説明

インクジェット塗布装置及びインクジェットヘッドのクリーニング方法

【課題】 インクジェットヘッドの吐出面に付着した溶液の除去性能を向上させて、溶液の吐出を安定させること。
【解決手段】 基板Wに溶液をインクジェット方式によって噴射塗布する複数のノズル14を有するヘッド7を備えたインクジェット塗布装置10において、複数のノズル14が開口するヘッド7の吐出面5に沿う清掃方向に対して傾斜配置された弾性ブレード30と、ヘッド7と弾性ブレード30のいずれか一方を他方に対して清掃方向に移動させる移動装置31と、弾性ブレード30を洗浄する洗浄装置32を有するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に溶液をインクジェット方式によって噴射塗布するインクジェットヘッド塗布装置及びインクジェットヘッドを清掃するインクジェットヘッドのクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に液晶表示装置や半導体装置の製造工程においては、ガラス基板や半導体ウエハなどの基板に回路パターンを形成するための成膜プロセスがある。この成膜プロセスでは、基板の板面に例えば配向膜やレジストなどの機能性薄膜が形成される。
【0003】
基板に機能性薄膜を形成する場合、この機能性薄膜を形成する溶液をノズルから噴射して基板の板面に塗布するインクジェット方式の塗布装置が用いられることがある。
【0004】
特許文献1には、インクジェットヘッド方式で溶液を基板上に噴射塗布するヘッドを備えた塗布装置が開示されている。ヘッドはヘッド本体を備え、ヘッド本体の下面開口は可撓板によって閉塞され、可撓板はノズルプレートによって覆われ、ノズルプレートと可撓板との間に液室が形成されている。ノズルプレートには、基板の移動方向に直交する方向に沿って複数のノズルが穿設されている。ノズルから溶液が、搬送される基板の上面に噴射塗布される。
【0005】
そして、特許文献1の図5には、ゴム等の弾性材からなるブレード状のワイピング部材をノズルプレートの吐出面に接触させ、その状態でワイピング部材を移動させて、ノズルプレートの吐出面に付着した溶液を除去するものが示されている。
【特許文献1】特開2004-223394
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の図5に示すものは、平板状の弾性ブレードからなるワイピング部材を、ワイピング部材の移動方向に対して直角に交差する方向に配置している。その結果、ワイピング部材の前進時には、ヘッドの吐出面に付着した溶液は、横方向へはあまり流れないで、前方に押し出される。ヘッドの吐出面に付着した溶液を専ら前方に押し出すことにより、ワイピング部材の先端部が挫屈して、ヘッドの吐出面とワイピング部材の接触状態が変化することがある。その結果、溶液が完全に拭き取れずに僅かに吐出面に残る場合がある。この拭き取った溶液が時間の経過に伴い、ノズルプレートの吐出面で固着状態となる。このように、僅かに残った溶液の固着現象の繰り返しにより、固着した溶液の堆積が進行するとヘッドの吐出面を清浄に拭き取ることができなくなり、ノズルが目詰まりして溶液の塗布抜け等が発生し、溶液の吐出が安定しなくなる。
【0007】
本発明の課題は、インクジェットヘッドの吐出面に付着した溶液の除去性能を向上させて、溶液の吐出を安定させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、基板に溶液をインクジェット方式によって噴射塗布する複数のノズルを有するヘッドを備えたインクジェット塗布装置において、前記複数のノズルが開口する前記ヘッドの吐出面に沿う清掃方向に対して傾斜配置された弾性ブレードと、該ヘッドと該弾性ブレードのいずれか一方を他方に対して前記清掃方向に移動させる移動装置と、該弾性ブレードを洗浄する洗浄装置を有するものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、ヘッドの清掃方向に直交する回転軸を中心に弾性ブレードを間欠回転する間欠回転機構を有し、間欠回転機構は弾性ブレードをヘッドの吐出面側と対向する第1の位置から洗浄装置と対向する第2の位置に移動させるものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の発明において更に、洗浄装置は間欠回転機構の回転軸の下方に溶剤を貯溜した洗浄槽を有し、弾性ブレードは間欠回転機構の第2の位置で洗浄槽に浸漬されるものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3の発明において更に、前記間欠回転機構は前記弾性ブレードを前記第2の位置と前記第1の位置との間であって前記弾性ブレートが前記溶剤中から離脱する第3の位置に移動させるものである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において更に、弾性ブレードは、ヘッドの吐出面に溶剤を吐出する吐出孔を有するものである。
【0013】
請求項6の発明は、基板に溶液をインクジェット方式によって噴射塗布する複数のノズルを有するヘッドの吐出面を清掃するインクジェットヘッドのクリーニング方法において、ヘッドの吐出面に沿う清掃方向に対して弾性ブレードを傾斜配置し、弾性ブレードにてヘッドの吐出面を清掃し、吐出面を清掃した弾性ブレードを洗浄装置で洗浄するものである。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6の発明において更に、弾性ブレードを、清掃方向に直交する回転軸を中心に回転させて、ヘッドの吐出面を清掃する第1の位置から洗浄装置で洗浄する第2の位置に移動させるものである。
【0015】
請求項8の発明は、請求項7の発明において更に、前記弾性ブレードが前記回転軸の直下に位置する下限位置にて、該弾性ブレードを前記洗浄装置の洗浄槽内の溶剤にて洗浄し、該下限位置から更に90度回転した位置にて待機させるものである。
【0016】
請求項9の発明は、請求項6〜8のいずれかの発明において更に、弾性ブレードは、ヘッドの吐出面に溶剤を吐出する吐出孔を有し、ヘッドの吐出面に対して溶剤を吐出させながら弾性ブレードによる清掃を行なうものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ヘッドの吐出面に沿う清掃方向に対して弾性ブレードが傾斜配置され、ヘッドと弾性ブレードのいずれか一方を他方に対して清掃方向に移動させるので、弾性ブレードがヘッドの吐出面に沿って移動するに従い、弾性ブレードがヘッドの吐出面に付着した溶液を弾性ブレードの傾斜面に沿って横後方へ押し流す。その結果、従来技術の如く、弾性ブレードの移動方向の前面に溶液が滞留して弾性ブレードが挫屈し、溶液がヘッドの吐出面に残ることを少なくできる。
【0018】
また、弾性ブレードの移動方向前方に位置する前端部から、弾性ブレードの傾斜面に沿って横後方へ溶液を順次押し退けることにより、清掃方向の終端側のヘッドの側面に溶液が付着することを減少できる。
【0019】
また、インクジェットヘッド塗布装置は、インクジェットヘッドの吐出面に付着した溶液を拭き取った弾性ブレードを溶解する洗浄装置を有するので、ヘッドの吐出面を拭き取った後、弾性ブレードに付着した溶液を溶解して除去することができる。その結果、ヘッドを拭き取った後、弾性ブレードには溶液が残っていないので、次回の拭き取り時に、逆に、弾性ブレード自体がヘッドの吐出面に溶液を付着するようなことがない。従って、インクジェットヘッドの吐出面に付着した溶液の拭き取り状態を向上させて、溶液の吐出を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は実施例1のインクジェット塗布装置を示す正面図、図2はインクジェットヘッドの正面の断面図、図3はインクジェットヘッドの下面図、図4は図1の塗布装置の要部の上部を示す模式図、図5は取付ブロックを示し、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A線の断面図、(C)は(A)のB−B線の断面図、図6は弾性ブレードを示し、(A)は弾性ブレードの一部正面図、(B)は(A)のC−C線の断面図、図7は弾性ブレードの取付高さ設定用の治具を示し、(A)は側面図、(B)は取付け状態を示す模式図、図8は洗浄槽の一側面の模式図、図9は間欠回転機構の回転位置を示し、(A)は第1の位置を示す模式図、(B)は第2の位置を示す模式図、(C)は第3の位置を示す模式図、図10はヘッドの吐出面の清掃行程を示す模式図で、(A)は清掃行程の開始段階を示す模式図、(B)は清掃行程の中段階を示す模式図、(C)は清掃行程の終了段階を示す模式図、図11は実施例2を示し、(A)はヘッドの吐出面の清掃を示す模式図、(B)は弾性ブレードの先端面の模式図、図12は実施例3を示す模式図である。
【実施例】
【0021】
(実施例1)
以下、図面を参照しながらこの発明の一実施例を説明する。
図1に示すこの発明の溶液のインクジェット塗布装置10はベ一ス1を有する。べ一ス1の上面には所定間隔で離間した一対のレール2がベ一ス1の長手方向に沿って敷設されている。上記レール2には搬送テーブル3が走行可能に設けられ、不図示の駆動源によって走行駆動されるようになっている。搬送テーブル3の上面には多数の支持ピン4が設けられ、これら支持ピン4には例えば液晶表示装置に用いられるガラス製の基板Wが供給支持される。
【0022】
上記搬送テーブル3とともに駆動される基板Wの上方には、上記基板Wに配向膜やレジストなどの機能性薄膜を形成するための溶液、例えばポリイミド溶液をインクジェット方式で噴射塗布する複数のヘッド7、この実施例では6つのヘッド7が、図1、図4に示すように、基板Wの移動方向(図1、図4の矢印S)に間隔(D)を置いて2列に配設され、各列には、それぞれ3つのヘッド7が基板Wの移動方向Sと直交する方向に沿って、図4に示すように、間隔(P)をおいて配設されている。一方の列のヘッド7は他方の列のヘッド7の中間に位置して、一方の列のヘッド7の端部と隣り合う他方の列のヘッド7の端部は基板Wの移動方向Sから見て、僅かに重なった状態で配置されている。
【0023】
上記ヘッド7は図2に示すようにヘッド本体8を備えている。ヘッド本体8は筒状に形成され、その下面開口は可撓板9によって閉塞されている。この可撓板9はノズルプレート11によって覆われており、このノズルプレート11と上記可撓板9との間に複数の液室12が形成されている。
【0024】
各液室12は、ノズルプレート11内に形成された主管11Aに対し、それぞれ不図示の枝管を介して連通される。主管11Aは、一端が後述する供給孔13に接続され、他端が後述する回収孔17に接続される。これにより、主管11Aは、液室12内を供給孔13から供給される溶液で満たすことができるようになっている。
【0025】
上記ヘッド本体8の長手方向一端部には主管11Aの一端に連通する供給孔13が形成されている。この供給孔13からは例えば配向膜やレジスト等の機能性薄膜を形成する溶液が供給される。それによって、上記液室12内は溶液で満たされるようになっている。
【0026】
図3に示すように、ノズルプレート11には、基板Wの移動方向Sに直交する方向に沿って複数のノズル14からなる2つのノズル列18A、18Bが並列に形成されている。各列18A、18Bのノズル14は互いに等ピッチとなるように、一方の列18Aのノズル14は他方の列18Bのノズル14の中間(ノズル列18A、18Bのノズル14のピッチの半分の位置)に位置している。ノズルプレート11の表面は上記複数のノズル14が開口する平坦な吐出面5を形成している。ヘッド7は吐出面5を下側にして、吐出面5が基板に対して平行となる状態で配設される。上記可撓板9の上面には、図2に示すように上記各ノズル14にそれぞれ対向して複数の圧電素子15が設けられている。
【0027】
また、液室55も、各ノズル56にそれぞれ一対一に対応して設けられる。
【0028】
各圧電素子15は上記ヘッド本体8内に設けられた駆動部16によって駆動電圧が供給される。それによって、圧電素子15は伸縮し、可撓板9を部分的に変形させるから、その圧電素子15に対向位置するノズル14から溶液が搬送される基板Wの上面に噴射塗布される。
【0029】
尚、上述したように、一方の列のヘッド7の端部と他方の列のヘッド7の端部は、移動方向Sから見て互いに重なり合うように配置されている。これにより、移動方向Sから見て隣接して位置するヘッド7間の隣接する各端部に設けられたノズル14間の間隔を各ノズル列18A、18Bにおけるノズル14のピッチの半分と等しくすることができる。従って、6つのヘッド7によって溶液を移動方向Sに直交する方向に沿って直線上に噴射塗布したときに、噴射塗布された溶液によって形成されるドットを、その直線上において等ピッチ(各ノズル列18A、18Bにおけるノズルの半分のピッチ)に配置することができる。
【0030】
図2に示すように、上記ヘッド本体8の長手方向の他端部には上記液室12に連通する回収孔17が形成されている。供給孔13から液室12に供給された溶液は、上記回収孔17から回収することができるようになっている。即ち、上記ヘッド7は上記液室12に供給された溶液をノズル14から噴射させるだけでなく、主管11Aを通じて上記回収孔17から回収することが可能となっている。
【0031】
図1に示すように、搬送テーブル3の移動方向の前面部には、以下に説明するように、上記インクジェットヘッド7の吐出面5に付着した溶液を清掃する弾性ブレード30と、その移動装置31と、弾性ブレード30に付着した溶液を洗浄するための洗浄装置32と、図9に示すように、弾性ブレード30をヘッド7の吐出面5側に対向する位置と洗浄装置32の洗浄槽42に対向する位置に移動させる間欠回転機構33(図4、図8)が設けられる。
【0032】
(移動装置31)
上記搬送テーブル3の前端面には、以下に述べる如く、スライドテーブル36と上下シリンダ40からなる移動装置31が設けられる。
【0033】
図1に示すように、側面形状がL字状の取付部材34が垂直な一辺を上記搬送テーブル3の端面に固定して設けられている。この取付部材34の水平な他辺には2本のスライドガイド35が上記基板Wの移動方向S(ヘッド7の吐出面5の清掃方向)に沿って敷設され、モータ37駆動のスライドテーブル36がスライドガイド35上を左右方向に移動可能に設けられる。尚、スライドガイド35とスライドテーブル36の代わりに、搬送テーブル3を移動させても良い。
【0034】
スライドテーブル36上には上下シリンダ40が設けられ、上下シリンダ40のピストンロッド41の上端部に洗浄槽42が昇降可能に設けられる。洗浄槽42はピストンロッド41の上端部に固定されている。
【0035】
(洗浄装置32)
上下シリンダの上部には、以下に述べる如く、洗浄槽42と、洗浄槽42に回転軸44を介して固定された弾性ブレード30取付用の取付ブロック45と、取付ブロック45をヘッド7の清掃位置と弾性ブレードの洗浄位置に移動させる間欠回転機構33を有してなる洗浄装置32が設けられる。
【0036】
洗浄槽42は、図4に示すように、基板Wの移動方向Sと直交する前後方向に長い箱型の形状をなし、上方を開放している。洗浄槽42の下部には塗布液を溶解する溶媒としての溶剤43が一定の液面レベルで貯溜されている。
【0037】
洗浄槽42の上部には、図4に示すように、2本の回転軸44、44が、その両端部を洗浄槽42の前後両側の側壁部42A(一側のみ示す)に軸受を介して支持されている。2本の回転軸44、44は上記基板Wの移動方向Sに直交し、上記基板Wの移動方向Sに2列に配設されたヘッド7と同一の間隔(D)を置いて設けられている。
【0038】
各回転軸44、44には、図4、図5に示すように、概ね、四角柱体状の3つの取付ブロック45がそれぞれ固定される。取付ブロック45は、図5に示すように、一対のブロック体45A、45Bからなり、それぞれ上記回転軸44、44に嵌合する半円状の嵌合部45C、45Dが長手方向に形成され、一対のブロック体45A、45Bは4つのボルト50にて回転軸44、44上に固定される。3つの取付ブロック45は、図4に示すように、それぞれ上記3つのヘッド7に対応して上記ヘッド7の取付間隔(P)に対応する間隔(P)で固定される。取付ブロック45には弾性ブレード30が取付けられる。
【0039】
図5(C)の側面図に示すように、上側の一方のブロック体45Aは、矢印Sで示す基板の移動方向に面する前面側が削切されて、弾性ブレード30を取付けるための垂直な取付面51が長手方向に沿って形成される。取付面51面は基板Wの移動方向Sに対して傾斜しており、(A)の上面図に示すように、両側の短辺部と交差して、取付面51の一辺51Aが他辺51Bよりも移動方向に長い傾斜面となっている。
【0040】
ブロック体45A、45Bの取付面51には弾性ブレード30が取付けられる。弾性ブレード30は、図5(C)、図6に示すように、金属製の固定板52と、固定板52に一体に成形されたゴム等の弾性部材53からなる。弾性ブレード30は、全体として、幅が長い扁平な形状をしている。弾性部材53は固定板52の両側面に一体に成形された基部53Aと、基部53Aから先端に向かって漸次厚みが小さくなる接続部53Bと、接続部53Bに連設する先端部53Cとからなる。先端部53Cは所定の高さにわたり厚みが一定で、先端面は平坦に形成され、上記ヘッド7の吐出面5に接触する。
【0041】
固定板52の長手方向の両側部に、図6に示すように、高さ方向に長い2つの長孔52Aが形成され、この長孔52Aの周縁部は弾性部材53が成形されないで、固定板52が露出している。図5(A)に示すように、2つの長孔52Aにそれぞれボルト54が挿入され、弾性ブレード30がブロック体45Aの傾斜した取付面51に取付けられる。
【0042】
弾性ブレード30は、基板Wの移動方向Sに対して傾斜して取付ブロック45に取付けられるので、弾性ブレード30は、図10に示すように、上記ヘッド7の吐出面5に対しても基板Wの移動方向Sに対して傾斜した状態となり、弾性ブレード30の移動方向の前面側は移動方向Sに対する傾斜面30Aとなっている。
【0043】
弾性ブレード30を取付ける上記一方のブロック体45Aには、図5(A)に示すように、上記取付面51の反対側面に、長手方向の両側に2つの孔55、55が形成されている。この2つの孔55、55には、図7に示すように、側面形状がL字状の治具57の垂直な一辺に設けた2つのピン60が挿入される。この治具の水平な他辺は弾性ブレード30の取付面51に対する取付高さを設定して、上記ヘッド7の吐出面5に対する弾性ブレード30の接触高さを設定する。
【0044】
尚、図7(B)に示すように、回転軸44、44には回転軸44、44に対する取付ブロック45の位置決め用のピン61が設けられている。このピン61に取付ブロック45に形成された孔62を嵌め込むと、回転軸44、44に対する取付ブロック45の位置が決まり、更に取付ブロック45とヘッド7との相対位置が決まるように、ピンが回転軸44、44に固定されている。
【0045】
(間欠回転機構33)
上記弾性ブレード30を取付けた取付ブロック45は以下に述べる間欠回転機構33により、間欠回転される。
【0046】
図4、図8に示すように、取付ブロック45を固定した回転軸44、44の一側には、それぞれギア63、63が固定され、これらの2つのギア63、63はこれらの2つのギア63、63より小径のアイドルギア64を介して駆動ギア65に連結される。駆動ギア65は不図示のサーボモータの回転軸66に固定されている。サーボモータは回転軸44(以下、一方の回転軸についてのみ説明する)を間欠回転させて、弾性ブレード30を図9(A)に示すように、回転軸44の真上の上限位置(第1の位置)と、第1の位置から時計方向に180度回転した、図9(B)に示すように、回転軸44の真下の下限位置(第2の位置)と、第2の位置から更に時計方向に90度回転した、図9(C)に示すように、第2の位置と第1の位置との間であって弾性ブレード30が溶剤43中から離脱する位置(第3の位置)に停止させる。
【0047】
第1の位置では、弾性ブレード30が上記ヘッド7の吐出面5側に対向する。第2の位置では、弾性ブレード30が洗浄装置32の洗浄槽42と対向して弾性ブレード30の先端部53Cが洗浄槽42内の溶剤43中に浸漬する。弾性ブレード30に付着した溶液は洗浄槽42内に貯溜された溶剤43によって溶解される。この溶解工程においてはヘッド7に付着した溶液の溶解を促進させるために、回転軸44を一定角度揺動させるようにすることもできる。
【0048】
第2の位置から更に90度回転した第3の位置では、間欠回転機構33は一定の時間待機して弾性ブレード30に付着した溶液を乾燥させる。乾燥は自然乾燥でも良いし、エア、窒素ガス等を吹付けて溶剤43の乾燥を促進することも可能である。この第3の位置では、取付ブロック45の取付面51が上方に面し、弾性ブレード30の取付面51は上下方向に傾斜することになる。その結果、弾性ブレード30面上に付着した溶剤43は、図9(C)に示すように、低い方の手前側へ流れる。弾性ブレード30が上下に傾斜しているために溶剤43が流れ易くなり溶剤43の乾燥時間が短縮されるともに、乾燥効率が向上する。
【0049】
ついで、乾燥が終了すると、不図示のサーボモータは回転軸44、44を間欠回転させて、上記第3の位置から第1の位置に回転し、再度弾性ブレード30が上記ヘッド7の吐出面5側に対向する位置に戻る。
【0050】
次に、上記構成のインクジェット塗布装置10によって基板Wに溶液を噴射塗布する前に、ヘッド7の吐出面5の清掃を行なう手順について説明する。
【0051】
図1は、ベース1上に敷設されたレール2の左側の移動端に搬送テーブル3が移動して停止した状態を示す。また、L字状の取付部材34に取付けられた移動装置31のスライドテーブル36は、左端の移動端で停止している。
【0052】
この状態で、弾性ブレード30は、移動方向Sにおいてヘッド7の手前の位置に位置付けられる。
【0053】
この状態から、上記移動装置31のスライドテーブル36上に固定された上下シリンダ40が駆動され、上下シリンダ40のピストンロッド41が伸張して洗浄槽42を上昇させる。洗浄槽42が上昇すると、洗浄槽42に支持されている回転軸44、44と弾性ブレード30の取付ブロック45が一体に上昇する(図1に示す状態)。この状態において、弾性ブレード30の先端面は、後述する清掃工程においてヘッド7の吐出面5に確実に当接することができるように、吐出面5よりも上方に位置される。
【0054】
ついで、L字状の取付部材34上に設けられた移動装置31のモータ37が駆動され、スライドテーブル36がスライドガイド35上を、図1に示す状態から右方向に移動して各ヘッド7の吐出面5を清掃する。弾性ブレード30は基板Wの移動方向(清掃方向)Sに対して傾斜して取付ブロック45に取付けられているので、図10(A)に示すように、清掃行程の開始段階では、基板Wの清掃方向Sに対して傾斜配置された弾性ブレード30の清掃方向の前方に位置する前端部側の部分がヘッド7のノズルプレートの吐出面5に先に接触を開始する。図10(B)に示すように、弾性ブレード30の先端部53Cの先端面がヘッド7の吐出面5に沿って移動し、吐出面5に付着した溶液を拭き取ってヘッド7の吐出面5を清掃する。清掃行程の終了段階では、図10(C)に示すように、弾性ブレード30の後端部側の部分のみがヘッド7の吐出面5に接触している。
【0055】
ついで、清掃行程の終端、即ち、弾性ブレード30がヘッド7の前方に移動して、弾性ブレード30の後端部がヘッド7の吐出面5から離れたところで、スライドテーブル36が移動を停止する。
【0056】
スライドテーブル36が停止すると、上下シリンダ40のピストンロッド41が収縮し、洗浄槽42に回転軸44、44を介して固定されている弾性ブレード30の取付ブロック45が一体に下降する。この後、スライドテーブル36を左側の移動端に移動させる。
【0057】
以上のように、上下シリンダ40とスライドテーブル36からなる移動装置31は、弾性ブレード30の先端部53Cを上昇させ、次いで、弾性ブレード30の先端部53Cをヘッド7の吐出面5に沿って移動させて、ヘッド7の吐出面5を清掃し、次いで、弾性ブレード30の先端部53Cがヘッド7の吐出面5の前方に移動して清掃が終了すると弾性ブレード30をもとの位置まで下降させることにより、ヘッド7の吐出面5に付着した溶液を清掃する。尚、清掃方向の終端位置から弾性ブレード30の先端部53Cをそのまま移動方向に後退させて、後退時にも、ヘッド7の吐出面5を清掃するようにしても良い。
【0058】
間欠回転機構33は上記弾性ブレード30を取付けた取付ブロック45を以下のように間欠回転して上記弾性ブレード30に付着した溶液を洗浄する。
【0059】
上記ヘッド7の吐出面5の上記清掃行程の終端では、弾性ブレード30はヘッド7の吐出面5側に対向する第1の位置にある。
【0060】
この状態から、間欠回転機構33が駆動されて、回転軸44が時計方向に180度回転すると、弾性ブレード30は上記洗浄槽42と対向する第2の位置に移動される。弾性ブレード30の先端部53Cが洗浄槽42内の溶剤43に浸漬して、弾性ブレード30に付着した溶液は洗浄槽42内に貯溜された溶剤43で溶解される。
【0061】
この第2の位置から、回転軸44を時計方向に更に時計方向に90度回転させて、弾性ブレード30を第3の位置に移動させる。この第3の位置では弾性ブレード30に付着した溶剤43を乾燥させる。この第3の位置では、弾性ブレード30は上下に傾斜しているので、第2の位置で弾性ブレード30に付着した溶液が弾性ブレード30の傾斜面30Aに沿って流れ落ちる。
【0062】
ついで、第3の位置から時計方向に90度回転して上記第1の位置に戻る。
【0063】
以上のように、弾性ブレード30はヘッド7の吐出面5の清掃→吐出面5に付着した溶液の溶解→弾性ブレード30に付着した溶液の乾燥→ヘッド7の吐出面5の清掃を間欠的に繰り返す。
【0064】
ヘッド7の清掃が終了すると、図1、図4に示すように、搬送テーブル3は更に、右方向に移動して、複数のヘッド7が搬送テーブル3上の基板W上に位置するまで移動する。この位置から更に搬送テーブル3が右方向に移動しながら、複数のヘッド7が基板W上に溶液を噴射塗布する。
【0065】
基板W上への溶液の噴射塗布を終えたならば、搬送テーブル3は左方向に移動して、図1に示す左側の移動端に戻る。
【0066】
尚、上述の弾性ブレード30に付着した溶液を洗浄する工程は、溶液を基板W上に噴射塗布する工程と並行して行なうようにしても良い。
【0067】
また、基板Wに対して溶液を噴射塗布する工程は、搬送テーブル3の右方向への移動と左方向への移動との往復動作によって行なうようにしても良い。
【0068】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)インクジェット塗布装置によれば、ヘッド7の吐出面5に沿う清掃方向に対して傾斜配置された弾性ブレード30と、弾性ブレード30を清掃方向に移動させる移動装置31を有するので、弾性ブレード30がヘッド7の吐出面5に沿って移動するに従い、ヘッド7の吐出面5に付着した溶液の弾性ブレード30の傾斜方向30Aに沿う清掃方向後方、つまり、横後方向への流れを発生させる。そして、弾性ブレード30が弾性ブレード30の傾斜面30Aに沿って溶液を横後方へ押し流し、弾性ブレード30の後端部から洗浄槽42に落下させる。その結果、従来技術の如く、弾性ブレード30の前面に溶液が滞留して弾性ブレード30が挫屈し、溶液がヘッド7の吐出面5に残ることを減少できる。
【0069】
(b)弾性ブレード30の傾斜面30Aに沿って横後方へ溶液を順次押し退けることにより、清掃方向の終端側のヘッド7の側面に溶液が付着することを防止できる。即ち、吐出面5に付着した溶液は、弾性ブレード30の移動に従い、吐出面5上を弾性ブレード30の傾斜面30Aに沿う横後方へと移動して、弾性ブレード30の横後方の端部へと集められる。溶液は、集合することでその重さが増すので、増した重さによって吐出面5から引き離され、弾性ブレード30を伝って洗浄槽へと落下する。
【0070】
このように、溶液は、ヘッド7の側面に付着する前に落下するので、掻き取った溶液が再び吐出面5に付着することが防止され、溶液の除去性能を向上させることができる。
【0071】
(c)インクジェット塗布装置10は、清掃によって弾性ブレード30に付着した溶液を溶解する洗浄装置32を有するので、ヘッド7の吐出面5を拭き取った後、弾性ブレード30に付着した溶液を溶解して除去することができる。ヘッド7を清掃した後、弾性ブレード30には溶液が残っていないので、次回の清掃時に、弾性ブレード30自体がヘッド7の吐出面5に溶液を付着させることがない。従って、インクジェットヘッド7の吐出面5に付着した溶液の除去性能を向上させて、溶液の吐出を安定させることができる。
【0072】
(d)弾性ブレード30を清掃方向に対して傾斜配置したので、弾性ブレード30は、ノズルプレート11の吐出面5と清掃方向の前方に位置する前端部から接触するので、弾性ブレード30は吐出面5と接触した前端部側の部分から徐々に撓む。その結果、従来の如く、清掃の開始時に弾性ブレード30全体がヘッド7に一度に接触するものに比べて、清掃の開始時に、弾性ブレード30に急激に機械的抵抗が作用することが防止できる。そのため、ボルト54等の弾性ブレード30の固定部や回転軸44の軸受け等に、上記機械的抵抗に起因するガタが発生することが防止できる。また、清掃の終端では、弾性ブレード30が清掃方向の前端部側から徐々に吐出面5から離れるので、弾性ブレード30全体が一気に弾性復帰することがない。そのため、弾性復帰の反動で、弾性ブレード30に付着した溶液が飛び散ることが抑制できる。従って、従来の全面接触する弾性ブレード30に比べゴム硬度の大きいものを使用することができることになり、弾性ブレード30の除去性能を向上することができる。
【0073】
(e)間欠回転機構33は回転軸44を中心に弾性ブレード30を間欠回転して、弾性ブレード30がヘッド7の吐出面5側に対向する第1の位置から洗浄装置32の洗浄槽42と対向する第2の位置に弾性ブレード30を移動させることができる。弾性ブレード30の下降と上昇を回転軸44の回転により行なうので、構成が簡単となる。
【0074】
(f)洗浄装置32は間欠回転機構33の回転軸44の下方に溶剤43を貯溜した洗浄槽42を有し、間欠回転機構33の第2の位置で弾性ブレード30は洗浄槽42に浸漬されるので、弾性ブレード30に付着した溶液を溶解することができる。その結果、次回には、弾性ブレード30は溶液の付着していない清浄な状態でヘッド7の吐出面5を拭き取ることができる。従って、従来の如く、弾性ブレード30に付着した溶液を溶解しないものに比べ、ヘッド7の吐出面5の清掃を完全に行なうことができる。
【0075】
溶剤43を貯溜した洗浄槽42は回転軸44、44の下方に位置するので、弾性ブレード30に付着した溶液の溶解除去が容易となる。また、洗浄槽42はヘッド7の吐出面5から離れた回転軸44の下方に位置するのでヘッド7の吐出面5に洗浄時に溶液や溶剤43が飛散してヘッド7に付着することがない。
【0076】
また、弾性ブレード30の先端を下向きにして溶剤43に浸漬するので、溶液が弾性ブレード30の基部53Aや固定板52に付着することが極力防止できる。そのため、弾性ブレード30を取付面51に固定しているボルト54に溶液が付着することが防止できるので、ボルト54に付着して固化した溶液によってボルト54が固定板52等に固着してボルト54の脱着が困難になることを防ぐことができる。よって、弾性ブレード30のメンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
【0077】
(g)間欠回転機構33は弾性ブレード30を間欠回転機構33の第2の位置から更に90度回転した位置に待機させるので、弾性ブレード30は第3の位置で一定の時間待機することにより、第2の位置で弾性ブレード30に付着した溶剤43を乾燥して除去することができる。
【0078】
また、第3の位置では、弾性ブレード30の傾斜面30Aは上下に傾斜している。そのため、弾性ブレード30に付着した溶剤43を弾性ブレード30の傾斜面30Aの傾斜に沿って流れ落ち易くすることができる。従って、弾性ブレード30に付着した溶剤43が弾性ブレード30上に滞留し難いので、溶剤43の乾燥時間を短縮することができる。
【0079】
また、洗浄後の溶剤43は、溶剤が混入するので、溶剤43には、機能性薄膜材料が溶解している。そのため、溶剤43が弾性ブレード30に滞留する量が多いほど、固化物が弾性ブレード30に残る可能性が高くなる。しかしながら、本実施例の弾性ブレード30は、上述のように、溶剤43が滞留し難いので、弾性ブレード30の先端部に機能性薄膜材料などの固化物が付着して残ることが防止できる。
【0080】
弾性ブレード30への固化物の付着は、吐出面5からの溶液の除去性能を低下させる要因となるが、これが防止できるので、吐出面5の清掃をより確実に行なうことができ、溶液の除去性能が向上する。
【0081】
(h)インクジェット塗布方法によれば、ヘッド7の吐出面5に沿う清掃方向に対して弾性ブレード30を傾斜配置し、弾性ブレード30にてヘッド7の吐出面5を清掃し、吐出面5を清掃した弾性ブレード30を洗浄装置32で洗浄するので、インクジェット塗布装置が奏する効果と同一の効果を奏することができる。
【0082】
(i)弾性ブレード30を清掃方向に直交する回転軸44、44を中心に回転させて、ヘッド7の吐出面5を清掃する第1の位置から洗浄装置32で洗浄する第2の位置に移動させることができる。弾性ブレード30の下降と上昇を回転軸44、44の回転により行なうので、構成が複雑化しない。
【0083】
(j)洗浄装置32は溶剤43を貯溜した洗浄槽42を有し、弾性ブレード30が回転軸44、44の直下に位置する下限位置にて、弾性ブレード30を洗浄槽42内の溶剤43にて洗浄し、下限位置から更に90度回転した位置にて待機させるので、ヘッド7の吐出面5に付着した溶液を溶解して除去し、更に、弾性ブレード30に付着した溶剤43を乾燥することができる。
【0084】
(実施例2)
図11は、実施例2を示し、上記実施例1と同様に構成した弾性ブレード130の先端面に洗浄液、例えば、溶液の溶媒を吐出する複数(実施例では5つ)の吐出孔131を設けたものである。弾性ブレード130の先端面がヘッド7の吐出面5に当接して、吐出面5に洗浄液を吐出しながら弾性ブレード130で拭き取る。吐出された洗浄液は弾性ブレード30の下方に位置する洗浄槽内に落下する。
【0085】
このものによれば、実施例1の効果に加え、弾性ブレード130はヘッド7の吐出面5に洗浄液を吐出する吐出孔131を有するので、ヘッド7の吐出面5に対して洗浄液を吐出させながら弾性ブレード130による清掃を行なう。その結果、仮に、ヘッド7の吐出面5に付着した溶液が乾燥によって硬化したとしても、洗浄液によってその溶液を軟化させて除去することができる。これにより、吐出面5の溶液の除去性能を向上させることができる。
【0086】
(実施例3)
図12は、実施例3を示し、上記実施例1の取付ブロック45の取付面51に複数枚(実施例では2つ)の弾性ブレード30、30を並列して取付けたものである。このものによれば、実施例1の効果に加え、更に1枚の弾性ブレード30のものより拭き残しが減り、ヘッド7に付着した吐出液の固着を防ぐことができる。
【0087】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、実施例では、弾性ブレード30の移動装置31と弾性ブレード30の洗浄装置32は搬送テーブル3の前端面に設けられているが、これらを搬送テーブル3の後端面に設けて、ヘッド7の塗布が終了した都度、弾性ブレード30によるヘッド7の吐出面5の清掃及び弾性ブレード30の洗浄を行なうようにしても良い。また、間欠回転機構33は弾性ブレード30が回転軸44の真上に位置する第1の位置から180度回転した真下の位置に移動する必要はなく、要するに洗浄槽42の溶剤中に浸漬する位置であれば良く、同様に第3の位置も溶剤の液面よりも上側の位置であれば良い。
【0088】
また、ヘッド7を6つ配置した例で説明したが、ヘッドの数は、基板の大きさに応じて設定すれば良いので7つ以上でも、6つ未満であっても良い。
【0089】
また、複数のヘッドを移動方向Sと直交する基板の幅方向全体を網羅するように配置して、それら複数のヘッドによって溶液を基板全体に一度に塗布するようにしても良いし、複数のヘッドを基板の幅方向の長さより短い長さに配置し、それら複数のヘッドによって溶液を基板全体に複数回に分けて塗布するようにしても良い。
【0090】
また、弾性ブレード30を一つの取付ブロック45に、回転軸44の軸周りに角度を変えて複数個取付けるようにしても良い。
【0091】
また、洗浄装置は、溶剤を貯留する洗浄槽とした例で説明したが、弾性ブレードに洗浄液を噴射する洗浄ノズルであっても良い。
【0092】
また、弾性ブレード30に付着した溶剤43を乾燥させる工程が、弾性ブレード30を第2の位置から回転軸44を90度回転させた第3の位置で行なわれる例で説明したが、弾性ブレード30を第2の位置に停止させたまま、洗浄槽42のみを下降させて弾性ブレード30を溶剤43中から離脱させ、この状態で行なわれるようにしても良い。この場合、洗浄槽42と弾性ブレード30とを独立して上下動できるように構成すると良い。
【0093】
また、間欠回転装置33は、回転軸44を時計回り方向に回転させる例で説明したが、回転方向はこれに限らず、途中から反対方向に回転させるようにしても良い。例えば、回転軸44を時計回り方向に180度回転させて弾性ブレード30を第1の位置から第2の位置へ移動させる。その後、回転軸44を反時計回り方向に90度ずつ回転させて、弾性ブレード30を第3の位置及び第1の位置へ順次移動させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は実施例1のインクジェットヘッド塗布装置を示す正面図である。
【図2】図2はインクジェットヘッドの横断面図である。
【図3】図3はインクジェットヘッドの下面図である。
【図4】図4は図1の塗布装置の要部の上部を示す模式図である。
【図5】図5は取付ブロックを示し、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A線の断面図、(C)は(A)のB−B線の断面図を示す。
【図6】図6は弾性ブレードを示し、(A)は弾性ブレードの一部正面図、(B)は(A)のC−C線の断面図である。
【図7】図7は弾性ブレードの取付高さ設定用の治具を示し、(A)は側面図、(B)は取付状態を示す模式図である。
【図8】図8は洗浄槽の一側面の模式図である。
【図9】図9は間欠回転機構の各回転位置を示し、(A)は第1の位置を示す模式図、(B)は第2の位置を示す模式図、(C)は第3の位置を示す模式図である。
【図10】図10はヘッドの吐出面の清掃行程を示す模式図で、(A)は清掃行程の開始段階を示す模式図、(B)は清掃行程の中段階を示す模式図、(C)は清掃行程の終了段階を示す模式図である。
【図11】図11は実施例2を示し、(A)はヘッドの吐出面の清掃状態を示す模式図、(B)は弾性ブレードの先端面の模式図である。
【図12】図12は実施例3を示す模式図である。
【符号の説明】
【0095】
5 吐出面
7 ヘッド
10 インクジェット塗布装置
14 ノズル
30 弾性ブレード
31 移動装置
32 洗浄装置
33 間欠回転機構
42 洗浄槽
44 回転軸
131 吐出孔
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に溶液をインクジェット方式によって噴射塗布する複数のノズルを有するヘッドを備えたインクジェット塗布装置において、
前記複数のノズルが開口する前記ヘッドの吐出面に沿う清掃方向に対して傾斜配置された弾性ブレードと、
該ヘッドと該弾性ブレードのいずれか一方を他方に対して前記清掃方向に移動させる移動装置と、
該弾性ブレードを洗浄する洗浄装置を有することを特徴とするインクジェット塗布装置。
【請求項2】
前記清掃方向に直交する回転軸を中心に前記弾性ブレードを間欠回転する間欠回転機構を有し、
該間欠回転機構は該弾性ブレードを前記ヘッドの吐出面側と対向する第1の位置から前記洗浄装置と対向する第2の位置に移動させる請求項1に記載のインクジェット塗布装置。
【請求項3】
前記洗浄装置は前記間欠回転機構の回転軸の下方に溶剤を貯溜した洗浄槽を有し、
前記弾性ブレードは前記間欠回転機構の第2の位置で該洗浄槽に浸漬される請求項2に記載のインクジェット塗布装置。
【請求項4】
前記間欠回転機構は前記弾性ブレードを前記第2の位置と前記第1の位置との間であって前記弾性ブレートが前記溶剤中から離脱する第3の位置に移動させる請求項3に記載のインクジェット塗布装置。
【請求項5】
前記弾性ブレードは、前記ヘッドの吐出面に溶剤を吐出する吐出孔を有する請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット塗布装置。
【請求項6】
基板に溶液をインクジェット方式によって噴射塗布する複数のノズルを有するヘッドの吐出面を清掃するインクジェットヘッドのクリーニング方法において、
前記ヘッドの吐出面に沿う清掃方向に対して弾性ブレードを傾斜配置し、
該弾性ブレードにて該ヘッドの吐出面を清掃し、
該吐出面を清掃した該弾性ブレードを洗浄装置で洗浄することを特徴とするインクジェットヘッドのクリーニング方法。
【請求項7】
前記弾性ブレードを、前記清掃方向に直交する回転軸を中心に回転させて、前記ヘッドの吐出面を清掃する第1の位置から前記洗浄装置で洗浄する第2の位置に移動させる請求項6に記載のインクジェットヘッドのクリーニング方法。
【請求項8】
前記弾性ブレードが前記回転軸の直下に位置する下限位置にて、該弾性ブレードを前記洗浄装置の洗浄槽内の溶剤にて洗浄し、該下限位置から更に90度回転した位置にて待機させる請求項7に記載のインクジェットヘッドのクリーニング方法。
【請求項9】
前記弾性ブレードは、前記ヘッドの吐出面に溶剤を吐出する吐出孔を有し、該ヘッドの吐出面に対して前記溶剤を吐出させながら前記弾性ブレードによる清掃を行なう請求項6〜8のいずれかに記載のインクジェットヘッドのクリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−272791(P2006−272791A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96198(P2005−96198)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】