する。表3の設計例に対する類似の式が表3に示される各設計パラメータに対して表現できる。これは「745」の親出願で検討したとおりであり、その内容は参照してここに組み入れた。
【0035】
他の実施例において、図8A−Cおよび図9に示すように、図3−5に示すサンドイッチ構造を用いて質量分配制御を行う。この実施例では、アイアン型クラブヘッド1310a−cのいずれも、ホーゼル1314を具備するボディー1312と背面フェース1320とを有する。これを図9に示す。ボディー1312および打撃フェース1316は好ましくは一体部材であり、例えば、鍛造ステンレス鋼または注型チタン部材である。しかしながら、図3−5を参照して先に検討したように、打撃フェース1316は、異なる材料から製造された打撃フェースインサート(図示しない)、またはボディー1312の残余の部分と同一の材料からなる非常に薄い部材を有しても良い。
【0036】
背面フェース1320は、好ましくは、図3−5を参照して先に示した実施例と類似のチャネルバック構造を有し、チャネル1342が打撃フェース1316および下側フランジ1340の間に設けられる。好ましくは、質量制御インサート1360の少なくとも一部がチャネル1342の内部に配置され、基本的には、打撃フェース1316の後方と下側フランジ1342との間に配置する。質量制御インサート1360は当業界で知られている任意の材料から製造して良く、この材料には、これに限定されないが、アルミニウム、チタン、プラスチック、マンガン、スチール、タングステン、およびこれらと他の材料との合金が含まれる。質量制御インサート1360の材料の密度は、好ましくは、ボディー1312の材料の密度より大きいか、小さい。例えば、ボディー1312を鍛造ステンレススチールで製造した場合、質量制御インサート1360はアルミニウムまたはチタンから製造して良く、両者は密度が著しくスチールより小さい材料である。この場合、クラブヘッド1310の質量はその周囲方向へシフトする。代替的に、ボディー1312を鍛造ステンレススチールで製造した場合に、質量制御インサート1360をタングステンで製造して打撃フェース1316の後方の重量を増大させて良い。
【0037】
質量制御インサート1360は好ましくはチャネル1342内で打撃フェース1316の背面に、当業界で既知の任意の手段、例えば溶接または接着剤により、固着される。エポキシを使用して良く、エポキシ層は振動減衰要素としても原楽。さらに、オプションの板状カバー1366が、図9に示すように質量制御インサート1360を包囲し、これにより、質量制御インサート1360が柔らかい、または壊れやすい材料から製造された場合に、質量制御インサート1360を防護できる。板状カバー1366は好ましくはボディー1310と同一の材料から製造され、背面フェース1320に当業界で既知の任意の手段、例えば溶接または接着剤により、固着される。
【0038】
質量制御インサート1360は打撃フェース1316を強化し、そのため、打撃フェース1316を極めて薄くでき、この結果、クラブヘッド1310の質量をエッジおよびボトムに分配できる。質量制御インサート1360を用いて、クラブ設計において、クラブヘッド1310の特性を微調整でき、先に検討したとおりである。先に図3−5を参照して検討した減衰要素1050に類似した減衰要素(図示しない)をオプションとして質量制御インサート1360および打撃フェース1316の間に配置して良い。
【0039】
図8A−Cはクラブセット中の3つのクラブヘッド1310a−cを示す。図8Aは2番、3番または4番のようなロングアイアンのクラブヘッドであり、図8Bは5番、6番または7番のようなミッドアイアンのクラブヘッドであり、図8Cは8番、9番またはピッチングウェッジのようなショートアイアンのクラブヘッドである。好ましくは、質量制御インサート1360a−cはセットを通じて系統的に変化して、セットを通じて均一な美観上の見た目およびフィーリングを維持しつつクラブのタイプに応じた質量分配特性を最大化する。系統的な変化は、質量を周辺にシフトさせることである。この変化は多くの態様で実現でき、例えば、質量制御インサート1360に異なる材料を用いたり、または、セットを通じて質量制御インサート1360の材料を同一に維持しつつ、その体積を、例えば、長さを変更して変化させることにより、実現できる。
【0040】
図8A−Cに示される実施例では、質量制御インサート1360a−cはボディー1312の密度より小さい密度の材料から製造され、セットを通じて質量制御インサート1360a−cに対して同一の材料を用いる。ロングアイアンでは、図8Aに示されるように、質量制御インサート1360aはフランジ1340のほぼ全長に沿って伸びる。ミッドアイアンでは、図8Bに示されるように、質量制御インサート1360bの長さがより短く、従って、その体積は質量制御インサート1360aより小さい。この結果、ミッドアイアンクラブヘッド1310bの周囲に分配される質量は、ロングアイアンクラブヘッド1310aで周囲や底部に分配される質量より少ない。ショートアイアンでは、図8Cに示されるように、質量制御インサート1360cの長さがより短く、従って、その体積は質量制御インサート1360aまたは質量制御インサート1360bより小さい。この結果、ショートアイアンクラブヘッド1310cの周囲および底部に分配される質量は、ミッドアイアンクラブヘッド1310bで周囲や底部に分配される質量よりさらに少ない。
【0041】
したがって、見た目および打撃フィーリングの連続性をセットを通じて維持しつつ、個々のクラブの所望の特性を最大化することができる。クラブヘッド1310aの周囲に分配される質量の量が大きいと、ロングアイアンの作業性が最大化され、さらに許容性が増し、飛行距離もより長くなる。換言すると、クラブヘッド1310aは比較的大きなキャビティを具備するキャビティバッククラブとして働く。同様に、クラブヘッド1310cの周囲に分配される質量が小さいと、ショートアイアンのショット制御が最大化できる。換言すると、クラブヘッド1310cはマッスルバッククラブにかなり類似した動作を行う。他の実施例において、同一のインサート1360をすべてのクラブに用いても良い。換言すると、そのような実施例においては、質量制御インサート1360はセットを通じて変化しない。
【0042】
ここに図1−7を参照して説明するように、好ましくは、ロフト角ともに少なくとも1つの付加的なクラブ設計パラメータをセットを通じて系統的に変化させる。系統的に変化させるクラブ設計パラメータは、オフセット、フェース面積、クラブヘッドサイズ、トップライン幅、ソール幅、地面からの重心位置、重心の深さ、反発係数、クラブヘッド材料、打撃フェース硬度、クラブヘッドフェースの厚さ、打撃フェース表面のテクスチャ粗さ、または溝形状を含んで良い。これらパラメータのいくつかについては、例において、以下に付加的に詳細に説明する。さらに、好ましくは、セット中の少なくとも1本のクラブがオーバーサイズのクラブヘッドを有し、それは好ましくはロングアイアンの1本である。
【0043】
図9は、図8Aの9−9線に沿う、図8A−Cのクラブヘッド1310の断面図であり、質量制御インサート1360の全般的な形状を示す。この実施例において、質量制御インサート1360は下方尾部1368を有し、これが完全にチャネル1342を充填する。前面エッジ1380は打撃フェースの背面に対して同一平面になるように角度付けられ、また、質量制御インサート1360の背面エッジ1382も平滑で、フランジ1340上を伸びる。ただし、他の多くの構成もこの発明に使用して好適である。図10は代替的な構成を示しており、この図において、尾部1368dはチャネル1342を完全に充填し、前面エッジ1380dは平滑で打撃フェース1316の背面と同一平面になっており、これは図9と同様である。ただし、背面エッジ1382dが平滑でなく、ステップ状の尾根部1381を有し、質量制御インサート1360dの底部の質量を大きくしており、これが打撃フェース1316をその領域において強化している。
【0044】
他の実施例が図11に示され、この図において、クラブヘッド1310eは、第2のインサート1370が質量制御インサート1360d内に配置される点を除いて、インサート1360dと類似の打撃フェースインサート1360eを具備する。第2のインサート1370は、好ましくは、一塊の高密度の材料、例えば、タングステンまたはタングステン充填プラスチックである。セットを通じて第2のインサート1370の密度を変化させてセットの質量分配特性を付加的なレベルで調整できる。
【0045】
他の実施例が図12に示され、この図において、クラブヘッド1310fのチャネル1342fはクラブヘッド1310a−dより大きい。質量制御インサート1360fの下方尾部1368fはチャネル1342fを完全には満たさない。また、背面エッジ1382fはフランジ1340上を伸びるけれども、チャネル1342fには入らない。第2のインサート1370fは図12を参照して先に説明した第2のインサート1370と類似なものであり、チャネル1342fの一部内に配置され、チャネル1342fの残余部分は空洞のままとされる。代替的には、第2のインサート1370fはインサート1360fと一体に形成される。
【0046】
さらに他の実施例が図13に示され、この図において、クラブヘッド1310gは図8A−Cに示され、先に検討されたクラブヘッド1310a−dと類似な構造を有する。この実施例では、質量制御インサート1360gが尾部1368gおよび背面エッジ1382gを有し、連続した平滑な面を形成し背面エッジのどの部分もフランジ1340上に伸びたり、接触しないようになっている。
【0047】
さらに他の実施例が図14に示され、この図において、質量制御インサート1360hは図13に示された質量制御インサート1360gと類似な構造を有する。ただし、質量制御インサート1360gはその内部に空洞1372を形成させている。空洞1372は、セットを通じて密度を変化させる財牢で満たしても良いし、そのまま空洞としておいても良い。空洞1372のサイズをセットを通じて変化させて質量制御インサート1360hの質量を調整しても良い。
【0048】
図15A−Eは質量制御インサート1360i−mの付加的な実施例を示し、各々は、尾部に代えて平坦な底部面1384i−mを具備する。平坦な底部面1384i−mは好ましくはチャネル1342に挿入されず、これにより、チャネル1342は空洞のままとされる。また、買う質量制御インサート1360i−mは、非平滑構造の背面エッジ1382i−mを含む。図15Aに示される質量制御インサート1360iは先に図10で示した質量制御インサート1360dと類似であり、背面エッジ1382iはステップを有する。図15Bに示される質量制御インサート1360jおよび図15Cに示される質量制御インサート1360kは凸状のリブ1386j、1386kを有する。図15Dに示される質量制御インサート1360lおよび図15Eに示される質量制御インサート1360mは凹部1386l、1386mを有する。
【0049】
さらに他の実施例の質量制御インサート1460はゴルフクラブヘッド1410の打撃フェース1416の背面に固着され、これは図16Aおよび16Bに示される。この実施例では、質量制御インサート1460は、2つの部材、すなわち、軽量のシェル1490および高密度のインサート1492を有する。軽量シェル1490および高密度インサート1492は打撃フェース1416に当業界で知られている任意の手法、例えば接着剤、溶接を用い、あるいは、質量制御インサート1460を打撃フェース1416に取り付けるためのタブまたはフランジを用いて、打撃フェース1416に固着される。図16Bに示されるように、質量制御インサート1460は、好ましくは、高密度インサート1492が打撃フェース1416の背面と同一平面になり軽量シェル1490が高密度インサート1492のカバーとなるように、打撃フェース1416に固着される。このようにして、クラブヘッド1410を完成させたときに、軽量シェル1490のみが見えるようにできる。
【0050】
好ましくは、軽量シェル1490はプラスチック、ポリマー材料、または低密度金属、例えば、アルミニウムから製造される。軽量シェル1490は、高密度インサート1492を基本的には3つの側面で包囲するように、比較的薄い板状部材で高密度インサート1492を中央部で受容するような形状に構成される。軽量シェル1490は当業界で知られている任意の手法で製造でき、例えば、プラスチック材料が用いられる場合には射出成型を用い、金属が用いられる場合には単層またはプレス成型(stamping)を用いてよい。クラブヘッド1410が完成されたときに軽量シェル1490は見えるので、好ましくは、軽量シェル1490は美観に訴えるものとし、例えば、ペイントまたは他のコーティングのような表面処理、または、刻印ロゴのようなテクスチャ、または、材料の彩色、その他を行う。
【0051】
高密度インサート1492は軽量シェル1490内に挿入できる寸法および形状にする。高密度インサート1492は、当業界で知られている任意の手法、例えば接着または溶接により、軽量シェル1490内で固着されてよい。代替的には、高密度インサート1492は打撃フェース1416のみに固着されてよく、この場合、軽量シェル1490も打撃フェース1416にみに固着される。
【0052】
高密度インサート1492は好ましくは打撃フェース1416を形成する材料の密度より密度が小さい材料から製造し、質量制御インサート1416が打撃フェース1416の中央の質量をその周囲に移動させるよういする。工業界において知られている任意の材料が高密度インサートとして適切であるけれども、高密度インサート1492の材料に密度を容易に変更できるようにし、製造時に、複数の異なる密度の高密度インサート1492を容易に製造できるようにする。そのような材料はタングステン含有プラスチックであり、全体の材料の密度はプラスチックマトリックスに添加されたタングステンの量に左右される。好ましくは、高密度インサート1492は、全体の重量が約2gから約9gの質量制御インサートに対しては、約1.5g/ccから約11g/ccの密度のタングステン含有プラスチックから製造する。高密度インサート1492用の他の適切な材料はアルミニウムおよびタングステンを含む。
【0053】
複数の密度の高密度インサート1492を容易に入手できることの利点は、顧客の好みに応じて、クラブヘッドを容易にカスタマイズしてクラブヘッド全体の重量を調整できるという点である。例えば、クラブヘッド1410をプロショップ、ツアーバン、または類似の販売および/または流通ポイントに送るときには、軽量シェル1490および種々の密度の高密度インサート1492ならびにこれら軽量シェル1490および高密度インサート1492をクラブヘッド1410に固着するための材料、例えばエポキシを別体に送ってよい。顧客は種々の密度を試して高密度インサート1492用に好ましい密度を選択できる。例えば、顧客が種々の密度を試す際に一時的に質量制御インサート1460を収容できるスロットを打撃フェース1416の背面に設けたクラブヘッド1410を準備して良く、種々の質量制御インサートをそれぞれ具備するテストクラブを準備しても良く、また打撃フェース1416に質量制御インサート1460を固着するのに用いたエポキシ、または類似の接着剤を除去する装置を準備して良い。顧客が、一旦、好ましい質量制御インサート1460を選択したら、現地の技術者が、選択された質量制御インサート1460をクラブヘッド1410に固着できる。さらに、特別な、例えば、種々の色、ロゴ、または他の美的特徴を付与する軽量シェル1490を選択できるようにしても良い。当業者に理解されるように、このカスタマイズ可能性は、ここで説明した質量制御インサートにいずれとも組み合わせることができる。
【0054】
[例]
この発明に関連する3つのクラブ、3番アイアン、6番アイアン、および9番アイアンからなるセットが図8A−Cに勢井目下実施例に従って製造された。クラブボディーはステンレススチールから製造され、質量制御インサートはアルミニウムから製造された。質量制御インサートの高さ、幅および位置はセットを通じて一定にされたけれども、質量制御インサートの長さ、ひいては、その体積はセットを通じて系統的に変化させた。1実施例では、インサートの質量はセットを通じて徐々に減少させた。すなわち、体積に基づいて最も大きな質量のインサートが3番アイアンに配置され、体積に基づいてつぎに大きな質量のインサートが6番アイアンに配置され、体積に基づいて最も小さな質量のインサートが9番アイアンに配置された。この例では、インサートの質量は表4に示すようにセットを通じて変化する。クラブは、ロフト角、フェース面積、およびオフセットを含む多くのパラメータが系統的に変化するように設計された。選択された設計パラメータのまとめを以下の表4に示す。
【表4】
【0055】
表4に開示されるインサートはアルミニウム(2.8g/ccの密度)から製造された。アイアンクラブのフルセットにおいて、5.15gのインサートが2番および4番アイアンにも用いられる。3.75gのインサートは5番および7番アイアンにも用いられ、4.09gのインサートが8番およびピッチングウェッジにも用いられる。
【0056】
質量制御インサート1360を用いたクラブヘッド内の質量の分配の作業および微調整は表5から理解できる。CGの深さ、およびシャフト軸状のCGの双方は、質量インサート1360を用いることによりシフトされる。
【表5】
【0057】
溝の幾何形状を変化させてスピンパラメータを加減してよい。これは米国特許第5,591,092号に検討されるとおりであり、その内容は参照してここに組み入れる。打撃フェースインサート1017の前面側は、好ましくは、表面テクスチャ、例えば、粗面、一連の溝1056(図2および図5−7)を含む。表面テクスチャの溝および粗度の設計は好ましくはセットを通じて系統的に変化し、これは「745」親出願で検討されたとおりである。
【0058】
同様に、打撃フェース(1016、1116、1216)は、当業界で知られている任意に手段、例えば、表面をスピンミリングしたり、フライカットして仕上げることにより、粗面化される。表面の粗面は、フェースを全体として製造する際に、例えば、テクスチャ付きの注型または鍛造により生成して良く、また、フェースが製造された後に、表面テクスチャを、例えば、ミリング、サンドブラスト、ショットピーニング、その他、当業界で知られている任意の他の手法で形成しても良い。典型的には表面の粗さは、粗さ平均(RA)により測定され、中央線、すなわち、なんら模様仕上げされていない表面の位置から直交して測定されたマイクロインチで表される偏差として測定される。「745」親出願で検討されるように、表面粗度は、ロングアイアンが最も平滑であり、セットを通じて系統的に増加させることができる。
【0059】
他のパラメータもセットを通して系統的に変化させてもよい。例えば、トウ高さ、トップ角、ソール厚さ、材料合金および/または硬度、インサートタイプおよび硬度、フェース厚さおよび/または材料、および反発係数である。また、重心の深さをセットを通じて変更しても良い。なぜならば重心の深さにより飛行特性が影響を受けるからであり、これについては米国特許第6,290,607号に開示されており、その開示内容を参照してここに組み入れる。さらに、ここで検討したすべての式は例に過ぎず、セットを通じた性能の連続性のために所望の変更を伴っても良い。換言すれば、ここで導出された具体的な式を変更または修正して、例えばオフセットおよびロフト角の間の関係を調整して設計パラメータがここで記述したのと逆の態様で変化するようにしてもよい。ここで検討した設計許容誤差は好みであり、種々の材料および美観、その他に起因するものである。
【0060】
ここに開示した発明の説明的な実施例が上述の目的を達成ことは明らかであるが、当業者が種々の変形や他の実施例を導き出せることはもちろんである。したがって、添付の特許請求の範囲がそのような変形や実施例をカバーすることを意図されており、それらがこの発明の精神に含まれることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】クラブヘッドのトウから見た図である。
【図2】振動ダンパーを具備するクラブの正面図である。
【図3】図2のクラブヘッドの背面図である。
【図4】図2のクラブヘッドを4−4線に沿って断面した、振動ダンパーを示す断面図である。
【図4A】図4の振動ダンパーの拡大断面図である。
【図5】この発明の実施例に従うロングアイアンの断面図である。
【図6】図2の実施例に従うミッドアイアンの断面図である。
【図7】図2の実施例に従うショートアイアンの断面図である。
【図8A】この発明の実施例に従う質量制御インサートを具備するゴルフクラブのセットのうちのロングアイアンクラブヘッドの一部切欠き背面図である。
【図8B】この発明の実施例に従う質量制御インサートを具備するゴルフクラブのセットのうちのミッドアイアンクラブヘッドの一部切欠き背面図である。
【図8C】この発明の実施例に従う質量制御インサートを具備するゴルフクラブのセットのうちのショートアイアンクラブヘッドの一部切欠き背面図である。
【図9】図8のクラブヘッドの図8の9−9線に沿う断面図である。
【図10】図8Aのクラブヘッドの代替的な実施例の断面図である。
【図11】図8Aのクラブヘッドの代替的な実施例の断面図である。
【図12】図8Aのクラブヘッドの代替的な実施例の断面図である。
【図13】図8Aのクラブヘッドの代替的な実施例の断面図である。
【図14】図8Aのクラブヘッドの代替的な実施例の断面図である。
【図15A】図8A−Cのクラブヘッドに使用するインサートの代替的な実施例の断面図である。
【図15B】図8A−Cのクラブヘッドに使用するインサートの代替的な実施例の断面図である。
【図15C】図8A−Cのクラブヘッドに使用するインサートの代替的な実施例の断面図である。
【図15D】図8A−Cのクラブヘッドに使用するインサートの代替的な実施例の断面図である。
【図15E】図8A−Cのクラブヘッドに使用するインサートの代替的な実施例の断面図である。
【図16A】この発明の他の実施例に従う質量制御インサート付きのクラブヘッドの拡大部分図である。
【図16B】図16Aのクラブヘッドの図16Aの16B−16B線に沿う部分断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1310 アイアン型クラブヘッド
1312 ボディー
1314 ホーゼル
1316 打撃フェース
1320 背面フェース
1340 フランジ
1342 チャネル
1360 質量制御インサート
1366 板状カバー
1368 下方尾部
1370 インサート
【技術分野】
【0001】
この発明は一般にはゴルフクラブに関し、より具体的には、アイアン型クラブのセットの関する。
【背景技術】
【0002】
セット中の個々のクラブヘッドは、典型的には、クラブがロングアイアンからショートアイアンおよびウェッジに進むに従って、そのフェース表面面積および重量を増大させる。そのため、ロングアイアンのクラブヘッドのフェース表面面積はショートアイアンよりも狭く、平均的なゴルファーが首尾一貫して上手に打撃するのはより難しくなる。通常のクラブヘッドについては、これは、フェース表面面積が小さくなればなるほど、そのスイートスポットが小さくなることに、少なくとも部分的に起因する。
【0003】
平均的なゴルファーが首尾一貫して上手にスイートスポットを打撃できるようにするために、周辺重みを増大させたキャビティバック構造の多くのゴルフクラブを入手できる。また周辺を重み付けすることによりクラブヘッドのその重心回りの回転モーメントが大きくなる。回転モーメントが大きなクラブヘッドでは、その分、中心から外れた打撃に起因する回転の程度が小さくなる。他の最近の製品傾向は、クラブヘッドの全体サイズを大きくすることであり、これは、とくにロングアイアンで顕著である。これらの特徴の各々によりスイートスポットのサイズが大きくなり、この結果、若干中心からずれた打撃もスイートスポットに当たり、遠くかつまっすぐに飛ぶことになる。クラブヘッドのサイズを最大化するときにゴルフクラブ設計者が試みることの1つは、ゴルフクラブの所望の有益な全体重量を維持することである。例えば、3番アイアンのクラブヘッドのサイズや重量が大きくなると平均的なゴルファーは正しくスイングすることがかなり困難になる。
【0004】
一般に、スイートスポットを大きくするために、これらクラブの重心はクラブヘッドの底およびバックの方に移動させられる。これにより、平均的なゴルファーはボールをより速く空中へ放出してより遠くへ打つことができる。さらに、クラブヘッドの慣性モーメントを大きくすることにより、中心からはずれた打撃に関連する距離および精度のペナルティを最小化できる。クラブヘッドの全体重量を増大させることなく重みを下方および後方に移動するために、材料および重量がクラブヘッドの1つの領域から他の領域に移動させられる。1つの解決手法は、クラブのフェースから材料を取り、薄いクラブフェースを作り出すことであった。このタイプの処理の例は特許文献1(米国特許第4,928,972号)、特許文献2(同第5,967,903号)および特許文献3(同第6,045,456号)に見いだすことができる。
【0005】
しかしながら、アイアンセットについては、一般に、ロングアイアンに要求される性能特性がショートアイアンのそれと異なっている。例えば、ロングアイアンは、プロ不ゴルファーでも、正確にうつことはより難しく、この結果、ロングアイアンはより大きなスイートスポットを持つことが好ましい。同様に、ショートアイアンは比較的正確に打つことができ、スイートスポットの大きさはさほど重要でない。ただし、ショートアイアンの作業性をより十分なものにすることがしばしば要請されている。
【0006】
クラブセットを通じて連続性のある美観上の見た目およびフィーリング(look and feel)を維持し、同時に、重心特性および慣性モーメント特性を微調整することは困難である。現在、全体としてのゲーム結果を最良のものにするために、ゴルファーはクラブを一本一本買わなければならず、セットを通じてのプレイの差分が大きくなりすぎて好ましくない。さらに、異なる製造業者からの異なるクラブを用いると、バラバラのセットの中の任意のクラブは正確なプレイ標準を構成するかも知らないが、ゴルファーにとって好ましいフィーリングに欠けるであろう。したがって、当業界において、セットの性能の連続性を全体として最大化し、しかも、プレイ中に美観上の見た目やフィーリングの一貫性を維持するようにセット中の個々のクラブを設計するクラブセットに対する要望がある。
【特許文献1】米国特許第4,928,972号
【特許文献2】米国特許第5,967,903号
【特許文献3】米国特許第6,045,456号
【発明の開示】
【0007】
この発明の一側面によれば、アイアン型ゴルフクラブセットは、少なくとも1本のロングアイアンを有し、このロングアイアンは第1の打撃フェース、その内部に第1の溝を形成させた第1の背面フェース、および、第1の打撃フェースの背面に配置された第1のインサートを有する。このセットは、また、少なくとも1本のショートアイアンを有し、このショートアイアンは第2の打撃フェース、その内部に第2の溝を形成させた第2の背面フェース、および、第2の打撃フェースの背面に配置された第2のインサートを有する。ロングアイアン上の第1のインサートの質量およびショートアイアン上の第2のインサートの質量は系統的(systematic)に差異を有する。
【0008】
この発明の他の側面によれば、アイアン型ゴルフクラブヘッドは、第1の密度の鍛造材料から製造された本体を有し、この本体に打撃フェースを一体に形成させている。背面フランジが打撃フェースと一体に結合され、背面フランジと打撃フェースとの間において背面フランジ内に溝が形成される。インサートが背面フランジおよび打撃フェースに接触するように構成され、このインサートは第2の密度の第2の材料から製造され、第2の密度は第1の密度より小さい。
【0009】
この発明の他の側面によれば、ゴルフクラブヘッドをカスタマイズする方法は、
(i)ゴルフクラブヘッドを供給するステップ、
(ii)複数の質量調整インサートを供給するステップ、
(iii)質量調整インサートをゴルフクラブヘッドに取り付ける手段を供給するステップ、
(iv)複数の質量調整インサートの各々を伴うゴルフクラブヘッドをテストするステップ、および、
(v)複数の質量調整インサートのうちの1つをゴルフクラブヘッドに取り付けるステップを有する。
【0010】
添付の図は明細書の一部を構成し、それと関連づけて理解すべきであり、これらの図において、同様の参照番号は同様な部分を参照するのに用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
添付図面に示され以下詳細に説明されるように、この発明は、アイアン型のゴルフクラブのセットに向けられている。説明の便宜上、図1は参考アイアン型クラブヘッド10を示し、この発明の種々の設計パラメータが定義される。クラブの関するこれら設計パラメータはセットを通じてロングアイアンからショートアイアンへと所定の態様で反かするように選定されている。クラブヘッド10はシャフト(図示しない)に当業界で知られているにんいに手法で結合される。
【0012】
クラブヘッド10は、一般に、ボディー12およびホーゼル14を有する。ボディー12は打撃フェース16および背面フェース20を有する。ボディー12はホーゼル14に角度をもって結合され、ロフト角30がホーゼル中心線18および打撃フェース16の間に定義される、さらに、ボディー12およびホーゼル14の間の相対的な構造により、打撃フェースのベースの先端22とホーゼルの最前点15の間にオフセット34が存在する。
【0013】
ゴルフクラブの典型的なセットでは、打撃フェース16の面積、ボディー12のヒール・トウ間長、ロフト角30およびオフセット34はセット内のクラブ間で変化する。例えば、通常の番手を用いた場合、2番または3番のロングアイアンでは、典型的には、シャフトが比較的長く、打撃フェース16の面積が比較的大きく、ロフト角30が比較的小さい。同様に、通常の番手を用いた場合、8番または9番のショートアイアンでは、典型的には、シャフトが比較的短く、打撃フェース16の面積が比較的小さく、ロフト角30が比較的大きい。この発明では、このようなパラメータは各クラブの用途に応じた性能を最大化するように具体的に選択されている。さらに、これらパラメータはセットを通じて予め定められた態様で変化する。
【0014】
同様に、ゴルフクラブの多くの典型的なセットでは、ロフト角30は、セットがロングアイアン(2、3、4)からショートアイアン(8、9、PW)へと進むにつれて大きくなる。ロングアイアンにおいて、ロフト角30は線形に変化する。すなわち約3度ずつ変化する。同様に、ショートアイアンで、線形に、約4度ずつ変化する。ロフト角30の他の態様もこの発明の範囲内であり、ロフト角30の選定は種々の他の設計上の考慮、例えば材料や美観の選定に左右される。
【0015】
クラブ設計における、このようなパラメータの他の1つは、背面フェース20の構造である。典型的なゴルフクラブセットでは、背面フェースは、「キャビティバック」、すなわち、クラブヘッドの質量のかなりの部分が周辺32の回りのバック側に配置されているもの、または、「マッスルバック」、すなわち、クラブの質量が比較的等分にボディー12のヒール・トウ長に沿って配分されるもののいずれかを有する。キャビティバッククラブではスイートスポットが大きくなる、重心が低く、慣性が大きくなるという傾向がある。換言すると、キャビティバッククラブは丁度良い打撃を生みやすい。ロングアイアンでは、スイートスポットは正確に打撃するのが困難なことが多い。したがって、ロングアイアンではキャビティバック構造を採用することが好ましい。マッスルバッククラブでは比較的スイートスポットは小さく、重心が高く、シャフト軸18回りの慣性が小さいという傾向がある。打撃が正確であれば、マッスルバッククラブは、スイートスポットの後方の質量(すなわちマッスル)により、全体的な性能および作業性がよりすぐれたものであるが、スイートスポットが小さい分、平均的なゴルファーにとっては正確に打撃するのが困難である。ショートアイアンは平均的なゴルファーでも正確に打撃することは容易でるが、作業性にかけることがあるので、ショートアイアンはマッスルバック特徴であることが望ましい。
【0016】
この発明の一側面によれば、「631」親出願で開示されるように、背面フェース20の構造を、ロングアイアンでキャビティバックが優勢でショートアイアンでマッスルバックが優勢に成るように徐々に変化させて、セットの性能の連続性を最大化させている。この発明の他の側面によれば、「745」親出願で開示され、図2−7に示されるように、背面フェース20の構造を、ロングアイアンでオーバーサイズのチャネルバックが優勢でショートアイアンで標準サイズのチャネルバックが優勢に成るように徐々に変化させて、セットの性能の連続性を最大化させている。図2−7に示され以下に詳細に検討される実施例は、部分的には、軽量コア(図4の要素1052)により強化された極めて薄い打撃フェース(図4の要素1017)と、振動ダンパー(図4の要素1052)とを採用するサンドイッチ構造によって性能の連続性を実現している。この発明のさらに他の側面によれば、図8A−Cにおいて理解されるように、チャネルバックのロングアイアンでキャビティバッククラブの特徴を有する背面フェース構造を伴うものから徐々に変化させて、セットのクラブの性能の連続性を実現する。図8A−Cに示される実施例は、部分的には、サンドイッチ構造に薄い打撃フェース(図9の要素1316)を設け、かつ、打撃フェースインサートを設け、あるいは設けず、さらに、打撃フェース後方の質量調整インサート(図9の要素1360)を設けることにより、性能の連続性を実現する。ただし、質量調整インサートの重量はロングアイアンでより重く、ショートアイアンでより軽くなるように変化する。
【0017】
さらに、振動減衰インサートチャネルバッククラブに一体化される。さらに、ロングアイアンでオーバーサイズのクラブヘッド、すなわち、標準的または伝統的なクラブヘッドより大きなまたは実質的に大きなクラブヘッドを用い、ショートアイアンに行くにつれて中間的または標準的なサイズに移行させて性能の連続性を助長させる。この態様では、ロングアイアンでは正確な打撃が比較的容易になり、ショートアイアンの作業性は維持される。
【0018】
親出願である米国特許出願11/105631はすでに参照してその内容をここに組み入れたが、この出願は性能の連続性があるセットの実施例を示している。その実施例において、ロングアイアンはキャビティバック構造であり、これが徐々にショートアイアンにおいて系統的にマッスルバック構造に変化する。換言すれば、クラブがセットを通じて変わるにつれて、背面構造が、最も長いアイアン、例えば2番アイアンにおいてキャビティバックとして始まり、クラブヘッドの周囲により小さな質量しか持たないようなミッドアイアンにおいてマッスルバックの特徴への展開し、最後に、8番アイアンまたはその程度の番手においてマッスルバックになる。表1は、「631」出願のセットがロングアイアンからショートアイアンに移行する際の一例のフェース面積、一例のオフセット、一例のボディー長、および一例のロフト角の詳細を示す。
【表1】
【0019】
セット中のロングアイアンのキャビティバックからミッッドレンジアイアンの中間的なキャビティ・マッスルバックを介してショートアイアンの純粋なマッスルバックへの系統的な移行により、全体としてのセットのより滑らかな性能連続性が実現される。ロングアイアンはキャビティバック設計により正確な打撃を容易に実現し、ショートアイアンはマッスルバック設計により性能が改善される。
【0020】
当業者が理解するように、重心の位置はセットを通じて他の手段により変更でき、例えば、本出願人の2004年8月8日出願に係る米国特許出願10/911422に開示されるような高密度インサートにより変更でき、また、打撃フェース16の材料の厚さを米国特許第6,605,007号に説明されるように変えて、変更できる。これらの開示内容は参照してここに組みこむ。
【0021】
ゴルフクラブの回転慣性モーメント(「慣性」)は周知であり、米国特許第4,420,156号を含む多くの文献において十分に検討されており、参照してここに組みこむ。慣性が小さすぎると、中心からはずれた打撃により過剰に回転しがちである。慣性が大きくなると、その分、回転質量が大きくなり、中心から外れた打撃に起因する回転が小さくなり、この結果、中心から外れた打撃でも、より遠く、意図した経路の近くに飛行させることができる。慣性は、クラブヘッドの重心を通る垂直軸の回り(Iyy)、およびクラブヘッドの重心(CG)を通る水平軸の回り(Ixx)で測定される。クラブヘッドがCGを通るy軸の回りを回転する傾向は、y軸から外れた打撃に起因する回転の量を示す。同様に、クラブヘッドがCGを通るx軸の回りを回転する傾向は、x軸から外れた打撃に起因する回転の量を示す。最も中心から外れた打撃は、x軸およびy軸の双方の回りを回転させがちである。IxxおよびIyyが大きいと、回転傾向が少なくなり、中心から外れた打撃をより許容することになる。
【0022】
慣性はまたシャフト軸(Isa)の回りでも測定される。まず、クラブのフェースをアドレス位置にセットし、つぎに、フェースをまっすぐにし、ロフト角およびライ角をセットする。この後、測定する。ゴルフボールがヒットすると、どのようなものでも、クラブヘッドをシャフト軸の回りで回転させがちである。中心からトウへ外れている打撃では、シャフト軸の回りの回転を最も起こしやすく、中心からヒールへ外れている打撃では、最も起こしにくい。Isaが大きいと回転傾向が小さくなり、打撃フェースを制御しやすくなる。
【0023】
また、表2は「631」親出願から引用したものであり、表1に示される一例のセットパラメータの系統的な移行に伴って、ボディーの重心が一例としてどのように系統的に増加するかを示している。重心は、クラブヘッドをアドレス位置に配置したときに地面から測定され、アドレス位置は、ゴルファーがスイングを開始する前にクラブのソールを地面に接して当該クラブを配置する位置である。
【表2】
【0024】
図2〜7は、親出願の米国特許11/193745で示され検討され、先に参照してここに組みこまれた、セットを通じて性能の連続性を伴うクラブセットの他の実施例を示している。セット中のクラブヘッドの種々の設計パラメータが系統的にセットを通じて徐々に変化し、性能および美観の連続性を実現する。図2〜7に示される実施例では、クラブヘッド1010、1110、1210が、好ましくは、ロングアイアンの特大のチャネルバック(図2〜5に示される)から、ミッドアイアンの中間サイズのチャネルバック(図6に示す)を経て、最終的に、ショートアイアンの標準サイズのキャビティバック(図7に示す)へと進んでいく。他の実施例では、セット中のすべてのクラブが特大、中間サイズ、または標準サイズの打撃フェース16、または、それらの任意の組み合わせを有してよい。
【0025】
図2〜5は、ロングアイアン、好ましくは、通常の番手で2、3または4番アイアンのクラブヘッドを示す。図2はロフト角1030でボディー1012にホーゼル1014を結合させたクラブヘッド1010の正面図である。ロングアイアンでは、ロフト角1030は好ましくは約18度〜約27度の範囲である。ボディー1012は打撃フェース1016および図3に示す背面フェース1020を含む。背面フェース1020の構造は図3に示すように好ましくは当業界で「チャネルバック」として知られているタイプのものであり、ここで、チャネル1042(図4および図4Aに示す)はクラブヘッド1010のソール部分中のフランジ1040により形成される。図示のように、チャネルバックはキャビティバック設計とともに採用される。クラブヘッド1010は当業界で知られる任意の材料から当業界で知られる任意の手法で製造して良い。ただし、好ましくは、クラブヘッド1010はステンレス鋼から鍛造され、クロムメッキされる。この製造手法や他の製造手法ならびに適切な材料に関する検討は、本出願人の2003年8月13日出願に係る米国特許出願10/640537に見いだすことができ、参照してその内容をここに組み入れる。
【0026】
図4、図4Aおよび図5に示すように、打撃フェース1016は好ましくはサンドイッチ型の構造を有し、これは、打撃フェースインサート1017、減衰要素1050、および打撃フェースインサートを強化する軽量コア1052を含んでいる。打撃フェースインサート1017は、好ましくは、薄く、かつ、軽量で、打撃フェース1016の重量をフランジ1040へ再配置でき、また強度が大きく、繰り返される衝撃に耐えるようになっている。このサンドイッチ構造では、コア1052が打撃フェースインサート1017の衝撃ゾーンを強化するので、打撃フェースインサート1017を極めて薄くできる。打撃フェース1017が薄く、したがって、より厚い材料から製造される従来の打撃フェースより軽いので、クラブヘッド1010の重心が後部に移動し、この結果、ボールがより高く飛ぶ。減衰要素1050はクラブヘッド1010の振動特性の改善に役立つ。
【0027】
打撃フェースインサート1017は、好ましくは、約5g/cc未満の密度で、ロックウェル硬度Cスケール(HRC)で約20〜約60の範囲の硬度の軽量材料から製造される。適切な材料は、チタン、チタン合金、プラスチック、ウレタン、およびマグネシウムを含む。より好ましくは、打撃フェースインサート1017の硬度はHRCで約40である。打撃フェースインサート1017は、好ましくは、打撃フェース1016の対応する凹みに圧入できる寸法とし、当業界で知られている任意の手法、例えば、接着または融着により固定される。打撃フェースインサート1017の前方側は好ましくは表面模様、例えば粗面および連続溝1056(図2および図5に示す)を含む。打撃フェースインサートは当業界で知られている任意の手法、例えば、シート金属の機械加工、鍛造、成型、その他により製造できる。
【0028】
打撃フェースインサート1017が薄いので、コア1052が打撃フェースインサート1017の背後に配されて打撃フェースインサート1017を強化する。コア1052は好ましくは軽量材料例えばアルミニウムにより製造される。コア1052は、少なくとも部分的にチャネル1042に例えば圧入により挿入されるような構造になっており、また好ましくはチャネル1042内に固着され、打撃フェースインサート1017に対向するようになっており、例えば、エポキシのような接着剤が用いられる。他の実施例では、チャネル1042はエポキシまたは発泡剤のような他の材料で満たされて良い。
【0029】
減衰要素1050は、打撃フェースインサート1017およびコア1052の間に配される。減衰要素1050は、振動減衰用に当業界で知られている任意の種類の弾性材料、例えば、ロックウェル硬度ショアAスケール(HRA)で約60の硬度のゴムまたはウレタンであってよい。減衰要素1050は好ましくはコア1052に形成された凹み(図示しない)に圧入される構造をしており、エポキシのような接着剤によりそこに固着される。好ましくは、減衰要素1050は全体として四辺形の形状をしており、減衰要素1050の表面の1つの表面面積は約0.1立方インチ〜約2.5立方インチであり、より好ましくは、0.15立方インチ〜1.2立方インチである。減衰要素1050の厚さは好ましくは約0.050インチ〜約0.45インチであり、好ましくは約0.1インチである。当業者が理解するように、任意の個別のクラブヘッド用に選ばれた減衰要素1050の寸法は、多くのファクタに左右され、これには、打撃フェースの面積および減衰要素の材料が含まれる。減衰要素1050は、好ましくは、打撃フェースインサート1017の後方で、ボールが衝突する蓋然性が高い点、例えば、ソールから約0.75インチの点に配置される。減衰要素1050は衝突のショックの一部を吸収し、プレイ中にクラブの振動を減少させて良好なフィーリングを実現する。
【0030】
当業者には明らかなように、サンドイッチ型の構造を採用して打撃フェースを強化し減衰性を付与することは、任意のアイアン型のクラブに採用して好適である。さらに、減衰要素1050およびコア1052は、打撃フェースインサート1017がない場合、すなわち、打撃フェース1016の単体の後方に直接に設ける場合にも採用できる。ただし、クラブヘッドがロングアイアンのチャネルバックからショートアイアンの通常のキャビティバックに遷移する、好ましいセットでは、打撃フェースインサート1017とともにサンドイッチ型構造を採用するのは、好ましくは、ロングアイアンに限定される。
【0031】
ミッドアイアンクラブヘッド1110のデザインが図6に示される。クラブヘッド1110において、ホーゼル1114がボディー1112にロフト角1130で結合される。ロフト角1130は好ましくは約27度〜約40度であり、より好ましくは約29度〜約37度である。クラブヘッド1110は、好ましくは、材料、例えば鍛造ステンレス鋼またはチタンから単一体として製造される。換言すると、ミッドアイアンクラブでは重心が高くても良いので、軽量打撃フェースインサートまたはサンドイッチ型構造を省略しても良い。ただし、他の実施例では、打撃フェース1116を薄くしても良いし、サンドイッチ型構造を採用しても良い。しかし、好ましくは、打撃フェースインサートは用いられない。好ましくは、セット中のミッドアイアンクラブでは、背面のキャビティの容積はショートアイアンのそれより少ない。これは、キャビティの容積はセットを通じて大きくなり上述のとおり性能の連続性を実現させるからである。
【0032】
ショートアイアンクラブヘッド1210のデザインを図7に示す。クラブヘッド1210では、ホーゼル1214がボディー1212にロフト角1230で結合する。ロフト角1230は好ましくは約40度〜約52度であり、より好ましくは約41度〜約50度である。図6を参照して先に検討したクラブヘッド1110と同様に、クラブヘッド1210は好ましくは材料、例えば鍛造ステンレス鋼から単一体として製造される。この場合も、マッスルバックまたはチャネルバック例えばチャネル1042を採用しても良いが、好ましくは、クラブヘッド1210は伝統的なキャビティバックデザインである。好ましくは、ショートアイアンでは、後方のキャビティの容積は、ミッドアイアンのそれより少ない。これは、キャビティの容積はセットを通じて大きくなり上述のとおり性能の連続性を実現させるからである。
【0033】
この実施例では、打撃フェース1016、1116、1216は好ましくは実質的にセット通じて一定である。ただし、セットを通じてクラブヘッドのタイプを変更するのに加えて、他の設計パラメータも系統的にセットを通じて変化させてセットから最高の性能を引き出す。これを表3に示す。
【表3】
【0034】
これら設計パラメータは好ましくはセットを通じてほぼ線形に変化する。表3の設計例に対する類似の式が表3に示される各設計パラメータに対して表現できる。これは「745」の親出願で検討したとおりであり、その内容は参照してここに組み入れた。
【0035】
他の実施例において、図8A−Cおよび図9に示すように、図3−5に示すサンドイッチ構造を用いて質量分配制御を行う。この実施例では、アイアン型クラブヘッド1310a−cのいずれも、ホーゼル1314を具備するボディー1312と背面フェース1320とを有する。これを図9に示す。ボディー1312および打撃フェース1316は好ましくは一体部材であり、例えば、鍛造ステンレス鋼または注型チタン部材である。しかしながら、図3−5を参照して先に検討したように、打撃フェース1316は、異なる材料から製造された打撃フェースインサート(図示しない)、またはボディー1312の残余の部分と同一の材料からなる非常に薄い部材を有しても良い。
【0036】
背面フェース1320は、好ましくは、図3−5を参照して先に示した実施例と類似のチャネルバック構造を有し、チャネル1342が打撃フェース1316および下側フランジ1340の間に設けられる。好ましくは、質量制御インサート1360の少なくとも一部がチャネル1342の内部に配置され、基本的には、打撃フェース1316の後方と下側フランジ1342との間に配置する。質量制御インサート1360は当業界で知られている任意の材料から製造して良く、この材料には、これに限定されないが、アルミニウム、チタン、プラスチック、マンガン、スチール、タングステン、およびこれらと他の材料との合金が含まれる。質量制御インサート1360の材料の密度は、好ましくは、ボディー1312の材料の密度より大きいか、小さい。例えば、ボディー1312を鍛造ステンレススチールで製造した場合、質量制御インサート1360はアルミニウムまたはチタンから製造して良く、両者は密度が著しくスチールより小さい材料である。この場合、クラブヘッド1310の質量はその周囲方向へシフトする。代替的に、ボディー1312を鍛造ステンレススチールで製造した場合に、質量制御インサート1360をタングステンで製造して打撃フェース1316の後方の重量を増大させて良い。
【0037】
質量制御インサート1360は好ましくはチャネル1342内で打撃フェース1316の背面に、当業界で既知の任意の手段、例えば溶接または接着剤により、固着される。エポキシを使用して良く、エポキシ層は振動減衰要素としても原楽。さらに、オプションの板状カバー1366が、図9に示すように質量制御インサート1360を包囲し、これにより、質量制御インサート1360が柔らかい、または壊れやすい材料から製造された場合に、質量制御インサート1360を防護できる。板状カバー1366は好ましくはボディー1310と同一の材料から製造され、背面フェース1320に当業界で既知の任意の手段、例えば溶接または接着剤により、固着される。
【0038】
質量制御インサート1360は打撃フェース1316を強化し、そのため、打撃フェース1316を極めて薄くでき、この結果、クラブヘッド1310の質量をエッジおよびボトムに分配できる。質量制御インサート1360を用いて、クラブ設計において、クラブヘッド1310の特性を微調整でき、先に検討したとおりである。先に図3−5を参照して検討した減衰要素1050に類似した減衰要素(図示しない)をオプションとして質量制御インサート1360および打撃フェース1316の間に配置して良い。
【0039】
図8A−Cはクラブセット中の3つのクラブヘッド1310a−cを示す。図8Aは2番、3番または4番のようなロングアイアンのクラブヘッドであり、図8Bは5番、6番または7番のようなミッドアイアンのクラブヘッドであり、図8Cは8番、9番またはピッチングウェッジのようなショートアイアンのクラブヘッドである。好ましくは、質量制御インサート1360a−cはセットを通じて系統的に変化して、セットを通じて均一な美観上の見た目およびフィーリングを維持しつつクラブのタイプに応じた質量分配特性を最大化する。系統的な変化は、質量を周辺にシフトさせることである。この変化は多くの態様で実現でき、例えば、質量制御インサート1360に異なる材料を用いたり、または、セットを通じて質量制御インサート1360の材料を同一に維持しつつ、その体積を、例えば、長さを変更して変化させることにより、実現できる。
【0040】
図8A−Cに示される実施例では、質量制御インサート1360a−cはボディー1312の密度より小さい密度の材料から製造され、セットを通じて質量制御インサート1360a−cに対して同一の材料を用いる。ロングアイアンでは、図8Aに示されるように、質量制御インサート1360aはフランジ1340のほぼ全長に沿って伸びる。ミッドアイアンでは、図8Bに示されるように、質量制御インサート1360bの長さがより短く、従って、その体積は質量制御インサート1360aより小さい。この結果、ミッドアイアンクラブヘッド1310bの周囲に分配される質量は、ロングアイアンクラブヘッド1310aで周囲や底部に分配される質量より少ない。ショートアイアンでは、図8Cに示されるように、質量制御インサート1360cの長さがより短く、従って、その体積は質量制御インサート1360aまたは質量制御インサート1360bより小さい。この結果、ショートアイアンクラブヘッド1310cの周囲および底部に分配される質量は、ミッドアイアンクラブヘッド1310bで周囲や底部に分配される質量よりさらに少ない。
【0041】
したがって、見た目および打撃フィーリングの連続性をセットを通じて維持しつつ、個々のクラブの所望の特性を最大化することができる。クラブヘッド1310aの周囲に分配される質量の量が大きいと、ロングアイアンの作業性が最大化され、さらに許容性が増し、飛行距離もより長くなる。換言すると、クラブヘッド1310aは比較的大きなキャビティを具備するキャビティバッククラブとして働く。同様に、クラブヘッド1310cの周囲に分配される質量が小さいと、ショートアイアンのショット制御が最大化できる。換言すると、クラブヘッド1310cはマッスルバッククラブにかなり類似した動作を行う。他の実施例において、同一のインサート1360をすべてのクラブに用いても良い。換言すると、そのような実施例においては、質量制御インサート1360はセットを通じて変化しない。
【0042】
ここに図1−7を参照して説明するように、好ましくは、ロフト角ともに少なくとも1つの付加的なクラブ設計パラメータをセットを通じて系統的に変化させる。系統的に変化させるクラブ設計パラメータは、オフセット、フェース面積、クラブヘッドサイズ、トップライン幅、ソール幅、地面からの重心位置、重心の深さ、反発係数、クラブヘッド材料、打撃フェース硬度、クラブヘッドフェースの厚さ、打撃フェース表面のテクスチャ粗さ、または溝形状を含んで良い。これらパラメータのいくつかについては、例において、以下に付加的に詳細に説明する。さらに、好ましくは、セット中の少なくとも1本のクラブがオーバーサイズのクラブヘッドを有し、それは好ましくはロングアイアンの1本である。
【0043】
図9は、図8Aの9−9線に沿う、図8A−Cのクラブヘッド1310の断面図であり、質量制御インサート1360の全般的な形状を示す。この実施例において、質量制御インサート1360は下方尾部1368を有し、これが完全にチャネル1342を充填する。前面エッジ1380は打撃フェースの背面に対して同一平面になるように角度付けられ、また、質量制御インサート1360の背面エッジ1382も平滑で、フランジ1340上を伸びる。ただし、他の多くの構成もこの発明に使用して好適である。図10は代替的な構成を示しており、この図において、尾部1368dはチャネル1342を完全に充填し、前面エッジ1380dは平滑で打撃フェース1316の背面と同一平面になっており、これは図9と同様である。ただし、背面エッジ1382dが平滑でなく、ステップ状の尾根部1381を有し、質量制御インサート1360dの底部の質量を大きくしており、これが打撃フェース1316をその領域において強化している。
【0044】
他の実施例が図11に示され、この図において、クラブヘッド1310eは、第2のインサート1370が質量制御インサート1360d内に配置される点を除いて、インサート1360dと類似の打撃フェースインサート1360eを具備する。第2のインサート1370は、好ましくは、一塊の高密度の材料、例えば、タングステンまたはタングステン充填プラスチックである。セットを通じて第2のインサート1370の密度を変化させてセットの質量分配特性を付加的なレベルで調整できる。
【0045】
他の実施例が図12に示され、この図において、クラブヘッド1310fのチャネル1342fはクラブヘッド1310a−dより大きい。質量制御インサート1360fの下方尾部1368fはチャネル1342fを完全には満たさない。また、背面エッジ1382fはフランジ1340上を伸びるけれども、チャネル1342fには入らない。第2のインサート1370fは図12を参照して先に説明した第2のインサート1370と類似なものであり、チャネル1342fの一部内に配置され、チャネル1342fの残余部分は空洞のままとされる。代替的には、第2のインサート1370fはインサート1360fと一体に形成される。
【0046】
さらに他の実施例が図13に示され、この図において、クラブヘッド1310gは図8A−Cに示され、先に検討されたクラブヘッド1310a−dと類似な構造を有する。この実施例では、質量制御インサート1360gが尾部1368gおよび背面エッジ1382gを有し、連続した平滑な面を形成し背面エッジのどの部分もフランジ1340上に伸びたり、接触しないようになっている。
【0047】
さらに他の実施例が図14に示され、この図において、質量制御インサート1360hは図13に示された質量制御インサート1360gと類似な構造を有する。ただし、質量制御インサート1360gはその内部に空洞1372を形成させている。空洞1372は、セットを通じて密度を変化させる財牢で満たしても良いし、そのまま空洞としておいても良い。空洞1372のサイズをセットを通じて変化させて質量制御インサート1360hの質量を調整しても良い。
【0048】
図15A−Eは質量制御インサート1360i−mの付加的な実施例を示し、各々は、尾部に代えて平坦な底部面1384i−mを具備する。平坦な底部面1384i−mは好ましくはチャネル1342に挿入されず、これにより、チャネル1342は空洞のままとされる。また、買う質量制御インサート1360i−mは、非平滑構造の背面エッジ1382i−mを含む。図15Aに示される質量制御インサート1360iは先に図10で示した質量制御インサート1360dと類似であり、背面エッジ1382iはステップを有する。図15Bに示される質量制御インサート1360jおよび図15Cに示される質量制御インサート1360kは凸状のリブ1386j、1386kを有する。図15Dに示される質量制御インサート1360lおよび図15Eに示される質量制御インサート1360mは凹部1386l、1386mを有する。
【0049】
さらに他の実施例の質量制御インサート1460はゴルフクラブヘッド1410の打撃フェース1416の背面に固着され、これは図16Aおよび16Bに示される。この実施例では、質量制御インサート1460は、2つの部材、すなわち、軽量のシェル1490および高密度のインサート1492を有する。軽量シェル1490および高密度インサート1492は打撃フェース1416に当業界で知られている任意の手法、例えば接着剤、溶接を用い、あるいは、質量制御インサート1460を打撃フェース1416に取り付けるためのタブまたはフランジを用いて、打撃フェース1416に固着される。図16Bに示されるように、質量制御インサート1460は、好ましくは、高密度インサート1492が打撃フェース1416の背面と同一平面になり軽量シェル1490が高密度インサート1492のカバーとなるように、打撃フェース1416に固着される。このようにして、クラブヘッド1410を完成させたときに、軽量シェル1490のみが見えるようにできる。
【0050】
好ましくは、軽量シェル1490はプラスチック、ポリマー材料、または低密度金属、例えば、アルミニウムから製造される。軽量シェル1490は、高密度インサート1492を基本的には3つの側面で包囲するように、比較的薄い板状部材で高密度インサート1492を中央部で受容するような形状に構成される。軽量シェル1490は当業界で知られている任意の手法で製造でき、例えば、プラスチック材料が用いられる場合には射出成型を用い、金属が用いられる場合には単層またはプレス成型(stamping)を用いてよい。クラブヘッド1410が完成されたときに軽量シェル1490は見えるので、好ましくは、軽量シェル1490は美観に訴えるものとし、例えば、ペイントまたは他のコーティングのような表面処理、または、刻印ロゴのようなテクスチャ、または、材料の彩色、その他を行う。
【0051】
高密度インサート1492は軽量シェル1490内に挿入できる寸法および形状にする。高密度インサート1492は、当業界で知られている任意の手法、例えば接着または溶接により、軽量シェル1490内で固着されてよい。代替的には、高密度インサート1492は打撃フェース1416のみに固着されてよく、この場合、軽量シェル1490も打撃フェース1416にみに固着される。
【0052】
高密度インサート1492は好ましくは打撃フェース1416を形成する材料の密度より密度が小さい材料から製造し、質量制御インサート1416が打撃フェース1416の中央の質量をその周囲に移動させるよういする。工業界において知られている任意の材料が高密度インサートとして適切であるけれども、高密度インサート1492の材料に密度を容易に変更できるようにし、製造時に、複数の異なる密度の高密度インサート1492を容易に製造できるようにする。そのような材料はタングステン含有プラスチックであり、全体の材料の密度はプラスチックマトリックスに添加されたタングステンの量に左右される。好ましくは、高密度インサート1492は、全体の重量が約2gから約9gの質量制御インサートに対しては、約1.5g/ccから約11g/ccの密度のタングステン含有プラスチックから製造する。高密度インサート1492用の他の適切な材料はアルミニウムおよびタングステンを含む。
【0053】
複数の密度の高密度インサート1492を容易に入手できることの利点は、顧客の好みに応じて、クラブヘッドを容易にカスタマイズしてクラブヘッド全体の重量を調整できるという点である。例えば、クラブヘッド1410をプロショップ、ツアーバン、または類似の販売および/または流通ポイントに送るときには、軽量シェル1490および種々の密度の高密度インサート1492ならびにこれら軽量シェル1490および高密度インサート1492をクラブヘッド1410に固着するための材料、例えばエポキシを別体に送ってよい。顧客は種々の密度を試して高密度インサート1492用に好ましい密度を選択できる。例えば、顧客が種々の密度を試す際に一時的に質量制御インサート1460を収容できるスロットを打撃フェース1416の背面に設けたクラブヘッド1410を準備して良く、種々の質量制御インサートをそれぞれ具備するテストクラブを準備しても良く、また打撃フェース1416に質量制御インサート1460を固着するのに用いたエポキシ、または類似の接着剤を除去する装置を準備して良い。顧客が、一旦、好ましい質量制御インサート1460を選択したら、現地の技術者が、選択された質量制御インサート1460をクラブヘッド1410に固着できる。さらに、特別な、例えば、種々の色、ロゴ、または他の美的特徴を付与する軽量シェル1490を選択できるようにしても良い。当業者に理解されるように、このカスタマイズ可能性は、ここで説明した質量制御インサートにいずれとも組み合わせることができる。
【0054】
[例]
この発明に関連する3つのクラブ、3番アイアン、6番アイアン、および9番アイアンからなるセットが図8A−Cに勢井目下実施例に従って製造された。クラブボディーはステンレススチールから製造され、質量制御インサートはアルミニウムから製造された。質量制御インサートの高さ、幅および位置はセットを通じて一定にされたけれども、質量制御インサートの長さ、ひいては、その体積はセットを通じて系統的に変化させた。1実施例では、インサートの質量はセットを通じて徐々に減少させた。すなわち、体積に基づいて最も大きな質量のインサートが3番アイアンに配置され、体積に基づいてつぎに大きな質量のインサートが6番アイアンに配置され、体積に基づいて最も小さな質量のインサートが9番アイアンに配置された。この例では、インサートの質量は表4に示すようにセットを通じて変化する。クラブは、ロフト角、フェース面積、およびオフセットを含む多くのパラメータが系統的に変化するように設計された。選択された設計パラメータのまとめを以下の表4に示す。
【表4】
【0055】
表4に開示されるインサートはアルミニウム(2.8g/ccの密度)から製造された。アイアンクラブのフルセットにおいて、5.15gのインサートが2番および4番アイアンにも用いられる。3.75gのインサートは5番および7番アイアンにも用いられ、4.09gのインサートが8番およびピッチングウェッジにも用いられる。
【0056】
質量制御インサート1360を用いたクラブヘッド内の質量の分配の作業および微調整は表5から理解できる。CGの深さ、およびシャフト軸状のCGの双方は、質量インサート1360を用いることによりシフトされる。
【表5】
【0057】
溝の幾何形状を変化させてスピンパラメータを加減してよい。これは米国特許第5,591,092号に検討されるとおりであり、その内容は参照してここに組み入れる。打撃フェースインサート1017の前面側は、好ましくは、表面テクスチャ、例えば、粗面、一連の溝1056(図2および図5−7)を含む。表面テクスチャの溝および粗度の設計は好ましくはセットを通じて系統的に変化し、これは「745」親出願で検討されたとおりである。
【0058】
同様に、打撃フェース(1016、1116、1216)は、当業界で知られている任意に手段、例えば、表面をスピンミリングしたり、フライカットして仕上げることにより、粗面化される。表面の粗面は、フェースを全体として製造する際に、例えば、テクスチャ付きの注型または鍛造により生成して良く、また、フェースが製造された後に、表面テクスチャを、例えば、ミリング、サンドブラスト、ショットピーニング、その他、当業界で知られている任意の他の手法で形成しても良い。典型的には表面の粗さは、粗さ平均(RA)により測定され、中央線、すなわち、なんら模様仕上げされていない表面の位置から直交して測定されたマイクロインチで表される偏差として測定される。「745」親出願で検討されるように、表面粗度は、ロングアイアンが最も平滑であり、セットを通じて系統的に増加させることができる。
【0059】
他のパラメータもセットを通して系統的に変化させてもよい。例えば、トウ高さ、トップ角、ソール厚さ、材料合金および/または硬度、インサートタイプおよび硬度、フェース厚さおよび/または材料、および反発係数である。また、重心の深さをセットを通じて変更しても良い。なぜならば重心の深さにより飛行特性が影響を受けるからであり、これについては米国特許第6,290,607号に開示されており、その開示内容を参照してここに組み入れる。さらに、ここで検討したすべての式は例に過ぎず、セットを通じた性能の連続性のために所望の変更を伴っても良い。換言すれば、ここで導出された具体的な式を変更または修正して、例えばオフセットおよびロフト角の間の関係を調整して設計パラメータがここで記述したのと逆の態様で変化するようにしてもよい。ここで検討した設計許容誤差は好みであり、種々の材料および美観、その他に起因するものである。
【0060】
ここに開示した発明の説明的な実施例が上述の目的を達成ことは明らかであるが、当業者が種々の変形や他の実施例を導き出せることはもちろんである。したがって、添付の特許請求の範囲がそのような変形や実施例をカバーすることを意図されており、それらがこの発明の精神に含まれることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】クラブヘッドのトウから見た図である。
【図2】振動ダンパーを具備するクラブの正面図である。
【図3】図2のクラブヘッドの背面図である。
【図4】図2のクラブヘッドを4−4線に沿って断面した、振動ダンパーを示す断面図である。
【図4A】図4の振動ダンパーの拡大断面図である。
【図5】この発明の実施例に従うロングアイアンの断面図である。
【図6】図2の実施例に従うミッドアイアンの断面図である。
【図7】図2の実施例に従うショートアイアンの断面図である。
【図8A】この発明の実施例に従う質量制御インサートを具備するゴルフクラブのセットのうちのロングアイアンクラブヘッドの一部切欠き背面図である。
【図8B】この発明の実施例に従う質量制御インサートを具備するゴルフクラブのセットのうちのミッドアイアンクラブヘッドの一部切欠き背面図である。
【図8C】この発明の実施例に従う質量制御インサートを具備するゴルフクラブのセットのうちのショートアイアンクラブヘッドの一部切欠き背面図である。
【図9】図8のクラブヘッドの図8の9−9線に沿う断面図である。
【図10】図8Aのクラブヘッドの代替的な実施例の断面図である。
【図11】図8Aのクラブヘッドの代替的な実施例の断面図である。
【図12】図8Aのクラブヘッドの代替的な実施例の断面図である。
【図13】図8Aのクラブヘッドの代替的な実施例の断面図である。
【図14】図8Aのクラブヘッドの代替的な実施例の断面図である。
【図15A】図8A−Cのクラブヘッドに使用するインサートの代替的な実施例の断面図である。
【図15B】図8A−Cのクラブヘッドに使用するインサートの代替的な実施例の断面図である。
【図15C】図8A−Cのクラブヘッドに使用するインサートの代替的な実施例の断面図である。
【図15D】図8A−Cのクラブヘッドに使用するインサートの代替的な実施例の断面図である。
【図15E】図8A−Cのクラブヘッドに使用するインサートの代替的な実施例の断面図である。
【図16A】この発明の他の実施例に従う質量制御インサート付きのクラブヘッドの拡大部分図である。
【図16B】図16Aのクラブヘッドの図16Aの16B−16B線に沿う部分断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1310 アイアン型クラブヘッド
1312 ボディー
1314 ホーゼル
1316 打撃フェース
1320 背面フェース
1340 フランジ
1342 チャネル
1360 質量制御インサート
1366 板状カバー
1368 下方尾部
1370 インサート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の打撃フェース、第1のチャネルを内部に形成する第1の背面フェース、および上記第1の打撃フェースの背面に配置され第1の長さL1および第1の体積V2の第1のインサートを有する、少なくとも1本のロングアイアンと、
第2の打撃フェース、第2のチャネルを内部に形成する第2の背面フェース、および上記第2の打撃フェースの背面に配置され第2の長さL2および第2の体積V2の第2のインサートと、
第3の打撃フェース、第3のチャネルを内部に形成する第3の背面フェース、および上記第3の打撃フェースの背面に配置され第3の長さL3および第3の体積V3の第3のインサートを有する、少なくとも1本のロングアイアンとを有し、上記第1のインサートの質量、第2のインサートの質量、および上記第3のインサートの質量が系統的に異なることを特徴とするアイアン型ゴルフクラブのセット。
【請求項2】
L1>L2>L3およびV1>V2>V3である請求項1記載のクラブのセット。
【請求項3】
上記第1の背面フェースはキャビティバック構造を有する請求項1記載のクラブのセット。
【請求項4】
上記セットの付加的な少なくとも1つのクラブ設計パラメータがロフト角に左右される請求項1記載のクラブのセット。
【請求項5】
上記クラブ設計パラメータは、オフセット、フェース面積、クラブヘッドサイズ、トウライン幅、ソール幅、地面からの重心、重心の深さ、反発係数、クラブヘッド材料、打撃フェース硬度、クラブヘッドフェース厚さ、打撃フェースの表面テクスチャ粗度、または溝形状を含む請求項4記載のクラブのセット。
【請求項6】
少なくとも1本のクラブがオーバーサイズのクラブヘッドを有する請求項1記載のクラブのセット。
【請求項7】
少なくとも1本のクラブが振動減衰部材を有する請求項1記載のクラブのセット。
【請求項8】
第1の密度の鍛造材料から製造されたボディーと、
上記ボディー上に一体に形成された打撃フェースと、
上記打撃フェースに結合された背面フランジと、
上記背面フランジ中に、上記背面フランジおよび上記打撃フェースの間で形成されるチャネルと、
上記背面フランジおよび上記打撃フェースと接触するように形成されたインサートとを有し、上記インサートは第2の密度の第2の材料から製造され、上記第2の密度は上記第1の密度より小さいことを特徴とするアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
上記インサートはアルミニウム、チタン、プラスチック、マグネシウム、スチールまたはタングステンのうちの少なくとも1つを有する請求項8記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
上記ボディーはステンレススチールから製造される請求項8記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
上記インサートはソリッドの部材を有する請求項8記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
上記インサート中に空洞が形成される請求項8記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
質量調整材料が上記空道中に配置される請求項8記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
上記インサートは、少なくとも1つの構造物をその背面に有する請求項8記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
上記構造物は、リブ、ステップ、空洞の少なくとも1つである請求項14記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
上記インサートは、高密度インサートを内部に収容するように構成された軽量シェルを有する請求項8記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
上記高密度インサートはタングステン含有プラスチックを有する請求項16記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
(i)ゴルフクラブヘッドを供給するステップと、
(ii)複数の質量制御インサートを供給するステップと、
(iii)1の質量制御インサートを上記ゴルフクラブヘッドに取り付ける手段を供給するステップと、
(iv)上記複数の質量制御インサートの各々に上記ゴルフクラブヘッドをテストするステップと、
(v)上記複数の質量制御インサートのうちの1つを上記ゴルフクラブヘッドに固着するステップとを有することを特徴とするゴルフクラブヘッドをカスタマイズする方法。
【請求項19】
上記ステップ(iv)はデモンストレーション用セットのゴルフクラブをテストするステップを有する請求項18記載の方法。
【請求項20】
上記ステップ(iv)は、
(vi)上記複数の質量制御インサートのうちの1つを暫定的に上記ゴルフクラブヘッドに取り付けるステップと、
(vii)上記ゴルフクラブヘッドに対して上記複数の質量制御インサートのうちの他のものを足すとするために上記暫定的に取り付けた質量制御インサートを取り外すステップとを有する請求項18記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1本のロングアイアン、1本のミッドアイアン、および1本のショートアイアンを有するアイアン型ゴルフクラブのセットにおいて、各クラブは打撃フェースおよび背面フェースを有し、
上記背面フェースは、上記背面フェースの周囲に配されて上記クラブヘッドの重量を上記クラブヘッドの周囲へと分配する壁部と、上記周囲の壁部の内部に配されるサポートとを有し、上記サポートが上記打撃フェースの下方部分を強化し、上記サポートが、インサートを収容する構成とされたチャネルを形成し、
上記インサートがセットを通じて系統的に変化し、上記ロングアイアンクラブがキャビティバックアイアンと実質的に類似に作用し、上記ショートアイアンがマッスルバックアイアンと実質的に類似に作用することを特徴とするアイアン型ゴルフクラブのセット。
【請求項22】
上記インサートの密度が変化する請求項21記載のアイアン型ゴルフクラブのセット。
【請求項23】
上記インサートの体積が変化する請求項21記載のアイアン型ゴルフクラブのセット。
【請求項24】
上記インサートのトウからヒールまでの距離が変化する請求項21記載のアイアン型ゴルフクラブのセット。
【請求項25】
上記ミッドアイアンクラブはキャビティバッククラブおよびマッスルバッククラブの双方のプレイ特性を有する請求項21記載のアイアン型ゴルフクラブのセット。
【請求項1】
第1の打撃フェース、第1のチャネルを内部に形成する第1の背面フェース、および上記第1の打撃フェースの背面に配置され第1の長さL1および第1の体積V2の第1のインサートを有する、少なくとも1本のロングアイアンと、
第2の打撃フェース、第2のチャネルを内部に形成する第2の背面フェース、および上記第2の打撃フェースの背面に配置され第2の長さL2および第2の体積V2の第2のインサートと、
第3の打撃フェース、第3のチャネルを内部に形成する第3の背面フェース、および上記第3の打撃フェースの背面に配置され第3の長さL3および第3の体積V3の第3のインサートを有する、少なくとも1本のロングアイアンとを有し、上記第1のインサートの質量、第2のインサートの質量、および上記第3のインサートの質量が系統的に異なることを特徴とするアイアン型ゴルフクラブのセット。
【請求項2】
L1>L2>L3およびV1>V2>V3である請求項1記載のクラブのセット。
【請求項3】
上記第1の背面フェースはキャビティバック構造を有する請求項1記載のクラブのセット。
【請求項4】
上記セットの付加的な少なくとも1つのクラブ設計パラメータがロフト角に左右される請求項1記載のクラブのセット。
【請求項5】
上記クラブ設計パラメータは、オフセット、フェース面積、クラブヘッドサイズ、トウライン幅、ソール幅、地面からの重心、重心の深さ、反発係数、クラブヘッド材料、打撃フェース硬度、クラブヘッドフェース厚さ、打撃フェースの表面テクスチャ粗度、または溝形状を含む請求項4記載のクラブのセット。
【請求項6】
少なくとも1本のクラブがオーバーサイズのクラブヘッドを有する請求項1記載のクラブのセット。
【請求項7】
少なくとも1本のクラブが振動減衰部材を有する請求項1記載のクラブのセット。
【請求項8】
第1の密度の鍛造材料から製造されたボディーと、
上記ボディー上に一体に形成された打撃フェースと、
上記打撃フェースに結合された背面フランジと、
上記背面フランジ中に、上記背面フランジおよび上記打撃フェースの間で形成されるチャネルと、
上記背面フランジおよび上記打撃フェースと接触するように形成されたインサートとを有し、上記インサートは第2の密度の第2の材料から製造され、上記第2の密度は上記第1の密度より小さいことを特徴とするアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
上記インサートはアルミニウム、チタン、プラスチック、マグネシウム、スチールまたはタングステンのうちの少なくとも1つを有する請求項8記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
上記ボディーはステンレススチールから製造される請求項8記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
上記インサートはソリッドの部材を有する請求項8記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
上記インサート中に空洞が形成される請求項8記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
質量調整材料が上記空道中に配置される請求項8記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
上記インサートは、少なくとも1つの構造物をその背面に有する請求項8記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
上記構造物は、リブ、ステップ、空洞の少なくとも1つである請求項14記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
上記インサートは、高密度インサートを内部に収容するように構成された軽量シェルを有する請求項8記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
上記高密度インサートはタングステン含有プラスチックを有する請求項16記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
(i)ゴルフクラブヘッドを供給するステップと、
(ii)複数の質量制御インサートを供給するステップと、
(iii)1の質量制御インサートを上記ゴルフクラブヘッドに取り付ける手段を供給するステップと、
(iv)上記複数の質量制御インサートの各々に上記ゴルフクラブヘッドをテストするステップと、
(v)上記複数の質量制御インサートのうちの1つを上記ゴルフクラブヘッドに固着するステップとを有することを特徴とするゴルフクラブヘッドをカスタマイズする方法。
【請求項19】
上記ステップ(iv)はデモンストレーション用セットのゴルフクラブをテストするステップを有する請求項18記載の方法。
【請求項20】
上記ステップ(iv)は、
(vi)上記複数の質量制御インサートのうちの1つを暫定的に上記ゴルフクラブヘッドに取り付けるステップと、
(vii)上記ゴルフクラブヘッドに対して上記複数の質量制御インサートのうちの他のものを足すとするために上記暫定的に取り付けた質量制御インサートを取り外すステップとを有する請求項18記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1本のロングアイアン、1本のミッドアイアン、および1本のショートアイアンを有するアイアン型ゴルフクラブのセットにおいて、各クラブは打撃フェースおよび背面フェースを有し、
上記背面フェースは、上記背面フェースの周囲に配されて上記クラブヘッドの重量を上記クラブヘッドの周囲へと分配する壁部と、上記周囲の壁部の内部に配されるサポートとを有し、上記サポートが上記打撃フェースの下方部分を強化し、上記サポートが、インサートを収容する構成とされたチャネルを形成し、
上記インサートがセットを通じて系統的に変化し、上記ロングアイアンクラブがキャビティバックアイアンと実質的に類似に作用し、上記ショートアイアンがマッスルバックアイアンと実質的に類似に作用することを特徴とするアイアン型ゴルフクラブのセット。
【請求項22】
上記インサートの密度が変化する請求項21記載のアイアン型ゴルフクラブのセット。
【請求項23】
上記インサートの体積が変化する請求項21記載のアイアン型ゴルフクラブのセット。
【請求項24】
上記インサートのトウからヒールまでの距離が変化する請求項21記載のアイアン型ゴルフクラブのセット。
【請求項25】
上記ミッドアイアンクラブはキャビティバッククラブおよびマッスルバッククラブの双方のプレイ特性を有する請求項21記載のアイアン型ゴルフクラブのセット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図16A】
【図16B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図16A】
【図16B】
【公開番号】特開2007−236941(P2007−236941A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−53552(P2007−53552)
【出願日】平成19年3月3日(2007.3.3)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53552(P2007−53552)
【出願日】平成19年3月3日(2007.3.3)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
【Fターム(参考)】
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