説明

インク組成物およびインク組成物を作製する方法

要約すると、本開示の実施態様は、静電写真において用いるインク組成物、静電写真において用いるインク組成物を作製する方法などを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
静電像転写のためのさまざまな技術は公知である。一つの方法は中間転写体の使用を含む。その中に分散するインク粒子を持つ液体担体を含む現像液体は、感光体もしくはドラムの感光表面から中間転写体表面(たとえば剥離層もしくはブランケット)へと転写される。現像液体は感光表面から中間転写体表面へと引き付けられる。液体担体は中間転写体表面から離れ、インク粒子が像形成(image configuration)中の表面に凝縮する。それゆえ、インク粒子は、中間転写体表面から像形成中の基体へと静電気引力によって転写される。
【0002】
近代の液体トナー静電写真は、ElectroInk(商標)と呼ばれる新しいタイプのトナーの発明と共に始まった。このタイプのトナー(インク組成物とも呼ばれる)は、担体液体中に分散されるそれのトナー粒子により特徴付けられ、ここではトナー粒子がポリマーのコアとコアから伸びる繊維性のエクステンションを含む。トナー粒子が担体液体に低密度で分散しているとき、粒子は分離したままでいる。トナーが静電像を形成するとき、トナー粒子の密度が上昇し、繊維性のエクステンションが相互に結合する。大部分の特許および特許出願がこのタイプのトナーを志向している(例えば米国特許第4,794,651号、米国特許第5,047,306号、米国特許第5,208,130号)。このタイプのトナーは高速での高品質のオフセット印刷を可能にすることが知られている。このタイプの印刷は以下の特許、米国特許第4,678,317号、米国特許第4,860,924号、米国特許第4,980,259号、米国特許第4,985,732号、米国特許第5,028,964号および米国特許第5,034,778号に記載される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、現在用いられているトナーは、引っかき抵抗性、耐摩擦性および基体接着に関する欠陥を含む。それゆえ、当分野において引っかき抵抗性、耐摩擦性および/もしくは基体接着を改善するインク組成物への必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
要約すると、本開示の実施態様は、静電写真において用いるインク組成物、静電写真において用いるインク組成物を作製する方法、インクを用いる方法などを含む。インク組成物の例示的な一実施態様は、とりわけ、:担体液体、樹脂、着色剤および共樹脂(co−resin)ポリマーを含み、ここで共樹脂ポリマーは:エチレンアクリル酸コポリマー、ポリマー上へ付加したポリエチレンを有する無水マレイン酸ポリマーおよびそれらの組み合わせより選択される。
【0005】
インク組成物を作製する方法の例示的な一実施態様は、とりわけ:担体液体、樹脂、着色剤および共樹脂ポリマーを混合するステップを含み、ここで共樹脂ポリマーは:エチレンアクリル酸コポリマー、ポリマー上へ付加したポリエチレンを有する無水マレイン酸ポリマーおよびそれらの組み合わせより選択される。
【0006】
インクを用いる方法の例示的な一実施態様は、とりわけ:インクを基体上へ配置するステップを含み、ここでインクは:担体液体、樹脂、着色剤および共樹脂ポリマーを含み、ここで共樹脂ポリマーは:エチレンアクリル酸コポリマー、ポリマー上へ付加したポリエチレンを有する無水マレイン酸ポリマーおよびそれらの組み合わせより選択される。
【0007】
本会時の多くの態様は、以下の図を参照することでより良く理解されよう。図中の構成要素は必ずしも縮尺通りでは無い。さらに、図中では、類似した参照数字はいくつかの図を通じて対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、ブラックインク組成物の一実施態様に対して図中に記述される物質を混合する事による紙への接着の向上を示す。
【図2】図2は、他の樹脂を含むマゼンタインクの一実施態様の剥離試験の結果を示す。
【図3】図3は、10%および20%のMA付加したポリエチレンを含む本開示の実施態様のマゼンタインクの剥離試験の結果を示す。この場合、ダメージ%(すなわち、除去されたインクのパーセンテージ)が報告される。
【図4】図4は、固体の(非粘着性)EAAコポリマー(40%w/w)を含む本開示の実施態様のマゼンタインクの剥離試験の結果を示し、除去されたインクのパーセンテージが報告される。
【図5】図5は、図中に記述される物質のブラックインク組成物の実施態様への20%(w/w)濃度での混合による、3つのタイプのコートされた紙および3つのタイプのコートされない紙に対する接着の向上の剥離試験の結果を示す。従来のインクの種類を「参照(Reference)」と記し、改善したインクの実施態様を「新規のインク(new ink)」と記す。紙上に残るインクのパーセンテージが報告される。
【図6】図6は、図中に記述される物質のブラックインク組成物への20%(w/w)濃度での混合による、ブラックインク(K)の実施態様でオメガ印刷されたサザーランド摩擦試験の結果を示す。
【図7】図7は、図中に記述される物質のブラックインク組成物の実施態様への20%(w/w)濃度での混合による向上を見せるTaberせん断試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施態様は、他に指示が無い限り、合成有機化学、インク化学、溶媒化学などの技術を用いるであろう。そのような技術は文献において詳細に説明される。
【0010】
以下の実施例は、ここに開示され、そして請求される方法や組成物をいかに実施したり用いたりするかについての完全なる開示および記載を当業者に提供するために提示される。数字(例えば量、温度など)に関して、正確にすることへの努力はなされたが、いくつかの誤差や偏差によって説明されべきである。他に指示が無い限り、部は重量部であり、温度は℃であり、圧は大気圧もしくはそれに近いものである。標準的な温度および圧は20℃でかつ1気圧と定義される。
【0011】
本開示の実施態様が詳細に記述される前に、他に指示が無い限り、発明の開示は特定の物質、試薬、反応物、製品および試験プロセスなどへと限定されず、変化し得ると理解されるべきである。ここで使用される専門用語は、特定の実施態様を記述する目的のためであり、限定することを意図していないこともまた理解されるべきである。本開示において、ステップは、論理的に可能である限り、異なる順番において実行できることもまたあり得る。
【0012】
前後関係が明確に他のものを示していない限り、単数形「a」、「an」および「the」は、複数の指示対象を含む。ゆえに例えば、「a support(支持体)」という表記は複数のsupports(支持体)を含む。本明細書および続く請求項において、反対の意思が明らかでない限り、以下の意味を持つよう定義されるであろう多くの言葉への言及がなされる。
【0013】
詳解
本開示の実施態様は、インク組成物、インク組成物を作製する方法およびインク組成物を用いる方法を含む。インク組成物の実施態様は、基体上へと印刷でき、そして印刷された部分は一つもしくはそれ以上の以下のものを持つ:他のインク組成物によって印刷された基体と比較して、向上した基体への接着、向上した引っかき抵抗性および向上した耐摩擦性。特に、実施態様は、標準と比べて、4倍向上した引っかき抵抗性を示した。向上した性質に関するさらなる詳細は実施例に記述される。
【0014】
インク組成物は、担体液体、樹脂、着色剤および共樹脂ポリマーを含むがそれらに限定されない。さらにインク組成物は、一つもしくはそれ以上の以下のものを含む:帯電補助剤、電荷ディレクタ、表面修飾剤、親和性付与剤、電荷付与剤、転写付与剤および他の添加剤。
【0015】
いかなる理論にも束縛されないが、本開示の実施態様は、インク組成物中の共樹脂ポリマーの化学基(たとえばカルボン酸基)と基体中の化学基(たとえば極性基)との相互作用の結果、インク組成物と基体との間の向上した接着を発生すると信じられている。共樹脂ポリマーと樹脂が相互作用して共樹脂ポリマーが樹脂の架橋剤として作用し、これは向上した引っかき抵抗性および耐摩擦性を持つという兆候が現れることはまた注目すべきである。
【0016】
上述のように、本開示の実施態様は、他のインク組成物によって印刷された基体と比較して、向上した基体への接着、向上した引っかき抵抗性および向上した耐摩擦性を持つインク組成物を提供する。本発明の実施態様は、特にコートされたスチレン−ブタジエンラバー(SBR)、コートされたアクリルペーパーおよびコートしていない紙への向上した接着性を有するインク組成物を提供する。例えば、コートされたSBRへとインク組成物の実施態様を用いることは、剥離試験において、5から10%ダメージよりダメージを減少させて0〜2%とした。他の実施態様において、コートされたアクリルペーパーへとインク組成物の実施態様を用いることは、剥離試験において、約50%よりダメージを減少させて約20%ダメージとした。他の実施態様において、コートされていない紙へとインク組成物の実施態様を用いることは、剥離試験において、約30から40%よりダメージを減少させて約10から20%とした。Taberせん断試験を含む他の実施例において、インク組成物の実施態様をコートされた紙へと用いることは、取り出される破片のマイクログラムを約500から250へと減少させた。他の実施態様において、インク組成物の実施態様をセミアクリル(semiacrylic)コートされた紙へと用いることは取り出される破片のマイクログラムを約400から150へと減少させた。他の実施態様において、インク組成物の実施態様をコートされていない紙へと用いることは、取り出される破片のマイクログラムを約80から40へと減少させた。サザーランド摩擦試験機を含む他の実施例において、インク組成物の実施態様をアクリルコートされた紙へと用いることはダメージを約65%から約50%へと減少させた。
【0017】
共樹脂ポリマーは、エチレンアクリル酸コポリマー、ポリマー上にポリエチレンを付加した無水マレイン酸ポリマーおよびそれらの組み合わせを含み得るがそれらに限定されない。エチレンアクリル酸コポリマーの実施態様は、約55から65、約57から63および約60℃のDSC融点を持つコポリマーを含む。エチレンアクリル酸コポリマーの実施態様は、60℃における約20から約40Pa・s(約20,000から40,000cps)、約25から約35Pa・s(約25,000から35,000cps)および約30Pa・s(約30,000cps)の溶融粘度を持つコポリマーを含む。エチレンアクリル酸コポリマーの実施態様は、約150から250、約170から225および約170から200mgKOH毎グラムの酸価を持つコポリマーを含む。一実施態様において、共樹脂ポリマーは、ランダムコポリマーで、室温で粘性で、そして非晶質であるエチレンアクリル酸コポリマーである。他の実施態様において、エチレンアクリル酸コポリマーは室温で固体で、非常に高い溶融粘度(例えば約1300グラム/10分、ASTMD−1238による)と低いmp(75℃)を持つ。溶融粘度は、Advanced Rheometer AR2000TAInstruments Inc.を用いて測定された。詳細には、約3〜5グラムのサンプルが2つのプレートの間に置かれ、10Hzにして、溶融粘度を測定した。
【0018】
ポリマー上にポリエチレンが付加した無水マレイン酸ポリマーの実施態様は、約25から45、約30から40、約33から37および約34mgKOH毎グラムの酸価を持つ、ポリマーを含む。さらに、無水マレインポリマーは、約4.2Pa・s(約4200cps)(140℃において)の溶融粘度と約106℃のDSC融点とを持つ。
【0019】
共樹脂の量は、インク組成物の重量の約14から50、約10から40および約10から20%の範囲であり得る。共樹脂の量は、固形/非蒸発性成分の約20から70、約15から55および約15から25%の範囲であり得る。
【0020】
樹脂は、熱可塑性トナー樹脂を含むがそれらに限定されない。詳細には、樹脂はエチレン酸コポリマー;エチレンアクリル酸コポリマー;メタクリル酸コポリマー;エチレンビニルアセタートコポリマー;エチレン(80から99.9%)、アクリルもしくはメタクリル酸(20から0.1%)/メタクリルもしくはアクリル酸(0.1から20%)のアルキル(C1からC5)エステルのコポリマー;ポリエチレン;ポリスチレン;イソタクチックポリプロピレン(結晶質);エチレンエチルアクリラート;ポリエステル;ポリビニルトルエン;ポリアミド;スチレン/ブタジエンコポリマー;エポキシ樹脂;アクリル樹脂(例えばアクリルもしくはメタクリル酸と少なくとも一つのアクリルもしくはメタクリル酸のアルキルエステルとのコポリマーであって、ここでアルキルが1から約20個の炭素原子であり、メチルメタクリラート(50から90%)/メタクリル酸(0から20パーセント/エチルヘキシルアクリラート(10から50%))のようなものである;エチレン−アクリラートターポリマー;エチレン−アクリルエステル−無水マレイン酸(MAH)もしくはグリシジルメタクリラート(GMA)ターポリマー;低分子エチレン−アクリル酸イソマー、ならびにそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0021】
一実施態様において、樹脂は、Nucrelファミリーのトナー(例えば、Nucrel 403(商標)、Nucrel 407(商標)、Nucrel 609HS(商標)、Nucrel 908HS(商標)、Nucrel 1202HC(商標)、Nucrel 30707(商標)、Nucrel 1214(商標)、Nucrel 903(商標)、Nucrel 3990(商標)、Nucrel 910(商標)、Nucrel 925(商標)、Nucrel 699(商標)、Nucrel 599(商標)、Nucrel 960(商標)、Nucrel RX76(商標)、Nucrel 2806(商標)、Bynell 2002、Bynell 2014およびBynell 2200(E.I.du PONTにより販売される))、Aclynファミリーのトナー(例えば、Aclyn 201、Aclyn 246、Aclyn 285およびAclyn 295)およびLotaderファミリーのトナー(例えば、Lotader 2210、Lotader 3430およびLotader 8200(Arkemaにより販売される))を含み得る。樹脂は、インクトナーの全重量の約5から80、約10から60および約15から40%である。
【0022】
担体液体は、トナー粒子の媒体として用いられる絶縁液体、無極性液体を含み得るがそれらに限定されない。担体液体は、約10オームセンチメートル超の抵抗と約3.0より低い誘電率とを有する化合物を含み得る。担体液体は、炭化水素を含み得るが、それらには限定されない。炭化水素は、脂肪族炭化水素、異性化脂肪族炭化水素、分岐鎖脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素およびそれらの組み合わせを含み得るがそれらには限定されない。
【0023】
例示的な担体液体は、脂肪族炭化水素、イソパラフィン化合物、パラフィン化合物、脱芳香族炭化水素化合物などを含むがそれらには限定されない。詳細には液体担体は、Isopar−G(商標)、Isopar−H(商標)、Isopar−L(商標)、Isopar−M(商標)、Isopar−K(商標)、Isopar−V(商標)、Norpar 12(商標)、Norpar 13(商標)、Norpar 15(商標)、Exxol D40(商標)、Exxol D80(商標)、Exxol D100(商標)、Exxol D130(商標)およびExxol D140(商標)(それぞれ、EXXON CORPORATIONによって販売される);Teclen N−16(商標)、Teclen N−20(商標)、Teclen N−22(商標)、Nisseki Naphthesol L(商標)、Nisseki Naphthesol M(商標)、Nisseki Naphthesol H(商標)、#0 Solvent L(商標)、#0 Solvent M(商標)、#0 Solvent H(商標)、Nisseki Isosol 300(商標)、Nisseki Isosol 400(商標)、AF−4(商標)、AF−5(商標)、AF−6(商標)およびAF−7(商標)(それぞれNIPPON OIL CORPORATIONによって販売される);IP Solvent 1620(商標)およびIP Solvent 2028(商標)(それぞれIDEMITSU PETROCHEMICAL CO.,LTD.によって販売される);Amsco OMS(商標)およびAmsco 460(商標)(それぞれAMERICAN MINERAL SPIRITS CORP.によって販売される);およびElectron、Position、NewII、Purogen HF(100%合成テルペン)(ECOLINKによって販売される)を含み得るが、それらには限定されない。本開示の担体液体および他の成分は、米国特許第6,337,168号、米国特許第6,070,042号および米国特許第5,192,638号に記載される。
【0024】
液体担体は、インク組成物の重量の約20から95%、約40から90%および約60から80%である。
【0025】
一実施態様において、インク組成物は帯電補助剤を含み得る。帯電補助剤は、バリウムペトロネート(barium petronate)、カルシウムペトロネート(calcium petronate)、ナフテン酸コバルト塩、ナフテン酸カルシウム塩、ナフテン酸銅塩、ナフテン酸マンガン塩、ナフテン酸ニッケル塩、ナフテン酸亜鉛塩、ナフテン酸鉄塩、ステアリン酸バリウム塩、ステアリン酸コバルト塩、ステアリン酸鉛塩、ステアリン酸亜鉛塩、ステアリン酸アルミニウム塩、ステアリン酸亜鉛塩、ステアリン酸銅塩、ステアリン酸鉛塩、ステアリン酸鉄塩、金属カルボン酸塩(例えば、トリステアリン酸アルミニウム、オクタン酸アルミニウム、ヘプタン酸リチウム、ステアリン酸鉄、ジステアリン酸鉄、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸クロム、オクタン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ナフテン酸鉄、ナフテン酸亜鉛、ヘプタン酸マンガン、ヘプタン酸亜鉛、オクタン酸バリウム、オクタン酸アルミニウム、オクタン酸コバルト、オクタン酸マンガンおよびオクタン酸亜鉛)、コバルトリネオラート、マンガンリネオラート、鉛リネオラート、亜鉛リネオラート、オレイン酸カルシウム、オレイン酸コバルト、亜鉛パルミラート、樹脂酸カルシウム、樹脂酸コバルト、樹脂酸マンガン、樹脂酸鉛、樹脂酸亜鉛、2−エチルヘキシルメタクリラートコ−メタクリル酸カルシウムおよびアンモニウム塩のABジブロックコポリマー、アルキルアクリルアミドグリコラートアルキルエーテルのコポリマー(例えばメチルアクリルアミドグリコラートメチルエーテルコビニルアセタート)およびヒドロキシビス(3,5−tert−ブチルサリチル酸塩)アルミナート一水和物を含み得るがそれらに限定されない。一実施態様において、帯電補助剤はトリステアリン酸アルミニウムである。帯電補助剤はインク組成物の重量の約0.1から5、約0.5から4および約1から3%である。
【0026】
電荷ディレクタは、レシチン、油溶性石油スルホン酸塩(例えば、中性Calcium Petronate(商標)、中性Barium Petronate(商標)および塩基性Barium Petronate(商標))、ポリブチレンスクシンイミド(例えば、OLOA(商標)1200およびAmoco575)およびグリセリド塩(例えば、不飽和および飽和の酸置換基と持つリン酸化モノ−およびジグリセリドのナトリウム塩)、スルホン酸のバリウム、ナトリウム、カルシウムおよびアルミニウム塩を含むがそれらに限定されないスルホン酸塩を含むがそれらに限定されない。スルホン酸は、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸およびアルキルスクシナートのスルホン酸を含んでも良いがそれらに限定されない。電荷ディレクタは、インク組成物の重量の約0.001から1%である。
【0027】
着色剤は、有機および/もしくは無機着色剤を含み得る。着色剤は、シアン着色剤、マゼンタ着色剤、イエロー着色剤、バイオレット着色剤、オレンジ着色剤、グリーン着色剤着色剤、ブラック着色剤およびそれらの組み合わせを含み得るがそれらには限定されない。ElectroInk(登録商標)系システムと組み合わせる着色剤は当分野に公知である。着色剤は、インク組成物の重量の約0.1%から80%である。
【0028】
一実施態様において、インク組成物は、樹脂、共樹脂ポリマーおよび液体担体を混合することによって調製され得る。最初に樹脂と共樹脂ポリマーは、約1:4から4:6(共樹脂ポリマー:樹脂)の比率で混合される(例えば、そのままでもしくは融解状態で)。続いて、樹脂/共樹脂ポリマーの混合物は担体液体と混合され、均一な混合物を達成するために加熱される。混合物はマッシュ状の硬さを達成するために冷まされた。追加の成分(たとえば、着色剤、帯電補助剤、電荷ディレクタ、表面修飾剤、親和性付与剤、電荷付与剤、転写付与剤および他の添加剤)は、最終のインク組成物を形成するために、加熱プロセス中に混合物へと添加されるおよび/もしくは混合物と共にすりつぶされる。
【0029】
本開示の実施態様は実施例ならびに対応する文および図と関連付けて記述されるが、それらの記述中の実施態様に本開示を限定する意図は無い。逆に、意図は、本開示の実施態様の精神および範囲に含まれる代替物、修飾物および等価物を包含することである。
【実施例】
【0030】
実施例1
図1は、議論される物質のブラックインク組成物への混合による接着性向上を示す。紙への接着レベルはいわゆる「剥離」方法を用いて測定された。紙への接着レベルはいわゆる「剥離」方法を用いて測定された。この方法においては、標準的な感圧接着テープを標準的な力によって新規に印刷された像へと貼り、続いて像を剥離した。このようにして得られるダメージを受けた像(下の紙の露出した領域として現れる)は、スキャンされ、白い領域がダメージ前の100%の像から差し引かれ、残ったインクのパーセンテージが報告される。従来のインクの種類を参照として示し、向上したインクの実施態様を新規のインクと示す。
【0031】
参照はEMAA:EAAの4:1混合に基づき、両方の成分はより低い酸価値を持つ(EMAA11%酸で、最新の種類の15%と比較される、そしてEAA共樹脂は15%酸価で、最新の種類の23%と比較される;さらなる相違は、最新の種類の主要な樹脂EAAのより低い溶融流れ速度、およびEAA共樹脂は室温でより硬い)。
【0032】
実施例2
図2は、他の樹脂(EMAA11%酸:EAA15%酸が4:1の比)を含むマゼンタインクおよび本開示の組成物を含むマゼンタインク(EMAA15%酸:EAA23%酸が4:1の比)の剥離試験の結果を示す。この場合、ダメージ%は基体より取り除かれるインクのパーセンテージである。
【0033】
実施例3
図3は、10%および20%のMA付加のポリエチレンを含むマゼンタインクの剥離試験の結果を示す。この場合、ダメージ%(すなわち、取り除かれるインクのパーセンテージ)が報告される。詳細には、図3はEMAA15%酸:MA付加のPE34鹸化価(酸価のおおよそ半分)が9:1および4:1の比率の剥離試験の結果を示す。
【0034】
実施例4
図4は、固体(非粘着性)EAAコポリマー(40%w/w)を含むマゼンタインクの剥離試験の結果を示し、そして、取り除かれたインクのパーセンテージが報告される。
【0035】
実施例5
図5は、議論される物質のブラックインク組成物への20%(w/w)の濃度での混合による3つのタイプのコートされた紙および3タイプのコートされない紙のタイプに対する接着性向上の剥離試験の結果を示す。従来のインクの種類は参照と示され、向上したインクの実施態様は新規のインクと示される。紙に残ったインクのパーセンテージが報告される。
【0036】
実施例6
図6は、議論される物質のブラックインク組成物への20%(w/w)の濃度での混合によるK(ブラックインク)でのオメガ印刷の標準的な摩擦試験の結果を示す。
【0037】
図7は、議論される物質のブラックインク組成物への20%(w/w)の濃度での混合により向上したTaberせん断試験の結果を示す。印刷された像の引っかき抵抗性は、音楽レコードを再生する蓄音機針と似ているTaberせん断試験機器を用いて評価される。この方法において、特定の時間の後、紙上へと印刷された「重さ」(400%被覆の像)から破片が取り出される。これは、とがった金属爪によって像へ円状の引っかきを刻むことによって達成される。その後、取り出された破片が測られ(マイクログラム単位で)、ダメージレベルとして報告される。重さが大きければ大きいほど、ダメージがより大きい。従来のインクの種類は参照と示され、向上したインクの実施態様は新規のインクと示される。
【0038】
比率、濃度、量および他の数字のデータはここでは範囲の形式で表わしても良いことは注目されるべきである。そのような範囲の形式は単に利便性と簡潔性のために用いられ、範囲の境界として明確に引用された数値だけでなく、それぞれの数値またはサブ範囲(sub−range)が明確に引用されるかのように、個々の数値またはサブ範囲(sub−range)の全ての範囲をその範囲に含むと柔軟に解釈されるべきであることは理解されよう。例えば、「約0.1%から約5%」の範囲の濃度は、明確に引用された約0.1重量%から約5重量%という濃度のみでなく、示された範囲内の個々の濃度(例えば1%、2%、3%および4%)およびサブ範囲(例えば、0.5%、1.1%、2.2%、3.3%および4.4%)までも含むと解釈されるべきである。用語「約」は、修飾される数値の±1%、±2%、±3%、±4%、±5%、±6%、±7%、±8%、±9%もしくは±10%もしくはそれ以上を含み得る。さらに、語句「約「x」から「y」」は「約「x」から約「y」」を含む。
【0039】
多くの変更や修正は上述の実施態様に対しなし得る。そのようなすべての修飾や変更を本開示および以下の請求項によって保護される範囲に含むことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク組成物であって:
担体液体、樹脂、着色剤および共樹脂ポリマーを含有し、ここで前記共樹脂ポリマーが:エチレンアクリル酸コポリマー、ポリマー上へ付加したポリエチレンを有する無水マレイン酸ポリマーおよびそれらの組み合わせより選択される、インク組成物。
【請求項2】
前記共樹脂ポリマーが、エチレンアクリル酸コポリマーを含有し、ここで前記エチレンアクリル酸コポリマーが約55から65℃のDSC融点を持つコポリマーを含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項3】
前記共樹脂ポリマーが、エチレンアクリル酸コポリマーを含有し、ここで前記エチレンアクリル酸コポリマーが60℃における約20から約40Pa・s(約20,000から40,000cps)の溶融粘度を持つコポリマーを含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項4】
前記共樹脂ポリマーが、エチレンアクリル酸コポリマーを含有し、ここで前記エチレンアクリル酸コポリマーが約150から250mgKOH毎グラムの酸価を持つコポリマーを含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項5】
前記共樹脂ポリマーが、ポリマー上へ付加したポリエチレンを有する無水マレイン酸ポリマーを含有し、ここで前記ポリマー上へ付加したポリエチレンを有する無水マレイン酸ポリマーが約25から45mgKOH毎グラムの酸価を持つ、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項6】
前記担体液体が、約10オームセンチメートル超の抵抗と約3.0より低い誘電率とを有する化合物である、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項7】
インク組成物を作製する方法であって:
担体液体、樹脂、着色剤および共樹脂ポリマーを混合するステップを含有し、ここで前記共樹脂ポリマーが:エチレンアクリル酸コポリマー、ポリマー上へ付加したポリエチレンを有する無水マレイン酸ポリマーおよびそれらの組み合わせより選択される、方法。
【請求項8】
前記樹脂と前記共樹脂ポリマーとを混合して第一の混合物を作製するステップ;
前記第一の混合物を前記担体液体と混合して第三の混合物を作製するステップ;および
前記第三の混合物を前記着色剤と混合してインク組成物を作製するステップを、
さらに含有する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
インクを用いる方法であって:
インクを基体上へ配置するステップを含有し、ここで前記インクが:担体液体、樹脂、着色剤および共樹脂ポリマーを含み、ここで前記共樹脂ポリマーが:エチレンアクリル酸コポリマー、ポリマー上へ付加したポリエチレンを有する無水マレイン酸ポリマーおよびそれらの組み合わせより選択される、方法。
【請求項10】
前記担体液体が約10オームセンチメートル超の抵抗と約3.0より低い誘電率とを有する化合物である、請求項9に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2010−534738(P2010−534738A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518257(P2010−518257)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/068508
【国際公開番号】WO2009/014855
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】