説明

アデニンヌクレオチドトランスロカーゼ(ANT)リガンドならびにそれに関連する組成物および方法

変化したミトコンドリアの機能に関する状態の処置において利用性を有する化合物。この化合物は、構造(I)(その立体異性体、プロドラッグ、薬学的に受容可能な塩)を有し、ここで、R、R、R、R、RおよびRは、本明細書中に規定されるとおりである。構造(I)の化合物を含有する薬学的組成物、ならびにその使用に関する方法もまた、開示される。本発明の化合物は、ANTと結合するか、複合体を形成するか、または他の形式で相互作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2002年12月20日に出願された米国仮特許出願第60/435,420の利益を主張し、この仮出願は、本明細書中においてその全体が参考として援用される。
【0002】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、一般に、アデニンヌクレオチドトランスロカーゼ(ANT)と相互作用する化合物の新規分類、ならびに変化したミトコンドリア機能と関連する状態を処置するための組成物、および、上記のような化合物を使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の記載)
ミトコンドリアは、高等生物細胞において主要なエネルギー源であり、これらの細胞内小器官は、細胞呼吸、酸化プロセスおよび代謝プロセスの広範なアレイの直接的および間接的な生化学的調節を提供する。これらは、酸化的リン酸化を誘導し、アデノシン三リン酸(ATP)の形態で代謝エネルギーを生産する電子伝達系(ETC)活性を含み、そして細胞内カルシウムホメオスタシスにおける中心的なミトコンドリアの役割の基礎となる。
【0004】
ミトコンドリアの超微細構造の特徴付けは、細胞内小器官と細胞質ゾルとの間の界面として働くミトコンドリア外膜、複数の部位で外膜との接着を形成するようであるよく折りたたまれたミトコンドリア内膜、および、二つのミトコンドリア膜の間の膜間腔の存在を明らかにする。ミトコンドリア内膜内の副区画は、一般にミトコンドリアマトリックスと言われる(概論について、例えば、Ernsterら,1981 J.Cell Biol.91:227sを参照のこと)。最初は、ミトコンドリア内膜の陥没として発生すると推定されたクリステは、最近3次元電子断層投影法を使用して、ネットワークを形成し得、開いた環状(直径30nm)の接合により、内膜に接続され得るチューブのような導管を含むと特徴付けられている(Perkinsら,1997,Journal of Structural Biology 119:260)。外膜が、約10kDa未満の分子量を有するイオン溶質または非イオン溶質に対し、自由に透過性である一方、ミトコンドリア内膜は特定の陽イオンを含む多くの低分子について選択的かつ調節された透過性を示し、大きな分子(>10kDa)に対して透過性である。
【0005】
ETCの任意の工程での失敗が挙げられるがこれに限定されない、変化した、または欠損したミトコンドリアの活性は、細胞および組織に障害を与える可能性がある高反応性フリーラジカルの発生を生じ得る。これらのフリーラジカルは、超酸化物、ペルオキシ亜硝酸、およびヒドロキシル・ラジカル、および細胞に対して毒性となり得る潜在的な他の反応性種といった、反応性酸素種(ROS)、が挙げられ得る。例えば、酸素フリーラジカルにより誘導される脂質過酸化物は、多くの変性疾患、および虚血(すなわち、脳卒中)において見いだされるような中枢神経系(CNS)損傷において、十分に確立された病原性機構である。
【0006】
フリーラジカル媒介性の組織損傷に加えて、ミトコンドリア自体に不利に影響するミトコンドリア機能障害から起こる反応性フリーラジカルに対する曝露の少なくとも二つの有害な結果が存在する。第一に、フリーラジカル媒介損傷は、ETCの一つ以上の種々のタンパク質を不活性化し得る。第二に、フリーラジカル媒介性の損傷が、「透過性転移」(PT)または「ミトコンドリア透過性転移」(MPT)と称されている破滅的なミトコンドリアの崩壊を生じ得る。ミトコンドリアの機能の一般的に認められた論理に従って、適切なETC呼吸活性は、本明細書中に記載されるような、共役した化学浸透機構によるミトコンドリア内膜における電気化学的電位の維持を必要とする。フリーラジカル酸化活性は、この膜電位を分散し得、それにより、ATPの生合成を阻害し、そして生命の生化学的なエネルギー源の生産を停止する。さらに、シトクロームcといったミトコンドリアタンパク質は、MPT後にミトコンドリアの外に漏れ出し得、そしてアポトーシス(Wilson,1998 Cell Death Differen.5:646−652)、またはプログラムされた細胞死(PCD)として公知の遺伝的にプログラムされた細胞自殺過程を誘導し得る。
【0007】
ミトコンドリア関連疾患の変化したミトコンドリアの機能の特徴はまた、フリーラジカル酸化以外の機構によるミトコンドリア膜の電気化学的電位の喪失に関連し得、そしてMPTは、興奮毒性の機構に起因する直接的なカルシウムの過剰摂取、またはミトコンドリア遺伝子、遺伝子産物もしくは関連する下流のメディエータ分子および/またはミトコンドリア外遺伝子、遺伝子産物、もしくは関連する下流の媒介物または他の既知の要因あるいは未知の要因の間接的な効果から生じ得る。従って、ミトコンドリアの電気化学的電位の喪失は、変性疾患を含む、変化したミトコンドリアの機能に関連する疾患の進行において、重要な事象であり得る。
【0008】
ミトコンドリアの欠損は、ミトコンドリアDNA内に存在する別個のミトコンドリアゲノム、ならびに/または核染色体DNAおよび他のミトコンドリア外DNAを含むミトコンドリア外ゲノムに関連する欠損を含み得、変化したミトコンドリアの機能に関連する疾患の病因に顕著に寄与し得る。例えば、ミトコンドリアDNAおよび/またはミトコンドリア外DNAによって直接的または間接的にコードされるサブ単位からなるミトコンドリア成分の構造特性および/または機能特性における変化は、遺伝的要因および/または環境的要因から誘導される変化、あるいは細胞代償性の機構から誘導される変化を包含し、変化したミトコンドリアの機能と関連する任意の疾患の病因において役割を果し得る。多くの疾患および状態は、ミトコンドリアの機能における変化によって発症するか、またはミトコンドリアの機能における変化に関連すると考えられる。これらの疾患としては、アルツハイマー病(AD);真性糖尿病;肥満症;パーキンソン病;ハンチントン病;失調症;レーバー遺伝性視神経萎縮;精神分裂病;ミトコンドリア性脳障害、乳酸アシドーシス、および脳卒中(MELAS);癌;乾癬;過増殖性障害;ミトコンドリア性糖尿病および難聴(MIDD);ミオクローヌスてんかん赤色ぼろ線維症候群(myoclonic epilepsy ragged red fiber syndrome);およびFriedrich失調症が挙げられる。異常なミトコンドリアの活性、またはミトコンドリア核の活性が、特定の疾患のプロセスに関係することから、変化したミトコンドリアの機能に関連するさらなる疾患の広範なリストは、拡大し続ける。
【0009】
変化したミトコンドリアの機能に関連するADおよび潜在的な他の疾患の顕著な症状は、特定の影響を受けた組織における選択的な細胞集合体の死である。ミトコンドリアの機能障害は、種々の細胞型において、(「プログラムされた細胞死」、すなわちPCDとも称される)アポトーシスを誘導する事象のカスケードにおいて重要な事象であると考えられており(Kroemerら,FASEB.J.9:1277−87,1995)、AD脳のニューロンにおいてアポトーシスの細胞死の原因となり得る。変化したミトコンドリアの生理機能は、PCD内で最も早期の事象の間であり得る(Fiskumら,J.Cerebral Blood Flow and Met.19:351−369,1999;Murphyら,J.Cerebral Blood Flow and Met.19:231−245,1999;Zamzamiら,J.Exp.Med.182:367−77,1995;Zamzamiら,J.Exp.Med.181:1661−72,1995)、そしてこのような変化したミトコンドリア機能から生じるROSレベルの上昇は、アポトーシスカスケードを開始し得る(Aussererら、Mol.Cell.Biol.14:5032−42、1994)。
【0010】
酸化ストレスを与えられたミトコンドリアは、アポトーシスに先行する事象である染色体凝縮を誘導し得る前形成可溶性因子を放出し得る(Marchettiら,Cancer Res.56:2033−38,1996)。さらに、抗アポトーシス遺伝子産物のBcl−2ファミリーのメンバーは、ミトコンドリア外膜内に位置し(Monaghanら,J.Histochem.Cytochem.40:1819−25,1992)、そしてこれらのタンパク質は、酸化ストレスから膜を保護するようである(Korsmeyerら,Biochim.Biophys.Act.1271:63,1995)。この膜に対するBcl−2の局在化は、アポトーシス調節のために不可欠であるようである(Nguyenら,J.Biol.Chem.269:16521−24,1994)。従って、ミトコンドリア生理学における変化は、アポトーシスの重要なメディエータであり得る。
【0011】
従って、成長中の細胞におけるエネルギー産生の役割に加え、ミトコンドリア(または少なくともミトコンドリアの構成成分)は、細胞死(例えば、壊死およびアポトーシス)に関与する(Newmeyerら,1994,Cell 79:353−364;Liuら,1996,Cell 86:147−157)。アポトーシスはまた、とりわけ、神経系の正常な発達および免疫系の適切な機能のために明らかに必要とされる。さらに、いくつかの疾患状態は、アポトーシスの不十分なレベル(例えば、癌、自己免疫疾患)またはアポトーシスの過剰なレベル(例えば、脳卒中、AD関連神経変性)のどちらかに関与すると考えられる。アポトーシスの一般的な概論、およびその中でミトコンドリアの役割については、GreenおよびReed(1998,Science 281:1309−1312),Green(1998,Cell 94:695−698)およびKromer(1997,Nature Medicine 3:614−620)を参照のこと。それゆえに、ミトコンドリア構成成分に関連する薬剤を含む、アポトーシスの事象に影響をおよぼす薬剤は、種々の対症用途、予防的な用途、および治療的用途を有し得る。
【0012】
ミトコンドリアタンパク質をコードする核のアデニンヌクレオチドトランスロカーゼ(ANT)は、既報告のうち、ミトコンドリア膜内で最も豊富なタンパク質であり、心臓および骨格筋のような高度な酸化組織において全ミトコンドリアタンパク質の10%までを含むダイマーを形成する。3つのヒトANTアイソフォームは、これらの組織の発現パターンにおいて異なっているようであると記載され、他の哺乳類のANTホモログが、記載されている(例えば、Wallaceら,1998 Mitochondria & Free Radicals in Neurodegenerative Diseases,Beal,HowellおよびBodis−Wollner編,Wiley−Liss,New York,pp.283−307、およびその中で引用された参考文献を参照のこと)。ANTタンパク質は、細胞質ゾル内のアデノシン二リン酸(ADP)とのミトコンドリアマトリックス内で合成されるATPの、ミトコンドリア内膜をこえて交換を仲介する。このヌクレオチドの交換は、好気性細胞において最も活発な輸送系であり、細胞エネルギー代謝の維持において重要な構成成分である(総論について、Klingenberg,J.Bioenergetics and Biomembranes 25:447−457,1993を参照のこと)。ANTはまた、アポトーシスのプロセスにおいて重要な調節の役割を果たすCa2+調節内膜チャネルである、MPT細孔の重要な分子構成成分として関与している。
【0013】
背景として、ETC活性を媒介する多サブ単位複合体の5つ全てが、ミトコンドリア内膜に局在する。ANTは、最も豊富な、ミトコンドリア内膜タンパク質を表す。ETC内で起こることが公知の少なくとも3つの異なる化学反応において、正に荷電したプロトンは、ミトコンドリアマトリックスから内膜を介して、膜間腔へ移動する。この荷電種の不均衡は、「プロトン輸送力」(PMF)と称される約220mVの電気化学的電位を産出し、これは、しばしば、記号ΔΨによって表され、電気的電位の和およびミトコンドリア内膜にわたるpHの差を表す(例えば、Ernsterら,1981 J.Cell Biol.91:227sおよびその中で引用される参考文献を参照のこと)。
【0014】
この膜電位は、ミトコンドリア内膜を横切る、ATP)とADPとのANT媒介の化学量論的な交換を駆動し、そしてADPがETC複合体Vによってリン酸化されATPを産生する場合に生じる、リン酸結合作製に寄与するエネルギーを提供する(すなわち、水素イオンのマトリックスへの輸送に化学量論的に「共役(coupled)」されるプロセス)。正常な代謝条件下では、内膜は、膜間腔からマトリックスへの水素イオン移動に対して不浸透性であり、これによって、このETC複合体Vを、水素イオンがマトリックスに戻り得るための唯一の手段として残す。しかし、変質したミトコンドリア機能に関連する疾患を伴い得るMPTの間に生じるようにミトコンドリア内膜の統合性が損なわれた場合、水素イオンは、ATPを産生することなく、複合体Vの溝をバイパスし得る。その結果、電子伝達および関連されるプロトンポンプはATPを産生しない「脱共役」呼吸を生じる。従って、ミトコンドリア透過性移動は、ミトコンドリア膜「細孔(pore)」の開口に関与する。このプロセスによって特に、ETCおよびATP合成が共役されない過程において、Δψmは崩壊し、ミトコンドリア膜は、低分子(例えば、Ca2+イオン、Naイオン、Kイオン、Hイオン)および巨大分子(例えば、タンパク質)の両方の溶質に対する透過性を選択的に調節する能力を失う。
【0015】
理論にとらわれることは望まないが、形成されるこの細孔が、ミトコンドリア膜において(例えば、特定のミトコンドリアおよび/またはサイトゾルタンパク質ならびにおそらく他の分子種の集合または凝集により)物理的に分散した溝であるか否か、あるいはこの「細孔」の開口が、ミトコンドリア膜の多孔性の一般的な増加を単純に説明し得るか否かは未解決のままである。
【0016】
MPTはまた、1つ以上のミトコンドリア分子成分と結合する化合物により誘導またはブロックされ得る。このような化合物としては、アトラクチロシドおよびボンクレキン酸(これらはANTに結合することが公知である)が挙げられるが、これらに限定されない。このような化合物のMPTを誘導するために適切な量を決定するための方法は、当該分野において公知である(例えば、Beutnerら、1998 Biochim.Biophys.Acta 1368:7;ObatomiおよびBach,1996 Toxicol.Lett.89:155;GreenおよびReed,1998 Science 281:1309;Kroemerら、1998 Annu.Rev.Physiol.60:619;ならびにこれらの文献中に引用される参考文献を参照のこと)。従って、特定のミトコンドリア分子成分(例えば、ANT)は、MPT機構に寄与し得る。
【0017】
脂肪酸がANTと結合する場合、これらは、いわゆる「軽度の」ミトコンドリア脱共役を誘導し得ることが公知である。生体エネルギー論的意味において、用語「軽度の」は、膜電位が最大である場合、ミトコンドリアの休眠状態(すなわち、状態4、非リン酸化呼吸)でのみ、脱共役が、明らかであり、そして強いATP産生の間わずかに影響がほとんど、もしくは全くないことを意味する。さらに、遊離脂肪酸によって誘導されるこの脱共役は、ANTリガンドカルボキシアトラクチロシドの添加により逆転され得ることが発見され(例えば、Andreyevら,1989 Eur.J.Biochem.182:585−592;Skulachev,1991 FEBS Lett.294:158−162;Skulachev,1996 FEBS Lett.397:7−10;Korshunovら,1998 FEBS Lett.435:215−218;Wojtczakら,1998 Archives of Biochem.and BioPhys.357:76−84;およびその中で引用される参考文献を参照のこと)、カルボキシアトラクチロシドが、遊離脂肪酸によって誘導されるプロトン伝達をブロックすることを示唆する。ミトコンドリアの休眠状態において高膜電位は、ミトコンドリアのフリーラジカル産生を増強することから(例えば、BoverisおよびChance,1973 Biochem.J.134:707−716;Korshunovら,1997 FEBS Lett.416:15−18;およびその中で引用される参考文献を参照のこと)、軽度の脱共役の期間が、酸化ストレスを減少する目的に役立ち得、そして高膜電位でCa2+の取り込みの速度を下げ得ることが理論化されている(Skulachev,1996 FEBS Lett.397:7−10;Korshunovら,1997 FEBS Lett.416:15−18;およびその中で引用される参考文献)。
【0018】
ANTタンパク質、ならびに脱共役タンパク質(UCP)として一般的により公知の他の輸送タンパク質は、「キャリア」ファミリーとして公知のタンパク質のより大きなファミリーに属する。軽度の脱共役が、UCPの脳特異的アイソフォームを介して誘導され得るという学説が、近年、複数の研究の範囲となっている(Yuら,2000 FASEB J.14(11):1611−1618;Farrellyら,2001 Analytical Biochem.293:269−276;およびその中で引用される参考文献)。さらに、軽度のミトコンドリアの脱共役は、近年、虚血−再灌流損傷について可能な処置であるとして提案されている(Morinら,2001 Advanced Drug Delivery Rev.49:151−174;およびその中で引用される参考文献)。
【0019】
ミトコンドリア機能障害を含むミトコンドリア機能における変化から直接的、または間接的に生じ得る細胞内小器官、細胞および組織に対する損傷を制限または予防する化合物および方法に対する必要性が明白に存在する。このミトコンドリアの機能障害は、例えば、酸化的リン酸化の脱共役および/または細胞内フリーラジカルの発生の原因もしくは結果であるミトコンドリアの透過性の変更である。従って、有意な進歩がこの分野においてなされている一方、ANTと結合するか、複合体を構築するか、または他の様式で相互作用する低分子が、当該分野でなお必要とされる。また、変化したミトコンドリア機能に関する状態を処置するための上記分子を含む薬学的組成物、ならびにその使用に関する方法に対する必要性が存在する。本発明は、これらの需要を満たし、他の関連する利点を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0020】
(発明の要旨)
本発明は、ANTと結合するか、複合体を形成するか、または他の形式で相互作用する新規クラスの化合物に関する。本発明はまた、一つ以上の薬学的に受容可能なキャリアとの組み合せにおいて、一つ以上のこのような化合物を含む組成物、ならびにこのような化合物を用いて変化したミトコンドリア機能と関連する状態を処置または予防するための方法に関する。理論にとらわれることは望まないが、本発明の化合物は、ANTと相互作用し、軽度のミトコンドリアの脱共役を誘導すると考えられる。
【0021】
一つの実施形態において、本発明は、以下の構造(I):
【0022】
【化2】

を有する化合物に関し、その立体異性体、プロドラッグ、および薬学的に受容可能な塩を含み、ここで、R、R、R、R、RおよびRは、本明細書中で規定される。
【0023】
さらに、薬学的に受容可能なキャリアと組み合せて本発明の化合物を含む組成物が、開示される。本発明の化合物、およびこれらを含む組成物を使用して、変化したミトコンドリア機能に関する状態(この状態の処置または予防が、軽度のミトコンドリアの脱共役を誘導することによりもたらされ得、または促進され得る)を処置または予防するための使用方法が、開示される。詳細には、アルツハイマー病、真性糖尿病、肥満症、パーキンソン病、ハンチントン病、失調症、レーバー遺伝性視神経萎縮、精神分裂病、ミトコンドリア脳障害、乳酸アシドーシス、および脳卒中(MELAS)、癌、乾癬、過剰増殖障害、ミトコンドリア糖尿病および難聴(MIDD)、ミオクローヌスてんかん赤色ぼろ線維症候群(myoclonic eilepsy ragged red fiber syndrom)、骨関節炎およびフリードリッヒ失調症、ならびに変化したミトコンドリア機能に関連する他の状態を本発明の化合物およびこれらを含む組成物を用いて処置および予防するための使用方法が、開示される。
【0024】
本発明のこれらの局面および他の局面は、以下の詳細な記載および添付の図面を参照すると明らかになる。さらに、種々の参考文献が、本明細書中で開示され、これは、本発明の特定の局面をより詳細に記載し、その全体が参考として援用される。
【0025】
(発明の詳細な説明)
本発明の一つの実施形態において、以下の構造(I):
【0026】
【化3】

、またはその立体異性体、プロドラッグ、もしくは薬学的に受容可能な塩を有する化合物が開示され、
ここで:
は、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アリール、置換されたアリール、−NHC(=O)R’、ヘテロアリール、または置換されたヘテロアリールであり;
、R、RおよびRは、同じかまたは異なり、独立して水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、または置換されたヘテロアリールであり;
は、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アリールアルキル、置換されたアリールアルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換されたヘテロアリールアルキル、−O−R、−C(=O)−R、−C(=O)O−R、−C(=O)−NH−Rまたは−NHC(=O)Rであり、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アリールアルキル、または置換されたアリールアルキルであり;
R’およびR’’は、同じかまたは異なり、独立してアルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、または置換されたヘテロアリールであり;そして、
およびRまたはRおよびRは、これらが結合する炭素原子と一緒になって、必要に応じて置換された単環、または非置換単環を形成する。
【0027】
本明細書で使用される場合、上の用語は、以下に記載される意味を有する。
【0028】
「アルキル」は、1〜10の炭素原子を有する直鎖または分枝した、非環式または環式の、不飽和または飽和の脂肪族炭化水素を意味する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどが挙げられる;一方、飽和分枝アルキルとしては、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチルなどが挙げられる。不飽和アルキルは、少なくとも一つの二重結合、または三重結合を隣接炭素原子の間に含む(それぞれ「アルケニル」または「アルキニル」と呼ばれる)。代表的な直鎖アルケニルおよび分枝アルケニルとしては、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニルなどが挙げられる;一方、代表的な直鎖アルキニルおよび分枝アルキニルとしては、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニルなどが挙げられる。代表的な飽和環状アルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−CHシクロヘキシルなどが挙げられる;一方、不飽和環状アルキルとしては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、−CHシクロへキセニルなどが挙げられる。
【0029】
「アリール」は、芳香族炭素環式部分(例えば、フェニルまたはナフチル(すなわち、1−ナフチルまたは2−ナフチル))を意味する。
【0030】
「アリールアルキル」は、少なくとも一つのアルキル水素原子がアリール部分で置換されたアルキル(例えば、ベンジル、−(CHフェニル、−(CHフェニル等)を意味する。
【0031】
「ヘテロアリール」は、5員〜10員の芳香族複素環式環を意味し、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも一つのヘテロ原子を有し、少なくとも一つの炭素原子を含有し、単環式環系と二環式環系との両方を含む。代表的なヘテロアリールは、ピリジル、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル、およびキナゾリニルである。
【0032】
「ヘテロアリールアルキル」は、少なくとも一つのアルキル水素原子がヘテロアリール部分で置換されたアルキル(例えば、−(CHピリジル、−(CHピリジルなど)を意味する。
【0033】
「複素環」は、5員〜7員の単環式、または7員〜10員の二環式の、複素環式環(飽和、不飽和、または芳香族のいずれかであり、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む)を意味し、ここで、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子は、必要に応じて酸化され得、そして窒素ヘテロ原子は、必要に応じて四級化され得、上の任意の複素環式が、ベンゼン環に縮合した二環式環を含む。この複素環は、任意のヘテロ原子または炭素原子を介して結合し得る。複素環式としては、上に規定されるようなヘテロアリールが挙げられる。次いで、上に列挙されたヘテロアリールに加えて、複素環としてはまた、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル等が挙げられる。
【0034】
「同素環」は、飽和炭素環式部分、不飽和炭素環式部分、または芳香族炭素環式部分を意味する。
【0035】
本明細書中で使用される場合、用語「置換された」は、少なくとも一つの水素原子が置換基で置換されている、上の基のいずれか(すなわち、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、複素環、および同素環)を意味する。オキソ置換基(「=O」)の場合、二つの水素原子が、置換される。置換される場合、本発明の文脈内において、「置換基」としては、オキソ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、チオアルキル、スルホニルアルキル、ハロアルキル、アリール、置換されたアリール、アリールアルキル、置換されたアリールアルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換されたヘテロアリールアルキル、複素環、置換された複素環、同素環、置換された同素環、−NR、−NRC(=O)R、−NRC(=O)NRNR、−NRC(=O)OR、−NRSO、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−OC(=O)NR、−OR、−SR、−SOR、−S(=O)、−OS(=O)、−S(=O)OR、−CHS(=O)、−CHS(=O)N(R、=NS(=O)、および−S(=O)N(Rが挙げられ、ここで、RおよびRは、同じか、または異なり、独立して水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アリールアルキル、置換されたアリールアルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換されたヘテロアリールアルキル、複素環、置換された複素環、同素環、および置換式された同素環である。
【0036】
「アルコキシ」は、酸素架橋を通して結合したアルキル部分(すなわち、−O−アルキル)(例えば、メトキシ、エトキシなど)を意味する。
【0037】
「アルキルアミノ」および「ジアルキルアミノ」は、窒素架橋を通して結合した1つまたは2つのアルキル部分(すなわち、−N−アルキル)(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなど)を意味する。
【0038】
「ハロアルキル」は、少なくとも一つ以上のアルキル水素がハロゲンで置換されているアルキル部分(例えば、−CFなど)を意味する。
【0039】
「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを意味する。
【0040】
「スルホニルアルキル」は、スルホニル架橋を通して結合したアルキル部分(すなわち、−SO−アルキル)(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等)を意味する。
【0041】
「チオアルキル」は、硫黄架橋を通して結合したアルキル部分(すなわち、−S−アルキル)(例えば、メチルチオ、エチルチオなど)を意味する。
【0042】
本発明の化合物は、Rが、水素またはアリールである構造(I)の実施形態を含む。より特定の実施形態において、アルキルは、メチル、または−C(CH−CH−C(CH−CHである。
【0043】
本発明の化合物はまた、Rが水素である構造(I)の実施形態を含む。
【0044】
本発明の化合物はまた、Rが水素である構造(I)の実施形態を含む。
【0045】
本発明の化合物はまた、Rが水素、ハロゲン、アルキル、またはヘテロアリールである構造(I)の実施形態を含む。より特定の実施形態において、アルキルは、tert−ブチルであり、そしてヘテロアリールは、チオフェニルである。
【0046】
本発明の化合物はまた、Rが、水素またはハロゲンである構造(I)の実施形態を含む。
【0047】
本発明の化合物はまた、Rが水素またはハロゲンである構造(I)の実施形態を含む。
【0048】
本発明の化合物は、遊離酸または遊離塩基として一般的に利用され得る。あるいは、本発明の化合物は、酸付加塩または塩基付加塩の形態で使用され得る。本発明の遊離アミノ化合物の酸付加塩は、当該分野で周知の方法により調製され得、有機酸および無機酸から形成され得る。適切な有機酸としては、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、ケイ皮酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、グルタミン酸、およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。適切な無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸および硝酸が挙げられる。塩基付加塩としては、カルボキシレートアニオンと形成される塩が挙げられ、有機カチオンならびにアルカリおよびアルカリ土類金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウムおよびカルシウム)、ならびにアンモニウムイオンおよびその置換された誘導体(例えば、ジベンジルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、2−ヒドロキシエチルアンモニウムなど)から選択されるような無機カチオンで形成される塩が挙げられる。従って、用語 構造(I)の「薬学的に受容可能な塩」は、任意のおよび全ての薬学的に受容可能な塩形態を包含することが意図される。
【0049】
さらに、プロドラッグはまた、本発明の文脈内に含まれる。プロドラッグとは、このようなプロドラッグが患者に投与される場合、インビボにおいて構造(I)の化合物を放出する任意の共有結合したキャリアである。プロドラッグは、改変が、慣用的な操作によってか、またはインビボのどちらかで切断され特許化合物を産生するような方法で、官能基を改変することにより一般的に調製される。プロドラッグは、例えば、水酸基またはアミン基が患者に投与される場合に、水酸基またはアミン基を形成するように切断される任意の基と結合している本発明の化合物を含む。従って、プロドラッグの代表的な例としては、構造(I)の化合物のアルコール官能基およびアミン官能基のアセテート誘導体、ホルメート誘導体およびベンゾエート誘導体が挙げられるが、これに限定されない。さらに、カルボン酸(−COOH)の場合、エステルが使用され得る(例えば、メチルエステル、エチルエステルなど)。
【0050】
立体異性体に関して、構造(I)の化合物は、キラル中心を有し得、そしてラセミ化合物、ラセミ混合物、および個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして存在し得る。そのような全ての異性形態は、その混合物を含めて本発明に含まれる。さらに、構造(I)の化合物の結晶形態のいくつかは、多型として存在し得、本発明中に含まれる。さらに、構造(I)の化合物のいくつかはまた、水または他の有機溶媒と溶媒和物を形成し得る。そのような溶媒和物は、同様に、本発明の範囲内に含まれる。
【0051】
本発明の化合物は、実施例においてより詳細に記載される方法を含む公知の有機合成技術によって調製され得る。
【0052】
本発明の化合物の活性は、確立したリガンド結合アッセイまたはその改変を使用して、ANT分子から検出可能リガンド(すなわち、検出可能に標識されたリガンド、例えば、放射性標識されたリガンド)の50%を置換するために必要とされる化合物の濃度としてIC50から代表的に計算され、このANT分子は、単離または精製されたポリペプチドあるいは単離されたミトコンドリアまたは亜ミトコンドリア粒子(SMP)を含有する調製物の成分として存在し得る。例えば、化合物は、単離したミトコンドリアまたはSMPにおいて存在する単離したANTポリペプチドまたはANTに結合するために、放射標識アトラクチロシド(ATR)、または放射標識ATR誘導体と競合する能力について試験され得る。
【0053】
別の例として、本発明の種々の化合物のANTに対する相対的親和性は、ATR誘導体の蛍光性質を活用した蛍光発光アッセイによって決定され得る。そのようなATR誘導体がANTと結合される場合、蛍光は、クエンチされる。しかし、そのようなATR誘導体が、既知の濃度のATRまたはANTリガンドであるATR誘導体によってANTから外される場合、発蛍光団の置換から生じる蛍光脱クエンチは、実時間で測定され得る。
【0054】
手短にいえば、ミトコンドリアの調製物は、洗浄され、蛍光性質を有するATR誘導体の存在下で適切な緩衝液中に再懸濁され、結合しない発蛍光団を除去するために洗浄され、その発蛍光団に適切な光源およびフィルタのセットを備えた蛍光計に配置される。蛍光強度は時間の関数として観測され、次いで候補化合物を添加し、検出可能な相対蛍光強度単位における変化により証明される、ANTに対する結合についてATR誘導体との競合能を決定する。蛍光シグナルが安定した後、ANTと結合したままである任意のさらなるATR誘導体を、競合するインヒビターとして過剰なATR(例えば、μM量)を添加することにより置換し、最大シグナル強度を決定し、そこから候補化合物により置換されたATR誘導体の比率を計算する。当業者は、変化および改変が、候補化合物の活性およびIC50値を決定するために、ANT結合アッセイ(例えば、上に図示され、そして実施例において記載されるもの)に対してなされ得ることを理解し、ANT結合アッセイは限定されないように意図される。また、発明の名称「Production of Adenine Nucleotide Translocator(ANT),Novel ANT Ligands and Screening Assays Therefor」U.S.09/569,327(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
【0055】
上記のように、本発明の化合物は、ANTと結合するか、複合体を形成するか、または他の様式で相互作用して軽度のミトコンドリア脱共役を誘導し、それにより変化したミトコンドリア機能と関連する種々の状態の処置において有用であると考えられる。これに関して、本発明の化合物は、治療適用の広範な範囲にわたる利用性を有し、アルツハイマー病、真性糖尿病、肥満症、パーキンソン病、ハンチントン病、失調症、レーバー遺伝性視神経症、精神分裂病、ミトコンドリア脳障害、乳酸アシドーシス、および脳卒中(MELAS)、癌、乾癬、過剰増殖障害、ミトコンドリア糖尿病およびミトコンドリア難聴(MIDD)、ミオクローヌス癲癇、ミオクローヌスてんかん赤色ぼろ線維症候群、骨関節炎、またはフリードリッヒ失調症を含む(がこれに限定されない)状態を処置するのに使用され得る。
【0056】
本発明の化合物は、本発明の方法において使用される場合、好ましくは、薬学的組成物の一部である。薬学的組成物は、薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、または賦形剤の内の少なくとも一つを、治療有効量の本発明の一つ以上の化合物、および必要に応じて他の成分の加えて含む。
【0057】
本発明の化合物の「治療有効量」は、投与経路、処置される温血哺乳類の種類、および検討中の特定の哺乳動物の物理的特性に依存する。これらの要因、およびこの量を決定するためのその関係性は、医療技術分野における当業者に周知である。さらに、この量および投与方法は、最適な効能を達成するために変更され得るが、体重、食事、同時に行われる薬物療法、ならびに医療技術分野において当業者に注目されると認識される他の要因に依存する。代表的には、投薬量は、体重1kg当たり約0.01mgと100mgとの間であり、好ましくは、体重1kg当たり約0.01mgと10mgとの間である。
【0058】
治療用途のための「薬学的に受容可能なキャリア」は、薬学的分野において周知である。液体溶液として処方される組成物について、受容可能なキャリアおよび/または希釈剤としては、生理食塩水および滅菌水が挙げられ、そして、必要に応じて酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、および他の通常の添加物を含み得る。保存剤、安定剤、色素、および人工矯味矯臭剤にさえもまた、薬学的組成物において提供され得る。この組成物はまた、発明の化合物に加えて、分散剤および表面活性剤、結合剤、ならびに潤滑剤を含む丸薬、カプセル、顆粒剤、または錠剤として処方され得る。当業者は、適切な様式において、かつ一般に認められた実施(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Gennera,Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA 1990に開示されるもの)に従って、化合物をさらに処方し得る。
【0059】
ANTと相互作用する一つ以上の化合物を含む薬学的な組成物は、この組成物が患者に投与されることを可能にする任意の形態であり得る。例えば、この組成物は、固体、液体、または気体(エアロゾル)の形態であり得る。代表的な投与経路としては、経口、局所的、非経口(例えば、舌下部、または頬部)、舌下部、直腸、膣、および鼻腔内が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中で使用される場合、用語 非経口としては、皮下、静脈内、筋肉内、胸腔内、海綿内、肉内(intrameatal)、尿道内(intraurethral)への注射または注入技術が挙げられる。薬学的組成物は、この組成物の患者への投与の際に、含まれる活性成分を生物利用可能するように処方される。患者へ投与される組成物は、一つ以上の投薬単位の形態をとり、例えば、錠剤は、単一の投薬単位であり得、エアロソル形態の本発明の一つ以上の化合物の容器は、複数の投薬単位を維持し得る。
【実施例】
【0060】
以下の実施例は、限定ではなく例証の目的のために提供される。当業者は、慣用的な実験を通して、本明細書中に記載される特定の物質および手順に対する多くの均等物を認識するか、あるいは確認し得る。そのような均等物は、本発明の範囲内であると考慮される。
【0061】
【化4】

(実施例1)
(代表的な化合物の合成)
これらの実施例は、特定の代表的な化合物の調製を示す。
【0062】
【化5】

(3−メチルサリチル酸メチルエステル(構造2)の合成)
3−メチルサリチル酸1(15.2g、100mmol)、MeOH(300mL)、および濃HSO(40mL)の混合液を、一晩還流した。過剰量のMeOHを減圧下でエバポレートし、次いでその残渣をHOで注意深く希釈し、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、そしてその残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン:5/95)により精製し、構造2(13.8g、83%)を無色油状物として得た。
【0063】
(構造3の合成)
CHCl中(150mL)の溶液DMAP(561mg、4.59mmol)、EtN(12.8mL、91.8mmol)およびAcCl(5.41g、68.9mmol)に、CHCl中の構造2(7.62g、45.9mmol)を0℃、アルゴン下で添加した。次いでこの混合液を、室温で一晩攪拌し、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、そしてその残渣を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン:10/90)により精製し、構造3(9.18g、96%)を白色固体として得た。
【0064】
(構造4の合成)
ベンゼン(100mL)中の構造3(5.74g、27.6mmol)、NBS(6.39g、35.9mmol)、および1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(337mg、1.38mmol)の溶液を、一晩穏やかに還流した。次いでその反応混合液を、室温まで冷却し、そしてその沈殿物を濾別した。その濾液を減圧下で濃縮し、その残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン:10/90)により精製し、構造4(6.74g、85%)を白色固体として得た。
【0065】
【数1】

(構造5(R=4−アミル)の合成)
乾燥THF(5mL)中のKH(147mg、鉱油中30%懸濁液、1.1mmol)の攪拌された懸濁液に、4−アミルフェノール(164mg、1.0mmol)を0℃、アルゴン下で添加した。その温度で30分攪拌した後、乾燥THF中の構造4(317mg、1.1mmol)の溶液を滴下して添加した。次いでその混合液を0℃で攪拌し、室温になるまで一晩温めた。その反応液を、飽和NaHCOで注意深くクエンチし、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、過剰NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、そしてその残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン:5/95)により精製し、構造5(R=4アミル)(161mg、49%)を無色油状物として得た。
【0066】
【数2】

(構造6(R=4−アミル)の合成)
THF/HO(10:1、5mL)中の構造5(62mg、0.19mmol)およびNaOH(3M、0.32mL)の攪拌された溶液を一晩還流した。室温に冷却後、その反応混合液を1M HClで酸性化し、CHClで抽出し、ブラインで洗浄し、次いでNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、そしてその残渣をEtOAcおよびヘキサンから再結晶し、構造6(R=4−アミル)(36mg、61%)を白色固体として得た。
【0067】
【数3】

【0068】
【化6】

(構造7の合成(Ruellら,J.Org.Chem.64:5858−5866,1999))
TFA中の5−メチルサリチル酸(5g、33mmol)およびヘキサメチレンテトラミン(22g、150mmol)の溶液を90℃まで暖め、14時間攪拌した。生じた橙色溶液を希塩酸(1M、500mL)へ注ぎ、その溶液をさらに6時間攪拌した。生じた白色沈殿物を、濾過し、そして真空デシケーターで、2日間乾燥した。構造7(6.7g)を湿った白色固体として得た。
【0069】
(構造8の合成)
ジクロロメタン(140mL)に溶解した構造7(3.0g、16.6mmol)の攪拌した溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(7.2mL、41.6mmol)を添加した。その溶液を0℃まで冷却し、クロロメチルメチルエステル(2.8mL、36.9mmol)を滴下して添加した。30分後、その反応混合液を室温まで温め、さらに1時間攪拌した。重炭酸ナトリウムの飽和溶液(50mL)を添加し、その混合液を10分間力強く攪拌した。有機相を取り除き、水相をジクロロメタン(20mL)で抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そしてエバポレートして構造8(2.47g、収率55%)を黄色油状物として得た。R[40−60 石油エーテル:酢酸エチル(4:1)]=0.48。
【0070】
【数4】

(構造9の合成)
メタノール(50mL)中の構造8(2.45g、9.1mmol)の0℃の溶液に対し、ホウ素化水素ナトリウム(0.50g、13mmol)を添加した。その溶液を室温まで温め、そして攪拌を30分続けた。その反応混合液をブライン(250mL)で希釈し、酢酸エチル(3×100mL)で、3回抽出した。合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そしてエバポレートし、構造9(2.32g、収率94%)を無色油状物として得た。R[40−60 石油エーテル:酢酸エチル(4:1)]=0.21。
【0071】
【数5】

(構造10の合成)
室温でジクロロメタン(5.0mL)中のトリフェニルホスフィン(728mg、2.77mmol)の攪拌した溶液に対し、イミダゾール(189mg、2.77mmol)およびヨウ素(704mg、2.77mmol)を添加し、次にしジクロロメタン(2.0mL)中に溶解した構造9(500mg、1.85mmol)の溶液を添加し、攪拌を一時間続けた。その反応混合液を、シリカ上へ直接導入し、40−60 石油エーテル:酢酸エチル(6:1)で溶出させ、構造10(450mg、収率64%)を無色油状物として得た。R[40−60 石油エーテル:酢酸エチル(4:1)]=0.60。
【0072】
【数6】

(構造11(R=3−ブロモフェニル)の合成)
0℃、窒素雰囲気下でTHF(0.5mL)中の水素化カリウム(4.2mg、105μmol)を力強く攪拌した溶液に、3−ブロモフェノール(16.3mg、94.2μmol)を添加した。攪拌を0℃で10分続け、次いでTHF(0.5mL)中に構造10(35.8mg、94.2μmol)を添加した。その反応混合液を、低温室(−10℃)に一晩(14時間)置いた。次いでその反応混合液を、ブライン(2mL)で希釈し、ジクロロメタン(2×3mL)で抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムを使用して乾燥し、濾過し、そして窒素気流下でエバポレートした。生じた油状物を、アセトニトリル:水:濃HCl(90:9:1)に溶解し、65℃で3時間加熱した。次いでその反応混合液を凍結し、凍結乾燥し、構造11(R=3−ブロモフェニル(29.8mg、収率94%)を白色粉末として得た。
【0073】
【数7】

【0074】
【化7】

(構造12の合成)
5−ブロモサリチル酸(6.5g、30mmol)をTFA(60mL)中に溶解し、ヘキサメチレンテトアミン(20g、141mmol)を室温で添加した。その反応液を90℃まで温め、一晩(16時間)攪拌した。次いでその溶液を希塩酸(1M、200mL)へ注ぎ、6時間攪拌し、生じた白色沈殿物を濾過した。その沈殿物をエタノール:水から再結晶し、真空下で乾燥させ、構造12(4.7g、収率64%)を白色固体として得た。
【0075】
【数8】

(構造13の合成)
構造12(2.0g、8.1mmol)を、DCM(100mL)に溶解し、DIEA(4.0mL、24.3mmol)を添加した。その反応混合液を0℃まで冷却し、クロロメチルメチルエーテル(1.35mL、17.8mmol)を添加した。その反応液を室温まで温め、1時間攪拌した。飽和NaHCO(30mL)を添加し、この混合液をさらに20分攪拌した。この有機相を取り除き、水相をさらなるDCM(30mL)で抽出した。合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、エバポレートして、構造13(3.88g)を(いくらかの残留水を含む)褐色油状物として得た。
【0076】
【数9】

(構造14の合成)
構造13(2.69g、8.1mmol)をMeOH(100mL)中に溶解し、0℃まで冷却した。NaBH(460mg、12.2mmol)を、添加し、その反応混合液を、0℃で1時間攪拌した。その反応混合液をブライン(100mL)とEtOAc(100mL)との間で分配し、有機層を取り除いた。水相をEtOAc(100mL)でもう一度抽出し、合わせた有機相を、NaSOで乾燥させ、濾過し、エバポレートした。その生成物は湿っていたので、その残渣をもう一度ブライン(100mL)とEtOAc(100mL)との間で分配した。次いで有機相を、NaSOで乾燥させ、濾過し、そしてエバポレートして、構造14(2.5g、収率92%)を褐色油状物として得た。
【0077】
【数10】

(構造15の合成)
DCM(40mL)中、PPh(2.75g、10.5mmol)の攪拌した溶液に、室温、窒素雰囲気下で、イミダゾール(713mg、10.5mmol)を添加し、次いでヨウ素(2.66g、10.5mmol)を添加し、そしておよびその反応混合液を、20分間攪拌した。次いでDCM(20mL)中の構造14(2.5g、7.49mmol)を添加し、室温で1時間攪拌を続けた。その反応混合液を減圧下で(約20mLまで)濃縮し、この残渣を40−60石油エーテル:酢酸エチル(6:1)でシリカで精製し、構造15(1.95g、収率59%)を淡黄色の油状物として得た。
【0078】
【数11】

(構造16の合成)
THF(20mL)中のKH(176mg、4.39mmol)の懸濁液に、0℃、窒素雰囲気下でTHF(20mL)中の4−tert−ブチルフェノール(659mg、4.39mmol)の溶液を添加し、この混合液を、15分攪拌した。THF(20mL)中の構造15(1.95g、4.39mmol)の溶液を反応混合液へ添加し、次いでこれを室温まで温め、16時間攪拌を続けた。その反応液を、ブライン(100mL)でクエンチし、EtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、エバポレートした。その残渣をMeCN:水(9:1)から凍結乾燥し、構造16(1.9g、収率93%)を黄色油状物として得た。
【0079】
【数12】

(構造17(Ar=4−メトキシフェニル)の合成)
脱気したDMF(1.5mL)中のPd(PPh(6.0mg、0.005mmol)の溶液を、構造16(60mg、0.13mmol)および4−メトキシベンゼンボロン酸(21.52mg、0.14mmol)の混合液へ添加した。水(0.25mL)中のNaCO(66mg、0.62mmol)の溶液を添加し、その反応混合液を90℃で一晩加熱した。次いでその残渣をEtOAc(20mL)とブライン(20mL)との間で分配した。有機相をNaSOで乾燥させ、次いで濾過し、エバポレートした。この残渣をMeCN:HO(9:1)中で凍結乾燥し、次いで40−60石油エーテル:酢酸エチル(10:1)でシリカで精製し、構造17(Ar=4−メトキシフェニル)(13mg、収率20%)を黄色油状物として得た。ESMS=495.4[M+H]、512.4[M+NH]
【0080】
(構造18(Ar=4−メトキシフェニル)の合成)
構造17(13mg、0.026mmol)をMeOH:濃HCl(99:1、2mL)の溶液に溶解し、55℃で4時間加熱した。次いでその反応混合液を、MeCN:HO(9:1)で希釈し、凍結乾燥し、構造18(Ar=4−メトキシフェニル)(3.6mg、収率30%)をオフホワイトの粉末として得た。
【0081】
【数13】

【0082】
【化8】

(構造19の合成)
構造16(50mg、0.11mmol)をHCl:MeOH(99:1、2mL)の溶液に溶解し、55℃で4時間加熱した。次いでその反応混合液をMeCN:HO(9:1)で希釈し、凍結乾燥し、構造19(25.1mg、62%)をオフホワイトの粉末として得た。
【0083】
【数14】

【0084】
【化9】

(構造21の合成)
脱気したDMF(2.0mL)中のPd(PPh(11.0mg、0.01mmol)の溶液を、構造20(100mg、0.24mmol)および4−トリフルオロベンゼンボロン酸(49.1mg、0.26mmol)の混合液に添加した。水(0.38mL)中のNaCO(100mg、0.94mmol)の溶液を添加し、その反応混合液を90℃で一晩加熱した。この残渣を、MeCN:HO(9:1)から凍結乾燥し、AcOH(1%)を含むEtOAc/40−60石油エーテル(6.6:1)でシリカで精製し、構造21(10.1mg、収率11%)をオフホワイトの固体として得た。
【0085】
【数15】

(実施例2)
(構造(I)の代表的な化合物)
【0086】
【化10】

【0087】
【化11】

【0088】
【化12】

【0089】
【化13】

【0090】
【化14】

(実施例3)
(代表的な化合物のANTリガンド結合アッセイ)
化合物1〜73のANTポリペプチドへの結合能を測定する競合的な結合アッセイを、実施した。発明の名称「Production of Adenine Nucleotide Translocator(ANT),Novel ANT Ligands and Screening Assays Therefor」のU.S.09/569,327(本明細書中で参考として援用される)に示される手順の改変を利用した。手短にいえば、競合的な結合アッセイを、哺乳動物の組織、またはANTタンパク質を発現するバキュロウイルスに感染したT.ni細胞からの精製したミトコンドリアを使用して実施した。このミトコンドリアを、0.5nmの標識されたアトラクチロシド誘導体(例えば、125I−ATR)および20μMの試験される化合物、またはコントロール化合物とともにインキュベートした。ミトコンドリア調製物の化合物および標識リガンドとのインキュベーション後に、その反応液を濾紙に適用し、この濾紙を洗浄して、非特異的な結合を取り除き、次いで乾燥させ、シンチレーション計数を介して結合した放射活性を定量した。好ましくは、本発明の化合物は、50%の放射標識リガンドと置き換わる。この目的で、表2中の化合物の全ては、これらの基準を満たす。
【0091】
本明細書に言及されるおよび/または本出願データシートに列挙される上の米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願公開、ならびに非特許刊行物の全ては、本明細書中でその全体が、参考として援用される。
【0092】
前述より、本発明の特定の実施形態が、本明細書中に例示の目的で記載されているが、種々の改変は、本発明の精神および範囲から逸脱することがなくなされ得ると理解される。従って、本発明が、請求項に規定されたものを除き制限されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:
【化1】

を有する化合物、もしくは立体異性体、プロドラッグ、またはその薬学的に受容可能な塩であって、
ここで:
は、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アリール、置換されたアリール、−NHC(=O)R’、ヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリールであり;
、R、R、およびRは、同一または異なっており、および独立して水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、または置換されたヘテロアリールであり;
は、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アリールアルキル、置換されたアリールアルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換されたヘテロアリールアルキル、−O−R、−C(=O)−R、−C(=O)O−R、−C(=O)−NH−R、または−NHC(=O)R’’であり;
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アリールアルキル、置換されたアリールアルキルであり;
R’およびR’’は、同じか、または異なり、独立して、アルキル、置換されたアルキル、アリール、または置換されたアリール、ヘテロアリール、または置換されたヘテロアリールであって;および
およびR、またはRおよびRは、これらが結合する炭素原子と一緒になって、置換された同素環、または非置換同素環を必要に応じて形成する、化合物。
【請求項2】
が、水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
アルキルが、メチルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
アルキルが、−C(CH−CH−C(CH−CHである、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
がハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
がアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
アルキルが、tert−ブチルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
がヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
ヘテロアリールが、チオフェニルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
がハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
がハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
薬学的に受容可能なキャリアとの組み合わせにおいて、請求項1に記載の化合物を含む組成物。
【請求項19】
変化したミトコンドリア機能に関連する哺乳動物において、状態を処置または予防するための方法であって、請求項18に記載の組成物の有効量を、該処置または予防を必要とする哺乳動物へ投与する工程を包含する、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、ここで、前記状態は、アルツハイマー病;真性糖尿病;肥満;パーキンソン病;ハンチントン病;失調症;レーバー遺伝性視神経症;精神分裂病;ミトコンドリア脳障害、乳酸アシドーシス、および脳卒中(MELAS);癌;乾癬;過剰増殖障害;ミトコンドリア糖尿病およびミトコンドリア難聴(MIDD);ミオクローヌスてんかん赤色ぼろ線維症候群(myoclonic epilepsy ragged red fiber syndrome);骨関節炎;またはフリードリッヒ失調症である、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:
【化1】

を有する化合物、もしくは立体異性体、プロドラッグ、またはその薬学的に受容可能な塩であって、
ここで:
は、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アリール、置換されたアリール、−NHC(=O)R’、ヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリールであり;
、R、R、およびRは、同一または異なっており、および独立して水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、または置換されたヘテロアリールであり;
は、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アリールアルキル、置換されたアリールアルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換されたヘテロアリールアルキル、−O−R、−C(=O)−R、−C(=O)O−R、−C(=O)−NH−R、または−NHC(=O)R’’であり;
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アリールアルキル、置換されたアリールアルキルであり;
R’およびR’’は、同じか、または異なり、独立して、アルキル、置換されたアルキル、アリール、または置換されたアリール、ヘテロアリール、または置換されたヘテロアリールであって;および
およびR、またはRおよびRは、これらが結合する炭素原子と一緒になって、置換された同素環、または非置換同素環を必要に応じて形成し、
但し、該化合物は、3,5−ビス(p−トリルオキシメチル)サリチル酸ではない、化合物。
【請求項2】
が、水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
アルキルが、メチルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
アルキルが、−C(CH−CH−C(CH−CHである、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
がハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
がアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
アルキルが、tert−ブチルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
がヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
ヘテロアリールが、チオフェニルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
がハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
がハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
薬学的に受容可能なキャリアとの組み合わせにおいて、化合物を含む組成物であって、該化合物は、以下の構造:
【化1A】

を有する化合物、もしくは立体異性体、プロドラッグ、またはその薬学的に受容可能な塩であり、
ここで:
は、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アリール、置換されたアリール、−NHC(=O)R’、ヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリールであり;
、R、R、およびRは、同一または異なっており、および独立して水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、または置換されたヘテロアリールであり;
は、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アリールアルキル、置換されたアリールアルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換されたヘテロアリールアルキル、−O−R、−C(=O)−R、−C(=O)O−R、−C(=O)−NH−R、または−NHC(=O)R’’であり;
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アリールアルキル、置換されたアリールアルキルであり;
R’およびR’’は、同じか、または異なり、独立して、アルキル、置換されたアルキル、アリール、または置換されたアリール、ヘテロアリール、または置換されたヘテロアリールであって;および
およびR、またはRおよびRは、これらが結合する炭素原子と一緒になって、置換された同素環、または非置換同素環を必要に応じて形成する、組成物。

【請求項19】
変化したミトコンドリア機能に関連する哺乳動物において、状態を処置または予防するための方法であって、請求項18に記載の組成物の有効量を、該処置または予防を必要とする哺乳動物へ投与する工程を包含する、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、ここで、前記状態は、アルツハイマー病;真性糖尿病;肥満;パーキンソン病;ハンチントン病;失調症;レーバー遺伝性視神経症;精神分裂病;ミトコンドリア脳障害、乳酸アシドーシス、および脳卒中(MELAS);癌;乾癬;過剰増殖障害;ミトコンドリア糖尿病およびミトコンドリア難聴(MIDD);ミオクローヌスてんかん赤色ぼろ線維症候群(myoclonic epilepsy ragged red fiber syndrome);骨関節炎;またはフリードリッヒ失調症である、方法。

【公表番号】特表2006−511587(P2006−511587A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564036(P2004−564036)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2003/041211
【国際公開番号】WO2004/058679
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(505233675)ミジェニックス コーポレイション (2)
【出願人】(503053011)ファイザー インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】