説明

アルコール含有食品

【課題】 アルコール飲料に近似した風味とアルコール濃度を有し、かつ、容器から中身がこぼれたり流れ出したりしがたいように調整されたアルコール含有食品を得る。
【解決手段】 アルコール含有液にゲル化剤を添加し、アルコール濃度が1重量%から20重量%であり、流動性を有する局所小塊ゲルを含んだアルコール含有食品40を得る。アルコール含有食品40を、アルミニウム加工フィルムなどの可等性薄膜で構成された包装材を袋状に形成してなる包装容器10に、気体が極力入り込まない状態で充填することにより、独特の触感を有する包装容器充填済みのアルコール含有食品1が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸い口を備えた袋状の包装容器に充填されているアルコール含有食品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルコールは、ワイン、日本酒等の液体状の酒類として摂取されるほか、水菓子や氷菓などに添加され、固形状の食品としても食されている。アルコールを含有する固形状の食品としては、例えば特許文献1に示すアルコール含有ゼリーがある。特許文献1に記載されているゼリーは、ホワイトリカーのようなアルコールにコーヒー豆を浸漬し、得られたコーヒー酒に甘味料を添加して固形化した菓子であり、アルコールを有する固形状食品として、レストラン等でデザートとして提供される。
【特許文献1】特開昭57−68746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、アルコールは揮発しやすく、また、凝固しにくい性質を有するため、5〜15%程度のアルコール濃度を有するアルコールは、従来、液体状の酒類として提供あるいは摂取されるだけで、アルコール飲料の風味を有する固形状の食品は、ほとんど提供されていない。また、上記特許文献1に示すような菓子は、糖類が添加されたデザート用の菓子であるため、アルコールの含有量は1%に満たない程度の僅かな量であり、アルコールの風味をほとんど有さない。
【0004】
このため、従来のアルコール含有固形食品は、ワインやリキュールなどのアルコール飲料とは全く異なる食味であり、酒類に近似した風味およびアルコール濃度を有する食品は、固形化された食品としては提供されていない。すなわち、これまでアルコールは、主として液体状のアルコール飲料として提供され、固形状食品として提供される場合は、アルコール飲料の風味やアルコール濃度を有さない菓子や漬物として提供されていた。
【0005】
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、アルコール飲料の食味を有し、かつ、容器から中身がこぼれたり流れ出たりし難く、さらに、スプーン等の補助具が不要で、何時でもどんな場所でも摂取できるアルコール含有食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような課題を解決するために、本発明者らは、アルコール含有液に低濃度のゲル化剤を加え、アルコールとゲル化剤との作用により、流動性を失わない程度のゲル状流動体とすることで、アルコール飲料に似た味わいを有しながら、従来のアルコール飲料とは異なる食感、喉越しおよび舌触りを有する新規なアルコール含有食品を得た。また、このアルコール含有食品を、可撓性薄膜で構成された包装材で形成された包装容器に充填することにより、包装容器から中身がこぼれ出る恐れが少なく、また、携帯しやすく、何時でもどんな場所でも食することができ、さらには包装容器に充填された状態で触感の変化を楽しむことができる包装容器充填済みアルコール含有食品を得た。
【0007】
より具体的には、本発明は、以下のようなものを提供する。
【0008】
(1)1重量%から20重量%の間の濃度のアルコールを含み、ゲル化剤によって、アルコール含有液がゲル化されているアルコール含有食品。
【0009】
「アルコール」とは、本明細書では、特段の断りがない限り、食用のエタノールを意味する。アルコール含有食品のアルコール濃度は、1重量%以上25重量%以下、好ましくは3重量%以上20重量%以下とする。アルコール濃度が1重量%未満の場合、アルコールの風味が損なわれる。一方、アルコール濃度が25重量%を超えると、ゲル化剤を添加してもアルコール含有液が凝固せず、アルコール含有液をゲル化できない。
【0010】
(2)前記ゲル化剤は、カラギーナン、キサタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、タマリンシードガム、グアーガム、トラガントガム、カロブビーンガム、ジェランガム、寒天、及び澱粉類からなる群から選択される1種以上である(1)記載のアルコール含有食品。
【0011】
「ゲル化剤」とは、液体を固化させる物質をいう。本発明においては、アルコール含有液にゲル化剤を添加することにより、アルコール含有液をゲル化し、局所小塊ゲルを含むゲル状の半流動体とする。ここで、「ゲル状の半流動体」とは、一定の粘性を有する流動体であり、液体と固体の中間に相当する物体のことをいう。アルコール含有液を半流動体とするためには、ゲル化剤の添加量は0.1〜1.3重量%とすることが好ましい。ゲル化剤としては、カラギーナン、キサタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、タマリンシードガム、グアーガム、トラガントガム、カロブビーンガム、ジェランガム、寒天、及び澱粉類等が挙げられる。これらのゲル化剤のうち、キサンタンガム、ローカストビーンガム、およびペクチンはアルコールにも水にも溶解するため、本発明に特に好適に使用できる。
【0012】
(3)前記アルコール含有食品は、さらに食性固形物を含む(1)または(2)記載のアルコール含有食品。
【0013】
「食性固形物」とは、アルコール溶液中で溶解せず、固有の形態を保つ固形食品を意味する。食性固形物は、人の口中で咀嚼されたのち、飲み込まれる程度の大きさおよび硬さを有することが好ましい。前述したアルコール含有食品は、コップから飲むことができる程度の流動性を有する半流動体であり、噛み応えを与えないものであるため、かかる食性固形物を含有するアルコール含有食品は、少なくとも2種類の食感を備える。また、食性固形物は、本発明の袋状の包装容器に備えられた吸い口を通過できる大きさとすることが好ましい。
【0014】
(4)前記食性固形物は、酒類の摘み物である(3)記載のアルコール含有食品。
【0015】
「摘み物」とは、酒の肴として食される食性固形物を意味し、特に、甘みを有さず、塩気の味付けがなされた食品を指す。摘み物の具体例としては、チーズ、発酵もろみ、または梅味などのおかゆなどが挙げられる。食性固形物として摘み物をさらに含有する(4)記載のアルコール含有食品は、アルコール飲料の風味を有するゲル状の半流動体である局所小塊ゲルと、飲酒する際に食される摘み物とを含み、日本人の食事のとり方の特徴である口内調理を簡便に行うことができる。ここで、「口内調理」とは、異なる2種類以上の食品を一緒に口に含み、口中で両方の味を混ぜ合わせて味わうことをいう。また、食性固形物を含むアルコール含有食品を食した場合、とろりとした局所小塊ゲルの食感および喉越しだけでなく、食性固形物の食感及び喉越しをも楽しむことができる。
【0016】
(5)前記アルコール含有食品は、さらに果汁を含む(1)から(3)いずれか記載のアルコール含有食品。
【0017】
アルコール含有食品が果汁を含む場合、果実酒と果汁含有ゼリー両方の風味を楽しむことができる。果汁の具体例としては、レモン、ピーチおよび梅などが挙げられ、果肉やパルプなどの食性固形物をさらに含ませることにより、食感の違いを楽しむように構成してもよい。
【0018】
(6)(1)から(5)いずれか記載のアルコール含有食品が包装容器に充填されている包装容器充填済みのアルコール含有食品であって、前記アルコール含有食品は、吸い口を備えた袋状の包装容器に充填され、前記包装容器は、可撓性薄膜で構成された包装材で形成され、前記アルコール含有食品が充填された状態では当該アルコール含有食品を押し出せる程度の可塑性を有するものであり、気体の占有体積が極力制限されるように密着された状態で、かつ、前記アルコール含有食品の形状に応じて前記包装容器の外形が自在に変形するように前記アルコール含有食品が前記包装容器に充填されているものである包装容器充填済のアルコール含有食品。
【0019】
「袋状の包装容器」とは、袋の内部に液体、固体または気体を収容し、密閉することができる容器を意味する。また、「可塑性」とは、加えられた力に応じて自在に変形し、力の入れ方によっては復元できる性質のことである。
【0020】
可塑性を備えた袋状の包装容器は、箱や瓶のように一定の形態に固定されず、外部から加えられる力に応じてある程度変形しうるため、運搬が容易で携帯もしやすい。なお、運搬性の点から、袋状の包装容器は、丈夫で、かつ、軽量な素材で構成されていることが好ましい。
【0021】
(6)記載の発明によれば、アルコール含有食品は、包装容器内壁とアルコール含有食品の間に気体が極力入り込まないような状態で包装容器内に充填されている。前記包装容器は、可撓性薄膜で構成された包装材で形成された袋状のものであり、アルコール含有食品が充填された状態で自在に変形され、また、アルコール含有食品を押し出せる程度の可塑性を有している。このため、包装容器を押さえることにより、包装容器内に充填されたアルコール含有食品を押し出すことができ、老人や介護の必要な人などにとっても、楽に食することができ、従来の液体の酒類のように、容器からこぼれ出る恐れも少ない。
【0022】
さらに、本発明では、アルコール含有食品を押し出す際、包装容器内のアルコール含有食品の触感を楽しむこともできる。特に、本発明に係るアルコール含有食品は、ゲル化剤が添加されるとともに、比較的高い濃度のアルコールを含有することから、これまでのゼリーにはない触感を有し、前記包装容器に充填されることにより、従来のゼリー状飲料とは異なる、斬新な触感を備える。具体的には、アルコール含有食品を充填した包装容器の触感は、アルコール含有食品の局所小塊ゲルに由来するマシュマロのような柔らかさ備えるとともに、包装材が可撓性を備えるためにお餅のような弾力性をも備えた触感を備える。
【0023】
また、本発明に係わるアルコール含有食品がさらに食性固形物を含む場合、包装容器を押した場合に局所小塊ゲル中で食性固形物が流動する触感が付与され、娯楽性が高まる。
【0024】
(7)前記包装容器の可塑性は、局所小塊ゲルの強度と同程度であるように調整されている(6)記載の包装容器充填済のアルコール含有食品。
【0025】
「包装容器の可塑性」とは、包装容器が空の状態で包装容器を押した場合に包装容器が変形するときの強度で示し、「局所小塊ゲルの強度」とは、局所小塊ゲル自体を押した場合、あるいは、局所小塊ゲルを、薄手のビニール袋のように可塑性が極めて大きく、包装材の強度を無視できるような包装材で構成された包装容器に局所小塊ゲルを入れた状態で局所小塊ゲルを押した場合、変形が生じるときの強度をいう。包装容器の可塑性と、局所小塊ゲルの強度とは、局所小塊ゲルの強度または包装容器の強度のいずれか一方、または両方を触るなどして、適宜、決定すればよい。包装容器の可塑性と、局所小塊ゲルの強度とが同程度である場合、包装容器内の局所小塊ゲルの触感を楽しむことができる。
【0026】
(8)前記可撓性薄膜は、プラスチックフィルム、アルミニウム加工フィルム、または紙フィルムのいずれかであり、前記包装材は、前記可撓性薄膜を単独または組み合わせて構成されている(6)または(7)記載の包装容器充填済のアルコール含有食品。
【0027】
「可撓性薄膜」とは、たわませることの可能なフィルムをいう。「フィルム」とは、厚さが0.25mm未満の可塑性をもつ天然または合成物質の薄膜を意味する。可撓性薄膜としては、プラスチックフィルム、アルミニウム加工フィルム、及び紙フィルム等があり、これらのフィルムを単独または組み合わせて包装材とし、この包装材を袋状にして包装容器を構成する。ここで、複数種類のフィルムを積層した複合フィルム(「ラミネートフィルム」)を包装材とする場合は、単一種類のフィルムで包装材を構成した場合では得られない複数の機能を持たせることができるので好ましい。また、包装材がアルミニウム加工フィルムのように、熱伝導性の高いフィルムで構成されている場合、包装容器を通して局所小塊ゲルの温度を感知することができる。
【発明の効果】
【0028】
1重量%以上のアルコールを含む液体は、凝固しにくいという性質をもっているため、1重量%以上のアルコールを含む食品は、従来、液体状の飲料として提供され、固形化されたものは、これまで市場にほとんど出回っていなかった。しかし、本発明では、1重量%以上のアルコールを含むアルコール含有液に、ゲル化剤を添加して粘性を付与するため、液体状のアルコール飲料と同等のアルコール濃度および味わいを備えながら、液体のようにこぼれる恐れの少ない食品を得ることができる。また、本発明のアルコール含有食品は、アルコールの殺菌効果により、アルコールを含有していないゼリーと比較して著しく腐敗防止効果が高まる。さらに、本発明のアルコール含有食品はゲル状流動体なので、これまでのアルコール飲料やアルコール含有ゼリーでは得られなかった食感及び喉越しの楽しさや口の中に広がる爽快感等を提供することができる。
【0029】
また、本発明によれば、可撓性薄膜で構成された包装材で形成された包装容器に、一定濃度のアルコールを含む局所小塊ゲルを充填することにより、アルコールを摂取したい人達にとって納得のできるアルコール濃度を含有することができ、また、何時でもどんな場所でも食することができる。さらには、本発明に係る局所小塊ゲルは比較的高い濃度でアルコールを含有するとともに、本発明に係るアルコール含有食品を充填した包装容器の外形が内容物の形状に応じて自在に変形することにより、これまでのアルコール飲料やアルコール含有ゼリーにはなかった「触感を楽しませる」ということができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明について図面を参照して詳しく説明する。
【0031】
図1は、本発明に係る包装容器充填済のアルコール含有食品の斜視図である。図2は、本発明に係るアルコール含有食品を包装容器から押し出した図である。図3は、包装容器を握った状態を示す図である。
【0032】
図1に示すように、本発明に係る包装容器充填済みアルコール含有食品1は、吸い口20を備えた包装容器10に充填されている。吸い口20は、内部が空洞になった管状であり、吸い口20の先端に設けられた開口部から包装容器10内のアルコール含有食品40を取り出すことができる。吸い口20の先端にはキャップ30がとりつけられるように構成され、包装容器10は、開閉自由な構成とされている。
【0033】
包装容器10は、可撓性薄膜で構成された包装材が袋状に形成されたものである。包装容器10の容積は、特に限定されないが、図2に示すように、包装容器10を手で握ることができる大きさ、例えば内積が120〜250ml程度であることが好ましい。
【0034】
包装容器10を構成する包装材は、本実施形態においては、アルミニウム製薄膜とポリエチレン製薄膜とを積層したラミネート加工フィルムである。包装材は、本実施形態のラミネート加工フィルムのように、2種類以上の可撓性薄膜が組み合わされて構成されているものに限定されず、1種類の可撓性薄膜単独で構成することもできる。包装材を構成する可撓性薄膜としては、プラスチックフィルム、アルミニウム加工フィルム、または紙フィルムなどがある。プラスチックフィルムは、例えばポリエステル、ナイロン、エチレン−ビニルアルコール共重合体またはポリエチレンから選択される1種以上から構成することができ、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン等の合成樹脂から選択される1種以上から構成してもよい。これらの可撓性薄膜のうち、アルミニウム加工フィルムは、熱伝導性が高く、熱溶融しないので、特に好適に使用できる。
【0035】
包装容器10に備えられた吸い口20は、人が内容物を吸いだせる程度の長さと太さを有していることが好ましい。具体的には、本発明の包装容器10に備えられた吸い口20は、長さ20〜60mm、管径5〜25mmの太いストロー状の形状である。また、吸い口20は、包装容器10の上に、かつ、ラミネートフィルム間に溶接されているものが好ましい。
【0036】
このような包装容器10は、「チアパック」と呼ばれ、薄くて丈夫な包装材から構成され、変形可能なことから、瓶、缶、紙パック、及びPETボトルと比べて、軽くて持ち運び易い。また、包装容器10は、キャップ30を着脱することにより容易に開閉できるため、包装容器10を一度、開封した後、内容物が残存している状態でも容易に携帯でき、一時的に保存することも容易である。
【0037】
アルコール含有食品40は、前記袋状の包装容器10内部に、気体の占有体積が極力制限されるように密着された状態で、すなわち、包装容器10内壁にアルコール含有食品40が密着し、包装容器10内部に気泡が存在しないような状態で封入されている。アルコール含有食品40は、アルコール含有液がゲル化剤によって、流動性を失わない程度にゲル化されたゲル状の半流動体である。また、包装容器10は可撓性薄膜により形成された袋状であり、可塑性を有する。このため、包装容器10を手で握る、または押すことにより、包装容器10は図2に示すように変形して、包装容器10内のアルコール含有食品40を押し出すことができる。
【0038】
包装容器10に充填されたアルコール含有食品40は、図2に示すように、流動性を有する局所小塊ゲルを含む。局所小塊ゲルは、アルコール含有液、特に、ワイン、日本酒、カクテルなどのアルコール飲料にゲル化剤を添加して、流動性を保つ程度にアルコール含有液をゲル化することにより得られ、包装容器10から押し出すと一定の形状を保ちつつ、とろみのある触感を呈する。ゲル化剤の種類及び添加量は、アルコール含有食品40が、コップから飲むことができる程度の流動性を備えるよう、アルコール濃度を考慮し、決定する。
【0039】
アルコール含有液に添加するゲル化剤としては、カラギーナン、キサタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、タマリンシードガム、グアーガム、トラガントガム、カロブビーンガム、ジェランガム、寒天、及び澱粉類がある。また、ゲル化剤の添加量は、アルコール濃度によっても異なるが、0.1〜1.3重量%とすることが好ましい。
【0040】
アルコール含有液に上記のゲル化剤を添加することにより、ゲル化剤とアルコールとが協働して、これまでのゼリーにはなかった、とろみのある触感を備えたゲル状半流動体が得られる。このため、かかるアルコール含有食品40が上記の包装容器10に密閉されてなる包装容器充填済みアルコール含有食品1は、アルコール含有食品40を押し出すとき、包装容器10の触感の変化を楽しませるものとなる。例えば、図3に示すように本発明の包装容器充填済みアルコール含有食品1を握ったときの触感は、マシュマロのような柔らかさと、お餅のような弾力性とを兼ね備えている。なお、包装容器充填済みアルコール含有食品1の触感の変化を楽しむため、アルコール含有食品40の強度と包装容器10の可塑性の程度はほぼ同じ強度とすることが好ましい。
【0041】
また、アルコール含有食品40は、食性固形物を含んでもよい。食性固形物としては、食感を与える果肉または摘み物であることが好ましい。ここで、果肉には、果物を加工したり、または物理的に粉砕することで得られるパルプを含む。例えば、果物の加工及び物理的粉砕には、果物を磨砕したり、ホモジナイズすることが含まれる。また、摘み物の具体例としては、チーズ、豆腐、発酵もろみ、またはおかゆ等が挙げられる。食性固形物として、果肉を含ませる場合、アルコール含有食品は、ワインやカクテル、または果実酒など、甘みもしくは酸味、またはその両方を有する酒類をゲル状半流動体としたものが好ましい。また、食性固形物として摘み物を含ませる場合、アルコール含有食品は、日本酒をゲル状半流動体としたものが好ましい。
【実施例】
【0042】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0043】
[実施例1]
砂糖80g、クエン酸3g、グルコン酸カルシウム0.6g、キサンタンガム0.5g、ローカストビーンガム0.5g、ジェランガム1g、レモンさのうパルプ、をそれぞれ水に溶かした。次に、この溶液を、80℃で10分間攪拌した。続いて、95%アルコール75ml、レモンフレーバー1mlを加え、全体を1Lとする。さらに、全体を1Lとした溶液を攪拌後、容量200mLのアルミニウムとポリエチレンとのラミネート加工フィルムからなる包装容器(以下、「チアパック」と称する)に充填する。最後に、チアパックを80℃、30分間殺菌する。これを冷却するとゲル化し、半流動体のアルコール含有食品が得られる。得られた甘くて酸っぱい果肉タイプのアルコール含有食品に含まれるアルコール濃度は、7重量%であった。
【0044】
[実施例2]
まず、クリームチーズ50g、カゼインナトリウム50g、カラギーナン1g、ペクチン3g、グルコン酸カルシウム0.3g、デキストリン20g、ショ糖脂肪酸エステル0.5g、重曹0.2gをそれぞれ水に溶かした。次に、この溶液を、80℃で10分間攪拌した。続いて、95%アルコール75mlを加え、全体を1Lとし、実施例1と同じ包装容器に充填する。最後に、チアパックを121℃、20分間レトルト殺菌する。これを冷却するとゲル化し、アルコール濃度7重量%の半流動体のアルコール含有食品が得られる。
【0045】
次に、実施例1及び実施例2により得られたアルコール含有食品の食感及び喉越しの良さ、または実施例1及び実施例2により得られたアルコール含有食品を充填した包装容器の触感の良さ、をそれぞれ5人の被験者により、表1のような評価基準を持って判定を行い、その平均値をとった。
【0046】
【表1】

【0047】
その結果、表2のような結果が得られた。
【0048】
【表2】

【0049】
表2に示すように、実施例1及び実施例2により得られたアルコール含有食品は、食感及び喉越しの良さ、及び、アルコール含有食品料を充填した包装容器の触感の良さのどちらの感覚においても、心地良さを与えることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の包装容器を示した斜視図である。
【図2】本発明の包装容器からアルコール含有食品を押し出した図である。
【図3】本発明の包装容器を握った状態を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
10 包装容器
20 吸い口
30 キャップ
40 アルコール含有食品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1重量%から20重量%の間の濃度のアルコールを含み、ゲル化剤によって、アルコール含有液がゲル化されているアルコール含有食品。
【請求項2】
前記ゲル化剤は、カラギーナン、キサタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、タマリンシードガム、グアーガム、トラガントガム、カロブビーンガム、ジェランガム、寒天、及び澱粉類からなる群から選択される1種以上である請求項1記載のアルコール含有食品。
【請求項3】
前記アルコール含有食品は、さらに食性固形物を含む請求項1または2記載のアルコール含有食品。
【請求項4】
前記食性固形物は、酒類の摘み物である請求項3記載のアルコール含有食品。
【請求項5】
前記アルコール含有食品は、さらに果汁を含む請求項1から3いずれか記載のアルコール含有食品。
【請求項6】
請求項1から5いずれか記載のアルコール含有食品が包装容器に充填されている包装容器充填済のアルコール含有食品であって、
前記アルコール含有食品は、吸い口を備えた袋状の包装容器に充填され、
前記包装容器は、可撓性薄膜で構成された包装材で形成され、前記アルコール含有食品が充填された状態では当該アルコール含有食品を押し出せる程度の可塑性を有するものであり、気体の占有体積が極力制限されるように密着された状態で、かつ、前記アルコール含有食品の形状に応じて前記包装容器の外形が自在に変形するように前記アルコール含有食品が前記包装容器に充填されているものである包装容器充填済のアルコール含有食品。
【請求項7】
前記包装容器の可塑性は、局所小塊ゲルの強度と同程度であるように調整されている請求項6記載の包装容器充填済のアルコール含有食品。
【請求項8】
前記可撓性薄膜は、プラスチックフィルム、アルミニウム加工フィルム、または紙フィルムのいずれかであり、
前記包装材は、前記可撓性薄膜を単独または組み合わせて構成されている請求項6または7記載の包装容器充填済のアルコール含有食品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−25718(P2006−25718A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210589(P2004−210589)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】