説明

アミン化合物の精製方法

【課題】 電子写真用の電荷輸送材料として量産でき、しかも良好な感度、残留電位等の電気特性が得られ、また疲労時の特性変化が少ない電子写真用感光体を得るため、電気特性を劣化させるような不純物を含有せず、電気特性を満足させる電荷輸送材料としてのアミン化合物のための精製方法を提供することを目的する。
【解決手段】 電荷輸送材料としてのアミン化合物を有機溶媒中に溶解させ、活性白土を活性化するために該溶液を80℃〜130℃の温度に設定して、該活性白土と接触させることを特徴とする電荷輸送材料としてのアミン化合物の精製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の複写機、プリンター、ファクシミリ等に使用される電子写真用感光体用電荷輸送材料を中心とする電荷輸送材料としてのアミン化合物の精製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電荷輸送材料として用いる物質は、電子写真用感光体として用いる場合に初期から長時間使用後まで安定した性能を得るため高純度の材料が要求されている。通常、その性能を満たすためには、製造した粗製品を精製する行程が必須である。吸着材による精製方法として、活性白土と活性炭を組み合わせる方法が特許文献1に、活性白土精製後に活性シリカで精製する方法が特許文献2に開示されている。これらは数種類の吸着材を組み合わせる方法であるが、さらに同一の吸着材を使用しても、その処理操作を2回以上繰り返すことで精製効果を上げる方法が、特許文献3に開示されている。以上のような方法の場合は多種の吸着材を必要とすることによる、原材料費増加の問題や、同一処理操作を繰り返すことによるコスト上昇の問題がある。また活性炭、活性白土等の吸着材による処理によって、電子写真感光体として要求される電気特性が満足できるものを得ることができることもあるが、どうしても満足できる水準に到達できない場合もしばしばあった。一方、高純度品を得るための昇華による精製方法では、低収率であり、また工業的にも難点がある等の諸問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−233156号公報
【特許文献2】特開平4−310962号公報
【特許文献3】特開平7−56365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は電子写真用の電荷輸送材料として量産でき、しかも良好な感度、残留電位等の電気特性が得られ、また疲労時の特性変化が少ない電子写真用感光体を得るため、電気特性を劣化させるような不純物を含有せず、電気特性を満足させる電荷輸送材料としてのアミン化合物のための精製方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは電荷輸送材料を量産化でき、かつ電気特性を満足できる精製方法について鋭意検討を重ねた結果、活性白土を使用した処理において、この処理をある一定の温度条件下で行なうことにより電気特性を大幅に向上させることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は電荷輸送材料としてのアミン化合物を有機溶媒中に溶解させ、活性白土を活性化するために該溶液を80℃〜130℃の温度に設定して、該活性白土と接触させることを特徴とする電荷輸送材料としてのアミン化合物の精製方法である。
【0006】
詳細には、本発明の電荷輸送材料としてのアミン化合物は電子写真感光体用材料であり、有機電界発光素子材料である。
【0007】
活性白土による精製の場合、通常の処理方法では一部の不純物を除去することはできるが、長時間処理しても大きな改善効果は望めない。室温付近の温度では長時間接触させても、繰り返し何回も接触させても、活性白土の量を多くしても最初の効果以上の改善が見られない。しかしながら処理温度を80〜130℃にすることで、室温付近ではできなかった特性改善が更に可能となる。
【0008】
本発明の電荷輸送材料としてはアリールアミン誘導体、ベンジジン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体などが挙げられる。例えばアリールアミン誘導体(特開昭57−195254号、特開平2−190863号、同3−285960号、同6−214412号、同6−317918号、同7−84390号、同7−281462号、同9−258465号各公報に記載)、ベンジジン誘導体(特開昭54−58445号、特開平6−148915号、同6−214412号、同7―126226号、同7−188130号、特公昭39−11546号、同58−32372号、特許第2539641号各公報に記載)、ヒドラゾン誘導体(特開昭55−46760号、同55−154955、同55−156954号、同55−52063号、同56−81850号、特開平10−31319号、特公昭60−34099号各公報に記載)、スチルベン誘導体(特開昭57−73075号、同57−205437号、同58−198043号、特開平8−211636号、同9−208549号、同9−216877号、同9−328456号、同10−148952号、特公平3−39306号各公報に記載)、スチリル誘導体(特開平7−281462号公報に記載)、ジスチルベン誘導体(特開平3−253861号、特公平7−13741号、特許第2552695号各公報に記載)、トリスチリル誘導体(特開平8−295655号公報に記載)、ジエチル芳香族化合物(特許第2529299号公報に記載)、ブタジエン誘導体(特開平1−149055号公報に記載)などが挙げられる。これらの中でも特にベンジジン誘導体に対して効果的である。電荷輸送材料は主に電子写真感光体用材料として使用され、有機電界発光素子用材料としても使用されている。これらの用途では特定の不純物が存在すると、それが極微量ではあっても電子写真感光体等の性能に与える悪影響は極めて大きい。このような特定の不純物を的確に除去できるのが、本発明の精製方法の特長である。過去、石油製品の脱色や不純物除去に活性白土が使用されてきたが、本発明の精製方法は電荷輸送材料に限定されるものでは無く、特定の不純物が極微量ではあっても電気的作用、電子的作用等に対して多大の悪影響を与える電子製品材料において極めて有効である。また、本発明の精製方法を特定の中間体の段階で適用することによって、最終段階の化合物の電気特性を確実に向上させることも可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の精製方法によれば、電荷輸送材料としてのアミン化合物を80〜130℃に加熱して活性白土で処理することにより効果的に電気特性不良発生源となる不純物を取り除くことができる。この処理を行った優れた材料を用いることにより高感度で残留電位の少ない電荷輸送材を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
活性白土とは、カオリン、ベントナイト、パーライト、ボーキサイト、酸性白土等の天然鉱物及び酸性白土等を硫酸処理により活性化させた活性白土等が使用できる。これら化合物の主要元素を含有する活性アルミナ及びシリカゲルも使用できる。好適には活性化された活性白土があげられ、日本活性白土株式会社(商品名:活性白土)や水澤化学工業株式会社(商品名ガレオンアース、ガレオナイト)等で一般に製造販売されているものを使用できる。
【0011】
一般に粉状の活性白土として、水分12%以下又は5%以下、粉末度200メッシュ通過85%以上、遊離酸2mgKOH/g以下、見掛け比重0.45〜0.85のものが好適に使用される。また、粒状の活性白土としては、水分12%以下又は5%以下、粉末度15〜30メッシュ、30〜60メッシュ、8〜16メッシュ、遊離酸2mgKOH/g以下、見掛け比重0.55〜0.75のものが好適に使用される。さらに、表面積150m2/g以上、酸性度10〜30m.e./100gでSiO2 70〜85%、Al23 6〜15%を主成分とするものが好適に使用される。
【0012】
使用される活性白土は電荷輸送材料としてのアミン化合物の重量部に対して、10%重量部以上使用することができ、好ましくは20〜100%重量部である。処理方法としては、電荷輸送材料としてのアミン化合物を有機溶媒中に溶解させ、該溶液を活性白土と接触させる。接触後、ろ過機によって溶液と廃白土を分離する。
【0013】
処理温度は80〜130℃の範囲である。接触時間は任意に選択できるが10分以上が好ましい。更に好ましくは20〜200分である。
【0014】
用いられる有機溶媒は電荷輸送材料を溶解するものであれば特に制限はないが、特に脂肪族及び芳香族の炭化水素類が好ましい。好適にはトルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、o−シメン、m−シメン、p−シメン、アニソール、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカン、2,3−ジメチルヘキサン、2−メチルヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、エチルキシレン、エチルトルエン、エチルアニソール、ジメチルヘプタン等が挙げられ、単独でまたは混合溶媒で使用することができる。
【0015】
接触後のろ過は、使用溶媒と設備の許す範囲で高温で行った方が効率は良いが、冷却後に行っても差し支え無い。
【0016】
本発明において活性白土を添加する時期は、電荷輸送材料としてのアミン化合物を有機溶剤に溶解させる前でも、溶解させた後でも良い。活性白土は1度に全量加えても、数回に分けて加えても良い。
【0017】
活性白土で接触処理する方法としては有機溶剤に電荷輸送材料としてのアミン化合物を溶解させ、その溶液中に活性白土を加え、80〜130℃から選択した温度で20分以上、撹拌して接触させる。接触後に廃活性白土をろ別する。このような精製方法で得られた電荷輸送材料としてのアミン化合物は、電気特性を満足できるものである。
【実施例】
【0018】
以下実施例に基づき具体的に説明する。
【0019】
[実施例1]電荷輸送剤としてベンジジン化合物(電荷輸送剤No.1)
【0020】
【化1】

【0021】
10gをトルエン60gに溶解させ、活性白土マル強(日本活性白土株式会社製)10gを加えて100℃で1時間撹拌した後、ろ過して分離し、トルエン溶液中にメタノール240gを滴下して、結晶を析出させた。これをろ過分離後乾燥して処理品8.1g(収率81%)を得た。純度は高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製HPLC−6A)によって分析を行い、純度99.7%の結果を得た。得られた処理品を使用して以下に示す手順で感光体を作製し、電子写真特性評価を行った。
【0022】
アルコール可溶性ナイロン(東レ:アミランCM−8000)2.5部をメタノール/n−ブタノール=1:1(W/W)混合溶液100部に加え完全に溶解させた。この溶液を導電性支持体であるアルミ蒸着PETフィルムのアルミ面上にワイヤーバーを用いて塗布し、常圧下110℃で10分間乾燥して膜厚0.2μmの下引き層を形成した。
【0023】
一方電荷発生剤としてχ型メタルフリーフタロシアニン(電荷発生剤No.1)
【0024】
【化2】

【0025】
1.5部およびポリビニルブチラール樹脂(エスレックBL−S、積水化学工業(株)製)の3%シクロヘキサノン溶液50部に加え、ポットミルにて24時間のミリングを行った。得られた分散液を前記の下引き層上にワイヤーバーで塗布し、常圧下110℃で30分間乾燥して膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0026】
一方電荷輸送剤として電荷輸送剤No.1の処理品1.5部をポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)の10%トルエン溶液12部に加え超音波をかけて化合物を完全に溶解させた。この溶液を前記の電荷発生層上にワイヤーバーで塗布し、常圧下110℃で30分間、更に減圧下で2時間乾燥して膜厚22μmの電荷輸送層を形成せしめて、感光体を作製した。
【0027】
作製した感光体を静電複写紙試験装置(商品名「EPA−8100」川口電気製作所(株)製)を用いて電子写真特性評価を行った。まず、感光体を暗所で−6kVのコロナ放電を行い、このときの帯電電位V0を測定した。次いで1.0μW/cm2の780nmの単色光で露光し、半減露光量E1/2(μJ/cm2)および光を5秒間照射し続けて残留電位Vrを求めた。結果については表1−1に示した。
【0028】
[比較例1]
ベンジジン化合物(電荷輸送剤No.1)10gをトルエン60gに溶解させ、活性白土マル強10gを加えて50℃で1時間撹拌した後、ろ過して分離し、トルエン溶液中にメタノール240gを滴下して、結晶を析出させた。これをろ過分離後乾燥して処理品8.1g(収率81%)を得た。純度は高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製HPLC−6A)によって分析を行い、純度99.6%の結果を得た。得られた処理品を使用して実施例1と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0029】
[実施例2]
実施例1における電荷輸送剤No.1を用いる代わりに下記ベンジジン化合物(電荷輸送剤No.2)
【0030】
【化3】

【0031】
を実施例1と同様の処理を行い、処理品8.0g(収率80%)を得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.9%であった。得られた処理品を使用して実施例1と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0032】
電荷発生剤は、実施例1において電荷発生剤No.1を用いる代わりにτ型メタルフリーフタロシアニン(電荷発生剤No.2)を用いた。
【0033】
【化4】

【0034】
[比較例2]
ベンジジン化合物(電荷輸送剤No.2)を比較例1と同様の処理を行い、処理品を8.1g(収率81%)得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.8%であった。得られた処理品を使用して実施例2と同様の手順で感光体を作製し電子写真評価を行った。
【0035】
[実施例3]
実施例1における電荷輸送剤No.1を用いる代わりに下記ベンジジン化合物(電荷輸送剤No.3)
【0036】
【化5】

【0037】
を実施例1と同様の処理を行い、処理品8.3g(収率83%)を得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.7%であった。得られた処理品を使用して実施例1と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0038】
電荷発生剤は、実施例1における電荷発生剤No.1を用いる代わりにα型オキソチタニルフタロシアニン(電荷発生剤No.3)を用いた。
【0039】
【化6】

【0040】
[比較例3]
ベンジジン化合物(電荷輸送剤No.3)を比較例1と同様の処理を行い、処理品を8.2g(収率82%)得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.5%であった。得られた処理品を使用して実施例3と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0041】
[実施例4]
実施例1における電荷輸送剤No.1を用いる代わりに下記アミン化合物(電荷輸送剤No.4)
【0042】
【化7】

【0043】
を実施例1と同様の処理を行い、処理品8.0g(収率80%)を得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.9%であった。得られた処理品を使用して実施例3と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0044】
[比較例4]
アミン化合物(電荷輸送剤No.4)を比較例1と同様の処理を行い、処理品を8.1g(収率81%)得た。同様に純度分析を行い、純度は99.8%であった。得られた処理品を使用して実施例3と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0045】
[実施例5]
実施例1における電荷輸送剤No.1を用いる代わりに下記アミン化合物(電荷輸送剤No.5)
【0046】
【化8】

【0047】
を実施例1と同様の処理を行い、処理品7.8g(収率78%)を得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.7%であった。得られた処理品を使用して実施例3と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0048】
[比較例5]
アミン化合物(電荷輸送剤No.5)を比較例1と同様の処理を行い、処理品を7.8g(収率78%)得た。同様に純度分析を行い、純度は99.6%であった。得られた処理品を使用して実施例3と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0049】
[実施例6]
実施例1における電荷輸送剤No.1を用いる代わりに下記アミン化合物(電荷輸送剤No.6)
【0050】
【化9】

【0051】
を実施例1と同様の処理を行い、処理品7.6g(収率76%)を得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.8%であった。得られた処理品を使用して実施例1と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0052】
電荷発生剤は、実施例1における電荷発生剤No.1を用いる代わりにy型オキソチタニルフタロシアニン(電荷発生剤No.4)を用いた。
【0053】
【化10】

【0054】
[比較例6]
アミン化合物(電荷輸送剤No.6)を比較例1と同様の処理を行い、処理品を7.5g(収率75%)得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.6%であった。得られた処理品を使用して実施例6と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0055】
[実施例7]
電荷輸送剤としてベンジジン化合物(電荷輸送剤No.7)
【0056】
【化11】

【0057】
10gをp−キシレン70gに溶解させ、活性白土マルT(日本活性白土株式会社製)10gを加えて130℃で1時間撹拌した後、ろ過して分離し、トルエン溶液中にメタノール300gを滴下して、結晶を析出させた。これをろ過分離後乾燥して処理品9.0g(収率90%)を得た。純度は高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製HPLC−6A)により純度分析を行った。純度は99.7%であった。得られた処理品を使用して以下に示す手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0058】
アルコール可溶性ナイロン(東レ:アミランCM−8000)2.5部をメタノール/n−ブタノール=1:1(W/W)混合溶液100部に加え完全に溶解させた。この溶液を導電性支持体であるアルミ蒸着PETフィルムのアルミ面上にワイヤーバーを用いて塗布し、常圧下110℃で10分間乾燥して膜厚0.2μmの下引き層を形成した。
【0059】
一方電荷発生剤としてχ型メタルフリーフタロシアニン(電荷発生剤No.1)1.5部およびポリビニルブチラール樹脂(エスレックBL−S、積水化学工業(株)製)の3%シクロヘキサノン溶液50部に加え、ポットミルにて24時間のミリングを行った。得られた分散液を前記の下引き層上にワイヤーバーで塗布し、常圧下110℃で30分間乾燥して膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0060】
一方電荷輸送剤として処理品1.5部をポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)の10%トルエン溶液12部に加え超音波をかけて化合物を完全に溶解させた。この溶液を前記の電荷発生層上にワイヤーバーで塗布し、常圧下110℃で30分間、更に減圧下で2時間乾燥して膜厚22μmの電荷輸送層を形成せしめて、感光体を作製した。
【0061】
作製した感光体を静電複写紙試験装置(商品名「EPA−8100」川口電気製作所(株)製)を用いて電子写真特性評価を行った。まず、感光体を暗所で−6kVのコロナ放電を行い、このときの帯電電位V0を測定した。次いで1.0μW/cm2の780nmの単色光で露光し、半減露光量E1/2(μJ/cm2)および光を5秒間照射し続けて残留電位Vrを求めた。結果については表1−1に示した。
【0062】
[比較例7]
ベンジジン化合物(電荷輸送剤No.7)10gをp−キシレン70gに溶解させ、活性白土マルT10gを加えて50℃で1時間撹拌した後、ろ過して分離し、トルエン溶液中にメタノール300gを滴下して、結晶を析出させた。これをろ過分離後乾燥して処理品8.9g(収率89%)を得た。純度は高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製HPLC−6A)によって分析を行い、純度99.6%の結果を得た。得られた処理品を使用して実施例7と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0063】
[実施例8]
実施例7における電荷輸送剤No.7を用いる代わりに下記ベンジジン化合物(電荷輸送剤No.8)
【0064】
【化12】

【0065】
を実施例7と同様の処理を行い、処理品9.2g(収率92%)を得た。同様に純度分析を行った。純度は99.8%であった。得られた処理品を使用して実施例7と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0066】
電荷発生剤は、実施例7における電荷発生剤No.1を用いる代わりにα型オキソチタニルフタロシアニン(電荷発生剤No.3)を用いた。
【0067】
[比較例8]
ベンジジン化合物(電荷輸送剤No.8)を比較例7と同様の処理を行い、処理品を9.1g(収率91%)得た。同様に純度分析を行った。純度は99.5%であった。得られた処理品を使用して実施例7と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0068】
[実施例9]
電荷輸送剤としてアミン化合物(電荷輸送剤No.9)
【0069】
【化13】

【0070】
10gをトルエン55gに溶解させ、ガレオンアースV2(水澤化学工業株式会社製)10gを加えて90℃で1時間撹拌した後、ろ過して分離し、トルエン溶液中にメタノール250gを滴下して、結晶を析出させた。これをろ過分離後乾燥して処理品8.6g(収率86%)を得た。純度は高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製HPLC−6A)によって分析を行い、純度99.5%の結果を得た。得られた処理品を使用して以下に示す手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0071】
アルコール可溶性ナイロン(東レ:アミランCM−8000)2.5部をメタノール/n−ブタノール=1:1(W/W)混合溶液100部に加え完全に溶解させた。この溶液を導電性支持体であるアルミ蒸着PETフィルムのアルミ面上にワイヤーバーを用いて塗布し、常圧下110℃で10分間乾燥して膜厚0.2μmの下引き層を形成した。
【0072】
一方電荷発生剤としてy型オキソチタニルフタロシアニン(電荷発生剤No.4)1.5部およびポリビニルブチラール樹脂(エスレックBL−S、積水化学工業(株)製)の3%シクロヘキサノン溶液50部に加え、ポットミルにて24時間のミリングを行った。得られた分散液を前記の下引き層上にワイヤーバーで塗布し、常圧下110℃で30分間乾燥して膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0073】
一方電荷輸送剤として処理品1.5部をポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)の10%トルエン溶液12部に加え超音波をかけて化合物を完全に溶解させた。この溶液を前記の電荷発生層上にワイヤーバーで塗布し、常圧下110℃で30分間、更に減圧下で2時間乾燥して膜厚22μmの電荷輸送層を形成せしめて、感光体を作製した。
【0074】
作製した感光体を静電複写紙試験装置(商品名「EPA−8100」川口電気製作所(株)製)を用いて電子写真特性評価を行った。まず、感光体を暗所で−6kVのコロナ放電を行い、このときの帯電電位V0を測定した。次いで1.0μW/cm2の780nmの単色光で露光し、半減露光量E1/2(μJ/cm2)および光を5秒間照射し続けて残留電位Vrを求めた。結果については表1−1に示した。
【0075】
[比較例9]
アミン化合物(電荷輸送剤No.9)10gをトルエン55gに溶解させ、ガレオンアースV2(水澤化学工業株式会社製)10gを加えて45℃で1時間撹拌した後、ろ過して分離し、トルエン溶液中にメタノール250gを滴下して、結晶を析出させた。これをろ過分離後乾燥して処理品8.7g(収率87%)を得た。純度は高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製HPLC−6A)によって分析を行い、純度99.4%の結果を得た。得られた処理品を使用して実施例9と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0076】
[実施例10]
実施例9において電荷輸送剤No.9を用いる代わりに下記アミン化合物(電荷輸送剤No.10)
【0077】
【化14】

【0078】
を実施例9と同様の処理を行い、処理品8.4g(収率84%)を得た。同様に純度分析を行った。純度は99.6%であった。得られた処理品を使用して実施例9と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0079】
電荷発生剤は、実施例9において電荷発生剤No.4を用いる代わりにα型オキソチタニルフタロシアニン(電荷発生剤No.3)を用いた。
【0080】
[比較例10]
アミン化合物(電荷輸送剤No.10)を比較例9と同様の処理を行い、処理品を8.5g(収率85%)得た。同様に純度分析を行った。純度は99.4%であった。得られた処理品を使用して実施例10と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0081】
[実施例11]
実施例9において電荷輸送剤No.9を用いる代わりに下記アミン化合物(電荷輸送剤No.11)
【0082】
【化15】

【0083】
を実施例9と同様の処理を行い、処理品8.4g(収率84%)を得た。同様に純度分析を行った。純度は99.4%であった。得られた処理品を使用して実施例9と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0084】
電荷発生剤は、実施例9における電荷発生剤No.4を用いる代わりにχ型メタルフリーフタロシアニン(電荷発生剤No.1)を用いた。
【0085】
[比較例11]
アミン化合物(電荷輸送剤No.11)を比較例9と同様の処理を行い、処理品を8.4g(収率84%)得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.3%であった。得られた処理品を使用して実施例11と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0086】
[実施例12]
実施例9において電荷輸送剤No.9を用いる代わりに下記アミン化合物(電荷輸送剤No.12)
【0087】
【化16】

【0088】
を実施例9と同様の処理を行い、処理品8.6g(収率86%)を得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.8%であった。得られた処理品を使用して実施例9と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0089】
電荷発生剤は、実施例9における電荷発生剤No.4を用いる代わりにτ型メタルフリーフタロシアニン(電荷発生剤No.2)を用いた。
【0090】
[比較例12]
アミン化合物(電荷輸送剤No.12)を比較例9と同様の処理を行い、処理品を8.5g(収率85%)得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.7%であった。得られた処理品を使用して実施例12と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0091】
[実施例13]
実施例9において電荷輸送剤No.9を用いる代わりに下記ベンジジン化合物(電荷輸送剤No.13)
【0092】
【化17】

【0093】
を実施例9と同様の処理を行い、処理品8.9g(収率89%)を得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.7%であった。得られた処理品を使用して実施例9と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0094】
[比較例13]
ベンジジン化合物(電荷輸送剤No.13)を比較例9と同様の処理を行い、処理品を8.9g(収率89%)得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.5%であった。得られた処理品を使用して実施例9と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0095】
[実施例14]
電荷輸送剤としてスチルベン化合物(電荷輸送剤No.14)
【0096】
【化18】

【0097】
10gをトルエン60gに溶解させ、活性白土マルT(日本活性白土株式会社製)10gを加えて80℃で30分間撹拌した後、ろ過して分離し、トルエン溶液中にメタノール300gを滴下して、結晶を析出させた。これをろ過分離後乾燥して処理品8.8g(収率88%)を得た。純度は高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製HPLC−6A)によって分析を行い、純度99.7%の結果を得た。得られた処理品を使用して以下に示す手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0098】
アルコール可溶性ナイロン(東レ:アミランCM−8000)2.5部をメタノール/n−ブタノール=1:1(W/W)混合溶液100部に加え完全に溶解させた。この溶液を導電性支持体であるアルミ蒸着PETフィルムのアルミ面上にワイヤーバーを用いて塗布し、常圧下110℃で10分間乾燥して膜厚0.2μmの下引き層を形成した。
【0099】
一方電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(電荷発生剤No.3)1.5部およびポリビニルブチラール樹脂(エスレックBL−S、積水化学工業(株)製)の3%シクロヘキサノン溶液50部に加え、ポットミルにて24時間のミリングを行った。得られた分散液を前記の下引き層上にワイヤーバーで塗布し、常圧下110℃で30分間乾燥して膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0100】
一方電荷輸送剤として処理品1.5部をポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)の10%トルエン溶液12部に加え超音波をかけて化合物を完全に溶解させた。この溶液を前記の電荷発生層上にワイヤーバーで塗布し、常圧下110℃で30分間、更に減圧下で2時間乾燥して膜厚22μmの電荷輸送層を形成せしめて、感光体を作製した。
【0101】
作製した感光体を静電複写紙試験装置(商品名「EPA−8100」川口電気製作所(株)製)を用いて電子写真特性評価を行った。まず、感光体を暗所で−6kVのコロナ放電を行い、このときの帯電電位V0を測定した。次いで1.0μW/cm2の780nmの単色光で露光し、半減露光量E1/2(μJ/cm2)および光を5秒間照射し続けて残留電位Vrを求めた。結果については表1−1に示した。
【0102】
[比較例14]
スチルベン化合物(電荷輸送剤No.14)10gをトルエン60gに溶解させ、活性白土マルT(日本活性白土株式会社製)10gを加えて40℃で30分間撹拌した後、ろ過して分離し、トルエン溶液中にメタノール300gを滴下して、結晶を析出させた。これをろ過分離後乾燥して処理品8.9g(収率89%)を得た。純度は高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製HPLC−6A)によって分析を行ったところ、純度99.6%の結果を得た。得られた処理品を使用して実施例14と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0103】
【表1】

【0104】
[実施例15]
電荷輸送剤としてスチルベン化合物(電荷輸送剤No.15)
【0105】
【化19】

【0106】
10gをトルエン60gに溶解させ、活性白土マルT(日本活性白土株式会社製)10gを加えて80℃で30分間撹拌した後、ろ過して分離し、トルエン溶液中にメタノール300gを滴下して、結晶を析出させた。これをろ過分離後乾燥して処理品9.0g(収率90%)を得た。純度は高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製HPLC−6A)によって分析を行ったところ、純度99.8%の結果を得た。得られた処理品を使用して以下に示す手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0107】
電荷発生剤としてビスアゾ顔料(電荷発生剤No.5)
【0108】
【化20】

【0109】
1.0部およびポリエステル樹脂(バイロン200、東洋紡(株)製)の5%テトラヒドロフラン溶液8.6部をテトラヒドロフラン83部に加え、メノウ球入りのメノウポットに入れ、遊星型微粒粉砕機(フリッチュ社製)で1時間回転し分散した。得られた分散液を導電性支持体であるアルミ蒸着PETフィルムのアルミ面上にワイヤーバーを用いて塗布し、常圧下60℃で2時間、更に減圧下で2時間乾燥して膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0110】
一方電荷輸送剤として処理品1.5部をポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)の10%トルエン溶液12部に加え超音波をかけて化合物を完全に溶解させた。この溶液を前記の電荷発生層上にワイヤーバーで塗布し、常圧下110℃で30分間、更に減圧下で2時間乾燥して膜厚22μmの電荷輸送層を形成せしめて、感光体を作製した。
【0111】
作製した感光体を静電複写紙試験装置(商品名「EPA−8100」川口電気製作所(株)製)を用いて電子写真特性評価を行った。まず、感光体を暗所で−6kVのコロナ放電を行い、このときの帯電電位V0を測定した。次いで1.0luxの白色光で露光し、半減露光量E1/2(lux・sec)および光を5秒間照射し続けて残留電位Vrを求めた。結果については表1−2に示した。
【0112】
【表2】

【0113】
[比較例15]
スチルベン化合物(電荷輸送剤No.15)10gをトルエン60gに溶解させ、活性白土マルT(日本活性白土株式会社製)10gを加えて40℃で30分間撹拌した後、ろ過して分離し、トルエン溶液中にメタノール300gを滴下して、結晶を析出させた。これをろ過分離後乾燥して処理品9.1g(収率91%)を得た。純度は高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製HPLC−6A)によって分析を行ったところ、純度99.7%の結果を得た。得られた処理品を使用して実施例15と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。結果については表1−2に示した。
【0114】
[実施例16]
実施例15において電荷輸送剤No.15を用いる代わりに下記スチルベン化合物(電荷輸送剤No.16)
【0115】
【化21】

【0116】
を実施例15と同様の処理を行い、処理品8.8g(収率88%)を得た。同様に純度分析を行たところ、純度は99.7%であった。得られた処理品を使用して実施例15と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。結果については表1−2に示した。
【0117】
[比較例16]
スチルベン化合物(電荷輸送剤No.16)を比較例15と同様の処理を行い、処理品を9.0g(収率90%)得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.6%であった。得られた処理品を使用して実施例15と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。結果については表1−2に示した。
【0118】
[実施例17]
実施例15において電荷輸送剤No.15を用いる代わりに下記スチルベン化合物(電荷輸送剤No.17)
【0119】
【化22】

【0120】
を実施例15と同様の処理を行い、処理品8.9g(収率89%)を得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.6%であった。得られた処理品を使用して実施例15と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。結果については表1−2に示した。
【0121】
[比較例17]
スチルベン化合物(電荷輸送剤No.17)を比較例15と同様の処理を行い、処理品を9.0g(収率90%)得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.5%であった。得られた処理品を使用して実施例15と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。結果については表1−2に示した。
【0122】
[実施例18]
電荷輸送剤としてスチルベン化合物(電荷輸送剤No.18)
【0123】
【化23】

【0124】
10gをトルエン60gに溶解させ、活性白土マルT(日本活性白土株式会社製)10gを加えて80℃で30分間撹拌した後、ろ過して分離し、トルエン溶液中にメタノール300gを滴下して、結晶を析出させた。これをろ過分離後乾燥して処理品8.9g(収率89%)を得た。純度は高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製HPLC−6A)によって分析を行ったところ、純度99.8%という結果であった。得られた処理品を使用して以下に示す手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0125】
アルコール可溶性ナイロン(東レ:アミランCM−8000)2.5部をメタノール/n−ブタノール=1:1(W/W)混合溶液100部に加え完全に溶解させた。この溶液を導電性支持体であるアルミ蒸着PETフィルムのアルミ面上にワイヤーバーを用いて塗布し、常圧下110℃で10分間乾燥して膜厚0.2μmの下引き層を形成した。
【0126】
一方電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(電荷発生剤No.3)1.5部およびポリビニルブチラール樹脂(エスレックBL−S、積水化学工業(株)製)の3%シクロヘキサノン溶液50部に加え、ポットミルにて24時間のミリングを行った。得られた分散液を前記の下引き層上にワイヤーバーで塗布し、常圧下110℃で30分間乾燥して膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0127】
一方電荷輸送剤として処理品1.5部をポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)の10%トルエン溶液12部に加え超音波をかけて化合物を完全に溶解させた。この溶液を前記の電荷発生層上にワイヤーバーで塗布し、常圧下110℃で30分間、更に減圧下で2時間乾燥して膜厚22μmの電荷輸送層を形成せしめて、感光体を作製した。
【0128】
作製した感光体を静電複写紙試験装置(商品名「EPA−8100」川口電気製作所(株)製)を用いて電子写真特性評価を行った。まず、感光体を暗所で−6kVのコロナ放電を行い、このときの帯電電位V0を測定した。次いで1.0μW/cm2の780nmの単色光で露光し、半減露光量E1/2(μJ/cm2)および光を5秒間照射し続けて残留電位Vrを求めた。結果については表1−1に示した。
【0129】
[比較例18]
スチルベン化合物(電荷輸送剤No.18)10gをトルエン60gに溶解させ、活性白土マルT(日本活性白土株式会社製)10gを加えて40℃で30分間撹拌した後、ろ過して分離し、トルエン溶液中にメタノール300gを滴下して、結晶を析出させた。これをろ過分離後乾燥して処理品8.9g(収率89%)を得た。純度は高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製HPLC−6A)によって分析を行った結果、純度99.7%という結果を得た。得られた処理品を使用して実施例18と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0130】
[実施例21]
電荷輸送剤としてアミン化合物(電荷輸送剤No.21)
【0131】
【化26】

【0132】
10gをトルエン60gに溶解させ、活性白土マル強(日本活性白土株式会社製)10gを加えて90℃で1時間撹拌した後、ろ過して分離し、トルエン溶液中にメタノール200gを滴下して、結晶を析出させた。これをろ過分離後乾燥して処理品7.9g(収率79%)を得た。純度は高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製HPLC−6A)によって分析を行ったところ、純度99.8%という結果を得た。得られた処理品を使用して以下に示す手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0133】
アルコール可溶性ナイロン(東レ:アミランCM−8000)2.5部をメタノール/n−ブタノール=1:1(W/W)混合溶液100部に加え完全に溶解させた。この溶液を導電性支持体であるアルミ蒸着PETフィルムのアルミ面上にワイヤーバーを用いて塗布し、常圧下110℃で10分間乾燥して膜厚0.2μmの下引き層を形成した。
【0134】
一方電荷発生剤としてy型オキソチタニルフタロシアニン(電荷発生剤No.3)1.5部およびポリビニルブチラール樹脂(エスレックBL−S、積水化学工業(株)製)の3%シクロヘキサノン溶液50部に加え、ポットミルにて24時間のミリングを行った。得られた分散液を前記の下引き層上にワイヤーバーで塗布し、常圧下110℃で30分間乾燥して膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0135】
一方電荷輸送剤として処理品1.5部をポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)の10%トルエン溶液12部に加え超音波をかけて化合物を完全に溶解させた。この溶液を前記の電荷発生層上にワイヤーバーで塗布し、常圧下110℃で30分間、更に減圧下で2時間乾燥して膜厚22μmの電荷輸送層を形成せしめて、感光体を作製した。
【0136】
作製した感光体を静電複写紙試験装置(商品名「EPA−8100」川口電気製作所(株)製)を用いて電子写真特性評価を行った。まず、感光体を暗所で−6kVのコロナ放電を行い、このときの帯電電位V0を測定した。次いで1.0μW/cm2の780nmの単色光で露光し、半減露光量E1/2(μJ/cm2)および光を5秒間照射し続けて残留電位Vrを求めた。結果については表1−1に示した。
【0137】
[比較例21]
アミン化合物(電荷輸送剤No.21)10gをトルエン60gに溶解させ、活性白土マル強10gを加えて50℃で1時間撹拌した後、ろ過して分離し、トルエン溶液中にメタノール200gを滴下して、結晶を析出させた。これをろ過分離後乾燥して処理品8.0g(収率80%)を得た。純度は高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製HPLC−6A)によって分析を行ったところ、純度99.7%という結果を得た。得られた処理品を使用して実施例21と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0138】
[実施例22]
実施例21において電荷輸送剤No.21を用いる代わりに下記アミン化合物(電荷輸送剤No.22)
【0139】
【化27】

【0140】
を実施例21と同様の処理を行い、処理品8.0g(収率80%)を得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.6%であった。得られた処理品を使用して実施例21と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0141】
[比較例22]
アミン化合物(電荷輸送剤No.22)を比較例21と同様の処理を行い、処理品を8.1g(収率81%)得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.4%であった。得られた処理品を使用して実施例21と同様の手順で感光体を作製し評価した。
【0142】
[実施例23]
実施例21における電荷輸送剤No.21を用いる代わりに下記アミン化合物(電荷輸送剤No.23)
【0143】
【化28】

【0144】
を実施例21と同様の処理を行い、処理品7.9g(収率79%)を得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.7%であった。得られた処理品を使用して実施例21と同様の手順で感光体を作製し電子写真特性評価を行った。
【0145】
電荷発生剤は、実施例21における電荷発生剤No.4を用いる代わりにα型オキソチタニルフタロシアニン(電荷発生剤No.3)を用いた。
【0146】
[比較例23]
アミン化合物(電荷輸送剤No.23)を比較例21と同様の処理を行い、処理品を7.9g(収率79%)得た。同様に純度分析を行ったところ、純度は99.6%であった。得られた処理品を使用して実施例23と同様の手順で感光体を作製し評価した。
【0147】
[比較例24]
ベンジジン化合物(電荷輸送剤No.1)10gをトルエン60gに溶解させ、活性白土マル強10gを加えて50℃で1時間撹拌した後、ろ過して分離し、更にろ液であるトルエン溶液中に活性白土マル強10gを加えて50℃で1時間撹拌した後、ろ過して分離し、トルエン溶液中にメタノール240gを滴下して、結晶を析出させた。これをろ過分離後乾燥して処理品7.9g(収率79%)を得た。純度は高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製HPLC−6A)によって分析を行ったところ、純度99.6%という結果を得た。得られた処理品を使用して実施例1と同様の手順で感光体を作製し評価した。
【0148】
以上の結果からわかるように80℃以上に加熱して活性白土で処理した電荷輸送剤を使用した場合、低温で処理したものに比べて電子写真特性評価において感度が高くかつ残留電位が小さくなっており、精製方法として多大な効果があることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電荷輸送材料としてのアミン化合物を有機溶媒中に溶解させ、活性白土を活性化するために該溶液を80℃〜130℃の温度に設定して、該活性白土と接触させることを特徴とする電荷輸送材料としてのアミン化合物の精製方法。
【請求項2】
電荷輸送材料としてのアミン化合物が電子写真感光体用材料であることを特徴とする請求項1記載の電荷輸送材料としてのアミン化合物の精製方法。
【請求項3】
電荷輸送材料としてのアミン化合物が有機電界発光素子材料であることを特徴とする請求項1記載の電荷輸送材料としてのアミン化合物の精製方法。

【公開番号】特開2011−209755(P2011−209755A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147350(P2011−147350)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【分割の表示】特願2000−199334(P2000−199334)の分割
【原出願日】平成12年6月30日(2000.6.30)
【出願人】(000005315)保土谷化学工業株式会社 (107)
【Fターム(参考)】