説明

アンテナ用コネクタ

【課題】内部アンテナと外部アンテナとの切り換えが容易なアンテナ用コネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、外部アンテナ3を突出するプラグ1と、可動コンタクト2a及び固定コンタクト2bで構成されるスイッチ20が内部アンテナ4bに接続されたソケット2と、を備える。プラグ1は、外部アンテナ3の信号線と接続するピンコンタクト11と、外部アンテナ3のグラウンドと接続する第1筒形コンタクト12と、外殻を構成する第1シェル13を有する。ソケット2は、ピンコンタクト11が挿入されるハウジング21と、第1筒形コンタクト12に接触する第2筒形コンタクト22と、第1シェルが挿入されて嵌合する第2シェル23を有する。第1シェル13は突起13sを設け、第2シェル23は、突起13sを案内するらせん溝23sを設け、プラグ1を所定角度回動して、スイッチ20を切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ用コネクタに関する。特に、アンテナ用コネクタの構造に関し、例えば、このアンテナ用コネクタは、ノート型パソコンなどに装着可能な無線LAN(Local Area Network)用のPCカードと外部アンテナとを接続する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや家庭において、無線LANの機器、例えばノート型のパーソナルコンピュータ(以下、PCという)をブロードバンドルータにワイヤレス接続して、複数台のノート型PCをインターネットにアクセスできる。このような無線通信の構成は、ノート型PCを容易に移動できるというメリットがある。
【0003】
携帯可能な小型電子機器であるノート型PCやPDA(Personal Digital Assistants)などは、無線電波を送受信するアンテナが筐体内部に設置されており、更に受信効率を良くするため、筐体にスイッチ機構付きのアンテナ用コネクタ(同軸コネクタ)を設けている。そして、このアンテナ用コネクタに外部アンテナを接続することにより、内部アンテナと外部アンテナとを切り換え可能とし、内部アンテナで無線電波を送受信することが難しい場合は、外部アンテナで無線電波が送受信される。
【0004】
このようなアンテナ用コネクタとして、外部アンテナが接続されたプラグを筐体に設けられたソケットに挿入することにより、外部アンテナと内部アンテナとを切り換え可能なスイッチ付きアンテナ用コネクタが発明されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1によるアンテナ用コネクタは、同軸ケーブルの一端にアンテナが接続され、同軸ケーブルの他端にプラグが接続されている。そして、このプラグがソケットに着脱される。プラグは、同軸ケーブルの内部導体に接続するピンコンタクトと、同軸ケーブルの外部導体に接続してピンコンタクトを取り囲む筒形コンタクトと、を備えている。
【0006】
一方、ソケットは、ピンコンタクトと接続する可動コンタクトと、この可動コンタクトが弾性的に当接する固定コンタクトと、を有している。そして、これら可動コンタクトと固定コンタクトとが接触することにより、内部アンテナが機能するスイッチを構成している。
【0007】
又、ソケットは、筒形コンタクトの内周及び外周に接触可能な一対のシェルと、これらのシェルが接地されるグラウンドパターンを設けるプリント基板と、このプリント基板に実装されて可動コンタクト及び固定コンタクトを内部に配置するハウジングと、を有している。そして、プラグをソケットに挿入すると、ピンコンタクトが可動コンタクトを固定コンタクトから離間させ、かつ可動コンタクトに接触して、外部アンテナに切り換わる。
【0008】
一方、前述したノート型PCやPDAは、筐体に内部アンテナを含まない機種もある。近年では、このような機種のノート型PCは、筐体に設けられスロットにチップアンテナ(内部アンテナ)を内蔵したPCカードを挿入することにより、無線電波を送受信できるようになっている。
【0009】
図10は、前述した内部アンテナを有するPCカードと外部アンテナとを接続した状態図である。図10において、PCカード7は、一端側に接続端子7aを有し、他端側にスイッチ付きソケット7bを有し、チップアンテナ(図示せず)を内蔵している。又、同軸ケーブル8の一端にスタンド形の外部アンテナ8aが接続され、同軸ケーブル8の他端にプラグ8bが接続されている。プラグ8bをスイッチ付きソケット7bに挿入することにより、内部アンテナから外部アンテナ8aに切り換えることができる。
【特許文献1】特開2004−304313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のアンテナ用コネクタは、外部アンテナに接続するプラグをスイッチ付きソケットに挿抜入することにより、内部アンテナと外部アンテナとを切り換えている。しかし、プラグとスイッチ付きソケットとは、比較的強い力で嵌合しているので、プラグの抜き差しが容易でないという問題がある。
【0011】
又、携帯可能な小型電子機器に適用されるアンテナ用コネクタということあれば、図10に示されたような大型の外部アンテナを持ち運ぶことは、好ましくない。携帯可能な小型電子機器、又はPCカードに比較的小型の外部アンテナを直結すれば、持ち運ぶことができて便利であり、移動途中においても無線通信できる。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、内部アンテナと外部アンテナとの切り換えが容易であり、比較的短い棒状の外部アンテナを直結できるアンテナ用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、外部アンテナを設けるプラグとスイッチ付きソケットとを離間困難に回転結合し、プラグの回転運動が進退運動に変換されるように、プラグとスイッチ付きソケットとでカム装置を構成して、ソケットに備わるスイッチを切り換えることを見出し、これに基づいて、以下のような新たなアンテナ用コネクタを発明するに至った。
【0014】
(1) 外部アンテナを設けるプラグと内部アンテナと接続するスイッチが設けられたソケットとを離間困難に回転結合し、前記プラグの回転運動が進退運動に変換されるように、前記プラグと前記ソケットとでカム装置を構成して、前記外部アンテナを回動することにより前記スイッチを切り換えるアンテナ用コネクタ。
【0015】
(1)の発明によるアンテナ用コネクタは、例えば、外部アンテナを立設した状態では、プラグとソケットとが相対的に近づいて、スイッチがオフ(断)になってよく、内部アンテナから外部アンテナに切り換えることができる。外部アンテナを倒置した状態では、プラグとソケットとが相対的に離反して、スイッチがオン(接)になってよく、外部アンテナから内部アンテナに切り換えることができる。
【0016】
(1)の発明によるアンテナ用コネクタは、外部アンテナを設けるプラグとスイッチ付きソケットとを離間困難に回転結合し、プラグの回転運動が進退運動に変換されるように、プラグとスイッチ付きソケットとでカム装置を構成して、外部アンテナを回動することにより、ソケットに備わるスイッチを切り換えているので、内部アンテナと外部アンテナとの切り換えが容易であり、比較的短い棒状の外部アンテナを直結できるアンテナ用コネクタを提供できる。
【0017】
(2) 軸方向と直交する方向に棒状の外部アンテナを突出するプラグと、可動コンタクト及びこの可動コンタクトが弾性的に当接する固定コンタクトで構成されるスイッチを有し、このスイッチが内部アンテナに接続されたソケットと、を備え、前記プラグは、前記外部アンテナの信号線と接続して軸方向に突出するピンコンタクトと、前記外部アンテナのグラウンドと接続して前記ピンコンタクトを同心円状に囲う第1筒形コンタクトと、この第1筒形コンタクトを絶縁可能に覆って外殻を構成する円筒状の第1シェルと、を有し、前記ソケットは、前記ピンコンタクトが挿入される挿入孔を一方の面に開口し、前記可動コンタクト及び前記固定コンタクトを内部に配置する円筒状のハウジングと、このハウジングを同軸上に内装し、外周が前記第1筒形コンタクトの内周に接触する第2筒形コンタクトと、この第2筒形コンタクトを囲い前記第1シェルが挿入されて嵌合する円筒状の第2シェルと、を有し、前記第1シェルは、軸方向と直交する方向に突出する一以上の突起を設け、前記第2シェルは、前記突起を案内するらせん溝を設け、前記プラグを所定角度回動すると、前記ピンコンタクトの先端部は前記可動コンタクトを前記固定コンタクトから離間する方向に変位させるアンテナ用コネクタ。
【0018】
(2)の発明によるアンテナ用コネクタは、プラグとソケットを備えている。プラグは、軸方向と直交する方向に棒状の外部アンテナを突出している。ソケットは、可動コンタクト及びこの可動コンタクトが弾性的に当接する固定コンタクトで構成されるスイッチを有している。そして、このスイッチが内部アンテナに接続されている。
【0019】
プラグは、ピンコンタクト、第1筒形コンタクト、及び円筒状の第1シェルを有している。ピンコンタクトは、外部アンテナの信号線と接続して軸方向に突出している。第1筒形コンタクトは、外部アンテナのグラウンドと接続しており、ピンコンタクトを同心円状に囲っている。第1シェルは、第1筒形コンタクトを絶縁可能に覆っており、外殻を構成している。
【0020】
ソケットは、円筒状のハウジング、第2筒形コンタクト、及び円筒状の第2シェルを有している。ハウジングは、ピンコンタクトが挿入される挿入孔を一方の面に開口している。そして、ハウジングは、可動コンタクト及び固定コンタクトを内部に配置している。第2筒形コンタクトは、ハウジングを同軸上に内装している。又、第2筒形コンタクトの外周が第1筒形コンタクトの内周に接触する。第2シェルは、第2筒形コンタクトを囲い、第1シェルが挿入されて嵌合する。
【0021】
第1シェルは、軸方向と直交する方向に突出する一以上の突起を設けている。第2シェルは、突起を案内するらせん溝を設けている。そして、プラグを所定角度回動すると、ピンコンタクトの先端部は、可動コンタクトを固定コンタクトから離間する方向に変位させる。
【0022】
ここで、棒状の外部アンテナの軸中心とプラグの軸中心とは、直交してよく、外部アンテナの基端部とプラグの基端部とが例えば、接続金具で結合される。外部アンテナは、プラグに直結してよく、比較的短い同軸ケーブルを介して接続してよく、(2)の発明によるアンテナ用コネクタは、この同軸ケーブルも外部アンテナに含まれる。
【0023】
可動コンタクトは、板ばねであってよく、薄板を均一な「ばね」特性が得られるような形状に折り曲げて作られたベローズコンタクトであってよい。可動コンタクトは、固定子と可動子とで構成されてよく、例えば、可動コンタクトの固定子は、プリント基板に「はんだ」接合されて固定されてもよい。そして、可動コンタクトの可動子が固定コンタクトに一定の接触圧を付与して、つまり可動コンタクトが弾性的に当接して、電気的に接続している。
【0024】
固定コンタクトは、板体であってよく、基端部がプリント基板に「はんだ」接合されて固定されてよく、先端部に可動コンタクトの接点が付勢される。
【0025】
可動コンタクト及び固定コンタクトは、導電性を有し、帯板に展開された導電性の金属薄板が成形されて、所望の形状のコンタクトを得ることができる。可動コンタクト及び固定コンタクトは、銅合金などの導電性や展伸性に優れた材料が好ましく用いられるが、銅合金に限定されない。
【0026】
内部アンテナを使用するときは、可動コンタクトと固定コンタクトとが電気的に接続してよく、可動コンタクトが固定コンタクトに接触してオン状態になっている。可動コンタクトを固定コンタクトから離間する方向に変位させる力が作用すると、可動コンタクトが固定コンタクトと電気的に切り離されたオフ状態になる。このように、可動コンタクトと固定コンタクトとは、電気的なスイッチを構成している。
【0027】
プラグは、高周波同軸コネクタであってよく、中心にあるピンコンタクトが絶縁体(誘電体)を介して第1筒形コンタクトで囲われている。ソケットは、高周波同軸コネクタであってよく、内部に配置された可動コンタクト及び固定コンタクトがハウジング(絶縁体)を介して第2筒形コンタクトで囲われている。第1及び第2筒形コンタクトは、一般的には、外部コンタクトとも呼ばれ、プラグとソケットとが結合及び接触することにより、中心にあるピンコンタクトを流れる高周波電流の漏洩を防止できる。
【0028】
第1シェルは、プラグの外殻を構成してよく、例えば、後述するアンテナカバーの一部で構成してもよい。第2シェルは、ソケットの外殻を構成してよく、後述するPCカードのカバーの一部で構成してもよく、単独のシェルで構成して携帯用の電子機器に取り付けてもよい。
【0029】
第1シェルに設けられる突起は、スタッドであってよく、第2シェルに設けられるらせん溝と連結して、プラグとソケットの結合を援助する。スタッドを利用してらせん溝に沿って(案内されて)、プラグとソケットとの結合を速やかに行う接続機構は、バヨネットカップリングと呼ばれ、限定した回動角度で相互にロック(係止)できる。
【0030】
しかし、一般的な高周波同軸コネクタは、プラグをソケットに差し込んで一方の方向に回動することにより、接続する差し込み接続(バヨネットカップリング)である。そして、プラグを他方の方向に回動することによりソケットから離間できる。
【0031】
一方、(2)の発明によるアンテナ用コネクタは、プラグはソケットから容易に離間しない。プラグは、ソケットに対してらせん運動のみが許容される。(2)の発明によるアンテナ用コネクタは、例えば、外部アンテナを立設した状態では、プラグとソケットとが相対的に近づいて、スイッチがオフ(断)になってよく、内部アンテナから外部アンテナに切り換えることができる。外部アンテナを倒置した状態では、プラグとソケットとが相対的に離反して、スイッチがオン(接)になってよく、外部アンテナから内部アンテナに切り換えることができる。
【0032】
(2)の発明によるアンテナ用コネクタは、外部アンテナを設けるプラグとスイッチ付きソケットとを離間困難に回転結合し、プラグの回転運動が進退運動に変換されるように、プラグとスイッチ付きソケットとでバヨネットカップリングを構成して、ソケットに備わるスイッチを切り換えているので、内部アンテナと外部アンテナとの切り換えが容易であり、比較的短い棒状の外部アンテナを直結できるアンテナ用コネクタを提供できる。
【0033】
(3) 前記一以上の突起は、相反する向きに突出する一対の突起からなり、前記らせん溝は対向するように一対に設けられる(2)記載のアンテナ用コネクタ。
【0034】
(4) 前記第1シェルは、中心線に沿って半分に分割された半円弧状の第1及び第2分割円筒で構成される(2)又は(3)記載のアンテナ用コネクタ。
【0035】
(5) 前記第2シェルは、中心線に沿って半分に分割された半円弧状の第3及び第4分割円筒で構成される(2)から(4)のいずれかに記載のアンテナ用コネクタ。
【0036】
(6) 前記プラグは、前記外部アンテナを被覆してその中心線に沿って半分に分割された第1及び第2アンテナカバーを更に備え、前記第1及び第2分割円筒は、前記第1及び第2アンテナカバーの一部を構成している(4)記載のアンテナ用コネクタ。
【0037】
(6)の発明によるアンテナ用コネクタは、プラグが外部アンテナを被覆するアンテナカバーを備えているので、外部アンテナが汚れないという効果がある。
【0038】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載のアンテナ用コネクタを備える無線通信用のPCカード。
【0039】
(8) (1)から(6)のいずれかに記載のアンテナ用コネクタを備える携帯用の電子機器。
【発明の効果】
【0040】
本発明によるアンテナ用コネクタは、外部アンテナを立設した状態では、プラグとソケットとが相対的に近づいて、可動コンタクトと固定コンタクトとで構成されるスイッチがオフになってよく、内部アンテナから外部アンテナに切り換えることができる。外部アンテナを倒置した状態では、プラグとソケットとが相対的に離反して、スイッチがオンになってよく、外部アンテナから内部アンテナに切り換えることができる。
【0041】
本発明によるアンテナ用コネクタは、外部アンテナを設けるプラグとスイッチ付きソケットとを離間困難に回転結合し、プラグの回転運動が進退運動に変換されるように、プラグとスイッチ付きソケットとで接続装置を構成して、ソケットに備わるスイッチを切り換えているので、内部アンテナと外部アンテナとの切り換えが容易であり、比較的短い棒状の外部アンテナを直結できるアンテナ用コネクタを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0043】
図1は、本発明によるアンテナ用コネクタ(以下、コネクタと略称する)の一実施形態を示す斜視外観図である。図2は、前記実施形態によるコネクタの斜視分解組立図である。図3は、前記実施形態によるコネクタの斜視外観図であり、プラグとソケットが分離した状態図である。図4は、前記実施形態によるコネクタの要部を拡大した斜視外観図であり、プラグとソケットが分離した状態図である。図5は、前記実施形態によるコネクタの要部を拡大した斜視外観図であり、プラグとソケットが結合した状態図である。
【0044】
図6は、前記実施形態によるコネクタの斜視外観図であり、外部アンテナが立設した状態図である。図7は、前記実施形態によるコネクタにおけるソケットの斜視分解組立図である。図8は、前記実施形態によるコネクタの要部横断面図であり、ソケットに備わるスイッチがオンの状態図である。図9は、前記実施形態によるコネクタの要部横断面図であり、ソケットに備わるスイッチがオフの状態図である。
【0045】
最初に、本発明によるコネクタの構成を説明する。図1から図3において、コネクタ10は、プラグ1とソケット2を備えている。プラグ1は、軸方向と直交する方向に棒状の外部アンテナ3を突出している。ソケット2は、可動コンタクト2a及び可動コンタクト2aが弾性的に当接する固定コンタクト2bで構成されるスイッチ20を有している。そして、スイッチ20は、PCカード4の内部に配置された内部アンテナ4bに接続されている(図7から図9参照)。
【0046】
図2において、ソケット2は、PCカード4の一端側に取り付けられている。PCカード4の他端側には、接続端子4aを設けている。そして、PCカード4は、プリント基板4cを内装しており、プリント基板4cにチップアンテナからなる内部アンテナ4bが実装されている。内部アンテナ4bの信号線は、固定コンタクト2bにパターン接続している。又、PCカード4に設けられた内部回路(例えば、無線回路)は、可動コンタクト2aにパターン接続している。
【0047】
図1から図3において、プラグ1は、ピンコンタクト11、第1筒形コンタクト12、及び円筒状の第1シェル13を有している(図8及び図9参照)。ピンコンタクト11は、外部アンテナ3の信号線と接続して軸方向に突出している。第1筒形コンタクト12は、外部アンテナ3のグラウンドと接続しており、ピンコンタクト11を同心円状に囲っている。第1シェル13は、第1筒形コンタクト12を絶縁可能に覆っており、外殻を構成している(図8及び図9参照)。
【0048】
図7から図9において、ソケット2は、円筒状のハウジング21、第2筒形コンタクト22、及び円筒状の第2シェル23を有している。ハウジング21は、ピンコンタクト11が挿入される挿入孔21aを一方の面に開口している。そして、ハウジング21は、可動コンタクト2a及び固定コンタクト2bを内部に配置している。第2筒形コンタクト22は、ハウジング21を同軸上に内装している。又、第2筒形コンタクト22の外周が第1筒形コンタクト12の内周に接触する。第2シェル23は、第2筒形コンタクト22を囲い、第1シェル13が挿入されて嵌合する(図3参照)。
【0049】
図1から図4において、第1シェル13は、軸方向と直交する方向に突出する突起13sを設けている。第2シェル23は、突起13sを案内するらせん溝23sを設けている。そして、プラグ1を所定角度回動すると、ピンコンタクト11の先端部は、可動コンタクト2aを固定コンタクト2bから離間する方向に変位させる(図9参照)。
【0050】
図2において、外部アンテナ3の軸中心とプラグ1の軸中心とは、直交している。そして、外部アンテナ3の基端部とプラグ1の基端部とが接続金具31で結合されている。外部アンテナ3は、比較的短い同軸ケーブル3aを介して接続している。同軸ケーブル3aも外部アンテナ3に含むことができる。
【0051】
図1から図4において、第1シェル13は、その中心線に沿って半分に分割された半円弧状の第1及び第2分割円筒13a・13bで構成されている。プラグ1は、外部アンテナ3を被覆するアンテナカバー5を備えている。アンテナカバー5は、その中心線に沿って半分に分割された一対の第1及び第2アンテナカバー5a・5bで構成されている。そして、第1及び第2分割円筒13a・13bは、第1及び第2アンテナカバー5a・5bの一部を構成している。
【0052】
一方、図1から図4において、第2シェル23は、その中心線に沿って半分に分割された半円弧状の第3及び第4分割円筒23a・23bで構成されている。PCカード4の一端側を絶縁可能に囲うカバー6を備えている。カバー6は、半分に分割された一対の第3及び第4カバー6a・6bで構成されている。そして、第3及び第4分割円筒23a・23bは、第3及び第4分割円筒23a・23bの一部を構成している。
【0053】
図7から図9において、可動コンタクト2aは、可動子211と固定子212とで構成されている。そして、可動コンタクト2aの固定子212は、プリント基板4cに「はんだ」接合されて固定されている。可動コンタクト2aの可動子211が固定コンタクト2bに一定の接触圧を付与して、つまり可動コンタクト2aが弾性的に当接して、電気的に接続している。
【0054】
図7から図9において、固定コンタクト2bは、板体で構成されている。固定コンタクト2bの基端部がプリント基板4cに「はんだ」接合されて固定されている。そして、固定コンタクト2bの先端部に可動コンタクト2aの接点が付勢されている。
【0055】
図7から図9において、ハウジング21は、一端側が円筒部21bを形成し、他端側が四角柱部21cを形成している。円筒部21bの外周の一部は、弦を形成しており、円筒部21bの内壁において、固定コンタクト2bが当接するように配置されている。又、四角柱部21cには、相反する向きに一対の溝21d・21dを設けている。そして、一対の溝21d・21dは、プリント基板4cの端部に形成された切り欠き4dの両翼に嵌合できる。
【0056】
図7から図9において、第2筒形コンタクト22は、一端側が円筒部22bを形成し、他端側が四角柱部22cを形成している。そして、四角柱部22cの両翼に一対のタブ部22d・22dを延出している。第2筒形コンタクト22の内部は空洞となっており、ハウジング21が内装される。一対のタブ部22d・22dがプリント基板4cに「はんだ」接合されて固定されることにより、ハウジング21もプリント基板4cに保持される。なお、第2筒形コンタクト22は、プリント基板4cのグラウンドパターンに接続される(図2参照)。
【0057】
次に、本発明によるコネクタの作用を説明する。図1から図4において、コネクタ10は、外部アンテナ3を設けるプラグ1と、内部アンテナ4bと接続するスイッチ20(図7参照)が設けられたソケット2とを離間困難に回転結合している。又、プラグ1の回転運動が進退運動に変換されるように、プラグ1とソケット2とでカム装置を構成している。そして、外部アンテナ3を回動することにより、スイッチ20を切り換えることができる。
【0058】
図7において、内部アンテナ4bを使用するときは、可動コンタクト2aと固定コンタクト2bとが電気的に接続してよく、可動コンタクト2aが固定コンタクト2bに接触してオン状態になっている(図8参照)。そして、図9に示されるように、可動コンタクト2aを固定コンタクト2bから離間する方向に変位させる力が作用すると、可動コンタクト2aが固定コンタクト2bと電気的に切り離されたオフ状態になる。このように、可動コンタクト2aと固定コンタクト2bとは、電気的なスイッチを構成している。
【0059】
図6に示されるように、外部アンテナ3を立設した状態では、コネクタ10は、プラグ1とソケット2とが相対的に近づいて、スイッチ20がオフ(断)になる(図9参照)。そして、内部アンテナ4bから外部アンテナ3に切り換えることができる(図2参照)。一方、図1に示されるように、外部アンテナ3を倒置した状態では、プラグ1とソケット2とが相対的に離反して、スイッチ20がオン(接)になる(図8参照)。そして、外部アンテナ3から内部アンテナ4bに切り換えることができる(図2参照)。
【0060】
本発明によるアンテナ用コネクタは、外部アンテナを設けるプラグとスイッチ付きソケットとを離間困難に回転結合し、プラグの回転運動が進退運動に変換されるように、プラグとスイッチ付きソケットとでカム装置を構成して、外部アンテナを回動することにより、ソケットに備わるスイッチを切り換えているので、内部アンテナと外部アンテナとの切り換えが容易であり、比較的短い棒状の外部アンテナを直結できるアンテナ用コネクタを提供できる。
【0061】
本発明によるアンテナ用コネクタは、プラグはソケットから容易に離間しない。プラグは、ソケットに対してらせん運動のみが許容される。本発明によるアンテナ用コネクタは、外部アンテナを立設した状態では、プラグとソケットとが相対的に近づいて、スイッチがオフ(断)になってよく、内部アンテナから外部アンテナに切り換えることができる。外部アンテナを倒置した状態では、プラグとソケットとが相対的に離反して、スイッチがオン(接)になってよく、外部アンテナから内部アンテナに切り換えることができる。
【0062】
本発明によるアンテナ用コネクタは、外部アンテナを設けるプラグとスイッチ付きソケットとを離間困難に回転結合し、プラグの回転運動が進退運動に変換されるように、プラグとスイッチ付きソケットとでバヨネットカップリングを構成して、ソケットに備わるスイッチを切り換えているので、内部アンテナと外部アンテナとの切り換えが容易であり、比較的短い棒状の外部アンテナを直結できるアンテナ用コネクタを提供できる。
【0063】
本発明によるアンテナ用コネクタは、無線通信用のPCカードに備えられてよく、携帯用の電子機器に備えられてよく、内部アンテナと外部アンテナとの切り換えが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明によるアンテナ用コネクタの一実施形態を示す斜視外観図である。
【図2】前記実施形態によるアンテナ用コネクタの斜視分解組立図である。
【図3】前記実施形態によるアンテナ用コネクタの斜視外観図であり、プラグとソケットが分離した状態図である。
【図4】前記実施形態によるアンテナ用コネクタの要部を拡大した斜視外観図であり、プラグとソケットが分離した状態図である。
【図5】前記実施形態によるアンテナ用コネクタの要部を拡大した斜視外観図であり、プラグとソケットが結合した状態図である。
【図6】前記実施形態によるアンテナ用コネクタの斜視外観図であり、外部アンテナが立設した状態図である。
【図7】前記実施形態によるアンテナ用コネクタにおけるソケットの斜視分解組立図である。
【図8】前記実施形態によるアンテナ用コネクタの要部横断面図であり、ソケットに備わるスイッチがオンの状態図である。
【図9】前記実施形態によるアンテナ用コネクタの要部横断面図であり、ソケットに備わるスイッチがオフの状態図である。
【図10】従来技術によるアンテナ用コネクタの接続状態を示す斜視外観図である。
【符号の説明】
【0065】
1 プラグ
2 ソケット
2a 可動コンタクト
2b 固定コンタクト
3 外部アンテナ
4b 内部アンテナ
10 コネクタ
11 ピンコンタクト
12 第1筒形コンタクト
13 第1シェル
13s 突起
20 スイッチ
21 ハウジング
22 第2筒形コンタクト
23 第2シェル
23s らせん溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部アンテナを設けるプラグと内部アンテナと接続するスイッチが設けられたソケットとを離間困難に回転結合し、前記プラグの回転運動が進退運動に変換されるように、前記プラグと前記ソケットとでカム装置を構成して、前記外部アンテナを回動することにより前記スイッチを切り換えるアンテナ用コネクタ。
【請求項2】
軸方向と直交する方向に棒状の外部アンテナを突出するプラグと、
可動コンタクト及びこの可動コンタクトが弾性的に当接する固定コンタクトで構成されるスイッチを有し、このスイッチが内部アンテナに接続されたソケットと、を備え、
前記プラグは、前記外部アンテナの信号線と接続して軸方向に突出するピンコンタクトと、前記外部アンテナのグラウンドと接続して前記ピンコンタクトを同心円状に囲う第1筒形コンタクトと、この第1筒形コンタクトを絶縁可能に覆って外殻を構成する円筒状の第1シェルと、を有し、
前記ソケットは、前記ピンコンタクトが挿入される挿入孔を一方の面に開口し、前記可動コンタクト及び前記固定コンタクトを内部に配置する円筒状のハウジングと、このハウジングを同軸上に内装し、外周が前記第1筒形コンタクトの内周に接触する第2筒形コンタクトと、この第2筒形コンタクトを囲い前記第1シェルが挿入されて嵌合する円筒状の第2シェルと、を有し、
前記第1シェルは、軸方向と直交する方向に突出する一以上の突起を設け、
前記第2シェルは、前記突起を案内するらせん溝を設け、
前記プラグを所定角度回動すると、前記ピンコンタクトの先端部は前記可動コンタクトを前記固定コンタクトから離間する方向に変位させるアンテナ用コネクタ。
【請求項3】
前記一以上の突起は、相反する向きに突出する一対の突起からなり、前記らせん溝は対向するように一対に設けられる請求項2記載のアンテナ用コネクタ。
【請求項4】
前記第1シェルは、中心線に沿って半分に分割された半円弧状の第1及び第2分割円筒で構成される請求項2又は3記載のアンテナ用コネクタ。
【請求項5】
前記第2シェルは、中心線に沿って半分に分割された半円弧状の第3及び第4分割円筒で構成される請求項2から4のいずれかに記載のアンテナ用コネクタ。
【請求項6】
前記プラグは、前記外部アンテナを被覆してその中心線に沿って半分に分割された第1及び第2アンテナカバーを更に備え、
前記第1及び第2分割円筒は、前記第1及び第2アンテナカバーの一部を構成している請求項4記載のアンテナ用コネクタ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のアンテナ用コネクタを備える無線通信用のPCカード。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載のアンテナ用コネクタを備える携帯用の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−32604(P2009−32604A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197045(P2007−197045)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】