説明

アミノアルキルピラゾール誘導体

【課題】 COX−1およびCOX−2を阻害しない血小板凝集抑制薬の提供。
【解決手段】 一般式(I)
【化1】


(式中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、1ないし3個の置換基を有することもある5員もしくは6員の芳香族複素環基又は1ないし3個の置換基を有することもある炭素数6〜14のアリール基を示し;
1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル基を示し;
3は、水素原子又は置換基を有することもある低級アルキル基を示し;
4は、置換基を有することもある低級アルキル基、置換基を有することもあるアミノ基、置換基を有することもある低級アルコキシ基、置換基を有することもあるカルバモイル基又は1ないし3個の置換基を有することもある複素環基を示し;
nは0又は1の数を示す。)
で表される化合物、その塩又はそれらの溶媒和物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血小板凝集抑制作用を有するピラゾール誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
血小板は、血管損傷時に凝集して止血血栓を形成して出血を防止する重要な役割を担っているが、その一方で、動脈硬化に見られるように血管内皮が損傷したり血管が狭窄している場合には凝集して血栓や塞栓を誘発し、心筋梗塞、狭心症、虚血性脳血管障害、或いは末梢血管障害等の虚血性疾患を引き起こす原因となっていることが知られている。したがって、虚血性疾患の予防や治療には、血小板凝集抑制薬が投与されている。中でも、アスピリンは、古くから血小板凝集抑制薬として使用されてきており、その効果は10万人の患者に投与された複数の臨床試験結果をメタアナリシスしたAPT(Antiplatelet Trialists' Collaboration)で証明されている(非特許文献1参照)。しかしながら、アスピリンは、胃腸等の出血、いわゆるアスピリン潰瘍を引き起こすという副作用が知られており、その副作用は投与量に依存することなく、100人に1人の割合で起きている(非特許文献2参照)。
【0003】
アスピリンの血小板凝集抑制作用は、シクロオキシゲナーゼ(Cyclooxygenase)の抑制作用に基づくことが知られている。シクロオキシゲナーゼには、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)とシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)があり、アスピリンは低用量でCOX−1を選択的に阻害して血小板の凝集を抑制するが、COX−1の阻害はアスピリン潰瘍を引き起こす原因ともなっている(非特許文献3及び4参照)。なお、非ステロイド性抗炎症薬は、COX−2を選択的に阻害して抗炎症作用を示すことが知られている。
【0004】
以上のように、アスピリンは血小板凝集抑制薬として有用であるが、その作用機作であるCOX−1阻害作用による胃腸障害を副作用として伴うことから、COX−1阻害作用のない血小板凝集抑制薬が求められている。
【0005】
一方、これまでに抗血栓作用を有するピラゾール誘導体としては、化合物(A)(特許文献1及び非特許文献5参照)、または化合物(B)(特許文献2参照)が知られている。
【0006】
【化1】

【0007】
【特許文献1】特許第2586713号明細書
【特許文献2】WO9729774
【非特許文献1】BMJ,308巻,81−106頁,1994年
【非特許文献2】BMJ,321巻,1183−1187頁,2000年
【非特許文献3】Neurology,57巻,Suppl.2,S5−S7頁,2001年
【非特許文献4】Drugs Today,35巻,251−265頁,1999年
【非特許文献5】Chem.Pharm.Bull.,45巻,987−995頁,1997年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、化合物(A)のコラーゲン誘発血小板凝集に対するIC50値は5.3×10-6Mであり、COX−2に対してはこれより強い阻害活性を示す(IC50値2.4×10-7M)。同様に、化合物(B)の血小板凝集抑制作用もそのCOX−2に対する阻害活性と比較して強いものではない、前述のように、COX−2の阻害作用は抗炎症作用に繋がるので、COX−2阻害活性を有することは血小板凝集抑制薬としては必ずしも好ましいものではない。従って、本発明は、COX−1およびCOX−2を阻害することのない強力な血小板凝集抑制薬を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、このような血小板凝集抑制薬を求めて鋭意研究した結果、下記一般式(I)で表されるピラゾール誘導体が、COX−1およびCOX−2を阻害することなく強力な血小板凝集抑制作用を示すことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、一般式(I)
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、1ないし3個の置換基を有することもある5員もしくは6員の芳香族複素環基又は1ないし3個の置換基を有することもある炭素数6〜14のアリール基を示し;
1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル基を示し;
3は、水素原子又は置換基を有することもある低級アルキル基を示し;
4は、置換基を有することもある低級アルキル基、置換基を有することもあるアミノ基、置換基を有することもある低級アルコキシ基、置換基を有することもあるカルバモイル基又は1ないし3個の置換基を有することもある複素環基を示し;
nは0又は1の数を示す。)
で表される化合物、その塩又はそれらの溶媒和物を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、一般式(I)で表される化合物、その塩、またはそれらの溶媒和物を含有する医薬を提供するものである。
【0013】
さらに、本発明は、一般式(I)で表される化合物、その塩、またはそれらの溶媒和物を含有する虚血性疾患の予防および/または治療剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の化合物(I)、それらの塩もしくは溶媒和物、またはその塩の溶媒和物は、COX−1およびCOX−2を阻害することなく強力に血小板凝集を抑制し、血栓形成を強力に阻害する作用を有する。したがって、心筋梗塞、狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症等)、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞等)、末梢血管障害、人工血管置換後閉塞、冠動脈インターベンション(冠動脈バイパス術(CAGB)、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)、ステント留置等)後の血栓性閉塞、糖尿病網膜症・腎症、心人工弁置換時閉塞、など、血栓・塞栓を原因とする虚血性疾患の予防および/または治療薬として有用である。あるいは、例えば血管手術や血液体外循環等に
伴う血栓・塞栓の予防および/または治療剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
上述の一般式(I)における置換基について以下に説明する。
【0016】
Ar1及びAr2で示される芳香族複素環基は、5または6員の芳香族複素環基を示し、具体例としては、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基等を挙げることができる。このうち、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基等の、ヘテロ原子として窒素原子1〜3個を有する5員もしくは6員の芳香族複素環基が好ましく、さらに窒素原子1〜3個を有する6員の芳香族複素環基が好ましく、さらにピリジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基が好ましく、特にピリジル基が好ましい。
【0017】
Ar1及びAr2で示される炭素数6〜14のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられ、このうちフェニル基が好ましい。
【0018】
それらのAr1及びAr2における置換基としては、低級アルキル基、ハロゲノ基、水酸基、シアノ基、低級アルコキシ基、アラルキルオキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、低級アルキルスルホニル基、1もしくは2個の置換基を有することもあるアミノ基、1もしくは2個の低級アルキル基で置換されることもあるカルバモイル基、1もしくは2個の低級アルキル基で置換されることもあるアミノスルホニル基等を挙げることができる。以下にこれらの置換基について説明する。
【0019】
Ar1及びAr2上の置換基である低級アルキル基とは、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を意味し、具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基等を挙げることができる。
【0020】
ハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、及びブロモ基を挙げることができる。
【0021】
低級アルコキシ基は、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖又は環状のアルコキシ基を意味し、具体例としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペントキシ基、シクロペンチルオキシ基等を挙げることができる。
【0022】
アラルキルオキシ基のアラルキル基とは、炭素数6〜14のアリール基と上記の低級アルキル基とからなる基を意味し、アラルキルオキシ基の具体例としてはベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等を挙げることができる。
低級アルキルチオ基とは、炭素数1〜6のアルキルチオ基を有するものを意味し、具体例としてはメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、ペンチルチオ基、シクロペンチルチオ基等を挙げることができる。
低級アルコキシカルボニル基は、総炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基を意味し、具体例としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
低級アルキスルホニル基は、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基を意味し、具体例としてはメタンスルホニル基、エタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等を挙げることができる。
【0023】
1もしくは2個の置換基を有することもあるアミノ基とは、非置換のアミノ基の他に、1もしくは2個の上記低級アルキル基で置換されたアミノ基、低級アルカノイルアミノ基、低級アルコキシカルボニルアミノ基、及び1もしくは2個の上記低級アルキル基で置換されることもあるウレイド基を意味する。1もしくは2個の上記低級アルキル基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、シクロペンチルメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N−エチル−N−プロピルアミノ基、N−メチル−N−シクロペンチルメチルアミノ基等を挙げることができる。低級アルカノイルアミノ基とは、炭素数2〜6の直鎖状及び分岐状のアルカノイル基で置換されたアミノ基を意味し、その具体例としては、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等を挙げることができる。低級アルコキシカルボニルアミノ基とは、炭素数2〜6の直鎖状及び分岐状の低級アルコキシカルボニル基で置換されたアミノ基を意味し、その具体例としては、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基を挙げることができる。1もしくは2個の上記低級アルキル基で置換されることもあるウレイド基の具体例としては、アミノカルボニルアミノ基、N1−メチルアミノカルボニルアミノ基、N1−エチルアミノカルボニルアミノ基、N3−メチルアミノカルボニルアミノ基、N1,N1−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N1,N3−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N1−メチル−N3−エチルアミノカルボニルアミノ基等を挙げることができる。
【0024】
1もしくは2個の低級アルキル基で置換されることもあるカルバモイル基とは、無置換のカルバモイル基の他に、1もしくは2個の上記低級アルキル基で置換されたカルバモイル基を意味し、具体例としては、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、メチルエチルカルバモイル基等を挙げることができる。
【0025】
1もしくは2個の低級アルキル基で置換されることもあるアミノスルホニル基とは、無置換のアミノスルホニル基の他に、1もしくは2個の上記低級アルキル基で置換されたアミノスルホニル基を意味し、具体例としては、メチルアミノスルホニル基、エチルアミノスルホニル基、プロピルアミノスルホニル基、イソプロピルアミノスルホニル基、第一級ないし第三級ブチルアミノスルホニル基、シクロプロピルアミノスルホニル基、シクロブチルアミノスルホニル基、シクロペンチルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、シクロペンチルメチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ジエチルアミノスルホニル基等を挙げることができる。
【0026】
これらのAr1及びAr2上の置換基としては、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基が好ましく、特にメチル基、メトキシ基が好ましい。
【0027】
Ar1上の置換基はピラゾール環の置換位置に対してパラ位に置換しているのが好ましい。
【0028】
1及びR2で示される低級アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基が挙げられる。このうちメチル基、エチル基等が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0029】
1は水素原子が好ましく、R2は水素原子又は低級アルキル基が好ましい。また、R1が水素原子であり、R2が水素原子又はメチル基であるのが特に好ましい。
【0030】
3で示される置換基を有することもある低級アルキル基としては、カルボキシル基が置換することもある炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基等が挙げられる。
【0031】
3としては、水素原子、低級アルキル基又はカルボキシ低級アルキル基が好ましく、特に水素原子、メチル基、エチル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基が好ましい。
【0032】
4で示される置換基を有することもある低級アルキル基としては、カルボキシル基が置換することもある炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基等が挙げられる。このうち、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基が特に好ましい。
【0033】
4で示される置換基を有することもあるアミノ基としては、アミノ基、低級アルキルアミノ基、ジ(低級アルキル)アミノ基、炭素数6〜14のアリールアミノ基が挙げられる。ここで低級アルキルアミノ基としては、C1-6アルキルアミノ基が挙げられ、ジ(低級アルキル)アミノ基としては、ジ(C1-6アルキル)アミノ基が挙げられ、炭素数6〜14のアリールアミノ基としてはフェニルアミノ基が挙げられる。当該置換基を有することもあるアミノ基の具体例としては、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、フェニルアミノ基等が挙げられる。
【0034】
4で示される置換基を有することもある低級アルコキシ基としては、低級アルコキシ基、ハロゲノ低級アルコキシ基等が挙げられる。ここで低級アルコキシ基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
【0035】
4で示される置換基を有することもあるカルバモイル基としては、カルバモイル基、低級アルキルカルバモイル基が挙げられる。この基の具体例としては、カルバモイル基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、イソプロピルカルバモイル基が挙げられる。
【0036】
4で示される1ないし3個の置換基を有することもある複素環基としては、5員又は6員の飽和複素環基が挙げられ、具体的には、モルホリノ基、チオモルホリノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジノ基、N−メチルピペラジノ基等が挙げられる。
【0037】
本発明の化合物(I)の塩としては、本発明の化合物のすべてが塩を形成するとは限らないが、カルボキシル基、アミノ基等を有する場合、および/またはAr1もしくはAr2がピリジン環等の場合には、塩を形成することができ、更にその塩は溶媒和物を形成する場合もある。ここでいう塩とは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸の他に、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸の塩を挙げることができ、またナトリウム、カリウム、カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のイオンとの塩も挙げられる。
【0038】
本発明の化合物(I)の溶媒和物、またはその塩の溶媒和物における溶媒和物とは、結晶の晶出等に用いた溶媒が付加した溶媒和物の他に、空気中の水分を吸収して形成されるものも含む。溶媒の例としては、メタノール、エタノール等の低級アルコールを始め、アセトン、アセトニトリル等の有機溶媒、水等を例として挙げることができる。
【0039】
以下に、本発明の化合物(I)の代表的な製造方法について述べる。
【0040】
一般式(I)中のnが0である化合物(Ia)は、下記製造方法により得られるピラゾ
ールアミン誘導体(6)を製造中間体として合成される。
【0041】
【化3】

【0042】
(上記式中、Ar1及びAr2は、前記と同じものを示す。)
【0043】
アルゴン気流下に−20〜20℃で水素化ナトリウムをテトラヒドロフラン等の適当な溶媒に懸濁し、シアノメチルホスホン酸ジエチルを滴下後、化合物(1)を添加して攪拌することにより、化合物(2)を得ることができる。
また、化合物(2)は、シアノメチルホスホン酸ジエチルをテトラヒドロフラン等の適当な溶媒に溶解し、アルゴン気流下に−20〜20℃で水素化ナトリウムで処理後、アルデヒド(1)を添加して攪拌することによっても製造できる。なお、アルデヒド(1)は、市販のものを用いるか、あるいは参考例に記載の方法又はその方法に準じた方法で製造したものを用いればよい。
【0044】
次いで、化合物(2)をエタノール、あるいはメタノールに溶解し、室温でヒドラジン誘導体(4)またはその塩を添加した後、適当量のナトリウムメトキシドを加えて加熱還流することにより化合物(5)を製造できる。
ピラゾールアミン誘導体(6)は、化合物(5)を塩化メチレン等の適当な溶媒に溶解し、二酸化マンガンで処理することにより製造できる。反応温度は、0〜50℃が好ましい。
【0045】
上記ヒドラジン誘導体(4)は、市販のものを用いてもよく、あるいは参考例に記載のようにハロゲン化Ar1にヒドラジンを反応させる方法またはその方法に準じた方法で製造した物を用いてもよい。なお、アミン(3)は、市販の化合物を用いるか、あるいは参考例に記載の方法又はその方法に準じた方法で製造したものを用いればよい。
上記のピラゾール環形成反応において用いるヒドラジン誘導体(4)またはその塩は、アミン(3)を濃塩酸に溶解し、氷冷下に亜硝酸ナトリウムを加えてジアゾ体に誘導した後、塩化スズ(II)で処理することにより製造できる。反応温度は、−10〜20℃が好ましい。
【0046】
上記製造法により得たピラゾールアミン誘導体(6)をアシル化することにより、本発明化合物(Ia)を得ることができる。
【0047】
【化4】

【0048】
(上記式中、Ar1、Ar2及びR4は前記と同じものを示す。)
【0049】
上記のアシル化反応は、ペプチド合成法として一般的に用いられる縮合反応を準用すればよい。一般的に用いられているペプチド合成法としては、例えば、アジド法、酸クロリド法、酸無水物法、DCC(ジシクロカルボジイミド)法、活性エステル法、カルボジイミダゾール法、DCC/HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)法、水溶性カルボジイミドを使用する方法、ジエチル シアノホスフェートを使用する方法等を挙げることができ、それらの方法は、M.Bodanszky,Y.S.Klausner及びM.A.Ondetti著“Peptide Snthesis”(A Wiley−interscience publication,New York,1976年)、G.R.Pettit著“Synthetic Peptides”(Elsevier Scientific Publication Company,New York,1976年)、日本化学会編“第4版実験化学講座22巻,有機合成IV”(丸善株式会社、1991年)等に記載されている。この縮合反応に用いる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、クロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル等の溶媒、あるいはこれらの混合溶媒を挙げることができる。反応温度は、−20〜50℃が好ましく、−10〜30℃がより好ましい。カルボン酸(7)および酸クロリド(8)は、市販の化合物を用いてもよく、また参考例に記載の方法、あるいはそれらの方法に準じて製造したものを用いればよい。
【0050】
本発明化合物(I)のうち、nが1である化合物(Ib)は、下記のピラゾールカルボ
ン酸誘導体(14)を製造中間体として製造することができる。
【0051】
【化5】

【0052】
(上記式中、Ar1及びAr2は、前記と同じものを示し、R5はメチル基あるいはエチル基を示す。)
【0053】
ケトン(9)とシュウ酸ジアルキルエステル(10)をN,N−ジメチルホルムアミド等の適当な溶媒に溶解または懸濁し、アルゴン気流下に−20〜20℃で水素化ナトリウムを添加して攪拌することにより、化合物(11)を得ることができる。
また、化合物(11)は、化合物(9)とシュウ酸ジアルキルエステル(10)をナトリウムアルコキシド(メトキシド、あるいはエトキシド)存在下にアルコール(メタノールあるいはエタノール)溶液中で処理することによっても製造できる。反応温度は、−10〜100℃が好ましい。
【0054】
さらに、化合物(11)は、化合物(9)のテトラヒドロフラン等の不活性溶媒に溶解し、−78℃に冷却下、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド等の塩基で処理し、シュウ酸ジエチルエステルを添加して攪拌することによっても製造できる。反応温度は、−78〜20℃が好ましい。
なお、ケトン(9)は、市販のものを用いるか、あるいは参考例に記載の方法又はその方法に準じた方法で製造したものを用いればよい。
【0055】
次いで、化合物(11)をエタノールに溶解し、室温でヒドラジン誘導体(4)またはその塩を添加した後、適当量の酢酸を加えて加熱還流することにより化合物(12)を製造できる。その際、位置異性体(13)が副生するが、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、容易に化合物(12)を分離精製することが可能である。
上記のピラゾール環形成反応においては、酢酸を添加する代わりに、適当量のトリエチルアミンあるいは濃塩酸を加えて加熱還流してもよく、場合によっては、酢酸、トリエチルアミンや濃塩酸を加えなくても、化合物(12)を得ることができる。
【0056】
上記のピラゾール環形成反応において用いるヒドラジン誘導体(4)またはその塩は、市販のものを用いてもよく、あるいは参考例に記載のようにハロゲン化Ar1にヒドラジンを反応させる方法またはその方法に準じた方法で製造したものを用いてもよい。ヒドラジン誘導体(4)またはその塩は、アミン(3)を濃塩酸に溶解し、氷冷下に亜硝酸ナトリウムを加えてジアゾ体に誘導した後、−10〜20℃で塩化スズ(II)にて処理することにより製造できる。なお、アミン(3)は、市販の化合物を用いるか、あるいは参考例に記載の方法又はその方法に準じた方法で製造したものを用いればよい。
化合物(12)を常法により加水分解することにより、ヒラゾールカルボン酸誘導体(14)を製造することができる。この加水分解反応は、塩基またはルイス酸の存在下で行うことができる。塩基としては、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等)の水酸化物が挙げられる。また、ルイス酸としては、例えば三臭化ホウ素が挙げられる。反応温度は、−20〜100℃が好ましく、−5〜50℃がより好ましい。
【0057】
また、有機化学の通常の知識に基づいて、化合物(12)のAr1またはAr2上の置換基を修飾することができる。たとえば、Ar1の置換基がメトキシ基である場合には、Ar1の置換基がクロロ基やブロモ基のハロゲノ基である化合物(12)をメタノールに溶解し、ナトリウムメトキシドを加え加熱還流することにより、Ar1の置換基がメトキシ基に置換した化合物(12)を製造することができる。また、Ar1の置換基がクロロ基やブロモ基のハロゲノ基である化合物(12)とナトリウムメトキシドをメタノールとトルエンの混合溶媒に溶解し、臭化銅(I)等の触媒を加えて加熱還流することにより、Ar1の置換基がメトキシ基に置換した化合物(12)を製造することもできる。
【0058】
上記の方法により得られたピラゾールカルボン酸誘導体(14)またはその前駆体であるエステル(12)から、本発明化合物(Ib)の製造中間体であるピラゾールメチルアミン誘導体(18)を製造することができる。
【0059】
【化6】

【0060】
(式中、Ar1、Ar2及びR5は前記と同じものを示し、Zは脱離基を示す。)
【0061】
エステル(12)を還元してアルコール(15)とし、Z基が脱離基(例えば、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、クロロ基、ブロモ基あるいはヨード基)である化合物(16)に導くことができる。
エステル(12)からアルコール(15)への還元反応は、例えば、テトラヒドロフラン等の不活性溶媒中、−78〜50℃、好ましくは−20〜30℃で水素化アルミニウムリチウム、水素化ほう素リチウム等により処理することで達成できる。
アルコール(15)の製造は、カルボン酸(14)をテトラヒドロフラン等の不活性溶媒中で、水素化アルミニウムリチウム、ボラン−テトラヒドロフラン錯体等を用いて、−78〜50℃、好ましくは−20〜30℃で処理することにより行うことができる。
次いで、アルコール体(15)から化合物(16)への変換は、Z基がメタンスルホニルオキシ基である場合には、ピリジン等の塩基存在下に、−50〜50℃でメタンスルホニルクロリドと反応させて製造することができる。Z基が、p−トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等の化合物(16)も、同様な条件で製造することができる。Z基がクロロ基、ブロモ基あるいはヨード基である場合には、チオニルクロリドやチオニルブロミドを用いて、アルコール(15)からクロロ誘導体(16)あるいはブロモ誘導体(16)を製造し、さらにはヨウ化ナトリウムでそれらを処理することによりヨード誘導体(16)を得ることができる。これらの反応の条件や試薬等は、有機化学の通常の知識に基づいて適宜選択すればよい。
【0062】
アジド化合物(17)は、化合物(16)をN,N−ジメチルホルムアミド等の適当な溶媒に溶解し、アジ化ナトリウムで処理することにより製造できる。反応温度は、50〜100℃が好ましい。
ピラゾールメチルアミン誘導体(18)は、アジド化合物(17)をエタノール等溶媒に溶解し、10%パラジウム−炭素を触媒として接触還元することにより製造できる。この接触還元においては、リンドラー(Lindlar)触媒を用いてもよい。また、水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素化物によるアジド化合物(17)の還元反応、トリフェニルホスフィン、チオール、スルフィド、ジボラン等を用いたアジド化合物(17)の還元反応によってもピラゾールメチルアミン誘導体(18)を製造することができる。
【0063】
また、ピラゾールメチルアミン誘導体(18)のメチレン基に低級アルキル基が置換した化合物(23)は、下記の製造方法またはそれに準じた方法で製造可能である。
【0064】
【化7】

【0065】
(式中、Ar1及びAr2は前記と同じものを示し、Zは脱離基を示す。)
【0066】
カルボン酸(14)からケトン体(19)への変換は、カルボン酸(14)をテトラヒドロフラン等の不活性溶媒に溶解し、メチルリチウムを用いて−78〜50℃、好ましくは−20〜30℃で処理することにより行うことができる。
ケトン体(19)を還元してアルコール(20)とし、Z基が脱離基(例えば、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、クロロ基、ブロモ基あるいはヨード基)である化合物(21)に導くことができる。
【0067】
ケトン体(19)からアルコール(20)への還元反応は、例えば、テトラヒドロフラン等の不活性溶媒中、−78〜50℃、好ましくは−20〜30℃で水素化アルムニウムリチウム、水素化ほう素ナトリウム等により処理することで達成できる。
次いで、アルコール体(20)から化合物(21)への変換は、Z基がメタンスルホニルオキシ基である場合には、ピリジン等の塩基存在下に、−50〜50℃でメタンスルホニルクロリドと反応させて製造することができる。Z基が、p−トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等の場合にも、同様な条件で化合物(21)へ変換可能である。Z基がクロロ基、ブロモ基あるいはヨード基等である場合には、チオニルクロリドやチオニルブロミド等を用いてクロロ誘導体(21)、ブロモ誘導体(21)に導き、さらにはヨウ化ナトリウムでそれらを処理することによりヨード誘導体(21)を得ることができる。これらの反応の条件や試薬等は、有機化学の通常の知識に基づいて適宜選択すればよい。
【0068】
アジド化合物(22)は、化合物(21)をN,N−ジメチルホルムアミド等の適当な溶媒に溶解し、アジ化ナトリウムで処理することにより製造できる。反応温度は、50〜150℃が好ましく、50〜100℃がより好ましい。
アミン体(23)は、アジド化合物(22)をエタノール等溶媒に溶解し、10%パラジウム−炭素またはリンドラー触媒を用いて接触還元によりアミン体(23)を製造できる。また、水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素化物によるアジド化合物(22)の還元反応、トリフェニルホスフィン、チオール、スルフィド、ジボラン等を用いたアジド化合物(22)の還元反応によってもアミン体(23)を製造できる。
【0069】
nが1である本発明化合物(Ib)は、上記のアミン体(23)と酸クロリド(8)あ
るいはカルボン酸(7)とを縮合することによりアミド型の化合物(Ib)を製造するこ
とができる。また、アミン体(23)から化合物(24)を製造し、アミン(25)と反応させることにより、ウレア型の化合物(Ib)を製造することができる。
【0070】
【化8】

【0071】
(式中、Ar1、Ar2及びR2は前記と同じものを示し、R6は置換基を有することもある低級アルキル基を示し、R7及びR8は、それぞれ独立に水素、置換基を有することもある低級アルキル基、置換基を有することもあるアリール基、置換基を有することもある複素環基を示し、Wは、脱離基を示す。)
【0072】
上述の製造方法により製造したピラゾールメチルアミン誘導体(18)または(23)を塩化メチレン等の溶媒中で、トリエチルアミン等の有機アミンの存在下に、酸クロリド(8)と処理することによって本発明の化合物(I)を製造することができる。反応温度は、反応温度は、−10〜50℃が好ましい。また、本発明の化合物(Ib)は、ピラゾールメチルアミン誘導体(18)または(23)とカルボン酸(7)を縮合することによっても製造することもできる。
【0073】
上記の縮合反応は、ペプチド合成法として一般的に用いられる方法を準用すればよい。一般的に用いられているペプチド合成法としては、例えば、アジド法、酸クロリド法、酸無水物法、DCC(ジシクロカルボジイミド)法、活性エステル法、カルボジイミダゾール法、DCC/HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)法、水溶性カルボジイミドを使用する方法、ジエチル シアノホスフェートを使用する方法等を挙げることができ、それらの方法は、M.Bodanszky,Y.S.Klausner及びM.A.Ondetti著“Peptide Snthesis”(A Wiley−interscience publication,New York,1976年)、G.R.Pettit著“Synthetic Peptides”(Elsevier Scientific Publication Company,New York,1976年)、日本化学会編“第4版実験化学講座22巻,有機合成IV”(丸善株式会社、1991年)等に記載されている。この縮合反応に用いる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、クロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル等の溶媒、あるいはこれらの混合溶媒を挙げることができる。反応温度は、−20〜50℃が好ましく、−10〜30℃がより好ましい。カルボン酸(7)、酸クロリド(8)は、市販の化合物を用いてもよく、また参考例に記載の方法、あるいはそれらの方法に準じて製造したものを用いればよい。
【0074】
さらに、本発明化合物のうち、R4が置換基を有することもあるカルバモイル基である化合物(Ib)は、ピラゾールメチルアミン誘導体(18)または(23)を塩化メチレ
ン等の溶媒中で、トリエチルアミン等の有機アミンの存在下に、クロロギ酸4−ニトロフェニルで処理することにより脱離基Wが4−ニトロフェニルオキシ基である化合物(24)とした後、アミン体(25)を添加することにより製造することができる。反応温度は、−10〜50℃が好ましい。
また、当該カルバモイル基を有する化合物(Ib)は、塩化メチレン等の溶媒中で、ピ
ラゾールメチルアミン誘導体(18)または(23)をイソシアン酸アルキルで処理することによっても製造可能である。
上記の製造方法中で用いるカルボン酸(7)、酸クロリド(8)及びアミン体(25)は、市販のものを用いるか、あるいは参考例に記載の方法又はその方法に準じた方法で製造したものを用いればよい。
【0075】
上記の反応において、官能基を保護することが必要となることもある。保護基やその切断条件は、有機化学の通常の知識に基づいて適宜選択すればよい。
また、上記の方法で製造した本発明化合物(I)は、有機化学の通常の知識に基づいて、さらに修飾を加えることにより、本発明の別の化合物(I)に導くことができる。
【0076】
本発明の化合物(I)、それらの塩もしくは溶媒和物、またはその塩の溶媒和物は、強力な抗血小板作用を有し、高シェアストレス誘発の血栓症モデルでも有効性を示した。従って、本発明の化合物(I)、それらの塩もしくは溶媒和物、またはその塩の溶媒和物は、ヒトを含む哺乳類において、心筋梗塞、狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症等)、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞等)、末梢血管障害、人工血管置換後閉塞、冠動脈インターベンション(冠動脈バイパス術(CAGB)、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)、ステント留置等)後の血栓性閉塞、糖尿病網膜症・腎症、心人工弁置換時閉塞、など、血栓・塞栓を原因とする虚血性疾患の予防および/または治療薬として有用である。あるいは、例えば血管手術および血液体外循環等に伴う血栓・塞栓の予防および/または治療剤として有用である。
【0077】
本発明の化合物(I)、それらの塩もしくは溶媒和物、またはその塩の溶媒和物を医薬として使用する場合、投与量は患者の年齢、性別、症状等により異なるが、成人1人当たりの1日量は、0.1mg〜1gが好ましく、0.5mg〜500mgがより好ましい。この場合、1日量を数回に分けて投与することも可能であり、必要な場合には上記の1日量を超えて投薬することも可能である。
本発明の化合物(I)、それらの塩またはそれらの溶媒和物を含有する医薬は、必要に応じた投与法および剤形により使用可能であり、その製剤は通常用いられている各種製剤の調製法にて、必要に応じて薬学的に許容される担体を配合して、投与法に合致した剤形を選択すればよく、投与法および剤形は特に限定されるものではない。
経口用製剤としては、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤等の固形製剤の他に、液剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤等の液体製剤を挙げることができる。
注射剤としては、化合物(I)、その塩もしくは溶媒和物、またはその塩の溶媒和物を溶解して容器に充填してもよく、またそれを凍結乾燥等によって固形として用時調製の製剤としてもよい。
これらの製剤を調製する場合には、製剤学上許容される添加物、例えば結合剤、崩壊剤、溶解促進剤、滑沢剤、充填剤、賦形剤等を必要に応じて選択して用いることができる。
【実施例】
【0078】
以下に、本発明中の具体的な化合物の製造法を示すとともに、それらの化合物がCOX−1およびCOX−2を阻害することなく強力な血小板凝集抑制作用を示すことを具体的な試験で示す。
【0079】
[参考例1]5−ヒドラジノ−2−メトキシピリジン塩酸塩
【0080】
【化9】

【0081】
5−アミノ−2−メトキシピリジン(6.21g)の濃塩酸(50ml)溶液に氷冷下、亜硝酸ナトリウム(3.795g)の水(20ml)溶液を60分で滴下し、同温で30分攪拌した。反応液に塩化スズ(II)2水和物(39.5g)の濃塩酸(30ml)溶液を内温約10℃で30分かけて滴下後、室温にて2時間攪拌した。反応液に氷冷下、水酸化ナトリウム(75g)の水(300ml)溶液とジエチルエーテルを加えて分液した。また、水層をジエチルエーテルにて2回抽出した。さらに、水層を食塩で飽和させた後、ジエチルエーテルで抽出し、有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、濾液に1M−塩酸−エタノール溶液(50ml)を加えて攪拌し、析出した固体を濾取後、ジエチルエーテルで洗浄、乾燥して標題化合物(5.02g,57%)を得た。
【0082】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:3.81(3H,s),6.82(1H,d,J=8.8Hz),7.57(1H,dd,J=8.8,2.9Hz),7.97(1H,d,J=2.9Hz),8.55−9.20(1H,br),10.13−10.50(3H,br).
MS(ESI)m/z:140(M+H)+
【0083】
[参考例2]5−ヒドラジノ−2−メトキシピリジン
【0084】
【化10】

【0085】
5−アミノ−2−メトキシピリジン(6.207g)の濃塩酸(50ml)溶液に氷冷下、亜硝酸ナトリウム(3.795g)の水(20ml)溶液を80分かけて滴下し、同温で30分攪拌した。反応液に塩化スズ(II)2水和物(39.5g)の濃塩酸(30ml)溶液を内温約10℃で60分かけて滴下後、室温にて12.5時間攪拌した。反応液に氷冷下、水酸化ナトリウム(54g)の水(200ml)溶液とクロロホルムを加え不溶物を濾去した後、分液した。さらに、水層をクロロホルムにて2回抽出し、有機層を合わせ無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去して標題化合物(4.23g,60%)を個体として得た。
【0086】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.50−3.68(2H,br),3.88(3H,s),4.86−5.03(1H,br),6.66(1H,d,J=8.8Hz),7.20(1H,dd,J=8.8,2.9Hz),7.77(1H,d,J=2.9Hz).
MS(ESI)m/z:140(M+H)+
【0087】
[参考例3]1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸
【0088】
【化11】

【0089】
1)1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル
アセトフェノン(9.85g)のN,N−ジメチルホルムアミド(80ml)溶液に、0℃で60%水素化ナトリウム(6.56g)を加え30分間攪拌した。反応液に、シュウ酸ジエチル(23.97g)のN,N−ジメチルホルムアミド(80ml)溶液を10分間で滴下し室温で13時間攪拌した。反応液に1規定塩酸(180ml)を加え酸性とし、水と酢酸エチルを加え分液した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し4−フェニル−2,4−ジオキソブタン酸エチルエステル(22.96g,定量的)を油状物として得た。これ以上精製することなく次の反応に供した。得られた4−フェニル−2,4−ジオキソブタン酸エチルエステルをエタノール(200ml)に溶解し、参考例2の5−ヒドラジノ−2−メトキシピリジン(11.39g)を加え4時間加熱還流した。空冷後、反応溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)で精製し1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(16.37g,61%)を油状物として得た。
【0090】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.42(3H,t,J=7.0Hz),3.93(3H,s),4.45(2H,q,J=7.0Hz),6.73(1H,d,J=8.8Hz),7.04(1H,s),7.19−7.26(2H,m),7.30−7.37(3H,m),7.57(1H,dd,J=8.8,2.6Hz),8.11(1H,d,J=2.6Hz).
MS(ESI)m/z:324(M+H)+
【0091】
2)標題化合物
上記1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(16.37g)のメタノール(250ml)溶液に、1規定水酸化ナトリウム水溶液(126ml)を加え30分間攪拌した。反応溶媒を減圧下留去し得られた残渣に水とジエチルエーテルを加え分液した。水層に1規定塩酸水溶液(140ml)を加え酸性とし、酢酸エチルを加え抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し標題化合物(13.88g,92%)を個体として得た。
【0092】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.94(3H,s),6.75(1H,d,J=8.8Hz),7.10(1H,s),7.21−7.27(2H,m),7.32−7.39(3H,m),7.58(1H,dd,J=8.8,2.6Hz),8.12(1H,d,J=2.6Hz).
MS(ESI)m/z:296(M+H)+
【0093】
[参考例4][1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアミン
【0094】
【化12】

【0095】
1)[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]メタノール
参考例3の1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1.181g)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に、アルゴン雰囲気、氷冷下1.08M−ボラン−テトラヒドロフラン錯体のテトラヒドロフラン溶液(9.2ml)を10分かけて滴下後、室温で7時間攪拌した。反応液に水、及び酢酸エチルを加えて攪拌し、析出した不溶物を濾去後、有機層を分離した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製し[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]メタノール(682mg,60%)を油状物として得た。
【0096】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.92(3H,s),4.79(2H,s),6.52(1H,s),6.72(1H,d,J=8.5Hz),7.18−7.27(2H,m),7.29−7.37(3H,m),7.52(1H,dd,J=8.5,2.7Hz),8.07(1H,d,J=2.7Hz).
MS(ESI)m/z:282(M+H)+
【0097】
2)[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]メチル=メタンスルホナート
上記[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]メタノール(112mg)の塩化メチレン(4ml)溶液に、室温にてトリエチルアミン(61μl)、およびメタンスルホニルクロリド(34μl)を加えて15分間攪拌した。反応液に水と酢酸エチルを加えて分液した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]メチル=メタンスルホナート(138mg,96%)を油状物として得た。
MS(ESI)m/z:360(M+H)+
【0098】
3)[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアジド
上記[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]メチル=メタンスルホナート(138mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(4ml)溶液にアジ化ナトリウム(130mg)を加え80℃で13時間攪拌した。空冷後、反応液に水と酢酸エチルを加え分液し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアジド(105mg,89%)を油状物として得た。
ESI−MSm/z:307(M+H)+
【0099】
4)標題化合物
上記[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアジド(105mg)のエタノール(10ml)溶液に10%パラジウム−炭素(50% wet,20mg)を加え、水素雰囲気下室温で1時間攪拌した。触媒を濾去し、母液溶媒を減圧下留去し標題化合物(96mg,定量)を油状物として得た。
ESI−MSm/z:281(M+H)+
【0100】
[参考例5]1−(6−メトキシ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル
【0101】
【化13】

【0102】
1)4−(2−ピリジル)−2,4−ジオキソブタン酸メチルエステル
アルゴン雰囲気下、シュウ酸ジメチル(5.00g)とナトリウムメトキシド(2.29g)のメタノール(26ml)溶液に、室温で2−アセチルピリジン(2.56g)のメタノール(26ml)溶液を加え15分間攪拌後、60℃で45分間攪拌した。空冷後、反応液に水を加えジエチルエーテルで洗浄した。水層に飽和塩化アンモニウム水溶液とクロロホルムを加え分液し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、減圧下溶媒を留去し4−(2−ピリジル)−2,4−ジオキソブタン酸メチルエステル(3.44g,79%)を固体として得た。
【0103】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.94(3H,s),7.54−7.50(1H,m),7.64(1H,s),7.93−7.89(1H,m),8.19−8.16(1H,m),8.74−8.72(1H,m).
EI−MSm/z:207(M+).
【0104】
2)1−(6−クロロ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル
上記4−(2−ピリジル)−2,4−ジオキソブタン酸メチルエステル(4.143g)と3−クロロ−6−ヒドラジノピリジン(2.891g)のメタノール(100ml)溶液を109時間加熱還流した。反応液に濃塩酸(2ml)を加え、さらに6時間加熱還流した。空冷後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルを加え分液し、有機層を水、及び飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し1−(6−クロロ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(3.169g,50%)を固体として得た。
【0105】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:4.00(3H,s),7.24−7.28(1H,m),7.24(1H,s),7.64(1H,dt,J=7.8,1.2Hz),7.70(1H,d,J=9.0Hz),7.79(1H,td,J=7.8,1.7Hz),8.09(1H,d,J=9.0Hz),8.38−8.41(1H,m).
ESI−MSm/z:316(M+H)+
【0106】
3)標題化合物
上記1−(6−クロロ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(2.981g)のメタノール(190ml)溶液に、室温でナトリウムメトキシド(1.530g)を加え19時間攪拌した。反応液に1規定塩酸水溶液(19ml)を加え、減圧下メタノールを留去し得られた残渣に水を加え不溶固体を濾取し、乾燥することで標題化合物(2.571g,87%)を固体として得た。
【0107】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.99(3H,s),4.10(3H,s),7.15(1H,d,J=9.3Hz),7.21−7.23(1H,m),7.24(1H,s),7.58−7.61(1H,m),7.73−7.78(1H,m),7.93(1H,d,J=9.3Hz),8.40−8.41(1H,m).
LC−MSm/z:312(M+H)+
【0108】
[参考例6]1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イルアミン
【0109】
【化14】

【0110】
1)1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イルアミン
アルゴン雰囲気下、参考例2の5−ヒドラジノ−2−メトキシピリジン(6.0g)とケイ皮酸ニトリル(5.57g)のエタノール(120ml)溶液に、室温でナトリウムメトキシド(4.66g)を加え13時間加熱還流した。空冷後、反応液に水とクロロホルムを加え分液した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、減圧下溶媒を留去し得られた残渣にジエチルエーテルを加え、生じた固体を濾取後、乾燥し4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イルアミン体(8.28g,71%)を得た。
【0111】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.82−2.88(1H,m),3.28−3.32(1H,m),3.81(3H,s),4.02(2H,m),4.70−4.76(1H,m),6.57(1H,d,J=8.8Hz),7.26−7.42(6H,m),7.61(1H,d,J=2.8Hz).
MS(EI)m/z:268(M+).
【0112】
2)標題化合物
上記1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イルアミン(8.27g)のジクロロメタン(165ml)溶液に、室温で二酸化マンガン(10.7g)を加え3時間攪拌した。反応液よりセライトを用いて不溶物を濾別し、濾液に水とクロロホルムを加え分液した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、減圧下溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−酢酸エチル)で精製し、標題化合物(6.92g,84%)を固体として得た。
【0113】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.79(2H,br s),3.91(3H,s),5.92(1H,s),6.69(1H,d,J=8.8Hz),7.20−7.32(5H,m),7.49(1H,dd,J=8.8,2.8Hz),8.00(1H,d,J=2.8Hz).
MS(EI)m/z:266(M+).
【0114】
[参考例7]1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イルアミン
【0115】
【化15】

【0116】
1)3−(2−ピリジル)アクリロニトリル
60%水素化ナトリウム(3.7g)のテトラヒドロフラン(120ml)懸濁液に、氷冷下シアノメチルホスホン酸ジエチル(10.0g)を滴下し20分間攪拌した。反応液に2−ピリジンカルボキシアルデヒド(9.0g)のテトラヒドロフラン(30ml)溶液を滴下し24時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニア水溶液と酢酸エチルを加え分液し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、減圧下溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)で精製し3−(2−ピリジル)アクリロニトリル(3.9g,35%)を固体として得た。
【0117】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:6.59(1H,d,J=16.1Hz),7.31−7.35(2H,m),7.40(1H,d,J=16.1Hz),7.72−7.77(1H,m),8.63−8.65(1H,m)。
MS(EI)m/z:130(M+).
【0118】
2)1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イルアミン
参考例2の5−ヒドラジノ−2−メトキシピリジン(4.17g)と上記3−(2−ピリジル)アクリロニトリル(3.9g)とを用いて、参考例6の1)と同様の方法で1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イルアミン(4.5g,55%)を固体として得た。
MS(EI)m/z:269(M+).
【0119】
3)標題化合物
上記1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イルアミン(4.5g)のジクロロメタン(100ml)溶液に、室温で二酸化マンガン(5.3g)を加え3時間攪拌した。反応液よりセライトとフロリジルを用いて不溶物を濾別し、濾液の有機溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)で精製し標題化合物(3.06g,38%)を固体として得た。
【0120】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.84(2H,br s),3.92(3H,s),6.17(1H,s),6.72(1H,d,J=8.8Hz),7.19−7.24(2H,m),7.57−7.65(2H,m),8.01(1H,d,J=2.7Hz),8.52−8.55(1H,m).
MS(FAB)m/z:268(M+H)+
【0121】
[参考例8]1−(6−メトキシ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イルアミン
【0122】
【化16】

【0123】
3−クロロ−6−ヒドラジドピリジン(3.61g)と参考例7の1)の3−(2−ピリジル)アクリロニトリル(3.25g)のメタノール(75ml)溶液に、ナトリウムメトキシド(2.70g)を加え、アルゴン雰囲気下、75時間加熱還流した。空冷後、反応液に水とクロロホルムを加え分液した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をジクロロメタン(75ml)に溶解し、二酸化マンガン(3.0g)を加え8時間加熱還流した。空冷後、反応液より固体を濾別し、濾液溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をメタノール(25ml)に溶解し、ナトリウムメトキシド(1.08g)を加え、1時間加熱還流した。空冷後、反応液に水とクロロホルムを加え分液した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し標題化合物(0.878g,13%)を固体として得た。
【0124】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.87(2H,br s),4.06(3H,s),6.16(1H,s),7.06(1H,d,J=9.2Hz),7.16−7.27(1H,m),7.43−7.50(1H,m),7.66−7.74(1H,m),7.80(1H,d,J=9.2Hz),8.43−8.52(1H,m).
MS(ESI)m/z:269(M+H)+
【0125】
[参考例9][1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアミン
【0126】
【化17】

【0127】
1)1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル
参考例5の1)の4−(2−ピリジル)−2,4−ジオキソブタン酸メチルエステル(4.12g)のN,N−ジメチルホルムアミド(20ml)溶液に参考例2の5−ヒドラジノ−2−メトキシピリジン(2.767g)のN,N−ジメチルホルムアミド(10ml)溶液を加えて、80℃で16時間攪拌し、さらに、110℃で5時間攪拌した。空冷後、反応液に水と酢酸エチルを加え分液し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)で精製し1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(1.097g,17%)を固体として得た。
【0128】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.95(3H,s),3.98(3H,s),6.76(1H,d,J=8.8Hz),7.21−7.28(1H,m),7.28(1H,s),7.36(1H,d,J=8.0Hz),7.64−7.73(2H,m),8.10(1H,d,J=2.7Hz),8.52(1H,d,J=4.1Hz).
ESI−MSm/z:311(M+H)+
【0129】
2)[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メタノール
上記1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(1.097g)のテトラヒドロフラン(15ml)溶液に、室温で水素化ホウ素リチウム(154mg)を加え6時間攪拌した。反応液に水と酢酸エチルを加え分液し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メタノール(581mg,58%)をアモルファスとして得た。
【0130】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.07(1H,t,J=5.8Hz),3.94(3H,s),4.80(2H,d,J=5.8Hz),6.75(1H,d,J=8.8Hz),6.77(1H,s),7.18−7.24(1H,m),7.28−7.33(1H,m),7.61(1H,dd,J=2.7,8.8Hz),7.64−7.70(1H,m),8.07(1H,d,J=2.7Hz),8.51−8.56(1H,m).
ESI−MSm/z:283(M+H)+
【0131】
3)[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル=メタンスルホナート
上記[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メタノール(581mg)を用いて、参考例4の2)と同様の方法で[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル=メタンスルホナート(754mg,定量)を油状物として得た。これ以上精製することなく次の反応に供した。
ESI−MSm/z:361(M+H)+
【0132】
4)[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアジド
上記[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル=メタンスルホナート(498mg)を用いて、参考例4の3)と同様の方法で[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアジド(341mg,80%)を油状物として得た。
【0133】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.94(3H,s),4.46(2H,s),6.76(1H,d,J=8.8Hz),6.78(1H,s),7.20−7.26(1H,m),7.31(1H,d,J=7.8Hz),7.62(1H,dd,J=8.8,2.7Hz),7.64−7.71(1H,m),8.08(1H,d,J=2.7Hz),8.52−8.57(1H,m).
ESI−MSm/z:308(M+H)+
【0134】
5)標題化合物
上記[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアジド(341mg)を用いて、参考例4の4)と同様の方法で標題化合物(314mg,定量)を油状物として得た。
ESI−MSm/z:282(M+H)+
【0135】
[参考例10]1−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]エチルアミン
【0136】
【化18】

【0137】
1)1−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン
参考例3の1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1.181g)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に、氷冷下1.14Mメチルリチウムのジエチルエーテル溶液(7ml)を15分かけて滴下後、室温で4時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルを加え分液し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)で精製し1−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン(352mg,30%)を油状物として得た。
【0138】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.65(3H,s),3.95(3H,s),5.10−5.20(1H,br),6.75(1H,d,J=8.8Hz),7.00(1H,s),7.20−7.26(2H,m),7.32−7.37(3H,m),7.53(1H,dd,J=8.8,2.7Hz),8.15(1H,d,J=2.7Hz).
ESI−MSm/z:294(M+H)+
【0139】
2)1−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]エタノール
上記1−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン(353mg)のメタノール(6ml)溶液に、室温で水素化ホウ素ナトリウム(45mg)を加え1.5時間攪拌した。反応液に水と酢酸エチルを加え分液し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し1−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]エタノール(348mg,98%)を個体として得た。
【0140】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.62(3H,d,J=6.6Hz),2.39(1H,d,J=4.4Hz),3.92(3H,s),5.04(1H,qd,J=6.6,4.4Hz),6.48(1H,s),6.71(1H,d,J=8.8Hz),7.19−7.27(2H,m),7.28−7.36(3H,m),7.52(1H,dd,J=8.8,2.7Hz),8.07(1H,d,J=2.7Hz).
ESI−MSm/z:296(M+H)+
【0141】
3)3−(1−クロロエチル)−1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール
上記1−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]エタノール(345mg)のジクロロメタン(10ml)溶液に、氷冷下トリエチルアミン(179μl)とメタンスルホニルクロリド(99μl)を加え、室温で3時間攪拌した。さらに、反応液にトリエチルアミン(147μl)とメタンスルホニルクロリド(82μl)を加え5時間攪拌した。反応溶媒を減圧下留去し得られた残渣に水と酢酸エチルを加え分液し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し3−(1−クロロエチル)−1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール(448mg)を油状物として得た。
ESI−MSm/z:314(M+H)+
【0142】
4)1−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]エチルアジド
上記3−(1−クロロエチル)−1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール(448mg)とアジ化ナトリウム(380mg)とを用いて、参考例4の3)と同様の方法で1−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]エチルアジド(312mg,エタノール体から2工程で83%)を油状物として得た。
【0143】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.65(3H,d,J=7.0Hz),3.93(3H,s),4.74(1H,q,J=7.0Hz),6.50(1H,s),6.72(1H,d,J=8.8Hz),7.20−7.26(2H,m),7.30−7.37(3H,m),7.53(1H,dd,J=8.8,2.7Hz),8.07(1H,d,J=2.7Hz).
ESI−MSm/z:321(M+H)+
【0144】
5)標題化合物
上記1−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]エチルアジド(312mg)を用いて、参考例4の4)と同様の方法で標題化合物(298mg,定量)を油状物として得た。
ESI−MSm/z:295(M+H)+
【0145】
[参考例11][1−(6−メトキシ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアミン
【0146】
【化19】

【0147】
1)[1−(6−メトキシ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メタノール
参考例5の1−(6−メトキシ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(2.567g)のテトラヒドロフラン(80ml)溶液に、水素化ホウ素リチウム(1.077g)を加え室温で46時間攪拌した。反応溶媒を減圧下留去し得られた残渣に水と酢酸エチルを加え分液し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し[1−(6−メトキシ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メタノール(1.141g,48%)をアモルファスとして得た。
【0148】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.04−2.15(1H,br),4.09(3H,s),4.82(2H,s),6.74(1H,s),7.11(1H,d,J=9.3Hz),7.19−7.23(1H,m),7.51−7.55(1H,m),7.72(1H,td,J=7.8,1.9Hz),7.83(1H,d,J=9.3Hz),8.42−8.45(1H,m).
ESI−MSm/z:284(M+H)+
【0149】
2)[1−(6−メトキシ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル=メタンスルホナート
上記[1−(6−メトキシ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メタノール(1.097g)を用いて、参考例4の2)と同様の方法で[1−(6−メトキシ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル=メタンスルホナート(1.078g,77%)を個体として得た。
ESI−MSm/z:362(M+H)+
【0150】
3)[1−(6−メトキシ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアジド
上記[1−(6−メトキシ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル=メタンスルホナート(1.078mg)とアジ化ナトリウム(969mg)を用いて、参考例4の3)と同様の方法で[1−(6−メトキシ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアジド(790mg,85%)を個体として得た。
【0151】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:4.10(3H,s),4.46(2H,s),6.75(1H,s),7.13(1H,d,J=9.3Hz),7.20−7.24(1H,m),7.54(1H,d,J=7.8Hz),7.73(1H,td,J=7.8,1.8Hz),7.85(1H,d,J=9.3Hz),8.43−8.46(1H,m).
ESI−MSm/z:309(M+H)+
【0152】
4)標題化合物
上記[1−(6−メトキシ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアジド(254mg)のメタノール(25ml)溶液に、室温で10%パラジウム−炭素(50%wet,51mg)を加え水素雰囲気下2時間攪拌した。触媒を濾去後、母液溶媒を減圧下留去し標題化合物(228mg,98%)を個体として得た。
ESI−MSm/z:283(M+H)+
【0153】
[参考例12]N−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル−N−メチルアミン
【0154】
【化20】

【0155】
参考例9の3)の[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル=メタンスルホナート(214mg)のテトラヒドロフラン(5ml)溶液に、2.0Mメチルアミン−テトラヒドロフラン溶液(1.48ml)を加え室温45時間攪拌した。反応液にジエチルエーテルを加え不溶物を濾別した後、濾液溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し標題化合物(52mg,29%)を油状物として得た。
ESI−MSm/z:296(M+H)+
【0156】
[実施例1]N−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イルメチル]アセタミド
【0157】
【化21】

【0158】
参考例4の[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアミン(96mg)のジクロロメタン(5ml)溶液に、室温でトリエチルアミン(95μl)と塩化アセチル(36μl)を加え1時間攪拌した。反応液に水と酢酸エチルを加え分液し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し標題化合物(93mg,84%)をアモルファスとして得た。
【0159】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.05(3H,s),3.93(3H,s),4.54(2H,d,J=5.2Hz),6.07−6.17(1H,br),6.46(1H,s),6.72(1H,d,J=8.8Hz),7.19−7.26(2H,m),7.30−7.37(3H,m),7.50(1H,dd,J=8.8,2.7Hz),8.07(1H,d,J=2.7Hz).
ESI−MSm/z:323(M+H)+
【0160】
[実施例2]3−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イルメチル]−1−メチルウレア
【0161】
【化22】

【0162】
クロロギ酸4−ニトロフェニル(87mg)のジクロロメタン(4ml)溶液に、氷冷下参考例4の[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアミン(121mg)とトリエチルアミン(44μl)のジクロロメタン(4ml)溶液を1分間で滴下し室温で1時間攪拌した。反応液に氷冷下、40%メチルアミンのメタノール溶液(85μl)とトリエチルアミン(44μl)を加え室温で2時間攪拌した。反応溶媒を減圧下留去し得られた残渣に水と酢酸エチルを加え分液し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、及び飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し標題化合物(100mg,68%)をアモルファスとして得た。
【0163】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.80(3H,d,J=4.9Hz),3.93(3H,s),4.46(2H,d,J=5.5Hz),4.47−4.56(1H,br),4.90−4.98(1H,br),6.47(1H,s),6.71(1H,d,J=8.8Hz),7.17−7.23(2H,m),7.28−7.33(3H,m),7.49(1H,dd,J=2.7,8.8Hz),8.07(1H,d,J=2.7Hz).
ESI−MSm/z:338(M+H)+
【0164】
[実施例3]3−[1−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]エチル]−1−メチルウレア
【0165】
【化23】

【0166】
参考例10の1−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]エチルアミン(152mg)を用いて、実施例2と同様の方法で標題化合物(119mg,63%)を個体として得た。
【0167】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.56(3H,d,J=6.6Hz),2.78(3H,d,J=4.6Hz),3.92(3H,s),4.68−4.77(1H,br),4.98(1H,qd,J=6.8,6.6Hz),5.10(1H,d,J=6.8Hz),6.41(1H,s),6.71(1H,d,J=8.8Hz),7.17−7.23(2H,m),7.28−7.33(3H,m),7.48(1H,dd,J=8.8,2.4Hz),8.07(1H,d,J=2.4Hz).
ESI−MSm/z:352(M+H)+
【0168】
[実施例4]3−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イルメチル]−1−メチルウレア
【0169】
【化24】

【0170】
参考例9の[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアミン(121mg)を用いて、実施例2と同様の方法で標題化合物(36mg,23%)を個体として得た。
【0171】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.79(3H,d,J=4.9Hz),3.94(3H,s),4.47(2H,d,J=5.6Hz),4.54−4.68(1H,br),5.00−5.12(1H,br),6.72(1H,s),6.74(1H,d,J=8.8Hz),7.17−7.23(1H,m),7.30(1H,d,J=8.0Hz),7.58(1H,dd,J=8.8,2.7Hz),7.61−7.68(1H,m),8.06(1H,d,J=2.7Hz),8.49−8.55(1H,m).
ESI−MSm/z:339(M+H)+
【0172】
[実施例5]1−イソプロピル−3−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イルメチル]ウレア
【0173】
【化25】

【0174】
参考例5の[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアミン(28mg)のジクロロメタン(3ml)溶液に、イソシアン酸イソプロピル(11μl)を加え室温1時間攪拌した。反応溶媒を減圧下留去し得られた残渣を酢酸エチル−ヘキサンより結晶化し、濾取することにより標題化合物(28mg,77%)を得た。
【0175】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.15(6H,d,J=6.6Hz),3.83−3.93(1H,m),3.94(3H,s),4.29−4.36(1H,br),4.47(2H,d,J=5.6Hz),4.77−4.83(1H,br),6.72(1H,s),6.75(1H,d,J=8.8Hz),7.17−7.23(1H,m),7.28−7.33(1H,m),7.58(1H,dd,J=8.8,2.7Hz),7.63−7.69(1H,m),8.06(1H,d,J=2.7Hz),8.49−8.55(1H,m).
ESI−MSm/z:367(M+H)+
【0176】
[実施例6]3−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イルメチル]−1−フェニルウレア
【0177】
【化26】

【0178】
参考例9の[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアミン(28mg)とイソシアン酸フェニル(12μl)を用いて、実施例5と同様の方法で標題化合物(24mg,60%)を個体として得た。
【0179】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.94(3H,s),4.55(2H,d,J=5.6Hz),5.31−5.38(1H,br),6.53−6.61(1H,br),6.74(1H,s),6.74(1H,d,J=8.8Hz),7.04−7.11(1H,m),7.18−7.23(1H,m),7.26−7.35(5H,m),7.57(1H,dd,J=8.8,2.7Hz),7.62−7.69(1H,m),8.05(1H,d,J=2.7Hz),8.49−8.54(1H,m).
ESI−MSm/z:401(M+H)+
【0180】
[実施例7]1,1−ジメチル−3−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イルメチル]ウレア
【0181】
【化27】

【0182】
参考例9の[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアミン(33mg)のジクロロメタン(2ml)溶液に、トリエチルアミン(20μl)と塩化N,N−ジメチルカルバモイル(13μl)を加え室温18時間攪拌した。反応溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し標題化合物(34mg,82%)を油状物として得た。
【0183】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.94(6H,s),3.94(3H,s),4.53(2H,d,J=5.3Hz),4.95−5.05(1H,br),6.74(1H,s),6.75(1H,d,J=8.8Hz),7.17−7.23(1H,m),7.30(1H,d,J=7.8Hz),7.59(1H,dd,J=8.8,2.7Hz),7.61−7.68(1H,m),8.07(1H,d,J=2.7Hz),8.49−8.54(1H,m).
ESI−MSm/z:353(M+H)+
【0184】
[実施例8]1,3−ジメチル−3−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イルメチル]ウレア
【0185】
【化28】

【0186】
参考例12のN−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル−N−メチルアミン(52mg)とイソシアン酸メチル(16μl)とを用いて、実施例2と同様の方法で標題化合物(51mg,82%)を油状物として得た。
【0187】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.82(3H,d,J=4.6Hz),3.00(3H,s),3.94(3H,s),4.52(2H,s),4.77−4.86(1H,br),6.71(1H,s),6.75(1H,d,J=8.8Hz),7.18−7.23(1H,m),7.30(1H,d,J=8.0Hz),7.59(1H,dd,J=8.8,2.7Hz),7.63−7.70(1H,m),8.07(1H,d,J=2.7Hz),8.50−8.55(1H,m).
ESI−MSm/z:353(M+H)+
【0188】
[実施例9]N−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イルメチル]カルバミド酸メチルエステル
【0189】
【化29】

【0190】
参考例9の[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアミン(25mg)のジクロロメタン(3ml)溶液に、トリエチルアミン(14μl)とクロロギ酸メチル(8μl)を加え室温1時間攪拌した。反応液に水と酢酸エチルを加え分液し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し標題化合物(27mg,90%)を油状物として得た。
【0191】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.71(3H,s),3.94(3H,s),4.49(2H,d,J=5.3Hz),5.18−5.31(1H,br,NH),6.72(1H,s),6.75(1H,d,J=8.8Hz),7.18−7.24(1H,m),7.28(1H,d,J=7.8Hz),7.60(1H,dd,J=8.8,2.7Hz),7.62−7.69(1H,m),8.05(1H,d,J=2.7Hz),8.50−8.56(1H,m).
ESI−MSm/z:340(M+H)+
【0192】
[実施例10]モルホリン−4−カルボン酸[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアミド
【0193】
【化30】

【0194】
参考例10の[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアミン(32mg)と4−モルホリンカルボニルクロリド(16μl)を用いて、実施例2と同様の方法で標題化合物(41mg,93%)を油状物として得た。
【0195】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.38(4H,t,J=4.9Hz),3.69(4H,t,J=4.9Hz),3.94(3H,s),4.55(2H,d,J=5.1Hz),5.05−5.15(1H,br),6.73(1H,s),6.75(1H,d,J=8.8Hz),7.17−7.23(1H,m),7.29(1H,d,J=7.8Hz),7.58(1H,dd,J=8.8,2.7Hz),7.61−7.68(1H,m),8.07(1H,d,J=2.7Hz),8.49−8.55(1H,m).
ESI−MSm/z:395(M+H)+
【0196】
[実施例11]3−[1−(6−メトキシ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イルメチル]−1−メチルウレア
【0197】
【化31】

【0198】
参考例11の[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリダジニル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアミン(228mg)を用いて、実施例2と同様の方法で標題化合物(180mg,64%)を個体として得た。
【0199】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.79(3H,d,J=4.9Hz),4.10(3H,s),4.48(2H,d,J=5.6Hz),4.70−4.79(1H,br m),5.18−5.25(1H,br m),6.70(1H,s),7.09(1H,d,J=9.3Hz),7.19(1H,ddd,J=7.6,4.9,1.2Hz),7.48−7.52(1H,m),7.70(1H,dt,J=7.6,1.7Hz),7.72(1H,d,J=9.3Hz),8.38−8.41(1H,m).
ESI−MSm/z:340(M+H)+
元素分析:C161772・0.5H2Oして
理論値:C,55.17;H,5.21;N,28.14.
実測値:C,55.33;H,5.00;N,28.14.
【0200】
[実施例12]N−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]−2,2−ジメチルプロピオンアミド
【0201】
【化32】

【0202】
参考例7の1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イルアミン(100mg)のジクロロメタン(2ml)溶液に、室温でトリエチルアミン(0.1ml)と塩化ピバロイル(44mg)を加え1日時間攪拌した。反応液に水とジクロロメタンを加え分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲル薄層クロマログラフィー(ジクロロメタン−メタノール)で精製し標題化合物(95mg,72%)を個体として得た。
【0203】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.33(9H,s),3.94(3H,s),6.74(1H,dd,J=8.8,0.5Hz),7.18−7.20(1H,m),7.27(2H,d,J=5.1Hz),7.47−7.49(1H,m),7.55−7.59(1H,m),7.67−7.70(1H,m),8.05(1H,d,J=2.7Hz),8.45−8.47(1H,m).
FAB−MSm/z:352(M+H)+
【0204】
[実施例13]N−[1−(6−メトキシ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル]−2,2−ジメチルプロピオンアミド
【0205】
【化33】

【0206】
参考例8の1−(6−メトキシ−3−ピリダジニル)−5−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3(440mg)を用いて、実施例12と同様の方法で標題化合物(421mg,79%)を個体として得た。
【0207】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.34(9H,s),4.10(3H,s),7.07(1H,d,J=9.03Hz),7.17−7.21(1H,m),7.30(1H,s),7.61−7.76(3H,m),8.00(1H,br s),8.37−8.39(1H,m).
EI−MSm/z:352(M+).
【0208】
[実施例14]N−tert−ブチル−N’−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]オキサミド
【0209】
【化34】

【0210】
1)N−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]オキサミド酸エチルエステル
参考例6の1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イルアミン(500mg)のジクロロメタン(10ml)溶液に、室温でトリエチルアミン(0.33ml)と塩化グリオキシ酸エチルエステル(280mg)を加え16時間攪拌した。反応液に水とジクロロメタンを加え分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマログラフィー(ジクロロメタン−エタノール)で精製しN−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]オキサミド酸エチルエステル(680mg,定量)を油状物として得た。
【0211】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.44(3H,t,J=7.1Hz),3.94(3H,s),4.43(2H,q,J=7.1Hz),6.72(1H,d,J=8.8Hz),7.10(1H,s),7.25−7.28(5H,m),7.47−7.51(1H,m),8.07(1H,d,J=2.5Hz),9.40(1H,br s).
EI−MSm/z:366(M+).
【0212】
2)N−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]オキサミド酸
上記N−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]オキサミド酸エチルエステル(680mg)のエタノール(5ml)とテトラヒドロフラン(5ml)及び水(1ml)溶液に6規定水酸化ナトリウム水溶液(0.2ml)を加え室温で24時間攪拌した。反応溶媒を減圧下留去し得られた残渣に濃塩酸を加え中和後、ジクロロメタンを加え分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去しN−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]オキサミド酸(560mg,89%)を得た。これ以上精製することなく次の反応に供した。
EI−MSm/z:338(M+).
【0213】
3)標題化合物
上記N−[1−(6−メトキシ−3−ピリジル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]オキサミド酸(560mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(340mg),1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(475mg)及びtert−ブチルアミン(133mg)のジクロロメタン(10ml)溶液に、室温でトリエチルアミン(0.4ml)を加え16時間攪拌した。反応液に水とジクロロメタンを加え分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン−アセトン)で精製し標題化合物(55mg,7.4%)を個体として得た。
【0214】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.44(9H,s),3.93(3H,s),6.72(1H,d,J=8.8Hz),7.02(1H,s),7.24−7.39(5H,m),7.45−7.59(1H,m),8.06(1H,d,J=2.7Hz),9.76(1H,br s).
EI−MSm/z:393(M+).
【0215】
[試験例1]血小板凝集抑制作用
血液凝固阻止剤として1/10容の3.13%クエン酸ナトリウムを用いてヒト血液を採取し、180gで10分間遠心して多血小板血漿(PRP)を分離した。上層のPRPを分取後、下層を1600gで10分間遠心して上層の乏血小板血漿(PPP)を分取した。PRP200μlに実施例化合物の溶液1μlを加えて37℃で2分間静置後、コラーゲン2μlを添加して血小板凝集を誘起した。血小板凝集率はPAM−12C(SSRエンジニアリング)を用いて測定した。PPPの光透過率を100%凝集値とし、実施例化合物の各濃度における凝集率を求め、IC50値を算出した。結果を表1に示す。
【0216】
[試験例2]シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)およびシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害作用
実施例化合物のCOX−1およびCOX−2阻害活性の測定には、Cayman Chemical CompanyのCOX阻害薬スクリーニングアッセイキット(カタログ番号560101,560121)を用いた。
測定前に反応緩衝液、ヘム、アラキドン酸、SnCl2、EIA緩衝液、洗浄緩衝液、
プロスタグランジン(PG)スクリーニングEIA標準液、PGスクリーニングアセチルコリンエステラーゼ(AchE)、トレーサー(発色酵素HRPコンジュゲート)、PGスクリーニングEIA抗血清を用意した。
(1)COX−1またはCOX−2によるPGF2αの産生
実施例化合物(50μM)およびCOX−1またはCOX−2を含む反応液を37℃で10分間静置後、アラキドン酸10μlを加えて37℃で2分間静置した。反応後に1N−塩酸50μlを加えて反応を停止した後、SnCl2溶液100μlを加えて5分間室温で静置した。
(2)ELISAによるPGF2αの定量
マウス抗ウサギIgGでコーティングした96穴(ウェル)プレートの各ウェルに抗血清(ウサギ抗PGF2α抗体)50μlを加えた後、上記のPGF2α産生反応液を2000倍に希釈した溶液50μl、AchEトレーサー50μlを順次加えて室温で18時間静置した。洗浄緩衝液で各ウェルを5回洗浄して過剰のAchEトレーサーを除去後、エルマン(Ellman)試薬200μlを添加した。60分間暗室に静置した後、405nmで吸光度を測定した。
(3)実施例化合物の阻害活性の算出
PGスクリーニングEIA標準液を用いて標準曲線を作成し、上記の吸光度からPGF2αの産生量を求めた。実施例化合物50μMにおけるCOX−1またはCOX−2の阻
害率を算出した。結果を表1に示す。
なお、阻害率の算出においては、実施例化合物を含まない反応液を用いて得たPGF2αの産生量を100%とした。
【0217】
【表1】

【0218】
表1から明らかなように、本発明の化合物(I)、それらの塩もしくは溶媒和物、またはその塩の溶媒和物は、強力な血小板凝集抑制作用を有し、かつCOX−1およびCOX−2阻害作用を示さなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(式中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、1ないし3個の置換基を有することもある5員もしくは6員の芳香族複素環基又は1ないし3個の置換基を有することもある炭素数6〜14のアリール基を示し;
1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル基を示し;
3は、水素原子又は置換基を有することもある低級アルキル基を示し;
4は、置換基を有することもある低級アルキル基、置換基を有することもあるアミノ基、置換基を有することもある低級アルコキシ基、置換基を有することもあるカルバモイル基又は1ないし3個の置換基を有することもある複素環基を示し;
nは0又は1の数を示す。)
で表される化合物、その塩又はそれらの溶媒和物。
【請求項2】
Ar1及びAr2が、それぞれ独立して、1ないし3個の置換基を有することもある、窒素原子1〜3個を有する5員もしくは6員の芳香族複素環基又は1ないし3個の置換基を有することもあるフェニル基である請求項1記載の化合物、その塩又はそれらの溶媒和物。
【請求項3】
3が、水素原子、低級アルキル基又はカルボキシ低級アルキル基である請求項1又は2記載の化合物、その塩又はその溶媒和物。
【請求項4】
4が、低級アルキル基、低級アルキルアミノ基、ジ(低級アルキル)アミノ基、炭素数6〜14のアリールアミノ基、低級アルコキシ基、モルホリノ基又は低級アルキルカルバモイル基である請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物、その塩又はその溶媒和物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物、その塩、またはそれらの溶媒和物を含有する医薬。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物、その塩、またはそれらの溶媒和物を含有する虚血性疾患の予防および/または治療剤。

【公開番号】特開2007−84437(P2007−84437A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−433974(P2003−433974)
【出願日】平成15年12月26日(2003.12.26)
【出願人】(000002831)第一製薬株式会社 (129)
【Fターム(参考)】