説明

イオン性化合物、及びその製造方法

【課題】 アニオン部位の原料とカチオン部位の原料を効率よく使用でき、かつアニオン部位の原料とカチオン部位の原料の反応速度の制御が可能なイオン性化合物の製造方法により、高純度のイオン性化合物を提供することを目的とする。
【解決手段】 特定のペルフルオロアルキルスルホン酸エステルまたはN−アルキルペルフルオロアルキルスルホニルイミドであるアニオンと、特定のアミンであるカチオンとからなるイオン性化合物であって、原料のアニオンと、原料のカチオンと、をマイクロリアクタにより形成された反応流路で連続的に接触させて製造され、原料のアニオンの含有量:A(ppm)と原料のカチオンの含有量:B(ppm)との和:(A+B)が、500(ppm)以下であることを特徴とする、イオン性化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質、潤滑剤等に有用なイオン性化合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン性化合物の合成方法としては、(1)目的のイオン性化合物のカチオンCを含むハロゲン化物CXと、カチオンCと組み合わせるアニオンAを含む塩MAとを反応させ、下記反応式:
CX+MA → CA+MX
により、イオン性化合物CAを得る、いわゆる複分解によるイオン交換法(特許文献1)と、(2)第1級〜第3級のアミンをスルホン酸エステル、N−アルキルスルホニルイミド等によりアルキル化する方法(特許文献2)等が知られている。
【0003】
(2)のアルキル化する方法では、N−エチルビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド((CSONC):85.6mmolと、メチルイミダゾール:90.2mmolからイオン性化合物1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドを収率:99%で得ている。下記反応式:
【0004】
【化1】

【0005】
(式中、Etはエチル基である)から分かるように、本方法は、特許文献1の上記反応式のMXのような副生成物を除去する工程が必要でない点において優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−104846号公報
【特許文献2】特開2010−159242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(1)イオン交換法では、イオン性化合物CAが未反応の塩MAまたは副生成物の塩MXを溶解するため、イオン性化合物CAから塩MAまたは塩MXを十分に除去することが難しく、イオン性化合物CAを高純度・高収率で得ることが難しい、という問題がある。
【0008】
(2)の第3級アミンをアルキル化する方法では、イオン性化合物の合成に、フラスコ等の反応容器を使用しており、アニオン部位の原料と、カチオン部位の原料が、等モルで反応が完結すると、原料が残存せず、副次的な生成物も生じないので、その後の除去工程が不要になる。しかし、アニオン部位の原料と、カチオン部位の原料とを等モルで反応させると、反応が完結する前に原料濃度が低くなり、反応が進行しにくくなる。しかも、本反応においては、生成物の粘性が高いために効率よく混合することが困難となり、反応が完結するまでの時間が極端に長くなってしまう。一方、生成物の粘性を下げて混合を良くするために、反応温度を上げる方法があるが、反応温度を40℃以上に上げた場合、微量の不純物が生成し、その影響により生成物が着色し、純度が低下してしまう問題がある。また、アニオン部位の原料が、ペルフルオロアルキルスルホン酸エステルまたはN−アルキルペルフルオロアルキルスルホニルイミド化合物である場合、水分によって加水分解しやすく、強酸であるペルフルオロアルキルスルホン酸またはN−アルキルペルフルオロアルキルスルホニルイミド酸になり、保存容器の腐食が著しいため、保存容器に使用できる材料が限定される。さらに、原料であるアミンがイオン性化合物に残存した場合、空気中の酸素によって、原料であるアミンが酸化され、着色の原因となる。よって、イオン性化合物中には、原料成分が極力残存しないことが重要である。
【0009】
また、第1級〜第3級のアミンをアルキル化する反応は、発熱が大きいため、反応温度の制御が難しく、スケールアップによって純度の低下や着色が強くなる傾向が見られる、という欠点がある。
【0010】
上記のように、(2)のアルキル化する方法でスケールアップを行うと、再現性に乏しく、スケールアップの度に製造工程の改良が必要であった。
【0011】
本発明は、上記の問題や欠点を解決することを課題とし、アニオン部位の原料とカチオン部位の原料を効率よく使用でき、かつアニオン部位の原料とカチオン部位の原料の反応速度の制御が可能なイオン性化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下に示す構成によって上記課題を解決するイオン性化合物の製造方法に関する。
〔1〕一般式(1):
RfSO (1)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である)、または一般式(2):
(RfSO (2)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である)で表されるアニオンと、
一般式(3):
(3)
(式中、Rは、水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、RおよびRは、互いに独立して、水素もしくは炭素数1〜8のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基であるか、またはRおよびRは、炭素数1〜8のアルキル基であって、互いに結合して脂環式構造を形成してもよい)、あるいは一般式(4):
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、水素または炭素数1〜2のアルキル基である)、あるいは一般式(5):
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基である)で表されるカチオンと
からなるイオン性化合物であって、
一般式(6):
RfSO−R (6)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である)で表されるペルフルオロアルキルスルホン酸エステル、または一般式(7):
(RfSON−R10 (7)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、R10は、炭素数1〜4のアルキル基である)で表されるN−アルキルペルフルオロアルキルスルホニルイミドと、
一般式(8)〜(10):
N (8)
【0017】
【化4】

【0018】
【化5】

【0019】
(式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、RおよびRは、互いに独立して、水素もしくは炭素数1〜8のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基であるか、またはRおよびRは、炭素数1〜8のアルキル基であって、互いに結合して脂環式構造を形成してもよい。Rは、水素または炭素数1〜2のアルキル基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基である)で表される何れかのアミンと、
をマイクロリアクタにより形成された反応流路で連続的に接触させて製造され、
一般式(6)で表されるペルフルオロアルキルスルホン酸エステルまたは一般式(7)で表されるN−アルキルペルフルオロアルキルスルホニルイミドの含有量:A(ppm)と一般式(8)〜(10)で表される何れかのアミンの含有量:B(ppm)との和:(A+B)が、500(ppm)以下であることを特徴とする、イオン性化合物。
〔2〕ペルフルオロアルキルスルホン酸エステルが、トリフルオロメタンスルホン酸メチルまたはトリフルオロメタンスルホン酸エチルであることを特徴とする、上記〔1〕に記載のイオン性化合物。
〔3〕N−アルキルペルフルオロアルキルスルホニルイミドが、N−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドまたはN−エチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドであることを特徴とする、上記〔1〕に記載のイオン性化合物。
〔4〕一般式(1):
RfSO (1)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である)、または一般式(2):
(RfSO (2)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である)で表されるアニオンと、
一般式(3):
(3)
(式中、Rは、水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、RおよびRは、互いに独立して、水素もしくは炭素数1〜8のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基であるか、またはRおよびRは、炭素数1〜8のアルキル基であって、互いに結合して脂環式構造を形成してもよい)、あるいは一般式(4):
【0020】
【化6】

【0021】
(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、水素または炭素数1〜2のアルキル基である)、あるいは一般式(5):
【0022】
【化7】

【0023】
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基である)で表されるカチオンと
からなるイオン性化合物の製造方法であって、
一般式(6):
RfSO−R (6)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である)で表されるペルフルオロアルキルスルホン酸エステル、または一般式(7):
(RfSON−R10 (7)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、R10は、炭素数1〜4のアルキル基である)で表されるN−アルキルペルフルオロアルキルスルホニルイミドと、
一般式(8)〜(10):
N (8)
【0024】
【化8】

【0025】
【化9】

【0026】
(式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、RおよびRは、互いに独立して、水素もしくは炭素数1〜8のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基であるか、またはRおよびRは、炭素数1〜8のアルキル基であって、互いに結合して脂環式構造を形成してもよい。Rは、水素または炭素数1〜2のアルキル基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基である)で表される何れかのアミンと、
をマイクロリアクタにより形成された反応流路で連続的に接触させて反応させることを特徴とする、イオン性化合物の製造方法。
〔5〕ペルフルオロアルキルスルホン酸エステルが、トリフルオロメタンスルホン酸メチルまたはトリフルオロメタンスルホン酸エチルであることを特徴とする、上記〔4〕に記載のイオン性化合物の製造方法。
〔6〕N−アルキルペルフルオロアルキルスルホニルイミドが、N−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドまたはN−エチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドであることを特徴とする、上記〔4〕に記載のイオン性化合物の製造方法。
【0027】
本発明〔1〕によれば、アニオン部位の原料とカチオン部位の原料のいずれかを過剰に添加にすることなく、反応速度を制御しながら、イオン性化合物を製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】マイクロリアクタの構造の一例の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。なお、%は特に示さない限り、また数値固有の場合を除いてモル%である。
【0030】
本発明のイオン性化合物の製造方法は、特定のアニオン部位の原料と、特定のカチオン部位の原料とを、マイクロリアクタにより形成された反応流路で連続的に接触させて反応させることを特徴とする。ここで、イオン性化合物とは、カチオンおよびアニオンにより構成される化合物をいう。イオン性化合物は、一般に、イオン伝導性や不揮発性、難燃性、熱的安定性等に優れた性能を有することから、電解質、潤滑剤、分離・抽出溶媒等の各種溶媒等として好適に用いられている。
【0031】
マイクロリアクタは、流路幅が数μm〜1mm程度のオーダーである複数の微細流路と微少空間(反応流路)を有し、この複数の微細流路に導かれた各流体を微少空間で合流させ、複数種類の流体を微少空間で互いに接触させることで化学反応を生起するものである。このマイクロリアクタを用いることにより、アニオン部位の原料と、カチオン部位の原料とを、反応に必要なモル比で、すなわち原料のいずれか一方を過剰に添加しなくても、効率よく反応させることができる。また、原料が高粘度であっても、高粘度の影響を受けることなく効率よく反応させることができる。なお、一般に、基本的な構造が共通していてその用途が混合である場合に、マイクロミキサという場合があるが、本発明では、マイクロミキサもマイクロリアクタの一部として扱う。
【0032】
図1に、マイクロリアクタの構造の一例の概念図を示す。この概念図は、Y字型マイクロリアクタの例である。図1では、微細流路2と微細流路3とが、反応流路4に接続されている。使用方法の例としては、微細流路2からアニオン部位の原料を、微細流路3からカチオン部位の原料を投入し、反応流路4でアニオン部位の原料とカチオン部位の原料を反応させ、イオン性化合物を製造することができる。マイクロリアクタは、従来のガラス容器等の中で液体を撹拌する方式と比べ、液体を素早く均質に混合できるため、少量の原料を高効率・低コストで反応を行うことができる。さらに、原料の供給速度や反応温度を制御することにより、反応速度の精密な制御が可能となる。また、マイクロリアクタの数を増加させることにより、スケールアップのための実証試験を行うことなく、グラムスケールからトンスケールまで任意の規模でのスケールアップを即時実施することができる。なお、マイクロリアクタは、閉じられた空間で原料を反応させることができるため、反応中の酸素等の不純物によるコンタミネーションを防ぐことができ、原料の酸化等の劣化を抑制することができる。
【0033】
イオン性化合物を製造するときのアニオン部位の原料とカチオン部位の反応は、一般的に発熱反応であり、反応温度の制御を行わないと、反応温度が上昇しすぎて、製造したイオン性化合物が分解してしまう、というおそれがある。イオン性化合物を製造するときの発熱量が大きい理由としては、アルキル化反応による発熱が挙げられ、したがって、アルキル化反応の場合に、マイクロリアクタは特に適している。ここで、マイクロリアクタが、加熱または冷却による温度制御が可能であると、反応速度の精密な制御ができるため、好ましい。加熱又は冷却する方法としては、ペルチェ素子による温度制御等が挙げられる。
【0034】
イオン性化合物を製造するときのアニオン部位の原料は、一般式(6):
RfSO−R (6)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である)で表されるペルフルオロアルキルスルホン酸エステル、または一般式(7):
(RfSON−R10 (7)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、R10は、炭素数1〜4のアルキル基である)で表されるN−アルキルペルフルオロアルキルスルホニルイミドである。アニオン部位の原料としては、CFSOCH、CFSO、CSOCH、CSO、CSOCH、CSO、(CFSONCH、(CFSONC、(CSONCH、(CSONCが、合成が容易であり好ましい。
【0035】
一方、イオン性化合物を製造するときのカチオン部位の原料は、一般式(8)〜(10):
N (8)
【0036】
【化10】

【0037】
【化11】

【0038】
(式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、RおよびRは、互いに独立して、水素もしくは炭素数1〜8のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基であるか、またはRおよびRは、炭素数1〜8のアルキル基であって、互いに結合して脂環式構造を形成してもよい。Rは、水素または炭素数1〜2のアルキル基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基である)で表される何れかのアミンであり、いずれの原料も入手が容易である。
【0039】
上記の製造方法によるイオン性化合物は、一般式(1):
RfSO (1)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である)、または一般式(2):
(RfSO (2)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である)で表されるアニオンと、
一般式(3):
(3)
(式中、Rは、水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、RおよびRは、互いに独立して、水素もしくは炭素数1〜8のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基であるか、またはRおよびRは、炭素数1〜8のアルキル基であって、互いに結合して脂環式構造を形成してもよい)、あるいは一般式(4):
【0040】
【化15】

【0041】
(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、水素または炭素数1〜2のアルキル基である)、あるいは一般式(5):
【0042】
【化16】

【0043】
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基である)で表されるカチオンと
からなるイオン性化合物であって、
一般式(6)で表されるペルフルオロアルキルスルホン酸エステルまたは一般式(7)で表されるN−アルキルペルフルオロアルキルスルホニルイミドの含有量:A(ppm)と一般式(8)〜(10)で表される何れかのアミンの含有量:B(ppm)との和:(A+B)が、500(ppm)以下であることを特徴とする。この(A+B)が、500ppmを超えると、保存容器の腐食が著しくなるため、保存容器に使用できる材料が限定されてしまう。
【0044】
イオン性化合物は、第1級〜第3級のアミンであるとコストの観点から好ましく、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキルイミダゾ−ル、アルキルピリジン、アルキルピロリジンであると、より好ましく、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキルイミダゾ−ル、アルキルピロリジンのアルキル基の炭素数が1〜6であると、さらに好ましい。また、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキルイミダゾ−ル、アルキルピロリジンのアルキル基は、炭素数が1〜3のアルコキシ基を含むと、製品の融点が下がり、取扱いの観点から好ましい。
【0045】
ここで、イオン性化合物の融点が、100℃以下であると、反応後のイオン性化合物をマイクロリアクタから回収しやすく、好ましい。イオン性化合物の融点の下限は特にないが、融点が低いと、冷却流路内での固化による閉塞が防げるため好ましい。
【0046】
以上のように、特定のアニオン部位の原料と、特定のカチオン部位の原料を効率よく使用でき、かつアニオン部位の原料とカチオン部位の原料との反応速度の制御が可能なイオン性化合物の製造方法により、高純度のイオン性化合物を提供することが可能となる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】
マイクロリアクタには、ワイエムシィ製マイクロリアクタシステム(製品名:KeyChem−L)を使用した。反応流路のミキサにはデネブ(Helix型)を、滞留ユニットにはSUS製で容量:4.5mL(L:リットル(dm))のものを用い、ミキサと滞留ユニットを連結した。反応系温度は25℃で、シリンジサイズは25mLのものを使用した。
【0049】
〔実施例1:1−メチル−1−メトキシエチルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩の合成〕
シリンジポンプで、カチオン部位の原料としてメトキシエチルピロリジンを646μL/minの流速で、アニオン部位の原料としてN−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド((CFSONCH)を777μL/minの流速で、反応流路内に同時に流入した(メトキシエチルピロリジンとN−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのモル比は、1.0:1.0;滞留時間:0.02分)。流入後、反応流路出口より出てきた液体は、反応流路入り口の温度と同じであり、出てきた液体を約3分間採取したところ、高粘性の液体が約3cm得られた。NMRによる分析により、得られた液体は、1−メチル−1−メトキシエチルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩(融点:−50℃以下)であることを確認した。得られた生成物をNMRにより分析したところ、原料であるメトキシエチルピロリジンとN−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、それぞれ、50ppm、110ppmであった。生成物を、更に4時間静置後、NMRにより分析した。メトキシエチルピロリジンとN−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、それぞれ、50ppm、110ppmであり、変化しなかった。また、得られた液体は淡黄色であった。更に、反応により得られる生成物を50gビーカーにサンプリングし、研磨したSUS304のテストピース(20mm×20mm×2mm)を得られた液体内に浸し1ヶ月放置したところ、テストピースの光沢に変化はなく、重量損失は確認されなかった。
【0050】
〔実施例2:1−メチル−1−メトキシエチルピロリジニウム・ペンタフルオロエタンスルホン酸塩の合成〕
シリンジポンプで、カチオン部位の原料としてメトキシエチルピロリジンを646μL/minの流速で、アニオン部位の原料としてペンタフルオロエタンスルホン酸メチル(CSOCH)を614μL/minの流速で、反応流路内に同時に流入した(メトキシエチルピロリジンとペンタフルオロエタンスルホニルメチルエステルのモル比は、1.0:1.0;滞留時間:0.03分)。流入後、反応流路出口より出てきた液体は、反応流路入り口の温度と同じであり、出てきた液体を約3分間サンプリングしたところ、粘性の液体が約3cm得られた。NMRによる分析により、得られた液体は、1−メチル−1−メトキシエチルピロリジニウム・ペンタフルオロエタンスルホン酸塩(融点:−50℃以下)である事を確認した。得られた生成物をNMRにより分析したところ、原料であるメトキシエチルピロリジンとペンタフルオロエタンスルホニルメチルエステルはそれぞれ、50ppm、80ppmであった。生成物を、更に4時間静置後、NMRにより分析した。メトキシエチルピロリジンとペンタフルオロエタンスルホニルメチルエステルは、それぞれ、50ppm、80ppmであり、変化しなかった。また、得られた液体は淡黄色であった。
【0051】
〔実施例3:1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・ノナフルオロブタンスルホン酸塩の合成〕
シリンジポンプで、カチオン部位の原料としてブチルイミダゾールを640μL/minの流速で、アニオン部位の原料としてノナフルオロブタンスルホン酸メチル(CSOCH)を487μL/minの流速で、反応流路内に同時に流入した(ブチルイミダゾールとノナフルオロブタンスルホン酸メチルのモル比は、1.0:1.0;滞留時間:0.03分)。流入後、反応流路出口より出てきた液体は、反応流路入り口の温度と同じであり、出てきた液体を約3分間サンプリングしたところ、粘性の液体が約3cm得られた。NMRによる分析により、得られた液体は、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・ノナフルオロブタンスルホン酸塩(融点:19℃)である事を確認した。得られた生成物をNMRにより分析したところ、原料であるブチルイミダゾールとノナフルオロブタンスルホン酸メチルは、それぞれ、50ppm、140ppmであった。生成物を、更に4時間静置後、NMRにより分析した。ブチルイミダゾールとノナフルオロブタンスルホン酸メチルはそれぞれ、50ppm、140ppmであり、変化しなかった。また、得られた液体は淡黄色であった。
【0052】
〔実施例4:1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド塩の合成〕
シリンジポンプで、カチオン部位の原料としてメチルイミダゾールを640μL/minの流速で、アニオン部位の原料としてN−エチルビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド((CSO)NCH)を160μL/minの流速で、反応流路内に同時に流入した(メチルイミダゾールとN−エチルビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドのモル比は、1.0:1.0;滞留時間:0.05分)。流入後、反応流路出口より出てきた液体は、反応流路入り口の温度と同じであり、出てきた液体を約5分間サンプリングしたところ、粘性の液体が約3cm得られた。NMRによる分析により、得られた液体は、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド塩(融点:28℃)である事を確認した。得られた生成物をNMRにより分析したところ、原料であるメチルイミダゾールとN−エチルビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドは、それぞれ、20ppm、140ppmであった。生成物を、更に4時間静置後、NMRにより分析した。メチルイミダゾールとN−エチルビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドは、それぞれ、20ppm、140ppmであり、変化しなかった。また、得られた液体は淡黄色であった。
【0053】
〔実施例5:1−エチルピリジニウム・トリフルオロメタンスルホン酸塩の合成〕
シリンジポンプで、カチオン部位の原料としてピリジンを640μL/minの流速で、アニオン部位の原料としてトリフルオロメタンスルホン酸エチル(CFSO)を285μL/minの流速で、反応流路内に同時に流入した(ピリジンとトリフルオロメタンスルホン酸エチルのモル比は、1.0:1.0;滞留時間:0.03分)。流入後、反応流路出口より出てきた液体は、反応流路入り口の温度と同じであり、出てきた液体を約3分間サンプリングしたところ、粘性の液体が約3cm得られた。NMRによる分析により、得られた液体は、1−エチルピリジニウム・トリフルオロメタンスルホン酸塩(融点:34℃)である事を確認した。得られた生成物をNMRにより分析したところ、原料であるピリジンとトリフルオロメタンスルホン酸エチルは、それぞれ、50ppm、80ppmであった。生成物を、更に4時間静置後、NMRにより分析した。ピリジンとトリフルオロメタンスルホン酸エチルは、それぞれ、50ppm、80ppmであり、変化しなかった。また、得られた液体は淡黄色であった。
【0054】
〔実施例6:トリブチルメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩の合成〕
シリンジポンプで、カチオン部位の原料としてトリブチルアミンを640μL/minの流速で、アニオン部位の原料としてN−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド((CFSONCH)を480μL/minの流速で、反応流路内に同時に流入した(トリブチルアミンとN−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのモル比は、1.0:1.0;滞留時間:0.03分)。流入後、反応流路出口より出てきた液体は、反応流路入り口の温度と同じであり、出てきた液体を約3分間サンプリングしたところ、粘性の液体が約3cm得られた。NMRによる分析により、得られた液体は、トリブチルメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩(融点:26℃)である事を確認した。得られた生成物をNMRにより分析したところ、原料であるトリブチルアミンとN−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、それぞれ、50ppm、140ppmであった。生成物を、更に4時間静置後、NMRにより分析した。トリブチルアミンとN−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、それぞれ、50ppm、140ppmであり、変化しなかった。また、得られた液体は淡黄色であった。
【0055】
〔比較例1:1−メチル−1−メトキシエチルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩の合成〕
実施例1に倣い、N−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに対するメトキシエチルピロリジンの添加量を、モル比で1.00倍にし、同様の実験を行った。24時間撹拌の後、得られた生成物をNMRにより分析したところ、原料であるメトキシエチルピロリジンは500ppm、N−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは1140ppm残存していた。72時間撹拌の後、得られた生成物をNMRにより分析したところ、原料であるメトキシエチルピロリジンは300ppm、N−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは690ppm残存していた。また、得られた液体は褐色を呈していた。反応により得られた生成物50gをビーカーに移し、研磨したSUS304のテストピース(20mm×20mm×2mm)を生成物内に浸し1ヶ月放置したところ、テストピースの光沢が失われ、重量損失は7.2g/m・dayであった。
【0056】
〔比較例2:1−メチル−1−メトキシエチルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩の合成〕
撹拌子、温度計を附したガラス容器内に、アニオン部位の原料としてN−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド((CFSONCH)448.7g(1.52mol)を入れ、滴下ロートを使用して、カチオン部位の原料としてメトキシエチルピロリジンを滴下した。滴下と共に激しい発熱があり、氷浴にて40℃以下になるよう冷却しながら反応を行った。滴下に約2時間要した。19F NMRによる分析では、N−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを完全に反応させるまでに、メトキシエチルピロリジンを200.4g(1.55mol)必要とした。なお、N−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに対するメトキシエチルピロリジンの添加量は、モル比で1.02倍であった。滴下後の反応溶液をNMRにより分析したところ、得られた液体は、1−メチル−1−メトキシエチルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩であることを確認した。24時間撹拌の後、得られた生成物をNMRにより分析したところ、原料であるメトキシエチルピロリジンは2200ppm、N−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは460ppm残存していた。72時間撹拌の後、得られた生成物をNMRにより分析したところ、原料であるメトキシエチルピロリジンは2050ppm、N−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは110ppm残存していた。また、得られた液体は褐色を呈していた。
【0057】
〔比較例3:1−メチル−1−メトキシエチルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩の合成〕
比較例1に倣い、N−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに対するメトキシエチルピロリジンの添加量を、モル比で0.98倍にし、同様の実験を行った。24時間撹拌の後、得られた生成物をNMRにより分析したところ、原料であるメトキシエチルピロリジンは200ppmとN−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは2460ppm残存していた。72時間撹拌の後、得られた生成物をNMRにより分析したところ、原料であるメトキシエチルピロリジンは110ppmとN−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは2050ppm残存していた。また、得られた液体は褐色を呈していた。
【0058】
〔比較例4:1−エチルピリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩の合成〕
比較例1に倣い、N−エチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに対するピリジンの添加量を、モル比で1.00倍にし、同様の実験を行った。24時間撹拌の後、得られた生成物をNMRにより分析したところ、原料であるピリジンは750ppm、N−エチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは1790ppm残存していた。72時間撹拌の後、得られた生成物をNMRにより分析したところ、原料であるピリジンは300ppm、N−エチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは720ppm残存していた。また、得られた液体は褐色を呈していた。
【0059】
表1に、実施例1〜4、比較例1〜4の結果を示す。表1で、Meはメチル基を、Etはエチル基を示す。
【0060】
【表1】

【0061】
上記のように、マイクロリアクタを使用した実施例1〜6では、アニオン部位の原料とカチオン部位の原料を効率よく使用でき、激しい発熱を伴うことなく、反応を制御しながら短時間で高純度のイオン性化合物を製造することができた。また、実施例1のように、得られたイオン性化合物を用いてSUS304の耐食性試験を行ったが、重量損失は確認されなかった。これに対して、マイクロリアクタを使用しなかった比較例1〜4では、原料が過剰に残存し、アニオン部位、カチオン部位の残存量を合計すると、990ppm以上であった。また、反応時の発熱が激しかったため、マイクロリアクタを使用して得られた実施例1〜6のイオン性化合物に比べ、濃い褐色を呈していた。比較例1で得られたイオン性化合物を用い、SUS304の耐食性試験を行った結果、重量損失が認められ、SUS304への腐食性を確認した。
【0062】
このように、本発明は、アニオン部位の原料とカチオン部位の原料を効率よく使用でき、かつアニオン部位の原料とカチオン部位の原料の反応速度の制御が可能なイオン性化合物及びその製造方法を提供することができる。本発明で製造されるイオン性化合物は、電解質、潤滑剤等に、非常に有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 マイクロリアクタ
2、3 微細流路
4 反応流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
RfSO (1)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である)、または一般式(2):
(RfSO (2)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である)で表されるアニオンと、
一般式(3):
(3)
(式中、Rは、水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、RおよびRは、互いに独立して、水素もしくは炭素数1〜8のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基であるか、またはRおよびRは、炭素数1〜8のアルキル基であって、互いに結合して脂環式構造を形成してもよい)、あるいは一般式(4):
【化17】

(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、水素または炭素数1〜2のアルキル基である)、あるいは一般式(5):
【化18】

(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基である)で表されるカチオンと
からなるイオン性化合物であって、
一般式(6):
RfSO−R (6)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である)で表されるペルフルオロアルキルスルホン酸エステル、または一般式(7):
(RfSON−R10 (7)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、R10は、炭素数1〜4のアルキル基である)で表されるN−アルキルペルフルオロアルキルスルホニルイミドと、
一般式(8)〜(10):
N (8)
【化19】

【化20】

(式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、RおよびRは、互いに独立して、水素もしくは炭素数1〜8のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基であるか、またはRおよびRは、炭素数1〜8のアルキル基であって、互いに結合して脂環式構造を形成してもよい。Rは、水素または炭素数1〜2のアルキル基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基である)で表される何れかのアミンと、
をマイクロリアクタにより形成された反応流路で連続的に接触させて製造され、
一般式(6)で表されるペルフルオロアルキルスルホン酸エステルまたは一般式(7)で表されるN−アルキルペルフルオロアルキルスルホニルイミドの含有量:A(ppm)と一般式(8)〜(10)で表される何れかのアミンの含有量:B(ppm)との和:(A+B)が、500(ppm)以下であることを特徴とする、イオン性化合物。
【請求項2】
ペルフルオロアルキルスルホン酸エステルが、トリフルオロメタンスルホン酸メチルまたはトリフルオロメタンスルホン酸エチルであることを特徴とする、請求項1に記載のイオン性化合物。
【請求項3】
N−アルキルペルフルオロアルキルスルホニルイミドが、N−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドまたはN−エチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のイオン性化合物。
【請求項4】
一般式(1):
RfSO (1)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である)、または一般式(2):
(RfSO (2)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である)で表されるアニオンと、
一般式(3):
(3)
(式中、Rは、水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、RおよびRは、互いに独立して、水素もしくは炭素数1〜8のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基であるか、またはRおよびRは、炭素数1〜8のアルキル基であって、互いに結合して脂環式構造を形成してもよい)、あるいは一般式(4):
【化21】

(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、水素または炭素数1〜2のアルキル基である)、あるいは一般式(5):
【化22】

(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基である)で表されるカチオンと
からなるイオン性化合物の製造方法であって、
一般式(6):
RfSO−R (6)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である)で表されるペルフルオロアルキルスルホン酸エステル、または一般式(7):
(RfSON−R10 (7)
(式中、Rfは、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、R10は、炭素数1〜4のアルキル基である)で表されるN−アルキルペルフルオロアルキルスルホニルイミドと、
一般式(8)〜(10):
N (8)
【化23】

【化24】

(式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、RおよびRは、互いに独立して、水素もしくは炭素数1〜8のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基であるか、またはRおよびRは、炭素数1〜8のアルキル基であって、互いに結合して脂環式構造を形成してもよい。Rは、水素または炭素数1〜2のアルキル基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシアルキル基である)で表される何れかのアミンと、
をマイクロリアクタにより形成された反応流路で連続的に接触させて反応させることを特徴とする、イオン性化合物の製造方法。
【請求項5】
ペルフルオロアルキルスルホン酸エステルが、トリフルオロメタンスルホン酸メチルまたはトリフルオロメタンスルホン酸エチルであることを特徴とする、請求項4に記載のイオン性化合物の製造方法。
【請求項6】
N−アルキルペルフルオロアルキルスルホニルイミドが、N−メチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドまたはN−エチルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドであることを特徴とする、請求項4に記載のイオン性化合物の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−75896(P2013−75896A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−203667(P2012−203667)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【出願人】(597065282)三菱マテリアル電子化成株式会社 (151)
【Fターム(参考)】