説明

アームヘッドの製造装置及びワイパ装置

【課題】アームヘッドの外観デザインが低下してしまうことを抑制できるアームヘッドの製造装置及びワイパ装置を得る。
【解決手段】第1分割型と、第1分割型と型合わせされることによってアームヘッド40を成型するためのキャビティ14を形成する第2分割型と、スライド型18と、を備えたアームヘッドの製造装置において、スライド型18をアームヘッド40の裏面44側から斜めに侵入後退可能に構成した。また、このアームヘッドの製造装置10によって成型されたアームヘッド40を用いて、ワイパ装置62を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ワイパのアームヘッドの製造装置及びワイパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長溝が自動車用ワイパのアームヘッドに設けられ、ウォッシャノズルに洗浄液を配送するための配管ホースを該長溝に嵌め込んで保持するワイパ装置が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
また、配管ホースが上記長溝から外れることを防止するために、該長溝の一部には庇状の突起部が設けられている。該突起部を設けるために、アームヘッドを形成する金型の一部としてスライド型が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−302018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構造では、スライド型がアームヘッドの側面に進入後退するため、アームヘッド側面にはスライド型が進入後退するための孔や凹部が形成される。その結果アームヘッドの外観デザインが低下してしまうという課題があった。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、アームヘッドの外観デザインが低下してしまうことを抑制できるアームヘッドの製造装置及びワイパ装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明に係るアームヘッドの製造装置は、型合わせ面に凹部を備える第1分割型と、前記第1分割型と型合わせされることによって前記凹部との間にキャビティを形成し、ピボットシャフトの一端に固定されるアームヘッドを形成するための材料が該キャビティに射出される第2分割型と、前記第1分割型及び前記第2分割型のいずれか一方にかつ前記キャビティの長手方向に沿って設けられ、配管ホースが嵌め込まれる長溝を前記アームヘッドの裏面側に形成する凸部と、前記凸部が突出する方向に対して前記アームヘッドの裏面側から斜めに進入後退することによって前記長溝と連通された凹設溝を形成すると共に該凹設溝の前記アームヘッドの裏面側に庇状の突起部を形成するスライド型と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の本発明では、スライド型がアームヘッドの裏面側から斜めに進入後退するので、アームヘッドの側面には、該スライド型が進入後退するための孔や凹部が長手方向に沿って形成されない。従って、アームヘッドの外観デザインの低下が抑制される。
【0009】
請求項2記載の本発明に係るアームヘッドの製造装置は、請求項1記載のアームヘッドの製造装置において、山部と谷部が交互に連続し全体として波状に屈曲して設けられた前記長溝を前記アームヘッドの裏面側に形成するための前記凸部と、前記長溝の前記山部に前記突起部が突出形成されるように配置された前記スライド型と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の本発明では、全体として波状に屈曲して設けられた長溝をアームヘッドの裏面に形成する凸部が設けられている。そのため、アームヘッドの長溝に嵌め込まれた配管ホースが引っ張られたとしても、配管ホースが長溝の山部に押圧され、配管ホースが長溝から外れ難くなる。
【0011】
請求項3記載の本発明に係るアームヘッドの製造装置は、前記アームヘッドの頂面と裏面とを貫通しピボットシャフトの一端が挿通固定される固定孔の貫通方向に型割りされた前記第1分割型及び前記第2分割型と、前記第1分割型及び前記第2分割型の型割り方向と異なる方向に進入後退して前記アームヘッドの裏面側に開口する凹設溝を形成する前記スライド型と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の本発明では、上記構成の型割り方向となっている。そのため、ピボットシャフトが挿通固定される固定孔を形成するために、別途スライド型や中子等を設ける必要が無い。従って、アームヘッドの製造工数等を削減できる。
【0013】
請求項4記載の本発明に係るワイパ装置は、ピボットシャフトの一端が挿通固定される固定孔を有するアームヘッドと前記アームヘッドに対して払拭面方向に回動可能に軸支されたリテーナとを供えたワイパアームと、前記ワイパアームの先端に取付けられ払拭面を払拭するワイパブレードと、前記ワイパアーム又はワイパブレードに設けられ、洗浄液を払拭面に噴出するウォッシャノズルと、前記アームヘッドと前記リテーナとに沿って配索されると共に前記ウォッシャノズルに接続され洗浄液を配送する配管ホースと、前記アームヘッドの裏面側かつ前記アームヘッドの長手方向に沿って形成され前記配管ホースが嵌め込まれて保持される長溝と、前記長溝の少なくとも一部において、前記長溝の深さ方向と異なり、かつ、前記アームヘッドの裏面に対して斜め方向に凹設された凹設溝と、前記凹設溝の前記アームヘッドの裏面側に形成され庇状に突出した突起部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の本発明では、上記構成の凹設溝を形成するにあたり、スライド型がアームヘッドの裏面側から斜めに進入後退する。そのため、スライド型が進入後退するための孔や凹部が長手方向に沿ってアームヘッドの側面に形成されない。従って、ワイパの使用状態でのアームヘッドの外観デザインの低下が抑制される。
【0015】
請求項5記載の本発明に係るワイパ装置は、請求項4記載のワイパ装置において、山部と谷部が交互に連続し全体として波状に屈曲して設けられた前記長溝と、前記長溝の前記山部に設けられ、かつ溝幅方向に突出した前記突起部と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の本発明では、上記構成の長溝が設けられている。そのため、配管ホースに引っ張り力が加わったとしても、配管ホースが長溝の山部に押圧され、配管ホースが長溝から外れることが抑制される。
【0017】
請求項6記載の本発明に係るワイパ装置は、請求項4又は請求項5記載のワイパ装置において、前記アームヘッドの裏面側にのみ開口形成された前記長溝と、前記アームヘッドの側面の基端側に開口形成され、前記配管ホースを前記長溝内に導入する導入部と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の本発明では、長溝がアームヘッドの裏面側にのみ開口形成されており、また、この長溝に配管ホースを導入するための導入部がアームヘッドの側面に形成されている。そのため、配管ホースをアームヘッドに導入することを容易にしつつ、アームヘッドの外観デザインの低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係るアームヘッドの製造装置により製造されたアームヘッドを示す斜視図である。
【図2】(A)は図4に示されたアームヘッドの平面図であり、(B)は(A)に示されたアームヘッドのB−B線に沿った断面を示す拡大断面図である。
【図3】図2に示されたアームヘッドを用いたワイパ装置を示す平面図である。
【図4】本実施形態に係るアームヘッドの製造装置を示す分解斜視図である。
【図5】本実施形態に係るアームヘッドの製造装置を示す斜視図である。
【図6】本実施形態に係るアームヘッドの製造装置における、上型と下型とが型合わせされる前の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係るワイパ装置及びアームヘッドの製造装置について説明する。先ず、ワイパ装置について説明し、次いでアームヘッドの製造装置について説明する。
【0021】
<ワイパ装置>
図1〜図3を用いて、本発明の一実施形態に係るワイパ装置について説明する。
【0022】
図3に示されるように、本実施形態のワイパ装置62は、ワイパアーム64、ワイパアーム64の先端に取付けられた図示しないワイパブレード、中間ウォッシャノズル66、先端ウォッシャノズル67、配管ホース52、及び補助ホース53を含んで構成されている。以下、ワイパ装置62を構成する各々の要素について説明する。なお、ワイパブレードについては、一般的な構成のものが適用されるため、詳しい説明を省略する。
【0023】
ワイパアーム64は、長尺状に形成された中実のダイキャスト部品であるアームヘッド40と、長尺状に形成され断面コ字状とされたプレス成型部品であるリテーナ68と、先端がU字状に屈曲されたアームピース70と、を含んで構成されている。
【0024】
具体的には、図1及び図2に示されるように、アームヘッド40の基端側Aには、アームヘッド40の頂面42と裏面44とを貫通し、ピボットシャフト(図示省略)の一端が挿通固定される固定孔48が形成されており、車体に設けられた回動軸としてのピポットシャフトが該固定孔48に挿通されてナットで固定される。また、アームヘッド40の他端にはリテーナ68を回動可能に軸支するための軸支部50が形成されている。また、アームヘッド40の裏面44には、以下に説明する配管ホース52を配索するための長溝54がアームヘッド40の長手方向に沿って形成されている。この長溝54は山部54a,54b,54cと谷部54d,54eが交互に連続し全体として波状に屈曲して設けられている。さらに、長溝54の山部54a,54b,54cには、長溝54の深さ方向と異なり、かつ、アームヘッド40の裏面44に対して斜め方向に凹設された凹設溝56が設けられている。また、凹設溝56のアームヘッド40の裏面44側には、庇状に突出された突起部58が一体に形成されている。
【0025】
また、アームヘッド40の基端側Aの片側の側面46には、配管ホース52を長溝54内に導入するための導入部60が開口形成されている。
【0026】
図3に示されるように、上記アームヘッド40の軸支部50には、リテーナ68がウィンドシールドガラスに対して接近及び離間する方向に所定角度回動可能に軸支されている。また、このリテーナ68は、払拭面方向へ向けて開口した断面コ字状に形成されている。
【0027】
さらに、リテーナ68とアームヘッド40との間には、スプリング72が掛け渡されている。このスプリング72は所謂引張りコイルスプリングとされており、スプリング72はリテーナ68の内部(リテーナ68の側壁間)に配置されてリテーナ68をウィンドシールドガラスの払拭面方向に付勢している。
【0028】
また、リテーナ68の先端部にはリテーナ68と共にワイパアーム64を構成するアームピース70の基端部が固定されている。アームピース70の先端部はU字状に屈曲されたフックとなっており(図示省略)、該フックにはワイパブレードがクリップ部材(図示省略)を介して取付けられている。
【0029】
またさらに、上記構成のワイパアーム64には、中間ウォッシャノズル66及び先端ウォッシャノズル67が設けられている。中間ウォッシャノズル66は、リテーナ68の長手方向中間部分に配置され、リテーナ68に対して回転不能に保持された構成となっている。一方、先端ウォッシャノズル67は、リテーナ68の長手方向先端部分において、リテーナ68に対して回転不能に保持された構成となっている。
【0030】
以上の構成の中間ウォッシャノズル66には、配管ホース52の一端が連結されている。この配管ホース52は、車体内に設けられた図示を省略したウォッシャタンクにウォッシャポンプを介して接続されており、ピボットシャフトの近傍に設けられた車両ボディのホース取出し口から車体外へ引き出される。さらに、配管ホース52は、アームヘッド40の側面46に形成された導入部60から長溝54内に導入されると共に、長溝54内に嵌め込まれて保持されている。また、配管ホース52は、前述したスプリング72のコイル部を貫通してリテーナ68先端側に導出されて中間ウォッシャノズル66に接続された構成となっている。さらに、中間ウォッシャノズル66には補助ホース53の一端が連結されており、この補助ホース53の他端は先端ウォッシャノズル67に接続されている。これにより、配管ホース52を介して中間ウォッシャノズル66に洗浄液を配送することができると共に、補助ホース53を介して先端ウォッシャノズル67に洗浄液を配送することができる構成である。
【0031】
<アームヘッドの製造装置>
次に、図4〜図6を用いて、本発明の一実施形態に係るアームヘッドの製造装置について説明する。
【0032】
図4及び図5に示されるように、アームヘッドの製造装置10は、型合わせ面13に開口が臨む凹部20を備える第1分割型12と、第1分割型12と型合わせされることによって凹部20との間にキャビティ14を形成し、ピボットシャフトの一端に固定されるアームヘッド40を形成するための材料がキャビティ14に射出される第2分割型16と、を備えている。また、アームヘッドの製造装置10は、第2分割型16に挿通されアームヘッド40の裏面44側に長溝54の一部及び庇状の突起部58を形成するスライド型18を備えている。アームヘッドの製造装置10は、以上の第1分割型12、第2分割型16及びスライド型18を主要な構成としている。
【0033】
図4に示されるように、第1分割型12は鋼材のインゴットに機械加工が施されることにより形成されたブロック状の金型(キャビティ型)である。具体的には、第1分割型12には、アームヘッド40の頂面42及び側面46の形状に対応する凹部20が第1分割型12の型合わせ面13側に設けられている。さらに、凹部20の長手方向の一端には、リテーナ68を回動可能に軸支するための軸支部50に対応する凹部22,24が形成されている。
【0034】
図4及び図5に示されるように、第2分割型16は鋼材のインゴットに機械加工が施されることにより形成されたブロック状の金型(コア型)である。具体的には、第2分割型16には、配管ホース52が嵌め込まれる長溝54をアームヘッド40の裏面44側に形成するための凸部26がキャビティ14の長手方向に沿って設けられている。また、この凸部26は、第2分割型16本体の型合わせ面17に対して垂直方向に突出している。さらに、凸部26は、山部26a,26b,26cと谷部26d,26eが交互に連続し全体として波状に屈曲して設けられている。また、第2分割型16には、アームヘッド40の頂面42と裏面44とを貫通しピボットシャフトの一端が挿通固定される固定孔48を形成するための凸部28が形成されている。さらに、第2分割型16には、以下に説明するスライド型18が進入後退するための貫通孔32が上記の凸部26が突出する方向に対して斜めに設けられている。なお、第2分割型16には、アームヘッド40の材料が射出される射出孔30がキャビティ14内に向けて開口形成されている。
【0035】
また、図5に示されるように、第2分割型16の型合わせ面17と、第1分割型12の型合わせ面13とが型合わせされることによって、第1分割型12の凹部20と第2分割型16との間には、ピボットシャフトの一端に固定されるアームヘッド40の材料が射出されるキャビティ14が形成される。さらに、本実施形態では、第1分割型12と第2分割型16とは、ピボットシャフトの一端が挿通固定される固定孔48の貫通方向(Y軸方向)に型割りされている。
【0036】
図4及び図5に示されるように、スライド型18は鋼材のインゴットに機械加工が施されることにより形成された略直方体の金型である。具体的には、スライド型18のキャビティ14側の端部は、長溝54のと連通されたの凹設溝56を形成すると共に凹設溝56のアームヘッド40の裏面44側に庇状の突起部58を形成するための凸部34とされている。また、図5に示されるように、スライド型18が第2分割型16の貫通孔32に挿通されることによって、スライド型18は、長溝54を形成するための凸部26が突出する方向に対してアームヘッド40の裏面44側から斜めに進入後退可能となっている。その結果、本実施形態では、第1分割型12及び第2分割型16の型割り方向と異なる方向に対してスライド型18が進入後退する。さらに、スライド型18は、上記第2分割型16に形成された凸部26の山部26a,26b,26cに対応する位置に進入後退するように配置されている。
【0037】
図6に示されるように、第1分割型12は図示を省略するプレス機の上面に固定された上型36を構成している。また、スライド型18が第2分割型16の貫通孔32に挿通されることにより下型38を構成し、この下型38は図示を省略するプレス機の下面に固定されている。さらに、スライド型18は図示を省略するスライド機構に接続されることにより、スライド型18は貫通孔32に沿って進入後退可能とされている。
【0038】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0039】
アームヘッドの製造装置10における、第1分割型12の凹部20と第2分割型との間に形成されたキャビティ14には、アームヘッド40の材料として溶融したアルミニウム合金が射出孔30から高圧注入される。そして、キャビティ14が溶融したアルミニウム合金で満たされた後、上型36及び下型38が冷却される。上型36及び下型38が所要の温度まで冷却されると、キャビティ14内に注入されたアルミニウム合金が凝固する。
【0040】
その後、プレス機の下面に設けられたスライド機構が作動して、スライド型18が第2分割型16から引き抜かれる。次いで、第1分割型12と第2分割型16が型割されて、アームヘッド40の成型品が取り出される。型から取り出された後のアームヘッド40の成型品には、バリ取り加工及びの仕上げ加工が施される。
【0041】
以上の工程を経て、図4及び図5に示されたアームヘッド40が製造される。
【0042】
このアームヘッド40を含んで構成されたワイパ装置62を作動させると、ピボットシャフトの回動に伴って、ワイパアーム64が往復回動する。これにより、ワイパアーム64の先端に取付けられたワイパブレードがウィンドシールドガラスに付着した水滴等を払拭する。
【0043】
また、ウォッシャポンプを作動させると、洗浄液が配管ホース52及び補助ホースを通じて中間ウォッシャノズル66及び先端ウォッシャノズル67から噴出する。
【0044】
ここで、本実施形態のアームヘッドの製造装置10及びワイパ装置62では、スライド型18が進入後退するための孔や凹部がアームヘッド40の側面46に形成されていない。そのため、上記ワイパ装置62の使用状態でのアームヘッド40の外観デザインの低下を抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態のアームヘッドの製造装置10及びワイパ装置62では、凹設溝56のアームヘッド40の裏面44側には、庇状に突出した突起部58が形成されている。そのため、長溝54に嵌め込まれた配管ホース52が長溝54の開口方向に移動したとしても、配管ホース52は突起部58に接触する。即ち、突起部58によって、配管ホース52が長溝54から脱落することを防止できる。
【0046】
さらに、本実施形態のアームヘッドの製造装置10及びワイパ装置62では、上記構成の長溝54がアームヘッド40の裏面44に設けられている。そのため、ワイパ装置62の作動に伴い配管ホース52に引っ張り力が加わったとしても、配管ホース52が長溝54の山部54a,54b,54cに押圧され、配管ホース52が長溝54から外れることを抑制できる。
【0047】
また、本実施形態のアームヘッドの製造装置10及びワイパ装置62では、長溝54がアームヘッド40の裏面44側にのみ開口形成されており、また、この長溝54に配管ホース52を導入するための導入部60がアームヘッド40の側面46に形成されている。そのため、配管ホース52をアームヘッド40に導入することを容易にしつつ、アームヘッド40の外観デザインの低下を抑制することができる。
【0048】
さらに、アームヘッドの製造装置10では、上記構成の型割り方向(Y軸方向)となっている。そのため、ピボットシャフトが挿通固定される固定孔48を形成するために、別途スライド型や中子などを設ける必要が無い。従って、アームヘッド40の製造工数等を削減できる。
【0049】
なお、本実施形態では、山部54a,54b,54cと谷部54d,54eが交互に連続し全体として波状に屈曲して設けられ長溝54がアームヘッド40の裏面44に設けられた例について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、例えば、ほぼ直線状の長溝としても良い。
【0050】
また、本実施形態では、長溝54における54a,54b,54cに対応する位置に凹設溝56を設けた例について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、例えば、長溝54の谷部54d,54eに対応する位置に凹設溝56を設けても良い。
【0051】
さらに、本実施形態では、配管ホース52を長溝54に導入するための導入部60がアームヘッド40の側面46に開口形成された例について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、例えば、導入部60を設けずにアームヘッド40の裏面44側から、配管ホース52を長溝54に導入しても良い。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
10 アームヘッドの製造装置
12 第1分割型
13 型合わせ面
14 キャビティ
16 第2分割型
17 型合わせ面
18 スライド型
20 凹部
26 凸部
26a 山部
26b 山部
26c 山部
26d 谷部
26e 谷部
32 貫通孔
40 アームヘッド
42 頂面
44 裏面
46 側面
48 固定孔
52 配管ホース
54 長溝
54a 山部
54b 山部
54c 山部
54d 谷部
54e 谷部
56 凹設溝
58 突起部
60 導入部
62 ワイパ装置
64 ワイパアーム
66 ウォッシャノズル
68 リテーナ
A 基端側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型合わせ面に凹部を備える第1分割型と、
前記第1分割型と型合わせされることによって前記凹部との間にキャビティを形成し、ピボットシャフトの一端に固定されるアームヘッドを形成するための材料が該キャビティに射出される第2分割型と、
前記第1分割型及び前記第2分割型のいずれか一方にかつ前記キャビティの長手方向に沿って設けられ、配管ホースが嵌め込まれる長溝を前記アームヘッドの裏面側に形成する凸部と、
前記凸部が突出する方向に対して前記アームヘッドの裏面側から斜めに進入後退することによって前記長溝と連通された凹設溝を形成すると共に該凹設溝の前記アームヘッドの裏面側に庇状の突起部を形成するスライド型と、
を備えるアームヘッドの製造装置。
【請求項2】
山部と谷部が交互に連続し全体として波状に屈曲して設けられた前記長溝を前記アームヘッドの裏面側に形成する前記凸部と、
前記長溝の前記山部に前記突起部が突出形成されるように配置された前記スライド型と、
を備える請求項1記載のアームヘッドの製造装置。
【請求項3】
前記アームヘッドの上面と裏面とを貫通しピボットシャフトの一端が挿通固定される固定孔の貫通方向に型割りされた前記第1分割型及び前記第2分割型と、
前記第1分割型及び前記第2分割型の型割り方向と異なる方向に進入後退して前記アームヘッドの裏面側に開口する凹設溝を形成する前記スライド型と、
を備える請求項1又は請求項2記載のアームヘッドの製造装置。
【請求項4】
ピボットシャフトの一端が挿通固定される固定孔を有するアームヘッドと前記アームヘッドに対して払拭面方向に回動可能に軸支されたリテーナとを備えたワイパアームと、
前記ワイパアームの先端に取付けられ払拭面を払拭するワイパブレードと、
前記ワイパアーム又は前記ワイパブレードに設けられ、洗浄液を払拭面に噴出するウォッシャノズルと、
前記アームヘッドと前記リテーナとに沿って配索されると共に前記ウォッシャノズルに接続され洗浄液を配送する配管ホースと、
前記アームヘッドの裏面側かつ前記アームヘッドの長手方向に沿って形成され前記配管ホースが嵌め込まれて保持される長溝と、
前記長溝の少なくとも一部において、前記長溝の深さ方向と異なり、かつ、前記アームヘッドの裏面に対して斜め方向に凹設された凹設溝と、
前記凹設溝の前記アームヘッドの裏面側に形成され庇状に突出した突起部と、
を備えたワイパ装置。
【請求項5】
山部と谷部が交互に連続し全体として波状に屈曲して設けられた前記長溝と、
前記長溝の前記山部に設けられ、かつ溝幅方向に突出した前記突起部と、
を備えた請求項4記載のワイパ装置。
【請求項6】
前記アームヘッドの裏面側にのみ開口形成された前記長溝と、
前記アームヘッドの側面の基端側に開口形成され、前記配管ホースを前記長溝内に導入する導入部と、
を備えた請求項4又は請求項5記載のワイパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−28188(P2013−28188A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163468(P2011−163468)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】