説明

アミノアルコール誘導体及びそれらを有効成分とする免疫抑制剤

【課題】優れた免疫抑制作用を有し、かつ副作用の少ないアミノアルコール誘導体を提供すること。
【解決手段】代謝拮抗剤やカルシニューリン阻害剤とは作用機序を異にする 一般式(1)


[式中、Rは塩素原子、炭素数1〜3の直鎖状アルキル基又はトリフルオロメチル基を、Rはフッ素原子又は塩素原子を、Rは炭素数1〜3の直鎖状アルキル基を、XはSO又はSO2を、nは2又は3を示す]で表されるアミノアルコール誘導体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫抑制剤として有用なアミノアルコール誘導体、その塩及び水和物に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫抑制剤は関節リウマチ、腎炎、変形性膝関節炎、全身性エリテマトーデス等の自己免疫疾患や炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患、喘息、皮膚炎などのアレルギー疾患の治療薬として多方面に利用されている。特に、医療技術の進歩に伴い、組織や臓器等の移植手術が数多く実施されるようになってきた近年の医療現場においては、移植後の拒絶反応をいかにうまくコントロールすることができるかが移植の成否を握っており、この領域においても免疫抑制剤は大変重要な役割を果たしている。
【0003】
臓器移植においては、アザチオプリンやミコフェノール酸モフェチルに代表される代謝拮抗剤、シクロスポリンAやタクロリムスに代表されるカルシニューリン阻害剤、プレドニゾロンに代表される副腎皮質ホルモン剤が用いられている。しかしながら、これらの薬剤は効果が不十分であったり、また腎障害などの重篤な副作用を回避するために薬物の血中濃度モニタリングが必須とされているものもあり、その効果や副作用の点で必ずしも満足のできるものではない。
【0004】
さらに、免疫抑制剤の副作用を軽減し十分な免疫抑制作用を得るために、作用機序の異なる複数の薬剤を使用する多剤併用療法が一般的であり、前述した免疫抑制剤とは異なる作用機序を持つ新しいタイプの薬剤の開発も望まれている。
【0005】
近年、2−アミノ−1,3−プロパンジオール誘導体や2−アミノエタノール誘導体といった様々なアミノアルコール誘導体が新規な免疫抑制剤として報告され注目を集めているが、これらアミノアルコール誘導体自体が免疫抑制作用を保持しているわけではない。これらの薬物が投与された後に生体内で代謝されて生成するリン酸エステル体こそが真の生理活性物質であり、生成したリン酸エステルは各種のスフィンゴシン−1−リン酸(S1P)受容体に対するアゴニスト作用やアンタゴニスト作用を示す。中でもS1P1受容体に対するアゴニスト作用は白血球の遊走を調節し免疫抑制作用を発揮することが2002年に初めて報告された(非特許文献1、非特許文献2)。また、これらの非特許文献に紹介された一連の誘導体が各種臓器移植、GVHDに対する有効性以外に関節リウマチ、ループス腎炎、全身性エリテマトーデス、橋本病、多発性硬化症、重症筋無力症、I及びII型糖尿病、クローン病などの自己免疫疾患、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性接触皮膚炎などのアレルギー性疾患、炎症性腸疾患或いは潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患に有効であることが(特許文献1、特許文献2)に開示されている。これらの報告以来、アミノアルコール誘導体だけでなく、アミノリン酸エステル誘導体やアミノカルボン酸誘導体など様々な化合物が免疫抑制剤あるいはS1P1受容体を中心としたS1P〜S1P5受容体調節剤として開示されている(特許文献3〜66)。
【0006】
さらにS1P4受容体については白血球などの免疫担当細胞や免疫系に大きく関与する臓器に極度に分布することから、免疫系への深い関与が示唆されており、実際にSLE、リウマチなどの自己免疫疾患や喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患や炎症性疾患治療薬を目的にS1P4アゴニスト活性を有する化合物が(特許文献34、39、50)に開示されている。
【0007】
このように多岐にわたる医学的用途の可能性を秘めたS1P受容体作動薬については多くの関心が集められているが、すべてのS1P受容体作動薬が必ずしも生体にとって望ましい作用を提供してくれるわけではない。
【0008】
たとえば、臨床試験において臓器移植拒絶反応を抑制する有用性が示されているS1P受容体作動薬に、投与後に副作用として徐脈が認められ、この作用に関してはS1P3受容体に対するアゴニスト作用が起因しているのではないかといった報告もある(非特許文献3、非特許文献4)。また、S1P3受容体に対するアゴニストは動物実験モデルにおいて心筋の血流阻害(非特許文献5)、大脳動脈の攣縮(非特許文献6)、肺水腫(非特許文献7)といった作用を引き起こすことも報告されている。
【特許文献1】WO0218395号パンフレット
【特許文献2】WO02076995号パンフレット
【特許文献3】WO9408943号パンフレット
【特許文献4】特開平9−2579602号公報
【特許文献5】WO0206268号パンフレット
【特許文献6】特開2002−53572号公報
【特許文献7】特開2002−167382号公報
【特許文献9】WO02076995号パンフレット
【特許文献10】特開2003−137894号公報
【特許文献11】WO03040097号パンフレット
【特許文献12】WO02064616号パンフレット
【特許文献13】WO02062389号パンフレット
【特許文献14】特開2002−316985号公報
【特許文献15】特開2003−267936号公報
【特許文献16】WO03051876号パンフレット
【特許文献17】WO03061567号パンフレット
【特許文献18】WO03062248号パンフレット
【特許文献19】WO03062252号パンフレット
【特許文献20】WO03073986号パンフレット
【特許文献21】WO03074008号パンフレット
【特許文献22】WO03105771号パンフレット
【特許文献23】WO04010949号パンフレット
【特許文献24】WO04024673号パンフレット
【特許文献25】WO04058149号パンフレット
【特許文献26】WO04071442号パンフレット
【特許文献27】WO04096752号パンフレット
【特許文献28】WO04096757号パンフレット
【特許文献29】WO04103279号パンフレット
【特許文献30】WO04103306号パンフレット
【特許文献31】WO04103309号パンフレット
【特許文献32】WO04110979号パンフレット
【特許文献33】WO04113330号パンフレット
【特許文献34】WO04074297号パンフレット
【特許文献35】WO05014603号パンフレット
【特許文献36】WO05020882号パンフレット
【特許文献37】WO04002531号パンフレット
【特許文献38】WO05032465号パンフレット
【特許文献39】WO05041899号パンフレット
【特許文献40】WO05058848号パンフレット
【特許文献41】WO05070886号パンフレット
【特許文献42】WO05082089号パンフレット
【特許文献43】WO05082841号パンフレット
【特許文献44】WO05021503号パンフレット
【特許文献45】WO05040091号パンフレット
【特許文献46】WO05085179号パンフレット
【特許文献47】WO05118523号パンフレット
【特許文献48】WO05014525号パンフレット
【特許文献49】WO06020951号パンフレット
【特許文献50】WO06001463号パンフレット
【特許文献51】WO03029184号パンフレット
【特許文献52】WO03029205号パンフレット
【特許文献53】WO04026817号パンフレット
【特許文献54】WO04074297号パンフレット
【特許文献55】WO05021503号パンフレット
【特許文献56】特開2004−307439号公報
【特許文献57】特開2004−307440号公報
【特許文献58】特開2004−307441号公報
【特許文献59】特開2004−307442号公報
【特許文献60】WO06041015号パンフレット
【特許文献61】特開2004−137208号公報
【特許文献62】特開2005−41867号公報
【特許文献63】特開2005−47899号公報
【特許文献64】WO05040091号パンフレット
【特許文献65】WO05063671号パンフレット
【特許文献66】WO05079788号パンフレット
【非特許文献1】S.Mandala et al.,Science,296,346(2002).
【非特許文献2】V.Brinkmannet al.,J. Biol.Chem.,277,21453(2002).
【非特許文献3】M.G.Sannaet al.,J. Biol.Chem., 279, 13839(2004).
【非特許文献4】M.Forrestet al.,J. Pharmacol.Exp.Ther.,309,758(2004).
【非特許文献5】B.Levkauet al.,Circulation,110,3358(2004).
【非特許文献6】S.Salomone et al.,Eur.J.Pharmacol.469,125(2003).
【非特許文献7】Y.Gon et al.,PNAS 102,9270(2005).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、優れた免疫抑制作用を有し、かつ副作用の少ないアミノアルコール誘導体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、代謝拮抗剤やカルシニューリン阻害剤とは作用機序を異にする免疫抑制剤について鋭意研究を重ねた結果、新規なアミノアルコール誘導体が高い安全性を有しかつ優れた免疫抑制作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【0011】
即ち、本発明は、
1)
一般式(1)
【0012】
【化1】

【0013】
[式中、Rは塩素原子又はハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1〜3の直鎖状アルキル基を、Rはフッ素原子又は塩素原子を、Rは炭素数1〜3の直鎖状アルキル基を、XはSO又はSO2を、nは2又は3を示す]
で表されるアミノアルコール誘導体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物、
【0014】
2)
前記一般式(1)で表される化合物が、一般式(1a)
【0015】
【化2】

【0016】
[式中、R、X及びnは前記定義に同じ]
で表される化合物である1)記載のアミノアルコール誘導体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物、
【0017】
3) 前記一般式(1)又は(1a)においてRがメチル基である1)又は2)に記載のアミノアルコール誘導体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物、
【0018】
4) 前記一般式(1)で示される化合物が、
(R)−2−アミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール、
又は
(R)−2−アミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール
である1)記載のアミノアルコール誘導体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物、
【0019】
5)一般式(2)
【0020】
【化3】

【0021】
[式中、Rは塩素原子又はハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1〜3の直鎖状アルキル基を、Rはフッ素原子又は塩素原子を、Aはハロゲン原子を、XはSO又はSO2を、nは2又は3を示す]
で表される化合物と一般式(10)
【0022】
【化4】

【0023】
[式中、Rは炭素数1〜3の直鎖状アルキル基を、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す]
で表される化合物を塩基の存在下に作用させる工程、及び、前記工程における生成物を酸分解した後、さらにt−ブトキシカルボニル基にて窒素原子を保護し、還元し、窒素原子を脱保護する工程により製造される1)記載のアミノアルコール誘導体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物、
【0024】
6) 1)〜5)の何れかに記載のアミノアルコール誘導体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物を有効成分して含有する医薬、
【0025】
7) 免疫抑制剤である6)記載の医薬、
【0026】
8) 臓器移植又は骨髄移植における拒絶反応の予防又は治療薬である6)記載の医薬、
【0027】
9) 1)〜5)の何れかに記載のアミノアルコール誘導体のリン酸エステル、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物、
に関するものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明により免疫抑制作用及び安全性に優れたアミノアルコール誘導体の提供が可能となった。本発明化合物は、臓器移植および骨髄移植における拒絶反応の予防又は治療薬、炎症性腸疾患、全身性エリトマトーデス、クローン病、ネフローゼ症候群、糸球体硬化症、糸球体腎炎、多発性硬化症、重症筋無力症などの自己免疫疾患の予防又は治療薬、関節リウマチの予防または治療薬、乾癬、アレルギー性接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎の予防又は治療薬、肝炎、脂肪肝、中毒性肝障害、肝硬変又は糖尿病由来の肝臓疾患の予防又は治療薬、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎等の予防又は治療薬、肺線維症、特発性間質性肺炎及び気管支喘息の予防又は治療薬として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明においてR及びRの炭素数1〜3の直鎖状アルキル基とは、メチル基、エチル基又はn−プロピル基である。
【0030】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0031】
ハロゲン原子で置換された炭素数1〜3の直鎖状アルキル基とは、直鎖状アルキル基の1又は2以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたアルキル基を示し、例えば、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基などが挙げられる。
【0032】
高い安全性を得る目的からRはエチル基、プロピル基又はトリフルオロメチル基が好ましく、更に好ましくはトリフルオロメチル基である。また、Rはメチル基が好ましく、nは3であることが好ましい。
【0033】
また、高い免疫抑制作用を得る目的からRの立体配置は、後述する合成経路B(化合物(10)を使用する)により主生成物として製造される立体配置であることが好ましい。
【0034】
本発明における薬理学的に許容される塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、クエン酸塩又は酒石酸塩のような酸付加塩が挙げられる。
【0035】
本発明に係る一般式(1)で表される化合物は、例えば以下に示すような合成経路Aにより製造することができる。
【0036】
<合成経路A>
【0037】
【化5】

【0038】
合成経路Aで一般式(3)
【0039】
【化6】

【0040】
[式中、R、R、R、R、X及びnは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(2)
【0041】
【化7】

【0042】
[式中、R、R、A、X及びnは前述の通り]
で表される化合物と一般式(7)
【0043】
【化8】

【0044】
[式中、R及びRは前述の通り]
で表される化合物を塩基存在下に作用させることによって製造することができる(工程A−1)。
【0045】
反応は、メタノール、エタノール、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N―ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)などを反応溶媒として用い、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、炭酸カリウムなどの無機塩基の存在下、反応温度としては0℃〜加熱還流下、好ましくは80℃〜100℃にて行うことができる。
【0046】
合成経路Aで一般式(4)
【0047】
【化9】

【0048】
[式中、R、R、R、R、X及びnは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(3)で表される化合物を加水分解することによって製造することができる(工程A−2)。
【0049】
反応は、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液などの塩基の存在下、反応溶媒としてはメタノール、エタノール、1,4−ジオキサン、DMF、DMSO、THFなどを用い、反応温度は0℃〜加熱還流下に行うことができる。好ましくは水酸化カリウムを塩基として用いエタノール溶媒中、50℃にて作用させる方法が良い。
【0050】
本発明に係る化合物は特定の光学活性体であることが好ましいが、光学分割を行う時期については特に制限はなく、この段階でキラルカラムを用いたHPLCにて光学分割を行い、望みとする不斉中心を有する化合物を得ることもできる。
【0051】
合成経路1で一般式(5)
【0052】
【化10】

【0053】
[式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示し、R、R、R、R、X及びnは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(4)で表される化合物をCurtius転位させることによって製造することができる(工程A−3)。
【0054】
反応は、カルボキシル基をカルバマートに変換する一般的手法を用いることができる。例えばクロル炭酸エチルとNaN3、オキザリルクロリドとNaN3の組み合わせからなる手法やジフェニルリン酸アジド(DPPA)のみを用いて行う手法を利用できる。好ましくはジフェニルリン酸アジドをトリエチルアミンなどの有機塩基存在下、ベンゼンやトルエン溶媒中加熱還流した後に、一般式(8)
OH (8)
[式中、Rは前述の通り]
で表されるアルコールを加えて加熱撹拌を継続して反応させるか、もしくは上記反応で使用したベンゼンやトルエンなどの溶媒を留去した後に、一般式(8)で表されるアルコールを反応溶媒として兼用し加熱還流下に反応させることができる。
【0055】
この段階においてキラルカラムを用いたHPLCにて光学分割を行い、望みとする不斉中心を有する化合物を得ることもできる。
【0056】
合成経路Aで一般式(6)
【0057】
【化11】

【0058】
[式中、R、R、R、R、X及びnは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(5)で表される化合物を還元することによって製造することができる(工程A−4)。
【0059】
反応は、ボランや9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)のようなアルキルボラン誘導体、ジイソブチルアルミニウムヒドリド((iBu)2AlH)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化ホウ素リチウム(LiBH4)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)などの金属水素錯化合物、好ましくはLiBH4を用い、反応夜溶媒としてはTHF、1,4−ジオキサンやエタノール、メタノールなどを用い、0℃〜加熱還流下、好ましくは常温下にて行うことができる。
【0060】
またこの段階においてもキラルカラムを用いたHPLCにて光学分割を行い、望みとする不斉中心を有する化合物を得ることもできる。
【0061】
合成経路Aで一般式(1)で表される化合物は、一般式(6)で表される化合物を酸分解するか、又は加水分解することによって製造することができる(工程A−5)。
【0062】
反応は、塩酸、臭化水素酸、メタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などの無機酸や有機酸中で常温下〜加熱還流下に行うか、あるいは塩酸、臭化水素酸、メタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などの無機酸や有機酸にメタノール、エタノール、THF、1,4−ジオキサンなどの有機溶媒を加えて常温下〜加熱還流下に行うことができる。また、メタノール、エタノール、THF、1,4−ジオキサン、DMSO、DMFなどを反応溶媒として用い、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液などの塩基の存在下、0℃〜加熱還流下、好ましくは80℃〜100℃にて行うことができる。
【0063】
合成経路Aで一般式(5)で表される化合物のうち、Rがt−ブチル基である化合物、即ち一般式(5a)
【0064】
【化12】

【0065】
[式中、Bocはt−ブトキシカルボニル基を示し、R、R、R、R、X及びnは前述の通り]
で表される化合物、
及び合成経路Aで一般式(6)で表される化合物のうち、Rがt−ブチル基である化合物、即ち一般式(6a)
【0066】
【化13】

【0067】
[式中、R、R、R、X、Boc及びnは前述の通り]
で表される化合物は合成経路Bによって製造することもできる。
【0068】
<合成経路B>
【0069】
【化14】

【0070】
合成経路Bで一般式(9)
【0071】
【化15】

【0072】
[式中、R、R、R、R、X及びnは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(2a)
【0073】
【化16】

【0074】
[式中、Xaは硫黄原子を示し、R、R、A及びnは前述の通り]で表される化合物と一般式(10)
【0075】
【化17】

【0076】
[式中、R及びRは前述の通り]
で表される化合物を塩基の存在下に作用させることによって製造することができる(工程B−1)。
【0077】
反応は、1,4−ジオキサン、THF、エーテルなどを反応溶媒として用い、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミドなどの塩基、好ましくはn−ブチルリチウムを用い、−78℃にて一般式(10)で表される化合物を処理した後、一般式(2)で表される化合物を−78℃にて作用させ徐々に常温までゆるやかに昇温させながら反応させることができる。
【0078】
合成経路Bで前述一般式(5a’)で表される化合物は、一般式(9)で表される化合物を酸分解した後に、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)にて窒素原子を保護することによって製造することができる(工程B−2)。
【0079】
反応は、塩酸を溶解させたメタノール、エタノール、THF、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、好ましくは塩酸含有1,4−ジオキサンを用いて加熱還流下に反応させた後、塩基で中和しアミノエステル体が得られる。さらにアミノエステル体を酢酸エチル、THF、DMF、1,4−ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、メタノール、エタノール、アセトニトリルなどを溶媒として用い、Boc2Oと0℃〜常温下に作用させることが好ましい。
【0080】
合成経路Bで一般式(6a’)で表される化合物は、一般式(5a’)で表される化合物を還元することによって製造することができる(工程B−3)。
【0081】
反応は、ボランや9−BBNのようなアルキルボラン誘導体、(iBu)2AlH、NaBH4、LiBH4、LiAlH4などの金属水素錯化合物、好ましくはLiBH4を用い、反応夜溶媒としてはTHF、1,4−ジオキサンやエタノール、メタノールなどを用い、0℃〜加熱還流下、好ましくは常温下にて行うことができる。
【0082】
合成経路Bで一般式(5a)で表される化合物は、一般式(5a’)で表される化合物を酸化することによって製造することができる(工程B−4)。
反応は、過酸化水素水、メタクロロ過安息香酸や過マンガン酸カリウム、好ましくはメタクロロ過安息香酸を酸化剤として用い、DMSO、1,4−ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエンなどを溶媒として用い、0℃から常温下に反応させることができる。
【0083】
合成経路Bで一般式(6a)で表される化合物は、一般式(6a’)で表される化合物を酸化することによって製造することができる(工程B−5)。反応は、工程B−4と同様である。
【0084】
なお一般式(2)で表される化合物の合成法については、WO03029184号、WO03029205号、WO04026817号、WO04074297号、WO050444780号の各パンフレットに記載された方法によって製造することができる。
【0085】
本発明の化合物は、生体内で代謝されて生成するリン酸エステル体となることにより、S1P1アゴニスト活性及びS1Pアゴニスト活性を有する。従って、本発明の化合物は、臓器移植および骨髄移植における拒絶反応の予防又は治療薬、炎症性腸疾患、全身性エリトマトーデス、クローン病、ネフローゼ症候群、糸球体硬化症、糸球体腎炎、多発性硬化症、重症筋無力症などの自己免疫疾患の予防又は治療薬、関節リウマチの予防または治療薬、乾癬、アレルギー性接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎の予防又は治療薬、肝炎、脂肪肝、中毒性肝障害、肝硬変又は糖尿病由来の肝臓疾患の予防又は治療薬、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎等の予防又は治療薬、肺線維症、特発性間質性肺炎及び気管支喘息の予防又は治療薬として有用である。
【0086】
上記使用の場合、必要とされる用量は、勿論投与方式、処置される特定の病状および所望の効果により変化する。一般に、体重1kgにつき約0.03〜2.5mgの一日用量が好ましい。哺乳類、例えばヒトにおける指示一日用量は、約0.5mg〜約100mgの範囲であり、好的には一日4回以下の分割用量または遅延形態で投与される。経口投与に適切な単位用量形態は、約1〜50mgの有効成分を含む。
【0087】
本発明化合物は、任意の慣用的経路により、特に経腸的、例えば経口的に、例えば錠剤またはカプセル形態で、または非経口的に、例えば注射可能溶液または懸濁液形態で、局所的に、例えばローション、ゲル、軟膏またはクリーム形態で、または経鼻または坐剤形態で投与され得る。本発明化合物の遊離形態または医薬上許容される塩形態を少なくとも1種の医薬上許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物は、医薬上許容される担体または希釈剤と混合することによる慣用的方法で製造され得る。
【0088】
また、本発明の化合物は、メカニズムの異なる免疫抑制剤及び/又は抗炎症作用を持つ薬剤との併用することも有用である。併用できる薬剤としては、同種および異種移植の急性あるいは慢性拒絶、炎症性疾患、自己免疫疾患の治療や予防に用いる免疫抑制剤、免疫調節作用を有する免疫抑制剤及び/又は抗炎症、悪性細胞増殖抑制を有する抗炎症剤である。具体的にはカルシニューリン阻害剤であるシクロスポリンAやFK506、mTOR阻害薬であるラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシメチル)−ラパマイシン、CCI779、ABT578、免疫抑制作用を持つアスコマイシン類であるABT281、ASM981及びミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、アザチオプリン、ミゾリビン、シクロフォスファミドなどがある。また葉酸代謝拮抗薬であるメトトレキサート、広く抗炎症作用を示す副腎皮質ステロイド、免疫調節作用のあるオーラノフィン、アクタリット、メサラジン又はスルファサラジンなどや抗TNFα抗体であるインフリキシマブ、抗IL−6受容体抗体であるMRA、抗インテグリン抗体であるナタリズマブなどがある。
【0089】
実施例
次に本発明を具体例によって説明するが、これらの例によって本発明が限定されるものではない。
【0090】
また一般式(2)で表される中間体等はWO03029184号、WO03029205号、WO04026817号、WO04074297号、WO050444780号のパンフレット中の化合物を利用することができる。また(5S)−3,6−ジエトキシ−2−メチル−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロピラジン、(5S)−3,6−ジメトキシ−2−メチル−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロピラジン及び(5S)−2−アリル−3,6−ジエトキシ−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロピラジンはUlrich Shollkopf et.al Synthesis 969 (1981)及びChunrong Ma et.al., J. Org. Chem., 66, 4525 (2001)に従って合成した。なお、これらの参考文献に記載された実験操作に基づいて新規に合成した中間体などは以下に参考例として記載する。
【0091】
<参考例1>
2−フルオロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)ベンズアルデヒド
【0092】
【化18】

【0093】
アルゴン雰囲気下、常温にて4−ブロモ−2−フルオロベンズアルデヒド (4.06 g) の 1,4-ジオキサン (42 mL) 溶液にエチルジイソプロピルアミン (7.0 mL) 、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム付加体(518 mg)、キサントフォス(578 mg)、3−トリフルオロメチルチオフェノール(3.56 g)を加え、5時間加熱還流した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン : 酢酸エチル = 30 : 1)にて精製し、目的物(4.08 g)を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 6.86 (1H, dd, J = 10, 1.8
Hz), 7.02 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz),7.58 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.68-7.73 (2H,
m), 7.76 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.80 (1H, s), 10.26 (1H, s)
EIMS (+) : 300 [M]
+.
【0094】
<参考例2>
2−クロロ−4−(3−クロロフェニルチオ)ベンズアルデヒド
【0095】
【化19】

【0096】
3−クロロベンゼンチオールと2−クロロ−4−フルオロベンズアルデヒドをWO03029205号パンフレットの参考例1と同様な実験操作で反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 7.11 (1H, dd, J = 9.2, 1.8 Hz),
7.17 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.36-7.44 (3H, m), 7.52 (1H, t, J = 1.8 Hz), 7.80
(1H, d, J = 7.9 Hz), 10.37 (1H, s)
EIMS (+) : 282 [M]
+.
【0097】
<参考例3>
2−クロロ−4−(3−エチルフェニルチオ)ベンズアルデヒド
【0098】
【化20】

【0099】
3−エチルベンゼンチオールと2−クロロ−4−フルオロベンズアルデヒドをWO03029205号パンフレットの参考例1と同様な実験操作で反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz):δ 1.26 (3H, t, J = 7.3 Hz),
2.68 (2H, q, J = 7.3 Hz), 7.04-7.11 (2H, m), 7.28-7.40 (4H, m), 7.76 (1H, d, J
= 8.6 Hz), 10.35 (1H, s).
EIMS (+) : 276 [M]
+.
【0100】
<参考例4>
[2−クロロ−4−(3−エチルフェニルチオ)フェニル]アセトアルデヒド
【0101】
【化21】

【0102】
参考例3の化合物をWO04074297号パンフレットの参考例326と同様な実験操作で反応させ目的物を淡黄色油状物として得た。
【0103】
<参考例5>
3−[2−クロロ−4−(3−エチルフェニルチオ)フェニル]アクリル酸エチル
【0104】
【化22】

【0105】
参考例3の化合物をWO03029205号パンフレットの参考例10と同様な実験操作で反応させ目的物を淡黄色油状物として得た。
EIMS(+) : 346 [M]
+.
【0106】
<参考例6>
3−[2−クロロ−4−(3−エチルフェニルチオ)フェニル]プロパン−1−オール
【0107】
【化23】

【0108】
参考例5の化合物をWO03029205号パンフレットの参考例19と同様な実験操作で反応させ、ついでWO03029205号パンフレットの参考例35と同様な実験操作で還元し目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz,): δ 1.22 (3H, t, J = 7.3
Hz), 1.84 -1.90 (2H, m), 2.62 (2H, q, J = 7.6 Hz), 2.78-2.82 (2H, m), 3.69 (2H,
t, J = 6.1 Hz), 7.10-7.18 (4H, m), 7.23-7.29 (3H, m).
【0109】
<参考例7>
3−[2−フルオロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]プロパン−1−オール
【0110】
【化24】

【0111】
参考例1の化合物を参考例5、次いで参考例6と同様な操作で順次反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 1.88 (2H, tt, J = 6.7,
6.1 Hz), 2.75 (2H, t, J = 6.7 Hz), 3.69 (2H, t, J = 6.1 Hz), 7.05 (1H, dd, J = 10,
1.8 Hz), 7.10 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.20 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.38-7.51
(3H, m), 7.55 (1H, s).
【0112】
<参考例8>
3−[2−クロロ−4−(3−クロロフェニルチオ)フェニル]プロパン−1−オール
【0113】
【化25】

【0114】
参考例2の化合物を参考例5、次いで参考例6と同様な操作で順次反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 1.33 (1H, br s),
1.83-1.95 (2H, m), 2.81-2.85 (2H, m), 3.70 (2H, br s), 7.15-7.23 (5H, m),
7.24-7.29 (1H, m), 7.38 (1H, d, J = 1.8 Hz).
【0115】
<参考例9>
2−クロロ−4−(3−エチルフェニルチオ)−1−(2−ヨードエチル)ベンゼン
【0116】
【化26】

【0117】
参考例4の化合物をWO04074297号パンフレットの参考例327と同様な実験操作で反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz):δ 1.22 (3H, t, J = 7.3 Hz),
2.63 (2H, q, J = 7.3 Hz), 3.23-3.28 (2H, m), 3.32-3.35 (2H, m), 7.09-7.29 (7H,
m).
EIMS (+) : 402 [M] +.
【0118】
<参考例10>
2−クロロ−4−(3−エチルフェニルチオ)−1−(3−ヨードプロピル)ベンゼン
【0119】
【化27】

【0120】
参考例6の化合物をWO03029184号パンフレットの参考例164と同様な実験操作で反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz):δ 1.22 (3H, t, J = 7.3 Hz),
2.12 (2H, quintet, J = 7.3 Hz), 2.63 (2H, q, J = 7.3 Hz), 2.81(2H, t, J = 7.3
Hz), 3.19 (2H, t, J = 7.3 Hz), 7.09-7.19 (4H, m), 7.24-7.28 (3H, m).
EIMS (+) : 416 [M] +.
【0121】
<参考例11>
2−フルオロ−1−(3−ヨードプロピル)−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)ベンゼン
【0122】
【化28】

【0123】
参考例7の化合物をWO03029184号パンフレットの参考例164と同様な実験操作で反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 2.13 (2H, quintet, J = 7.3
Hz), 2.76 (2H, t, J = 7.3 Hz), 3.18 (2H, t, J = 6.7 Hz),
7.03 (1H, dd, J = 10, 1.8 Hz), 7.09(1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.20 (1H, t, J =
7.9 Hz), 7.39-7.52 (3H, m), 7.57 (1H, s).
EIMS(+) : 404 [M] +.
【0124】
<参考例12>
2−クロロ−4−(3−クロロフェニルチオ)−1−(3−ヨードプロピル)ベンゼン
【0125】
【化29】

【0126】
参考例8の化合物をWO03029184号パンフレットの参考例164と同様な実験操作で反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 2.14 (2H, tt, J = 7.3, 6.7 Hz), 2.84 (2H, t, J = 7.3 Hz), 3.20 (2H, t, J
= 6.7 Hz), 7.16-7.25 (5H, m), 7.28 (1H, t, J = 1.8 Hz),
7.36 (1H, d, J = 1.8 Hz).
EIMS (+) : 422 [M] +.
【0127】
<実施例1>
(2R,5S)−2−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]プロピル−3,6−ジエトキシ−2−メチル−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロピラジン
【0128】
【化30】

【0129】
アルゴン雰囲気下、−78℃にて(5S)−3,6−ジエトキシ−2−メチル−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロピラジン (460 mg) の THF (8 mL) 溶液にn-ブチルリチウム−ヘキサン溶液(1.58 mol / L, 1.68 mL)を加え、−78℃にて30分間攪拌した。さらに2−クロロ−1−(3−ヨードプロピル)−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)ベンゼン(1.21 g) のテトラヒドロフラン (2 mL) 溶液を加えて−78℃にて30分間、0℃にて1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去しシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン : 酢酸エチル = 60 : 1)にて精製し、 目的物(740 mg)を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 0.63 (3H, d, J = 6.7
Hz), 1.07 (3H, d, J = 6.7 Hz), 1.18-1.29 (10H, m), 1.34-1.66 (2H, m), 1.79-1.91
(1H, m), 2.25–2.33 (1H, m), 2.70 (2H, t, J = 7.6 Hz), 3.85 (1H, br s),
3.99-4.23 (4H, m), 7.16 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.20 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz),
7.36-7.42 (3H, m), 7.44-7.50 (1H, m), 7.52 (1H, br s).
【0130】
<実施例2>
(2R,5S)−2−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]エチル−3,6−ジエトキシ−2−メチル−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロピラジン
【0131】
【化31】

【0132】
(5S)−3,6−ジエトキシ−2−メチル−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロピラジンと2−クロロ−1−(3−ヨードエチル)−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)ベンゼンを実施例1と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 0.72 (3H, d, J = 6.7
Hz), 1.08 (3H, d, J = 6.7 Hz), 1.28 (6H, t, J = 7.3 Hz), 1.35 (3H, s),
1.68-1.90 (1H, m), 2.10-2.19 (1H, m), 2.38-2.57 (1H, m), 3.95 (1H, d, J = 3.1
Hz), 4.02-4.22 (4H, m), 7.13 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.18 (1H, dd, J = 7.9, 2.4
Hz), 7.35-7.42 (3H, m), 7.43-7.48 (1H, m), 7.54 (1H, br s).
【0133】
<実施例3>
(2R,5S)−2−[2−クロロ−4−(3−エチルフェニルチオ)フェニル]エチル−3,6−ジエトキシ−2−メチル−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロピラジン
【0134】
【化32】

【0135】
(5S)−3,6−ジエトキシ−2−メチル−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロピラジンと参考例9の化合物を実施例1と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 0.72 (3H, d, J = 6.7
Hz), 1.07 (3H, d, J = 6.7 Hz), 1.21 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.28 (3H, t, J = 7.3
Hz), 1.29 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.34 (3H, s), 1.70-1.79 (1H, m), 2.09-2.16 (1H,
m), 2.24-2.32 (1H, m), 2.35-2.52 (2H, m), 2.61(2H, q, J = 7.3 Hz), 3.95 (1H, d,
J = 3.1 Hz), 4.03-4.20 (4H, m), 7.04-7.15 (4H, m), 7.21-7.26 (3H, m).
ESIMS (+) : 501 [M+H] +.
【0136】
<実施例4>
(2R,5S)−2−[2−クロロ−4−(3−エチルフェニルチオ)フェニル]プロピル−3,6−ジエトキシ−2−メチル−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロピラジン
【0137】
【化33】

【0138】
(5S)−3,6−ジエトキシ−2−メチル−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロピラジンと参考例10の化合物を実施例1と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3,
400 MHz):δ 0.68 (3H, d, J = 6.7 Hz), 1.04 (3H, d, J =
6.7 Hz), 1.20-1.26 (9H, m), 1.31 (3H, s), 1.36-1.43 (1H, m), 1.50-1.57 (1H, m),
1.85-1.92 (1H, m), 2.21-2.28 (1H, m), 2.60-2.65 (4H, m), 3.88 (1H, d, J = 3.7
Hz), 4.00-4.16(4H, m), 7.06-7.16 (4H, m), 7.22-7.27 (3H, m).
ESIMS (+) : 515 [M+H] +.
【0139】
<実施例5>
(2R,5S)−2−[2−クロロ−4−(3−クロロフェニルチオ)フェニル]プロピル−3,6−ジエトキシ−2−メチル−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロピラジン
【0140】
【化34】

【0141】
(5S)−3,6−ジエトキシ−2−メチル−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロピラジンと参考例12の化合物を実施例1と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 0.69 (3H, d, J = 6.7
Hz), 1.08 (3H, d, J = 6.7 Hz), 1.18-1.29 (7H, m), 1.31 (3H, s), 1.34-1.47 (1H,
m), 1.50-1.63 (1H, m), 1.85-1.95 (1H, m), 2.20–2.30 (1H, m), 2.65 (2H, t, J =
7.6 Hz), 3.89 (1H, d, J = 3.1 Hz), 3.99-4.23 (4H, m), 7.11-7.23 (6H, m), 7.35
(1H, d, J = 1.8 Hz).
ESIMS (+) : 521
[M+H] +.
【0142】
<実施例6>
(2R,5S)−2−[2−フルオロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]プロピル−3,6−ジエトキシ−2−メチル−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロピラジン
【0143】
【化35】

【0144】
(5S)−3,6−ジエトキシ−2−メチル−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロピラジンと参考例11の化合物を実施例1と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 0.67 (3H, d, J = 6.7
Hz), 1.06(3H, d, J = 6.7 Hz), 1.18-1.29 (7H, m), 1.33 (3H, s), 1.36-1.66 (2H,
m), 1.85-1.95 (1H, m), 2.23–2.33 (1H, m), 2.67 (2H, t, J = 7.6 Hz), 3.89 (1H,
d, J = 3.1 Hz), 3.99-4.23 (4H, m), 7.02 (1H, dd, J = 9.8 Hz, 1.8 Hz), 7.08 (1H,
dd, J = 7.9 Hz, 2.4 Hz), 7.13 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.38-7.50 (3H, m), 7.55 (1H,
s).
【0145】
<実施例7>
(2S,5S)−2−アリル−2−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]プロピル−3,6−ジエトキシ−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロピラジン
【0146】
【化36】

【0147】
(5S)−2−アリル−3,6−ジエトキシ−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロピラジンと2−クロロ−1−(3−ヨードプロピル)−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)ベンゼンを実施例1と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 0.67 (3H, d, J = 6.7
Hz), 1.05 (3H, d, J = 6.7 Hz), 1.23 (3H, t, J = 6.4 Hz), 1.25 (3H, t, J = 6.4
Hz), 1.30-1.64 (3H, m), 1.80-1.90 (1H, m), 2.23-2.39 (2H, m), 2.53 (1H, dd, J =
12.4, 7.3 Hz), 2.65 (2H, t, J = 7.6 Hz), 3.83 (1H, d, J = 3.1 Hz), 4.03-4.18
(4H, m), 4.92-5.04 (2H, m), 5.60-5.73 (1H, m), 7.13 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.18
(1H, dd, J = 7.9 Hz, 1.8 Hz), 7.36 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.38-7.42 (2H, m), 7.44-7.49
(1H, m), 7.55 (1H, br s).
【0148】
<実施例8>
(R)−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−フルオロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−メチルペンタン酸エチル
【0149】
【化37】

【0150】
化合物1(740 mg)のジオキサン(30 mL)溶液に0.5 mol/L 塩酸水溶液(15 mL)を加え、常温で1時間攪拌後、常温で一晩放置した。濃縮後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、及び飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。抽出液を濃縮後、残渣をアセトニトリル(30 mL)に溶解し、ジ−tert−ブトキシジカルボネート(727 mg)を加えた。常温で1時間攪拌し、常温で一晩放置した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン : 酢酸エチル = 9 : 1)にて精製し、目的物 (498 mg) を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 1.26 (3H, t, J = 7.3
Hz), 1.42 (9H, s), 1.51 (3H, s), 1.45-1.68 (2H, m), 1.77-1.86 (1H, m),
2.09-2.20 (1H, m), 2.69 (2H, t, J = 7.6 Hz), 4.13-4.23 (2H, m), 5.29 (1H, br
s), 7.02 (1H, dd, J = 9.8 Hz, 1.8 Hz), 7.08 (1H, dd, J = 7.9 Hz, 2.4 Hz), 7.13
(1H, t, J = 7.9 Hz), 7.38-7.50 (3H, m), 7.55 (1H, s).
【0151】
<実施例9>
(S)−2−アリル−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]ペンタン酸エチル
【0152】
【化38】

【0153】
実施例7の化合物を実施例8と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz) δ 1.24 (3H, t, J = 7.3 Hz),
1.29 - 1.39 (1H, m), 1.43 (9H, s), 1.60-1.70 (1H, m), 1.78-1.86 (1H, m),
2.32-2.50 (2H, m), 2.66-2.73 (2H, m), 2.99-3.10 (1H, m), 4.19 (2H, q), 5.03 (1H,
d, J = 3.1 Hz), 5.09 (1H, s), 5.49 (1H, br s), 5.54-5.68 (1H, m), 7.16 (1H, d,
J = 7.9 Hz), 7.19 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.35 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.39-7.44
(2H, m), 7.45-7.50 (1H, m), 7.54 (1H, br s).
【0154】
<実施例10>
(R)−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−プロピルペンタン酸エチル
【0155】
【化39】

【0156】
実施例9の 化合物(400 mg)の酢酸エチル(20 mL)溶液にパラジウム−活性炭素・エチレンジアミン錯体(100 mg)を加え、水素置換下常温にて24時間攪拌した。反応液をセライトろ過した後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン : 酢酸エチル = 30 : 1)にて精製し、目的物 (293 mg)を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz) :δ 0.91 (3H, t, J = 7.3
Hz), 1.42 (9H, s), 1.15-1.77 (8H, m), 2.72 (2H, t, J = 7.3 Hz), 3.63 (1H, d, J
= 12 Hz), 3.67 (1H, d, J = 12 Hz), 4.52 (1H, br s), 7.19-7.22 (2H, m), 7.39 (1H,
s), 7.40-7.50 (3H, m), 7.54 (1H, br s).
FABMS (+) : 532 [M+H] +.
【0157】
<実施例11>
(R)−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール
【0158】
【化40】

【0159】
実施例8の化合物 (498
mg)のテトラヒドロフラン(10 mL)溶液に氷冷下にて水素化ホウ素リチウム(99 mg)を加え、次いでエタノール(1 mL)を滴下し、氷冷下にて2時間攪拌した。反応液に10 % クエン酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン : 酢酸エチル = 2 : 1)にて精製し、目的物 (452 mg) を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 1.14 (3H, s), 1.42 (9H,
s), 1.48-1.76 (4H, m), 1.81-1.90 (1H, m), 2.74 (2H, t, J = 6.7 Hz), 3.61 (1H,
d, J = 12 Hz), 3.65 (1H, d, J = 12 Hz), 4.56 (1H, br s), 4.58 (1H, br s), 7.20
(2H, d, J = 1.2 Hz), 7.37-7.50 (4H, m), 7.54 (1H, br s).
旋光度:[α]D27 +14.31 (c 0.63, CHCl3).
【0160】
<実施例12>
(R)−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−メチルブタン−1−オール
【0161】
【化41】

【0162】
実施例2の化合物を実施例8と同様に反応させエステルを得た後、このエステルを実施例11と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz) :δ 1.25 (3H, s), 1.44 (9H,
s), 1.79-1.89 (1H, m), 2.05-2.13 (1H, m), 2.66-2.83 (2H, m), 3.68 (1H, d, J =
12 Hz), 3.71 (1H, d, J = 12 Hz), 4.69 (1H, br s), 7.20-7.23 (2H, m), 7.37-7.42
(3H, m), 7.45-7.50 (2H, m), 7.55 (1H, br s).
【0163】
<実施例13>
(R)−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−[2−クロロ−4−(3−エチルフェニルチオ)フェニル]−2−メチルブタン−1−オール
【0164】
【化42】

【0165】
実施例3の化合物を実施例8と同様に反応させエステルを得た後、このエステルを実施例11と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz) :δ 1.22(3H, t, J = 7.3 Hz),
1.24 (3H, s), 1.44 (9H, s), 1.77-1.85 (1H, m), 2.02-2.09 (1H, m), 2.62(2H, q, J
= 7.3 Hz), 2.63-2.78 (2H, m), 3.64-3.73 (2H, m), 4.08(1H, br), 4.68 (1H, br s),
7.10-7.17 (4H, m), 7.22-7.28 (3H, m).
ESIMS (+) : 450 [M+H] +.
【0166】
<実施例14>
(R)−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−エチルフェニルチオ)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール
【0167】
【化43】

【0168】
実施例4の化合物を実施例8と同様に反応させエステルを得た後、このエステルを実施例11と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz):δ 1.14 (3H, s), 1.22 (3H,
t, J = 7.3 Hz), 1.43 (9H, s), 1.54-1.70 (3H, m), 1.79-1.89 (1H, m), 2.62(2H, q,
J = 7.3 Hz), 2.70 (2H, t, J = 7.0 Hz), 3.57-3.66 (2H, m), 4.05 (1H, br), 4.55
(1H, br s), 7.10-7.17 (4H, m), 7.17-7.28(3H, m).
ESIMS (+) : 464 [M+H] +.
【0169】
<実施例15>
(R)−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−クロロフェニルチオ)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール
【0170】
【化44】

【0171】
実施例5の化合物を実施例8と同様に反応させエステルを得た後、このエステルを実施例11と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 1.14 (3H, s), 1.43 (9H,
s), 1.58-1.74 (3H, m), 1.79-1.92 (1H, m), 2.73 (2H, t, J = 6.7 Hz), 3.61 (1H,
d, J = 12 Hz), 3.64 (1H, d, J = 12 Hz), 4.08 (1H, br s), 4.57 (1H, br s),
7.17-7.27 (6H, m), 7.37 (1H, s).
ESIMS (+) : 470 [M+H] +.
【0172】
<実施例16>
(R)−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−フルオロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール
【0173】
【化45】

【0174】
実施例6の化合物を実施例8と同様に反応させエステルを得た後、このエステルを実施例11と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 1.14 (3H, s), 1.42 (9H,
s), 1.55-1.74 (3H, m), 1.75-1.85 (1H, m), 2.65 (2H, t, J = 6.7 Hz), 3.58-3.64
(2H, m), 4.03 (1H, br s), 4.55 (1H, br s), 7.04 (1H, dd, J = 9.8 Hz, 1.8 Hz),
7.10 (1H, dd, J = 7.9 Hz, 1.8 Hz), 7.17 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.38-7.50 (3H, m),
7.54 (1H, br s).
【0175】
<実施例17>
(R)−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−プロピルペンタン−1−オール
【0176】
【化46】

【0177】
実施例10の化合物を実施例11と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 0.92 (3H, t, J = 7.3
Hz), 1.42 (9H, s), 1.14-1.80 (8H, m), 2.72 (2H, t, J = 7.3 Hz), 3.62 (1H, d, J
= 12 Hz), 3.66 (1H, d, J = 12 Hz), 4.54 (1H, br s), 7.16-7.22 (2H, m), 7.39
(1H, s), 7.40-7.48 (3H, m), 7.55 (1H, br s).
FABMS (+) : 532 [M+H] +.
【0178】
<実施例18>
(R)−2−アミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール塩酸塩
【0179】
【化47】

【0180】
実施例11の化合物(4.07 g)に10 w/w%塩酸メタノール溶液(40 mL)を加え、常温で1時間攪拌後、常温で一晩放置した。濃縮して、目的物 (3.51 g) を白色粉末として得た。
1H-NMR
(DMSO-d6, 400 MHz): δ1.09 (3H, s), 1.49-1.63
(4H, m), 2.65-2.71 (2H, br s), 3.34 (1H, d, J = 12 Hz), 3.38 (1H, d, J = 12
Hz), 7.34 (1H, dd, J = 7.9 Hz, 2.4 Hz), 7.41 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.49 (1H, d,
J = 2.4 Hz), 7.55 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.61 (1H, d, J = 2.4 Hz), 7.67 (1H, d, J
= 7.9 Hz), 7.53 - 7.74 (3H, br s).
ESIMS (+) : 404 [M+H] +.
元素分析 : 実測値 C 51.65%, H 4.86%, N 2.86%, C19H2ClF3NOS.
HCl として計算値 C 51.82%, H 5.04%, N 3.18%.
旋光度:[α]D23 −3.45 (c 1.00,
CHCl3).
【0181】
<実施例19>
(R)−2−アミノ−4−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−メチルブタン−1−オール塩酸塩
【0182】
【化48】

【0183】
実施例12の化合物を実施例18と同様に反応させ目的物を白色粉末として得た。
1H-NMR
(DMSO-d6, 400 MHz): δ1.22 (3H, s), 1.66-1.83
(2H, m), 2.72 (2H, t, J = 8.6 Hz), 3.42 (1H, dd, J = 11.0, 7.9 Hz), 3.49 (1H,
dd, J = 11.0, 7.9 Hz), 5.54 (1H, t, J = 4.9 Hz), 7.36 (1H, dd, J = 7.9, 1.8
Hz), 7.42 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.50 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.53-7.64 (3H, m),
7.67 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.82 (3H, br s).
FABMS (+) : 390 [M+H] +.
元素分析 : 実測値 C 50.47%,
H 4.65%, N 3.36%, C18H19ClF3NOS. HCl として計算値 C 50.71%, H 4.73%, N 3.29%.
旋光度:[α]D27 +5.78 (c 0.33, CHCl3).
【0184】
<実施例20>
(R)−2−アミノ−4−[2−クロロ−4−(3−エチルフェニルチオ)フェニル]−2−メチルブタン−1−オール塩酸塩
【0185】
【化49】

【0186】
実施例13の化合物を実施例18と同様に反応させ目的物を白色粉末として得た。
1H-NMR
(DMSO-d6, 400 MHz): δ1.14(3H, t, J = 7.3
Hz), 1.22 (3H, s), 1.67-1.81 (2H, m), 2.59(2H, q, J = 7.3 Hz), 2.69 (2H, t, J =
8.6 Hz), 3.42 (1H, dd, J = 11.6, 5.5 Hz), 3.48 (1H, dd, J = 11.6, 5.5 Hz), 5.52
(1H, t, J = 4.9 Hz), 7.16-7.22 (2H, m), 7.26-7.27 (2H, m), 7.30-7.35 (2H, m),
7.93 (3H, br s).
ESIMS (+) : 350 [M+H] +.
元素分析 : 実測値 C 58.90%,
H 6.42%, N 3.59%, C19H24ClNOS. HCl として計算値 C 59.06%, H 6.52%, N 3.63%.
【0187】
<実施例21>
(R)−2−アミノ−5−[2−クロロ−4−(3−エチルフェニルチオ)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール塩酸塩
【0188】
【化50】

【0189】
実施例14の化合物を実施例18と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(DMSO-d6, 400 MHz): δ1.10 (3H, s), 1.15 (3H,
t, J = 7.3 Hz), 1.52-1.58 (4H, m), 2.59 (2H, q, J = 7.3Hz), 2.62-2.66 (2H, m),
3.32-3.39 (2H, m), 5.43 (1H, br), 7.15-7.22 (3H, m), 7.26 (2H, d, J = 1.8Hz),
7.32 (2H, dd, J = 7.3, 1.8Hz), 7.81 (3H, br s).
HRESIMS (+) : 364.15051 (C20H27ClNOSとして計算値
364.15019).
【0190】
<実施例22>
(R)−2−アミノ−5−[2−クロロ−4−(3−クロロフェニルチオ)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール塩酸塩
【0191】
【化51】

【0192】
実施例15の化合物を実施例18と同様に反応させ目的物を無色アモルファスとして得た。
1H-NMR
(DMSO-d6, 400 MHz): δ1.10 (3H, s), 1.49-1.64
(4H, m), 2.68 (2H, br s), 3.33 (1H, dd, J = 12, 4.9 Hz), 3.38 (1H, dd, J = 12,
4.9 Hz), 5.45 (1H, t, J = 4.9 Hz), 7.26 (1H, dt, J = 7.3, 1.8 Hz), 7.30-7.43
(5H, m), 7.45 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.77 (3H, br s).
HREIMS
(+) : 370.0 799 (C18H21Cl2NOSとして計算値 370.0799).
旋光度:[α]D27 –3.81 (c 0.50, CHCl3).
【0193】
<実施例23>
(R)−2−アミノ−5−[2−フルオロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール塩酸塩
【0194】
【化52】

【0195】
実施例16の化合物を実施例18と同様に反応させ目的物を無色アモルファスとして得た。
1H-NMR
(DMSO-d6, 400 MHz): δ1.09 (3H, s), 1.48-1.61
(4H, m), 2.57-2.64 (2H, br s), 3.32 (1H, dd, J = 11, 4.9 Hz), 3.37 (1H, dd, J =
11, 4.9 Hz), 5.44 (1H, t, J = 4.9 Hz), 7.20 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.26
(1H, dd, J = 9.8, 1.8 Hz), 7.37 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.54-7.68 (4H, m), 7.74
(3H, br s).
HRESIMS
(+) : 388.1345 (C19H22F4NOSとして計算値 388.1358).
旋光度:[α]D24 -3.23 (c 0.69, CHCl3).
【0196】
<実施例24>
(R)−2−アミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−プロピルペンタン−1−オール塩酸塩
【0197】
【化53】

【0198】
実施例17の化合物を実施例18と同様に反応させ目的物を白色粉末として得た。
1H-NMR
(DMSO-d6, 400 MHz): δ0.84 (3H, t, J = 7.3
Hz), 1.20 (2H, q, J = 7.3 Hz), 1.36-1.63 (6H, m), 2.68 (2H, t, J = 7.3 Hz),
3.36 (2H, d, J = 4.9 Hz), 5.40 (1H, d, J = 4.9 Hz), 7.35 (1H, dd, J = 7.9 Hz,
1.8 Hz), 7.42 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.50 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.55 (1H, d, J =
7.9 Hz), 7.58-7.63 (2H, m), 7.67 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.69 (3H, br s).
FABMS (+) : 432 [M+H] +.
元素分析 : 実測値 C 53.46%,
H 5.62%, N 2.98%, C21H25ClF3NOS. HCl として計算値 C 53.85%, H 5.59%, N 2.99%.
旋光度:[α]D23 +3.85 (c 0.63, CHCl3).
【0199】
<実施例25>
(R)−2−アミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール
【0200】
【化54】

【0201】
実施例18の化合物(9.3 g)の酢酸エチル(450
mL)溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(450 mL)を加え、常温で10分間攪拌した。有機層を水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去し、残渣をNH-シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル : メタノール= 4 : 1)にて精製し、目的物 (8.9 g) を白色粉末として得た。
1H-NMR
(DMSO-d6, 400 MHz): δ0.85 (3H, s), 1.21 (2H,
br s), 1.28 (2H, t, J = 8.6 Hz), 1.46-1.67 (2H, m), 2.65 (2H, t, J = 8.6 Hz),
3.06 (2H, br s), 4.49 (1H, br s), 7.32 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.40 (1H, d,
J = 9.8 Hz), 7.47 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.54 (1H, dd, J = 6.7, 1.8 Hz),
7.56-7.62 (2H, m), 7.65 (1H, dd, J = 6.7, 1.8 Hz).
ESIMS
(+) : 404 [M+H] +.
元素分析 : 実測値 C 56.26%,
H 5.14%, N 3.40%, C19H21ClF3NOS として計算値 C 56.50%, H 5.24%, N 3.47%.
【0202】
<実施例26>
2−{3−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]プロピル}−2−メチルマロン酸ジエチル
【0203】
【化55】

【0204】
2−クロロ−1−(3−ヨードプロピル)−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)ベンゼンと2−メチルマロン酸ジエチルとをWO04026817号実施例152と同様な操作にて反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz):δ 1.25 (6H, t, J = 7.4 Hz),
1.40 (3H, s), 1.51-1.63 (2H, m), 1.90-1.97 (2H, m), 2.73 (2H, t, J = 7.9 Hz),
4.17 (4H, q, J = 7.4 Hz), 7.17-7.23 (2H, m), 7.38 (1H, d, J = 2.2 Hz),
7.39-7.44 (2H, m), 7.45-7.50 (1H, m), 7.55 (1H, s).
EIMS (+) : 502 [M] +.
【0205】
<実施例27>
(±)−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−エトキシカルボニル−2−メチルペンタン酸
【0206】
【化56】

【0207】
実施例26の化合物(16.8 g)のエタノール(167 mL)溶液に水酸化カリウム(2.40 g)を加え、50℃にて24時間攪拌した。反応液に水を加え、2 mol/L塩酸水溶液にて中和し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン : 酢酸エチル = 1 : 1)にて精製し、目的物 (11.2 g) を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz):δ 1.26 (3H, t, J = 7.4 Hz),
1.47 (3H, s), 1.55-1.66 (2H, m), 1.87-2.06 (2H, m), 2.73 (2H, t, J = 7.9 Hz),
4.22 (2H, q, J = 7.4 Hz), 7.18 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.20 (1H, dd, J = 7.9, 1.8
Hz), 7.38 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.39-7.44 (2H, m), 7.45-7.50 (1H, m), 7.54 (1H,
s).
ESIMS (+) : 475 [M+H] +.
【0208】
<実施例28>
(±)−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−メトキシカルボニルアミノ−2−メチルペンタン酸エチル
【0209】
【化57】

【0210】
実施例27の化合物(15.8 g)のベンゼン(166
mL)溶液にジフェニルホスホリルアジド(7.86 mL)とトリエチルアミン(6.01 mL)を加え、1.5時間加熱還流した。反応液を常温に戻してメタノール(20 mL)を20分かけて滴下し30分間加熱還流した後、さらにナトリウムメトキシド(3.58 g)を加え1.5時間加熱還流した。反応液に飽和塩化アンモニウム水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン : 酢酸エチル = 5 : 1)にて精製し、目的物 (15.6 g) を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz):δ 1.25 (3H, t, J = 7.3 Hz),
1.32-1.47 (1H, m), 1.52-1.67 (1H, m), 1.57 (3H, s), 1.80-1.90 (1H, m),
2.20-2.37 (1H, m), 2.62-2.76 (2H, m), 3.64 (3H, s), 4.15-4.25 (2H, m), 5.62
(1H, br s), 7.16 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.20 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.38 (1H,
d, J = 1.8 Hz), 7.40-7.44 (2H, m), 7.45-7.50 (1H, m), 7.55 (1H, s).
ESIMS (+) : 504 [M+H] +.
【0211】
<実施例29>
(±)−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−メトキシカルボニルアミノ−2−メチルペンタン−1−オール
【0212】
【化58】

【0213】
実施例28の化合物(15.6 g)のTHF(249 mL)溶液に氷冷下にて水素化ホウ素リチウム(3.75 g)を加え、次いでエタノール(16.6 mL)を滴下し、氷冷下にて1時間攪拌した。反応液に10 % クエン酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン : 酢酸エチル = 1 : 1)にて精製し、目的物 (12.9 g) を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz):δ 1.18 (3H, s), 1.54-1.74
(3H, m), 1.78-1.89 (1H, m), 2.73 (2H, t, J = 7.9 Hz), 3.63 (3H, s), 3.56-3.70
(2H, m), 4.23 (1H, br s), 7.17-7.22 (2H, m), 7.38-7.50 (4H, m), 7.54 (1H, s).
ESIMS (+) : 462 [M+H] +.
【0214】
<実施例30>
(±)−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール
【0215】
【化59】

【0216】
実施例29の化合物(12.9 g)のTHF(60
mL)およびメタノール(120 mL)混合溶液に氷冷下にて5
mol/L 水酸化カリウム水溶液(60 mL)を加え、86時間加熱還流した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。抽出液を濃縮後、残渣を1,4-ジオキサン ( 279 mL)に溶解し、ジ−tert−ブトキシジカルボネート(9.13 g)を加えた。常温で2時間攪拌し、常温で一晩放置した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン : 酢酸エチル = 2 : 1)にて精製し、目的物 (13.0 g) を無色油状物として得た。
1H-NMR
(CDCl3, 400 MHz):δ 1.14 (3H, s), 1.42 (9H,
s), 1.53-1.74 (3H, m), 1.79-1.92 (1H, m), 2.74 (2H, t, J = 7.9 Hz), 3.58-3.69
(2H, m), 4.05 (1H, br s), 4.57 (1H, br s), 7.20-7.22 (2H, m), 7.38-7.50 (4H,
m), 7.54 (1H, s).
ESIMS (+) : 504 [M+H] +.
【0217】
<実施例31及び32>
(+)−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール及び(−)−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール
実施例30の化合物を高速液体クロマトグラフィー(CHIRALCEL OJ-H、ヘキサン:イソプロパノール:ジエチルアミン=98:2:0.1(v/v)、測定波長:UV 278nm、流速:1.0mL/min)で光学分割し、前溶出部分から[α]D25 +15.08 (c 0.63,
CHCl3)の無色油状物(実施例31)を、後溶出部分から[α]D26 -13.91 (c 0.63, CHCl3)の無色油状物(実施例32)を得た。
【0218】
<実施例33>
(−)−2−アミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール塩酸塩
実施例31の化合物を実施例18と同様に反応させ目的物を白色粉末として得た。
ESIMS (+) : 404 [M+H] +.
旋光度:[α]D25 −4.48 (c 1.00, CHCl3).
【0219】
<実施例34>
(±)−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−エトキシカルボニルアミノ−2−メチルペンタン酸エチル
【0220】
【化60】

【0221】
実施例28の実験においてメタノールの代わりにエタノールを使用し、目的物を無色油状物として得た。
1H-NMR
(DMSO-d6, 400 MHz):δ1.12 (6H, t, J = 6.8Hz),
1.30 (3H, s), 1.47-1.55 (2H, m), 1.65-1.72 (1H, m), 1.78-1.86 1H, m), 2.66 (2H,
t, J = 7.3Hz), 3.94 (2H, q, J = 6.8Hz), 4.03 (2H, q, J = 6.8Hz), 7.33-7.68 (8H,
m).
【0222】
<実施例35>
(+)−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]−2−エトキシカルボニルアミノ−2−メチルペンタン酸エチル
【0223】
【化61】

【0224】
実施例34の化合物を高速液体クロマトグラフィー(CHIRALCEL OD、ヘキサン:イソプロパノール=90:10(v/v))で光学分割し、前溶出部分から[α]D25
+4.1 (c 1, MeCN)の無色油状物を得た。
【0225】
<実施例36及び37>
5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル)フェニル]−2−エトキシカルボニルアミノ−2−メチルペンタン酸エチル及び
【0226】
【化62】

【0227】
5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)フェニル]−2−エトキシカルボニルアミノ−2−メチルペンタン酸エチル
【0228】
【化63】

【0229】
氷冷下、実施例35の化合物(4.00
g) の塩化メチレン (60 mL) 溶液に、m-クロロ過安息香酸 (65%換算,
3.07 g) の塩化メチレン (17 mL) 溶液を加え、30分攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルにて抽出し、抽出層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて3回洗浄後、水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去して、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン : 酢酸エチル = 3 : 1)にて精製し、スルフィニル体実施例36(1.87 g)およびスルホニル体実施例37(2.69 g)をそれぞれ得た。
【0230】
実施例36
無色油状物
1H NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 1.29 (6H, t, J = 7.3
Hz), 1.38 (1H, br s), 1.53 (3H, s), 1.54-1.66 (1H, m), 1.83 (1H, td, J = 12.8,
4.3 Hz), 2.28 (1H, br s), 2.65-2.78 (2H, m), 4.06 (2H, q, J = 7.3 Hz), 4.17
(2H, q, J = 7.3 Hz), 5.56 (1H, br s), 7.31 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.45 (1H, dd, J
= 7.9, 1.8 Hz), 7.63 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.64 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.73 (1H,
d, J = 7.9 Hz), 7.81 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.95 (1H, s).
ESIMS (+) : 534 [M+H] +.
【0231】
実施例37
無色油状物
1H NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 1.29 (6H, t, J = 7.3
Hz), 1.30-1.44 (1H, m), 1.54 (3H, s), 1.55-1.66 (1H, m), 1.85 (1H, ddd, J =
13.4, 12.2, 4.3 Hz), 2.30 (1H, br s), 2.68-2.82 (2H, m), 4.06 (2H, q, J = 7.3
Hz), 4.18 (2H, q, J = 7.3 Hz), 5.56 (1H, br s), 7.36 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.67
(1H, t, J = 7.9 Hz), 7.76 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.85 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.92
(1H, d, J = 1.8 Hz), 8.12 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.20 (1H, s).
ESIMS (+) : 550 [M+H] +.
【0232】
<実施例38>
5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル)フェニル]−2−エトキシカルボニルアミノ−2−メチルペンタン−1−オール
【0233】
【化64】

【0234】
実施例36の化合物を用い、実施例29と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ1.15 (3H, s), 1.22 (3H,
t, J = 7.3 Hz), 1.53-1.73 (3H, m), 1.76-1.89 (1H, m), 2.75 (2H, t, J = 7.3 Hz),
3.63 (2H, t, J = 12.2 Hz), 4.06 (2H, q, J = 7.3 Hz), 4.69 (1H, br s), 7.35 (1H,
d, J = 7.9 Hz), 7.46 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.63 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.65
(1H, d, J = 1.8 Hz), 7.73 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.81 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.94
(1H, s).
ESIMS (+) : 492 [M+H] +.
【0235】
<実施例39>
5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)フェニル]−2−エトキシカルボニルアミノ−2−メチルペンタン−1−オール
【0236】
【化65】

【0237】
実施例37の化合物を用い、実施例29と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 1.15 (3H, s), 1.22 (3H,
t, J = 7.3 Hz), 1.55-1.72 (3H, m), 1.80-1.87 (1H, m), 2.78 (2H, t, J = 7.6 Hz),
3.64 (2H, s), 4.05 (2H, q, J = 7.3 Hz), 4.69 (1H, br s), 7.40 (1H, d, J = 7.9
Hz), 7.69 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.76 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.85 (1H, d, J =
7.9 Hz), 7.93 (1H, d, J = 1.8 Hz), 8.13 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.21 (1H, s).
ESIMS (+) : 508 [M+H] +.
【0238】
<実施例40>
2−アミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール
【0239】
【化66】

【0240】
実施例38の化合物
(1.71 g)のテトラヒドロフラン(7 mL)/メタノール(14 mL)混合溶液に5
mol / L水酸化カリウム水溶液 (7 mL) を加え、25時間加熱還流した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出し、抽出層を水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去した残渣をNHタイプシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチルのみ
後に酢酸エチル : メタノール = 1: 9)にて精製し、目的物
(1.08 g)を無色油状物として得た。.
1H NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ1.03 (3H, s), 1.36-1.67
(4H, m), 2.74 (2H, t, J = 7.9 Hz), 3.25 (1H, d, J = 10.4 Hz), 3.31 (1H, d, J =
10.4 Hz), 7.35 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.46 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.63 (1H,
t, J = 7.9 Hz), 7.65 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.73 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.82 (1H,
d, J = 7.9 Hz), 7.94 (1H, s).
ESIMS (+) : 420 [M+H] +.
【0241】
<実施例41>
2−アミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール
【0242】
【化67】

【0243】
実施例39の化合物を用い、実施例40と同様に反応させ目的物を白色アモルファスとして得た。
1H NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 1.03 (3H, s), 1.35-1.54
(2H, m), 1.57-1.70 (2H, m), 2.77 (2H, t, J = 7.9 Hz), 3.26 (1H, d, J = 10.4
Hz), 3.31 (1H, d, J = 10.4 Hz), 7.40 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.69 (1H, t, J = 7.9
Hz), 7.77 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.85 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.93 (1H, d, J =
1.8 Hz), 8.13 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.21 (1H, s).
ESIMS (+) : 436 [M+H] +.
【0244】
<実施例42>
(+)−2−アミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール 塩酸塩
【0245】
【化68】

【0246】
実施例40の化合物(550 mg)を10%塩酸メタノール溶液(13 mL)に溶解し、常温にて30分間攪拌した。反応液を減圧留去し、ジイソプロピルエーテルを加え結晶を濾取した。得られた粉体を減圧乾燥し、目的物(322 mg)を白色粉末として得た。
旋光度:[α]D26 +2.40 (c
0.50, CH3OH).
1H NMR
(DMSO-d6, 400 MHz): δ1.09 (3H, s), 1.49-1.63
(4H, m), 267 (2H, br s), 3.32 (1H, d, J = 11.0 Hz), 3.36 (1H, d, J = 11.0 Hz),
7.54 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.72 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.79 (1H, t, J = 7.9
Hz), 7.82 (3H, br s), 7.87 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.90 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.08
(1H, d, J = 7.9 Hz), 8.15 (1H, s).
HRESIMS (+) 420.10304 (C19H21ClF3NO2Sとして計算値
420.10119).
元素分析:実測値 C 49.82%, H 5.16%, N 2.94%, C19H21ClF3NO2S.HClとして計算値 C 50.01%, H 4.86%, N 3.07%.
【0247】
<実施例43>
(+)−2−アミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール 塩酸塩
【0248】
【化69】

【0249】
実施例41の化合物を用い、実施例42と同様に反応させ目的物を白色粉末として得た。
旋光度:[α]D26 +3.75 (c
1.00, CH3OH).
1H NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 1.08 (3H, s), 1.45-1.64
(4H, m), 2.73 (2H, t, J = 7.3 Hz), 3.34 (1H, d, J = 4.9 Hz), 3.37 (1H, d, J =
4.9 Hz), 5.43 (1H, t, J = 4.9 Hz), 7.63 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.89 (3H, br s),
7.89 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.99 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 8.12 (1H, d, J = 7.9
Hz), 8.14 (1H, d, J = 1.8 Hz), 8.35 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.36 (1H, s).
HRESIMS (+) 436.09753 (C19H21ClF3NO3Sとして計算値
436.09610).
元素分析:実測値 C 47.49%, H 4.93%, N 2.93%, C19H21ClF3NO3S.
HCl. 1/2H2Oとして計算値 C 47.41%, H 4.82%, N
2.91%.
【0250】
<実施例44>
2−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール
【0251】
【化70】

【0252】
実施例41の化合物
(666 mg) の1,4-ジオキサン (60 mL) 溶液にジ−tert−ブチルジカルボネート(500 mg)を加え、常温で2時間攪拌し、常温で一晩放置した。反応液に水を加え酢酸エチルにて抽出し、抽出層を水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去して、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン : 酢酸エチル = 2 : 1)にて精製し、目的物(765 mg)を無色油状物として得た。
1H NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 1.11 (3H, s), 1.41 (9H,
s), 1.57-1.73 (3H, m), 1.81-1.92 (1H, m), 2.79 (2H, t, J = 7.9 Hz), 3.60 (2H,
d, J = 6.1 Hz), 3.98 (1H, br s), 4.55 (1H, s), 7.40 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.69
(1H, t, J = 7.9 Hz), 7.76 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.85 (1H, d, J = 7.9 Hz),
7.93 (1H, d, J = 1.8 Hz), 8.13 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.21 (1H, s).
ESIMS (+) : 536 [M+H] +.
【0253】
<実施例45>
2−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール
【0254】
【化71】

【0255】
実施例40の化合物を用い、実施例44と同様に反応させ目的物を無色油状物として得た。
1H NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ1.13 (3H, s), 1.42 (4.5
H, s, diastereomer), 1.43 (4.5 H, s, diastereomer), 1.59-1.73 (3H, m),
1.82-1.92 (1H, m), 2.77 (2H, t, J = 7.3 Hz), 3.62 (2H, d, J = 6.1 Hz), 4.04
(1H, br s), 4.57 (1H, s), 7.36 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.47 (1H, dd, J = 7.9, 1.8
Hz), 7.64 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.66 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.74 (1H, d, J = 7.9
Hz), 7.82 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.96 (1H, s).
ESIMS (+) : 520 [M+H] +.
【0256】
<実施例46>
2−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)フェニル]−1−ジメトキシホスホリルオキシ−2−メチルペンタン
【0257】
【化72】

【0258】
実施例44の化合物(765 mg)のピリジン(3.2 mL)溶液に、氷冷下にて四臭化炭素(948 mg)と亜リン酸トリメチル(0.337 mL)を加え、氷冷下で1時間攪拌した。反応液に10 % クエン酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、抽出層を水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン : 酢酸エチル = 1 : 2)にて精製し、目的物(720 mg)を無色油状物として得た。
1H NMR
(CDCl3, 400 MHz): δ 1.23 (3H, s), 1.40 (9H,
s), 1.58-1.67 (3H, m), 1.84-1.99 (1H, m), 2.77 (2H, t, J = 7.3 Hz), 3.76 (3H,
d, J = 11.0 Hz), 3.77 (3H, d, J = 11.0 Hz), 3.95 (1H, dd, J = 9.8, 5.5 Hz),
4.13 (1H, dd, J = 9.8, 5.5 Hz), 4.51 (1H, s), 7.39 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.69
(1H, t, J = 7.9 Hz), 7.76 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.85 (1H, d, J = 7.9 Hz),
7.93 (1H, d, J = 1.8 Hz), 8.13 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.21 (1H, s).
ESIMS (+) : 644 [M+H] +.
【0259】
<実施例47>
2−アミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)フェニル]−2−メチルペンチルホスホン酸モノエステル
【0260】
【化73】

【0261】
実施例46の化合物(720 mg)のアセトニトリル(11 mL)溶液にアルゴン雰囲気下、氷冷下にてヨウ化トリメチルシラン(0.61 mL)を滴下し、氷冷下にて1時間攪拌した。水(100 mL)を加え、さらに氷冷下にて30分間攪拌した後、反応液を濃縮した。残渣を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(水
: アセトニトリル = 9 : 1→ 6 : 1→ 3 : 1→ 1 : 1)にて精製し、目的物(220 mg)を白色粉末として得た。
旋光度:[α]D21 +5.24 (c
0.50, DMSO-1%TFA).
1H NMR
(DMSO-d6 - dTFA, 400 MHz) : δ 1.14 (3H, s),
1.52-1.70 (4H, m), 2.74 (2H, t, J = 6.7 Hz), 3.75 (1H, dd, J = 11.0, 5.5 Hz),
3.81 (1H, dd, J = 11.0, 5.5 Hz), 7.61 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.87 (1H, t, J = 7.9
Hz), 7.98 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 8.09 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.13 (1H, d, J =
1.8 Hz), 8.32 (1H, s), 8.33 (1H, d, J = 7.9 Hz).
HRESIMS (-) 514.04669 (C19H21ClF3NO6PSとして計算値
514.04678).
元素分析:実測値 C 44.24%, H 4.30%, N 2.72%, C19H22ClF3NO6PS.
5/4H2Oとして計算値 C 42.39%, H 4.59%, N 2.60%.
【0262】
<実施例48>
2−アミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル)フェニル]−2−メチルペンチルホスホン酸モノエステル
【0263】
【化74】

【0264】
実施例45の化合物(411 mg)及びジ-tert-ブチルホスホネート(3.07 g)の四塩化炭素(8 mL)溶液にアルゴン雰囲気下、テトラエチルアンモニウムヨージド(509 mg)及び50%水酸化ナトリウム水溶液(4 mL)を加え、常温にて27時間撹拌した。反応液を塩化メチレンで希釈後、水および飽和食塩水で洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン : 酢酸エチル = 3 : 2)にて精製し、淡黄色油状物を得た。これを10%塩酸-メタノール(30mL)に溶解し、常温にて3日間放置した後、減圧下溶媒を留去した。残渣に水を加え、析出晶(A)を濾取し、濾液(A’)と分離した。結晶Aを酢酸エチルに懸濁させよく洗浄後、濾取し白色固体(B)および濾液(B’)を得た。また、ろ液A’およびB’を合わせ減圧下濃縮して得られた残渣に水を加え、析出晶を濾取し、白色の固体(C)を得た。C及びBを合わせ、逆層TLC(RP-18, アセトニトリル:水 = 1:1)で精製し、白色固体を得た。これをメタノールに溶解し、HPLC前処理用ディスクフィルター(0.45μm)で不溶物を除き、減圧下濃縮し、最後に少量のメタノールと酢酸エチルを用いて晶析させ、結晶を濾取し、目的物(130mg)を白色固体として得た。
旋光度:[α]D22 +10.7 (c
0.533, DMSO-1%TFA).
1H NMR
(DMSO-d6 - dTFA, 400 MHz) : δ 1.14 (3H, s),
1.53-1.68 (4H, m), 2.68 (2H, t, J = 6.9 Hz), 3.74-3.83 (2H, m), 7.53 (2H, d, J
= 8.3 Hz), 7.72 (1H, dd, J = 8.3, 1.8 Hz), 7.78 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.87-7.90
(2H, m), 8.07 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.14 (1H, s).
HRESIMS (+) 500.06706 (C19H23ClF3NO5PSとして計算値
500.06752).
元素分析:実測値 C 44.38%, H 4.64%, N 2.72%, C19H22ClF3NO5PS.
H2Oとして計算値 C 44.06%, H 4.67%, N 2.70%.


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

[式中、Rは塩素原子又はハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1〜3の直鎖状アルキル基を、Rはフッ素原子又は塩素原子を、Rは炭素数1〜3の直鎖状アルキル基を、XはSO又はSO2を、nは2又は3を示す]
で表されるアミノアルコール誘導体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物が、一般式(1a)
【化2】

[式中、R、X及びnは前記定義に同じ]
で表される請求項1記載のアミノアルコール誘導体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。
【請求項3】
前記一般式(1)又は(1a)においてRがメチル基である請求項1又は2に記載のアミノアルコール誘導体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。
【請求項4】
前記一般式(1)で示される化合物が、
1)(R)−2−アミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オール、
2)(R)−2−アミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)フェニル]−2−メチルペンタン−1−オールである請求項1記載のアミノアルコール誘導体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。
【請求項5】
一般式(2)
【化3】

[式中、Rは塩素原子又はハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1〜3の直鎖状アルキル基を、Rはフッ素原子又は塩素原子を、Aはハロゲン原子を、XはSO又はSO2を、nは2又は3を示す]
で表される化合物と一般式(10)
【化4】

[式中、Rは炭素数1〜3の直鎖状アルキル基を、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す]
で表される化合物を塩基の存在下に作用させる工程、及び前記工程における生成物を酸分解した後、さらにt−ブトキシカルボニル基にて窒素原子を保護し、還元し、窒素原子を脱保護する工程により製造される請求項1記載のアミノアルコール誘導体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のアミノアルコール誘導体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物を有効成分として含有する医薬。
【請求項7】
免疫抑制剤である請求項6記載の医薬。
【請求項8】
臓器移植若しくは骨髄移植における拒絶反応の予防又は治療薬である請求項6記載の医薬。
【請求項9】
請求項1〜5の何れかに記載のアミノアルコール誘導体のリン酸エステル、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。

【公開番号】特開2008−239546(P2008−239546A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82244(P2007−82244)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000001395)杏林製薬株式会社 (120)
【Fターム(参考)】