説明

アライメント調整フレーム

【課題】軌道工事の際にレールを調整するための装置を改良する。
【解決手段】レール22をレール担体23のレール収容部24,25内に取り付けるためのアライメント調整フレーム20において、クロスメンバ28を備え、クロスメンバがレール収容部上に、アライメント調整フレームの使用位置においてレールの延び方向に対して横方向で架設されており、クロスメンバの両端部領域66に、レール担体の外面68にアライメント調整フレームを支持するために役立つ支持装置65が固定されており、クロスメンバに配置される、レールを保持するためのキャッチ29を備え、キャッチの各々が、キャッチにより保持されるレールの長手方向中央平面の位置を規定する配向軸線42を規定し、キャッチは、クロスメンバ長手方向軸線41に対する配向軸線の角度位置を調節するために役立つ角度調節手段46を備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道のレールをレール担体のそれぞれ1つのレール収容部内に取り付けるためのアライメント調整フレーム(Richtrahmen)に関する。
【背景技術】
【0002】
バラスト軌道に対して択一的に、堅固な又は剛体の走行路の形態の、バラストレスの軌道も形成される。この場合、軌道は、コンクリートからなるレール担体を備える。レール担体にはレールが固定されている。レールの固定は、しばしば、オンサイト、すなわち現場において、レールを埋込み材料(Vergussmasse)によって鋳包むこと、つまり埋込み材料の流し込みによってレールを埋設することによってなされる。その際、レールは、鋳包む前にその正確な位置にあることが保証されなければならない。事後的な修正は、多大な構造的な手間をもってしてのみ可能である。
汎用のレール型式は、ビグノール型レール若しくは平底レール(Vignolschiene)及び溝付きレール(Rillenschiene)である。ビグノール型レールは、広幅のフラットな底部を備え、この底部に狭幅のウェブが直立し、このウェブによってレール頭部が支持される構造を有している。溝付きレールは、しばしば、レールが路面舗装内に埋設されており、軌道通路を除いて、例えば路面電車において、できるかぎり中断のない路面舗装が所望される場合に使用される。このために、溝付きレールでは、レール頭部に、レール車両の車輪のフランジのための溝が設けられている。レール頭部がそれぞれ異なって構成されている点を除けば、溝付きレールの基本構造は、ビグノール型レールの基本構造に相当する。レール頭部によって、それぞれ、レール車両の車輪のための転動面が形成される。
【0003】
DE10251791B3において、堅固な走行路を形成する方法及び装置が公知である。その際、レール担体は軌道案内溝を有する。軌道案内溝内にはレールが挿入され、鋳包まれる。このために、レールは、それぞれの軌道案内溝の側方でレール担体に設けられる搬送可能なレール調整装置により固定される。レール調整装置は、解離可能にレール担体の上面にねじ止めされる。調節装置によって、軌道案内溝内のレールの位置は、調節可能である。その際、レールは、吊り下げられた状態でレール調整装置によって保持される。レールがその所望の位置に来ると直ちに、軌道案内溝内に埋込み材料が注入され得る。硬化後、レールはレール担体に固定されている。
【0004】
EP1026320A1において、堅固な走行路を製造する方法が公知である。この公知の方法では、レール支承ヘッドが接続される金属担体を配向し、次に、鉄道レールをレール支承ヘッド上に取り付ける。次に、金属担体をコンクリートで固める。このコンクリート打設前に、金属担体を、金属担体に配置される鉄道レールとともに配向を行う。配向に際して、水平又は鉛直の配向を行う。配向のために、調整兼固定フレームが使用可能である。調整兼固定フレームは、後続のコンクリート打設のために金属担体が載設されている支持層上に支持されている。調整兼固定フレームは、レールを備える金属担体上にアーチ状に架設されている。調整兼固定フレームは、2つの固定キャッチを備える。固定キャッチは、鉄道レールに係合して、レールを金属担体とともに、調整兼固定フレームの適当な調整によって所望の水平の位置及び鉛直の位置へともたらす。この位置は、最終的にくさび又はスピンドルによって金属担体に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE10251791B3
【特許文献2】EP1026320A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、軌道、特に堅固な走行路の工事の際にレールを調整するための公知の装置を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の構成では、軌道のレールをレール担体のそれぞれ1つのレール収容部内に取り付けるためのアライメント調整フレームにおいて、クロスメンバを備え、該クロスメンバが前記レール収容部上に、当該アライメント調整フレームの使用位置において前記レールの延び方向に対して横方向で架設されており、該クロスメンバの両端部領域に、前記レール担体の外面に当該アライメント調整フレームを支持するために役立つそれぞれ1つの支持装置が固定されており、前記クロスメンバに配置される、それぞれ1つのレールを保持するためのレールキャッチを備え、該レールキャッチの各々が、該レールキャッチにより保持されるレールの長手方向中央平面の位置を規定する配向軸線を規定し、前記レールキャッチは、クロスメンバ長手方向軸線に対する前記配向軸線の角度位置を調節するために役立つそれぞれ1つの角度調節手段を備えるようにした。
【0008】
好ましくは、前記レールキャッチがそれぞれ1つのキャッチスリーブを備え、該キャッチスリーブが、一方向で角度調節遊びを備えて前記クロスメンバ周りに配置されている。
【0009】
好ましくは、前記角度調節手段を介して、前記クロスメンバ長手方向軸線に対するスリーブ長手方向軸線の傾きが調節可能である。
【0010】
好ましくは、前記角度調節手段が角度調節ねじを備え、該角度調節ねじが前記キャッチスリーブのねじ山付孔内に配置されている。
【0011】
好ましくは、前記レールキャッチが前記クロスメンバに沿って移動可能であり、調節可能な固定手段を介して所望の横方向位置で前記クロスメンバに固定可能である。
【0012】
好ましくは、前記固定手段が、前記レールキャッチに結合される固定部材を備え、該固定部材が前記クロスメンバに、該クロスメンバに対する相対移動に抗して固定可能である。
【0013】
好ましくは、前記レールキャッチが、それぞれ2つの、互いに相対的に旋回可能なキャッチ脚片を備える。
【0014】
好ましくは、前記キャッチ脚片が、レール頭部に係合するための、それぞれ他方のキャッチ脚片に向かって屈曲した自由端を備える。
【0015】
好ましくは、前記キャッチ脚片の少なくとも一方が、旋回支承部において旋回可能に、前記キャッチスリーブの下面に支承されている。
【0016】
好ましくは、選択的に両キャッチ脚片の一方が、前記キャッチスリーブに対して相対的に不動に該キャッチスリーブの下面に固定可能である。
【0017】
好ましくは、前記レールキャッチが、対応するレールのレール頭部のための収容室を備える。
【0018】
好ましくは、前記レール頭部のための収容室が、両キャッチ脚片により画成され、前記レールキャッチが、締付け力を両キャッチ脚片と、前記収容室内に保持されるレール頭部との間で発生可能な締付け手段を備える。
【0019】
好ましくは、両キャッチ脚片が、該キャッチ脚片の自由端に、前記レール頭部のための当接面として役立つ、前記収容室に面したくさび面を備え、該くさび面が前記配向軸線に対して傾いて延びており、前記レール頭部は、前記締付け力によって、前記収容室内に前記くさび面に対向して配置される受けに押し付けられる。
【0020】
好ましくは、前記支持装置が第1の支承部材を備え、該第1の支承部材が、第1の支承箇所を形成するために、当該アライメント調整フレームの使用位置で、前記レール担体の上面に支持される。
【0021】
好ましくは、前記支持装置が支持部材を備え、該支持部材が、前記クロスメンバに結合されており、調節可能な高さ調整手段を介して前記第1の支承部材に結合されている。
【0022】
好ましくは、前記支持装置が第2の支承部材を備え、該第2の支承部材が、第2の支承箇所を形成するために、当該アライメント調整フレームの使用位置で、前記レール担体の側面に支持される。
【0023】
好ましくは、前記支持装置が支持部材を備え、該支持部材が、前記クロスメンバに結合されており、調節可能な横幅調整手段を介して前記第2の支承部材に結合されている。
【0024】
好ましくは、前記第1の支承部材が滑り支承部として、平たんな第1の滑り支承面を備えて構成されている、かつ/又は前記第2の支承部材が滑り支承部として、平たんな第2の滑り支承面を備えて構成されている。
【0025】
好ましくは、前記第1の支承部材及び/又は前記第2の支承部材がころ支承部又は玉支承部として構成されている。
【発明の効果】
【0026】
アライメント調整フレームは、クロスメンバを備える。クロスメンバの両端部領域には、それぞれ1つの支持装置が固定されている。支持装置を介して、アライメント調整フレームは、アライメント調整フレームの使用位置でレール担体の外面に支持可能である。この使用位置においてクロスメンバは、レール担体のレール収容部上に架設されている。レール収容部は、例えば内部にレールが固定されるレール溝により形成されていてよい。レール担体は、鋼及び/又はコンクリートから製造可能である。クロスメンバには、軌道の各々のレールのために、レールキャッチが配置されている。レールキャッチは、対応するレールをレール溝内の所望の位置に保持するために役立つ。レールキャッチは、レールキャッチにより保持されるレールの長手方向中央平面の位置を規定する配向軸線を規定する。角度調節手段を介して、クロスメンバ長手方向軸線に対して相対的な配向軸線の角度位置が調節可能であることにより、レールは、所望の角度を有して配向可能である。レールの傾きは、レールの長手方向中央軸線と、レールの延び方向で延びる鉛直平面との間の角度により生じる。
【0027】
アライメント調整フレームのレールキャッチの数は、可変である。例えば、複数の線を有する軌道(Mehrspurgleis)の工事の場合、各々の線のために一対のレールキャッチが設けられていることができる。
【0028】
アライメント調整フレームの有利な態様は、従属請求項から看取される。
【0029】
有利には、レールキャッチがそれぞれ1つのキャッチスリーブを備え、キャッチスリーブが、鉛直方向で角度調節遊びを備えてクロスメンバ周りに配置されている。その際、スリーブ長手方向軸線は、角度調節手段によりクロスメンバ長手方向軸線に対して傾き調節可能である。これにより、レールキャッチの配向軸線、ひいては所望のレール傾きを予め規定することが、極めて簡単に可能である。
【0030】
角度調節手段の極めて簡単な態様では、角度調節ねじが設けられており、角度調節ねじが、キャッチスリーブのねじ山付孔内に配置されており、クロスメンバに当接する。角度調節ねじは、レールキャッチの配向軸線の外に配置されている。
【0031】
レールキャッチの所望の横方向位置を調節するために、レールキャッチは、クロスメンバに沿って移動可能に配置されている。例えば、キャッチスリーブは、滑り運動可能にクロスメンバ周りに配置されていてよい。レールキャッチを所望の横方向位置で固定するために、固定手段が設けられている。有利な態様では、固定手段が、レールキャッチの横方向位置を調整することができるように、調節可能性、例えばターンバックルの形態の調節可能性を有する。
【0032】
レールキャッチによりレールを収容するために、レールキャッチは、互いに相対的に旋回可能な2つのキャッチ脚片を有する。キャッチ脚片は、レールキャッチのそれぞれ他方のキャッチ脚片に向かって屈曲した自由端を有する。これにより、レールキャッチがレール頭部に回り込むように係合し、レール頭部を所望の位置で保持することが可能である。
【0033】
レールキャッチのキャッチ脚片は、交換可能である。その結果、その都度使用されるレール型式に適合された形状を有するキャッチ脚片が使用可能である。
【0034】
有利には、キャッチ脚片の一方が旋回支承部に旋回可能にキャッチスリーブの下面に支承されている。この場合、それぞれ他方のキャッチ脚片は、不動であり、固くキャッチスリーブの下面に固定されていてもよい。このことは、レールキャッチの構造を簡単化する。
【0035】
レールキャッチがレールを摩擦力結合(kraftschluessig:摩擦力による束縛)式に固定すると有利である。有利には、このために、両キャッチ脚片間に、レール頭部のための収容室が画成されている。レールキャッチは、締付け力を両キャッチ脚片とレール頭部との間で発生可能な締付け手段を備える。例えば、両キャッチ脚片は、レール頭部を摩擦力結合式にキャッチ脚片間にクランプするために、互いに締付け可能である。
【0036】
有利な態様では、両キャッチ脚片が自由端に、収容室に面したそれぞれ1つのくさび面を備え、くさび面が、レール頭部のための当接面として役立つ。くさび面は、レールキャッチの配向軸線に対して傾いて延びる。レール頭部を締め付けると、レール頭部はこれにより、くさび面により押し出される。有利には、両キャッチ脚片間の収容室内に受けが設けられており、この受けにレール頭部が、傾けられたくさび面により押し付けられる。こうして、レール頭部は極めて正確に、両くさび面の領域で、かつ受けに固定されて位置決めされ得る。
【0037】
さらに、支持装置が第1の支承部材を備え、第1の支承部材が、特に滑り支承部として平たんな第1の滑り支承面を備えて構成されていると有利である。第1の滑り支承面は、アライメント調整フレームの使用位置で見て上方で、レール担体の外面に支持されており、これにより第1の滑り支承箇所を形成する。同様に、第2の支承部材は、有利には滑り支承部材として形成されていてよく、第2の滑り支承部材は、側方で、レール担体の側面に支持されており、第2の滑り支承箇所を形成する。それゆえ、アライメント調整フレームは、使用位置で、支承箇所、特に滑り支承箇所を介してレールの延び方向で移動可能にレール担体に配置されている。滑り支承部の代わりに、ころ支承部又は玉支承部が、アライメント調整フレームの長手方向移動可能性を保証してもよい。レールが軌道工事中複数のアライメント調整フレームにより支持され、位置決めされるとき、温度変動に基づいて、レールの長さの変化が発生する場合がある。アライメント調整フレームが移動可能にレール担体に配置されていることにより、このようなレールの長さ変化は、レール担体上での支承部材の適当な移動により補償可能である。レール及びアライメント調整フレームからなる梯子状の形態の歪みは発生せず、これにより、レールの望ましくない位置変化は発生しない。
【0038】
第1の支承部材は、調節可能な高さ調整手段により、支持装置の、クロスメンバを支持する支持部材に固定可能である。これと同様に、第2の支承部材は、調節可能な横幅調整手段を介して支持部材に結合されていてよい。高さ調整手段の調節により、第1の支承部材とクロスメンバとの間の間隔は、調整可能である。横幅調整手段により、第2の支承部材の横方向位置は、クロスメンバ長手方向軸線に対して相対的に調節可能である。
【0039】
本発明の有利な態様は、特許請求の範囲及び明細書から看取される。その際、明細書は、本発明の主要な特徴及びその他の実態に限られる。図面は、補足的に用いられるべきものである。以下に、本発明について有利な実施の形態を参照しながら詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】使用位置にあるアライメント調整フレームの一実施の形態をレールの延び方向で見た図である。
【図2】クロスメンバに配置される、固定手段及び角度調節手段を備えるレールキャッチの詳細を示す図である。
【図3】クロスメンバに配置される、固定手段及び角度調節手段を備えるレールキャッチの詳細を示す図である。
【図4】クロスメンバに配置される、位置決め手段を備えるレールキャッチの詳細を示す図である。
【図5】図5aは、アライメント調整フレームの支持装置の第1及び第2の滑り支承部材の詳細を示す図であり、図5bは、紛失防止手段を備える図5aに係る第1の支承部材を示す図である。
【図6】軌道の工事中、アライメント調整フレームを用いて行う方法の状態を示す図である。
【図7】軌道の工事中、アライメント調整フレームを用いて行う方法の別の状態を示す図である。
【図8】軌道の工事中、アライメント調整フレームを用いて行う方法のさらに別の状態を示す図である。
【図9】軌道の工事中、アライメント調整フレームを用いて行う方法のさらに別の状態を示す図である。
【図10】軌道の工事中、アライメント調整フレームを用いて行う方法のさらに別の状態を示す図である。
【図11】軌道の工事中、アライメント調整フレームを用いて行う方法のさらに別の状態を示す図である。
【図12】レール型式としてビグノール型レールの代わりに溝付きレールが敷設される、軌道の工事中、アライメント調整フレームを用いて行う方法の図9に対応する状態を示す図である。
【図13】レール型式としてビグノール型レールの代わりに溝付きレールが敷設される、軌道の工事中、アライメント調整フレームを用いて行う方法の図10に対応する状態を示す図である。
【図14】敷設された状態の溝付きレールを備える軌道を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、軌道21を組み立てるためのアライメント調整フレーム20を示す。軌道21は、本実施の形態では2つのレール22を備える。レール22は、レール担体23上にアライメント調整フレーム20を用いて据付け可能である。レール担体23は、レール22の各々のためにレール収容部24を備える。レール収容部24は、例えばレール溝25の形態で構成されており、レール22の延び方向で延在している。レール担体23は、本実施の形態ではコンクリート製部分として構成されているが、択一的には、例えば軌道が鋼橋上に配置される場合には、鋼製部分として構成されていてもよい。図1に例示的に示すように、レール担体23は、それぞれ1つのレール溝25を備える複数の個別のコンクリート製部分からなることができる。択一的には、レール担体23の1つの共通のコンクリート製部分が、両レール溝25を有していてもよい。アライメント調整フレーム20を用いて、2つより多くのレール22を備える軌道を組み立てることも可能である。
【0042】
アライメント調整フレーム20は、クロスメンバ又は横ばり28を備える。クロスメンバ28は、直線状に延在し、有利にはクロスメンバ28の全長にわたって一定の横断面輪郭を有する。本実施の形態では、クロスメンバ28は、長方形の横断面を有する鋼管により形成されている。
【0043】
敷設したいレール22の各々のために、クロスメンバ28には、レールキャッチ又はレールトング29が設けられている。レールキャッチ29は、クロスメンバ28に沿って移動可能に配置されている。このためにレールキャッチ29は、それぞれ1つの管状のキャッチスリーブ又はトングスリーブ30を備える。キャッチスリーブ30は、クロスメンバ28を包囲する。その際、キャッチスリーブ30の内側輪郭は、クロスメンバ28の外側輪郭に適合されており、アライメント調整フレーム20の使用位置において鉛直方向Vに相当する一方向に、角度調節遊びSが、キャッチスリーブ30の内壁と、クロスメンバ28の対向する外壁との間に設けられている(図2)。キャッチスリーブ30の長さは、実質的にレール22のレール底部の幅に相当する。
【0044】
キャッチスリーブ30の下面31には、2つのキャッチ脚片又はトング脚片32が支承されている。キャッチ脚片32は、クロスメンバ28の、横方向Qとも呼ぶ延在方向で、互いに相対的に旋回可能にキャッチスリーブ30に配置されている。この目的のために、単数又は複数のキャッチ脚片32を、実質的にレール22の延び方向で延在する旋回軸線周りに旋回可能に、2つのフランジ33間で旋回支承部34に支承することが可能である。フランジ33は、キャッチスリーブ30の下面31に固定されており、稜及び継ぎ目なしに一体的にキャッチスリーブ30の側壁に移行することができる。図面には一方のフランジ33だけを見ることができる。図1に係る本実施の形態では、両キャッチ脚片32のうち、一方のキャッチ脚片32のみが旋回可能に支承されており、他方のキャッチ脚片32は、フランジ33に結合されている。これに対して択一的に、図6〜図11には、両キャッチ脚片32が互いに相対的に、かつキャッチスリーブ30に対して相対的に旋回可能に配置されている、アライメント調整フレーム20の第2の実施の形態が示されている。この変化例では、両キャッチ脚片32が可動であり、選択的に両キャッチ脚片32の一方は、ねじ又はボルトにより固定可能である。
【0045】
両キャッチ脚片32は、レール22のレール頭部37を収容するための収容室36を画成する。レールキャッチ29のキャッチ脚片32は、それぞれ他方のキャッチ脚片32に向かって屈曲した自由端38を有する。その結果、レール頭部37を収容室36内に収容すると、レール頭部37は、自由端38を介してレール頭部37の下面39で、自由端38により支持されて、自由端38がレール頭部37の背後に、つまり下面39に回り込むように把持されることができる。
【0046】
自由端38には、収容室36に向かってくさび面40が設けられている。くさび面40は、レール頭部37の下面39に当接するために役立つ。くさび面40は、クロスメンバ長手方向軸線41に対して傾いている。くさび面40の傾きは、レール頭部37の下面39の傾きに適合されている。くさび面40の面法線は、収容室36内に向かい、有利には、レールキャッチ29により規定される配向軸線42に交わる。配向軸線42は、両キャッチ脚片32間の収容室36の中央を通るか、又は横方向Qで見てキャッチスリーブ30の中央を通る。キャッチ脚片の旋回支承部34の領域には、収容室36内に、受け43が設けられている。受け43は、収容室36内に収容されるレール頭部37のための当接部を形成する。有利な実施の形態では、受け43はねじ頭により形成されている。この受けねじを回動させることにより、受けねじが収容室36内に突入する深さを調節することができる。これにより、受け43とくさび面40との間の間隔は、調節可能である。その結果、レールキャッチ29は、種々異なるレール頭部のサイズに適合可能である。加えて、種々異なるレール型式に適合させるために、キャッチ脚片42を交換するか、又はレールキャッチ29全体を交換することもできる。キャッチ脚片32の輪郭及び寸法は、それぞれ予定されるレール型式に適合されている。
【0047】
レールキャッチ29は締付け手段46を有する。締付け手段46によって、締付け力が、両キャッチ脚片32と、収容室36内に存在するレール頭部37との間で発生可能である。本実施の形態では、締付け手段46として、締付けねじが設けられている。締付けねじは、両キャッチ脚片32を貫通し、両キャッチ脚片32をねじ頭とナットとの間でレール頭部37に対して締め付ける。締付けねじは、収容室46を、レール頭部37のための受け43により提供される受け面44の上側で貫通している。キャッチ脚片32とレール頭部37との間で締付け力を発生させることによって、くさび面40は、レール頭部37の下面39に向けられ、レール頭部37を受け面44に押し付ける力成分を形成する。こうして、レール頭部37は、配向軸線42の方向で、かつ配向軸線42の方向に交差する横方向Qで収容室36内に固定されている。
【0048】
締付けキャッチ又は締付けトング29は、さらに角度調節手段48を有する。角度調節手段により、配向軸線42の配向は、角度調節範囲内で調節可能である。レール22がレールキャッチ29により保持されているとき、配向軸線42は、レール22の中央長手方向平面内を延びる。その結果、角度調節手段48によって、レール22の中央長手方向平面の、レール22の延び方向で延びる鉛直平面に対する所望のレール傾きが、設定可能である。このことを達成するために、角度調節手段48が、キャッチスリーブ30に配置されており、キャッチスリーブ30とクロスメンバ28との間に存在する角度調節遊びSを、スリーブ長手方向軸線49をクロスメンバ長手方向軸線41に対して傾き調節するために利用する。これにより、自動的に、スリーブ長手方向軸線49に対して直角に延びる配向軸線42が傾く。これにより、アライメント調整フレーム20の使用位置において、配向軸線42は、鉛直方向Vに対して傾く。この状態は図3に示されている。図2は、レールキャッチ29を、配向軸線42がクロスメンバ長手方向軸線41に対して直角に延びる状態で示す。図3は、角度調節手段48を介して傾き角が調節された後を示す。その結果、配向軸線42は、クロスメンバ長手方向軸線41に対して直角に延びていない。
【0049】
有利な実施の形態では、角度調節手段48が2つの角度調節ねじ50により形成されている。角度調節ねじ50は、キャッチスリーブ30の上面51に設けられたねじ山付孔52内に座している。角度調節ねじ50は、上面51を貫通して、クロスメンバ28を負荷する。キャッチスリーブ30に設けられたねじ山付孔52は、本実施の形態では、上面51に固定されたナットにより形成されている。ナットは、キャッチスリーブ30の上面51に設けられた図示しない穴に整合している。両調節ねじ50又は両ねじ山付孔52は、横方向Qで配向軸線42から間隔を置いてキャッチスリーブ30に配置されている。有利には、両調節ねじ50又は両ねじ山付孔52は、配向軸線42から等間隔を置いている。一方又は両方の調節ねじ50を回動させることによって、スリーブ長手方向軸線49は、クロスメンバ長手方向軸線41に対して相対的に傾倒可能である。これにより、同時に、スリーブ長手方向軸線49に対して直角に延びる配向軸線42も傾倒する。角度調節範囲は、キャッチスリーブ30とクロスメンバ28との間の、キャッチスリーブ30の下面31の領域に提供されている角度調節遊びSによって制限されている。
【0050】
レールキャッチ29は、キャッチスリーブ30を介してクロスメンバ長手方向軸線41に沿ってクロスメンバに移動可能に配置されている。これにより、レール22間の間隔Aが調節される。レールキャッチ29の横方向位置は、それぞれ1つの固定手段55を介してクロスメンバ28に沿って固定可能である。このために、固定手段55は固定部材56を有する。固定部材56は、予め決められた係止位置においてクロスメンバ28に沿って固定可能である。この目的で、クロスメンバ28には、一列に配置される複数の係止穴57が設けられている。係止穴57内には、固定部材56に設けられる係止手段が、固定部材をクロスメンバ28に固定するために係合する。係止穴57の間隔は、既に、軌間を予め規定する。このことは、迅速かつ簡単な調整を可能にする。例えば、固定部材56は、係止穴57に係合するボルト又はねじによりクロスメンバ28に固定可能である。固定部材56は、クロスメンバ28から張り出す第1の保持フランジ58を有する。第1の保持フランジ58には、クロスメンバ長手方向軸線41の方向で、レールキャッチ29、例えばキャッチスリーブ30に固定される第2の保持フランジ59が対向して位置している。両保持フランジ58,59は、ターンバックル又は引締めねじ60により互いに結合されている。ターンバックル60のターンバックルナット61を回動させることにより、両保持フランジ58,59間の間隔は、調整可能かつ固定可能である。こうして、クロスメンバ28に対するレールキャッチ29の横方向位置の微調節が可能である。保持フランジ58,59は、例えば山形片(Winkelstueck)のそれぞれ一方の脚片により形成されている一方、それぞれ他方の脚片は、キャッチスリーブ30又はクロスメンバ28に固定されている。固定手段55は、有利にはアライメント調整フレーム20の前面又は背面に配置されている(図1)。
【0051】
基礎、特にレール担体23上にアライメント調整フレーム20を設置するために、2つの支持装置65が設けられている。支持装置65は、それぞれ、クロスメンバ28の端部領域66においてクロスメンバ28に結合されている。使用位置で、両端部領域66は、両レール22間に設けられる中間スペース67の外側に存在する。それゆえ、クロスメンバ28は、アライメント調整フレーム20の使用位置で両レール22及びレール担体23上に、横方向Qで横架されている。支持装置65を介して、クロスメンバ28は直接、レール担体23の外面68に支持されている。
【0052】
支持装置65は、管状の支持スリーブ70を有する。支持スリーブ70の内側輪郭は、クロスメンバ28の外側輪郭に適合されており、クロスメンバ28を環状に包囲する。支持スリーブ70は、少なくとも1つの、例えば2つのクランプねじ71により貫通される。クランプねじ71により、支持スリーブ70は、クロスメンバ28に締付け可能である。支持スリーブ70をクロスメンバ28に締め付ける前に、支持スリーブ70の位置、ひいては支持装置65の位置を正確に調節するために、支持スリーブ70とクロスメンバ28との間に位置決め手段72が介装されている。位置決め手段72の構造は固定手段55と同様である。位置決め手段72もターンバックルを有する。ターンバックルのターンバックルナットによって、支持スリーブ70、ひいては支持装置65の位置は、クロスメンバ長手方向軸線41に沿って調整可能である。
【0053】
支持装置65は、支持スリーブ70に固定に結合され、クロスメンバ長手方向軸線41に対して横方向で延在する支持部材75を有する。支持部材70の、支持スリーブ70とは反対側の端部74には、滑り支承装置又は滑り軸受装置76が設けられている。滑り支承装置76を介して、アライメント調整フレーム20は、レール担体23の外面68に支持されている。滑り支承装置76により、アライメント調整フレーム20は、その使用位置で、軌道21の建造時に、レール22の延び方向でレール担体23の外面68上を摺動可能である。滑り支承装置又は滑り軸受装置76の代わりに、玉支承装置若しくはころ支承装置又は玉軸受装置若しくはころ軸受装置が使用されてもよい。支承装置、特に滑り支承装置は、有利にはレール22の延び方向で支持部材75の両側で、レール担体23の外面68に支持されている。特に、支承装置は、支持部材75の両側で対称的に構成されていてよい。
【0054】
支持部材75及び滑り支承装置76は、図5aに詳細に示されている。滑り支承装置76は、本実施の形態では第1の滑り支承部材77を有する。第1の滑り支承部材77は、平たんな第1の滑り支承面78でもって、レール担体23の上面79に支持されている。平たんな第2の滑り支承面81を備える第2の滑り支承部材80は、第1の滑り支承部材77に隣接して支持部材75に配置されている。両滑り支承面78,81は、互いに直角に延びる。それゆえ、第2の滑り支承部材80は、第2の滑り支承面81でもって、レール担体23の外面68の側面82に支持されている。したがって、両滑り支承面78,81は、レール担体23の外面68の、互いに直角に延びる2つの面区分79,82に当て付けられる。支持部材75の、支持スリーブ70とは反対側の端部74には、両滑り支承部材77,80を支承するために、山形部材(Winkelteil)85が固定に配置されている。山形部材85の横方向脚片86は、第1の滑り支承部材77に対して平行に延び、縦方向脚片87は、実質的に第2の滑り支承部材80に対して平行に延びる。両滑り支承面78,81は、有利にはプラスチック、特にポリエチレン(PE)からなる。特に、両滑り支承部材77,80は、完全にプラスチックから製造されている。これにより、レール担体23のコンクリート面上での両滑り支承面78,81の十分に良好なすべり摩擦が保証されている。使用位置で、第1の滑り支承面78は、上面79とともに第1の滑り支承箇所90を形成する一方、第2の滑り支承面81は、側面82において第2の滑り支承箇所91を形成する。
【0055】
第1の滑り支承部材72は、横方向脚片86に高さ調整手段95を介して固定されている。高さ調整手段95として、例えば調節ねじが設けられている。調節ねじによって、第1の滑り支承面78とクロスメンバ28との間の間隔が調整され、所望の位置に固定され得る。これと同様に、第2の滑り支承部材80と縦方向脚片87との間に、横幅調整手段96が、第2の滑り支承面81をクロスメンバ長手方向軸線41の方向で移動可能とするために設けられていてもよい。しかし、横幅調整手段96は、任意付加的なものであり、図6〜図11に係るアライメント調整フレーム20の第2の実施の形態では省略されている。それというのも、支持装置65、ひいては第2の滑り支承面81の、クロスメンバ長手方向軸線41の方向での調整は、それぞれ配設された位置決め手段72により実施可能であるからである。
【0056】
滑り支承部材77,80のために、それぞれ1つの紛失防止手段94が設けられていてよい。紛失防止手段94は、図5bに例示的に、第1の滑り支承部材77を例にとって示されている。ねじとして構成される高さ調整手段95及び横幅調整手段96は、ねじ頭とは反対側の端部でもって、対応する滑り支承部材77,80に支持されており、滑り支承部材77,80に固定されることなく、滑り支承部材77,80に設けられた凹部に係合可能である。それというのも、調整手段95,96は、調整手段95,96の長手方向軸線周りに、滑り支承部材77,80に対して相対的に回動可能でなければならないからである。紛失防止手段94によって、滑り支承部材77あるいは80が山形部材85に紛失不能に保持されている。紛失防止手段94は、例えばねじ94′か、又は山形部材85内に設けられた穴93に差し通され、対応する滑り支承部材77,80に固定に、例えば素材結合(stoffschluessige Verbindung)により結合されているピンからなる。他端には、ねじ頭又はその他の半径方向で張り出した部分がある。ねじ頭又は半径方向で張り出した部分は、穴93より大きく、これにより滑り支承部材の紛失を防止する。穴93の直径は、調整時の引っ掛かりを回避するために、ねじ94′又はピンの軸部92より大きい。軸部92の長さは、最大の調整ストロークに適合されている。調整手段95,96及び紛失防止手段94の、図5bに示した部分は、有利には支持部材75の両側に存在し、特に支持部材75に対して対称的に配置されている。
【0057】
アライメント調整フレーム20は、有利には、以下に説明する方法のために、軌道21の建造時に使用される。それぞれ異なる方法段階を図6〜図11に示した。
【0058】
まず、各々のレール22のためのレール収容部24,25を備えるレール担体23を用意する。レール収容部24内にレール22を、まずはルーズに装入する。既に予め調整されたアライメント調整フレーム20を支持装置65によりレール担体23上に載置する。その結果、レール頭部37は、レールキャッチ29の、それぞれ対応する収容室36内に突入する(図7)。締付け手段46により、各々のレールキャッチ29の両キャッチ脚片32を、対応するレール頭部37に締め付ける。その結果、レール頭部37は、固く両キャッチ脚片32間に挟持され、くさび面40を介して受け43に圧着される。各々のレール22をレール22の延び方向で、間隔を置いた複数のアライメント調整フレーム20に固定する。その結果、格子構造若しくは梯子構造又はグリッド構造若しくはラダー構造が、平行なレール22と、レール22に横方向で固定されるアライメント調整フレーム2とから生じる。レール22を持ち上げるためには、必要な持上げ力を発生可能な別体の持上げ工具97が役立つ。持上げ工具97は、アライメント調整フレーム20のクロスメンバ28に支持されており、レール担体23上又はレール担体23の側方の、適当な設置面に設置される。持上げ後、支持装置65は、所望の位置にもたらされる。このために、高さ調整手段95は、所望の鉛直位置を調節するために役立ち、かつ位置決め手段72は、クロスメンバ長手方向軸線41に沿った横方向Qでの所望の位置を調節するために役立つ。アライメント調整フレーム20は、今や、レール22を、レール担体23に対して間隔を置いて吊り上げており、支持装置65を介して専らレール担体の外面68に滑り支承箇所90,91において支持されている。持上げ工具97は、今や、取り外すことができる(図7)。
【0059】
択一的には、この第1の工程は、次のように変更されてもよい。アライメント調整フレーム20を既に所望の目標高さに、約5mmの公差を差し引いて、予め調節された状態で支持装置65によりレール担体23上に設置する。これにより、レールキャッチ29は、レール収容部24,25内のレール22から鉛直方向に間隔を置いている。その後、レール22を、図示しない持上げ機により、レール頭部37が対応する収容室37内に配置されるようになるまで持ち上げる。次に、各々のレールキャッチ29の両キャッチ脚片32を締付け手段46によって対応するレール頭部37に締め付ける。次に、レールの所望の高さ位置及び横方向位置を調節する。この択一的な手順は、高さ方向及び横方向Qでのアライメント調整フレーム20の位置が僅かに調節されるだけで済むので、工事現場での時間を節約する。さらに、高さ調整手段95のねじにも優しい。
【0060】
次の工程で、角度調節手段48を介して、配向軸線42をクロスメンバ長手方向軸線41に対して所望の角度にもたらす。これにより、レール22を通る長手方向中央軸線は、レール22の延び方向で延びる鉛直平面に対して傾倒する。
【0061】
次に、両レール22間の間隔A、ひいては軌道21の軌間を固定手段55により調節する(図9)。
【0062】
レール22は、この時点で、所望の位置にある。レール22をそれぞれ対応するレール収容部24内に固定する前に、正しい配向を検査し、場合によっては後調整を実施するために、計測を実施してもよい。レール収容部24を形成するレール溝25内には、今や、充填体、空き管、振動を減衰する層等を配置することが可能である。次に、レール溝25に最初の工程で部分的に埋込み材料98を充填する。その結果、レール22は、レール担体23に対して固定されている。この埋込み材料98の硬化後、アライメント調整フレーム20は取外し可能である。続いての工程で、埋込み材料の第2の層99をレール溝25内に充填する。この工程は図11に概略的に示されている。この第2の埋込み材料層99の硬化後、軌道21は完成する。
図12は、使用位置にあるアライメント調整フレームを示している。アライメント調整フレーム内には、溝付きレールが収容されている。レール収容部内には、溝付きレールの下に、振動を減衰する層が設けられている。次に、上述の実施の形態と同様に、レール溝25を第1のステップで部分的に埋込み材料98で満たして、レール22をレール担体23に対して固定する(図13)。第1のステップの埋込み材料98の硬化後、アライメント調整フレームを除去し、第2の埋込み材料層99を溝付きレールの両側でレール担体23の上面79まで充填する(図14)。この第2の埋込み材料層99の硬化後、軌道21は完成する。
【0063】
本発明は、レール22を備える軌道21の工事の際に使用されるアライメント調整フレーム20に関する。アライメント調整フレーム20のクロスメンバ28は、クロスメンバ28の両端部領域66で、それぞれ1つの支持装置65を介して、滑り支承箇所90,91の形成下で、コンクリートからなるレール担体23の外面68に支持されている。クロスメンバ28には、複数のレールキャッチ29が配置されている。レールキャッチ29は、それぞれ1つのレール22を摩擦力結合式にクランプし、かつ保持する。調節手段48,55,95を介して、レールの、互いに相対的な、かつ水平及び鉛直に対して相対的な位置が調節可能である。このために、レールキャッチ29は角度調節手段48も有する。角度調節手段48を介して、レール22の長手方向中央平面は、レール22の延び方向で延びる鉛直平面に対して傾き調節され、固定され得る。アライメント調整フレームは、使用位置で、専ら滑り支承箇所90,91の形成下で支持されているので、レール22の延び方向でレール担体23に対して相対的に摺動可能である。こうして、軌道21の建造時の、レール22の温度に起因した長さ変化は、補償されることができ、レール22の所望の配向におけるエラーに至ることはない。軌道21の建造のためのアライメント調整フレーム20を用いた有利な方法も、提示されている。
【0064】
アライメント調整フレーム20は、可変に構成可能かつ調節可能であり、これにより多くの軌道及びレール型式のために使用可能である。アライメント調整フレーム20は、ユニット原理又はモジュール原理にしたがって種々異なる要求に適合可能なフレキシブルなアライメント調整工具(Richtwerkzeug)である。すべての個々のパーツは交換され、任意に組み合わされる。レールキャッチ29の数は、トラックの数に適合可能である。軌間はもちろん、複数の線を有する軌道の線間の間隔も問題なく適合される。アライメント調整フレーム20は、適当なレールキャッチ29又はキャッチ脚片32の使用及び選択により、種々異なるレール型式の形状に適合可能である。
【符号の説明】
【0065】
20 アライメント調整フレーム
21 軌道
22 レール
23 レール担体
24 レール収容部
25 レール溝
28 クロスメンバ
29 レールキャッチ
30 キャッチスリーブ
31 キャッチスリーブ30の下面
32 キャッチ脚片
33 フランジ
34 旋回支承部
36 収容室
37 レール頭部
38 キャッチ脚片32の自由端
39 レール頭部37の下面
40 くさび面
41 クロスメンバ長手方向軸線
42 配向軸線
43 受け
44 受け面
46 締付け手段
48 角度調節手段
49 スリーブ長手方向軸線
50 角度調節ねじ
52 ねじ山付孔
55 固定手段
56 固定部材
57 係止穴
58 第1の保持フランジ
59 第2の保持フランジ
60 ターンバックル
61 ターンバックルナット
65 支持装置
66 クロスメンバ28の端部領域
67 中間スペース
68 レール担体23の外面
70 支持スリーブ
71 クランプねじ
72 位置決め手段
74 支持部材75の端部領域
75 支持部材
76 滑り支承装置
77 第1の滑り支承部材
78 第1の滑り支承面
79 レール担体23の上面
80 第2の滑り支承部材
81 第2の滑り支承面
82 レール担体23の側面
85 山形部材
86 横方向脚片
87 縦方向脚片
90 第1の滑り支承箇所
91 第2の滑り支承箇所
92 ねじ94′の軸部
93 穴
94 紛失防止手段
94′ ねじ
95 高さ調整手段
96 横幅調整手段
97 持上げ工具
98 埋込み材料
99 第2の埋込み材料層
S 角度調節遊び
Q 横方向
V 鉛直方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道(21)のレール(22)をレール担体(23)のそれぞれ1つのレール収容部(24,25)内に取り付けるためのアライメント調整フレームにおいて、
クロスメンバ(28)を備え、該クロスメンバ(28)が前記レール収容部(24,25)上に、当該アライメント調整フレームの使用位置において前記レール(22)の延び方向に対して横方向で架設されており、該クロスメンバ(28)の両端部領域(66)に、前記レール担体(23)の外面(68)に当該アライメント調整フレーム(20)を支持するために役立つそれぞれ1つの支持装置(65)が固定されており、
前記クロスメンバ(28)に配置される、それぞれ1つのレール(22)を保持するためのレールキャッチ(29)を備え、該レールキャッチ(29)の各々が、該レールキャッチ(29)により保持されるレール(22)の長手方向中央平面の位置を規定する配向軸線(42)を規定し、
前記レールキャッチ(29)は、クロスメンバ長手方向軸線(41)に対する前記配向軸線(42)の角度位置を調節するために役立つそれぞれ1つの角度調節手段(48)を備える、
ことを特徴とする、アライメント調整フレーム。
【請求項2】
前記レールキャッチ(29)がそれぞれ1つのキャッチスリーブ(30)を備え、該キャッチスリーブ(30)が、一方向(V)で角度調節遊び(S)を備えて前記クロスメンバ(28)周りに配置されている、請求項1記載のアライメント調整フレーム。
【請求項3】
前記角度調節手段(48)を介して、前記クロスメンバ長手方向軸線(41)に対するスリーブ長手方向軸線(49)の傾きが調節可能である、請求項2記載のアライメント調整フレーム。
【請求項4】
前記角度調節手段(48)が角度調節ねじ(50)を備え、該角度調節ねじ(50)が前記キャッチスリーブ(30)のねじ山付孔(52)内に配置されている、請求項3記載のアライメント調整フレーム。
【請求項5】
前記レールキャッチ(29)が前記クロスメンバ(28)に沿って移動可能であり、調節可能な固定手段(55)を介して所望の横方向位置で前記クロスメンバ(28)に固定可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載のアライメント調整フレーム。
【請求項6】
前記固定手段(55)が、前記レールキャッチ(29)に結合される固定部材(56)を備え、該固定部材(56)が前記クロスメンバ(28)に、該クロスメンバ(28)に対する相対移動に抗して固定可能である、請求項5記載のアライメント調整フレーム。
【請求項7】
前記レールキャッチ(29)が、それぞれ2つの、互いに相対的に旋回可能なキャッチ脚片(32)を備える、請求項1から6までのいずれか1項記載のアライメント調整フレーム。
【請求項8】
前記キャッチ脚片(32)が、レール頭部(37)に係合するための、それぞれ他方のキャッチ脚片(32)に向かって屈曲した自由端(38)を備える、請求項7記載のアライメント調整フレーム。
【請求項9】
前記レールキャッチ(29)がそれぞれ1つのキャッチスリーブ(30)を備え、該キャッチスリーブ(30)が前記クロスメンバ(28)周りに配置されており、かつ前記キャッチ脚片(32)の少なくとも一方が、旋回支承部(34)において旋回可能に、前記キャッチスリーブ(30)の下面(31)に支承されている、請求項7又は8記載のアライメント調整フレーム。
【請求項10】
両キャッチ脚片(32)の一方が、前記キャッチスリーブ(30)に対して相対的に不動に該キャッチスリーブ(30)の下面(31)に固定可能である、請求項9記載のアライメント調整フレーム。
【請求項11】
前記レールキャッチ(29)が、対応するレール(22)のレール頭部(37)のための収容室(36)を備える、請求項1から10までのいずれか1項記載のアライメント調整フレーム。
【請求項12】
前記レールキャッチ(29)が、それぞれ2つの、互いに相対的に旋回可能なキャッチ脚片(32)を備え、前記レール頭部(37)のための収容室(36)が、両キャッチ脚片(32)により画成され、前記レールキャッチ(29)が、締付け力を両キャッチ脚片(32)と、前記収容室(36)内に保持されるレール頭部(37)との間で発生可能な締付け手段(46)を備える、請求項11記載のアライメント調整フレーム。
【請求項13】
両キャッチ脚片が、該キャッチ脚片の自由端(38)に、前記レール頭部(37)のための当接面として役立つ、前記収容室(36)に面したくさび面(40)を備え、該くさび面(40)が前記配向軸線(42)に対して傾いて延びており、前記レール頭部(37)は、前記締付け力によって、前記収容室(36)内に前記くさび面(40)に対向して配置される受け(43)に押し付けられる、請求項12記載のアライメント調整フレーム。
【請求項14】
前記支持装置(65)が少なくとも1つの第1の支承部材(77)を備え、該第1の支承部材(77)が、第1の支承箇所(90)を形成するために、当該アライメント調整フレーム(20)の使用位置で、前記レール担体(23)の上面(79)に支持される、請求項1から13までのいずれか1項記載のアライメント調整フレーム。
【請求項15】
前記支持装置(65)が支持部材(75)を備え、該支持部材(75)が、前記クロスメンバ(28)に結合されており、調節可能な高さ調整手段(95)を介して前記少なくとも1つの第1の支承部材(77)に結合されている、請求項14記載のアライメント調整フレーム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第1の支承部材(77)が、滑り支承部として、平たんな第1の滑り支承面(78)を備えて構成されているか、又はころ支承部又は玉支承部として構成されている、請求項14記載のアライメント調整フレーム。
【請求項17】
前記レール(22)の延び方向で前記支持部材(75)の両側に前記少なくとも1つの第1の支承部材(77)が設けられている、請求項14から16までのいずれか1項記載のアライメント調整フレーム。
【請求項18】
前記支持装置(65)が少なくとも1つの第2の支承部材(80)を備え、該第2の支承部材(80)が、第2の支承箇所(91)を形成するために、当該アライメント調整フレーム(20)の使用位置で、前記レール担体(23)の側面(82)に支持される、請求項1から17までのいずれか1項記載のアライメント調整フレーム。
【請求項19】
前記支持装置(65)が支持部材(75)を備え、該支持部材(75)が、前記クロスメンバ(28)に結合されており、調節可能な横幅調整手段(96)を介して前記少なくとも1つの第2の支承部材(80)に結合されている、請求項18記載のアライメント調整フレーム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第2の支承部材(80)が、滑り支承部として、平たんな第2の滑り支承面(81)を備えて構成されているか、又はころ支承部又は玉支承部として構成されている、請求項18記載のアライメント調整フレーム。
【請求項21】
前記レール(22)の延び方向で支持部材(75)の両側に前記少なくとも1つの第2の支承部材(80)が設けられている、請求項18から20までのいずれか1項記載のアライメント調整フレーム。
【請求項22】
前記レール(22)がビグノール型レール又は溝付きレールとして構成されている、請求項1から21までのいずれか1項記載のアライメント調整フレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−106262(P2011−106262A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255139(P2010−255139)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(510302755)エディロン)(ゼドラ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】edilon) (sedra GmbH
【住所又は居所原語表記】Kistlerhofstrasse 168, D−81379 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】